高炉への還元性ガス吹込制御方法と装置
【課題】 高炉に還元性ガスを吹込む際に、還元性ガスの吹込制御が簡便で安価な、逆火防止を含めた安全対策設備を提供する。
【解決手段】 上記課題は、高炉への還元性ガスの吹込装置において、予め還元性ガスの吹込圧と高炉炉内圧との差圧と、羽口から炉内に吹込まれる還元性ガスの吹出速度との関係を求めておき、この吹出速度が該還元性ガスの燃焼速度の所定倍である警戒値を下廻らないように吹込圧を調節することを特徴とする、高炉への還元性ガス吹込制御方法と、その装置によって達成される。
【解決手段】 上記課題は、高炉への還元性ガスの吹込装置において、予め還元性ガスの吹込圧と高炉炉内圧との差圧と、羽口から炉内に吹込まれる還元性ガスの吹出速度との関係を求めておき、この吹出速度が該還元性ガスの燃焼速度の所定倍である警戒値を下廻らないように吹込圧を調節することを特徴とする、高炉への還元性ガス吹込制御方法と、その装置によって達成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高炉への還元性ガス吹込制御方法と装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高炉において、高出銑比、低還元材操業を達成する手段として、天然ガスや都市ガス等の還元性ガスを吹込むことが行われている。高炉への還元性ガスの吹込は炉内圧に抗して行われるため、逆火を含めた安全対策に十分な配慮をする必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
逆火を防止するためには、その還元性ガスの燃焼速度より十分に速い速度で炉内に吹込めばよく、それぞれの吹込管に流量計を取付けて吹込速度を確認すればよい。しかしながら、これは管理が煩瑣なばかりか設備費が高価になる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一方、炉内への還元性ガスの吹込速度は、還元性ガスの吹込圧力と高炉の炉内圧力との差圧を監視することによって推定できる。
【0005】
本発明は、還元性ガスの吹込圧力と高炉の炉内圧力との差圧を監視し、その差圧が警戒値を割込まないように吹込圧を調節し、割込んだ場合には還元性ガスの吹込を停止し、逆火延焼を防止するために窒素などの不活性ガスを吹込むことにより安全性を確保した方法と装置を提供するものである。
【0006】
すなわち、本発明は、高炉への還元性ガスの吹込装置において、予め還元性ガスの吹込圧と高炉炉内圧との差圧と、羽口から炉内に吹込まれる還元性ガスの吹出速度との関係を求めておき、この吹出速度が該還元性ガスの燃焼速度の所定倍である警戒値を下廻らないように吹込圧を調節することを特徴とする、高炉への還元性ガス吹込制御方法と、炉内へ吹込む還元性ガスの圧力を測定する圧力検出器と、高炉の炉内圧力を測定する圧力検出器と、還元性ガスの流量を調整する流量調整弁と、両圧力検出器からの圧力信号を受信してその差圧を求め、該差圧が警戒値を下廻らないよう流量調整弁を操作するコンピュータよりなる、高炉への還元性ガス吹込制御装置と、還元性ガスを炉内に供給する還元性ガス供給管に不活性ガスを吹込む装置を備えていて、前記差圧が警戒値を下廻ったときに、還元性ガスの炉内への吹込を停止し、不活性ガスを吹込むように構成されている上記記載の装置と、還元性ガスを炉内に供給する還元性ガス供給管に火災伝播防止装置が組込まれている上記記載の装置に関するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、高炉に還元性ガスを吹込む際に、還元性ガスの吹込制御が簡便で安価な、逆火防止を含めた安全対策設備を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
高炉への還元性ガスの吹込装置は、炉内に還元性ガスを吹込む羽口と、還元性ガス供給本管と羽口を結ぶ還元性ガス供給管と、可燃ガス供給管に取付けられて還元性ガスの流量を調節する流量調整弁と、炉内に吹込む還元性ガスの圧力を測定する圧力検出器等よりなる。
