説明

魚介類細菌性疾病の診断方法

【課題】
マイクロアレイを用いる魚介類細菌性疾病の診断方法の提供。
【解決手段】
特異的な塩基配列をプローブおよびターゲットDNAとして用いたマイクロアレイを作製し、これを用いて魚介類細菌性疾病を診断する方法。ハイブリダイゼーション条件をホルムアミド濃度20±3%(v/v)、ハイブリダイゼーション温度42±2℃に設定することで検出感度及び再現性を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚介類細菌性疾病の診断方法に関する。詳しくは、マイクロアレイを用いる魚介類細菌性疾病の診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
魚介類養殖業の発展に伴う生産量の増加と養殖対象種の多様化から、魚介類疾病が頻発かつ多様化している。魚病被害の中でも、細菌性疾病は種類が多く、また、商品サイズの大型魚にも被害が及ぼされることから大きな問題となっている。
【0003】
しかし、これらの魚介類細菌性疾病の診断法は、主に抗血清を用いた凝集試験、細菌用培地を用いた分離培養または各種性状試験等によるため診断精度や検出時間に問題がある(例えば、特許文献1参照)。また、一部の病原菌に対しては、迅速かつ精度の高い方法として、特異的な領域を増幅するPCR診断法が開発されてきた。しかし、PCR診断法は個々の細菌種にしか対応できないため病原菌を網羅的に探索することができないという問題がある。
【0004】
近年、細菌の検出方法の1つとして、マイクロアレイを用いる方法が注目されている。マイクロアレイを用いる方法とは、既知細菌の塩基配列をスポットしたアレイ基盤に、試料より抽出した塩基配列をハイブリダイゼーションさせて、試料中の細菌を検出する方法であり、主にヒト等の哺乳類の疾病の検出に利用されようとしている(例えば、非特許文献1参照)。このようなマイクロアレイによる細菌の検出は、高額であるうえに、プローブやハイブリダイゼーションの条件を細かく検討することで検出感度および再現性を高めるなどの技術的課題も多い。そのため、魚介類の病原菌の検出を対象としたマイクロアレイは未だ開発されておらず、魚介類細菌性疾病の診断を目的とする高検出感度、低運営費用および再現性の高いマイクロアレイは実用化されていない。
【特許文献1】特開2003−93094号公報
【非特許文献1】DNAマイクロアレイを用いた細菌の検出および同定 臨床検査 45巻 7号 2001年7月15日発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の状況に鑑み、本発明は、マイクロアレイを用いる魚介類細菌性疾病の診断方法の提供を第一の課題とする。さらに、本発明は、検出感度および再現性の高い魚介類細菌性疾病の診断方法の提供を第二の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、マイクロアレイの作製にあたり、種々の魚介類の病原菌から特異的な塩基配列をプローブとして選別し、さらにハイブリダイゼーション温度およびハイブリダイゼーション溶液に含まれるホルムアミド濃度を特定したハイブリダイゼーション条件を規定することで、魚介類の病原菌を短時間にかつ網羅的に検出することを可能とした。そして、この方法により検出感度および再現性の高い魚介類細菌性疾病の診断ができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は次の(1)〜(5)である。
(1)マイクロアレイを用いることを特徴とする魚介類細菌性疾病の診断方法。
(2)魚介類病原菌を検出することを特徴とする上記(1)に記載の魚介類細菌性疾病の 診断方法。
(3)プローブおよびターゲットDNAの塩基配列において、16SrRNA領域を用い ることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の魚介類細菌性疾病の診断方法。
(4)ハイブリダイゼーション溶液に含まれるホルムアミド濃度20±3%(v/v)、 ハイブリダイゼーション温度が42±2℃の条件下でターゲットDNAとマイクロアレ イをハイブリダイゼーションさせることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに 記載の魚介類細菌性疾病の診断方法。
(5)魚介類細菌性疾病の診断方法に用いる上記(1)〜(4)のいずれかに記載のマイ クロアレイ。
【発明の効果】
【0008】
