説明

魚類及び甲殻類における使用のための成長刺激ポリペプチド

本発明は、ティラピア成長ホルモンを超える活性を示すポリペプチドに関する。前記ポリペプチドは、魚類及び甲殻類の仔魚の成長、生存率及び品質を刺激することができる。また、前記ポリペプチドは病原体に対する生物の防御を亢進させ、水生生物の免疫系に関連するパラメーターを刺激する。前記ポリペプチドをコードする遺伝子を、細胞外タンパク質を得るために使用できるピキア・パストリス発現ベクターにクローニングした。前記ポリペプチドを含有する培養上清を浸漬浴を使用して又は飼料補充剤として水生生物に投与した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水生生物工学の分野に関し、より具体的にはティラピア成長ホルモンと比較してより高い活性を有するポリペプチド、並びに浸漬により又は飼料添加物として処置した仔魚の生存率及び品質を増大させるための前記ポリペプチドの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
水生生物の成長を促進する作用物質の探索は、いくつかの研究所において注目の的になっている。成長ホルモン(GH)は本研究の主題である。
【0003】
哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類及び魚類におけるGHの存在が報告されている。GH又はソマトトロピンは視床下部ペプチドへの応答で脳下垂体前葉の成長ホルモン分泌細胞によって合成及び分泌されるポリペプチドである(Barinaga M.ら(1985)成長ホルモン放出及び遺伝子転写への成長ホルモン放出因子の独立効果(Independent effects of growth hormone releasing factor on growth hormone release and gene transcription)Nature 314:279−281)。GHは、魚類の成長制御、発達、代謝、摂食及び浸透圧調整において必要である(Donaldson E.M.ら、(1979)成長のホルモンによる増強(Hormonal enhancement of growth)Fish Physiol.8:455−597)。さらに、その新陳代謝効果は身体の出生後の成長にわたり、魚類においては免疫系細胞にも効果を有する。GHはT細胞の増殖を促進する。その抗原受容体活性及びリンパ球の成熟における共刺激因子としての役割は十分に立証されている(Harris H.及びBird D.J.(1997)in vitroでのニジマス(オンコリンカス・マイキス(Oncorhynchus mykiss))リンパ球の増殖へのα−MSH及びMCHの効果(The effects of α−MSH and MCH on the proliferations of rainbow trout(Oncorhynchus mykiss)lymphocytes in vitro.)In:Kawashima,S.,Kikuyama,S.(編),Advances in Comparative Endocrinology.Monduzzi Editoire,Bologn pp.1023−1026a)。
【0004】
IL−2、IL−4、IL−5、顆粒球コロニー刺激因子、マクロファージ顆粒球刺激因子及びインターフェロンなどの多数のサイトカインとの構造的類似性は非常に興味深い(Sprang S.R.及びBazan J.F.(1993)サイトカインの構造分類学及び受容体結合機構(Cytokine structural taxonomy and mechanisms of receptor engagement)Curr.Opin.Struc.Biol.3:815−827)。
【0005】
哺乳類において、GHは食作用、胸腺の成熟及び分化(Ortega E.ら、(1996)マクロファージのin vitro食作用能におけるプロラクチンの効果(Effects of prolactin on the in vitro phagocytic capacity of macrophges)Comp.Immunol.Immunopathol.61:389−393)及びT細胞産生細胞のアポトーシス(Murphy W.J.及びLongo D.L.(2000)免疫制御治療薬としての成長ホルモン(Growth hormone as an immunodulating therapeutic agent)Immunol.Today 121:211−213)を刺激する。同様に、ヨーロッパ・ヘダイ(Sparus aurata)及びヘダイ(Sparus sarba)におけるリンパ球生成及び食作用刺激因子としてのGHの効果と共にサケ(O.keta)における白血球の有糸分裂誘発(Sakai M.ら、(1996)外因性成長ホルモンを注射投与したニジマス、オンコリンカス・マイキス(Oncorhyncus mykiss)由来血清の溶血活性の増大(Increase in Haemolytic activity of serum from rainbow trout Oncorhyncus mykiss injected with exogenous growth hormone)Fish Shellfish Immunol.6:615−617)、食作用、NK細胞の活性化、抗体産生、オンコリンカス・マイキス(Oncorhynchus mykiss)における補体溶血活性(Yada T.