説明

麺皮類の製造システム

【課題】 麺皮の製造における一連の作業を、自動的に円滑にかつ衛生的に行うことができる麺皮類の製造システムの提供。
【解決手段】 麺皮の生地を圧延し所定の長さで適宜の数枚に折り畳まれた麺帯W1を移送する第1の搬送コンベヤ2と、該コンベヤと同一搬送ライン上において麺帯を所定の形状に打ち抜いて製品となる麺皮を得る打ち抜き手段3に対向して設置された第2の搬送コンベヤ4と、第2のコンベヤと所定の間隔をおいて配設され残皮となる麺帯W2を次工程に移送する第3の搬送コンベヤ5と、第2のコンベヤと第3のコンベヤとの間に配設され麺皮を搬送ラインから取出す取出し手段6と、取出し手段の下方に配設され麺皮Yを受取って次工程に移送する第4の搬送コンベヤ7とからなり、取出し手段は、常には前記搬送ラインと同一面上に位置され取出し時に下方に傾動して麺皮のみを受けながら下方の第4の搬送コンベヤ上に落下させるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、餃子、ワンタン、春巻等の皮として使用される麺皮(本明細書では、これらを総称して麺皮類または単に麺皮という。)の製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種の麺皮類の製造にあっては、小麦粉等に水等(塩や油を添加する)を加えて混合攪拌した生地を圧延して所定の幅まで薄くした麺帯を搬送コンベヤ上において所定の長さでかつ適宜の数枚に折り畳み、該折り畳まれた麺帯に対し所定の形状の打ち抜き型を備えた打ち抜き装置によって一度に多数個を打ち抜き、その後、打ち抜き装置における打ち抜き型により打ち抜かれて製品となる麺皮と残皮とに分離、分別して該製品となる麺皮を包装ラインに移送するとともに、残皮を回収ラインに移送するようにして製造されるものであった。
そして、上記の麺皮と残皮との分離、分別する従来の一手段にあっては、麺帯に対する製品となる所定形状の麺皮の打ち抜き工程において、その打ち抜き型の下方に麺帯の搬送ラインに位置されかつ昇降動可能な搬送コンベヤを対設し、この搬送コンベヤ上に折り畳まれた麺帯を搬送するとともに、該搬送コンベヤ上の麺帯を一列の打ち抜き型により打ち抜き、その後、該搬送コンベヤを前記搬送ライン上から下方に降下させて、その残皮を搬送ライン上に残した状態で前記打ち抜かれて製品となる麺皮を該搬送ライン上から下方に移動することによって、麺皮を次工程の包装ラインに移送し、残皮を搬送ライン上から回収ラインに移送するように構成されている。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
【特許文献1】特開2002−330692号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来の装置にあっては、搬送コンベヤを前記搬送ライン上から下方に降下させて、その残皮を搬送ライン上に残した状態で前記打ち抜かれて製品となる麺皮を該搬送ライン上から下方に移動するものであるため、その搬送コンベヤの上下動と打ち抜き型の打ち抜き動作との動作タイミングの調整が面倒であり、麺帯から製品となる麺皮を打ち抜く作業、該製品となる打ち抜かれた麺皮を残皮となる麺帯から分離する作業、この分離された製品となる麺皮と残皮となる麺帯とをそれぞれ独立して次工程に移送する作業の一連の作業の円滑化を阻害するものであった。
そこで、本発明は、複数枚の麺帯から製品となる麺皮を打ち抜く作業、該製品となる打ち抜かれた麺皮を残皮となる麺帯から分離する作業、この分離された製品となる麺皮と残皮となる麺帯とをそれぞれ独立して次工程に移送する作業の一連の作業を、手作業を用いることなく、自動的かつ円滑にそして衛生的に行うことができる麺皮類の製造システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した課題は、各請求項記載の発明によって解決される。
