説明

(メタ)アクリレートポリマー並びに前記ポリマーを、ポリマーに結合された紫外線開始剤として又は紫外線硬化性樹脂への添加剤として用いる使用

本発明は、a)0.1〜99.9質量%の一般式(I)の少なくとも1種の(メタ)アクリレート(式中、基R1〜R6並びにmは、明細書中に示される意味を取る)及びb)99.9〜0.1質量%の前記a)とは異なりa)と共重合可能な1種もしくは複数種のエチレン性不飽和モノマーとを有する混合物の重合によって得られる(メタ)アクリレートポリマーであって、前記成分a)及びb)は一緒に混合物の重合可能な成分の100質量%となり、その際、ポリマーのMWが1000g/モル以上から50000g/モル以下までの範囲にある前記(メタ)アクリレートポリマーを記載している。得られるポリマーは、好ましくは懸濁重合又はパール重合の経路で製造でき、好ましくは反応性希釈剤中に溶かして、ポリマーに結合された光開始剤として又は紫外線硬化性の樹脂への添加剤として様々な使用分野のために、特に印刷インキのために用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマーに結合された光開始剤としてもしくは紫外線硬化性樹脂において使用するための、(メタ)アクリレートポリマー、好ましくはベンゾフェノン含有の(メタ)アクリレートポリマーを記載している。
【0002】
従来技術
ベンゾフェノン及び低分子量のベンゾフェノン誘導体は、広く知られた光開始剤である。照射に際して、エチレン性不飽和モノマーの重合又は架橋をもたらしうるラジカルが形成される。
【0003】
Carlini他は、Polymer,1983,Vol.24,May,第599頁以降において、側鎖にベンゾフェノン発色団を含むポリマー及びその高効率的な光開始剤としての使用について報告している。アクリルオキシベンゾフェノンと、メチルアクリレート、メチルアクリレート又は1−アクリルオキシ−2−エトキシエタンとのコポリマーが開示されている。記載されるコポリマーは、約10〜90モル%のアクリルオキシベンゾフェノン単位を有し、それは重合の光開始のために適している。想定される光開始剤の分子量の厳密な特定は、前記の公開公報では行われていない。
【0004】
しかしながら、Carlini他によって記載される製造方法(60℃でのAIBNを用いた重合)に基づき、当業者には、ただちに、ポリマーの分子量がかなり高くなければならず、かつ少なくとも60000のMWが得られるであろうことは明らかである。
【0005】
US5,900,472号Aは、光開始剤として使用するための共重合可能なベンゾフェノン誘導体を記載している。2個〜4個の(メタ)アクリレート基を有するベンゾフェノン誘導体が示され、並びに、多価のベンゾフェノン誘導体と(メタ)アクリレートとの反応により照射作用下で得られる紫外線硬化性の塗膜が考えられる。US5,900,472号Aによれば、多価のベンゾフェノン誘導体を使用して得られる塗膜は、それが"ブリード"の傾向をあまり示さない限りは、そのときまで知られていた公知の光開始剤を有する塗膜を凌駕する。今日まで、消費されない光開始剤は、この現象の傾向にあり、これは、その使用をわずかな可能性に限定する。
【0006】
公知の光開始剤が食品包装、例えばTetrapak(登録商標)などの包装の使用のための添加剤として使用されるべきであれば、当然、ベンゾフェノンなどのマイグレーションの可能性がある光開始剤は絶対に許容されない。その他にも、ベンゾフェノン又はUS5,900,472号Aの生成物の場合には悪臭の問題もありうる。
【0007】
Carlini他によるポリマーに結合されたベンゾフェノンは、印刷インキの粘度に悪影響を及ぼしうる。高すぎる粘度は、反応動力学を妨げ、かつ印刷インキの不完全な硬化又は遅延された硬化をもたらすことがある。
【0008】
課題
冒頭に挙げられかつ議論された先行技術に鑑み、本発明の課題は、(メタ)アクリレートポリマー、好ましくはベンゾフェノン誘導体もしくはベンゾフェノ誘導体を含むポリマーであって、ポリマーの光開始剤として及び/又は光重合可能な樹脂への添加剤として使用するのに適した前記ポリマーを挙げることであった。
【0009】
該ポリマーは、簡単な基本構造単位から簡単な方法で得られるべきである。
【0010】
その他に、該ポリマーはできる限り反応性であるべきであり、かつ光開始剤として使用する際にできる限り完全に反応すべきである。
【0011】
前記の新規ポリマーは、また、その反応性に関して使用でき又は制御できるべきである。
【0012】
更に、前記ポリマーは、その使用後にできる限りほとんどブリードもしくはマイグレーションしないべきである。従って、前記ポリマーは、できる限り持続的に例えば得られる塗膜もしくは被覆に組み込まれているべきである。
【0013】
新規の光開始剤は、とりわけ、紫外線硬化性の印刷インキへの添加剤としても、とりわけ食品包装の印刷のためにも適しているべきである。
【0014】
解決手段
本発明の課題又は本発明の課題の部分態様は、以下のa)及びb)
a)0.1〜99.9質量%の、一般式(I)
【化1】

[式中、
1は、水素又はメチルを意味し、
2は、酸素又はNHを表し、
3は、一般式II
【化2】

の基を表し、前記式中、
7、R8、R9は、互いに無関係に、水素又はメチルであり、
nは、0から200までの整数であり、
o及びpは、互いに独立して、0から2までの整数であり、その際、nとoとpとの合計が0である場合については、R3は、結合であり、
4は、結合、酸素、NH、O−CO−O、NH−CO−O、NH−CO−NH又は硫黄であり、
5は、水素、ハロゲン又は1から20個の炭素原子を有する基を表し、前記基は、場合により酸素、窒素及び/又は硫黄で置換されており、その際、mは、1から5までの整数を表し、かつ
6は、アリール基又はヘテロシクリル基を表す]の少なくとも1種の(メタ)アクリレート、及び
b)99.9〜0.1質量%の、前記a)とは異なり前記a)と共重合可能な1種もしくは複数種のエチレン性不飽和モノマー、
を有する混合物の重合によって得られ、その際、成分a)及びb)は、一緒になって、混合物の重合可能な成分の100質量%である(メタ)アクリレートポリマーであって、1000g/モル以上から50000g/モル以下までの範囲の分子量の質量平均MWを有することを特徴とし、前記MWは、ゲル透過クロマトグラフィーによってポリメチルメタクリレート標準に対して測定される前記(メタ)アクリレートポリマーによって解決される。
【0015】
かかるポリマーは、光開始剤として又は紫外線硬化性樹脂の硬化に際しての添加剤として、極めて好ましい被覆又は塗膜を設けることを可能にする。特に、紫外線硬化性印刷インキの成分としての前記ポリマーは、食品包装から包装された食品中へのマイグレーションの傾向にない。本発明によるポリマーに結合された光開始剤は、極めて十分に臭いがない。さらに、印刷インキで使用する場合に、印刷インキの粘度は、通常印刷インキに添加される量によって影響されないか又はほんの少しだけしか影響されないので、硬化動力学の妨げにならない。それは改めて、本発明による光開始剤を有する印刷インキを存在する標準的印刷装置で使用することを可能にする。
【0016】
発明の詳細な説明
モノマー組成物は、一般式(I)の1種もしくは複数種の(メタ)アクリレートa)を含む。モノマー混合物の(メタ)アクリレートa)の割合は、重合可能な成分の全質量(a)とb)との合計)に対して0.1〜99.9質量%の範囲にある。
【0017】
適宜、式(I)のモノマーは、それぞれ重合性成分の全質量(a)とb)との合計)に対して、0.5〜50質量%の範囲で、特に2.0〜35.0質量%の範囲の量で、殊に好ましくは5.0〜30.0質量%の量でモノマー混合物中に存在する。
【0018】
本発明の範囲において、(メタ)アクリレートという表記とは、メタクリレート又はアクリレートも、メタクリレートとアクリレートとの混合物も表すと解される。
【0019】
モノマーa)は、一般式
【化3】

