説明

高電流溶接用電源

【課題】電気アーク溶接用電源を提供する。
【解決手段】 電源が、250アンペア以上の電流を有する一次回路と、700アンペア以上の最大電流を伴う動作範囲を有する電流を有する二次回路と、二次電流を、溶接に適したDC電流に整流する出力整流器とを有する出力変圧器の一次側を駆動する高速スイッチングインバータを含む、電気アーク溶接のための、インバータをベースとする電源。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気アーク溶接の技術に関し、より具体的には、スイッチングインバータが、インバータをベースとする、溶接または他の用途のための電源ではこれまで得ることのできなかった溶接電流を生成することが可能な、該スイッチングインバータをベースとする電源に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、特に、サブマージアーク技術を用いた電気アーク溶接のために設計された電源に注力する。この種の溶接作業は、多くの場合1000アンペアを超える、非常に高い溶接電流を必要とする。そのため、この用途のための電源は、一般に、強力な変圧器をベースとした入力電源を必要としていた。近年、溶接業界は、強大な高出力変圧器をベースとした電源よりも、良好な溶接性能、より正確な波形制御およびより軽量である高速スイッチングインバータに、徐々に移行しつつある。高速スイッチングインバータは、出力変圧器の一次側を介して反対側に電流を向ける一連のスイッチの組を必要とする。該変圧器の二次側は、出力整流器に接続されているため、該インバータをベースとする電源の出力信号は、通常DC電圧である。従って、上記高速スイッチングインバータへのDC電圧は、出力変圧器および出力整流器によってDC出力に変換される。このことは、1990年代の初期から、溶接業界にとって標準的な技術であり、かつ溶接時の用途のために設計されたインバータ電源に対する多くの特許のテーマであった。特許文献1〜7は、全て、現在、電気アーク溶接の現場で広く使用されているような出力変圧器および整流器を用いたインバータの実施例である。これらの特許は、本発明が注力する高速スイッチングインバータをベースとした電源の種類を示す背景技術として本願明細書に援用する。この種の高効率電源の元は、何年も前に開発された、照明および他の固定負荷のための低出力回路であり、出力電流は、例えば、10アンペア以下とかなり低い。長年の間、溶接業界は、現存する低電流で高速のインバータをベースとする電源を、通常、200〜300アンペアの出力電流を有する溶接電源に切り替えてきた。低容量電源から、溶接に必要な出力電流を生成可能な電源への切り替えは、何年もかかって生み出される開発作業を必要とした。この開発作業は、500〜600アンペアの最大電流を有する高出力電流性能を有する電気アーク溶接用に設計された、インバータをベースとする電源を結果としてもたらした。実際に、オハイオ州クリーブランドのLincoln Electric Companyは、通常、500〜600アンペアの出力電流容量を有する電気アーク溶接用のインバータをベースとする電源を市場に出した。これは、出力AC変圧器を有する高速スイッチングインバータに基づいた高効率電源の最大電流能力であった。高電流は、経済的には得ることができない。そのため、それらのインバータは、パイプ工場における重いパイプの溶接に対するサブマージアーク等の高電流溶接作業には使用することができなかった。パイプ工場におけるそのようなサブマージアーク溶接は、たいていの場合、各電極が、AC電流またはDC電流の少なくとも約1,000アンペアの電流を要するいくつかのタンデム電極の使用を必要としていた。その結果、インバータをベースとする電源は、該タンデム電極の各々が、少なくとも1,000アンペアの溶接電流を必要としたため、パイプ工場でのサブマージアーク溶接には用いることができなかった。Lincoln Electric Companyは、サブマージアーク溶接作業において、各電極に対していくつかのインバータを使用することによってこの問題を解決した。この技術は、本願明細書に援用する特許文献8に開示されている。いくつかのインバータを組み合わせたことによって、パイプ業界は、パイプ断面のサブマージアーク溶接における、高効率インバータをベースとした電源の使用が可能になったが、これは、各電極に対して1つまたはそれ以上の独立した電源を必要とした。このことは、コストのかかることであったが、サイン波入力変圧器電源に基づく他の種類の電源に優る相当な利点を有していた。特許文献8は、低電流インバータをベースとする電源によって高電流を実現する1つの方法を示すために援用する。高出力電流を実現するために、一緒に接続されたいくつかの低電流インバータは、インバータと呼ばれる回路に注力した特許文献9に開示されているが、これは、本発明が注力するタイプの回路ではない。特許文献9において、高容量入力変圧器および整流器は、AC溶接電流を生成する溶接作業の間交互に切り替えられるDC電圧を生成する。この特許は、電気アーク溶接のために開発されたタイプのインバータとは異なるが、いくつかのインバータを用いて高出力電流を得るというコンセプトを示している。このタイプの回路は、サブマージアーク溶接のための変圧器をベースとした電源に取って代わるものである。この特許は、背景情報として、本願明細書に援用する。特許文献9に示されたタイプの回路は、AC出力電流がインバータによって生成される、本発明が注力するタイプのインバータの用途に転用できる。この出力コンセプトは、特定のインバータが開示されていない、特許文献10に示されている。この特許を援用する。該特許は、インバータ電流に関係なく、極性反転箇所における高電流が低減されて、特許文献10および特許文献9に示されている出力極性スイッチの必要なサイズが減らされる、AC電気アーク溶接のために不確定のインバータを使用するというコンセプトを開示している。これら2つの特許は、AC出力電流を用いる場合、本発明が、出力電流のスイッチングを制御するために、特許文献10に開示されクレームされた発明の実施を予想するため、背景情報として援用する。しかし、この特許は、出力スイッチングコンセプトに関しては概念的であるが、いずれかのタイプのインバータの詳細に関しては概念的ではない。
【0003】
