説明

高温での噴霧または浸漬による人体のタンニング方法

本発明は、施用を高温で実施する、ヒトの皮膚に施用するための自己タンニング物質の使用、ヒトの皮膚への対応する施用方法、および前記目的に適した化粧用配合物に関する。この施用は特に、霧状に吹きつけるか、または例えば浴槽に浸漬することによって行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトの皮膚に施用するための自己タンニング物質の使用、ヒトの皮膚への対応する施用方法、および前記目的に適した化粧用配合物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの皮膚をタンニングすることは、特に蒼白い皮膚のタイプが多くを占める地域で、幸福と健康のしるしであるとみなされている。
【0003】
しかし、日光に存在するUV放射線による自然のタンニングは、皮膚の早期老化などのリスクも抱えており、また皮膚がんのリスクが増大する問題も抱えている。
【0004】
こうしたリスクを低減するために、UV放射線の有害な部分をフィルタリングするUVフィルター調製物が供給されている。
【0005】
これに対して、いわゆる「タンニング前用品」または「タンニング促進剤」も供給されている。これは日光に照射する前に施用しなければならない。日に当たると、これらの調製物の黄色化が生じ、これが表皮の淡い黄褐色への着色をもたらすと考えられる。それによって、さらに「日焼け」が強められ、身体を日光に曝すべき時間を短縮することになる。
【0006】
UV光に全く依存しない別の人工的タンニング方法は、体内で通常放出され、また(自然の)UV放射線の結果として、最終的にメラニン形成細胞を刺激してメラニンを合成するホルモンによってもたらすことができる。この関係では、例えば、aMSHおよび合成変形体(NDPなど)などのプロオピオメラノコルチン(POMC)の改変が挙げられる。そのいくつかは、天然のaMSHより著しく高い活性を有する。これらのホルモンは基本的にタンニングをもたらすことができるが、それらがすべて、薬理上の指示なしでは広く使用すべきでない薬理活性(ホルモン)を有する物質なので、化粧品におけるその使用は排除される。
【0007】
日光の作用が全くなくても、自己タンニング剤によって皮膚の着色が起こる。自己タンニング剤を使用する場合の1つの問題は、ヒトの皮膚に適度に高い活性成分濃度で均一に施用することである。
【0008】
例えば、クリーム剤または他の調製物を手で均一に施用するのは困難で非常に時間がかかる。自分で施用しようとする場合、身体のいくつかの部分、特に背中には全く届かない。
【0009】
活性成分のシャワーリングによって自己タンニング溶液を施用することも提案されている。しかしこの方法では、多量の自己タンニング剤を必要とし、同じく部分的にしか均一な施用が確保されない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
驚くべきことに、自己タンニング剤を高温で施用すれば、必要とする活性成分濃度を低くすることができることをここに見出した。
【0011】
したがって本発明は第1に、施用を高温で実施するヒトの皮膚に施用するための少なくとも1種の自己タンニング物質または少なくとも1種の自己タンニング物質を含む配合物の使用を提供する。
【0012】
本発明は、少なくとも1種の自己タンニング物質または少なくとも1種の自己タンニング物質を含む配合物を水に溶解し、その溶液を室温に対して高い温度にし、その溶液をヒトの身体に施用することを特徴とするヒトの身体をタンニングする方法をさらに提供する。
【0013】
本発明は、特定の方法での本発明の使用に適した化粧用配合物もさらに提供する。すなわち、少なくとも1種の自己タンニング物質を含む化粧用配合物であって、この配合物が少なくとも1種の脂肪質担体と少なくとも1種の親水性溶媒を含むことを特徴とするものも本発明に含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明においては、自己タンニング物質または自己タンニング剤は、UV放射線の影響を受けないでヒトの皮膚をタンニングすることができるすべての物質またはその混合物を意味する。本発明に使用できる有利な自己タンニング剤は以下の物質である。
【0015】
【化1】

【0016】
新鮮なクルミの殻から抽出される5−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン(ユグロン)
【0017】
【化2】

【0018】
およびツマクレナイノキ(henna)の葉に存在する2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン(ラウソン)
【0019】
【化3】

【0020】
も挙げることができる。
【0021】
本発明による自己タンニングのための最も重要な活性成分は、ヒトの身体内に存在する三価の糖の1,3−ジヒドロキシアセトン(DHA)である。
【0022】
【化4】

