説明

高性能減水効果を有するセメント混和剤及びその製造方法

【課題】セメント粒子の分散安定性を向上させることができ、高減水率の領域でもセメント組成物の流動性を高め、得られた流動性の経時的な低下を防止すると同時に適切な空気量を連続的に混入してセメント組成物に良好な作業性を付与するセメント混和剤及びその製造方法を提供する。
【解決手段】セメント混和剤に関し、反応性界面活性剤を単量体として含有するカルボン酸系共重合体、及びこの共重合体をアルカリ性物質でさらに中和して得た共重合体塩の少なくとも一つを含むセメント混和剤及びその製造方法とこれを利用したセメント組成物。セメント混和剤はセメント粒子の分散性を向上させて高減水率の領域でも組成物の流動性を高め、経時的な流動性低下を防止すると同時に適切な空気量を連続的に混入してセメント組成物に良好な作業性を付与して高い強度を有するコンクリートを形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセメント混和剤に関する。特にセメント粒子の分散性を向上させて高減水率の領域でも組成物の流動性を高め、経時的な流動性低下を防止すると同時に適切な空気量を連続的に混入させて、セメント組成物に良好な作業性を付与し高い強度を有するコンクリートを形成することができるセメント混和剤に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリートまたはモルタルなどのようなセメント組成物は、セメントと水との反応で硬化する水硬性反応物であり、水の使用量によって硬化後圧縮強度などの物理的特性が異なる。普通、水の使用量の増加は作業性が良くなる反面、圧縮強度などが小さくなって亀裂発生の原因になっている。そのためセメント組成物に対する水の使用量は制限されて用いられており、水の使用量を減らすために韓国工業規格KS F 2560 に記載されたようにコンクリート用化学混和剤を使用する。
【0003】
化学混和剤の種類は、AE剤(air entraining admixture)、減水剤(water reducing admixture)、高性能減水剤(high range water reducing admixture )に大きく分けられる。また、セメント組成物に用いられることにより、微細空気量を増加させる化学混和剤であるAE剤は、減水剤または高性能減水剤と混合されたものが、AE減水剤(air entraining and water reducing admixture )及び高性能AE減水剤に分類されている。AE減水剤を使用すれば水の使用量を10重量%程度減少させることができ、高性能AE減水剤では18重量%以上の減水を基準にしている。
【0004】
減水剤及び高性能減水剤の化学的分類において、減水剤はリグニン化合物が用いられ、高性能減水剤はナフタレン−ホルマリン縮合物とメラミン縮合物が用いられている。
【0005】
セメント組成物のうちコンクリートはスランプの低下が普通30分間以内に発生することから、コンクリートの混合から型入れまでを短時間内に終えなければならなかった。最近、コンクリート用骨材の変遷による単位数量の増加傾向に対応し、現代の機械化された装備の使用及び交通混雑によって、従来のAE減水剤よりも高い減水性能を有するか、優れたスランプ維持性能を有する化学混和剤が要求されてきた。したがって、高い減水性を有しスランプ損失が少ないと同時に、生コンクリート工場においてコンクリート組成物に添加可能な、つまり、高性能AE減水剤の開発が各混和剤メーカーで活発に実施されている。
【0006】
現在ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の塩(ナフタレン系)、メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の塩(メラミン系)、ポリカルボン酸塩(ポリカルボン酸系)などの高性能AE減水剤が市販されている。このような高性能減水剤は各々優れた機能もある反面、問題点も持っている。例えば、ナフタレン系やメラミン系は硬化特性に優れているが、流動維持性(スランプロス)に問題点を持っている。一方、ポリカルボン酸系は硬化遅延に大きな問題点を持っているが、近来優れた流動性を有するポリカルボン酸系のコンクリート混和剤の開発で、少量添加だけでも良好な流動性を得ることが可能になり、硬化遅延の問題が改善されている。
