説明

(メタ)アクリルアミド及びこれを含んでなる光重合性組成物

【課題】水性溶媒への溶解性及び水性溶媒中での安定性に優れる(メタ)アクリルアミドを用いた硬化性及び保存安定性に優れる水性感光組成物を提供することである。
【解決手段】一般式(1)で表される構造を有する(メタ)アクリルアミドを用いる。
【化1】


1は水素原子又はメチル基、R2及びR5は水素原子又は炭素数1〜12の有機基、R3は炭素数1〜12の有機基、R4は炭素数1〜8のアルキレン基、Xは1−又は2−ヒドロキシプロピレン基、Qは2〜8価の炭素数1〜60の有機基、s及びuは0〜14、p及びrは0〜14、qは1.3〜8、tは0〜6.7を表し、(s+p)≠0である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(メタ)アクリルアミド及びこれを含んでなる光重合性組成物に関する。さらに詳しくは水性塗料、水性インキ及び水性接着剤等の水性感光組成物に好適な(メタ)アクリルアミド及びこれを含んでなる光重合性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
活性エネルギー線で硬化可能な親水性多官能単量体としては、ポリグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる水性エポキシポリ(メタ)アクリレート(特許文献1)やペンタエリスリトールとN置換アクリルアミドとを反応して得られる多官能(メタ)アクリルアミド(特許文献2)等が知られている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−194052号公報
【特許文献2】特開2002−341529号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の親水性多官能単量体は、水性溶媒への溶解性及び/又は水性溶媒中での安定性が不十分であるという問題がある。すなわち、例えば、特許文献1に記載の親水性単量体ではエステル結合が加水分解しやすいため、この単量体を含む光重合性組成物の保存安定性は不十分であり、また、特許文献2に記載の多官能(メタ)アクリルアミドは水性溶媒への溶解性が低くいため、この単量体を含む光重合性組成物の硬化性は不十分である。本発明の目的は、水性溶媒への溶解性及び水性溶媒中での安定性に優れた親水性多官能単量体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記問題を解決すべく鋭意検討した結果、特定構造の(メタ)アクリルアミドが上記目的を達成し得ることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の(メタ)アクリルアミドの特徴は、一般式(1)で表される点を要旨とする。
【化1】

1は水素原子又はメチル基、R2及びR5は水素原子又は炭素数1〜12の有機基、R3は炭素数1〜12の有機基、R4は炭素数1〜8のアルキレン基、Xは1−又は2−ヒドロキシプロピレン基、Qは2〜8価の炭素数1〜60の有機基、s及びuは0〜14、p及びrは0〜14、qは1.3〜8、tは0〜6.7を表し、(s+p)≠0である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の(メタ)アクリルアミドは、水性溶媒への溶解性及び水性溶媒中での安定性に優れる。このため、本発明の(メタ)アクリルアミドを水性感光組成物中に高濃度で溶解させることができる。また、本発明の(メタ)アクリルアミドを含む光重合性組成物は、優れた硬化性及び保存安定性を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明において、「(メタ)アクリ・・・」は、「アクリ・・・」及び/又は「メタクリ・・・」を意味する。
一般式(1)において、水性溶媒への溶解性の観点等から、R1としては水素原子が好ましい。
2及びR5のうち、炭素数1〜12の有機基としては、一般式(2)で表される(N置換)アミノアルキル基、炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜14のアルコキシアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数4〜5のヘテロ原子含有シクロアルキル基及び炭素数6〜7のアリル基等が含まれる。
なお、(N置換)アミノアルキルは、アミノアルキル及び/又はN置換アミノアルキルを意味する。
【0008】
【化2】