【0009】
羽口は炉体の外壁に周状に配置され、その数は炉体の容積、必要送風量によって定まる。
【0010】
還元性ガス供給管は、還元性ガス供給本管への接続部と、炉体を取巻くリング状部と、このリング状部と各羽口を結ぶ吹込管よりなる。本発明者は、先に図1に示すような、複数のリング管からなる配管構造を発明し、特許出願した。その内容は、羽口を、それぞれが円周バランスがとれるような複数のグループに分けて、各グループ毎に別個のリングに接続したものである。この各リングへの還元性ガスの供給を開閉することによって、逆火を生じない吹込速度を確保しながら吹込量の調節を容易に行うことができ、しかも円周バランスのとれた吹込ができるようにしたものである。
【0011】
流量調整弁は、リング状部と本管を結ぶ接続部に設ければよいが、各リング状部ごとに設けて、流量を別個にコントロールできるようにしてもよい。
【0012】
圧力検出器は、炉内へ吹込む還元性ガスの圧力を測定するものであるが、各羽口毎に設ける必要はなく、各リング状部の圧力をそれぞれ測定できれば充分である。
【0013】
還元性ガスの吹込装置には、上記の外、逆止弁や、異常事態が生じた場合に対処しうるよう、遮断弁や安全弁などを適宜取付ける。
また、万一の逆火の発生に備えて、火炎伝播防止装置を設けることが好ましく、これは各リング状部ごとに設けることが望ましい。
【0014】
炉内の圧力を測定する圧力検出器は、本来は羽口近傍の圧力を測定するものであるが、それと相関関係にある他の部位の圧力を測定するものであってもよい。従って、羽口近傍の外、炉底部から炉頂部に至る適宜部位の圧力であってもよく、あるいは、炉内に熱風を吹込む送風圧力を測定するものであってもよい。
【0015】
本発明においては、炉内へ吹込む還元性ガスの圧力と炉内圧力との差圧を求めて、これを吹込圧とし、これと羽口から吹出される還元性ガスの吹出速度との関係を計算値として求めておく。
【0016】
一方、用いる還元性ガスの燃焼速度は都市ガス等市販のガスはあらかじめ供給者が提示する。この燃焼速度はJIS K−2301等に従って測定することができる。
【0017】
そして、操業時に測定されている還元性ガスの吹込圧と炉内圧力の差圧が警戒値を下廻らないよう還元性ガス供給管に取付けられた測量調整弁を操作又はガスを供給するリング管の本数を制御するのである。この操作は手動で行ってもよいが、圧力検出器からの信号をコンピュータ処理して、その指令により、流量調整弁を自動で開閉できるようにするのがよい。
【0018】
この警戒値は、逆火を生じないよう還元性ガスの燃焼速度を基準に定められ、燃焼速度の10倍、好ましくは25倍、より好ましくは50倍とするのがよい。
【0019】
本発明では、還元性ガスを炉内に供給する還元性ガス供給管に不活性ガスを吹込む装置を設けて、前記差圧が警戒値を下廻ったときに、還元性ガスの吹込を停止するとともに、不活性ガスを吹込むようにしておくことが好ましい。不活性ガスは還元性ガスの燃焼を阻止しうるものであれば特に制限されないが、通常は窒素が安価で入手が容易な点で好ましい。不活性ガス供給管の還元性ガス供給管への接続位置は炉からあまり離れていないところがよく、特に、リング状部への接続部(リング状部が複数あるときはそれぞれに還元性ガスを送る分岐部)に接続するのが好ましい。また、還元性ガス供給管には、不活性ガスを吹込む際に還元性ガスを系外に出す放散管も接続する。すなわち、不活性ガスを吹込み、還元性ガスを系外に放散する事により、還元性ガス供給管の中で還元性ガスは不活性ガスに置換され、不活性ガスによる遮断部を形成する。
【0020】
本発明が適用される高炉は特に制限されないが、本発明は大型の高炉に威力を発揮するものであり、3000m3以上、特に4000m3以上、さらに5000m3以上のものに有効である。
【0021】
還元性ガスは、メタン、プロパン、都市ガス、高炉、コークス、転炉等から発生する所内副生ガス等のガスである。
【実施例】
【0022】
本発明の還元性ガス吹込制御装置を高炉に取付けた状態の例を図1に、そして、還元性ガス吹込供給管と高炉送風配管に圧力計を取付けた状態の例を図2に示す。
