説明

鳴動信号生成装置および鳴動信号生成方法

【課題】電話通信用の複数の回線が接続可能であって、電話通信用機器が接続される複数の接続端を備えた通信機器において、同時に複数の着信が発生しても瞬間的な消費電流が大きくなることが無いようにする。
【解決手段】WANポート11を通じて、同時に複数の着信を受け付けると、CPU10は、コーデック部21、23を通じて、回線I/F部22、24の各回線I/F回路22(1)〜22(4)、24(1)〜24(4)を制御するようにして、回線I/F部22、24のいずれか2つの回線I/F回路を通じて、基準位相に対して位相が互いに90度異なる第1の鳴動信号と第2の鳴動信号とを、異なる接続端から出力するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、電話通信システムの主装置やゲートウェイ装置など、電話通信用の複数の回線が接続可能であって、電話通信用機器が接続される複数の接続端を備えた通信機器において用いられる鳴動信号を発生させる装置、鳴動信号を発生させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電話通信は、簡単に、かつ、比較的に安価に利用できる通信手段であり、企業などにおいては、業務上、日々多数の電話がかかってくる。このため、着信時に着信を通知するリンガ音を放音する電話機が多数存在する場合には、これら多数の電話機が着信時に一斉にリンガ音を放音するために騒音になってしまうという問題があった。
【0003】
そこで、後に記す特許文献1には、オフィスビル内などに構築される構内電話交換網において、呼着信時に、リンガ鳴動端末を制限し、リンガ鳴動による騒音を緩和すると共に、リンガ鳴動作動端末の台数を任意に設定可能とし、電話端末の利用効率を高めることができるようにするリンガ鳴動制御システムの発明が開示されている。
【0004】
この特許文献1に記載の技術により、構内電話交換網を構築する場合に、接続する電話端末の台数や電話端末の設置場所などを考慮して、着信時にリンガ鳴動するリンガ鳴動作動端末を決めることができるので、リンガ鳴動による騒音を緩和し、着信時においてもリンガ鳴動しない発信可能な電話端末を適切に確保し、電話端末の利用効率を上げることができるようにされる。
【0005】
なお、上述した特許文献1は、以下に示す通りである。
【特許文献1】特開平6−98362号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述もしたように、企業などには多数の電話がかかってくるので、複数の電話が同時にかかってくる(複数の着信が同時に発生する)場合も多々ある。この場合、構内電話交換網の例えば主装置などにおいては、それぞれの着信を確実に通知するために、それぞれの着信毎に異なる接続端に接続された電話端末に鳴動信号(リンガ信号)を供給して、異なる接続端に接続された電話端末を鳴動させる(リンガ音を放音させる)ようにすることが行われている。
【0007】
しかし、主装置の異なる接続端に、同じ鳴動タイミングの鳴動信号を供給するようにした場合には、両方の鳴動信号(鳴動電圧)のピークが重なりあってしまい、瞬間的な消費電流が大きくなりやすい。図6は、同時に2つの着信があり、そのそれぞれの着信を通知するために、電話端末が接続された異なる接続端(回線1、回線2)に、同じ鳴動タイミングの鳴動信号を供給するようにした場合の消費電流の変化を示している。
【0008】
図6A、図6Bに示すように、異なる接続端(回線1、回線2)に同じ鳴動タイミングの鳴動信号を供給するようにした場合には、異なる接続端に供給する鳴動信号のピークが重なりあうために、図6Cに示すように、当該主装置内部における瞬間的な消費電流は大きくなってしまう。このため、当該主装置を安定して動作させるようにする上では好ましくない。
【0009】
そこで、例えば同時に2つの着信があった場合には、鳴動タイミングが異なる鳴動信号を用いるようにすることが考えられる。図7は、鳴動タイミングが異なる2つの鳴動信号を送出する場合について説明するための図である。ここで、鳴動信号は、図7に示すように、1秒鳴動、2秒鳴動停止と言うように、鳴動と鳴動停止とを交互に繰り返すようにするものである。
【0010】
そして、主装置において同時に2つの着信があり、電話端末が接続された1つの接続端には、図7Aに示した鳴動信号を供給し、電話端末が接続された他の1つの接続端には、図7Bに示したように、鳴動タイミングが図7Aに示した鳴動信号よりも1秒遅れた鳴動信号を供給する。これにより、鳴動信号のピークが重なりあうことも無く、瞬間的な消費電流が大きくなることも無いようにされる。
【0011】
しかしながら、図7に示した例の場合、2つの着信が同時にあったにも関わらず、わずかではあるが着信の通知のタイミングが異なってしまう。できれば、2つの着信が同時に発生した場合には、それらを同時に通知できるようにしたほうが望ましい。
【0012】
また、鳴動信号の鳴動タイミングをずらす方式の場合、鳴動信号が1秒鳴動、2秒停止と言う状態を繰り返すものである場合には、同時に3つの着信が発生した場合において、鳴動停止期間が存在しなくなってしまう。この場合には、いずれかの電話端末が着信応答するまでは、常時、どこかの電話端末から鳴動音が放音されることになり、鳴動音が非常に耳障りになってしまう場合があると考えられる。そこで、発生する確率は低くなるものの、同時に3つ以上の着信が発生した場合にも、適切に対応できるようにしておくことが望まれる。
【0013】
以上のことに鑑み、この発明は、電話通信用の複数の回線が接続可能であって、電話通信用機器が接続される複数の接続端を備えた通信機器において、同時に発生した複数の着信毎に応じた複数の鳴動信号を発生させても瞬間的な消費電流が大きくなることが無いようにすることを目的とする。さらに、従来よりも多くの着信が同時に発生した場合にも、これに適切に対応できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の鳴動信号生成装置は、
電話通信用の複数の回線が接続可能な通信インターフェース手段と、
電話通信用機器が接続されるアナログ電話通信用の複数個の接続端と、