[式中、
1は、水素又はメチルを意味し、
2は、酸素又はNHを表し、
3は、一般式II
【化4】

の基を表し、前記式中、
7、R8、R9は、互いに独立して、水素又はメチルであり、
nは、0から200までの整数であり、
o及びpは、互いに独立して、0から2の整数であり、その際、nとoとpとの合計が0である場合について、R3は結合であり、
4は、結合、酸素、NH、O−CO−O、NH−CO−O、HN−CO−NH又は硫黄であり、
5は、水素、ハロゲン又は1から20個の炭素原子を有する基を表し、前記基は場合により酸素、窒素及び/又は硫黄で置換されており、その際、mは、1から5までの整数を表し、かつ
6は、アリール基又はヘテロシクリル基を表し、前記基は適宜隣接するカルボニル基と結合して配置されている]の少なくとも1種の化合物である。
【0020】
本発明の方法の適切な一別形においては、基R1は、メチル基を表す。
【0021】
特に好ましい更なる一変法においては、式(I)で示され、基R2が酸素を表す化合物が使用される。
【0022】
特に適切には、また、式(I)で示され、R1がメチル基を表し、かつR2が酸素を表す化合物である。前記の組み合わせにおいて、メタクリロイル基が該当する。
【0023】
この例で示されるように、更なる詳細な説明の過程でも、好ましい又は適切な変法の組み合わせ及び並べ替えは、特に式(I)で示され、特に好ましい基及び/又は適切な基を有する化合物の使用に関して、ともに本発明に属し、開示されているものと見なされるべきである。
【0024】
本発明による方法の更なる適切な一別形において、式(I)で示され、式中、R3及び/又はR4が、重合性のエチレン性不飽和官能基のスペーサーを介した結合がエチレンオキシド基もしくはプロピレンオキシド基の形で行われるように選択される。この目的のためには、基R3を、指数n+o+pの合計が0超であるように選択することが好ましい。特に適切には、o及びpは0が選択される一方で、nは0より大きい整数であり、特に適切には5より大きく、なおもより好ましくは10より大きい。
【0025】
基R7〜R9は、適切な一別形において、それが全体として水素であるように選択される。
【0026】
しかし大きな関心が持たれているのは、また、式(I)で示され、基R7〜R9が全体としてメチルを表す化合物である。
【0027】
特に良好な一変法は、式(I)で示され、その式中、R1がメチルを表し、R2が酸素を表し、R4が結合を表し、p及びoが0であり、R7が水素を表し、かつ指数nが1〜50の範囲の、特に好ましくは2〜20の、なおもより好ましくは5〜10の範囲の整数を意味する化合物の使用に際して達成される。
【0028】
5は、水素、ハロゲン又は1から20個の炭素原子を有する基であり、前記基は、場合により酸素、窒素及び/又は硫黄で置換されており、その際、mは、1〜4を表す。
【0029】
本発明の特に適切な変法は、式(I)で示され、全ての4つのR5が水素を表す化合物を使用する。
【0030】
基R6は、アリール基又はヘテロシクリル基である。特に適切には、R6は、アリール基である。特に好ましくは、R6は、フェニル基である。
【0031】
基の断片−R4−R3−R2−と芳香族化合物との結合は、該芳香族化合物上のカルボニル官能基に対してo位、m位又はp位で行うことができる。好ましくはパラ結合、従って1−4結合である。
【0032】
本発明の特に適切な一別形において、モノマーa)は、一般式(I′)
【化5】

[式中、R1、R3及びR5並びにmは、式(I)で上述した意味を採りうる]の少なくとも1種のベンゾフェノン(メタ)アクリレートである。
【0033】
10は、R5とは独立して、R5の意味を取りうる。すなわち、R10は、水素、ハロゲン又は1〜20個の炭素原子を有する基を表し、前記基は、場合により酸素、窒素及び/又は硫黄で置換されており、その際、qは、1〜5を表す。
【0034】
殊に好ましい本発明の一実施態様は、化合物a)として、一般式(I′′)の化合物に相当する化合物が使用される方法に向けられる。その際、モノマーa)は、一般式I′′
【化6】

