説明

黄色のジスアゾ顔料および有機顔料からなる顔料組成物

本発明は、式(I)のジスアゾ顔料、および有機橙色、赤色および紫色の顔料の群からの少なくとも1種を含有する顔料組成物に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、黄色のジスアゾ顔料、および有機橙色、赤色または紫色顔料からなる顔料組成物ならびに高分子材料の着色のためのこれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
有機高分子材料の着色に使用できる顔料は、性能特性に関する高い要求、例えば、易分散性、コーティングの使用に適した流動性、高い着色力、耐オーバーコーティング性、耐溶媒性、耐アルカリおよび耐酸性、耐光および耐候性、および色相の鮮やかさなど、を満たさなければならない。別の強く望まれることは、他の高分子系、例えば、プラスチックおよび印刷インクなどの着色に関する完全に普遍的な有用性である。この場合は、追加の要求があり、この中のいくつかはコーティングについても期待されるものであって、例には、染み出し堅牢度および熱安定性などの高い堅牢度がある。コーティングおよび印刷インクの場合は、水媒介系および溶媒媒介系の両方において有用であることが望まれる。顔料懸濁液の製造における傾向は、顔料濃度が高い方向に向かっており、したがって、強く着色されたコーティングおよびそれにも係わらず粘度の低い、印刷インク濃縮物またはミルベースに対する要求が存在している。顔料を使用する分野には、例えば、電子写真トナー、その他の種類のインク、カラーフィルターまたは粉末コーティングなどが、さらに含まれており、それぞれがそれぞれの、さらなる具体的な要求を有している。
【0003】
特開2003−232914には、C.I.Pigment Yellow214を含む顔料組成物が開示されている。
【0004】
顔料は固有の色をしているために、ほとんどの色相は、2種またはそれ以上の顔料を混合することによって達成できるのみである。1成分が、色相を調和するために少量で使用される場合、既存の解決策がすべての要求を満たすわけではない、ある種の色相、特にオレンジの色相が存在している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
既存の顔料組成物の欠点を克服し、上述の要求を満たす顔料組成物を求める要求が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、式(I)のジスアゾ顔料
【0007】
【化2】

および有機橙色、赤色および紫色顔料の群からの1種または複数、例えば、1種、2種または3種の顔料を含む顔料組成物を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の組成物における有機赤色および橙色顔料は、C.I.Pigment Orange5、13、14、16、34、36、38、42、43、48、49、51、61、62、64、67、68、69、71、72、73、74;C.I.Pigment Red1、2、3、4、5、7、9、12、14、23、38、41、42、48、48:1、48:2、48:3、48:4、48:5、48:6、49、49:1、51:1、52:1、52:2、53、53:1、53:3、57、57:1、57:2、57:3、58:2、58:4、63:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、81:5、81:6、88、112、122、123、144、146、148、149、150、166、168、169、170、175、176、177、178、179、184、185、187、188、190、192、194、200、200:1、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、242、246、247、251、253、254、255、256、257、260、262、264、270、272;C.I.Pigment Violet19であってよい。
【0009】
好ましい有機赤色顔料は、C.I.Pigment Red7、12、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、122、146、168、177、178、179、184、185、187、200、202、206、207、208、209、210、246、254、255、257、264、272、特にC.I.Pigment Red122、168、177、178、179、202、209、254、255、257、264、272である。