位相が互いに90度異なる第1及び第2の鳴動信号を発生する鳴動信号発生手段と、
前記通信インターフェース手段を通じて、同時に複数の着信を受け付けた場合に、前記第1の鳴動信号と前記第2の鳴動信号とを、異なる接続端から出力するように制御する制御手段と
を備えることを特徴とする。
【0015】
この請求項1に記載の鳴動信号生成装置によれば、通信インターフェース手段を通じて、同時に複数の着信を受け付けると、鳴動信号発生手段により発生するようにされる位相が互いに90度異なる第1の鳴動信号と第2の鳴動信号とが、異なる接続端から出力するように、制御手段により制御される。
【0016】
これにより、同時に2つの着信が発生した場合には、それぞれの着信毎に、互いに位相が90度ずれた鳴動信号を発生させ、異なる接続端に供給することができるので、両鳴動信号のピークが重なりあうことが無く、瞬間的な消費電流が大きくなることが無いようにされる。
【0017】
また、請求項2に記載の発明の鳴動信号生成装置は、請求項1に記載の鳴動信号生成装置であって、
前記鳴動信号発生手段は、前記複数個の接続端のうちの一部のそれぞれ毎に設けられ、前記第1の鳴動信号を発生する第1鳴動信号発生部と、前記複数個の接続端の残りのもののそれぞれに設けられ、前記第2の鳴動信号を発生する第2鳴動信号発生部とからなることを特徴とする。
【0018】
この請求項2に記載の発明の鳴動信号生成装置によれば、鳴動信号発生手段は、接続端毎に、第1の鳴動信号を発生する第1鳴動信号発生部と、第2の鳴動信号を発生する第2鳴動信号発生部とのいずれか一方が設けられるように構成される。
【0019】
これにより、接続端毎に、適切な鳴動信号を確実に供給し、同時に2つの着信があっても、各接続端に供給される鳴動信号のピークが重ならないようにして、瞬間的な消費電流が大きくなることがないようにされる。
【0020】
また、請求項3に記載の発明の鳴動信号生成装置は、請求項2に記載の鳴動信号生成装置であって、
前記第1鳴動信号発生部は複数個存在するものであり、そのうちの一部の第1鳴動信号発生部と、残りの第1鳴動信号発生部とでは、鳴動タイミングの異なる第1の鳴動信号を発生させ、
前記第2鳴動信号発生部は複数個存在するものであり、そのうちの一部の第2鳴動信号発生部と、残りの第2鳴動信号発生部とでは、鳴動タイミングの異なる第2の鳴動信号を発生させることを特徴とする。
【0021】
この請求項3に記載の発明の鳴動信号生成装置によれば、第1の鳴動信号発生部は、複数個存在し、鳴動タイミングの異なる一方の第1の鳴動信号を発生させるグループと、鳴動タイミングの異なる他方の第1の鳴動信号を発生させるグループとに分けられるようにされる。また、第2の鳴動信号発生部は、複数個存在し、鳴動タイミングの異なる一方の第2の鳴動信号を発生させるグループと、鳴動タイミングの異なる他方の第2の鳴動信号を発生させるグループとに分けられるようにされる。
【0022】
これにより、位相と鳴動タイミングの組み合わせにより、種類の鳴動信号を発生させることができるようにされ、着信が4つ同時に発生した場合にも、着信のそれぞれ毎に、ピークが重なりあうことがないようにして、適切に鳴動信号を発生させることができる。したがって、同時に複数の鳴動信号を発生させるようにした場合にも、瞬間的な消費電流が大きくなることも無いようにされる。また、着信通知のための鳴動音が耳障りになる状況を回避し、従来よりも多くの着信が同時に発生した場合にも、これに適切に対応することができるようにされる。
【発明の効果】
【0023】
この出願の第1、第2の発明によれば、電話通信用の複数の回線が接続可能であって、電話通信用機器が接続される複数の接続端を備えた通信機器において、同時に発生した複数の着信毎に応じた複数の鳴動信号を発生させても瞬間的な消費電流が大きくなることがないようにすることができる。
【0024】
また、この出願の第3の発明によれば、電話通信用の複数の回線が接続可能であって、電話通信用機器が接続される複数の接続端を備えた通信機器において、同時に発生した複数の着信毎に応じた複数の鳴動信号を発生させても瞬間的な消費電流が大きくなることがなく、かつ、従来よりも多くの着信が同時に発生した場合にも、これに適切に対応できるようにすることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図を参照しながら、この発明の一実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態においては、この発明の一実施の形態を、電話通信網やインターネットなどの広域ネットワークと、例えば、屋内に形成されるネットワークや通信システムとを相互に接続するためのゲートウェイ装置に適用した場合を例にして説明する。
【0026】
[ゲートウェイ装置1を用いたシステムの構成例について]
図1は、この実施の形態のゲートウェイ装置1を用いて構内に構成する通信システムの一例について説明するための図である。この実施の形態のゲートウェイ装置1は、詳しくは後述もするが、公衆電話網やインターネットなどのWAN(Wide Area Network)に接続するためのWANポートと、構内に形成されるLAN(Local Area Network)に接続するめのLANポートと、構内に設置される電話端末などの電話通信用機器が接続されるアナログラインポート(以下、単にラインポートと言う。)を備えている。この実施の形態において、ラインポートは、8ポート分設けられたものある。
【0027】
そして、携帯端末装置1のWANポートには、図1に示すように、回線終端装置2を介して、WAN(広域ネットワーク)からの通信回線が接続するようにされる。回線終端装置2は、WANに接続された光通信回線を通じて供給される光信号を電気信号に変換してゲートウェイ装置1に供給し、また、ゲートウェイ装置1からの電気信号を光信号に変換して光通信回線に出力するものである。すなわち、回線終端装置2は、光信号と電気信号との間の相互の変換装置である。
【0028】
また、ゲートウェイ装置1のLANポートには、ハブ(HUB)3を経由して、ルータ及びパーソナルコンピュータ、各種のIP端末などが接続される。ハブ3は、ゲートウェイ装置1とパーソナルコンピュータやIP端末との間の通信を中継するものであり、いわゆるマルチポート・リピータの機能を有するものである。