【0007】
ポリカルボン酸系高性能AE減水剤としては、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル系単量体と(メタ)アクリル酸系単量体及びこれら単量体と共重合可能な単量体を特定比率で導入することによって製造された共重合体が提案示されている(特許文献1参照。)。また、不飽和結合を有するポリアルキレングリコールジエステル系単量体と解離基を有する単量体を必須成分とする他の特定単量体との共重合体が提案されている(特許文献2参照。)。これらポリカルボン酸系高性能AE減水剤は、高い減水性能とスランプ維持機能を有してはいるが、まだ充分に満足する程度ではなく、さらに性能の向上が要求されている。
【0008】
また、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル単量体とマレイン酸系単量体を特定の比率で使用して得られる共重合体を含有するセメント分散剤が提案(特許文献3、特許文献4、特許文献5参照。)されているが、これらセメント分散剤はポリエチレングリコールモノアリルエーテル単量体とマレイン酸系単量体の共重合性が低いという問題により、特に高減水率領域での分散性能が満足できる程度の水準ではない。
【0009】
一方、ポリプロピレングリコールポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル類単量体と不飽和カルボン酸系単量体を使用して得られる共重合体からなるセメント分散剤が提案されている(特許文献6参照。)。このようなセメント分散剤は疎水性の高いポリプロピレングリコール部位が占める比率が高いために分散性能が低く、充分な分散性能を発揮させるためには多量の添加が必要であり、特に高減水率領域での分散性能を満足する水準のものはまだ得られていないという問題点がある。
【0010】
【特許文献1】特開昭59−18338号公報
【特許文献2】特開平5−238795号公報
【特許文献3】特開昭57−118058号公報
【特許文献4】特開平8−283350号公報
【特許文献5】特開平9−142905号公報
【特許文献6】特開平10−194808号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は前記従来の技術の問題点を考慮して、セメント粒子の分散安定性を向上させることができるセメント混和剤及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
本発明の他の目的は、高減水率の領域でもセメント組成物の流動性を高め、得られた流動性の経時的な低下を防止すると同時に適切な空気量を連続的に混入させてセメント組成物に良好な作業性を付与するセメント混和剤及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は前記目的を達成するために、反応性界面活性剤を単量体として含有するカルボン酸系共重合体、及びこの共重合体をアルカリ性物質でさらに中和して得た共重合体の塩の少なくとも一つを含むセメント混和剤及びその製造方法を提供する。また本発明は、高減水率の領域でも流動性に優れたセメント組成物を提供する。すなわち本発明は以下に示す通りである。
【0014】
1.セメント混和剤において、
反応性界面活性剤を単量体として含有するカルボン酸系共重合体、及びこの共重合体をアルカリ性物質でさらに中和して得た共重合体の塩の中の少なくとも一つを含むセメント混和剤。
【0015】
2.前記共重合体が
a)下記の化学式1で表示されるアルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル単量体50乃至90重量%と、
b)下記の化学式2で表示される(メタ)アクリル酸単量体またはその塩5乃至45重量%と、
c)下記の化学式3で表示される反応性界面活性剤0.5乃至40重量%とを含有する、上記1に記載のセメント混和剤。
【0016】
[化学式1]
【化7】