【0023】
この装置における還元性ガス供給管は、還元性ガス供給本管(図示されていない。)への接続部1と、炉体を取巻くリング状部3と、接続部1から分岐されて各リング状部3へ還元性ガスを送る分岐部2と、各リング状部3と羽口を結ぶ吹込管4からなっている。
【0024】
この還元性ガス供給管には、上流側からガス放散管11、遮断弁12、ガス供給管13、逆止弁14、ガス放散管15、安全弁16、遮断弁17、流量調整弁18が取付けられている。各ガス放散管11、15の基部および安全弁16の基部にもそれぞれ遮断弁が取付けられている。
【0025】
図2に示すように、各分岐部2の遮断弁21の下流側には圧力検出器P1、P2、P3、P4が取付けられている。一方、高炉送風配管5にも圧力計BPが取付けられていて、両圧力検出器(P1〜P4とBP)の差圧がコンピュータ6によって監視されている。このコンピュータ6の指令により流量調整弁18が開閉して流量が調整される。
【0026】
この装置を用いて、還元性ガスとして都市ガスを使用する場合、次のようにして吹込む。まず、都市ガス燃焼速度は0.4m/secであるので、例えば吹込速度を都市ガスの燃焼速度の25倍以上を確保する場合、吹込圧力を羽口先送風圧力に対し40KPa(0.4kg/cm2)以上とする。これは、吹込む都市ガスの流量に応じて使用するリング管の本数を制御することによって達成できる。
【0027】
そして、圧力検出器P1、P2、P3、P4と高炉送風圧力検出器BPが示す各圧力と、圧力検出器P1〜P4と圧力検出器BPとの差圧を常時コンピュータ6でチェックする。圧力検出器P1〜P4のいずれかと圧力検出器BPとの差圧が40KPaを下廻った場合、当該系統の遮断弁21を閉じ、ガス供給管23の2つの遮断弁24、25を開いてN2ガスを供給する。このN2ガスは高炉内にパージされる。
【0028】
11、15、28はそれぞれ遮断弁、制御機器を取り替える時、必要な部分をN2置換するため、管内に封入されたガスを放散するのに使用する。検知口は都市ガス‐N2それぞれ置換されているかの確認用。そこからガスをサンプリングしチェックするのに使用する。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明の還元性ガス吹込制御方法と装置により、大型高炉であっても、安価かつ容易に送火等を防止して安全操業を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施例である、高炉への還元性ガス吹込制御装置を高炉に取付けた状態の例を示す図である。
【図2】上記装置の高炉まわりの状態を示す図である。
【符号の説明】
【0031】
1…接続部
11…ガス放散管
12…遮断弁
13…ガス供給管
14…逆止弁
15…ガス放散管
16…安全弁
17…遮断弁
18…流量調整弁
2…分岐部
21…遮断弁
22…火災伝播防止装置
23…ガス供給管
24…遮断弁
25…遮断弁
26…ガス放散管
27…検知口
28…ガス放散管
29…検知
3…リング状部
4…吹込管
5…高炉送風配管
6…コンピュータ
P1〜P4…圧力検出器
BP…高炉送風圧力検出器
【技術分野】
【0001】
本発明は、高炉への還元性ガス吹込制御方法と装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高炉において、高出銑比、低還元材操業を達成する手段として、天然ガスや都市ガス等の還元性ガスを吹込むことが行われている。高炉への還元性ガスの吹込は炉内圧に抗して行われるため、逆火を含めた安全対策に十分な配慮をする必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
逆火を防止するためには、その還元性ガスの燃焼速度より十分に速い速度で炉内に吹込めばよく、それぞれの吹込管に流量計を取付けて吹込速度を確認すればよい。しかしながら、これは管理が煩瑣なばかりか設備費が高価になる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一方、炉内への還元性ガスの吹込速度は、還元性ガスの吹込圧力と高炉の炉内圧力との差圧を監視することによって推定できる。