【0029】
また、携帯端末装置1のラインポートには、電話通信用機器が接続される。例えば、電話端末や、図1に示すように、ビジネスホン用の主装置4を介して複数の電話端末を接続することができるようにされる。
【0030】
そして、ハブ3を介してLANポートに接続されたパーソナルコンピュータやIP端末は、ゲートウェイ装置1、回線終端装置2を経由してインターネットに接続し、インターネット上のサーバー装置に存在する情報を閲覧したり、ダウンロードしてきたり、あるいは、インターネット上のサーバー装置に情報をアップロードするなど、インターネットを介した通信を行うことができるようにされる。
【0031】
また、ラインポートに接続された電話端末は、自機から発呼したり、かかってきた着信に応答したりすることにより、ゲートウェイ装置1、回線終端装置2、インターネットや公衆電話網を介して、通信の相手先との間に電話回線を接続し、電話通信(通話等)を行うことができるようにされる。
【0032】
このように、ゲートウェイ装置1は、WANとLAN間の接続や、WANと構内電話システムとの接続を可能にするものであり、いわゆるプロトコル変換装置として機能するものである。
【0033】
[携帯端末装置1の構成例について]
図2は、この実施の形態のゲートウェイ装置1の構成例を説明するためのブロック図である。図2に示すように、この実施の形態のゲートウェイ装置1は、ゲートウェイ装置1を構成する各部を制御すると共に、種々のデータ処理を行うCPU10を備えている。
【0034】
CPU10に対しては、インターフェース回路(以下、I/Fという。)12を介してWANポートが接続されると共に、I/F14を介してLANポートが接続されている。また、CPU10に対しては、DDR−SDRAM(Double Data Rate Synchronous Dynamic Random Access Memory)、NOR−FROM(NOR型フラッシュメモリー)、NAND−FROM(NAND型フラッシュメモリー)といった各種のメモリーからなるメモリー部15が接続されている。さらに、CPU10に対しては、LED(Light Emitting Diode)部16、初期化スイッチ17、時計回路18が接続されると共に、I/F19を介して、ラインポート部20が接続されている。
【0035】
WANポート11には、図1を用いて説明したように、WANからの通信回線が接続される。WANポート11とCPU10との間に位置するI/F12は、WANポート11を通じて受け付けた受信データをCPU10において処理可能な形式のデータに変換してCPU10に供給したり、CPU10からの送信データをWANに送出する形式のデータに変換してWANポート11を通じて出力したりするものである。
【0036】
LANポート13には、図1を用いて説明したように、ハブ3を経由して、ルータとパーソナルコンピュータや、種々のIP端末などが接続される。LANポート13とCPU10との間に位置するI/F14は、LANポート13を通じて受け付けたデータをCPU10において処理可能な形式のデータに変換してCPU10に供給したり、CPU10からのデータをLANに送出する形式のデータに変換してLANポート13を通じて出力したりするものである。
【0037】
そして、CPU10は、この実施の形態の携帯端末装置1の各部を制御すると共に、各ポートを通じて供給を受けた種々のデータについて、そのデータに形式や付加されている情報から、供給元のネットワークやシステム及び供給先のネットワークやシステムを把握する。そして、CPU10は、供給を受けた種々のデータについて、供給元のネットワークやシステムと供給先のネットワークやシステムとを考慮して、フォーマット変換、アドレス変換、プロトコル変換などの必要な処理を行って、これを目的とするネットワークやシステムが接続されたポートに送出する。
【0038】
したがって、LANポート13に接続するようにされたパーソナルコンピュータやIP端末などは、LANポート13、I/F14、CPU10、I/F12、WANポート11を経由してインターネットに接続し、インターネット接続されたサーバー装置や通信機器との間で、相互に通信を行うことができるようにされる。
【0039】
また、CPU10に接続されているメモリー部15の内、DDR−SDRAMは、CPU10が実行する各種の処理において、処理の途中結果を一時記憶するなど、主に作業領域として用いられるものである。また、NOR−FROMは、CPU10において実行するプログラムなどを記憶保持しているものである。また、NAND−FROMは、種々のデータを記憶保持するものであり、例えば、各種の設定パラメータなどを記憶保持するものである。
【0040】
そして、CPU10は、メモリー部15のNOR−FROMからプログラムを読み出して実行して、上述した種々の変換処理やその他の各種の処理を行う。この場合、CPU10は、必要に応じてNAND−FROMに保存されているデータを参照して処理を行う。また、CPU10は、DDR−SDRAMを作業領域として用い、実行している処理における途中結果などをDDR−SDRAMに記録したり、読み出したりしながら、種々の処理を行うことになる。
【0041】
CPU10に接続されたLED部16は、電源(POWER)LED、初期化(INIT)LED、警告(ALARM)LED、構成(CONFIG)LED、PPP接続(PPP)LED、VOIP接続LED、WAN接続LED、LAN接続LEDなどの複数のLEDを備えたものである。そして、CPU10は、自機の状態に応じて、各LEDの点灯、消灯、点滅を制御する。これにより、携帯端末装置1の状態をLEDの点灯、消灯、点滅によって使用者に通知することができるようにしている。
【0042】
CPU10に接続された初期化スイッチ17は、ゲートウェイ装置1を初期化するためのものである。初期化スイッチ17が使用者により操作されると、CPU10は、NAND−FROMの設定情報を初期状態に戻したり、DDR−SDRAMのデータをクリアしたりするなどの処理を行い、ゲートウェイ装置1を初期状態に戻すようにする。この初期化スイッチ17は、ゲートウェイ装置1を移設して接続を変えるなどする場合に操作される。
