説明

高用量フィルム組成物およびその製法

本発明は、多量の薬剤を配合するフィルムおよびその製造方法に関するものである。更に、本発明は、フィルム製品、および非-自己凝集性で均一な不均質性の証となる、その製造方法に関する。望ましくは、該フィルムは水中で崩壊し、制御された乾燥法、または該フィルムの所定の均一性を維持する他の方法により製造できる。望ましくは、該フィルムは、該フィルムの単位面積当たりの、薬理的に活性なおよび/または化粧学的に活性な薬剤を、該活性成分、即ち薬理的および/または化粧学的に活性な薬剤の量における、10%以下の変動にて含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、迅速に溶解する高用量フィルムおよびその製造方法に関するものである。該フィルムは、また該フィルム全体に渡って、均等に分布する活性成分をも含むことができる。この均等なまたは均一な分布は、1またはそれ以上のパラメータを調節することにより、および特にフィルム製造前およびその製造中のエアポケットの排除、および該フィルム中の成分が固体構造物に形成される際の、その凝集または団塊化を減じる乾燥工程の使用によって達成される。
【背景技術】
【0002】
活性成分、例えば薬物または薬剤は、錠剤として調製して、正確かつ一定の用量を保証することができる。しかし、この医薬調製および分配形態は、取扱い得るサイズを得るべく、大量の佐剤を添加する必要があること、より大きな薬剤形状のために、追加の保存スペースを要すること、および調剤が、不正確となる傾向のある、錠剤の計数を含むこと等を包含する、多くの欠点を有する。更に、人口の28%にも及ぶものと推定される多くの人々が、錠剤嚥下の困難さを訴えている。錠剤は、嚥下困難を克服する手段として、より小さな断片に砕くか、あるいは圧潰することもできるが、多くの錠剤または丸剤形状のものにとって適当な解決策ではない。例えば、錠剤または丸剤形状のものを圧潰または破壊して、単独でまたは食物との混合物として、その摂取を容易にすることは、その制御放出特性を損なう恐れもある。
【0003】
錠剤または丸剤に代わるものとして、フィルムを、活性成分、例えば薬物、薬剤等を担持するのに使用することができる。しかし、歴史的にフィルムおよび該フィルムから薬物放出系を製造する方法は、その実用化を妨げている幾つかの望ましからぬ特性を有している。
【0004】
薬理的に活性な成分を配合したフィルムは、Fuchs等に付与された、期限切れの米国特許第4,136,145号(Fuchs特許)に記載されている。これらのフィルムは、シートに成形し、乾燥し、次いで各単位用量に裁断することができる。該Fuchs特許では、水溶性ポリマー、界面活性剤、香料、甘味料、可塑剤および薬物の組合せを含む、均一なフィルムが得られたものと主張している。これらの申し立てによる可撓性フィルムは、経口、局所または経腸投与にとって有用であるものとして記載されている。該Fuchs特許に記載されている特定の用途の例は、該フィルムの、口、直腸、膣、鼻および耳の領域を含む、身体の粘膜領域に対する適用を含む。
【0005】
しかし、該Fuchs特許に記載された方法に従って製造したフィルムを検討すると、このようなフィルムは、粒子の凝集または団塊化、即ち自己凝集を引起し、本来的に不均一なものとなってしまうことが明らかとなる。この結果は、該Fuchs特許のプロセスパラメータに起因する可能性があり、該パラメータは、適切に記載されてはいないが、比較的長い乾燥期間を含み、そのために、このような凝集体を生成するように、分子間引力、対流作用、空気流等が作用し易くなっている。
【0006】
この凝集体の形成は、該フィルムの成分、また同様に存在するあらゆる活性成分をランダムに分布させる。大用量が関与する場合、該フィルムのサイズにおける僅かな変化が、フィルム当たりの該活性成分の量における大きな差異に導くであろう。このようなフィルムが、低用量の活性成分を含む場合、該フィルムの一部分は、如何なる活性成分をも、実質的に含まないものとなる恐れがある。フィルムのシートは、通常単位投与剤形に裁断されるので、結果として幾つかの単位投与剤形は、推奨される治療に必要な活性成分を含まないか、あるいは該治療にとって不十分な量の活性成分を含むことになる恐れがある。該裁断されたフィルム中の活性成分の量に関して、高い精度を達成できないことは、治療すべき患者にとって有害であり得る。そのために、該Fuchs特許等の方法により作成された投与剤形は、単位剤形における活性成分の変動に係る、政府または取締り機関、例えばU.S.フェデラルドラッグアドミニストレーション(Federal Drug Administration: “FDA”)の厳密な基準を満たさない恐れがある。一般的に、様々な世界的取締り機関によって要求されているように、投与剤形では、存在する活性成分の量において、10%を越えて変動してはならない。フィルムを基本とする投与単位に適用される場合、このことは、完全に、該フィルムにおける均一性が存在すべきことを指示している。
【0007】
フィルムの不均一性に導く、上記自己-凝集の問題は、Schmidtに付与された米国特許第4,849,246号(Schmidt特許)において扱われている。該Schmidt特許では、Fuchsによって開示された方法が、均一なフィルムを与えないことを具体的に指摘し、また不均一なフィルムの生成が、必然的に正確な薬剤の服用を阻害し、上で論じた如く、これが製薬の分野においては特に重要であることを認めた。Schmidtは、Fuchsによって記載された如き単層フィルムが、正確な投与剤形を与えることができるという認識を放棄し、その代りにこの問題を、多層フィルムを製造することによって解決しようと試みた。更に、彼の方法は、高い経費を要し、また複雑さをもたらす、多段法であり、工業的利用にとって実用的なものではない。
【0008】
他の米国特許は、従来のフィルム製造技術に固有の、粒子の自己-凝集および不均一性の問題を直接扱った。不均一性を克服するための一試みにおいて、Horstmann等に付与された米国特許第5,629,003号およびZerbe等に付与された米国特許第5,948,430号では、該フィルム内の成分の凝集性を減じるために、該フィルムを乾燥する前に、付随的な成分、即ち夫々ゲル形成剤および多価アルコールを配合して、その粘度を高めた。これらの方法は、追加の成分を必要とするという欠点を有し、該追加の成分の使用は、コスト増につながり、また製造工程を増やす。更に、これら2つの方法は、従来の時間浪費の乾燥方法、例えばオーブン乾燥機、トンネル乾燥機、真空乾燥機または他の乾燥装置を用いる、高温空気浴の使用を含む。この長期間に及ぶ乾燥時間は、粘度改良剤の使用にも拘らず、該活性成分および他の佐剤の凝集促進を助ける。このような方法は、また該活性成分、即ち薬物またはビタミンC、もしくはその他の成分を、無効または更に有害なものとする恐れのある湿度および高温度に、これらを長期間暴露する危険性をも有する。
【0009】
長期間に及び水分に暴露した際の活性成分の劣化に係る問題に加えて、従来の乾燥方法自体は、均一なフィルムを与えることができない。しばしば「熱履歴」と呼ばれる、従来の処理中の熱に対する暴露期間の長さ、およびこのような熱を適用する方法は、フィルム製品の形成および得られる該フィルムの形態に直接的な影響を及ぼす。活性成分としての薬物の配合に極めて適した比較的厚いフィルムが望ましい場合に、従来の乾燥方法によって、均一性を達成することは、特に困難である。より厚みのある均一なフィルムを得ることは、更に一層困難である。というのは、該フィルムの表面および該フィルムの内部部分が、乾燥中に同時に同一の外部条件に置かれることがないからである。従って、このような従来の方法によって製造した比較的厚いフィルムを観察すると、対流および分子間力によって引起される不均一な構造を持つことが示され、また可撓性を維持するために、10%を越える水分が必要とされる。遊離水分の量は、しばしば長時間に渡り、該薬物の薬効発揮を妨害し、従って最終製品の不一致をもたらす。
【0010】
従来の乾燥法は、一般的に、オーブン乾燥、トンネル乾燥等を利用した強制高温空気の使用を含む。均一なフィルムを得ることの困難さは、該フィルム形成組成物のレオロジー特性および該組成物中の水の蒸発過程と直接関連している。水性ポリマー溶液の表面が、高温の空気流、例えば高温エアオーブンを通過するフィルム-形成組成物と接している場合、該表面水は、即座に蒸発して、その表面上にポリマーフィルムまたはスキンを形成する。これは、該表面下部の該水性フィルム-形成組成物の残部を封止して、バリアを形成するが、乾燥フィルムを完成するために、残りの水が蒸発する際に、該水は、無理矢理このバリアを通り抜ける必要がある。該フィルム外部の温度が、増大し続けると、水蒸気圧が、該フィルム表面下部で増大し、該フィルムの表面を伸張させ、また最終的に該フィルム表面を引裂いて開放させ、該水蒸気の逃散を可能とする。該水蒸気が逃散するや否や、該ポリマーフィルム表面が再生され、また該フィルムが完全に乾燥されるまで、このような過程が繰り返される。該フィルム表面の、このような反復的破壊および再生の結果は、「波シワ形成効果」として観測され、これは斑のある、結果的に不均質なフィルムを生成する。しばしば、該ポリマーに依存して、表面は、残留する水の除去を困難にする程に、密に封止され、極めて長い乾燥時間および高い温度の使用を要し、かつより高いエネルギーコストの必要性へと導くであろう。
【0011】
他のファクタ、例えば混合技術等も、商品化するのに適したかつ取締り機関の承認が得られる、薬理的フィルムの製造においてある役割を演じている。該混合工程中またはその後の該フィルムの調製中に、空気が該組成物中に取込まれる可能性があり、これは該乾燥段階中に、該フィルム製品内の水分が蒸発するにつれて、該フィルム製品内に空孔を残す恐れがある。該フィルムは、しばしば該空孔の周りで潰れて、斑のあるフィルム表面、およびその結果として該最終的なフィルム製品の不均一性をもたらす。均一性は、気泡によって発生した該フィルム内の空孔が潰れない場合においてさえ、依然として気泡によって影響を受ける。この状況は、また均一に分布していない空隙が、該フィルム組成物によって占有されるはずの領域を占有するという意味で、不均一なフィルムを与える。上記特許の何れも、該フィルムに導入されている空気に起因する、上記の問題を取扱っておらず、また該問題に対する解決策を提案してもいない。
【0012】
従って、最小数の材料または成分を使用し、しかも実質的に非自己-凝集性で均質な、不均質性を、該フィルムの領域全体に渡りもたらす、フィルム製品、特に高用量のフィルム製品の製法およびそのための組成物に対する要求がある。望ましくは、このようなフィルムは、所定の粘度を与えるポリマーまたはその組合せの選択、フィルム-形成法、例えばリバースロール塗布法の選択、および非自己-凝集性成分の均一な分布を維持するのに役立つ、制御された、望ましくは迅速な乾燥法の選択によって製造され、その際に従来特許、例えば上記のHorstmannおよびZerbeの特許に記載された製品および方法において必要とされるような、ゲル形成剤または多価アルコール等を添加する必要はない。該フィルムでは、また望ましくは、その内部における気泡を実質的に減じあるいは排除し、結果的に最終的なフィルム製品の均一性を高める、組成物と製造方法とを組合せる。
【0013】
更に、従来のフィルムでは、しばしば多量のフィラー、甘味料、香料、および他の成分を組合せて、該フィルム内に配合し得る薬理的に活性な成分の量を制限している。事実、従来のフィルムでは、最良でも、しばしばその僅かに約30質量%程度の量の薬理的に活性な成分が配合されている。
【0014】
従来のストリップの薬物-配合量の限界を考慮すると、薬理的活性薬剤の所定量を放出するためには、2以上のフィルムストリップを、患者に投与することが必要となり得る。更に、あるいは別の態様では、所定の寸法を越えるより大きな寸法のフィルムを使用することが必要となり得る。しかし、所定量の薬理的に活性な成分を放出するための、2以上のストリップの投与は、製造上の観点から非効率的であり、しかも多大な経費を要する。その上、大きな寸法を持つストリップは、しばしば消費者の許容性の観点から、望ましくない。従って、多量の薬理的に活性な成分を配合したフィルムに対する需要が依然として存在する。
【発明の概要】
【0015】
本発明の幾つかの態様においては、以下のような成分:
(a) 少なくとも1種のポリマー;および
(b) 少なくとも1種の活性成分
を含み、該活性成分が、該フィルム製品全質量の、少なくとも約30質量%なる量、およびより望ましくは該フィルム製品全質量の、少なくとも約56質量%なる量、およびより一層望ましくは該フィルム製品全質量の、少なくとも約60質量%なる量で存在することを特徴とする、フィルム製品を提供する。
【0016】
本発明の他の態様においては、活性成分を経口投与する方法が提供され、該方法は、以下の工程:
(a) 少なくとも1種のポリマーと、少なくとも1種の活性成分とを含むフィルムを調製する工程;および
(b) 該フィルムを哺乳動物の口腔内に導入する工程、
を含み、該少なくとも1種の活性成分が、該フィルム全質量の少なくとも約30質量%なる量、およびより望ましくは該フィルム製品全質量の、少なくとも約56質量%なる量およびより一層望ましくは該フィルム製品全質量の、少なくとも約60質量%なる量で存在することを特徴とする。
【0017】
本発明の他の態様においては、活性成分を経口投与する方法が提供され、該方法は、以下の工程:
(a) 以下の工程に従ってフィルムを製造する工程:
(i) 少なくとも1種のポリマーと、少なくとも1種の活性成分とを併合する工程;
(ii) 該材料をフィルムに成形する工程;および
(iii) 該フィルムを乾燥する工程、
(b) 該フィルムを哺乳動物の口腔内に導入する工程、
を含み、該少なくとも1種の活性成分が、該フィルム全質量の少なくとも約30質量%なる量、およびより望ましくは該フィルム製品全質量の、少なくとも約56質量%なる量およびより一層望ましくは該フィルム製品全質量の、少なくとも約60質量%なる量で存在することを特徴とする。
【0018】
本発明の更に別の態様においては、少なくとも1種のポリマーと、少なくとも1種の活性成分とを併合して、フィルム製品を作成する工程を含み、該少なくとも1種の活性成分が、該フィルム全質量の少なくとも約30質量%なる量、およびより望ましくは該フィルム製品全質量の、少なくとも約56質量%なる量およびより一層望ましくは該フィルム製品全質量の、少なくとも約60質量%なる量で存在する、ことを特徴とする、フィルム製品の製造方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の単位用量フィルムを含む包装体の側面図である。
【図2】図2は、2つの隣接状態で結合された、本発明の個々の単位投与剤形を収容する包装体の平面図である。
【図3】図3は、積重ねられた形状で配列された、図2の隣接状態で結合された包装体の側面図を示す。
【図4】図4は、該包装された単位投与剤形を分与するためのディスペンサーの斜視図であり、ここで該ディスペンサーは、積重ねられた状態にある、包装された単位投与剤形を含む。
【図5】図5は、本発明の結合された単位用量包装体のロールを示す、模式的な図である。
【図6】図6は、プレミックスの製造、活性成分の添加、およびその後の該フィルムの製造に適した装置の、模式的な図である。
【図7】図7は、本発明のフィルムを乾燥するのに適した装置の、模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
高用量フィルム組成物または製品およびその製造並びに使用方法
幾つかの態様において、本発明は、薬剤等の活性成分を少なくとも約56質量%まで、およびより望ましくは薬剤等の活性成分を少なくとも約60質量%まで含むことのできる、高用量フィルム組成物および製品を提供する。特に、本発明のフィルム組成物および製品においては、可塑剤(上で定義したような自己-可塑性ポリマーを除外する)を含まない、幾つかの態様においては、高用量フィルム組成物または製品を得るために、本発明のフィルム中に、薬剤等の活性成分を、少なくとも約56質量%まで、およびより望ましくは少なくとも約60質量%までの量で配合することが可能である。ここで使用する用語「高用量フィルム組成物または製品」とは、活性成分、特に薬剤を含むフィルム組成物または製品であって、活性成分が、該フィルム組成物または製品の少なくとも約30質量%なる量で存在するものを意味する。幾つかの態様において、本発明の該高用量フィルム組成物または製品は、薬剤等の活性成分を、少なくとも約56質量%までの量で、およびより望ましくは、薬剤等の活性成分を、少なくとも約60質量%までの量で含むことができ、また自己-可塑性ポリマー以外の可塑剤を含まないものである。望ましくは、このような本発明の高用量フィルム組成物または製品は、最大でも僅かに約4質量%の甘味料および/または香味料および/または化粧料および/または風味隠蔽剤および/またはここに明記されるような他の随意成分を含む。
【0021】
自己-可塑性ポリマー以外の可塑剤を使用しない態様において、該高用量フィルム組成物または製品は、望ましくは、室温において自己-可塑性および可撓性となるような、全体としての特性を持つように処方される。該高用量フィルム組成物または製品に、自己-可塑性および可撓性を付与するためには、該高用量フィルム組成物または製品において使用される上記ポリマー系は、望ましくは室温において自己-可塑性および可撓性となるような、全体としての特性を持つ。従って、本発明の組成物または製品において使用する該ポリマーは、望ましくは、該ポリマーを、室温にて自己-可塑性および可撓性とし、また本発明の高用量フィルム組成物または製品に配合すべき薬剤等の活性成分を、高い用量で含むことを可能とする、基本的な粘度特性、引張強さ、およびTg(ガラス転移点)を持つ。特に、本発明の高用量フィルム組成物または製品において使用される該ポリマーは、望ましくは該ポリマーが、該薬剤を強力に保持することを可能とする引張強さ、および該ポリマーが、室温において自己-可塑性および可撓性となるような、全体としての特性を持つのに十分に、該ポリマーを可撓性とするTgを有する。該ポリマーが、室温において自己-可塑性および可撓性となるような、全体としての特性を持つ場合、該ポリマーが配合されている、該高用量フィルム組成物またはフィルム製品は、また別途1またはそれ以上の可塑剤を使用することなしに、自己-可塑性および可撓性となるような、全体としての特性を持つ。該ポリマーの分子量は、これらが配合されている、該高用量フィルム組成物またはフィルム製品の諸特性においてある役割を演じることができるが、上記の基本的な粘度特性、引張強さおよびTgが、同様に該ポリマーを自己-可塑性および可撓性とする上で重要であることも理解されるであろう。
【0022】
従って、本発明のフィルム組成物または製品において、別途1またはそれ以上の可塑剤を使用することなしに、該フィルム組成物中の空間を「保全」することが可能であり、結果としてそこに高用量の活性成分を配合することが可能となる。かくして、釣合のとれた該ポリマーの強度(特に、引張強さ)および可撓性(Tg)によって、望ましくは、別途の可塑剤に対する必要性を排除することにより、大量の活性成分を配合し、該高用量フィルム組成物または製品を得ることが可能となることが理解されるであろう。具体的には、本発明の該ポリマーは、望ましくは、これらが配合されている該フィルム組成物および製品に、可撓性を付与することにより、「自己-可塑性」となり、結果として別途の可塑剤に対する必要性を排除する。
【0023】
経験を通して、非自己-可塑性ポリマーを、フィルム組成物および製品において使用した場合、該非自己-可塑性ポリマーを、該フィルム組成物および製品において使用するのに十分に可撓性のものとするために、該フィルム組成物および製品において可塑剤をも使用することが、しばしば必要となる。特に、該可塑剤は、該ポリマーの異なるセグメント間に、より多くの自由空間または距離を生成するために、しばしば使用される。この使用は、異なるポリマー分子間に分子運動を生じさせ、かくして十分な可塑剤が使用された場合に、該ポリマーを可撓性のものとすることによって、非-可塑性ポリマーのTgを減じている。従って、可塑剤は、非自己-可塑性ポリマーを使用する場合には、しばしばフィルム組成物および製品中に、大量に(例えば、フィルム組成物または製品の、約20〜30質量%なる範囲)配合される。しかし、可塑剤が使用されない場合には、上記活性成分のために利用できる、該フィルム組成物および製品中の間隙(空間)を、この大量の可塑剤が占拠してしまう。従って、可塑剤を使用する従来のフィルム組成物とは対照的に、別途の可塑剤に対する必要性を排除することによって、本発明のフィルム組成物および製品は、活性成分のために空間を「保全し」、結果的に該フィルム組成物および製品の、活性成分による高い配合率を可能とする。特に、自己-可塑税ポリマー系を採用し、別途の可塑剤の必要性を排除することによって、該フィルム組成物および製品の、少なくとも約56質量%までの量で、活性成分を配合することを可能とする。
【0024】
従って、幾つかの態様においては、本発明のフィルム組成物および製品において、「自己-可塑性ポリマー」を使用することが特に望ましい。「自己-可塑性ポリマー」なる用語は、添加される可塑剤の助けなしに、室温にて可撓性を維持するであろう、ポリマーを意味する。換言すれば、該ポリマーのガラス転移点(Tg)は、室温未満である。「自己-可塑性ポリマー系」なる用語は、少なくとも1種の自己-可塑性ポリマーを配合した系を意味する。
【0025】
該自己-可塑性ポリマーは、本発明のフィルム組成物および製品に配合した場合に、空間-保全機能を果たしていることを理解するであろう。本発明の高用量フィルム組成物および製品において自己-可塑性ポリマーを使用することによって、自己-可塑性ポリマーを使用しない場合に可能な量と比較して、薬剤等の活性成分のより高い配合量を達成することが可能である。特に、自己-可塑性ポリマーを使用することにより、活性成分を、約20%〜約30%以上、およびより具体的には約20%〜約30%の薬剤を、本発明のフィルム組成物および製品に配合することが可能である。自己-可塑性ポリマーの使用は、本発明のフィルム組成物および製品内に、薬理的活性成分等の追加の成分に対して「保全」されるべき、約20%〜約30%の空間の生成を可能とする。というのは、如何なる追加の可塑剤も必要とされないからである。従って、幾つかの態様において、上記ポリマー系の全体的なTgが、室温未満である場合には、高用量の活性成分を配合することができ、またこれは如何なる可塑剤の助けもなしに達成される。
【0026】
ここで使用する用語「Tg」とは、該フィルム組成物および製品において使用されるポリマーの、該ポリマーの加工前後の任意の時点において測定された、ガラス転移点を意味する。ガラス転移点(Tg)は、一般的にアモルファスポリマーを加熱した際に、該アモルファスポリマーが、ガラス状態からゴム状態に変化する温度として理解されている。Tgの測定値は、該ポリマーの分子量、その熱的履歴および老化、測定方法、および加熱または冷却速度に依存するであろう。これについては、以下の文献を参照のこと:Burfield, D.R., Journal of Chemical Education, 1987, 64, 875; Stevens, M.P. Polymer Chemistry: An Introduction, 第3版, オックスフォードU.プレス(Oxford U. Press)刊, NY, 1999。従って、Tgは、アモルファスおよび半-結晶性ポリマーの特徴としての、熱特性である。より詳しくは、該ポリマーの「ゴム状態」または「レザー-様状態」から、「ガラス状態」への転移を表す。従って、簡単にいえば、Tgは、ポリマーが、特性において、該温度以下では、ゴム状および可撓性状態から、脆弱なガラス-様の状態に変化し、また該温度以上では、該ポリマーがゴム状および可撓性であるような温度である。
【0027】
Tgは、ポリマーにおける、幾つかの変化を表す。特に、Tgは、ポリマーの力学的挙動における変化を表す。該Tg以下において、ポリマーは、剛性で、硬く、かつ脆弱であり、またTg以上において、ポリマーは、柔軟で、柔らかく、かつ強靭である。該Tgにおいて、弾性率における変化を生じる。更に、該Tgにおいて、該ポリマー鎖の運動性における変化が現れる。ポリマー鎖は、一般的に長距離併進運動性に欠ける。しかし、該Tg以上においては、該ポリマー鎖の長距離に及ぶ運動(即ち、セグメントの運動)は、増大する(例えば、該セグメント端部の周りの結合の回転および鎖の屈曲が増大する(該分子の運動エネルギーにおける増加がみられる))。対照的に、該Tg以下においては、該連鎖の運動性は抑制される。更に、Tgは、ポリマーの熱力学的特性における変化をも表す。特に、熱容量が変化し、またエントロピーが変化する。Tgは、様々なポリマーに関して、広い温度範囲(<-100℃〜>100℃)に渡り変化し得る。特に、Tgに影響を与えるファクタは、ポリマーの構造(構造的剛性および連鎖の運動性)、分子間力(ポリマー鎖の二次的な力)、化学的組成、および分子質量を包含する。これについては、以下の文献を参照のこと:「ポリマーズ:構造および内部特性(POLYMERS, Structure and Bulk Properties)」, Patrick Meares, D.フォンノストランド社(D. Van Nostrand Company),ロンドン, 1965;「重合の原理(Principles of polymerization)」, George Odin, ジョンウイリー&サンズ(John Wiley and Sons), ニューヨーク(New York),” 1991; <http://www.psrc.usm.edu/macrog/tg.htm>; 「ポリマー材料の熱的特徴付け(Thermal Characterization of Polymeric Materials)」, Edith A. Turi編, Press, 1981。
