説明

魚製品の鮮度評価方法

魚産物の鮮度評価方法は、魚産物から少量のサンプルを切断し、細胞浸透性の色素及び細胞不透性の色素のうちの少なくとも一方を含有する有効量の着色試薬を前記サンプルに加え、前記サンプルを予め定められた時間インキュベートし、及び前記サンプルから放出される蛍光に基づいて魚産物の鮮度を判別することによる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本特許出願は、2004年3月12日に受理された仮出願60/552,778、及び2004年3月15日に受理された仮出願60/553,059の優先権を主張し、その開示内容全体が、ここで、参照により明示的に組み入れられる。
【0002】
本発明は、蛋白質素材の製品の品質の程度の表示としての、蛋白質素材の製品の鮮度、或いは劣化または腐敗の程度の検出及び判定に関する。
【背景技術】
【0003】
魚の鮮度または腐敗の程度の従来方法は、官能評価(外観、触感及び臭い)を含む。この方法は、主観的であり、疑問の余地がある。
【0004】
米国特許5,744,321は、タラ、ナマズ、冬カレイのような魚のバクテリアによる劣化の程度を迅速に判定する比色分析方法を開示し、魚の身をバクテリアの培養液と撹拌し、抽出部をイオン化されたテトラゾリウム色素塩のような水溶性の色原体と反応させることにより、テトラゾリウム色素塩が、魚のバクテリアとの還元反応を受けて、水に不要なフォルマザン色素または着色した反応生成物を生成する。次に、界面活性剤が加えられて、形成されたフォルマザン色素を可溶化し、リーシスを生成し、及び反応を停止することを助け、そして、脂肪族のアルコール溶媒が加えられて、形成されたフォルマザン色素または着色した反応生成物を溶解して、さらなる経時破壊及び暗化を防止する。溶解された反応生成物は、魚試料のバクテリア密度に応じて彩度が増大され、低い、中間の、及び高いバクテリア密度を表す基準色チャートとの画像比較により比色分析で判定可能な色を有する。この方法は、多数の工程及び試薬を含むので、複雑である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そのため、魚提供者、魚料理店、魚受け入れ会社、及び食品提供会社等のために、魚製品の鮮度を判定する、正確で、有利な、客観的方法を提供する必要がなお存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
魚産物から少量のサンプルを切断し、
細胞浸透性の色素及び細胞不透性の蛍光色素のうちの少なくとも一方を有する有効量の着色試薬を前記サンプルに加え、
前記着色試薬が加えられた前記サンプルを予め定められた時間インキュベートし、
以下のパラメータ、前記インキュベートされたサンプルから放出される第1の蛍光の彩度、前記インキュベートされたサンプルから放出される第2の蛍光の彩度、前記サンプルの上部から開始して前記サンプルの前記第1の蛍光が検出される最も離れた点までの第1の距離、及び前記サンプルの上部から開始して前記サンプルの前記第2の蛍光が検出される最も離れた点までの第2の距離のうちの少なくとも1つに基づいて、前記魚産物の鮮度を判定する、魚産物の鮮度評価方法を提供する。
【0007】
細胞質間のエステラーゼ活性の存在下、細胞浸透性の色素は、第1の蛍光を発する複合物質に転化する。細胞不透性の蛍光色素は、生細胞の膜を通過しないが、損なわれた細胞膜に侵入し、第2の蛍光を発することができる。着色試薬が細胞浸透性の色素及び細胞不透性の色素の両方を有する場合、第1の蛍光は、第2の蛍光から識別されなければならず、すなわち、これらは、異なる蛍光色を発する。細胞浸透性の色素の実施例は、カルセインAM及びC12−レザズリンを含む。細胞不透性の色素の実施例は、EthD−1ホモダイマ、Sytox(登録商標)緑色色素、及びYoYo−1色素を含む。
【0008】
さらに、カルセインAM及びC12−レザズリンのような細胞浸透性の色素は、トリパン青色素と組み合わせて使用可能である。トリパン青色素の着色は、死細胞の膜不全性に依存する。トリパン青色素は、通常、損傷されない細胞膜により排除される。通常、細胞が活性でない場合、細胞はトリパン青色素に浸透可能である。このため、トリパン青色素は、細胞浸透性の色素と連結して死細胞の蛍光を消すことができる。トリパン青の添加後の蛍光の低下は、死細胞の尺度であり得る。
【0009】
本発明の1つの実施形態に対応して、判定ステップは、少なくとも1つのパラメータを鮮度と当該少なくとも1つのパラメータの間の先に成立している関係と照合することにより実行可能である。
【0010】
第1の蛍光及び第2の蛍光の強度は、計数装置により定量されることが可能であり、先に成立している関係は、第1の蛍光及び第2の蛍光の定量された彩度に基づいて、定めることができる。
【0011】
