説明

高温鉛フリーハンダ用組成物、方法およびデバイス

【課題】ハンダ、特に鉛フリーハンダ用の改良された組成物およびその製造方法、さらに該組成物を用いた電子デバイスを提供する。
【解決手段】ハンダ用組成物は、AgとBiの全重量に基づいて2wt%から18wt%の量のAgおよび98wt%から82wt%の量のBiからなる合金と、AgとBiの全重量に対して10ppm〜1000ppmの量の1以上の化学元素を含み、該化学元素は当該合金のAgとBi部分の酸素親和力より大きな酸素親和力を有し、合金が262.5℃以上の固相線と400℃以下の液相線を有し、前記化学元素が、Al、Ba、Ca、Ce、Cs、Hf、Li、Mg、Nd、P、Sc、Sr、Ti、Y、およびZrからなる群から選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は鉛フリーハンダである。
【背景技術】
【0002】
数多くの公知のダイ接合法で、集積回路内で半導体ダイをリードフレームに接合するために高鉛ハンダが使用され、ダイとリードフレームが機械的に接続され、それらの間が熱的および電気的に伝導性になる。ほとんどの高鉛ハンダが比較的安価であり、望ましい様々な物理化学的性質を示すが、ダイ接合および他のハンダに鉛を使用することは環境および職業上の健康の観点から監視が厳しくなってきた。その結果として、鉛含有ハンダを鉛フリーダイ接合組成物に替えるために、様々な手法が試みられてきた。
【0003】
例えば、1つの手法では、米国特許第5,150,195号、5,195,299号、5,250,600号、5,399,907号、および5,386,000号に記載されるように、ポリマー接着剤(例えば、エポキシ樹脂またはシアン酸エステル樹脂)がダイを基板に接合するために用いられる。ポリマー接着剤は典型的には、通常200℃未満の温度で比較的短時間で硬化し、硬化後にも構造上の柔軟性を保持して、米国特許第5,612,403号に示されるように、柔軟な基板上への集積回路のダイ接合が可能である。しかし、多くのポリマー接着剤は樹脂ブリードを生じる傾向があり、ダイと基板の電気的接触の望ましくない低下、あるいはダイの部分的もしくは全面的な剥離さえ起こす可能性がある。
【0004】
樹脂ブリードの問題の少なくともいくつかを回避するために、Mitani他の米国特許第5,982,041号に記載されるように、シリコーン含有ダイ接合接着剤を用いることができる。このような接着剤は樹脂シーラントと半導体チップ、基板、パッケージ、および/またはリードフレームの間だけでなく、ワイヤボンディングも改善する傾向があるが、これらの接着剤の少なくともいくつかの硬化過程には、高エネルギー放射源が必要とされ、このためにダイ接合工程にかなりのコストが付加されうる。
【0005】
別法として、Dietz他の米国特許第4,459,166号に記載されるように、高鉛ホウケイ酸ガラスを含むガラスペーストを用いることにより、高エネルギー硬化段階を通常無くすることができる。しかし、高鉛ホウケイ酸ガラスを含む多くのガラスペーストでは、ダイを基板に永続的に結合させるのに425℃以上の温度が必要とされる。さらに、ガラスペーストは加熱および冷却中にしばしば結晶化する傾向があるので、ボンディング層の接着特性が低下する。
【0006】
さらに別の手法では、様々な高融点ハンダが、ダイを基板またはリードフレームに接合するために用いられる。ダイを基板にハンダ付けすることには、比較的単純な処理工程、無溶剤施工、ならびにいくつかの事例での相対的な低コストを含めて、様々な利点がある。当技術分野において知られている様々な高融点ハンダがある。しかし、それらの全てあるいはほとんど全てには、1つまたは複数の不都合な点がある。例えば、ほとんどの金共晶合金(例えば、Au−20%Sn、Au−3%Si、Au−12%Ge、およびAu−25%Sb)は比較的高コストであり、機械的性質は理想的なものに比べて劣ることが多い。別のものとして、合金J(Ag−10%Sb−65%Sn、例えば、Olsen他の米国特許第4,170,472号を参照)を、様々な高融点ハンダ用途に用いることができる。しかし、合金Jは228℃の固相線をもち、また機械的性能が比較的劣るという問題がある。
【0007】