前記化学式1の式で、
1 は水素原子またはメチル基であり、
2Oは炭素数2乃至4のオキシアルキレン基の1種または2種以上の異なったものでよく、異なったものである場合にはブロック体またはランダム体で付加されてもよく、
3 は炭素数1乃至4のアルキル基であり、
mはオキシアルキレン基の平均付加モル数で1乃至50の整数である;
[化学式2]
【化8】



前記化学式2の式で、
4 は水素原子またはメチル基であり、
1 は水素原子、1価金属原子、2価金属原子、アンモニウム基または有機アミン基である;
[化学式3]
【化9】


前記化学式3の式で、
5 は水素原子またはメチル基であり、
6 はフェニレン基、アルキルフェニレン基またはこれらを組み合わせた基であり、
7 Oは炭素数1乃至4のオキシアルキレン基の1種または2種以上の異なったものでもよく、異なってものである場合にはブロック体またはランダム体に付加されていてもよく、
rはオキシアルキレン基の平均付加モル数で10乃至50の整数であり、
nは0または1であり、
2 は水素原子、1価金属原子、2価金属原子、アンモニウム基または有機アミン基である。
【0017】
3.前記a)の化学式1で表示されるアルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル単量体がメトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、及びエトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレートからなる群(以下、これらをあわせて本件アルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル単量体という)より1種以上選択される、上記2に記載のセメント混和剤。
【0018】
4.前記b)の化学式2で表示される(メタ)アクリル酸単量体またはその塩がアクリル酸、メタクリル酸、及びこれら酸の1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩、及び有機アミン塩からなる群より1種以上選択される、上記2または3に記載のセメント混和剤。
【0019】
5.前記c)の化学式3で表示される反応性界面活性剤が、スルホキシポリエチレングリコール(3−ビニル−5−メチル)フェニルエーテル、スルホキシポリプロピレングリコール(3−ビニル−5−メチル)フェニルエーテル、スルホキシポリブチレングリコール(3−ビニル−5−メチル)フェニルエーテル、スルホキシポリエチレングリコール(3−ビニル−5−エチル)フェニルエーテル、スルホキシポリプロピレングリコール(3−ビニル−5−エチル)フェニルエーテル、スルホキシポリブチレングリコール(3−ビニル−5−エチル)フェニルエーテル、スルホキシポリプロピレングリコール(3−プロペニル−5−プロピル)フェニルエーテル、スルホキシポリブチレングリコール(3−プロペニル−5−プロピル)フェニルエーテル、スルホキシポリエチレングリコール(3−プロペニル−5−ブチル)フェニルエーテル、スルホキシポリプロピレングリコール(3−プロペニル−5−ブチル)フェニルエーテル、またはスルホキシポリブチレングリコール(3−プロペニル−5−ブチル)フェニルエーテルの如きスルホキシポリアルキレングリコールアルキルビニルフェニルエーテル類;2−スルホキシポリエチレングリコール−3−(4−メチルフェノキシ)プロピレンアリルエーテル、2−スルホキシポリプロピレングリコール−3−(4−メチルフェノキシ)プロピレンアリルエーテル、2−スルホキシポリブチレングリコール−3−(4−メチルフェノキシ)プロピレンアリルエーテル、2−スルホキシポリエチレングリコール−3−(4−エチルフェノキシ)プロピレンアリルエーテル、2−スルホキシポリプロピレングリコール−3−(4−エチルフェノキシ)プロピレンアリルエーテル、または2−スルホキシポリブチレングリコール−3−(4−エチルフェノキシ)プロピレンアリルエーテルの如き2−スルホキシポリアルキレングリコール−3−(4−アルキルフェノキシ)プロピレンアリルエーテル類、及びこれらを各々1価金属、2価金属、アンモニウム塩、または有機アミンで中和した塩からなる群(以下、これらをあわせて本件反応性界面活性剤という)より1種以上選択される、上記2〜4のいずれかに記載のセメント混和剤。
【0020】
6.前記カルボン酸系共重合体及び当該共重合体の塩は重量平均分子量が10,000乃至30,000である、上記1〜5のいずれかに記載のセメント混和剤。
【0021】
7.セメント100重量部に対して、上記1〜6のいずれかに記載のセメント混和剤0.01乃至10重量部を含むセメント組成物。
【0022】
8.a)i)下記の化学式1で表示されるアルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル単量体50乃至90重量%と、
ii)下記の化学式2で表示される(メタ)アクリル酸単量体またはその塩5乃至45重量%と、
iii )下記の化学式3で表示される反応性界面活性剤0.5乃至40重量%とを重合開始剤の存在下で共重合する段階を含むセメント混和剤の製造方法。
【0023】
[化学式1]
【化10】



前記化学式1の式で、
1 は水素原子またはメチル基であり、
2Oは炭素数2乃至4のオキシアルキレン基の1種または2種以上の異なったものでよく、異なったものである場合にはブロック体またはランダム体で付加されてもよく、
3 は炭素数1乃至4のアルキル基であり、
mはオキシアルキレン基の平均付加モル数で1乃至50の整数である;
[化学式2]
【化11】



前記化学式2の式で、
4 は水素原子またはメチル基であり、
1 は水素原子、1価金属原子、2価金属原子、アンモニウム基または有機アミン基である;
[化学式3]
【化12】