本発明のマイクロアレイを用いる魚介類細菌性疾病の診断方法は、迅速かつ網羅的に細菌性の魚介類疾病を診断することを可能とする。この方法を用いた魚介類疾病の診断により、新たな魚病の病原菌を検出することも可能となる。従って、本発明は、魚介類細菌性疾病の早期発見、早期治療による魚病の蔓延防止にきわめて有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明で「プローブ」とは、細菌を確認するためのDNA、RNAの塩基配列をいう。本発明においては、診断の対象となる病原菌の16SrRNA領域の全塩基配列またはその部分領域の塩基配列をプローブに用いることができるが、特に変異領域を含む16SrRNAの部分領域を用いることが好ましい。さらに、近縁種の病原菌を判別する場合には、複数の変異領域におのおののプローブを設定することが望ましく、このようなプローブの設定によって病原菌の検出感度を高めることが可能となる。
【0010】
本発明では、上記のとおり、プローブとしては、16SrRNA領域の全体の塩基配列またはその部分領域の塩基配列を用いることができるが、中でも16SrRNAの変異領域中で、種特異性の高い塩基配列を用いることが特に好ましい。プローブとして用いるオリゴヌクレオチドは、塩基配列がわかれば分離培養が難しい特殊な細菌性疾病の病原菌についても使用することができ、このような塩基配列の情報をもとに、合成業者が合成したオリゴヌクレオチドを使用することもできる。プローブに用いるオリゴヌクレオチドの長さは特に規定はないが、50merがハイブリダイゼーションにおいても扱いやすく好ましい。このようなオリゴヌクレオチドをプローブに用いる場合、アレイには1.5ng(0.1pmol)を含むようにスポットすることで魚介類細菌性疾病の病原菌を十分に検出することができる。
【0011】
本発明で「マイクロアレイ」とは、DNAチップとも呼ばれ、ナイロン、ガラスやシリコン等の支持体上に数百〜数万種類のDNA、RNAの塩基配列や、その断片をプローブとして結合させたものをいう。アレイ基板の形状は、平板状、円柱状等の任意のものを用いることができ、形状にはとらわれない。本発明においては、初期投資および運用費用の面から、ナイロン膜の上に、目的とする疾病のプローブを載せたものを魚介類細菌性疾病の診断のためのアレイとして作製した。なお、ナイロン膜は核酸検出用の市販品を用いることができる。
【0012】
ナイロン膜を用いたマイクロアレイの作製においては、プローブのスポットにおいて中性液(TE緩衝液:ナカライテスク株式会社製等)またはアルカリ液を用いたスポット方法等を使用することができる。アルカリ液を用いた場合、希釈したオリゴヌクレオチド液とアルカリ溶液(0.4N 水酸化ナトリウム +1.5M 塩化ナトリウム)を混合させて利用するが、混合割合は任意に変化させてよい。この時アルカリ液に0.1% BPB(w/v DW:ブロモフェノールブルー 日本バイオラッドラボラトリー株式会社製等)溶液を青色がわかる程度に少量加えておくとスポットした場所がわかりやすくてよく、これは中性液(TE緩衝液)を用いた場合も同様である。スポットしたプローブは、ベーキングまたはUV照射によって、ナイロン膜と結合させることができる。スポットに用いたナイロン膜がプラスチャージの場合には、ベーキングの方がより好ましいとするプロトコールもある。ベーキングの場合は、例えば120℃、20−30分ベーキングを行うことにより、UV照射の場合は例えばUV(254nm、120mJ/cm2)を照射することにより、プローブをナイロン膜に結合させることができる。このようにして作製されたマイクロアレイは、室温で長期保存が可能であるため、必要に応じて使用することができる。
【0013】
本発明の説明において「抽出DNA」とは、診断の対象となる病魚、もしくは分離菌等の試料より得られたDNAを指す。これらのDNAは、病魚の臓器からまたは病原菌と思われる菌体から、熱水抽出または「ProteinaseKおよびPhenol−Chloroformを用いたフェノール・クロロホルム法」(フェノールによって試料中のたんぱく質を除去し、親水性のDNAを分離する方法であり、クロロホルムはフェノールの除去のために用いられるSambrook,J.,E.F.Fritsch and T.Maniatis(1989):Molecular cloning,2nd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York,pp.E.3−E.4.等の方法)もしくはDNeasy tissue kit(登録商標、製品番号69504:キアゲン社)、NucleoSpin tissue kit(登録商標、製品番号740952.50:日本ジェネティクス社)等の市販のDNA抽出キットのいずれかによって得ることができる。腎臓や脾臓等の魚体組織からDNAを得る場合は、フェノール・クロロホルム法または市販のキットによる抽出が好ましく、病原菌が分離培養されてコロニーを形成している場合は、特に簡易法として熱水抽出も有効である。
【0014】
