説明

高温工業炉の炉蓋システム

相互間に充填列が配置されて互いに間隔を離された第1および第2の吊りレンガ列と、複数の電気ケーブルを含んだケーブルシステムとを有する高温工業炉の炉蓋システムである。充填列は、熱源を伴った少なくとも1つの着脱自在な加熱モジュールを有する複数の充填要素を含んでいる。ケーブルシステムは、熱源を作動させうるように電力源と接続すると共に、着脱自在な加熱モジュールが、それぞれの熱源を作動させうるように電力源と接続されたままで、それぞれの充填要素に対して着脱されることを可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して工業炉に関する。
【0002】
一態様において、本発明は、より特定的には、工業炉を稼働させたままで故障した熱源に到達してこれを交換するのに炉蓋充填モジュールを用いるための装置および方法に関する。
【0003】
もう一つの態様において、本発明は、より特定的には、工業炉を稼働させたままでの熱源への到達およびその交換を容易にし得るような高温工業炉の炉蓋システムに加えて、それに関連した操作方法にも関する。
【背景技術】
【0004】
工業炉は、多くの応用に用いられる。それらの応用は、例えば、錫浴上でのガラスの製造、金属の熱処理、溶融、および/または精錬、コークスのか焼、廃棄物の焼却などであるが、それらには限定されない。工業炉はしばしば、特許文献1および2によって教示されるように、耐火材で構成される。特許文献1および2は、それらの教示全体が本明細書に援用される。炉蓋構造のために吊りレンガと充填用レンガを用いることが、工業炉において、特にガラスの製造のためには有効である。
【0005】
工業炉における錫浴システムが、板ガラスを製造するのに現在用いられている。溶融錫合金の浴に渡って溶融ガラスを分散させることによって、ガラスが平坦な薄板に形成される。ガラスは、より低い比重を有しているので、溶融金属の上に浮かぶのである。ガラスと溶融錫合金との界面は、ほぼ完全に平坦であり、薄板の一方の面を形成する。この薄板は、一方の面において溶融金属によって加熱されると共に、その他方の面においては熱源によって加熱される。これは、当該薄板を伸張させたり弛緩させたりする工程に備えるためであり、結果として実質的に平坦な上面が得られる。
【0006】
錫浴システムの稼働中、時には熱源が故障することもある。時がたてば、1つないし複数の熱源の故障がガラスの形成作業を危うくするかもしれず、極端な場合には、故障した熱源を修理したり交換したりするために、作業を止める必要があるかもしれない。結果として生じる生産時間の損失は、製造者にとって非常に高く付く可能性がある。錫浴の稼働中に故障熱源の交換を可能とする充填要素が、特に工業炉の狭い場所しか周囲の環境に曝されない限り、大いに望まれる。更には、炉環境の望ましくない成分への作業者の暴露を回避したり最小限にしたりしながら、そのような錫浴稼働中の故障熱源の交換や取外しを容易にする高温工業炉の炉蓋システムである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,427,610号明細書
【特許文献2】米国特許第4,960,058号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明のある一つの態様における1つの目的は、工業炉の炉蓋構造のための改良された充填要素を提供することである。
【0009】
本発明のもう一つの態様における1つの目的は、改良された高温工業炉の炉蓋システムおよび操作方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の上記目的およびその他の目的は、工業炉の炉蓋用の充填要素を用いて、少なくとも部分的に達成することができる。充填要素は、加熱面のある下側部分を有することができ、その過熱面は、概して矩形とし、および/または概して平坦にすることができる。下側部分は、少なくとも1つの穴を有することができる。下側部分は、少なくとも1つの吊りレンガと係合することができる。
【0011】
充填要素は、概して矩形の底部を有した少なくとも1つのモジュールであって、その底部に少なくとも1つの突起が設置されたモジュールを含むことができる。各突起は、下側部分の少なくとも1つの穴に対応することができる。各モジュールは、下側部分に対して可動に取り付けられて、突起を穴と係合させることができる。各モジュールは、当該モジュールと突起との両方を貫通して延びる少なくとも1つのボアを有することができる。各モジュールは、少なくとも1つの吊上げラグを有することが望ましいが、必ずしもそうである必要はない。
【0012】
充填要素は、モジュールのボアを貫通して定置可能な少なくとも1つの熱源を含むことができ、および/または、各熱源が下側部分の穴を貫通して定置可能である。
【0013】
そのような充填要素は、炉が稼働している間の故障熱源の交換を、容易にもたらすことができる。更に、そのような充填要素は、故障した熱源を交換してるときに、工業炉の周囲環境に対する暴露を最小限にする。
【0014】
また、工業炉の内部温度を上げるために少なくとも1つの熱源に給電を行う、工業炉を操作するための方法も提供される。各熱源は、工業炉の炉蓋における少なくとも1つの充填要素の少なくとも1つのボアを貫通して定置可能とすることができる。各ボアはモジュールを貫通して延びることができ、および/または、ボアはモジュールの底部にある少なくとも1つの突起を貫通して延びることができる。各熱源は、下側部分における少なくとも1つの穴を貫通して定置可能とすることができる。各穴は、突起と係合可能にすることができる。