【0005】
本発明は、還元性ガスの吹込圧力と高炉の炉内圧力との差圧を監視し、その差圧が警戒値を割込まないように吹込圧を調節し、割込んだ場合には還元性ガスの吹込を停止し、逆火延焼を防止するために窒素などの不活性ガスを吹込むことにより安全性を確保した方法と装置を提供するものである。
【0006】
すなわち、本発明は、高炉への還元性ガスの吹込装置において、予め還元性ガスの吹込圧と高炉炉内圧との差圧と、羽口から炉内に吹込まれる還元性ガスの吹出速度との関係を求めておき、この吹出速度が該還元性ガスの燃焼速度の所定倍である警戒値を下廻らないように吹込圧を調節することを特徴とする、高炉への還元性ガス吹込制御方法と、炉内へ吹込む還元性ガスの圧力を測定する圧力検出器と、高炉の炉内圧力を測定する圧力検出器と、還元性ガスの流量を調整する流量調整弁と、両圧力検出器からの圧力信号を受信してその差圧を求め、該差圧が警戒値を下廻らないよう流量調整弁を操作するコンピュータよりなる、高炉への還元性ガス吹込制御装置と、還元性ガスを炉内に供給する還元性ガス供給管に不活性ガスを吹込む装置を備えていて、前記差圧が警戒値を下廻ったときに、還元性ガスの炉内への吹込を停止し、不活性ガスを吹込むように構成されている上記記載の装置と、還元性ガスを炉内に供給する還元性ガス供給管に火災伝播防止装置が組込まれている上記記載の装置に関するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、高炉に還元性ガスを吹込む際に、還元性ガスの吹込制御が簡便で安価な、逆火防止を含めた安全対策設備を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
高炉への還元性ガスの吹込装置は、炉内に還元性ガスを吹込む羽口と、還元性ガス供給本管と羽口を結ぶ還元性ガス供給管と、可燃ガス供給管に取付けられて還元性ガスの流量を調節する流量調整弁と、炉内に吹込む還元性ガスの圧力を測定する圧力検出器等よりなる。
【0009】
羽口は炉体の外壁に周状に配置され、その数は炉体の容積、必要送風量によって定まる。
【0010】
還元性ガス供給管は、還元性ガス供給本管への接続部と、炉体を取巻くリング状部と、このリング状部と各羽口を結ぶ吹込管よりなる。本発明者は、先に図1に示すような、複数のリング管からなる配管構造を発明し、特許出願した。その内容は、羽口を、それぞれが円周バランスがとれるような複数のグループに分けて、各グループ毎に別個のリングに接続したものである。この各リングへの還元性ガスの供給を開閉することによって、逆火を生じない吹込速度を確保しながら吹込量の調節を容易に行うことができ、しかも円周バランスのとれた吹込ができるようにしたものである。
【0011】
流量調整弁は、リング状部と本管を結ぶ接続部に設ければよいが、各リング状部ごとに設けて、流量を別個にコントロールできるようにしてもよい。
【0012】
圧力検出器は、炉内へ吹込む還元性ガスの圧力を測定するものであるが、各羽口毎に設ける必要はなく、各リング状部の圧力をそれぞれ測定できれば充分である。
【0013】
還元性ガスの吹込装置には、上記の外、逆止弁や、異常事態が生じた場合に対処しうるよう、遮断弁や安全弁などを適宜取付ける。
また、万一の逆火の発生に備えて、火炎伝播防止装置を設けることが好ましく、これは各リング状部ごとに設けることが望ましい。
【0014】
炉内の圧力を測定する圧力検出器は、本来は羽口近傍の圧力を測定するものであるが、それと相関関係にある他の部位の圧力を測定するものであってもよい。従って、羽口近傍の外、炉底部から炉頂部に至る適宜部位の圧力であってもよく、あるいは、炉内に熱風を吹込む送風圧力を測定するものであってもよい。
【0015】
本発明においては、炉内へ吹込む還元性ガスの圧力と炉内圧力との差圧を求めて、これを吹込圧とし、これと羽口から吹出される還元性ガスの吹出速度との関係を計算値として求めておく。
