説明

黄色系色素ならびにこれを含むカラーフィルター混色抑制剤および色素組成物

【課題】耐溶剤性に優れる黄色系色素を提供する。
【解決手段】下記式(1):


ただし、Arは、置換もしくは無置換のフェニレン基であり;RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基であり;Xは、酸[HX]のアニオンである、
で表される黄色化合物塩。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、黄色化合物塩(黄色化合物の酸付加塩)ならびにこれを含むカラーフィルター混色抑制剤および色素組成物に関する。より詳しくは、本発明は、耐溶剤性に優れ、黄色系色素として使用される黄色化合物塩、当該塩を含むカラーフィルター混色抑制剤および色目に優れたカラーフィルターを製造できる色素組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレーや撮像装置等に用いるカラーフィルターは、一般に、ガラス、プラスチック、撮像素子または薄膜トランジスター等の基板、該基板の上に微細な着色画素のパターン配列による赤(R)、緑(G)、青(B)の三原色画素と、これらの画素間に設けられた遮光層であるブラックマトリックスとを形成することにより製造されている。これら画素及びブラックマトリックスは、感光性の着色組成物を基板上に塗布し、加熱乾燥(プリベーク)して塗膜を形成し、この塗膜に紫外線を照射して露光し、さらに現像し未露光部分をアルカリ洗浄して除去し、さらに後硬化(ポストベーク)して形成される。
【0003】
カラーフィルターの各画素で用いられる顔料や染料は、表示品位の高い、すなわち明るく、色再現範囲の広い画像を得るために、バックライトの光線透過特性に合うよう選択され、また2種類以上の顔料または染料を一定の割合で調色されて用いられることが多い。例えば、カラーフィルターの緑(G)の画素は、緑色系色素及び黄色系色素の2種類以上を選び、調色して用いられている。上記色素のうち、黄色系色素としては、ソルベントイエロー179(ディスパースイエロー201)等が使用される(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−176000号公報
【特許文献2】特開2010−2704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この黄色系色素は、溶剤溶解性に優れる反面、耐溶剤性に乏しいという性質を有する。このため、このような黄色系色素と緑色系色素とを含む組成物で緑(G)の画素(パターン)を作製した後、別の色素を含む組成物で別の色の画素(パターン)を作製すると、別の色の色素を含む組成物中の溶剤との接触により、緑(G)の画素(パターン)から黄色系色素が溶け出して、色濃度が低下(色抜け)したり、混色してしまう。このため、得られるカラーフィルターの色目が劣ってしまうという問題がある。
【0006】
したがって、本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、耐溶剤性に優れる黄色系色素を提供することを目的とする。
【0007】
本発明の他の目的は、混色を抑制・防止でき、色目に優れるカラーフィルター、特に液晶ディスプレーに用いられるカラーフィルターを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記の問題を解決すべく、鋭意研究を行った結果、黄色系色素を特定の酸を用いて黄色化合物塩(酸付加塩)の形態にすると、耐溶剤性を向上できることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、上記目的は、下記式(2):
【0010】
【化1】

【0011】
ただし、Arは、置換もしくは無置換のフェニレン基であり;RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基である、
で表されるアミン化合物[A]が酸[HX]により塩化してなる、下記式(1):
【0012】
【化2】

【0013】
ただし、Arは、置換もしくは無置換のフェニレン基であり;RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基であり;Xは、酸[HX]のアニオンである、
で表される黄色化合物塩によって達成される。
【0014】
また、上記目的は、上記黄色化合物塩を含むカラーフィルター混色抑制剤によっても達成される。
【0015】
本発明の他の目的は、上記黄色化合物塩と、溶媒と、を含む、カラーフィルター用色素組成物によって達成される。
【発明の効果】
【0016】
本発明の黄色化合物塩は、耐溶剤性に優れる。このため、本発明の黄色化合物塩を用いて作製された画素(パターン)形成後に別の色の画素(パターン)を作製しても、黄色系色素の溶け出しを抑制・防止できる。このため、本発明の黄色化合物塩を用いて作製されたカラーフィルター、特に液晶ディスプレー用カラーフィルターは、混色が抑制・防止され、色目に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例1の黄色化合物塩(1)のH−NMRチャートである。
【図2】黄色化合物(1)のH−NMRチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、下記式(2):
【0019】
【化3】

【0020】
のアミン化合物[A]が酸[HX]により塩化してなる、下記式(1):
【0021】
【化4】

【0022】
の黄色化合物塩(以下、単に「黄色化合物塩」とも称する)を提供する。ここで、「黄色化合物塩」とは、アミン化合物[A]のアミン部位[式(2)中の−N(R)(R)部位]が酸[HX]により塩化(中和)した化合物である。
【0023】
本発明の黄色化合物塩は、耐溶剤性に優れる。このため、本発明の黄色化合物塩(黄色系色素)は、特にカラーフィルター混色抑制剤として有用である。また、当該黄色化合物塩を用いて画素(パターン)を作製した後、当該画素(パターン)に接するように別の画素(パターン)を作製しても、黄色化合物塩(黄色系色素)の溶け出しが起こりにくい。このため、本発明の黄色化合物塩(黄色系色素)を含むカラーフィルターは、色目に優れる。本発明の黄色化合物塩(黄色系色素)は、特に液晶ディスプレー用カラーフィルターに好適に使用される。なお、本明細書において、「耐溶剤性に優れる」とは、黄色化合物塩を含む塗膜を溶剤中に5分間浸漬した後に、黄色化合物塩の溶液への溶け出しが見られないことを意味する。具体的には、「耐溶剤性」は、下記実施例に記載される方法に従って評価され、「○」が「耐溶剤性に優れる」ことを表わす。
【0024】
また、有機化合物は、通常、酸や塩基で中和反応を行うと、物質として不安定であったり、好ましい色調が得られない場合が多い。しかし、上記式(2)のアミン化合物[A]は、酸で中和しても、得られる黄色化合塩は、色調変化がきわめて少なく、安定である。
【0025】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0026】
1.アミン化合物[A]
本発明の黄色化合物塩は、アミン化合物[A]の酸[HX]による黄色化合物塩であり、アミン化合物を酸で塩化(中和)することにより得られる。
【0027】
本発明に係るアミン化合物[A]は、式(2):
【0028】
【化5】