【0015】
この方法は、故障するまで熱源を作動させることを含むことができる。工業炉の稼働温度を上げたままで、故障した熱源への給電を断つことができる。
【0016】
故障した熱源のモジュールの上方に、案内スリーブを設置することができる。案内スリーブは、近接した炉のレンガを支持するように係合可能とすることができる。また、案内スリーブは、モジュールの取外し、および/または挿入を導くことができる。
【0017】
故障した熱源のモジュール上の少なくとも1つの吊上げラグに、吊上げ具を係合させることができる。吊上げ具は、少なくとも1つのフックと、少なくとも1つのスライド自在および/またはロック可能なステーとで作ることができる。ロック状態における堅固な結合を形成するために、フックを吊上げラグと係合させることができ、ステーをモジュールの表面に接触させることができる。
【0018】
故障した熱源の充填モジュールは、吊上げ具を用いて工業炉の炉蓋から取り外すことができ、また案内スリーブによって導くことができる。故障した熱源の充填要素から吊上げ具を解き放すことができ、この吊上げ具を交換用の熱源の充填モジュールと係合させることができる。
【0019】
交換用の熱源の充填モジュールは、吊上げ具および案内スリーブを用いて、工業炉の炉蓋内へと挿入することができる。交換用の熱源の充填モジュールから吊上げ具を解き放し、案内スリーブを取り外すと共に、交換用の熱源に給電を行うことができる。
【0020】
本発明の一態様による改良された高温工業炉の炉蓋システムは、互いに間隔を離された第1および第2の吊りレンガ列、並びに、それらの吊りレンガ列同士の間に配置された充填列を含んでいる。その充填列は、少なくとも1つの着脱自在な加熱モジュールを包含した複数の充填要素を含み、その着脱自在な加熱モジュールは、当該モジュールを貫通して定置可能な少なくとも1つの熱源を有しているのが望ましい。当該システムは、複数の電気ケーブルを包含したケーブルシステムを更に含んでいる。そのケーブルシステムは、少なくとも1つの着脱自在な加熱モジュールの各々が、それぞれの熱源が作動するように電力源と接続されたままで、それぞれの充填要素に対して着脱されることを可能とする。
【0021】
もう一つの実施形態による高温工業炉の炉蓋システムは、その幅よりも実質的に大きい長さを有すると共に、交互に並んだ吊りレンガ列および充填用レンガ列を含んでいる。それらの吊りレンガ列は、端部同士の接した複数の吊りレンガを含んでいる。充填用レンガ列は、複数の充填要素を含んでいる。各充填要素は少なくとも1つの着脱自在な加熱モジュールを含み、この加熱モジュールは、当該モジュールのボアを貫通して定置可能な少なくとも1つの熱源を有している。当該高温工業炉の炉蓋システムは、複数の電気ケーブルから成るケーブルシステムを更に含んでいる。異なる1つのケーブルが、異なる1つの充填要素における少なくとも1つの着脱自在な加熱モジュールの熱源を作動させるように電力源と接続する。ケーブルシステムは、少なくとも1つの着脱自在な加熱モジュールが、熱源が作動するように電力源と接続されたままで、充填要素に対して着脱されることを可能とする。
【0022】
少なくとも第1の熱源が、少なくとも第1の着脱自在な加熱モジュールを貫通して定置可能となっている工業炉を操作する方法であって、工業炉の内部温度を上げるために少なくとも第1の熱源に給電を行うことを含む方法もまた提供される。第1の熱源は、少なくとも第1の熱源を作動させるように電力源と接続する電気ケーブルを通じて給電される。第1の熱源は、工業炉の温度を上げたままで給電を断たれる。第1の熱源が作動するように電力源と接続されたまま、少なくとも第1の熱源を含む第1の着脱自在な加熱モジュールが工業炉の炉蓋から取り外されて、炉蓋開口部を形成する。その後で、取り外された第1の着脱自在な加熱モジュールの第1の熱源を、電力源から切り離すことができる。それから、取り外された第1の着脱自在な加熱モジュールを、第2の熱源を含む交換用の着脱自在な加熱モジュールと交換することができる。その後で、交換用の着脱自在な加熱モジュールの第2の熱源を作動させるように電力源と接続することができ、交換用の着脱自在な加熱モジュールを、工業炉の炉蓋開口部内へと移動させることができる。
【0023】
その他の目的および利点は、添付した特許請求の範囲および図面と共同して理解される以下の詳細な説明から当業者に明らかとなるであろう。
【0024】
本発明の上記目的およびその他の目的は、以下の図面を考慮して明細書を読み取ったときに、より良く理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態による充填要素の斜視図。
【図2】本発明の一実施形態による充填要素の部分的に分解された斜視図。
【図3】本発明の一実施形態による充填要素の部分的に分解された斜視図。
【図4A】本発明の一実施形態による案内スリーブの正面図。
【図4B】本発明の一実施形態による、図4Aの案内スリーブの(図4Aに示すような線A−Aに沿って切った)断面図。
【図4C】本発明の一実施形態による、図4Aの案内スリーブの(図4Aに示すような線B−Bに沿って切った)断面図。
【図5A】本発明の一実施形態による吊上げ具の正面図。