本発明でいう「ターゲットDNA」とは、得られた抽出DNAを鋳型として、ほぼ全種類の真正細菌の16SrRNA領域の塩基配列を増幅することが可能なユニバーサルプライマーを用いたPCRによって、16SrRNAのほぼ全領域またはその部分領域を増幅することで得られたDNAを指す。本発明では、診断の検出感度および再現性を高めるために、得られた16SrRNAのほぼ全領域またはその部分領域の塩基配列を鋳型として、さらにユニバーサルプライマー用いたPCRを行い、部分領域を増幅することで、調製したターゲットDNAを使用してもよい。
【0015】
PCRにおいて用いるユニバーサルプライマーは、EubB、EubA、1500Rなどであり、以下の2つの文献に紹介されている。Mauel,M.J.,S.J.Giovannoni and J.L.Fryer(1996)Development of Polymerase Chain Reaction Assays for Detection, and Differentiation of Piscirikettsia Salmonis.International Reserch.No.26.p189−195、Shotaro Izumi and Hisatsugu Wakabayashi(1997)Use of PCR to Detect Cytophaga psychrophila from Apparently Healthy Juvenile Ayu and Coho Salmon Eggs.Fish Pathology.No.32(3).p169−173.さらに、E360rなどの独自に設計したユニバーサルプライマーを用いることができ、この場合には、なるべく多くの菌種の16SrRNA領域のアライメントを作成し、できる限り共通である塩基配列を選択することが望ましい。これらは合成業者(プロリゴジャパン株式会社など)によって合成したユニバーサルプライマーを使用してもよい。ユニバーサルプライマーは、魚介類細菌性疾病の診断にあたり、目的とする病原菌を検出するために、その塩基配列を増幅できればよく、特に真正細菌16SrRNAユニバーサルであることが、網羅的な検索において望ましい。
【0016】
得られたターゲットDNAは、標識することで検出が可能となる。本発明でいう「標識」とは、分光光度的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、光学的または化学的手段によって検出可能な任意の組成物を用いてターゲットDNAをラベル化することを指す。本発明では、ターゲットDNAの標識にあたり、有用な標識物質としてジゴキシゲニン(以下、DIGと略す)を用いることができる。さらに、蛍光色素(例えば、Cy3、Cy5、緑色蛍光タンパク質等)、放射性物質(例えば、3H、125I、35S、14Cまたは32P)、酵素(例えば、西洋わさびパーオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ等)等の標識物質を用いることができる。
【0017】
「ハイブリダイゼーション」とは、アレイ上のプローブが、ターゲットDNAまたはその一部分と相補的に結合し、二本鎖を形成することを指す。本発明では、結合の条件は、魚介類細菌性疾病の種類や、プローブに含まれる塩基配列等によって調整できるが、一度に複数の魚介類細菌性疾病の病原菌について網羅的に検索するためには検出感度、再現性がともに高い特異的な条件を設定することが好ましい。例えば、プローブまたはターゲットとしてDNAを用いた場合に、複数の病原菌を一度に検出するためには、プローブに用いるオリゴヌクレオチドDNAの多様なTm値(任意のオリゴヌクレオチドの50%がその相補鎖とハイブリッドを形成する温度)を考慮することが好ましい。この場合、ハイブリダイゼーション温度と室温の差が少なく、さらに市販の多くのインキュベーターで処理できる30〜70℃がよく、特に42℃±2℃が好ましい。温度の調整にあたっては、ハイブリダイゼーション溶液中のホルムアミド濃度を用いることができ、その濃度はこの場合0〜50%がよく、特に20%±3%(v/v)が好ましい。
【0018】
さらに検出感度、再現性を高めるために、ハイブリダイゼーションの前にプレハイブリダイゼーションを行い、マイクロアレイとハイブリダイゼーション溶液をなじませ、非特異的なハイブリダイゼーションの防止を行うことが望ましい。プレハイブリダイゼーションの時間は、10分間以上、マイクロアレイにハイブリダイゼーション溶液がよくなじむまで行うことが好ましく、時間の長さにはとらわれない。プレハイブリダイゼーション後のハイブリダイゼーションに用いるターゲットDNAの濃度は、バックグランドが高くなりすぎない程度に、特異的なハイブリダイゼーションが行われる濃度であればよく、DNA濃度としては50〜100ng/1ml(ハイブリダイゼーション溶液)を目安にすることができるが、この濃度から1桁ほど前後してもよい。また、ハイブリダイゼーションを行う時間は、30分ないし一晩の間行うことができるが、発光したスポットを十分に検出できる時間であればよく、概ね2時間を目安にするとよい。