本発明の他の実施形態に対応して、第1の蛍光及び第2の蛍光は、光学装置により画像で記録可能であり、鮮度と、第1の蛍光及び第2の蛍光の少なくとも1つの彩度との先に成立している関係は、基準色チャートで図示可能である。
【0012】
好ましくは、着色試薬は、有効量のカルセインAMと有効量のEthD−1ホモダイマとを含む。このとき、第1の産物の鮮度は、サンプルから放出される赤色(EthD−1ホモダイマ)の蛍光及び緑色(カルセイン)の蛍光に基づいて、判定可能である。
【0013】
本発明のさらなる他の実施形態に対応して、着色試薬に含有される細胞浸透性の蛍光色素は、Tryan青色素である。このとき、第1の産物の鮮度は、サンプルに現れる青色に基づいて判定可能である。好ましくは、鮮度は、より新鮮な魚の身がより短い浸透距離に対応するサンプルにTryan青色素が浸透する距離に基づいて判定される。
【0014】
本発明の他の目的及び特徴は、添付の図に関して考慮される以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかし、図面は、単に図解の目的のために構成され、本発明の範囲を規定するものではなく、これについて、参照が添付のクレームになされるべきであることが理解されるべきである。さらに、図面は、共通の縮尺を有するように必ずしも描かれておらず、他に示されない限り、図面は、単に、ここで説明する構成及び手順を概念的に図解することを予定されていることが、理解されるべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
実験材料及び手順
サーモンフィレ
良好な条件で冷凍された2包装のサーモンフィレが、裂かれて8つの部分にされる。それぞれの部分は、約60gであり、なお冷凍されている。4つの部分は、1℃(±0.5℃)の連続した温度の冷室に配置され、他の4つの部分は、4℃に保持された基準の実験室冷蔵庫に配置される。すべてのこれらの部分は、採取されないときには、酸化及び脱水素化を防止するために、再度密閉可能な袋に、保存される。
【0016】
採取方法
サーモンフィレのサンプルは、毎日収集され、変化を観測される。正確な測定のために、一定のサンプルの寸法が、重要である。サンプリングのための器具が、魚からサンプルをくり抜くために作成される。本実験に使用される器具は、4.8mmの外形、2.1mmの内径、及び90mmの長さを有する透明のLexan(登録商標)(ポリカーボネート樹脂)筒である。筒の一端は、傾斜されて切断面を形成する(図1参照)。魚産物の身内部に挿入されると、身の一部が、筒の底部開口に押し込まれる。そして、滑らかに捩って持ち上げることにより、サンプルが除去されて筒内に残存する。2mmの外径を有するアプリケータが、サンプルを滑らかに抜き取っていかなる空気空間も除去するために使用可能である。好ましくは、筒は、食品安全の水準を有するように構成され、光学的に透明である。また、他のアクリルまたはポリカーボネート材料も、好適であり得る。このため、そのような器具により得られるサンプルは、概略2.1mm×約5乃至25mmの寸法を有する。この採取は、
・小さい、再現可能なサンプル寸法
・基準サンプル寸法
・清浄な標識付け容器
・高価でなく、廃棄可能で、毒性のない器具
・破壊不能
・筒を通して見ることが可能なサンプル
を含むいくつかの利点を与える。
【0017】
着色、インキュベート
小容量の着色溶液は、筒の上部開口に加えられ、適切な時間、例えば約10分の間、インキュベートされることができる。典型的には、着色溶液の容量は、1μLから1mLまでの範囲に存し得る。インキュベートされる時間は、1分から1時間の範囲に存し得る。
【0018】
着色溶液は、カルセインAM、及びエチジウム ホモダイマ−1を含有する溶液、例えばMolecular Probesの活性/不活性生育性/細胞障害キット(L3224)から作成される溶液であり得る。L3224キットは、2つのプローブ、カルセインAM及びエチジウム ホモダイマ−1を有する。カルセインAMは、緑色蛍光物質(カルセイン)に加水分解される蛍光エステラーゼ基質である。このため、緑色蛍光は、エステラーゼ活性と、エステラーゼ物質を保持する損なわれていない膜とを有する細胞の尺度である。緑色蛍光は、細胞が、エステラーゼ活性の不特定の水準に基づいて活性であることを意味する。エチジウウム ホモダイマ 1は、死細胞の損なわれた膜を通過することのみ可能である、高親和性、赤色蛍光核酸着色剤である。それらが赤色である場合、細胞は「活性のないもの」である。カルセインAMの濃度は、0.1乃至50μMの範囲に存することが可能である。EthD−1ホモダイマの濃度は、0.1乃至100μMの範囲に存する。
【0019】
活性/不活性生育性/細胞障害分析は、いくつかの利点を提供する。
・簡略性