【0023】
本発明で好ましい少なくとも1種の自己タンニング物質の濃度は0.01重量%〜15重量%の範囲、好ましくは0.05重量%〜5重量%の範囲、特に好ましくは最大で1重量%である。本発明によれば、自己タンニング物質の混合物を使用することが特に好ましい。特に、DHAを少なくとも1種の他の自己タンニング物質との混合物で使用することが好ましい。
【0024】
1,3−ジヒドロキシアセトンの場合の高温での改善されたタンニング効果(本発明に有利である)の発揮は、以下の機構と関連していると想定される。原料としてのDHAは粉末の形態であり二量体からなっている。水に溶解すると、一部の二量体は活性モノマーの形態に転換され、これがタンニング反応をもたらす。水の温度が高いとモノマーの量は増大する。例えば、30〜50℃のDHA溶液中では、20℃のDHA溶液より最大で30%高い活性DHAモノマーが存在することが判明した。同時に、高温であることによってタンニング反応の反応速度が増大する。
【0025】
このことから、本発明によれば施用温度は25〜60℃、好ましくは30〜55℃、特に好ましくは37〜50℃の範囲であることが好ましい。
【0026】
さらに、モノマーと二量体の濃度の平衡は、解離に続いて約15分以内にもたらされることを見出した。したがって本発明によれば、溶液をヒトの皮膚に施用する前に、自己タンニング物質の溶液を約15分間、しかし少なくとも約10分間調節することが好ましい。
【0027】
特に好適な方法では、浴槽中で使用した場合に前記効果を引き出すことができる。
【0028】
困難を伴うにしろ全くそれを伴わないにしろ、必要なタンニングの均一さは単に摩擦することによってのみ実現することができる。さらに、クリーム剤を自分で施用する際、身体のある部分、特に背中には、困難なしではそこに届くことができない。これらの問題は浴槽の湯として施用することで回避される。さらに、施用を日常的な入浴時に行うことができ、入浴中に皮膚が柔らかくなることによって、角質の皮膚のより深い層への自己タンニング剤の浸透に好都合になる。
【0029】
したがって、本発明によれば、溶液を浴槽またはワールプールの中で施用することが特に好ましい。強力でかつ長期にわたる活性成分溶液との皮膚の接触によって、さらに特に均一なタンニングが達成される。さらにこれは、特に低い活性成分濃度で可能である。
【0030】
表面が撹拌されているワールプール等では特に、首の部分にラインが生じず、タンニングの連続的な退色が起こるという追加的な利点をもたらす。顔もタンニングしようとする場合、自己タンニング含有クリームを施用するか、または自己タンニング溶液を霧状に吹きつけることによる古典的な方法で実施することができる。
【0031】
本発明の方法では、ヒトの身体は、全体的にまたは部分的に溶液に浸漬される。
【0032】
本発明の好ましい自己タンニング溶液を皮膚に施用する別の方法は、霧状に吹きつける方法である。これは、例えばシャワーまたはスプレーガンによって行う。
【0033】
均一なタンニングのための方法では、調節した溶液を用いて全体的にまたは部分的にヒトの身体に均一にスプレーする。
【0034】
この方法で行った皮膚のタンニングは洗い落とすことはできず、これは通常の皮膚の脱皮によってのみ除去される(約10〜15日後に)。
【0035】
親水性溶媒を加えると、タンニングの強さが増大する。その結果、自己タンニング物質の濃度をさらに低下させることができる。さらに、親水性溶媒は、特に霧状に吹きつけによって施用した場合、自己タンニング物質をより均一に確実に分布させることができる。
【0036】
本発明で使用する親水性溶媒は以下の物質の群から有利に選択することができる:
・低炭素数のモノアルコール、例えばイソプロパノール、
・好ましくはプロピレングリコールまたはグリセロールなどの多価のアルコール、
・脂肪族アルコールと低炭素数アルカン酸のエステル。
【0037】
本発明で好ましい親水性溶媒はプロピレングリコールおよび/またはグリセロールである。
【0038】
本発明による配合物における親水性溶媒、特にプロピレングリコールおよび/またはグリセロールの好ましい濃度は、0.1重量%〜50重量%の範囲、より好ましくは0.5重量%〜20重量%の範囲である。
【0039】
さらに、いわゆる脂肪質担体の存在はタンニング強さの増大をもたらすはずである。本発明で脂肪質担体と呼ぶ物質は、それが自己タンニング剤分子を角質層のより深層まで輸送するので、一般に「スルース(sluice)」とも称される。
【0040】
ここで挙げられる脂肪質担体は、具体的にはセラミド、コレステロール、リン脂質、硫酸コレステリル、リン酸コレステリル、ホスファチジルコリン、レシチンおよび空リポソームである。
【0041】
本発明において、リン脂質は以下の物質、すなわち、ホスファチジン酸、実際のレシチン、カルジオリピン、リソリン脂質、リソレシチン、プラズマロゲン、ホスホスフィンゴ脂質、スフィンゴミエリンを意味する。好ましい物質を以下で説明する。
【0042】
ホスファチジン酸は、1−sn位および2位が脂肪酸でエステル化されており(1−sn位は大部分飽和されており、2位は大部分モノ飽和または多飽和されている)、他方、原子3−snがリン酸でエステル化されたグリセロール誘導体であり、以下の式で特徴づけられる。
【0043】
【化5】

【0044】
ヒトまたは動物の組織で生成するホスファチジン酸では、ホスフェート基は大抵、コリン(レシチン=3−sn−ホスファチジルコリン)または2−アミノエタノール(エタノールアミン)またはL−セリン(ケファリン=3−sn−ホスファチジルエタノールアミンまたはsn−ホスファチジル−L−セリン)などのアミノアルコールでエステル化されており、ミオ−イノシトールでエステル化して組織中で通常見られるホスホイノシチド[1−(3−sn−ホスファチジル)−d−ミオ−イノシトール]を生成し、グリセロールでエステル化してホスファチジル−グリセロールを生成する。特に好ましいものはレシチン(=3−sn−ホスファチジル−コリン)である。
【0045】
レシチンは以下の一般構造式
【0046】
【化6】

【0047】
を特徴としている。但し、R1およびR2は一般に15個または17個の炭素原子と最大4個のシス二重結合を有する非分枝の脂肪族基である。
【0048】
カルジオリピン(1,3−ビスホスファチジルグリセロール)はグリセロールを介して結合された2個のホスファチジン酸を含むリン脂質である。
【0049】
リソリン脂質は、ホスホリパーゼA(例えばリソレシチン)によってアシル基がリン脂質から切断されると得られる。リソリン脂質は以下の一般構造式
【0050】
【化7】

【0051】
を特徴とする。
【0052】
リソレシチンは、例えば以下の一般構造式
【0053】
【化8】

【0054】
を特徴とする。但し、R1は一般に15個または17個の炭素原子と最大4個のシス二重結合を有する非分枝の脂肪族基である。
【0055】
リン脂質には、1位の脂肪酸の代わりにアルデヒド(エノールエーテルの形)が結合しているプラズマロゲンも含まれる。ホスファチジルコリンに対応するO−1−sn−アルケニル化合物は、例えばホスファチダルコリンと呼ばれる。
【0056】
基本構造として、ホスホスフィンゴ脂質はスフィンゴシン、あるいはフィトスフィンゴシンをベースとしている。これらは以下の構造式で特徴づけられる。
【0057】
【化9】

【0058】
スフィンゴ脂質の変形体は、例えば以下の一般基本構造で特徴づけられる。
【0059】
【化10】

【0060】
但し、R1およびR3は互いに独立して、1個〜28個の炭素原子を有する飽和または不飽和の分枝もしくは非分枝アルキル基であり、R2は、水素原子、1個〜28個の炭素原子を有する飽和または不飽和の分枝もしくは非分枝アルキル基、糖基、有機基でエステル化されていないかまたはエステル化されているリン酸基、有機基でエステル化されていないかまたはエステル化されている硫酸基から選択される基であり、Yは水素原子、ヒドロキシル基または別のヘテロ官能基のいずれかである。
【0061】
スフィンゴホスホ脂質
【0062】
【化11】