【0043】
CPU10に接続された時計回路18、現在時刻を提供すると共に、年、月、日、曜日をも管理することが可能なカレンダ機能をも有するものである。これにより、CPU10は、現在年月日、現在曜日、現在時刻を常時適切に把握することができるようにしている。
【0044】
さらに、CPU10に対しては、I/F19を介してラインポート部20が接続されている。ラインポート部20は、ゲートウェイ装置1に対して電話通信用機器を接続するためのものである。この例のラインポート部20は、8つのラインポートL1、L2、L3、L4、L5、L6、L7、L8を備え、そのそれぞれに電話用通信機器を接続することができるようにしている。
【0045】
そして、ラインポート部20とCPU10とは、図2に示すように、I/F19を介してデータラインで接続されると共に、矢印で示したように、制御ラインを通じても接続されている。そして、ラインポート部20は、商用電源から各部に印加(供給)する電源電圧を形成する電源回路30からの電源電圧の供給を受けて、各ラインポートに接続された電話通信用機器に給電したり、鳴動信号を発生させて、これを目的とするラインポートに接続された電話通信機器に供給したり、接続された電話通信用機器とCPU10との間での音声信号の送受を行えるようにしたりする。
【0046】
すなわち、ゲートウェイ装置1のCPU10は、WANポート11を通じて、公衆電話網を介して送信されてくる自機宛の着信を受けた場合に、これを制御バスを通じてラインポート部20に通知する。ラインポート部20においては、CPU10の制御に応じて、指示されたラインポートに鳴動信号を供給して着信があることを通知するようにする。
【0047】
当該ラインポートに接続された電話通信用機器である電話端末においては、供給される鳴動信号に応じて、リンガ音を放音させ、使用者に着信を通知する。これに応じて、ラインポート部20に接続された電話機器の使用者が着信に応答する操作(オフフック操作)を行うと、WANポート11、I/F12、CPU10、I/F19、ラインポート部20を通じて、WANに接続された電話通信の相手先の電話端末と、ラインポート部20に接続するようにされた電話端末との間に電話回線を接続し、相互に通話を行うことができるようにされる。
【0048】
この場合、I/F19は、CPU10を通じて供給されるパケット化された音声信号を元のベースバンドの音声信号に変換してラインポート部20に供給したり、ラインポート部20からのベースバンドの音声信号をパケット化してCPU10に供給したりする機能を有する。
【0049】
そして、この実施の形態のゲートウェイ装置1のCPU10は、WANポート11を通じて、電話通信用の複数の着信を同時に受け付けて、複数の電話回線を同時に接続することができるものである。この場合、CPU10は、ラインポート部20を制御し、ラインポート部20の異なるラインポートに接続された電話通信用機器に鳴動信号を供給することができるようにしている。
【0050】
ここで、ラインポート部20の構成について説明する。図2に示すように、ラインポート部20は、コーデック部21、23、回線I/F部22、24を備えたものである。回線I/F部22は、4つのラインポートL1、L2、L3、L4のそれぞれに対応する回線I/F回路22(1)、22(2)、22(3)、22(4)を備えたものである。また、回線I/F部24は、4つのラインポートL5、L6、L7、L8のそれぞれに対応する回線I/F回路24(1)、24(2)、24(3)、24(4)を備えたものである。
【0051】
また、コーデック部21は、2つのコーデック21(1)、21(2)を備えている。コーデック21(1)は、回線I/F回路22(1)、22(2)に対するものであり、コーデック21(2)は、回線I/F回路22(3)、22(4)に対するものである。また、コーデック部23は、2つのコーデック23(1)、23(2)を備えている。コーデック23(1)は、回線I/F回路24(1)、24(2)に対するものであり、コーデック23(2)は、回線I/F回路24(3)、24(4)に対するものである。
【0052】
そして、図2に示すように、コーデック部21、23の各コーデック21(1)、21(2)、23(1)、23(2)のそれぞれが、制御ラインを通じてCPU10に接続されている。これにより、制御部10は、コーデック部21、23の各コーデック21(1)、21(2)、23(1)、23(2)のそれぞれを制御することができる。
【0053】
また、CPU10は、各コーデック21(1)、21(2)、23(1)、23(2)を通じて、回線I/F回路22(1)、22(2)、22(3)、22(4)、回線I/F24(1)、22(2)、22(3)、22(4)のそれぞれを制御することもできるようにしている。
【0054】
そして、この実施の形態のゲートウェイ装置1において、コーデック21(1)、21(2)、23(1)、23(2)のそれぞれは、コーデック機能(A/D変換機能、D/A変換機能)、CPU10との制御データのI/F機能(CPUI/F機能)、CPU10との音声データのI/F機能(PCMI/F機能)、回線I/F回路とのI/F機能、及び、トーン生成/トーン検出機能を有するものである。
【0055】
また、回線I/F回路22(1)、22(2)、22(3)、22(4)、回線I/F回路24(1)、22(2)、22(3)、22(4)のそれぞれは、給電機能、リンギング機能、極性反転機能、フック検出機能などの回線I/F機能を有するものである。
【0056】
[複数の着信の同時受付について]
そして、上述もしたように、この実施の形態のゲートウェイ装置1のCPU10は、WANポート11を通じて、電話通信用の複数の着信を同時に受け付けて、複数の電話回線を同時に接続するようにすることができるものである。ここでは、発生頻度の高い、2つの着信が同時に発生した場合について考える。
【0057】
2つの着信が同時に発生した場合に、そのそれぞれの着信を使用者に適切に通知できるようにするために、同じ鳴動タイミングの鳴動信号を生成して、異なるラインポートに送出するようにすると、図6を用いて説明したように、瞬間的な消費電流が大きくなる場合があり、ゲートウェイ装置1に負荷がかかるなど好ましい状態ではない。