【0029】
で示され、黄色を呈する黄色化合物である。
【0030】
上記式(2)中、Arは、置換もしくは無置換のフェニレン基である。ここで、フェニレン基への炭素原子(C)および窒素原子の(N)の結合位置は、特に制限されず、オルト位、メタ位またはパラ位のいずれでもよい。好ましくは、炭素原子(C)および窒素原子の(N)がフェニレン基のパラ位に結合する。即ち、本発明に係る黄色化合物は、下記式(3):
【0031】
【化6】

【0032】
で示されることが好ましい。
【0033】
また、フェニレン基に場合によっては存在する置換基[上記式(3)中のR]は、特に制限されない。具体的には、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシ基などが挙げられる。これらのうち、アルキル基、アルコキシ基が置換基として好ましい。また、フェニレン基への上記置換基の導入数[上記式(3)中のm]は、0〜4個である。好ましくは0〜2個の置換基がフェニレン基に導入される。なお、複数個置換する場合の上記置換基の種類は、同種若しくは異種のいずれであってもよい。また、上記置換基のフェニレン基への導入位置は、特に制限されない。例えば、1個の置換基がフェニレン基に導入される場合には、置換基は、2位または3位のいずれでもよいが、3位が好ましい。また、2個の置換基がフェニレン基に導入される場合には、置換基は、(2,3)、(2,5)、(2,6)、(3,5)のいずれでもよい。上記置換基のより具体的な例は、以下に記載する。
【0034】
また、上記式(1)中、RおよびRは、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基である。この際、RおよびRは、同種若しくは異種のいずれであってもよいが、異種であることが好ましい。このうち、アルキル基としては、特に制限されない。具体的には、炭素原子数1〜20個の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基であり、好ましくは炭素原子数1〜8個の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基である。より好ましくは炭素原子数1〜4個の直鎖または分岐鎖のアルキル基である。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、1,3−ジメチルブチル基、1−イソプロピルプロピル基、1,2−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、1,4−ジメチルペンチル基、2−メチル−1−イソプロピルプロピル基、1−エチル−3−メチルブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基などが挙げられる。アリール基としては、特に制限されない。具体的には、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。なお、アルキル基またはアリール基が置換基を有する場合に存在する置換基は、特に制限されない。具体的には、ハロゲン原子、アルキル基(RまたはRがアルキル基の場合には除く)、アリール基(RまたはRがアリール基の場合には除く)、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシ基などが挙げられる。なお、上記置換基のより具体的な例は、以下に記載する。
【0035】
上記Ar、RおよびRに場合によっては存在する置換基のうち、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられる。
【0036】
上記Ar、RおよびRに場合によっては存在する置換基のうち、アルキル基としては、炭素原子数1〜20個の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基であり、好ましくは炭素原子数1〜8個の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基が挙げられる。より具体的な例は、上記RおよびRで例示された例と同様である。より好ましくは、炭素原子数1〜4個の直鎖または分岐鎖のアルキル基である。
【0037】
上記RおよびRに場合によっては存在する置換基のうち、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
【0038】
上記Ar、RおよびRに場合によっては存在する置換基のうち、アルコキシ基は、炭素原子数1〜20個の直鎖、分岐鎖または環状のアルコキシ基であり、好ましくは炭素原子数1〜8個の直鎖、分岐鎖または環状のアルコキシ基である。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、1,2−ジメチル−プロポキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、1,3−ジメチルブトキシ基、1−イソプロピルプロポキシ基などが挙げられる。
【0039】
上記Ar、RおよびRに場合によっては存在する置換基のうち、アルコキシカルボニル基とは、アルコキシ基のアルキル基部分にヘテロ原子を含んでもよい炭素原子数1〜8個、好ましくは1〜5個のアルコキシカルボニル、またはヘテロ原子を含んでもよい炭素原子数3〜8個、好ましくは5〜8個の環状アルコキシカルボニルを示す。具体的には、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基などが挙げられる。
【0040】
上記Ar、RおよびRに場合によっては存在する置換基のうち、アリールオキシ基としては、フェノキシ基、ベンジルオキシ基、o,m,p−シクロヘキシル−フェノキシ基などが挙げられる。
【0041】
これらのうち、上記式(1)中、Arが置換もしくは無置換のフェニレン基であり、Rが置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリール基であり、Rが置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリール基であることが好ましい。より好ましくは、Arが置換もしくは無置換のフェニレン基であり、Rが置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、置換もしくは無置換のフェニル基であり、Rが置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、置換もしくは無置換のフェニル基である。最も好ましくは、Arがメチル基で置換されたフェニレン基であり、Rが無置換の炭素数1〜4のアルキル基であり、Rが置換基を有する炭素数1〜4のアルキル基である。Rのアルキル基に存在する置換基は、好ましくは、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、アルコキシ部分が炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基である。より好ましくはシクロヘキシルアリールオキシ基である。
【0042】
より具体的には、本発明に係る黄色化合物の好ましい例としては、下記構造を有する化合物が挙げられる。
【0043】
【化7】