前記化学式3の式で、
5 は水素原子またはメチル基であり、
6 はフェニレン基、アルキルフェニレン基またはこれらを組み合わせた基であり、
7 Oは炭素数1乃至4のオキシアルキレン基の1種または2種以上の異なったものでもよく、異なってものである場合にはブロック体またはランダム体に付加されていてもよく、
rはオキシアルキレン基の平均付加モル数で10乃至50の整数であり、
nは0または1であり、
2 は水素原子、1価金属原子、2価金属原子、アンモニウム基または有機アミン基である。
【0024】
9.前記a)段階で製造された共重合体を、
b)アルカリ性物質で中和し共重合体塩を製造する段階を追加的に含む、上記8に記載のセメント混和剤の製造方法。
【0025】
10.前記b)段階のアルカリ性物質が1価金属または2価金属の水酸化物、塩化物、炭酸塩又はアンモニアもしくは有機アミンである、上記9に記載のセメント混和剤の製造方法。
【0026】
11.前記a)段階の共重合が溶液重合またはバルク重合の重合方法で実施される、上記8〜10のいずれかに記載のセメント混和剤の製造方法。
【0027】
12.前記a)段階の共重合温度が0乃至120℃である、上記8〜11のいずれかに記載のセメント混和剤の製造方法。
【0028】
13.前記a)段階の共重合はチオール系連鎖移動剤を追加的に投入して実施される、上記8〜12のいずれかに記載のセメント混和剤の製造方法。
【発明の効果】
【0029】
本発明のセメント混和剤は粒子の分散安定性を向上させて高減水率の領域でも組成物の流動性を高め、得られた流動性の経時的な低下を防止すると同時に適切な空気量を連続的に混入してセメント組成物に良好な作業性を与える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0031】
本発明は、カルボン酸系単量体を基本とする共重合体に反応性界面活性剤を一つの単位単量体として付加して共重合させた共重合体を含むセメント混和剤であり、従来のセメント混和剤より分散性が優れており、高減水率の領域でもセメント組成物の流動性を高め、得られた流動性の経時的な低下を防止すると同時に適切な空気量を連続的に混入させてセメント組成物に良好な作業性を付与するようにした。
【0032】
本発明の共重合体に単位単量体として含まれる反応性界面活性剤は、疎水性基と親水性基を共に有しており、ポリマーの水溶性を高め、セメント粒子のポリマーに対する物理的吸着性質を改善してセメント粒子の分散及び流動性の持続化を助ける役割を果たし、セメント組成物に含まれている2価イオンに対する安定性を増加させる。
【0033】
さらに具体的に説明すれば、本発明の反応性界面活性剤を単位単量体として含有するカルボン酸系共重合体は
a)下記の化学式1で表示されるアルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル単量体50乃至90重量%と、
b)下記の化学式2で表示される(メタ)アクリル酸単量体またはその塩5乃至45重量%と、
c)下記の化学式3で表示される反応性界面活性剤0.5乃至40重量%とを含有する共重合体が好ましい。
【0034】
[化学式1]
【化13】




前記化学式1の式で、
1 は、水素原子またはメチル基であり、
2 は、炭素数2乃至4のオキシアルキレン基の1種または2種以上の異なったものでよく、異なったものである場合にはブロック体またはランダム体で付加されてもよく、
3 は炭素数1乃至4のアルキル基であり、
mはオキシアルキレン基の平均付加モル数で1乃至50の整数である。
【0035】
[化学式2]
【化14】



前記化学式2の式で、
4 は水素原子またはメチル基であり、
1 は水素原子、1価金属原子、2価金属原子、アンモニウム基または有機アミン基である。
【0036】
[化学式3]
【化15】



前記化学式3の式で、
5 は水素原子またはメチル基であり、
6 は炭素数1乃至3のアルキレン基、フェニレン基、アルキルフェニレン基またはこれらを組み合わせた基であり、これらを組み合わせた基は置換基としてアルキル基、フェニル基、アルキルフェニル基を有していてもよく、またオキシ基を介して結合していてもよい、
7 Oは炭素数1乃至4のオキシアルキレン基の1種または2種以上の異なったものでもよく、異なってものである場合にはブロック体またはランダム体に付加されていてもよく、
rはオキシアルキレン基の平均付加モル数で10乃至50の整数であり、
nは0または1であり、
2 は水素原子、1価金属原子、2価金属原子、アンモニウム基または有機アミン基である。
【0037】
本発明に用いられる前記化学式3の反応性界面活性剤はラジカル反応に参与できる二重結合を有しており、単量体と共重合して高分子主鎖で界面活性剤として作用をする。このような界面活性剤の疎水性部分はセメント粒子に対して吸着を助け、イオン性部分は電気二重層を形成してゼータ電位を増加させ、分散粒子間の静電気的反撥力及び安定性を増大させる。したがって、ポリアルキレングリコール鎖の親水性と立体障碍によるセメント分散効果だけでなく、界面活性剤末端のスルホン酸による静電気的反撥力を同時に有して分散力及び混入された空気保持安定性がより優れている。
【0038】
前記化学式1で表示された単量体は本件アルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル単量体などであってもよく、これらは単独または2種以上が混合されることもできる。
【0039】
このような化学式1で表示される単量体は共重合体内で50乃至90重量%を含有するのが好ましい。この範囲を外れる場合には優れた分散性を発揮するのが難しい。
【0040】
前記化学式2で表示される単量体はアクリル酸、メタクリル酸、及びこれら酸の1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩及び有機アミン塩などであってもよく、これらは単独または2種以上が混合されて共重合されることもできる。
【0041】
このような化学式2で表示される単量体は共重合体内で5乃至45重量%を含有するのが好ましい。この範囲を外れる場合にはセメント組成物のスランプ損失防止能力が低下する問題点を発生させる可能性もある。
【0042】
前記化学式3で表示される反応性界面活性剤は疎水性基と親水性基を共に有し、ラジカル反応に参与できる二重結合を有しているものである。具体的には本件反応性界面活性剤及びこれらを1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩及び有機アミンで中和したものも好ましい。これらは単独または2種以上が混合されて共重合されることもできる。
【0043】
このような化学式3で表示される反応性界面活性剤は共重合体内で0.5乃至40重量%を含有するのが好ましい。この範囲を外れる場合にはセメント組成物にスランプ維持力及び適切な空気混入能力に問題点を発生させ得る。
【0044】
本発明の反応性界面活性剤を単位モノマーとして含有するカルボン酸系共重合体またはその中和塩の例は下記の化学式4a、4b、4c、及び4dで表示される共重合体であってもよい。しかし、これらのみに限定されるわけではない。
【0045】
[化学式4a]
【化16】