試薬は同時にサンプルに加えられ、次にサンプルは、引き続く融解中、または融解時点に、3乃至10分間保温される。いかなる洗浄工程も、分析前に必要とはされない。
・特定性及び信頼性
緑色蛍光細胞は活性であり、赤色細胞は不活性である。
・多用途性
生育性/細胞障害分析は、星状細胞のような着性細胞、非着性細胞、及び一定の組織と適合可能である。結果物は、標準のフルオレセイン ロングパスフィルタセットを用いた蛍光顕微鏡技術、及び流体細胞測定または蛍光測定により、分析可能である。2つのプローブの蛍光放射は、容易に分解されて識別可能である。単一または多波長のLEDは、360−520nmからの励起光の範囲を提供するために、使用可能である。他の照明源は、蛍光管、混合ガス管、手に保持されるUV源、投射ランプ、及びレーザを含む。
・単純な計量性
各細胞の測定は、2つの標本群のみを生成し、共着色される細胞は、殆ど存在しない。組織は、「中間」段階の着色に関する混合された標本群を有することが可能である。
【0020】
また、着色溶液は、トリパン青溶液であり得る。トリパン青は、細胞の多用途性を判定する比色計量の着色剤として使用される。トリパン青溶液の濃度は、0.1乃至10mMの範囲に存することが可能である。細胞生物学的実験では、トリパン青は、生育可能な細胞を生育不能な細胞から識別するために使用される最も知られた着色剤である。生育不能な細胞のみが、色素を吸収して、青色を呈し、そしてまた、非対称に見える可能性がある。逆に、活性で健全な細胞は、丸みがあり、青色着色色素を吸収することなく屈折するように見える。しかし、この着色剤の使用は、応時性がある。生育可能な細胞は、トリパン青を時間に沿って吸収し、計数及び生育可能性結果に影響を及ぼす可能性がある。生育可能な細胞が着色剤を吸収することを防止するために、トリパン青で着色されたサンプルは、希釈可能である。例えば、トリパン青で着色されたサンプルは、2%グルタルアルデヒドの0.1M燐酸塩緩衝液(pH7.4)に浸積することにより定着されて、後の観測のために保存可能である。持続不能な吸収を最小にするため、採取は、好ましくは5乃至30分以内に完了される。さらに、トリパン青は、細胞蛋白質より漿液蛋白質について高い親和力を有する。高い漿液条件の細胞について、バックグランドは、非常に暗色である可能性がある。この場合、好ましくは、細胞は、組織から分離される。
【0021】
像観察及び記録
反射蛍光像は、保存時間及び温度の結果として着色パターンに発生するいかなる変化も書類に取られることができる。
【0022】
処理を定量及び/又は自動にするため、CCDやCMOS装置のような画像捕捉、記憶、及び/又は解析機能を有する画像装置が、使用可能である。これらの装置は、デジタルカメラを有するUVP BioDocIt system;望遠写真レンズ付Nikon CoolPix 995デジタルカメラ;明視野、DIC、位相及び蛍光光学部品を装備されたNikon Eclipse E800顕微鏡写真機;青色及び緑色LED光並びにCCD検出系を含む。
【0023】
本検討では、サンプルは、4X、0.13n.a.蛍光平面対物レンズを用いて観察される。デジタル画像は、液体冷却されたCoolCam、3チップカラーCCDカメラ(Cool Camera Company,Decatur,GA30033)を用いて収集され、Image Pro バージョン4.5ソフトウェア(Media Cybernetics,Silver Springs,MD 20910)を用いてペンティアムIV 3.0GHzパーソナルコンピュータに取り込まれる。デジタル画像は、将来の印刷及びImageJまたはImagePro Plusを用いた分析のために記憶される。Adobe Photoshop及びMicrosoft PowerPointアプリケーションが、表示のために使用される。
【0024】
デジタル画像は、定量方法が、着色サンプルの色を細胞生育性または「鮮度」の関数として比較するために、得ることができるように、収集される。着色サンプルの色及びサンプルへの着色剤の浸透深さは、サンプルの鮮度を判定するときの重要な基準である。
【0025】
結果
活性/不活性蛍光分析
着色溶液は、5.0μMカルセインAM及び10.0μMEthD−1ホモダイマを含有する。着色溶液は、Molecular Probesの活性/不活性生育性/細胞障害キット(L3224)から調製される。着色溶液の約10乃至30μLが、サンプル(2.1mm×約2乃至10mm)の上部に加えられる。サンプルの鮮度は、概略5乃至10分インキュベートされた後、蛍光放射の赤及び緑の色変化の比に基づいて、判定可能である。蛍光像は、490±40nmの波長でサンプルを励起して525±20nmで収集されることにより取得される。
【0026】