[式中、R1、R5及びR10並びにm及びqは、既に式(I)及び(I′)で示した意味を有する]の少なくとも1種のベンゾフェノン(メタ)アクリレートである。
【0035】
ハロゲンとは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素の残基を表す。
【0036】
1〜20個の炭素原子を有する基には、排他的でないリストにおいて、とりわけ、C1〜C20−アルキル、C2〜C20−アルケニル、C2〜C20−アルキニル、アリール又はヘテロシクリルが該当し、その際、前記アリール基もしくはヘテロシクリル基は、非置換であるか又は3個までの、フッ素の場合にはまた同一もしくは異なる基の最大数まで備えられていてよく、かつ上述のアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基においては、1もしくは複数の、好ましくは3個までの隣接していない飽和炭素単位が、ヘテロ原子単位、例えば酸素又は硫黄によって置き換えられていてよく、かつその際、更に3〜6個の、場合により上述のように変性された炭化水素基は、環を形成してよく、かつこれらの炭化水素基は、示された選択肢で又はそれをなくして、場合により1もしくは複数の、好ましくは3個までの、ハロゲンの場合には、同一もしくは異なる基の最大数までで一連のハロゲン、好ましくはフッ素、アリール、アリールオキシ、アリールチオ、C3〜C8−シクロアルコキシ、C3〜C8−シクロアルキルチオ、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシ又はC1〜C2−アルコキシカルボニルで置換されていてよく、その際、脂環式の、芳香族の又は複素環式の環系は、同様に挙げられる置換基のもとで非置換であるか、又は3個までの、フッ素の場合にはまた同一もしくは異なる置換基の最大数までが備えられていてよい。
【0037】
表現"C1〜C20−アルキル"とは、1〜20個の炭素原子を有する非分枝鎖状もしくは分枝鎖状の炭化水素基を表し、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、2−メチルプロピル基又はt−ブチル基並びに例えばペンチル基、2−メチルブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基又は1,1,3,3−テトラメチルブチル基並びに例えばノニル基、1−デシル基、2−デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ペンタデシル基もしくはエイコシル基を表す;
表現"C2〜C20−アルケニル"とは、例えばビニル基、アリル基、2−メチル−2−プロペニル基又は2−ブテニル基並びに例えば2−ペンテニル基、2−デセニル基又は2−エイコセニル基を表す;
表現"C2〜C20−アルキニル"とは、例えばエチニル基、プロパルギル基、2−メチル−2−プロピニル基又は2−ブチニル基並びに例えば2−ペンチニル基又は2−デシニル基を表す;
表現"アリール"とは、好ましくは6〜14個の、特に6〜12個の炭素原子を有する同素環式の芳香族基、例えばフェニル、ナフチル又はビフェニリル、好ましくはフェニルを表す。
【0038】
表現"アリールオキシ"とは、例えばフェノキシ基又は1−もしくは2−ナフチルオキシ基を表す;
表現"アリールチオ"とは、例えばフェニルチオ基又は1−もしくは2−ナフチルチオ基を表す;
表現"C3〜C8−シクロアルコキシ"とは、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基又はシクロオクチル基であって、酸素を介して結合されている基を表す;
表現"C3〜C8−シクロアルキルチオ"とは、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基又はシクロオクチル基であって、硫黄原子を介して結合されている基を表す。
【0039】
表現"ヘテロシクリル"とは、複素芳香族又は複素脂肪族の環系を表し、その際、"複素芳香族の環系"とは、アリール基であって、少なくとも1つのCH基がNによって置き換えられており、かつ/又は少なくとも2つの隣接したCH基がS、NHもしくはOによって置き換えられている基を表し、例えばチオフェン、フラン、ピロール、チアゾール、オキサゾール、イミダゾール、イソチアゾール、イソキサゾール、ピラゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、1,3,4−トリアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,2,4−トリアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,3,4−テトラゾール、ベンゾ[b]チオフェン、ベンゾ[b]フラン、インドール、ベンゾ[c]チオフェン、ベンゾ[c]フラン、イソインドール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾイソキサゾール、ベンゾイソチアゾール、ベンゾピラゾール、ベンゾチアジアゾール、ベンゾトリアゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、カルバゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,2,4,5−トリアジン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、1,8−ナフチリジン、1,5−ナフチリジン、1,6−ナフチリジン、1,′1−ナフチリジン、フタラジン、ピリドピリミジン、プリン、プテリジン又は4H−キノリジンの基を表す;表現"複素脂肪族の環系"とは、シクロアルキル基であって、少なくとも1つの炭素単位がO、S又は基NR′′によって置き換えられており、かつR′′が水素、C1〜C4−アルキル又はアリールを意味する基を表す;
表現"ヘテロシクリルオキシ"とは、上述の複素環式の基であって、酸素原子を介して結合されている基を表す;
1〜C2−アルコキシカルボニルとは、メトキシカルボニル基又はエトキシカルボニル基を表す。
【0040】
既に挙げられるように、本発明の好ましい実施態様において、該組成物は、R1がメチルであることを特徴とする。
【0041】
特に関心が持たれているのは、また、R2が酸素である組成物である。
【0042】
特に関心が持たれているのは、また、R4が結合である組成物である。
【0043】
特に関心が持たれているのは、また、p=o=0であり、かつnが1から20の間の整数である組成物である。前記の場合については、R7が水素である場合に特に適切である。
【0044】
選択的には、また、p=o=n=0である場合が特に好ましい。
【0045】
特に関心が持たれているのは、また、全てのR5が水素である組成物である。
【0046】
特に関心が持たれているのは、また、R6がフェニルである組成物である。
【0047】
殊に適切には、成分a)として、本発明による組成物のためのポリマーB)の作成のためにメタクリロイルオキシベンゾフェノン又はベンゾフェノンメタクリレートが使用される。
【0048】
式(I)、(I′)及び(I′′)の化合物は、購入できるか、又は文献公知の方法により製造される。製造のための考えられる方法には、例えば(メタ)アクリレートと、相応のアルコール又はアルコール前駆体化合物との反応が該当する。
【0049】
前記モノマー組成物は、更に、a)と共重合できるが、これとは異なる1種もしくは複数種のエチレン性不飽和のコモノマーb)を含む。該コモノマーの割合は、重合可能な成分の質量(a)+b)の質量の合計)に対して、99.9〜0.01質量%、特に50.0〜99.5質量%、適切には65.0〜98.0質量%、特に好ましくは70.0〜35.0質量%の範囲にある。
【0050】
この関連で好適なコモノマーb)は、例えば式(III)
【化7】