請求項1記載の発明は、麺皮の生地を圧延して所定の幅まで薄くしかつ折り畳み手段により所定の長さで適宜の数枚に折り畳まれた麺帯を移送する第1の搬送コンベヤと、この第1の搬送コンベヤと同一搬送ライン上において麺帯を所定の形状に打ち抜いて製品となる麺皮を得る打ち抜き手段に対向して設置された第2の搬送コンベヤと、前記第1の搬送コンベヤ及び第2のコンベヤと同一搬送ライン上でかつ該第2の搬送コンベヤと所定の間隔をおいて配設され残皮となる麺帯を次工程に移送する第3の搬送コンベヤと、前記第2の搬送コンベヤと第3の搬送コンベヤとの間に配設され製品となる麺皮を前記搬送ラインから取出す取出し手段と、この取出し手段の下方に配設されかつ該取出し手段からの麺皮を受取って次工程に移送する第4の搬送コンベヤとからなり、前記取出し手段は、常には前記搬送ラインと同一面上に位置され取出し時に下方に傾動して麺皮のみを受けながら下方の第4の搬送コンベヤ上に落下させるように構成したことを要旨とするものである。
【0006】
この発明によれば、複数枚の麺帯から製品となる麺皮を打ち抜く作業、該製品となる打ち抜かれた麺皮を残皮となる麺帯から分離する作業、この分離された製品となる麺皮と残皮となる麺帯とをそれぞれ独立して次工程に移送する作業の一連の作業を、手作業を用いることなく、自動的に円滑かつ衛生的に行うことができる。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の麺皮類の製造システムであって、前記折り畳み手段は、第1の搬送コンベヤ上に対向して設置され、該第1の搬送コンベヤ上にその移送方向に沿って麺帯を所定の長さで適宜の数枚に積層状態で折り畳むとともに、この麺帯の折り畳みに際して、該麺帯の表裏に対し澱粉等の剥離剤を塗布する塗布手段を付設したことを要旨とする。
【0008】
この発明によれば、折り畳まれた麺体のどうしの剥離性及び打ち抜き時の打ち抜き型との剥離性を良化することができる。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1記載または2記載の麺皮類の製造システムであって、前記第2の搬送コンベヤに対向された打ち抜き手段は、麺帯の移送方向に対して少なくとも2列の複数列でかつその一つの列に麺帯の幅方向に対して複数個の打ち抜き型を備え、前記第2の搬送コンベヤ上において麺帯に対し一度に打ち抜き動作をなすよう構成されていることを要旨とする。
【0010】
この発明によれば、麺帯における定められた長さ及び横幅に対し、可及的に多くの枚数の麺皮を打ち抜くことができる。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の麺皮類の製造システムであって、打ち抜き手段の打ち抜き型は、円形状の打ち抜き型でかつ複数列のそれぞれの列にあって3以上の奇数個または/および2以上の偶数個として互い違い状に配設したことを要旨とする。
【0012】
この発明によれば、麺帯における定められた長さ及び横幅に対し、歩留まりをよくした高効率の枚数で麺皮を打ち抜くことができる。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項3記載の麺皮類の製造システムであって、打ち抜き手段の打ち抜き型は、方形状の打ち抜き型でかつ複数列のそれぞれの列にあって3以上の奇数個または2以上の偶数個として連続状に配設したことを要旨とする。
【0014】
この発明によれば、麺帯における定められた長さ及び横幅に対し、歩留まりをよくした高効率の枚数で麺皮を打ち抜くことができる。
【0015】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし3記載のいずれか1の請求項記載の麺皮類の製造システムであって、前記取出し手段は打ち抜かれた麺皮を一列ずつ第4の搬送コンベヤに落下させ、該第4のコンベヤは該麺皮を弾性的に受取るように構成されていることを要旨とする。