本発明は、電気アーク溶接に使用できる所望の出力DC電圧を生成するために整流される二次側を有する出力変圧器を有する高速スイッチングインバータに注力する。最近十年間において、この種の電源は、電気アーク溶接に使用できるように変更されかつ開発されてきた。本発明は、単一のインバータをベースとする電源の出力電流能力を本質的に倍増するという次の段階に進むために、この種の電源における更なる進化を伴う。本発明は、電源におけるいくつかの変化を含み、そのうちの一つは、該電源の出力でのマトリックス変圧器の使用であり、該変圧器は、該電源における出力変圧器の一次側から二次側への高電流変換を可能にする新規なモジュールコンセプトを用いる。該変圧器のための実際の電気回路は、変化させることができるが、典型的な変圧器回路は、本願明細書に背景情報として援用する特許文献2に示されている。変圧器の二次側を構成する該変圧器モジュールが組み立てられ、一次側は、該モジュールを介してインタリーブされる。1つのマトリックス変圧器には、1つ以上のモジュールが使用される。この技術は、公知であり、本願明細書に援用される特許文献11に示されているため、マトリックス変圧器技術の開示は、繰り返す必要はない。特許文献12において、2つの隣接する磁気コアは、各モジュールが二次巻線のハーフターンを含む、二次巻線および一次巻線を備えている。これらのモジュールは、二次巻線の一部として接続されるコアを介して、平坦な導電ストリップを形成する。そして、上記一次巻線は、標準的なマトリックス変圧器技術に従って、上記モジュール介してインタリーブされる。所定のコアにいくつかのターンを有する同様のモジュールは、特許文献13に示されている。これらの特許は、マトリックス型変圧器の二次巻線に使用されるモジュールに関する従来技術を示すために、本願明細書に援用する。
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,349,157号明細書
【特許文献2】米国特許第5,351,175号明細書
【特許文献3】米国特許第5,601,741号明細書
【特許文献4】米国特許第5,991,169号明細書
【特許文献5】米国特許第6,051,810号明細書
【特許文献6】米国特許第6,055,161号明細書
【特許文献7】米国特許第6,278,080号明細書
【特許文献8】米国特許第6,291,798号明細書
【特許文献9】米国特許第6,365,874号明細書
【特許文献10】米国特許第6,111,216号明細書
【特許文献11】米国特許第4,942,353号明細書
【特許文献12】米国特許第5,999,078号明細書
【特許文献13】米国特許第6,734,778号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高容量伝記アーク溶接に使用される、標準的なインバータをベースとする電源においては、変更が行われてきており、上記変更された電源は、700アンペアを超える、具体的には、約1000アンペアの出力溶接電流を有するDCまたはAC溶接に使用することができる。基本的な変更は、上記変圧器を介した溶接電流の高電流伝達を可能にする、出力変圧器の二次側として並列に使用される新規な同軸モジュールである。さらに、上記電源の入力は、400ボルトを超える電圧を有する三相ライン電流に接続されている。従って、上記整流器に対する入力エネルギおよび通常は受動回路であるが、能動回路であってもよい力率補正入力段は、比較的高電圧であり、250アンペア、好ましくは、300〜350アンペアを超える高電流を有する。従って、上記電源のインバータ段は、250アンペアを超える電流容量を有するスイッチを用いて変換されるため、出力変圧器の一次側に流れる電流は、250〜300アンペアとなる。上記出力変圧器に新規な同軸モジュールを実装することにより、二次電流は1,000アンペア程になる。上記電流レベルは設計されており、またこの種の電流は、サブマージアーク溶接に必要なため、高電流の定義とされている。この所望の電流レベルを得ることができるインバータをベースとする電源を設計することが新規なコンセプトである。700アンペアを超える出力電流を得ることにより、インバータをベースとする電源の出力電流が、従来の溶接業界において使用可能ないかなる出力電流をも超えて劇的に増加する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、電気アーク溶接用電源が提供される。上記電源は、出力変圧器の一次側を駆動する高速スイッチングインバータを含み、上記変圧器の一次回路は、250アンペア以上の電流で作動し、上記変圧器の二次回路は、700アンペア以上の最大電流を有する電流範囲で作動する。上記インバータは、波形技術を用いたコントローラによって指示されるパルス幅変調器の制御下で、スイッチのペアのパルス幅変調を用いる。上記電源は、二次電流を、電気アーク溶接に適したDC電圧に整流する出力整流器を含む。
【0007】
本発明の別の態様によれば、サブマージアーク溶接の方法が提供され、上記方法は、400VACを超える三相電圧を有する電源を整流してDC信号を得ることと、上記DC信号を力率補正して、400VDCを超える電圧レベルを有するDCバスにすることと、上記DCバスを高速スイッチングすることにより、上記DCバスを、250アンペアを超える最大電流レベルを有するAC信号に変換することと、上記AC信号を、700アンペア以上の溶接最大電流レベルに変換することと、上記溶接電流をサブマージアーク電極に接続することと、上記電極を経路に沿って移動させることとを含む。この方法は、DC電流またはAC電流のいずれかで選択的に作動する。AC電流モードで作動する場合、反転動作の電流レベルは、特許文献10で教示されているように、AC電流の各逆極性の前に低減される。この特許は、一般的なスイッチコンセプトに関するものであり、特定のタイプのインバータに関するものではない。
【0008】
本発明の主な目的は、パルス幅変調を用い、かつ出力変圧器および整流器を有する、インバータをベースとする電源であって、上記電源が、従来得ることのできなかったレベルの、700アンペア以上の溶接電流を得るように設計されているインバータをベースとする電源の提供である。
【0009】
本発明のさらに別の目的は、上記出力変圧器の一次側の約300アンペアから、上記出力変圧器の二次側の約1,000アンペア以上への変換を可能にする、インバータ出力変圧器のための同軸のモジュール二次巻線を備える、上述したような電源の提供である。