[化学式4b]
【化17】




[化学式4c]
【化18】




[化学式4d]
【化19】




【0046】
前記化学式4a乃至4dの式で、
Mは水素原子、または1価または2価金属の原子であり、Rは水素原子またはアルキル基であり、m、m′、n、o、p、q及びrはモル数を示し、m、m′のうちの少なくとも一つは0ではなく、o、pのうちの少なくとも一つは0でなく、n、q及びrは0にならず、nは互いに異なり、反応性界面活性剤の末端基のアンモニウム基は水素原子または1価金属原子に置換できる。
【0047】
本発明の共重合体は重合開始剤を使用して前記単量体成分を共重合させて製造することができる。共重合方法は溶液重合やバルク重合などの方法によって実施することができ、特に限定されない。
【0048】
例えば、水を溶媒として用いて重合する場合には、アンモニウムまたはアルカリ金属の過硫酸塩または過酸化水素などの水溶性重合開始剤を用いることができる。
【0049】
また、低級アルコール、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、エステル化合物またはケトン化合物を溶媒とする重合には、ベンゾイルペルオキシドやラウロイルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド、又はアゾビスイソブチロニトリルなどの芳香族アゾ化合物などが重合開始剤として用いられる。この時、アミン化合物などの促進剤を併用することも可能である。
【0050】
また、水−低級アルコール混合溶剤を使用する場合には前記各種の重合開始剤または重合開始剤と促進剤の組み合わせの中で適切に選択して用いることができる。
【0051】
適切な重合開始剤の使用量は単量体全重量に対して0.5乃至5重量%が好ましい。
【0052】
重合温度は使用する溶媒や重合開始剤の種類によって0乃至120℃の範囲で選択するのが好ましい。
【0053】
また、得られる重合体の分子量調節のためにチオール系連鎖移動剤を用いることもできる。この時、用いられるチオール系連鎖移動剤としてはメルカプトエタノール、チオグリセロル、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、チオグリコール酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチルなどがあり、これらの1種または2種以上を用いることができる。このようなチオール系連鎖移動剤の使用量は単量体全重量に対して0.5乃至5重量%が好ましい。
【0054】
このようにして得られた重合体はそのままセメント混和剤の主成分として用いられることができ、必要に応じて再びアルカリ性物質で中和させて得られる共重合体塩をセメント混和剤の主成分として用いることもできる。このようなアルカリ性物質としては1価金属または2価金属の水酸化物、塩化物、炭酸塩などの無機物又はアンモニアもしくは有機アミンなどが好ましい。
【0055】
本発明のセメント混和剤として用いられる共重合体とその中和された共重合体塩は重量平均分子量がGPC(Gel Permeation Chromatography )法で測定した時、10,000乃至30,000であるのが好ましく、15,000乃至20,000であるのが分散性を考慮する時さらに好ましい。
【0056】
本発明のセメント混和剤はコンクリートなどのようなセメント組成物にセメント100重量部に0.01乃至10重量部を添加して用いるのが好ましい。特に高減水率の領域を考慮すれば0.1乃至5重量部がさらに好ましい。10重量部を超えれば添加量だけの効果が出ないので経済性面で好ましくなく、0.01重量部未満であれば分散性、減水、空気混入などの所望の性能を発揮するのがむずかしい。
【0057】
本発明のセメント混和剤はコンクリート中のセメント粒子の分散性を向上させて水の使用量を18重量%以上減少させることができる高減水率を示し、このような高減水率の領域でも組成物の流動性を高め、経時的な流動性低下を防止すると同時に適切な空気量を連続的に混入させてセメント組成物に良好な作業性を付与できながらも高い強度を有するコンクリートを形成することができるセメント混和剤である。
【実施例】
【0058】
下記の実施例及び比較例を通じて本発明をさらに詳細に説明する。但し、実施例は本発明を例示するためのものであり、本発明をこれらに限定するわけではない。
【0059】
実施例1
温度計、撹拌機、滴下漏斗、窒素導入管及び還流冷却器を備えた2L容量のガラス反応器に水250重量部を注入して撹拌し、反応容器内部を窒素ガスに置換して窒素雰囲気下で80℃まで加熱した。
【0060】
前記反応器に過硫酸アンモニウム2重量部を添加して完全に溶解させた後、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数14モル)275.18重量部、メタクリル酸43.69重量部、アクリル酸25.11重量部、非イオン及び陰イオン性反応性界面活性剤としてポリオキシエチレンノニルフェニルプロペニルエーテルスルフェートアンモニウム塩(エチレンオキシドの平均付加モル数10モル)7.02重量部、3−メルカプトプロピオン酸4.5重量部、水130重量部を混合した単量体水溶液と5重量%濃度の過硫酸アンモニウム水溶液90重量部を3時間滴下した。滴下終了後、再び5重量%濃度の過硫酸アンモニウム水溶液4重量部を一度に投入した。その後、1時間引続き80℃に温度を維持して重合反応を完結させた。
【0061】