【0058】
このため、図7を用いて説明したように、鳴動タイミングの異なる鳴動信号を用いるようにすることも考えられる。しかし、同時に着信したものであれば、できれば同時に通知できるようにしたほうが望ましい。
【0059】
そこで、この実施の形態のゲートウェイ装置1においては、同時に2つの着信が発生した場合には、ラインポート部20において、CPU10の制御に応じて、鳴動タイミングは同じであるが、位相が相互に90度異なる鳴動信号を発生させて、異なるラインポートに送出することができるようにしている。
【0060】
[位相の異なる鳴動信号を発生させるための構成について]
図3は、位相が相互に90度異なる鳴動信号を発生させるラインポート部20の構成について説明するための図である。図2に示したように、ラインポート部20は、コーデック部21、回線I/F部22、ラインポートL1〜L4からなる部分と、コーデック部23、回線I/F部24、ラインポートL5〜L8からなる部分とからなっている。
【0061】
そして、ラインポート部20において、コーデック部21、回線I/F部22、ラインポートL1〜L4からなる部分と、コーデック部23、回線I/F部24、ラインポートL5〜L8からなる部分とは、同様に構成される部分である。そこで、以下においては説明を簡単にするため、コーデック部21、回線I/F部22、ラインポートL1〜L4からなる部分の構成について説明する。
【0062】
図2を用いて説明し、また、図3にも示すように、各ラインポートL1、L2、L3、L4に対応して、回線I/F回路22(1)、22(2)、22(3)、22(4)が設けられている。そして、回線I/F回路22(1)、22(2)には、コーデック21(1)が設けれ、回線I/F回路22(3)、22(4)には、コーデック21(2)が設けられている。
【0063】
そして、回線I/F回路22(1)、22(2)、22(3)、22(4)のそれぞれは、鳴動信号(リンガ電圧)発生部221(1)、221(2)、221(3)、221(4)を備えている。これら鳴動信号(リンガ電圧)発生部221(1)、221(2)、221(3)、221(4)のそれぞれは、図7を用いて説明したように、1秒鳴動、2秒鳴動停止といったサイクルで変化する鳴動信号(リンガ電圧)を形成するものである。
【0064】
そして、この実施の形態の形態のゲートウェイ装置1において、回線I/F回路22(1)の鳴動信号発生部221(1)は、基準位相の鳴動信号を発生させるものである。すなわち、鳴動信号発生部221(1)は、基準位相に対してずれの無い(ずれが0度である)鳴動信号を発生させるものである。
【0065】
また、回線I/F回路22(2)の鳴動信号発生部221(2)は、基準位相に対して位相が90度ずれた鳴動信号を発生させるものである。すなわち、鳴動信号発生部221(2)は、鳴動信号発生部221(1)で発生させる鳴動信号とは位相が相互に90度異なる鳴動信号を発生させるものである。なお、この実施の形態において、鳴動信号発生部221(2)は、基準位相に対して90度遅れた鳴動信号を発生させるようにしている。
【0066】
また、回線I/F回路22(3)の鳴動信号発生部221(3)は、上述した回線I/F回路22(1)の鳴動信号発生部221(1)と同様に、基準位相の鳴動信号を発生させるものである。すなわち、鳴動信号発生部221(3)は、基準位相に対してずれの無い(ずれが0度である)鳴動信号を発生させるものである。
【0067】
また、回線I/F回路22(4)の鳴動信号発生部221(4)は、上述した回線I/F回路22(2)の鳴動信号発生部221(2)と同様に、基準位相の鳴動信号に対して、位相が90度ずれた鳴動信号を発生させるものである。すなわち、鳴動信号発生部221(4)は、鳴動信号発生部221(3)で発生させる鳴動信号とは位相が相互に90度異なる鳴動信号を発生させるものである。なお、この実施の形態において、鳴動信号発生部221(4)は、基準位相に対して90度遅れた鳴動信号を発生させるようにしている。
【0068】
このように、この実施の形態のゲートウェイ装置1においては、回線I/F回路22(1)、22(3)において、基準位相に一致した鳴動信号を発生させ、回線I/F回路22(2)、22(4)において、基準位相に対して90度ずれた鳴動信号を発生させると言うように、固定的に決められているものとする。なお、この実施の形態にゲートウェイ装置1において、どの回線I/F回路において、どのような位相の鳴動信号を発生させるかは、コーデック21(1)、22(2)からの設定値によって決められる。
【0069】
そして、ラインポートL1、L2、L3、L4に接続されたいずれの電話通信用機器も使用されていない状態にあるときに、この実施の形態のゲートウェイ装置1に2つの着信が同時に発生すると、CPU10は、例えば、ラインポートL1とラインポートL2に鳴動信号を送出することを、ラインポート部20のコーデック21(1)に指示する。
【0070】
コーデック21(1)は、CPU10からの指示に応じて、回線I/F回路22(1)と、回線I/F回路22(2)とに対して、鳴動信号を発生させて送出することを指示する。これに応じて、回線I/F回路22(1)においては、自己の鳴動信号発生部221(1)において、基準位相の鳴動信号を発生させてラインポートL1に送出し、同時に、回線I/F回路22(2)においては、自己の鳴動信号発生部221(2)において、基準位相に対して90度ずれた鳴動信号を発生させてラインポートL2に送出する。
【0071】
これにより回線I/F回路22(1)から送出される鳴動信号と、回線I/F回路22(2)から送出される鳴動信号とは、相互に位相が90度ずれたものであるので、信号のピークが重なりあうことが無く、瞬間的な消費電流の増大を防止することができる。
【0072】
図4は、鳴動タイミングは同じであるが、位相が相互に90度ずれるようにされた鳴動信号を同時に出力するようにした場合の消費電流の変化について説明するための図である。図4に示した例の場合、例えば、図4Aに示した波形が、回線I/F回路21(1)で発生するようにされた鳴動信号(リンガ電圧)の波形であり、図4Bに示した波形が、回線I/F回路21(2)で発生するようにされた鳴動信号(リンガ電圧)の波形である。