【図5B】本発明の一実施形態による、図5Aの吊上げ具の(図5Aに示すような線A−Aに沿って切った)断面図。
【図5C】本発明の一実施形態による、図5Aの吊上げ具の(図5Aに示すような線B−Bに沿って切った)断面図。
【図6】故障した熱源を交換するための工程を部分的に断面で示す側面図。
【図7】本発明の一実施形態による高温工業炉の炉蓋システムの部分的な斜視図。
【図8】炉の一側において概して炉の長さに沿った断面を示す単純化された模式図。
【図9】図8と同様に、炉の一側において概して炉の長さに沿った断面を示す単純化された模式図ではあるが、ここでは本発明の一実施形態による加熱モジュールの着脱を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本発明の一実施形態による組立済みの充填要素10を示している。充填要素10は、工業炉の高温に耐えられる材料の1つないし複数のブロックを備えることができる。そのような材料は、鋼鉄、ステンレス鋼、合金、クロム合金、ニッケル合金、セラミック、耐火材、および/または、当業者に知られた如何なる他の適当な材料をも包含することができる。一般的な耐火材は、ジルコン、耐火粘土、シリカ、ドロマイト、マグネサイト、アルミナ、亜クロム酸塩、珪線石、および/または炭化ケイ素を包含することができる。適当な耐火材は、工業炉の諸基準に基づいて当業者が選択することができる。それらの諸基準は、例えば、稼働温度、pHや化学的性質、耐火材の費用、断熱の要求度、およびメンテナンス間隔であるが、それらには限定されない。
【0027】
充填要素10は、工業炉設計の必要性に応じて、様々な寸法や形状のものとすることができる。いくつかのガラス炉については、充填要素10が約6インチから約24インチの幅を有しているのが一般的ではあるが、必ずしもそうとは限らない。本発明の一実施形態において、充填要素10は約10インチの幅を有している。本発明のもう一つの実施形態において、充填要素10は約20インチの幅を有している。充填要素10は、任意の適当な方向に、例えば工業炉の長さに対して概して平行および/または垂直に向けることができる。工業炉の長さに対する他の如何なる適当な角度の向き、例えば30度、45度、60度、および/または他の適当な角度も可能である。
【0028】
本発明の特定の実施形態において、充填要素10の形状は概して矩形である。他の諸形状は、正多角形や不等辺多角形を形成する直線および/または曲線の組合せを包含することができ、工業炉の炉蓋のために用いることができる。充填要素10の断面形状は、三角形、四角形(正方形)、台形、六角形、および/または八角形を包含していてもよいが、それらには限定されない。工業炉の炉蓋構造は、当該炉蓋構造で用いられる互いに異なった形状および/または寸法の充填要素10を含むことができるが、築造に使われる互いに異なった型のブロックの数を最小限にすることが好ましい。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、充填要素10は下側部分12を含むことができる。この下側部分12は、ベース、ベース部材、ベースタイル、および/またはベースブロックと称されてもよい。典型的には、少なくとも下側部分12の加熱面14を、工業炉の内部チャンバ容積に向けて定置することができる。加熱面14は、例えば工業炉内部に略平坦な天井を形成するために、概して矩形で概して滑らかなものとすることができる。下側部分12のための材料は、珪線石および/または炭化ケイ素などの比較的稠密な耐火材とすることができる。
【0030】
図2及び図3に示すように、下側部分12は、孔、ボア、切抜、切欠、および/または任意の他の適当な空隙などの、少なくとも1つの穴16を含むことができる。いくつかの実施形態においては、下側部分12を貫通する複数の穴16が、互いに相対した角部に定置されている。穴16は、概して丸い、概して矩形の、および/または別の適当な形状とすることができる。穴16の寸法を最小限にすることによって、故障した熱源26の交換中における工業炉の周囲環境への暴露を減らすことができる。本発明の一実施形態によれば、例えば穴16の開口部が下側部分12の底部よりも下側部分12の上部の方でより大きくなるように、穴16の少なくとも1つの側面が、テーパ付きにされ、傾斜させられ、および/または斜めに削がれる。
【0031】
下側部分12は、例えば、少なくとも1つの吊りレンガによる水平および/または垂直方向の支持のための縁、隆起、切欠、溝、窪み、および/または別の適当な係合部を形成する少なくとも1つの段部18を含むことができる。
【0032】
充填要素10は、加熱器、加熱要素、若しくは熱源26を、収容、支持、および/または保持するためのモジュール20を含むことができる。モジュール20は、下側部分12と同じか、または類似した稠密な耐火材から製造することができる。モジュールは、工業炉の構造的および/またはメンテナンス的な修復を容易にするために、任意の様々な形状、並びに/または、概して下側部分12と同等の、および/若しくは下側部分12よりも小さい任意の様々な寸法とすることができる。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、モジュール20は底部側に、瘤、小塊、および/またはラグなどの少なくとも1つの突起22を有している。突起22は、例えば形状および/または寸法などにおいて、下側部分12の穴16に対応することができる。突起22は、穴16と係合し、穴16内に入り、穴16内に嵌り込み、穴16の中に据えられ、および/または穴16と結合することができる。本発明の一実施形態によれば、突起22には、穴16のテーパに対応するようにテーパを付けることができる。