nは1〜4の整数、R6及びR7は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R6とR7とは同じであっても異なっていてもよい。
【0009】
一般式(2)で表される(N置換)アミノアルキル基としては、アミノエチル、ジメチルアミノエチル、ジエチルアミノプロピル及びジメチルアミノプロピル等が挙げられる。
ヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシブチル及び12−ヒドロキシドデシル等が挙げられる。
アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、2−エチルヘキシル及びドデシル等が挙げられる。
アルコキシアルキル基としては、メトキシメチル、エトキシメチル、エトキシエチル、エトキシプロピル、イソプロポキシメチル、プロポキシプロピル、ブトキシメチル、ブトキシプロピル、2−エチルヘキシルオキシメチル、2−ジメトキシエチル、メトキシイソプロピル、メトキシイソブチル及びドデシルオキシエチル等が挙げられる。
シクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、4−シクロヘキシルヘキシル及び3,5−ジプロピルヘキシル等が挙げられる。
ヘテロ原子含有シクロアルキル基としては、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、1,3−ジオキソラニル、1,4−ジオキサニル、ピペラジノ、ピペリジノ及びピロリジノ等が挙げられる。
アリル基としては、ベンジル基、フェネチル基及びフェニル基等が挙げられる。
2及びR5のうち、水性溶媒への溶解性及び水性溶媒中での安定性の観点等から、水素原子、ヒドロキシアルキル基、アルキル基、アルコキシアルキル基及びシクロアルキル基が好ましく、さらに好ましくは水素原子、ヒドロキシアルキル基、アルキル基及びアルコキシアルキル基、特に好ましくは水素原子及びアルキル基、最も好ましくは水素原子、メチル及びエチルである。
【0010】
3で表される炭素数1〜12の有機基としては、アルキレン基及びアリレン基等が含まれる。
アルキレン基としては、メチレン、エチレン、プロピレン、n−ブチレン、1,1−ジメチルエチレン、エチルエチレン、ヘキサメチレン及びドデシルメチレン等が挙げられる。
アリレン基としては、o−フェニレン、o−エチレンフェニレン及びベンジリデン等が挙げられる。
3のうち、水性溶媒中での安定性の観点等から、アルキレン基が好ましく、さらに好ましくはメチレン、エチレン、プロピレン及びn−ブチレン、特に好ましくはメチレン、エチレン及びプロピレンである。
【0011】
4で表される炭素数1〜8のアルキレン基としては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン及びフェニルエチレン等が挙げられる。
4のうち、水性溶媒への溶解性の観点等から、メチレン、エチレン、プロピレン及びブチレンが好ましく、さらに好ましくはエチレン、プロピレン及びブチレン、特に好ましくはエチレン及びプロピレンである。
【0012】
Qで表される2〜8価の炭素数1〜60の有機基としては、2〜8個の活性水素原子を含む活性水素化合物(c)から活性水素原子を除いた残基等が含まれる。
活性水素化合物(c)としては、特開2000−344880号公報に記載された活性水素含有化合物等が挙げられる。
Qのうち、水性溶媒への溶解性の観点等から、多価アルコール、アミン又はポリチオールから活性水素原子を除いた残基が好ましく、さらに好ましくは多価アルコールから活性水素原子を除いた残基、特に好ましくはエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ソルビトール、ソルビタン又はペンタエリスリトールから活性水素原子を除いた残基、最も好ましくはトリメチロールプロパン、ソルビトール、ソルビタン又はペンタエリスリトールから活性水素原子を除いた残基である。
【0013】
p、r、q、s、u及びtは、本発明の(メタ)アクリルアミド1モル当たりの平均値を表す。
pとr、及びsとuはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。また、(OX)単位と(OR4)単位との配列順序には制限がなく、交互状、ブロック状、ランダム状及びこれらの組合せでもよい。
p及びrは、0〜10が好ましく、さらに好ましくは0.1〜6.9、特に好ましくは0.2〜5.8、次に好ましくは0.3〜4.9、最も好ましくは0.5〜4である。
s及びuは、0〜11が好ましく、さらに好ましくは0〜6.9、特に好ましくは0.2〜5.8、次に好ましくは0.3〜4.9、最も好ましくは 0.5〜4である。
qは、2〜8が好ましく、さらに好ましくは2.5〜7.8、特に好ましくは3〜7.5、次に好ましくは3.3〜7.3、最も好ましくは3.5〜7である。
tは、0〜6が好ましく、さらに好ましくは0.2〜5.5、特に好ましくは0.5〜5、次に好ましくは0.7〜4.7、最も好ましくは1〜4.5である。
(XO)単位と(OR4)単位との配列順序は交互状、又はブロック状でであることが好ましく、ブロック状であることが特に好ましい。
【0014】
本発明の(メタ)アクリルアミドの分子量は、150〜23000が好ましく、さらに好ましくは400〜9000、特に好ましくは600〜4000である。この範囲であると、重合性組成物とした時の硬化性がさらに良好となる。
なお、分子量は、標準物質としてポリエチレングリコールを用いたゲルパ ーミエーションクロマトグラフィー法(以下GPC法)で測定される。
【0015】
一般式(1)で表される(メタ)アクリルアミドのうち、s=u=0の(メタ)アクリルアミドは、一般式(3)で表されるヒドロキシル基又はオキシアルキル基を含有するN置換(メタ)アクリルアミド(b)と、2〜8個の活性水素原子を含む活性水素化合物(c)のアルキレンオキシド付加物(d)との縮合反応で得ることが出来る。この縮合反応は、第4版 実験化学講座20 有機合成II(平成4年7月4日、丸善株式会社発行)137〜199頁)、又は特開2004−131456号公報等に記載された公知のエーテル化反応が適用できる。
【化3】