ら、(1999)下垂体を切除したニジマス、オンコリンカス・マイキス(Oncorhyncus mykiss)の血漿免疫グロブリンMレベルへのプロラクチン及び成長ホルモンの効果(Effects of prolactin and growth hormone on plasma immunoglobulin M levels of hipophysectomized rainbow trout,Oncorhyncus mykiss)Gen.Comp.Endocrinol.115:46−52)並びにニジマス(オンコリンカス・マイキス(Oncorhynchus mykiss))及びディケントラルクス・ラブラクス(Dicentrarchus labrax)における白血球呼吸性バースト(Munoz P.ら、(1998)成長ホルモン及び寄生状態による地中海シーバス(ディケントラルクス・ラブラクスL(Dicentrarchus labrax L.))食細胞の呼吸バースト活性の制御(Modulation of the respiratory burst activity of Mediterranean sea bass(Dicentrarchus labrax L.)phagocytes by growth hormone and parasitic status)Fish Shellfish Immunol.8:25−36)が研究されている。
【0006】
頭部、腎臓の白血球の食作用活性の増大及び血漿リゾチーム濃度の増大と相関関係にある甲状腺ホルモンのレベルの減少を伴うブラウン・トラウト(Salmo trutta)の淡水から海水への移動の結果としての血漿GHレベルの増大が示されている。いくつかの研究はリンパ球において特異的なGH受容体及びIGF受容体の発現を示した(Tapson V.F.ら、(1988)インスリン様成長因子Iに対するヒトTリンパ球受容体のin vitroでの構造及び機能の性質決定(Structural and functional characterization of the human T lymphocyte receptor for insulin−like growth factor I in vitro)Clin,C.Invest.82:950−957)。T細胞増殖におけるIGF−Iのin vitroでの効果は示されている。B細胞、免疫グロブリン及び形質細胞についてのIGF−Iの誘導効果は十分に周知である。B細胞はGH受容体の最も高いレベルの発現を示す(Badolato R.ら、(1994)二重蛍光フローサイトメトリーで検出したヒト抹消血リンパ球における表面膜の成長ホルモン受容体の発現差異(Differential expression of surface membrane growth hormone receptor on human peripheral blood lymphocytes detected by dual fluorochrome flow cytometry)J Clin Endocrinol Metab.79:984−990)。
【0007】
GHは、そのマクロファージ及び単球への活性化効果を通じてリンパ球B及びTに間接的に影響を与えることができる(Edwards C.K.ら、(1988)ソマトトロピンの新たに同定された特性:スーパーオキシドアニオン産生のためのマクロファージのプライミング(A newly defined property of somatotropin:priming of macrophages for production of superoxide anion)Science 239:769−771)。最後の作用は走化性も促進する。これらの細胞はサイトカインの分泌によりリンパ球にも作用する。GHはNK細胞欠乏を回復させる(Davila D.R.ら、(1987)老齢、ヌード及びトランスジェニックのげっ歯類におけるT依存性免疫事象の制御における成長ホルモンの役割(Role of growth hormone in regulating T−dependent immune events in aged,nude,and transgenic rodents)Neurosci.Res.18:108−116)。
【0008】
いくつかの魚類成長ホルモンの相補DNAは、クローニング及び配列決定されている。注射投与による(Tsai H.J.ら、(1993)酵母でのニジマス成長ホルモンcDNAの発現(Expression of rainbow trout growth hormone cDNA in yeast)Bull.Inst.Zool.Acad.Sin.32:162−170)又は浸漬による(Moriyama S.及びKawauchi H.(1990)組換えサケ成長ホルモンへの浸漬によるサケ科仔魚の成長刺激(Growth stimulation of juvenile salmonids by immersion in recombinant salmon growth hormone)Nippon Suisan Gakkaishi 56:31−34)魚類での成長における組換えGHの強力な効果が示されている。
【0009】