【0044】
上記好ましい例のうち、下記構造の黄色化合物が特に好ましい。
【0045】
【化8】

【0046】
2.本発明の黄色化合物塩
本発明の黄色化合物塩は、アミン化合物[A]の酸[HX]による黄色化合物塩であり、アミン化合物を酸で塩化(中和)することにより得られる。この際使用される酸としては、黄色化合物塩が所望の耐溶剤性を発揮できるものであれば特に制限されない。酸の25℃での水中における酸解離指数(pKa)が3以下、より好ましくは1以下、さらにより好ましくは−0.5以下、特に好ましくは−5以下である酸が好ましい。また、酸の25℃での水中における酸解離指数(pKa)の下限は、低いほど好ましいため、特に制限されないが、−15以上が好ましく、−10以上がより好ましく、−6以上が特に好ましい。即ち、本発明の黄色化合物塩は、上記式(1)の黄色化合物の、25℃での水中における酸解離指数(pKa)が−15〜3である酸による付加塩であることが好ましい。酸解離指数(pKa)が3を超えると、例えば、本発明の黄色化合物塩を用いてカラーフィルターを作製する際に、使用するレジストバインダー樹脂の作用で黄色化合物塩が分解したり、あるいはレジスト樹脂を熱硬化させる際に熱により黄色化合物塩が分解する場合などが見られる場合がある。酸のより具体的な例としては、塩酸(pKa=−2.2)、硫酸(pKa=−1.99)、硝酸(pKa=−1.5)、メタンスルホン酸(CHSOH)(pKa=−2.6)、ジクロロ酢酸(CHClCOOH)(pKa=1.3)、トリクロロ酢酸(CClCOOH)(pKa=0.7)、フルオロ酢酸(CHFCOOH)(pKa=2.6)、トリフルオロ酢酸(CFCOOH)(pKa=0.5)、ブロモ酢酸(CHBrCOOH)(pKa=2.7)、ベンゼンスルホン酸(pKa=−2.7)、p−トルエンスルホン酸、4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸(p−フェノールスルホン酸)、1,2−エタンジスルホン酸(HOSCHCHSOH)、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸などが挙げられる。これらのうち、黄色化合物塩の耐溶剤性や酸の取り扱い易さなどを考慮すると、塩酸、メタンスルホン酸、トリクロロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、1,2−エタンジスルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸が好ましく、塩酸、メタンスルホン酸、トリクロロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸がより好ましい。
【0047】
上述したように、本発明の黄色化合物塩は、黄色化合物を酸で塩化(中和)することによって得られる。以下で、本発明の黄色化合物塩の製造方法の好ましい実施形態を説明するが、本発明は、下記方法に限定されるものではない。
【0048】
黄色化合物の塩化(中和)に使用される酸は、上記したような酸をそのまま使用してもよいが、適当な溶媒で希釈した溶液の形態で使用されてもよい。後者の場合に使用できる溶媒としては、特に制限されず、酸の種類によって適宜選択されうる。具体的には、水、メタノール、エタノール、アセトンなどが使用できる。また、このような場合の酸の溶液中の濃度もまた、特に制限されず、酸や黄色化合物の種類ならびに黄色化合物塩の所望の耐溶剤性を考慮して適宜選択されうる。具体的には、酸の溶液中の濃度は、0.05〜10重量%程度が好ましく、0.1〜3重量%程度がより好ましい。また、黄色化合物の溶液中の濃度もまた、特に制限されず、酸や黄色化合物の種類ならびに黄色化合物塩の所望の耐溶剤性を考慮して適宜選択されうる。具体的には、黄色化合物の溶液中の濃度は、2〜20重量%程度が好ましく、4〜10重量%程度がより好ましい。
【0049】
また、酸の使用量は、式(1)の黄色化合物に所望の耐溶剤性を付与できる程度であれば特に制限されず、黄色化合物の種類などによって異なる。通常、黄色化合物全部を塩化(中和)する場合の、酸の使用量は、黄色化合物に対して化学量論的に等モルであるが、必ずしも黄色化合物全部を黄色化合物塩の形態にする必要はない。好ましくは、酸の使用量は、黄色化合物1モルに対して、0.1〜5モルであり、より好ましくは0.4〜3モルである。このような範囲であれば、黄色化合物塩は優れた耐溶剤性を示す。
【0050】
上記のようにして、黄色化合物、酸および必要であれば適当な溶媒を混合することにより、黄色化合物の塩化(中和)を行う。この際、この混合物を攪拌することが好ましい。これにより、混合物が均一になり、塩化(中和)反応が速やかに行われうる。ここで、塩化(中和)反応条件は塩化(中和)反応が進行する条件であれば特に制限されない。具体的には、反応温度は、0〜60℃が好ましく、10〜40℃がより好ましい。また、反応時間は、0.5〜3時間が好ましく、1〜2時間がより好ましい。このような条件であれば、中和反応によって発生する中和熱の除去が容易となり、また、黄色化合物の酸による塩化(中和)が十分進行して、黄色化合物塩を効率よく得られる。また、混合物が溶媒を含む場合には、上記反応後は、溶媒留去、減圧乾燥や自然乾燥等の乾燥、加熱などの操作を行うことにより、溶媒を除去することができる。
【0051】
このようにして得られる黄色化合物塩は、耐溶剤性に優れる。このため、本発明の黄色化合物塩(黄色系色素)は、特にカラーフィルター混色抑制剤として有用である。したがって、本発明は、本発明の黄色化合物塩を含むカラーフィルター混色抑制剤をも提供する。なお、本発明のカラーフィルター混色抑制剤は、本発明の黄色化合物塩のみから構成されても、あるいは本発明の黄色化合物塩以外の成分を含んでもよい。後者の場合に使用できる他の成分は、特に制限されず、所望の用途に応じて適宜選択できる。
【0052】
また、当該黄色化合物塩を用いて画素(パターン)を作製した後、当該画素(パターン)に接するように別の画素(パターン)を作製しても、黄色化合物塩(黄色系色素)の溶け出しが起こりにくい。このため、本発明の黄色化合物塩(黄色系色素)を含むカラーフィルターは、色目に優れる。本発明の黄色化合物塩(黄色系色素)は、特に液晶ディスプレー用カラーフィルターに好適に使用される。なお、本発明の黄色化合物塩は、NMR、元素分析など、従来公知の方法によって確認できる。
【0053】
したがって、本発明の黄色化合物塩は、色素組成物、特にカラーフィルター用の色素組成物の黄色系色素(染料)として好適に使用できる。すなわち、本発明は、本発明の黄色化合物の黄色化合物塩と、溶媒と、を含む、色素組成物をも提供する。以下、本発明の色素組成物について説明する。
【0054】
3.色素組成物
本発明の色素組成物は、本発明の黄色化合物の黄色化合物塩を含む。この際、黄色化合物塩は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。ここで、本発明の黄色化合物塩の配合量は、特に制限はないが、組成物100重量部に対して、0.5〜15重量部が好ましく、2〜5重量部がより好ましい。
【0055】
また、本発明の色素組成物は、上記黄色化合物塩に加えて、他の黄色系色素を含んでもよい。この際使用されうる他の黄色系色素としては、特に制限されず、特開平6−9891号公報、特開平6−220339号公報、特開2002−146227号公報、特開2003−3087号公報、及び特開2004−292785号公報等に記載の公知の黄色系色素などが挙げられる。ここで、他の黄色系色素は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。また、他の黄色系色素を使用する際の他の黄色系色素の配合量は、本発明の黄色化合物塩による効果を阻害しない程度であれば特に制限されない。他の黄色系色素の配合量は、本発明の黄色化合物塩に対して、100重量%以下、より好ましくは10〜50重量%程度であることが好ましい。
【0056】
本発明の色素組成物は、本発明の黄色化合物塩に加えて、溶媒を含む。ここで、溶媒としては、黄色化合物塩を溶解できるものであれば特に制限されない。例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼン、テトラリン、シクロヘキサン、シクロヘキサノール、メチルセロソルブ、n−プロパノール、n−ブタノール、2−エチルブタノール、n−ヘプタノール、2−エチルヘキサノール、ブトキシエタノール、ジアセトンアルコール、ベンズアルデヒド、γ−ブチロラクトン、アセトン、メチルエチルケトン、ジブチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−i−アミルケトン、アセトフェノン、メチラール、フラン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸アミル、シクロヘキシルアミン、エタノールアミン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ニトロメタン、ニトロエタン、2−ニトロプロパン、ニトロベンゼン、ジメチルスルオキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、N−メチルピロリドン等が挙げられる。中でも、沸点と粘性の観点で好ましくはジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、N−メチルピロリドンなどが好ましい溶媒として挙げられる。
【0057】
溶媒の使用量は、本発明の黄色化合物塩及び使用する場合には緑色系色素を溶解できるような量であればよく、特に制限されない。具体的には、溶媒の使用量は、組成物100重量部に対して、30〜80重量部が好ましく、50〜70重量部がより好ましい。
【0058】
本発明の色素組成物は、さらに緑色系色素を含んでもよい。緑色系色素を使用することにより、カラーフィルターとして使用した場合、その色純度や輝度を向上することができる。この際、本発明の黄色化合物塩(黄色系色素)は、緑色系色素の補色のために使用されうる。使用できる緑色系色素としては、特に制限されない。具体的には、特開2009−108135号公報に記載される、下記一般式(I):
【0059】
【化9】