【0010】
本発明のまた別の目的は、溶接作業用途のための、少なくとも約700アンペア溶接電流の生成を含む、サブマージアーク溶接の方法の提供である。この方法は、2.3ミリ径を超える電極を用いたDCまたはACMIG溶接に用いることができる。
【0011】
これらおよびその他の目的および効果は、添付図面と共に解釈すれば、以下の説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、電極Eと被加工物Wとの間のギャップ間での電気アーク溶接のための電源Sに関し、上記電源は、250アンペアを超える容量を有するスイッチを有する、40kHzの通常範囲のスイッチング周波数で作動する高速スイッチングインバータ300を含む。図1に示すような電源Sのための好適なインバータ300の詳細を図3に示す。上記実施形態の制御構造を、図2に概略的に示す。次に、電源Sの好適な実施形態について説明すると、上記電源の入力段は、三相ライン電流であり、電圧は、400ボルトACを超える。三相電源310は、ライン320にDC信号を生成するために整流器312によって整流され、上記DC信号は、一般的な力率補正段または回路330の入力側に流される。回路330は、好ましくは受動回路であり、一般的な技術に従って、インダクタ332およびキャパシタ334を含む。しかし、本発明は、ライン340、342の両端に第1のDCバスを形成するために、能動的な力率補正段330にも同様に適用できる。このDCバスは、ライン320におけるピーク電圧に概して等しい電圧を有する。ライン340、342における力率が補正されて予め調整されたDCバスは、高速スイッチングインバータ300に対する入力となる。入力段310に高電圧入力を供給することにより、高電圧、高電流および高出力がDCバス340、342において利用可能になり、その結果、インバータ300の極度に高容量のスイッチが、出力変圧器350に対して高電流を生成する。変圧器350の一次側352は、約40kHzのスイッチング周波数で交番する電流を有し、電流は、300アンペア程度の範囲である。図13〜図20に記載したような新規なモジュラーマトリックス変圧器を設けることにより、変圧器350の二次側が、3〜5倍、一次側からの電流を増加させる能力を有する。好適な実施形態において、一次側または一次巻線352と二次側または二次回路網360との間で増加した電流は、約3倍になる。すなわち、一次側352への300アンペアを超える入力電流は、巻線A1、A2およびA3として示され、かつ図13〜図20に示すモジュールを用いた二次回路網またはマトリックス変圧器360に約1,000アンペアを生成する。インバータ300におけるスイッチペアのデューティサイクルは、二次回路網360に、約50〜1,000アンペアの電流を可能にする。上記デューティサイクルは、5%〜100%とすることができる。変圧器350の出力は、正の電圧をリード380に、負の電圧をリード382に、および中心接地384を生成するために、整流器370によって整流される。従って、電源Sは、入力段310の高入力ライン電圧を、50アンペアから約1,000アンペアの範囲の電流で、ライン380、382において制御DC電圧に変換する。DCバス380、382上の電圧は、DCバス340、342上の電圧よりも実質的に小さい。実際には、この電圧は、100VDC以下である。一般的な溶接技術によれば、溶接は、出力リード380、382の両端の電極Eおよび被加工物Wによって直接実行できるが、本発明の好適な実施形態においては、上記電源は、DC溶接モードおよびAC溶接モードの両方で動作する能力を有する高電流容量電源である。この選択性を実現するために、本発明の一つの態様は、出力DCバス380、382によって駆動される一般的な極性スイッチ390を含む。極性スイッチ390は、正のDC、負のDCまたはACに設定されるという能力を有する。極性スイッチ390によって選択された動作の実際のモードに関係なく、本発明の好適な実施形態における波形は、オハイオ州クリーブランドのLincoln Electric Companyによって開発された波形技術によって制御される。この種の制御システムは、図2に概略的に示す構成要素を含み、電流測定分流器400は、一般的な波形ジェネレータ410からの第2の入力410aを有する誤差増幅器420に向けられた出力リード402を有する。従って、電源Sによって実行される溶接動作における波形および電流は、フィードバックライン402の実際の電流との比較に従ってジェネレータ410から出力された波形特性によって制御される。誤差増幅器420として概略的に示した比較器は、上記制御システムのソフトウェアコンポーネントであり、ライン422に信号を出力する。ライン422上の信号レベルは、インバータ300の様々なスイッチのペアのデューティサイクルを制御する。実際の制御は、発振器432によって駆動されるパルス幅変調器430を介している。出力434上の信号は、図3に最も良く示されているように、インバータ300のコントローラCに流される。当然、フィードバック制御は、溶接プロセスのアーク電圧、アーク電流またはアーク電力とすることができる。最も一般的なフィードバックパラメータであるフィードバック電流制御は、例示目的のみのために、本発明の好適な実施形態における波形技術制御を示すために開示している。コントローラC、パルス幅変調器430および波形ジェネレータ410は、DCバス340、342または電源Sの他のDC電圧に接続されたバックコンバータによって生成することができる制御電圧を要する。本発明の例示した実施形態においては、電源Sを制御するのに使用する回路基板のための制御電圧は、入力電源310の単相によって駆動される電源440によって生成される。電源440は、電源Sで使用される様々なコントローラを駆動するために、ライン442に、約15VDCの制御電圧を生成する。極性スイッチがACモードで動作した場合、1,000アンペアの大きさを有する電流が、正極と負極との間でシフトされる。特許文献10に開示されているように、極性スイッチ390は、ライン450の極性反転信号をインバータ300へ流すライン450を備えている。上記極性スイッチが極性を変化させた場合、上記インバータは、フェーズダウンされる。すなわち、この信号は、インバータ300の出力電流の大きさを低減し、上記レベルは、0〜200アンペアであってもよい。極性スイッチ350は、ライン380、382の電流が、実際の極性反転が実施される前に設定レベルに低減されるまで待つ。これは、図11および図12に示し、かつ従来のStavaの特許に詳細に説明されている一般的な技術であり、上記特許は、この出力コンセプトに注力しており、インバータ自体の詳細には注力していない。
