説明

高酸素透過含水性眼用レンズ

【課題】 本発明ではシリコーン含有モノマーを用いた組成であるにも関わらず、レンズ表面の水濡れ性と含水性、酸素透過性、柔軟性、伸縮性、透明性、形状回復性に優れた眼用レンズを提供する。
【解決手段】特定の両末端(メタ)アクリルポリジメチルシロキサン、カルボン酸ビニルエステル、(メタ)アクリルアミド系モノマー、ビニル系架橋剤、必要により側鎖に嵩高い構造を有する(メタ)アクリレートがターシャリー構造を有する(メタ)アクリレートおよび環状構造を有する(メタ)アクリレートの一方または両方、ならびにおよびこれらと共重合可能なモノマーからなる共重合体にケン化処理を施して得られた、高酸素透過含水性眼用レンズ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高酸素透過含水性眼用レンズに関する。詳しくはレンズ表面の水濡れ性が極めて高く、かつレンズの酸素透過性、柔軟性、伸縮性、透明性、形状回復性、機械的強度に優れた特徴を有する含水性ソフトコンタクトレンズや眼内レンズなどの含水性眼用レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
含水性ソフトコンタクトレンズとしては、2−ヒドロキシエチルメタクリレートやビニルピロリドンといった親水性モノマーを主成分としてなる重合体を含水したものがある。含水性ソフトコンタクトレンズは、その材料のしなやかさにより装用感がよいことが知られている。また、一般的に含水性ソフトコンタクトレンズの酸素透過性はレンズの含水率に依存することが知られている。しかし、高含水性ソフトコンタクトレンズ材料であるビニルピロリドンを主成分とした重合体の場合、含水率80%であっても、酸素透過係数は約50×10-11(cm/sec)・(mLO/mL×mmHg)程度であり、角膜に十分な酸素量を供給できているとはいえない。その上、高含水であるがためにレンズが汚れやすく、長時間の装用では装用感や視野の低下が発生する。すなわち、従来の含水性ソフトコンタクトレンズは、装用感に優れるものの酸素透過性が十分でないので、長時間の装用の場合、角膜が酸素欠乏状態となり、重篤な症状を発症する等の課題を有している。
【0003】
近年では、コンタクトレンズの連続的な装用が主流となっているため、高い酸素透過性は必要不可欠な要素であり、さらには、連続的な装用に耐え得る耐汚染性を発揮するためにもレンズ表面の水濡れ性が望まれる。レンズ素材としてシリコーン系モノマーを用いると高酸素透過性は得られるが、疎水性も高くなるので、含水性ソフトコンタクトレンズに利用した場合、レンズに白濁が生じるため含水率を低下せざるを得ない。その結果、素材自体が硬くなるので装用感の低下が生じ、また、レンズ表面の水濡れ性も低下し、乾燥感や涙液成分中の汚れ付着が生じることになる。
【0004】
このような事情からシリコーン系モノマーを用いた含水性コンタクトレンズの場合、適当な含水率と表面の水濡れ性向上が大きな課題となっている。それゆえ、酸素透過性が高く且つ、水濡れ性を有するシリコーン含有含水性コンタクトレンズ材料が種々提案されている。
【0005】
例えば、シリコーンマクロモノマー、バルクポリシロキサニル(メタ)アクリレートモノマーおよびラクタム含有モノマーから成るシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズにプラズマ表面処理を施した後、含水させる技術が開示されている(特許文献1参照)。しかしながら、この方法はプラズマ処理装置など極めて大がかりな装置が必要であり、また、被膜を形成させるための条件設定が複雑である等の問題点を有している。
【0006】
また、アクリル基でキャップされたポリシロキサンプレポリマー、バルクポリシロキサニル(メタ)アクリレートモノマーおよび、親水性モノマーを共重合した眼用レンズ材料が開示されている(特許文献2参照)。この材料は、ポリシロキサンプレポリマーとバルクポリシロキサン系モノマーの二種類の異なるシリコーン成分を組み合わせて、低モジュラスの親水性ゲルとしたものである。含水率は17〜43%程度であり、酸素透過係数は60〜150×10-11(cm/sec)・(mLO/mL×mmHg)程度である。低モジュラスであるためレンズ形状の安定性に課題があり、また、レンズ表面の濡れ性についても十分に考慮されているとは言えない。
【0007】
ところで、柔軟性、形状回復性を有する非含水性眼用レンズとして、シロキサンマクロモノマーおよび低級脂肪酸ビニルエステルを重合して得られたシロキサン含有重合体からなる眼用レンズ材料や(特許文献3参照)、側鎖にポリシロキサンを有するマクロマーから成る眼用レンズ材料が開示されている(特許文献4参照)。これら眼用レンズの主成分であるシロキサンマクロモノマーは、構造中にウレタン基を有しており機械的強度や柔軟性および水濡れ性を付与するが、ウレタン結合は比較的に加水分解がされ易く、含水性眼用レンズ用途として多量に用いた場合、重合体の白濁や劣化が生じ、眼用レンズとしての機能が低下することが予測される。また、シロキサンマクロモノマーの使用量を少なくすると、十分に満足しうる酸素透過性を有する重合体が得られず、また、酸素透過性を高めるために分子中のシロキサン結合部分を長くすると他の共重合成分との相溶性が低下し、透明かつ、良好な機械的強度の重合体が得られず、眼用レンズとしての使用は困難となる。