ハンダおよびダイ接合組成物について様々な方法および組成物が当技術分野において知られているが、それらの全てまたはほとんど全てには、1つまたは複数の不都合な点がある。したがって、ハンダ、特に鉛フリーハンダ用の改良された組成物および方法が依然として求められている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、Ag(銀)が2Wt%から18Wt%の量で、またBi(ビスマス)が98wt%から82wt%の量で存在する、AgとBiの合金を含むハンダを含む方法、組成物、およびデバイスを対象とする。企図されているハンダは262.5℃以上の固相線および400℃以下の液相線を有する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の主題の一態様では、合金中の銀は2wt%から7wt%の量で、またBiは98wt%から93wt%の量で存在するか、あるいは合金中の銀は7wt%から18wt%の量で、またBiは93wt%から82wt%の量で存在するか、あるいは合金中の銀は5wt%から9wt%の量で、またBiは95wt%から91wt%の量で存在する。企図されている組成物はさらに、合金の酸素親和力より大きな酸素親和力をもつ化学元素を含んでいてもよく、好ましい元素には、Al、Ba、Ca、Ce、Cs、Hf、Li、Mg、Nd、P、Sc、Sr、Ti、Y、およびZrが含まれる。企図されている元素の濃度は、典型的には、約10ppmと約1000ppmの間の範囲にある。
【0010】
本発明の主題の別の態様では、企図されているハンダは少なくとも9W/mKの熱伝導率をもち、1秒後の濡れ平衡(wetting balance)で、浸したAgに対する濡れ力が約0.2mNを示す。企図されている組成物を、ワイヤ、リボン、プリフォーム、球、もしくはインゴットを含めて、様々な形状にすることができる。
【0011】
本発明の主題のさらなる態様では、電子デバイスが、企図されている組成物を通して表面に連結する半導体ダイを含み、ここで特に企図されている半導体ダイには、シリコン、ゲルマニウム、およびガリウムヒ素のダイが含まれる。さらに、少なくとも、ダイの一部分またはこのようなデバイスの表面の一部分が銀で金属化されうるということが企図されている。特に好ましい態様では、表面は銀で金属化されたリードフレームを含む。さらなる態様では、企図されているハンダは、ダイとパッケージ基板(一般にフリップチップとして知られる)あるいはプリント配線板(一般にチップオンボードとして知られる)の間の電気的相互接続としての役を果たす、半導体ダイ上の複数のバンプの形態で、エリアアレイ電子パッケージに用いられる。別法として、企図されるハンダを、パッケージを基板に接続するか(一般にボールグリッドアレイとして知られ、多くの変形形態がある)あるいはダイを基板もしくはプリント配線板のいずれかに接続する複数のハンダボールの形態で用いることができる。
【0012】
本発明の主題のさらに別の態様では、ハンダ組成物を製造する方法に、ビスマスと銀が、それぞれ98wt%から82wt%および2wt%から18wt%の量で供用される段階がある。さらなる段階では、銀とビスマスが少なくとも960℃の温度で融解されて、262.5℃以上の固相線と400℃以下の液相線を有する合金となる。企図されている方法は、合金の酸素親和力より大きい酸素親和力をもつ化学元素を添加することを場合によってはさらに含む。
【0013】
本発明の様々な目的、特徴、態様および利点が、添付図と合わせて、本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明により一層明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明者等は、企図されている組成物を、望ましい他の性質の中でもとりわけ、様々なダイ接合用途における高鉛含有ハンダの代替としてほとんど容易に有利に用いることができるということを見出した。具体的には、企図されている組成物は260℃以上(好ましくは262.5℃以上)の固相線と400℃以下の液相線をもつ鉛フリー合金である。
【0015】
本発明の主題の特に好ましい態様では、企図されている組成物は、ハンダとして用いることができ、2Wt%から18wt%の量の銀、および98wt%から82wt%の量のビスマスを含む2成分合金である。企図されている組成物を調製する好ましい方法では、適当に秤量した(上記)純金属の投入物を、溶液となるまで、耐火性または耐熱性容器(例えば、グラファイト製るつぼ)内で、真空または不活性雰囲気(例えば、窒素またはヘリウム)下に、960℃〜1000℃の間に加熱する。投入物を攪拌し、2つの金属が確実に完全に混合され融解するのに十分な時間、この温度のままにする。次に、融解混合物または溶融物を素早く型に注ぎ、室温に冷却して固化させ、ビレットを約190℃に加熱することを含む通常の押出技術によりワイヤに、あるいは矩形のスラブを最初に225℃〜250℃の間の温度でアニールし、次に同じ温度で熱間圧延する工程によりリボンへと2次加工される。別法として、後により薄い寸法に圧延できるリボンを押出してもよい。生成する鉱滓が混合物を型に注ぐ前に除去されるのであれば、融解段階を空気中で実施してもよい。