ヒトGHは、下垂体(Baumann G.ら、(1983)健常者及び先端巨大症患者における循環している成長ホルモンの分子的特質:主要な及び微量の単量体形態についての証拠(The molecular nature of circulating growth hormone in normal and acromegalic man:evidence for a principal and minor monomeric forms)J.Clin.Endocrinol.Metab.56:946−952)、血漿(Baumann G.ら、(1985)自発的分泌エピソード及び基礎状態において循環している成長ホルモンの分子形態(Molecular forms of circulating growth hormone during spontaneous secretory episodes and in the basal state)J.Clin.Endocrinol.Metab.60:1216−1220)及び尿(Baumann G.及びAbramson E.C.(1983)ヒトにおける尿中成長ホルモン:多様な分子形態の証拠(Urinary growth hormone in man:evidence for multiple molecular forms)Endocrinology 56:305−311)において検出できる構造的に関連したタンパク質の不均一な群として存在している。ヒトGHの主なバリアントは固有のポリペプチド鎖により構成されている22kDaのポリペプチドである。このポリペプチドは免疫反応性のヒトGHの85%を構成している(Lewis U.J.ら、(1994)血清中ヒト成長ホルモンのバリアントの形態及び断片(Variant forms and fragments of human growth hormone in serum)Acta Paediatr.Suppl.399:29−31)。ヒトGHの他のバリアントは、分子量20kDaの1本鎖ポリペプチド(Lewis U.J.ら、(1978)ヒト成長ホルモンの天然に存在する構造バリアント(A naturally occurring structural variant of human growth hormone)J.Biol.Chem.253:2679−2687)、アセチル化及び脱アミド化した22kDaの形態(Lewis U.J.ら、(1981)脱アミド化の結果としてのヒト成長ホルモンのタンパク質分解による切断の変化(Altered proteolytic cleavage of human growth hormone as a result of deamidation)J.Biol.Chem.256:11645−11650)並びにジスルフィド結合で連結した2本のポリペプチド鎖を有し、タンパク質分解の切断で生じる短縮バリアント(Singh R.N.ら、(1974)生物活性が増大したヒト成長ホルモンの修飾形態(Modified forms of human growth hormone with increased biological activities)Endocrinology 94:883−891)を含む。いくつかの研究は最後のバリアントが最も活性であることを示していた。この分子は22kDaのhGHのアミノ酸134から150の間でのプロテイナーゼ消化の結果によるものである(Wroblewski V.J.ら、(1991)in vitroでのラット組織によるヒト成長ホルモン(hGH)のタンパク質分解による切断:外因性に投与されたhGHの動態についての影響(Proteolytic cleavage of human growth hormone(hGH)by rat tissues in vitro:influence on the kinetics of exogenously administered hGH)Endocrinology 129:465−474)。この短縮バリアントの増大した生物活性は、その安定性の増大及びそれが他よりも低い代謝クリアランス率を有するという事実によるものであることが示唆されている(Baumann G(1979)ヒトにおけるヒト成長ホルモンのイソホルモンの代謝クリアランス率(Metabolic clearance rates of isohormones of human growth hormone in man)J.Clin.Endocrinol.Metab.49:495−499)。
【0010】
組換えDNA技術の発展により、比較的安価な過程で目的タンパク質を生成するための宿主系としての細菌及び酵母の使用が可能になっている。酵母ピキア・パストリス(Pichia pastoris)は、異種タンパク質を生成するための宿主として広く使用されている。この生物は、高いレベルの発現、操作及び培養の容易さなどに関連する大腸菌(E.coli)などの他の系の恩恵を提供し、さらにこれらとタンパク質分解プロセシング、リフォールディング、グリコシル化及びジスルフィド結合形成などの翻訳後修飾を実現する真核系の有利点とを組み合わせることができる(Higgins D.R.及びCregg J.M.(1998)ピキア・パストリスの手引き(Introduction to Pichia pastoris)Pichia protocols.Humana Press Inc.,Towota 1−15)。発現系として、このシステムは簡単な遺伝子的及び分子的操作を必要とし、それは増殖及び発現用の培地が特別な補充剤を必要としないことから昆虫細胞又は哺乳類組織の培養における発現よりも高価でない。この酵母は大規模発酵に容易に適応し、高密度での培養を容易にする生理的な特性である呼吸性増殖の選択性を有する。
【0011】
成長ホルモンを発現している組換え酵母を使用する成長刺激のいくつかの研究が発表されている。GHを発現している組換えピキア・パストリスを加えた餌の投与後でのニワトリの成長における効果が示されている(Chen C.M.ら、(2000)成長ホルモンを豊富に含む組換え酵母培養液の食餌投与によるニワトリの成長増強(Growth enhancement of fowls by dietary administration of recombinant yeast cultures containing enriched growth hormone)Life Sciences 67:2103−2115)。さらに、Tsai.ら、1993は、GHを発現している組換えサッカロミセス・セレビシア(Saccharomyces cerevisiae)の食餌投与により成長を加速させ(Tsai H.J.ら、(1993)栄養補助剤としての組換え酵母溶解産物の食餌投与によるティラピアの成長の増強(Enhancement of tilapia growth by dietary administration of recombinant yeast lysates as a supplement)J.Fish.Soc.Taiwan 20:339−345)。