【0063】
1およびR3はアルキル基であり、R4はオルガニル基である。
【0064】
スフィンゴミエリンは、
【0065】
【化12】

【0066】
のタイプのオルガニルホスホリル化スフィンゴ脂質である。
【0067】
特に好ましいリン脂質はレシチンである。有利に使用されるレシチンのタイプは、脱オイル、および/または分画、および/またはスプレードライ、および/またはアセチル化、および/または加水分解、および/または水素化を行った粗レシチンから選択される。これらは市販されている。大豆レシチンが好ましい。
【0068】
本発明によれば、セラミド、コレステロール、リン脂質、脂肪酸、硫酸コレステリル、リン酸コレステリル、ホスファチジルコリン、レシチンおよび/または空リポソームが有利に使用される。
【0069】
本発明により有利に使用されるリン脂質は、例えば、ホスホリポン25またはホスホリポン90(ナッターマン)、エマルメティク120(ルーカスメイヤー)、スターンピュアE(スターン)、スターンピュアPM(スターン)、ナスィン3KE(スターン)、ホスホリポン90H(ナッターマン/ローヌプーラン)、リポイドS100(リポイド)の商品名で市販されているものから得ることができる。
【0070】
本発明において、脂肪質担体の好ましい濃度は、脂肪質担体の0.1重量%〜50重量%の範囲、より好ましくは0.5重量%〜10重量%の範囲である。
【0071】
本発明による調製物は一方で本発明による施用に適している。しかし他方で、これらの配合物は、吸収と浸透の挙動が改善されることによって、クリームの均一な分布も容易になるので、クリームの形態でも有利に使用することができる。
【0072】
紫外線照射の影響の下で、DHAはホルムアルデヒドを若干量切断する可能性がある。したがって、本発明によれば、配合物は、安定化のためにUVフィルターを含むことが好ましい。配合物の施用の際にこれらのUVフィルターも皮膚と接触するので、これらは局所施用に適合したUVフィルターでなければならない。この関係では、もたらされる他の利点は、これらのUVフィルターも同じく施用により皮膚上に均一に吸収され、それによってUV放射線に対して皮膚を保護するということである。
【0073】
その生理的な安全性がすでに実証されているUVフィルターが特に好ましい。UV−AフィルターとUV−Bフィルターの両方について専門家の文献で知られている物質がある。例えば、3−(4’−メチルベンジリデン)−dl−カンファー(例えばユーソレックス(登録商標)6300)、3−ベンジリデンカンファー(例えばメキソリル(登録商標)SD)、N−{(2および4)−[(2−オキソボーン−3−イリデン)メチル]ベンジル}アクリルアミド(例えばメキソリル(登録商標)SW)、N,N,N,−トリメチル−4−(2−オキソボーン−3−イリデンメチル)アニリニウムメチルサルフェート(例えばメキソリル(登録商標)SK)または(2−オキソボーン−3−イリデン)トルエン−4−スルホン酸(例えばメキソリル(登録商標)SL)のポリマーなどのベンジリデン−カンファー誘導体、
1−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)プロパンー1,3−ジオン(例えばユーソレックス(登録商標)9020)または4−イソプロピル−ジベンゾイルメタン(ユーソレックス(登録商標)8020)などのベンゾイル−もしくはジベンゾイルメタン、
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(例えばユーソレックス(登録商標)4360)または2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸およびそのナトリウム塩(例えばユビヌル(登録商標)MS−40)などのベンゾフェノン、
オクチルメトキシシンナメート(ユーソレックス(登録商標)2292)、イソペンチル4−メトキシシンナメート(例えば異性体の混合物として)(例えばネオへリオパン(登録商標)E1000)などのメトキシ桂皮酸エスエル、
2−エチルヘキシルサリシレート(例えばユーソレックス(登録商標)OS)、4−イソプロピルベンジルサリシレート(例えばメガソール(登録商標))または3,3,5−トリメチルシクロヘキシルサリシレート(例えばユーソレックス(登録商標)HMS)などのサリチル酸誘導体、
4−アミノ安息香酸、2−エチルヘキシル4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート(例えばユーソレックス(登録商標)6007)、エトキシル化エチル4−アミノベンゾエート(例えばユビヌル(登録商標)P25)などの4−アミノ安息香酸および誘導体、
2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸ならびにそのカリウム、ナトリウムおよびトリエタノールアミン塩(例えばユーソレックス(登録商標)232)、2,2−(1,4−フェニレン)ビスベンズイミダゾール−4,6−ジスルホン酸およびその塩(例えばネオへリオパン(登録商標)AP)または2,2−(1,4−フェニレン)ビス−ベンズイミダゾール−6−スルホン酸などのフェニルベンズイミダゾールスルホン酸;ならびに、
− 2−エチルヘキシル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート(例えばユーソレックス(登録商標)OCR)、
− 3,3’−(1,4−フェニレンジメチレン)ビス(7,7−ジメチル−2−オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルメタンスルホン酸およびその塩(例えばメキソリル(登録商標)SX)および、
− 2,4,6−トリアニリノ(p−カルボー2’−エチルヘキシル−1’−オキシ)−1、3,5−トリアジン(例えばユビヌル(登録商標)T150)、
− ヘキシル2−(4−ジエチルアミノー2−ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート(例えばユビヌル(登録商標)UVAプラス、BASF)、
などの他の物質である。
【0074】
ここに列挙した化合物は単なる例とみなすべきものである。もちろん、他のUVフィルターを使用することも可能である。
【0075】
これらの有機UVフィルターは通常0.5重量%〜10重量%、好ましくは1重量%〜8重量%の量で化粧用配合物中に混ぜ込まれる。
【0076】
適切な他の有機UVフィルターは、例えば
− 2−(2H−ベンゾトリアゾル−2−イル)−4−メチル−6−(2−メチル−3−(1,3,3,3−テトラメチル−1−(トリメチルシリルオキシ)ジシロキサニル)プロピル)フェノール(例えばシラトリゾール(登録商標))、
− ビス(2−エチルヘキシル)4,4’−[(6−[4−((1,1−ジメチルエチル)アミノカルボニル)フェニル−アミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)ジイミノ]ビス(ベンゾエート)(例えばUvasorb(登録商標)HEB)、
− ジメチコンジエチルベンザルマロネート(CAS No.207 574−74−1)
− 2,2’−メチレンビス−(6−(2H−ベンゾトリアゾル−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェノール)(CAS No.103 597−45−1)、
− 2,2’−(1,4−フェニレン)ビス(1H−ベンズイミダゾール−4,6−ジスルホン酸モノナトリウム塩)(CAS No.180 898−37−7)、および
− 2,4−ビス{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(CAS No.103 597−45−、187 393−00−6)、
である。
【0077】
適切な他のUVフィルターには、先のドイツ特許出願DE10232595.2に対応するメトキシフラボンもある。
【0078】
有機UVフィルターは通常0.5重量%〜20重量%、好ましくは1重量%〜15重量%の量で化粧用配合物中に混ぜ込む。
【0079】
考えられる無機UVフィルターは、例えばコーティングされた二酸化チタンなどの二酸化チタン(例えばユーソレックス(登録商標)T−2000、ユーソレックス(登録商標)T−AQUA)、酸化亜鉛(例えばサクトテック(登録商標))、酸化鉄、および酸化セリウムの群のものである。これらの無機UVフィルターは、通常化粧品調製物中に0.5重量%〜20重量%、好ましくは2重量%〜10重量%の量で混ぜ込む。
【0080】
UV−フィルタリング特性を有する好ましい化合物は、3−(4’−メチル−ベンジリデン)−dl−カンファー、1−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)−プロパンー1,3−ジオン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、オクチルメトキシシンナメート、3,3,5、−トリメチルシクロヘキシルサリシレート、2−エチルヘキシル4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、2−エチルヘキシル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−フェニルベンズイミダゾル−5−スルホン酸ならびにそのカリウム、ナトリウムおよびトリエタノールアミン塩である。
【0081】
最適化された組成物は、例えば、有機UVフィルターの4’−メトキシ−6−ヒドロキシフラボン、1−(4−tert−ブチルフェイル)−3−(4−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオンおよび3−(4’−メチルベンジリデン)−dl−カンファーの組合せを含むことができる。この組合せによって広い範囲の保護がもたらされ、二酸化チタン微粒子などの無機UVフィルターを加えることによってさらにその保護を増進させることができる。
【0082】
前記UVフィルターはすべて、カプセル化した形態で使用することも可能である。特に、有機UVフィルターはカプセル化した形態使用することが有利である。具体的には以下の利点がもたらされる:
− カプセル壁の親水性は、UVフィルターの溶解性とは独立して調整することができる。したがって、例えば疎水性のUVフィルターでも純粋に水性の調製物中に混ぜ込むことができる。さらに、疎水性のUVフィルターを含む調製物を施用した際の、しばしば不快と感じられるオイル様の感じが抑えられる。
【0083】
− ある種のUVフィルター、特にジベンゾイルメタンの誘導体は、化粧品調製物において光安定性のわずかな低下しか示さない。これらのフィルターまたはフィルターの光安定性を付与する化合物、例えば桂皮酸誘導体をカプセル化することによって、調製物全体の安定性を増大させることができる。
【0084】
− 文献では、ヒトの皮膚への直接施用の際の有機UVフィルターによる皮膚の浸透と、付随する刺激作用の可能性について繰り返し考察されている。ここに提案する相当物質のカプセル化によってこの影響が抑えられる。
【0085】
− 一般に、個々のUVフィルターまたは他の成分をカプセル化することによって、相互作用が抑えられるので、互いに相互作用する個々の調製物構成要素の結果生じる調製の問題、例えば結晶化操作、沈殿および凝集を回避することができる。
【0086】
したがって、本発明においては、上記の1以上のUVフィルターがカプセル化した形態で存在することが好ましい。ここで、カプセルが肉眼では観察できないほど小さいことが有利である。上記効果を達成するためには、カプセルが十分に安定であり、かつカプセル化した活性成分(UVフィルター)を環境領域へ放出しないかまたは極わずかな程度しか放出しないことがさらに必要である。
【0087】
適切なカプセルは無機ポリマーまたは有機ポリマーでできた壁を有することができる。例えば、US6,242,099B1は、キチン、キチン誘導体またはポリヒドロキシル化されたポリアミンでできた壁を有する適切なカプセルの調製を記載している。本発明で特に好ましく使用されるカプセルは、出願WO00/09652、WO00/72806およびWO00/71084に記載のようなゾルゲル法で得られる壁を有している。本明細書では、その壁がシリカゲル(シリカ;不定型の酸化/水酸化ケイ素)でできているカプセルが好ましい。相当するカプセルの調製は、例えば、引用した特許から当分野の技術者に周知であり、その内容も明らかに本出願の対象に属する。
【0088】
ここで、カプセルは、本発明による調製物中に、カプセル化したUVフィルターが調製物中に上記の量で存在するのを確実にする量で存在することが好ましい。
【0089】
本発明による調製物は、通常のマイルドな活性成分またはスキンケア活性成分をさらに含むことができる。これらは基本的にはすべて当分野の技術者に知られている活性成分でよい。
【0090】
これらはクロモン誘導体でよい。ここで、クロモン誘導体という用語は好ましくは、老化過程および有害な環境影響に対してヒトの皮膚およびヒト毛髪を予防的に処置するための活性成分として適しているある種のクロメン−2−オン誘導体を意味すると理解されたい。同時にこれらは、皮膚に対する刺激作用の可能性が低く、皮膚における水の結合に対して好ましい影響を有しており、皮膚の弾性を維持するかまたは増大させ、その結果、皮膚が滑らかになるのを促進する。これらの化合物は以下の式Iに相当することが好ましい。
【0091】
【化13】