1〜R3は、一般式(1)と同じであり、好ましい範囲も同様である。R8は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、メチル、エチル、イソプロピル及びt−ブチル等が挙げられる。R8のうち、水素原子、メチル、エチル及びt−ブチルが好ましく、さらに好ましくは水素原子、メチル及びエチル、特に好ましくは水素原子及びメチルである。R8が好ましい範囲であると、マイルドな反応条件で本発明のアクリルアミドを得ることができ、その結果、不純物の含有量が減り、水性溶媒中での安定性がさらに良好となる。
【0016】
一般式(3)で表されるN置換(メタ)アクリルアミド(b)としては、特開2004−043467号公報に記載されたヒドロキシアルキルアクリルアミド、及びに特開2002−265424号公報に記載されたN−アルコキシメチルアクリルアミド等が挙げられる。
なかでも特開2004−043467号公報に記載されたヒドロキシアルキルアクリルアミドが好ましく、さらに好ましくはN−ヒドロキシメチルアクリルアミド及びN−ヒドロキシエチルアクリルアミドである。
【0017】
2〜8個の活性水素原子を含む活性水素化合物(c)としては、一般式(1)で説明された2〜8個の活性水素原子を含有する活性水素化合物と同じものが挙げられる。これらのうち、水性溶媒への溶解性及び水性溶媒中での安定性の観点等から、特開2002−194052号公報に記載されたポリヒドロキシ化合物が好ましく、さらに好ましくはエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ソルビトール、ソルビタン及びペンタエリスリトール、特に好ましくはトリメチロールプロパン、ソルビトール、ソルビタン及びペンタエリスリトールである。
【0018】
アルキレンオキシド付加物(d)は、公知の方法(特開平5−178777号公報)で活性水素化合物(c)とアルキレンオキシドとの付加反応により得られる。アルキレンオキシドとしては、水性溶媒への溶解性の観点等から、エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びブチレンオキシドが好ましく、さらに好ましくはエチレンオキシド及びプロピレンオキシドである。アルキレンオキシドの付加数(個)は、活性水素化合物(c)の活性水素原子1個当たり、1〜10が好ましく、さらに好ましくは1〜6、特に好ましくは1〜4である。
【0019】
一般式(1)で表される(メタ)アクリルアミドのうち、s=1〜14であってuが0〜14である(メタ)アクリルアミドは、一般式(3)で表されるN置換(メタ)アクリルアミド(b)のうち、R8が水素原子であるヒドロキシル基含有(メタ)アクリルアミド(b0)とポリグリシジルエーテル化合物(e)との付加反応で得ることができる。この付加反応は、特開2002−194052号公報等に記載された付加反応等が適用できる。
【0020】
8が水素原子であるヒドロキシル基含有(メタ)アクリルアミド(b0)としては、特開2004−043467号公報に記載されたヒドロキシアルキルアクリルアミド等が挙げられる。これらのうち、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド及びN−ヒドロキシエチルアクリルアミドが好ましい。
【0021】
ポリグリシジルエーテル化合物(e)としては、活性水素化合物(c)又はこのアルキレンオキシド付加物(d)と、エピクロルヒドリンとの反応性性物等が挙げられる。活性水素化合物(c)としては、特開2002−194052号公報に記載されたポリヒドロキシ化合物が好ましく、さらに好ましくはエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ソルビトール、ソルビタン及びペンタエリスリトール、特に好ましくはトリメチロールプロパン、ソルビトール、ソルビタン及びペンタエリスリトールである。アルキレンオキシド付加物(d)としては、アルキレンオキシド(好ましくはエチレンオキシド、プロピレンオキシド及びブチレンオキシド、さらに好ましくはエチレンオキシド及びプロピレンオキシド、特に好ましくはエチレンオキシド)を活性水素化合物(c)の活性水素原子1個当たり、1〜10個付加させたものが好ましく、さらに好ましくは1〜6個、特に好ましくは1〜4個付加させたものである。活性水素化合物(c)又はこのアルキレンオキシド付加物と、エピクロルヒドリンとの付加は、公知の方法(特開2003−2880号公報等)が適用できる。
【0022】
ポリグリシジルエーテル化合物(e)は、市場から入手でき、デナコールシリーズ(ナガセケムテック株式会社製)、YED205及びYED216(ジャパンエポキシレジン株式会社製)、DEG−DEP(四日市合成株式会社製)、並びにエピオールシリーズ(日本油脂株式会社製)等が挙げられる。
【0023】
一般式(1)で表される(メタ)アクリルアミドのうち、(OX)単位と(OR4)単位とが交互状に配列したものは、活性水素化合物(c)に対して、アルキレンオキシドの付加反応とエピクロルヒドリン又はグリシドール(2,3−エポキシプロパノール)の付加反応とを交互に行い、最後にアルキレンオキシドの付加反応を行った場合、次に一般式(3)で表されるN置換(メタ)アクリルアミド(b)を反応させ(縮合反応)、又は最後にエピクロルヒドリンの付加反応を行った場合、次にヒドロキシル基含有(メタ)アクリルアミド(b0)を反応(付加反応)させることにより得られる。
【0024】
一般式(1)で表される(メタ)アクリルアミドのうち、(OX)単位と(OR4)単位とがブロック状に配列したものは、アルキレンオキシド付加物(d)とグリシドール(2,3−エポキシプロパノール)とを反応させた後、N置換(メタ)アクリルアミド(b)を反応(縮合化反応)させることにより得られる。グリシドール(2,3−エポキシプロパノール)の使用量は、アルキレンオキシド付加物(d)の水酸基1個あたり、1〜10個が好ましく、さらに好ましく1〜6個、特に好ましくは1〜4個である。
【0025】
一般式(1)で表される(メタ)アクリルアミドのうち、(OX)単位と(OR4)単位とがランダム状に配列したものは、活性水素化合物(c)と、アルキレンオキシドとエピクロルヒドリン及び/又はグリシドール(2,3−エポキシプロパノール)の混合物とを反応(ランダム付加反応)させた後、N置換(メタ)アクリルアミド(b)を反応(縮合化反応)させることにより得られる。
【0026】
一般式(1)で表される(メタ)アクリルアミドとしては、表1に示した(メタ)アクリルアミド(a1)〜(a55)、及びこれらの混合物等が例示できる。なお、表1中、R1〜R5、X、p、q、r、s、t、及びuは、式(1)に対応し、配列は(OX)単位と(OR4)単位との配列順序を表し、Qは、それぞれ記載された活性水素化合物から活性水素を除いた残基を表す。
【0027】
【表1】