図2及び図3は、同一の温度(1℃)で異なる日の間保存されたサーモンサンプルの分析結果を示す。図2に示す画像は、着色剤添加に続く5分に撮られた。緑色は、エステラーゼ活性(鮮度)を表す。赤色は、損傷した膜を有する細胞の核を表す。着色剤が上部から底部に移動する距離は、保存日に関連付けられるように見える。図3に示す像は、サンプルの着色後の30分に撮られた。
【0027】
以下の表は、1℃で保存され、24時間毎に採取された冷凍サーモンサンプルについての蛍光鮮度活性/不活性分析(5.0μMカルセインAM及び10.0μMのEthD−1ホモダイマ−1)の一覧データを示す。図4は、魚産物の鮮度と緑色蛍光及び赤色蛍光の移動距離の比の間の相関を示す。
【表1】

【0028】
図5乃至8は、同一の温度で異なる日の間保存された他の魚類の蛍光分析結果を示す。図5は、新鮮なニジマス(Oncorhynchus mykiss)サンプルの蛍光結果を示す。図6は、4℃で数日の間保存されたニジマスの蛍光結果を示す。図6において、上部の画像は、サンプルの緑色及び赤色情報両者を表し、中央の画像は、緑色情報からのグレースケール画像であり、下部の画像は、赤色情報からのグレースケール画像である。図5及び図6のいずれの画像も、ニジマスサンプルへの着色剤の添加に続く30分に撮られた。着色剤は、筒の上部(画像の左側)の開口に加えられた。
【0029】
図7のグラフは、4℃で7日保存される魚から毎日収集された3つの身(全12サンプル)からのニジマスサンプルの分析結果に基づいている。サンプルは、着色剤添加に続く30分に撮像される。このグラフは、同一の日に撮られたサンプルについて緑色及び赤色蛍光の移動距離の平均の比を示す。
【0030】
図8は、ドーバーソール(Microstomus pacificus)の鮮度と緑色及び赤色蛍光の移動距離の比との関係を示す。図7のニジマスサンプルがドーバーソール(Microstomus pacificus)と置き換えられることを除いて、図8に関する処理は、図7の処理と同一である。
【0031】
図9に示す経時画像は、色素取り込みが時間とともに変化することを示す。使用サンプルは、1℃で5日の間保存したドーバーソール(Microstomus pacificus)サンプルである。
【0032】
図10は、プレート上に配置されたサーモンサンプルの蛍光画像を示す。
【0033】
トリパン青測定
概略10乃至30μLトリパン青着色試薬(0.5%w/v)が、サンプル(2.1mm×2〜10mm)の上部へ加えられる。トリパン青色素のサンプルへの浸透深さが測定される。インキュベートする時間は、10分である。サンプルは、1℃で保存されており、室温で標識される。透過/反射光が、サンプルを観察するために使用される。
【0034】
図11及び図12は、サーモンサンプルの鮮度のトリパン青色素がサンプル内に浸透した距離との関係を示す。図12に示すように、1の日は、色素の浸透距離とサンプルの全体長さとの比が特有であり、2の日及び3の日は、類似し、4から8の日は、類似する。1の日は、残部と非常に相違し、2の日及び3の日は、4の日乃至8の日と非常に相違する。
【0035】
下表は、トリパン青分析の一覧データを記載する。
【表2】

【0036】
本発明は、実施例のみとして表された上述の実施形態により限定されないが、種々の方法で、添付の特許請求項により定められる保護の範囲内で、変形可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】実施例で使用される採取筒を示す。
【図2】1℃で保存され、異なる保存日にて収集されたサーモンサンプルの、活性/不活性蛍光分析を使用した蛍光画像を示す。
【図3】1℃で保存され、1保存日及び8保存日にて収集されたサーモンサンプルの、活性/不活性蛍光分析を使用した蛍光画像を示す。
【図4】サーモンサンプルの鮮度と、サンプルの上部から開始して緑色蛍光が検出されるサンプルの最も離れた点までの距離とサンプルの上部から開始して赤色蛍光が検出されるサンプルの最も離れた点までの距離の比との相関を示す。
【図5】生きているニジマスから収集されたサンプルの蛍光画像を示す。
【図6】4℃で7日間保存されたニジマスの魚産物から収集されたサンプルの蛍光画像を示す。
【図7】ニジマスサンプルの鮮度と、サンプルの上部から開始して緑色蛍光が検出されるサンプルの最も離れた点までの距離とサンプルの上部から開始して赤色蛍光が検出されるサンプルの最も離れた点までの距離の比と間の関係を示す。
【図8】ドーバーソールサンプルの鮮度と、サンプルの上部から開始して緑色蛍光が検出されるサンプルの最も離れた点までの距離とサンプルの上部から開始して赤色蛍光が検出されるサンプルの最も離れた点までの距離の比と間の関係を示す。
【図9】活性/不活性蛍光分析を使用することによる、1℃で5日間保存した16の微小のドーバーソールサンプルに色素を加えてからの経時画像を示す。
【図10】1℃で保存され、1保存日及び5保存日で収集されたサーモンサンプルの蛍光画像を示す。