【0016】
本発明の主題の別の態様では、また特により高い液相線温度が望ましい場合、企図される組成物は、合金中に7wt%から18wt%の量のAg、および93wt%から82wt%の量のBiを含むことができる。他方、比較的低い液相線温度が望ましい場合、企図される組成物は、合金中に2wt%から7wt%の量のAg、および98wt%から93wt%の量のBiを含むことができる。しかし、ほとんどのダイ接合用途では、Agが合金中に5wt%から10wt%の量で、またBiが95wt%から90wt%の量で存在する組成物を用いることができると一般に企図される。
【0017】
企図される組成物を、知られている鉛フリーハンダの共通の主成分であるSnも全く含まない鉛フリーハンダとして用いることができるということは、特に理解されるべきである。さらに、本発明の主題による特に適切な組成物は2成分合金であると一般に企図されているが、別の組成物として3成分、4成分、およびより多成分の合金を含めてもよいことも理解されるべきである。
【0018】
例えば、特に適切な別の組成物は、合金(その化学元素を含まない)の酸素親和力より大きい酸素親和力をもつ1種または複数の化学元素を含んでいてもよい。特に企図される化学元素には、Al、Ba、Ca、Ce、Cs、Hf、Li、Mg、Nd、P、Sc、Sr、Ti、Y、およびZrが含まれ、さらに、このような化学元素は約10ppmと約1000ppmの間の濃度で合金中に存在してもよいと企図されている。特定の理論または説に拘束されることは欲しないが、合金より酸素親和力の大きい元素は、融解しているかまたは溶融状態のハンダの表面張力を増加させるとして知られている金属酸化物を減らすものと企図されている。したがって、ハンダ付けの間の金属酸化物の量が減少することにより、一般に溶融状態のハンダの表面張力が低下するので、ハンダの濡れ性をかなり増大させるであろうと企図される。
【0019】
さらなる例では、鉛フリーハンダの熱機械特性(例えば、熱伝導率、熱膨張係数、硬度、ペースト範囲、延性など)を向上させるために、1種または複数の金属を添加してもよい。特に企図される金属には、インジウム、スズ、アンチモン、亜鉛、およびニッケルが含まれる。しかし、前記の金属以外の様々な金属もまた、このような金属が少なくとも1つの熱機械特性を向上させるのであれば、本明細書に記載される教示に関連させて用いるのに適する。その結果的として、さらに企図される金属には、銅、金、ゲルマニウム、およびヒ素が含まれる。したがって、特に企図される合金は、2wt%から18wt%の量のAg、98wt%から82wt%の量のBi、および0.1wt%から5.0wt%の量の第3の元素を含むことができる。特に企図されている第3の元素は、Au、Cu、Pt、Sb、In、Sn、Ni、Ge、および/またはZnの少なくとも1つを含む。結果的に、また第3の元素の特定の量に応じて、このような合金は、230℃以上、より好ましくは248℃以上、最も好ましくは258℃以上の固相線、ならびに400℃以下の液相線を有すると確認されるはずである。このような合金の具体的に企図される使用法には、ダイ接合用途(例えば、半導体ダイの基板への接合)が含まれる。結果的に、電子デバイスは、企図されている3(またはより多くの)成分合金を含む組成物を含む材料を通して表面に連結された半導体ダイを含むであろうと企図されている。企図されている3成分合金の製造に関しては、すでに概略を示したものと同じ考察が適用される。一般に、第3の元素が2成分合金または2成分合金成分に適当な量だけ添加されると企図されている。
【0020】
さらに、1つまたは複数の物理化学的または熱機械的特性を改善するための化学元素または金属の添加は、合金中の全ての成分が実質的に完全に(すなわち、各成分の少なくとも95%)溶融状態である限り、任意の順序でなされうることが理解されるべきであり、また添加の順序は本発明の主題に対する限定ではないと企図されている。同様に、融解段階の前に銀とビスマスを合わせることが好ましいが、銀とビスマスを別に融解してもよく、溶融状態の銀と溶融状態のビスマスを後で合わせることも企図されていることが理解されるべきである。成分の実質的に完全な融解と混合を確実にするために、銀の融点を超える温度へのさらに延長された加熱段階を追加してもよい。1種または複数の追加の元素が含まれるとき、企図されている合金の固相線は低下しうることが特に理解されるはずである。このように、このような追加の元素を含む企図される合金は、260〜255℃の範囲、255〜250℃の範囲、250〜245℃の範囲、245〜235℃の範囲、またより低くさえある固相線をもちうる。