【0060】
(式中、Xはフッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子の群から選ばれるハロゲン原子を表し、1つのベンゼン環に結合する4個のXは全て同一でも異なっていてもよく、mは8〜15の整数を表す)
で表される、中心金属が亜鉛であるハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料、特開2003−161827号公報 段落「0026」〜「0029」に記載される、下記一般式(II):
【0061】
【化10】

【0062】
(式中、X〜X16は、それぞれ独立して、水素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表し、この際、X〜X16のうち、8〜16個は塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子であり、Mは、中心金属であり、中心金属Mに結合するYは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素のいずれかのハロゲン原子、酸素原子、水酸基及びスルホン酸基からなる群から選ばれる一価原子団であり、mは中心金属Mに結合するYの数を表し、0〜2の整数である;この際、中心金属Mが、Al、Sc、Ga、Y、Inなどの原子価が3価の金属の場合には、m=1であり、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、水酸基及びスルホン酸基からなる群から選ばれる基の一つが中心金属に結合し、中心金属Mが、Si、Ti、V、Ge、Zr、Snなどの原子価が4価の金属の場合には、m=2であり、酸素の一つが中心金属に結合するか、またはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、水酸基及びスルホン酸基からなる群から選ばれる基の二つが中心金属に結合し、または中心金属Mが、Cu、Mg、Fe、Co、Ni、Zn、Zr、Sn、Pbなどの原子価が2価の金属の場合は、Yは存在しない)
で表される、第一群に属するハロゲン化金属フタロシアニン顔料、WO2010/024203号パンフレットに記載されるフタロシアニン化合物、特願2009−192787号明細書に記載される下記一般式(III):
【0063】
【化11】

【0064】
式中、Z〜Z16は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、下記化学式2:
【0065】
【化12】

【0066】
式中、Xは酸素原子または硫黄原子であり、Aは、フェニル基、1〜5の置換基Rを有するフェニル基または1〜7の置換基Rを有するナフチル基であり、前記置換基Rは、それぞれ独立して、ニトロ基、COOR、OR(Rは炭素数1〜8のアルキル基)、ハロゲン原子、アリール基、シアノ基、またはハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基であり、この際、Rは、炭素数1〜8のアルキル基(この際、アルキル基は、炭素数1〜8のアルキルオキシ基、ハロゲン原子もしくはアリール基で置換されていてもよい)、または下記化学式3で示される基;
【0067】
【化13】

【0068】
式中、Rは炭素数1〜3のアルキレン基であり、Rは炭素数1〜8のアルキル基であり、nは1〜4の整数である;である:
で示される基、または下記化学式2’:
【0069】
【化14】

【0070】
式中、R’は炭素数1〜3のアルキレン基であり、R”は炭素数1〜8のアルキル基であり、lは0〜4の整数である;で示される基であり、
この際、Z〜Z16のうち、4〜10個は化学式2または化学式2’で示される基であり、このうち、少なくとも1個は化学式2で示される基であり、3〜11個は水素原子であり、少なくとも1個はハロゲン原子であり、
Mは無金属、金属、金属酸化物または金属ハロゲン化物を表わす:
で示されるフタロシアニン化合物、特願2010−043405号明細書に記載される下記一般式(IV):
【0071】
【化15】

【0072】
上記式(III)中、Mは、無金属、金属、金属酸化物または金属ハロゲン化物を表わし;Z〜Zは、それぞれ独立して、下記式(2)〜(5):
【0073】
【化16】