【0016】
この発明によれば、打ち抜かれた麺皮を麺帯から分離し、同麺皮のみを次工程への移送をなす第4の搬送コンベヤに円滑にかつ確実に受け渡すことができるとともに、該第4の搬送コンベヤにおいて積層状態の麺皮を型崩れを起こすことなく、受取ることができる。
【0017】
請求項7記載の発明は、請求項1ないし3及び6記載のいずれか1の請求項記載の麺皮類の製造システムであって、前記第2及び第3の搬送コンベヤは、麺帯に対する麺皮の打ち抜き列方向に対しその麺皮の打ち抜きピッチ間隔で間欠駆動するように構成されていることを要旨とする。
【0018】
この発明によれば、打ち抜かれた麺皮を麺帯から分離する動作と、打ち抜き型による打ち抜き動作とを、麺帯の移送動作に合わせてタイミングよく設定することができ、該一連の作業として無駄なく円滑に行うことができる。
【0019】
請求項8記載の発明は、請求項1ないし3及び6、7記載のいずれか1の請求項記載の麺皮類の製造システムであって、前記残皮を移送する第3の搬送コンベヤは、前記取出し手段における麺皮の取り出し時の傾動動作に同期して前記打ち抜きピッチずつ移送駆動されることを要旨とする。
【0020】
この発明によれば、第3の搬送コンベヤにより製品となる麺皮が打ち抜かれて残皮となる麺帯、すなわち、残皮のみを確実に次工程に移送することができる。
【0021】
請求項9記載の発明は、請求項1ないし3及び6ないし8記載のいずれか1の請求項記載の麺皮類の製造システムであって、前記第3の搬送コンベヤの上部には、該第3の搬送コンベヤ上の残皮を所望の状態に切断する切断手段を付設したことを要旨とする。
【0022】
この発明によれば、第3の搬送コンベヤ上の残皮を切断手段により所望の状態に切断することによって、移送中の麺帯がその打ち抜き後の穴の変形(穴がほぼ小判状に変形)して打ち抜き前及び打ち抜き時の麺帯への悪影響を及ぼすことを未然に防止するとともに、打ち抜いた麺皮の取出し(落下)時の重ね状態の崩れを未然に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、本発明を実施するための最良の形態について、実施例にしたがって説明する。
【実施例】
【0024】
まず、本実施例における麺皮類の製造システムの概要について図1を参照して説明すると、麺皮の生地を圧延して所定の幅まで薄くした麺帯W1を所定の長さで適宜の数枚に折り畳む折り畳み手段1に下方に配置された第1の搬送コンベヤ2と、この第1の搬送コンベヤ2と同一搬送ライン上において麺帯W1を所定の形状に打ち抜いて製品となる麺皮Yを得る打ち抜き手段3に対向して設置された第2の搬送コンベヤ4と、前記第1の搬送コンベヤ2及び第2のコンベヤ4と同一搬送ライン上でかつ該第2の搬送コンベヤ4と所定の間隔をおいて配設され残皮となる麺帯W2を次工程、例えば、残皮の回収工程に移送する第3の搬送コンベヤ5と、前記第2の搬送コンベヤ4と第3の搬送コンベヤ5との間に配設され製品となる麺皮Yを前記搬送ラインから取出す取出し手段6と、この取出し手段6の下方に配設されかつ該取出し手段6からの麺皮Yを受取って次工程、例えば、製品の包装工程に移送する第4の搬送コンベヤ7とを主体として構成されている。なお、前記第2及び第3の搬送コンベヤ4、5は、麺帯W1に対する麺皮Yに打ち抜き列方向に対しその麺皮Yの打ち抜きピッチ間隔で間欠駆動するようにその駆動モータ(図示しない)の駆動を設定制御されている。
【0025】