【0034】
モジュール20は、少なくとも1つのボア(bore)24を有することができる。本発明の一実施形態において、モジュール20は、3つのボア24を略一列に有することができる。ボア24は、熱源26が当該ボア24を通じて入る、および/または当該ボア24を貫通することができるような、孔、穴、および/または開口とすることができる。モジュール20は、特にボア24内および/またはボア24周囲の場所において、通常の取扱および/または使用中のクラッキング(ひび割れ)および/または耐火性の減退を防止するために、充分な厚さを有している。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態において、ボア24は、モジュール20を貫通すると共に、突起22をも貫通して延びている。モジュール20は、熱源26の交換を可能とするよう、下側部分12に対して可動に取り付けることができる。
【0036】
モジュール20は、断熱層34を備えることができる。この断熱層34は、熱抵抗体とすることができ、或いは周囲環境に対する熱伝達を減少させる材料のものとすることができるが、工業炉の内部の雰囲気および/または温度との直接的な接触に耐える特性を有してはいないかもしれない。断熱層34に適した耐火材は、様々なアルミナ−シリカ混合物、例えば断熱性耐火レンガなどを含むことができる。そのような耐火レンガ材料は、下側部分12に用いられ得る稠密な耐火材よりも費用効果を高くすることができる。
【0037】
断熱層34は、本発明の一実施形態によれば、図3に示すようにスロット32を有していてもよい。スロット32、或いは任意の他の適当な溝、溝路、および/またはトラフは、ワッシャ(座金)42を収容してもよく、また充填要素20の組立体の中に含むことができる。ワッシャ42、或いは任意の他の適当なスペーサ(間座)、フェルール(口輪)、および/またはディスクは、断熱層34に用いられるより柔軟な材料に対しての損傷を防止することができる。1つないし複数のワッシャ42を、断熱層34の上および/または下に用いることができる。本発明の特定の実施形態によれば、ワッシャ42はセラミックである。
【0038】
モジュール20と断熱層34とを互いに構造的に取り付ける、および/または固締するのに、ロッド30を用いることができる。本発明の一実施形態において、ロッド30は、工業炉の稼働温度に耐えられる高合金材料で構成される。ロッド30は、一端部ないし両端部に、ネジ山が付けられ、および/または、フックや別の連結具を有している。ロッド30は、モジュール20に対して吊上げラグ28を固締したり取り付けたりすることもできる。吊上げラグ28は、ループやアイレットとすることができ、および/または、モジュール20を着脱するための如何なる他の適当な設計をも有することができる。ロッド30に対して吊上げラグ28を固締したり取り付けたりするのに、ナットを用いることができる。
【0039】
熱源26は、電気誘導式加熱器、電気抵抗式加熱器、電気アーク式加熱器、高周波発生器、燃焼装置、および/または、工業炉に対して熱エネルギを供給したり熱を伝達したりするための任意の他の適当な機器とすることができる。電気的な必要条件には、低電圧、高電圧、交流電流、直流電流、高電流量、低電流量、および/または任意の他の適当な給電を含むことができる。燃焼用の燃料は、例えば、水素、天然ガス、液体炭化水素、石炭、木材、および/または、燃焼時に熱を放出できる他の適当な材料を含んでいてもよい。
【0040】
本発明の一実施形態によれば、熱源26は複数(例えば3つ)の電気抵抗式加熱要素を含んでいる。各加熱要素は、ロッドの形状にすることができる。そのロッドは、安定性を与えるために、ブロックを用いて別のロッドと、それらのロッドの底部または下端部の所で束ねる、および/または固定することができる。
【0041】
充填要素10は、少なくとも1つの密封レンガ36を備えることができる。本発明の一実施形態によれば、また図1に示すように、充填要素10は6つの密封レンガ36を含むことができる。密封レンガ36は、例えば断熱性耐火レンガ材料のものとすることができる。密封レンガ36は、エンド(端部)ブロック、キャップ(蓋)ブロック、ディバイダ(仕切)ブロック、および/またはスペーサ(間隔)ブロックの役目を果たすことができる。密封レンガ36は、工業炉内に配置するまでは固定していない状態のままにしておくことができ、および/または、1つないし複数の留付け方法、例えば概して後述されるような方法を用いて固定することができる。
【0042】
工業炉の断熱および/または加熱の必要条件に応じて、充填要素10の一部を断熱ブロック38とすることができる。断熱ブロック38は、ブランクモジュールと称することができる。本発明の一実施形態によれば、各モジュール20について、少なくとも1つの断熱ブロック38が存在する。断熱ブロック38とモジュール20とは、工業炉の長さに沿って交互に並んでいることができる。1つないし複数の層(layers or strata)43によって断熱ブロック38を形成することができる。層43同士は、概して後述される1つないし複数の留付け方法を用いて付着させることができる。断熱ブロック38のための適当な材料は、断熱性耐火レンガ、および/または他の耐火材、例えば上述したものを含む。断熱ブロック38はまた、吊上げ環または吊上げループ40を含んでいてもよい。