【0073】
図4Aの波形と図4Bの波形とを比較すると分かるように、双方の波形は、相互に位相が90度ずれたものであるのでピークが重なり合うことが無い。したがって、図4Cに示すように、消費電流が瞬間的に大きくなるような場合は発生せず、消費電流の大きさは、鳴動時において、比較的に低く、ほぼ一定となる。
【0074】
なお、ここでは、ラインポートL1、L2、L3、L4のいずれに接続された電話通信用機器が用いられていない場合を例にして説明した。しかし、実際には、ラインポートL1、L2、L3、L4のいずれかに接続された電話端末が、通話に用いられている場合もある。この場合、どのラインポートに接続された電話端末が用いられているのかは、CPU10によって把握されている。
【0075】
このため、CPU10は、通信に用いられていない、空いているラインポートに鳴動信号を送出するように、コーデック21(1)、22(2)を制御する。例えば、図3に示した例の場合に、ラインポートL1に接続された電話端末が電話通信を行っており、その他のラインポートが空いている場合について考える。
【0076】
この場合の第1の方法として、CPU10は、コーデック21(1)を制御して回線I/F回路22(2)に基準位相に対して90度ずれた鳴動信号を発生させて、これをラインポートL2に送出すると共に、同時に、コーデック21(2)を制御して回線I/F回路22(3)に基準位相の鳴動信号を発生させて、これをラインポートL3に送出するようにする。
【0077】
また、第2の方法として、CPU10は、コーデック21(2)を制御して回線I/F回路22(3)に基準位相の鳴動信号を発生させて、これをラインポートL3に送出すると共に、同時に、回線I/F回路22(4)に基準位相に対して90度ずれた鳴動信号を発生させて、これをラインポートL4に送出するようにする。
【0078】
これら第1、第2のいずれかの方法を用いることにより、この例の場合には、鳴動タイミングは同じであるが、位相が相互に90度ずれた2つの鳴動信号を同時に発生させ、これらを異なるラインポートに送出することができる。この場合には、2つの鳴動信号と消費電流の関係は、図4に示した通りとなり、瞬間的な消費電流の増大を防止しつつ、同時に発生した2つの着信のそれぞれを適切に使用者に通知することができるようにされる。
【0079】
また、ラインポートL2が使用されている場合には、ラインポートL1とラインポートL4、あるいは、ラインポートL3とラインポートL4とが用いられるというように、空いているラインポートの中から位相が相互に90度異なる鳴動信号を出力するラインポートを特定し、そのラインポートのコーデックを介して、回線I/F回路を制御することになる。
【0080】
また、ラインポート部20のコーデック23、回線I/F部24、ラインポートL5、L6、L7、L8からなる部分も、図3を用いて説明したコーデック23、回線I/F部24、ラインポートL5、L6、L7、L8からなる部分と同様に構成される。したがって、電話通信に利用されているラインポートが複数あっても、8つのラインポートL1〜L8を考慮することによって、より柔軟に位相が相互に90度異なる鳴動信号を出力するラインポートを選択することができるようにされる。
【0081】
[同時に2つより多くの着信が発生した場合を考慮した対応]
ところで、上述したように、鳴動タイミングは同じであるが、位相が相互に90度異なる鳴動信号を用いるようにすることによって、同時に2つの着信が発生した場合であっても、瞬間的に消費電電流を増大させること無く、2つの着信のそれぞれを遅延させること無く通知することが可能である。
【0082】
しかし、発生する確率は低くなるが、ゲートウェイ装置1において、3つの着信が同時に発生する可能性もある。この場合、位相が相互に90度異なる鳴動信号を用いるようにしても、2つの鳴動信号のピークが一致してしまうので、瞬間的に消費電流が増大する場合が発生してしまう。そこで、位相が互いに90度異なる鳴動信号を用いると共に、鳴動タイミングの異なる鳴動信号をも用いるようにすることを考える。
【0083】
図5は、位相が互いに90度異なる鳴動信号を用いると共に、鳴動タイミングの異なる鳴動信号をも用いるようにしたラインポート20の構成を説明するための図である。上述もしたように、ラインポート部20は、コーデック部21、回線I/F部22、ラインポートL1〜L4からなる部分と、コーデック部23、回線I/F部24、ラインポートL5〜L8からなる部分とからなり、これらの部分は同様に構成される。このため、この例の場合にも、説明を簡単にするため、コーデック部21、回線I/F部22、ラインポートL1〜L4からなる部分の構成について説明する。
【0084】
図5に示すように、各ラインポートL1、L2、L3、L4に対応して、回線I/F回路22(1)、22(2)、22(3)、22(4)が設けられ、また、回線I/F回路22(1)、22(2)には、コーデック21(1)が設けれ、回線I/F回路22(3)、22(4)には、コーデック21(2)が設けられている構成は、図2、図3を用いて説明した通りである。
【0085】
そして、この例の場合においても、回線I/F部22(1)、22(2)、22(3)、22(4)のそれぞれの鳴動信号発生部221(1)、221(2)、221(3)、221(4)においては、図7を用いて説明したように、1秒鳴動、2秒鳴動停止といったサイクルで変化する鳴動信号(リンガ電圧)を形成するものである。
【0086】
そして、図5に示すこの例の場合、回線I/F回路22(1)の鳴動信号発生部221(1)は、図3に示した鳴動信号発生部221(1)の場合と同様に、基準位相の鳴動信号(基準位相に対してずれの無い(ずれが0度である)鳴動信号)を発生させるものである。また、回線I/F回路22(2)の鳴動信号発生部221(2)においては、図3に示した鳴動信号発生部221(2)の場合と同様に、基準位相に対して位相が90度ずれた鳴動信号を発生させる。
【0087】