【0012】
魚類成長ホルモンに類似する活性を有するポリペプチド及び魚類において成長を促進し、仔魚の死亡率を減少させるためのその使用は米国特許第6239100号において保護されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
成長を加速させ、生存率を増大させ、仔魚の品質を改善することはいまだに水産養殖における主な課題の1つである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、ティラピアGHと比較してより高い活性を示すアミノ酸配列、配列番号7又は8を有するポリペプチド並びに魚類及び甲殻類でのその応用における前記課題の解決法を提供する。主な結果として、我々は前記アミノ酸配列を含み、ピキア・パストリスで細胞外へ発現されるこれらのポリペプチドは、浸漬浴により又は食餌添加物として魚類及び甲殻類に投与されると成長速度、生存率及び仔魚の品質を増大させることを見出した。同様に、これらは免疫状態を改善する。ティラピア成長ホルモンと比較したポリペプチドの優位性が示された。
【0015】
水産養殖におけるこれらのポリペプチドの使用はいくつかの有利点を有する、1)それらは魚類GHより小さな分子であり、生物により吸収され血流に容易に達することができる、2)それらが魚類GHの断片であることから、それらはヒトに生物活性を有さない、3)それらは魚類GHよりも成長に強力な効果を有する、4)それらは広範な魚類種で成長、生存率及び仔魚の品質において著しい効果を有する。
【0016】
米国特許第6,239,100号は、成長を刺激し仔魚の死亡率を減少させる魚類GHに関連する同様の活性を有するポリペプチドの使用を保護している。このポリペプチドについて報告されている配列は、ティラピアGHと比較して73%のホモロジーを有し、N末端の51ヌクレオチドが欠失している。本発明のポリペプチドはティラピア成長ホルモンから得た。ポリペプチド配列番号7はC末端に相当する46アミノ酸の断片を欠失している。ポリペプチド配列番号8はC末端の同じ断片及びN末端の17アミノ酸を欠失している。
【0017】
GHに類似する活性を有する米国特許第6,239,100号に記載のポリペプチドと異なり、本発明のポリペプチドはGHと比較してより高い活性を有している。本活性は種特異的ではない。さらに、C末端の断片を欠失しているポリペプチド配列番号7はポリペプチド配列番号8に勝る成長促進活性を有している。
【0018】
本発明の具体化において、アミノ酸配列、配列番号7及び8において定義されるポリペプチドのいずれかを含む組成物は魚類及び甲殻類において成長を刺激する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、前記ポリペプチドのコード配列のピキア・パストリス発現ベクターpPS10へのクローニングを含んでいた。これらのポリペプチドのコード配列は、あらかじめpR17にクローニングされたtiGHのcDNAを鋳型として使用するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により得た(Guillen I.I.ら、(1998)大腸菌由来の相同成長ホルモンを注射投与された広塩性硬骨魚類の稚魚、ティラピア、オレオクロミス・ホルノラム(Oreochromis hornorum)における生理的変化(Physiological changes in the juvenile euryhaline teleost,the tilapia Oreochromis hornorum,injected with E.coli−derived homologous growth hormone)J Mar.Biotechnol.6:142−51)。ティラピア成長ホルモンも同じベクター(pR17)からのPCRにより増幅した。
【0020】
ピキア・パストリスにおける標的タンパク質の発現のための遺伝子構築において使用するベクターは、ピキア・パストリスAOX1プロモーター(pAOX1)、S.セレビシアスクロースインベルターゼ2(spSUC2)のシグナルペプチド及びS.セレビシアの酵素グリセルアルデヒド−3P−デヒドロゲナーゼ(GAPt)の終止コドンを含む。それは、酵母の選択マーカーであるS.セレビシアのHIS3遺伝子と前記酵母との間の相同組換えに必要な3’AOX領域に相当する染色体DNAの断片も含む。ベクターは、大腸菌で機能する複製起点及び細菌の選択マーカーとしてのアンピシリン耐性遺伝子を有する。組換えピキア・パストリス株を作製するために使用するベクターは一般に組込み型である。形質転換に先立ちプラスミドはAOX1遺伝子による相同組換えを容易にするために直鎖化されるべきである。ピキア・パストリスMP36株を、組換えタンパク質の細胞外産生に使用した。この株は、発現ベクターでの形質転換後にHis+表現型を獲得したピキア・パストリスBKM−90株(EP00438200)から得たhis3栄養要求変異株である(Yong V.ら、(1992)サッカロミセス・セレビシアのHIS−3遺伝子が相補する酵母ピキア・パストリスのhis変異(HIS−3 gene of Saccharomyces cerevisiae complement his mutation in yeast Pichia pastoris)Biotecnologia Aplicada 9:55−61)。