【0010】
好ましい有機橙色顔料は、C.I.Pigment Orange43、64、71および73である。
【0011】
好ましい有機紫色顔料は、ガンマ相のC.I.Pigment Violet19である。
【0012】
本発明の顔料組成物においては、式(I)のジスアゾ顔料および有機橙色、赤色または紫色顔料が、例えば、固溶体または混晶の形態で共同結晶格子を形成しうる。
【0013】
本発明の顔料組成物は、黄色がかった赤色から橙色へ、さらに赤色がかった黄色までの範囲にわたる色相をもたらす。これらの顔料組成物は、黄赤色領域および橙色領域における色相にとっては特に興味がある。
【0014】
本発明の顔料組成物においては、式(I)のジスアゾ顔料の、橙色、赤色または紫色顔料に対する重量比は、(0.1:99.9)から(99.9:0.1)まで、好ましくは(1:99)から(99:1)まで、より好ましくは(5:95)から(95:5)までおよび特に(10:90)から(90:10)までであってよい。
【0015】
本発明の顔料組成物は、種々の方法で、例えば、顆粒または粉末状態の乾燥成分を粉砕操作の前または後で混合することによって、湿った状態の1つの成分を湿ったまたは乾燥した状態の他の成分に添加することによって、例えば、湿ったプレスケーキの状態の成分を混合することによって、製造できる。
【0016】
混合は、例えば、アシッドペースティング法、アシッドスウェリング法によって、乾燥状態において、湿った状態において、例えば混練によって、または懸濁液中で粉砕することによって、またはこれらの組合せによって、実施できる。粉砕は、水、溶媒、酸または塩などの粉砕助剤の存在下において実行できる。
【0017】
また、混合は、諸成分中の1成分を製造する作業の間に、ある1成分を他の成分に添加することによって実施できる。
【0018】
式(I)のジスアゾ顔料の製造作業は、ジアゾニウム塩を形成するための親芳香族アミンをジアゾ化すること、該当する場合は親カップリング成分を溶解することおよび適切に析出させること、2種の反応物、ジアゾニウム塩およびカップリング成分を混合することを含み、このためにカップリング成分がジアゾニウム塩に添加されるかまたはこれと逆のことができ、または連続アゾカップリングが、該当する場合はマイクロリアクタ内において、実行できる。この結果得られたカップリング懸濁液に、例えば溶媒を添加した後で、高温および/または高圧下で後処理を受けさせることができる。製造工程は、カップリング生成物を単離すること、および該当する場合はカップリング生成物を、高温下における、該当する場合は高圧下における、水性、水性−有機または有機媒質中で後処理すること、続いてプレスケーキとしてアゾ顔料を単離すること、およびこのケーキを乾燥すること、該当する場合は粉砕作業により顆粒生成物を粉末に変換することをさらに含む。
【0019】
有機橙色または赤色顔料がアゾ顔料の場合は、製造工程は上述のものに対応することになる。
【0020】
有機橙色、赤色または紫色顔料が多環式顔料である場合は、有機橙色、赤色または紫色顔料の環系の化学合成が完了した後に、式(I)のジスアゾ顔料が通常の方法で添加されることになるのであり、この理由は、この化学合成は、式(I)のジスアゾ顔料の分解を生じさせることができる反応条件下において通常行われるからである。化学合成の後で、有機橙色、赤色または紫色顔料は、該当する場合は、例えば、アシッドペースティング法、アシッドスウェリング法、乾式または湿式粉砕法によって、粉末にされる。得られた微結晶性または合成されたままの有機橙色、赤色および紫色顔料は、例えば、水および/または溶媒中で、および通常高温下でおよび該当する場合は高圧下において、仕上げとして一般的に知られている後処理を、通常受けさせられる。
【0021】
乾燥には、知られている乾燥装置、例えば、乾燥箱、パドルドライヤ、回転乾燥器、接触乾燥器および特にスピンフラッシュドライヤおよびスプレードライヤなどを使用することができる。適切な乾燥装置を選択することにより、ダストの少ない、流動性のある粉末または顆粒を製造することも可能になる。
【0022】
顔料組成物は、乾燥状態の、湿った状態のまたは懸濁液中の成分を粉砕することによって、特に、成分をソルトニーディング(salt kneading)することによって、好ましくは製造できる。
【0023】
透明な状態の顔料組成物を製造するために、比表面積は、40m/gを超え、好ましくは40から180m/gの範囲に、および特に60から160m/gの範囲になければならない。ソルトニーディングは、このためには好ましい製造作業である。
【0024】