【0028】
【表2】

【0029】
【表3】

【0030】
【表4】

【0031】
【表5】

【0032】
【表6】

【0033】
【表7】

【0034】
【表8】

【0035】
【表9】

【0036】
【表10】

【0037】
【表11】

【0038】
これらのうち、水性溶媒への溶解性、及び水性溶媒中での安定性の観点等から、a1〜a20、a25、a32、a33及びa41〜a44が好ましく、さらに好ましくはa1〜a20、a25、a32及びa33、特に好ましくはa1、a2、a6、a19及びa20である。
【0039】
本発明の(メタ)アクリルアミドは、これと、光重合開始剤及び水性溶媒とを含んでなる光重合組成物に好適である。
光重合開始剤としては、ラジカル開始剤及びカチオン開始剤等が含まれ、特開2004−352781号公報に記載されたラジカル開始剤及びカチオン開始剤等が使用できる。
これらの光重合開始剤のうち、硬化性の観点等から、ラジカル開始剤が好ましく、さらに好ましくはベンゾイル基含有ラジカル開始剤、モルフォニル基含有ラジカル開始剤及びリン原子含有ラジカル開始剤、特に好ましくはモルフォニル基含有ラジカル開始剤及びリン原子含有ラジカル開始剤である。
【0040】
水性溶媒としては、水又は特開2000−336295号公報に記載の水溶性有機溶媒等が使用できる。これらのうち、水、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、iso−ブタノール、n−ペンタノール及びこれらの混合物が好ましく、さらに好ましくは水、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール及びこれらの混合物、特に好ましくは水、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール及びこれらの混合物である。
【0041】
本発明の(メタ)アクリルアミドを光重合組成物に適用する場合、本発明の(メタ)アクリルアミドの含有量(重量%)は、本発明の(メタ)アクリルアミド、光重合開始剤及び水性溶媒の合計重量に基づいて、1〜95が好ましく、さらに好ましくは4〜90、特に好ましくは6〜84.5、最も好ましくは9〜75である。この場合、光重合開始剤の含有量(重量%)は、本発明の(メタ)アクリルアミド、光重合開始剤及び水性溶媒の合計重量に基づいて、0.1〜20が好ましく、さらに好ましくは0.3〜15、特に好ましくは0.5〜10、最も好ましくは1〜5である。また、この場合、水性溶媒の含有量(重量%)は、本発明の(メタ)アクリルアミド、光重合開始剤及び水性溶媒の合計重量に基づいて、4〜97が好ましく、さらに好ましくは8〜95、特に好ましくは14.5〜93、最も好ましくは20〜85である。これらの範囲であると、硬化性がさらに良好となり好ましい。
【0042】
本発明の(メタ)アクリルアミドを含む光重合性組成物には、添加剤(f)及び/又は光重合性単量体(h)を含むことができる。
【0043】
添加剤(f)としては、湿潤剤、消泡剤、着色剤及び防菌・防黴剤等が含まれる。添加剤を含むことにより、これらの機能を付与することができる。
湿潤剤としては、特開2004−277655号公報等に記載された湿潤剤が挙げられ、消泡剤としては、特開2002−322394号公報等に記載された消泡剤が挙げられ、着色剤としては、特開2004−189930号公報等に記載された着色剤が挙げられ、防菌・防黴剤としては、特開2003−041160号公報等に記載された防菌・防黴剤が挙げられる。
【0044】
湿潤剤を添加する場合、この含有量(重量%)は、本発明の(メタ)アクリルアミド、光重合開始剤及び水性溶剤の合計重量に基づいて、0.001〜30が好ましく、さらに好ましくは0.005〜20、特に好ましくは0.01〜10、最も好ましくは0.05〜8である。消泡剤を添加する場合、この含有量(重量%)は、本発明の(メタ)アクリルアミド、光重合開始剤及び水性溶剤の合計重量に基づいて、0.001〜30が好ましく、さらに好ましくは0.005〜20、特に好ましくは0.01〜10、最も好ましくは0.05〜8である。着色剤を添加する場合、この含有量(重量%)は、本発明の(メタ)アクリルアミド、光重合開始剤及び水性溶剤の合計重量に基づいて、0.001〜30が好ましく、さらに好ましくは0.005〜20、特に好ましくは0.01〜10、最も好ましくは0.05〜8である。防菌・防黴剤を添加する場合、この含有量(重量%)は、本発明の(メタ)アクリルアミド、光重合開始剤及び水性溶剤の合計重量に基づいて、0.001〜30が好ましく、さらに好ましくは0.005〜20、特に好ましくは0.01〜10、最も好ましくは0.05〜8である。
【0045】