前記折り畳み手段1は、図7に示すように、既存の移送された麺帯W1を両側から圧延する一対の圧延ローラ8と、該圧延ローラ8から移送された麺帯W1を波上に移送する上下複数段(図では3段を示す)のコンベヤ9〜11と、麺帯W1を所定の位置で切断する一対のカッター等の切断手段20を主体として構成され、駆動中の第1の搬送コンベヤ2上において所定の長さで適宜の数枚の積層上に折り畳むように構成されている。また、この折り畳み手段1における前記コンベヤ9〜11の所定の位置には麺帯W1の表裏に粉末状の澱粉等の剥離剤を散布する散布手段12、13が少なくとも2箇所に設備されている。
【0026】
前記打ち抜き手段3は、少なくとも2列以上の複数列(図では2列を示す)でかつ一列に複数個(図では1列目が3個の複数個、二列目が2個の偶数個を示す)の打ち抜き型3aが適宜駆動手段(図示しない)により上下動されように装備され、複数枚に折り畳まれた麺帯W1に対し第2の搬送コンベヤ4の駆動と調時して一度に打ち抜き動作するように構成されている。なお、打ち抜き型3aの形状は、円形の場合を示すものである。
【0027】
前記第2の搬送コンベヤ4の終端側及び第3の搬送コンベヤ5における始端側の上方には複数枚に折り畳まれた麺帯W1の最上面を下方側に押えるための押えローラ14、14がそれぞれ回転可能に装設されている。
【0028】
前記取出し手段6は、図5及び図6に示すように、多数列の細幅の無端状のベルト手段15〜15を主体として構成され、このベルト手段15〜15は前記からそれぞれ櫛刃状態で入れ違い状に配置されるとともに、その一端部がそれぞれ第2に搬送コンベヤ4の終端側及び第3の搬送コンベヤ5の始端側に配設された回転軸16,16に装設されている。
【0029】
この回転軸16、16はそれぞれ間欠回転駆動される駆動モータ17、17に連結されている。これにより、各ベルト手段15〜15が前記搬送ライン方向に間欠回転されて残皮となる麺帯W2を移送するもので、前記打ち抜き手段3の打ち抜き動作と調時して間欠回転駆動されるように構成されている。
【0030】
また、取出し手段6における各ベルト手段15〜15は、その入れ違い状に対向する他端側に対し下方両側から配設されたシリンダ手段からなる傾動装置18〜18のピストンロッド18aの端部が枢支されており、この傾動装置18〜18の進退動作により各ベルト手段15〜15が前記回転軸17、17を支点として互いに相反する方向に所定の範囲傾動可能に構成されている。
【0031】
しかして、取出し手段6における各ベルト手段15〜15は、麺帯W2の通常状態の移送時には前記搬送ラインと同一面上に位置され、麺皮Yの取出し時には下方に傾動されて搬送ラインの一部を開放するとともに、麺皮Yのみを受けながら下方の第4の搬送コンベヤ7上に落下させるものであり、この動作は前記第2の搬送コンベヤ4及び打ち抜き手段3の打ち抜き動作と調時して作動制御されるように設定されている。
【0032】
前記第4の搬送コンベヤ7は、そのベルトを案内するローラ部位にショックアブソーバ及びばね等から構成されるダンパー手段21が組込まれ、前記取出し手段6から落下される麺皮Yをそのベルト部位で弾性的に受け止める(受承)するように構成されている。これにより、打ち抜いた麺皮Yの取出し(落下)時の重ね状態の崩れを未然に防止するものである。
【0033】
なお、前記第3の搬送コンベヤ5の上方には、残皮となる麺帯W2を該所定の状態に裁断する切断装置22が装設されている。すなわち、この切断装置22は、該第3の搬送コンベヤ5上においてその移送方向と直交する方向に配置されたフレーム23と、該フレーム23に昇降動可能に装設された可動台24と、該可動台24を昇降動するための流体圧シリンダからなる作動手段25と、前記可動台24の下部に対し移送方向と直交する方向に装設された切断刃26とを主体として構成されている。そして、可動台23は、作動手段25の流体圧シリンダのピストンロッドが連結されて該ピストンロッドの上下方向の進退動により昇降動され、また、切断刃26は、平断面ほぼπ形状に形成されていて第3の搬送コンベヤ5上の残皮となる麺帯W2の対しその麺皮Yが打ち抜かれた残りの幅方向及び一列の麺皮Yの打ち抜き後の穴部位両側に対向して裁断するように構成されている。