【0028】
任意の適当な自己-可塑性ポリマーを、本発明の高用量フィルム組成物および製品において使用することができる。望ましくは、本発明の高用量フィルム組成物および製品において使用するための該自己-可塑性ポリマーは、室温(即ち、30℃)未満のTgを持つ。本発明の高用量フィルム組成物および製品において使用するのに、特に有用な自己-可塑性ポリマーは、ポリエチレンオキサイドである。ポリエチレンオキサイドは、0℃未満のTgを持つ。特に、ポリエチレンオキサイドは、約60〜75℃なる範囲の融点および-67℃なるガラス転移点を持つ、熱可塑性で半-結晶性ポリマーである。これについては、以下の文献を参照のこと:Odian G.編, 「ポリエチレンオキサイド(Polyethylene oxide)」.「イン:プリンシプルオブポリメライゼーション(In:Principles of Polymerization)」, ニューヨーク(New York), NY: マグロ-ヒル(McGraw Hill); 1970:535-558; Riande等編,「ポリマーにおける結晶並びにアモルファス状態(Crystalline and amorphous states in polymers)」.「イン:ポリマービスコエラスティシティー:ストレス&ストレインインプラクティス(In: Polymer Viscoelasticity: Stress & Strain in Practice)」, ニューヨーク(New York), NY: マルセルデッカー社(Marcel Dekker Inc.); 2000。これは結晶性であるが、高比率のアモルファス領域を維持している。該ポリマーに該自己-可塑性を付与しているのは、正にこの非-結晶性のアモルファス領域である。更に、本発明の組成物において使用するのに有用な、約30℃未満のTgを持つ他のポリマーは、例えばポリ酢酸ビニル(Tg:18)、ポリメタクリレート(Tg:20)、重合体ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン/ポリプロピレングリコールコポリマー、ポリビニルピロリドン(PVP)およびポリオキシエチレンアルキルエーテル、およびこれらの組合せを含む。
【0029】
ポリエチレンオキサイドを、該自己-可塑性ポリマーとして使用する場合、該ポリエチレンオキサイドは、望ましくは約100,000〜約4,000,000なる範囲内の分子量を持つ。特に約200,000なる分子量を持つポリエチレンオキサイド、約600,000なる分子量を持つポリエチレンオキサイド、約1,000,000なる分子量を持つポリエチレンオキサイド、および約4,000,000なる分子量を持つポリエチレンオキサイドは、全て、本発明の高用量フィルム組成物および製品において有用である。該PEOの分子量も、変えることができる。例えば、約4,000,000なる分子量を持つ、高分子量PEOは、該フィルムの粘膜接着性を高めるために望ましいものであり得る。幾つかの態様においては、自己-可塑性ポリマー(例えば、100,000〜300,000なる範囲の分子量を持つポリエチレンオキサイド)を、他の自己-可塑性ポリマー(例えば、600,000〜900,000なる範囲の分子量を持つポリエチレンオキサイド)と組合せることが可能である。
【0030】
可撓性が増大し、かつ分子量が減少するにつれて、フィルム組成物の引張強さが減少することは周知である。そのため、本発明の高用量フィルム組成物および製品の製造においては、連続フィルム構造において、活性成分の全粒子を一緒に維持するために、該フィルムの引張強さを高めることが、しばしば望ましい。従って、本発明の幾つかの態様においては、低Tgを持つポリマー(即ち、約30℃未満のTgを持つポリマー)と共に、本発明の高用量組成物には、30℃を越えるTgを持つポリマーを配合することが望ましい。特に、該フィルム組成物に強度を付与するために、30℃以上のTgを持つポリマーを、該本発明の高用量組成物に含めることができる。しかし、該フィルムの全体的な柔軟性は、依然として、可撓性が室温において維持されるように、該低Tgポリマーによって制御されることが、理解されよう。
【0031】
特に有用な30℃以上のTgを持つポリマーは、100℃以上のTgを持つヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)である。特に、HPMCのTgは、136〜145℃なる範囲内にあるものと報告されている。これについては、「アクアロンブロキュア(Aqualon Brochure) PTR-025, 2003」を参照のこと。このようにして、幾つかの態様においては、100℃以上のTgを持つポリマー(例えば、HPMC)は、少なくとも1種の約30℃未満のTgを持つポリマー、例えばPEO、ポリビニルアセテート(Tg: 18)、ポリメタクリレート(Tg: 20)、重合体ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン/ポリプロピレングリコールコポリマー、ポリビニルピロリドン(PVP)、およびポリオキシエチレンアルキルエーテル、および/またはこれらの組合せと組合される。かくして、低Tg(即ち、約30℃未満のTg)を持つポリマーと、高Tg(即ち、約30℃以上のTg)を持つポリマーとの任意の組合せを、本発明の高用量フィルム組成物および製品において使用できることが理解されよう。
【0032】
少なくとも1種の約30℃未満のTgを持つポリマーと、少なくとも1種の30℃以上のTgを持つポリマーとの組合せを使用する場合、該少なくとも1種の約30℃未満のTgを持つポリマーを、該高用量フィルム組成物または製品に対して約20〜約40質量%なる範囲の量で配合し、一方少なくとも1種の30℃以上のTgを持つポリマーは、該高用量フィルム組成物または製品に対して約0.5〜約10質量%なる範囲の量で配合することが望ましい。望ましくは、幾つかの態様において、該ポリマーの分子量は大きく(該ポリマーが該薬物粒子をより強力に維持するように)、また当然該ポリマーは、そのTgのために可撓性である。
【0033】
約30℃未満のTgを持つ少なくとも1種のポリマーおよび約30℃以上のTgを持つ少なくとも1種のポリマーを配合することにより、得られる高用量フィルム組成物および製品は、これら両者の型のポリマーに帰せられる諸特性間の釣合いを達成することが望ましい。特に本発明の組成物および製品は、薬理的に活性な成分で、「高-配合」することが可能であり、また望ましくは迅速溶解性を呈し、しかもまた該少なくとも1種の高分子量ポリマーを配合したことにより、高い引張強さをも呈する。ここで使用する、高-配合可能な組成物および製品は、少なくとも約56質量%までの薬剤を含むことのできる組成物および製品である。望ましくは、該約30℃未満のTgを持つポリマーは、自己-可塑性ポリマーである。
【0034】
幾つかの態様において、該自己-可塑性ポリマーは、該活性成分と同一である。該活性成分でもあり得る、特に有用な自己-可塑性ポリマーは、シメチコンである。シメチコンは、室温において液体であるような低いTgを持つ。幾つかの態様において、シメチコンは、高Tgポリマー、即ち約30℃以上のTgを持つポリマー(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)と組合せることができる。
【0035】
幾つかの態様において、知覚できる風味または風味マスキング剤を含まない、薬剤を使用することによって、本発明のフィルム中に、少なくとも約60質量%までの薬剤を配合して、該高用量フィルム組成物または製品を得ることが可能である。というのは、該フィルム組成物または製品に、多量の甘味料および/または香料および/または化粧料を配合する必要がないからである。ここで使用する用語「高用量フィルム組成物または製品」とは、フィルム組成物または製品に対して、少なくとも約30質量%なる量で存在する、薬剤を含む、該フィルム組成物または製品を意味する。幾つかの態様において、本発明の高用量フィルム組成物または製品は、少なくとも約60質量%の薬剤を含むことができる。望ましくは、このような本発明の高用量フィルム組成物または製品は、最大でも僅かに約4質量%なる量の、甘味料および/または香料および/または化粧料および/または風味マスキング剤および/または本発明において確認されたような他の随意の成分を含む。更に、感知し得ない風味を持つ薬剤を使用する幾つかの態様においては、甘味料、香料、化粧料、または風味マスキング剤を、該高用量フィルム組成物または製品に、いっさい添加しない。更に、幾つかの態様においては、本発明の高用量フィルム組成物または製品は、ポリマーを約70質量%以下の量で含み、また望ましくはポリマーを約46質量%以下の量で含む。
【0036】
このような高用量フィルム組成物または製品は、少なくとも1種の水溶性ポリマー、例えば自己-可塑性ポリマーおよび少なくとも1種の薬剤を併合して、該少なくとも1種の薬剤が、全フィルム組成物または製品に対して少なくとも約30質量%なる量で、およびより望ましくは該全フィルム組成物または製品に対して約60質量%なる量で存在する、フィルム製品を製造することによって作ることができる。特に、このような高用量フィルム組成物または製品は、約30℃未満のTgを持つ、少なくとも1種の水溶性ポリマーと、少なくとも1種の薬剤とを併合して、該少なくとも1種の薬剤が、全フィルム組成物または製品に対して少なくとも約30質量%なる量で、およびより望ましくは該全フィルム組成物または製品に対して約60質量%なる量で存在する、フィルム製品を製造することによって作ることができる。幾つかの態様においては、少なくとも1種の甘味料および/または少なくとも1種の香料および/または少なくとも1種の化粧料および/または本発明において確認されたような他の随意の少なくとも1種の成分を、該ポリマーおよび該少なくとも1種の薬剤と組合せて、該少なくとも1種の甘味料および/または少なくとも1種の香料および/または少なくとも1種の化粧料および/または該他の随意の少なくとも1種の成分を、約4質量%以下の量で含む、フィルム組成物または製品を製造することができる。
【0037】
本発明の幾つかの態様においては、薬剤を経口投与する方法が提供され、該方法は、以下の各段階を実施することによりフィルム組成物または製品を製造する工程を含む:(i) 少なくとも1種のポリマーと、少なくとも1種の活性成分、例えば薬剤とを併合する段階;(ii) 該材料をフィルムに形成する段階;および(iii) 該フィルムを乾燥する段階。該方法において、該少なくとも1種の薬剤は、該フィルム組成物または製品全体に対して、少なくとも約30質量%なる量で存在し、およびより望ましくは該少なくとも1種の薬剤は、該フィルム組成物または製品全体に対して、少なくとも約60質量%なる量にて存在する。特に、幾つかの態様においては、薬剤を経口投与する方法が提供され、該方法は、以下の各段階を実施することによりフィルム組成物または製品を製造する工程を含む:(i) 30℃未満のTgを持つ少なくとも1種のポリマーと、少なくとも1種の薬剤とを併合する段階;(ii) 該材料をフィルムに形成する段階;および(iii) 該フィルムを乾燥する段階。該方法において、該少なくとも1種の薬剤は、該フィルム組成物または製品全体に対して、少なくとも約30質量%なる量で存在し、およびより望ましくは、該少なくとも1種の薬剤は、該フィルム組成物または製品全体に対して、少なくとも約60質量%なる量にて存在する。更に別の態様においては、薬剤を経口投与する方法が提供され、該方法は、以下の各段階を実施することによってフィルム組成物または製品を製造する工程を含む:即ち、(i) 30℃未満のTgを持つ少なくとも1種の自己-可塑性ポリマーと、少なくとも1種の薬剤とを併合する段階;(ii) 該材料をフィルムに形成する段階;および(iii) 該フィルムを乾燥する段階。該方法において、該少なくとも1種の薬剤は、該フィルム組成物または製品全体に対して、少なくとも約30質量%なる量にて存在し、およびより望ましくは、該少なくとも1種の薬剤は、該フィルム組成物または製品全体に対して、少なくとも約60質量%なる量にて存在する。
【0038】
該フィルム組成物または製品を乾燥した後、該フィルム組成物または製品を哺乳動物の口腔内に導入する。更に、このような態様においては、少なくとも1種の甘味料および/または少なくとも1種の香料および/または少なくとも1種の化粧料および/または本発明において確認されたような他の随意の少なくとも1種の成分を、該水溶性ポリマーおよび該少なくとも1種の薬剤と組合せて、該少なくとも1種の甘味料および/または少なくとも1種の香料および/または少なくとも1種の化粧料および/または該他の随意の少なくとも1種の成分を、約4質量%以下の量で含む、フィルム組成物または製品を製造することができる。
【0039】
本発明の幾つかの態様において、該高用量フィルム組成物および製品は、例えば母-娘(mother-daughter)混合装置を用いて、薬物と接触する水の量を最小化することにより製造される。例えば、本発明の高用量フィルム組成物および製品は、図6に示された、娘混合装置30、30'を含む装置を用いて製造でき、あるいは任意の他の混合物の序列化または配列、例えば以下において論じるような、直列または並列と直列との組合せを用いて、製造することができる。
【0040】
高用量フィルム組成物において被覆または未被覆の、粒状活性薬剤を使用する、本発明の態様において、該フィルムの製造中に、該粒子が、該活性薬剤を遊離せず、かつ投与した際にあるいは溶解テスト中に、胃または口内において適度な遊離をもたらすことが重要である。従って、該粒子は、混合、被覆、フィルム形成、および乾燥工程中に、完全な状態を維持し、結果的に該粒子は、適当な環境中においてのみ該完成されたフィルム内で容易に溶解する状態となっている必要がある。従って、製造条件は、該粒子の組成と釣り合っていて、製造中に安定性をもたらし、しかも薬剤の適度な遊離をもたらす必要がある。本発明の湿式注型態様において、娘混合装置30、30'(図6参照)を使用することによって、またマスターバッチに活性薬剤を添加しないことによって、該マスターバッチを混合した後であって、しかもフィルム形成操作前の、できる限り長い期間中には、該粒子の安定性以外の関心事はないことに注意すべきである。娘混合装置30、30'を使用して、該マスターバッチ内での長い保持時間とは相容れない、該活性薬剤または他の成分は、該フィルム形成操作の直前に混合して、フィルム形成前の、液体成分との接触を最小限にすることができる。そうした場合においてさえ、該フィルム形成成分が該娘混合装置から離れた後、該フィルムを形成し、かつ乾燥するに要する時間を補償するのに十分な期間、該粒子は、該液状フィルム形成成分中で安定でなければならない。この期間は、30分間程度であり得る。
【0041】
幾つかの態様において、フィルム組成物、例えば高用量フィルム組成物のマスターバッチは、母混合装置内で、適当な期間(例えば、30〜45分間)、ポリマー溶液を混合して、マスターバッチ混合物を形成することにより製造できる。該マスターバッチ混合物の少量のアリコートを、次に該娘混合装置にポンプ輸送する。その後、風味マスキング剤で被覆することのできる活性薬剤(例えば、薬理的活性成分)を、次に該娘混合装置に装入する。次に、この工程を繰り返す。該風味マスキング剤を含む該活性薬剤を該娘混合装置に添加することにより、該風味マスキング剤および該薬物の、該ポリマー溶液内に存在する水に対して暴露される量を最小化することが可能である。これは、該風味マスキング剤の浸食を防止するのに役立ち、また結果として苦味の発生防止を助ける。
【0042】
当分野において公知の任意の適当なミキサーを、該母および娘混合装置として使用することができる。適当なミキサーは、例えばパイプラインを介するポンプ輸送(吸入排出)が発生した際に混合を行うインライン静的ミキサーを含む。また、適当なミキサーは、インライン活性ミキサーをも含み、これは、通常混合の回転子-固定子を利用する。更に、該母混合装置は、所望の数の、多くの娘混合装置と共に使用することができる。本発明の高用量フィルム組成物と共に使用するための任意の適当な成分は、該母混合装置内で、該マスターバッチ中の該ポリマー溶液と混合することができるものと理解されよう。適当な滞留時間は、1時間未満、望ましくは45分未満、および幾つかの態様においては、約40分間またはそれ以下である。より望ましくは、該滞留時間は、30分未満であり、またより一層望ましくは20分未満である。より一層望ましくは、該滞留時間は、2分未満である。
【0043】
従って、本発明の高用量フィルム組成物を製造するために、任意の適当な方法を利用できることが理解される。例えば、幾つかの態様においては、以下の諸工程を含む、本発明の高用量フィルム組成物の製造方法を提供する:
(a) 少なくとも1種のポリマーおよび水を含む、マスターバッチプレミックスを製造する工程;
(b) 混合により、該プレミックスを脱気する工程;
(c) 少なくとも1つのミキサーに、該脱気したプレミックスの所定量を供給する工程;
(d) 該少なくとも1種のミキサーに、活性成分を添加する工程;
(e) 該活性成分および該所定量のプレミックスを混合して、均一に分散された各成分を含むマトリックスを生成する工程;
(f) 該マトリックスから湿潤状態にあるフィルムを形成する工程;
(g) 上下側部を持つ表面を作成する工程;
(h) 該フィルムを、該表面の上側の側部に供給する工程;
(i)空気流の移行および分子間力による、凝集または凝塊物の生成を防止し、結果として上記各成分の組成上均一な分散を維持するために、実質上上部の空気流が発生しないように、高温空気流を該表面の下側側部に適用することによって、粘弾性フィルムを迅速に生成する工程;
(j) 該粘弾性フィルムを乾燥して、自立型の可食性フィルムを生成する工程;および
(k) 該表面から該自立型のフィルムを取出す工程、ここで生成する該高用量フィルム組成物は、少なくとも約30%の活性成分、例えば薬理的活性成分、より望ましくは少なくとも約56%の活性成分、例えば薬理的活性成分、およびより一層望ましくは少なくとも約60%の活性成分、例えば薬理的活性成分を含み、またここで該薬理的活性成分は、場合により風味マスキング剤で処理されている。
【0044】
更に、他の態様においては、各成分および所定濃度の薬理的にまたは生物学的に活性な成分が実質上均一に分散されている、摂取可能なフィルムの製造方法が提供され、該方法は以下に列挙する諸工程を含む;
(a) 水溶性ポリマー成分および水を含む、マスターバッチのプレミックスを製造する工程:
(b) 所定量の該プレミックスを、少なくとも一つののミキサーに供給する工程;
(c) 該少なくとも一つののミキサーに、薬理的にまたは生物学的に活性な成分を添加する工程;
(d) 該薬理的にまたは生物学的に活性な成分および、該所定量のプレミックスを混合して、各成分が均一に分散されたマトリックスを製造する工程;
(e) 該マトリックスからフィルムを生成する工程;
(f) 上下側部を持つコンベア表面を準備する工程;
(g) 該フィルムを、該表面の上側の側部に供給する工程;
(h) 該コンベア表面の該下側の側部に熱を適用し、かつ該薬理的にまたは生物学的に活性な成分の分解温度以上の温度に、該フィルムを暴露して、該フィルムを乾燥する工程、ここで該分解温度は、70℃またはそれ以上であり、
ここで、該乾燥工程は、更に、該表面の上側側部に、高温空気流が存在しない状態で、該表面の該下側側部に高温空気流を適用することにより、初めの約4.0分以内に、粘弾性フィルムを迅速に生成する工程をも含み、および
該粘弾性フィルムを乾燥して、自立性の摂取可能なフィルムを生成する工程;
ここで、該薬理的にまたは生物学的に活性な成分は、その所定濃度に維持されており、また該所定濃度は、該フィルムの少なくとも約30質量%、およびより望ましくは該フィルムの少なくとも約56質量%、およびより一層望ましくは該フィルムの少なくとも約60質量%であり、しかも該薬理的にまたは生物学的に活性な成分は、場合により風味マスキング剤で被覆されている。
【0045】
更に、幾つかの態様においては、該高用量フィルムは、該フィルムを細長いストリップに裁断することのできる、任意の適当な装置(例えば、道具(ウイジット(widget))を使用して製造することができる。該細長いストリップを、次いで一品に折畳み、一緒に溶着するか、あるいは「締め付ける」ことができる。高用量フィルムの製造にとって、しばしば制限因子となり得るので、このような工程は、有益なものであり得る。
【0046】
高用量フィルム組成物または製品および高用量フィルムからの、これらの製造方法および使用方法
幾つかの態様においては、高用量フィルム組成物または製品は、本発明の高用量フィルムから作ることができる。特に、少なくとも約30質量%〜約60質量%なる含有率を持つ高用量フィルムを、上記方法の何れかに従って調製する。次いで、該高用量フィルムを、小片(例えば、約3.18mm×約3.18mm(1/8in×1/8in))に裁断して、低用量フィルムの小片を得る。具体的には、このような低用量フィルムは、望ましくは2mgまたはそれ以下の薬理活性成分を含む。更に、このような低用量フィルムは、望ましくはその小さなサイズ及び低い薬物含有率に鑑みて、組成上の均一性を呈する。
【0047】
該高用量フィルムの付随的な諸特性
望ましくは、本発明のフィルムは、非-自己凝集性の均質な不均一性を呈する。本発明の目的にとって、該用語「非-自己凝集性の均一な不均質性」とは、本発明のフィルムの能力を意味し、該フィルムは、極性溶媒に加えて、1またはそれ以上の成分から形成されて、フィルムが従来の乾燥法、例えば乾燥オーブン、真空乾燥機、または他のこの種の乾燥装置を使用する、高温空気浴等によって製造した場合に、通常経験するような、該フィルム内の各成分の凝集または凝塊物の発生を、実質的に減じ、即ちこれらを殆どまたは全く発生することがない。本発明において使用する用語「不均質性」とは、単一の成分、例えばポリマー、並びに成分の組合せ、例えばポリマーと活性成分との組合せを配合したフィルムを包含する。均一な不均質性とは、フィルムを製造するために使用される、従来の混合および加熱乾燥法において普通に見られるような、凝集または凝塊物が実質的に存在しない状態を含む。
【0048】
その上、本発明のフィルムは、実質上均一な厚みを持ち、これも、水性ポリマー系を乾燥するために使用される、従来の乾燥方法によっては得られない結果である。厚みが均一でないことは、与えられたフィルムの領域全体に渡る、成分の均一分布性に有害な影響を及ぼす。
【0049】
本発明のフィルム製品は、場合により活性成分並びに当分野において公知の他のフィラーを含有する、適切に選択されたポリマーと極性溶媒との組合せによって作成される。これらのフィルムは、選択された注型法または堆積法および制御された乾燥法を利用することにより、該フィルム内部の該各成分の、非-自己凝集性で均一な不均質性をもたらす。制御された乾燥法の例は、Magoonに付与された米国特許第4,631,837号(以下Magoonの特許という;これを参考としてここに組入れる)に記載された装置の使用、並びに底部基板および底部加熱プレートを横切る高温空気衝撃を含むが、これらに限定されない。本発明のフィルムを得るためのもう一つの乾燥技術は、未制御の空気流のない、制御輻射乾燥、例えば赤外または高周波輻射(即ち、マイクロ波)乾燥法である。
【0050】
この乾燥工程の目的は、最初に該フィルムの上部表面を乾燥し、結果として水分をその内部に取込む、従来の乾燥方法と関連する、上記した「波シワ形成」作用等の複雑さを回避する、該フィルムの乾燥方法を提供することにある。従来のオーブン乾燥法では、該内部に取込まれた水分が、その後に蒸発するので、該フィルムの上部表面が、引裂かれて開放され、次いで表面が再度形成される。これらの複雑さは、本発明によって回避され、該フィルムの底部表面をまず乾燥し、あるいはまた該フィルムの深部が乾燥される前に、該フィルムの上部表面上のポリマーフィルムの生成(スキン)を回避することにより、均質なフィルムが提供される。これは、実質的に上部空気流の存在なしに、該底部表面に熱を適用し、あるいはまた制御されたマイクロ波を導入して、この場合にも実質的に上部空気流の存在なしに、該フィルム内の水または他の極性溶媒を蒸発させることによって、達成することができる。更にまた、乾燥は、釣合のとれた流体流、例えば釣合のとれた空気流によって達成することができ、ここで該底部および上部空気流は、均一なフィルムを与えるように制御されている。このような場合において、該フィルムの上部に案内された該空気流は、該空気流によって発生する力のために、該湿潤フィルム内に存在する粒子の移動を生じるような条件を生成してはならない。付随的に、該フィルムの底部に向けられた空気流は、望ましくは該フィルムが、該空気による力によって持上げられないように制御すべきである。該フィルム上下何れかにおける、制御されていない空気流は、最終的なフィルム製品に不均一性を生じる恐れがある。該上部表面を取巻く領域の水分のレベルをも、適当に調節して、該ポリマー表面の閉塞またはスキン形成を回避することもできる。