本発明の顔料組成物の製品には、シェーディング着色剤および助剤がさらに含まれており、例としては、界面活性剤、顔料および非顔料分散剤、充填剤、標準化剤、樹脂、ろう、消泡剤、ダスト防止剤、エクステンダ、静電防止剤、防腐剤、乾燥遅延剤、レオロジー調整添加剤、湿潤剤、酸化防止剤、紫外吸収剤、光安定剤、結合剤、例えば、本発明の顔料組成物が使用されることになっている系の結合剤、またはこれらの組合せがある。式(I)のジスアゾ顔料および有機橙色、赤色または紫色顔料の合計量をそれぞれ基準にして、シェーディング成分は10重量%までの量で、助剤は10倍までの量で通常使用される。しかし、より多量であっても、例外として使用できる。助剤およびシェーディング着色剤の添加は、工程のいずれの段階においても実施できる。
【0025】
充填剤およびエクステンダによって、DIN 55943およびDIN EN971−1に基づく多数の種々の物質、例えば、色々な種類のタルク、カオリン、雲母、苦灰石、石灰、二酸化チタン、硫化亜鉛、リトポンまたは硫酸バリウムなどが意味されている。本発明の顔料組成物を、特に粉砕作業の前に添加することは、特に有利であることが分かるはずである。
【0026】
本発明の顔料組成物は、好ましくは、水性プレスケーキまたは湿った顆粒として使用できるが、通常、自由に流動する、粉末構造または顆粒の固相系を構成している。
【0027】
本発明の顔料組成物は、天然または合成高分子有機材料の着色、例えば、プラスチック、樹脂、コーティング、塗料、電子写真用トナーおよび顕色剤、エレクトレット材料、カラーフィルターおよび印刷インクを含めたインクおよびシード(seed)の着色に役立つ。
【0028】
本発明の顔料組成物によって着色できる高分子有機材料には、例えば、セルロース化合物、例えばセルロースエーテルおよびエステル、例えば、エチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロースまたは酪酸セルロースなど、天然結合剤、例えば、脂肪酸、脂肪油、樹脂およびこれらの変換生成物、または製造樹脂、例えば、重縮合物、重付加物、付加重合体および付加共重合体、例えば、アミノ樹脂、特に尿素−およびメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、フェノプラストおよびフェノール樹脂、例えば、ノボラックまたはレゾールなど、尿素樹脂、ポリビニル類、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリ酢酸ビニルまたはポリビニルエーテルなど、ポリカーボネート、ポリオレフィン、例えば、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンまたはポリプロピレンなど、ポリ(メタ)アクリレートおよびこれらの共重合体、例えば、ポリアクリルエステルまたはポリアクリロニトリルなど、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、クマロン−インデンおよび炭化水素樹脂、エポキシ樹脂、種々の硬化メカニズムを有する不飽和製造樹脂(ポリエスエル、アクリレート)、ろう、アルデヒドおよびケトン樹脂、ガム、ゴムおよびその誘導体およびラテックス、カゼイン、シリコーンおよびシリコーン樹脂があり、個別にまたは混合状態で存在している。
【0029】
記述された高分子有機化合物が、塑性変形しうる組成物、融液の形態であるかまたは紡糸溶液、分散体、コーティング、塗料または印刷インクの形態であるかは、重要ではない。意図された用途に応じて、本発明の顔料組成物をブレンドとしてまたは調合物または分散体の形態で使用することが有利なはずである。
【0030】
また、顔料組成物は、高分子有機媒質中に取り入れられる間に製造できる。
【0031】
本発明は、したがって、また、本発明の顔料組成物を着色に有効な量で含んでいる高分子有機材料を提供する。
【0032】
着色されることになっている高分子有機材料を基準にして、本発明の顔料組成物は、0.01重量%から30重量%の量で、好ましくは、0.1重量%から15重量%の量で、通常使用される。
【0033】
また、対応する、粉砕されたおよび/または仕上げられた、本発明の顔料組成物ではなく、BETの比表面積が2m/gを超える、好ましくは、5m/gを超える未仕上げ品を使用することが、ある場合には可能になる。この未仕上げ品は、単独で、または該当する場合はその他の未仕上げ品または既に製造されている顔料との混合物で、5重量%から99重量%までの濃度で、液体または固体状態における着色凝縮物を製造するために使用できる。
【0034】