【0043】
耐火性のレンガおよび/または成形物は、丸められた、直角にされた、および/または面取りされた外側の角部を有することができる。耐火性のレンガおよび/または成形物の内側の角部は、直角にする、および/または丸めることができる。本発明の充填要素20は、アーチ、曲線、垂直な壁、および/または他の角度を有する耐火構造での使用、および/または、熱源26を必要とするかもしれない工業炉内の他の箇所での使用に、難なく適合させる(そのために改造する)ことができる。
【0044】
耐火材同士を互いに留め付けるのにあり得る方式は、機械的な留付け手段、例えばネジ、だぼ、クランプ、ピン、釘、締まり嵌め要素、および/または他の適当な連結装置を含む。その他の留付け方式は、セメント、モルタル、マスチック、接着剤、および/または他の適当な接合剤の使用を含んでいてもよい。
【0045】
充填要素10は、本発明のいくつかの実施形態によれば、図4A、図4B、および図4Cに示すような案内スリーブ44を備えていてもよい。案内スリーブ44は、モジュール20の上、上方、および/または周囲での当該案内スリーブ44の設置を支持し、安定させ、固定し、および/または容易にするためのブレース46を備えることができる。本発明の特定の実施形態によれば、案内スリーブ44は、板金で構成されると共に、上方の幅50が下方の幅52よりも大きくなる所であるテーパ48を含んでいる。テーパ48は、交換用の熱源26を取り付けている間に、モジュール20の挿入を補助し、案内し、導き、および/または助けることができる。案内スリーブ44は、例えば故障した熱源26の交換中に、密封レンガ36、モジュール20、および/または断熱ブロック38を所定位置に保持することができる。
【0046】
充填要素10は、図5A、図5B、および図5Cに示すように、本発明の特定の実施形態によれば、吊上げ具54を備えていてもよい。吊上げ具54は、この吊上げ具54を吊り上げ、持ち上げ、降ろし、および/または位置決めするためのハンドル56を備えることができる。ハンドル56は、クレーン、チェーンフォール、および/またはホイストなどの動力式吊上げ装置と相互作用するための如何なる他の適当な機械的なリンクや装置にも置き換えることができる。吊上げ具54は、吊上げラグ28と係合させるためのフック58を備えていてもよい。ステー60は、剛性の平らな棒材とすることができ、また少なくとも1つの留め輪62を有することができる。その留め輪62は、吊上げ具54を位置決めすると共に、ステー60に対する吊上げ具54のスライド自在な取付けをもたらすためのものである。ステー60は、ロック機構64を備えることもできる。それは、係合時に、ロック機構64が、ステー60に対して吊上げ具54を固定するようにするためである。本発明の一実施形態によれば、ロック機構64は、手動式の係合をもたらすための蝶ナットおよびネジ式の連結部を備えることができる。
【0047】
吊上げ具54は、脚部66を備えることもでき、また例えば90度の角度を成すように曲げられた平らな棒材であってもよい。本発明の一実施形態によれば、脚部66がモジュール20の頂部に当接し、その結果、吊上げ具54が吊上げラグ28と係合したときに、剛性の、および/または堅固な、連結および/または結合によって捩りに抵抗することができる。
【0048】
本発明は、工業炉の操作のための方法を備えることができる。一方法は、例えば抵抗式加熱器のための電気回路を完成させるよう、熱源26に電力を供給することを含むことができる。当該方法は、故障、例えば抵抗式加熱器に電流の断絶が生じるときまで、熱源26を作動させることを含むことができる。本発明の一実施形態によれば、故障した熱源26は、安全上の理由から電力供給を絶つことができる。
【0049】
図6に示すように、当該方法は、工業炉を稼働させながら、故障した熱源26を伴うモジュール20の上および/または上方に、案内スリーブ44を係合させ、或いは配置することを更に含むことができる。当該方法はまた、故障した熱源26を伴うモジュール20上に吊上げ具54を定置して、フック58を吊上げラグ28と係合させること、並びに、ロック機構64を適用したときに剛性の、および/または堅固な連結を形成することができるように、モジュール20の頂部をステー60の脚部66と接触させることを含んでいてもよい。互いに一体にされた吊上げ具54とモジュール20を、案内スリーブ44を用いて取り外すことができる。
【0050】
吊上げ具54を、故障した熱源26を伴うモジュール20から取り外し、交換用の熱源26を伴う第2のモジュール20と係合させて、案内スリーブ44を用いた工業炉の炉蓋内への挿入を可能とすることができる。吊上げ具54を、交換用の熱源26を伴うモジュール20から取り外すことができる。案内スリーブ44を取り外すことができる。それから、熱源26に電力を供給することができる。
【0051】
図7に変わると、そこには、本発明の一実施形態による、全般的に参照符号100で示された高温工業炉の炉蓋システムが示されている。好適な一実施形態によれば、炉蓋システム100は、例えば関連した炉構造に対応するように、その幅よりも実質的に大きい長さを有することができるのが望ましい。
【0052】