【0092】
(式中、R1およびR2は同一であっても異なっていてもよく、かつ
− H、−C(=O)−R7、−C(=O)−OR7
− 直鎖または分枝のC1〜C20−アルキル基、
− 直鎖または分枝のC3〜C20−アルケニル基、直鎖または分枝のC1〜C20−ヒドロキシルアルキル基(ヒドロキシル基は鎖の第一または第二炭素原子に結合していてよく、さらに、アルキル鎖は酸素によって介在されていてもよい)、および/または
− C3〜C10−シクロアルキル基および/またはC3〜C12−シクロアルケニル基(環は、それぞれの場合、−(CH2n基で架橋されていてもよく、但しn=1〜3である)
から選択され、
3はHまたは直鎖もしくは分枝のC1〜C20−アルキル基であり、
4はHまたはOR8であり、
5およびR6は同一であっても異なっていてもよく、かつ
− −H、−OH、
− 直鎖または分枝のC1〜C20−アルキル基、
− 直鎖または分枝のC3〜C20−アルケニル基、
− 直鎖または分枝のC1〜C20−ヒドロキシルアルキル基(ヒドロキシル基は鎖の第一もしくは第二炭素原子に結合していてよく、さらに、アルキル鎖は酸素によって介在されていてもよい)
から選択され、
7はH、直鎖もしくは分枝のC1〜C20−アルキル基、好ましくはアスコルビン酸基またはグリコシド基などのポリヒドロキシ化合物であり、
8はHまたは直鎖もしくは分枝のC1〜C20−アルキル基であり、
但し、置換基R1、R2、R4〜R6のうちの少なくとも2つはHとは異なるか、あるいはR1およびR2の置換基のうちの少なくとも1つは−C(=O)−R7または−C(=O)−OR7である。
【0093】
本発明による調製物中のクロモン誘導体から選択される1種以上の化合物の割合は全調製物に対して好ましくは0.001重量%〜5重量%、特に好ましくは0.01重量%〜2重量%である。
【0094】
本発明による配合物の酸化的ストレスおよび遊離基の影響に対する保護効果は、調製物が1種以上の酸化防止剤を含む場合に達成される。当分野の技術者は、適切に、かつ迅速にまたは遅延した仕方で作用する酸化防止剤を選択するのに何ら困難を伴うことはない。
【0095】
酸化防止剤として使用できる既知の実証済みの多くの物質が専門家の文献で知られている。例えばアミノ酸(例えばグリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)およびその誘導体、イミダゾール(例えばウロカニン酸)およびその誘導体、D,L−カルノシン、D−カルノシン、L−カルノシンおよびその誘導体(例えばアンセリン)などのペプチド、カロチノイド、カロチン(例えばα−カロチン、β−カロチン、リコペン)およびその誘導体、クロロゲン酸およびその誘導体、リポ酸およびその誘導体(例えばジヒドロリポ酸)、アウロチオグルコース、プロピルチオウラシルおよび他のチオール(例えばチオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミン、ならびにそのグリコシル、N−アセチル、メチル、エチル、プロピル、アミル、ブチルおよびラウリル、パルミトイル、オレイル、γ−リノレイル、コレステリルおよびグリセリルエステル)およびその塩、ジラウリルチオジプロピオナート、ジステアリルチオジプロピオナート、チオジプロピオン酸およびその誘導体(エステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシドおよび塩)、および非常に低い許容用量(例えばpモル〜μモル/kg)でのスルホキシミン化合物(例えばブチオニンスルホキシミン、ホモシステインスルホキシミン、ブチオニンスルホン、ペンタ−、ヘキサ−、ヘプタチオニンスルホキシミン)であり、また(金属)キレート剤(例えばα−ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン)、α−ヒドロキシ酸(例えばクエン酸、乳酸、リンゴ酸)、フミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、ビリルビン、ビリベルジン、EDTA、EGTAおよびその誘導体、不飽和脂肪酸およびその誘導体、ビタミンCおよび誘導体(例えばパルミチン酸アスコルビル、リン酸マグネシウムアスコルビル、酢酸アスコルビル)、トコフェロールおよび誘導体(例えば酢酸ビタミンE)、ビタミンAおよび誘導体(例えばパルミチン酸ビタミンA)、およびベンゾイン樹脂のコニフェリルベンゾエート、ルチン酸およびその誘導体、α−グリコシルルチン、フェルラ酸、フルフリリデングルシトール、カルノシン、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ノルジヒドログアヤレティク酸、トリヒドロキシブチロフェノン、ケルセチン、尿酸およびその誘導体、マンノースおよびその誘導体、亜鉛およびその誘導体(例えばZnO、ZnSO4)、セレンおよびその誘導体(例えばセレノメチオニン)、スチルベンおよびその誘導体(例えばスチルベンオキシド、トランス−スチルベンオキシド)である。
【0096】
酸化防止剤の混合物も同様に本発明による化粧品調製物での使用に適している。既知でかつ市販されている混合物は、例えば活性成分として、レシチン、L−(+)−パルミチン酸アスコルビルおよびクエン酸(例えばオキシネックス(登録商標)AP)、天然のトコフェロール、L−(+)−パルミチン酸アスコルビル、L−(+)−アスコルビン酸およびクエン酸(例えばオキシネックス(登録商標)K リキッド)、天然物からのトコフェロール抽出物、L−(+)−パルミチン酸アスコルビル、L−(+)−アスコルビン酸およびクエン酸(例えばオキシネックス(登録商標)L リキッド)、DL−α−トコフェロール、L−(+)−パルミチン酸アスコルビル、クエン酸およびレシチン(例えばオキシネックス(登録商標)LM)またはブチルヒドロキシトルエン(BHT)、L−(+)−パルミチン酸アスコルビルおよびクエン酸(例えばオキシネックス(登録商標)2004)を含む混合物である。そうした組成物では、この種の酸化防止剤は式Iの化合物と、通常1000:1〜1:1000範囲の比、好ましくは100:1〜1:100の量で使用される。
【0097】
本発明による調製物は他の成分としてビタミンを含むことができる。ビタミンA、プロピオン酸ビタミンA、パルミチン酸ビタミンA、酢酸ビタミンA、レチノール、ビタミンB、塩化チアミン塩酸塩(ビタミンB1)、リボフラビン(ビタミンB2)、ニコチンアミド、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンD、エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、ビタミンE、DL−α−トコフェロール、酢酸トコフェロールE、トコフェロールヒドロゲンスクシナート、ビタミンK1、エスクリン(ビタミンP活性成分)、チアミン(ビタミンB1)、ニコチン酸(ナイアシン)、ピリドキシン、ピリドキサル、ピリドキサミン(ビタミンB6)、パントテン酸、ビオチン、葉酸およびコバラミン(ビタミンB12)から選択されるビタミンおよびビタミン誘導体が本発明による化粧品調製物に存在することが好ましく、パルミチン酸ビタミンA、ビタミンCおよびその誘導体、DL−α−トコフェロール、酢酸トコフェロールE、ニコチン酸、パントテン酸およびビオチンが特に好ましい。ここでビタミンは、式Iの化合物と1000:1〜1:1000範囲の比で、好ましくは100:1〜1:100の量で使用される。
【0098】
酸化防止効果を有するフェノールのうち、その一部が天然物として得られるポリフェノールは薬剤、化粧品または栄養物の分野での用途に特に興味のあるものである。例えば、主に植物染料として知られているフラボノイドまたはビオフラボノイドは、しばしば抗酸化の能力を有する。モノヒドロキシフラボンおよびジヒドロキシフラボンの置換パターンの影響が、K.Lemanska,H.Szymusiak,B.Tyrakowska,R.Zielinski,I.M.C.M.Rietjens;Current Topics in Biophysics 2000年、24(2)、101〜108頁で検討されている。そこでは、ケト官能基と隣接したOH基またはOH、3’4’もしくは6、7もしくは7、8位にOH基を有するジヒドロキシフラボンは酸化防止特性を有するが、いくつかの他のモノヒドロキシフラボンおよびジヒドロキシフラボンは酸化防止特性を有していないことが確認されている。
【0099】
ケルセチン(シアニダノール、シアニデノロン1522、メレチン、ソホレリン、エリシン、3,3’,4’,5,7−ペンタヒドロキシフラボン)はしばしば、特に有効な酸化防止剤として指摘されている(例えばC.A.Rice−Evans,N.J.Miller,G.Paganga,Trends in Plant Science 1997年、2(4)、152〜159頁)。K.Lemanska,H.Szymusiak,B.Tyrakowska,R.Zielinski,A.E.M.F.Soffers,I.M.C.M.Rietjens;Free Radical Biology&Medicine 2001年、31(7)、869〜881頁はヒドロキシフラボンの酸化防止効果のpH依存性を検討している。全pH範囲にわたって、検討した構造のうちのケルセチンは最も高い活性を示している。
【0100】
先のドイツ特許出願DE10244282.7に記載のように、式IIの化合物も適した酸化防止剤である。
【0101】
【化14】