光重合性単量体(h)としては、特開2002−194052号公報に記載された光重合性単量体等が挙げられる。光重合性単量体(h)を添加する場合、この含有量(重量%)は、保存安定性の観点等から、本発明の(メタ)アクリルアミドの重量に基づいて1〜100が好ましく、さらに好ましくは2〜50、特に好ましくは5〜10である。
【0046】
本発明の(メタ)アクリルアミドを含む光重合性組成物は、本発明の(メタ)アクリルアミド、光重合開始剤、水性溶剤、並びに必要に応じて、添加剤(g)及び/又は光重合性単量体(h)を、均一撹拌混合することにより得られる。本発明の(メタ)アクリルアミド、光重合開始剤、水性溶剤、並びに添加剤(g)及び/又は光重合性単量体(h)の撹拌混合する順番に特に制限がなく、均一に撹拌混合できればよい。撹拌混合温度としては、25〜60℃が好ましく、さらに好ましくは30〜50℃、特に好ましくは35〜45℃である。撹拌混合時間としては、0.5〜100時間が好ましく、さらに好ましくは1〜80時間、特に好ましくは1.5〜60時間である。攪拌混合した後、目詰まりの原因となる粗大粒子及び異物を除去するために、メンブランフィルター等にて濾過を行うことが好ましい。
【0047】
混合撹拌設備としては、通常使用される混合拡販設備が使用でき、羽型撹拌機、高速ホモミキサー、ホモジナイザー、ディゾルバー、ボールミル、ニーダー、サンドミル、三本ロール及び超音波分散機等が使用できる。これらのうち、保存安定性の観点等から、羽型撹拌機及び高速ホモミキサーが好ましい。
【0048】
本発明の(メタ)アクリルアミドを含む光重合性組成物は、紙、木材、石、ガラス、コンクリート、金属、プラスチック及び/又は金属蒸着プラスチック等にコーティングすることにより、保護コート層を形成することができる。これらのうち、紙、木材、プラスチック及び/又は金属蒸着プラスチック等の保護コート層を形成するのに好適であり、特に紙及び/又は木材の保護コート層形成用に最適である。
【0049】
本発明の(メタ)アクリルアミドを含む光重合性組成物をコーティングする方法としては、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷及びインクジェット方式等の他に、ハケ塗り、浸漬塗り、スピンコーティング、スプレー塗装及びロールコーティング等が適用できる。これらのうち、硬化性の観点等から、インクジェット方式及びスプレー塗装が好ましい。
そして、コーティングされたコーティング層に活性エネルギー線を照射して硬化することにより保護コート層が形成できる。
保護コート層の厚み(μm)は、0.5〜100が好ましく、さらに好ましくは1〜80、特に好ましくは2〜50である。
【実施例】
【0050】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されない。なお、特記しない限り、部は重量部を意味し、表12、及び表13中、EOはエチレンオキシドを、POはプロピレンオキシドを表す。
<実施例1>
N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド50.2部、ペンタエリスリトールのエチレンオキシド6モル付加物(水酸基価560)49.3部、p−トルエンスルホン酸0.5部及びハイドロキノン0.3部の混合液に、50ml/分の流量の乾燥空気を通気しながら、60℃に昇温した後、引き続き60±5℃で8時間反応させた。次いで、40±5℃、5時間、5KPaの条件下で揮発成分を除去してから、分取液体クロマトグラフにかけ、分子量が500〜900の範囲にある成分を分取した後、1時間、5KPaの減圧下でテトラハイドロフランを留去して本発明の(メタ)アクリルアミド(A1)を得た。
なお、(A1)は、1H−NMR分析、13C−NMR分析により、表1の(a1)で表される化合物であることを確認した。
また、分取液体クロマトグラフによる分取の条件は以下の通りである。
装置:示差屈折率検出器を備えた東ソー株式会社製、HPLCシステムHLC−8020
カラム:昭和電工株式会社製、H−2003(直径20mm×長さ300mm)×1本
試料濃度:10重量%のテトラヒドロフラン溶液
カラム温度:25±1℃
溶離液:テトラハイドロフラン(4mL/分)
基準物質:ポリエチレングリコール
【0051】
<実施例2〜4>
N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド50.2部、ペンタエリスリトールEO6モル付加物49.3部、及び分子量範囲を、表12に示した、(メタ)アクリルアミド(b)、アルキレンオキシド付加物(d)、分子量範囲及びそれぞれの使用量に変更した以外、実施例1と同様にして本発明の(メタ)アクリルアミド(A2)〜(A4)を得た。なお、(A2)〜(A4)は、1H−NMR分析、13C−NMR分析により、それぞれ表1の(a2)〜(a4)で表される化合物であることを確認した。
【0052】
【表12】