炉蓋システム100は、交互に並んだ吊りレンガ列102と充填用レンガ列104とを含んでいる。吊りレンガ列102は、例えば当該技術で知られているように、端部同士の接した複数の吊りレンガ106を含むのが典型的である。それらの吊りレンガ106は、当該技術で知られているように、例えば吊下げロッド110から吊り下げられることによって、所望の態様で適切に定置される。
【0053】
充填用レンガ列104は、例えば上述したような充填要素112を複数含んでいる。各充填要素112は、少なくとも1つの着脱自在な加熱モジュール114を含んでいる。その加熱モジュール114は、例えば当該モジュール114を貫通して定置可能な少なくとも1つの熱源116を有している。
【0054】
炉蓋システム100は、複数の電気ケーブル122を包含したケーブルシステム120をも含んでいる。ケーブルシステム120は、着脱自在な加熱モジュール114の熱源116を作動させうるように電力源124と接続する。下記でより詳細に述べるように、ケーブルシステム120によって、着脱自在な各加熱モジュールを、それぞれの熱源が作動しうるように電力源と接続されたままで、それぞれの充填要素に対して着脱することが可能となる。当業者によって正しく認識され、また本明細書で与えられる教示によって導かれることとなるように、高温工業炉の炉蓋システムに関連して今まで使用されてきたよりも長い長さの電気ケーブルを用いることが、望ましく且つ有利となり得る。更に、より長い長さのケーブルを用いることで、適正なケーブルの管理が、安全で効率的な炉の操作における、より重要な要因となり得る。
【0055】
図7には、着脱自在な加熱モジュール126が、関連した充填要素に対して着脱される過程で示されている。
【0056】
ここで図8および図9に変わると、そこには、炉140の一端部における炉140の長さに沿った断面の単純化された模式図であって、本発明の一実施形態による高温工業炉の炉蓋システム142を示す図が示されている。
【0057】
炉の側壁144は棚部146を有し、この棚部146の上に端部炉蓋耐火材が載せられ、上述したようなやり方で炉蓋構造が吊り下げられている。
【0058】
高温工業炉の炉蓋システム142における充填列150が示されている。充填列150は、例えば上述したような充填要素152を複数含んでいる。充填要素152は各々、少なくとも1つ、図示の実施形態では2つの着脱自在な加熱モジュール154および156を含んでいることが望ましい。それらの加熱モジュール154,156は各々、例えば、それぞれのモジュールを貫通して(例えば、当該モジュール内のボア162を貫通して)定置可能な少なくとも1つの熱源160を有している。
【0059】
ケーブルシステム164は、各熱源160を作動させうるように電力源170と接続するための複数の電気ケーブル166を含んでいる。図9に示すように、着脱自在な加熱モジュール172は、高温工業炉の炉蓋システム142に対する自らの着脱のための着脱経路174を有している。より具体的には、図示の実施形態において、着脱自在な加熱モジュール172は充填要素176に対して、充填要素下側部分182の加熱面180と垂直な方向に着脱自在となっている。
【0060】
ケーブルシステム164は、近接した着脱自在な加熱モジュールのケーブルを、着脱経路174の外側に固定することが望ましい。その目的のために、ケーブルシステムは、1つないし複数の1つのケーブル経路設定用支持体184を含むことができるのが望ましい。それらの支持体184は、第2の充填要素における着脱自在な加熱モジュールの熱源を作動させうるように電力源と接続している電気ケーブルが、他のモジュール、特に近接したモジュールの着脱経路の外側にあるようなやり方で、電気ケーブルを追加的に固定する。その目的のために、ケーブル支持体184は、吊りレンガ吊下げ式炉蓋支持構造186の上方に定置されていることが望ましい。
【0061】
対応した、或いは関連した工業炉の操作方法もまた提供される。一実施形態によれば、少なくとも第1の着脱自在な加熱モジュールを貫通して第1の熱源が定置可能となっている工業炉を操作する方法であって、工業炉の内部温度を上げるために第1の熱源に給電を行うことを含んだ方法が提供される。そのような給電は、第1の熱源を作動させうるように電力源と接続する電気ケーブルを通じて実現できるのが望ましい。その後の何らかの時点において、例えば第1の熱源や関連した加熱モジュール、或いは当該加熱モジュールの他の構成部分が故障した場合などに、第1の熱源への給電が断たれる。それから、第1の熱源が作動しうるように電力源と接続されたまま、そして工業炉の温度を上げたままで、第1の着脱自在な加熱モジュールを工業炉の炉蓋から取り外して炉蓋開口部を形成することができる。その後、例えば加熱モジュールを炉蓋の環境や構造の外部へと取り外した後で、第1の熱源を電力源から切り離すことができる。取り外された加熱モジュールは、適当な交換用の着脱自在な加熱モジュールと交換することができる。その交換は、例えば、交換用の着脱自在な加熱モジュールの熱源を作動させうるように電力源と接続すること、および交換用の着脱自在な加熱モジュールを工業炉の炉蓋開口部内へと移動させることによって成される。
【0062】