本発明の顔料組成物は、また、電子写真トナーおよび顕色剤、例えば、1または2成分粉末トナー(1または2成分顕色剤として、知られてもいる)、磁性トナー、液体トナー、付加重合トナーおよび、また、特殊トナーにおける着色剤としても有用である。典型的なトナー結合剤は、付加重合、重付加および重縮合樹脂、例えば、スチレン、スチレン−アクリレート、スチレン−ブタジエン、アクリレート、ポリエステル、フェノール−エポキシ樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリウレタン樹脂などであって、これらは単独または組み合わされており、および、また、ポリエチレンおよびポリプロピレンであって、これらは、それぞれ、さらなる成分、例えば、電荷調節剤、ろうまたは流動助剤などを含有することができるか、または、これらの添加剤によって後から改質できる。
【0035】
本発明の顔料組成物は、粉末および粉末コーティングにおいて、特に、例えば、金属、木材、プラスチック、ガラス、セラミックス、コンクリート、繊維材料、紙またはゴムからなる物品の表面コーティングに使用される、摩擦電気的および動電気学的に噴霧しうる粉末コーティングにおいて、着色剤としてさらに有用である。
【0036】
有用な粉末コーティング樹脂には、通常、エポキシ樹脂、カルボキシおよびヒドロキシ含有ポリエステル樹脂、ポリウレタンおよびアクリル樹脂、および通常の硬化剤が含まれる。樹脂の組合せも、また使用できる。例えば、エポキシ樹脂は、カルボキシルおよびヒドロキシル含有ポリエステル樹脂と組み合わせて、頻繁に使用される。典型的な硬化剤成分(樹脂の系に応じて定まる)には、例えば、酸無水物、イミダゾールおよび、また、ジシアンジアミンおよびこれらの誘導体、ブロックイソシアナート、ビスアシルウレタン(bisacylurethanes)、フェノールおよびメラミン樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート(triglycidyl isocyanurates)、オキサゾリンおよびジカルボキシル酸が含まれる。
【0037】
本発明の顔料組成物は、また、水性および非水性ベースのインクジェットインク、マイクロエマルションインクおよび、また、ホットメルト法により操作されるインクなどにおける着色剤として有用である。
【0038】
インクジェットインクは、本発明の顔料組成物の1種または複数を、合計で0.5重量%から15重量%および好ましくは1.5重量%から8重量%(乾燥ベースで計算して)、一般に含有する。
【0039】
マイクロエマルションインクは、有機溶媒、水および該当する場合は、追加の屈水性物質(界面媒介物)をベースにしている。マイクロエマルションインクは、本発明の顔料組成物の1種または複数を、0.5重量%から15重量%および好ましくは1.5重量%から8重量%、水を5重量%から99重量%、および有機溶媒および/または屈水性化合物を0.5重量%から94.5重量%、一般に含有する。
【0040】
溶媒ベースのインクジェットインクは、好ましくは、本発明の顔料組成物の1種または複数を、0.5重量%から15重量%、有機溶媒および/または屈水性化合物を85重量%から99.5重量%含有する。
【0041】
ホットメルトインクは、室温において固体であり、加熱すると液体となる、ろう、脂肪酸、脂肪アルコールまたはスルホンアミドを、通常ベースにしており、好ましい溶融範囲は、約60℃および約140℃の間である。ホットメルトインクジェットインクは、例えば、20重量%から90重量%のろうおよび1重量%から10重量%の1種または複数の本発明の顔料組成物から、本質的に構成される。これらは、追加のポリマー(「染料溶解剤」として)を0重量%から20重量%、分散助剤を0重量%から5重量%、粘度変更剤を0重量%から20重量%、可塑剤を0重量%から20重量%、粘着付与剤を0重量%から10重量%、透明性安定剤(例えば、ろうの結晶化を防止する)を0重量%から10重量%および、また、酸化防止剤を0重量%から2重量%、さらに含むことができる。
【0042】
本発明の顔料組成物は、例えば、テレビジョンの画面、液晶ディスプレイ(LCDs)、電荷結合素子、プラズマディスプレイまたはエレクトロルミネセンスディスプレイなどの、この次はアクティブ(ねじれネマチック)またはパッシブ(スーパーツイストネマチック)強誘電性液晶ディスプレイまたは発光ダイオードであってよい、電気光学システムにおける加法混色および減法混色による発色用のカラーフィルターの着色剤として、および、また、電子インク(「e−インク」)または電子ペーパー(「e−ペーパー)」の着色剤としてさらに有用である。
【0043】
