説明

(+)−2−[1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−メチルスルホニルエチル]−4−アセチルアミノイソインドリン−1,3−ジオンを含む固形物形態、その組成物およびその使用

(+)−2−[1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−メチルスルホニルエチル]−4−アセチルアミノイソインドリン−1,3−ジオンを含む固形物形態、上記固形物形態を含む組成物、上記固形物形態を製造する方法およびそれらの使用方法が開示される。本方法には、TNF−αレベルの低減またはPDE4の阻害によって寛解する障害を治療するおよび/または予防する方法が含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.技術分野
本明細書で提供されるのは、(+)−2−[1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−メチルスルホニルエチル]−4−アセチルアミノイソインドリン−1,3−ジオンを含む固形物形態、上記固形物形態を含む組成物、上記固形物形態を製造する方法および様々な疾患および/または障害の治療のためのその使用方法である。
【背景技術】
【0002】
2.背景技術
腫瘍壊死因子α(TNF−α)は、免疫賦活剤に応答して単核食細胞によって主として放出されるサイトカインである。TNF−αは、分化、動員、増殖、およびタンパク質分解など、大部分の細胞の過程を促進することができる。低レベルで、TNF−αは、感染性媒介物、腫瘍および組織損傷に対する保護を与える。しかし、TNF−αはまた、多くの疾患においてある種の役割を果たしている。患者に投与するとき、TNF−αは、炎症、発熱、心血管の影響、出血、凝固、および急性感染およびショック状態の間に見られるものと類似の急性期反応を引き起こすまたは悪化させる。増強されたまたは調節されないTNF−α産生は、例えば、固形腫瘍および血液性腫瘍などの癌;うっ血性心不全などの心疾患;ならびにウイルス性疾患、遺伝病、炎症性疾患、アレルギー性疾患、および自己免疫疾患などの、多数の疾患および医学上の状態に関与しているとされてきた。
【0003】
アデノシン3’,5’−サイクリックモノホスファート(cAMP)はまた、それだけには限らないが、喘息および炎症、および他の状態(Lowe and Cheng、Drugs of the Future、17巻(9号)、799〜807頁、1992年)などの多くの疾患および状態においてある種の役割を果たしている。炎症性白血球におけるcAMPの上昇は、これらの活性化と、TNF−αおよびNF−κBを含めたその後の炎症メディエーターの放出とを抑制することが示されている。cAMPレベルの増加はまた、気道の平滑筋の弛緩をもたらす。
【0004】
cAMPの不活性化のための主な細胞機構は、サイクリックヌクレオチドホスホジエステラーゼ(PDE)と呼ばれるアイソザイムのファミリーによるcAMPの分解であると考えられる(Beavo and Reitsnyder、Trends in Pharm.、11巻、150〜155頁、1990年)。11種の既知のPDEファミリーがある。例えば、PDEタイプIVの阻害は、炎症メディエーターの放出および気道の平滑筋の弛緩の両方の抑制に特に有効であることが認識されている(Vergheseら、J.Pharm.Exper、Therapeut.、272巻(3号)、1313〜1320頁、1995年)。したがって、PDE4(PDE IV)を特異的に阻害する化合物は、心血管もしくは抗血小板効果などの望まれない副作用を最小限にして、炎症を抑制し気道の平滑筋の弛緩を助けることができる。現在用いられるPDE4阻害薬は、許容される治療量で選択作用が欠如している。
【0005】
癌は、特に甚大な被害をもたらす疾患であり、血液中のTNF−αレベルの増加は、癌のリスクおよび拡散に関与している。普通なら、健康な対象において、癌細胞は循環系で生存できないが、これらの理由の1つは、血管の内層が腫瘍細胞の血管外遊出に対する障壁として働くことである。しかし、サイトカインレベルの増加により、in vitroにおける癌細胞の内皮への接着を実質的に増加させることが示されている。1つの説明としては、TNF−αなどのサイトカインが、ELAM−1(内皮白血球接着分子)と呼ばれる細胞表面受容体の生合成および発現を刺激することである。ELAM−1は、LEC−CAMとして知られるカルシウム依存性細胞接着受容体のファミリーのメンバーであり、このファミリーにはLECAM−1およびGMP−140が含まれる。炎症反応の間、内皮細胞上のELAM−1は、白血球に対する「ホーミング受容体」として機能する。最近では、内皮細胞上のELAM−1は、サイトカインで処理した内皮への結腸癌細胞の接着の増加を媒介することが示された(Riceら、1989年、Science 246巻:1303〜1306頁)。
【0006】
関節炎、関連する関節炎症状(例えば、変形性関節症および関節リウマチ)、炎症性腸疾患(例えば、クローン病および潰瘍性大腸炎)、敗血症、乾癬、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、慢性閉塞性肺疾患、および慢性炎症性肺疾患などの炎症性疾患はまた、一般化したおよび問題のある病気である。TNF−αは炎症反応において中心的な役割を果たし、これらのアンタゴニストの投与は、炎症性疾患の動物モデルにおいて慢性および急性反応を遮断する。
【0007】
増強されたまたは調節されないTNF−α産生は、ウイルス性疾患、遺伝病、炎症性疾患、アレルギー性疾患、および自己免疫疾患に関与しているとされてきた。かかる疾患の例には、それだけには限らないが、HIV;肝炎;成人呼吸促迫症候群;骨吸収疾患;慢性閉塞性肺疾患;慢性肺炎症性疾患;喘息;皮膚炎;嚢胞性線維症;敗血性ショック;敗血症;内毒素ショック;血行動態ショック;敗血症症候群;虚血後の再灌流障害;髄膜炎;乾癬;線維性疾患;悪液質;移植片拒絶;自己免疫疾患;リウマチ性脊椎炎;関節リウマチおよび変形性関節症などの関節炎症状;骨粗鬆症;クローン病;潰瘍性大腸炎;炎症性腸疾患;多発性硬化症;全身性エリテマトーデス;ハンセン病におけるENL;放射線損傷;喘息;および高酸素性肺胞損傷が含まれる。Traceyら、1987年、Nature 330巻:662〜664頁およびHinshawら、1990年、Circ.Shock 30巻:279〜292頁(内毒素ショック);Dezubeら、1990年、Lancet、335巻:662頁(悪液質);Millarら、1989年、Lancet 2巻:712〜714頁およびFerrai−Balivieraら、1989年、Arch.Surg.124巻:1400〜1405頁(成人呼吸促迫症候群);Bertoliniら、1986年、Nature 319巻:516〜518頁、Johnsonら、1989年、Endocrinology 124巻:1424〜1427頁、Hollerら、1990年、Blood 75巻:1011〜1016頁、およびGrauら、1989年、N.Engl.J.Med.320巻:1586〜1591頁(骨吸収疾患);Pignetら、1990年、Nature、344巻:245〜247頁、Bissonnetteら、1989年、Inflammation 13巻:329〜339頁およびBaughmanら、1990年、J.Lab.Clin.Med.115巻:36〜42頁(慢性肺炎症性疾患);Elliotら、1995年、Int.J.Pharmac.17巻:141〜145頁(関節リウマチ);von Dullemenら、1995年、Gastroenterology、109巻:129〜135頁(クローン病);Duhら、1989年、Proc.Nat.Acad.Sci.86巻:5974〜5978頁、Pollら、1990年、Proc.Nat.Acad.Sci.87巻:782〜785頁、Montoら、1990年、Blood 79巻:2670頁、Clouseら、1989年、J.Immunol.142巻、431〜438頁、Pollら、1992年、AIDS Res.Hum.Retrovirus、191〜197頁、Poliら、1990年、Proc.Natl.Acad.Sci.87巻:782〜784頁、Folksら、1989年、PNAS 86巻:2365〜2368頁(HIVおよびHIVによって生じる日和見感染)。
【0008】
TNF−αを含めて、ある種のサイトカインの活性を遮断するまたはそれらの産生を阻害することができる医薬化合物は、有益な療法となり得る。多くの小分子阻害薬は、TNF−αによって関連づけられる炎症性疾患を治療するまたは予防する能力を証明している(総説については、Lowe、1998年 Exp.Opin.Ther.Patents 8巻:1309〜1332頁を参照のこと)。かかる1つの分子クラスは、米国特許第6,020,358号に記載の置換フェネチルスルホンである。
【0009】
固形物形態の変化が様々な物理的特性および化学的特性に影響を与え得ることを考えると、医薬化合物の固形物形態の調製および選択は複雑である。これらの特性は、他の重要な医薬品の特徴の中でもとりわけ、加工、配合、安定性およびバイオアベイラビリティの利点または欠点をもたらし得る。潜在的な固形製剤には、結晶性固体および非結晶性固体が含まれる。非結晶性固体は、長距離の構造秩序の欠如を特徴とし、結晶性固体は構造上の周期性を特徴とする。固形製剤の所望のクラスは、特定の適用に依存し;非結晶性固体は、例えば、増強された溶解プロファイルなどに基づいて選択される場合もあり、一方、結晶性固体は、例えば、物理的もしくは化学的安定性などの特性が望ましいこともある(例えば、S.R.Vippaguntaら、Adv.Drug.Deliv.Rev.、(2001年)48巻:3〜26頁;L.Yu、Adv.Drug.Deliv.Rev.、(2001年)48巻:27〜42頁を参照のこと)。
【0010】
結晶であるか非晶質であるかにかかわらず、医薬化合物の潜在的な固形物形態には、単一成分および複数成分の固体が含まれる。単一成分の固体は、本質的に、他の化合物のない医薬化合物からなる。単一成分の結晶性物質の中の相違は、例えば、複数の三次元配列がある特定の医薬化合物に存在する多形現象から潜在的に生じることがある(例えば、S.R.Byrnら、Solid State Chemistry of Drugs、(1999年)SSCI、West Lafayetteを参照のこと)。多形を研究することの重要性は、軟ゼラチンカプセル剤として配合されたHIVプロテアーゼ阻害薬であるリトナビルの場合によって強調された。生成物が発売されてから約2年、配合物中における新規な、溶けにくい多形の予期せぬ沈殿によって、より安定した配合物が開発できるまで市場からその生成物の撤退を余儀なくされた(S.R.Chemburkarら、Org.Process Res.Dev.、(2000年)4巻:413〜417頁を参照のこと)。
【0011】
医薬化合物の潜在的な固形物形態の中の追加的な多様性は、例えば、複数成分の固体の可能性から生じ得る。2つ以上のイオン種を含む結晶性固体は、塩と呼ばれることもある(例えば、Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties、Selection and Use、P.H.StahlおよびC.G.Wermuth編、(2002年)、Wiley、Weinheimを参照のこと)。他の特性の改善を医薬化合物またはその塩に潜在的に提供することができる複数成分の固体の追加のタイプには、とりわけ、例えば、水和物、溶媒和物、共結晶および包接体が含まれる(例えば、S.R.Byrnら、Solid State Chemistry of Drugs、(1999年)SSCI、West Lafayetteを参照のこと)。さらに、複数成分の結晶形は、潜在的に多形になりやすい。多形の場合、所与の複数成分の組成物は、2種以上の三次元結晶配列に存在し得る。固形物形態の調製は、安全で、有効で、安定した市場性の高い医薬化合物を開発することにおいて非常に重要である。
【0012】
本明細書で提供されるのは、(+)−2−[1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−メチルスルホニルエチル]−4−アセチルアミノイソインドリン−1,3−ジオンと化学的に名付けられた化合物(「化合物A」)の固形物形態の必要性に取り組んでいる実施形態であり、これは、2003年3月19日出願の米国特許出願第10/392,195号(米国特許第6,962,940号として発行)、ならびに2002年3月20日出願の米国特許仮出願第60/366,515号および2003年1月7日出願の米国特許仮出願第60/438,450号に開示された。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、置換フェネチルスルホン化合物の鏡像異性体および薬学的に許容されるその溶媒和物、水和物、共結晶、包接体、プロドラッグおよび多形を利用して疾患および障害を治療する方法および哺乳動物においてサイトカインおよびその前駆体のレベルを低減する方法に関する。本発明はまた、2−[1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−メチルスルホニルエチル]−4−アセチルアミノイソインドリン−1,3−ジオンの(+)鏡像異性体および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物に関する。本発明はさらに、実質的にその(−)鏡像異性体のない2−[1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−メチルスルホニルエチル]−4−アセチルアミノイソインドリン−1,3−ジオンの(+)鏡像異性体に関する。
【0014】
本発明は特に、2−[1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−メチルスルホニルエチル]−4−アセチルアミノイソインドリン−1,3−ジオンの(+)鏡像異性体に関する。この化合物は、そのラセミ体である2−[1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−メチルスルホニルエチル]−4−アセチルアミノイソインドリン−1,3−ジオンに比べて、効力の増加および他の利益を有すると考えられる。
【0015】
本発明は、哺乳動物においてTNF−α産生を阻害することによって寛解する疾患または障害を治療するまたは予防するための2−[1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−メチルスルホニルエチル]−4−アセチルアミノイソインドリン−1,3−ジオンの(+)鏡像異性体の使用を包含する。いくつかの実施形態において、この治療には、有害作用の低減または回避が含まれる。かかる障害には、それだけには限らないが、頭部、甲状腺、頚部、眼、皮膚、口、咽頭、食道、胸部、骨、血液、骨髄、肺、結腸、S字結腸、直腸、胃、前立腺、乳、卵巣、腎臓、肝臓、膵臓、脳、腸、心臓、副腎、皮下組織、リンパ節、心臓の癌、およびその組合せを含むがそれだけには限らない癌が含まれる。この方法によって治療することができる具体的な癌は、多発性骨髄腫、悪性黒色腫、悪性神経膠腫、白血病および固形腫瘍である。
【0016】
本発明はまた、それだけには限らないが、うっ血性心不全、心筋症、肺水腫、内毒素媒介性敗血性ショック、急性ウイルス性心筋炎、心臓同種移植片拒絶、および心筋梗塞を含む心疾患の治療または予防における2−[1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−メチルスルホニルエチル]−4−アセチルアミノイソインドリン−1,3−ジオンの(+)鏡像異性体の使用を包含する。
【0017】
本発明はまた、PDE4の阻害によって寛解する疾患または障害を治療するための2−[1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−メチルスルホニルエチル]−4−アセチルアミノイソインドリン−1,3−ジオンの(+)鏡像異性体の使用を包含する。例えば、本発明の化合物および組成物は、ウイルス性疾患、遺伝病、炎症性疾患、アレルギー性疾患、および自己免疫疾患を治療するまたは予防するのに有用となり得る。かかる疾患の例としては、それだけには限らないが、HIV;肝炎;成人呼吸促迫症候群;骨吸収疾患;慢性閉塞性肺疾患;慢性肺炎症性疾患;皮膚炎;炎症性皮膚疾患、アトピー性皮膚炎、嚢胞性線維症;敗血性ショック;敗血症;内毒素ショック;血行動態ショック;敗血症症候群;虚血後の再灌流障害;髄膜炎;乾癬;線維性疾患;悪液質;移植片対宿主病を含めた移植片拒絶;自己免疫疾患;リウマチ性脊椎炎;関節リウマチおよび変形性関節症などの関節炎症状;骨粗鬆症;クローン病;潰瘍性大腸炎;炎症性腸疾患;多発性硬化症;全身性エリテマトーデス;ハンセン病におけるらい性結節性紅斑(ENL);放射線損傷;喘息;および高酸素性肺胞損傷が含まれる。
【0018】
他の実施形態では、2−[1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−メチルスルホニルエチル]−4−アセチルアミノイソインドリン−1,3−ジオンの立体異性体として純粋な(+)鏡像異性体はまた、それだけには限らないが、細菌感染症、真菌感染症、マラリア、マイコバクテリア感染症、およびHIVから生じる日和見感染症を含めた微生物感染症または微生物感染症の症状の治療または予防に有用である。
【0019】
本発明は、2−[1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−メチルスルホニルエチル]−4−アセチルアミノイソインドリン−1,3−ジオンの(+)鏡像異性体および薬学的に許容されるその多形、プロドラッグ、水和物、包接体、および溶媒和物を含む医薬組成物および単回投与製剤をさらに包含する。
【0020】
別個の実施形態では、本発明は、2−[1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−メチルスルホニルエチル]−4−アセチルアミノイソインドリン−1,3−ジオンの(+)鏡像異性体を包含する。
【0021】
さらなる実施形態では、本発明は、1−(3−エトキシ−4−メトキシ−フェニル)−2−メタンスルホニル−エチルアミンをキラルアミノ酸と接触させるステップと、第1ステップの生成物をN−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソベンゾフラン−4−イル)−アセトアミドと接触させるステップとを含む、2−[1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−メチルスルホニルエチル]−4−アセチルアミノイソインドリン−1,3−ジオンの立体異性体として純粋な(+)鏡像異性体を生成する方法を包含する。関連する実施形態では、本発明は、1−(3−エトキシ−4−メトキシ−フェニル)−2−メタンスルホニル−エチルアミンのキラル塩を包含する。
【0022】
本明細書における実施形態は、(+)−2−[1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−メチルスルホニルエチル]−4−アセチルアミノイソインドリン−1,3−ジオンと化学的に名付けられた化合物(「化合物A」)を含む固形物形態を提供する。化合物Aは、以下の実施例に記載した方法を含めた、本明細書における教示に基づいて当業者に明らかである任意の方法に従って合成するまたは得ることができる。化合物Aは、2005年11月8日発行の米国特許第6,962,940号に記載の方法に従って調製することもでき、その全体を参照により本明細書に組み込む。
【0023】
いくつかの実施形態において、固形物形態は、化合物Aの単一成分の結晶形である。いくつかの実施形態において、固形物形態は、それだけには限らないが、化合物Aを含む共結晶および/または(水和物を含めた)溶媒和物を含む複数成分の結晶形である。他の実施形態では、固形物形態は、化合物Aの単一成分の非晶質の形態である。他の実施形態では、固形物形態は、複数成分の非晶質の形態である。任意の特定の理論によって制限されるものでなく、本明細書で提供されるいくつかの新規な固形物形態は、それらを、例えば、製造、加工、配合および/または貯蔵に有用になる特に有利な物理的特性および/または化学的特性を有し、一方、例えば、バイオアベイラビリティおよび/または生物活性などの特に有利な生物学的特性も有する。
【0024】
具体的な実施形態では、本明細書で提供される固形物形態には、それだけには限らないが、化合物Aを含む単一成分および複数成分の固形物形態を含めた、化合物Aを含む固形物形態が含まれる。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される固形物形態には、化合物Aを含む多形、(水和物を含めた)溶媒和物および共結晶が含まれる。本明細書におけるいくつかの実施形態は、本明細書で提供される固形物形態を製造する、単離するおよび/または特徴付ける方法を提供する。
【0025】
本明細書で提供される固形物形態は、患者に使用するための配合物を調製する原薬(active pharmaceutical ingredients)として有用である。したがって、本明細書における実施形態は、最終製剤としてのこれらの固形物形態の使用を包含する。いくつかの実施形態は、例えば、最終製剤を製造、加工、配合および/または貯蔵のために必要である、とりわけ、粉体の流動特性、圧縮特性、打錠特性、安定性特性、および添加剤の相溶特性などの特性を改善して最終剤形を製造するのに有用な固形物形態を提供する。本明細書におけるいくつかの実施形態は、化合物Aおよび薬学的に許容される賦形剤、添加剤または担体を含む、単一成分の結晶形、複数成分の結晶形、単一成分の非晶質の形態および/または複数成分の非晶質の形態を含む医薬組成物を提供する。本明細書で提供される固形物形態および最終製剤は、例えば、本明細書で提供される疾患および障害の治療、予防または管理のために有用である。
【0026】
本明細書におけるいくつかの実施形態は、HIV;肝炎;成人呼吸促迫症候群;骨吸収疾患;慢性閉塞性肺疾患;慢性肺炎症性疾患;喘息;皮膚炎;嚢胞性線維症;敗血性ショック;敗血症;内毒素ショック;血行動態ショック;敗血症症候群;虚血後の再灌流障害;髄膜炎;乾癬;線維性疾患;悪液質;移植片拒絶;自己免疫疾患;リウマチ性脊椎炎;乾癬性関節炎、関節リウマチおよび変形性関節症などの関節炎症状;骨粗鬆症;クローン病;潰瘍性大腸炎;炎症性腸疾患;多発性硬化症;全身性エリテマトーデス;皮膚エリテマトーデス;肺サルコイドーシス;ハンセン病におけるENL;放射線損傷;喘息;および高酸素性肺胞損傷などの、哺乳動物においてTNF−α産生の阻害によって寛解する疾患または障害を治療する、予防するまたは管理するために本明細書で提供される固形物形態を用いた方法を提供する。かかる障害にはさらに、それだけには限らないが、頭部、甲状腺、頚部、眼、皮膚、口、咽頭、食道、胸部、骨、血液、骨髄、肺、結腸、S字結腸、直腸、胃、前立腺、乳、卵巣、腎臓、肝臓、膵臓、脳、腸、心臓、副腎、皮下組織、リンパ節、心臓の癌およびそれらの組合せを含むがそれだけには限らない癌が含まれる。この方法によって治療することができる具体的な癌は、多発性骨髄腫、悪性黒色腫、悪性神経膠腫、白血病および固形腫瘍である。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される固形物形態を用いた方法には、いくつかの有害作用の低減または回避が含まれる。
【0027】
本明細書におけるいくつかの実施形態は、それだけには限らないが、うっ血性心不全、心筋症、肺水腫、内毒素媒介性敗血性ショック、急性ウイルス性心筋炎、心臓同種移植片拒絶、および心筋梗塞を含む心疾患の治療または予防において本明細書で提供される固形物形態を用いる方法を提供する。
【0028】