【特許文献1】特表2002−513948号公報
【特許文献2】特開2003−268055号公報
【特許文献3】国際公開00/70388号公報
【特許文献4】特開平13−311917号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
高酸素透過性を有する含水性コンタクトレンズの場合、良好な柔軟性や伸縮性を有し、且つ装用感や耐汚染性を低下させず水濡れ性を向上させるには、その素材自体を改良することが最も効果的である。
【0009】
本発明ではシリコーン含有モノマーを用いた組成であるにも関わらず、レンズ表面の水濡れ性と含水性、酸素透過性、柔軟性、伸縮性、透明性、形状回復性に優れた眼用レンズを提供することにある。
【0010】
さらに、本発明によれば酸素透過係数が100〜200×10-11(cm/sec)・(mLO/mL×mmHg)程度を示す上に、レンズ材料表面の濡れ性と引張強度と破断伸度に優れ、煮沸消毒や化学的消毒においても強度の低下することのない眼用レンズを提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本発明は、下記一般式(1)で示される両末端(メタ)アクリルポリジメチルシロキサン、カルボン酸ビニルエステル、(メタ)アクリルアミド系モノマーおよびこれらと共重合可能なモノマーからなる共重合体にケン化処理を施して得られた、高酸素透過含水性眼用レンズである。
【0012】
【化5】

(式中R1およびR2は、水素原子またはメチル基であり、mおよびpは、1〜5の整数であり、nは10〜150の整数である。)
【0013】
(2)また、本発明は、上記一般式(1)で示される両末端(メタ)アクリルポリジメチルシロキサン、カルボン酸ビニルエステル、(メタ)アクリルアミド系モノマー、ビニル系架橋剤およびこれらと共重合可能なモノマーからなる共重合体にケン化処理を施して得られた、高酸素透過含水性眼用レンズである。
【0014】
(3)また、本発明は、上記一般式(1)で示される両末端(メタ)アクリルポリジメチルシロキサン、カルボン酸ビニルエステル、(メタ)アクリルアミド系モノマー、側鎖に嵩高い構造を有する(メタ)アクリレートがターシャリー構造を有する(メタ)アクリレートおよび環状構造を有する(メタ)アクリレートの一方または両方、ならびにこれらと共重合可能なモノマーからなる共重合体にケン化処理を施して得られた、高酸素透過含水性眼用レンズである。
【0015】
(4)さらに、本発明は、上記一般式(1)で示される両末端(メタ)アクリルポリジメチルシロキサン、カルボン酸ビニルエステル、(メタ)アクリルアミド系モノマー、ビニル系架橋剤、側鎖に嵩高い構造を有する(メタ)アクリレートがターシャリー構造を有する(メタ)アクリレートおよび環状構造を有する(メタ)アクリレートの一方または両方、ならびにこれらと共重合可能なモノマーからなる共重合体にケン化処理を施して得られた、高酸素透過含水性眼用レンズである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、シリコーン含有モノマーを用いた組成であるにも関わらず、良好なレンズ材料表面の濡れ性と酸素透過性、透明性、形状回復性を有し、かつ、引張強度と破断伸度に優れた眼用レンズを比較的容易に提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明に使用する両末端(メタ)アクリルポリジメチルシロキサンは、一般式(1)で示される。この化合物は両末端に(メタ)アクリル基が2つあるので反応性に富むが、通常に用いると重合体が疎水性を示すので、その取り扱いが難しい。特に、nの数が小さ過ぎると得られる重合体の伸縮性および酸素透過性が低下し、また、大き過ぎると得られる重合体の疎水性が強すぎるため、眼用レンズ白濁の原因となる。したがって本発明では、n=10〜150の整数であり、mおよびpは1〜5の整数である。
【0018】
【化6】

【0019】
配合量は、好ましくは5〜60重量部であり、より好ましくは10〜40重量部である。両末端(メタ)アクリルポリジメチルシロキサン含有量が5重量部未満であると得られる重合体の酸素透過性が低下し、また60重量部を超えると得られる重合体の眼用レンズとしての柔軟性、含水性、表面の水濡れ性が低下し好ましくない。
【0020】
カルボン酸ビニルエステルとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、(メタ)アクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル等が挙げられる。本発明の場合、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニルなどの飽和カルボン酸が好ましく用いられる。
【0021】
配合量は、好ましくは30〜80重量部であり、より好ましくは40〜70重量部である。カルボン酸ビニルエステル含有量が30重量部未満であると、得られた重合体を眼用レンズとして用いた場合、柔軟性や含水性が低下するばかりか、レンズ表面の水濡れ性が劣るので好ましくない。含有量が80重量部を超えると得られる重合体の酸素透過性が低下し、本発明の特徴が発揮できず好ましくない。