カラーフィルター、反射および透明カラーフィルター、を製造するために、顔料は、適切な結合剤(アクリレート、アクリルエステル、ポリイミド、ポリビニルアルコール、エポキシ、ポリエステル、メラミン、ゼラチン、カゼイン)中のペーストの形態でまたは着色されたフォトレジストとして、それぞれのLCD構成要素(例えば、TFT−LCD=薄膜トランジスタ液晶ディスプレイまたは例えば((S)TN−LCD=(超)ねじれネマチックLCD)に適用される。安定したペーストまたは着色されたフォトレジストには、熱安定性が優れており、顔料純度の高いことが必要な条件である。加えて、着色されたカラーフィルターは、また、インクジェット印刷工程またはその他の適切な印刷工程により利用できる。
【0044】
本発明の顔料組成物は、優れた色およびレオロジー特性、特に高度の凝集安定性、易分散性、良好なレオロジー、高度の着色力および彩度(クロマ)を有する。これらは、適用される多くの媒質に迅速に分散して、非常に細かく分割された状態になる。そのような顔料分散体は、その他の上述の特性、例えば、コーティング着色濃縮物の高度の着色においてさえ、優れたレオロジー特性を示す。同様に、例えば、光沢、耐オーバーコーティング性、耐溶媒性、耐アルカリ性、耐光性および耐候性、および、また、色相の鮮やかさなどが非常に良好である。加えて、本発明の顔料組成物により、カラーフィルターで使用するのに必要とされる、黄色がかった赤色から橙色の領域における色相を実現することが可能となる。これらは、この領域における非常に優れたコントラストをもたらす。純度が高く、イオン濃度の低い顔料が製造できる。要求されるような、隠蔽力のあるまたは透明なマストーンを有する、大きなまたは小さな比表面積を備えた顔料が製造できる。本発明の顔料組成物は、1成分、特に式(I)の黄色ジスアゾ顔料が、色合いをつけるために比較的少量でのみ使用された場合でさえ、優れた特性を示す。
【0045】
水を含まない、溶媒媒介コーティングシステムにおけるコーティング部門の顔料特性を評価するために、多数の既存のコーティングから、ミディアムオイルアルキド樹脂およびブタノール−エーテル化メラミン樹脂(AM)をベースとするアルキド−メラミン樹脂のワニスを選択した。
【0046】
水性コーティングシステムにおけるコーティング部門の顔料特性を評価するために、多数の既存のコーティングシステムから、ポリウレタン(PU)をベースとする水性コーティングを選択した。
【0047】
色特性を、DIN 55986に従って求めた。分散後のミルベースレオロジーを、次の5点基準に基づいて評価した。
【0048】
5 薄い液状
4 流動性の
3 粘稠
2 若干硬化
1 硬化
オーバーコーティングの固着性を、DIN 53221に従って求めた。最終の顔料濃度になるようにミルベースを希釈した後、エリクセン社(Erichsen)からのロスマンビスコスパチュラ(Rossmann viscospatula)301型を使用して、粘度を測定した。
【実施例】
【0049】
以下の実施例においては、特段の記載がない限り、百分率および部は重量に基づく。
【0050】
式(I)のジスアゾ顔料を、DE 10045790A1の実施例2に記載されているようにして調製した。
【0051】
(実施例1)
C.I.Pigment Red177を18gおよび式(I)のジスアゾ顔料12gを、機械的に混合する。
【0052】
顔料組成物はAMワニスと一体化して、赤色がかった橙色の色相の堅牢なコーティングをもたらす。
【0053】
(実施例2)
塩化ナトリウム90g、C.I.Pigment Red177を9g、式(I)のジスアゾ顔料6gおよびジエチレングリコール17mlを、40℃において8時間混練する。混練した物質を、5%塩酸200ml中に入れ、40℃において2時間撹拌し、懸濁液を濾過し、プレスケーキを塩が無くなるまで洗浄し、80℃において乾燥する。
【0054】
顔料組成物はAMワニスと一体化して、赤色がかった橙色および鮮やかな色相を有する堅牢なコーティングをもたらす。マストーンは透明である。
【0055】
(実施例3〜8)
以下の混合物を製造した。
【0056】
【表1】

【0057】
橙色から黄色がかった赤色の色相を有する、堅牢なコーティングをAMワニス中で得る。
【0058】
(実施例9)
C.I.Pigment Red254を25g、C.I.Pigment Red177を4gおよび式(I)のジスアゾ顔料1gを、機械的に混合する。
【0059】
黄色がかった赤色の色相および高度の光沢および低い粘度を有する、堅固なコーティングをAMワニス中で得る。
【0060】
(実施例10)
