説明

(置換プロピルスルファニル)−アルキルアルコールの製造方法

【課題】医農薬・機能性物質の原料として有用な(置換プロピルスルファニル)−アルキルアルコールを、環境問題を解決して安全且つ効率良く製造することのできる方法の提供。
【解決手段】式(1)(式中のXは、ハロゲン、水酸基、アルキルエーテル基、芳香族エーテル基、ベンジルエーテル基、トリアルキルシリルエーテル基、アルキルエステル基またはアルキルアミド基を示す。)で表わされるアリル化合物を、アゾ化合物存在下、式(2)(式中のAは、アルキレン基を示す。)で表されるヒドロキシメルカプト化合物と反応させることを特徴とする、式(3)で表される(置換プロピルスルファニル)−アルキルアルコールの製造方法。





【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な(置換プロピルスルファニル)−アルキルアルコールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(置換プロピルスルファニル)−アルキルアルコールは、医農薬・機能性物質の原料として有用であることが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
従来、(置換プロピルスルファニル)−アルキルアルコールの製造方法としては、例えば2−(3−クロロプロピルスルファニル)−エタノールの場合、以下のような方法が知られている。
(1)下記反応スキームのように表わされる、2−メルカプトエタノールをナトリウム エトキシド存在下、ジハロプロパンと反応させる方法(非特許文献1参照)。
【0004】
【化1】

【0005】
(2)下記反応スキームのように表わされる、アリルアミン誘導体を酸素気流下、2− メルカプトエタノールと反応させる方法(特許文献1参照)。
【0006】
【化2】

【0007】
しかしながら、上記(1)の方法では原子効率が悪く、大量の臭化ナトリウムが廃棄物として副生する。また、上記(2)の方法では酸素を吹込む反応であるため、一般的に反応の制御が困難である。なお、反応系中に酸素が存在するため、何らかの着火源により爆発する危険性もあり安全面にも問題がある。
【0008】
従って、従来の方法を用いての(置換プロピルスルファニル)−アルキルアルコールの製造は、環境問題および安全等の点からいずれの方法も工業的には不利である。
【特許文献1】米国特許第5,278,341号公報
【非特許文献1】ジャーナル オブ ジ アメリカン ケミカル ソサイエティー,第67版1945年、p.1847
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的は、医農薬・機能性物質の原料として有用な(置換プロピルスルファニル)−アルキルアルコールを、環境問題を解決して安全且つ効率良く製造することのできる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記の課題に対し工業的に有利な方法を鋭意検討した結果、アリル化合物を触媒量のアゾ化合物の存在下、2−メルカプトエタノールと反応させることにより、(置換プロピルスルファニル)−アルキルアルコールを容易かつ安全に効率良く製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
即ち、本発明は、下記に示す通りの(置換プロピルスルファニル)−アルキルアルコールの製造方法を提供するものである。
項1.下記一般式(1);
【0012】
【化3】

【0013】
(式中のXは、ハロゲン、水酸基、アルキルエーテル基、芳香族エーテル基、ベンジルエーテル基、トリアルキルシリルエーテル基、アルキルエステル基またはアルキルアミド基を示す。)
で表わされるアリル化合物を、アゾ化合物存在下、下記一般式(2);
【0014】
【化4】

【0015】
(式中のAは、アルキレン基を示す。)
で表されるヒドロキシメルカプト化合物と反応させることを特徴とする下記一般式(3);
【0016】
【化5】

【0017】
(式中のXおよびAは前記と同義である。)
で表される(置換プロピルスルファニル)−アルキルアルコールの製造方法。
項2.ヒドロキシメルカプト化合物が、2−メルカプトエタノールまたは4−ヒドロキシチオフェノールであることを特徴とする項1記載の方法。
項3.アゾ化合物が、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルまたはジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)であることを特徴とする項1または2記載の方法。
項4.下記一般式(1);
【0018】
【化6】

【0019】
(式中のXは、前記と同義である。)
で表わされるアリル化合物を、アゾ化合物存在下、下記一般式(2);
【0020】
【化7】

【0021】
(式中のAは、前記と同義である。)
で表されるヒドロキシメルカプト化合物と反応させることにより得られる下記一般式(3);
【0022】
【化8】

【0023】
(式中のXおよびAは前記と同義である。)
で表される(置換プロピルスルファニル)−アルキルアルコール。
【発明の効果】
【0024】
本発明の製造方法によれば、原子効率がよく環境負荷のかかりにくい温和な条件で、容易かつ安全に(置換プロピルスルファニル)−アルキルアルコールを効率良く製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0026】
本発明において、使用するアリル化合物は、下記一般式(1)で示される。
【0027】
【化9】