【0102】
(式中、R1〜R10は同一であっても異なっていてもよく、かつ
− H
− OR11
− 直鎖もしくは分枝のC1〜C20−アルキル基、
− 直鎖もしくは分枝のC3〜C20−アルケニル基、
− 直鎖もしくは分枝のC1〜C20−ヒドロキシルアルキル基(ヒドロキシル基は鎖の第一もしくは第二炭素原子に結合していてよく、さらにアルキル鎖は酸素によって介在されていてもよい)、ならびに/または
− C3〜C10−シクロアルキル基および/もしくはC3〜C12−シクロアルケニル基(環は、それぞれの場合、−(CH2n基で架橋されていてもよい。但しn=1〜3である)
から選択され、
− すべてのOR11は互いに独立して、
− OH
− 直鎖もしくは分枝のC1〜C20−アルキルオキシ基、
− 直鎖もしくは分枝のC3〜C20−アルケニルオキシ基、
− 直鎖もしくは分枝のC1〜C20−ヒドロキシルアルコキシ基(ヒドロキシル基は鎖の第一もしくは第二炭素原子に結合していてよく、さらにアルキル鎖は酸素によって介在されていてもよい)、ならびに/または
− −C3〜C10−シクロアルキルオキシ基および/またはC3〜C12−シクロアルケニルオキシ基(環は、それぞれの場合、−(CH2n基で架橋されていてもよい。但しn=1〜3である)、ならびに/または
− モノグリコシル基ならびに/またはオルゴグリコシル基
であり、但し、R1〜R7の少なくとも4つの基はOHであり、隣接する−OH基の少なくとも2つの対が分子に存在しているか、
− あるいは、R2、R5およびR6はOHであり、基R1、R3、R4およびR710はHである)。
【0103】
ピリミジンカルボン酸および/またはアリールオキシムも特に好ましい活性成分である。
【0104】
ピリミジンカルボン酸は、好塩性微生物に存在しており、これらの有機体の浸透圧調整の役割を果たす(E.A.Galinskiら、Eur.J.Biochem.、149(1985年)135〜139頁)。この関係では、ピリミジンカルボン酸の中で、エクトイン((S)−1,4,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−4−ピリミジンカルボン酸)およびヒドロキシエクトイン((S,S)−1,4,5,6−テトラヒドロ−5−ヒドロキシ−2−メチル−4−ピリミジンカルボン酸およびその誘導体を特に挙げることができる。これらの化合物は、水性溶液および有機溶媒中で酵素および他の生体分子を安定化させる。さらに、これらは塩、極端なpH値、界面活性剤、尿素、塩化グアニジンおよび他の化合物などの変性をもたらす条件に対して、特に酵素を安定化させる。
【0105】
エクトインおよびヒドロキシエクトインなどのエクトイン誘導体は、医薬品に有利に使用することができる。特に、ヒドロキシエクトインは皮膚障害の治療用の医薬品の調製に使用することができる。ヒドロキシエクトインおよび他のエクトイン誘導体の他の使用分野は一般に、添加剤として例えばトレハロースが使用される分野である。したがって、ヒドロキシエクトインなどのエクトイン誘導体は、乾燥酵母および細菌体での保護剤として使用することができる。グリコシル化されていない、薬剤として活性なペプチドおよびタンパク質、例えばt−PAなどの薬剤もエクトインまたはその誘導体で保護することができる。
【0106】
化粧品用途の中で、老化した皮膚、乾燥しているかまたは炎症のある皮膚のケアのためのエクトインおよびエクトイン誘導体の使用が特に挙げられる。例えば、欧州特許出願EP−A−0671161は、特にエクトインおよびヒドロキシエクトインをパウダー、石鹸、クレンジング製品を含む界面活性剤、口紅、ほお紅、ファンデーション、ケアクリームおよび日焼け止め剤調製物などの化粧品調製物で使用することを記載している。
【0107】
この関係では、以下の式IIIのピリミジンカルボン酸を使用することが好ましい。
【0108】
【化15】