【0051】
このフィルム乾燥法は、幾つかの利点をもたらす。中でも、迅速な乾燥時間および該フィルムのより均一な表面形成、並びに該フィルムの任意の与えられた領域に関する、成分の均一分布性がある。更に、迅速な乾燥時間は、該フィルム内で迅速に粘性を確立することを可能とし、更に各成分の均一分布を促進し、また最終的なフィルム製品における各成分の凝集を減じる。望ましくは、該フィルムの乾燥は、約10分またはそれ以下、またはより望ましくは約5分間またはそれ以下の期間内に起るであろう。
【0052】
本発明は、該組成物各成分の凝集を減じるように注意を払った場合に、例外的に均一なフィルム製品を生成する。該混合工程における過度の空気の導入を回避し、かつこれを排除し、ポリマーおよび溶媒を、制御可能な粘度を与えるように選択し、かつ底部から上部へと迅速に該フィルムを乾燥することによって、このようなフィルムが得られる。
【0053】
本発明の生成物および方法は、フィルム内での該各成分の自己-凝集が実質的に減じられたフィルムを与えるために、該フィルム製造の様々な段階の相互作用に依っている。具体的には、これらの段階は、該フィルムを製造するのに利用される特定の方法および該フィルムの乾燥方法を含み、該特定の方法は、該組成物、即ち混合物による気泡の取込みを防止し、かつ該フィルム形成組成物の粘度を制御する。より詳しくは、該活性成分が該選択された極性溶媒に不溶である場合に、該活性成分の沈降を防止する目的で、該混合物中の各成分が大きな粘度を持つことは、特に有用である。しかし、該粘度は、望ましくは実質的に一貫した厚みを持つフィルムを与え得る能力のために、リバースロール塗布を含む、選択された注型方法を妨害または阻害する程に高いものであってはならない。
【0054】
該フィルムまたはフィルム形成組成物またはマトリックスの粘度に加えて、所望のフィルムの均一性を達成するために、本発明によって考慮されるべきその他の要件がある。例えば、安定な懸濁液が得られ、これは、非-コロイド用途において、固体(例えば、薬物粒子)の沈降を防止する。本発明により与えられた一つの方法は、該粒状物の密度(ρp)と該液相の密度(ρ1)とを釣合わせ、また該液相の粘度(μ)を高めることである。孤立粒子に関連して、ストークスの法則は、粘性流体中の半径(r)を持つ剛性球状体の最終沈降速度(Vo)を以下のように関連付けている:
Vo = (2grr)(ρp - ρl)/9μ
【0055】
しかし、高い粒子濃度において、局所的粒子濃度は、局所的な粘度および密度に影響を与える。該懸濁液の粘度は、固体体積分率の強関数(strong function)であり、また粒子-粒子および粒子-液体間相互作用は、沈降速度を更に妨害するであろう。
【0056】
ストークス解析は、第三の相、即ち分散空気または窒素等の配合は、懸濁安定性を高めることを示している。更に、粒子数を増大することは、該固体体積分率に基く沈降阻害作用に導く。希薄粒子懸濁液において、沈降率(v)は、以下の式で表すことができる:
v/Vo = 1/(1 + κΦ)
ここで、κは定数であり、またΦは該分散相の体積分率である。該液相におけるより多量の懸濁粒子は、低い粘度をもたらす。粒子の幾何形状も、重要なファクタである。というのは、該粒子の寸法は、粒子-粒子流動相互作用に影響を与える。
【0057】
同様に、該懸濁液の粘度は、分散固体の体積分率に依存する。非-相互作用性球形粒子の希薄懸濁液に関して、その粘度は、以下のように表すことができる:
μ/μo = 1 + 2.5φ
ここで、μoは、連続相の粘度であり、またφは、該固体の体積分率である。より高い体積分率においては、該分散体の粘度は、以下の式で表すことができる:
μ/μo = 1 + 2.5Φ + C1Φ2 + C2Φ3 + ・・・・・
ここでCは定数である。
【0058】
該液相の粘度は、臨界的であり、また望ましくは、低い降伏応力値を持つ、粘弾性の非-ニュートン流体に対して、該液体組成物をカスタマイズすることによって、変えることができる。これは、静止状態にある高粘性の連続相を生成することと等価である。粘弾性を持つまたは高度に構造化された流体相の形成は、粒子の沈降に対する、付随的な抵抗力を与える。更に、凝集または凝塊を制御して、粒子-粒子間相互作用を、最小化することができる。その正味の効果は、均質な分散相の保存であろう。
【0059】
該懸濁液の水性相へのヒドロコロイドの添加は、粘度を増大し、また粘弾性を生じることができ、また該ヒドロコロイドの型、その濃度および該粒子の組成、幾何形状、サイズおよび体積分率に依存して、安定性を付与することができる。該分散相の粒度分布は、該高粘度媒体中の、実現可能な最小の粒径、即ち<500μmを選択することによって、制御する必要がある。僅かな降伏応力の存在または低剪断速度における弾性体の存在も、また該見掛けの粘度とは無関係に、永続的な安定性を誘起し得る。臨界的粒子径は、該降伏応力値から算出することができる。孤立球形粒子の場合には、所定粘度を持つ媒体を介して沈降する際に、発現する最大剪断応力は、以下の式で与えられる:
τmax = 3Vμ/2r
疑似塑性流体に関連して、この剪断応力発生過程における粘度は、ニュートンプラトーにおいて、殆どゼロ剪断速度粘度であり得る。
【0060】
安定な懸濁は、フィルム注型装置(machinery film)に供給すべき、プレミックス組成物製造のために、並びに乾燥を行って、均一性を維持するのに十分に、該粒子およびマトリックスの固体形状での閉じ込めが生じるまで、該湿潤フィルム段階における、この安定性を維持するために重要な特徴である。粘弾性流体系に対して、長期間、例えば24時間に渡り安定な懸濁液を生成するレオロジーは、高速フィルム注型操作の要件と釣り合わなければならない。これらのフィルムに対する所望の特性は、剪断減粘性または疑似可塑性であり、ここで該粘度は、剪断速度の増加に伴って減少する。時間依存性剪断作用、例えばチキソトロピーも、有利である。構造的回復および剪断減粘性挙動は、該フィルムが形成されるにつれて、自己-平坦化する能力と同様に、重要な特性である。
【0061】
本発明の組成物およびフィルムに関連する該レオロジー要件は、極めて過酷なものである。これは、例えば広い剪断速度範囲全体に渡り、許容される粘度値を持つ、粘弾性流体マトリックスにおいて、30-60質量%なる濃度の、安定な粒子懸濁液を製造する必要があることによる。混合、ポンプ輸送、およびフィルム注型中、10-105 sec-1なる範囲内の剪断速度を経験する可能性があり、また疑似可塑性は好ましい態様である。
【0062】
フィルムの注型または被覆において、レオロジーは、また所望の均一性を持つフィルムを形成する能力に関して、決定的因子(defining factor)である。剪断粘度、伸張粘度、粘弾性、構造性回復は、該フィルムの性能に影響するであろう。一例として、剪断減粘性、疑似可塑性流体の平坦化は、以下の式として誘導されている:
α(n-1/n) = αo(n-1/n) - ((n-1)/(2n-1))(τ/K)1/n (2π/λ)(3+n)/nh(2n+1)/nt
ここで、αは、表面波の振幅であり、αoは初期振幅であり、λは表面粗さの波長であり、および「n」および「K」両者は、粘度ベキ乗則指数である。本例において、平坦化の挙動は、粘度に関連し、nの減少に伴って増大し、かつKの増大に伴って減少する。
【0063】
望ましくは、本発明のフィルムまたはフィルム形成組成物は、極めて迅速な構造回復性を有し、即ち該フィルムが、加工中に形成されるにつれて、その構造および組成の均一性において、バラバラに壊れることがなく、あるいは不連続になることがない。このような極めて迅速な構造回復性は、粒子の沈降および沈積を遅らせる。更に、本発明のフィルムまたはフィルム形成組成物は、望ましくは剪断減粘性、疑似可塑性流体である。粘度および弾性等の特性を考慮したこのような流体は、薄いフィルムの形成および均一性の達成を促進する。
【0064】
従って、各成分の混合物における均一性は、多数の変数に依存する。ここに記載するように、これら成分の粘度、混合技術および得られる混合された組成物および湿式注型されたフィルムのレオロジー特性は、本発明の重要な局面である。また、粒子径および粒子形状の制御は、更に考察すべき点である。望ましくは、粒状物のサイズは、粒径で150μmまたはそれ以下、例えば100μmまたはそれ以下である。更に、このような粒子は、球形、実質的に球形の粒子、または非-球形状の粒子、例えば不規則形状の粒子または楕円形状の粒子であり得る。
楕円形状の粒子または楕円体は、球形粒子と比較して、低度に沈降する傾向を持つことから、これらが、該フィルム形成マトリックス中で均一性を維持する高い能力を持つために、これら楕円形状の粒子または楕円体が、好ましいものである。
【0065】
幾つかの技術を、該混合段階において使用して、該最終的なフィルムにおける気泡の混入を回避できる。該最終製品における気泡形成を実質的に伴わない、配合混合物を提供するために、消泡剤または表面張力低下剤を使用する。更に、該混合物生成速度を、望ましくは制御して、該配合物中に空気を引込むような、該混合物のキャビテーションを防止する。最後に、気泡の減少は、更に該配合物を、該フィルムを乾燥する前に、気泡が逃散するのに十分な時間放置することによっても達成できる。望ましくは、本発明の方法は、先ず活性成分、例えば薬物粒子または揮発性物質、例えば香味油の存在なしに、フィルム形成成分のマスターバッチを製造する。該活性成分は、注型の直前に、該マスターバッチのより少量の配合物に添加される。従って、該マスターバッチのプレミックスは、薬物または他の成分における不安定性に係る懸念なしに、長期間に渡り放置することができる。
【0066】
任意の添加剤および該活性成分に加えて、該フィルム形成ポリマーおよび極性溶媒を含む、該マトリックスを製造する場合、その製造は、多数の段階で行うことができる。例えば、該成分は、全て一緒に添加することができ、あるいはプレミックスを調製することができる。プレミックスの利点は、該活性成分以外の全ての成分を予め併合し、該活性成分を、該フィルム製造の直前に添加することができることにある。水、空気または他の極性溶媒に対する長期間の暴露により分解する恐れのある活性成分に対しては、このことは特に重要である。
【0067】
図6は、プレミックスの調製、活性成分の添加およびその後のフィルムの形成にとって適した、装置20を示す。上記フィルム形成ポリマー、極性溶媒、および薬物活性成分以外の任意の他の添加剤を含む、上記プレミックスまたはマスターバッチ22を、マスターバッチ供給タンク24に添加する。該プレミックスまたはマスターバッチ22の成分は、望ましくはこれらを該マスターバッチ供給タンク24に添加する前に、ミキサー(図示せず)内で製造される。次いで、所定量の該マスターバッチを、第一の計量ポンプ26および制御バルブ28を介して、第一および第二ミキサー30、30'の何れかまたは両者に、制御可能な状態で供給する。しかし、本発明は、2つのミキサー30、30'の使用に限定されず、任意の数のミキサーを適宜使用することができる。更に、本発明は、図6に示されたような並列配置等の、該ミキサー30、30'の如何なる特定の配列にも限定されるものではなく、ミキサーの他の配列または配置、例えば直列または並列と直列との組合せ等を、適宜使用することができる。所定量の該薬物または他の成分、例えば香料は、該ミキサー30、30'各々における開口32、32'を介して、所定のミキサーに添加される。望ましくは、該ミキサー30、30'における、該プレミックスまたはマスターバッチ22の滞留時間は最小化される。該プレミックスまたはマスターバッチ22に対して、該薬物を完全に分散させることが望ましいが、過度に長い滞留時間は、特に可溶性薬物の場合には、該薬物の溶出または溶解に導く恐れがある。従って、該ミキサー30、30'は、しばしば、該プレミックスまたはマスターバッチ22を製造するのに使用される第一のミキサー(図示せず)と比較して、より小型であり、即ちより短い滞留時間を持つ。
【0068】
ミキサー内での適当な滞留時間は、約40分またはそれ以下である。望ましくは、該滞留時間は、20分未満である。より望ましくは、該滞留時間は、2分未満である。
【0069】
該薬物を、該マスターバッチプレミックスと、均一なマトリックスを得るのに十分な時間混合した後、特定量の該均一なマトリックスを、次に第二の計量ポンプ34、34'を介して、パン36に供給する。計量ロール38は、フィルム42の厚みを決定し、また該フィルムを適用ロールに適用する。該フィルム42は、最終的に基板44上で形成され、また支持ロール46を介して搬送される。
【0070】
適当な装置は、例えばJITシステムズ(JIT Systems)社により製造されたものを含む。
【0071】
混合物における適当な粘度の均一性および粒子の安定な懸濁、および注型法は、均一性を確保するために、該組成物およびフィルム製造の初期段階において重要であるが、湿潤フィルムの乾燥法も重要である。これらのパラメータ及び諸特性は、初期の均一性の達成を助けるが、制御された迅速乾燥法は、該フィルムが乾燥されるまで、該均一性の維持を保証する。
【0072】
次に、ここに記載した通り、望ましくは該フィルムの上部(露出)表面48上に、外部空気流または熱が存在しない状態で、制御された底部乾燥または制御されたマイクロ波乾燥を利用して、該湿潤フィルムを乾燥する。有利には、制御された底部乾燥または制御されたマイクロ波乾燥は、従来技術の諸欠点を伴うことなしに、該フィルムからの上記の遊離を可能とする。従来の上部からの対流式空気乾燥は使用されない。というのは、この乾燥は、該フィルムの最上部において乾燥を開始し、結果として流体流、例えば蒸発する蒸気、および熱の流れ、例えば乾燥用の熱エネルギーに対するバリアを生成するからである。このように乾燥された上部部分は、該部分の下部が乾燥される際の、更なる蒸気の放出に対するバリアとして作用し、これは不均一なフィルムの形成に導く。前に述べたように、幾分かの上部空気流が、本発明のフィルムの乾燥を助けるのに利用できるが、不均一性を結果する、粒子の運動を生じあるいは該フィルムにおける波シワ形成作用を引起すような状態を生成するものであってはならない。上部における空気を利用する場合、不均一性の発生を回避し、かつキャリアベルト上でのフィルムの持上げを防止するために、該上部空気と、該底部空気乾燥とを釣合わせる。上部および底部空気流の釣合いは、該底部空気流が主な乾燥源として機能し、かつ該上部空気流が副次的な乾燥源である場合に、適当であり得る。幾分かの上部空気流存在の利点は、存在する蒸気を、該フィルムから追払い、結果として該全体としての乾燥工程において役立つ点にある。しかし、任意の上部空気流または上部乾燥の利用は、該組成物のレオロジー特性および該処理の機械的な特徴を含むが、これらに限定されない多数のファクタによって釣合わされなければならない。任意の上部流体流、例えば空気は、また該フィルム形成組成物の固有粘度を凌駕するものであってはならない。換言すれば、該上部空気流は、該組成物の表面を破壊し、歪めあるいは物理的に乱すものではあり得ない。更に、空気の速度は、望ましくは該フィルムの降伏値以下、即ち該フィルム形成組成物中の液体を運動させることのできる、任意の力のレベル以下である。薄いまたは低粘性組成物に対しては、低い空気速度を使用する必要がある。厚いまたは高粘性の組成物に対しては、より高い空気速度を使用することができる。更に、空気の速度は、該組成物から形成される該フィルムのあらゆる持ち上がりまたは他の運動を回避するように、望ましくは低いものである。
【0073】
更に、本発明のフィルムは、温度に対して感受性の高い粒子、例えば揮発性であり得る香料、または低い分解温度を持つ可能性のある薬物を含むことができる。このような場合には、該乾燥温度を下げることができ、一方で本発明の均一なフィルムを十分に乾燥するために、乾燥時間を延長することができる。その上、底部乾燥は、また上部乾燥と比較して、より低い内部フィルム温度をもたらす傾向にある。底部乾燥において、蒸発する蒸気は、内部フィルム温度を下げる上部乾燥と比較して、該フィルムからより容易に熱を運び去る。このような低い初期フィルム温度は、しばしば薬物の分解を低下し、かつ幾つかの揮発性物質、例えば香料の喪失量を低下する。
【0074】
更に、粒子または粒状物を、該組成物またはマトリックスをフィルムに注型した後に、該フィルム形成組成物またはマトリックスに添加することができる。例えば、該フィルム42の乾燥前に、粒子を該フィルム42に添加することができる。粒子は、制御可能な状態で該フィルムに対して計量添加し、適当な技術によって、例えばドクターブレード(図示せず)によって該フィルム上に配置することができる。該ドクターブレードは、該フィルムの表面との境界近傍で、または優しく接触し、また制御可能な状態で該粒子を該フィルム表面上に配置するデバイスである。他の適当であるが、非-限定的な技術は、該フィルム表面上に該粒子を配置するための追加のロールの使用、該フィルム表面上に該粒子を噴霧する方法等を包含する。該粒子は、対向するフィルム表面、即ち上部および/または底部フィルム表面の何れかまたは両者に配置することができる。望ましくは、該粒子は、該フィルム上に確実に配置する、例えば該フィルム内に包埋させることが可能である。更に、このような粒子は、望ましくは該フィルムに完全に包まれあるいは完全に包埋されてはいないが、例えば該粒子が部分的に包埋されまたは部分的に包まれている場合には、該フィルム表面に露出した状態に維持される。
【0075】
該粒子は、任意の有用な有機薬剤、化粧学的薬剤、医薬、またはこれらの組合せであり得る。ここで使用する用語「医薬(薬理剤)」とは、用語「薬理的に活性な薬剤」と互換的に使用される。望ましくは、該医薬は、感知し得る風味を持たず、あるいは風味マスキング剤で処理されている。更に、該医薬は、望ましくは制御放出型の医薬である。有用な器官感覚受容性の薬剤は、香味料および甘味料を包含する。有用な化粧学的薬剤は、呼気清涼剤または鬱血除去薬、例えばメントール結晶を含むメントールを包含する。
【0076】
該高用量フィルム組成物を製造するための本発明の方法は、上記の望ましい乾燥を行うための、任意の特定の装置の使用に制限されないが、特定の有用な乾燥装置50の一例を、図7に示す。乾燥装置50は、高温流体、例えば高温空気(これに限定されない)を、基板44上に配置されている該フィルム42の底部に導く、ノズル配列である。高温空気は、該乾燥装置の入口端部52に入り、ベクトル54で示されているように、空気反らせ板56に向けて上方に垂直に移動する。該空気反らせ板56は、空気の移動方向を変えて、該フィルム42に掛る上向きの力を最小化する。図7に示す如く、該空気が空気反らせ板56を通過し、該乾燥装置50のチャンバー部分58および58'に入り、またこれを介して移動する際に、ベクトル60および60'で示すように、該空気は正接方向を向く。該高温空気を、該フィルム42に対して実質的に正接関係とすることにより、該フィルムの乾燥に伴うその持ち上がりは、これにより最小化される。該空気反らせ板56は、ローラーとして記載されているが、空気または高温流体を反らせるための、他のデバイスおよび幾何形状を、適宜使用することができる。更に、該乾燥装置50の出口端部62および62'は、下方に向かいフレア状態となっている。このような下向きのフレアは、ベクトル64および64'で示される、下向きの力または下向きのベクトルを与え、これらは該フィルム42を引っ張りあるいはドラグ効果をもたらし、該フィルム42の持ち上がりを防止する。該フィルム42の持上げは、該フィルムにおける不均一性をもたらし、さもなくば該フィルム42および/または基板44が、加工装置から持上げられた際には、該フィルム42の制御不能な加工を結果する。
【0077】
該フィルムの厚みの監視および制御は、また均一な厚みを持つフィルムを与えることにより、均一なフィルムの製造に寄与する。該フィルムの厚みは、ゲージ、例えばベータゲージ(Beta Gauges)を用いて監視できる。一つのゲージを、該乾燥装置、例えばオーブン乾燥機またはトンネル乾燥機の端部において、もう一つのゲージと結合して、フィードバックループを介して連結し、被覆装置の開口を制御および調節し、フィルムの厚みを均一に制御する。
【0078】
該フィルム製品は、一般に適切に選択されたポリマーおよび極性溶媒並びに任意の活性成分または所望によりフィラーを併合することによって製造される。望ましくは、この組合せにおける該溶媒に含有量は、該組合せ全体の少なくとも約30質量%である。
【0079】
この組合せにより生成されるマトリックスは、望ましくはロール塗布によりフィルムに成形され、次いで望ましくは迅速かつ制御された乾燥工程によって乾燥され、該フィルムの均一性、より詳しくは非-自己-凝集性の均一な不均質性を維持する。得られるフィルムは、望ましくは約10質量%未満の溶媒、より望ましくは約8質量%未満の溶媒、より一層望ましくは約6質量%未満の溶媒、および最も望ましくは約2質量%未満の溶媒を含むであろう。該溶媒は、水;またはエタノール、イソプロパノール、アセトン、塩化メチレン、またはこれらの任意の組合せを含むが、これらに限定されない極性有機溶媒であり得る。望ましくは、溶媒は、本発明の高用量フィルム組成物中に、該フィルム組成物の10質量%未満の量で配合される。より望ましくは、溶媒は、本発明の高用量フィルム組成物中に、該フィルム組成物の5質量%未満の量で配合される。より一層望ましくは溶媒は、本発明の高用量フィルム組成物中に、該フィルム組成物の3質量%未満の量で配合される。本発明の幾つかの態様において、特にここで論じたような高用量フィルム組成物または製品を所望する場合には、上記組合せにおける溶媒の含有率は、該組合せ全体の僅かに約3質量%である。
【0080】
上で議論したパラメータ、例えばレオロジー特性、粘度、混合方法、注型法および乾燥法(これらに限定されない)の考察も、また本発明の様々な成分に関する材料の選択に影響を及ぼす。更に、適切な材料選択に係るこのような考察は、薬理的および/または化粧学的投与剤形またはフィルム製品を含み、単位面積当たりの薬理的および/または化粧学的活性成分の変動(分散)が、10%以下(no more than)である、本発明の組成物を与える。換言すれば、本発明の均一性は、該マトリックス全体に渡る10質量%以下(no more than)の薬理的および/または化粧学的活性成分の変動の存在によって決定される。望ましくは、該変動は、5質量%未満、2質量%未満、1質量%未満、あるいは0.5質量%未満である。
【0081】
フィルム形成ポリマー:
任意の適当なポリマーを、本発明の高用量フィルム組成物中に含めることができるが、約30℃未満のTgを持つ少なくとも1種のポリマーを使用し、また室温にて該フィルムに全体としての可撓性を付与するのに十分な量で存在することを条件とする。該ポリマーは、水溶性、水膨潤性、水-不溶性、または1またはそれ以上の水溶性、水膨潤性、水-不溶性ポリマーの組合せであり得る。該ポリマーは、セルロースまたはセルロース誘導体を含むことができる。有用な水溶性ポリマーの具体的な例は、プルラン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール。アルギン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ザンタンガム、トラガカンスゴム、グアーガム、アカシアガム、アラビアゴム、ポリアクリル酸、メチルメタクリレートコポリマー、カルボキシビニルコポリマー、デンプン、ゼラチン、およびこれらの組合せを含むが、これらに限定されない。有用な水-不溶性ポリマーの具体的な例は、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、およびこれらの組合せを含むが、これらに限定されない。
【0082】
ここで使用する句「水溶性ポリマー」およびその変形は、少なくとも部分的に水に溶解し、また望ましくは完全にまたは支配的に水に可溶性であり、あるいは水を吸収するポリマーを意味する。水を吸収するポリマーは、しばしば水膨潤性ポリマーと呼ばれる。本発明にとって有用なこれらの材料は、室温においてまたは他の温度、例えば室温を越える温度において水溶性または水膨潤性であり得る。更に、該材料は、大気圧未満の圧力下において、水溶性または水膨潤性であり得る。望ましくは、該水溶性ポリマーは、少なくとも20質量%の水の吸収量を有する水溶性または水膨潤性であり得る。25質量%またはそれ以上の水の吸収量を有する水膨潤性ポリマーも有用である。このような水溶性ポリマーから製造した本発明のフィルムまたは投与剤形は、望ましくは十分に水溶性であって、体液と接触した際に可溶性である。
【0083】