【0021】
いくつかの研究は、種々の魚類種において組換えGHの浸漬での投与による成長刺激効果を示している。しかし本発明は、標的タンパク質の事前精製を行わずに、GHと比較してより高い活性を有するポリペプチドを含むピキア・パストリス培養上清への浸漬による魚類での成長刺激についての最初の報告である。成長、病原体抵抗性及び免疫系パラメーターにわたる本発明に記載のポリペプチドの効果は、ティラピアの仔魚で試験し、ティラピア成長ホルモンと比較した。
【0022】
処置は浸漬によって施した。実験群は、以下の通りである。
前記ポリペプチドを含む組換えピキア・パストリスMP36株の培養上清
ティラピアGHを含む組換えピキア・パストリスMP36株の培養上清
非形質転換ピキア・パストリスMP36株の培養上清を含むネガティブコントロール
未処置群
【0023】
結果は、ポリペプチドで処置した群はその重量がtiGH群、ネガティブコントロール群及び未処置群と比較して有意に増大していることを示した。免疫系に対する効果を分析するために、20匹をホモジナイズした。リゾチーム及びレクチンなどの種々の非特異的体液性因子の存在並びに酸化ストレスの以下のパラメーターを測定した。
還元グルタチオン:GSHは酵素グルタチオンペルオキシダーゼの補因子である。これは酸化ストレスに対する防御機構のうちの1つである。我々は、群の間に統計的差異を認めなかった。しかしポリペプチド1及び2で処置した群において増大する傾向がある。
スーパーオキシドジスムターゼ:SODは抗酸化防御に属する酵素である。これはスーパーオキシド遊離ラジカルを捕捉する。我々は、群の間に統計的差異を認めなかった。ポリペプチド1及び2で処置した群において増大する傾向がある。
総オルガノペルオキシド:これは酸化促進系の要素の1つであり、ヒドロキシルラジカル前駆体の1つである。これは遺伝子発現の誘導物質、細胞機構の活性化物質並びにホスファターゼ及びキナーゼの調節物質でもあり得る。それは、生体異物の解毒に必要なグルタチオン−S−トランスフェラーゼの補因子でもある。群の間に統計的差異はない。
カタラーゼ:これは、生分子の酸化をもたらす酸化ストレスの指標である。カタラーゼのレベルが増大することは、グルタチオンペルオキシダーゼによって代謝され得ない遊離ラジカルが存在することを示唆する。実験開始から21日目において群の間に統計的差異はなかった。45日目で、対照と比較してポリペプチドで処置した群においてカタラーゼレベルが低下していた。
過酸化能:これは脂質酸化の指標である。我々は、ポリペプチド1及び2で処置した群において増大している傾向として、未処置群と比較して処置群において統計的有意差を得た。
タンパク質酸化:これはタンパク質酸化の指標である。我々は群の間に統計的差異を認めなかった。
【0024】
過酸化能は生物における酸化ストレスの指標であることから、我々はアッセイしたポリペプチドが未処置群と比較していくらかの酸化ストレスをもたらしていると推定できる。酸化ストレスは重要な制御事象である。実験開始から45日目において、脂質酸化に影響する酸化ストレスがある場合であっても、未処置群と比較して処置群においてはカタラーゼレベルが有意に低下している。この事象は遊離ラジカル及び酸化ストレスのレベルの低下を示唆している。
【0025】
エネルギーを貯蔵する他の生分子と比較して脂質は大きなエネルギー/質量比を有する。GHが脂質の生合成を阻害し、脂質分解を活性化し、生成された脂肪酸が理想的な酸化基質であることが示されている。結果として、アミノ酸は酸化プロセスから成長へ移動する。我々の実験において観察された脂質の酸化はこのプロセスと関連付けることができた。
【0026】
免疫系と関連する他のパラメーターはリゾチーム及びレクチンである。
【0027】
リゾチームはウイスル及び細菌の感染に対する非特異的免疫機能の構成要素の1つである。魚類でリゾチームレベルとGHとの間に相関が観察されている(Yada T.ら、(2002)ティラピア(カワスズメ(Oreochromis mossambicus))におけるプロラクチン及び成長ホルモンの免疫調節効果(Immunomodulatory effects of prolactin and growth hormone in the tilapia,Oreochromis mossambicus)J Endocrinol.173:483−492)。
【0028】
レクチンは多様な病原体と反応し、生物に自然免疫を与える(Alexander J.B.及びIngram G.A.(1992)魚類の非細胞性非特異的防御機構(Noncellular nonspecific defence mechanism of fish)Annu.Rev.Fish.Dis.2:249−279)。
【0029】
我々は未処置群と比較してポリペプチド1及び2での処置群において両方のパラメーターについて統計的有意差を観察した。
【0030】
これらのポリペプチドの効果を観賞用仔魚においても試験した。これらは対照と比較してポリペプチド処置群において成長及び生存率を刺激することができた。これらは魚の色素形成も改善する。このパラメーターは観賞用魚類の商品化において重要である。これらのポリペプチドによってもたらされる効果が処置停止の15日後に明らかであったことが示された。
【実施例】
【0031】
(実施例1)
本発明の主題であるポリペプチド及びティラピア成長ホルモンのコード配列を含有するピキア・パストリス発現ベクターの構築、MP36株への形質転換並びに該タンパク質の発現