【0028】
上記一般式(1)中のXは、ハロゲン、水酸基、アルキルエーテル基、芳香族エーテル基、ベンジルエーテル基、トリアルキルシリルエーテル基、アルキルエステル基またはアルキルアミド基を示す。ハロゲンとしては、塩素、臭素もしくはヨウ素などが挙げられ、塩素もしくは臭素が好ましい。また、アルキルエーテル基、トリアルキルシリルエーテル基、アルキルエステル基およびアルキルアミド基のアルキル部分は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、分岐鎖状の場合、分岐位置や分岐数は限定されない。好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基もしくはイソブチル基などの炭素数1〜5のアルキル基が挙げられ、より好ましくはメチル基もしくはエチル基などが挙げられる。芳香族エーテルの芳香族としては特に限定されるものではないが、フェニル基、アルキルフェニル基、アルコキシフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、ヨードフェニル基が挙げられ、フェニル基、アルコキシフェニル基もしくはクロロフェニル基が好ましい。アルキルフェニル基及びアルコキシフェニル基のアルキル部分としては、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、分岐鎖状の場合、分岐位置や分岐数は限定されない。好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基もしくはイソブチル基などの炭素数1〜5のアルキル基が挙げられ、より好ましくはメチル基もしくはエチル基などが挙げられる。アリル化合物の好適な具体例としては、3−クロロプロペン、2−プロペン−1−オール、酢酸アリル、アリロキシ−トリメチルシラン、アリルベンジルエーテルが挙げられる。
【0029】
本発明において、使用するヒドロキシメルカプト化合物は、下記一般式(2)で示される。
【0030】
【化10】

【0031】
上記一般式(2)中のAは、アルキレン基を表す。アルキレン基は直鎖状でも分岐鎖状でもよく、分岐鎖状の場合、分岐位置や分岐数は限定されない。アルキレン基としては、炭素数は1〜30が好ましく、2〜10が特に好ましい。ヒドロキシメルカプト化合物の好適な具体例としては、メルカプトメタノール、2−メルカプトエタノール、3−メルカプトプロパノール、4−メルカプトブタノールが挙げられ、特に好ましくは2−メルカプトエタノールもしくは3−メルカプトプロパノールが挙げられる。ヒドロキシメルカプト化合物の使用量は、上記一般式(1)で表されるアリル化合物1モルに対して0.5モル〜3.0モル、特に0.7〜2.0モルが好ましい。
【0032】
本発明に用いられるアゾ化合物としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−バレロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)および2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)からなる群から選ばれるものが挙げられ、好ましくは2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)およびジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)からなる群から選ばれるものが特に好ましい。アゾ化合物の使用量は、上記一般式(1)で表されるアリル化合物1モルに対して0.1〜100.0ミリモル、特に0.5〜10.0ミリモルが好ましい。
【0033】
本発明で使用する有機溶媒としては、反応試剤と反応しない限り特に限定されず、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、アニソールなどのエーテル系溶媒、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの炭化水素溶媒、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒が挙げられ、これらの中で特にベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタンが好ましい。
【0034】
反応に用いる有機溶媒の使用量は、上記一般式(1)で表されるアリル化合物1gに対して0.5mL〜10mLが好ましく、1mL〜5mLがより好ましい。
【0035】
反応温度は、20℃〜75℃が好ましく、30℃〜60℃がより好ましい。また、反応時間は6時間〜72時間が好ましく、12時間〜48時間がより好ましい。
【0036】
反応終了後、水を加えることで反応を停止し、抽出・洗浄・脱湿・濃縮などの定法により粗品を得た後に、カラムクロマトグラフィーなどの常法を用いて精製すると下記一般式(3)で表される(置換プロピルスルファニル)−アルキルアルコールが得られる。
【0037】
【化11】