本発明のフィルムに配合するのに有用な他のポリマーは、生分解性ポリマー、コポリマー、ブロックポリマーおよびこれらの組合せを含む。上記の基準を満たす公知の有用なポリマーまたはポリマー群は、以下に列挙するものである:ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリジオキサン(原文のpolydioxanoesは、意味不明です)、ポリオキサレート、ポリ(α-エステル)、ポリ無水物、ポリアセテート、ポリカプロラクトン、ポリ(オルトエステル)、ポリアミノ酸、ポリアミノカーボネート、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ(アルキルシアノアクリレート)、およびこれらの混合物およびコポリマー。付随的に有用なポリマーは、L-およびD-乳酸のステレオポリマー、ビス(p-カルボキシフェノキシ)プロパンとセバシン酸とのコポリマー、セバシン酸コポリマー、カプロラクトンのコポリマー、ポリ(乳酸)/ポリ(グリコール酸)/ポリエチレングリコールコポリマー、ポリウレタンとポリ(乳酸)とのコポリマー、ポリウレタンとポリ(乳酸)とのコポリマー、α-アミノ酸のコポリマー、α-アミノ酸とカプロン酸とのコポリマー、α-ベンジルグルタメートとポリエチレングリコールとのコポリマー、サクシネートとポリ(グリコール)とのコポリマー、ポリホスファゼン、ポリヒドロキシアルカノエート、およびこれらの組合せを含む。本発明では、二成分系および三成分系をも意図するものである。
【0084】
有用な他の特定のポリマーは、メディソーブ(Medisorb)およびバイオデル(Biodel)なる商標の下で市販されているものを含む。該メディソーブ材料は、ウイルミントン、デラウエアのデュポン社(Dupont Company、Wilmington、Delaware)によって市販されており、一般的に「プロパン酸、ヒドロキシ酢酸を含むヒドロキシポリマーとの2-ヒドロキシポリマー(2-hydroxy-polymer with hydroxy-polymer with hydroxyacetic acid)」を含む、「ラクチド/グリコライドコポリマー」として同定されている。4種のかかるポリマーは、170°-175℃(338°-347°F)なる範囲内の融点を持つ、100%ラクチドであると考えられる、ラクチド/グリコライド100L;225°-235℃(437°-455°F)なる範囲内の融点を持つ、100%グリコライドであると考えられる、ラクチド/グリコライド100L;170°-175℃(338°-347°F)なる範囲内の融点を持つ、85%ラクチドおよび15%グリコライドであると考えられる、ラクチド/グリコライド85/15;および170°-175℃(338°-347°F)なる範囲内の融点を持つ、50%ラクチドと50%グリコライドとのコポリマーであると考えられる、ラクチド/グリコライド50/50を含む。
【0085】
該バイオデル材料は、化学的に異なる、一群の様々なポリ無水物を表す。
【0086】
ポリエチレンオキサイド(PEO)とポリデキストロースとのポリマーブレンドを使用することが、本発明のフィルム組成物および製品、特に本明細書において論じられる、該高用量フィルム組成物および製品におけるフィルムベースとして特に好ましい。特にこのようなポリマーブレンドは、望ましくは約80対約20なる比にてポリエチレンオキサイドおよびポリデキストロースを含む。
【0087】
様々な異なるポリマーを使用できるが、乾燥前の該混合物に所定の粘度を与えるようにポリマーを選択することが望ましい。例えば、該活性成分または他の成分が、該選択された溶媒に溶解しない場合には、より高い粘度を与えるポリマーが、均一性の維持を補助する上で望ましい。他方、該成分が該溶媒に溶解性である場合には、より低い粘度を与えるポリマーが好ましいものであり得る。
【0088】
該ポリマーは、該フィルムの粘度に影響を与える上で、重要な役割を演じる。粘度は、エマルション、コロイドまたは懸濁液における該活性成分の安定性を制御する、液体の一特性である。一般に、該マトリックスの粘度は、約400cps〜約100,000cpsなる範囲、好ましくは約800cps〜約60,000cpsなる範囲、および最も好ましくは約1,000cps〜約40,000cpsなる範囲内で変動する。望ましくは、該フィルム形成マトリックスの粘度は、上記乾燥工程を開始した際に、急激に増大する。
【0089】
この粘度は、該選択された活性成分に基き、該マトリックス中の他の成分に応じて、調節することができる。例えば、該成分が該選択された溶媒に対して溶解しない場合、得られるフィルムの均一性に悪影響を与える恐れのある、該成分の沈降を防止するように、適当な粘度を選択することができる。この粘度は、様々な方法で調節することができる。該フィルムマトリックスの粘度を高めるためには、該ポリマーは高分子量のものから選択することができ、あるいは架橋剤、例えばカルシウム、ナトリウムおよびカリウムの塩を添加することができる。該粘度は、また温度を調節するか、あるいは粘度増加成分を添加することによって調節することも可能である。粘度を高めあるいはエマルション/懸濁液を安定化する成分は、高分子量のポリマーおよび多糖及びガムを含み、その例は、アルギネート、カラギーナン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ローカストビーンゴム、グアーガム、ザンタンガム、デキストラン、アラビアゴム、ジェランガムおよびこれらの組合せを含むが、これらに限定されない。
【0090】
単独で使用した場合に、可塑剤なしに可撓性フィルムを得るためには、通常可塑剤を必要とする、幾つかのポリマーを組み合わせて使用することができ、この場合にも依然として可撓性フィルムを得ることができることも観測されている。例えば、HPMCおよびHPCを組み合わせて使用した場合、製造並びに保存のために適度な可塑性および弾性を持つ、可撓性で強力なフィルムが得られる。可撓性にとって、追加の可塑剤またはポリアルコールは必要とされない。
【0091】
フィルム形成ポリマーは、本発明のフィルム組成物および製品に、任意の適当な量で配合することができる。望ましくは、該フィルム組成物または製品が、本明細書において論じるような高用量フィルム組成物または製品である場合、該ポリマーは、該フィルム組成物または製品全体の約70質量%以下の量で存在する。最も望ましくは、該フィルム組成物が、本明細書において論じるような高用量フィルム組成物または製品である場合、該ポリマーは、該フィルム組成物または製品の約46質量%以下の量で存在する。
【0092】
制御放出性フィルム
該用語「制御放出(性)」とは、予め選択されたまたは所望の速度での、活性成分の放出を意味するものとする。この速度は、用途に応じて変えることができる。望ましい速度は、迅速または即座の放出プロフィール並びに遅延、持続または周期的放出を含む。本発明では、放出パターンの組合せ、例えば活性成分の初期の急激に増大する放出、これに伴うその低レベルでの持続的な放出をも意図している。パルス化された薬物放出も、本発明において意図されている。
【0093】
本発明の高用量フィルムに対して選択される該ポリマーを、該活性成分の制御された崩壊を可能とするように選択することも可能である。これは、活性成分を配合する、実質的に水-不溶性のフィルムを製造することによって達成でき、該活性成分は、時間の経過に伴って該フィルムから放出される。これは、様々な異なる可溶性または不溶性のポリマーを配合することにより達成でき、また生分解性ポリマーを組合せで含むこともできる。あるいはまた、被覆された制御放出性活性成分の粒子を、容易に溶解するフィルムマトリックス中に配合して、消費した際に消化系内部での、該活性成分の制御放出性を達成することも可能である。
【0094】
該活性成分の制御放出をもたらす、本発明の高用量フィルムを含むフィルムは、口腔、経歯肉、舌下および経膣投与に対して特に有用である。本発明のフィルムは、粘膜または粘液が存在する場合には、容易に湿潤し、またこれら領域に接着する能力のために、特に有用である。
【0095】
規則的な間隔での多数の単一用量の投与とは逆に、長期間に渡り制御された様式で、活性成分を放出する薬物療法での、単一用量の投与の便利さは、薬学の分野において長い間認識されてきた。長期間に渡る投薬の一貫したかつ均一な血中濃度の達成における、患者および臨床医にとっての利点も、同様に認識されている。様々な持続放出型の投与剤形の利点は周知である。しかし、活性成分の制御放出をもたらすフィルムの製造は、制御放出型錠剤に関するこれら周知の利点に加えて、幾つかの利点を有する。例えば、薄いフィルムは、不注意で吸引することは困難であり、また患者による高い応諾が得られる。というのは、これらは、錠剤のように飲込む必要がないからである。更に、本発明のフィルムの幾つかの態様は、口腔および舌に接着するように設計されており、そこで該フィルムは、制御可能な様式で溶解する。更に、薄いフィルムは、オキシコンチン(Oxycontin)等の薬物の誤用に導く問題となる、制御放出錠剤の如く圧潰される恐れがない。
【0096】
本発明において使用する該活性成分は、制御放出型の本発明のフィルム組成物に配合することができる。例えば、薬物の粒子は、ポリマー、例えば夫々ブランド名、例えばアクアコート(Aquacoat) ECDおよびユードラジット(Eudragit) E-100の下に市販品として入手できる、エチルセルロースまたはポリメタクリレートであり得る。また、薬物の溶液は、このようなポリマー材料に吸収させることができ、また本発明のフィルム組成物中に配合することができる。他の成分、例えば脂肪およびワックス並びに甘味料および/または香料を、このような制御放出組成物において使用することができる。
【0097】
該活性成分は、風味-隠蔽組成物を配合した迅速溶解性投与剤形用の均一フィルム(Uniform Films For Rapid Dissolve Dosage Form Incorporating Taste-Masking Compositions)と題する、継続中のPCT出願(同一のタイトルで、2003年9月27日付で出願された、米国仮特許出願No.イクスプレスメイルラベル(Express Mail Label)No.:EU552991605 US;代理人事件No. 1199-15Pに基く)に記載されているように、該フィルム組成物に配合する前に風味マスキング剤で処理することができる。該PCT特許出願の全内容を、ここに参考として組み入れる。
【0098】
活性成分
活性成分を該フィルムに導入する場合、単位面積当たりの該活性成分の量は、該フィルムの均一分布性によって決定される。例えば、該フィルムが個々の投与剤形に裁断される場合、該投与剤形における該活性成分の量は、高い精度で知ることができる。これは、所定の面積内の該活性成分の量が、同一の寸法の面積内の、該フィルムの他の部分における該活性成分の量と、実質的に同一であることから、達成される。用量における精度は、該活性成分が医薬、即ち薬物である場合に、特に有利である。
【0099】
本発明のフィルム内に配合することのできる該活性成分は、薬理的および化粧学的活性成分、薬物、医薬、抗原またはアレルゲン、例えばブタクサ(ragweed)の花粉、胞子、微生物、種子、口内洗浄成分、香料、芳香剤、酵素、保存剤、甘味料、着色剤、香辛料、ビタミンおよびこれらの組合せを含むが、これらに限定されない。
【0100】
広範囲に及ぶ医薬、生物学的に活性な活性物質および薬理組成物を、本発明の投与剤形に含めることができる。有用な薬物の例は、ACE-阻害剤、抗-狭心症薬、抗-不整脈薬、抗-喘息薬、抗-コレステロール血症薬、鎮痛薬、麻酔薬、抗-痙攣薬、抗-鬱薬、抗-糖尿病薬、下痢止製剤、解毒薬、抗-ヒスタミン薬、抗-高血圧症薬、抗-炎症薬、抗-高脂血症薬、抗-躁病薬、制嘔吐薬、抗-発作薬、抗-甲状腺製剤、抗-腫瘍薬、抗-ウイルス剤、アクネ治療薬、アルカロイド、アミノ酸製剤、鎮咳薬、抗-尿酸血症薬、抗-ウイルス薬、同化促進製剤、全身性または非-全身性抗-感染薬、抗-新生物薬、抗-パーキンソン症候群薬、抗-リウマチ薬、食欲増進剤、生物学的応答改善剤、血液改善剤、骨代謝調節剤、心臓血管作用薬、中枢神経系刺激薬、コリンエステラーゼ阻害剤、避妊薬、鬱血除去薬、ダイエタリーサプリメント、ドーパミン受容体アゴニストスト、子宮内膜症治療薬、酵素、勃起不全治療薬、排卵誘発薬、胃腸薬、ホメオパシー治療薬、ホルモン、高カルシウム血症および低カルシウム血症治療薬、免疫調節薬、免疫抑制剤、片頭痛製剤、動揺病治療薬、筋弛緩薬、肥満治療薬、骨粗鬆症製剤、分娩促進薬、副交感神経遮断薬、副交感神経興奮薬、プロスタグランジン、精神療法薬、呼吸器疾患治療薬、鎮静剤、禁煙補助薬、交感神経遮断薬、震え治療製剤、尿路感染症治療薬、血管拡張薬、緩下薬、制酸剤、イオン交換樹脂、解熱薬、食欲抑制剤、去痰薬、抗-不安薬、抗-潰瘍剤、抗-炎症性物質、冠状動脈拡張剤、末梢血管拡張薬、精神作用薬、刺激薬、抗-高血圧症薬、血管収縮薬、片頭痛治療薬、抗生物質、トランキライザー、抗-精神病薬、抗-腫瘍薬、抗-凝血剤、抗-血栓薬、催眠薬、鎮吐薬、制吐薬、抗痙攣剤、神経筋作用薬、高血糖および低血糖症治療薬、甲状腺および抗-甲状腺製剤、利尿薬、鎮痙薬、子宮弛緩剤(terine relaxants)、肥満防止薬、造血剤、抗-喘息薬、咳止め剤、ムコ多糖加水分解剤、DNAおよび遺伝子改質剤、およびこれらの組合せを含む。
【0101】
本発明において使用するための薬物療法活性成分の例は、制酸剤、H2-アンタゴニストおよび鎮痛薬を含む。例えば、制酸性投与剤は、炭酸カルシウム単独またはこれと水酸化マグネシウムおよび/または水酸化アルミニウムとの組合せを成分として使用して製造できる。更に、制酸剤は、H2-アンタゴニストとの組合せで使用することができる。
【0102】
鎮痛薬は、アヘン剤およびアヘン剤誘導体、例えばオキシコドン(オキシコンチン(OxycontinTM)として入手できる)、イブプロフェン、アスピリン、アセトアミノフェン、および場合によりカフェインを含むことのできる、これらの組合せを包含する。
【0103】
本発明において使用するのに好ましい他の薬物または他の好ましい活性成分は、下痢止め剤、例えばイモジウム(immodium) AD、抗-ヒスタミン剤、鎮咳薬、充血除去剤、ビタミン及び呼気-清涼化剤を含む。風邪、痛み、発熱、咳、充血、鼻水およびアレルギーを治療するために、単独でまたは組合せて使用される一般的な薬物、例えばアセトアミノフェン、クロルフェニラミンマレエート、デキストロメトルファン、シュードエフェドリンHClおよびジフェンヒドラミンは、本発明のフィルム組成物中に含めることができる。
【0104】
同様に本発明における使用を意図するものは、不安緩解剤、例えばアルプラゾラム(ザナックス(XanaxTM)として入手できる);抗-精神病薬、例えばクロゾピン(クロザリル(ClozarilTM)として入手できる)およびハロペリドール(ハルドール(HaldolTM)として入手できる);非-ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、例えばジクロフェナク(ボルタレン(VoltarenTM)として入手できる)およびエトドラック(ロジン(LodineTM)として入手できる)、抗-ヒスタミン剤、例えばロラタジン(クラリチン(ClaritinTM)として入手できる)、アステミゾール(ヒスマナール(Hismanal TM)として入手できる)、ナブメトン(リラフェン(Relafen TM)として入手できる)、およびクレマスチン(タビスト(Tavist TM)として入手できる);制吐薬、例えばグラニセトロン塩酸塩(キトリル(Kytril TM)として入手できる)およびナビロン(セサメット(Cesamet TM)として入手できる);気管支拡張薬、例えばベントリン(Bentlin TM)アルブテロール硫酸塩(プロベンチル(Proventil TM)として入手できる);抗-鬱薬、例えばフルオキセチン塩酸塩(プロザック(Prozac TM)として入手できる)、セルトラリン塩酸塩(ゾロフト(Zoloft TM)として入手できる)およびパロキセチン(paroxtine)塩酸塩(パキシル(Paxil TM)として入手できる);抗-片頭痛薬、例えばイミグラ(Imigra TM)、ACE-阻害剤、例えばエナラプリラト(バソテック(Vasotec TM)として入手できる)、カプトプリル(カポテン(Capoten TM)として入手できる)およびリシノプリル(ゼストリル(Zestril TM)として入手できる);抗-アルツハイマー症候群治療薬、例えばニセルゴリン;およびCaH-アンタゴニスト、例えばニフェジピン(プロカルディア(Procardia TM)およびアダラット(Adalat TM)として入手できる)、およびベラパミル塩酸塩(カラン(Calan TM)として入手できる)である。
【0105】
勃起不全症治療薬は、ペニスへの血流を容易にする薬物、および自律神経活性に作用する薬物、例えば副交感神経系(コリン作用性)活性を高めおよび交感神経系(アドレナリン作用性)活性を減じる薬物を含むが、これらに限定されない。有用な非-限定的薬物は、シルデナフィル、例えばバイアグラ(Viagra TM)、タダラフィル、例えばシアリス(Cialis TM)、バルデナフィル、アポモルフィン、例えばアプリマ(Uprima TM)、ヨヒンビン塩酸塩、例えばアフロジン(Aphrodyne TM)、およびアルプロスタジル、例えばカバージェクト(Caverject TM)を含む。
【0106】
本発明における使用を意図している、大衆的なH2-アンタゴニストは、シメチジン、ラニチジン塩酸塩、ファモチジン、ニザチジエン(nizatidine)、エブロチジン、ミフェンチジン、ロキサチジン、ピサチジン、およびアセロキサチジンを含む。
【0107】
活性制酸性成分は、以下に列挙するものを含むが、これらに限定されない:水酸化アルミニウム、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート、アミノ酢酸、リン酸アルミニウム、炭酸ジヒドロキシアルミニウムナトリウム、重炭酸塩、アルミン酸ビスマス、炭酸ビスマス、ビスマス次炭酸塩、次没食子酸ビスマス、次硝酸ビスマス、ビスマス次シリシレート(subsilysilate)、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、クエン酸イオン(酸または塩)、アミノ酢酸、アルミン酸硫酸アルミニウム水和物、マガルドレート、アルミノ珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、マグネシウムグリシネート、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、マグネシウムトリシリケート、ミルク固形分、アルミニウム一または二塩基性リン酸カルシウム、リン酸三カルシウム、重炭酸カリウム、酒石酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、アルミノ珪酸マグネシウム、酒石酸およびその塩。
【0108】
本発明で使用する該薬理的に活性な薬剤は、アレルゲンまたは抗原を含むことができ、その例は、草本、木本、またはブタクサ由来の植物の花粉;猫および毛皮で覆われた他の動物の皮膚および毛から落ちる小さな鱗片である動物の鱗屑;昆虫、例えばヒョウヒダニ、ミツバチ、およびスズメバチ;および薬物、例えばペニシリンを含むが、これらに限定されない。
【0109】
更に、ジフェンヒドラミン(19mg)を、本発明のフィルムに含めることができる。
【0110】
また、特に活性成分が光感受性である場合に、該活性成分の分解を防止するために、酸化防止剤を該フィルムに添加することができる。
【0111】
化粧学的に活性な薬剤は、メントール等の呼気-清涼化剤、他の香料または芳香剤、特に口腔衛生のために利用されているもの、並びに歯科および口腔清浄化において使用される活性成分、例えば四級アンモニウム塩基を含むことができる。香料の作用は、酒石酸、クエン酸、バニリン等の香味増強剤を使用して、高めることができる。
【0112】
幾つかの態様において、消費した際に、「泡起爆発性」の/極めて快適な感覚をもたらす、高用量フィルム組成物および製品を含有するフィルムを製造することが可能である。特に、幾つかの態様において、粉末化泡起性K錠剤は、加圧ロールを用いて、ビタミンC含有フィルムストリップに、堅固に埋設することにより、該粉末を該ストリップ中に配合することができる。得られたストリップは、口内で溶解した際に(溶解は、1秒未満であり得る)、「泡起爆発性」の/極めて快適な風味を与える。
【0113】
また、着色添加剤を、該フィルムの製造において使用することができる。かかる着色添加剤は、食品、薬物および化粧学的着色剤(FD&C)、薬物および化粧学的着色剤(D&C)、または外用薬物および化粧学的着色剤(Ext. D&C)を含む。これらの着色剤は、染料、その対応するレーキ、幾つかの天然および誘導着色剤である。レーキは、水酸化アルミニウムに吸収された染料である。
【0114】
着色剤の他の例は、公知のアゾ染料、有機または無機顔料、または天然起源の着色剤を包含する。無機顔料が好ましく、その例は、鉄またはチタンの酸化物であり、これらの酸化物は、上記成分の全質量を基準として、約0.001〜約10質量%なる範囲、および好ましくは約0.5〜約3質量%なる範囲の濃度にて添加される。
【0115】
香料は、天然および合成芳香性液体から選択することができる。このような薬剤の例示的な一覧は、揮発性オイル、合成芳香油、風味芳香剤、植物、葉、花、果実、茎およびこれらの組合せから誘導されたオイル、液体、オレオレジンまたはエキスを包含する。これらの例の非-限定的、代表的一覧は、ミント油、ココア、およびレモン、オレンジ、グレープ、ライムおよびグレープフルーツ等の柑橘油、およびリンゴ、ナシ、モモ、ブドウ、イチゴ、キイチゴ、サクランボ、プラム、パイナップル、アンズ、または他の果実香料を包含する、果実エキスを含む。
【0116】
香味料を含有する該フィルムを添加して、高温または低温香味付与飲料またはスープを得ることができる。これらの香味料は、茶およびスープの風味付け、例えばビーフおよびチキンによる風味付けを含むが、これらに限定されない。
【0117】
他の有用な香味料は、アルデヒドおよびエステル、例えばベンズアルデヒド(サクランボ、アーモンド)、シトラール、即ちα-シトラール(レモン、ライム)、ネラール、即ちβ-シトラール(レモン、ライム)、デカナール(オレンジ、レモン)、アルデヒドC-8(柑橘類果実)、アルデヒドC-9(柑橘類果実)、アルデヒドC-12(柑橘類果実)、トリルアルデヒド(サクランボ、アーモンド)、2,6-ジメチルオクタノール(未熟な果実)、および2-ドデセナール(柑橘類、マンダリン)、これらの組合せ等を含む。
【0118】
上記甘味料は、以下の非-限定的な一覧から選択することができる:グルコース(コーンシロップ)、デキストロース、転化糖、フルクトース、およびこれらの組合せ;サッカリンおよびその様々な塩、例えばナトリウム塩;ジペプチド甘味料、例えばアスパルテーム;ジヒドロカルコン化合物、グリチルリチン;ステビアリボジアナ(Stevia Rebaudiana)(ステビオシド);スクロースのクロロ-誘導体、例えばスクラロース;糖アルコール、例えばソルビトール、マニトール、キシリトール等。同様に意図しているものは、水添デンプン水解物、および合成甘味料である3,6-ジヒドロ-6-メチル-1,1,1,2,3-オキサチアジン-4-オン-2,2-ジ-オキサイド、特にそのカリウム塩(アセスルファム-K)、およびそのナトリウムおよびカルシウム塩、および天然強力甘味料、例えばローハンクー(Lo Han Kuo)である。その他の甘味料も使用可能である。
【0119】
上記活性成分を、上記溶媒中のポリマーと併合する場合、生成されるマトリックスの型は、該活性成分および該ポリマーの溶解度に依存する。該活性成分および/またはポリマーが、該選択された溶媒中に溶解性である場合には、該マトリックスは、溶液を形成し得る。しかし、該成分が可溶性でない場合には、該マトリックスは、エマルション、コロイド、または懸濁液として分類できる。
【0120】
用量:
本発明の該フィルム製品は、該活性成分の広範囲に及ぶ量を収容することができる。該フィルムは、要求される用量が高いか、または極端に低いかとは無関係に、正確な用量(フィルムのサイズ、および元のポリマー/水の組合せにおける該活性成分の濃度により決定される)を与えることができる。従って、該フィルムに配合された活性成分または薬理組成物の型に依存して、該活性成分の量は、約50mg程度、望ましくは約200mgまで、またはマイクログラム程度、またはこれらの間の任意の量であり得る。
【0121】
本発明のフィルム製品および方法は、高効力、低用量薬物に極めて適したものである。これは、該フィルムの高度の均一性によって達成される。従って、低用量薬物、特により高い効力を持つ活性成分のラセミ混合物が望ましい。
【0122】
消泡並びに脱泡組成物
消泡および/または脱泡成分も、また本発明のフィルムと共に使用できる。これらの成分は、該フィルム-形成組成物からの、取込み空気等の空気の除去において役立つ。上記の如く、このような取込み空気は、不均一なフィルムの生成をもたらす恐れがある。シメチコンは、特に有用な消泡および/または脱泡剤である。しかし、本発明は、これらに限定されず、他の消泡および/または脱泡剤を適宜使用することができる。
【0123】
シメチコンは、一般に小児におけるガスまたは疝痛の治療薬として、医学分野において使用されている。シメチコンは、ポリジメチルシロキサンの繰返し単位を含み、トリメチルシロキシ末端-遮断単位で安定化されている、完全にメチル化された線状シロキサンポリマーと二酸化ケイ素との混合物である。これは、通常90.5〜99%のポリメチルシロキサンと、4〜7%の二酸化ケイ素とを含む。この混合物は、水に対して不溶性の、灰色で、半透明かつ粘稠な流体である。