【0109】
(式中、R1は基HまたはC18−アルキルであり、R2は基HまたはC14−アルキルであり、R3、R4、R5およびR6はそれぞれの場合、互いに独立して基H、OH、NH2およびC14−アルキルからの基である)。R2がメチルまたはエチル基であり、R1またはR5およびR6がHであるピリミジンカルボン酸を使用することが好ましい。ピリミジン−カルボン酸エクトイン((S)−1,4,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−4−ピリミジンカルボン酸)およびヒドロキシエクトイン((S)−1,4,5,6−テトラヒドロ−5−ヒドロキシ−2−メチル−4−ピリミジンカルボン酸)を使用することが特に好ましい。この関係では、本発明による調製物はピリミジンカルボン酸を最大15重量%の量で含むことが好ましい。
【0110】
アリールオキシムの中では、HMLO、LPOまたはF5とも称される2−ヒドロキシ−5−メチルラウロフェノンオキシムを使用することが好ましい。
【0111】
化粧用組成物での使用の適性は、例えばドイツ公開明細書DE−A−4116123に示されている。したがって、2−ヒドロキシ−5−メチルラウロフェノンオキシムを含む調製物は、炎症を伴う皮膚障害の治療に適している。この種の調製物を、例えば、皮膚および皮膚付属物の乾癬、様々な形態の湿疹、刺激性および毒性皮膚炎、UV皮膚炎、ならびに他のアレルギーおよび/または炎症性障害の治療に使用することができることが知られている。この関係では、調製物は0.01重量%〜10重量%のアリールオキシムを含むことが好ましく、調製物は0.05重量%〜5重量%のアリールオキシムを含むことが特に好ましい。
【0112】
さらに、本発明の調製物は染料および着色顔料も含むことができる。その染料および着色顔料は、化粧品指令の対応する肯定リストまたは化粧品着色剤のECリストから選択することができる。ほとんどの場合、これらは食品用として許可されている染料と同じである。有利な着色顔料は、例えば二酸化チタン、雲母、酸化鉄(例えばFe23、Fe34、FeO(OH))および/または酸化スズである。有利な染料は、例えばカーミン、プルシアンブルー、酸化クロムグリーン、群青および/またはマンガンバイオレットである。染料および/または着色顔料を以下のリストから選択することが特に有利である。カラーインデックス番号(CIN)はRowe Colour Index、第3版、Society of Dyers and Colourists,ブラッドフォード,英国,1971年による。
【0113】
【表1】