【0016】
一方、用いる還元性ガスの燃焼速度は都市ガス等市販のガスはあらかじめ供給者が提示する。この燃焼速度はJIS K−2301等に従って測定することができる。
【0017】
そして、操業時に測定されている還元性ガスの吹込圧と炉内圧力の差圧が警戒値を下廻らないよう還元性ガス供給管に取付けられた測量調整弁を操作又はガスを供給するリング管の本数を制御するのである。この操作は手動で行ってもよいが、圧力検出器からの信号をコンピュータ処理して、その指令により、流量調整弁を自動で開閉できるようにするのがよい。
【0018】
この警戒値は、逆火を生じないよう還元性ガスの燃焼速度を基準に定められ、燃焼速度の10倍、好ましくは25倍、より好ましくは50倍とするのがよい。
【0019】
本発明では、還元性ガスを炉内に供給する還元性ガス供給管に不活性ガスを吹込む装置を設けて、前記差圧が警戒値を下廻ったときに、還元性ガスの吹込を停止するとともに、不活性ガスを吹込むようにしておくことが好ましい。不活性ガスは還元性ガスの燃焼を阻止しうるものであれば特に制限されないが、通常は窒素が安価で入手が容易な点で好ましい。不活性ガス供給管の還元性ガス供給管への接続位置は炉からあまり離れていないところがよく、特に、リング状部への接続部(リング状部が複数あるときはそれぞれに還元性ガスを送る分岐部)に接続するのが好ましい。また、還元性ガス供給管には、不活性ガスを吹込む際に還元性ガスを系外に出す放散管も接続する。すなわち、不活性ガスを吹込み、還元性ガスを系外に放散する事により、還元性ガス供給管の中で還元性ガスは不活性ガスに置換され、不活性ガスによる遮断部を形成する。
【0020】
本発明が適用される高炉は特に制限されないが、本発明は大型の高炉に威力を発揮するものであり、3000m3以上、特に4000m3以上、さらに5000m3以上のものに有効である。
【0021】
還元性ガスは、メタン、プロパン、都市ガス、高炉、コークス、転炉等から発生する所内副生ガス等のガスである。
【実施例】
【0022】
本発明の還元性ガス吹込制御装置を高炉に取付けた状態の例を図1に、そして、還元性ガス吹込供給管と高炉送風配管に圧力計を取付けた状態の例を図2に示す。
【0023】
この装置における還元性ガス供給管は、還元性ガス供給本管(図示されていない。)への接続部1と、炉体を取巻くリング状部3と、接続部1から分岐されて各リング状部3へ還元性ガスを送る分岐部2と、各リング状部3と羽口を結ぶ吹込管4からなっている。
【0024】
この還元性ガス供給管には、上流側からガス放散管11、遮断弁12、ガス供給管13、逆止弁14、ガス放散管15、安全弁16、遮断弁17、流量調整弁18が取付けられている。各ガス放散管11、15の基部および安全弁16の基部にもそれぞれ遮断弁が取付けられている。
【0025】
図2に示すように、各分岐部2の遮断弁21の下流側には圧力検出器P1、P2、P3、P4が取付けられている。一方、高炉送風配管5にも圧力計BPが取付けられていて、両圧力検出器(P1〜P4とBP)の差圧がコンピュータ6によって監視されている。このコンピュータ6の指令により流量調整弁18が開閉して流量が調整される。
【0026】
この装置を用いて、還元性ガスとして都市ガスを使用する場合、次のようにして吹込む。まず、都市ガス燃焼速度は0.4m/secであるので、例えば吹込速度を都市ガスの燃焼速度の25倍以上を確保する場合、吹込圧力を羽口先送風圧力に対し40KPa(0.4kg/cm2)以上とする。これは、吹込む都市ガスの流量に応じて使用するリング管の本数を制御することによって達成できる。
【0027】
そして、圧力検出器P1、P2、P3、P4と高炉送風圧力検出器BPが示す各圧力と、圧力検出器P1〜P4と圧力検出器BPとの差圧を常時コンピュータ6でチェックする。圧力検出器P1〜P4のいずれかと圧力検出器BPとの差圧が40KPaを下廻った場合、当該系統の遮断弁21を閉じ、ガス供給管23の2つの遮断弁24、25を開いてN2ガスを供給する。このN2ガスは高炉内にパージされる。