【0022】
本発明は、(メタ)アクリルアミド系モノマーを配合することに1つの特徴がある。すなわち、含水性や表面の水濡れ性は、重合体中のカルボン酸ビニルエステル部分と、このアクリルアミド部分が大きく寄与する。本発明は、重合体中のカルボン酸ビニルエステルへの選択的なアルカリケン化処理により、レンズ表面のみならず、レンズ内部へのケン化を行うことで、レンズ表面濡れ性の保持性を高めることを意図する。他のエステル部位を加水分解することなく、レンズ内部へのケン化処理を速やかに進行させるためには、重合体の速やかな膨潤が必要であり、このため、一定量のアクリルアミド系モノマーを配合している。これにより、カルボン酸ビニルエステルのみの場合よりも効果的な処理が行え、優れた特性が発揮できる。(メタ)アクリルアミド系モノマーとしては、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミドなどのN−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−メチル(エチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−メチル(プロピル)(メタ)アクリルアミドなどのN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。本発明の場合、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミドが好ましく用いられ、N,N−ジメチルアクリルアミドがより好ましい。
【0023】
好ましい配合量の範囲は1〜20重量部で、より好ましくは、5〜15重量部である。N,N−ジメチルアクリルアミド含有量が1重量部未満であると、レンズ内部のケン化反応性が低下するために、良好な含水性やレンズ表面の水濡れ性を付与するための時間を費やし、カルボン酸ビニルエステル以外のエステル部位も加水分解を受ける。例えば、両末端(メタ)アクリルポリジメチルシロキサンの(メタ)アクリル基も加水分解が進行し、シリコーンユニットの脱落により、酸素透過性、強度、柔軟性が低下する。また、含有量が20重量部を超えると、両末端(メタ)アクリルポリジメチルシロキサンとの相溶性や加水分解の影響から得られる重合体に白濁が生じ、レンズ材料として好ましくない。
【0024】
本発明では、耐熱性、機械的特性をさらに向上させるために、多官能性の架橋成分を共重合することができる。架橋成分としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエリチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート系架橋剤、アリルメタクリレート、ジアリルマレエート、ジアリルフマレート、ジアリルサクシネート、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、トリアリルホスフェート、トリアリルトリメリテート、ジアリルエーテル、N,N−ジアリルメラミン、ジビニルベンゼン等のビニル基やアリル基を有するビニル系架橋剤が挙げられる。
【0025】
本発明の場合、両末端(メタ)アクリルポリジメチルシロキサンは2官能性分であり、配合量を多くすれば架橋効果も期待できるが、架橋成分を用いる場合にはカルボン酸ビニルエステルの重合反応性を考慮すると、ビニル系架橋剤が好ましい。より好ましくはトリアリルイソシアヌレートである。
【0026】
架橋成分を用いる場合の好ましい配合量の範囲は0.1〜5重量部で、より好ましくは、0.1〜3重量部である。架橋成分の配合量が0.1重量部未満ではその効果が見られず、5重量部を超えると過度の架橋密度のため、得られた重合体の柔軟性と伸縮性が低下し、レンズ材料として好ましくない。
【0027】
本発明では、上記成分に加えて所望により各種の共重合性モノマーを適宜選択できる。
【0028】
本発明の主な特徴である、高酸素透過性と濡れ性付与に対しては各種の共重合性モノマーは任意の(メタ)アクリレートを選択できるが、その配合量は好ましくは20重量部以内であり、より好ましくは5〜15重量部の範囲内とする。
【0029】
好ましい(メタ)アクリレート系モノマーとしては、長鎖状の(メタ)アクリレートおよび側鎖に嵩高い構造を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。本発明の共重合体はビニルアルコールユニットを有するが、この部分はポリビニルアルコール系材料に由来する特定方向における引張強度の低下をもたらす場合がある。その明確な原因は不明であるが、長鎖状(メタ)アクリレートおよび/または側鎖に嵩高い構造を有する(メタ)アクリレートを配合した場合、ポリビニルアルコールユニットによる分子配向を阻害すると考えられ、実用的な強度の向上が期待できる。
【0030】
長鎖状(メタ)アクリレートと側鎖に嵩高い構造を有する(メタ)アクリレートは単独で配合しても効果は発揮するが、両成分を特定量ずつ配合することもできる。
【0031】