重合が完了した後、室温に冷却し、30重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液で中和した。このように製造された水溶性共重合体の塩はGPC法で測定した重量平均分子量が18,591であった。
【0062】
実施例2
メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートをエチレンオキシドの平均付加モル数が30モルであるものに変更したことを除いては前記実施例1と同じ方法で水溶性共重合体の塩を製造した。この塩のGPC法で測定した重量平均分子量は23,486であった。
【0063】
実施例3
単量体水溶液をメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数14モル)266.76重量部、メタクリル酸42.68重量部、アクリル酸24.01重量部、非イオン及び陰イオン性反応性界面活性剤としてポリオキシエチレンノニルフェニルプロペニルエーテルスルフェートアンモニウム塩(エチレンオキシドの平均付加モル数10モル)17.55重量部、3−メルカプトプロピオン酸4.5重量部、及び水130重量部を混合したものに変更して前記実施例1と同じ方法で重合した。
【0064】
重合が完了した後、室温に冷却し、30重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液で中和した。このように製造された水溶性共重合体の塩はGPC法で測定した重量平均分子量が16,931を示した。
【0065】
実施例4
単量体水溶液をメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数14モル)259.04重量部、メタクリル酸36.39重量部、アクリル酸20.47重量部、非イオン及び陰イオン性反応性界面活性剤としてポリオキシエチレンノニルフェニルプロペニルエーテルスルフェートアンモニウム塩(エチレンオキシドの平均付加モル数10モル)35.1重量部、3−メルカプトプロピオン酸4.5重量部、及び水130重量部を混合したものに変更して前記実施例1と同じ方法で重合した。
【0066】
重合が完了した後、室温に冷却し、30重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液で中和した。このように製造された水溶性共重合体の塩はGPC法で測定した重量平均分子量が16,605を示した。
【0067】
実施例5
単量体水溶液をメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数14モル)275.18重量部、メタクリル酸43.69重量部、アクリル酸25.11重量部、陰イオン性反応性界面活性剤としてアリルオキシヒドロキシプロパンスルフェートナトリウム塩7.02重量部、3−メルカプトプロピオン酸4.5重量部、及び水130重量部を混合したものに変更して前記実施例1と同じ方法で重合した。
【0068】
重合が完了した後、室温に冷却し、30重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液で中和した。このように製造された水溶性共重合体の塩はGPC法で測定した重量平均分子量が15,415を示した。
【0069】
比較例1
単量体水溶液を反応性界面活性剤を除いたメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数14モル)280.8重量部、メタクリル酸44.58重量部、アクリル酸25.62重量部、3−メルカプトプロピオン酸4.5重量部、及び水130重量部を混合したものに変更して前記実施例1と同じ方法で重合した。
【0070】
重合が完了した後、室温に冷却し、30重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液で中和した。このように製造された水溶性共重合体の塩はGPC法で測定した重量平均分子量が27,287を示した。
【0071】
比較例2
通常のセメント混和剤として用いられるナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物(NSF)を準備した。
【0072】
前記実施例1乃至5、及び比較例1で製造された水溶性共重合体の塩の主要成分含量及び特性を下記表1に示しており、これら水溶性共重合体の塩及び比較例2のセメント混和剤をセメントコンクリートに適用した試験(セメントモルタル流動性試験、コンクリート試験)の結果は下記表2に示した。
【0073】
[モルタル流動性試験]
普通ポートランドセメント(双竜セメント製造)1000g、砂1000g、それぞれのセメント混和剤1g(固形分換算)、及び水(上水道)450gをモルタルミキサーで3分間の中速で混練してモルタルを製造した。各々製造されたモルタルを直径60mm、高さ40mmである中空のコーンに充填した後、前記コーンを垂直方向に除去した。モルタル流動値(mm)はモルタル直径を二つの方向で測定して測定された直径の平均とした。
【0074】
[コンクリート試験]
普通ポートランドセメント(双竜セメント製造)736kg、砂1863kg、砕石2330kg、それぞれのセメント混和剤をセメント重量の0.25重量%(ただし、比較例2は1.00重量%)、及び水(上水道)386.4kg混練してコンクリートを製造した。製造されたそれぞれのコンクリートは韓国産業規格KS F 2402 、及びKS F 2449 によってスランプ及び空気量を測定した。
【0075】
【表1】