【0038】
(式中、X、Aは前記と同義である。)
【0039】
本発明の製造方法を用いることで、別途酸素を吹き込む必要が無く反応制御が簡易になり、また何らかの着火源により爆発する危険性を伴わず、(置換プロピルスルファニル)−アルキルアルコールを安全かつ効率よく製造することができる。
【実施例】
【0040】
以下の実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されない。
【0041】
実施例1 2−(3−クロロプロピルスルファニル)−エタノールの製造
(反応)
十分に窒素置換した50mL2口フラスコに2−メルカプトエタノール9.36g(120.0mmol)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.02g(0.12mmol)、トルエン17mLを加えた。その溶液を45℃まで昇温したのち、3−クロロプロペン7.60g(100.0mmol)を滴下した。滴下終了後、45℃のまま48時間反応した。反応終了後、室温まで冷却した後に、溶媒留去を行った。得られた濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル/ヘキサン=2/1)を用いて精製することで2−(3−クロロプロピルスルファニル)−エタノールが6.99g、収率45.2%で微黄色透明液体として得られた。
H−NMR(CDCl):δ=3.73(t、J=6.0Hz、2H),3.65(t、J=6.2Hz、2H),2.69(t、J=6.0Hz、2H),2.68(t、J=7.0Hz、2H),2.03(tt、J=7.0,6.2Hz、2H)
【0042】
実施例2 2−(3−クロロプロピルスルファニル)−エタノールの製造
(反応)
十分に窒素置換した50mL2口フラスコに2−メルカプトエタノール9.36g(120.0mmol)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.03g(0.12mmol)、トルエン17mLを加えた。その溶液を45℃まで昇温したのち、3−クロロプロペン7.60g(100.0mmol)を滴下した。滴下終了後、45℃のまま48時間反応した。反応終了後、室温まで冷却した後に、溶媒留去を行った。得られた濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル/ヘキサン=2/1)を用いて精製することで2−(3−クロロプロピルスルファニル)−エタノールが6.45g、収率41.9%で微黄色透明液体として得られた。
【0043】
比較例1
(反応)
50mL2口フラスコに2−メルカプトエタノール9.313g(120.0mmol)、トルエン17mLを加えた。その溶液を45℃まで昇温したのち3−クロロプロペン7.60g(100.0mmol)を加え、乾燥空気を挿気しながら72時間加熱撹拌した。しかし、反応は進行せず2−(3−クロロプロピルスルファニル)−エタノールは得られなかった。
【0044】
実施例3 3−(3−クロロプロピルスルファニル)−プロパノールの製造
(反応)
十分に窒素置換した50mL2口フラスコに3−メルカプトプロパノール11.06g(120.0mmol)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.02g(0.12mmol)、トルエン17mLを加えた。その溶液を45℃まで昇温したのち、3−クロロプロペン7.60g(100.0mmol)を滴下した。滴下終了後、45℃のまま48時間反応した。反応終了後、室温まで冷却した後に、溶媒留去を行った。得られた濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル/ヘキサン=2/1)を用いて精製することで3−(3−クロロプロピルスルファニル)−プロパノールが9.84g、収率51.2%で微黄色透明液体として得られた。
H−NMR(CDCl):δ=3.75(t、J=6.0Hz、2H),3.64(t、J=6.2Hz、2H),2.69−2.60(m、4H),2.09−2.01(m、2H)、1.89−1.82(m、2H)
【0045】
比較例2
(反応)
50mL2口フラスコに3−メルカプトプロパノール11.06g(120.0mmol)、トルエン17mLを加えた。その溶液を45℃まで昇温したのち3−クロロプロペン7.60g(100.0mmol)を加え、乾燥空気を挿気しながら72時間加熱撹拌した。しかし、反応は進行せず3−(3−クロロプロピルスルファニル)−プロパノールは得られなかった。
【0046】
実施例4 2−(3−アセトキシプロピルスルファニル)−エタノールの製造
(反応)
十分に窒素置換した50mL2口フラスコに2−メルカプトエタノール9.36g(120.0mmol)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.02g(0.12mmol)、トルエン17mLを加えた。その溶液を45℃まで昇温したのち、酢酸アリル10.01g(100.0mmol)を滴下した。滴下終了後、45℃のままで48時間反応した。反応終了後、室温まで冷却した後に、溶媒留去を行った。得られた濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル/ヘキサン=2/1)を用いて精製することで2−(3−アセトキシプロピルスルファニル)−エタノールが16.06g、収率90.1%で微黄色透明液体として得られた。
H−NMR(CDCl):δ=3.74(t、J=6.4Hz、2H),3.73(t、J=6.0Hz、2H),2.72(t、J=6.0Hz、2H),2.65(t、J=7.0Hz、2H),2.13(s、3H),1.83(tt、J=7.0,6.4Hz、2H)
【0047】
実施例5 3−(3−アセトキシプロピルスルファニル)−プロパノールの製造
(反応)
十分に窒素置換した50mL2口フラスコに3−メルカプトプロパノール11.06g(120.0mmol)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.02g(0.12mmol)、トルエン17mLを加えた。その溶液を45℃まで昇温したのち、酢酸アリル10.01g(100.0mmol)を滴下した。滴下終了後、45℃のままで48時間反応した。反応終了後、室温まで冷却した後に、溶媒留去を行った。得られた濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル/ヘキサン=2/1)を用いて精製することで3−(3−アセトキシプロピルスルファニル)−プロパノールが17.75g、収率92.3%で微黄色透明液体として得られた。
H−NMR(CDCl):δ=4.14(t、J=6.4Hz、2H),3.74(t、J=6.0Hz、2H),2.63(t、J=7.0Hz、2H),2.58(t、J=7.0Hz、2H),2.04(s、3H),1.90(tt、J=7.0,6.4Hz、2H),1.83(tt、J=7.0,6.0Hz、2H)
【0048】
実施例6 2−(3−ヒドロキシプロピルスルファニル)−エタノールの製造
(反応)
十分に窒素置換した50mL2口フラスコに2−メルカプトエタノール9.36g(120.0mmol)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.02g(0.12mmol)、トルエン17mLを加えた。その溶液を45℃まで昇温したのち、2−プロペン−1−オール5.81g(100.0mmol)を滴下した。滴下終了後、45℃のままで48時間反応した。反応終了後、室温まで冷却した後に、溶媒留去を行った。得られた濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル/ヘキサン=2/1)を用いて精製することで2−(3−ヒドロキシプロピルスルファニル)−エタノールが12.86g、収率94.4%で微黄色透明液体として得られた。
H−NMR(CDCl):δ=3.72(t、J=6.0Hz、2H),3.71(t、J=6.0Hz、2H),2.70(t、J=6.0Hz、2H),2.63(t、J=7.2Hz、2H),1.81(tt、J=7.2,6.0Hz、2H)
【0049】
実施例7 2−(3−トリメチルシリルプロピルスルファニル)−エタノールの製造
(反応)
十分に窒素置換した50mL2口フラスコに2−メルカプトエタノール9.36g(120.0mmol)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.02g(0.12mmol)、トルエン17mLを加えた。その溶液を45℃まで昇温したのち、アリロキシ−トリメチルシラン13.03g(100.0mmol)を滴下した。滴下終了後、45℃のままで48時間反応した。反応終了後、室温まで冷却した後に、溶媒留去を行った。得られた濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル/ヘキサン=2/1)を用いて精製することで2−(3−トリメチルシリルプロピルスルファニル)−エタノールが13.55g、収率65.0%で微黄色透明液体として得られた。
H−NMR(CDCl):δ=3.61(t、J=5.8Hz、2H),3.56(t、J=6.0Hz、2H),2.62(t、J=5.8Hz、2H),2.49(t、J=7.2Hz、2H),1.69(tt、J=7.2,6.0Hz、2H),0.01(s、9H)
【0050】
実施例8 2−(3−ベンジロキシプロピルスルファニル)−エタノールの製造
(反応)
十分に窒素置換した50mL2口フラスコに2−メルカプトエタノール9.36g(120.0mmol)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.02g(0.12mmol)、トルエン17mLを加えた。その溶液を45℃まで昇温したのち、アリルベンジルエーテル14.82g(100.0mmol)を滴下した。滴下終了後、45℃のままで48時間反応した。反応終了後、室温まで冷却した後に、溶媒留去を行った。得られた濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル/ヘキサン=2/1)を用いて精製することで2−(3−ベンジロキシプロピルスルファニル)−エタノールが9.64g、収率42.6%で微黄色透明液体として得られた。
H−NMR(CDCl):δ=7.38−7.13(m、5H),4.49(s、2H),3.71(t、J=6.0Hz、2H),3.55(t、J=6.0Hz、2H),2.71(t、J=6.0Hz、2H),2.63(t、J=7.2Hz、2H),1.88(tt、J=7.2,6.0Hz、2H)
【0051】
いずれの実施例においても、副生成物が多量に生起することもなく、また爆発の危険もなく安全の面で全く問題はなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1);
【化1】