長鎖状(メタ)アクリレートとしては、エステル部分の炭素数が4〜20程度の(メタ)アクリレートが挙げられる。具体的には、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、3−メチルトリデシル(メタ)アクリレート、6−メチルトリデシル(メタ)アクリレート、7−メチルトリデシル(メタ)アクリレート、2,11−ジメチルドデシル(メタ)アクリレート、2,7−ジメチル−4,5−ジエチルオクチル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等である。
【0032】
本発明では、特にラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレートがその取り扱い上からも好ましく用いられる。配合量は、好ましくは1〜20重量部であり、より好ましくは3〜15重量部である。1重量部未満であると、得られた重合体の物理化学的特徴に大きな向上は見られず、所望の効果を発揮するに至らず好ましくない。また、含有量が20重量部を超えると本発明の主とする特徴が発揮できなくなる。
【0033】
側鎖に嵩高い構造を有する(メタ)アクリレートとしては、ターシャリー構造を有する(メタ)アクリレートおよび/または環状構造を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0034】
具体的には、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ターシャリーブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3−ターシャリーブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−ターシャリーブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート,2−セカンダリーブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−セカンダリーブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2,4−ジ−ターシャリーブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2,4−ジ−セカンダリーブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−ターシャリーアミルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2,4−ジーターシャリーアミルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−ターシャリーオクチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−(1−シクロヘキシルエチル)−シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−(1−メチル−1−シクロヘキシルエチル)−シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ノニルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等である。
【0035】
本発明では、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートがその取り扱い上からも特に好ましく用いられる。
【0036】
配合量は、1〜10重量部で、好ましくは、3〜8重量部である。1重量部未満であると、所望の効果が達成されず、10重量部を超えると得られるレンズ材料の酸素透過性や柔軟性が著しく低下し好ましくない。
【0037】
また、本発明の効果を阻害しない範囲で他の共重合成分と適宜混合して用いることも可能である。本発明の効果を阻害しない範囲の共重合成分の配合量は、上記でも示した20重量部以内である。すなわち、長鎖状(メタ)アクリレートと側鎖に嵩高い構造を有する(メタ)アクリレートおよび他の共重合成分の合計が20重量部未満で用いることが好ましい。
【0038】
例えば、他の共重合成分のアルキル(メタ)アクリレートとして、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレートなどの、プロピル(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、3−メチルトリデシル(メタ)アクリレート、6−メチルトリデシル(メタ)アクリレート、7−メチルトリデシル(メタ)アクリレート、2,11−ジメチルドデシル(メタ)アクリレート、2,7−ジメチル−4,5−ジエチルオクチル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0039】