【0019】
本発明の細菌性疾病診断の対象となる魚介類としては、コイ、ウナギ、アユ、および、ヤマメ、アマゴ、ヒメマス、ニジマス、ギンザケなどのサケ科魚類等の淡水魚類や、ブリ、ヒラマサ、カンパチなどのブリ類およびマダイ、ヒラメ、マコガレイ、シマアジ、イサキ、アワビ等の海産魚介類を挙げることができる。本発明で診断可能な魚介類細菌性疾病の一例を表1に示すが、本発明はこれに限定されず、診断の対象に応じて疾病の病原菌由来のプローブをマイクロアレイに追加して組み合わせることで、どのような魚介類細菌性疾病も診断することができる。
【0020】
表1は、本発明者らが2年間にわたって、本発明の実施例1の方法を用いて試験した結果をまとめたものである。
【表1】

【0021】
以下、本発明の試験例および実施例を示すが、本発明はこれらによって制限されない。
【実施例1】
【0022】
<マイクロアレイの作製方法>
(1)プローブとして用いるオリゴヌクレオチドDNAの調製
魚介類の各種細菌性疾病における既知病原菌について、DNAシークエンサー(製品型式 ABI PRISM377:アプライドバイオシステム社)を用いて16SrRNA領域の塩基配列を解読するかまたは遺伝子データーベース(DDBJ、EMBL、GenBank)より集め、得られた真正細菌の16SrRNAをアライメントし、特異的な塩基配列を示す変異領域を探索し、プローブとして用いる塩基配列を設定した。塩基配列は、得られた様々な真生細菌の16SrRNAをアライメントし、変異領域を探索することで設定した。設定にあたり、16SrRNAのアライメントによって、少しでも多くの変異領域を含むように塩基配列を選択した。そして、これらの16SrRNA変異領域に相補的な合成オリゴヌクレオチドDNA(50mer)を合成業者(プロリゴジャパン株式会社)に依頼して合成し、プローブとして用いた。
【0023】
(2)プローブのナイロン膜へのスポット
合成業者にて調製済みの100μM(100pmol/μl、1.5pg/μl)オリゴDNA溶液を1/1,000にTE緩衝液で希釈した希釈オリゴヌクレオチド液1μlとアルカリ溶液(0.4N 水酸化ナトリウム+1.5M 塩化ナトリウム)または中性液(TE)4μlを混ぜてプローブ溶液とした。スポットに用いるプローブごとにプローブ溶液を調製し、1μlずつナイロン膜(プラスチャージ膜)(Hybond−N、登録商標:アマシャムバイオサイエンス株式会社)にスポットした。この時それぞれのプローブが16SrRNAの変異領域に相補的なオリゴヌクレオチドを1.5ng含むようにナイロン膜上にスポットした。スポット後ナイロン膜を120℃、20−30分でドライングオーブン(製品型式 MOV−212S :サンヨー電気株式会社)を用いてベーキングを行い、または120mJ/cm3でクロスリンカー(製造型式CL−1000 :UVP社)を用いてUVクロスリンクを行い、ナイロン膜にプローブを結合させて、魚介類細菌性疾病の診断に利用可能なマイクロアレイを作製した。作製されたマイクロアレイは室温で長期保存可能であり、必要に応じて使用できた。
【実施例2】
【0024】
<マイクロアレイを用いた魚介類細菌性疾病の診断方法>
(1)ターゲットDNAの調製
A.DNA抽出
診断に供する魚介類の腎臓を試料としてフェノール・クロロホルム法を行った。試料100mgを55℃で2時間静置した後、フェノール・クロロホルムを加え、10分間穏やかに攪拌した。攪拌後、室温にて遠心分離(15,000rpm、15分間)を行い、水層を新たなチューブへ移し、これと等量のエタノールを加えて軽く攪拌した後、室温にて遠心分離(15,000rpm、10分間)を行って上清を取り除き、ペレットのみにした。ペレットに70%エタノールを入れて攪拌した後、室温にて遠心分離(15,000rpm、5分間)を行って上清を取り除き、残ったペレットを中性液(TE緩衝液)200μlに溶解することで抽出DNAを得た。また、診断に供する魚介類の病原菌の分離菌を試料として熱水抽出を行った。分離菌のコロニーをピペットで突いて、100μlのTE緩衝液に懸濁させた後、100℃で10分間温めて菌体を壊した。室温にて遠心分離(15,000rpm、5分間)して、得られた上清を新たなチューブへ移し、抽出DNAとして用いた。
【0025】
B.PCR(1回目)
上記Aの方法により得た抽出DNAを鋳型として、配列表配列番号1(EubB)および配列表配列番号2(EubA)または配列表配列番号3(1500R)に記載のユニバーサルプライマーを用いて、i−cycler(登録商標:バイオラッド社)にてPCRを行った。PCR反応液(Takara Taq、登録商標:タカラバイオ株式会社)の組成およびPCR反応条件を表2に示す。1回目のPCRで16SrRNAのほぼ全領域について増幅を行った。