本明細書におけるいくつかの実施形態は、PDE4の阻害によって寛解する疾患または障害を治療するために本明細書で提供される固形物形態を用いる方法を提供する。例えば、本明細書で提供される固形物形態は、ウイルス性疾患、遺伝病、炎症性疾患、アレルギー性疾患、および自己免疫疾患を治療するまたは予防するのに有用となり得る。かかる疾患の例には、それだけには限らないが、HIV;肝炎;成人呼吸促迫症候群;骨吸収疾患;慢性閉塞性肺疾患;慢性肺炎症性疾患;皮膚炎;炎症性皮膚疾患;アトピー性皮膚炎;嚢胞性線維症;敗血性ショック;敗血症;内毒素ショック;血行動態ショック;敗血症症候群;虚血後の再灌流障害;髄膜炎;乾癬;線維性疾患;悪液質;移植片対宿主病を含めた移植片拒絶;自己免疫疾患;リウマチ性脊椎炎;関節リウマチおよび変形性関節症などの関節炎症状;骨粗鬆症;クローン病;潰瘍性大腸炎;炎症性腸疾患;多発性硬化症;全身性エリテマトーデス;ハンセン病におけるらい性結節性紅斑(ENL);放射線損傷;喘息;および高酸素性肺胞損傷が含まれる。
【0029】
本明細書におけるいくつかの実施形態は、細菌感染症、真菌感染症、マラリア、マイコバクテリア感染症、およびHIVから生じる日和見感染症を含むがそれだけには限らない微生物感染症または微生物感染症の症状の治療または予防において本明細書で提供される固形物形態を用いる方法を提供する。
【0030】
本明細書における具体的な実施形態は、乾癬;乾癬性関節炎;関節リウマチ;慢性皮膚サルコイド(chronic cutaneous sarcoid);巨細胞性動脈炎;パーキンソン病;結節性痒疹;扁平苔癬;複合性アフタ症;ベーチェット病;狼瘡;肝炎;ブドウ膜炎;シェーグレン病;(大うつ病を含めた)うつ病;間質性膀胱炎;外陰部痛;前立腺炎;変形性関節症;びまん性大細胞型B細胞リンパ腫;ポリミソイティス(polymysoitis);皮膚筋炎;封入体筋炎;びらん性骨関節炎;間質性膀胱炎;肝炎;子宮内膜症;神経根症;および壊疽性膿皮症を含めた疾患の治療または予防において本明細書で提供される固形物形態を用いる方法を提供する。
【0031】
本明細書におけるいくつかの実施形態は、本明細書で提供される1種または複数の固形物形態を含む医薬組成物および単回投与製剤を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】化合物Aの形態Aの代表的な粉末X線回折(「XRPD」)パターンを提供する図である。
【図2】化合物Aの形態Aの代表的な示差走査熱量測定(「DSC」)プロットを提供する図である。
【図3】化合物Aの形態Aの代表的な熱重量分析(「TGA」)プロットを提供する図である。
【図4】化合物Aの形態Aの代表的な動的蒸気収着(「DVS」)プロットを提供する図である。
【図5】化合物Aの形態Bの代表的なXRPDパターンを提供する図である。
【図6】化合物Aの形態Bの代表的なDSCプロットを提供する図である。
【図7】化合物Aの形態Bの代表的なTGAプロットを提供する図である。
【図8】化合物Aの形態Bの代表的なDVSプロットを提供する図である。
【図9】化合物Aの形態Cの代表的なXRPDパターンを提供する図である。
【図10】化合物Aの形態Cの代表的なDSCプロットを提供する図である。
【図11】化合物Aの形態Cの代表的なTGAプロットを提供する図である。
【図12】化合物Aの形態Cの代表的なDVSプロットを提供する図である。
【図13】化合物Aの形態Dの代表的なXRPDパターンを提供する図である。
【図14】化合物Aの形態Dの代表的なDSCプロットを提供する図である。
【図15】化合物Aの形態Dの代表的なTGAプロットを提供する図である。
【図16】化合物Aの形態Dの代表的なDVSプロットを提供する図である。
【図17】化合物Aの形態Eの代表的なXRPDパターンを提供する図である。
【図18】化合物Aの形態Eの代表的なDSCプロットを提供する図である。
【図19】化合物Aの形態Eの代表的なTGAプロットを提供する図である。
【図20】化合物Aの形態Eの代表的なDVSプロットを提供する図である。
【図21】化合物Aの形態Fの代表的なXRPDパターンを提供する図である。
【図22】化合物Aの形態Fの代表的なDSCプロットを提供する図である。
【図23】化合物Aの形態Fの代表的なTGAプロットを提供する図である。
【図24】化合物Aの形態Fの代表的なDVSプロットを提供する図である。
【図25】化合物Aの形態Gの代表的なXRPDを提供する図である。
【図26】化合物Aの形態Gの代表的なDSCプロットを提供する図である。
【図27】化合物Aの形態Gの代表的なTGAプロットを提供する図である。
【図28】化合物Aの形態Gの代表的なDVSプロットを提供する図である。
【図29】2−[1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−メチルスルホニルエチル]−4−アセチルアミノイソインドリン−1,3−ジオンの(+)鏡像異性体の調製を示す図である。
【図30】覚醒フェレットの肺における化合物AのLPS誘発好中球増加症への効果を示す図である。
【図31】重度の斑型乾癬患者において化合物Aを評価する臨床試験の29日目の15名の対象全員の表皮の厚さの変化百分率を示す図である。
【図32】重度の斑型乾癬患者において化合物Aを評価する臨床試験の29日目の損傷性皮膚の生検検体における(hARPに対して標準化された)平均iNOSの変化を示す図である。
【図33】重度の斑型乾癬患者において化合物Aを評価する臨床試験のベースラインから29日目で評価可能な患者の全乾癬領域および重症度インデックス(Psoriasis Area and Severity Index)(PASI)スコアの変化百分率を示す図である。
【0033】
3.2.定義
本明細書で使用される場合、「化合物A」という用語は、カラムが150mm×4.6mm Ultron Chiral ES−OVSキラルHPLCカラム(Agilent Technology)であり、溶離液がpH3.5の15:85エタノール:20mM KHPOであり、観測波長が240nmであるとき、約25.4分でHPLCカラムから得られる鏡像異性体として純粋な(+)−2−[1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−メチルスルホニルエチル]−4−アセチルアミノイソインドリン−1,3−ジオンを意味する。化合物AのH NMRスペクトルは実質的に以下の通りである:δ (CDCl3); 1.47 (t, 3H); 2.26 (s, 3H); 2.87 (s, 3H); 3.68-3.75 (dd, 1H); 3.85 (s, 3H); 4.07-4.15 (q, 2H); 4.51-4.61 (dd, 1H); 5.84-5.90 (dd, 1H); 6.82-8.77 (m, 6H); 9.46 (s, 1H).化合物Aの13C NMRスペクトルは実質的に以下の通りである:δ (DMSO-d6); 14.66; 24.92; 41.61; 48.53; 54.46; 55.91; 64.51; 111.44; 112.40; 115.10; 118.20; 120.28; 124.94; 129.22; 131.02; 136.09; 137.60; 148.62; 149.74; 167.46; 169.14; 169.48.メタノールに溶解した化合物Aは、偏光面を(+)方向に回転させる。
【0034】
理論によって制限されるものではないが、化合物Aは、以下の構造を有するS−{2−[1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−メチルスルホニルエチル]−4−アセチルアミノイソインドリン−1,3−ジオン}であることが考えられる。
【0035】
【化1】



【0036】
本明細書で使用される場合、「患者」という用語は、哺乳動物、特にヒトを意味する。
【0037】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」という用語は、無機酸および塩基ならびに有機酸および塩基を含めた薬学的に許容される非毒性の酸または塩基から調製された塩を意味する。
【0038】
本明細書で使用される場合、別段の指示がない限り、「プロドラッグ」という用語は、化合物を提供するために生物学的条件下で(in vitroでもしくはin vivoで)加水分解する、酸化させるまたは他の方法で反応させることができる化合物の誘導体を意味する。プロドラッグの例としては、それだけには限らないが、生加水分解性アミド、生加水分解性エステル、生加水分解性カルバマート、生加水分解性カルボナート、生加水分解性ウレイド、および生加水分解性ホスファート類似体などの生加水分解性部分を含む化合物Aの誘導体および代謝産物が含まれる。プロドラッグは、通常、1 Burger’s Medicinal Chemistry and Drug Discovery、172〜178頁、949〜982頁(Manfred E.Wolff編、第5版 1995年)に記載の方法など、周知の方法を用いて調製することができる。
【0039】
本明細書で使用される場合、別段の指示がない限り、「生加水分解性アミド」、「生加水分解性エステル」、「生加水分解性カルバマート」、「生加水分解性カルボナート」、「生加水分解性ウレイド」、「生加水分解性ホスファート」という用語は、1)化合物の生物活性に干渉しないが、取り込み、作用時間または作用の開始などin vivoで化合物に有利な特性を与えることができる;または2)生物学的に不活性であるが、in vivoで生物活性化合物に変換される化合物の、それぞれアミド、エステル、カルバマート、カルボナート、ウレイド、またはホスファートを意味する。生加水分解性エステルの例には、それだけには限らないが、低級アルキルエステル、アルコキシアシルオキシエステル、アルキルアシルアミノアルキルエステル、およびコリンエステルが含まれる。生加水分解性アミドの例には、それだけには限らないが、低級アルキルアミド、α−アミノ酸アミド、アルコキシアシルアミドおよびアルキルアミノアルキルカルボニルアミドが含まれる。生加水分解性カルバマートの例には、それだけには限らないが、低級アルキルアミン、置換エチレンジアミン、アミノ酸、ヒドロキシアルキルアミン、複素環および複素芳香族アミン、およびポリエーテルアミンが含まれる。
【0040】
本明細書で使用される場合、別段の指示がない限り、「立体異性体として純粋な」という用語は、化合物の1種の立体異性体を含み、その化合物の他の立体異性体が実質的にない組成物を意味する。例えば、1つの不斉中心を有する化合物の立体異性体として純粋な組成物は、化合物の相対する鏡像異性体が実質的にない。2つの不斉中心を有する化合物の立体異性体として純粋な組成物は、化合物の他のジアステレオマーが実質的にない。典型的な立体異性体として純粋な化合物は、化合物の1つの立体異性体を約80重量%より多くおよび化合物の他の立体異性体を約20重量%未満含み、より好ましくは、化合物の1つの立体異性体を約90重量%より多くおよび化合物の他の立体異性体を約10重量%未満含み、さらにより好ましくは化合物の1つの立体異性体を約95重量%より多くおよび化合物の他の立体異性体を約5重量%未満含み、最も好ましくは、化合物の1つの立体異性体を約97重量%より多くおよび化合物の他の立体異性体を約3重量%未満を含む。
【0041】
本明細書で使用される場合、別段の指示がない限り、「鏡像異性体として純粋な」という用語は、1つの不斉中心を有する化合物の立体異性体として純粋な組成物を意味する。
【0042】
本明細書で使用される場合、「有害作用」という用語は、それだけには限らないが、胃腸毒性、腎毒性および肝毒性、白血球減少症、例えば血小板減少症による出血時間の増加、および妊娠期間の延長、悪心、嘔吐、傾眠、無力症、めまい、催奇形性、錐体外路症状、アカシジア、心血管障害を含めた心毒性、炎症、男性性機能障害、および血清肝酵素レベルの上昇が含まれる。「胃腸毒性」という用語は、それだけには限らないが、胃および腸の潰瘍化およびびらんが含まれる。「腎毒性」という用語は、それだけには限らないが、腎乳頭壊死および慢性間質性腎炎のような状態が含まれる。
【0043】
本明細書で使用される場合、別段の指示がない限り、「有害作用を低減するまたは回避する」および「有害作用の低減または回避」という語句は、本明細書で定義した1種または複数の有害作用の重症度の低減を意味する。
【0044】
示された構造とその構造に与えられた名称との間に矛盾がある場合、示された構造により重きが置かれるものであるということに留意されたい。さらに、構造の立体化学または構造の一部が、例えば、太字または点線で示されない場合は、構造または構造の一部はそのすべての立体異性体を包含するものとして解釈されるものとする。
【0045】
本明細書で使用される場合、別段の指示がない限り、「固形物形態」という用語および関連用語は、主として液体または気体の状態ではない物理的形態を意味する。本明細書で使用される場合、別段の指示がない限り、「固形物形態」という用語および関連用語は、化合物Aを意味するために本明細書で用いるとき、主として液体または気体の状態ではない化合物Aを含む物理的形態を意味する。固形物形態は結晶質、非晶質またはそれらの混合物となり得る。具体的な実施形態では、固形物形態は液晶となり得る。化合物Aを含む「単一成分」の固形物形態は、本質的に化合物Aからなる。化合物Aを含む「複数成分」の固形物形態は、固形物形態の範囲内で、イオンおよび/または分子などの1種または複数の追加の種の有意な量を含む。例えば、具体的な実施形態では、化合物Aを含む結晶性の複数成分の固形物形態は、結晶格子中の通常の位置で非共有結合した1種または複数の種をさらに含む。化合物Aを含む複数成分の固形物形態には、化合物Aの共結晶、溶媒和物(例えば、水和物)および包接体が含まれる。具体的な実施形態では、「化合物Aを含む固形物形態」という用語および関連用語には、化合物Aを含む単一成分および複数成分の固形物形態が含まれる。具体的な実施形態では、「化合物Aを含む固形物形態」および関連用語には、化合物Aを含む結晶形、化合物Aを含む非晶質の形態およびそれらの混合物が含まれる。
【0046】
本明細書で使用される場合、別段の指示がない限り、本明細書で用いられる「結晶質」という用語および関連用語は、化合物、物質、修正形態、材料、成分または生成物を記載するために用いるとき、別段の指示がない限り、その化合物、物質、修正形態、材料、成分または生成物がX線回折による決定で、実質的に結晶質であることを意味する。例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy、第21版、Lippincott、Williams and Wilkins、Baltimore、MD (2005年);米国薬局方、第23版、1843〜1844頁(1995年)を参照のこと。
【0047】
本明細書で使用される場合、別段の指示がない限り、本明細書における「結晶形」、「結晶質の形態」という用語および関連用語は、結晶質である固形物形態を意味する。結晶形には、単一成分の結晶形および複数成分の結晶形が含まれ、それだけには限らないが、多形、溶媒和物、水和物、および/または他の分子の複合体が含まれる。いくつかの実施形態において、物質の結晶形は、非晶質の形態および/または他の結晶形が実質的にないこともある。いくつかの実施形態において、物質の結晶形は、重量ベースで、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%または50%未満の1種または複数の非晶質形態および/または他の結晶形を含み得る。いくつかの実施形態において、物質の結晶形は、物理的および/または化学的に純粋であり得る。いくつかの実施形態において、物質の結晶形は、約99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%または90%の物理的および/または化学的に純粋であり得る。
【0048】
本明細書で使用される場合、別段の指示がない限り、本明細書における「多形」、「多形の形態」という用語および関連用語は、同じ分子、同じ複数の分子、および/または同じイオンから本質的になる2つ以上の結晶形を意味する。異なる結晶形のように、異なる多形は、結晶格子中の分子および/またはイオンの配列または立体配座の結果として、例えば、融解温度、融解熱、溶解性、溶出特性および/または振動スペクトルなど、異なる物理的特性を有し得る。物理的特性の相違は、貯蔵安定度、圧縮率および(配合物および生成物の製造において重要な)密度、および溶出速度(バイオアベイラビリティにおける重要な因子)などの医薬パラメーターに影響を与え得る。安定性の相違は、化学反応性の変化(例えば、剤形が、他の多形からなるときよりも1つの多形からなるときにより速やかに変色するような、差次的な酸化)または機械的な変化(例えば、動力学的に有利な多形が熱力学的により安定した多形に変換されるため、錠剤は貯蔵時に粉砕する)またはその両方(例えば、1つの多形の錠剤は、高湿度での崩壊により感受性がある)から生じる可能性がある。溶解性/溶出の差の結果として、極端な場合では、いくつかの固体状態の遷移が効力の欠如をもたらし得るまたは、他の極端な場合で、毒性の欠如をもたらし得る。さらに、物理的特性は加工において重要となり得る(例えば、1つの多形は、溶媒和物を形成する可能性が高くなり得るまたはろ過および洗浄して不純物を除去しにくいこともあり、粒子形状およびサイズ分布は多形間で異なることがある)。
【0049】
本明細書で使用される場合、別段の指示がない限り、「溶媒和物」および「溶媒和した」という用語は、溶媒を含む物質の結晶形を意味する。「水和物」および「水和された」という用語は、溶媒が水を含む溶媒和物を意味する。「溶媒和物の多形」は、ある特定の溶媒和物組成物の1つを超える結晶形の存在を意味する。同様に、「水和物の多形」は、ある特定の水和物組成物の1つを超える結晶形の存在を意味する。本明細書で使用される場合、「脱溶媒和した溶媒和物」という用語は、溶媒和物から溶媒を除去することによって調製することができる物質の結晶形を意味する。
【0050】
本明細書で使用される場合、別段の指示がない限り、本明細書で用いられる「非晶質の」、「非晶質の形態」という用語および関連用語は、問題の物質、成分または生成物が実質的にX線回折によって決定される結晶質ではないことを意味する。特に、「非晶質の形態」という用語は、無秩序な固形物形態、すなわち、長距離の結晶性秩序を欠く固形物形態を表す。いくつかの実施形態において、物質の非晶質の形態は、他の非晶質の形態および/または結晶形が実質的になくてもよい。他の実施形態では、物質の非晶質の形態は、重量ベースで、約1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%または50%未満の1種または複数の他の非晶質形態および/または結晶形を含み得る。いくつかの実施形態において、物質の非晶質の形態は、物理的および/または化学的に純粋であり得る。いくつかの実施形態において、物質の非晶質の形態は、約99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%または90%物理的および/または化学的に純粋である。
【0051】
結晶形および非晶質の形態を特徴付ける技法は、それだけには限らないが、熱重量分析(TGA)、示差走査熱量測定(DSC)、粉末X線回折(XRPD)、単結晶X線回折、振動分光法、例えば、赤外線(IR)およびラマン分光法、固体状態および溶液核磁気共鳴(NMR)分光法、光学顕微鏡法、ホットステージ光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡(SEM)、電子結晶学および定量分析、粒度分析(PSA)、表面積分析、溶解度測定、溶出測定、元素分析およびカールフィッシャー分析が含まれる。特徴的な単位格子パラメーターは、それだけには限らないが、単結晶回折および粉末回折を含めたX線回折および中性子回折などの1種または複数の技法を用いて決定することができる。粉末回折データを分析するために有用な技法には、例えば、1つを超える固相を含むサンプル中で単相に関連する回折ピークを分析するために用いることができるリートベルト法などのプロファイル精密化が含まれる。粉末回折データを分析するために有用な他の方法には、当業者が結晶粉末を含むサンプルから単位格子パラメーターを決定することが可能である単位格子の指標化が含まれる。
【0052】
本明細書で使用される場合、別段の指示がない限り、「約」および「およそ」という用語は、特定の固形物形態を特徴付けるために提供される数値または値の範囲、例えば、特定の温度または温度範囲、例えば、融解、脱水、脱溶媒和またはガラス遷移イベントを含めた、例えば、DSCもしくはTGA熱イベントを表すものなど;質量変化、例えば、温度または湿度の関数としての質量変化など;溶媒または水含量、例えば、重量または百分率で表されるもの;またはピーク位置、例えば、IRもしくはラマン分光またはXRPDによる分析におけるものなどに関連して用いられるとき、依然として上記特定の固形物形態を表しながら、上記値または値の範囲が当業者に妥当とみなされる程度に逸脱しうることを示す。例えば、具体的な実施形態では、「約」および「およそ」という用語は、この文脈で用いられるときおよび別段の指示がない限り、数値または数値の範囲が、列挙した値または値の範囲の25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1.5%、1%、0.5%、または0.25%の範囲内で変わり得ることが示される。
【0053】
本明細書で使用され、別段の指示がない場合、「実質的に純粋」、例えば、実質的に他の固形物形態および/または他の化学化合物がない特定の結晶形または非晶質の形態を含むサンプルは、具体的な実施形態では、約25重量%、20重量%、15重量%、10重量%、9重量%、8重量%、7重量%、6重量%、5重量%、4重量%、3重量%、2重量%、1重量%、0.75重量%、0.5重量%、0.25重量%または0.1重量%未満の1種または複数の他の固形物形態および/または他の化学化合物を含む。
【0054】
本明細書で使用され、別段の指示がない場合、1種または複数の他の固形物形態および/または他の化合物が「実質的にない」サンプルまたは組成物とは、その組成物が、具体的な実施形態では、約25重量%、20重量%、15重量%、10重量%、9重量%、8重量%、7重量%、6重量%、5重量%、4重量%、3重量%、2重量%、1重量%、0.75重量%、0.5重量%、0.25重量%または0.1重量%未満の1種または複数の他の固形物形態および/または他の化合物を含むことを意味する。
【0055】
本明細書で使用される場合、別段の指示がない限り、「治療する」、「治療している」および「治療」という用語は、疾患または障害の根絶または寛解、または疾患または障害に伴う1種または複数の症状の根絶または寛解を意味する。いくつかの実施形態において、これらの用語は、1種または複数の予防薬または治療薬のこのような疾患または障害を伴う患者への投与によって生じる疾患または障害の拡散または悪化を最小限にすることを意味する。いくつかの実施形態では、これらの用語は、特定の疾患の症状の発生後に他の追加の有効な薬剤を伴ってまたは伴わずに、本明細書で提供される化合物を投与することを意味する。
【0056】
本明細書で使用される場合、別段の指示がない限り、「予防する」、「予防している」および「予防」という用語は、疾患または障害または1種もしくは複数のそれらの症状の発生、再発または拡散の予防を意味する。いくつかの実施形態において、これらの用語は、特に本明細書で提供される疾患または障害のリスクのある患者に、症状の発生前に他の追加の活性化合物を伴ってまたは伴わずに、本明細書で提供される化合物で治療することまたはそれを投与することを意味する。これらの用語は、特定の疾患の症状の抑制または低減を包含する。具体的には、疾患の家族歴を有する患者は、いくつかの実施形態において予防レジメンの候補である。さらに、再発症状の病歴を有する患者はまた、予防の潜在的な候補である。このような観点から、「予防」という用語は、「予防的治療」という用語と同義的に用いることができる。
【0057】
本明細書で使用される場合、別段の指示がない限り、「管理する」、「管理している」および「管理」という用語は、疾患または障害のまたは1種もしくは複数のそれらの症状の進行、拡散もしくは悪化を予防するまたは遅らせることを意味する。しばしば、患者が予防薬および/または治療薬から得る有益な効果は、疾患または障害の治癒をもたらさない。このような観点から、「管理している」という用語は、疾患の再発を予防するまたは最小限にする試みとして特定の疾患に罹患していた患者を治療することを包含する。
【0058】