【0013】
図3において、スイッチSW1、SW2は、ゲートライン460、462によって同時に作動する。これらのスイッチは、上記ライン上の信号のデューティサイクル関係を変化させるPWMによって制御される。同様に、スイッチSW3、SW4は、ゲートライン470、472によって同時に作動する。これは、スイッチングゲートが、パルス幅変調器430からのライン434の信号に従ってコントローラCから出力される全ブリッジ高速スイッチングインバータ網である。上記スイッチは、出力電流を約50アンペア〜1,000アンペアで制御するデューティサイクルによって約40kHzの周波数で作動する。キャパシタ480は、インバータ300のためのDCバスを構成するリード340、342の両端の電圧を安定化させる。本発明の記載した実施に従って電源Sを構成することにより、上記電源は、700アンペア以上の最大電流レベル、実際には、少なくとも約1,000アンペアのDCまたはACの溶接電流を出力することができる。このことは、高速スイッチングインバータおよび構成において、1980年代に存在した低負荷インバータを採用し、かつ上記インバータを、これまで得られなかった出力電流を有する高容量産業用電源に変換する進歩の前には不可能であった。
【0014】
図11および図12は、本発明の好適な実施形態のわずかな変更例を示し、アクティブスナバ500が、極性スイッチ390の各スイッチの両端に接続されている。これらのスナバは同一であるため、極性スイッチSW5の両端のスナバのみを図12に示している。一般的な実施によれば、ダイオード502は、キャパシタ504と直列に接続されている。上記キャパシタは、スイッチSW5の両端の電圧となる。上記キャパシタの両端のこの電圧は、スイッチ508を制御する検知器506によって検知される。キャパシタ504の電圧が所定のレベルに進むと、上記キャパシタは、スイッチ508が閉じられることにより、抵抗器510を介して充電される。図11において、パルス600、602は、極性スイッチ390のAC動作を表わすパルスである。極性が反転されることを示す信号がライン450に現れると、インバータ300は、ポイント610においてターンダウンまたはターンオフする。そして、電流は、所定の設定電流レベル612に達するまで減少する。この時、電流は、実際に反転する。出力電流が1,000アンペアである場合、電流612は、300アンペアであってもよい。すなわち、上記電流は、量fだけ減少し、スイッチングは、レベルeで表わされる大きさを有する電流でのみ発生する。約500〜600アンペア以上の溶接電流を生成する溶接電源がない場合、これは、特許文献10に開示されているシステムの実施である。緩衝回路500を用いることにより、電流反転レベル612は調節可能である。極性スイッチ390のスイッチの両端にスナバがない場合、上記反転レベルは低い。アクティブスナバ500を用いることにより、正のパルス600のスイッチングポイント電流612および負のパルス602のスイッチングポイント電流614は、より高いレベルに調節することができる。電源Sの出力は、変動する周波数で作動するため、極性スイッチ390のスイッチは、スナバを含んでもよく、上記スイッチは、アクティブスナバ回路500を含んでもよく、あるいは、上記スイッチは、スナバを用いなくてもよい。緩衝経路の選択は、電流反転が、極性スイッチ390によって実際に実行される反転電流ポイント612、614を決める。図11および図12の開示は、本発明に対しては本質的なものではないが、本発明を実施する際に用いられる。同様のことが、ジェネレータ410の多くの溶接波形にもいえる。図5〜図9は、波形ジェネレータ410を用いた波形技術によって生成することができる様々な種類のAC波形を示す。図5において、ACMIG波形700は、周期aを有し、かつ正の部分702および負の部分704を含む。部分702の振幅または大きさはxである。負の振幅はyである。この実施例においては、より高い負のアンペア数が波形700によって生成される。逆に、図6に示す波形710では、正の部分712の大きさxは、負の部分714の大きさよりも大きくなっている。上記正の部分および負の部分の各々は、波形ジェネレータ410の制御の下で波形技術を用いることにより、インバータ300の出力をパルス幅変調するという一般的な特徴に従って、複数の小さな電流パルスzによって形成される。上記電流がサイン波を繰り返す場合、このことは、本発明の好適な実施形態に用いたような波形技術を用いることによって実施することができる。このような動作を図7に示し、波形720は、正のサイン波部分722と負のサイン波部分724を有する。波形720の正の部分と負の部分で、スイッチ390によって極性を反転させる必要性により、上記波形は、通常、図11に示す電流反転ポイントである概して垂直な移行部分726、728を含む。AC溶接波形のデューティサイクルは、図8に示すように変化させることができ、波形730は、概して同様の振幅を有するが、異なるタイミングまたはデューティサイクルを有する正の部分732および負の部分734を含む。部分732は、時間長cを有し、部分734は、時間長dを有する。振幅およびデューティサイクルの変形例および波形の実際の特性の変形例は、すでに説明している。図9は、正の部分742、752および負の部分744、754を含む波形740、750を示す。波形740は低周波数f1を有し、波形750は、高周波数f2を有する。図5〜図9は、電源sに用いられる好適な制御構成によって実施することができる多くのAC波形の典型例である。DC溶接を実行する場合、波形特性は、一般的な制御技術に従って、波形ジェネレータ410によって制御することができる。図5〜図9および図11、12は、本発明の好適な実施形態の動作コンポーネントおよびわずかな変更例に関し、本発明の実施を限定するものではない。
【0015】