塩化ナトリウム90g、C.I.Pigment Red254を12.5g、C.I.Pigment Red177を2g、式(I)のジスアゾ顔料0.5gおよびジエチレングリコール24.5mlを、40℃において8時間混練する。混練した物質を、(5重量%の)塩酸200ml中に入れ、40℃において2時間撹拌し、懸濁液を濾過し、プレスケーキを塩が無くなるまで洗浄し、80℃において乾燥する。
【0061】
顔料組成物はAMワニスと一体化して、黄色がかった赤色の色相および高度の光沢および低い粘度を有する堅牢で透明なコーティングをもたらす。
【0062】
(実施例11a)
塩化ナトリウム450g、DE 10045790A1の実施例2に記載されているように調製した式(I)のジスアゾ顔料75gおよびジエチレングリコール110mlを、85℃において8時間混練する。混練した物質は、5重量%の硫酸4リットル中に入れ、40℃において2時間撹拌し、懸濁液を濾過し、プレスケーキを塩が無くなるまで洗浄し、80℃において乾燥し、式(I)のジスアゾ顔料74gを得る。
【0063】
(実施例11b)
C.I.Pigment Red254を18g、実施例11aに従って調製した式(I)のジスアゾ顔料2gを、機械的に混合する。
【0064】
(実施例12)
C.I.Pigment Red254を15g、実施例11aに従って調製した式(I)のジスアゾ顔料2gを、機械的に混合する。
【0065】
(実施例13)
塩化ナトリウム90g、C.I.Pigment Red254を11.25g、C.I.Pigment Red264を2.25g、実施例11aに従って調製した式(I)のジスアゾ顔料1.5gおよびジエチレングリコール24mlを、40℃において6時間混練する。混練した物質は、(5重量%の)硫酸500ml中に入れ、40℃において2時間撹拌し、懸濁液を濾過し、プレスケーキを塩が無くなるまで洗浄し、80℃において乾燥する。
【0066】
カラーフィルターの試験
試験カラーフィルターの製造:
最初に、カラーフィルターペーストを、以下の処方に従って、顔料組成物、結合剤、溶媒および分散助剤から製造する:
1−メトキシ−2−プロピルアセテート 77重量%
スチレン−アクリルポリマー 10重量%
顔料組成物 10重量%
分散助剤 3重量%
上記混合物を、ペイントシェーカー内でジルコンのボール(φ=0.5〜0.7mm)によって2時間分散させる。分散体を、その後で濾過する。得られたカラーフィルターペーストを、ガラス基板上にスピンコートし、カラーフィルターフィルムを製造する。このカラーフィルターフィルムの透明度、色数値、熱安定性およびコントラストを求める。
【0067】
コーティングされたガラス基板の透過を、400〜700nmの使用範囲において分光測定法によって測定する。色数値を、CIE色度図(xyY数値)を用いて表示する:xは青−赤軸、yは青−緑軸、Yは輝度を表示する。
【0068】
上述のカラーフィルターペーストの粘度を、回転粘度計を用いて、23℃±0.5℃および60s−1の剪断速度で測定する。
【0069】
熱安定性を、デルタE値によって表示する;デルタE値を、DIN 6174に従って求める;デルタE値は全色差を表し、x、y、Y値から計算することができる。コーティングされたガラス基板を、透過を測定した後で、80℃において10分間加熱する。次いで、透過を測定し、デルタEを計算する。コーティングされたガラス基板を、次いで、250℃において1時間加熱し、デルタE値を再び求める。
【0070】
さらに、カラーフィルターペーストを使用してマストーンコーティングを作製し、ナイフコーティングによって、削減コーティングを白色ペーストにより希釈した後、それぞれの色特性を評価する。
【0071】
実施例11bの顔料組成物を有するカラーフィルターの試験:
カラーフィルターペーストを製造する。カラーフィルターペーストの粘度は:η=12.8mPa.sである。
【0072】
次いで、カラーフィルターペースト3mlをピペットで量り、スピンコータにより、20秒の間に2500回転/分の速度でガラス基板に塗布する。その後、カラーフィルターフィルムの色特性を、分光測定法により求める。
【0073】
色数値:
【0074】
【表2】

【0075】
透過数値:
【0076】
【表3】

【0077】
熱安定性は良好である。
【0078】
コーティングは、高い透明性および着色力および鮮やかな色相を示す。
【0079】
カラーフィルターペーストを製造する。カラーフィルターペーストの粘度は:η=23.2mPa.sである。
【0080】
次いで、カラーフィルターペースト3mlをピペットで量り、スピンコータにより、20秒の間に2500回転/分の速度でガラス基板に塗布する。その後、カラーフィルターフィルムの色特性を、分光測定法により求める。
【0081】
色数値:
【0082】