【0026】
【表2】

【0027】
C.PCR(2回目)およびターゲットDNAの標識
1回目のPCR後、検出感度および再現性を高めるために、さらに2回目のPCRを行い、同時に標識を行った。2回目のPCRは得られた16SrRNA領域を鋳型として配列表配列番号1および配列表配列番号4(E360r)に記載のユニバーサルプライマーを用いて1回目と同じPCR反応条件で行った。この時PCR DIGラベリングミックス(登録商標、製品番号1585550:ロシュダイアグノスティクス株式会社)を用いて5’領域の約300bpの増幅と同時にDIG標識も行った。PCR反応液の組成を表3に示す。こうして増幅および標識された16SrRNAの部分領域(5’領域の約300bp)をターゲットDNAとして病原菌の検出に用いた。
【0028】
【表3】

【0029】
(2)病原菌の検出
実施例1で作製したマイクロアレイと、上記(1)で調製したターゲットDNAをプレハイブリダイゼーションした後、ハイブリダイゼーションさせ、DIG検出法により、病原菌の検出を行った。
【0030】
A.プレハイブリダイゼーション
実施例1で作製したマイクロアレイをプラスチックバッグ(製品番号.S−1021:コスモバイオ社)に入れ、マイクロアレイに十分に行き渡る量のハイブリダイゼーション溶液(5×SSC (0.02%(w/v)SSC:ナカライテスク株式会会社)、0.1%(w/v)N−ラウロイルサルコシンナトリウム(ナカライテクス株式会社)、1%(w/v)ブロック試薬(製造番号1096176:ロッシュダイアグノスティックス株式会社)、20%(v/v)ホルムアミド(ナカライテクス株式会社)を入れてヒートシーラー(製造型式 NL201J:石崎電気製作所)にてシールをし、インキュベーター(製造型式 MMS−1:東京理科器械株式会社)にて42℃で10分間以上、マイクロアレイにハイブリダイゼーション溶液がよくなじむまでプレハイブリダイゼーションを行った。
【0031】
B.ハイブリダイゼーション
ハイブリダイゼーションに用いるターゲットDNAの濃度がハイブリダイゼーション溶液1mlあたり1μl(50〜100ng)となるように調製を行った。調製したハイブリダイゼーション溶液がプレハイブリダイゼーション後のマイクロアレイに十分に行き渡るように加えて、ヒートシーラーにてシールをし、インキュベーターにて42℃、2時間のハイブリダイゼーション条件でハイブリダイゼーションを行った。この「ハイブリダイゼーション溶液に含まれるホルムアミドの濃度が20%(v/v)であって、ハイブリダイゼーション温度が42℃、反応時間は2時間」というハイブリダイゼーション条件によって、バックグランドが少なく、一度のハイブリダイゼーションにおいて、様々な病原菌を検出することが可能な、適度なハイブリダイゼーションを行うことができた。
【0032】
C.マイクロアレイの洗浄
ハイブリダイゼーション終了後のマイクロアレイをプラスチックバッグから取り出し、洗浄を行った。マイクロアレイを洗浄溶液A(2×SSC、0.1%SDS(ナカライテクス株式会社)に入れて10分間洗浄を行った後、新しい洗浄溶液Aに取り替えて繰り返し洗浄を行った。洗浄溶液Aによる洗浄は合計3回行った。さらにマイクロアレイを洗浄溶液B(0.1×SSC、0.1%SDS)に入れて10分間洗浄を行った後、新しい洗浄溶液Bに取り替えて繰り返し洗浄を行った。洗浄溶液Bによる洗浄は合計2回行った。
【0033】
D.検出反応
洗浄後のマイクロアレイをさらに0.3%(w/v)Tween20添加buffer1(0.1M マレイン酸(ナカライテクス株式会社、0.15M 塩化ナトリウム(pH7.5、20℃))で5分間洗浄し、さらにbuffer2(1%(W/V)ブロック試薬/buffer1)に30分間浸した後、検出反応を行った。検出反応はbuffer2に抗DIG抗体(製品番号.No.1333089:ロシュダイアグノスティックス株式会社)を1/5,000濃度になるように添加した検出反応溶液抗にマイクロアレイを30分間浸して行った。検出反応終了後、マイクロアレイを取り出し、buffer1で10分間洗浄を行った後、新しいbuffer1に取り替えて繰り返し洗浄を行った。buffer1による洗浄は合計3回行った。さらに、マイクロアレイをbuffer3(0.1M Tris−HCl、0.1M 塩化ナトリウム、50mM 塩化マグネシウム(pH9.5、20℃))に入れて5分間洗浄を行った。
【0034】
E.病原菌の検出