【図11】1℃で保存され、1保存日、4保存日及び7保存日で収集されたサーモンサンプルへのトリパン青着色色素の、トリパン青分析を使用した浸透深さを示す。
【図12】トリパン青色素が、1℃の温度での、1乃至8保存日までに収集されたサーモンサンプルに浸透する距離を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚産物から少量のサンプルを切断し、
細胞浸透性の色素及び細胞不透性の色素のうちの少なくとも一方を含む有効量の着色試薬を前記サンプルへ加え、前記細胞浸透性の色素は、細胞間エステラーゼ活性の存在時、第1の蛍光を発する複合物質に転化し、前記細胞不透性の色素は、損傷された細胞膜に浸透して第2の蛍光を発することが可能であり、前記第1の蛍光及び前記第2の蛍光は、前記指示薬が前記細胞浸透性の色素と前記細胞不透性の色素の両方を含む場合、互いに識別可能であり、
前記着色試薬が加えられた前記サンプルを予め定められた時間インキュベートし、
前記インキュベートされたサンプルから放出される第1の蛍光の彩度、前記インキュベートされたサンプルから放出される第2の蛍光の彩度、前記サンプルの上部から開始して前記サンプルの前記第1の蛍光が検出される最も離れた点までの第1の距離、及び前記サンプルの上部から開始して前記サンプルの前記第2の蛍光が検出される最も離れた点までの第2の距離から構成されるグループから選択される少なくとも1つのパラメータに基づいて、前記魚産物の鮮度を判定する、
ことを備える魚産物の評価方法。
【請求項2】
前記判定ステップは、前記少なくとも1つのパラメータを前記鮮度と前記少なくとも1つのパラメータの間の先に成立している関係と照合することにより実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の蛍光及び前記第2の蛍光の前記彩度が、デジタル装置により定量され、前記先に成立している関係は、前記第1の蛍光及び前記第2の蛍光の前記定量した彩度に基づいて定められる、請求項3に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の蛍光及び前記第2の蛍光の前記彩度は、光学装置により画像で記録され、前記鮮度と前記第1の蛍光及び前記第2の蛍光の前記彩度の間の前記先に成立している関係は、基準色チャートにおいて表示される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記着色試薬は、前記細胞浸透性の色素と前記細胞不透性の色素の両方を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
魚産物の前記鮮度の判定は、前記第1の蛍光及び前記第2の蛍光の前記彩度の比を基準にされる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
魚産物の前記鮮度の判定は、前記第1の距離と前記第2の距離の比を基準にされる、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記細胞浸透性の色素がカルセインAMであり、前記細胞不透性の色素がEthD−1ホモダイマ−1であり、従って、前記第1の蛍光が緑色であり、前記第2の蛍光が赤色である、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記細胞浸透性の色素がC12−レザズリンであり、前記細胞不透性の色素がSytox(登録商標)緑色色素であり、従って、前記第1の蛍光が赤色であり、前記第2の蛍光が緑色である、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記細胞浸透性の色素は、カルセインAM、C12−レザズリンから構成されるグループから選択され、前記細胞不透性の色素は、EthD−1ホモダイマ、YoYo−1、Sytox(登録商標)緑色色素が存するグループから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記着色試薬は、前記着色試薬が細胞浸透性の色素を含むとき、さらに、トリパン青色素を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
魚産物から少量のサンプルを切断し、
有効量のカルセインAMと有効量のEthD−1ホモダイマを有する着色試薬を前記サンプルに加え、
前記着色試薬が加えられた前記サンプルを予め定められた時間インキュベートし、
前記インキュベートされたサンプルから放出される緑色蛍光の彩度、前記サンプルの上部から開始して前記サンプルの前記緑色蛍光が検出される最も離れた点までの第1の距離の少なくとも1つと、前記インキュベートされたサンプルから放出される赤色蛍光の彩度、前記サンプルの上部から開始して前記サンプルの前記赤色蛍光が検出される最も離れた点までの第2の距離の少なくとも1つとに基づいて、前記魚産物の鮮度を判定する、