【0028】
11、15、28はそれぞれ遮断弁、制御機器を取り替える時、必要な部分をN2置換するため、管内に封入されたガスを放散するのに使用する。検知口は都市ガス‐N2それぞれ置換されているかの確認用。そこからガスをサンプリングしチェックするのに使用する。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明の還元性ガス吹込制御方法と装置により、大型高炉であっても、安価かつ容易に送火等を防止して安全操業を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施例である、高炉への還元性ガス吹込制御装置を高炉に取付けた状態の例を示す図である。
【図2】上記装置の高炉まわりの状態を示す図である。
【符号の説明】
【0031】
1…接続部
11…ガス放散管
12…遮断弁
13…ガス供給管
14…逆止弁
15…ガス放散管
16…安全弁
17…遮断弁
18…流量調整弁
2…分岐部
21…遮断弁
22…火災伝播防止装置
23…ガス供給管
24…遮断弁
25…遮断弁
26…ガス放散管
27…検知口
28…ガス放散管
29…検知
3…リング状部
4…吹込管
5…高炉送風配管
6…コンピュータ
P1〜P4…圧力検出器
BP…高炉送風圧力検出器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高炉への還元性ガスの吹込装置において、予め還元性ガスの吹込圧と高炉炉内圧との差圧と、羽口から炉内に吹込まれる還元性ガスの吹出速度との関係を求めておき、この吹出速度が該還元性ガスの燃焼速度の所定倍である警戒値を下廻らないように吹込圧を調節することを特徴とする、高炉への還元性ガス吹込制御方法
【請求項2】
炉内へ吹込む還元性ガスの圧力を測定する圧力検出器と、炉内の圧力を測定する圧力検出器と、還元性ガスの流量を調整する流量調整弁と、両圧力検出器からの信号を受信してその差圧を求め、該差圧が警戒値を下廻らないよう流量調整弁を操作するか、還元性ガスの吹込み流速を確保するため吹込み本数を制御するコンピュータよりなる、高炉への還元性ガス吹込制御装置
【請求項3】
還元性ガスを炉内に供給する還元性ガス供給管に不活性ガスを吹込む装置を備えていて、前記差圧が警戒値を下廻ったときに、還元性ガスの炉内への吹込を停止し、不活性ガスを吹込むように構成されている請求項2記載の装置
【請求項4】
還元性ガスを炉内に供給する還元性ガス供給管に火災伝播防止装置が組込まれている請求項2又は3記載の装置
【請求項1】
高炉への還元性ガスの吹込装置において、予め還元性ガスの吹込圧と高炉炉内圧との差圧と、羽口から炉内に吹込まれる還元性ガスの吹出速度との関係を求めておき、この吹出速度が該還元性ガスの燃焼速度の所定倍である警戒値を下廻らないように吹込圧を調節することを特徴とする、高炉への還元性ガス吹込制御方法
【請求項2】
炉内へ吹込む還元性ガスの圧力を測定する圧力検出器と、炉内の圧力を測定する圧力検出器と、還元性ガスの流量を調整する流量調整弁と、両圧力検出器からの信号を受信してその差圧を求め、該差圧が警戒値を下廻らないよう流量調整弁を操作するか、還元性ガスの吹込み流速を確保するため吹込み本数を制御するコンピュータよりなる、高炉への還元性ガス吹込制御装置
【請求項3】
還元性ガスを炉内に供給する還元性ガス供給管に不活性ガスを吹込む装置を備えていて、前記差圧が警戒値を下廻ったときに、還元性ガスの炉内への吹込を停止し、不活性ガスを吹込むように構成されている請求項2記載の装置
【請求項4】
還元性ガスを炉内に供給する還元性ガス供給管に火災伝播防止装置が組込まれている請求項2又は3記載の装置
【図1】
【図2】
【図2】
【公開番号】特開2006−274341(P2006−274341A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−94572(P2005−94572)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]