【0053】
<実施例5>
5±5℃に冷却したピリジン104.4部、及び塩化p−トルエンスルホニル83.9部の混合物にグリセリンのエチレンオキシド3モル付加物(水酸基価720)49.3部を6時間かけて滴下した後、25±5℃で4時間反応させた。析出した固体を濾別し、濾液から、70±5℃、1KPa、4時間の条件で揮発成分を除去して、グリセリンエチレンオキシド付加物をスルホン酸エステルに変換した。次いで、このスルホン酸エステルに、N−(ヒドロキシエチル)アクリルアミド50.7部、粉末水酸化ナトリウム26.4部、及びジエチルエーテル300部からなる懸濁液を20±10℃で3時間かけて滴下した後、20±10℃で6時間反応させた。析出した固体を濾別し、濾液から、40±5℃、1KPa、4時間の条件下で揮発成分を除去してから、実施例1と同様にして分子量が300〜650の範囲にある成分を分取液体クロマトグラフで採取した後、1時間、5KPaの減圧下でテトラハイドロフランを留去して本発明の(メタ)アクリルアミド(A5)を得た。なお、(A1)は、1H−NMR分析、13C−NMR分析により、表2の(a5)で表される化合物であることを確認した。
【0054】
<実施例6〜9>
N−(ヒドロキシエチル)アクリルアミド50.7部、グリセリンのエチレンオキシド3モル付加物49.3部、及び分子量範囲を、表13に示した、(メタ)アクリルアミド(b)、アルキレンオキシド付加物(d)、分子量範囲及びそれぞれの使用量に変更した以外、実施例5と同様にして本発明の(メタ)アクリルアミド(A6)〜(A9)を得た。なお、(A6)〜(A9)は、1H−NMR分析、13C−NMR分析により、それぞれ表2の(a6)〜(a9)で表される化合物であることを確認した。
【0055】
<実施例10〜13>
N−(ヒドロキシエチル)アクリルアミド50.7部、グリセリンのエチレンオキシド3モル付加物49.3部を、表13に示した、(メタ)アクリルアミド(b)、アルキレンオキシド付加物(d)及びそれぞれの使用量に変更し、分取液体クロマトグラフによる分取を行わなかったこと以外は、実施例5と同様にして本発明の(メタ)アクリルアミド(A10)〜(A13)を得た。なお、(A10)〜(A13)は、1H−NMR分析、13C−NMR分析により、それぞれ表2及び3の(a10)〜(a13)で表される化合物であることを確認し、GPC法による分子量測定で表13に記載の分子量範囲を持つことを確認した。
なお、GPC法による分子量測定の条件は以下の通りである。
装置:示差屈折率検出器を備えた東ソー株式会社製、HPLCシステムHLC−8020
カラム:東ソー株式会社製、TSKgel ALPHA−2500(直径7.8mm×長さ300mm)×1本
試料濃度:10重量%のテトラヒドロフラン溶液
カラム温度:25±1℃
溶離液:テトラハイドロフラン(4mL/分)
基準物質:ポリエチレングリコール
【0056】
【表13】