検出用試薬としてCDP−star(登録商標、製造番号RPN3682:アマシャムバイオサイエンス株式会社)をマイクロアレイに行き渡る量(約10μl/cm2)をラップに滴下し、そのCDP−star液上にプローブがスポットされている面を下にしてマイクロアレイを載せた。マイクロアレイを上下に移動して、マイクロアレイ全体に検出用試薬を十分に行き渡らせた後、乾かないようにして数分間放置した。その後、マイクロアレイをプローブがスポットされている面を上にしてポラロイドのホルダーに載せ、ラップでくるみ、ポラロイドフィルム(ポラベン3200B、登録商標:日本ポラロイド株式会社)に20分間露光した。露光が不十分である場合は、さらに数分間露光を行い、マイクロアレイ上で発光したスポットの位置を検出した。
【0035】
(3)疾病診断
実施例2で検出したマイクロアレイ上の発光したスポットの位置より、プローブとしてスポットされている病原菌を調べ、魚介類細菌性疾病を診断した。
【0036】
(4)疾病診断の補足
複数の位置に発光したスポットが検出された場合は、発光強度の強いスポットの方が該当する菌であるかまたはその近縁の菌であると考え診断を行った。なお、診断結果の補足としてプローブに含まれる塩基配列のアライメントを行った。また、ターゲットDNAの16SrRNA領域の塩基配列を決定し、系統解析を行った。
【実施例3】
【0037】
<ヒラメのエドワジエラ症の診断>
(1)マイクロアレイの作製
マイクロアレイの作製において、表1の魚介類の各種疾病における既知病原菌を検出するため、実施例1の方法により調製したプローブより、ヒラメのエドワジエラ症の診断に用いるプローブを選択した。そして、これらのプローブを実施例2の方法でナイロン膜にスポットし、ヒラメのエドワジエラ症の診断に利用可能なマイクロアレイを作製した。選択したプローブの違いにより、マイクロアレイAおよびマイクロアレイBの2種類のマイクロアレイを作製した。これらのマイクロアレイAおよびマイクロアレイBにおけるプローブの由来となる病原菌およびスポット位置をそれぞれ図1および図2に示す。
【0038】
(2)ターゲットDNAの調製
ヒラメのエドワジエラ症原因細菌であるEdwardsiella tardaに感染したヒラメの腎臓を試料としてフェノール・クロロホルム法を用いてDNAを抽出し、この抽出DNAを鋳型として配列表配列番号1、配列表配列番号2に記載のプライマーを用いて実施例2に記載のPCR反応条件にて16SrRNAのほぼ全領域を増幅した。得られた16SrRNA領域を鋳型として配列表配列番号1、配列表配列番号4に記載のプライマーを用いて実施例2に記載のPCR反応条件にて2回目のPCRを行い、5’領域の約300bpの増幅と同時にDIG標識も行った。こうして増幅および標識されたDNAはターゲットDNAとして病原菌の検出に用いた。
【0039】
(3)病原菌の検出
上記(1)で作製したマイクロアレイAおよびBと、上記(2)で調製したターゲットDNAをそれぞれ実施例2のハイブリダイゼーション方法およびハイブリダイゼーション条件でハイブリダイゼーションさせ、DIG検出法により、病原菌の検出を行った。ターゲットDNAは50〜100ng/mlとなるようにハイブリダイゼーション溶液に加え、ハイブリダイゼーション溶液におけるホルムアミド濃度20%(v/v)として、42℃で2時間ハイブリダイゼーションを行うことで、アレイ上に発光したスポットを確認した。マイクロアレイA・B上における発光したスポットの位置を図1および図2に示す。
【0040】
(4)疾病診断
アレイ上の発光したスポットは、マイクロアレイAではスポット位置1のEdwardsiella tarda E22 250r由来のプローブに強い発光が確認された。また、マイクロアレイBではスポット位置5のEdwardsiella tarda E22 250r由来のプローブに強く発光したが、これはマイクロアレイAで発光が確認されたプローブと同じプローブであった。さらに、マイクロアレイBでは、スポット位置28のYersinia ruckeri由来のプローブにも弱い発光が確認されたが、Edwardsiella tarda E22 250r由来のプローブに対する発光が明らかに強いことから、エドワジエラ症の病原菌を特異的に検出していると考えられる。
【0041】
(5)結果
上記(4)より、本実施例で作製したマイクロアレイBによって、実験感染魚の疾病がヒラメのエドワジエラ症であることが診断された。従って、本発明の診断方法は、魚介類細菌性疾病の診断において検出感度、再現性ともに十分であることが確認された。
【実施例4】
【0042】
<イサキの不明病の診断>
(1)診断対象の概要
長崎県での原因不明で死亡したイサキを試料とした。イサキの外部には腹部体表の出血と腹鰭を基点とした潰瘍、鰓の出血が観察された。解剖により体表出血部の腹腔内の出血、肝臓の中心性脂肪変性、脾臓の結節(一部膿瘍状)が観察された。BHI(ブレインハーインフュージョン)培地(ディフコ社)と7H11(ミドルブルック7H11)寒天培地(BBL社)で、外部潰瘍部と脳、腎臓、脾臓から病原菌の分離を試みたところ、外部潰瘍部からビブリオ様の菌が分離された。
【0043】
(2)マイクロアレイの作製