前記ポリペプチドのコード配列は、あらかじめpR17ベクターにクローニングしたティラピアcDNAを鋳型として使用する特異的オリゴヌクレオチドでのPCRにより得た。ポリペプチド配列番号7のコード配列を増幅するために、我々は配列番号1及び配列番号2の配列に対応するオリゴヌクレオチドを使用した。ポリペプチド配列番号8のコード配列を増幅するためには、我々は配列番号3及び配列番号4の配列に対応するオリゴヌクレオチドを使用した。
【0032】
tiGHのコード配列を、配列番号5及び配列番号6の配列に対応するオリゴヌクレオチドを使用してベクターpR17からPCRにより増幅した。遺伝子の末端をリン酸化し、発現ベクターへのクローニングを容易にするためにPCR産物をポリヌクレオチドキナーゼ酵素で処理した。ピキア・パストリス発現ベクターpPS10を制限酵素NaeIで酵素消化し、末端を脱リン酸化するためにアルカリホスファターゼ処理した。該ポリペプチド及びtiGHをコードする遺伝子をT4 DNAリガーゼを使用して発現ベクターに連結した(図1)。
【0033】
形質転換の前に、プラスミドを酵素SphIで直鎖化した。ピキア・パストリスMP36株を組換え発現ベクターでのエレクトロポレーションにより形質転換した。この株は形質転換後にHis表現型を獲得したhis3栄養要求変異株である。
【0034】
ドットブロットで同定した形質転換体を、組換えプラスミドの発現カセットでのP.パストリスのAOX1遺伝子の置換による組込みがどれに生じたかを判定するためにサザンブロットによっても分析した。この組込み事象はMut(低レベルのメタノールの利用)及びHis表現型をもたらす。AOX1の遺伝子の置換は、ベクター及びゲノム中のプロモーター領域AOX1から3’AOX1の間の組換えにより生じる。組換えの結果として、AOX1のコード領域に欠失が生じる。Mut表現型を有する組換え株は、AOX2遺伝子でのアルコールオキシダーゼ産生を保持し、これらはメタノール中で低い増殖速度を有する。
【0035】
該ポリペプチド及びティラピア成長ホルモンをコードする遺伝子は、AOX1プロモーターの制御下にあり、メタノールで誘導可能であり、これらはシグナルペプチドを有する。ピキア・パストリスの自己タンパク質の分泌は低レベルであり、その培養培地は添加物としてタンパク質を必要としない。したがって、分泌される異種タンパク質が培地中の総タンパク質で高い割合(80%を超える)を占めることが期待できる(Tschopp y col.;Bio/Technology 1987,5:1305−1308;Barrら、;Pharm.Eng.1992,12:48−51)。本発明の組換えタンパク質の生成は5Lのバイオリアクターで培地にメタノールを添加して実施した。図2に示すように、ティラピアGHに特異的なモノクローナル抗体を使用するウエスタンブロットを培地上清中のタンパク質の発現を調べるために使用した。
【0036】
(実施例2)
該ポリペプチドを含有するP.パストリス培養上清での浸漬によるティラピアでの生育実験、免疫系への効果
実験は、1週間に3回90分間の浸漬により実施した。投与量は水1リットル当たり標的タンパク質0.1mgとした。実験群は以下の通りとした。:
1.ポリペプチド1を含有するP.パストリス培養上清で処置した群(処置1)
2.ポリペプチド2を含有するP.パストリス培養上清で処置した群(処置2)
3.ティラピアGHを含有するP.パストリス培養上清で処置した群(処置3)
4.非形質転換P.パストリス培養上清で処理したネガティブコントロール群(ネガティブコントロール)
5.未処置群
【0037】
実験開始から45日目において、ポリペプチド配列番号7で処理した仔魚は、未処置群、ネガティブコントロール及びtiGH処置群と比較してそれぞれ3.6、2.1及び1.6倍高い重量の増大があった。一方、ポリペプチド配列番号8で処理した仔魚は未処置群と比較して3.2倍、ネガティブコントロールと比較して1.9倍及びtiGH処置群と比較して1.4倍高い重量の増大があった(表1、表1.1、図3)。
【表1】


【表2】

【0038】
経済的に重要な魚類の発育の初期段階における成長を加速させると、養殖の生産性を増大させるために決定的である生存率が増大するので、これらは、非常に重要な結果である。
【0039】
免疫系への効果を分析するために、1群当たり20匹を実験開始から21日目及び45日目に採取した。仔魚をホモジナイズし、酸化ストレスの種々のパラメーター、GSH、SOD、総オルガノペルオキシド、カタラーゼ、過酸化能及びタンパク質酸化を測定した。
【0040】
我々は、実験開始から21日目でネガティブコントロールと比較した処置群の過酸化能においてのみ差異を観察した。我々は、実験開始から45日目の仔魚抽出物中のリゾチーム活性を測定した。試料(仔魚ホモジェネート)のリゾチーム活性は、細菌ミクロコッカス・リソデイクチカス(Micrococcus lysodeikticus)を溶菌するリゾチームの能力に基づく方法を使用して測定した。96穴マイクロトレイにおいて、リン酸緩衝液(0.05M,pH6.2)中での4つの2倍系列希釈の試料100μlを3mg/mlミクロコッカス・リソデイクチカス(Sigma)の懸濁液100μlと混合した。マイクロトレイを22℃でインキュベートし、0、15、30及び60分に450nmでO.D.を読み取った。ポジティブコントロールとしては、仔魚ホモジェネートをニワトリ卵白リゾチーム(8μg/mlからの系列希釈)に置き換え、ネガティブコントロールとしては、仔魚ホモジェネートを緩衝液に置き換えた。リゾチーム活性の1単位は、O.D.読み値の0.001min−1での減少を生じさせる仔魚ホモジェネートの量と定義した。我々は、未処置群と比較してポリペプチド配列番号7及び配列番号8での処置群において統計的有意差を観察した(表2)。