なお、作動手段25による切断動作は、前記取出し手段6の各ベルト手段15〜15における傾動(搬送ラインを開放する)動作と同期するように設定されている。これにより、残皮となる麺帯W2が第3の搬送コンベヤ5上において裁断されることにより、移動中の麺帯W2がその打ち抜き後の穴の変形(穴がほぼ小判状に変形)して打ち抜き前及び打ち抜き時の麺帯W1への悪影響を及ぼすことを未然に防止するとともに、打ち抜いた麺皮Yの取出し(落下)時の重ね状態の崩れを未然に防止するものである。
【0034】
上述のように構成された本実施例における麺皮類の製造システムにあっては、第1の搬送コンベヤ2上において、折り畳み手段1により麺皮の生地を圧延して所定の幅まで薄くした麺帯W1を所定の長さで適宜の数枚の積層状にその折り畳みにおける耳を揃えた状態で折り畳む。
そして、予め設定した枚数に折り畳まれると、その連続する麺帯W1を所定の部位で切断手段20により切断する。なお、この折り畳み枚数については、その折り畳み枚数が一包装状態の製品枚数とすることができる。
【0035】
この場合、折り畳み動作中において、麺帯W1の表裏には散布手段12、12により粉末状の澱粉等の剥離剤が散布されるものであり、製品となる各麺皮Yの一枚ずつの剥離性及び後述の打ち抜き型2aとの剥離性を良化向上することができる。
【0036】
次いで、第1の搬送コンベヤ2により前記麺帯W1を第2の搬送コンベヤ4上に移送し、麺皮の打ち抜きピッチ間隔で間欠駆動されている同第2の搬送コンベヤ4上において、少なくとも2列以上の複数列(図では2列を示す)でかつ一列に複数個(図では1列目が3個の奇数個、二列目が2個の遇数個を示す)の打ち抜き型3aを備えた打ち抜き手段3により、第2の搬送コンベヤ4の駆動と調時して一度に打ち抜いて製品となる麺皮Yを成形する。この打ち抜き状態を図2に示し、図示の状態においては、打ち抜き型2aを少なくとも2列以上の複数列(図では2列を示す)でかつ一列に多数個(図では1列目が3個の複数個、二列目が2個の偶数個を示す)に設定してあるため、麺帯における定められた長さ及び横幅に対し、歩留まりをよくした高効率の枚数で麺皮を打ち抜くことができる。
また、この状態は、製品となる麺皮Yと残皮となる麺帯W2がともに第2の搬送コンベヤ4上に位置されている。
【0037】
そして、図2〜図4に示すように、製品となる麺皮Yと残皮となる麺帯W2がともに第2の搬送コンベヤ4から麺皮の打ち抜きピッチ間隔で取出し手段6上に順に一列ずつ移送され、この取出し手段6において、各ベルト手段15〜15が傾動装置18、18により下方に傾動されて搬送ラインの一部を開放するとともに、一列の麺皮Yのみを残皮となる麺帯W2から分離して受けながら下方の第4の搬送コンベヤ7上に案内して落下させる。この場合、各ベルト手段15〜15は前記第2の搬送コンベヤ4及び打ち抜き手段3の打ち抜き動作と調時して制御される。
【0038】
また、第4の搬送コンベヤ7にはダンパー手段21が組込まれているため、前記取出し手段6から落下される麺皮Yをそのベルト部位で弾性的に受け止める(受承)ことができ、該打ち抜いた麺皮Yの取出し(落下)時の重ね状態の崩れを未然に防止することができる。
【0039】
なお、取出し手段6上の製品となる麺皮Yと残皮となる麺帯W2は、その最上面を下方側に押える押えローラ14、14により下方の取出し手段6側におさえられているので、その製品となる麺皮Yと残皮となる麺帯W2とを安定した状態で取出し手段6上に位置させることができる。
【0040】
次いで、第4の搬送コンベヤ7上の製品となる麺皮Yは、次工程の例えば、包装工程に移送されるものであり、取出し手段6における各ベルト手段15〜15の復帰傾動により、該各ベルト手段15〜15が搬送ラインと同一面上に位置された状態において、駆動モータ17、17の駆動により各ベルト手段15〜15が回転駆動され、残皮となる麺帯W2を第3の搬送コンベヤ5に移送し、該第3のコンベヤ5が、前記取出し手段6おける各ベルト手段15〜15の麺皮Y取り出し時の傾動動作に同期して打ち抜きピッチずつ移送駆動される。