本発明は、各溶接動作における電流が、650アンペア以上の一般的な範囲の大きさを有するサブマージアーク溶接のような、2.2〜7.6ミリの径を有するワイヤ等の大きな径の電極ワイヤを用いた溶接に主に適用できる。電源Sは、溶接作業を実行するために、いくつかの電極が直列に使用されている場合、特に、重い構造に対する溶接の場合に、各電極に適用することができる。サブマージアーク溶接に本発明を用いるというコンセプトを図4および図10に概略的に示し、そこでは、基本的な電極は単一の電極Eである。図4において、被加工物800は、沈殿したフラックスベッド802と、電源Sの出力端子392に接続された電極Eとを用いて溶接されるパイプ接合部である。上記接合部は、パイプ工場において溶接されるシームまたは端部であってもよい。矢印804で示すように、被加工物800を電源に対して移動させることにより、電極Eは、上記移動する被加工物上に融解金属を沈殿させるように融解する。これが、一般的なサブマージアーク技術である。当然、パイプの溶接が、1つ以上の電極がACMIGプロセスとして使用される現場で行われる場合もある。電源Sは、約1,000アンペアの容量を有するため、本発明の本来の特徴を、図4に概略的に示し、そこでは、各電極は、約300アンペア以下の電流を必要とする。3つの電極810、812、814および電極Eが示されている。電源Sの強力な性質が、4つの電極を駆動することができ、各電極が、直列のインダクタ820、822、824および826を用いることにより約200アンペアの溶接電流を有することが分かっている。すなわち、1つの電極が被加工物800に対して短絡したとき、他の電極は、溶接を続ける。1つの電源によるいくつかの電極の動作は、電源Sの高電流容量によって可能である。この容量は、上記インダクタへのエネルギの蓄積を可能にするため、1つの短絡回路は、他の電極からの全電流を流出させない。図4におけるいくつかのインダクタの概略図は、高容量電源Sを有することの利点を説明するためのものである。電源Sは、好ましくは、単一の電極Eと共に使用されるが、複数電極溶接を、電源Sと共に実行することもできる。このことは、特に、ACまたはDCのMIG溶接にとって有用である。本発明は、パイプ工場での単一の電極Eおよびパイプ工場または現場での複数電極に対して用いられる。
【0016】
電源Sを用いたサブマージアーク溶接の方法を、図10のフローチャート900に示す。本発明の好適な方法によれば、400ボルトACを超える三相ライン電圧は、ブロック902によって示されるように整流される。ブロック904の整流出力は、ブロック904によって示されるように、有効または好ましくは無効力率のいずれかによって補正された力率である。力率補正回路のDC出力904は、ブロック906によって示すように、300アンペアを超える定格電流を有するAC信号に変換される。この高電流は、700アンペア以上のレベルに増加し、かつ通常、1,000アンペア程度の電流を有する二次AC信号に変換される。この目的を実現するために、変換比は、3:1〜4:1である。ブロック908に示すような変換動作からの高電流は、ACまたはDCのいずれかの溶接電流を発生させる極性スイッチに向けられるDCバスを形成するために、ブロック910によって示されるように整流される。この電流は、ブロック912によって示されるように、約1,000アンペアに達する大きさを有する。この高溶接電流は、図4に示すように、サブマージアーク電極Eに接続される。上記電極は、通常、2.3〜7.6ミリの範囲の径を有する。このことは、ブロック914によって表わされている。すなわち、本発明は、一般に、約2.5ミリ以上の径を有する電極を用いた溶接に適用できる。その後、上記高電流電源によって駆動される電極は、ブロック918で示すように粒状化したフラックス802と共に、ブロック916で示すように、上記被加工物に沿って移動される。このようにして、単一のインバータは、サブマージアーク溶接を実行するのに使用される。サブマージアーク溶接プロセスに必要な電流を生成するのに、2つの独立したインバータ電源を組み合わせる必要はない。
【0017】
従来の高速スイッチングインバータの、700アンペア以上の、および通常1,000アンペア程度の出力溶接電流を有する電源への変換は、図1に示すような電源Sの二次マトリックス360のモジュラー構造によって可能であった。すなわち、出力二次巻線は、図3に概略的に示すように、いくつかの部分A1、A2およびA3に分けられる。変圧器350の二次側は、図13〜図20に記載しかつ説明しているように、複数のモジュールAを用いて構成されている。いくつかのモジュールAは、一次巻線が、2つまたはそれ以上のモジュールAを介してインタリーブされているマトリックス変圧器に使用されている。上記モジュールの各々は同じであり、モジュールとして説明し、変圧器350の出力での使用のために組み合わせられているものとする。
【0018】
モジュールAは、コネクタ穴16を有する下方タブ14で終端する第1のチューブ12を有する第1のアセンブリ10によって形成されている。チューブ12の中央通路18は、モジュールAが第1のアセンブリ10のみを含む場合の一次巻線通路として使用される。説明するように、好適な実施形態は、通常、銅で形成され、かつ互いに入れ子式にはまっている2つの同軸導電性チューブを入れ子式にはめ込むことによって形成された2つのアセンブリを有する。第1のアセンブリ10の第2のチューブ20は、下方コネクタ穴24を有する端子タブ22を含み、かつ中央円筒型通路26を有する。チューブ12をチューブ20に対して固定するため、それらのチューブは、平行であり、かつ離間しており、第1のジャンパストラップ30が設けられている。ストラップ30の2つのスペース穴は、チューブ10、20の第1の端部を囲んでいるため、溶接接合部32は、上記チューブを上記穴に固着する。これまで説明したように、上記ジャンパストラップは、上記チューブの一方の端部にあり、上記チューブは、平行であり、かつそれぞれ突起タブ16、22を有する第2の端部によって離間されている。後に説明するように、アセンブリ10のみを使用することができるが、好適な実施形態は、チューブ12、20に入れ子式にはまり込むような、より小さな径を有するチューブを有する、アセンブリ10と本質的に同じ第2のアセンブリ40を含む同軸関係を伴う。アセンブリ40は、巻線Pを収容するコネクタ穴46および中央通路48を有する下方タブ44を有する第3のチューブ42を含む。