【0074】
であり、
上記式(2)〜(5)中、pは、0〜4の整数であり;qは、0〜3の整数であり;rは、0〜2の整数であり;sは、0〜6の整数であり;R〜Rは、それぞれ独立して、ニトロ基、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子で置換されてもよい炭素数1〜8のアルキル基、置換基(a)、置換基(b)、−S−(RO)10、−S−L−A、および置換基(c)からなる群から選択される置換基(ア)またはハロゲン原子であり、この際、Rは、炭素数1〜3のアルキレン基であり、R10は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアシル基、または置換基を有していてもよいアルキルカルバモイル基であり、xは、1〜4の整数であり、Lは、置換基を有していてもよい炭素数1〜3のアルキレン基であり、Aは、それぞれ独立して、COOJ、OJ、CONJまたはNJであり、この際、Jは、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアシル基、置換基を有していてもよいアルコシキカルボニル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、または、−(R11O)12であり、R11は、炭素数1〜3のアルキレン基であり、R12は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアシル基、または置換基を有していてもよいアルキルカルバモイル基であり、yは、1〜4の整数であり、
前記置換基(a)は、下記式(6)、(6’)または(6’’):
【0075】
【化17】

【0076】
上記式(6)、(6’)および(6’’)中、Rは、炭素数1〜8のアルコキシ基またはハロゲン原子であり、Rは、炭素数1〜3のアルキレン基であり、Rは、炭素数1〜8のアルキル基であり、tは、0または1であり、uは、0〜4の整数である、で表わされ、
前記置換基(b)は、下記式(7):
【0077】
【化18】

【0078】
上記式(7)中、Xは、酸素原子または硫黄原子であり、Rは、それぞれ独立して、シアノ基、ニトロ基、COOY、OY、ハロゲン原子、アリール基、またはハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基であり、この際、Yは、炭素数1〜8のアルキル基であり、vは、1〜5の整数である、で表わされ、
前記置換基(c)は、下記式(8):
【0079】
【化19】

【0080】
上記式(8)中、R13は、それぞれ独立して、COOJ’、OJ’、CON(J’)、N(J’)またはハロゲン原子であり、この際、J’は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよいアルコシキカルバモイル基、置換基を有していてもよいアルコシキカルボニル基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルコキシ基または−(R14O)15であり、wは、1〜5の整数であり、R14は、炭素数1〜3のアルキレン基であり、R15は、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基であり、zは、1〜4の整数である、で表わされ、
この際、R〜Rとして導入されるすべての基のうち、0.05個以上3個未満は、水素原子であり、3〜6個は、置換基(ア)であり、かつ、残部はハロゲン原子である、で示されるフタロシアニン誘導体、特願2010−43398号明細書に記載される下記一般式(V):
【0081】
【化20】

【0082】
上記式(IV)中、Z〜Z16は、それぞれ独立して、塩素原子、下記式(2)もしくは(2’):
【0083】
【化21】

【0084】
上記式(2)及び(2’)中、Rは、炭素数1〜3のアルキレン基であり、Rは、炭素数1〜8のアルキル基であり、Rは、炭素数1〜8のアルコキシ基またはハロゲン原子であり、mは、1〜4の整数であり、pは、0または1である、
で表される置換基(a)、または
下記式(3−1):
【0085】
【化22】

【0086】
上記式(3−1)中、Xは、酸素原子または硫黄原子であり、Arは、Rで置換されてもよいフェニル基またはナフチル基であり、この際、Rは、それぞれ独立して、シアノ基、ニトロ基、COOY、OY、ハロゲン原子、アリール基、またはハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基であり、この際、Yは、炭素数1〜8のアルキル基である、
で表される置換基(b−1)、
下記式(3−2):
【0087】
【化23】

【0088】
上記式(3−2)中、Xは、酸素原子または硫黄原子であり、Rは、炭素数1〜5のアルキレン基であり、Rは、ハロゲン原子または炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基である、
で表される置換基(b−2)、
下記式(3−3):
【0089】
【化24】