【0041】
仔魚ホモジェネート中のレクチンを測定するために血球凝集アッセイも実施した。仔魚抽出物の2倍系列希釈を、同容量の新鮮調製2%赤血球懸濁液(ウサギ、PBS中)を入れたU底型(96穴、Greiner,Microlon)マイクロタイターウェルでPBS pH7.2を使用して実施した。ウェルを1時間室温でインキュベートし、力価を目視で読み取り、凝集を示した(ウェル底全体に均等に分散した細胞の層で明らかになる)最後のウェルでの希釈に相当するとした。試料の血球凝集活性を検討し、各々の力価の値を得た。活性は力価、すなわち完全な凝集を示す最も高い希釈率の逆数で表した。
【0042】
我々は、未処置群と比較してポリペプチド配列番号7及び配列番号8での処置群において統計的有意差を観察した(表3)。
【表3】


【表4】

【0043】
(実施例3)
該ポリペプチドを含むピキア・パストリス培養上清での浸漬浴による金魚における生育刺激実験及び仔魚の品質の改善
4つの実験群を設計した。処置は、浸漬浴、1週間に3回90分間から成る。投与量は水1リットル当たり標的タンパク質0.1mgとした。実験群は、以下の通りとした。
1.ポリペプチド1を含むP.パストリス培養上清で処置した群(処置1)
2.ポリペプチド2を含むP.パストリス培養上清で処置した群(処置2)
3.ティラピアGHを含むP.パストリス培養上清で処置した群(処置3)
4.非形質転換P.パストリス培養上清で処置したネガティブコントロール群(ネガティブコントロール)
【0044】
実験開始から45日目に処置3及び4と比較して処置1及び2は有意な重量の増大を示した。
【0045】
75日目に、ポリペプチド配列番号7及び配列番号8で処置した仔魚は、ネガティブコントロールと比較して2倍、tiGH処置群と比較して1.5倍高い重量の増大があった(表4;表4.1;図4)。さらに、処置1、2及び3はネガティブコントロールと比較して生存率の増大を示した(図5)。
【0046】
観賞用魚の色はその商業化のために非常に重要なパラメーターである。本実験において我々は、ネガティブコントロールと比較して処置1及び2での仔魚が初期の発育段階において色を呈したことを観察した。実験開始から75日目にこれらはより鮮やかな色を有した(図6)。
【0047】
我々は他の観賞用魚種でも同様の結果を得た。
【表5】


【表6】

【0048】
(実施例4)
ポリペプチド1の種々の投与量での浸漬浴によるコイにおける生育実験
我々は、コイ仔魚の成長におけるポリペプチド1の種々の投与量での効果を検討した。4つの実験群を以下通り設計した。
1.ポリペプチド配列番号7を水1リットル当たりポリペプチド0.02mgの投与量で含むP.パストリス培養上清で処置した群(処置1)
2.ポリペプチド配列番号7を水1リットル当たりポリペプチド0.1mgの投与量で含むP.パストリス培養上清で処置した群(処置2)
3.ポリペプチド配列番号7を水1リットル当たりポリペプチド0.5mgの投与量で含むP.パストリス培養上清で処置した群(処置3)
4.未処置群
【0049】
実験開始から30日目において、水1リットル当たりポリペプチド配列番号7を0.5mgの投与量で処置した仔魚は未処置群と比較して2.75倍高い重量の増大があった。一方、水1リットル当たりポリペプチド配列番号7を0.1mgの投与量で処置した仔魚は未処置群と比較して1.8倍高い重量の増大があった。未処置群と最小投与量での処置群の間には統計的差異はなかった(表5;表5.1;図7)。
【表7】


【表8】

【0050】
(実施例5)
該ポリペプチドを含有するP.パストリス培養上清への浸漬による仔エビ、リトペナエウス・シュミッティ(Litopenaeus schmitti)における生育実験
3つの実験群を設計した。処置は、浸漬浴、1週間に3回1時間30分から成る。投与量は水1リットル当たり該タンパク質0.1mgとした。実験群は、以下の通りとした。
1.ポリペプチド配列番号7を含むP.パストリス培養上清で処置した群(処置1)
2.ポリペプチド配列番号8を含むP.パストリス培養上清で処置した群(処置2)
3.非形質転換P.パストリス培養上清で処理したネガティブコントロール群(ネガティブコントロール)
【0051】
実験の結果として、我々は該ポリペプチドで処置したエビの仔エビの品質における改善を得た。ポリペプチド配列番号7及び配列番号8で処置した仔エビはネガティブコントロールと比較して2.3倍高い体重増加があり、エラ、体肢、吻がより形成していた。各パラメーターについて対応する統計的試験を行い、統計的有意差が全ての場合において認められた。
【0052】
(実施例6)
ポリペプチド配列番号7の種々の投与量での食餌投与によるティラピアにおける生育実験
我々は、開始時重量72.99±3.25gのティラピア稚魚の成長についてのポリペプチド配列番号7の2つの投与量での効果を測定した。試験を行った投与量は、餌1kg当たりポリペプチド配列番号7を4.8mg及び餌1kg当たりポリペプチド配列番号7を38.4mgとした。経口製剤は該ポリペプチドを含有するピキア・パストリス培養上清を基礎餌に混合することにより作製した。ネガティブコントロールは、非形質転換P.パストリス培養上清を加えた基礎餌を与えたティラピアとした。実験中、魚には1日2回、体重の5%に相当する量の餌を6週間与えた。
【0053】
餌1kg当たりポリペプチド配列番号7を4.8mgの投与量で食餌に含まれるポリペプチド配列番号7は対照群と比較して、高度に有意な統計的差異で(p<0.001)22%成長を増大させた。餌1kg当たりポリペプチド配列番号7を38.4mgの投与量では、ネガティブコントロールとの比較で差異は示さなかった(表6;表6.1;図8)。