本明細書で使用される場合、別段の指示がない限り、化合物の「治療上有効量」は、疾患または障害の治療または管理において治療上の利益をもたらす、または疾患もしくは障害に伴う1種または複数の症状を遅らせるまたは最小限にするのに十分な量である。化合物の治療上有効量は、疾患もしくは障害の治療または管理に治療上の利益をもたらす、単独のまたは他の療法と併用した治療薬の量を意味する。「治療上有効量」という用語は、療法全体を改善し、疾患もしくは障害の症状または原因を低減しまたは回避し、または他の治療薬の治療効果を強める量を包含することができる。
【0059】
本明細書で使用される場合、別段の指示がない限り、化合物の「予防上有効量」は、疾患または障害を予防する、またはその再発を予防するのに十分な量である。化合物の予防上有効量は、疾患の予防に予防上の利益をもたらす、単独のまたは他の薬剤と併用した治療薬の量を意味する。「予防上有効量」という用語は、予防全体を改善するまたは他の予防用薬剤の予防的効力を強める量を包含することができる。
【0060】
本明細書で使用される場合、「組成物」という用語は、指定された成分(示される場合、指定された量で)を含む生成物、ならびに直接または間接的に、指定された量の指定された成分の組合せから生じる任意の生成物を包含するものとする。「薬学的に許容される」とは、賦形剤、添加剤または担体は、配合物の他の成分に適合しなければならず、そのレシピエントに有害にならないようにしなければならないことを意味する。
【発明を実施するため形態】
【0061】
4.本発明の詳細な説明
本発明は、その(−)鏡像異性体が実質的にない、2−[1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−メチルスルホニルエチル]−4−アセチルアミノイソインドリン−1,3−ジオンの(+)鏡像異性体である立体異性体として純粋な化合物A、ならびに使用する新規な方法および立体異性体として純粋な化合物Aおよび/または化合物Aを含む固形物形態を含む組成物に関する。例えば、本発明は、化合物Aのin vitroおよびin vivoでの使用、化合物Aの医薬組成物への取り込みおよび様々な疾患および障害の治療および予防に有用な単回投与製剤を包含する。TNF−αレベルの低減またはPDE4の阻害によって寛解する疾患および障害は、当技術分野で周知であり、本明細書に記載されている。本発明の具体的な方法はTNF−α阻害薬として用いた化合物に伴う有害作用を低減するまたは回避する。本発明の他の具体的な方法は、ラセミ体の2−[1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−メチルスルホニルエチル]−4−アセチルアミノイソインドリン−1,3−ジオンの使用に伴う有害作用を低減するまたは回避する。
【0062】
本発明の具体的な方法には、固形腫瘍、血液性腫瘍および炎症性疾患を含むがそれだけには限らない疾患および障害を治療するまたは予防する方法が含まれる。
【0063】
化合物Aまたは薬学的に許容されるその多形、プロドラッグ、包接体、溶媒和物もしくは水和物(具体的な実施形態は、本明細書に記載した化合物Aを含む固形物形態を包含する)を含む本発明の医薬品および剤形は、本発明の方法に用いることができる。
【0064】
理論によって制限されるものではないが、化合物Aを含む固形物形態を含めた化合物Aが、TNF−α産生を阻害することができると考えられている。その結果、本発明の第1の実施形態は、異常なTNF−α産生を示す細胞を有効量の立体異性体として純粋な化合物Aまたは薬学的に許容されるそのプロドラッグ、代謝産物、多形、溶媒和物、水和物、もしくは包接体(具体的な実施形態は、本明細書に記載した化合物Aを含む固形物形態を包含する)に接触させるステップを含むTNF−α産生を阻害する方法に関する。具体的な実施形態では、本発明は、異常なTNF−α産生を示す哺乳動物の細胞を有効量の立体異性体として純粋な化合物Aまたは薬学的に許容されるそのプロドラッグ、代謝産物、多形、溶媒和物、水和物、または包接体(具体的な実施形態では、本明細書に記載した化合物Aを含む固形物形態を包含する)に接触させるステップを含むTNF−α産生を阻害する方法に関する。
【0065】
本発明はまた、患者におけるTNF−αレベルの低減によって寛解する障害を治療する、予防するまたは管理する方法であって、これは、かかる治療または予防を必要とする患者に治療上有効量または予防上有効量の立体異性体として純粋な化合物Aまたは薬学的に許容されるそのプロドラッグ、代謝産物、多形、溶媒和物、水和物、または包接体(具体的な実施形態は、本明細書に記載した化合物Aを含む固形物形態を包含する)を投与するステップを含む方法に関する。具体的な実施形態では、哺乳動物におけるTNF−α産生の阻害によって寛解する疾患または障害には、それだけには限らないが、HIV;肝炎;成人呼吸促迫症候群;骨吸収疾患;慢性閉塞性肺疾患;慢性肺炎症性疾患;喘息;皮膚炎;嚢胞性線維症;敗血性ショック;敗血症;内毒素ショック;血行動態ショック;敗血症症候群;虚血後の再灌流障害;髄膜炎;乾癬;線維性疾患;悪液質;移植片拒絶;自己免疫疾患;リウマチ性脊椎炎;乾癬性関節炎、関節リウマチおよび変形性関節症などの関節炎症状;骨粗鬆症;クローン病;潰瘍性大腸炎;炎症性腸疾患;多発性硬化症;全身性エリテマトーデス;皮膚エリテマトーデス;肺サルコイドーシス;ハンセン病におけるらい性結節性紅斑(ENL);放射線損傷;喘息;および高酸素性肺胞損傷が含まれる。かかる障害には、それだけには限らないが、頭部、甲状腺、頚部、眼、皮膚、口、咽頭、食道、胸部、骨、血液、骨髄、肺、結腸、S字結腸、直腸、胃、前立腺、乳、卵巣、腎臓、肝臓、膵臓、脳、腸、心臓、副腎、皮下組織、リンパ節、心臓の癌、およびその組合せを含むがそれだけには限らない癌をさらに含む。この方法によって治療することができる特定の癌は、多発性骨髄腫、悪性黒色腫、悪性神経膠腫、白血病および固形腫瘍である。
【0066】
本発明のさらなる実施形態は、患者において固形腫瘍、血液性腫瘍、白血病、特に多発性骨髄腫を含むがそれだけには限らない癌を治療するまたは予防する方法であって、かかる治療または予防を必要とする患者に治療上有効量の立体異性体として純粋な化合物Aまたは薬学的に許容されるそのプロドラッグ、代謝産物、多形、溶媒和物、水和物または包接体(具体的な実施形態は、本明細書に記載した化合物Aを含む固形物形態を包含する)を投与するステップを含む方法に関し、具体的には、患者は哺乳動物である。
【0067】
他の実施形態では、本発明は、PDE4を阻害する方法であって、細胞(例えば、哺乳動物の細胞)中のPDE4を有効量の立体異性体として純粋な化合物Aまたは薬学的に許容されるそのプロドラッグ、代謝産物、多形、溶媒和物、水和物または包接体(具体的な実施形態は、本明細書に記載した化合物Aを含む固形物形態を包含する)に接触させるステップを含む方法に関する。
【0068】
本発明のさらなる実施形態は、患者におけるPDE4の阻害によって寛解する疾患もしくは障害を治療するまたは予防する方法であって、かかる治療または予防を必要とする患者に治療上有効量または予防上有効量の立体異性体として純粋な化合物Aまたは薬学的に許容されるそのプロドラッグ、代謝産物、多形、溶媒和物、水和物または包接体(具体的な実施形態は、本明細書に記載した化合物Aを含む固形物形態を包含する)を投与するステップを含む方法に関する。PDE4の阻害によって寛解する障害には、それだけには限らないが、喘息、炎症(例えば、再灌流による炎症)、慢性もしくは急性閉塞性肺疾患、慢性もしくは急性肺炎症性疾患、炎症性腸疾患、クローン病、ベーチェット病、または大腸炎が含まれる。
【0069】
他の実施形態では、本発明は、細胞中のcAMPレベルを制御する方法であって、細胞を有効量の立体異性体として純粋な化合物Aまたは薬学的に許容されるそのプロドラッグ、代謝産物、多形、溶媒和物、水和物または包接体(具体的な実施形態は、本明細書に記載した化合物Aを含む固形物形態を包含する)に接触させるステップを含む方法に関する。本明細書で使用される場合、「cAMPレベルを制御する」という用語には、細胞、好ましくは哺乳動物の細胞、より好ましくは、ヒトの細胞の中のアデノシン3’,5’−サイクリックモノホスファート(cAMP)の分解を阻止する、またはその速度を低減すること、あるいは細胞中に存在するアデノシン3’,5’−サイクリックモノホスファートの量を増加させることが含まれる。具体的な方法では、cAMP分解の速度は、本発明の化合物に接触させていない同様の細胞中の割合に比べて約10、25、50、100、200または500パーセントまで低減される。
【0070】
本発明のさらなる実施形態は、患者においてうつ病、喘息、炎症(例えば、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、乾癬、関節リウマチ、変形性関節症、炎症性皮膚疾患、再灌流による炎症)、慢性もしくは急性閉塞性肺疾患、慢性もしくは肺炎症性疾患、炎症性腸疾患、クローン病、ベーチェット病または大腸炎を治療するまたは予防する方法であって、かかる治療または予防を必要とする患者に治療上有効量または予防上有効量の立体異性体として純粋な化合物Aまたは薬学的に許容されるそのプロドラッグ、代謝産物、多形、溶媒和物、水和物または包接体(具体的な実施形態は、本明細書に記載した化合物Aを含む固形物形態を包含する)を投与するステップを含む方法に関し、特に患者は哺乳動物である。
【0071】
本発明の別の実施形態は、骨髄異形成症候群(MDS)を治療するまたは予防する方法であって、かかる治療または予防を必要とする患者に治療上有効量または予防上有効量の立体異性体として純粋な化合物Aまたは薬学的に許容されるその溶媒和物、水和物、立体異性体、包接体、またはプロドラッグ(具体的な実施形態は、本明細書に記載した化合物Aを含む固形物形態を包含する)を投与するステップを含む方法を包含する。MDSは、造血幹細胞障害の多様な群を意味する。MDSは、形態および成熟に障害がある細胞の骨髄(骨髄造血異常)、末梢血の血球減少、および無効な血液細胞の産生から生じる、急性白血病への進行の様々なリスクを特徴とする。The Merck Manual 953頁(第17版 1999年)およびListら、1990年、J.Clin.Oncol.8巻:1424頁を参照のこと。
【0072】
本発明の別の実施形態は、骨髄増殖性疾患(MPD)を治療するまたは予防する方法であって、かかる治療または予防を必要とする患者に治療上有効量または予防上有効量の立体異性体として純粋な化合物Aまたは薬学的に許容されるその溶媒和物、水和物、立体異性体、包接体、またはプロドラッグ(具体的な実施形態は、本明細書に記載した化合物Aを含む固形物形態を包含する)を投与するステップを含む方法を包含する。骨髄増殖性疾患(MPD)は、造血幹細胞のクローン異常を特徴とする障害の群を意味する。例えば、Current Medical Diagnosis & Treatment、499頁(第37版、Tierneyら編、Appleton & Lange、1998年)を参照のこと。
【0073】
本発明はまた、複合性局所疼痛症候群を含むがそれだけには限らない疼痛を治療する、予防するまたは管理する方法であって、かかる治療、予防または管理を必要とする患者に治療上有効量または予防上有効量の立体異性体として純粋な化合物Aまたは薬学的に許容されるその溶媒和物、水和物、立体異性体、包接体、またはプロドラッグ(具体的な実施形態は、本明細書に記載した化合物Aを含む固形物形態を包含する)を投与するステップを含む方法を包含する。具体的な実施形態では、投与は、手術または理学療法の施行前、施行中または施工後に患者において複合性局所疼痛症候群の症状を低減するまたは回避することを目的とする。
【0074】
本発明の具体的な方法において、立体異性体として純粋な化合物Aまたは薬学的に許容されるその多形、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、もしくは包接体(具体的な実施形態は、本明細書に記載した化合物Aを含む固形物形態を包含する)は、少なくとも1種の追加の治療薬と共に補助的に投与される。追加の治療薬の例には、それだけには限らないが、抗癌薬、抗炎症薬、抗ヒスタミン薬およびうっ血除去薬が含まれる。
【0075】
4.1.化合物Aを含む固形物形態
本明細書におけるいくつかの実施形態は、上記で示した化学構造を有する化合物Aを含む固形物形態を提供する。ラセミ体の2−[1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−メチルスルホニルエチル]−4−アセチルアミノイソインドリン−1,3−ジオンは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,020,358号の方法を用いて容易に調製される。2−[1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−メチルスルホニルエチル]−4−アセチルアミノイソインドリン−1,3−ジオンの(+)鏡像異性体である化合物Aは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,962,940号に記載の方法を含めた当業者に明らかである任意の方法に従って調製することができる。
【0076】
化合物Aを含む固形物形態には、結晶形および非晶質の形態を含めた、および、多形、溶媒和物、水和物、共結晶および包接体を含むがそれだけには限らない単一成分および複数成分の形態が含まれる。本明細書における具体的な実施形態は、化合物Aの単一成分の非晶質の固形物形態を提供する。本明細書における具体的な実施形態は、化合物Aの単一成分の結晶性の固形物形態を提供する。本明細書における具体的な実施形態は、化合物Aを含む複数成分の非晶質の形態を提供する。本明細書における具体的な実施形態は、化合物Aを含む複数成分の結晶性の固形物形態を提供する。本明細書で提供される複数成分の固形物形態には、塩、共結晶、水和物、溶媒和物、包接体および/または多形という用語によって記載され得る固形物形態が含まれ、これらの用語の1種または複数によって記載され得る固形物形態が含まれる。
【0077】
化合物Aを含む固形物形態は、以下の実施例に記載の方法を含めた、本明細書に記載した方法によって、または加熱、冷却、冷凍乾燥、凍結乾燥、溶融液の急冷、急速な溶媒の蒸発、ゆっくりとした溶媒蒸発、溶媒の再結晶化、貧溶媒の添加、スラリーの再結晶化、溶融液からの結晶化、脱溶媒和、例えば、ナノポアもしくは毛細血管中などの限られた空間での再結晶、例えば、ポリマー上などの表面もしくは鋳型上の再結晶化、例えば、共結晶対分子などの添加剤の存在下での再結晶化、脱溶媒和、脱水、急速冷却、徐冷、溶媒および/または水への浸漬、例えば、真空乾燥を含めた乾燥、蒸気拡散、昇華、(例えば、低温粉砕、溶媒滴下粉砕または液体によって支援された粉砕を含めた)粉砕、マイクロ波誘導沈殿、超音波処理誘導沈殿、レーザー誘導沈殿および超臨界流体による沈殿を含めた、当技術分野で知られている技法によって調製することができる。(例えば、ナノメートル寸法からミリメートル寸法まで)変わることがある、得られる固形物形態の粒度は、例えば、結晶化の速度および/または結晶化溶媒系などの結晶化状態を変えることによって、または例えば、粉砕、微粉砕、微粉化または超音波処理などの粒度縮小技法によって、例えば、制御することができる。
【0078】
任意の特定の理論に縛られるものではないが、いくつかの固形物形態は、医薬および治療用製剤に適した物理的特性、例えば、安定性、溶解性および溶出速度によって特徴付けられる。さらに、任意の特定の理論に縛られることを望むものではないが、いくつかの固形物形態は、固形剤形の製造に適したいくつかの固形物形態にする特定の過程(例えば、収率、ろ過、洗浄、乾燥、微粉砕、混合、打錠、流動性、溶出、配合、および凍結乾燥)に影響を与える物理的特性(例えば、密度、圧縮率、硬度、形態、切断、粘着性、溶解性、水の取り込み、電気的特性、熱的挙動、固体状態の反応性、物理的安定性、および化学的安定性)によって特徴付けられる。かかる特性は、本明細書に記載したおよび当技術分野で周知の固体状態の分析技法(例えば、X線回折、顕微鏡法、分光測定および熱分析法)を含めた特定の分析化学技法を用いて決定することができる。
【0079】
本明細書におけるいくつかの実施形態は、固形物形態の1種または複数を含む組成物を提供する。いくつかの実施形態は、他の有効成分と組み合わせた1種または複数の固形物形態の組成物を提供する。いくつかの実施形態は、本明細書で提供される疾患および障害を含むがそれだけには限らない疾患および障害の治療、予防または管理においてこれらの組成物を用いる方法を提供する。
【0080】
化合物Aを含む固形物形態の他に、本明細書で提供されるのは、化合物Aのプロドラッグを含む固形物形態である。
【0081】
本明細書で提供される固形物形態は、化合物A中で原子の1個または複数で原子同位体の不自然な比率を含むこともできる。例えば、化合物は、例えば、三重水素(H)、ヨウ素−125(125I)、硫黄−35(35S)、または炭素−14(14C)などの放射活性同位体で放射能標識することができる。放射能標識した化合物は、例えば、癌の治療薬などの治療薬、例えば、結合試験試薬などの研究試薬、および例えば、in vivo造影剤などの診断薬として有用である。化合物Aのすべての同位体の変形形態は、放射活性であるか否かにかかわらず、本明細書で提供される実施形態の範囲内で包含されるものとする。
【0082】
4.1.1.化合物Aの形態A
本明細書におけるいくつかの実施形態は、化合物Aの形態A結晶形を提供する。いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Aは、それだけには限らないが、アセトン、エタノール、およびそれらの混合物を含む溶媒系を含めた、様々な溶媒から得ることができる。いくつかの実施形態において、形態Aは、高速冷却結晶化方法を用いて得ることができる。
【0083】
いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Aは、粉末X線回折分析によって特徴付けることができる。化合物Aの形態Aの代表的なXRPDパターンは、図1に提供される。いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Aは、以下の近似の位置:2θで8.1°、14.4°、15.2°、17.4°、18.4°、19.2°、20.5°、22.8°、23.2°23.6°、24.5°、25.1°が1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12に位置するXRPDピークを特徴とする。いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Aは、図1で示されるパターンに一致するXRPDパターンを特徴とする。いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Aは、本明細書で提供される代表的な形態Aパターンのピークに一致する1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25ピークを有するXRPDパターンを特徴とする。
【0084】
いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Aは、熱分析法によって特徴付けることができる。化合物Aの形態Aの代表的なDSCプロットは、図2に示される。いくつかの実施形態において、形態Aは、約145℃の開始温度による吸熱イベントを含むDSCプロットを特徴とする。いくつかの実施形態において、形態Aは、約155℃の開始温度による吸熱イベントをさらに含むDSCプロットを特徴とする。化合物Aの形態Aの代表的なTGAプロットは、図3に示される。いくつかの実施形態において、形態Aは、約25℃〜約140℃までの加熱後のサンプルの総質量の約1%未満の質量損失、例えば、約0.05%の質量損失を含むTGAプロットを特徴とする。いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Aは、結晶格子中で水または他の溶媒の相当量を含まない。いくつかの実施形態において、形態Aは非溶媒和である。いくつかの実施形態において、形態Aは無水である。
【0085】
いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Aは、水分収着分析によって特徴付けることができる。代表的な水分収着等温式プロットは図4に示される。いくつかの実施形態において、相対湿度(「RH」)がRH約0%〜約95%まで増加したとき、形態Aは、サンプルの開始質量の約1%未満の質量変化、例えば、約0.4%の質量変化を示す。いくつかの実施形態において、RHがもとのRH約0%まで減少するとき、吸収した後に増加した質量は失われる。したがって、いくつかの実施形態では、形態Aは実質的に非吸湿性である。いくつかの実施形態において、形態A材料のXRPDパターンは、吸着/脱着分析において実質的に変化しない。いくつかの実施形態において、形態Aは、湿度に関して安定である。
【0086】
いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Aは、その安定性プロファイルによって特徴付けることができる。いくつかの実施形態において、形態A材料は安定であり、例えば、そのXRPDパターンは、上昇した温度への曝露、上昇した湿度への曝露、1種または複数の溶媒への曝露、および/または圧縮に対して実質的に変化しないままである。いくつかの実施形態において、例えば、形態Aは、約40℃の環境および約75%のRH環境への約4週間の曝露に対して安定である。いくつかの実施形態において、形態Aは、例えば、エタノール、水および/またはヘプタンを含む1種または複数の溶媒系に約40℃で少なくとも約4週間の曝露に対して安定である。いくつかの実施形態において、形態Aは、トルエンを含むがそれだけには限らない溶媒に4週間曝露すると化合物Aの形態Cに変換する。いくつかの実施形態において、形態Aは、約2000psi圧力で約1分間の圧縮に対して安定である。
【0087】
いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Aは、粒子分析によって特徴付けることができる。いくつかの実施形態において、形態Aは白色粉末として特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Aのサンプルは、板状形態を有する粒子を含む。いくつかの実施形態において、形態Aのサンプルは、約18μm未満のD90を有する粒子を含む(本明細書で使用される場合、D90値は、長さによって測定された粒度分布の第90百分位数を表す;すなわち、粒子の90%はこの値またはそれ以下の長さを有する)。
【0088】
本明細書におけるいくつかの実施形態は、実質的に純粋である化合物Aの形態Aを提供する。本明細書におけるいくつかの実施形態は、例えば、本明細書で提供される、形態B、C、D、E、F、Gを含めた化合物Aを含む他の固形物形態および/または化合物Aを含む非晶質の固形物形態が実質的にない化合物Aの形態Aを提供する。本明細書におけるいくつかの実施形態は、例えば、以下の、本明細書で提供される形態B、C、D、E、F、Gおよび化合物Aを含む非晶質の固形物形態のうち1種または複数を含む混合物を含めた、化合物Aを含む固形物形態の混合物として形態Aを提供する。
【0089】
4.1.2.化合物Aの形態B
本明細書におけるいくつかの実施形態は、化合物Aの形態B結晶形を提供する。いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Bは、それだけには限らないが、2−プロパノール、アセトン、アセトニトリル、エタノール、酢酸エチル、ヘプタン、メタノール、メチルエチルケトン、メチルt−ブチルエーテル、塩化メチレン、n−ブタノール、酢酸n−ブチル、テトラヒドロフラン、トルエン、水およびそれらの2つ以上を含む混合物を含む溶媒系を含めた、様々な溶媒から得ることができる。例えば、いくつかの実施形態では、形態Bは、エタノール:水1:1を含む溶媒系から結晶化することによって得ることができ、例えば、約25℃でエタノール:水1:1の溶媒系を蒸発し、その後形態Bを単離するステップを含む方法によって得ることができる。例えば、いくつかの実施形態では、形態Bは、アセトン:エタノール1:1を含む溶媒系から結晶化することによって得ることができ、例えば、アセトン:エタノール1:1で約25℃で約2日間化合物Aを含む固形物形態をスラリー化し、その後形態Bを単離するステップを含む方法によって得ることができる。
【0090】
いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Bは、粉末X線回折分析によって特徴付けることができる。化合物Aの形態Bの代表的なXRPDパターンは、図5に提供される。いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Bは、以下の近似の位置:2θで10.1°、12.4°、13.5°、15.7°、16.3°、18.1°、20.7°、22.5°、24.7°、26.2°、26.9°、29.1°が1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12に位置するXRPDピークを特徴とする。いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Bは、図5で示されるパターンに一致するXRPDパターンを特徴とする。いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Bは、本明細書で提供される代表的な形態Bパターンのピークに一致する1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25ピークを有するXRPDパターンを特徴とする。
【0091】
いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Bは熱分析法によって特徴付けることができる。化合物Aの形態Bの代表的なDSCプロットは、図6に示される。いくつかの実施形態において、形態Bは、約154℃の開始温度による吸熱イベントを含むDSCプロットを特徴とする。化合物Aの形態Bの代表的なTGAプロットは、図7に示される。いくつかの実施形態において、形態Bは、約25℃〜約140℃までの加熱後のサンプルの総質量の約1%未満の質量損失、例えば、約0.25%の質量損失を含むTGAプロットを特徴とする。いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Bは、結晶格子中で水または他の溶媒の相当量を含まない。いくつかの実施形態において、形態Bは無水である。いくつかの実施形態において、形態Bは非溶媒和である。
【0092】
いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Bは、水分収着分析によって特徴付けることができる。代表的な水分収着等温式プロットは図8に示される。いくつかの実施形態において、RHがRH約0%〜約95%まで増加したとき、形態Bは、サンプルの開始質量の約1%未満の質量変化、例えば、約0.6%の質量変化を示す。いくつかの実施形態において、RHがもとのRH約0%まで減少するとき、吸収した後に増加した質量は失われる。いくつかの実施形態において、形態Bは、実質的に非吸湿性である。いくつかの実施形態において、形態B材料のXRPDパターンは、吸着/脱着分析において実質的に変化しない。いくつかの実施形態において、形態Bは、湿度に関して安定である。
【0093】
いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Bは、その安定性プロファイルによって特徴付けることができる。いくつかの実施形態において、形態B材料は安定であり、例えば、そのXRPDパターンは、上昇した温度への曝露、上昇した湿度への曝露、1種または複数の溶媒への曝露、および/または圧縮に対して実質的に変化しないままである。いくつかの実施形態において、例えば、形態Bは、約40℃の環境および約75%のRH環境への約4週間の曝露に対して安定である。いくつかの実施形態において、形態Bは、例えば、エタノール、水および/またはヘプタンを含む溶媒系に約40℃で少なくとも約4週間の曝露に対して安定である。いくつかの実施形態において、形態Bは、例えば、トルエンを含む溶媒系に約4週間曝露すると化合物Aの形態Cに変換する。いくつかの実施形態において、形態Bは、約2000psi圧力で約1分間の圧縮に対して安定である。
【0094】
いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Bは、粒子分析によって特徴付けることができる。いくつかの実施形態において、形態Bは白色粉末として特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Bのサンプルは、フレーク様形態を有する粒子を含む。いくつかの実施形態において、形態Bのサンプルは、約12μm未満のD90を有する粒子を含む。
【0095】
本明細書におけるいくつかの実施形態は、実質的に純粋である化合物Aの形態Bを提供する。本明細書におけるいくつかの実施形態は、例えば、本明細書で提供される、形態A、C、D、E、F、Gを含めた化合物Aを含む他の固形物形態および/または化合物Aを含む非晶質の固形物形態が実質的にない化合物Aの形態Bを提供する。本明細書におけるいくつかの実施形態は、例えば、以下の、本明細書で提供される、形態A、C、D、E、F、Gおよび化合物Aを含む非晶質の固形物形態のうち1種または複数を含む混合物を含めた、化合物Aを含む固形物形態の混合物として形態Bを提供する。
【0096】
4.1.3.化合物Aの形態C
本明細書におけるいくつかの実施形態は、化合物Aの形態C結晶形を提供する。いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Cは、それだけには限らないが、アセトン、アセトニトリル、エタノール、ヘプタン、メタノール、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、トルエン、水、およびそれらの2つ以上を含む混合物を含む溶媒系を含めた、様々な溶媒系から得ることができる。例えば、いくつかの実施形態では、形態Cは、トルエンを含む溶媒系から結晶化することによって得ることができ、例えば、貧溶媒としてトルエンを使用し、その後形態Cを単離するステップを含む方法によって得ることができる。
【0097】
いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Cは、粉末X線回折分析によって特徴付けることができる。化合物Aの形態Cの代表的なXRPDパターンは、図9に提供される。いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Cは、以下の近似の位置:2θで7.5°、11.3°、15.3°、16.4°、17.8°、21.4°、22.6°、23.5°、24.8°、25.5°、26.4°、27.6°が1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12に位置するXRPDピークを特徴とする。いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Cは、図9に示されるパターンに一致するXRPDパターンを特徴とする。いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Cは、本明細書で提供される代表的な形態Cパターンのピークに一致する1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25ピークを有するXRPDパターンを特徴とする。
【0098】
いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Cは、熱分析法によって特徴付けることができる。化合物Aの形態Cの代表的なDSCプロットは、図10に示される。いくつかの実施形態において、形態Cは、約138℃の開始温度による吸熱イベントを含むDSCプロットを特徴とする。いくつかの実施形態において、特徴的な形態CのDSCプロットは、例えば、約166℃の開始温度による吸熱イベントなど、1種または複数の追加のイベントをさらに含む。化合物Aの形態Cの代表的なTGAプロットは、図11に示される。いくつかの実施形態において、形態Cは、約25℃〜約140℃まで加熱後のサンプルの総質量の約10%未満の質量損失、例えば、約5.9%の質量損失を含むTGAプロットを特徴とする。いくつかの実施形態において、TGA質量損失イベントは、例えば、TG−IR分析によって示される通り、溶媒であるトルエンの損失を含む。いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Cは溶媒和である。いくつかの実施形態において、形態Cはトルエン溶媒和物である。いくつかの実施形態において、形態Cの結晶格子は、1モルの化合物A当たりトルエン約3モル当量を含む。
【0099】
いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Cは、水分収着分析によって特徴付けることができる。代表的な水分収着等温式プロットは図12に示される。いくつかの実施形態において、RHがRH約0%〜約95%まで増加したとき、形態Cは、サンプルの開始質量の約1%未満の質量変化、例えば、約0.5%の質量変化を示す。いくつかの実施形態において、RHがもとのRH約0%まで減少するとき、吸収した後に増加した質量は失われる。いくつかの実施形態において、形態Cは、実質的に非吸湿性である。いくつかの実施形態において、形態C材料のXRPDパターンは、吸着/脱着分析後に実質的に変化しない。いくつかの実施形態において、形態Cは、湿度に関して安定である。
【0100】
いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Cは、その安定性プロファイルによって特徴付けることができる。いくつかの実施形態において、形態C材料は安定であり、例えば、そのXRPDパターンは、上昇した温度への曝露、上昇した湿度への曝露、1種または複数の溶媒への曝露、および/または圧縮に対して実質的に変化しないままである。いくつかの実施形態において、例えば、形態Cは約40℃の環境および約75%のRH環境への約4週間の曝露に対して安定である。いくつかの実施形態において、形態Cは、例えば、エタノール、水、ヘプタンまたはトルエンを含む溶媒系に約40℃で少なくとも約4週間の曝露に対して安定である。いくつかの実施形態において、形態Cは、約2000psi圧力で約1分間の圧縮に対して安定である。
【0101】
いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Cは、粒子分析によって特徴付けることができる。いくつかの実施形態において、形態Cは、白色粉末として特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Cのサンプルは板状形態を有する粒子を含む。いくつかの実施形態において、形態Cのサンプルは、約12μm未満のD90を有する粒子を含む。
【0102】
本明細書におけるいくつかの実施形態は、実質的に純粋である化合物Aの形態Cを提供する。本明細書におけるいくつかの実施形態は、例えば、本明細書で提供される形態A、B、D、E、F、Gおよび/または化合物Aを含む非晶質の固形物形態を含めた、化合物Aを含む他の固形物形態が実質的にない化合物Aの形態Cを提供する。本明細書におけるいくつかの実施形態は、例えば、以下の、本明細書で提供される形態A、B、D、E、F、Gおよび化合物Aを含む非晶質の固形物形態のうち1種または複数を含む混合物を含めた、化合物Aを含む固形物形態の混合物として形態Cを提供する。
【0103】
4.1.4.化合物Aの形態D
本明細書におけるいくつかの実施形態は、化合物Aの形態D結晶形を提供する。いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Dは、それだけには限らないが、塩化メチレンを含む溶媒系を含めた、様々な溶媒から得ることができる。例えば、いくつかの実施形態では、形態Dは、塩化メチレンを含む溶媒系から結晶化することによって得ることができ、例えば、塩化メチレンを蒸発し、その後形態Dを単離するステップを含む方法によって得ることができる。
【0104】
いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Dは、粉末X線回折分析によって特徴付けることができる。化合物Aの形態Dの代表的なXRPDパターンは、図13に示される。いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Dは、以下の近似の位置:2θで7.5°、9.6°、11.3°、13.9°、16.3°、17.7°、20.5°、23.2°、24.6°、25.2°、26.0°、28.8°が1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12に位置するXRPDピークを特徴とする。いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Dは、図13に示されるパターンに一致するXRPDパターンを特徴とする。いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Dは、本明細書で提供される代表的な形態Dパターンのピークに一致する1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25ピークを有するXRPDパターンを特徴とする。
【0105】
いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Dは、熱分析法によって特徴付けることができる。化合物Aの形態Dの代表的なDSCプロットは、図14に示される。いくつかの実施形態において、形態Dは、約100℃の開始温度による吸熱イベントを含むDSCプロットを特徴とする。化合物Aの形態Dの代表的なTGAプロットは、図15に示される。いくつかの実施形態において、形態Dは、約25℃〜約110℃まで加熱後のサンプルの総質量の約10%未満の質量損失、例えば、約6.5%の質量損失を含むTGAプロットを特徴とする。いくつかの実施形態において、TGA質量損失イベントは、例えば、TG−IR分析によって示される通り、溶媒である塩化メチレン(すなわち、ジクロロメタン)の損失を含む。いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Dは、溶媒和である。いくつかの実施形態において、形態Dは塩化メチレン溶媒和物である。いくつかの実施形態において、形態Dの結晶格子は、1モルの化合物A当たり塩化メチレン約2.5モル当量を含む。
【0106】
いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Dは、水分収着分析によって特徴付けることができる。代表的な水分収着等温式プロットは図16に示される。いくつかの実施形態において、RHがRH約0%〜約95%まで増加したとき、形態Dは、サンプルの開始質量の約3%未満の質量変化、例えば、約1.5%の質量変化を示す。いくつかの実施形態において、RHがもとのRH約0%まで減少するとき、吸収した後に増加した質量は失われる。したがって、いくつかの実施形態では、形態Dはわずかに吸湿性である。いくつかの実施形態において、形態D材料のXRPDパターンは、吸着/脱着分析おいて実質的に変化しない。いくつかの実施形態において、形態Dは湿度に関して安定である。
【0107】
いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Dは、その安定性プロファイルによって特徴付けることができる。いくつかの実施形態において、形態D材料は安定であり、例えば、そのXRPDパターンは、圧縮に対して実質的に変化しないままである。例えば、いくつかの実施形態では、形態Dは、約2000psi圧力で約1分間の圧縮に対して安定である。いくつかの実施形態において、形態Dは、約40℃の環境および約75%のRH環境への約4週間の曝露に対して安定であるが、いくつかの実施形態では、形態DのXRPDパターンの得られたピーク強度は減少する。いくつかの実施形態において、XRPDピーク強度の減少は、化合物Aを含む非晶質の材料の形成によって生じる。いくつかの実施形態において、形態Dは、例えば、ヘプタン、エタノールおよび/または水を含む溶媒系に約40℃で約4週間曝露すると化合物Aの形態Bに変換する。いくつかの実施形態において、形態Dは、トルエンを含む溶媒系に約40℃で約4週間曝露すると化合物Aの形態Cに変換する。
【0108】
いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Dは、粒子分析によって特徴付けることができる。いくつかの実施形態において、形態Dは白色粉末として特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Dのサンプルは、フレーク様形態を有する粒子を含む。いくつかの実施形態において、形態Dのサンプルは、約18μm未満のD90を有する粒子を含む。
【0109】
本明細書におけるいくつかの実施形態は、実質的に純粋である化合物Aの形態Dを提供する。本明細書におけるいくつかの実施形態は、例えば、本明細書で提供される、形態A、B、C、E、F、Gおよび/または化合物Aを含む非晶質の固形物形態を含めた、化合物Aを含む他の固形物形態が実質的にない化合物Aの形態Dを提供する。本明細書におけるいくつかの実施形態は、例えば、以下の、本明細書で提供される形態A、B、C、E、F、Gおよび化合物Aを含む非晶質の固形物形態のうち1種または複数を含む混合物を含めた、化合物Aを含む固形物形態の混合物として形態Dを提供する。
【0110】
4.1.5.化合物Aの形態E
本明細書におけるいくつかの実施形態は、化合物Aの形態E結晶形を提供する。いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Eは、それだけには限らないが、アセトン、アセトニトリル、ヘプタン、塩化メチレン、およびそれら2つ以上を含む混合物を含む溶媒系を含めた、様々な溶媒から得ることができる。例えば、いくつかの実施形態では、形態Eは、アセトニトリルを含む溶媒系から結晶化することによって得ることができ、例えば、アセトニトリルを蒸発し、その後形態Eを単離するステップを含む方法によって得ることができる。
【0111】
いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Eは、粉末X線回折分析によって特徴付けることができる。化合物Aの形態Eの代表的なXRPDパターンは、図17に提供される。いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Eは、以下の近似の位置:2θで7.6°、9.2°、11.4°、15.5°、16.5°、17.9°、19.6°、20.5°、21.6°、22.8°、23.8°、26.6°が1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12に位置するXRPDピークを特徴とする。いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Eは、図17に示されるパターンに一致するXRPDパターンを特徴とする。いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Eは、本明細書で提供される代表的な形態Eパターンのピークに一致する1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25ピークを有するXRPDパターンを特徴とする。
【0112】
いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Eは、熱分析法によって特徴付けることができる。化合物Aの形態Eの代表的なDSCプロットは図18に示される。いくつかの実施形態において、形態Eは、約95℃の開始温度による吸熱イベントを含むDSCプロットを特徴とする。化合物Aの形態Eの代表的なTGAプロットは図19に示される。いくつかの実施形態において、形態Eは、約25℃〜約110℃まで加熱後のサンプルの総質量の約8%未満の質量損失、例えば、約4.0%の質量損失を含むTGAプロットを特徴とする。いくつかの実施形態において、TGA質量損失イベントは、例えば、TG−IR分析によって示される通り、溶媒であるアセトニトリルの損失を含む。いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Eは溶媒和である。いくつかの実施形態において、形態Eはアセトニトリル溶媒和物である。いくつかの実施形態において、形態Eの結晶格子は、1モルの化合物A当たりアセトニトリルの約2.5モル当量を含む。
【0113】
いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Eは水分収着分析によって特徴付けることができる。代表的な水分収着等温式プロットは図20に示される。いくつかの実施形態において、RHがRH約0%〜約95%まで増加したとき、形態Eは、サンプルの開始質量の約10%未満の質量変化、例えば、約5.1%の質量変化を示す。いくつかの実施形態において、RHがもとのRH約0%まで減少するとき、吸収した後に増加した質量は失われる。いくつかの実施形態において、形態Eは吸湿性である。いくつかの実施形態において、形態E材料のXRPDパターンは吸着/脱着分析において実質的に変化しない。いくつかの実施形態において、形態Eは湿度に関して安定である。
【0114】
いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Eは、その安定性プロファイルによって特徴付けることができる。いくつかの実施形態において、形態E材料は安定であり、例えば、そのXRPDパターンは圧縮に対して実質的に変化しないままである。例えば、いくつかの実施形態では、形態Eは約2000psi圧力で約1分間の圧縮に対して安定である。
【0115】
いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Eは粒子分析によって特徴付けることができる。いくつかの実施形態において、形態Eは白色粉末として特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Eのサンプルは、フレーク様形態を有する粒子を含む。いくつかの実施形態において、形態Eのサンプルは、約18μm未満のD90を有する粒子を含む。
【0116】
本明細書におけるいくつかの実施形態は、実質的に純粋である化合物Aの形態Eを提供する。本明細書におけるいくつかの実施形態は、例えば、本明細書で提供される、形態A、B、C、D、F、Gおよび/または化合物Aを含む非晶質の固形物形態を含めた、化合物Aを含む他の固形物形態が実質的にない化合物Aの形態Eを提供する。本明細書におけるいくつかの実施形態は、例えば、以下の本明細書で提供される形態A、B、C、D、F、Gおよび化合物Aを含む非晶質の固形物形態のうち1種または複数を含む混合物を含めた、化合物Aを含む固形物形態の混合物として形態Eを提供する。
【0117】
4.1.6.化合物Aの形態F
本明細書におけるいくつかの実施形態は、化合物Aの形態F結晶形を提供する。いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Fは、それだけには限らないが、アセトン、エタノール、水、およびそれら2つ以上を含む混合物を含む溶媒系を含めた、様々な溶媒から得ることができる。例えば、いくつかの実施形態では、形態Fは、エタノールおよび/または水を含む溶媒系から結晶化することによって得ることができ、例えば、化合物Aを含む固形物形態をエタノールおよび/または水を含む溶媒系に接触させ、その後形態Fを単離するステップを含む方法によって得ることができる。
【0118】
いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Fは粉末X線回折分析によって特徴付けることができる。化合物Aの形態Fの代表的なXRPDパターンは図21に示される。いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Fは、以下の近似の位置:2θで8.1°、8.6°、15.6°、17.3°、19.3°、21.4°、22.8°、24.6°、25.4°、25.9°、26.6°、27.7°が1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12に位置するXRPDピークを特徴とする。いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Fは、図21に示されるパターンに一致するXRPDパターンを特徴とする。いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Fは、本明細書で提供される代表的な形態Fパターンのピークに一致する1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25ピークを有するXRPDパターンを特徴とする。
【0119】
いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Fは熱分析法によって特徴付けることができる。化合物Aの形態Fの代表的なDSCプロットは図22に示される。いくつかの実施形態において、形態Fは、約145℃の開始温度による吸熱イベントを含むDSCプロットを特徴とする。化合物Aの形態Fの代表的なTGAプロットは、図23に示される。いくつかの実施形態において、形態Fは、約25℃〜約180℃までの加熱後のサンプルの総質量の約1%未満の質量損失、例えば、約0.1%を含むTGAプロットを特徴とする。いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Fは、結晶格子中で水または他の溶媒の相当量を含まない。いくつかの実施形態において、形態Fは非溶媒和である。いくつかの実施形態において、形態Fは無水である。
【0120】
いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Fは水分収着分析によって特徴付けることができる。代表的な水分収着等温式プロットは図24に示される。いくつかの実施形態において、RHがRH約0%〜約95%まで増加したとき、形態Fは、サンプルの開始質量の約1%未満の質量変化、例えば、約0.2%の質量変化を示す。いくつかの実施形態において、RHがもとのRH約0%まで減少するとき、吸収した後に増加した質量は失われる。いくつかの実施形態において、形態Fは実質的に非吸湿性である。いくつかの実施形態において、形態F材料のXRPDパターンは吸着/脱着分析において実質的に変化しない。いくつかの実施形態において、形態Fは湿度に関して安定である。
【0121】
いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Fはその安定性プロファイルによって特徴付けることができる。いくつかの実施形態において、形態F材料は安定であり、例えば、そのXRPDパターンは、圧縮に対して実質的に変化しないままである。例えば、いくつかの実施形態では、形態Fは、約2000psi圧力で約1分間の圧縮に対して安定である。いくつかの実施形態において、形態Fは、例えば、エタノール、アセトンまたはそれらの混合物を含む溶媒系に約25℃で約2日間の曝露に対して安定である。
【0122】
いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Fは粒子分析によって特徴付けることができる。いくつかの実施形態において、形態Fは、白色粉末として特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Fのサンプルは、フレーク様形態を有する粒子を含む。いくつかの実施形態において、形態Fのサンプルは、約18μm未満のD90を有する粒子を含む。
【0123】
本明細書におけるいくつかの実施形態は、実質的に純粋である化合物Aの形態Fを提供する。本明細書におけるいくつかの実施形態は、例えば、本明細書で提供される形態A、B、C、D、E、Gおよび/または化合物Aを含む非晶質の固形物形態を含めた、化合物Aを含む他の固形物形態が実質的にない化合物Aの形態Fを提供する。本明細書におけるいくつかの実施形態は、例えば、以下の、本明細書で提供される形態A、B、C、D、E、Gおよび化合物Aを含む非晶質の固形物形態のうち1種または複数を含む混合物を含めた、化合物Aを含む固形物形態の混合物として形態Fを提供する。
【0124】
4.1.7.化合物Aの形態G
本明細書におけるいくつかの実施形態は、化合物Aの形態G結晶形を提供する。いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Gは、それだけには限らないが、酢酸エチルを含む溶媒系を含めた、様々な溶媒から得ることができる。例えば、いくつかの実施形態では、形態Gは、酢酸エチルを含む溶媒系から結晶化することによって得ることができ、例えば、化合物Aを含む固形物形態を酢酸エチルを含む溶媒系に接触させ、その後形態Gを単離するステップを含む方法によって得ることができる。
【0125】
いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Gは粉末X線回折分析によって特徴付けることができる。化合物Aの形態Gの代表的なXRPDパターンは図25に提供される。いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Gは、以下の近似の位置:2θで7.9°、9.5°、11.7°、15.7°、16.8°、18.1°、19.7°、21.8°、22.8°、25.1°、25.8°、26.7°が1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12に位置するXRPDピークを特徴とする。いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Gは、図25に示されるパターンに一致するXRPDパターンを特徴とする。いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Gは、本明細書で提供される代表的な形態Gパターンのピークに一致する1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25ピークを有するXRPDパターンを特徴とする。
【0126】
いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Gは、熱分析法によって特徴付けることができる。化合物Aの形態Gの代表的なDSCプロットは図26に示される。いくつかの実施形態において、形態Gは約109℃の開始温度による吸熱イベントを含むDSCプロットを特徴とする。化合物Aの形態Gの代表的なTGAプロットは図27に示される。いくつかの実施形態において、形態Gは、約25℃〜約110℃までの加熱後のサンプルの総質量の約8%未満の質量損失、例えば、約3.8%の質量損失を含むTGAプロットを特徴とする。いくつかの実施形態において、TGA質量損失イベントは、例えば、TG−IR分析によって示される通り、溶媒である酢酸エチルの損失を含む。いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Gは溶媒和である。いくつかの実施形態において、形態Gは酢酸エチル溶媒和物である。いくつかの実施形態において、形態Gの結晶格子は、1モルの化合物A当たり酢酸エチル約3モル当量を含む。
【0127】
いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Gは水分収着分析によって特徴付けることができる。代表的な水分収着等温式プロットは図28に示される。いくつかの実施形態において、RHがRH約0%〜約95%まで増加したとき、形態Gは、サンプルの開始質量の約1%未満の質量変化、例えば、約0.4%の質量変化を示す。いくつかの実施形態において、RHがもとのRH約0%まで減少するとき、吸収した後に増加した質量は失われる。いくつかの実施形態において、形態Gは実質的に非吸湿性である。いくつかの実施形態において、形態G材料のXRPDパターンは吸着/脱着分析において実質的に変化しない。いくつかの実施形態において、形態Gは湿度に関して安定である。
【0128】
いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Gはその安定性プロファイルによって特徴付けることができる。いくつかの実施形態において、形態G材料は安定であり、例えば、そのXRPDパターンは圧縮に対して実質的に変化しないままである。例えば、いくつかの実施形態では、形態Fは、約2000psi圧力で約1分間圧縮に対して安定である。いくつかの実施形態において、形態Gは、例えば、エタノール、アセトンまたはそれらの混合物を含む溶媒系に約25℃で約2日間曝露すると形態Bに変換する。
【0129】
いくつかの実施形態において、化合物Aの形態Gは、粒子分析によって特徴付けることができる。いくつかの実施形態において、形態Gは白色粉末として特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Gのサンプルは、フレーク様形態を有する粒子を含む。いくつかの実施形態において、形態Gのサンプルは、約18μm未満のD90を有する粒子を含む。
【0130】
本明細書におけるいくつかの実施形態は、実質的に純粋である化合物Aの形態Gを提供する。本明細書におけるいくつかの実施形態は、例えば、本明細書で提供される形態A、B、C、D、E、Fおよび/または化合物Aを含む非晶質の固形物形態を含めた、化合物Aを含む他の固形物形態が実質的にない化合物Aの形態Gを提供する。本明細書におけるいくつかの実施形態は、例えば、以下の、本明細書で提供される形態A、B、C、D、E、Fおよび化合物Aを含む非晶質の固形物形態のうち1種または複数を含む混合物を含めた、化合物Aを含む固形物形態の混合物として、形態Gを提供する。
【0131】
4.2.治療方法
本発明は、患者におけるTNF−αレベルの低減によって寛解する疾患または障害を治療する、予防するまたは管理する方法であって、例えば、本明細書で提供される、化合物Aの形態A、化合物Aの形態B、化合物Aの形態C、化合物Aの形態D、化合物Aの形態E、化合物Aの形態F、化合物Aの形態G、または化合物Aの非晶質の形態など、化合物Aを含む1種または複数の固形物形態の治療上有効量または予防上有効量を、かかる治療、予防または管理を必要とする患者に投与するステップを含む方法を包含する。
【0132】
TNF−αの阻害によって寛解する障害には、それだけには限らないが、:うっ血性心不全、心筋症、肺水腫、内毒素媒介性敗血性ショック、急性ウイルス性心筋炎、心臓同種移植片拒絶、および心筋梗塞などの心疾患;肉腫、癌、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、有棘細胞癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭状癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性肺癌、腎細胞癌、肝細胞癌、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胎児性癌、ウイルムス腫瘍、子宮頚癌、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、脳室上衣腫、カポジ肉腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫瘍、乏突起神経膠腫、髄膜腫(menangioma)、黒色腫、神経芽細胞腫、および網膜芽細胞腫を含むがそれだけには限らない固形腫瘍;および急性リンパ芽球性白血病「ALL」、急性リンパ芽球性B細胞白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、急性骨髄芽球性白血病「AML」、急性前骨髄球性白血病「APL」、急性単芽球性白血病、急性赤血球白血球性白血病、急性巨核芽球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性非リンパ球性白血病、急性未分化白血病、慢性骨髄性白血病「CML」、慢性リンパ性白血病「CLL」、ヘアリーセル白血病、多発性骨髄腫ならびに急性および慢性白血病、例えば、リンパ芽球性、骨髄性、リンパ球性、および骨髄球性白血病を含むがそれだけには限らない血液性腫瘍が含まれる。
【0133】
本発明の具体的な方法は、追加の治療薬(すなわち、化合物A以外の治療薬)の投与をさらに含む。追加の治療薬の例には、それだけには限らないが、アルキル化剤、ナイトロジェンマスタード、エチレンイミン、メチルメラミン、スルホン酸アルキル、ニトロソウレア、トリアゼン、葉酸類似体、ピリミジン類似体、プリン類似体、ビンカアルカロイド、エピポドフィロトキシン、抗生物質、トポイソメラーゼ阻害薬および抗癌ワクチンなどの抗癌薬が、それだけには限らないが含まれる。
【0134】
具体的な追加の治療薬には、それだけには限らないが、アシビシン;アクラルビシン;塩酸アコダゾール;アクロニン;アドゼレシン;アルデスロイキン;アルトレタミン;アンボマイシン(ambomycin);酢酸アメタントロン;アミノグルテチミド;アムサクリン;アナストロゾール;アントラマイシン;アスパラギナーゼ;アスペルリン(asperlin);アザシチジン;アゼテパ;アゾトマイシン(azotomycin);バチマスタット;ベンゾデパ(benzodepa);ビカルタミド;塩酸ビサントレン;ビスナフィドジメシラート(bisnafide dimesylate);ビセレシン;硫酸ブレオマイシン;ブレキナルナトリウム;ブロピリミン;ブスルファン;カクチノマイシン;カルステロン;カラセミド(caracemide);カルベチマー(carbetimer);カルボプラチン;カルムスチン;塩酸カルビシン;カルゼレシン(carzelesin);セデフィンゴール(cedefingol);クロラムブシル;シロレマイシン(cirolemycin);シスプラチン;クラドリビン;クリスナトールメシラート(crisnatol mesylate);シクロホスファミド;シタラビン;ダカルバジン;ダクチノマイシン;塩酸ダウノルビシン;デシタビン;デキソルマプラチン;デアザグアニン(dezaguanine);デザグアニンメシラート(dezaguanine mesylate);ジアジクオン(diaziquone);ドセタキセル;ドキソルビシン;塩酸ドキソルビシン;ドロロキシフェン;クエン酸ドロロキシフェン;プロピオン酸ドロモスタノロン;ズアゾマイシン(duazomycin);エダトレキサート;塩酸エフロルニチン;エルサミトルシン;エンロプラチン(enloplatin);エンプロマート(enpromate);エピプロピジン(epipropidine);塩酸エピルビシン;エルブロゾール(erbulozole);塩酸エソルビシン;エストラムスチン;リン酸エストラムスチンナトリウム;エタニダゾール;エトポシド;リン酸エトポシド;エトプリン;塩酸ファドロゾール;ファザラビン(fazarabine);フェンレチニド;フロクスウリジン;リン酸フルダラビン;フルオロウラシル;フルロシタビン(flurocitabine);ホスキドン;フォストリエシンナトリウム;ゲムシタビン;塩酸ゲムシタビン;ヒドロキシ尿素;塩酸イダルビシン;イホスファミド;イルモホシン(ilmofosine);(組換え型インターロイキンII、またはrIL2を含めた)インターロイキンII、インターフェロンα−2a;インターフェロンα−2b;インターフェロンα−n1;インターフェロンα−n3;インターフェロンβ−Ia;インターフェロンγ−Ib;イプロプラチン(iproplatin);塩酸イリノテカン;酢酸ランレオチド;レトロゾール;酢酸ロイプロリド;塩酸リアロゾール;ロメトレキソールナトリウム;ロムスチン;塩酸ロソキサントロン;マソプロコール;メイタンシン;塩酸メクロレタミン;酢酸メゲストロール;酢酸メレンゲストロール;メルファラン;メノガリル;メルカプトプリン;メトトレキサート;メトトレキサートナトリウム;メトプリン(metoprine);メツレデパ(meturedepa);ミチンドミド(mitindomide);ミトカルシン(mitocarcin);ミトクロミン(mitocromin);ミトギリン(mitogillin);ミトマルシン;マイトマイシン;ミトスペル(mitosper);ミトタン;塩酸ミトキサントロン;ミコフェノール酸;ノコダゾール;ノガラマイシン;オルマプラチン;オキシスラン;パクリタキセル;ペグアスパルガーゼ;ペリオマイシン(peliomycin);ペンタムスチン;硫酸ペプロマイシン;ペルホスファミド;ピポブロマン;ピポスルファン;塩酸ピロキサントロン;プリカマイシン;プロメスタン(plomestane);ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニムスチン;塩酸プロカルバジン;ピューロマイシン;塩酸ピューロマイシン;ピラゾフリン(pyrazofurin);リボプリン(riboprine);ログレチミド;サフィンゴール;塩酸サフィンゴール;セムスチン;シムトラゼン(simtrazene);スパルホサートナトリウム;スパルソマイシン;塩酸スピロゲルマニウム;スピロムスチン;スピロプラチン;ストレプトニグリン;ストレプトゾシン;スロフェヌル(sulofenur);タリソマイシン;テコガランナトリウム;テガフール;塩酸テロキサントロン;テモポルフィン;テニポシド;テロキシロン;テストラクトン;チアミプリン;チオグアニン;チオテパ;チアゾフリン;チラパザミン;クエン酸トレミフェン;酢酸トレストロン;リン酸トリシリビン;トリメトレキサート;グルクロン酸トリメトレキサート;トリプトレリン;塩酸ツブロゾール;ウラシルマスタード;ウレデパ;バプレオチド;ベルテポルフィン;硫酸ビンブラスチン;硫酸ビンクリスチン;ビンデシン;硫酸ビンデシン;硫酸ビネピジン;硫酸ビングリシナート(vinglycinate sulfate);硫酸ビンロイロシン;酒石酸ビノレルビン;硫酸ビンロシジン;硫酸ビンゾリジン;ボロゾール;ゼニプラチン(zeniplatin);ジノスタチン;塩酸ゾルビシンが含まれる。他の抗癌薬には、それだけには限らないが、:20−エピ−1,25ジヒドロキシビタミンD3;5−エチニルウラシル;アビラテロン(abiraterone);アクラルビシン;アシルフルベン;アデシペノール;アドゼレシン;アルデスロイキン;ALL−TKアンタゴニスト;アルトレタミン;アンバムスチン(ambamustine);アミドックス(amidox);アミホスチン;アミノレブリン酸;アムルビシン;アムサクリン;アナグレリド;アナストロゾール;アンドログラホリド(andrographolide);血管新生抑制剤;アンタゴニストD;アンタゴニストG;アンタレリクス;抗背側化形態形成タンパク質−1;抗アンドロゲン薬、前立腺癌;抗エストロゲン剤;アンチネオプラストン;アンチセンスオリゴヌクレオチド;アフィジコリングリシナート;アポトーシス遺伝子モジュレーター;アポトーシス調節物質;アプリン酸;アラ−CDP−DL−PTBA;アルギニンデアミナーゼ;アスラクリン(asulacrine);アタメスタン;アトリムスチン;アキシナスタチン1;アキシナスタチン2;アキシナスタチン3;アザセトロン;アザトキシン;アザチロシン;バッカチンIII誘導体;バラノール;バチマスタット;BCR/ABLアンタゴニスト;ベンゾクロリン;ベンゾイルスタウロスポリン(benzoylstaurosporine);βラクタム誘導体;β−アレチン;ベタクラマイシンB;ベツリン酸;bFGF阻害薬;ビカルタミド;ビサントレン;ビスアジリジニルスペルミン;ビスナフィド(bisnafide);ビストラテンA;ビセレシン;ブレフラート;ブロピリミン;ブドチタン;ブチオニンスルホキシミン;カルシポトリオール;カルホスチンC;カンプトテシン誘導体;カナリアポックスIL−2;カペシタビン;カルボキサミド−アミノ−トリアゾール;カルボキシアミドトリアゾール;CaRest M3;CARN 700;軟骨由来阻害薬;カルゼレシン;カゼインキナーゼ阻害薬(ICOS);カスタノスペルミン;セクロピンB;セトロレリクス;クロリン;クロロキノキサリンスルホンアミド;シカプロスト;シス−ポルフィリン;クラドリビン;クロミフェン類似体;クロトリマゾール;コリスマイシンA;コリスマイシンB;コンブレタスタチンA4;コンブレタスタチン類似体;コナゲニン;クラムベシジン816;クリスナトール;クリプトフィシン8;クリプトフィシンA誘導体;クラシンA;シクロペンタントラキノン;シクロプラタム;シペマイシン;シタラビンオクホスファート;細胞溶解因子;シトスタチン;ダクリキシマブ;デシタビン;デヒドロジデムニンB;デスロレリン;デキサメタゾン;デキシホスファミド;デクスラゾキサン;デクスベラパミル;ジアジクオン;ジデムニンB;ジドックス;ジエチルノルスペルミン;ジヒドロ−5−アザシチジン;9−ジヒドロタキソール;ジオキサマイシン;ジフェニルスピロムスチン;ドセタキセル;ドコサノール;ドラセトロン;ドキシフルリジン;ドロロキシフェン;ドロナビノール;デュオカルマイシンSA;エブセレン;エコムスチン;エデルホシン;エドレコロマブ;エフロールニチン;エレメン;エミテフール;エピルビシン;エプリステリド;エストラムスチン類似体;エストロゲンアゴニスト;エストロゲンアンタゴニスト;エタニダゾール;リン酸エトポシド;エキセメスタン;ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フィルグラスチム;フィナステリド;フラボピリドール;フレゼラスチン;フルアステロン;フルダラビン;塩酸フルオロドーノルニシン(fluorodaunorunicin hydrochloride);ホルフェニメックス;ホルメスタン;フォストリエシン;ホテムスチン;ガドリニウムテキサフィリン;硝酸ガリウム;ガロシタビン;ガニレリクス;ゼラチナーゼ阻害薬;ゲムシタビン;グルタチオン阻害薬;ヘプスルファム;ヘレグリン;ヘキサメチレンビスアセトアミド;ヒペリシン;イバンドロン酸;イダルビシン;イドキシフェン;イドラマントン;イルモホシン;イロマスタット;イミダゾアクリドン(imidazoacridone);イミキモド;免疫賦活ペプチド;インスリン様成長因子−1受容体阻害薬;インターフェロンアゴニスト;インターフェロン;インターロイキン;ヨーベングアン;ヨードドキソルビシン;4−イポメアノール;イロプラクト;イルソグラジン;イソベンガゾール;イソホモハリコンドリンB(isohomohalicondrin B);イタセトロン;ジャスプラキノリド;カハラリドF;ラメラリン−Nトリアセタート;ランレオチド;レイナマイシン;レノグラスチム;硫酸レンチナン;レプトルスタチン;レトロゾール;白血病抑制因子;白血球αインターフェロン;ロイプロリド+エストロゲン+プロゲステロン;リュープロレリン;レバミゾール;リアロゾール;直鎖ポリアミン類似体;親油性二糖類ペプチド;親油性白金化合物;リッソクリナミド7;ロバプラチン;ロンブリシン;ロメトレキソール;ロニダミン;ロソキサントロン;ロバスタチン;ロキソリビン;ルートテカン;ルテチウムテキサフィリン;リソフィリン;溶解性ペプチド;マイタンシン(maitansine);マンノスタチンA;マリマスタット;マソプロコール;マスピン;マトリライシン阻害薬;マトリックスメタロプロテアーゼ阻害薬;メノガリル;メルバロン;メテレリン;メチオニナーゼ;メトクロプラミド;MIF阻害薬;ミフェプリストン;ミルテホシン;ミリモスチム;ミスマッチ二本鎖RNA;ミトグアゾン;ミトラクトール;マイトマイシン類似体;ミトナフィド;ミトトキシン線維芽細胞増殖因子−サポリン;ミトキサントロン;モファロテン;モルグラモスチム;ヒト絨毛性性腺刺激ホルモンモノクローナル抗体;モノホスホリルリピドA+ミオバクテリア属(myobacterium)の細胞壁sk;モピダモール;多剤耐性遺伝子阻害薬;多発性腫瘍サプレッサー1に基づく療法;マスタード抗癌剤;ミカペルオキシドB;マイコバクテリア細胞壁抽出物;ミリアポロン;N−アセチルジナリン;N−置換ベンズアミド;ナファレリン;ナグレスチプ(nagrestip);ナロキソン+ペンタゾシン;ナパビン;ナフテルピン;ナルトグラスチム;ネダプラチン;ネモルビシン;ネリドロン酸;中性エンドペプチダーゼ;ニルタミド;ニサマイシン;一酸化窒素モジュレーター;ニトロキシド酸化防止剤;ニトルリン;O6−ベンジルグアニン;オクトレオチド;オキセノン;オリゴヌクレオチド;オナプリストン;オンダンセトロン;オンダンセトロン;オラシン;経口サイトカイン誘導因子;オルマプラチン;オサテロン;オキサリプラチン;オキサウノマイシン;パクリタキセル;パクリタキセル類似体;パクリタキセル誘導体;パラウアミン(palauamine);パルミトイルリゾキシン;パミドロン酸;パナキシトリオール;パノミフェン;パラバクチン(parabactin);パゼリプチン;ペグアスパルガーゼ;ペルデシン;ペントサンポリ硫酸ナトリウム;ペントスタチン;ペントロゾール(pentrozole);ペルフルブロン;ペルホスファミド;ペリリルアルコール;フェナジノマイシン;酢酸フェニル;ホスファターゼ阻害薬;ピシバニール;塩酸ピロカルピン;ピラルビシン;ピリトレキシム;プラセチンA;プラセチンB;プラスミノゲンアクチベーター阻害薬;白金錯体;白金化合物;白金−トリア