上記のことを考慮すれば、そのよう炉蓋システムおよび操作方法は、修理、操作、メンテナンスその他の作業員が、加熱要素を関連した電力源からボルトを外すなどして分離するために、高温工業炉の炉蓋の限定された空間へ入る必要性を望ましく回避するものである、ということが正しく認識されるであろう。かくして、本発明の一態様によれば、炉蓋システムに対する加熱モジュールの着脱を、直接的な炉環境の外側ないし外部に置かれたり位置したりする作業者を通じて、有利に達成し、実施するなどして実現するすることができる。すなわち、モジュールを取り外して炉のケーシングの外側へ移動させている間、モデルをケーブルに結び付けたままにしておくことができるのである。
【0063】
以上の明細書において、本発明をその特定の実施形態との関連において説明すると共に、例示の目的で多くの詳細を述べてきたが、次のことは当業者にとって明らかであろう。すなわち、本発明が追加的な実施形態を許容するものであるということ、および、本明細書で説明した詳細の内のいくつかは、本発明の基本原理から逸脱することなく相当に変形させることが可能であるということである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温工業炉の炉蓋システムであって、
互いに間隔を離された第1および第2の吊りレンガ列、並びに、それらの吊りレンガ列同士の間に配置された充填列を備えており、前記充填列は、少なくとも1つの着脱自在な加熱モジュールを備えた複数の充填要素を含み、その着脱自在な加熱モジュールは、当該加熱モジュールを貫通して定置可能な少なくとも1つの熱源を有しており、かつ、
複数の電気ケーブルを備えたケーブルシステムを備えており、前記ケーブルシステムは、前記少なくとも1つの着脱自在な加熱モジュールの少なくとも1つの熱源を作動させうるように電力源と接続し、前記ケーブルシステムは、前記少なくとも1つの着脱自在な加熱モジュールの各々が、それぞれの熱源が当該熱源を作動させうるように前記電力源と接続されたままで、それぞれの前記充填要素に対して着脱されることを可能とするものである、
高温工業炉の炉蓋システム。
【請求項2】
異なる1つの充填要素における少なくとも1つの着脱自在な加熱モジュールの少なくとも1つの熱源を、異なるケーブルが作動させうるように前記電力源と接続する、請求項1記載の高温工業炉の炉蓋システム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの着脱自在な加熱モジュールは、当該高温工業炉の炉蓋システムに対する当該少なくとも1つの着脱自在な加熱モジュールの着脱のための着脱経路を有し、前記ケーブルシステムは、近接した着脱自在な加熱モジュールのケーブルを前記着脱経路の外側に固定する、請求項1記載の高温工業炉の炉蓋システム。
【請求項4】
前記充填要素は、
加熱面のある下側部分であって、前記加熱面は概して矩形で概して平坦な形状を有し、前記下側部分が、少なくとも1つの穴を有すると共に、少なくとも1つの吊りレンガと係合可能である、前記加熱面のある前記下側部分と、
概ね矩形の底部と、この底部に設置された少なくとも1つの突起とがある本体を有した、少なくとも1つの着脱自在な加熱モジュールであって、前記突起が前記下側部分の前記少なくとも1つの穴に対応し、前記加熱モジュールが前記下側部分に対して可動に取り付けられ、前記突起が少なくとも1つの穴と係合し、前記加熱モジュールが、当該加熱モジュールの前記本体と前記突起との両方を貫通して延びる少なくとも1つのボアを有し、前記加熱モジュールが少なくとも1つの吊上げラグをも有している、前記加熱モジュールと、
少なくとも1つの熱源であって、前記熱源が、前記モジュールの前記ボアを貫通して定置可能であると共に、各熱源が前記下側部分の前記穴を貫通して定置可能である、前記少なくとも1つの熱源と、
を有している、請求項1記載の高温工業炉の炉蓋システム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの着脱自在な加熱モジュールは、前記充填要素に対して、前記下側部分の前記加熱面に垂直な第1の方向に着脱自在となっている、請求項4記載の高温工業炉の炉蓋システム。
【請求項6】
前記吊りレンガ列は、炉蓋支持構造から吊り下げられた複数の吊りレンガを備え、
前記少なくとも1つの着脱自在な加熱モジュールの前記少なくとも1つの熱源を当該熱源が作動しうるように接続する前記電気ケーブルを、吊りレンガ吊下げ炉蓋支持構造の上方に経路設定するための少なくとも1つのケーブル経路設定用支持体を、ケーブル経路設定システムが付加的に備えている、請求項1記載の高温工業炉の炉蓋システム。
【請求項7】
第2の充填要素の熱源が当該熱源を作動させうるように前記電力源と接続されたままで、第1の充填要素から前記少なくとも1つの着脱自在な加熱モジュールが取り外される間、前記第2の充填要素における前記少なくとも1つの着脱自在な加熱モジュールの前記少なくとも1つの熱源を作動させうるように接続している前記電気ケーブルを、前記少なくとも1つのケーブル経路設定用支持体が付加的に固定する、請求項6記載の高温工業炉の炉蓋システム。
【請求項8】
交互に並んだ複数の吊りレンガ列および充填用レンガ列を備える、請求項1記載の高温工業炉の炉蓋システム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの着脱自在な加熱モジュールは、当該高温工業炉の炉蓋システムに対する当該少なくとも1つの着脱自在な加熱モジュールの着脱のための着脱経路を有し、前記ケーブルシステムは、近接した着脱自在な加熱モジュールのケーブルを前記着脱経路の外側に固定する、請求項8記載の高温工業炉の炉蓋システム。
【請求項10】
自らの幅よりも実質的に大きい長さを有した高温工業炉の炉蓋システムであって、