【表9】


【表10】

【0054】
現在、水生生物は重要な蛋白源であるが、自然環境での捕獲物は完全に利用されている。このため、生産を増大させるためにはこれらの水生種の養殖が必要である。広範囲に生息する生物の多くにおいてホルモン類の投与、遺伝的改変などにより成長を操作できることが示されている(Pullin y col.;Conference Proceeding 7,432p.International Center for living Aquatic Resources Monagement.Manila,Philippines.1982,ISSN 0115−4389)。
【0055】
本明細書に記載のポリペプチドは、それらが種特異的でなく、したがってこのペプチドが成長、生存率及び仔魚の品質を増大すること並びに免疫応答に含まれる種々のパラメーターを改善することなどの多数の作用のために種々の水生生物について応用可能であるという有利点を有する。さらに、これらが成長ホルモンと比較して有意に高い成長への効果を有することが示された。一方、これらのポリペプチドはヒトに生物活性を有さず、ヒトが消費するための生物に前記生成物を応用することが有する不都合を減少させる。さらに、これらのポリペプチドの観賞用魚類における使用は、このポリペプチドが、生育を加速させた結果、養殖期間を短縮するだけでなく、この魚類において色についての効果も有することから非常に魅力的である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】ピキア・パストリス発現ベクターにおけるクローニング戦略の図である。
【図2】Mut表現型を示す形質転換体の発現分析の図であり、ピキア・パストリス培養上清に発現した標的タンパク質のウエスタンブロットの図である。ライン1:非形質転換MP36、ライン2:ポリペプチド1、ライン3:ポリペプチド2、ライン4:ティラピア成長ホルモン
【図3】水1リットル当たり0.1mgの投与量で該タンパク質を含有するピキア・パストリス培養上清への浸漬によるティラピア仔魚における生育実験の図であり、ネガティブコントロールと比較した処置群の平均体重を示す図である。
【図4】水1リットル当たり0.1mgの投与量で該タンパク質を含有するピキア・パストリス培養上清への浸漬による金魚仔魚における生育実験の図であり、ネガティブコントロールと比較した処置群の平均体重を示す図である。
【図5】水1リットル当たり0.1mgの投与量で該タンパク質を含有するピキア・パストリス培養上清への浸漬による金魚仔魚における生育実験の図であり、実験開始から45日目の実験群の生存率を示す図である。
【図6】水1リットル当たり0.1mgの投与量で該タンパク質を含有するピキア・パストリス培養上清への浸漬による金魚仔魚における生育実験の図であり、処置した魚はネガティブコントロールよりもさらに鮮やかな色を呈していることを示す図である。
【図7】ポリペプチド1を3つの異なる投与量(水1リットル当たり0.02、0.1及び0.5mg)で含有するピキア・パストリス培養上清への浸漬によるコイ仔魚における生育実験の図であり、ネガティブコントロールと比較した処置群の平均体重を示す図である。
【図8】ポリペプチド1を2つの異なる投与量(餌1kg当たりポリペプチド4.8mg及び餌1kg当たりポリペプチド38.4mg)で含有するピキア・パストリス培養上清を食餌投与することによるティラピアにおける生育実験の図であり、ネガティブコントロールと比較した処置群の平均体重を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の配列、配列番号7及び配列番号8のうちの1つに含まれるアミノ酸配列をポリペプチド鎖中に含む、ポリペプチド。
【請求項2】
ピキア・パストリス(Pichia pastoris)において得られたことを特徴とする、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
魚類及び甲殻類における成長を刺激するための、請求項1に記載のポリペプチドのいずれかを含む、組成物。
【請求項4】
餌1kg当たり前記ポリペプチド4.8mgと同効率の投与量で魚類及び甲殻類における成長及び/又は疾病抵抗性を刺激するための飼料用製剤中における、請求項1に記載のポリペプチドを含むピキア・パストリス(Pichia pastoris)培養上清の使用。
【請求項5】
水1リットル当たり前記ポリペプチド0.05から0.5mgの間の濃度において成長、生存率及び仔魚の品質を刺激するための魚類及び甲殻類での浸漬処置のための、請求項1に記載のポリペプチドを含むピキア・パストリス(Pichia pastoris)培養上清の使用。
【請求項6】
魚類及び甲殻類の体液性自然免疫系を刺激するための、請求項1のポリペプチドのいずれかを含む、組成物。
【請求項7】
観賞用魚類の処置のための、請求項1に記載のポリペプチドのいずれかを含む、組成物。

【図2】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−501735(P2009−501735A)
【公表日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−521780(P2008−521780)
【出願日】平成18年6月23日(2006.6.23)
【国際出願番号】PCT/CU2006/000006
【国際公開番号】WO2007/009403
【国際公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(304012895)セントロ デ インジエニエリア ジエネテイカ イ バイオテクノロジア (46)
【Fターム(参考)】