マイクロアレイの作製において、表1の魚介類の各種疾病における既知病原菌を検出するため、実施例1の方法により調製したプローブより、イサキ不明病の診断に用いるプローブを選択した。そして、これらのプローブを実施例2の方法でナイロン膜にスポットし、イサキの不明病の診断に利用可能なマイクロアレイCを作製した。これらのマイクロアレイCにおけるプローブの由来となる病原菌およびスポット位置を図3に示す。
【0044】
(3)ターゲットDNAの調製
不明病で死亡したイサキの腎臓からフェノール・クロロホルム法を用いてDNAを抽出し、この抽出DNAを鋳型として配列表配列番号1、配列表配列番号2に記載のプライマーを用いて実施例2に記載のPCR反応条件にて16SrRNAのほぼ全領域を増幅した。得られた16SrRNA領域を鋳型として配列表配列番号1、配列表配列番号4に記載のプライマーを用いて実施例2に記載のPCR反応条件にて2回目のPCRを行い、5’領域の約300bpの増幅と同時にDIG標識も行った。こうして増幅および標識されたDNAは、ターゲットDNAとして病原菌の検出に用いた。
【0045】
(4)病原菌の検出
上記(1)で作製したマイクロアレイCと、上記(2)で調製したターゲットDNAを実施例2のハイブリダイゼーション方法およびハイブリダイゼーション条件でハイブリダイゼーションさせ、DIG検出法により、病原菌の検出を行った。ターゲットDNAは50〜100ng/mlとなるようにハイブリダイゼーション溶液に加え、ハイブリダイゼーション溶液におけるホルムアミド濃度20%(v/v)として、42℃で2時間ハイブリダイゼーションを行うことで、アレイ上に発光したスポットを確認した。マイクロアレイC上における発光したスポットの位置を図3に示す。
【0046】
(5)疾病診断
マイクロアレイC上の発光したスポットは、スポット位置15のPseudomonas anguilliseptica 250r由来のプローブに強い発光が確認された。さらに、スポット位置1のEdwardsiella tarda E22 250r由来のプローブ、スポット位置14のPseudomonas plecoglossicida 250r由来のプローブおよびスポット位置23のPhotobacterium damselae 250r由来のプローブにも弱い発光が確認されたが、Pseudomonas anguilliseptica 250r由来のプローブに対する発光が明らかに強いことから、病原菌はPseudomonas anguillisepticaに近縁と推定された。
【0047】
(6)診断結果からの所見
上記(5)より、本実施例で作製したマイクロアレイCによって、イサキの病原菌がPseudomonas anguillisepticaに類縁であることが推定された。そして、近接隣接法によって得られたブートストラップ確率(%)よりイサキの病原菌はPseudomonas anguillisepticaであることが推定された。さらに長崎県でシマアジから分離した分離菌について、マイクロアレイCを用いてハイブリダイゼーションを行ったところ、図4に示すように、イサキの不明病と同様のスポットパターンが見られたことから、この分離菌より決定した塩基配列と、マイクロアレイCで確認されたPseudomonas anguilliseptica 250r由来のプローブについて近接隣接法を行ったところ、得られたブートストラップ確率(%)よりシマアジの分離菌もPseudomonas anguillisepticaであることが推定された。これらの系統樹を図5に示す。
【試験例1】
【0048】
<ハイブリダイゼーション条件の検討>
(1)ハイブリダイゼーション温度の検討
目的とする病原菌を網羅的に検出するために、マイクロアレイにスポットしたプローブのTm値のばらつきによるプローブごとの検出感度の差をなくすために、ハイブリダイゼーション温度を検討した。一般にハイブリダイゼーション温度は60℃前後と高温であるが、ハイブリダイゼーション温度と室温との差を少なくし、ハイブリダイゼーション条件の一定性を維持することが望ましいと考えた。そこで、ハイブリダイゼーション溶液にホルムアミドを添加することによりハイブリダイゼーション温度を下げ、最適なハイブリダイゼーション条件を検討した。
【0049】
ハイブリダイゼーションにおいて、ハイブリダイゼーション温度を42℃として、ホルムアミド濃度0%、20%、30%、50%(v/v)におけるハイブリダイゼーション条件を検討した。ハイブリダイゼーションにあたりオリゴヌクレオチド1(Tm値88℃)、オリゴヌクレオチド2(Tm値89℃)、オリゴヌクレオチド3(Tm値68℃)、オリゴヌクレオチド4(Tm値72℃)の4つのオリゴヌクレオチドからなるプローブがスポットされたマイクロアレイを用い、オリゴヌクレオチド1およびオリゴヌクレオチド2に相補的な配列を有するターゲットDNAを用いた。ハイブリダイゼーションによって発光したスポットの位置を図6に示した。