【0124】
水に分散した場合、シメチコンは、表面を横切って広がって、低表面張力を持つ薄いフィルムを形成する。このようにして、シメチコンは、該溶液中に存在する気泡、例えば発泡気泡の表面張力を低下して、これらを破壊する。シメチコンのこの機能は、水中でのオイルおよびアルコール両者の二重の作用に類似するものである。例えば、油状溶液において、あらゆる取込まれた気泡は、表面に向って上昇し、より容易かつ迅速に消失するであろう。というのは、油状溶液は、水溶液と比較してより低い密度を持つからである。他方で、アルコール/水混合物は、水の密度を低下し、しかも水の表面張力を低下することが知られている。従って、この混合溶液内に取込まれたあらゆる気泡も、容易に散逸されるであろう。シメチコン溶液は、これら利点両者をもたらす。この溶液は、該水性溶液内に取込まれた任意の気泡の表面エネルギーを低下し、並びに該水性溶液の表面張力をも低下する。この固有の機能の結果として、シメチコンは、生理的な過程(腹部における脱ガス)並びに製品から気泡を除去する必要のある、任意の外的な過程に対して使用することのできる優れた消泡特性を持つ。
【0125】
本発明のフィルムにおける気泡の形成を防止するために、上記混合段階を、真空条件下で行うことができる。しかし、該混合段階が完了すると即座に、また該フィルム形成溶液が、通常の大気条件に戻されると直に、空気は、該混合物中に再導入されるか、これと接触することになる。多くの場合において、小さな気泡が、この粘稠なポリマー溶液内に、再度取込まれるであろう。該フィルム-形成組成物へのシメチコンの配合は、気泡の形成を実質的に減じるか、あるいは排除する。
【0126】
シメチコンは、該フィルム-形成組成物に、消泡剤として、約0.01質量%〜約5.0質量%なる範囲、より望ましくは約0.05質量%〜約2.5質量%なる範囲、および最も望ましくは約0.1質量%〜約1.0質量%なる範囲の量で添加することができる。
【0127】
随意成分:
また、様々な他の成分およびフィラーを、本発明のフィルムに添加することができる。これらは、以下に列挙するものを含むが、これらに限定されない:界面活性剤;該混合物内の各成分を相溶化するのに役立つ可塑剤;ポリアルコール;該フィルムから酸素を放出させることにより、より滑らかなフィルム表面を与える、消泡剤、例えばシリコーン-含有化合物;および該成分の分散状態を維持するのに役立つ、熱硬化性ゲル、例えばペクチン、カラギーナン、およびゼラチン。しかし、可塑剤(本発明の高用量フィルム組成物の該自己-可塑性ポリマー以外のもの)を、本発明の高用量フィルムおよび製品に配合できる(本明細書の実施例G参照)が、該可塑剤は、ポリマー(これは該フィルムを弱くするであろう)または活性成分(これは、該フィルム、即ち該高用量フィルム組成物および製品に配合できる活性成分の量を低下する)の何れかと入代るものであることが理解されよう。従って、上で議論したように、自己-可塑性ポリマーを、本発明の高用量フィルム組成物および製品に配合することが最も望ましい。更に、望ましくは引張強さ発現機能を持つ、室温にて約30℃を越えるTgを持つポリマーを使用する場合、これらは、望ましくは自己-可塑性ポリマーとの組合せで使用される。あるいはまた、付随的な可塑剤が必要とされる場合もあり得る。
【0128】
本発明の組成物に配合できる、これら様々な添加物は、様々な異なる機能を与えることができる。添加物群の例は、賦形剤、潤滑剤、緩衝剤、安定化剤、発泡剤、顔料、着色剤、フィラー、増量剤、甘味料、香味料、香料、離型性改善剤、佐剤、可塑剤、流動促進剤、離型剤、ポリオール、造粒剤、希釈剤、バインダ、バッファー、吸収剤、グリダント、接着剤、接着防止剤、酸味付与剤、柔軟剤、樹脂、保護薬、溶媒、界面活性剤、乳化剤、エラストマーおよびこれらの混合物を含む。これらの添加剤は、上記活性成分と共に添加することができる。
【0129】
有用な添加物は、例えばゼラチン、食用タンパク質、例えばヒマワリタンパク質、大豆タンパク質、綿実タンパク質、ピーナッツタンパク質、ブドウ種子タンパク質、ホエータンパク質、ホエータンパク単離物質、血液タンパク質、卵のタンパク質、アクリル化タンパク質、水溶性多糖類、例えばアルギン酸塩、カラギーナン、グアーガム、寒天、ザンタンガム、ジェランガム、アラビアガム、および関連するガム(ガッチガム、カラヤゴム、トラガカンスゴム)、ペクチン、セルロースの水溶性誘導体:アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロースおよびヒドロキシアルキルアルキルセルロース、例えばメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、セルロースエステルおよびヒドロキシアルキルセルロースエステル、例えばセルロースアセテートフタレート(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC);カルボキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロースエステル、例えばカルボキシメチルセルロースおよびそのアルカリ金属塩;水溶性合成ポリマー、例えばポリアクリル酸およびポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸およびポリメタクリル酸エステル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)、ポリビニルピロリドン(PVP)、PVY/酢酸ビニルコポリマー、およびポリクロトン酸を含み;同様に適当なものは、フタレート化ゼラチン、ゼラチンサクシネート、架橋ゼラチン、セラック、デンプンの水溶性化学的誘導体、例えば三級または四級アミノ基、例えば所望により四級化できるジエチルアミノエチル基を持つ、カチオンにより変性されたアクリレート、およびメタクリレート;および他の同様なポリマーである。
【0130】
このようなエキステンダーは、場合により任意の所望の量で、望ましくは全ての成分の質量を基準として、約80%までの量、望ましくは約3〜50%なる範囲の量、およびより望ましくは3〜20%なる範囲の量で添加することができる。
【0131】
更なる添加剤は、無機フィラー、例えば炭酸カルシウムおよびマグネシウム、アルミニウム、ケイ素、チタニウム等の酸化物であり得、これらは望ましくは全ての成分の質量を基準として、約0.02〜約3質量%なる範囲、および望ましくは約0.02〜約1質量%なる範囲の濃度にある。
【0132】
本発明のフィルム組成物または製品が、高用量フィルム組成物または製品である場合、このような随意の成分は、任意の適当な量で含めることができる。その上、幾つかの態様においては、高用量フィルム組成物または製品は、添加フィラーを全く含まない。
【0133】
添加物の更なる例は、可塑剤であり、その例は、ポリアルキレンオキサイド、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン-プロピレングリコール、低分子量を持つ可塑剤、例えばグリセロール、グリセロールモノアセテート、ジアセテートまたはトリアセテート、トリアセチン、ポリソルベート、セチルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、ナトリウムジエチルスルホサクシネート、トリエチルシトレート、トリブチルシトレート等を含み、これらは、該ポリマーの質量を基準として、約0.5〜約30%なる範囲の濃度および望ましくは約0.5〜約20%なる範囲の濃度にて添加される。
【0134】
更に、デンプン物質の流動特性を改善するために、化合物、例えば動物または植物脂肪、望ましくはその水添状態にあるこれら脂肪、特に室温にて固体状態にあるものを添加することができる。これら脂肪は、望ましくは50℃またはそれ以上の融点を持つ。好ましくは、C12-、C14-、C16-、C18-、C20-およびC22-脂肪酸を含むトリグリセライドである。これら脂肪は、エキステンダーまたは可塑剤を添加することなく、単独で添加することができ、また有利には単独であるいはモノ-および/またはジ-グリセライドまたはホスファチド、特にレシチンと共に添加することができる。該モノ-およびジ-グリセライドは、望ましくは上記した型の脂肪、即ちC12-、C14-、C16-、C18-、C20-およびC22-脂肪酸から誘導される。
【0135】
使用する該脂肪、モノ-、ジ-グリセライドおよび/またはレシチンの全量は、該組成物全体の、約5%までおよび好ましくは約0.5〜約2質量%なる範囲にある。
【0136】
二酸化ケイ素、ケイ酸カルシウム、または二酸化チタンを、該組成物全体の、約0.02〜約1質量%なる範囲の濃度にて添加することが、更に有用である。これらの化合物は、構造化剤(texturizing agents)として作用する。
【0137】
これら添加剤は、その意図した目的を達成するのに十分な量で使用される。一般的に、これら添加剤の幾つかの組合せが、上記活性成分の全体としての放出プロフィールを変更し、またその放出を改善、即ち抑制または促進するのに使用できる。
【0138】
レシチンは、本発明において使用するための界面活性剤の一つである。レシチンは、該供給原料中に、約0.25〜約2.00質量%なる範囲の量で含めることができる。他の界面活性薬剤、即ち界面活性剤は、セチルアルコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ICIアメリカ社(ICI Americas, Inc.)から市販品として入手できる、スパン(SpanTM)およびツイーン(TweenTM)を含むが、これらに限定されない。バスフ(BASF)社から市販品として入手できるクレモフォア(CremophorTM) EL等のエトキシル化ヒマシ油を包含するエトキシル化オイルも有用である。カーボワックス(CarbowaxTM)は、本発明において有用な、更に別の調節剤である。ツイーン(TweenTM)または界面活性剤の組合せは、所定の親水-親油バランス(HLB)を達成するために使用することができる。しかし、本発明は、界面活性剤の使用を必要とせず、また本発明のフィルムまたはフィルム-形成組成物は、本質的に界面活性剤を含まないものであり得るが、依然として本発明の望ましい均一性という特徴を与える。
【0139】
本発明の手順および製品を増強する付随的な調節剤が確認されたので、本出願人は、ここに請求する本発明の範囲内に、全てのこのような付随的な調節剤を含めるものとする。
【0140】
他の成分は、本発明のフィルムの製造容易性並びに一般的な性能に寄与する、バインダを含む。バインダの非-限定的な例は、デンプン、アルファ化デンプン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルオキサゾリドン(polyvinyloxoazolidone)、およびポリビニルアルコールを含む。
【0141】
該フィルムの製造:
本発明のフィルムは、乾燥する前に、シートに成形する必要がある。所定の成分を併合して、上記ポリマー、水、および活性成分または他の所望の成分を含有する、多成分マトリックスを製造した後、この組合せを、当分野において公知の任意の方法で、例えば押出し、塗布、展開、注型、または多成分マトリックスへの圧伸成形により、シートまたはフィルムに成形する。多層フィルムが望ましい場合、その製造は、同一のまたは異なる組成を持つことができる、成分の2以上の組合せを同時-押出することによって達成できる。また、多層フィルムの製造は、既に形成されたフィルム上に、該組合せを塗布、展開、または注型することにより達成し得る。
【0142】
様々な異なるフィルム-形成技術を利用できるが、可撓性フィルムを与える方法、例えばリバースロール塗布技術を選択することが望ましい。該フィルムの可撓性は、貯蔵または個々の投与剤形に裁断する前に、該フィルムのシートを巻き取り、かつ搬送することを可能とする。望ましくは、該フィルムは、また自立性のもの、あるいは換言すれば、別途支持体のない状態においても、その保全性及び構造を維持できるものである。更に、本発明のフィルムは、可食性または摂取可能な材料を選択して製造することができる。
【0143】
塗布または注型法は、本発明のフィルム製造の目的にとって、特に有用である。具体的な例は、リバースロール塗布、グラビア塗布、浸漬塗布または漬塗り、計量ロッドまたはメイヤーバーコーティング、スロットダイまたは押出塗布、ギャップまたはロール式ナイフ塗布、エアーナイフ塗布、フローコーティング、または、特に多層-フィルムを所望する場合には、これらの組合せを含む。
【0144】
ロール塗布、またはより具体的にはリバースロール塗布は、本発明に従ってフィルムを製造する場合に、特に望ましい。この方法は、本発明において望ましいことである、得られるフィルムの優れた制御性および均一性を与える。この方法においては、上部計量ロールとその下部の塗布ロールとの間のギャップを正確に設定することによって、該塗布材料を、該アプリケータロール上で計量する。該塗膜は、これが、該塗布ロールに隣接する該支持ロールの周りを通過する際に、該塗布ロールから転写される。3本ロールおよび4本ロール法が一般的である。
【0145】
上記グラビア塗布法は、塗布浴中を走行する彫刻ロールの使用に拠っており、該浴は、該ロールの彫刻ドットまたはラインを、該塗布材料で満たす。該ロール上の過剰量の塗布材料は、ドクターブレードによって擦り取られ、また次に該塗布材料は、これが該彫刻ロールと加圧ロールとの間を通過する際に、基板上に堆積される。
【0146】
オフセットグラビア塗布が一般的であり、ここで該塗布材料は、該基板に転写される前に、中間ロール上に堆積される。
【0147】
該簡単な浸漬塗布または漬塗り法においては、該基板は、該塗布材料の浴に浸漬され、該塗布材料は通常低粘度のものであって、該基板が浴から出てきた際に、該塗布材料は該浴に戻ることができる。
【0148】
該計量ロッド塗布法においては、基板が浴ロール上を通過する際に、その上に、過剰量の該塗布材料が堆積される。しばしばメイヤーバーとして知られる、ワイヤ-巻回計量ロッドは、所定量の該塗布材料を、該基板上に残すことを可能とする。その量は、該ロッド上で使用される該ワイヤの径によって決定される。
【0149】
該スロットダイ法においては、該塗布材料は、重力によって、あるいはスロットを介する圧力下で絞出され、該基板上に堆積される。該塗布材料が、100%固体である場合、この方法は「押出」と呼ばれ、この場合において、線速度は、しばしば該押出速度よりも極めて高い。これは、塗膜を、該スロットの幅よりもかなり薄くすることを可能とする。
【0150】
上記ギャップまたはロール式ナイフ塗布法は、塗布材料を該基板上に適用し、これを次に「ナイフ」と支持ロールとの間の「ギャップ」に通すことからなる。該塗布材料および基板が、該ギャップを通過する際に、該材料の過剰分は、掻取られる。
【0151】
エアーナイフ塗布では、該塗布材料が該基板上に適用され、また該材料の過剰量は、該エアーナイフからの強力なジェットによって「吹飛ばされる」。この方法は、水性塗布材料に対して有用である。
【0152】
該フローコーティング法においては、底部においてスロットを備えた浴は、2つのコンベア間での、該塗布材料の連続するカーテンの落下を可能とする。該塗布すべき対象は、制御された速度にて、該コンベアに沿って通過し、結果として該塗布材料をその上面に受け取る。
【0153】
該フィルムの乾燥:
該乾燥工程も、該フィルム組成物の均一性の維持に関する、寄与因子である。制御乾燥工程は、粘度増加組成物または、例えば上記ポリマーの選択によって粘度が制御されている組成物の存在しない条件下で、該フィルム内の成分が高い凝集または凝塊形成傾向を示す可能性がある場合には、特に重要である。制御された乾燥工程を必要としない、正確な用量のフィルムを製造するもう一つの方法は、所定のウエル上で該フィルムを注型することである。この方法によれば、該成分は凝集する恐れがあるが、各ウエルが該投薬単位自体を規定するので、隣接投与剤形に対する該活性成分の移動を引起さない。
【0154】
制御されたまたは迅速な乾燥工程が望ましい場合には、該乾燥工程は様々な方法によって可能となる。熱の適用を必要とする方法を包含する様々な方法を利用できる。湿潤フィルムにおいて得られる、均一性、またはより具体的には、非-自己凝集性の均一な不均質性を維持するような方法で、該液状担体は、該フィルムから除去される。
【0155】
望ましくは、該フィルムは、該フィルムの底部から該フィルムの上部に向かって乾燥される。望ましくは、初期設定期間中、該フィルムの上部を横切る空気流は、実質的に存在しない。該期間中に、固体、粘弾性構造が形成される。これは、最初の数分間、例えば該乾燥工程の初期の約0.5〜約4.0分なる期間内に起こる。該乾燥工程をこのように調節することにより、従来の乾燥方法に見られる、該フィルムの上部表面の破壊および再形成を防止する。これは、該フィルムを形成し、上部および下部側部を持つ表面の上部側に該フィルムを配置することにより達成される。次いで、まず熱を、該フィルムの底部側に適用して、該液状担体を蒸発または除去するのに要するエネルギーを供給する。このようにして乾燥される該フィルムは、風乾されたフィルムまたは従来の乾燥手段によって乾燥されたフィルムと比較して、より迅速かつ均等に乾燥される。最初に上部および端部が乾燥される、風乾フィルムとは対照的に、底部に熱を適用することによって乾燥されるフィルムでは、同時にその中心部並びにその端部が乾燥される。これは、また従来の手段によって乾燥されたフィルムについて見られる、成分の沈降をも防止する。
【0156】
該フィルムを乾燥する温度は、約100℃またはそれ以下、望ましくは約90℃またはそれ以下、および最も望ましくは約80℃またはそれ以下である。
【0157】
単独であるいは上記の如き他の制御乾燥法との組合せで使用することのできる、該乾燥工程を制御するもう一つの方法は、該フィルムが乾燥されている、該乾燥装置内の、湿度を制御および調節することを含む。このようにして、該フィルム上部表面の早期の乾燥を回避する。
【0158】
更に、乾燥期間の長さを適切に制御でき、即ち該成分、および特に香味油および薬物の感熱性および揮発性と、該乾燥期間とを釣合わせることが可能であることをも見出した。該最終的なフィルムにおいて、該エネルギーの量、温度および該コンベアの長さおよび速度は、このような活性成分を収容し、かつその損失、分解または不活化を最小化するように釣合わせることができる。
【0159】
適当な乾燥法の具体的な例は、Magoonにより記載された方法である。Magoonの方法は、特にフルーツパルプの乾燥方法を指向している。しかし、本発明者等は、薄いフィルムを製造するためにこの方法を採用した。
【0160】
Magoonの方法並びに装置は、水の興味深い特性に基いている。水は、その環境内および該環境に対する伝導および対流によってエネルギーを伝達するが、水は、水内部および水自体に対してのみエネルギーを放出する。従って、Magoonの装置は、赤外線に対して透明な、該フルーツパルプを配置すべき表面を含む。該表面の下側は、温度制御された水浴と接触状態にある。該水浴の温度は、望ましくは水の沸点よりも僅かに低い温度に制御される。該湿潤フルーツパルプが該装置の該表面上に配置された際に、該表面は、「リフラクタンスウインドウ(refractance window)」を生成する。このことは、該表面を介して、該フルーツパルプにより占有された表面上の領域のみに対して、かつ該フルーツパルプが乾燥されるまでの期間だけ、赤外線エネルギーの照射が可能となることを意味している。該Magoonの装置は、効果的な乾燥時間で、本発明のフィルムを与え、結果として該フィルム成分の凝集する機会を減じる。
【0161】
該フィルムは、最初約500μm〜約1,500μmなる範囲、即ち約20ミル〜約60ミル(約0.508mm〜約1.524mm)なる範囲の厚みを持つことができ、また乾燥した際には、約3μm〜約250μmなる範囲、即ち約0.1ミル〜約10ミル(約0.00254mm〜約0.254mm)なる範囲の厚みを持つ。望ましくは、該乾燥フィルムは、約50.8μm〜約203μm(約2ミル〜約8ミル)なる範囲、およびより望ましくは約76.2μm〜約152μm(約3ミル〜約6ミル)なる範囲の厚みを持つ。幾つかの態様において、該フィルムは、約0.305mm(約0.012in)なる厚みを持ち、ストリップのサイズ約22.2mm×約31.8mm(約7/8in×5/4in)を持つことができる。他の態様においては、該フィルムは、約0.381mm(約0.015in)なる厚みを持ち、ストリップのサイズ約22.2mm×約38.1mm(約7/8in×3/2in)を持つことができる。更に別の態様において、該フィルムは、約0.127mm(約0.005in)なる厚みを持ち、ストリップのサイズ約22.2mm×約38.1mm(約7/8in×3/2in)を持つことができる。
【0162】
幾つかの態様において、本発明のフィルムは、約3-6秒なる範囲の溶解時間を有する。他の態様においては、本発明のフィルムは、約1-3秒なる範囲の溶解時間を持つ。
【0163】
薄いフィルムの使用:
本発明の薄いフィルムは、多くの用途に対して十分に適したものである。該フィルム成分の高度の均一性は、該フィルムを、医薬の配合に対して特に適したものとする。該フィルムの構築において使用される該ポリマーは、該フィルムに対して、ある範囲内の崩壊時間を可能とするように選択することができる。フィルムが崩壊する時間の変更または延長は、該活性成分が放出される速度の調節により達成でき、これは、徐放型の放出系を得ることを可能とする。更に、該フィルムは、幾つかの身体表面、特に口腔、肛門、膣、目等の粘膜を含む表面、皮膚表面または身体内の創傷のある表面、例えば外科手術中の表面、および同様な表面の何れかに、活性成分を投与するために使用することができる。
【0164】
該フィルムは、活性成分の経口投与のために使用することができる。これは、該フィルムを上記のように製造し、これらを哺乳動物の口腔に導入することにより達成される。このフィルムは、使用前に、即ち口腔に導入する前に除去される、第二のまたは支持層上で調製し、またこれに接着することができる。接着剤を使用して、該フィルムを支持または裏地材料に付着することが可能であり、該支持材料は、当分野において公知の如何なるものであってもよく、また好ましくは水に対して不溶性のものである。接着剤を使用する場合、これは望ましくは摂取可能であり、また該活性成分の諸特性を変更しない、食品グレードの接着材である。粘膜接着性組成物が、特に有用である。多くの場合において、該フィルム組成物は、それ自体粘膜接着性物質として機能する。
【0165】
これらのフィルムは、哺乳動物の舌にまたはその下方に適用することができる。これが望ましい場合、該舌の形状に相当する、特定のフィルム形状が好ましいものであり得る。従って、該フィルムは、該舌の裏側に対応する該フィルムの側が、該舌の前部に対応する側よりも長くなっている、所定形状に裁断することができる。具体的には、該所望の形状は、三角形または台形状の形状であり得る。望ましくは、該フィルムは、口腔から吐出されず、また該フィルムの溶解に伴い、該活性成分の大部分の、該口腔への導入を可能とするように、該口腔に接着される。
【0166】
本発明のフィルムのもう一つの用途は、液体に導入した際の、該フィルムの傾向、即ち該フィルムが迅速に溶解するという利点を利用する。本発明に従ってフィルムを製造し、これを液体に導入し、これを溶解することにより、活性成分を液体に導入することができる。これは、活性成分の液状投与剤形の調製、または飲料に香味付けするために使用することができる。
【0167】
本発明のフィルムは、望ましくは封止された、空気および水分に対して抵抗性の包装体内に収容して、該活性成分を、酸化、加水分解、揮発及び環境との相互作用等による影響から保護する。図1を参照すると、包装された薬理的な投与単位10は、パウチ内に、またはホイルおよび/またはプラスチック積層シート14間に別々に包まれた、各フィルム12を含む。図2に示されているように、該パウチ10、10'は、引裂可能なまたは有孔接合部16によって一緒に結合することができる。該パウチ10、10'は、図5に示したようにロール状に包装することができ、あるいは図3に示すように重ね合わせることができ、また図4に示すようにディスペンサ18内に収納して市販することができる。該ディスペンサは、典型的に意図した療法に対して処方された医薬の全供給量を含むことができるが、該フィルムおよび包装の薄さのために、より小さい、およびより有利には、錠剤、カプセルおよび液剤に対して使用される伝統的なボトルよりも小さいものであり得る。更に、本発明のフィルムは、唾液または粘膜領域と接触した際に瞬間的に溶解し、水で該用量を流し込む必要性を排除する。
【0168】
望ましくは、一連のこのような単位用量は、処方された養生または治療に従って、特定の療法に依存して、例えば10-90日分の供給量にて、一緒に包装される。該フィルム各々は、支持体上に包装することができ、該支持体は使用に際して剥離される。
【実施例】
【0169】
本発明の上記特徴および利点は、以下の実施例により更に完全に示されるが、該実施例は、例示の目的で与えられるものであって、本発明を何ら限定するものと理解すべきではない。
実施例A:
以下の表1に示す処方を有するフィルムストリップを含む、フィルムカセットを製造した。
【0170】
【表1】