第4のチューブ50は、上記第3および第4のチューブを、チューブ42、50の上部または第1の端部を囲む離間した開口部を備える第2のジャンパストラップ60によって接合することができるような、コネクタ穴54を有する下方タブ52を有する。上記チューブの周囲の溶接接合部62は、上記チューブを、ジャンパストラップ60の穴に接合する。この第2のアセンブリは、チューブ42、50の径が、実質的に、チューブ12、20の径よりも小さいことを除いて、上記第1のアセンブリと全く同様である。上記チューブの間の円筒形ギャップには、Nomexインシュレータスリーブまたはシリンダ70、72が設けられている。これらの円筒形インシュレータスリーブは、モジュールAの基本的な構成部材を形成する上記同軸チューブを電気的に絶縁する。プラスチックエンドキャップ80、82には、キャップ80内に垂直に離間した凹部84が、キャップ82内に2つの離間した凹部86が形成されている。図14には、凹部84、86のうちの一方のみが示されている。他方の凹部は、同様であり、説明する必要はない。モジュールAの左の同軸アセンブリの構造は、図14の断面図に示すように、右の同軸アセンブリの構造と同じである。図に示すように、キャップ凹部84、86の間には、複数のフェライト性のドーナツ状リングまたは磁気コア90〜98が設けられている。上記磁気コアをセンタリングするために、多数のシリコンウォッシャ100が設けられて、ヘッド112を有するボルト110が、上記エンドキャップを一緒にクランプする。この動作は、上記離間したリングを、モジュールAの同軸チューブの周囲に保持する。上記同軸チューブを有するアセンブリ10、40は、アーチ状一次巻線ガイド122を有する上方プラスチック突出部120によってモジュールA上に保持される。上記突出部は、垂直に離間したボルト124によってエンドプレート82上に保持される。突出部120は、横方向に離間したスロット126、128を含むため、上記突出部は、離間したジャンパストラップ30、60上に載ることにより、アセンブリ10、40の一方の縁部から中心位置に移動することができる。上記モジュールの中心にある場合、上記プラスチック突出部は、エンドキャップ82に対して締め付けられる。このことは、アセンブリ10、40をモジュールに、図14に示す位置に固定し、ストラップ30、60を離間させて保持する。上記同軸チューブは、それぞれエンドキャップ80、82内の円筒形凹部84、86と同心の穴80a、82aによって位置合わせされる。これらの2つの穴は、上記エンドキャップの各々の中に位置している。ウォッシャ100は、上記同軸チューブを、コアリング90〜98によって形成されるシリンダ内にセンタリングする。
【0019】
モジュールAは、インバータからの一次巻線によって駆動される高周波変圧器のための二次側として接続される。この電気的構成は、穴132、134および136を有する中心タップコネクタ130による直列の接続アセンブリ10、40を含む。リベット140は、穴132をタブ52と接続し、リベット142は、穴136をタブ14と接続する。中心タップ130を安定化するために、上記タップの端部は、図14に最も良く示すように、円筒形ウイング144、146を備える。図15に示すように、モジュールAは、ダイオード152、154を有する整流器150および出力端子156に接続されている。この構成により、上記単一の同軸モジュールは、一次巻線または巻線Pが、円筒形通路48、56を介して残すことができるようにするため、上記モジュールは、高周波変圧器の二次側である。これは、電気アーク溶接機に用いた場合の本発明の一般的な用途である。一次巻線Pおよび二次巻線12/20および42/50を示す上記実施形態の単純化した配線図を図16に示す。
【0020】
モジュールAの変更例によれば、図17に示すモジュールA’は、端子端部16、24を形成する導電チューブ12、20のみを有するチューブアセンブリ10のみを含む。これらの端子は、出力端子162、164を有する全波整流器160の両端に接続されている。チューブ12、20は、単一のチューブとすることができるが、本発明においては、インダクタンスを最少化するために2つのチューブが用いられ、そのため、上記インバータからの一次巻線は、開口部18、26を収容する中心巻線を介してジャンパ30の周囲に残される。
【0021】
図18の電極Eおよび被加工物Wで示される溶接機のための高周波変圧器を設けるために、複数のモジュールAが配置されている。電源Sに用いるこのマトリックス変圧器コンセプトを図18〜図20に概略的に示し、モジュールA1、A2およびA3は、図20に示す多数のモジュールアセンブリの一端部において、エンドストラップ190、192により、および他方の端部上にエンドストラップ194、196によって一緒に接合されている。ボルトは、図20に示すように、フレームをモジュールA1、A2およびA3の周囲に固定して、上記モジュールを位置合わせし、通路48、56の各々の組は、平行であり、かつ並んで位置合わせされている。図20に示すアセンブリの配線図を図18に示し、端子156は、端子170に並列に接続され、中心タップ148は、端子172に並列に接続されている。1つまたはそれ以上のインバータからの一次巻線を、図19の配線図に概略的に示す。インバータ200は、一次巻線P1にAC電流を生成する。同様に、インバータ202は、一次巻線P2にAC電流を生成する。これら2つの一次巻線は、モジュールA1、A2およびA3を介して共にインタリーブされる。実際には、2つの一次巻線が、図20のマトリックス変圧器に用いられているが、単一の巻線も、この種のマトリックス変圧器に使用される。図18〜図20は、図13〜図15の同軸の第2の変圧器モジュールAを、単一の二次巻線として、あるいは、マトリックス変圧器の並列二次巻線として使用できることを単に説明している。他の構成は、モジュールAを、インバータ300と極性スイッチ390との間の変圧器350のための二次巻線として使用する。モジュールAで開示したチューブ状同軸導電体は、個々のチューブの中心軸の周りの細長いリボンヘリックスによって置き換えることができる。そのようなヘリックス構造も、同心チューブ間に同軸関係をもたらす。「チューブ」という用語は、これまで述べてきたように、連続するチューブ導電体、あるいは、代替実施形態において使用されるヘリックスチューブを定義する。