【0114】
【表2】

【0115】
【表3】

【0116】
【表4】

【0117】
【表5】

【0118】
【表6】

【0119】
【表7】

【0120】
染料として以下の群からの1つまたは複数の物質を選択することも好都合である:2,4−ジヒドロキシアゾベンゼン、1−(2’−クロロ−4’−ニトロ−1’−フェニルアゾ)−2−ヒドロキシナフタレン、セレスレッド、2−(4−スルホ−1−ナフチルアゾ)−1−ナフトール−4−スルホン酸、2−ヒドロキシ−1,2’−アゾナフタレン−1’−スルホン酸のカルシウム塩、1−(2−スルホ−4−メチル−1−フェニルアゾ)−2−ナフチルカルボン酸のカルシウムおよびバリウム塩、1−(2−スルホ−1−ナフチルアゾ)−2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸のカルシウム塩、1−(4−スルホ−1−フェニルアゾ)−2−ナフトール−6−スルホン酸のアルミニウム塩、1−(4−スルホ−1−ナフチルアゾ)−2−ナフトール−3,6−スルホン酸のアルミニウム塩、1−(4−スルホ−1−ナフチルアゾ)−2−ナフトール−6,8−ジスルホン酸、4−(4−スルホ−1−フェニルアゾ)−1−(4−スルホフェニル)−5−ヒドロキシピラゾロン−3−カルボン酸のアルミニウム塩、4,5−ジブロモフルオレセインのアルミニウムおよびジルコニウム塩、2,4,5,7−テトラブロモフルオレセインのアルミニウムおよびジルコニウム塩、3’4’5’6’テトラクロロ−2,4,5,7−テトラブロモフルオレセインおよびそのアルミニウム塩、2,4,5,7−テトラヨードフルオレセインのアルミニウム塩、キノフタロンジスルホン酸のアルミニウム塩、インジゴジスルホン酸のアルミニウム塩、赤色酸化鉄および黒色酸化鉄(CIN:77491(赤色)および77499(黒色))、酸化鉄水和物(CIN:77492)、二リン酸マンガンアンモニウムおよび二酸化チタン。
【0121】
例えばパプリカ抽出物、βカロチンまたはコチニールなどの油溶性天然染料も有利である。
【0122】
本発明の目的には、真珠光沢顔料を含有するゲル状クリームも有利である。以下に示すタイプの真珠光沢顔料が特に好ましい:
1.天然真珠光沢顔料、例えば
1.「パールエッセンス」(魚のうろこからのグアニン/ヒポキサンチンの混合結晶)および
2.「真珠層(mother of pearl)」(粉砕したイガイの殻)、
2.単結晶真珠光沢顔料、例えばオキシ塩化ビスマス(BiOCl)、
3.層状基質顔料:例えば雲母/金属酸化物。
【0123】
真珠光沢顔料用のベースは、例えばオキシ塩化ビスマスおよび/または二酸化チタン、ならびに雲母上のオキシ塩化ビスマスおよび/または二酸化チタンの粉末顔料またはキャスターオイル分散液である。例えばCIN77163として挙げた光沢性顔料は特に有利である。
【0124】
例えば雲母/金属酸化物をベースとした以下のタイプの真珠光沢顔料も有利である:
【0125】
【表8】