【0021】
企図されている合金の熱伝導率に関して、本発明の主題による組成物は5W/mK以上、より好ましくは9W/mK以上、最も好ましくは15W/mK以上の伝導率をもつと企図されている。さらに、適切な組成物は、1秒後の濡れ平衡で、0.1mNを超え、より好ましくは0.2mNを超え、最も好ましくは0.3mNを超える、浸したAgに対する濡れ力をもつハンダを含むと企図されている。さらに、企図される組成物の特定の形状は本発明の主題にとって重大ではないとやはり企図されている。しかし、企図される組成物が、ワイヤ形状、リボン形状、または球状(ハンダバンプ)に形作られると好ましい。
【0022】
様々な他の使用法の中でも特に、第1の材料を第2の材料に結合させるために、企図されている複合材(compound)(例えば、ワイヤ形状の)を用いることができる。例えば、図1に示されるように、電子デバイスで、半導体ダイ(例えば、シリコン、ゲルマニウム、あるいはガリウムヒ素のダイ)をリードフレームに結合させるために、企図されている組成物(および企図されている組成物を含む材料)を利用することができる。ここで、電子デバイス100は、銀の層112で金属化されたリードフレーム110を含む。第2の銀の層122が半導体ダイ120に堆積されている(例えば、裏面銀メタライゼーションにより)。ダイとリードフレームは、企図されている組成物130(ここでは、例えばハンダは、2wt%から18wt%の量のAgおよび98wt%から82wt%の量のBiを含む合金を含み、この合金は262.5℃以上の固相線と400℃以下の液相線をもつ)によりそれらの個々の銀層を通して互いに連結される。最適なダイ接合工程では、企図されている組成物は、特定の合金の液相線を約40℃超えるまで15秒間で、また好ましくは430℃以下で30秒間以下で加熱される。還元性雰囲気(例えば、水素またはフォーミングガス)下で、ハンダ付けを実施してもよい。
【0023】
さらなる別の態様では、ダイ接合用途以外の数多くのハンダ付け工程で、本発明の主題による複合材を用いることができると企図される。事実、企図される組成物は、後のハンダ付けステップが、企図される組成物の融点より低い温度で実施される、全てあるいはほとんど全てのステップのハンダ付けで特に有用でありうる。さらに、高鉛ハンダを鉛フリーハンダに替える必要があり、約260℃より高い固相線温度が望ましい用途におけるハンダとして、企図される組成物を用いることもできる。特に好ましい別の使用法には、非融解性スタンドオフ球あるいは電気的/熱的相互接続として、熱交換器のコンポーネントの接合に、企図されるハンダを使用することが含まれる。
【実施例】
【0024】
様々な材料の熱膨張係数の違いにより、ハンダ接合部に剪断負荷がかかることが多い。したがって、このような材料を連結する合金は剪断弾性率(shear modulus)が小さく、従ってまた熱機械疲労に対する優れた耐性をもつことが特に望ましい。例えば、ダイ接合用途では、低剪断弾性率と優れた熱機械疲労性がダイのクラック防止に役立つ。比較的大きなダイが固体支持体に連結される場合には特にそうである。
【0025】
純金属の知られている弾性率、AgとBiが部分的固体混和性(solid miscibility)を示すという事実、かつAg−Bi系が金属間相または中間相を全く含まないという事実に基づいて、企図されているAg−Bi合金の室温での剪断弾性率は、13〜16GPaの範囲にあるものと企図されている(室温での剪断弾性率に加成性がある、すなわち、複合則に従うと仮定して)。企図されている合金の、13〜16GPaの範囲の室温での剪断弾性率は、Au−25%SbおよびAu−20%Sn合金の双方に対する25GPa(同じ方法で計算し、同じ仮定をして)、および合金J(Ag−10%Sb−65%Sn)に対する21GPa(合金Jの実測値は22.3GPaである)に比べて特に好ましい。
【0026】
Ag−89%Bi合金でリードフレームに結合されたシリコンダイで構成される試験用アセンブリは、1500回の熱エージング後に、目視で認められる不良の兆候は全くなかったが、これは、企図されているAg−Bi合金の、計算および実測の剪断弾性率が低いことをさらに裏付ける。
【0027】