[式中、R1*及びR2*は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、CN、1〜20個の、好ましくは1〜6個の、特に好ましくは1〜4個の炭素原子を有し、それが1〜(2n+1)個のハロゲン原子で置換されていてよく、nがアルキル基の炭素原子の数である直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル基(例えばCF3)、2〜10個の、好ましくは2〜6個の、特に好ましくは2〜4個の炭素原子を有し、それが1〜(2n−1)個のハロゲン原子、好ましくは塩素で置換されていてよく、nがアルキル基の炭素原子の数であるα,β−不飽和の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルケニル基もしくはアルキニル基(例えばCH2=CCl−)、3〜8個の炭素原子を有し、それが1〜(2n−1)個のハロゲン原子、好ましくは塩素で置換されていてよく、nがシクロアルキル基の炭素原子の数であるシクロアルキル基、6〜24個の炭素原子を有し、それが1〜(2n−1)個のハロゲン原子、好ましくは塩素及び/又は1〜6個の炭素原子を有するアルキル基で置換されていてよく、nがアリール基の炭素原子の数であるアリール基、C(=Y*)R5*、C(=Y*)NR6*7*、Y*C(=Y*)R5*、SOR5*、SO25*、OSO25*、NR8*SO25*、PR5*2、P(=Y*)R5*2、Y*PR5*2、Y*P(=Y*)R5*2、NR8*2であって追加のR8*基、アリール基もしくはヘテロシクリル基で第四級化されていてよいものからなる群から選択され、その際、Y*は、NR8*、SもしくはO、好ましくはOであってよく、R5*は、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、1〜20個の炭素原子を有するアルキルチオ、OR15(R15は、水素又はアルカリ金属である)、1〜20個の炭素原子を有するアルコキシ、アリールオキシ又はヘテロシクリルオキシであり、R6*及びR7*は、独立して、水素又は1〜20個の炭素原子を有するアルキル基であるか、又はR6*及びR7*は、一緒になって、2〜7個の、好ましくは2〜5個の炭素原子を有するアルキレン基を形成してよく、その際、それらは3〜8員の、好ましくは3〜6員の環を形成し、かつR8*は、水素、1〜20個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル基もしくはアリール基であり、その際、R3*及びR4*は、独立して、水素、ハロゲン(好ましくはフッ素もしくは塩素)、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基及びCOOR9*からなる群から選択され、その際、R9*は、水素、アルカリ金属又は1〜40個の炭素原子を有するアルキル基であり、又はR1*及びR3*は、一緒になって、式(CH2n'の基(前記基は、1〜2n′個のハロゲン原子又はC1〜C4−アルキル基で置換されていてよい)又は式C(=O)−Y*−C(=O)の基を形成してよく、その際、n′は、2〜6、好ましくは3又は4であり、かつY*は、上記定義の通りであり、かつ基R1*、R2*、R3*及びR4*の少なくとも2個は、水素又はハロゲンである]に相当する。
【0051】
これには、とりわけ、アリール(メタ)アクリレート、例えばベンジルメタクリレート、又はフェニルメタクリレート(その際、前記アリール基は、それぞれ非置換もしくは4置換までされていてよい);ハロゲン化されたアルコールのメタクリレート、例えば2,3−ジブロモプロピルメタクリレート、4−ブロモフェニルメタクリレート、1,3−ジクロロ−2−プロピルメタクリレート、2−ブロモエチルメタクリレート、2−ヨードエチルメタクリレート、クロロメチルメタクリレート;ビニルハロゲン化物、例えば塩化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン及びフッ化ビニリデン;ビニルエステル、例えば酢酸ビニル;スチレン、側鎖中でアルキル置換基で置換されたスチレン、例えばα−メチルスチレン及びα−エチルスチレン、環上でアルキル置換基で置換されたスチレン、例えばビニルトルエン及びp−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン、例えばモノクロロスチレン、ジクロロスチレン、トリブロモスチレン及びテトラブロモスチレン;複素環式のビニル化合物、例えば2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、3−エチル−4−ビニルピリジン、2,3−ジメチル−5−ビニルピリジン、ビニルピリミジン、ビニルピペリジン、9−ビニルカルバゾール、3−ビニルカルバゾール、4−ビニルカルバゾール、1−ビニルイミダゾール、2−メチル−1−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン、2−ビニルピロリドン、N−ビニルピロリジン、3−ビニルピロリジン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルブチロラクタム、ビニルオキソラン、ビニルフラン、ビニルチオフェン、ビニルチオラン、ビニルチアゾール及び水素化ビニルチアゾール、ビニルオキサゾール及び水素化ビニルオキサゾール;ビニルエーテル及びイソプレニルエーテル;マレイン酸及びマレイン酸誘導体、例えばマレイン酸無水物、メチルマレイン酸無水物、マレインイミド、メチルマレインイミド;フマル酸及びフマル酸誘導体;アクリル酸及び(メタ)アクリル酸;ジエン、例えばジビニルベンゼン、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、例えば3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3,4−ジヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2,5−ジメチル−1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオール(メタ)アクリレート;カルボニル含有メタクリレート、例えば2−カルボキシエチルメタクリレート、カルボキシメチルメタクリレート、オキサゾリジニルエチルメタクリレート、N−(メタクリロイルオキシ)ホルムアミド、アセトニルメタクリレート、N−メタクリロイルモルホリン、N−メタクリロイル−2−ピロリジノン、N−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2−ピロリジノン、N−(3−メタクリロイルオキシプロピル)−2−ピロリジノン、N−(2−メタクリロイルオキシペンタデシル)−2−ピロリジノン、N−(3−メタクリロイルオキシヘプタデシル)−2−ピロリジノン;グリコールジメタクリレート、例えば1,4−ブタンジオールメタクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエトキシメチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート;エーテルアルコールのメタクリレート、例えばテトラヒドロフルフリルメタクリレート、ビニルオキシエトキシエチルメタクリレート、メトキシエトキシエチルメタクリレート、1−ブトキシプロピルメタクリレート、1−メチル−(2−ビニルオキシ)エチルメタクリレート、シクロヘキシルオキシメチルメタクリレート、メトキシメトキシエチルメタクリレート、ベンジルオキシメチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエトキシメチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、アリルオキシメチルメタクリレート、1−エトキシブチルメタクリレート、メトキシメチルメタクリレート、1−エトキシエチルメタクリレート、エトキシメチルメタクリレート及びエトキシ化(メタ)アクリレートであって、好ましくは1〜20個の、特に2〜8個のエトキシ基を有するもの;アミノアルキル(メタ)アクリレート及びアミノアルキル(メタ)アクリレートアミド、例えばN−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリレート、3−ジエチルアミノペンチルメタクリレート、3−ジブチルアミノヘキサデシル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸のニトリル及び別の窒素含有のメタクリレート、例えばN−(メタクリロイルオキシエチル)ジイソブチルケチミン、N−(メタクリロイルオキシエチル)ジヘキサデシルケチミン、メタクリロイルアミドアセトニトリル、2−メタクリロイルオキシエチルメタクリルシアナミド、シアノメチルメタクリレート;複素環式の(メタ)アクリレート、例えば2−(1−イミダゾリル)エチル(メタ)アクリレート、2−(4−モルホリニル)エチル(メタ)アクリレート及び1−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2−ピロリドン;オキシラニルメタクリレート、例えば2,3−エポキシブチルメタクリレート、3,4−エポキシブチルメタクリレート、10,11−エポキシウンデシルメタクリレート、2,3−エポキシシクロヘキシルメタクリレート、10,11−エポキシヘキサデシルメタクリレート;並びにグリシジルメタクリレートが該当する。
【0052】
特に適したコモノマーb)には、とりわけ、メタクリレート、アクリレート、スチレン及び上述の群の2種以上の成分を含む混合物が該当する。(メタ)アクリレートのための例は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メチル−もしくはエチルトリグリコールメタクリレート、ブチルジグリコールメタクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート並びにジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート及びその高級同族体、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート及びその高級同族体、1,3−及び1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、3〜10モルのエチレンオキシドを有するエトキシ化トリメチロールプロパンのトリ(メタ)アクリレート、2〜20モルのエチレンオキシド、好ましくは2〜10モルのエチレンオキシドを有するエトキシ化ビスフェノールAのジ(メタ)アクリレート及び/又は1〜15個のエチレンオキシド単位を有するポリエチレングリコールジメタクリレート及びアリル(メタ)アクリレートである。他の例は、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、マレイン酸及びコハク酸とヒドロキシエチルメタクリレートとのモノエステル並びにヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのリン酸エステルであり、その割合は大抵は副次的なものである。
【0053】
更に、本発明によるポリマーの作成のために、複数種のモノマーb)を使用できることは自明である。例えば、本発明によるポリマーは、互いに異なる種類b)のモノマーの2種以上の重合によっても得ることができる。
【0054】
本発明にとって特に関心が持たれるのは、成分b)が(メタ)アクリレートモノマーから選択されることを特徴とするポリマーである。この場合に、成分b)がメチルメタクリレートであることが殊に好ましい。
【0055】
更なる一実施態様においては、成分b)がn−ブチルメタクリレートを有することが好ましい。
【0056】
特定の本発明によるポリマーは、また、3〜5個の炭素原子をエステル基中に有する(メタ)アクリレートから選択される成分b)を使用しても得られる。これには、とりわけプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート及びn−ペンチルメタクリレートが該当する。上述のモノマーのうち、n−ブチルメタクリレートが特に好ましい。
【0057】
特定の本発明によるポリマーは、同様に、b)がメチルメタクリレート及びn−ブチルメタクリレートを有するモノマーの混合物であることによって優れている。
【0058】
殊に好ましい本発明によるポリマーは、ベンゾフェノンメタクリレート、メチルメタクリレート及びn−ブチルメタクリレートの共重合によって得られる。
【0059】
本発明によるポリマーは、ラジカル重合によって得られる。慣用のフリーラジカル重合は、とりわけ、ウールマンの工業化学事典、第6版(Ullmanns′Encyclopedia of Industrial Chemistry,Sixth Edition)に詳細に説明されている。
【0060】
本発明の範囲において、重合は、ラジカル重合のための少なくとも1種の重合開始剤を使用して開始される。それには、とりわけ、当業界で広く知られるアゾ開始剤、例えば2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)及び1,1−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、有機ペルオキシド、例えばジクミルペルオキシド、ジアシルペルオキシド、例えばジラウロイルペルオキシド、ペルオキシジカーボネート、例えばジイソプロピルペルオキシジカーボネート、ペルエステル、例えばt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエートなどが該当する。
【0061】
本発明の目的のために殊に適した重合開始剤は、特に以下の化合物:メチルエチルケトンペルオキシド、アセチルアセトンペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、t−ブチルペル−2−エチルヘキサノエート、ケトンペルオキシド、t−ブチルペルオクトエート、メチルイソブチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ビス(2−エチルヘキサノイル−ペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、ジクミルペルオキシド、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、クミルヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)−ペルオキシジカーボネート、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、t−アミルペルオキシピバレート、ジ−(2,4−ジクロロベンゾイル)ペルオキシド、t−ブチルペルオキシピバレート、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、ジ(3,5,5−トリメチル−ヘキサノイル)ペルオキシド、ジオクタノイルペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、2,2′−アゾビス(N,N′−ジメチレンイソブチルアミジン)、ジ(2−メチルベンゾイル)ペルオキシド、ジメチル−2,2′−アゾビスイソブチレート、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン、4,4′−アゾビス(シアノペンタン酸)、ジ(4−メチルベンゾイル)ペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、t−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシ−イソブチレート並びに上述の重合開始剤の混合物である。
【0062】
本発明によるポリマーは、塊状でも又は溶液中でも得ることができる。しかしながら、懸濁重合法による重合、いわゆるパール重合によってそれを得ることが好ましい。直接的な懸濁重合法では、水不溶性のモノマーが水中に機械的撹拌によって懸濁される。該重合は、モノマー小滴中で"油溶性の"開始剤の添加によって開始される。小滴の接合(とそれによる懸濁液の凝固)は、例えばBa2SO4、ポリ(ビニルアルコール)などの"保護コロイド"(=懸濁剤)によって抑えられる。重合の完了後に、該ポリマーは、小さい小球(50〜400μm)の形で水中に分散されて存在する。この"水冷された塊状重合"では、熱の問題は生じず、有機溶剤をポリマー生成物から除去する必要はない。こうして得られる"パール重合体"は、しばしば造粒せずに更に加工することができる。
【0063】
本発明によるポリマーの製造のための重合は、連鎖移動剤の存在もしくは不在のいずれにおいても実施することができる。好ましくは、重合は、連鎖移動剤の存在下で、又はここで挙げられる調節剤の存在下で実施される。連鎖移動剤としては、ラジカル重合について説明される典型的な種、例えば当業者に公知のものを使用してよい。
【0064】
特に、メルカプタン、例えばn−ブチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、2−エチルヘキシルチオグリコレート又はペンタエリトリットテトラチオグリコレートの使用が推奨され、その際、該連鎖移動剤は、それぞれエチレン性不飽和化合物の全質量に対して、好ましくは0.05〜5.0質量%の量で、有利には0.1〜2.0質量%の量で、特に有利には0.2〜1.0質量%の量で使用される。この関連で、当業者は、専門文献、特に刊行物のH.Rausch−Puntigam、T.Voelkerによる"アクリル化合物及びメタクリル化合物(Acryl− und Methacrylverbindungen)" Springer,Heidelberg,1967;Houben−Weylの"有機化学の手法(Methoden der organischen Chemie)"XIV/1巻,第66頁以降,Georg Thieme,Heidelberg,1961及びKirk−Othmerの"化学技術事典(Encyclopedia of Chemical Technology)" 第1巻,第296頁以降,J.Wiley,New York,1978を参照することができる。本発明の範囲において、2−エチルヘキシルチオグリコレート又はペンタエリトリットテトラチオグリコレートを、連鎖移動剤又は調節剤として使用することは殊に好ましい。これらは、好ましい一実施態様においては、成分a)及びb)の全質量に対して、0.05〜5質量%の量で使用される。