また、本発明で用いるシリコーン含有モノマー以外で、シロキサン結合を有するアルキル(メタ)アクリレートも用いることができる。例えば、トリメチルシロキシジメチルシリルメチル(メタ)アクリレート、トリメチルシロキシジメチルシリルプロピル(メタ)アクリレート、メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレート、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレート、モノ[メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレート]、トリス[メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレート]、メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルグリセリル(メタ)アクリレート、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルグリセリル(メタ)アクリレート、モノ[メチルビス(トリメチルシロキシ)シロキシ]ビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルグリセリル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルエチルテトラメチルジシロキシプロピルグリセリル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルメチル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルプロピルグリセリル(メタ)アクリレート、トリメチルシロキシジメチルシリルプロピルグリセリル(メタ)アクリレート、メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルエチルテトラメチルジシロキシメチル(メタ)アクリレート、テトラメチルトリイソプロピルシクロテトラシロキサニルプロピル(メタ)アクリレート、テトラメチルトリイソプロピルシクロテトラシロキシビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシプロピルジメチルメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシプロピルジメチルエトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシエチルメチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシエチルメチルジエトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルエトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチルメチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチルメチルジエトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチルジメチルメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチルジメチルエトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリス(メトキシエトキシ)シラン等の直鎖状、分岐状または環状のアルキル(メタ)アクリレート等である。
【0040】
さらに本発明において、レンズ表面の耐汚染性向上や粘着性軽減成分として一般的に知られる、フッ素原子含有アルキル(メタ)アクリレートを配合することも可能である。フッ素原子含有アルキル(メタ)アクリレートとしては、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、テトラフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロビス(トリフルオロメチル)ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、ヘプタフルオロブチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ノナフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、ドデカフルオロオクチル(メタ)アクリレート、トリデカフルオロオクチル(メタ)アクリレート、トリデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、ヘキサデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、オクタデカフルオロウンデシル(メタ)アクリレート、ノナデカフルオロウンデシル(メタ)アクリレート、エイコサフルオロドデシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−オクタフルオロ−6−トリフルオロメチルヘプチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−ドデカフルオロ−8−トリフルオロメチルノニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−ヘキサデカフルオロ−10−トリフルオロメチルウンデシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0041】