【0076】
【表2】




【0077】
前記試験結果から、実施例1乃至5の本発明のセメント混和剤を適用したモルタルは比較例1乃至2の本発明のセメント混和剤を適用しなかったモルタルに比べて相対的に高い流動値を維持し、初期のコンクリートスランプ値が高いのにかかわらず、90分後のスランプ値も相対的に多少低くなる程度であり、空気量も優れていた。これは本発明のセメント混和剤がセメント粒子の分散性を向上させ、少ない添加使用量でも高い減水率を示すことが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)下記の化学式1で表示される単量体50乃至90重量%と、
b)下記の化学式2で表示される単量体5乃至45重量%と、
c)下記の化学式3で表示される単量体0.5乃至40重量%とから製造される共重合体、または前記共重合体をアルカリ性物質で中和させて製造される共重合体塩を含むセメント混和剤:
[化学式1]
【化1】



前記化学式1の式で、
1 は水素原子またはメチル基であり、
2Oは炭素数2乃至4のオキシアルキレン基の1種または2種以上の異なったものでよく、異なったものである場合にはブロック体またはランダム体で付加されてもよく、
3 は炭素数1乃至4のアルキル基であり、
mはオキシアルキレン基の平均付加モル数で1乃至50の整数である;
[化学式2]
【化2】



前記化学式2の式で、
4 は水素原子またはメチル基であり、
1 は水素原子、1価金属原子、2価金属原子、アンモニウム基または有機アミン基である;
[化学式3]
【化3】