ミン錯体;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニゾン;プロピルビスアクリドン;プロスタグランジンJ2;プロテアソーム阻害薬;タンパク質Aに基づく免疫モジュレーター;プロテインキナーゼC阻害薬;微細藻類のプロテインキナーゼC阻害薬;プロテインチロシンホスファターゼ阻害薬;プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害薬;プルプリン;ピラゾロアクリジン;ピリドキシル化ヘモグロビンポリオキシエチレン複合体;rafアンタゴニスト;ラルチトレキセド;ラモセトロン;rasファルネシルプロテイントランスフェラーゼ阻害薬;ras阻害薬;ras−GAP阻害薬;脱メチル化レテリプチン;エチドロン酸レニウムRe 186;リゾキシン;リボザイム;RIIレチンアミド;ログレチミド;ロヒツキン(rohitukine);ロムルチド;ロキニメックス;ルビギノンB1;ルボキシル;サフィンゴール;サイントピン;SarCNU;サルコフイトールA;サルグラモスチム;Sdi1模倣体;セムスチン;老化由来阻害薬1;センスオリゴヌクレオチド;シグナル伝達阻害薬;シグナル伝達モジュレーター;単鎖抗原結合タンパク質;シゾフィラン;ソブゾキサン;ナトリウムボロカプタート(sodium borocaptate);フェニル酢酸ナトリウム;ソルベロール(solverol);ソマトメジン結合タンパク質;ソネルミン(sonermin);スパルフォシン酸;スピカマイシンD;スピロムスチン;スプレノペンチン;スポンギスタチン1;スクアラミン;幹細胞阻害薬;幹細胞分裂阻害薬;スチピアミド;ストロメライシン阻害薬;スルフィノシン;超活性血管作用性小腸ペプチドアンタゴニスト;スラジスタ(suradista);スラミン;スウェインソニン;合成グリコサミノグリカン;タリムスチン;タモキシフェンメチオジド;タウロムスチン;タザロテン;テコガランナトリウム;テガフール;テルラピリリウム(tellurapyrylium);テロメラーゼ阻害薬;テモポルフィン;テモゾロミド;テニポシド;テトラクロロデカオキシド;テトラゾミン;タリブラスチン;チオコラリン;トロンボポエチン;トロンボポエチン模倣体;サイマルファシン;サイモポエチン受容体アゴニスト;チモトリナン;甲状腺刺激ホルモン;スズエチルエチオプルプリン;チラパザミン;二塩化チタノセン;トプセンチン;トレミフェン;全能性幹細胞因子;翻訳阻害薬;トレチノイン;トリアセチルウリジン;トリシリビン;トリメトレキサート;トリプトレリン;トロピセトロン;ツロステリド;チロシンキナーゼ阻害薬;チロホスチン;UBC阻害薬;ウベニメクス;尿生殖洞由来増殖抑制因子;ウロキナーゼ受容体アンタゴニスト;バプレオチド;バリオリンB;ベクター系、赤血球遺伝子療法;ベラレソール;ベラミン;ベルジン(verdin);ベルテポルフィン;ビノレルビン;ビンキサルチン(vinxaltine);バイタクシン;ボロゾール;ザノテロン;ゼニプラチン;ジラスコルブ;およびジノスタチンスチマラマーが含まれる。
【0135】
本明細書における実施形態は、患者におけるPDE4の阻害によって寛解する疾患または障害を治療するまたは予防する方法であって、かかる治療または予防を必要とする患者に化合物Aを含む1種または複数の固形物形態を投与するステップを含む方法をさらに包含する。PDE4の阻害によって寛解する障害には、それだけには限らないが、喘息、炎症、慢性もしくは急性閉塞性肺疾患、慢性もしくは急性肺炎症性疾患、炎症性腸疾患、クローン病、ベーチェット病、大腸炎、潰瘍性大腸炎および関節炎または再灌流による炎症が含まれる。好ましい実施形態において、治療しようとするもしくは予防しようとする疾患または障害は慢性閉塞性肺疾患である。
【0136】
本発明の具体的な方法は、それだけには限らないが、抗炎症薬、抗ヒスタミン薬およびうっ血除去薬などの追加の治療薬の投与を含むことができる。かかる追加の治療薬の例には、エタノールアミン、エチレンジアミン、ピペラジン、およびフェノチアジンを含むがそれだけに限らない抗ヒスタミン薬;抗炎症薬;それだけには限らないが、アスピリン、サリチル酸塩、アセトミノフェン(acetominophen)、インドメタシン、スリンダク、エトドラク、フェナム酸、トルメチン、ケトロラク、ジクロフェナク、イブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、オキサプロジン、ピロキシカム、メロキシカム、ピラゾロン誘導体を含むがそれだけに限らないNSAIDS;および皮質性ステロイドおよび副腎皮質性ステロイドを含むがそれだけに限らないステロイドが含まれる。
【0137】
本発明の具体的な方法は、薬物間相互作用およびラセミ置換フェニルエチルスルホンを含めた、かかる障害の治療に用いる薬剤に関連する他の有害作用を回避するまたは低減する。任意の理論によって制限されるものではないが、化合物Aを含むいくつかの固形物形態は、それらの固形物形態を含めた、ラセミ体の2−[1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−メチルスルホニルエチル]−4−アセチルアミノイソインドリン−1,3−ジオンに対して全体的に改善された治療有効性、または治療係数をさらにもたらし得る。
【0138】
上記の通り、化合物Aを含むいくつかの固形物形態は、広範囲の疾患および状態の治療または予防に用いることができる。疾患または状態の急性もしくは慢性の管理における本発明のある特定の有効成分の予防量または治療量の大きさは、疾患もしくは状態の性質および重症度ならびに有効成分が投与される経路によって変わり得る。用量、恐らくは投与頻度はまた、年齢、体重、および個別の患者の反応に従って変わる。適当な投与レジメンは、当業者がかかる要因を勘案しながら容易に選択することができる。一般に、本明細書に記載した状態について推奨される1日の用量範囲は、単回の1日1回投与量、好ましくは1日を通した分割投与量とすると、1日約1mg〜約1,000mgの範囲内である。より具体的には、1日投与量は等しく分けられた用量で1日2回投与される。具体的には、1日の用量範囲は、1日約5mg〜約500mg、より具体的には、1日約10mg〜約200mgとなり得る。具体的には、1日投与量は5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、50mg、または100mgの剤形で投与することができる。患者の管理において、療法は、低用量、恐らくは約1mg〜約25mgで開始し、患者の全体的な反応に応じて、必要なら、単回投与量もしくは分割投与量として1日約200mg〜約1,000mgまで増量するものとする。あるいは、1日投与量は0.01mg/kg〜100mg/kgである。
【0139】
当業者には明らかであるように、一部の場合において本明細書に開示される範囲以外の有効成分の用量を用いることが必要となり得る。さらに、臨床医または治療する医師は、個別の患者の反応と併せて治療を中止する、調節するまたは終了する方法および時期を知っていることに留意する。
【0140】
本明細書で使用される場合、「治療上有効量」、「予防上有効量」および「治療上もしくは予防上有効量」という語句は、上記用量および投与頻度スケジュールを包含する。異なる治療上有効量は、当業者には容易に明らかであるように、異なる疾患および状態に適用可能となり得る。同様に、かかる障害を治療するまたは予防するのに十分な量だが、2−[1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−メチルスルホニルエチル]−4−アセチルアミノイソインドリン−1,3−ジオンのラセミ体に伴う有害作用を引き起こすには十分でない量またはそれに伴う有害作用を低減するのに十分な量はまた、上記用量および投与頻度スケジュールによって包含される。
【0141】
4.3.医薬組成物
化合物Aを含む1種または複数の固形物形態を含む医薬組成物および単回投与製剤は、本明細書で提供される。また、本明細書で提供されるのは、化合物Aを含む1種または複数の固形物形態を含む医薬組成物および単回投与製剤を調製する方法である。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書で提供される固形物形態を含む個別の剤形または本明細書で提供される固形物形態を用いて調製された個別の剤形は、経口、(直腸、経鼻、または経膣を含めた)粘膜、(皮下、筋肉内、ボーラス注入、動脈内、または静脈内を含めた)非経口、舌下、経皮、口腔、または局所投与に適し得る。
【0142】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物および剤形は、化合物Aを含む1種または複数の固形物形態を含む。本明細書におけるいくつかの実施形態は、例えば、本明細書で提供される形態A、B、C、D、E、F、Gまたは化合物Aを含む非晶質の固形物形態などの化合物Aを含む固形物形態を含む医薬組成物および剤形を提供し、固形物形態は実質的に純粋な化合物Aを含む。本明細書におけるいくつかの実施形態は、例えば、本明細書で提供される形態A、B、C、D、E、F、Gまたは化合物Aを含む非晶質の固形物形態などの化合物Aを含む固形物形態を含む医薬組成物および剤形を提供し、これは、例えば、本明細書で提供される形態A、B、C、D、E、F、Gおよび/または化合物Aを含む非晶質の固形物形態を含めた化合物Aを含む他の固形物形態が実質的にない。本明細書におけるいくつかの実施形態は、例えば、以下の、本明細書で提供される形態A、B、C、D、E、Fおよび化合物Aを含む非晶質の固形物形態のうち1種または複数を含む混合物を含めた、化合物Aを含む固形物形態の混合物を含む医薬組成物および剤形を提供する。本明細書で提供される医薬組成物および剤形は、通常、1種または複数の薬学的に許容される添加剤、賦形剤または担体をも含む。
【0143】
本実施形態により包含される具体的な医薬組成物は、化合物Aを含む1種または複数の固形物形態および少なくとも1種の追加の治療薬を含む。追加の治療薬の例には、本明細書で提供されるものを含むがそれだけには限らない抗癌薬および抗炎症療法が含まれるが、それだけには限らない。
【0144】
本発明の単回投与製剤は、患者への経口、粘膜(例えば、経鼻、舌下、経膣、口腔、または直腸など)、非経口(例えば、皮下、静脈内、ボーラス注入、筋肉内、または動脈内など)、または患者への経皮投与に適している。剤形の例には、それだけには限らないが、:錠剤;カプレット;軟質の弾性のゼラチンカプセル剤などのカプセル剤;カシェ剤;口内錠;トローチ剤;分散剤;坐剤;軟膏剤;パップ剤(湿布);パスタ剤;散剤;包帯剤;クリーム剤;硬膏剤;液剤;パッチ;エアゾール剤(例えば、鼻内スプレーまたは吸入器など);ゲル剤;懸濁剤(例えば、水性または非水性液体懸濁剤、水中油型乳剤、または油中水型液状乳剤)、液剤、およびエリキシル剤を含めた患者への経口または粘膜投与に適した液状剤形;および再構成して、患者への非経口投与に適した液状剤形を提供することができる無菌の固形物(例えば、結晶性または非結晶性固体)が含まれる。
【0145】
本発明の剤形の組成物、形状、およびタイプは、通常、それらの使用に応じて変わる。例えば、炎症または関連する障害の急性治療に用いる剤形は、それが含む1種または複数有効成分を、同じ疾患の慢性治療に用いるよりも多い量で含有し得る。同様に、非経口剤形は、それが含む1種または複数の有効成分を、同じ疾患または障害を治療するために用いる経口剤形よりも少ない量で含有し得る。本発明によって包含される特定の剤形が互いに異なるこれらの方法および他の方法は、当業者には容易に明らかである。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、Mack Publishing、Easton PA(1990年)を参照のこと。
【0146】
典型的な医薬組成物および剤形は、1種または複数の添加剤を含む。適当な添加剤は、薬学分野の当業者に周知であり、適当な添加剤の限定しない例は、本明細書で提供されている。具体的な添加剤が医薬組成物または剤形への取り込みに適しているかどうかは、剤形を患者に投与する方法を含むがそれだけには限らない当技術分野で周知の様々な因子に依存する。例えば、錠剤などの経口剤形は、非経口剤形に用いるのに適さない添加剤を含むことができる。ある特定の添加剤の適合性はまた、剤形中の特定の有効成分に依存し得る。
【0147】
本発明の乳糖が含まれない組成物は、当技術分野でよく知られている添加剤を含むことができ、例えば、米国薬局方(USP)SP(XXI)/NF(XVI)に収載されている。一般に、乳糖が含まれない組成物は、薬学的に適合するおよび薬学的に許容される量で有効成分、結合剤/充填剤、および滑沢剤を含む。好ましい乳糖が含まれない剤形は、有効成分、微結晶セルロース、アルファ化デンプン、およびステアリン酸マグネシウムを含む。
【0148】
水が一部の化合物の分解を促進し得るため、本発明は、有効成分を含む無水医薬組成物および剤形をさらに包含する。例えば、水の添加(例えば、5%)は、有効期間または経時的な配合物の安定性などの特性を決定するために長期貯蔵を促進する手段として医薬技術で広く受け入れられている。例えば、Jens T.Carstensen、Drug Stability:Principles & Practice、第2版、Marcel Dekker、NY、NY、1995年、379〜80頁を参照のこと。実際には、水および熱は一部の化合物の分解を加速する。したがって、水の配合物への効果は、製造、取扱い、包装、貯蔵、運搬、および配合物の使用中、水分および/または湿度が一般に生じるので、大きな重要性を有し得る。
【0149】
本発明の無水医薬組成物および剤形は、無水または低水分を含む成分および低水分または低湿度状態を用いて調製することができる。製造、包装、および/または貯蔵中に水分および/または湿度との相当な接触が予想される場合、乳糖および第1級もしくは第2級アミンを含む少なくとも1種の有効成分を含む医薬組成物および剤形は好ましくは無水である。
【0150】
無水医薬組成物は、その無水性質が維持されるように調製し貯蔵されるべきである。したがって、無水組成物は、これらが適当な処方キットに含まれることができるように、好ましくは、水への曝露を防止するために知られている材料を用いて包装される。適当な包装の例には、それだけには限らないが、気密封止された箔、プラスチック、単位用量容器(例えば、バイアル)、ブリスター包装、およびストリップ包装が含まれる。
【0151】
本発明は、有効成分が分解する速度を低減する1種または複数の化合物を含む医薬組成物および剤形をさらに包含する。「安定剤」として本明細書で言及されるかかる化合物には、それだけには限らないが、アスコルビン酸、pH緩衝液、または塩緩衝液などの酸化防止剤が含まれる。
【0152】
添加剤の量およびタイプのように、剤形中の有効成分の量および特定のタイプは、それだけには限らないが、患者に投与しようとする経路などの要因に応じて変わり得る。しかし、本明細書で提供される典型的な剤形は、朝に単回の1日1回投与量とするが、好ましくは1日の分割投与量とすると、1日約1mg〜約1.000mgの範囲内である。より具体的には、1日投与量は、等しく分けられた用量で1日2回投与される。具体的には、1日の用量範囲は、1日約5mg〜約500mg、より具体的には、1日約10mg〜約200mgとなり得る。患者を管理することにおいて、療法は、低用量、恐らくは約1mg〜約25mgで開始し、患者の全体的な反応に応じて、必要なら、単回投与量または分割投与量として1日約200mg〜約1,000mgまで増量することができる。
【0153】
4.3.1.経口剤形
経口投与に適している本発明の医薬組成物は、それだけには限らないが、錠剤(例えば、咀嚼可能な錠剤)、カプレット、カプセル剤、および液体(例えば、味付きのシロップ剤)などの分離した剤形として提供することができる。かかる剤形は、あらかじめ定めた量の有効成分を含み、当業者に周知の薬学の方法によって調製することができる。一般に、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、Mack Publishing、Easton PA(1990年)を参照のこと。
【0154】
本発明の典型的な経口剤形は、従来の医薬品混合技法に従って、少なくとも1種の添加剤と均質な混合物中の1種(または複数)の有効成分を組み合わせることによって調製される。添加剤は、投与に望まれる調製の形態に応じて、広範囲の形態になることができる。例えば、経口液体またはエアゾール剤形で使用するための適当な添加剤には、それだけには限らないが、水、グリコール、油、アルコール、矯味剤、保存剤、および着色剤が含まれる。固形の経口剤形(例えば、散剤、錠剤、カプセル剤、およびカプレット)に使用するための適当な添加剤の例には、それだけには限らないが、デンプン、砂糖、微結晶セルロース、賦形剤、顆粒化剤、滑沢剤、結合剤、および崩壊剤が含まれる。
【0155】
投与のその容易性のため、錠剤およびカプセル剤は、最も有利な経口投与単位の形態を表し、このような場合では、固形の添加剤が使用される。所望の場合、錠剤は、標準的な水性または非水性の技法によってコーティングすることができる。かかる剤形は、薬学の方法のいずれかによって調製することができる。一般に、医薬組成物および剤形は、有効成分を液状担体、微粉砕した固形の担体、またはその両方と均一におよび均質に混合し、次いで、必要なら、生成物を所望の外観に造形することによって調製される。
【0156】
例えば、錠剤は、圧縮または成形によって調製することができる。圧縮錠剤は、粉末または顆粒剤などの自由流動性のある形態の有効成分を適当な機械で圧縮することによって調製することができ、場合によっては、添加剤と混合することができる。成形錠剤は、適当な機械で不活性液体賦形剤で湿潤させた粉末化した化合物の混合物を成形することによって製造することができる。
【0157】
本発明の経口剤形に用いることができる添加剤の例には、それだけには限らないが、結合剤、充填剤、崩壊剤、および滑沢剤が含まれる。医薬組成物および剤形に用いるために適した結合剤には、それだけには限らないが、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、または他のデンプン、ゼラチン、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギナート、トラガカント末、グアーガム、セルロースおよびその誘導体(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム)などの天然および合成ゴム、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、(例えば、No.2208、2906、2910)、微結晶セルロース、およびそれらの混合物が含まれる。
【0158】
本明細書に開示される医薬組成物および剤形に用いるのに適した充填剤の例には、それだけには限らないが、タルク、炭酸カルシウム(例えば、顆粒または粉末)、微結晶セルロース、粉末セルロース、デキストラート(dextrate)、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン、およびそれらの混合物が含まれる。本発明の医薬組成物中の結合剤または充填剤は、通常、医薬組成物または剤形の約50〜約99重量パーセントで存在する。
【0159】
微結晶セルロースの適当な形態には、それだけには限らないが、(FMC Corporation、American Viscose Division、Avicel Sales、Marcus Hook、PAから入手可能な)AVICEL−PH−101(商標)、AVICEL−PH−103(商標)、AVICEL RC−581(商標)、AVICEL−PH−105(商標)、およびそれらの混合物として販売される材料が含まれる。具体的な結合剤は、微結晶セルロースとAVICEL RC−581(商標)として販売されるカルボキシメチルセルロースナトリウムの混合物である。適当な無水もしくは水分の少ない添加剤または添加物には、AVICEL−PH−103(商標)およびデンプン1500 LM(商標)が含まれる。
【0160】
崩壊剤は、水性環境に曝露されるとき、崩壊する錠剤を提供するために本発明の組成物で用いられる。過剰の崩壊剤を含む錠剤は、貯蔵中で崩壊することがあるが、一方、過少の崩壊剤を含むものは、所望の速度でまたは所望の状態で崩壊しないことがある。したがって、有効成分の放出を有害に変えるほど多すぎたり少なすぎたりしない十分な量の崩壊剤が、本発明の固形の経口剤形を形成するために使用されるべきである。使用される崩壊剤の量は、配合物のタイプに基づいて変わり、当業者に容易に識別可能である。典型的な医薬組成物は、崩壊剤の約0.5〜約15重量パーセント、具体的には、崩壊剤の約1〜約5重量パーセントを含む。
【0161】
本発明の医薬組成物および剤形に用いることができる崩壊剤には、それだけには限らないが、寒天−寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ジャガイモデンプンまたはタピオカデンプン、アルファ化デンプン、他のデンプン、粘土、他のアルギン、他のセルロース、ゴム、およびそれらの混合物が含まれる。
【0162】
本発明の医薬組成物および剤形に用いることができる滑沢剤には、それだけには限らないが、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、硬化植物油(例えば、ラッカセイ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、およびダイズ油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、寒天、およびそれらの混合物が含まれる。追加の滑沢剤には、例えば、シロイドシリカゲル(syloid silica gel)(Baltimore、MDのW.R.Grace Co.によって製造されているAEROSIL 200(商標))、(Plano、TXのDegussa Co.によって販売される)合成シリカの凝固したエアゾール剤、CAB−O−SIL(商標)(Boston、MAのCabot Co.によって販売される発熱性二酸化ケイ素生成物)、およびそれらの混合物が含まれる。少しでも用いられるとしたら、滑沢剤は、通常、それらが組み込まれる医薬組成物または剤形の約1重量パーセント未満の量で用いられる。
【0163】
4.3.2.遅延放出剤形
本明細書で提供される化合物Aを含む固形物形態は、制御放出手段によってまたは当業者によく知られている送達デバイスによって投与することができる。例としては、それだけには限らないが、米国特許第3,845,770号;第3,916,899号;第3,536,809号;第3,598,123号;および第4,008,719号、第5,674,533号、第5,059,595号、第5,591,767号、第5,120,548号、第5,073,543号、第5,639,476号、第5,354,556号、および第5,733,566号に記載されているものが含まれ、そのそれぞれが参照により本明細書に組み込まれる。かかる剤形は、割合を変えて所望の放出プロファイルを提供するための、例えば、ヒドロプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、ゲル剤、透過膜、浸透圧系、多層コーティング、微小粒子、リポソーム、ミクロスフェア、またはそれらの組合せを用いて1種または複数の有効成分の緩徐放出または制御放出を提供することができる。本明細書に記載したものを含めて、当業者に知られている適当な制御放出配合物は、本発明の有効成分と共に用いるために容易に選択することができる。したがって、本発明は、それだけには限らないが、制御放出のために適合されている、錠剤、カプセル剤、ゲルキャップおよびカプレットなどの経口投与に適した単回投与製剤を包含する。