これに対して、回線I/F回路22(3)の鳴動信号発生部(3)は、基準位相の鳴動信号(基準位相に対してずれの無い(ずれが0度である)鳴動信号)であるが、鳴動信号発生部221(1)、221(2)の鳴動信号の鳴動タイミングよりも、1秒遅延した鳴動タイミングの鳴動信号を発生させる。また、回線I/F回路22(4)の鳴動信号発生部(4)は、基準位相に対して90度遅れた鳴動信号であるが、鳴動信号発生部221(1)、221(2)の鳴動信号の鳴動タイミングよりも、1秒遅延した鳴動タイミングの鳴動信号を発生させる。
【0088】
したがって、図5に示した構成において、回線I/F回路221(1)の鳴動信号発生部221(1)と、回線I/F回路221(3)の鳴動信号発生部221(3)とは、共に、基準位相の鳴動信号を発生させるものであるが、鳴動タイミングが図7を用いて説明したように異なるタイミングとなるものである。
【0089】
また、回線I/F回路221(2)の鳴動信号発生部221(2)と、回線I/F回路221(4)の鳴動信号発生部221(4)とは、共に、基準位相に対して90度ずれた鳴動信号を発生させるものであるが、鳴動タイミングが図7を用いて説明したように異なるタイミングとなるものである。
【0090】
これにより、ピークが重なりあうことがなく、消費電流を比較的に低く、常時一定に保つことができるようにして、最大4つの異なる鳴動信号を同時に発生させることができるようにされる。したがって、4つのラインポートL1、L2、L3、L4のいずれも使用されていない状態にある場合には、4つの着信が同時に発生しても、ピークが重なりあうことが無いようにして、異なるラインポートに鳴動信号を供給し、異なるラインポートに接続された電話通信用機器を通じて、同時に発生した4つの着信のそれぞれをユーザーに対して適切に通知することができるようにされる。
【0091】
なお、図5に示した構成は一例である。したがって、例えば、鳴動信号発生部221(1)では、基準位相の鳴動信号(基準位相に対してずれの無い(ずれが0度である)鳴動信号)を発生させ、鳴動信号発生部221(2)では、基準位相の鳴動信号(基準位相に対してずれの無い(ずれが0度である)鳴動信号)であるが、鳴動信号発生部221(1)で発生させた鳴動信号とは鳴動タイミングが異なる鳴動信号を発生させるようにする。
【0092】
また、鳴動信号発生部221(3)では、基準位相に対して位相が90度ずれた鳴動信号を発生させ、鳴動信号発生部221(4)では、基準位相に対して位相が90度ずれた鳴動信号であるが、鳴動信号発生部221(1)で発生させた鳴動信号とは鳴動タイミングが異なる鳴動信号を発生させるようにする。
【0093】
このように、同じコーデックに接続された回線I/F回路において、同じ位相の鳴動信号であるが、鳴動タイミングが異なる鳴動信号を発生させるようにし、かつ、コーデックが異なる回線I/F回路では、位相が相互に90度異なる鳴動信号を発生させるようにしてもよい。
【0094】
また、ラインポート部20のコーデック23、回線I/F部24、ラインポートL5、L6、L7、L8からなる部分も、図5を用いて説明したコーデック21、回線I/F部22、ラインポートL1、L2、L3、L4からなる部分と同様に構成される。したがって、電話通信に利用されているラインポートが複数あっても、8つのラインポートL1〜L8を考慮することによって、より柔軟にピークが重なりあうことの無いように、位相や鳴動タイミングの異なる鳴動信号を発生させることができるようにされる。
【0095】
[変形例]
上述した実施の形態の携帯端末装置1においては、図3、図5に示したように、各ラインポートL1〜L4のそれぞれ毎に設けられる回線I/F回路22(1)〜22(4)のそれぞれに、鳴動信号発生部221(1)〜221(4)を設けるようにした。しかしこれに限るものではない。
【0096】
例えば、各回線I/F回路のそれぞれに鳴動信号発生部を設けるのではなく、共通に用いられる鳴動信号発生部であって、基準位相の鳴動信号を発生させる第1の鳴動信号発生部と、基準位相に対して位相が90度ずれた鳴動信号を発生させる第2の鳴動信号発生をゲートウェイ装置1内に設けるようにする。
【0097】
そして、同時に2つの着信が発生した場合に、CPU10の制御により、第1、第2の鳴動信号発生部で発生させた位相が相互に90度異なる鳴動信号を供給する(足し込む)ラインポートを選択して切り替えるようにする。例えば、第1の鳴動信号発生部で発生させた鳴動信号は、ラインポートL1に供給し、第2の鳴動信号発生部で発生させた鳴動信号は、ラインポートL2に供給すると言うように、鳴動信号の供給先をCPU10の機能により切り替えるようにする。
【0098】
このように、第1、第2の鳴動信号発生部で発生させる鳴動信号の供給先を、CPU10において実行させるソフトウェアによって切り替えられるようにすることにより、鳴動信号発生部の数を最小限に抑えることが可能となる。
【0099】
なお、位相と鳴動タイミングとの両方を考慮する場合には、基準位相の鳴動信号を発生させる第1の鳴動信号発生部と、基準位相に対して位相が90度ずれた鳴動信号を発生させる第2の鳴動信号発生に加えて、基準位相の鳴動信号であるが、鳴動タイミングが第1の鳴動信号発生部で発生させる鳴動タイミングと異なる鳴動タイミングの鳴動信号を発生させる第3の鳴動信号発生部と、基準位相に対して位相が90度ずれた鳴動信号であるが、鳴動タイミングが第2の鳴動信号発生部で発生させる鳴動タイミングと異なる鳴動タイミングの鳴動信号を発生させる第4の鳴動信号発生を設ける。そして、これら第1〜第4の鳴動信号発生部で発生させる鳴動信号の供給先を異ならせるように制御することにより、図5を用いて説明した場合と同様に、4つの着信が同時に発生した場合であっても、これに対応することもできる。
【0100】
[その他]
なお、鳴動信号のピークが重なりあうことが無いようにすればよいのであれば、例えば、45度、60度のように、90度より小さなずれを生じさせるようにしてもよいし、135度、150度のように、90度より大きなずれを生じさせるようにしてもよい。しかし、消費電流を常時、比較的に低い状態で一定に保つようにするためには、位相が相互に90度ずれている場合が一番効率がよい。
【0101】