【0065】
本発明によるベンゾフェノン(メタ)アクリレート含有コポリマーの分子量は重要である。分子量の質量平均MWは、1000g/モル以上から50000g/モル以下までの範囲にある。MWが1000g/モル未満である場合に、光開始剤により臭いがつきまとうことがある。更に、マイグレーションの安全性は場合によっては十分ではない。MWが50000g/モルを上回る場合に、印刷インキの粘度は、公知の後続の問題を伴って、高くなりすぎるため、硬化過程の反応動力学が妨げられるか、又はしかしながら例えば反応性希釈剤(モノマー)を印刷インキ配合物に添加することが必要となる。本発明の範囲において、モノマー、重合開始剤、連鎖移動剤及び場合により溶剤の量は、好ましくは、分子量の質量平均が、1000と20000g/モルとの範囲で、好ましくは1000と10000g/モルとの範囲で、有利には1500から10000g/モル未満までの範囲で、適切には2000〜3500g/モルの範囲で、特に2500〜3500g/モルの範囲で得られるように選択される。分子量が5000g/モル未満であることも特に好ましい。前記値は、それぞれ分子量の質量平均(Mw)に対するものである。
【0066】
分子量は、公知の方法に従って測定することができる。例えば、ゲル透過クロマトグラフィー、また"サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)"としても知られるものを使用できる。同様に、浸透圧式方法、例えば"蒸気相浸透圧法(Vapour Phase Osmometry)"が分子量の測定のために使用できる。上述の方法は、例えばP.J.Floryによる"ポリマー化学の原理(Principles of Polymer Chemistry)"Cornell University Press(1953),第VII章,266−316並びに"マクロ分子、ポリマー科学への導入(Macromeolecules,an Introduction to Polymer Science)",F.A.Bovey and F.H.Winslow,Editors,Academic Press(1979),296−312並びにW.W.Yau、J.J.Kirkland及びD.D.Blyによる"最近のサイズ排除液体クロマトグラフィー(Modern Size Exclusion Liquid Chromatography)",John Wiley and Sons,New York,1979に記載されている。好ましくは、本願で紹介されたポリマーの分子量の測定のためには、ゲル透過クロマトグラフィーが使用される。ポリメチルアクリレート標準に対して測定される。
【0067】
本発明によるポリマーに結合されたベンゾフェノンのガラス転移温度は、規定の範囲にわたり変動してよい。ガラス転移温度は、DSCによってDIN EN ISO 6721−2に従って測定して、適宜、Tg>40℃である。Tgが40℃未満である場合に、より多量のポリマーに結合された開始剤は、印刷インキ又は塗膜で使用する際にそれらの硬度に悪影響を及ぼす。好ましくは、本発明の範囲において、ガラス転移温度Tgは、50℃超、なおもより好ましくは60℃超である。
【0068】
本発明によるポリマーを得るための重合は、常圧で、減圧で又は過圧で実施できる。また重合温度は重要ではない。しかしながら一般に、その温度は、−20℃〜200℃の範囲、好ましくは0℃〜180℃の範囲、より好ましくは50℃〜180℃の範囲、特に好ましくは50℃〜130℃の範囲、特に60℃〜120℃の範囲にある。
【0069】
重合は、好ましくは一定の反応温度で実施され、それは、重合反応全体の間に、好ましくは±20℃未満だけ、特に好ましくは±10℃未満だけ、特に±5℃未満だけ、望ましい温度だけ変動する。
【0070】
このために、重合容器は、好ましくは生ずる重合熱ができる限り迅速かつ良好に排出できる媒体で取り囲まれる。温度変動を更に低下させるためには、温度上昇のために、重合開始剤の添加速度を短時間高め、そして温度低下のために、重合開始剤の添加速度を短時間低めることで、重合容器中の温度を重合開始剤の添加速度によって制御することがとても適切と見なされている。
【0071】
更に、適切には、エチレン性不飽和化合物を含む反応混合物を反応容器中に初充填し、該反応混合物を好適な反応媒体を使用しつつ望ましい重合温度で、反応混合物が所望の重合温度を有するまで温度調節し、重合を重合開始剤の添加もしくは配量によって開始させ、そして重合開始剤の添加直後にもしくは重合開始剤の配量の開始直後に、温度調節媒体の温度を、予め調節された温度に対して、好ましくは2〜10℃だけ、特に5〜10℃だけ低下させるように実施される。
【0072】
本発明によるコポリマーは、特に適宜、重合反応のための紫外線開始剤として使用できる。この場合に、該ポリマーが反応性希釈剤中の溶液として存在する場合に特に好ましいことがある。反応性希釈剤とは、この関連においては、一方でポリマーに結合された紫外線開始剤を溶かすことができ、かつ他方ではポリマーの紫外線開始剤によって引き起こされる重合反応の間に反応に関与し、かつ製造されるべきポリマー中に重合導入される媒体を表す。本発明によるポリマーの使用のための殊に好適な反応性希釈剤は、例えば多価(メタ)アクリレートを含む。該当する多価(メタ)アクリレートには、とりわけジアクリレート又はトリアクリレートが数えられる。殊に好ましくは、例えばトリプロピレングリコールジアクリレートである。使用準備ができた溶液の濃度は、紫外線開始剤の所望の反応性に応じて軽く所望の使用目的に適合させることができる。10〜70パーセント(質量/質量)の範囲の濃度が好ましいと判明した。特に、好ましくはトリプロピレングリコールジアクリレート中の20〜50パーセント溶液(質量/質量)が好ましい。
【0073】
開始/架橋の速度は、特に好ましくは、促進剤アミンと組み合わせて使用することによって更に向上でき、又は所望の目標速度に適合することができる。
【0074】
本発明の特定の一実施形態においては、本発明によるベンゾフェノン含有のポリマーは、アミンと組み合わせて一緒に使用され、その際、該アミンは、低分子量アミン、ポリマーのアミン及び重合可能なアミンの群から選択される。
【0075】
特に好適なのは、NDEA(N−メチル−ジエタノールアミン)又はDMAEMA(2−ジエチルアミノエチルメタクリレート)を一緒に使用することである。
【0076】
好ましくは、本発明によるポリマーに結合された開始剤は、成功裏に紫外線硬化性樹脂への添加剤としても、特に印刷インキへの添加剤としても使用することができる。
【0077】
本発明の範囲で好ましい印刷インキの組成は、A.)着色剤と、B.)紫外線硬化性バインダーと、C.)慣用の助剤、例えばレオロジー、乾燥、光沢並びに表面硬度に影響する剤と、D.)本発明のポリマーに結合された開始剤A.)ないしD.)からの質量の合計に対して0.1〜30質量%を含む。
【0078】
特に好適な印刷インキの別形は、本発明によれば
A)10〜40質量%の着色剤:
B)10〜50質量%のバインダー;
C1)20〜80質量%の溶剤もしくは希釈剤
C2)0〜10質量%のC1)とは異なる慣用の助剤、及び
D)0.5〜25質量%の、本発明によるポリマーに結合された紫外線開始剤/架橋剤
を含む。
【0079】
特に、成分A)ないしD)を以下の量:
A)約20質量%;
B)29〜40質量%;
C1)約15質量%;
C2)9〜26質量%、及び
D)10〜16質量%
で含む組成物が好ましい。
【0080】
特定の一組成物は、
33〜39質量%の反応性希釈剤;
15質量%のチキソトロピーペースト;
20質量%の艶消しペースト;
3質量%のホワイト用の光開始剤;
5質量%の紫外線ルミネセンスペースト;
3質量%のアンチトニング剤(Anti Toning Mittel);
5質量%の紫外線添加剤;及び
10〜16質量%の本発明によるポリマーに結合された紫外線開始剤
を含む。
【0081】
この場合に、ポリマーに結合された光開始剤は、特に好適には、それが全印刷インキ配合物に対して約5質量%のベンゾフェノンの含有率を表すように供給される。
【0082】
非常に良好に成功裏に使用できる着色剤A)には、とりわけ無機顔料、例えば無機顔料、例えばミロリブルー、チタンホワイト、酸化鉄顔料、例えば金属顔料、例えばアルミニウム粉末(Silberbronze PM1)、黄銅粉末(Goldbronze PM2)、Cu−Zn合金、銅ブロンズ、例えば干渉顔料、例えば真珠層顔料、真珠光沢顔料及び輝色ブロンズ(feuergefaerbte Bronze)、例えば炭素顔料、例えば顔料カーボンブラック、カラーカーボンブラック、それぞれ粗粒及び/又は細粒、有機顔料、例えばアゾ顔料、モノアゾ化合物とジアゾ化合物からのカップリング、イソインドリン顔料、フタロシアニン顔料、多環式化合物をベースとする、例えばジオキサジン誘導体、キナクリドン誘導体、インダントレン誘導体及びイソインドリノン誘導体をベースとする特殊顔料、塩基性着色剤の塩、例えばFanal(登録商標)タイプ(BASF社)、Alkali−、Reflexblau(登録商標)(ヘキストタイプ)、ルミネッセンス顔料、フルオレッセンス顔料、残光性顔料並びに可溶性の有機色素、主にフレキソ印刷用の、例えばビクトリアブルーB塩基、ニグロシンB塩基などの着色塩基及び金属錯体染料、例えばZapon(登録商標)もしくはNeozapon(登録商標)色素などが数えられる。
【0083】
好適に使用されるべきバインダーB)には、排他的でないリストにおいて、とりわけ、脂肪、酸化的乾性油又はまた非乾性油及びそこから製造されるアルキド樹脂、例えば植物由来の脂肪性乾性油、例えばアマニ油、木油、ダイズ油、ヒマシ油、トール油及びそれらの誘導体(重合付加、水素化又は脱水された油、油−樹脂の煮詰めたもの、脂肪酸変性アルキド樹脂(フタル酸+グリセロール+乾性油)、遊離脂肪酸、脂肪アルコールなど)、金箔ワニス(アマニ油のより長期の加熱によって)、変性天然樹脂及び合成樹脂の鉱油もしくは植物油中の溶液又は分散液、例えばガムロジン及びウッドロジン及びその誘導体(樹脂エステル、硬質樹脂、樹脂酸アルカリ土類金属、樹脂酸亜鉛)、フェノール及びマレイネートで変性された天然樹脂、合成樹脂、例えばクマロン樹脂、インデン樹脂、シクロペンタジエン樹脂、KW(炭化水素)、樹脂、高粘性鉱油産物及びテルペン樹脂、化石天然物、例えば天然アスファルト及び天然樹脂、トール油、鉱油、タール油及びその脂肪酸加工製品からの蒸留残滓、並びにギルソナイトアスファルト、フェノール樹脂の形のコロホニウム誘導体、Ca/Mg塩及びZn塩、炭化水素樹脂、セルロース誘導体、合成樹脂、変性天然樹脂及び天然樹脂の流動性溶液、例えばニトロセルロース及び相応の樹脂と可塑剤との組み合わせ、組み合わせ樹脂:エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、セルロースエステル、カルボキシメチルセルロース、コロホニウムエステル、マレイン酸変性コロホニウム樹脂(マレイネート樹脂)、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、スチレン、メチルスチレン、シクロペンタジエン、アクリレート、メタクリレート、マレイン酸エステル、ビニルアセタール、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、ブタジエンの重合体及び混合重合体、重付加樹脂、例えばポリウレタン、エポキシド、重縮合樹脂、例えばポリエステル、ポリアミド、脂肪族及び芳香族のケトン樹脂、メラミン尿素樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、カゼインが数えられる。
【0084】
成功裏に使用できる溶剤及び/又は希釈剤には、とりわけ炭化水素、鉱油、アルコール、グリコール、グリコールエーテル、エステル、ケトン、水、特にエタノール、メチルエチルケトンもしくはシクロヘキサンで変性、エチルアセテート、2−プロパノール、1−メタクリル−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、水、アセトン、ベンジン、例えば脂環式化合物、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エトキシプロピルアセテート、イソプロピルアセテート、メトキシプロピルアセテート、メチルエチルケトン、メトキシプロピルケトン、1−プロパノール、プロピルアセテート、プロピレングリコール、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、トルエン及び/又はキシレンが数えられる。
【0085】
好適な助剤には、とりわけ充填剤、例えば炭酸カルシウム(Kreide PW18)、酸化アルミニウム水和物(PW24)、硫酸バリウム(PW21−Schwerspat)、二酸化ケイ素(シリカSiO2 PW27)、ケイ酸アルミニウム(Kaolin PW19)又はケイ酸マグネシウム(Talkum PW26)又は前記の充填剤の2種以上の混合物、ワックス、例えば天然ワックス、例えばカルナウバロウ又はオゾケライトワックス、合成ワックス、例えばPEワックス、酸化されたカルボキシ基含有PEワックス、フッ素化ワックス、PTFEワックス、石油ワックス、パラフィンゲル、セレシンワックス、脂肪酸アミド、例えばオレイン酸アミド又はステアリン酸アミド、可塑剤、例えば天然由来(ヒマシ油、エポキシ化大豆油)もしくは合成由来の生成物、例えばフタル酸エステル(ジブチルフタレート(DBP)、ジイソブトイルフタレート(DiBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジイソオクチルフタレート(DiDP)、ジシクロヘキシルフタレート、ジイソノニルフタレート)、アビエチン酸塩、安息香酸塩、アジピン酸塩、セバシン酸塩、リン酸塩及び/又はアルキド樹脂、乾燥剤、例えば液状乾燥剤、例えば油溶性の金属セッケン(オクタノエート、樹脂酸塩、ナフテン酸塩、タル酸塩、リノール酸塩)、例えば乾式ペースト(油中の無機塩の分散液;アマニ油ワニス中でMg塩を磨砕)、乾燥を遅延する酸化防止剤、例えばオキシム、置換フェノール、芳香族アミン及びナフトール、湿潤剤、例えば無機湿潤剤、例えば酸、特に脂肪酸の塩、カチオン性湿潤剤、例えば第四級アンモニウム化合物、非イオン性湿潤剤、例えばエトキシ化アルキルフェノール並びに両性湿潤剤、例えばアルキルジメチルベタイン、中和剤、例えばアクリレート、アンモニアもしくはアミノアルコール、殺菌剤及び殺細菌剤、架橋剤、例えばポリイソシアネート又はポリアクリジン、D)とは異なる光開始剤、抑泡剤、錯形成剤及び別の添加剤が数えられる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】図1は、本発明の原理的な試験構成を示している。
【図2】図2は、第2表に特徴付けられたポリマーの光開始剤を37.5質量%使用たトリプロピレングリコールジアクリレートの重合に関する温度/時間の推移を示している。
【図3】図3は、第2表に特徴付けられたポリマーの光開始剤を37.5質量%使用してMDEA(BPMA/MDEA=1/2モラー)(MDEA=N−メチル−ジエタノールアミン)を添加したトリプロピレングリコールジアクリレートの重合に関する温度/時間の推移を示している。
【0087】
以下の実施例を、本発明の更なる説明のために用いる。
【0088】
(メタ)アクリレートポリマー、好ましくはベンゾフェノン含有のポリマーの製造
例及び比較例1〜11
重合の一般的な実施
撹拌モーターと金属羽根型撹拌機を有する2LのRettberg反応器、還流冷却器、N2切り換え、水浴サーモスタット並びに加熱エレメントからなる装置において、それぞれ約500gのパール重合体について以下の量を設定する。
【0089】
具体的な数値は例9に関連する。
【0090】
実験1から8並びに10及び11についての量は、第1表に示される比率に相応して変更している。
【0091】
相比 H2O:モノマー=2.0:1
モノマー相:
MMA 300.0g=モノマーの60%
nBMA 75.0g=モノマーの20%
BPMA1 100.0g=モノマーの10%
調節剤2 25.0g=モノマーの10%
開始剤3 0.5g=モノマーの0.10%
水相:
蒸留水 941.5g
Al2(SO43*14 H2O 10.0g=モノマーの2.0%
ソーダ溶液(10%) 44.0g=硫酸アルミニウムに対して4.4倍量
補助分散剤14(1%) 10.0g=硫酸アルミニウムの100%
補助分散剤25(1%) 10.0g=硫酸アルミニウムの100%
1 4−ヒドロキシベンゾフェノンメタクリレート
2 ペンタエリトリットテトラチオグリコレート
3 アゾ−ビス(イソブチロニトリル)
4 C15パラフィンスルホネート、Na塩、例えば乳化剤K30(Bayer)
5 ポリエチレングリコール、分子量=>5000、例えばPolywachs 5000/6000(ヘキスト)
【0092】
重合は以下のように行われる。全水量及び硫酸アルミニウムを、撹拌及び窒素の切り換えをしつつ80℃に加熱する。所定の温度に達したら、一気にソーダ溶液を添加して水酸化アルミニウムを沈殿させる。引き続き補助分散剤の添加を1%溶液として行う。次いで水相のpH値を調べる。これは5.5である。引き続きモノマー溶液を一回で(バッチ形態で)添加する。温度最大後に、さらに90℃で1時間にわたり後撹拌する。引き続き、40℃に冷却し、そして50%硫酸20mlで酸性化させる。該バッチを更に冷却し、円いろ紙(等級MN616、支え領域4〜12μm)を有する磁製ヌッチェに放出し、5Lの脱イオン水を用いて中性になるまで洗浄する。パール重合体を約20時間にわたり50℃で乾燥させる(シェルフ乾燥)。
【0093】
試験1〜11についてのバッチ比並びに重合で得られた結果は、以下の第1表及び第2表に列挙する。
【0094】
第1表
【表1】