前記化学式3の式で、
5 は水素原子またはメチル基であり、
6 はフェニレン基、アルキルフェニレン基またはこれらを組み合わせた基であり、
7 Oは炭素数1乃至4のオキシアルキレン基の1種または2種以上の異なったものでもよく、異なってものである場合にはブロック体またはランダム体に付加されていてもよく、
rはオキシアルキレン基の平均付加モル数で10乃至50の整数であり、
nは0または1であり、
2 は水素原子、1価金属原子、2価金属原子、アンモニウム基または有機アミン基である。
【請求項2】
前記a)の化学式1で表示される単量体がメトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、及びエトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレートからなる群より1種以上選択される、請求項1に記載のセメント混和剤。
【請求項3】
前記b)の化学式2で表示される単量体がアクリル酸、メタクリル酸、及びこれら酸の1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩、及び有機アミン塩からなる群より1種以上選択される、請求項1または2に記載のセメント混和剤。
【請求項4】
前記c)の化学式3で表示される単量体がスルホキシポリエチレングリコール(3−ビニル−5−メチル)フェニルエーテル、スルホキシポリプロピレングリコール(3−ビニル−5−メチル)フェニルエーテル、スルホキシポリブチレングリコール(3−ビニル−5−メチル)フェニルエーテル、スルホキシポリエチレングリコール(3−ビニル−5−エチル)フェニルエーテル、スルホキシポリプロピレングリコール(3−ビニル−5−エチル)フェニルエーテル、スルホキシポリブチレングリコール(3−ビニル−5−エチル)フェニルエーテル、スルホキシポリプロピレングリコール(3−プロペニル−5−プロピル)フェニルエーテル、スルホキシポリブチレングリコール(3−プロペニル−5−プロピル)フェニルエーテル、スルホキシポリエチレングリコール(3−プロペニル−5−ブチル)フェニルエーテル、スルホキシポリプロピレングリコール(3−プロペニル−5−ブチル)フェニルエーテル、スルホキシポリブチレングリコール(3−プロペニル−5−ブチル)フェニルエーテル、2−スルホキシポリエチレングリコール−3−(4−メチルフェノキシ)プロピレンアリルエーテル、2−スルホキシポリプロピレングリコール−3−(4−メチルフェノキシ)プロピレンアリルエーテル、2−スルホキシポリブチレングリコール−3−(4−メチルフェノキシ)プロピレンアリルエーテル、2−スルホキシポリエチレングリコール−3−(4−エチルフェノキシ)プロピレンアリルエーテル、2−スルホキシポリプロピレングリコール−3−(4−エチルフェノキシ)プロピレンアリルエーテル、2−スルホキシポリブチレングリコール−3−(4−エチルフェノキシ)プロピレンアリルエーテル、及びこれらを各々1価金属、2価金属、アンモニウム塩、または有機アミンで中和した塩からなる群より選択される1種以上である、請求項1から3までのいずれかに記載のセメント混和剤。
【請求項5】
前記カルボン酸系共重合体及び当該共重合体の塩は重量平均分子量が10,000乃至30,000である、請求項1から4までのいずれかに記載のセメント混和剤。
【請求項6】
セメント100重量部に対して、請求項1から5までのいずれかに記載のセメント混和剤0.01乃至10重量部を含むセメント組成物。
【請求項7】
a)i)下記の化学式1で表示される単量体50乃至90重量%と、
ii)下記の化学式2で表示される単量体5乃至45重量%と、
iii )下記の化学式3で表示される単量体0.5乃至40重量%とを重合開始剤の存在下で共重合する段階を含むセメント混和剤の製造方法:
[化学式1]
【化4】



前記化学式1の式で、
1 水素原子またはメチル基であり、
2Oは炭素数2乃至4のオキシアルキレン基の1種または2種以上の異なったものでよく、異なったものである場合にはブロック体またはランダム体で付加されてもよく、
3 は炭素数1乃至4のアルキル基であり、
mはオキシアルキレン基の平均付加モル数で1乃至50の整数である;
[化学式2]
【化5】



前記化学式2の式で、
4 は水素原子またはメチル基であり、
1 は水素原子、1価金属原子、2価金属原子、アンモニウム基または有機アミン基である;
[化学式3]
【化6】



前記化学式3の式で、
5 は水素原子またはメチル基であり、
6 はフェニレン基、アルキルフェニレン基またはこれらを組み合わせた基であり、
7 Oは炭素数1乃至4のオキシアルキレン基の1種または2種以上の異なったものでもよく、異なってものである場合にはブロック体またはランダム体に付加されていてもよく、
rはオキシアルキレン基の平均付加モル数で10乃至50の整数であり、
nは0または1であり、
2 は水素原子、1価金属原子、2価金属原子、アンモニウム基または有機アミン基である。
【請求項8】
前記a)段階で製造された共重合体を、
b)アルカリ性物質で中和し共重合体塩を製造する段階を追加的に含む、請求項7に記載のセメント混和剤の製造方法。
【請求項9】
前記b)段階のアルカリ性物質が1価金属または2価金属の水酸化物、塩化物、炭酸塩又はアンモニアもしくは有機アミンである、請求項8に記載のセメント混和剤の製造方法。
【請求項10】
前記a)段階の共重合が溶液重合またはバルク重合の重合方法で実施される、請求項7から9までのいずれかに記載のセメント混和剤の製造方法。
【請求項11】
前記a)段階の共重合温度が0乃至120℃である、請求項7から10までのいずれかに記載のセメント混和剤の製造方法。
【請求項12】
前記a)段階の共重合はチオール系連鎖移動剤を追加的に投入して実施される、請求項7から11までのいずれかに記載のセメント混和剤の製造方法。

【公開番号】特開2009−57275(P2009−57275A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−244587(P2008−244587)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【分割の表示】特願2003−186442(P2003−186442)の分割
【原出願日】平成15年6月30日(2003.6.30)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】