【0022】
変圧器350の二次側360に上記の新規な同軸モジュールを用いることにより、スイッチSW1〜SW4の定格電流を、約300アンペアのレベルまで増加させることが可能である。従って、インバータ300の出力は、パルス幅変調器430によって指示されるフル状態で定格電流を有する。このことは、一次巻線352に350アンペアを生成する。上記同軸マトリックス変圧器の使用によって得られる3:1〜4:1の巻数比の場合、溶接のための出力電流は、約1,000アンペアに達する。このことは、従来の溶接業界においては不可能であり、一般的な低出力インバータをベースとした電源を、1,000アンペアのサブマージアーク溶接法の駆動が可能な全く新しいタイプの産業用電源に変換する。上記好適な実施形態は、デューティサイクルを調節するパルス幅変調器によって制御される。別法として、上記制御は、一部の溶接インバータで行われているように、位相変換を調節するパルス幅変調器によって行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の好適な実施形態を示すブロック図である。
【図2】本発明の好適な実施形態に用いる波形技術制御スキームの部分論理図である。
【図3】本発明の好適な実施形態に用いる高速スイッチングインバータ段と新規な出力変圧器の概略配線図である。
【図4】本発明を用いることの追加的な効果を説明する、サブマージアーク溶接に用いる本発明の概略図である。
【図5】本発明を用いることによって得ることのできる典型的な種類の電流パターンおよび特性の電流グラフである。
【図6】本発明を用いることによって得ることのできる典型的な種類の電流パターンおよび特性の電流グラフである。
【図7】本発明を用いることによって得ることのできる典型的な種類の電流パターンおよび特性の電流グラフである。
【図8】本発明を用いることによって得ることのできる典型的な種類の電流パターンおよび特性の電流グラフである。
【図9】本発明を用いることによって得ることのできる典型的な種類の電流パターンおよび特性の電流グラフである。
【図10】サブマージアーク溶接のために本発明の好適な実施形態を用いた方法のフローチャートである。
【図11】特許文献10に開示されている技術を用いた本発明の一つの態様を説明する電流グラフである。
【図12】図11で概略説明したような極性反転電流のレベルを調整する、本発明の好適な実施形態の変更例を示す配線図である。
【図13】本発明の好適な実施形態に用いるモジュールの斜視図である。
【図14】同心チューブ構造の部分断面の一方側を示す図13のモジュールの側面図である。
【図15】図13および図14で示したようなモジュールにおける電流を示す概略配線図である。
【図16】平行同心チューブモジュールの通路を介してインタリーブされた単一の一次巻線と、図13〜図15に示すモジュールの配線図である。
【図17】全波出力整流器を有する2つの平行チューブを用いる変更モジュールを示す、図15と同様の概略配線図である。
【図18】電気アーク溶接器用電源の電力変圧器の出力として接続された、図13〜図15に示すような3つのモジュールを示す配線図である。
【図19】図18に概略的に示され、かつ図13〜図15および図20に詳細に示されたモジュールにインタリーブされた一次巻線に用いられる高速スイッチングインバータの概略配線図である。
【図20】図13〜図15に開示したような複数のモジュールを用いて図18に示すように接続され、かつ図1の電源に使用可能な3つのモジュールの斜視図である。
【符号の説明】
【0024】
300 高速スイッチングインバータ
350 出力変圧器
352 一次側
360 二次回路網
370 整流器
390 極性スイッチ
410 波形ジェネレータ
430 パルス幅変調器
E 電極
W 被加工物
S 電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気アーク溶接のための電源であって、
前記電源が、出力変圧器の一次側を駆動する高速スイッチングインバータを含み、
前記出力変圧器が、250アンペア以上の電流を流す一次回路と、
700アンペア以上の最大電流の動作範囲の電流を流す二次回路と、
前記二次電流を整流して、溶接に適したDC電流にする出力整流器と、
を有する電気アーク溶接のための電源。
【請求項2】
前記二次回路が、多数の独立した巻線モジュールを含み、各モジュールが、所定の電流容量を有し、かつ総出力溶接電流が、前記独立した溶接モジュールの電流の合計であるように並列に接続されている請求項1に記載の電源。
【請求項3】
前記モジュールの各々が、
第1および第2の端部を有する第1の導電性チューブと、
第1および第2の端部を有する、平行で近接した第2の導電性チューブであって、前記チューブが、前記一次回路の1つまたはそれ以上の一次巻線を収容する細長い中央通路を有する第2の導電性チューブと、
前記チューブの各々を囲む磁気コアと、
前記チューブの前記第1の端部を接合するジャンパストラップと、
前記チューブの前記第2の端部にコネクタを形成した回路と、
を備える請求項2に記載の電源。
【請求項4】
前記磁気コアの各々が、それぞれ前記チューブの1つの周囲に配置され、複数のドーナツ状リングを備える請求項3に記載の電源。
【請求項5】
前記モジュールは、前記ジャンパストラップの上で、前記平行なチューブの前記中央通路間にガイド面を有する突出片を含む請求項3または4に記載の電源。
【請求項6】
第1および第2の端部を有する第3の導電性チューブと、第1および第2の端部を有する第4の導電性チューブと、前記第3および第4のチューブの前記第1の端部を前記第1および第2のチューブに、互いに平行関係になるように接合する第2のジャンパストラップとを備える導電性アセンブリであって、
前記第3および第4の平行なチューブが、それぞれ、前記第1および第2のチューブの前記通路内に入れ子状にはめ込まれており、かつ前記第1および第2のジャンパストラップを互いに離間させた状態で、前記一次回路の前記一次巻線を収容する細長い通路を有し、
導電性アセンブリは、
前記第1および第3のチューブ間の第1のチューブ状インシュレータと、
前記第2および第4のチューブ間の第2のチューブ状インシュレータと、
前記導電性アセンブリを前記第1および第2のチューブの一方の第2の端部に接合して、前記チューブを直列回路に形成する中央タップコネクタと、