【0095】
MMA:メチルメタクリレート
n−BMA:n−ブチルメタクリレート
DMAEMA:2−ジメチルアミノエチルメタクリレート
KGV:粒度分布
US:超音波
【0096】
KGV測定は、Malvern社のMastersizer 2000によって行った(超音波を使用もしくは不使用で)。
【0097】
ガラス温度の測定は、EN ISO 11357に従って行った。特に、ガラス転移温度Tg(本発明の範囲では、"ガラス温度"と同義)の測定は、ISO 11357−2に定められた方法に従って行った。
【0098】
本発明による(メタ)アクリレートポリマーの質量平均分子量Mwは、疎水性ポリマーについてのSEC(サイズ排除クロマトグラフィー)によって測定した。その際に、以下を特徴とする後続の測定システムを使用した:
カラム:
5本のSDVカラム 8×300mmもしくは8×50mm(マインツのPSS社製)
1本の溶剤ピーク分離カラム 8×100mm(Shodex社製)
【表2】

【0099】
装置:
Agilent 1100シリーズ ポンプ G1310A
Agilent 1100シリーズ オートサンプラー G1313A
Agilent 1100シリーズ UVデテクター G1314A
Agilent 1100シリーズ RIデテクター G1362A
Agilent 1100シリーズ コントロールモジュール G1323B
Techlab カラムオーブン K−5
カラムオーブン:
調温35℃
溶出剤:
テトラヒドロフラン、それは永続的に蒸留され、ヘリウムでガス処理し、ポンプ循環させる
流速:
1ml/分
注入容量:
100μl
検出:
RI: 調温35℃ アテニュエーション 250000nRIU/1V
UV: 波長239nm アテニュエーション 500mAU/1V
オフセット:
0.175ml(UVシグナルとRIシグナルとの間の時間オフセット)
EDV:
PSS WinGPCソフトウェア
試料溶液の濃度:
2g/l(Mw>106:1g/l…0.25g/l)
標準:
PMMA(例えばPSS(マインツ)社製及びPolymer Laboratories社製)
標準溶液の濃度(狭い分布):
1g/l(Mw>106:0.5g/l、MW>2*106:0.25g/l)
内部標準:
o−ジクロロベンゼン=>1.5mlのオートサンプラーバイアルあたり1滴
校正曲線:
内部標準=49.40mlで
【0100】
第2表:
【表3】