試験アセンブリおよび他の様々なダイ接合用途で、ハンダは通常、ダイとそれにダイがハンダ付けされる基板との間に置かれる薄いシートとして作られる。後の加熱によりハンダは融解し接合部を形成する。別法として基板を加熱し、後で、薄いシート、ワイヤ、融けたハンダ、あるいは他の形態で、加熱された基板上にハンダを配置し、半導体ダイが置かれて接合部を形成する場所で、ハンダの溶滴を生成させてもよい。
【0028】
エリアアレイパッケージでは、球、小さなプリフォーム、ハンダ粉末から作られるペースト、あるいは他の形態として、企図されているハンダを配置して、この用途で一般に用いられる複数のハンダ接合部を生成させることができる。別法として、メッキ浴でメッキすること、固体または液体の状態からの蒸発、インクジェットプリンタのようなノズルによる印刷、あるいは接合部を作り出すために用いられるハンダバンプの配列を作り出すためのスパッタリングを含むプロセスで、企図されるハンダを用いてもよい。
【0029】
好ましい方法では、球が、フラックスあるいはハンダペースト(液体媒体中のハンダ粉末)のいずれかを用いて、パッケージ上のパッドに配置され、それらが加熱されてパッケージと結合するまで、球をしかるべき位置に保持する。温度は、ハンダ球が融解する温度でもよいし、低温融解組成物のハンダペーストが用いられた場合は、ハンダの融点より低くてもよい。次に、付着したハンダボール付きパッケージは、フラックスまたはハンダペーストのいずれかを用いて、基板上のエリアアレイに並べられ、加熱されて接合部を形成する。
【0030】
半導体ダイをパッケージまたはプリント配線板に接合する好ましい方法は、マスクを通してハンダペーストを印刷すること、マスクを通してハンダを蒸着すること、あるいは電導性パッドのアレイにハンダをメッキすることにより、ハンダバンプを作り出すことを含む。このような技術で作り出されたバンプまたはカラムは、加熱されて接合部を形成するときに全バンプまたはカラムが融解するように均一な組成をもつか、あるいはバンプまたはカラムの一部分だけが融解するように、半導体ダイ表面に垂直な方向で不均一でありうる。
【0031】
以上で、鉛フリーハンダの特定の実施態様と用途が開示された。しかし、本明細書の本発明の基本的着想から逸脱することなく、すでに記載されたもの以外に多くのさらなる変更が可能であることは、当業者には明らかなはずである。したがって、本発明の主題は、添付の特許請求の範囲の精神以外で、限定しようとすべきではない。さらに、明細書および特許請求の範囲の両方を解釈する上で、全ての用語は、内容に矛盾しない範囲で、可能な最も広い用法で解釈されるべきである。特に、用語「含む」および「含んでいる」は、元素、成分、または段階の非限定的な仕方での参照と解釈されるべきであり、参照された元素、成分、または段階は、明示的に参照されていない、他の元素、成分、または段階が共に存在し、あるいは利用され、あるいは組み合わされてもよいことを示している。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】例示的電子デバイスの鉛直断面を概略的に示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2wt%から18wt%の量のAgおよび98wt%から82wt%の量のBiを含む合金を含むハンダを含み、前記合金が262.5℃以上の固相線と400℃以下の液相線を有する組成物。
【請求項2】
前記合金中のAgが2wt%から7wt%の量で、かつBiが98wt%から93wt%の量で存在する請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記合金中のAgが7wt%から18wt%の量で、かつBiが93wt%から82wt%の量で存在する請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記合金中のAgが5wt%から10wt%の量で、かつBiが95wt%から90wt%の量で存在する請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記ハンダが9W/mK以上の熱伝導率をもつ請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記ハンダが、1秒後の濡れ平衡で、浸したAgに対する約0.2mNの濡れ力をもつ請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記合金の酸素親和力より大きな酸素親和力をもつ化学元素をさらに含む請