(式中のXは、ハロゲン、水酸基、アルキルエーテル基、芳香族エーテル基、ベンジルエーテル基、トリアルキルシリルエーテル基、アルキルエステル基またはアルキルアミド基を示す。)
で表わされるアリル化合物を、アゾ化合物存在下、下記一般式(2);
【化2】

(式中のAは、アルキレン基を示す。)
で表されるヒドロキシメルカプト化合物と反応させることを特徴とする下記一般式(3);
【化3】

(式中のXおよびAは前記と同義である。)
で表される(置換プロピルスルファニル)−アルキルアルコールの製造方法。
【請求項2】
ヒドロキシメルカプト化合物が、2−メルカプトエタノールまたは4−ヒドロキシチオフェノールであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
アゾ化合物が、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルまたはジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)であることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
下記一般式(1);
【化4】

(式中のXは、前記と同義である。)
で表わされるアリル化合物を、アゾ化合物存在下、下記一般式(2);
【化5】

(式中のAは、前記と同義である。)
で表されるヒドロキシメルカプト化合物と反応させることにより得られる下記一般式(3);
【化6】

(式中のXおよびAは前記と同義である。)
で表される(置換プロピルスルファニル)−アルキルアルコール。

【公開番号】特開2008−81484(P2008−81484A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−290513(P2006−290513)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(000222554)東洋化成工業株式会社 (52)
【Fターム(参考)】