【0101】
PETG=ペンタエリトリットテトラチオグリコレート
EHTG=2−エチルヘキシルチオグリコレート
【0102】
重合時間測定:
ポリマー溶液を、試験管内で20gまで秤量した。試験管中央に、細い管を蓋で固定した。その細い管中に、ジエチレングリコールをキャリヤー液体として約6cmまで満たした。温度計を真ん中の細い管中に配置し、そして試料をランプから2.5cmの間隔で置いた。そこから1mW/cm2の照射出力が生ずる。原理的な試験構成は、添付の図1に示されている。
【0103】
紫外線重合時間測定の実施のために、第2表からの全てのポリマーを、すなわちBPMA含量(=4−ヒドロキシベンゾフェノンメタクリレート)20%を有するポリマーを引き合いに出した(例2、例4〜7及び例10)。
【0104】
重合時間測定に際して得られた結果を、添付の図2及び3に示す。これらの図面においては、以下のことが示されている。
【0105】
図2は、第2表に特徴付けられたポリマーの光開始剤を37.5質量%使用たトリプロピレングリコールジアクリレートの重合に関する温度/時間の推移を示している。
【0106】
図3は、第2表に特徴付けられたポリマーの光開始剤を37.5質量%使用してMDEA(BPMA/MDEA=1/2モラー)(MDEA=N−メチル−ジエタノールアミン)を添加したトリプロピレングリコールジアクリレートの重合に関する温度/時間の推移を示している。
【0107】
最初の試験列(図2)において、以下の結果が得られた。UV−PZは、個々の重合で達成された最高温度を表す。
【0108】
【表4】