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記化学元素が、Al、Ba、Ca、Ce、Cs、Hf、Li、Mg、Nd、P、Sc、Sr、Ti、Y、およびZrからなる群から選択される請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記化学元素が10ppmと1000ppmの間の濃度で存在する請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記合金が、ワイヤ、リボン、プリフォーム、アノード、球、ペースト、および蒸発スラグの少なくとも1つに形成される請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
請求項1に記載の組成物を含む材料を通して表面に連結された半導体ダイを含む電子デバイス。
【請求項12】
前記半導体ダイの少なくとも一部分がAgで金属化された請求項11に記載の電子デバイス。
【請求項13】
前記表面の少なくとも一部分がAgで金属化された請求項11に記載の電子デバイス。
【請求項14】
銀で金属化されたリードフレームを前記表面が含む請求項11に記載の電子デバイス。
【請求項15】
Agが、AgとBiの全重量の2wt%から18wt%の量で、かつBiが98wt%から82wt%の量で存在する、AgとBiを供用すること;および
AgとBiを少なくとも960℃の温度で融解させて262.5℃以上の固相線と400℃以下の液相線を有する合金を生成させること;
を含むハンダ組成物の製造方法。
【請求項16】
AgとBiを融解させる段階に先立ってAgとBiを合わせる段階がある請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記合金の酸素親和力より大きな酸素親和力をもつ化学元素を添加することをさらに含む請求項15に記載の方法。
【請求項18】
Agが2wt%から7wt%の量で、かつBiが98wt%から93wt%の量で存在する請求項15に記載の方法。
【請求項19】
Agが7wt%から18wt%の量で、かつBiが93wt%から82wt%の量で存在する請求項15に記載の方法。
【請求項20】
Agが5wt%から10wt%の量で、かつBiが95wt%から90wt%の量で存在する請求項15に記載の方法。
【請求項21】
2wt%から18wt%の量のAg、98wt%から82wt%の量のBi、および0.1wt%から5.0wt%の量の第3の元素を含む合金を含むハンダを含み、第3の元素が、Au、Cu、Pt、Sb、Zn、In、Sn、Ni、およびGeからなる群から選択され、前記合金が230℃以上の固相線と400℃以下の液相線を有する組成物。
【請求項22】
前記合金が248℃以上の固相線を有する請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記合金が258℃以上の固相線を有する請求項21に記載の組成物。
【請求項24】
第3の元素がAuである請求項21に記載の組成物。
【請求項25】
第3の元素がCuである請求項21に記載の組成物。
【請求項26】
第3の元素がPtである請求項21に記載の組成物。
【請求項27】
第3の元素がSbである請求項21に記載の組成物。
【請求項28】
第3の元素がZnである請求項21に記載の組成物。
【請求項29】
第3の元素がInである請求項21に記載の組成物。
【請求項30】
第3の元素がSnである請求項21に記載の組成物。
【請求項31】
第3の元素がNiである請求項21に記載の組成物。
【請求項32】
第3の元素がGeである請求項21に記載の組成物。
【請求項33】
請求項21に記載の組成物を含む材料を通して表面に連結された半導体ダイを含む電子デバイス。

【図1】
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【公開番号】特開2009−148832(P2009−148832A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−332413(P2008−332413)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【分割の表示】特願2003−500307(P2003−500307)の分割
【原出願日】平成13年5月28日(2001.5.28)
【出願人】(501228624)ハネウエル・インターナシヨナル・インコーポレーテツド (24)
【Fターム(参考)】