【0126】
例えばメルクからティミロン、コロロナまたはディクロナの商品名で入手できる顔料が特に好ましい。
【0127】
リストに挙げた真珠光沢顔料はもちろんこれに限定されるものではない。本発明の目的のために有利である真珠光沢顔料は、それ自体は既知の多くの方法で得られる。例えば、雲母以外の他の基質を、例えばシリカ等の金属酸化物でさらにコーティングすることができる。例えばTiO2およびFe23(ロナスフェア)でコーティングされたSiO2粒子が有利である。これはメルクから販売されており、細かいラインの光学的な低減に特に適している。
【0128】
さらに、雲母などの基質を完全に分散させることが有利であり得る。SiO2を用いて調製した真珠光沢顔料が特に好ましい。そうした顔料(さらにゴニオクロマチック効果を有していてもよい)は例えばBASFからシコパールファンタスティコの商品名で市販されている。
【0129】
さらに、二酸化チタンでコーティングされたカルシウムナトリウムホウケイ酸塩をベースとしたエングルハード/マールからの顔料も有利に使用できる。これらはリフレックスという商品名で市販されている。その粒子径が40〜80μmであることから、これらは色に加えてグリッター効果も有している。
【0130】
さらに、フロラテクからメタゾーメス標準/光輝の商品名で様々な色(黄色、赤色、緑色、青色)で得られる効果顔料も特に有利である。この光輝粒子は、様々な助剤および染料(例えば、カラーインデックス番号19140、77007、77289、77491の染料)との混合物で存在する。
【0131】
染料および顔料は個別に、または混合物で存在することができ、異なる厚さのコーティングで互いにコーティングされて一般に異なる色効果をもたらす。染料と色を付与する顔料の合計量は、それぞれの場合調製物の合計量に対して、例えば0.1重量%〜30重量%、好ましくは0.5重量%〜15重量%、特に1.0重量%〜10重量%の範囲から選択されることが有利である。
【0132】
調製物で使用できるすべての化合物または成分は既知であって、市販されているか、あるいは既知の方法で合成することができる。
【0133】
さらに本発明による調製物は、通常の皮膚に優しい活性成分またはスキンケア活性成分をさらに含むことができる。これらは基本的にはすべて当業者に周知の活性成分であってよい。
【0134】
本発明の化粧用配合物は、液体として浴水と一緒に加えられる液状クリーム状、乳状またはゲル状の浴用添加剤の形態か、あるいは好ましくはゼラチンからなり浴水に溶解し、本発明の化粧用配合物を放出する浴用カプセル剤であってよい。
【0135】
したがって、本発明は、配合物が液状クリーム状、乳状および/またはゲル状の浴用添加剤、浴用錠剤、浴用塩および/または浴用カプセル剤であることを特徴とする少なくとも1種の自己タンニング物質を含む化粧用配合物をさらに提供する。
【0136】
液体配合物の1つの可能な組成物は、最大で75%の界面活性剤(アニオン性、カチオン性、ノニオン性または両性)、最大で10%の脂肪族アルコールなどの増粘剤、最大で5%の相溶化剤および品質改良剤、最大で5%の他の成分、例えばリファッティング剤、濃厚剤、隠蔽化剤または顔料、最大で5%の香油、最大で1%の保存剤、最大で0.5%の金属イオン封鎖剤、最大で1%の染料、0.1〜1%のDHA、UVフィルター、0.1〜20%のプロピレングリコールおよび/またはグリセロール、ならびに0.1%および10%の脂肪質担体を含み、最終的に水で100%とする。
【0137】
本発明の化粧用配合物は浴用錠剤または浴用塩などの浴用添加剤として存在することもできる。固形配合物の1つの可能な組成物は、最大で90%のナトリウム塩(例えば炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、リン酸ナトリウムまたはクエン酸ナトリウム)、発泡性調製物のための最大で40%の有機酸(例えば酒石酸、クエン酸)、最大で5%の香油(エッセンシャルオイル)、最大で5%のスキンケア物質、最大で5%の植物油、最大で5%の充てん剤、錠剤用の崩壊助剤(例えばデキストリン、シリカ、セルロース、ゴム)、最大で5%の結合剤、最大で2%の界面活性剤、最大で1%の染料、0.1〜1%のDHA、UVフィルター、0.1〜20%のプロピレングリコールおよび/またはグリセロールならびに0.1%および10%の脂肪質担体を含む。
【0138】
さらに、自己タンニング配合物は、例えばエリトルロースまたは上記のエクトインなどの水分付与物質を含むことが好ましい。
【0139】
特に浴用の場合、撥水性調製物は、タンニングしないか、またはわずかにのみタンニングする身体の部分に施用することがさらに好ましい。そうした調製物は、シリコーン、パラフィン、種々の有機ポリマー、石油またはステアリン酸塩などの脂肪酸塩をベースとして調製することができる。入浴中これらは、処置した皮膚が、自己タンニング剤と接触し、それによってタンニングされるのを防止するかまたはそれを低減する。特に、肥厚した角質皮膚を有する身体の部分では、これらの領域の強い着色を阻止するために、そうした事前処置が推奨される。
【0140】
自己タンニング調製物のみならず、特に浴用に、その場合で自己タンニング剤と反応するアミノ酸、オリゴアミノ酸またはタンパク質も加えることも有利である。ここで加えるのが好ましい化合物は、特にリジン、グリシン、メチオニンおよびメチオニンスルホキシドである。ここで有利な投与形態は2層の錠剤であり、その一方の層が自己タンニング剤を含み、他方の層がアミノ酸を含む。
【実施例】
【0141】
以下の実施例は、本発明を、その範囲を限定することなく、より詳細に本発明を説明する助けとなるものである。
【0142】
実施例
泡風呂用
成分 [%]
ジヒドロキシアセトン 0.1〜1
界面活性剤 10〜20
リン脂質 5
保存剤 十分量
着色剤 十分量
香油 十分量
水 100まで加える
調製物:
成分を混合する。
【0143】
活性成分のシャワーで霧状に吹きつけるための配合物
成分 [%]
ジヒドロキシアセトン 5
プロピレングリコール 10
リン脂質 5
保存剤 十分量
香油 十分量
水 100まで加える
調製物:
成分を混合する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施用を高温で実施する、少なくとも1種の自己タンニング物質または少なくとも1種の自己タンニング物質を含む配合物のヒトの皮膚に施用するための使用。
【請求項2】
施用を浴槽またはワールプールの中で実施することを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項3】
施用温度が25℃から60℃、好ましくは30℃から55℃、特に好ましくは37℃から50℃の範囲であることを特徴とする前記請求項の少なくとも一項に記載の使用。
【請求項4】
皮膚への施用を、好ましくはシャワーまたは吹きつけ器で霧状に吹きつけることによって実施することを特徴とする請求項1または3に記載の使用。
【請求項5】
少なくとも1種の自己タンニング物質または少なくとも1種の自己タンニング物質を含む配合物を水に溶解させ、該溶液を室温より高い温度にし、該溶液をヒトの身体に施用することを特徴とするヒトの身体をタンニングする方法。
【請求項6】
ヒトの身体を、全体的にまたは部分的に、前記溶液に浸漬することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
均一にタンニングするために、ヒトの身体に全体的または部分的に、調節した溶液を均一にスプレーすることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
タンニングしないかまたはわずかにのみタンニングする身体の一部に対して撥水性調製物を施用することを特徴とする前記請求項の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項9】
前記配合物が少なくとも1種の脂肪質担体および少なくとも1種の親水性溶媒を含むことを特徴とする少なくとも1種の自己タンニング物質を含む化粧用配合物。
【請求項10】
存在する前記脂肪質担体が、セラミド、コレステロール、リン脂質、硫酸コレステリル、リン酸コレステリル、ホスファチジルコリン、レシチンおよび/または空リポソームから選択される1種以上の化合物であることを特徴とする請求項9に記載の化粧用配合物。
【請求項11】
1種以上のUVフィルターを含むことを特徴とする前記請求項の少なくとも一項に記載の化粧用配合物。
【請求項12】
親水性溶媒として、グリセロールおよび/またはプロピレングリコールを好ましくは0.1重量%〜50重量%、より好ましくは0.5重量%〜20重量%の範囲の濃度で含むことを特徴とする前記請求項の少なくとも一項に記載の化粧用配合物。
【請求項13】
0.1重量%〜50重量%、より好ましくは0.5重量%〜10重量%の範囲の脂肪質担体を含むことを特徴とする前記請求項の少なくとも一項に記載の化粧用配合物。
【請求項14】
前記自己タンニング物質が1,3−ジヒドロキシアセトンであることを特徴とする前記請求項の少なくとも一項に記載の化粧用配合物。
【請求項15】
前記自己タンニング物質の濃度が0.01重量%〜10重量%、好ましくは0.05重量%〜5重量%の範囲であることを特徴とする前記請求項の少なくとも一項に記載の化粧用配合物。
【請求項16】
少なくとも1種の自己タンニング物質を含む化粧用配合物であって、液状、クリーム状、ミルク状および/またはゲル状の浴用添加剤、浴用錠剤、浴用塩および/または浴用カプセル剤であることを特徴とする配合物。

【公表番号】特表2007−513897(P2007−513897A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−543405(P2006−543405)
【出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【国際出願番号】PCT/EP2004/013006
【国際公開番号】WO2005/058270
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】