一般的に、熱重合や光重合を行う場合にはラジカル重合開始剤や光増感剤などを添加して行う。ラジカル重合開始剤としては、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス酪酸ジメチル、2,2'−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)などのアゾ系重合開始剤、ジイソブチリールパーオキサイド、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジステアロイルパーオキサイド、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(4−ターシャリーブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、ターシャリーヘキシルパーオキシネオデカノエート、ターシャリーブチルパーオキシネオデカノエート、ターシャリーヘキシルパーオキシピバレート、ターシャリーブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−ヘキサノイル)パーオキシヘキサン、ターシャリーヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ターシャリーブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ターシャリーブチルパーオキシイソブチレート、ターシャリーヘキシルパーオキシイソプロピルカーボネート、ターシャリーブチルパーオキシマレイン酸、ターシャリーブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、ターシャリーブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(3−メチルベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ターシャリーブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ターシャリーブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、ターシャリーヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ターシャリーブチルパーオキシ酢酸、ターシャリーブチルパーオキシベンゾエート等の有機過酸化物系重合開始剤がある。
【0042】
本発明の組成の場合、アゾ系重合開始剤や有機過酸化物系重合開始剤を用いることができるが、比較的低温、具体的には30〜60℃程度で重合反応を開始させることができる重合開始剤が好ましく用いられる。本発明ではカルボン酸ビニルエステルを配合しているので、パーオキシエステル系の有機過酸化物系重合開始剤を用いると、特に本発明の優れた特徴が発揮できて好ましい。その中で、ターシャリーヘキシルパーオキシネオデカノエート、ターシャリーブチルパーオキシネオデカノエート、ターシャリーヘキシルパーオキシピバレート、ターシャリーブチルパーオキシピバレートなどのターシャリーパーオキシエステル系が特に好ましく用いられる。有機過酸化物系重合開始剤とアゾ系重合開始剤を併用すれば、アクリル系モノマーとの重合性を、さらに向上させることも期待できる。
【0043】
重合開始剤の量は、共重合体成分100重量部に対して0.001〜1.0重量部が好ましく、より好ましくは0.05〜0.5重量部である。
【0044】
本発明の眼用レンズの製造方法としては、レンズ形状の成形型を用いて重合する方法や、チューブ状の容器中で重合した後にレンズ形状に切削、研磨する方法など公知の方法が採用できる。また、本発明の材料を眼内レンズとして利用する場合には、レンズ形成後にレンズ部にレンズ支持部を取り付けることも可能であるし、レンズ部と支持部を一体的に形成することも可能である。
【0045】
本発明では、得られた重合体に良好な水濡れ性と含水性を付与するために、カルボン酸ビニルエステルユニットをアルカリ処理してビニルアルコールユニットとするケン化処理を行う。ケン化処理はアルカリ溶液にて行うことが好ましく、用いられるアルカリ性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等があり、好ましくは水酸化ナトリウムである。これらのアルカリ性化合物は、水やアルコール類などに溶解して用いることが好ましい。アルコール類としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等が挙げられる。ケン化反応時の重合体の膨潤率やケン処理後の置換反応性を考慮し、メタノールが好ましく用いられる。ケン化処理の効率を高めるには、水酸化ナトリウム濃度0.1〜10重量部のメタノール水溶液を用いることが好ましく、より好ましくは水酸化ナトリウム濃度0.5〜5.0重量部のメタノール水溶液である。また、メタノール水溶液のメタノールと水との混合割合(メタノール/水(体積比))は、30/70〜90/10が好ましく、より好ましくは、50/50〜80/20である。ケン化処理温度は、一般的に0〜100℃で行なわれるが、好ましくは、25〜65℃である。処理時間はアルコール水溶液の濃度にもよるが、30分〜360分の範囲内で行うことが好ましく、360分を越えると、カルボン酸ビニルエステル以外のエステル部位の加水分解も進行し、シリコーンユニットの脱落により、酸素透過性、強度、柔軟性が低下する。