【0090】
上記式(3−3)中、Xは、酸素原子または硫黄原子であり、Rは、炭素数1〜5のアルキレン基であり、Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜8のアルコキシ基または炭素数1〜8のアルキル基である、
で表される置換基(b−3)、
7−ヒドロキシクマリン由来の基(b−4)、および
2,3−ジヒドロキシキノキサン由来の基(b−5)、
からなる群より選択される置換基(b)を表わし、
この際、Z〜Z16のうち、3〜8個は置換基(a)または置換基(b)でありかつ残部は塩素原子であり、3〜8個の置換基(a)または置換基(b)のうち、少なくとも2.5個は、置換基(a)であり、
Mは、無金属、金属、金属酸化物または金属ハロゲン化物を表わす、
で示されるフタロシアニン化合物などが挙げられる。上記緑色系色素は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。また、緑色系色素を使用する際の緑色系色素の配合量は、本発明の黄色化合物塩による効果を阻害せしない程度であれば特に制限されず、所望の色純度や輝度などを考慮して適宜選択しうる。緑色系色素の配合量は、組成物100重量部に対して、2〜20重量部が好ましく、4〜8重量部がより好ましい。
【0091】
また、本発明のカラーフィルター組成物は、さらに分散剤を含んでもよい。通常、黄色系色素や緑色系色素を含む染料は、ポリマー樹脂に溶解するので、分散剤は必須ではない。しかし、カラーフィルター中では染料が高濃度(例えば、約30wt%)になることがあるため、その結晶化を防止するために分散剤を用いると、輝度の向上効果を奏しうる。
【0092】
ここで、本発明に用いられる分散剤としては、特に制限されず、公知の分散剤が使用できる。かかる分散剤の代表例としては、例えば有機溶剤系ではポリウレタン系高分子量湿潤分散剤、ポリアクリレートなどのカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボン酸基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩など;水性では(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの水溶性高分子化合物;ラウリル硫酸ソーダ、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、ステアリン酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどのノニオン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤があげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0093】
これらのなかでも特に、ポリウレタン系高分子量湿潤分散剤が、分散性に優れており好適に使用される。かかるポリウレタン系高分子量湿潤分散剤としては、例えばビックケミー・ジャパン(株)社製DISPERBYK(登録商標)シリーズなどが好適に挙げられる。好ましくはアミン価0.5〜50mgKOH/g、さらに好ましくは1〜30mg KOH/gである。分散剤の量は通常、組成物100重量部に対して、好ましくは3〜80重量部であり、より好ましくは5〜40重量部である。
【0094】
必要に応じて、公知の分散助剤等の化合物を添加してもよい。これらの化合物は、顔料と分散剤との仲介をする化合物で、顔料表面と分散剤とに電気的、化学的に吸着し、分散安定性を向上させる機能を持つと考えられている。
【0095】
このような分散助剤としては例えば、ポリカルボン酸型高分子活性剤、ポリスルホン酸型高分子活性剤等のアニオン性活性剤、ポリオキシエチレン、ポリオキシレンブロックポリマー等のノニオン系の活性剤があるが、好ましいものとして、アントラキノン系、フタロシアニン系、金属フタロシアニン系、キナクリドン系、アゾキレート系、アゾ系、イソインドリノン系、ピランスロン系、インダンスロン系、アンスラピリミジン系、ジブロモアンザンスロン系、フラバンスロン系、ペリレン系、ペリノン系、キノフタロン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系等の有機顔料を母体とし、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、カルボンアミド基、スルホンアミド基等の置換基を導入した顔料誘導体が挙げられる。これらの中でもフタロシアニン系及び金属フタロシアニンスルホンアミド化合物は特に有効である。
【0096】
背景技術の欄でも説明したが、液晶ディスプレーや撮像装置等に用いるカラーフィルターは一般に、ガラスなどの透明基板に、赤、緑、青の三原色画素と、これらの画素間に設けられた遮光層であるブラックマトリックスとを形成することにより製造されている。
【0097】
カラーフィルターの作製方法は、従来公知の知見を適宜参照し、あるいは組み合わせて適用することができる。例えば、特開平10−160921号公報で開示されている方法が、本発明のカラーフィルターを作製する上で好ましいが、無論これらに限定されるわけではない。
【0098】
まず、ガラス基板上にブラックマトリックを形成する。次に、本発明の黄色化合物塩と、溶媒と樹脂(感光性樹脂組成物)、必要に応じて、他の黄色系色素、緑色系色素、または分散剤を含有してなる色素組成物をガラス基板上にスピンコート等により塗布し、乾燥する。次に、その後、必要に応じフォトマスクを介し露光する。その後、必要に応じ、アルカリ現像を行い着色パターン(着色層)を得る。その後、必要に応じ、透明なオーバーコート層(保護膜)を形成して着色層の保護と表面の平坦化を行う。さらに、必要に応じ、透明導電膜を形成する。このようにして、カラーフィルターとすることができる。
【0099】
以下、より具体的に、本発明の色素組成物を用いたカラーフィルターの作製方法を説明する。
【0100】
まず、色素組成物を作製する。色素組成物は、本発明の黄色化合物塩と、溶媒と、を含むが、さらに、緑色系色素、樹脂(感光性樹脂組成物)、分散剤等を含むと好ましい。この際、本発明の黄色化合物塩、溶媒、緑色系色素、分散剤については上記定義と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0101】
本発明に用いることのできる樹脂(感光性樹脂組成物)は、光の作用によって化学反応を起こし、その結果、溶媒に対する溶解度または親和性に変化を生じたり、液状より固体状に変化するものであればよい。例えば、アクリル系またはマレイミド系樹脂液をバインダー樹脂(ベースポリマー)とし、これに各種のアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルからなる感光性モノマー(光重合性モノマー)、光重合開始剤を加えてなる光重合型の感光性樹脂組成物、あるいは光二量化するアクリル系樹脂液を用いてなる光二量化型の感光性樹脂組成物などが挙げられるが、中でも光重合型の感光性樹脂組成物が好ましい。
【0102】
前記アクリル系またはマレイミド系樹脂としては、それを構成するモノマー、オリゴマーのうち10重量%以上がアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルから選ばれた1種以上であり、アクリル酸またはメタクリル酸を好ましくは1〜50重量%、さらに好ましくは5〜35重量%、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸を好ましくは10〜90重量部、さらに好ましく30〜80重量%含むものである。
【0103】
アクリル系またはマレイミド系樹脂を構成するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2一ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、アクリロニトリル、スチレン、酢酸ビニル、マレイン酸、フマル酸、N−フェニルマレイミド、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートのカプロラクトン付加物のヘキサ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートプレポリマー等が例示できる。
【0104】
また、本発明の感光性樹脂着色組成物の成分となり得る感光性モノマーとしては、前記のアクリル系樹脂を構成するモノマーが挙げられるが、好ましくはトリメチロールプロパントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートなどの多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0105】
また、感光性モノマーの使用量は、前記アクリル系樹脂100重量部に対し40〜90重量部が好ましく、60〜70重量部がさらに好ましい。
【0106】
光重合型の感光性樹脂組成物の組成成分となり得る光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインアルキルエーテル系化合物、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、フェニルケトン系化合物、チオキサントン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物およびアントラキノン系化合物などが挙げられる。より具体的には、イルガキュア369、イルガキュア907(両者とも日本チバガイギー(株)製)などのアセトフェノン系化合物などが挙げられる。
【0107】
光重合開始剤の添加量は、特に限定されるものではないが、アセトフェノン系化合物(イルガキュア369など)については、感光性モノマー(光重合性モノマー;例えば、ジペンタエリスリトールヘキサクリレートなど)を100重量部とした際に、好ましくは1〜30重量部、より好ましくは5〜15重量部の割合で添加されることが望ましい。
【0108】
なお、本発明の組成物には、必要に応じて、熱重合防止剤等の任意成分を添加することができる。上記熱重合防止剤は、保存安定性改良の目的で添加されるものであり、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−(メルカプトベンゾイミダゾール)など用いることができる。また、必要に応じて、光劣化防止剤を添加してもよい。
【実施例】
【0109】
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。なお、特記しない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「重量%」を、それぞれ、意味する。
【0110】
実施例1:黄色化合物塩(1)(黄色化合物(1)の100%塩酸塩)の合成
下記構造を有する黄色化合物(1)(Colour Index: Sovent Yellow 179;Disperse Yellow 201)100部を、アセトン1000部、および35%塩酸24部と共に、25℃で1時間撹拌した。その後、この混合物について、溶媒留去、減圧乾燥を行うことによって、黄色化合物塩(1)を81部(収率:75%)得た。
【0111】
【化25】