【0050】
図6に示すように、ハイブリダイゼーション温度が42℃の場合、20%(v/v)ホルムアミド濃度の時にTm値88℃のオリゴヌクレオチド1とTm値68℃のオリゴヌクレオチド3の両方が検出でき、非特異反応も見られなかった。従って、ハイブリダイゼーション温度が42℃で、ハイブリダイゼーション溶液に含まれるホルムアミド濃度が20
%(v/v)の場合が、マイクロアレイによる魚介類の細菌性疾病を診断するためのハイブリダイゼーション条件として最も適していることが確認された。
【0051】
(2)ハイブリダイゼーション時間の検討
ハイブリダイゼーションは一昼夜反応させるのが最も一般的であるが、検出するターゲットDNAとアレイ上のDNAの濃度は任意に設定できることから、反応時間の短縮が可能であると考えられた。そこでハイブリダイゼーションにおいて、ハイブリダイゼーション時間を、一晩、2時間、1時間、30分として検討した。ハイブリダイゼーションにあたり検査の対象となる病原菌のオリゴヌクレオチド1、オリゴヌクレオチド2、オリゴヌクレオチド3、オリゴヌクレオチド4、オリゴヌクレオチド5、オリゴヌクレオチド6の6つのオリゴヌクレオチドからなるプローブがスポットされたマイクロアレイを用い、オリゴヌクレオチド1に相補的な領域を有するターゲットDNAを用いた。ハイブリダイゼーションによって発光したスポットの位置を図7に示す。
【0052】
図7に示すように、反応時間が1時間から2時間で十分な検出シグナルが得られることが確認された。従って、ハイブリダイゼーションは2時間でよいと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上、詳しく説明したとおり、本発明の魚介類細菌性疾病の診断方法は、迅速かつ網羅的に魚介類細菌性疾病を診断することを可能とする。また、本発明の方法を用い、作製したマイクロアレイは、キットとして利用することができ、より簡便な魚介類細菌性疾病の診断を可能とする。従って、本発明によって、魚介類細菌性疾病の早期発見、早期治療による魚病の蔓延防止が可能となり、消費者への安全・安心な養殖生産物の提供に役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】ヒラメのエドワジエラ症診断用マイクロアレイA上のスポット位置および検出結果を示す(実施例3)。
【図2】ヒラメのエドワジエラ症診断用マイクロアレイB上のスポット位置および検出結果を示す(実施例3)。
【図3】イサキ不明病診断用マイクロアレイC上のスポット位置および検出結果を示す(実施例4)。
【図4】イサキ不明病診断用マイクロアレイC上のクロスハイブリダイゼーションにおけるスポット位置および検出結果を示す(実施例4)。
【図5】イサキ不明病病原菌とシマアジ分離菌の系統関係を示した系統樹である(実施例4)。
【図6】ハイブリダイゼーション温度(42℃)におけるハイブリダイゼーションの結果を示す(試験例1)。
【図7】ハイブリダイゼーション時間の違いにおけるハイブリダイゼーションの結果を示す(試験例1)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロアレイを用いることを特徴とする魚介類細菌性疾病の診断方法。
【請求項2】
魚介類病原菌を検出することを特徴とする請求項1に記載の魚介類細菌性疾病の診断方法。
【請求項3】
プローブおよびターゲットDNAの塩基配列において、16SrRNA領域を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の魚介類細菌性疾病の診断方法。
【請求項4】
ハイブリダイゼーション溶液に含まれるホルムアミド濃度が20±3%(v/v)、ハイブリダイゼーション温度が42±2℃の条件下でターゲットDNAとマイクロアレイをハイブリダイゼーションさせることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の魚介類細菌性疾病の診断方法。
【請求項5】
魚介類細菌性疾病の診断方法に用いる請求項1〜4のいずれかに記載のマイクロアレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−101792(P2006−101792A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−294420(P2004−294420)
【出願日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成16年9月19日に平成16年度「日本魚病学会」大会にて発表
【出願人】(501168814)独立行政法人水産総合研究センター (103)
【Fターム(参考)】