【0041】
この場合、第3のコンベヤ5により移送される残皮となる麺帯W2は、前記取出し手段6の各ベルト手段15〜15における傾動(搬送ラインを開放する)動作と同期して作動される切断装置22の切断刃26により麺皮Yが打ち抜かれた残りの幅方向及び麺皮Yの打ち抜き後の穴両側に対向する部位が裁断された状態で移送される。
これにより、移送中の麺帯W2がその打ち抜き後の穴の変形(穴がほぼ小判状に変形)して打ち抜き前及び打ち抜き時の麺帯W1への悪影響を及ぼすことを未然に防止するとともに、打ち抜いた麺皮Yの取出し(落下)時の重ね状態の崩れを未然に防止することができる。
【0042】
そして、上記第3の搬送コンベヤ5により所定の形状に裁断された残皮となる麺帯W2が順次、次工程の回収工程、すなわち、チョッパー手段(図示しない)に移送されて該チョッパー手段により細かく裁断されるとともに、当初に塗布された澱粉等の剥離剤が回収され、再度の生地の成形工程に還元される。
ここに、製品となる麺皮Yと残皮となる麺帯W2とを自動的に完全に分離してそれぞれ独立して次工程に移送することができるものである。
【0043】
このように、麺帯を複数枚に折り畳む折り畳み作業、その複数枚の麺帯W1の表裏に澱粉等の剥離剤を散布する作業、該折り畳まれた複数枚の麺帯W1から製品となる麺皮Yを打ち抜く作業、該製品となる打ち抜かれた麺皮を残皮となる麺帯から分離する作業、この分離された製品となる麺皮と残皮となる麺帯とをそれぞれ独立して次工程に移送する作業の一連の作業を、手作業を用いることなく、自動的かつ円滑にそして衛生的に行うことができる。
【0044】
なお、本実施例にあっては、打ち抜き手段3の打ち抜き型3aによる打ち抜きの配列は、円形状の打ち抜き型3a形状でかつ複数列のそれぞれの列にあって一つ列を3以上の奇数個に、次の列を2以上の偶数個として互い違い状に配設した場合について説明したが、これに限定するものではなく、例えば、図10(a)に示すように、3以上の奇数個として互い違い状に配置する構成、図10(b)に示すように、方形状の打ち抜き型形状でかつ複数列のそれぞれの列にあって3以上の奇数個または2以上の偶数個として連続状に配置する構成とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施の形態を示す麺皮類の製造システムを略示する説明図である。
【図2】本発明の一実施の形態における麺帯に対する麺皮の打ち抜き態様を示す説明図である。
【図3】本発明の一実施の形態における取出し手段に対する打ち抜き麺皮の移送態様を示す説明図である。
【図4】同じく取出し手段に対する打ち抜き麺皮の移送態様を示す説明図である。
【図5】取出し手段を示す平面図である。
【図6】同じく取出し手段を示す側面図である。
【図7】本発明の一実施の形態における折り畳み手段を略示する説明図である。
【図8】残皮となる麺帯を裁断する切断装置の説明図である。
【図9】同じく切断装置の切断刃を示す説明図である。
【図10】(a)、(b)は、打ち抜き型による打ち抜き配列の別例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0046】
1 折り畳み手段
2 第1の搬送コンベヤ
3 打ち抜き手段
4 第2の搬送コンベヤ
5 第3の搬送コンベヤ
6 取出し手段
7 第4の搬送コンベヤ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
麺皮の生地を圧延して所定の幅まで薄くしかつ折り畳み手段により所定の長さで適宜の数枚に折り畳まれた麺帯を移送する第1の搬送コンベヤと、