ことを備える魚産物の鮮度評価方法。
【請求項13】
前記鮮度の判定は、前記緑色蛍光及び前記赤色蛍光の前記彩度の比を基準にされる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記鮮度の判定は、前記第1の距離と前記第2の距離の比を基準にされる、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記鮮度の判定は、前記緑色蛍光及び前記赤色蛍光の前記彩度を前記鮮度と前記緑色蛍光及び前記赤色蛍光の前記彩度の先に成立している関係と照合することにより実行される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記緑色蛍光及び前記赤色蛍光の前記彩度は、デジタル装置により定量され、前記先に成立している関係は、前記緑色蛍光及び前記赤色蛍光の前記定量した彩度に基づいて定められる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記緑色蛍光及び前記赤色蛍光の前記彩度は、光学装置により画像で記録され、前記鮮度と前記緑色蛍光及び前記赤色蛍光の前記彩度の間の前記先に成立している関係は、基準色チャートにおいて表示される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記着色試薬は、0.1−50μMのカルセインAMを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記着色試薬は、0.1−100μMのEthD−1ホモダイマを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記着色試薬の前記量は、概略1μL乃至1mLである、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
前記インキュベートするステップの前記予め定められた時間は、概略1乃至45分である、請求項12に記載の方法。
【請求項22】
前記インキュベートするステップの前記予め定められた時間は、概略5乃至10分であり、前記保温ステップは、室温で実行される、請求項12に記載の方法。
【請求項23】
前記魚産物は、サーモン、ニジマス、ドーバーソール、及びカラスガレイから構成されるグループから選択される、ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項24】
魚産物から少量のサンプルを切断し、
有効量のトリパン青色素を含む着色試薬を前記サンプルに加え、
前記着色剤が加えられた前記サンプルを予め定められた時間インキュベートし、
前記インキュベートされたサンプルの上部から開始して前記青色の蛍光が検出される前記インキュベートされたサンプルの最も離れた点までの浸透距離に基づいて、前記魚産物の鮮度を判定する、
ことを備える魚産物の鮮度評価方法。
【請求項25】
前記鮮度の前記判定は、前記浸透距離を前記鮮度と前記浸透距離の間の先に成立している関係と照合することにより、実行される、ことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記着色試薬は、0.1−10ミリモルの前記トリパン青色素を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記着色試薬の前記量は、1μL乃至1mLである、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記インキュベーションするステップの前記予め定められた期間の時間は、概略2分までからまたは45分である、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記インキュベーションするステップの前記予め定められた期間の時間は、概略10乃至30分であり、前記保温は室温で実行される、請求項24に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2008−500810(P2008−500810A)
【公表日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−503094(P2007−503094)
【出願日】平成17年3月11日(2005.3.11)
【国際出願番号】PCT/US2005/008371
【国際公開番号】WO2005/089254
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ペンティアム
【出願人】(506309870)ウィンターラブ リミテッド (2)
【Fターム(参考)】