【0046】
本発明の眼用レンズに紫外線吸収効果を付与する場合には、一般的に用いられる紫外線吸収剤を材料中に添加すればよい。紫外線吸収剤の具体例としては、2−ヒドロキシ−4−(メタ)アクリロイルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(メタ)アクリロイルオキシ−5−t−ブチルベンゾフェノン、2−(2‘−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2‘−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−メタクリロイルオキシメチル安息香酸フェニル等が挙げられる。
【実施例】
【0047】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0048】
[評価方法]
実施例および比較例における膨潤状態のコンタクトレンズでの評価方法として、以下の試験、評価基準を採用した。
【0049】
[酸素透過係数]
コンタクトレンズ成形体の酸素透過量の評価として、コンタクトレンズ製造・輸入承認申請マニュアル(日本コンタクトレンズ協会)に記載の「改良電極法によるDk値測定作業手順書」に基づき酸素透過係数(Dk値)を測定した。
【0050】
[含水率]
コンタクトレンズ成形体の含水率の評価として、「ハイドロゲルレンズの含水率測定(ISO10339:1997)」に基づき含水率を測定した。
【0051】
[レンズ表面の水濡れ性]
コンタクトレンズ成形体を37±2℃の生理食塩水に24時間浸漬し、その後成形体を取り出したときのレンズ表面の水濡れ性を目視にて評価した。
◎:全体的に良好な水濡れ性を示しており、表面水分の保持性が良好である。
○:一部水弾きが確認されるが、良好な水濡れ性を示しており、表面水分の保持性が良好である。
△:全体的に良好な水濡れ性を示しているが、表面水分の保持性が不足している。
▲:一部水弾きが確認され、表面水分の保持性も不足している。
×:全体的に水弾きが確認される。
【0052】
[レンズ伸縮性および強度]
「プラスチックの引っ張り試験法(JIS K 7113)」に基づき試験片を調整し、膨潤したものをサンプルとして伸縮性および強度を測定した。さらに、得られたサンプルをバイアル中で121℃20分の処理をした後、同様に測定し、耐加水分解性も評価した。
【0053】
[レンズ形状保持性および透明性]
コンタクトレンズ成形体の形状保持性と透明性を、目視にて評価した。
【0054】
[レンズ形状評価基準]
コンタクトレンズ成形体のレンズ前面側を下に向けて、手指に載せて横から確認した時に、
○:お椀形状を保持している。
△:お椀形状がやや開いた状態である。
×:お椀形状が保持できない。
【0055】
[レンズ透明性評価基準]
○:完全透明。
△:一部白濁(乳白色)あり。
×:50%以上白濁
【0056】
(実施例1〜3)
両末端(メタ)アクリルポリジメチルシロキサン(FM−7725(チッソ株式会社製)、n=130、mおよびp=3)、酢酸ビニルエステル(VAc)、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMAA)、トリデシルメタクリレート(TDMA)およびトリアリルイソシアヌレート(TAIC)を表1に示す配合量で混合した後に、重合開始剤として、ターシャリーブチルパーオキシピバレート(t−BuPV)を各0.5重量部添加した。
【0057】
各成分を均一になるように十分攪拌した後、レンズ形状のポリプロピレン製の成形型内に注入し、窒素雰囲気下、40℃で10時間加温し、レンズ形状の重合体とした。得られた重合体のケン化処理は、1重量%の水酸化ナトリウムを75%メタノール水溶液に添加して、40℃で60分間浸漬して行った。
【0058】
得られたレンズ成形体の評価結果を表1に示す。
【0059】
(実施例4〜14)
両末端(メタ)アクリルポリジメチルシロキサン(FM−7725(チッソ株式会社製)、n=130、mおよびp=3)、酢酸ビニルエステル(VAc)もしくは酪酸ビニルエステル(VBu)、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMAA)、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、ターシャリーブチルメタクリレート(TBMA)および/もしくはシクロヘキシルメタクリレート(CHMA)もしくはベンジルメタクリレート(BzMA)、トリデシルメタクリレート(TDMA)もしくはラウリルメタクリレート(LMA)およびシロキサニルメタクリレート(SiMA)もしくはメチルメタクリレート(MMA)、を表1に示す配合量で混合した後に、重合開始剤として、ターシャリーブチルパーオキシピバレート(t−BuPV)もしくはターシャリーブチルパーオキシネオデカノエート(t−BuND)およびアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を合計0.5重量部添加し、実施例1と同様の手順でレンズを作製し評価した。