交互に並んだ吊りレンガ列および充填用レンガ列を備え、前記吊りレンガ列は端部同士の接した複数の吊りレンガを備え、前記充填用レンガ列は複数の充填要素を備え、各充填要素は少なくとも1つの着脱自在な加熱モジュールを備え、この加熱モジュールは、当該加熱モジュールのボアを貫通して定置可能な少なくとも1つの熱源を有しており、かつ、
複数の電気ケーブルを備えたケーブルシステムを備え、異なる1つの前記ケーブルが、異なる1つの充填要素における前記少なくとも1つの着脱自在な加熱モジュールの熱源を作動させうるように電力源と接続し、前記ケーブルシステムは、前記少なくとも1つの着脱自在な加熱モジュールの各々が、熱源を作動させうるように前記電力源と接続されたままで、前記充填要素に対して着脱されることを可能とする、
高温工業炉の炉蓋システム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの着脱自在な加熱モジュールは、当該高温工業炉の炉蓋システムに対する当該少なくとも1つの着脱自在な加熱モジュールの着脱のための着脱経路を有し、前記ケーブルシステムは、近接した着脱自在な加熱モジュールのケーブルを前記着脱経路の外側に固定する、請求項10記載の高温工業炉の炉蓋システム。
【請求項12】
前記少なくとも1つの着脱自在な加熱モジュールの前記少なくとも1つの熱源を作動させうるように接続する前記電気ケーブルを、吊りレンガ吊下げ炉蓋支持構造の上方に経路設定するための少なくとも1つのケーブル経路設定用支持体を、ケーブル経路設定システムが付加的に備えている、請求項10記載の高温工業炉の炉蓋システム。
【請求項13】
前記充填要素は、
加熱面のある下側部分であって、前記加熱面が概して矩形で概して平坦な形状を有し、前記下側部分が、少なくとも1つの穴を有すると共に、少なくとも1つの吊りレンガと係合可能である、前記加熱面のある前記下側部分と、
概ね矩形の底部と、この底部に設置された少なくとも1つの突起とがある本体を有した、少なくとも1つの着脱自在な加熱モジュールであって、前記突起が前記下側部分の前記少なくとも1つの穴に対応し、前記加熱モジュールが前記下側部分に対して可動に取り付けられ、前記突起は少なくとも前記1つの穴と係合し、前記加熱モジュールが、当該加熱モジュールの前記本体と前記突起との両方を貫通して延びる少なくとも1つのボアを有し、前記加熱モジュールが少なくとも1つの吊上げラグをも有している、前記加熱モジュールと、
少なくとも1つの熱源であって、前記熱源が、前記モジュールの前記ボアを貫通して定置可能であると共に、各熱源が前記下側部分の穴を貫通して定置可能である、前記熱源と、
を有している請求項10記載の高温工業炉の炉蓋システム。
【請求項14】
前記少なくとも1つの着脱自在な加熱モジュールの前記少なくとも1つの熱源を作動させうるように接続する前記電気ケーブルを、吊りレンガ吊下げ炉蓋支持構造の上方に経路設定するための少なくとも1つのケーブル経路設定用支持体を、ケーブル経路設定システムが付加的に備えている、請求項13記載の高温工業炉の炉蓋システム。
【請求項15】
工業炉を操作する方法であって、
少なくとも第1の着脱自在な加熱モジュールを貫通して定置可能となっている少なくとも第1の熱源に、少なくとも第1の熱源を作動させうるように電力源と接続する電気ケーブルを通じて給電して、工業炉の内部温度を上げることと、
前記工業炉の温度を上げたまま、前記第1の熱源への給電を断つことと、
第1の熱源が当該第1の熱源を作動させうるように電力源と接続されたまま、少なくとも第1の熱源を含む少なくとも第1の着脱自在な加熱モジュールを工業炉の炉蓋から取り外して、炉蓋開口部を形成することと、
取り外された前記第1の着脱自在な加熱モジュールの前記第1の熱源を、前記電力源から切り離すことと、
取り外された前記第1の着脱自在な加熱モジュールを、第2の熱源を含む交換用の着脱自在な加熱モジュールと交換することと、
を含む工業炉の操作方法。
【請求項16】
取り外された前記第1の着脱自在な加熱モジュールを、前記第2の熱源を含む交換用の着脱自在な加熱モジュールと交換することは、
前記第2の熱源を作動させうるように電力源と接続することと、
前記交換用の着脱自在な加熱モジュールを、前記工業炉の前記炉蓋開口部内へと移動させることと、
を含んでいる、請求項15記載の工業炉の操作方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図5C】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公表番号】特表2013−504739(P2013−504739A)
【公表日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528833(P2012−528833)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/047510
【国際公開番号】WO2011/031607
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(593177675)マークル、インターナショナル、インコーポレーテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】MERKLE INTERNATIONAL, INC.
【Fターム(参考)】