【0164】
すべての制御放出医薬品には、非制御相当物によって達成される薬物治療を改善するという共通の目的がある。理想的には、医学的処置における最適に設計された制御放出製剤の使用は、最小限の原薬(drug substance)を使用して最小限の時間で状態を治癒するまたは制御するということを特徴とする。制御放出配合物の利点は、薬物の広範な活性、投与頻度の低減、および患者のコンプライアンスの増加が含まれる。さらに、制御放出配合物は、作用の開始時間または薬物の血液レベルなどの他の特性に影響を与えるために用いることができ、したがって、副作用(例えば、有害作用)の発生に影響を及ぼす恐れがある。
【0165】
ほとんどの制御放出配合物は、最初に所望の治療効果を迅速にもたらす薬物(有効成分)の量を放出し、長期間にわたってこのレベルの治療効果または予防効果を維持するために薬物の他の量を徐々にまたは連続して放出するように設計されている。体内でこうした一定レベルの薬物を維持するために、薬物は、代謝され体から排出される薬物の量を置き換える速度で剤形から放出されなければならない。有効成分の制御放出は、それだけには限らないが、pH、温度、酵素、水、または他の生理的状態もしくは化合物を含めた様々な状態によって刺激することができる。
【0166】
4.3.3.非経口剤形
非経口剤形は、皮下、(ボーラス注入を含めた)静脈内、筋肉内、および動脈内を含むがそれだけには限らない様々な経路によって、患者に投与することができる。これらの投与によって、通常、汚染物に対する患者の自然防御を回避するため、非経口剤形は、好ましくは、無菌であるまたは患者に投与する前に減菌することができる。非経口剤形の例には、それだけには限らないが、注射にすぐに使用できる液剤、薬学的に許容される注射用ビヒクルにすぐに溶解または懸濁できる乾燥製品、注射にすぐに使用できる懸濁剤、および乳剤が含まれる。
【0167】
本発明の非経口剤形を提供するために用いることができる適当なビヒクルは、当業者によく知られている。例としては、それだけには限らないが、米国薬局方注射用水;それだけには限らないが、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、ブドウ糖注射液、ブドウ糖および塩化ナトリウム注射液、および乳酸化リンゲル注射液などの水性ビヒクル;それだけには限らないが、エチルアルコール、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコールなどの水溶性ビヒクル;および、それだけには限らないが、トウモロコシ油、綿実油、ラッカセイ油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、および安息香酸ベンジルなどの非水性ビヒクルが含まれる。
【0168】
本明細書に開示される有効成分の1種または複数の溶解性を高める化合物は、本発明の非経口剤形に組み込むこともできる。
【0169】
4.3.4.経皮、局所、および粘膜剤形
本発明の経皮、局所、および粘膜剤形には、それだけには限らないが、点眼剤、スプレー剤、エアゾール剤、クリーム剤、ローション剤、軟膏剤、ゲル剤、液剤、乳剤、懸濁剤、または当業者に知られている他の形態が含まれる。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第16版および第18版、Mack Publishing、Easton PA(1980年および1990年);およびIntroduction to Pharmaceutical Dosage Forms、第4版、Lea & Febiger、Philadelphia(1985年)を参照のこと。口腔内の粘膜組織を治療するのに適した剤形は、洗口剤としてまたは経口ゲル剤として配合することができる。さらに、経皮剤形には、皮膚に適用することができるおよびある特定の期間装着して有効成分の所望の量を浸透させることが可能である「リザーバータイプ」または「マトリックスタイプ」のパッチが含まれる。
【0170】
本発明によって包含される経皮、局所、および粘膜剤形を提供するために用いることができる適当な添加剤(例えば、担体および賦形剤)および他の材料は、医薬分野の当業者によく知られており、所与の医薬組成物または剤形が適用される特定の組織に依存する。この事実を念頭に置いて、典型的な添加剤には、非毒性であり薬学的に許容されるローション剤、チンキ剤、クリーム剤、乳剤、ゲル剤または軟膏剤を形成するための、それだけには限らないが、水、アセトン、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン−1,3−ジオール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、鉱油、およびそれらの混合物が含まれる。
保湿剤または湿潤剤は、望むなら、医薬組成物および剤形に加えることもできる。かかる追加成分の例は、当技術分野でよく知られている。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第16版および第18版、Mack Publishing、Easton PA(1980年および1990年)を参照のこと。
【0171】
治療しようとする特定の組織に応じて、追加の構成物は、本発明の有効成分による治療の前に、治療と併用してまたはその後に用いることができる。例えば、浸透促進剤は、有効成分を組織に送達するのを補助するために用いることができる。適当な浸透促進剤には、それだけには限らないが、:アセトン;エタノール、オレイル、およびテトラヒドロフリルなどの様々なアルコール;ジメチルスルホキシドなどのアルキルスルホキシド;ジメチルアセトアミド;ジメチルホルムアミド;ポリエチレングリコール;ポリビニルピロリドンなどのピロリドン;Kollidonグレード(ポビドン、ポリビドン);尿素;およびTween 80(商標)(ポリソルベート80)およびSpan 60(商標)(ソルビタンモノステアラート)などの様々な水溶性もしくは不溶性糖エステルが含まれる。
【0172】
医薬組成物または剤形のpH、または医薬組成物または剤形が適用される組織のpHは、1種または複数の有効成分の送達を改善するために調節することもできる。同様に、溶媒担体の極性、そのイオン強度、または張度は、送達を改善するために調節することができる。ステアラートなどの化合物は、送達を改善するように1種または複数の有効成分の親水性または親油性を有利に変更するために医薬組成物または剤形に加えることもできる。このような観点から、ステアラートは、配合物のための脂質ビヒクルとして、乳化剤または界面活性剤として、および送達促進剤または浸透促進剤として働くことができる。有効成分を含む異なる固形物形態は、得られた組成物の特性をさらに調節するために用いることができる。
【0173】
4.3.5.キット
本発明は、医師によって用いられるとき、適当な量の有効成分の患者への投与を単純化することができるキットを包含する。
【0174】
本発明の典型的なキットは、化合物A、または薬学的に許容されるその固形物形態もしくはプロドラッグの単位剤形および第2の有効成分の単位剤形を含む。第2の有効成分の例には、それだけには限らないが、本明細書に挙げたものが含まれる。
【0175】
本発明のキットは、1種(または複数)の有効成分を投与するために用いられるデバイスをさらに含むことができる。かかるデバイスの例には、それだけには限らないが、シリンジ、点滴用バッグ、パッチ、および吸入器が含まれる。
【0176】
本発明のキットは、1種または複数の有効成分を投与するために用いることができる薬学的に許容されるビヒクルをさらに含む。例えば、有効成分が非経口投与のために再構成しなければならない固形物形態として提供される場合、キットは、有効成分が非経口投与に適している、微粒子を含まない無菌の溶液を形成するために溶解することができる適当なビヒクルの密封容器を含むことができる。薬学的に許容されるビヒクルの例には、それだけには限らないが、米国薬局方注射用水;それだけには限らないが、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、ブドウ糖注射液、ブドウ糖および塩化ナトリウム注射液、および乳酸化リンゲル注射液などの水性ビヒクル;それだけには限らないが、エチルアルコール、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコールなどの水溶性ビヒクル;および、それだけには限らないが、トウモロコシ油、綿実油、ラッカセイ油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、および安息香酸ベンジルなどの非水性ビヒクルが含まれる。
【0177】
5.実施例
本出願は、下記明細書で提供される実施例を含めた、米国特許第6,962,940号(2005年11月8日発行)の全体を参照により組み込む。
【実施例1】
【0178】
5.1.実施例1:2−[1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−メチルスルホニルエチル]−4−アセチルアミノイソインドリン−1,3−ジオンの合成
1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−メチルスルホニルエチルアミン(1.0g、3.7mmol)および3−アセトアミドフタル無水物(751mg、3.66mmol)の酢酸(20mL)中の撹拌した溶液を還流下で15時間加熱した。溶媒を真空中で除去してオイルを生成した。得られたオイルのクロマトグラフィーにより、生成物を黄色の固形物として得た(1.0g、収率59%):融点、144℃;1H NMR (CDCl3) δ: 1.47 (t, J=7.0 Hz, 3H, CH3), 2.26 (s, 3H, CH3), 2.88 (s, 3H, CH3), 3.75 (dd, J=4.4, 14.3 Hz, 1H, CH), 3.85 (s, 3H, CH3), 4.11 (q, J=7 Hz, 2H, CH2), 5.87 (dd, J=4.3, 10.5 Hz, 1H, NCH), 6.82-6.86 (m, 1H, Ar), 7.09-7.11 (m, 2H, Ar), 7.47 (d, J= 7 Hz, 1H, Ar), 7.64 (t, J= 8 Hz, 1H, Ar), 8.74 (d, J= 8 Hz, 1H, Ar), 9.49 (br s, 1H, NH); 13C NMR (CDCl3) δ: 14.61, 24.85, 41.54, 48.44, 54.34, 55.85, 64.43, 111.37, 112.34, 115.04, 118.11, 120.21, 124.85, 129.17, 130.96, 136.01, 137.52, 148.54, 149.65, 167.38, 169.09, 169.40; 元素分析C22H24NO7Sの計算値: C, 57.38; H, 5.25; N, 6.08. 実測値: C, 57.31; H, 5.34; N, 5.83.
【実施例2】
【0179】
5.2.実施例2:(+)2−[1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−メチルスルホニルエチル]−4−アセチルアミノイソインドリン−1,3−ジオンの合成
3−アミノフタル酸の調製
10%Pd/C(2.5g)、3−ニトロフタル酸(75.0g、355mmol)およびエタノール(1.5L)を、窒素雰囲気中で2.5L Parr水素添加装置に充填した。水素を反応容器に55psiまで充填した。50〜55psiの水素圧力を維持しながら、混合物を13時間振り混ぜた。水素を放出し、混合物を窒素で3回パージした。懸濁液をセライト層でろ過し、メタノールですすいだ。ろ液を真空中で濃縮した。得られた固形物をエーテル中で再びスラリー化し、真空ろ過によって単離した。固形物を真空中で一定の重量まで乾燥し、3−アミノフタル酸54g(収率84%)を黄色の生成物として得た。1H-NMR (DMSO-d6) δ: 3.17 (s, 2H), 6.67 (d, 1H), 6.82 (d, 1H), 7.17 (t, 1H), 8-10 (br, s, 2H); 13C-NMR (DMSO-d6) δ: 112.00, 115.32, 118.20, 131.28, 135.86, 148.82, 169.15, 170.09.
【0180】
3−アセトアミドフタル無水物の調製
1Lの3口丸底フラスコは、機械式撹拌機、温度計、および冷却器を装備させ、3−アミノフタル酸(108g、596mmol)および無水酢酸(550mL)で充填した。反応混合物を3時間加熱還流し、約25℃まで冷却し、さらに0〜5℃まで追加で1時間冷却した。結晶性固体を真空ろ過によって収集し、エーテルで洗浄した。固形生成物を真空中で周囲温度で一定の重量まで乾燥し、3−アセトアミドフタル無水物75g(収率61%)を白色の生成物として得た。1H-NMR (CDCl3) δ: 2.21 (s, 3H), 7.76 (d, 1H), 7.94 (t, 1H), 8.42 (d, 1H), 9.84 (s, 1H).
【0181】
2−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル−1−(メチルスルホニル)−エト−2−イルアミンの分離
3Lの3口丸底フラスコは、機械式撹拌機、温度計、および冷却器を装備させ、2−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−1−(メチルスルホニル)−エト−2−イルアミン(137.0g、500mmol)、N−アセチル−L−ロイシン(52g、300mmol)、およびメタノール(1.0L)を充填した。撹拌したスラリーを1時間加熱還流した。撹拌した混合物を周囲温度まで放冷し、追加で3時間周囲温度で撹拌を続けた。スラリーをろ過し、メタノール(250L)で洗浄した。固形物を風乾し、次いで、真空中で周囲温度で一定の重量まで乾燥し、粗生成物(85.8%ee)109.5g(収率98%)を得た。粗固形物(55.0g)およびメタノール(440mL)を1時間還流させ、室温まで冷却し、追加の3時間周囲温度で撹拌した。スラリーをろ過し、フィルターケークをメタノール(200mL)で洗浄した。固形物を風乾し、次いで真空中で30℃で一定の重量まで乾燥し、(S)−2−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−1−(メチルスルホニル)−エト−2−イルアミン−N−アセチル−L−ロイシン塩(98.4%ee)49.6g(90%回収)を得た。キラルHPLC(Agilent Technologies社からの1/99 EtOH/20mM KHPO、pH7.0、Ultron Chiral ES−OVS、150mm×4.6mm、0.5mL/分、240nm):18.4分(S−異性体、99.2%)、25.5分(R−異性体、0.8%)。
【0182】
化合物Aの調製
500mLの3口丸底フラスコは、機械式撹拌機、温度計、および冷却器を装備させた。反応容器を(S)−2−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−1−(メチルスルホニル)−エト−2−イルアミンN−アセチル−L−ロイシン塩(25g、56mmol、98%ee)、3−アセトアミドフタル無水物(12.1g、58.8mmol)、および氷酢酸(250mL)で充填した。混合物を終夜還流し、次いで、<50℃まで冷却した。溶媒を真空中で除去し、残留物を酢酸エチルに溶解した。得られた溶液を水(250mL×2)、飽和の水性NaHCO(250mL×2)、食塩水(250mL×2)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を真空中で蒸発させ、残留物をエタノール(150mL)およびアセトン(75mL)を含む2成分の溶媒から再結晶化した。固形物を真空ろ過によって単離し、エタノール(100mL×2)で洗浄した。生成物を真空中で60℃で一定の重量まで乾燥し、S−{2−[1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−2−メチルスルホニルエチル]−4−アセトアミドイソインドリン−1,3−ジオン}19.4g(収率75%)を98%eeで得た。キラルHPLC(Agilent Technology社からの15/85 EtOH/20mM KHPO、pH5、Ultron Chiral ES−OVS、150mm×4.6mm、0.4mL/分、240nm): 25.4分(S−異性体、98.7%)、29.5分(R−異性体、1.2%)。1H-NMR (CDCl3) δ: 1.47 (t, 3H), 2.26 (s, 3H), 2.87 (s, 3H), 3.68-3.75 (dd, 1H), 3.85 (s, 3H), 4.07-4.15 (q, 2H), 4.51-4.61 (dd, 1H), 5.84-5.90 (dd, 1H), 6.82-8.77 (m, 6H), 9.46 (s, 1H); 13C-NMR (DMSO-d6) δ: 14.66, 24.92, 41.61, 48.53, 54.46, 55.91, 64.51, 111.44, 112.40, 115.10, 118.20, 120.28, 124.94, 129.22, 131.02, 136.09, 137.60, 148.62, 149.74, 167.46, 169.14, 169.48.
【0183】
化合物Aの(+)鏡像異性体の調製を例示する反応式を図29として提供する。
【実施例3】
【0184】
5.3.実施例3:TNF−α阻害
ヒト全血LPS誘発TNF−αアッセイ
新たに採取した全血をPBMCの代わりに用いたことを除いて、ヒトの全血によるLPS誘発TNF−α産生を阻害する化合物の能力を、基本的に、ヒトPBMCにおけるLPS誘発TNF−αアッセイについて以下に記載された通り測定した(Mullerら、1999年、Bioorg.&Med.Chem.Lett.、9巻:1625〜1630頁)。化合物Aのヒト全血LPS誘発TNF−αIC50=294nM。
【0185】
マウスLPS誘発血清TNF−α阻害。
化合物を前述した方法に従って本動物モデルで試験した(Corralら、1996年、Mol.Med.、2巻:506〜515頁)。化合物AのマウスLPS誘発血清TNF−α阻害(ED50、mg/kg、p.o.)=0.05。
【0186】
LPS誘発TNF−α産生
リポ多糖類(LPS)は、TNF−αを含めた多くの炎症誘発性サイトカインの産生を誘発する、大腸菌(E.coli)などのグラム陰性菌によって産生される内毒素である。末梢血液単核細胞(PBMC)中で、LPSに応答して産生されたTNF−αは、総PBMCのおよそ5〜20%を含む単球に由来する。化合物を、前述したヒトのPBMCから得られたLPS誘発TNF−α産生を阻害する能力について試験した(Mullerら、1996年、J.Med.Chem.、39巻:3238頁)。正常なドナーから得られたPBMCをFicoll Hypaque(Pharmacia、Piscataway、NJ、USA)密度遠心法によって得た。細胞を10%AB±ヒト血清(Gemini Bio−products、Woodland、CA、USA)、2mM L−グルタミン、100U/mlペニシリン、および100μg/mlストレプトマイシン(Life Technologies)を補充したRPMI(Life Technologies、Grand Island、NY、USA)中で培養した。
【0187】
PBMC(2×10細胞)を96ウェル平底Costar組織培養プレート(Corning、NY、USA)中にトリプリケートで播種した。細胞を、化合物の非存在下または存在下で100ng/mlのLPS(Sigma、St.Louis、MO、USA)で刺激した。化合物(Celgene Corp.、Warren、NJ、USA)をDMSO(Sigma)に溶解し、さらに、使用直前に培養培地中で希釈を行った。全サンプル中の最終DMSO濃度は0.25%であった。化合物をLPS刺激の1時間前に細胞に加えた。細胞を18〜20時間37℃で5%のCOでインキュベートし、次いで、上澄みを収集し、培養培地で希釈し、ELISA(Endogen、Boston、MA、USA)によってTNF−αレベルを検定した。化合物AのLPS誘発TNF−αIC50=77nM。
【0188】
IL−1β誘発TNF−α産生
炎症性疾患の経過中、TNF−α産生は、しばしば細菌由来のLPSによってではなくサイトカインIL−1βによって刺激される。化合物を、ヒトのPBMCから得られたIL−1β誘発TNF−α産生を阻害する能力について、PBMCを発生源である白血球ユニット(Sera−Tec Biologicals、North Brunswick、NJ、USA)からFicoll−Paque Plus(Amersham Pharmacia、Piscataway、NJ、USA)の遠心によって単離し、熱失活した10%ウシ胎児血清(Hyclone)、2mM L−グルタミン、100U/mlペニシリン、および100mg/mlストレプトマイシン(完全培地)を含むRPMI−1640培地中(BioWhittaker、Walkersville、Maryland、USA)、96ウェル組織培養プレートに3×10細胞/ウェルで播種し、CO 5%で加湿した培養器中に37℃で1時間最終DMSO濃度0.1%で10μM、2μM、0.4μM、0.08μM、0.016μM、0.0032μM、0.00064μM、および0μMの化合物でデュプリケートで前処理し、次いで、50ng/mlの組換え型ヒトIL−1β(Endogen)で18時間で刺激した以外、LPS誘発TNF−α産生について前述した通り試験した。化合物AのIL−β誘導TNF−αIC50=83nM。
【実施例4】
【0189】
5.4.実施例4:PDE選択性
PDE1、2、3、5、および6酵素アッセイ
化合物のPDE4に対する特異性をウシのPDE1、ヒト血小板から得られたヒトのPDE2、PDE3、およびPDE5(Hidaka and Asano、1976年、Biochem.Biophys.Acta、429巻:485頁、およびNicholsenら、1991年、Trends Pharmaco.Sci.、12巻:19頁)、ならびにウシ網膜かん体外節の分節から得られたPDE6(Baehrら、1979年、J.Biol.Chem.、254巻:11669頁、およびGillespieら、1989年、Mol.Pharm.、36巻:773頁)に対して単一の濃度(10μM)で試験することによって検定した。結果を表1に示す。
【0190】
PDE7酵素アッセイ
PDE7は、主にT細胞中および骨格筋に発現するcAMP選択的PDEである。IL−2およびIFN−γなどのT細胞由来サイトカインは、PDE7阻害によって潜在的に調節可能である。PDE7を、前述した通り陰イオン交換クロマトグラフィーによってHut78ヒトT細胞から精製した(Bloom and Beavo、1996年、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、93巻:14188〜14192頁)。化合物を、PDE4について表1で記載した通り10nM cAMPの存在下でPDE7調製に対して試験した。
【実施例5】
【0191】
5.5.実施例5:PDE4阻害
PDE4(U937細胞由来)酵素アッセイ
PDE4酵素を、前述した通りゲルろ過クロマトグラフィーによってU937ヒト単核球細胞から精製した(Mullerら、1998年、Bioorg.&Med.Chem.Lett.8巻:2669〜2674頁)。ホスホジエステラーゼ反応を、pH7.5の50mMトリスHCl、5mM MgCl、1μM cAMP、10nM[H]−cAMP中で30℃で30分間行い、煮沸することによって停止させ、1mg/mlヘビ毒で処理し、記載された通りAG−IXSイオン交換樹脂(BioRad)を用いて分離した(Mullerら、1998年、Bioorg.&Med.Chem.Lett.8巻:2669〜2674頁)。反応は、利用可能な基質を15%未満消費した。結果を表1に示す。
【0192】
【表1】



【実施例6】
【0193】
5.6.実施例6:ヒトT細胞アッセイ
SEB誘発IL−2およびIFN−γ産生