【表4】

【0083】
透過数値:
【0084】
【表5】

【0085】
熱安定性は良好である。
【0086】
コーティングは、高い透明性および着色力および鮮やかな色相を示す。
【0087】
実施例13の顔料組成物を有するカラーフィルターの試験:
カラーフィルターペーストを製造する。カラーフィルターペーストの粘度は:η=119.8mPa.sである。
【0088】
次いで、カラーフィルターペースト3mlをピペットで量り、スピンコータにより、20秒の間に2500回転/分の速度でガラス基板に塗布する。その後、カラーフィルターフィルムの色特性を、分光測定法により求める。
【0089】
色数値:
【0090】
【表6】

【0091】
透過数値:
【0092】
【表7】

【0093】
熱安定性は良好である。
【0094】
コーティングは、高い透明性および着色力および鮮やかな色相を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)のジスアゾ顔料、
【化1】

ならびに有機橙色、赤色および紫色顔料の群からの1種または複数の顔料を含む顔料組成物。
【請求項2】
有機橙色顔料が、C.I.Pigment Orange5、13、14、16、34、36、38、42、43、48、49、51、61、62、64、67、68、69、71、72、73、74、またはこれらの組合せである請求項1に記載の顔料組成物。
【請求項3】
有機赤色顔料が、C.I.Pigment Red1、2、3、4、5、7、9、12、14、23、38、41、42、48、48:1、48:2、48:3、48:4、48:5、48:6、49、49:1、51:1、52:1、52:2、53、53:1、53:3、57、57:1、57:2、57:3、58:2、58:4、63:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、81:5、81:6、88、112、122、123、144、146、148、149、150、166、168、169、170、175、176、177、178、179、184、185、187、188、190、192、194、200、200:1、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、242、246、247、251、253、254、255、256、257、260、262、264、270、272、またはこれらの組合せである請求項1に記載の顔料組成物。
【請求項4】
有機紫色顔料が、C.I.Pigment Violet19である請求項1に記載の顔料組成物。
【請求項5】
式(I)のジスアゾ顔料の、有機橙色、赤色または紫色顔料に対する重量比が、(0.1:99.9)から(99.9:0.1)の範囲にある請求項1から4の少なくとも一項に記載の顔料組成物。
【請求項6】
式(I)のジスアゾ顔料の、有機橙色、赤色または紫色顔料に対する重量比は、(10:90)から(90:10)の範囲にある請求項1から5の少なくとも一項に記載の顔料組成物。
【請求項7】
固溶体または混晶である請求項1から6の少なくとも一項に記載の顔料組成物。
【請求項8】
式(I)のジスアゾ顔料を1種または複数の有機橙色、赤色または紫色顔料と混合することによって請求項1から6の少なくとも一項に記載の顔料組成物を製造する方法。
【請求項9】
高分子有機材料の着色、例えば、プラスチック、樹脂、コーティング、塗料、電子写真用トナーおよび顕色剤、エレクトレット材料、カラーフィルター、および、またインクジェットインクを含む印刷インクを含めたインクおよびシードの着色のための請求項1から7の一項または複数項に記載の顔料組成物の使用。
【請求項10】
請求項1から7の一項または複数項に記載の顔料組成物を、着色に有効な量で含む高分子有機媒質。

【公表番号】特表2007−514804(P2007−514804A)
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538794(P2006−538794)
【出願日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【国際出願番号】PCT/EP2004/012788
【国際公開番号】WO2005/049737
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(598109501)クラリアント・プロドゥクテ(ドイチュラント)ゲーエムベーハー (45)
【氏名又は名称原語表記】Clariant Produkte (Deutschland)GmbH
【Fターム(参考)】