を含む請求項3〜5の何れかに記載の電源。
【請求項7】
前記第1および第2のチューブの一方の前記第2の端部と、前記第3および第4のチューブの一方の一端部とが、整流器に接続されている請求項6に記載の電源。
【請求項8】
前記ジャンパストラップの間にインシュレータを含む請求項6に記載の電源。
【請求項9】
前記ジャンパストラップが中央タップである請求項3〜5のいずれか一項に記載の電源。
【請求項10】
前記モジュールの各々が、
チューブ状インシュレータによって絶縁された同心で、入れ子状にはめ込まれた導電性チューブの第1の同軸セットと、
チューブ状インシュレータによって絶縁された同心で、入れ子状にはめ込まれた導電性チューブの第2の同軸セットと、
前記セットの各々の周囲の磁気コアとからなり、
前記セットが、それぞれ、前記一次回路の少なくとも一つの一次巻線を収容する細長い中央通路と、前記セットの前記チューブを直列回路に接続する導電体とからなることを特徴とする請求項2に記載の電源。
【請求項11】
前記高速スイッチングインバータが、20kHzを超える周波数で作動する請求項1または2に記載の電源。
【請求項12】
約400VACを超える電圧を有する三相入力電源を含む請求項1または2に記載の電源。
【請求項13】
前記入力電源と前記インバータとの間に力率補正回路を含む請求項12に記載の電源。
【請求項14】
前記力率補正回路が受動回路である請求項13に記載の電源。
【請求項15】
前記インバータが、パルス幅変調器によって制御される請求項14に記載の電源。
【請求項16】
前記パルス幅変調器が、前記インバータの位相シフトを制御する請求項15に記載の電源。
【請求項17】
前記パルス幅変調器が、波形ジェネレータによって駆動される、請求項15又は16に記載の電源。
【請求項18】
前記インバータが、波形ジェネレータによって駆動されるパルス幅変調器によって制御される請求項12に記載の電源。
【請求項19】
前記パルス幅変調器が、前記インバータの位相シフトを制御する請求項18に記載の電源。
【請求項20】
前記パルス幅変調器が、波形ジェネレータによって駆動される請求項19に記載の電源。
【請求項21】
前記インバータが、パルス幅変調器によって制御される請求項1〜20に記載の電源。
【請求項22】
前記パルス幅変調器が、前記インバータの位相シフトを制御する請求項21に記載の電源。
【請求項23】
前記パルス幅変調器が、波形ジェネレータによって駆動される請求項21又は22に記載の電源。
【請求項24】
前記DC電圧が、DCモードおよび/またはACモードで作動する極性スイッチに向けられる請求項1〜23のいずれか一項に記載の電源。
【請求項25】
前記電源が、サブマージアーク電極と移動装置とに接続され、前記移動装置は、前記溶接される被加工物に対して前記電極を移動させる請求項1〜24のいずれか一項に記載の電源。
【請求項26】
前記極性スイッチが、AC溶接中に極性反転すべき場合に、極性反転信号を生成して、前記極性反転信号を前記インバータに接続する回路と、前記極性反転信号に応答して、前記変圧器の一次電流を低減する回路とを含む請求項24に記載の電源。
【請求項27】
被加工物上の経路に沿ったサブマージアーク溶接の方法であって、
(a)三相電源の400VACを超える電圧を整流してDC信号を得る工程と、
(b)前記DC信号を力率補正して、400VDC以上の電圧レベルをDCバスに出力する工程と、
(c)前記DCバス上の電圧を高速スイッチングによって、250アンペアを超える最大電流レベルを有するAC信号に変換する工程と、
(d)前記AC信号を、700アンペア以上の最大電流レベルを有する溶接電流に変換する工程と、
(e)前記溶接電流を、前記被加工物から離間したサブマージアーク電極に接続する工程と、
(f)前記電極を、前記被加工物に対して、及び前記経路に沿って移動させる工程とを含む方法。
【請求項28】
経路に沿った溶接の方法であって、
(a)三相電源の400VACを超える電圧を整流してDC信号を得る工程と、
(b)前記DC信号を力率補正して、400VDC以上の電圧レベルをDCバスに出力する工程と、
(c)前記DCバス上の電圧を高速スイッチングによって、250アンペアを超える最大電流レベルを有するAC信号に変換する工程と、
(d)前記AC信号を、700アンペア以上の最大電流レベルを有する溶接電流に変換する工程と、
(e)前記溶接電流を、2.3ミリ以上の径を有する電極に接続する工程と、
(f)前記電極を、前記経路に沿って移動させる工程とを含む方法。
【請求項29】
前記溶接電流が、DC電流およびAC電流の間で選択可能である請求項27又は28に記載の方法。
【請求項30】
前記溶接電流が、前記溶接電流の極性反転を伴うAC電流である請求項27又は28に記載の方法。
【請求項31】
極性反転前に、前記変換動作の前記電流レベルを低減する動作を含む請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記電極が、少なくとも2.3ミリの径を有する請求項27に記載の方法。
【請求項33】
前記(d)の変換する工程が、並列に接続された少なくとも3つの二次巻線を有する変圧器によって行われる27〜32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記(d)の変換する工程が、一方の極性の電流のための第1の一次巻線と、反対極性の電流のための第2の一次巻線とを有する変圧器によって行われる請求項27〜32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記一次巻線の電流が、前記一次巻線の反対側の一組のスイッチのデューティサイクルによって決まる請求項34に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2006−7313(P2006−7313A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−375746(P2004−375746)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(399011597)リンカーン グローバル インコーポレーテッド (24)
【Fターム(参考)】