【0057】
<実施例14>
N−(ヒドロキシエチル)アクリルアミド40.8部、エポキシ当量167のソルビトールポリグリシジルエーテル{商品名:デナコールEX−614、ナガセケムテック(株)製}59.2部、ほうフッ化亜鉛45重量%水溶液1.0部及びハイドロキノン0.3部の混合液に、50ml/分の流量の乾燥空気を通気しながら、60℃に昇温した後、引き続き60±5℃で8時間反応させた。次いで、40±5℃、5時間、5KPaの減圧下で揮発成分を除去して、実施例1と同様にして分取液体クロマトグラフにかけ、分子量が780〜100の範囲にある成分を採取した後、1時間、5KPaの減圧下でテトラハイドロフランを留去して、本発明の(メタ)アクリルアミド(A14)を得た。なお、(A1)は、1H−NMR分析、13C−NMR分析により、表3の(a14)で表される化合物であることを確認した。
【0058】
<実施例15〜23>
N−(ヒドロキシエチル)アクリルアミド40.8部、エポキシ当量167のソルビトールポリグリシジルエーテル59.2部及び分子量範囲を、表14に示した、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリルアミド(b0)、ポリグリシジルエーテル(e)、分子量範囲及びそれぞれの使用量に変更した以外、実施例14と同様にして本発明の(メタ)アクリルアミド(A15)〜(A23)を得た。
なお、(A15)〜(A23)は、1H−NMR分析、13C−NMR分析により、それぞれ表3〜5の(a15)〜(a23)で表される化合物であることを確認した。
【0059】
【表14】

デナコールEX−614:ナガセケムテック(株)製ソルビトールポリグリシジルエーテル、エポキシ当量167
デナコールEX−512:ナガセケムテック(株)製ポリグロセロールポリグリシジルエーテル、エポキシ当量168
デナコールEX−411:ナガセケムテック(株)製ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、エポキシ当量229
デナコールEX−321:ナガセケムテック(株)製トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、エポキシ当量140
デナコールEX−211:ナガセケムテック(株)製ネオペンンチルグリコールジグリシジルエーテル、エポキシ当量138
デナコールEX−861:ナガセケムテック(株)製ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、エポキシ当量551
デナコールEX−931:ナガセケムテック(株)製ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、エポキシ当量471
【0060】
<実施例24>
トリメリット酸トリメチル15.8部、ペンタエリスリトールエチレンオキシド6モル付加物(水酸基価560)40.3部、2,3−エポキシ−1−プロパノール59.7部、及び水酸化リチウム0.1部の混合物に窒素ガスを流しながら、90℃に加熱し、90℃において2時間、100℃で1時間、110℃で2時間反応させた。ついで、窒素ガスを停止し、110℃に保持したまま、約1時間かけて10torrまで減圧し、110℃、10torrの状態で30時間保持した。この後、室温(約25℃)に冷却し、ほうフッ化亜鉛45重量%水溶液部1.0部、ハイドロキノン0.3部及びN−(ヒドロキシエチル)アクリルアミド52.5部を加え、50±5℃に保ちながら8時間反応させた。次いで、5時間、5KPaの減圧条件におき、揮発成分を除去してから、実施例1と同様にして分子量が400〜1000の範囲にある成分を分取液体クロマトグラフで採取した後、1時間、5KPaの減圧下でテトラハイドロフランを留去して、本発明のアクリルアミド(A24)を得た。なお、(A24)は、1H−NMR分析、13C−NMR分析により、表5の(a24)で表される化合物であることを確認した。
【0061】
<比較例1>
N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド74.8部、ペンタエリスリトール25.2部、p−トルエンスルホン酸0.5部及びハイドロキノン0.3部の混合物に50ml/分の流量の乾燥空気を通気しながら、70℃に昇温した後、引き続き70±5℃で8時間反応させた。次いで5時間、0.03MPaの減圧条件に置き、揮発成分を除去して、比較用の(メタ)アクリルアミド(B1)を得た。なお、実施例10〜13と同様にして測定した分子量範囲は89〜450であった。
【0062】
<比較例2、3>
N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド74.8部、ペンタエリスリトール25.2部を、表15に示した、(メタ)アクリルアミド(b)、ポリオール及びそれぞれの使用量に変更した以外、比較例1と同様にして比較用の(メタ)アクリルアミド(B2)及び(B3)を得た。
【0063】
【表15】

【0064】
<比較例4>
アクリル酸30.1部、エポキシ当量167のソルビトールポリグリシジルエーテル(商品名 デナコールEX−614 ナガセケムテック(株)製)69.9部及びハイドロキノン0.3部の混合物に50ml/分の流量の乾燥空気を通気しながら、60℃に昇温した後、引き続き60±5℃で8時間反応させて、次いで5時間、0.03MPaの減圧条件に置き、揮発成分を除去して、比較用の(メタ)アクリル酸エステル(B4)を得た。実施例10〜13と同様にして測定した分子量範囲は650〜900であった。
【0065】
<比較例5、6>
アクリル酸30.1部、エポキシ当量167のソルビトールポリグリシジルエーテル69.9部を、表15に示した(メタ)アクリル酸、ポリグリシジルエーテル化合物(e)及びそれぞれの使用量に変更した以外、比較例4と同様にして、比較用の(メタ)アクリル酸エステル(B5)及び(B6)を得た。
【0066】
【表16】