1: 添加された可塑剤を含む、約80対約20なる比率のポリエチレンオキサイド(PEO)とポリデキストロースとのブレンドを含有するフィルムベース;
2: 炭酸カルシウム;
3: 香料、甘味料および消泡剤。
【0171】
該ストリップ各々は、約200〜約215mgなる範囲の質量を有し、また該特定のストリップの全質量に依存して、約100〜約107mgなる範囲の活性薬剤を含んでいた。
実施例B:
以下の表2に示す処方を有するフィルムストリップを含む、フィルムカセットを製造した。
【0172】
【表2】

1: 添加された可塑剤を含む、約80対約20なる比率のポリエチレンオキサイド(PEO)とポリデキストロースとのブレンドを含有するフィルムベース;
2: 炭酸カルシウム。
【0173】
該ストリップ各々は、約290〜約325mgなる範囲の質量を有し、また該特定のストリップの全質量に依存して、約145〜約162mgなる範囲の活性薬剤を含んでいた。
実施例C:
以下の表3に示す処方を有するフィルムストリップを含む、フィルムカセットを製造した。
【0174】
【表3】

1: 添加された可塑剤を含む、約80対約20なる比率で、ポリエチレンオキサイドとポリデキストロースとを含むブレンド;
2: デキストロメトルファン(被覆なし)。
【0175】
該ストリップ各々は、約175〜約195mgなる範囲の質量を有し、また該特定のストリップの全質量に依存して、約87〜約97mgなる範囲の活性薬剤を含んでいた。
実施例D:
以下の表4に示す処方を有するフィルムストリップを含む、フィルムカセットを製造した。
【0176】
【表4】

1: 添加された可塑剤を含む、約80対約20なる比率で、ポリエチレンオキサイドとポリデキストロースとを含むブレンド;
2: デキストロメトルファン(被覆なし)。
【0177】
該ストリップ各々は、約250〜約275mgなる範囲の質量を有し、また該特定のストリップの全質量に依存して、約125〜約137mgなる範囲の活性薬剤を含んでいた。
実施例E:
本例は、本発明の高用量フィルム(45質量%の固形分を含む)を示し、該フィルムは、以下の表5に示したように、約80対約20なる比率で、ポリエチレンオキサイド(即ち、自己-可塑性ポリマー)とポリデキストロースとを含むブレンドおよび少なくとも50質量%の活性薬剤(特に、少なくとも50質量%の炭酸カルシウム)を含む。
【0178】
【表5】

【0179】
これらフィルムは、該メントールおよび蒸留水を、デグッサ(Degssa) 1300ボールに入れることにより製造した。ポリエチレンオキサイド、ポリデキストロース、炭酸カルシウム、およびスクラロースを含むブレンドを、次に該ボールに添加した。次いで、得られた溶液を、デグッサデンタルマルチバックコンパクト(Degssa Dental Multivac Compact)を用いて、以下の表6に示すような条件に従って、攪拌した。60分間攪拌した後、該FD&Cレッド(Red)#40およびFD&Cイエロー(Yellow)#5着色剤を、この混合物に添加した。64分間攪拌した後、該シトラスタンゴおよびバニラ香味料を、該溶液に添加した。
【0180】
【表6】