【0060】
得られたレンズ成形体の評価結果を表1に示す。
【0061】
実施例13、14は、他の実施例に比べてFM-7725を多量に配合しているので、含水率は低下するもののその架橋効果が発揮されている例である。
【0062】
(比較例1)
本発明におけるN,N−ジメチルアクリルアミドを使用しない場合として、表2に示す組成で実施例1と同様の手順でレンズを作製し評価した。
【0063】
N,N−ジメチルアクリルアミドを使用しない場合、ケン化反応が進行せず、良好な水濡れ性が得られなかった。
【0064】
(比較例2)
表2に示す組成で得られた重合体に、ケン化処理を施さずに実施例1と同様の手順でレンズを作製し評価した。評価結果を表2に示すが、酸素透過性は高いものの、含水率、レンズ表面の水濡れ性が極めて悪く、眼用レンズとしての使用は不可能であった。
【0065】
(比較例3〜4)
本発明の必須成分である両末端(メタ)アクリルポリジメチルシロキサン(FM−7725、n=130、mおよびp=3)の代わりに、両末端(メタ)アクリルポリジメチルシロキサン(FM−7711(チッソ株式会社製)、n=8、mおよびp=3または、FM−7726(チッソ株式会社製)、n=250、mおよびp=3)を用いて、表2に示す組成で実施例1と同様の手順でレンズを作製し評価した。FM−7725よりも分子量の小さいFM−7711を用いた場合、酸素透過性が低く、また、FM−7725よりも分子量の大きいFM−7726を用いた場合、重合体に白濁が生じ、眼用レンズとしての使用は不可能であった。
【0066】
【表1】

【0067】
【表2】

【0068】
なお、表1中の略語は、以下の化合物を示す。
FM−7725、FM−7711およびFM−7726:式:
【0069】
【化7】

【0070】
FM−7725:n=130、mおよびp=3、分子量 10000
FM−7711:n=8、mおよびp=3、分子量 1000
FM−7726:n=250、mおよびp=3、分子量 20000
VAc:酢酸ビニル
VBu:酪酸ビニル
DMAA:N,N−ジメチルアクリルアミド
TBMA:ターシャリーブチルメタクリレート
CHMA:シクロヘキシルメタクリレート
BzMA:ベンジルメタクリレート
TDMA:トリデシルメタクリレート
MMA:メチルメタクリレート
LMA:ラウリルメタクリレート
SiMA:シロキサニルメタクリレート
TAIC:トリアリルイソシアヌレート
t−BuPV:ターシャリーブチルパーオキシピバレート(パーブチルPV)
t−BuND:ターシャリーブチルパーオキシネオデカノエート(パーブチルND)
AIBN:アゾビスイソブチロニトリル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示される両末端(メタ)アクリルポリジメチルシロキサン、カルボン酸ビニルエステル、(メタ)アクリルアミド系モノマーおよびこれらと共重合可能なモノマーからなる共重合体にケン化処理を施して得られた、高酸素透過含水性眼用レンズ。
【化1】

(式中R1およびR2は、水素原子またはメチル基であり、mおよびpは、1〜5の整数であり、nは10〜150の整数である。)
【請求項2】
下記一般式(1)で示される両末端(メタ)アクリルポリジメチルシロキサン、カルボン酸ビニルエステル、(メタ)アクリルアミド系モノマー、ビニル系架橋剤およびこれらと共重合可能なモノマーからなる共重合体にケン化処理を施して得られた、高酸素透過含水性眼用レンズ。
【化2】

(式中R1およびR2は、水素原子またはメチル基であり、mおよびpは、1〜5の整数であり、nは10〜150の整数である。)
【請求項3】
下記一般式(1)で示される両末端(メタ)アクリルポリジメチルシロキサン、カルボン酸ビニルエステル、(メタ)アクリルアミド系モノマー、側鎖に嵩高い構造を有する(メタ)アクリレートがターシャリー構造を有する(メタ)アクリレートおよび環状構造を有する(メタ)アクリレートの一方または両方、ならびにこれらと共重合可能なモノマーからなる共重合体にケン化処理を施して得られた、高酸素透過含水性眼用レンズ。
【化3】

(式中R1およびR2は、水素原子またはメチル基であり、mおよびpは、1〜5の整数であり、nは10〜150の整数である。)
【請求項4】
下記一般式(1)で示される両末端(メタ)アクリルポリジメチルシロキサン、カルボン酸ビニルエステル、(メタ)アクリルアミド系モノマー、ビニル系架橋剤、側鎖に嵩高い構造を有する(メタ)アクリレートがターシャリー構造を有する(メタ)アクリレートおよび環状構造を有する(メタ)アクリレートの一方または両方、ならびにこれらと共重合可能なモノマーからなる共重合体にケン化処理を施して得られた、高酸素透過含水性眼用レンズ。
【化4】

(式中R1およびR2は、水素原子またはメチル基であり、mおよびpは、1〜5の整数であり、nは10〜150の整数である。)


【公開番号】特開2006−126797(P2006−126797A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−241090(P2005−241090)
【出願日】平成17年8月23日(2005.8.23)
【出願人】(000131245)株式会社シード (30)
【Fターム(参考)】