【0067】
<実施例26〜50、比較例7〜12>
本発明の(メタ)アクリルアミド(A1)〜(A25)、比較用の(メタ)アクリルアミド(B1)〜(B3)及び比較用の(メタ)アクリル酸エステル(B4)〜(B6)を表17〜19に示す配合量で用いて、空気雰囲気下40℃で、1時間攪拌混合して、本発明(実施例26〜50)の光重合性組成物、及び比較用(比較例7〜12)の光重合性組成物を得た。
これらの光重合性組成物について、硬化性及び保存安定性を評価し、これらの評価結果を表17〜19に示した。
なお、表17から9において、A1〜A25は実施例1〜25で得た(メタ)アクリルアミド(A1)〜(A25)、C1は2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、C2は1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、D1は水、D2はメタノール、D3はiso−プロピルアルコール、D4はn−ブタノール、E1はエチレングリコールジ(メタ)アクリレートを意味する。
【0068】
<硬化性>
インクジェットプリンタ用OHPシート(コクヨ株式会社製VF−1110)上に、JIS K5101(1991)顔料試験方法 6.色 6.2 B法 (1.2)展色器具(b)バーコーターに記載されたものと同等のバーコーターNo.6を用いて、光重合性組成物を塗工し、塗工面を上にして22℃で5分間で放置し、さらに50℃の乾燥機内で5分間放置した後、塗工面に紫外線(高圧水銀灯)を照射することによって、評価試料を調整した。なお、紫外線は、コンベア式露光機{ウシオ電機(株)製ユニキュアUVC−02516S1AGM01}と超高圧水銀ランプ(ウシオ電機(株)製UVL−4001−N)とを用い、コンベア速度3m/分で500mJ/cm2を照射した。
ついで、JIS K5600−5−6:1999「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第6節:付着性(クロスカット法)」に準じて評価した。すなわち、評価用試料の表面にカッターナイフで、縦、横それぞれ6本、2mm間隔で傷を入れ、25個のます目をつくり、そこへニチバン製セロハンテープを貼り付けて、塗膜の残ったます目の数を数え、残ったます目の割合(%){(塗膜の残ったます目の数)/(全ます目数;25)×100}を算出し、硬化性(1)とした。
【0069】
<保存安定性>
評価用光重合性組成物を遮光下で40±5℃に1ヶ月間保存した後、この組成物を用いて上記と同様にして評価試料を調製し硬化性を評価した。
そして、40℃の保存前の硬化性(1)に対する40℃保存後の硬化性(2)の割合{(2)×100/(1)}を算出し、これを保存安定性(%)とした。
【0070】
【表17】

【0071】
【表18】

【0072】
【表19】

【0073】
本発明の光重合性組成物(実施例26〜49)は、比較例1〜6の光重合性組成物に比較して、<硬化性>及び<保存安定性>が著しく優れていた。
これらの中でも、実施例26、27、31、44及び45{(メタ)アクリルアミド(A1)、(A2)、(A6)、(A19)又は(A20)を用いたもの}は、<硬化性>及び<保存安定性>の全てについて際だって優れていた。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の(メタ)アクリルアミドは、光重合開始剤及び水性溶媒とともに光重合性組成物を形成し、種々の基材に塗工され、その基材に傷つきや汚れを防ぐ保護コート層を形成するのに適している。このような保護コート層を形成する基材としては、皮、布、プラスチック成型体、金属、紙、木材、ダンボール及び陶磁器等が挙げられる。そして、保護コート層が形成された保護コート層付き基材は、プリペイドカード、音楽用コンパクトディスク、CD−R、CD−RW、ディジタルビデオディスク(DVD)、ICカード、磁気カード、照明用アクリル樹脂板、ポリカーボネート板、看板、表示パネル、商品展示用パネル、表札、ネームプレート、銘板、包装容器、袋及び建築材料等に適用できる。
本発明の(メタ)アクリルアミドは、これらの他に、他のコーティング剤(印刷インク受容層形成用インク、印刷インク用バインダー、エレクトロニクス用レジスト及びプラスチック用接着剤等)等の用途にも適している。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表されることを特徴とする(メタ)アクリルアミド。
【化1】

1は水素原子又はメチル基、R2及びR5は水素原子又は炭素数1〜12の有機基、R3は炭素数1〜12の有機基、R4は炭素数1〜8のアルキレン基、Xは1−又は2−ヒドロキシプロピレン基、Qは2〜8価の炭素数1〜60の有機基、s及びuは0〜14、p及びrは0〜14、qは1.3〜8、tは0〜6.7を表し、(s+p)≠0である。
【請求項2】
請求項1に記載の(メタ)アクリルアミド、光重合開始剤、及び水性溶媒を含んでなる光重合性組成物。
【請求項3】
請求項2に記載の光重合性組成物をコーティングし、硬化して保護コート層を形成する工程を含む保護コート層付き基材の製造方法。

【公開番号】特開2006−225446(P2006−225446A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−38477(P2005−38477)
【出願日】平成17年2月15日(2005.2.15)
【出願人】(000106438)サンノプコ株式会社 (124)
【Fターム(参考)】