【0181】
次いで、該溶液を、300、600、900、1200、および1500μmに設定された、マイクロメータで調節可能なウエッジバーを備えた、K-コントロールコーター(K-Control Coater)を用いて、55#PS/1/5「イン(IN)」剥離紙(グリフ社(Griff)から入手できる)上で、5枚のフィルムに成形した。これらフィルムを、以下の表7に示された時間に従って、80℃にて乾燥した。更に、該フィルム各々の水分(%)を、HR73モイスチャーアナライザ(Moisture Analyzer)を用いて測定した。
【0182】
引続き、これらフィルムを、約31.8mm×25.4mm(5/4in×1in)なるサイズのストリップに裁断し、該ストリップを計量した。次いで、各ストリップ中の炭酸カルシウムの量を算出した。更に、各フィルムストリップの厚みを測定した。更に、各フィルムストリップを、重さ2.85g、36℃の水浴内で消耗させ、各フィルムストリップが2つの片に分離するに要する時間を記録することにより、該フィルムストリップの溶解速度を測定した。これら結果を、以下の表7に示す。
【0183】
【表7】

1):約31.8mm×25.4mm(5/4in×1in)なるサイズのストリップ。
【0184】
実施例F:
本例は、本発明の高用量フィルム(45質量%の固形分を含む)を示し、該フィルムは、以下の表8に示したように、約60対約40なる比率で、ポリエチレンオキサイド(即ち、自己-可塑性ポリマー)と溶解性を高めるためのポリデキストロース(即ち、フィラー)とを含むブレンドおよび少なくとも50質量%の活性薬剤(特に、少なくとも50質量%の炭酸カルシウム)を含む。
【0185】
【表8】

【0186】
これらフィルムは、該FD&Cレッド(Red)#40およびFD&Cイエロー(Yellow)#5着色剤、該メントールおよび蒸留水を、デグッサ(Degssa) 1300ボールに入れることにより製造した。ポリエチレンオキサイド、ポリデキストロース、炭酸カルシウム、およびスクラロースを含むブレンドを、次に該ボールに添加した。次いで、得られた溶液を、デグッサデンタルマルチバックコンパクト(Degssa Dental Multivac Compact)を用いて、以下の表9に示すような条件に従って、攪拌した。64分間攪拌した後、該シトラスタンゴおよびバニラ香味料を、該混合物に添加した。
【0187】
【表9】

【0188】
次いで、該溶液を、300、600、および900μmに設定された、マイクロメータで調節可能なウエッジバーを備えた、K-コントロールコーター(K-Control Coater)を用いて、55#PS/1/5「イン」剥離紙(グリフ社(Griff)から入手できる)上で、フィルムに成形した。これらのフィルムを、以下の表10に示された時間に従って、80℃にて乾燥した。更に、該フィルム各々の水分(%)を、HR73モイスチャーアナライザ(Moisture Analyzer)を使用して測定した。
【0189】
引続き、これらフィルムを、約31.8mm×25.4mm(5/4in×1in)なるサイズのストリップに裁断し、該ストリップを計量した。次いで、各ストリップ中の炭酸カルシウムの量を算出した。更に、各フィルムストリップの厚みを測定した。更に、該フィルムストリップの溶解速度を、各フィルムストリップを、重さ2.85g、36℃の水浴内で消耗させ、各フィルムストリップが2つの片に分離するに要する時間を記録することにより測定した。これら結果を、以下の表10に示す。該フィルムには可塑剤が存在しないので、該基板から取出した際に、幾分かのフィルムの破壊が起こることは、驚くほどのことではない。
【0190】
【表10】

1):約31.8mm×25.4mm(5/4in×1in)なるサイズのストリップ。
【0191】
実施例G:
本例は、高用量フィルムの諸特性を示すものであり、該フィルムは、以下の表11に示したように、約80対約20なる比率で、ポリエチレンオキサイド(即ち、自己-可塑性ポリマー)とポリデキストロースとを含むブレンド、少なくとも50質量%の活性薬剤(特に、少なくとも50質量%の炭酸カルシウム)および可塑剤(特に、プロピレングリコールおよびグリセリン)を含む。特に、本例は、より厚みのあるフィルムストリップ中に、高用量の薬物を配合(固形分45質量%)し得る可能性を明らかにする。
【0192】
【表11】

【0193】
これらフィルムは、該FD&Cレッド(Red)#40およびFD&Cイエロー(Yellow)#5着色剤、該メントール、該プロピレングリコール、該グリセリンおよび該蒸留水を、デグッサ(Degssa) 1300ボールに添加することにより製造した。ポリエチレンオキサイド、ポリデキストロース、およびスクラロースを含むブレンドを、次に該ボールに添加した。次いで、得られた溶液を、デグッサデンタルマルチバックコンパクト(Degssa Dental Multivac Compact)を用いて、以下の表12に示すような条件に従って攪拌して、マスターバッチを製造した。
【0194】
【表12】

【0195】
次いで、12.962gの固形分を含有する、45.966gのマスターバッチを、デグッサ(Degssa) 1100ボールに添加した。該シトラスタンゴおよびバニラ香味料を、該ボールに添加し、デグッサデンタルマルチバックコンパクト(Degssa Dental Multivac Compact)を用いて、以下の表13に示すような条件に従って攪拌した。12分間攪拌した後、炭酸カルシウムを、該混合物に添加した。
【0196】
【表13】

【0197】
次いで、該溶液を、600および900μmに設定された、マイクロメータで調節可能なウエッジバーを備えた、K-コントロールコーター(K-Control Coater)を用いて、55#PS/1/5「イン」剥離紙(グリフ社(Griff)から入手できる)上で、2枚のフィルムに成形した。これらのフィルムを、以下の表14に示された時間に従って、80℃にて乾燥した。更に、該フィルム各々の水分(%)を、HR73モイスチャーアナライザ(Moisture Analyzer)を使用して測定した。
【0198】
引続き、これらフィルムを、約31.8mm×25.4mm(5/4in×1in)なるサイズのストリップに裁断し、該ストリップを計量した。次いで、各ストリップ中の炭酸カルシウムの量を算出した。更に、各フィルムストリップの厚みを測定した。更に、各フィルムストリップを、重さ2.85g、36℃の水浴内で消耗させ、各フィルムストリップが2つの片に分離するに要する時間を記録することにより、該フィルムストリップの溶解速度を測定した。これら結果を、以下の表14に示す。
【0199】
【表14】

1):約31.8mm×25.4mm(5/4in×1in)なるサイズのストリップ。
【0200】
次いで、上記ストリップのカセットを製造した。
実施例H:
本例は、以下の表15に示すように、少なくとも50質量%の活性薬剤(特に、デキストロメトルファン(Dx))を含む、高用量フィルムの諸特性を示す。
実施例Gにおいて記載したように製造したマスターバッチ45.966gを、デグッサ1100ボールに添加した。0.36g(1.33%)のバニラ香味料および0.18g(0.67%)のシトラスタンゴ香味料を、次に該ボールに添加し、得られた溶液を、デグッサデンタルマルチバックコンパクトを用いて、以下の表15に示すような条件に従って攪拌した。
【0201】
【表15】

【0202】
12分間の攪拌後、13.5g(50質量%)の被覆デキストロメトルファンを、該混合物に添加した。
この溶液を、次に600および900μmに設定された、マイクロメータで調節可能なウエッジバーを備えた、K-コントロールコーターを用いて、55#PS/1/5「IN」剥離紙(グリフ社(Griff)から入手できる)上で、2枚のフィルムに成形した。これらフィルムを、以下の表16に示す時間に従って、80℃にて乾燥した。更に、これらフィルム各々の水分(%)を、HR73モイスチャーアナライザを使用して測定した。
次いで、これらフィルムを、約31.8mm×25.4mm(5/4in×1in)なるサイズのストリップに裁断し、該ストリップを計量した。次いで、各ストリップ中のデキストロメトルファンの量を算出した。更に、各フィルムストリップの厚みを測定した。更に、該フィルムストリップを、重さ2.85g、36℃の水浴内で消耗させ、各フィルムストリップが2つの片に分離するに要する時間を記録することにより、該フィルムストリップの溶解速度を測定した。結果を以下の表16に示す。
【0203】
【表16】

1):約31.8mm×25.4mm(5/4in×1in)なるサイズのストリップ。
2):100%w/w mgを仮定。
【0204】
次いで、上記ストリップのカセットを製造した。
実施例I:
本例は、以下の表17に示すように、少なくとも約55.85質量%の活性薬剤(特に、アセトアミノフェン)を含む、高用量フィルムの諸特性を示す。特に、本例は、風船ガム香料を使用して、62.5質量%のポリエチレンオキサイド(即ち、自己-可塑性ポリマー)、6.25質量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース(即ち、引張強さ付与ビルダー)、26.56質量%のデンプン、および4.69質量%のザンチュラル(Xantural) 180フィルムベース(35質量%の固形分)を含有するフィルムベース中への、即ち166.75mgのストリップに対し、80mgなる用量レベルでの、アセトアミノフェン配合の可能性を立証する。
【0205】
【表17】

【0206】
このフィルムは、該FD&Cレッド(Red)#40着色剤、該二酸化チタン、該メントールおよび該蒸留水を、デグッサ(Degssa) 1100ボールに添加することにより製造した。該ポリエチレンオキサイド、該ヒドロキシプロピルメチルセルロース、該コーンスターチ、該ザンチュラル180、該スクラロース、および該マグナスイート100を含むブレンドを、次に該ボールに添加した。次いで、得られた溶液を、デグッサデンタルマルチバックコンパクトを用いて、以下の表18に示すような条件に従って攪拌して、マスターバッチを製造した。64分間の攪拌後、水を添加して、質量減を補償した。更に、該クールキー香味料、該風船ガム香料、およびブチル化ヒドロキシトルエンを、該溶液に添加した。68分間の攪拌後、該アセトアミノフェンを、該溶液に添加した。
【0207】
【表18】

【0208】
次いで、この溶液を、780μmに設定された、マイクロメータで調節可能なウエッジバーを備えた、K-コントロールコーターを用いて、基板として用いられる、高密度ポリエチレン-被覆紙である、6330の被覆側面上で、フィルムに成形した。このフィルムを、85℃のオーブン内で22分間乾燥した。次いで、これらフィルム各々の水分(%)を、HR73モイスチャーアナライザを使用して測定したところ、3.18%であった。
次いで、このフィルムを、約31.8mm×25.4mm(5/4in×1in)なるサイズのストリップに裁断した。該ストリップ各々を計量したところ、ほぼ155〜165mgなる範囲内にあった。
【0209】
このフィルムは、該6330の被覆側面から、フィルム接着比3を有していた。このフィルムが約22質量%のポリマー(特に、20質量%のポリエチレンオキサイドおよび2質量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース)のみを含むという事実に鑑みて、該フィルムが、引張った際に低い引裂抵抗および比較的弱い強度を持つことは、驚くべきことではない。しかし、このフィルムは、該モイスチャーアナライザから取出した際に、180度曲げテストに合格した。このことは、このフィルムが、実行可能な系であることを示している。更に、このフィルムは、粒子の引き摺りを全く示さず、口内で緩慢乃至中程度の溶解速度を示し、粘着性を示さず、薬物の苦味を示さず、口中の口蓋部分に移動せず、しかも良好な芳香を有していた。該フィルムは、ざらつきのある風味を持つものの、良好な芳香を有していた。
次いで、ストリップのカセットを調製し、かつ包装した。
【0210】
実施例J:
本例は、以下の表19に示すように、少なくとも約55.85質量%の活性薬剤(特に、アセトアミノフェン)を含有する、高用量フィルムの諸特性を示す。特に、本例は、93.75%のポリエチレンオキサイド(分子量:20,000)(即ち、自己-可塑性ポリマー)および6.25%のポリエチレンオキサイド(分子量:4,000,000)(即ち、もう一つの自己-可塑性ポリマー)を含むフィルムベースに、風船ガム香料を使用し、166.75mgのストリップ中に、80mgなる用量レベルにて、アセトアミノフェンを配合し得る可能性を明らかにする(37.5質量%の固形分が、30質量%の固形分に低下)。
【0211】
【表19】

【0212】
このフィルムは、デグッサ1100ボールに、該FD&Cレッド(Red)#40着色剤、二酸化チタン、メントール、および蒸留水を添加することにより製造した。該ポリエチレンオキサイド(分子量:200,000)、ポリエチレンオキサイド(分子量:4,000,000)、マグナスイート100およびスクラロースを含むブレンドを、次に該ボールに添加した。次いで、得られた溶液を、デグッサデンタルマルチバックコンパクトを使用して、以下の表20に示した条件に従って攪拌した。攪拌前の、該ボール、攪拌機上部、および内容物の重さは、413.40gであった。
【0213】
【表20】

【0214】
60分間の攪拌後に、該ボール、攪拌機上部、および内容物の重さが、412.30gに減少したので、水を添加して、その損失分を補填した。更に、該クールキー香味料、風船ガム香料、およびブチル化ヒドロキシトルエンを、64分間攪拌した後に、該溶液に添加した。更に、3.57gの水を添加して、35質量%の固形分を含む混合物を製造した。更に4分間攪拌した後、該アセトアミノフェンおよび8.93gの水を添加して、該固形分の量を30質量%に減じた。
次いで、この溶液を、880μmに設定された、マイクロメータで調節可能なウエッジバーを備えた、K-コントロールコーターを用いて、6330の被覆側面上で、フィルムに流込み成形した。このフィルムを、80〜85℃のエアーオーブン内で25分間乾燥した。次いで、このフィルムの水分(%)を、HR73モイスチャーアナライザを使用して測定したところ、2.60%であった。
【0215】
このフィルムを、次に約31.8mm×25.4mm(5/4in×1in)なるサイズのストリップに裁断した。該ストリップ各々を計量したところ、約154mgであった。このフィルムは、中程度の引裂抵抗を有し、また粒子の引き摺りを示さなかった。このフィルムが約32質量%のポリマー(特に、約30質量%のポリエチレンオキサイド(Mw: 200,000)および2質量%のポリエチレンオキサイド(Mw: 4,000,000))のみを含むという事実に鑑みて、該フィルムが、引張った際に弱い強度を持つことは、驚くべきことではない。このフィルムは、口中の口蓋部分に、僅かに移動し、ざらつきのある風味を持ち、しかも幾分粘着性を呈するが、該フィルムは、薬物の苦味を示さず、良好な芳香を有し、また粒子の引き摺りを示さなかった。更に、該フィルムは、中程度の引裂抵抗を示し、かつ口内での緩慢な溶解性を示した。該フィルムは、モイスチャーアナライザから取出した際に、180度曲げテストに合格した。
【0216】
実施例K:
本例は、以下の表21に示すように、少なくとも約55.85質量%の活性薬剤(特に、アセトアミノフェン)を含有する高用量フィルムの諸特性を示す。特に、本例は、84.38質量%のポリエチレンオキサイド(分子量:200,000)(即ち、自己-可塑性ポリマー)および15.62%のポリエチレンオキサイド(分子量:1,000,000)(即ち、もう一つの自己-可塑性ポリマー)を含むフィルムベースに、風船ガム香料を使用し、166.75mgのストリップ中に、80mgなる用量レベルにて、アセトアミノフェンを配合し得る可能性を明らかにする(37.5質量%の固形分が、32.5質量%の固形分に低下)。
【0217】
【表21】

【0218】
該フィルムは、デグッサ1100ボールに、該FD&Cレッド(Red)#40着色剤、二酸化チタン、メントールおよび蒸留水を添加することにより製造した。ポリエチレンオキサイド(Mw: 200,000)、ポリエチレンオキサイド(Mw: 1,000,000)、マグナスイート100およびスクラロースを含有するブレンドを、次に該ボールに添加した。該ボール、攪拌機上部、および内容物の重さは、413.57gであった。次いで、この溶液を、デグッサデンタルマルチバックコンパクトを用いて、以下の表22に示す条件に従って攪拌した。
【0219】
【表22】

【0220】
60分間の攪拌後、該ボール、攪拌機上部、および内容物の重さは、412.60gであったので、水を添加して、水の損失分を補填した。更に、該クールキー香味料、該風船ガム香味料、および該ブチル化ヒドロキシトルエンを含む溶液をも、64分間の攪拌後に添加した。更に4分間攪拌した後、該アセトアミノフェンおよび7.69gの水を添加して、32.5%の固形分を含む混合物を生成した。
次いで、この溶液を、850μmに設定された、マイクロメータで調節可能なウエッジバーを備えた、K-コントロールコーターを用いて、6330(即ち、高密度ポリエチレン(HDPE))の被覆側面上で、フィルムに流込み成形した。このフィルムを、85℃のエアーオーブン内で25分間乾燥した。次いで、このフィルムの水分(%)を、HR73モイスチャーアナライザを使用して測定したところ、1.95%であった。
このフィルムを、次に約31.8mm×25.4mm(5/4in×1in)なるサイズのストリップに裁断した。該ストリップ各々を計量したところ、約158-166mgであった。
【0221】
このフィルムストリップは、中程度の引裂抵抗を有しており、引張った際に十分な強度を持ち、粒子の引き摺りを示さず、また口内での緩慢乃至中程度の溶解性を示した。これらフィルムストリップは、幾分かのざらつきのある風味を持ち、該フィルムストリップは、口蓋に移動することはなく、薬物の苦味を示さず、粘着性を持たず、また良好な芳香を有していた。該フィルムは、モイスチャーアナライザから取出した際に、180度曲げテストに合格した。該6330のHDP側は、一夜放置した後に、フィルム剥離等級(film release rating)3を示し、また6330の被覆側は、それ自身剥がれた。ストリップのカセットを調製した。
【0222】
実施例L:
本例は、以下の表23に示すように、少なくとも約55.85質量%の活性薬剤(特に、アセトアミノフェン)を含有する高用量フィルムの諸特性を示す。特に、本例は、81.25質量%のポリエチレンオキサイド(分子量:200,000)(即ち、自己-可塑性ポリマー)および18.75質量%のポリエチレンオキサイド(分子量:600,000)(即ち、もう一つの自己-可塑性ポリマー)を含むフィルムベースに、風船ガム香料を使用し、166.75mgのストリップ中に、80mgなる用量レベルにて、アセトアミノフェンを配合し得る可能性を明らかにする(35質量%の固形分が、32.5質量%の固形分に低下)。
【0223】
【表23】

【0224】
このフィルムは、該FD&Cレッド(Red)#40着色剤、二酸化チタン、メントール、および蒸留水を、デグッサ1100ボールに添加することにより製造した。ポリエチレンオキサイド(分子量:200,000)、ポリエチレンオキサイド(分子量:600,000)、マグナスイート100、およびスクラロースを含むブレンドを、次に該ボールに添加した。該ボール、攪拌機上部、および内容物の重さは、414.37gであった。次いで、得られた溶液を、デグッサデンタルマルチバックコンパクトを用いて、以下の表24に示した条件に従って攪拌した。
【0225】
【表24】

【0226】
60分間の攪拌後、該ボール、攪拌機上部、および内容物の重さは、413.66gであったので、水を添加して、水の損失分を補填した。更に、該クールキー香味料、該風船ガム香味料、および該ブチル化ヒドロキシトルエンを含む溶液をも、64分間の攪拌後に添加した。更に4分間攪拌した後、該アセトアミノフェンおよび3.85gの水を添加して、32.5%の固形分を含む混合物を生成した。
次いで、この溶液を、850μmに設定された、マイクロメータで調節可能なウエッジバーを備えた、K-コントロールコーターを用いて、6330のHDPおよび被覆側面上で、フィルムに流込み成形した。このフィルムを、85℃のエアーオーブン内で25分間乾燥した。次いで、このフィルムの水分(%)を、HR73モイスチャーアナライザを使用して測定したところ、4.13%であった。
このフィルムを、次に約31.8mm×25.4mm(5/4in×1in)なるサイズのストリップに裁断した。該ストリップ各々を計量したところ、約157mgであった。
【0227】
このフィルムストリップは、中程度の引裂抵抗を有しており、引張った際に十分な強度を持ち、粒子の引き摺りを示さず、また口内での緩慢乃至中程度の溶解性を示した。更に、これらフィルムストリップは、ざらつきのある風味を持つが、該フィルムストリップは、口蓋に移動することはなく、薬物の苦味を示さず、粘着性を持たず、また良好な芳香を有していた。該フィルムは、またモイスチャーアナライザから取出した際に、180度曲げテストに合格した。このフィルムは、初期に該5330の被覆面側から剥離したが、初期に6330のHDP側から剥離することはなかった。
【0228】
実施例M:
本例は、以下の表25に示すように、少なくとも約55.85質量%の活性薬剤(特に、アセトアミノフェン)を含有する高用量フィルムの諸特性を示す。特に、本例は、0.5質量%のデイリーブレンド(Dairy Blend) 603-EP(これは、ペクチン、グアー、プロピレングリコールアルギネート、および加工助剤として機能するデキストリンの組合せである)を含むフィルムベースに、風船ガム香料を使用し、166.75mgのストリップ中に、80mgなる用量レベルにて、アセトアミノフェンを配合し得る可能性を明らかにする(32.5質量%の固形分が、27.5質量%の固形分に低下)。
【0229】
【表25】