【0112】
このようにして得られた黄色化合物塩(1)および上記黄色化合物(1)のH NMRチャートを、それぞれ、図1および図2に示す。図1中、黄色化合物塩(1)の主なArH由来のピークは、δ6.55(s、1H)、δ6.59(d、1H)、δ6.79(d、2H)、δ7.12(d、2H)、δ8.31(d、1H)に見られた。一方、図2中、黄色化合物(1)の主なArH由来のピーク:δ6.52(s、1H)、δ6.63(d、1H)、δ6.80(d、2H)、δ7.12(d、2H)、δ8.31(d、1H)に見られた。これらの比較から、δ6.5〜6.8のピークで一致しない部分があることが分かる。この相違は、酸が黄色化合物(1)の窒素(N)上に配位することによって隣接する芳香環上の電子状態が異なるために起こると考えられる。これから、黄色化合物塩が中和塩として存在していることは、H NMRにより確認できると、考察される。
【0113】
実施例2:黄色化合物塩(2)(黄色化合物(1)の50%塩酸塩)の合成
実施例1で使用したのと同じ黄色化合物(1)50部を、アセトン1000部、および35%塩酸6部と共に1時間撹拌した。その後、この混合物について、溶媒留去、減圧乾燥を行うことによって、黄色化合物塩(2)を41部(収率:78%)得た。
【0114】
実施例3:黄色化合物塩(3)(黄色化合物(1)のメタンスルホン酸塩)の合成
実施例1で使用したのと同じ黄色化合物(1)50部を、アセトン1000部、およびメタンスルホン酸11部と共に1時間撹拌した。その後、この混合物について、溶媒留去、減圧乾燥を行うことによって、黄色化合物塩(3)を33部(54%)得た。
【0115】
実施例4;黄色化合物塩(4)(黄色化合物(1)のトリクロロ酢酸塩)の合成
実施例1で使用したのと同じ黄色化合物(1)50部を、アセトン1000部、およびトリクロロ酢酸19部と共に1時間撹拌した。その後、この混合物について、溶媒留去、減圧乾燥を行うことによって、黄色化合物塩(4)を38部(54%)得た。
【0116】
実施例5;黄色化合物塩(5)(黄色化合物(1)のp−トルエンスルホン酸塩)の合成
実施例1で使用したのと同じ黄色化合物(1)50部を、アセトン1000部、およびp−トルエンスルホン酸水和物22部と共に1時間撹拌した。その後、この混合物について、溶媒留去、減圧乾燥を行うことによって、黄色化合物塩(5)を40部(57%)得た。
【0117】
実施例6;黄色化合物塩(6)(黄色化合物(1)のp−フェノールスルホン酸塩)の合成
実施例1で使用したのと同じ黄色化合物(1)20部を、アセトン400部、およびp−フェノールスルホン酸水和物9部と共に1時間撹拌した。その後、この混合物について、溶媒留去、減圧乾燥を行うことによって、黄色化合物塩(6)を19部(66%)得た。
【0118】
実施例7
(1)黄色染料レジスト溶液の調製
実施例1で得られた黄色化合物塩(1)0.04部、N−メチルピロリドン(NMP)0.92部、マレイミド系バインダーポリマー((株)日本触媒社製)0.42部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート0.11部、および重合開始剤であるイルガキュア369(日本チバガイギー(株)社製)0.01部を、混合して溶解し、染料レジスト溶液(1)を調製した。
【0119】
(2)塗膜板の作製
あらかじめアセトンで表面を拭ったガラス基板に対して、前記(1)で得られた染料レジスト溶液(1)を、乾燥後の膜厚が約2μmになるように、スピンコーターを用いて染料レジスト溶液25滴、1700rpm、2秒の条件で塗布し、80℃で30分間プリベークした。その後、UV照射して樹脂を硬化させた後、220℃で20分間ポストベークすることにより、塗膜板(1)を形成した。
【0120】
(3)フィルターの評価
上記(2)で得られた塗膜板について、着色フィルターの吸収極大点(λmax)、波長480nmおよび520nmにおける透過率(%T)ならびに耐溶剤性を評価した。その結果を下記表1に示す。なお、耐溶剤性は以下の方法に従って測定した。
【0121】
<耐溶剤性の評価>
ポストベーク後の塗膜板(1)(コーティングガラス)をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)中に5分間浸した。5分後、色素の溶液への溶け出しを目視して、色素の残存の有無により下記2段階で評価した。すなわち、「○」は、5分後、PGMEAへの色素の溶け出しが見られないことを表わし、「×」は、5分後、PGMEAへの色素の溶け出しが見られることを表わす。
【0122】
実施例8〜12
実施例7において、黄色化合物塩(1)の代わりに、黄色化合物塩(2)〜(6)をそれぞれ使用する以外は、実施例7と同様の操作を行い、塗膜板(2)〜(6)を作製した。次に、このようにして得られた塗膜板(2)〜(6)について、実施例7と同様にして、着色フィルターの吸収極大点(λmax)、波長480nmおよび520nmにおける透過率(%T)ならびに耐溶剤性を評価した。その結果を下記表1に示す。
【0123】
比較例1
実施例7において、黄色化合物塩(1)の代わりに、黄色化合物(1)を使用する以外は、実施例7と同様の操作を行い、比較塗膜板(1)を作製した。次に、このようにして得られた比較塗膜板(1)について、実施例7と同様にして、着色フィルターの吸収極大点(λmax)、波長480nmおよび520nmにおける透過率(%T)ならびに耐溶剤性を評価した。その結果を下記表1に示す。
【0124】
【表1】