この第1の搬送コンベヤと同一搬送ライン上において麺帯を所定の形状に打ち抜いて製品となる麺皮を得る打ち抜き手段に対向して設置された第2の搬送コンベヤと、
前記第1の搬送コンベヤ及び第2のコンベヤと同一搬送ライン上でかつ該第2の搬送コンベヤと所定の間隔をおいて配設され残皮となる麺帯を次工程に移送する第3の搬送コンベヤと、
前記第2の搬送コンベヤと第3の搬送コンベヤとの間に配設され製品となる麺皮を前記搬送ラインから取出す取出し手段と、この取出し手段の下方に配設されかつ該取出し手段からの麺皮を受取って次工程に移送する第4の搬送コンベヤとからなり、
前記取出し手段は、常には前記搬送ラインと同一面上に位置され取出し時に下方に傾動して麺皮のみを受けながら下方の第4の搬送コンベヤ上に落下させるように構成したことを特徴とする麺皮類の製造システム。
【請求項2】
請求項1記載の麺皮類の製造システムであって、前記折り畳み手段は、第1の搬送コンベヤ上に対向して設置され、該第1の搬送コンベヤ上にその移送方向に沿って麺帯を所定の長さで適宜の数枚に積層状態で折り畳むとともに、この麺帯の折り畳みに際して、該麺帯の表裏に対し澱粉等の剥離剤を塗布する塗布手段を付設したことを特徴とする麺皮類の製造システム。
【請求項3】
請求項1記載または2記載の麺皮類の製造システムであって、前記第2の搬送コンベヤに対向された打ち抜き手段は、麺帯の移送方向に対して少なくとも2列の複数列でかつその一つの列に麺帯の幅方向に対して複数個の打ち抜き型を備え、前記第2の搬送コンベヤ上において麺帯に対し一度に打ち抜き動作をなすよう構成されていることを特徴とする麺皮類の製造システム。
【請求項4】
請求項3記載の麺皮類の製造システムであって、打ち抜き手段の打ち抜き型は、円形状の打ち抜き型でかつ複数列のそれぞれの列にあって3以上の奇数個または/および2以上の偶数個として互い違い状に配設したことを特徴とする麺皮類の製造システム。
【請求項5】
請求項3記載の麺皮類の製造システムであって、打ち抜き手段の打ち抜き型は、方形状の打ち抜き型でかつ複数列のそれぞれの列にあって3以上の奇数個または2以上の偶数個として連続状に配設したことを特徴とする麺皮類の製造システム。
【請求項6】
請求項1ないし3記載のいずれか1の請求項記載の麺皮類の製造システムであって、前記取出し手段は打ち抜かれた麺皮を一列ずつ第4の搬送コンベヤに落下させ、該第4のコンベヤは該麺皮を弾性的に受取るように構成されていることを特徴とする麺皮類の製造システム。
【請求項7】
請求項1ないし3及び6記載のいずれか1の請求項記載の麺皮類の製造システムであって、前記第2及び第3の搬送コンベヤは、麺帯に対する麺皮の打ち抜き列方向に対しその麺皮の打ち抜きピッチ間隔で間欠駆動するように構成されていることを特徴とする麺皮類の製造システム。
【請求項8】
請求項1ないし3、6、7記載のいずれか1の請求項記載の麺皮類の製造システムであって、前記残皮を移送する第3の搬送コンベヤは、前記取出し手段における麺皮の取り出し時の傾動動作に同期して前記打ち抜きピッチずつ移送駆動されることを特徴とする麺皮類の製造システム。
【請求項9】
請求項1ないし3及び6ないし8記載のいずれか1の請求項記載の麺皮類の製造システムであって、前記第3の搬送コンベヤの上部には、該第3の搬送コンベヤ上の残皮を所望の状態に切断する切断手段を付設したことを特徴とする麺皮類の製造システム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−288273(P2006−288273A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−113324(P2005−113324)
【出願日】平成17年4月11日(2005.4.11)
【出願人】(593008748)株式会社豊製作所 (4)
【Fターム(参考)】