【0230】
このフィルムは、デグッサ1100ボールに、該FD&Cレッド(Red)#40着色剤、二酸化チタン、メントールおよび蒸留水を添加することにより調製した。該ポリエチレンオキサイド、該デイリーブレンド、該マグナスイート100、および該スクラロースを含むブレンドを、次に該ボールに添加した。次いで、得られた溶液を、デグッサデンタルマルチバックコンパクトを用いて、以下の表26に示すような条件に従って、攪拌した。
20分間の攪拌後、4.17gの水を該溶液に添加して、30質量%の固形分を含む混合物を生成した。60分間に及ぶ攪拌の後、該クールキー香味料、該風船ガム香味料、および該ブチル化ヒドロキシトルエンを含む溶液を、次に添加した。更に4分間攪拌した後、該アセトアミノフェンおよび4.92gの水を添加して、固形分27.5%を含む混合物を生成した。
【0231】
【表26】

【0232】
次いで、この溶液を、980μmに設定された、マイクロメータで調節可能なウエッジバーを備えた、K-コントロールコーターを用いて、6330のHDP側および6330の被覆面側で、フィルムに流込み成形した。このフィルムを、80℃のエアーオーブン内で28分間乾燥した。次いで、このフィルムの水分(%)を、HR73モイスチャーアナライザを使用して測定したところ、2.89%であった。
このフィルムを、次に約31.8mm×25.4mm(5/4in×1in)なるサイズのストリップに裁断した。該ストリップ各々を計量したところ、約167mg〜約173mgであった。
【0233】
このフィルムは、良好な引裂抵抗を有しており、引張った際に十分な強度を持ち、粒子の引き摺りを示さず、口蓋に移動することはなく、また口内での緩慢な溶解性を示した。このフィルムは、ざらつきのある風味を持ち、また該粒子は、ある程度口内で相互に接着したが、該フィルムは、薬物の苦味を示さず、また十分な芳香を有していた。該フィルムは、またモイスチャーアナライザから取出した際に、180度曲げテストに合格した。このフィルムは、初期に該6330の被覆面側から剥離したが、初期に6330のHDP側から剥離することはなかった。一夜放置した後、該フィルムは、該6330のHDP側から剥離し、5なる接着等級を有していた。
【0234】
実施例N:
本例は、以下の表27に示すように、少なくとも約55.85質量%の活性薬剤(特に、アセトアミノフェン)を含有する高用量フィルムの諸特性を示す。特に、本例は、84.38質量%のポリエチレンオキサイド(分子量:200,000)(即ち、自己-可塑性ポリマー)および15.62質量%のポリエチレンオキサイド(分子量:1,000,000)(即ち、もう一つの自己-可塑性ポリマー)および3質量%のデンプンを含むフィルムベースに、風船ガム香料を使用し、166.75mgのストリップ中に、80mgなる用量レベルにて、アセトアミノフェンを配合し得る可能性を明らかにする(32.5質量%の固形分)。
【0235】
【表27】

【0236】
このフィルムは、デグッサ1100ボールに、該着色剤、二酸化チタン、メントール、および蒸留水を添加することにより製造した。該ポリエチレンオキサイド、該スクラロース、および該マグナスイート100を含むブレンドを、次に該ボールに添加した。該ボール、攪拌機上部、および内容物の重さは、414.53gであった。次いで、得られたこの溶液を、デグッサデンタルマルチバックコンパクトを用いて、以下の表28に示す条件に従って攪拌した。
60分間攪拌した後に、該ボール、攪拌機上部、および内容物の重さは、413.62gとなった。次いで水を添加して、その損失分を補填した。更に、該クールキー香味料、該風船ガム香味料、および該ブチル化ヒドロキシトルエンを含む溶液を添加した。更に4分間攪拌した後、該アセトアミノフェンおよびデンプンを添加した。
【0237】
【表28】

【0238】
次いで、この溶液を、850μmに設定された、マイクロメータで調節可能なウエッジバーを備えた、K-コントロールコーターを用いて、6330のHDP側および6330の被覆面側で、フィルムに流込み成形した。このフィルムを、80℃のエアーオーブン内で25分間乾燥した。次いで、このフィルムの水分(%)を、HR73モイスチャーアナライザを使用して測定したところ、3.07%であった。
このフィルムを、次に約31.8mm×25.4mm(5/4in×1in)なるサイズのストリップに裁断した。該ストリップ各々を計量したところ、約162mgであった。
【0239】
このフィルムは、良好な引裂抵抗を有しており、引張った際に十分な強度を持ち、粒子の引き摺りを示さず、また口内での中程度の溶解性を示し、口蓋に移動することはなかった。このフィルムは、ざらつきのある風味を有していたが、該フィルムは、薬物の苦味を示さず、また十分な芳香を有していた。該フィルムは、またモイスチャーアナライザから取出した際に、180度曲げテストに合格した。このフィルムは、初期に該6330の被覆面側から剥離し、また5〜6時間の放置後に、6330のHDP側から剥離した。
次いで、ストリップのカセットを製造した。
【0240】
実施例O:
本例は、以下の表29に示すように、少なくとも約55.85質量%の活性薬剤(特に、アセトアミノフェン)を含有する高用量フィルムの諸特性を示す。特に、本例は、84.38質量%のポリエチレンオキサイド(分子量:200,000)(即ち、自己-可塑性ポリマー)および15.62質量%のポリエチレンオキサイド(分子量:1,000,000)(即ち、もう一つの自己-可塑性ポリマー)およ6質量%のデンプンを含むフィルムベースに、風船ガム香料を使用し、166.75mgのストリップ中に、80mgなる用量レベルにて、アセトアミノフェンを配合し得る可能性を明らかにする(32.5質量%の固形分)。
【0241】
【表29】

【0242】
このフィルムは、デグッサ1100ボールに、該着色剤、二酸化チタン、メントール、および蒸留水を添加することにより製造した。該ポリエチレンオキサイド、該スクラロース、および該マグナスイート100を含むブレンドを、次に該ボールに添加した。該ボール、攪拌機上部、および内容物の重さは、414.08gであった。次いで、得られたこの溶液を、デグッサデンタルマルチバックコンパクトを用いて、以下の表30に示す条件に従って攪拌した。
60分間攪拌した後に、該ボール、攪拌機上部、および内容物の重さは、413.16gとなった。次いで水を添加して、その損失分を補填した。64分間の攪拌後、該クールキー香味料、該風船ガム香味料、および該ブチル化ヒドロキシトルエンを含む溶液を添加した。更に4分間攪拌した後、該アセトアミノフェンおよびデンプンを添加した。
【0243】
【表30】

【0244】
次いで、この溶液を、850μmに設定された、マイクロメータで調節可能なウエッジバーを備えた、K-コントロールコーターを用いて、6330のHDP側および6330の被覆面側で、フィルムに流込み成形した。このフィルムを、80℃のエアーオーブン内で25分間乾燥した。次いで、このフィルムの水分(%)を、HR73モイスチャーアナライザを使用して測定したところ、2.65%であった。
このフィルムを、次に約31.8mm×25.4mm(5/4in×1in)なるサイズのストリップに裁断した。該ストリップ各々を計量したところ、約157mg〜約165mgであった。
【0245】
このフィルムは、中程度の引裂抵抗を有しており、引張った際に十分な強度を持ち、粒子の引き摺りを示さず、また口内での緩慢乃至中程度の溶解性を示し、口蓋に移動することはなかった。このフィルムは、ざらつきのある風味を有していたが、該フィルムは、薬物の苦味を示さず、また十分な芳香を有していた。該フィルムは、またモイスチャーアナライザから取出した際に、180度曲げテストに合格した。このフィルムは、初期に該6330の被覆面側から剥離し、また一夜放置した後に、6330のHDP側から剥離した。
実施例P:
本例では、本発明のフィルム組成物をまとめる。
【0246】
【表31】

【0247】
実施例Q
本例は、以下の表32に示すように、少なくとも約59.52質量%の活性薬剤(特に、シメチコン)を含有する高用量フィルムの諸特性を示す。特に、本例は、10質量%のポリエチレンオキサイド(分子量:200,000)(即ち、低Tg、即ち室温にて約30℃以下のTgを持つ、自己-可塑性ポリマー)およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(分子量:60,300)(即ち、引張強さ付与剤として機能し、また高いTg、即ち室温にて約30℃を越えるTgを持つポリマー)および5.48質量%のデンプンを含むフィルムベースに、ペパーミント香味を持つストリップの105mgストリップ中に、シメチコンを配合し得る可能性を明らかにする(40質量%の固形分)。該シメチコンが、自己-可塑性ポリマーおよび活性成分両者として作用し得るものであることが理解されよう。
【0248】
【表32】

1:カボット(Cabot)社から入手できる、カブ-オー-シル(Cab-O-Sil)。
2:47.616g(59.52%)のシメチコンと1.984g(2.48%)の他の材料を含む。
【0249】
このフィルムは、該着色剤、2.48g(5%)の該シメチコン処方物、該二酸化チタン、該メントール、および該蒸留水(予め85℃に加熱)を、加工したガラスボールに添加することにより製造した。該ヒドロキシプロピルメチルセルロース、該デンプン、該マルトリン、該ポリエチレンオキサイド、および該ヒュームドシリカを含むブレンドを、次に該ボールに添加した。該ボールを、電気加熱テープで包み、該電気加熱テープを作動させた。この溶液は、デグッサデンタルマルチバックコンパクトを用いて、以下に記載するように調製した。該ボールおよび攪拌機上部の重さは、1169.88gであった。次いで、得られたこの溶液を、デグッサデンタルマルチバックコンパクトを用いて、以下の表33に示した条件に従って、攪拌した。
【0250】
【表33】

【0251】
次いで、加熱を停止し、該電気加熱テープを取外した。その後、この得られた溶液を、以下の表34に示す条件に従って攪拌した。
【0252】
【表34】

【0253】
次いで、上記スクラロースおよび47.12g(95%)の該シメチコン処方物を、該溶液に添加した。その後、この得られた溶液を、以下の表35に示した条件に従って、攪拌した。
【0254】
【表35】

【0255】
次いで、上記ペパーミント香料および上記ブチル化ヒドロキシトルエンを含む溶液を、8.30gの蒸留水と共に添加して、水の損失分を補填した。次いで、得られたこの溶液を、以下の表36に示した条件に従って、攪拌した。
【0256】
【表36】

【0257】
次いで、該溶液について、殆ど満たされた113.4g(4oz)ボトル内で、ガードレッグ(guardleg)なしに、スピンドル6を持つRVDVEブルックフィールド粘度計を使用して、粘度測定を行った。この溶液の粘度は、25.2℃なる温度にて、17300cps(34.6%)であった。
【0258】
次いで、この溶液を、46μm(46°microns)に設定された、マイクロメータで調節可能なウエッジバーを備えた、K-コントロールコータを用いて、6330のHDP側およびマイラー上で、フィルムに流込み成形した。次いでこのフィルムを、80℃のエアーオーブン内で18分間乾燥した(HR73モイスチャーアナライザによる水分(%)=1.67)。このフィルムを約3.81cm×2.22cm(1.5×7/8in)のストリップに裁断したところ、その重さは107〜115mgであった。このフィルムは、6330のHDP側で、4なるフィルム接着等級を有し、マイラー側で、3-4なるフィルム接着等級を有し、約0.122mm(4.8ミル)なる厚みを有し、口内で中程度の溶解性を示し、口蓋に移動することはなく、粘着性または油性を示さず、端部クリープを示さず、口内でガム状の感触を示さず、低乃至中程度の引裂強さを示し、引張った際に良好な強度を有し、良好な芳香を有し、また上記モイスチャーアナライザおよびオーブンから取出した後の、180度曲げテストにおいて不合格との境界領域にあった。次に、ストリップを別々に包装した。一夜放置した後に開封した際に、ストリップは、該ホイル包装品から剥離されるであろう。
【0259】
以上、現時点において本発明の好ましい態様と思われるものについて説明してきたが、当業者は、本発明の精神を逸脱することなしに、これらに対して変更並びに改良を施すことができるものと認識すべきであり、またこのような変更並びに改良全てが、本発明の真の範囲に入るもことを意図している。
【符号の説明】
【0260】
10・・投与単位
10、10’・・パウチ
12・・フィルム
14・・積層シート
16・・有孔接合部
18・・ディスペンサ
20・・装置
22・・マスターバッチ
24・・マスターバッチ供給タンク
26・・第一の計量ポンプ
28・・制御バルブ
30、30’・・第一および第二ミキサー
32、32’・・開口
34、34’・・第二の計量ポンプ
36・・パン
38・・計量ロール
42・・フィルム
44・・基板
46・・支持ロール
48・・上部(露出)表面
50・・乾燥装置
52・・乾燥装置の入口端部
54、60、60’、64、64’・・ベクトル
56・・空気反らせ板
58、58’・・チャンバー部分
62、62’・・出口端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム製品であって、以下の成分:
(a) 少なくとも1種のポリマー;および
(b) 少なくとも1種の活性成分
を含み、該活性成分が、該フィルム製品全質量の、少なくとも約30質量%なる量で存在することを特徴とする、前記フィルム製品。
【請求項2】
前記少なくとも1種のポリマーが、室温にて、約30℃未満のTgを持つポリマーである、請求項1記載のフィルム製品。
【請求項3】
更に、室温にて、約30℃を越えるTgを持つポリマーをも含む、請求項2記載のフィルム製品。
【請求項4】
前記少なくとも1種のポリマーが、自己-可塑性ポリマーである、請求項1記載のフィルム製品。
【請求項5】
前記の約30℃未満のTgを持つポリマーが、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアセテート、ポリメタクリレート、重合ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン/ポリプロピレングリコールコポリマー、ポリビニルピロリドン、およびポリオキシエチレンアルキルエーテル、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項2記載のフィルム製品。
【請求項6】
前記の室温にて約30℃を越えるTgを持つポリマーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである、請求項3記載のフィルム製品。
【請求項7】
更に、室温にて、約30℃未満のTgを持つ、少なくとも1種の第二のポリマーをも含む、請求項2記載のフィルム製品。
【請求項8】
前記少なくとも1種の第二のポリマーが、ポリエチレンオキサイドである、請求項7記載のフィルム製品。
【請求項9】
前記少なくとも1種の活性成分が、前記フィルム製品の少なくとも約56質量%なる量で存在する、請求項1記載のフィルム製品。
【請求項10】
前記少なくとも1種の活性成分が、前記フィルム製品の少なくとも約60質量%なる量で存在する、請求項1記載のフィルム製品。
【請求項11】
前記ポリマーが、前記フィルム製品の約20〜約40質量%なる範囲の量で存在する、請求項1記載のフィルム製品。
【請求項12】
前記の室温にて約30℃を越えるTgを持つポリマーが、前記フィルム製品の約0.5〜約10質量%なる範囲の量で存在する、請求項3記載のフィルム製品。
【請求項13】
前記少なくとも1種のポリマーが、前記フィルム製品の約46質量%以下の量で存在する、請求項1記載のフィルム製品。
【請求項14】
前記フィルム製品が、添加されたフィラーを含まない、請求項1記載のフィルム製品。
【請求項15】
前記フィルム製品が、約0.00254mmを越える厚みを持つ、請求項1記載のフィルム製品。
【請求項16】
前記フィルム製品が、約0.254mmまたはそれ以下の厚みを持つ、請求項1記載のフィルム製品。
【請求項17】
前記フィルム製品が、実質的に均一な厚みを持つ、請求項1記載のフィルム製品。
【請求項18】
前記フィルム製品が、実質的に等しい寸法を持つ、投与剤形に分割されている、請求項1記載のフィルム製品。
【請求項19】
前記投与剤形の各々が、実質的に等しい量の前記薬剤を含む、請求項18記載のフィルム製品。
【請求項20】
前記投与剤形が、該投与剤形において、約10%またはそれ以下にて変動する、所定量の前記活性成分を含む、請求項18記載のフィルム製品。
【請求項21】
前記活性成分が、認識可能な風味を全く示さない、請求項1記載のフィルム製品。
【請求項22】
前記活性成分が、風味マスキング剤で被覆されている、請求項1記載のフィルム製品。
【請求項23】
前記活性成分が、デキストロメトルファン、アセトアミノフェン、およびシメチコンからなる群から選択される、請求項1記載のフィルム製品。
【請求項24】
前記フィルム製品が、フィラーを含む、請求項1記載のフィルム製品。
【請求項25】
前記フィラーが、ポリデキストロースである、請求項24記載のフィルム製品。
【請求項26】
活性成分を経口投与する方法であって、以下の工程:
(a) 少なくとも1種のポリマーと、少なくとも1種の活性成分とを含むフィルムを調製する工程;および
(b) 該フィルムを哺乳動物の口腔内に導入する工程、
を含み、該少なくとも1種の活性成分が、該フィルム全体の少なくとも約30質量%なる量で存在することを特徴とする、前記方法。
【請求項27】
前記少なくとも1種のポリマーが、室温にて約30℃未満のTgを持つポリマーである、請求項26記載の方法。
【請求項28】
更に、室温にて約30℃を越えるTgを持つ、少なくとも1種のポリマーを含む、請求項26記載の方法。
【請求項29】
前記少なくとも1種のポリマーが、自己-可塑性ポリマーである、請求項26記載の方法。
【請求項30】
前記の室温にて約30℃未満のTgを持つポリマーが、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアセテート、ポリメタクリレート、重合ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン/ポリプロピレングリコールコポリマー、ポリビニルピロリドン、およびポリオキシエチレンアルキルエーテル、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項27記載の方法。
【請求項31】
前記の室温にて約30℃を越えるTgを持つポリマーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである、請求項28記載の方法。
【請求項32】
更に、室温にて、約30℃未満のTgを持つ、少なくとも1種の第二のポリマーをも含む、請求項27記載の方法。
【請求項33】
前記少なくとも1種の第二のポリマーが、ポリエチレンオキサイドである、請求項32記載の方法。
【請求項34】
前記活性成分が、前記フィルム製品の少なくとも約56質量%なる量で存在する、請求項26記載の方法。
【請求項35】
前記活性成分が、前記フィルム製品の少なくとも約60質量%なる量で存在する、請求項26記載の方法。
【請求項36】
前記ポリマーが、前記フィルム製品の約20〜約40質量%なる範囲の量で存在する、請求項26記載の方法。
【請求項37】
前記の約30℃を越えるTgを持つポリマーが、前記フィルム製品の約0.5〜約10質量%なる範囲の量で存在する、請求項28記載の方法。
【請求項38】
前記少なくとも1種のポリマーが、前記フィルム製品全体の約46質量%以下の量で存在する、請求項26記載の方法。
【請求項39】
前記フィルム製品が、添加されたフィラーを含まない、請求項26記載の方法。
【請求項40】
前記フィルム製品が、約0.00254mmを越える厚みを持つ、請求項26記載の方法。
【請求項41】
前記フィルム製品が、約0.254mmまたはそれ以下の厚みを持つ、請求項26記載の方法。
【請求項42】
前記フィルム製品が、実質的に均一な厚みを持つ、請求項26記載の方法。
【請求項43】
前記フィルム製品が、実質的に等しい寸法を持つ、投与剤形に分割されている、請求項26記載の方法。
【請求項44】
前記投与剤形の各々が、実質的に等しい量の前記薬剤を含む、請求項26記載の方法。
【請求項45】
前記投与剤形が、該投与剤形において、約10%またはそれ以下にて変動する、所定量の前記活性成分を含む、請求項26記載の方法。
【請求項46】
前記活性成分が、認識可能な風味を全く示さない、請求項26記載の方法。
【請求項47】
前記活性成分が、風味マスキング剤で被覆されている、請求項26記載の方法。
【請求項48】
前記活性成分が、デキストロメトルファン、アセトアミノフェン、およびシメチコンからなる群から選択される、請求項26記載の方法。
【請求項49】
前記フィルム製品が、フィラーを含む、請求項26記載の方法。
【請求項50】
前記フィラーが、ポリデキストロースである、請求項49記載の方法。
【請求項51】
前記フィルムが、以下の諸工程:
(i) 前記少なくとも1種のポリマーと、前記少なくとも1種の活性成分とを併合して、材料を製造する工程;
(ii) 該材料をフィルムに成形する工程;および
(iii) 該フィルムを乾燥する工程、
により製造される、請求項26記載の方法。
【請求項52】
少なくとも1種のポリマーと少なくとも1種の活性成分とを併合して、フィルム製品を製造する工程を含み、該少なくとも1種の活性成分が、該フィルム製品全体の少なくとも約30質量%なる量で存在することを特徴とする、該フィルム製品の製造方法。
【請求項53】
前記少なくとも1種の活性成分が、前記フィルム製品全体の少なくとも約56質量%なる量で存在する、請求項52記載の方法。
【請求項54】
前記活性成分が、前記フィルム製品全体の少なくとも約60質量%なる量で存在する、請求項52記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−515761(P2010−515761A)
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545726(P2009−545726)
【出願日】平成20年1月14日(2008.1.14)
【国際出願番号】PCT/US2008/051015
【国際公開番号】WO2008/089151
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(507026110)モノソル アールエックス リミテッド ライアビリティ カンパニー (15)
【Fターム(参考)】