したがって、例えば、位相の相互のずれが、88度、89度、91度、92度などのように、90度近傍の場合にも、また、80度、100度など、90度に対してややずれ場合であっても、位相が相互に90度ずれた鳴動信号を同時に発生させた場合とほぼ同程度のレベルに消費電流を一定に保つことができる場合には、それらの位相のずれは、90度と同様であるとみなすことができる。
【0102】
なお、上述した実施の形態においては、ラインポートが8ポートであるゲートウェイ装置1にこの発明を適用した場合を例にして説明したが、ラインポートの数は、8ポートに限るものではない。4ポートであっても、12ポートであってもこの発明を適用することができる。すなわち、この発明は、ラインポートが2つ以上あるゲートウェイ装置などに適用可能である。
【0103】
また、上述した実施の形態においては、この発明をゲートウェイ装置に適用した場合を例にして説明した。しかし、これに限るものではない。例えば、構内電話交換網を構築する場合に用いるいわゆる主装置などにも適用することができる。すなわち、この発明は、広域ネットワークからの複数の着信を同時に受け付けて、これらに応じた鳴動信号を形成して異なるラインポートに送出する種々の電話通信用機器に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】この発明の一実施の形態が適用されたゲートウェイ装置が用いられて形成される通信システムの一例を説明するための図である。
【図2】実施の形態のゲートウェイ装置1の構成例を説明するためのブロック図である。
【図3】位相が相互に90度異なる鳴動信号を発生させるラインポート部20の構成について説明するための図である。
【図4】鳴動タイミングは同じであるが、位相が相互に90度ずれるようにされた鳴動信号を同時に出力するようにした場合の消費電流の変化について説明するための図である。
【図5】位相が互いに90度異なる鳴動信号を用いると共に、鳴動タイミングの異なる鳴動信号をも用いるようにしたラインポート20の構成を説明するための図である。
【図6】鳴動タイミングが同じ鳴動信号を発生させた場合の消費電流の変化について説明するための図である。
【図7】鳴動タイミングが異なる2つの鳴動信号を送出する場合について説明するための図である。
【符号の説明】
【0105】
1…ゲートウェイ装置、10…CPU、11…WANポート、12…I/F、13…LANポート、14…I/F、15…メモリー部、16…LED部、17…初期化スイッチ、18…時計回路、19…I/F、20…ラインポート部、21、23…コーデック、21(1)、21(2)…コーデック、23(1)、23(2)…コーデック、22、24…回線I/F部、22(1)〜22(4)…回線I/F回路、24(1)〜24(4)…回線I/F回路、L1〜L8…ラインポート、221(1)〜221(4)…鳴動信号発生部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話通信用の複数の回線が接続可能な通信インターフェース手段と、
電話通信用機器が接続されるアナログ電話通信用の複数個の接続端と、
位相が互いに90度異なる第1及び第2の鳴動信号を発生する鳴動信号発生手段と、
前記通信インターフェース手段を通じて、同時に複数の着信を受け付けた場合に、前記第1の鳴動信号と前記第2の鳴動信号とを、異なる接続端から出力するように制御する制御手段と
を備えることを特徴とする鳴動信号生成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の鳴動信号生成装置であって、
前記鳴動信号発生手段は、前記複数個の接続端のうちの一部のそれぞれ毎に設けられ、前記第1の鳴動信号を発生する第1鳴動信号発生部と、前記複数個の接続端の残りのもののそれぞれに設けられ、前記第2の鳴動信号を発生する第2鳴動信号発生部とからなることを特徴とする鳴動信号生成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の鳴動信号生成装置であって、
前記第1鳴動信号発生部は複数個存在するものであり、そのうちの一部の第1鳴動信号発生部と、残りの第1鳴動信号発生部とでは、鳴動タイミングの異なる第1の鳴動信号を発生させ、
前記第2鳴動信号発生部は複数個存在するものであり、そのうちの一部の第2鳴動信号発生部と、残りの第2鳴動信号発生部とでは、鳴動タイミングの異なる第2の鳴動信号を発生させることを特徴とする鳴動信号生成装置。
【請求項4】
電話通信用の複数の回線が接続可能な通信インターフェース手段と、電話通信用機器が接続されるアナログ電話通信用の複数個の接続端とを備えた通信機器において用いられる鳴動信号生成方法であって、
前記通信インターフェース手段を通じて、同時に複数の着信を受け付けた場合に、鳴動信号発生手段が、位相が互いに90度異なる第1及び第2の鳴動信号を発生させて、異なる前記接続端から出力するようにすることを特徴とする鳴動信号生成方法。
【請求項5】
請求項4に記載の鳴動信号生成方法であって、
前記鳴動信号発生手段は、前記複数個の接続端のうちの一部のそれぞれ毎に設けられ、前記第1の鳴動信号を発生する第1鳴動信号発生部と、前記複数個の接続端の残りのもののそれぞれに設けられ、前記第2の鳴動信号を発生する第2鳴動信号発生部とからなることを特徴とする鳴動信号生成方法。
【請求項6】
請求項5に記載の鳴動信号生成方法であって、
前記第1鳴動信号発生部は複数個存在するものであり、そのうちの一部の第1鳴動信号発生部と、残りの第1鳴動信号発生部とでは、鳴動タイミングの異なる第1の鳴動信号を発生させ、
前記第2鳴動信号発生部は複数個存在するものであり、そのうちの一部の第2鳴動信号発生部と、残りの第2鳴動信号発生部とでは、鳴動タイミングの異なる第2の鳴動信号を発生させることを特徴とする鳴動信号生成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−239557(P2009−239557A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−82332(P2008−82332)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(304020498)サクサ株式会社 (678)
【Fターム(参考)】