【0125】
合成例1:フタロニトリル化合物[α−{(4−COOCOCH)CO},α−{4−CNCO}b,β−{(4−COOCOCH)CO}0.9−a,β−{4−CNCO}0.1−bClPN](0≦a<0.9,0≦b<0.1)(中間体(1))の合成
3,4,5,6−テトラクロロフタロニトリル(以下、「TCPN」と略す)16部、p−ヒドロキシ安息香酸メチルセルソルブ11部、アセトニトリル65部を混合し、内温が40℃に安定するまで約30分攪拌した後、炭酸カリウム9部を投入して2時間反応させた。反応後、4−シアノフェノール1部を投入して、さらに6.5時間反応をさせた。冷却後、吸引ろ過して得た溶液を溶媒溜去した後乾燥をおこない、フタロニトリル化合物(1)[α−{(4−COOCOCH)CO},α−{4−CNCO}b,β−{(4−COOCOCH)CO}0.9−a,β−{4−CNCO}0.1−bClPN](0≦a<0.9,0≦b<0.1)(中間体(1))を25部(TCPNに対する収率:99%)得た。
【0126】
合成例2:フタロシアニン誘導体[ZnPc−{α−(4−COOCOCH)CO},{β−(4−COOCOCH)CO}3.8−x0.8Cl11.4](0<x<3.8)(緑色系色素(1))の合成
合成例1で合成した中間体(1)11部、フタロニトリル0.6部、ベンゾニトリル4部を投入し、窒素流通下内温160℃に安定するまで約1時間攪拌した後、ヨウ化亜鉛2.6部を投入して10時間反応させた。冷却後、反応溶液を溶媒溜去した後、得られた固形物に、メチルセルソルブ7部を加え、攪拌・溶解することで晶析溶液を調製した。次に、調製した晶析溶液をメタノール109部中に滴下し、30分攪拌した。その後、蒸留水76部を30分かけて滴下し、滴下終了後、さらに30分攪拌して結晶を析出させた。得られた結晶を吸引ろ過した後、再びメタノール55部を加えて30分攪拌した後、蒸留水38部を30分かけて滴下し、滴下終了後、さらに30分攪拌することで、洗浄および精製を行った。吸引ろ過後、取り出した結晶を乾燥させることで、フタロシアニン誘導体[ZnPc−{α−(4−COOCOCH)CO},{β−(4−COOCOCH)CO}3.8−x0.8Cl11.4](0<x<3.8)(緑色系色素(1))を12部(中間体(1)およびフタロニトリルに対する収率:99%)得た。
【0127】
実施例13
(1)緑色染料レジスト溶液(分散剤含有)の調製
実施例1で得られた黄色化合物塩(1)0.07部、合成例2で得られた緑色系色素(1)0.12部、N−メチルピロリドン(NMP)1.37部、マレイミド系バインダーポリマー((株)日本触媒社製)0.25部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート0.07部、重合開始剤であるイルガキュア369(日本チバガイギー(株)社製)0.01部、および湿潤分散剤であるDISPERBYK−161(溶剤型用)(ビックケミー・ジャパン(株)社製)0.17部を、混合して溶解し、染料レジスト溶液(2)を調製した。
【0128】
(2)塗膜板の作製
実施例7において、染料レジスト溶液(1)の代わりに、上記(1)で得られた染料レジスト溶液(2)を使用する以外は、実施例7と同様にして、塗膜板(7)を形成した。
【0129】
(3)フィルターの評価
上記(2)で得られた塗膜板(7)について、実施例7と同様にして、着色フィルターの吸収極大点(λmax)、波長480nmおよび520nmにおける透過率(%T)を測定した。また、以下の方法に従って輝度(Y値)を評価した。これらの結果を下記表2に示す。
【0130】
<輝度(Y値)の評価>
日立分光光度計U−2910を用いて吸収波形を測定し、さらにこの波形を定数倍し補正することで色度座標値のx=0.280、y=0.600となる時の輝度(Y値)を求める。なお、照明にはC光源を用いたとして計算した。
【0131】
実施例14
(1)緑色染料レジスト溶液(分散剤無し)の調製
実施例5で得られた黄色化合物塩(5)0.08部、合成例2で得られた緑色系色素(1)0.12部、N−メチルピロリドン(NMP)1.29部、マレイミド系バインダーポリマー((株)日本触媒社製)0.31部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート0.08部、および重合開始剤であるイルガキュア369(日本チバガイギー(株)社製)0.01部を、混合して溶解し、染料レジスト溶液(3)を調製した。
【0132】
(2)塗膜板の作製
実施例7において、染料レジスト溶液(1)の代わりに、上記(1)で得られた染料レジスト溶液(3)を使用する以外は、実施例7と同様にして、塗膜板(8)を形成した。
【0133】
(3)フィルターの評価
上記(2)で得られた塗膜板(8)について、実施例13と同様にして、着色フィルターの吸収極大点(λmax)、波長480nmおよび520nmにおける透過率(%T)ならびに輝度(Y値)を評価した。その結果を下記表2に示す。
【0134】
比較例2
実施例14において、黄色化合物塩(5)の代わりに、黄色化合物(1)を使用する以外は、実施例14と同様の操作を行い、比較塗膜板(2)を作製した。次に、このようにして得られた比較塗膜板(2)について、実施例13と同様にして、着色フィルターの吸収極大点(λmax)、波長480nmおよび520nmにおける透過率(%T)ならびに輝度(Y値)を評価した。その結果を下記表2に示す。
【0135】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(2):
【化1】

ただし、Arは、置換もしくは無置換のフェニレン基であり;RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基である、
で表されるアミン化合物[A]が酸[HX]により塩化してなる、下記式(1):
【化2】

ただし、Arは、置換もしくは無置換のフェニレン基であり;RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基であり;Xは、酸[HX]のアニオンである、
で表される黄色化合物塩。
【請求項2】
前記酸[HX]は、25℃での水中における酸解離指数(pKa)が−15〜3を示す酸である、請求項1記載の黄色化合物塩。
【請求項3】
前記アミン化合物[A]に対する前記酸[HX]の割合が、前記アミン化合物1モルに対して酸が0.1〜1モルである、請求項1または2に記載の黄色化合物塩。
【請求項4】
前記酸[HX]は、塩酸、メタンスルホン酸、トリクロロ酢酸、4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、1,2−エタンジスルホン酸、およびナフタレン−1,5−ジスルホン酸からなる群より選択される少なくとも一種である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の黄色化合物塩。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の黄色化合物塩を含むカラーフィルター混色抑制剤。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の黄色化合物塩と、溶媒と、を含む、カラーフィルター用色素組成物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−12492(P2012−12492A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−150235(P2010−150235)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】