【0109】
図2から上述の値と組み合わせて、調節剤含量が高まると、従って分子量が下がると、反応の促進が起こることが認識される。
【0110】
第二の試験列(図3)において、以下の結果が得られた。
【0111】
【表5】

【0112】
MDEAを添加した場合に重合は、全体としてかなりの規模で促進されることが認識される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のa)及びb)
a)0.1〜99.9質量%の、一般式(I)
【化1】

[式中、
1は、水素又はメチルを意味し、
2は、酸素又はNHを表し、
3は、一般式II
【化2】

の基を表し、前記式中、
7、R8、R9は、互いに無関係に、水素又はメチルであり、
nは、0から200までの整数であり、
o及びpは、互いに独立して、0から2までの整数であり、その際、nとoとpとの合計が0である場合については、R3は、結合であり、
4は、結合、酸素、NH、O−CO−O、NH−CO−O、NH−CO−NH又は硫黄であり、
5は、水素、ハロゲン又は1から20個の炭素原子を有する基を表し、前記基は、場合により酸素、窒素及び/又は硫黄で置換されており、その際、mは、1から5までの整数を表し、かつ
6は、アリール基又はヘテロシクリル基を表す]の少なくとも1種の(メタ)アクリレート、及び
b)99.9〜0.1質量%の、前記a)とは異なり前記a)と共重合可能な1種もしくは複数種のエチレン性不飽和モノマー、
を有する混合物の重合によって得られ、その際、成分a)及びb)は、一緒になって、混合物の重合可能な成分の100質量%である(メタ)アクリレートポリマーであって、1000g/モル以上から50000g/モル以下までの範囲の分子量の質量平均MWを有することを特徴とし、前記MWは、ゲル透過クロマトグラフィーによってポリメチルメタクリレート標準に対して測定される前記(メタ)アクリレートポリマー。
【請求項2】
1がメチルであることを特徴とする、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
2が酸素であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のポリマー。
【請求項4】
4が結合を表すことを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
p=o=ゼロであり、かつnが1と20との間の整数であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
7が水素であることを特徴とする、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
p=o=n=ゼロであることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
全てのR5が水素であることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
6がフェニルであることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
成分b)が(メタ)アクリレートモノマーから選択されることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項11】
成分b)がメチルメタクリレートであることを特徴とする、請求項10に記載のポリマー。
【請求項12】
成分b)が、エステル基中に3〜5個の炭素原子を有する(メタ)アクリレートから選択されるモノマーであることを特徴とする、請求項10に記載のポリマー。
【請求項13】
成分b)がブチルメタクリレートであることを特徴とする、請求項10に記載のポリマー。
【請求項14】
成分b)がメチルメタクリレート及びn−ブチルメタクリレートを有するモノマーの混合物であることを特徴とする、請求項10に記載のポリマー。
【請求項15】
連鎖調節剤の存在下での重合によって得られることを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項16】
連鎖調節剤が2−エチルヘキシルチオグリコレート及び/又はペンタエリトリットテトラチオグリコレートであり、成分a)及びb)の全質量に対して0.05〜5質量%の量で存在することを特徴とする、請求項15に記載のポリマー。
【請求項17】
分子量の質量平均MWが、1000g/モル以上から10000g/モル以下までの範囲にあることを特徴とする、請求項1から16までのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項18】
分子量の質量平均MWが5000g/モル未満であることを特徴とする、請求項1から17までのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項19】
懸濁重合又はパール重合によって得られる、請求項1から18までのいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項20】
重合反応のための紫外線開始剤としての、請求項1から19までのいずれか1項に記載のポリマーの使用。
【請求項21】
反応性希釈剤中の溶液としての、請求項20に記載のポリマーの使用。
【請求項22】
多価(メタ)アクリレート中での、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
トリプロピレングリコールジアクリレート中の20〜50パーセント溶液(質量/質量)としての、請求項22に記載の使用。
【請求項24】
紫外線硬化性樹脂への添加剤としての、請求項1から19までのいずれか1項に記載のポリマーの使用。
【請求項25】
低分子量アミン、ポリマーのアミン及び重合可能なアミンからなる群から選択される促進剤と組み合わせての、請求項24に記載の使用。
【請求項26】
請求項1から19までのいずれか1項に記載の(メタ)アクリレートポリマーを有する印刷インキ。
【請求項27】
請求項26に記載の印刷インキであって、
A)10〜40質量%の着色剤:
B)10〜50質量%のバインダー;
C1)20〜80質量%の溶剤もしくは希釈剤
C2)0〜10質量%のC1)とは異なる慣用の助剤、及び
D)0.5〜25質量%の、ポリマーに結合された紫外線開始剤/架橋剤としての請求項1から19までのいずれか1項に記載の(メタ)アクリレートポリマー
を含む前記印刷インキ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−521453(P2012−521453A)
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−501217(P2012−501217)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際出願番号】PCT/EP2010/052384
【国際公開番号】WO2010/108752
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(390009128)エボニック レーム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (293)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Roehm GmbH
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee, D−64293 Darmstadt, Germany
【Fターム(参考)】