ブドウ球菌エンテロトキシンB(SEB)は、グラム陽性菌の黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に由来するスーパー抗原である。SEBは、特定のT細胞受容体Vβ鎖を発現するT細胞に特異的な都合がよい生理的刺激をもたらす。(およそ50%のT細胞からなる)ヒトPBMCを、前述した通り発生源である白血球ユニットから単離し、完全培地中、96ウェル組織培養プレートに3×10細胞/ウェルで播種し、CO 5%で加湿した培養器中に37℃で1時間最終DMSO濃度0.1%で10μM、2μM、0.4μM、0.08μM、0.016μM、0.0032μM、0.00064μM、および0μMの化合物でデュプリケートで前処理し、次いで、100ng/ml SEB(Sigma Chemical Co.、St.Louis、MO、USA)で18時間刺激した。IL−2およびIFN−γレベルをELISA(R&D Systems、Minneapolis、MN、USA)によって測定した。化合物AのIL−2 IC50=291nM。化合物AのIFN−γ IC50=46nM。
【実施例7】
【0194】
5.7.実施例7:cAMP上昇アッセイ
PGE誘発cAMP上昇
プロスタグランジンE(PGE)は、単球、T細胞および他の白血球上でプロスタノイド受容体に結合し、その結果、細胞内cAMPレベルを上昇させ、細胞応答の阻害をもたらす。PGEおよびPDE4阻害薬の組合せは、これらの細胞タイプ中のcAMPレベルを相乗的に上昇させ、PGEの存在下でPDE4阻害薬よって引き起こされるPBMC中のcAMPの上昇は、このPDE4阻害薬の阻害活性に比例する。細胞内cAMPをヒトのPBMC中で以下のように測定した。PBMCを、前述した通り単離し、RPMI−1640中の1ウェル当たり1×10細胞で96ウェルプレートに播種した。細胞を、デュプリケートでCO 5%で加湿した培養器中に37℃で1時間DMSO最終濃度2%で100μM、10μM、1μM、0.1μM、0.01μM、および0μMの化合物で前処理した。次いで、細胞をPGE(10μM)(Sigma)で1時間刺激した。細胞を0.1N最終濃度のHClで溶解してホスホジエステラーゼ活性を阻害し、プレートを−20℃で凍結した。生成されたcAMPをcAMP(低pH)イムノアッセイキット(R&D Systems)を用いて測定した。ラセミ体のPBMCのcAMP EC50は3.09μMである。化合物AのPBMC cAMP EC50は1.58μMである。
【0195】
ヒト好中球中のcAMPの上昇を以下の通り測定した。PBMCを、発生源となる白血球(Sera−Tec Biologicals)からFicoll−Paque Plus(Amersham Pharmacia)で遠心によって取り出した。得られた赤血球/多形核細胞(PMN)ペレットをHank’s Balanced Salt Solution(BioWhittaker社)に再懸濁し、0.9%食塩水中で等容量の3%Dextran T−500(Amersham Pharmacia)と混合した。赤血球を20分間置いて沈降させ、PMNを取り出し120rpmで8分間4℃で遠心した。残りの赤血球を0.2%冷食塩水に30秒間溶解し、細胞を等容量の1.6%食塩水の添加によって等張に戻した。PMNを1200rpmで8分間4℃で遠心し、次いで、RPMI−1640に再懸濁し、上記のPBMCについて記載した通りcAMP上昇を検定した。PMNは、FACSCalibur(Becton Dickinson、San Jose、CA、USA)のフローサイトメトリー法によりおよそ74%のCD18/CD11b、71%のCD16CD9好中球であることが判明した。結果を表2に示す。
【0196】
fMLF誘発LTB4産生
N−ホルミル−メチオニン−ロイシン−フェニルアラニン(fMLF)は、好中球を活性化させて速やかに脱顆粒し、移動し、内皮細胞に付着し、ロイコトリエンLTB4を放出する細菌由来ペプチドであり、アラキドン酸代謝の生成物およびそれ自体好中球の化学誘引物質である。化合物を、以下の修正を加えて、前述した通り(Hatzelmann and Schudt、2001年、J.Pharm.Exp.Ther.、297巻:267〜279頁)fMLF誘発好中球LTB4産生を遮断する能力について試験した。好中球を、前述した通り単離し、pH7.2の10mM HEPESを含む、カルシウムまたはマグネシウム(BioWhittaker)を含まないリン酸緩衝食塩水に再懸濁し、1.7×10細胞/ウェルの濃度で96ウェル組織培養プレート中に播種した。細胞を50μMチメロサール(Sigma)/1mM CaCl/1mM MgClで15分間37℃でCO5%で処理し、次いで、最終DMSO濃度0.01%で1000nM、200nM、40nM、8nM、1.6nM、0.32nM、0.064nMおよび0nMの化合物で10分間デュプリケートで処理した。好中球を1μM fMLFで30分間刺激し、次いで、メタノール(最終濃度20%)を加えて溶解し、ドライアイス/イソプロパノール浴で10分間凍結した。LTB4含有量を競合的なLTB4 ELISA(R&D Systems)によって測定するまで、ライセートを−70℃で貯蔵した。結果を表2に示す。
【0197】
ザイモサン誘発IL−8産生
ザイモサンA、または加熱殺菌された酵母サッカロマイセス−セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)は、好中球表面で接着分子Mac−1に結合し、食作用、細胞活性化およびIL−8産生を誘発する。ザイモサン誘発IL−8産生を、以下の修正を加えて前述した通り(Auら、1998年、Brit.J.Pharm.、123巻:1260〜1266頁)測定した。ヒト好中球を、前述した通り精製し、完全培地中で3×10細胞/ウェルで96ウェル組織培養プレート中に播種し、最終DMSO濃度0.1%で10μM、2μM、0.4μM、0.08μM、0.016μM、0.0032μM、0.00064μM、および0μMの化合物で1時間37℃でCO5%でデュプリケートで処理した。次いで、好中球を、オプソニン化されていない煮沸されたザイモサンA(Sigma)で2.5×10粒子/ウェルで18時間刺激した。上澄みを収集し、ELISA(R&D Systems)によってIL−8について試験した。結果を表2に示す。
【0198】
fMLF誘発CD18/CD11b発現
好中球上のCD18/CD11b(Mac−1)発現を、以下の修正を加えて前述した通り(Derianら、1995年、J.Immunol.、154巻:308〜317頁)測定した。好中球を、前述した通り単離し、次いで、完全培地中で1×10細胞/mlで再懸濁し、最終DMSO濃度0.1%で10μM、1μM、0.1μM、0.01μM、および0μMの化合物で10分間37℃でCO5%でデュプリケートで前処理した。次いで、細胞を30nM fMLFで30分間刺激し、次いで、4℃まで冷却した。細胞を、Fc受容体を遮断するためにウサギIgG(Jackson ImmunoResearch Labs、West Grove、PA、USA)(10μg/1×10細胞)で処理し、CD18−FITCおよびCD11b−PE(Becton Dickinson)で染色し、FACSCaliburのフローサイトメトリー法によって分析した。刺激のないCD18/CD11b発現(平均蛍光)をすべてのサンプルから差し引いて阻害曲線を得、IC50値を算出した。結果を表2に示す。
【0199】
HUVECへのfMLF誘発接着
ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)を、以下の修正を加えて前述した通り(Derianら、1995年、J.Immunol.、154巻:308〜317頁)、好中球の接着のための基質として用いた。HUVEC細胞を、Anthrogenesis社(Cedar Knolls、NJ、USA)から入手し、好中球をサイトカラシンBで処理しなかった。細胞を、最終DMSO濃度0.1%で10μM、1μM、0.1μM、0.01μM、0.001μMおよび0μMの化合物で10分間デュプリケートで処理し、500nM fMLFで30分間刺激し、PBSでデュプリケートで洗浄してから、FLX800プレートリーダー(Bio−Tek Instruments、Winooski、VT、USA)で蛍光を測定した。結果を表2に示す。
【0200】
【表2】



【実施例8】
【0201】
5.8.実施例8:水の溶解性
平衡溶解度をpH7.4の水性緩衝液中で測定した。pH7.4の緩衝液を0.07M NaHPO溶液のpHを10N NaOHで7.4に調整することによって調製した。溶液のイオン強度は0.15であった。少なくとも粉末1mgを緩衝液1mlと合わせて>1mg/mlの混合物を作製した。これらのサンプルを>2時間振り混ぜ、室温で終夜静置した。次いで、サンプルを、まずサンプルで飽和させた0.45μmNylonシリンジフィルターでろ過した。ろ液を連続してデュプリケートでサンプリングした。ろ液を50%メタノールで調製した標準に対してHPLCによってアッセイした。化合物Aは、ラセミ混合物よりも3.5倍大きい水の溶解性を有する。測定された溶解性 化合物A=0.012mg/mL;ラセミ混合物=0.0034mg/mL。
【実施例9】
【0202】
5.9.実施例9:LPS誘導肺好中球増加症フェレットモデル
覚醒フェレットモデルを用いて、経口(p.o.)経路で投与したとき、PDE4阻害薬の抗炎症作用、催吐作用および挙動の影響を調査している。これらの実験から、各PDE4阻害薬の治療係数(TI)は決定することができる。TIは、催吐エピソードおよび挙動の変化を引き起こすための閾値用量を、抗炎症用量(LPS誘発好中球増加症の50%阻害を引き起こす用量)で除することによって算出されている。
【0203】
動物の飼養
雄フェレット(Mustela Pulorius Euro、体重1〜2kg)。フェレットは、Bury Green FarmまたはMisay Consultancyによって供給された。輸送後、動物をホールディング室で7日間以上置いて順応させた。食餌は、自由に与える、食物をペレット化したSDS diet Cと1週間に3回与えるWhiskers(商標)キャットフードから構成された。水は、低温殺菌された動物用飲料水であり、毎日交換した。
【0204】
PDE4阻害薬による投与
PDE4阻害薬を、最初に1〜10g/kgの用量で経口投与(p.o.)したが、続いて、TIが10またはそれよりも高いかどうかを確立するために30mg/kgまで経口投与し、かつ/または好中球増加症の50%阻害を引き起こす最小限の用量を確立するために低用量で経口投与した。フェレットは、終夜絶食させたが、水を自由に利用できるようにさせた。動物に、咽頭の奥を通り抜けて食道に通す15cmの投薬用針を用いてビヒクルまたはPDE4阻害薬を経口で投与した。投与後、動物は、Perspexドアが付いたホールディングケージに戻して観察され、水を自由に利用できるようにさせた。投与後、動物を絶えず観察し、いかなる嘔吐または挙動の変化も記録した。動物は、p.o.投与の60〜90分後食物を利用できるようにさせた。
【0205】
LPSへの曝露
化合物またはビヒクル対照によるp.o.投与の30分後、フェレットを密封したPerspex容器に入れ、LPS(100μg/ml)のエアゾール剤に10分間曝露した。LPSのエアゾール剤をネビュライザー(DeVilbiss、USA)によって生成し、これをPerspex曝露チャンバー内に向けた。10分の曝露時間の後、動物をホールディングケージに戻して、水を自由に利用させ、その後の段階で、食物を自由に利用できるようにさせた。観察は、p.o.投与後少なくとも2.5時間続け、催吐エピソードおよび挙動の変化を記録した。
【0206】
気管支肺胞洗浄検査
LPS曝露の6時間後、動物を、腹腔内に投与した過量のペントバルビトンナトリウムによって死亡させた。次いで、気管をポリプロピレン管を用いてカニューレ処置し、肺を20mlのヘパリン化(10ユニット/ml)リン酸緩衝食塩水(PBS)でデュプリケートで洗浄した。
【0207】
血液サンプリング/組織除去
末端の血液サンプル(10ml)を経胸壁心臓穿刺によって除去した。血液を2,500rpmで15分間回転させ、血漿を除去し−20℃で貯蔵した。脳も除去し化合物含有量の分析のために−20℃で凍結した。
【0208】
細胞数
気管支肺胞洗浄検査(BAL)サンプルを1,500rpmで5分間遠心した。上澄みを除去し、得られた細胞ペレットを1mlのPBSに再懸濁した。再懸濁した液体の細胞スメアを調製し、リーシュマン染色で染色して異なる細胞計数を可能にした。総細胞数を残りの再懸濁したサンプルを用いてカウントした。これにより、BAL中の好中球の総数を決定した。
【0209】
パラメーターの測定
1.LPS誘発肺好中球増加症の%阻害。
2.催吐エピソード−嘔吐およびレッチングの数をカウントした。
3.挙動の変化−以下の挙動の影響を示した。すなわち、流涎、あえぎ呼吸、マウスクロウイング、伏せ姿勢(flattened posture)、運動失調、アーチ型の背中および後退り(backward walking)である。挙動の変化を重症度評価(軽度、中等度または重度)を適用することによって半定量化した。
4.TIを、肺好中球増加症を50%以上まで抑制することが判明した最低用量で除した、催吐エピソードを引き起こさないことが判明した最高用量として算出した。
【0210】
化合物Aの覚醒フェレットの肺におけるLPS誘発好中球増加症に対する効果を図30で実証する。
【0211】
嘔吐および挙動の変化
PDE4のp.o.投与後、フェレットを少なくとも2時間観察し、催吐エピソード(嘔吐およびレッチング)および挙動の変化を記録した。
【0212】
関連するビヒクル(アセトン/クレモホル(cremophor)/蒸留水)でp.o.で前処置されたフェレットにおいて催吐エピソード(レッチングまたは嘔吐)は観察されなかった。対照動物−治療された動物(7/22)の少ない割合では、軽度の挙動の変化(唇をなめるおよび後退り)を示した。
【0213】
化合物A(0.1〜3mg/kg、p.o.)は、催吐エピソード(レッチングおよび嘔吐)を引き起こさなかった。いくつかの挙動の変化(伏せ姿勢、唇をなめるおよび後退り)を観察し、軽度として分類した。10mg/kgでは、2/6のフェレットにおいて、いくつかのレッチングだが明白ではない嘔吐を、流涎および(軽度または中等度としてスコアされた)挙動の変化と共に観察した。試験した最も高い用量(30mg/kg)では、中等度の嘔吐から著明な嘔吐までを、3/4の動物において甚だしい挙動の変化と共に観察した。このようなデータを表3にまとめて示す。
【0214】
【表3】



【0215】
動物を投与後3時間まで観察した。括弧の中の数字は、反応した動物の数を意味する。各群の動物の数は4〜22の範囲である。
【0216】
治療係数の算出
これらの実験から、治療係数(TI)を、各化合物について催吐エピソードを誘発する閾値用量を肺好中球増加症を阻害するED50値で除することによって決定した。TI算出を表4にまとめて示す。化合物Aは、TIが12であり、1mg/kgの抗炎症用量で催吐エピソードを引き起こさなかった。
【0217】
【表4】



【実施例10】
【0218】
5.10.実施例10:重度のプラーク型乾癬患者における化合物Aの生物活性
化合物Aは、ヒト細胞モデルにおける炎症誘発性サイトカイン産生をダウンレギュレートする新規な経口剤である。化合物Aにより、TNF−α、IL−12およびIFN−γ産生を低下することならびにIL−10の産生を上昇することが示されている。
乾癬は、免疫調節性化合物による潜在的な療法を可能にするサイトカインおよびケモカインの調節不全に強く関連している。この第2相、非盲検、一群、パイロット試験を、重度のプラーク型乾癬患者における化合物Aの生物活性を評価するために設計した。臨床成績の追加の評価を実施して重度のプラーク型乾癬を治療する化合物Aの潜在的な効力を評価した。
【0219】
化合物Aを、患者の安全のために28日間の観察的フォローアップ期間を追加して経口で毎日20mgを29日間投与した。標的プラークから得られた皮膚パンチ生検検体(6mm)を、ベースライン時、15日目および29日目に得た。非損傷性皮膚生検もまたベースライン時に採取した。主要な薬力学的エンドポイントは、ベースラインから29日目の表皮の厚さの変化百分率であった。表皮の厚さの測定および免疫組織化学分析は、CD11c、CD83、K16、ICAM−1、HLA−DR、およびフィラグリンを評価するために盲検下の審査官によって実施された。生検検体を、TNF−α、p40−IL12/IL23、IL−10、IFN−γ、IP10、IL−2、IL−8、iNOS、p19−IL23、K16、CD83、およびhARPについてRT−PCRによって分析した。PASI、PGA、およびBSA測定を実施して試験の29日間の治療相中の臨床的有効性を探索した。報告されている有害事象、臨床検査値の評価、身体検査、ECGおよびバイタルサイン測定により安全性を評価した。総数19名の患者を登録した:15名の患者は評価可能な生検のセットを完了し、17名の患者は有効性の評価を完了した。
【0220】
表皮の厚さの変化の評価は、本試験における主要エンドポイントであった。19名の患者を試験に登録し、そのうち15名は、ベースライン時および29日目に評価可能な生検の完全なセットを有した。19名の対象のうち17名は、ベースライン時および29日目に測定した臨床的有効性パラメーターを有した。ベースライン時および29日目に評価可能な生検を有する15名の患者のうち8名(53.3%)は、表皮の厚さの20%の減少を実証した。ベースライン時および29日目に評価可能な生検を有する15名の対象全員の表皮の厚さの平均の減少は、20.5%であった(p=0.015)。図31は、評価可能な生検を有する対象間のベースライン時から29日目までの表皮の厚さの変化を示す。
【0221】
表皮および真皮のT細胞、CD83+およびCD11c細胞を含めた重要な炎症マーカーを生検検体において評価した。応答した8名の患者の結果により、表皮および真皮のT−細胞の低下は、応答者においてそれぞれ42.56%および28.79%であることが示された(≧20%表皮の厚さの減少)。表皮および真皮のCD83+細胞におけるベースライン時からの平均の減少は、応答者においてそれぞれ32.50%および25.86%であった。CD11c細胞を、応答者の表皮において40.16%および真皮において18.50%低減した。表5は応答者および非応答者における重要な皮膚生検の炎症マーカーの減少を示す。さらに、ベースライン時に異常なK16を有する患者1名は、29日目に正常なK16を有した。ベースライン時に異常なICAM−1を有する患者3名は、29日目に正常なICAM−1を有した。異常なHLA−DRを有する患者2名は、29日目に正常なHLA−DRを有し、ベースライン時に異常なフィラグリンを有する患者3名は、29日目に正常なフィラグリンを有した。
【0222】
【表5】



【0223】
生検検体を、TNFα、p40−IL12/IL23、IL−10、IFNγ、IP10、IL−2、IL−8、iNOS、p19−IL23、K16およびCD83を含めた、重要な炎症マーカーのmRNA遺伝子発現についてRT−PCRによって評価した。iNOSのmRNA発現は、化合物Aによる治療の29日後の損傷性皮膚において66.5%(p=0.025)減少した。他の炎症マーカーのmRNA発現の減少および増加は、全体的な改善傾向を示した。図32は、試験中のiNOS発現の変化を図示する。
【0224】
登録した19名の対象のうち17名全員が29日間の治療相を完了し、臨床的有効性の評価を完了した。登録した19名の対象のうち14名(73.7%)は、これらの患者がベースラインから29日目に患者の乾癬の領域および重症度の指数(Psoriasis Area and Severity Index)(PASI)の全スコアにおいて>50%の減少を示す3(15.8%)であり、PASIの改善を実証した。図33は、ベースラインから29日目において評価可能な患者間のPASIスコアの変化百分率を示す。さらに、17名の評価可能な患者のうち9名(52.9%)は、医師の静的な総合評価(static Physician's Global Assessment)(sPGA)の改善を実証し、17名の評価可能な患者のうち10名(58.8%)が化合物Aによる治療の29日後に患者の乾癬の体表面積(BSA)においてベースラインからの減少を示した。治療およびフォローアップ相の間、有害事象のモニタリング、ECG、臨床検査、身体検査およびバイタルサインによって安全性を評価した。死亡も報告されず、いずれの患者も有害事象により途中で中止しなかった。最もよく知られる治療関連の有害事象には、頭痛(26.3%)、および悪心(15.8%)が含まれた。
【0225】
この臨床試験では、29日間化合物A20mgのp.o.QDは、重度のプラーク型乾癬を伴う対象において安全であった。主要エンドポイントは、29日目に表皮の厚さの20%減少を達成している対象15名のうち8名(53.3%)で達成された。皮膚生検において重要な炎症マーカーの減少は、真皮および表皮のT細胞、CD83+およびCD11細胞を含めて示された。RT−PCR分析により、29日目の皮膚生検においてiNOS mRNAの66.5%の統計的に有意な減少が明らかになった。陽性の臨床的有効性シグナルを化合物Aによる治療の29日後に示した。登録した患者の73.7%は、患者の乾癬症状の改善を実証し、これらの患者の15.8%が29日目の患者のPASIスコアにおいてベースラインから>50%の減少を示した。登録した患者の47.4%は、患者のsPGAの改善を示し、登録した患者の52.6%は、29日目に患者の乾癬の体表面積(BSA)においてベースラインからの減少を示した。
【実施例11】
【0226】
5.11.実施例11:中等度から重度の乾癬を伴う対象における化合物Aの有効性および安全性を実証する第2相試験
この第2相、多施設、ランダム化、二重盲検、プラセボ対照、平行群、用量−比較試験によって、全身治療の候補者である中等度から重度のプラーク型乾癬を伴う対象において化合物Aの有効性および安全性を評価した。
【0227】
本試験には、12週間の治療相、その後の4週間の観察的フォローアップ相が含まれる。総数260名の対象をランダム化して、化合物A20mg BID、化合物A20mg QD、またはプラセボを12週間投与した。本試験の主要エンドポイントは、ベースラインの来院に関連して12週間目/最後の治療で、乾癬の領域および重症度の指数スコア(「PASI−75」)において75%の減少を達成した、化合物Aで治療した対象の割合であった。最後の治療を、12週間の治療相中に完了した最後のPASI評価として定義した。
【0228】
12週間目/最後の治療で、プラセボ群と比較して、20mg BIDで治療された対象のうち有意により高い割合(24%)が、PASI−75を達成した(10%;P=0.023)。20mg BIDまたはプラセボを受けた対象のうち、12週間目/最後の治療で、それぞれ57%対23%がPASI−50を達成し;それぞれ14%対6%がPASI−90を達成した。12週間目/最後の治療で、対象は、20mg BID対プラセボ群それぞれでベースラインからのPASIの平均52%対17%の減少を達成した。化合物Aを投与されている対象は、経時的に改善を続け、12週目にPASIスコアの減少で最も大きな平均パーセントを示した。全体的に、有害事象プロファイルは、3つの治療群すべてにわたって類似した。報告された有害事象の大部分は軽度であった。試験薬関連の重篤な有害事象は本試験で報告されなかった。20mg BID群の対象は、観察的フォローアップ期間中に乾癬による発赤を経験しなかった。
【0229】
本臨床試験において、化合物Aは、中等度から重度のプラーク型乾癬を伴う対象において十分に耐容性があり安全であることが示された。PASIの50%、75%、および90%の改善を達成した対象の割合によって、治療の12週間後に化合物Aの臨床活性が証明されている。
【実施例12】
【0230】
5.12.実施例12:固形物形態スクリーニング試験
5.12.1.実験方法論
溶解性試験。化合物Aの秤量したサンプル(約100mg)を試験溶媒約2mLで処理した。使用した溶媒は、試薬またはHPLC用であった。得られた混合物を少なくとも24時間約25℃でかき混ぜた。すべての固形物を目視検査によって溶解したとき、推定される溶解性を算出した。溶液を生成するために用いた溶媒の総体積に基づいたこれらの実験から溶解性を推定した。実際の溶解性は、大量の溶媒の使用または溶解のゆっくりとした速度によって算出したものよりも高くなり得る。実験中に溶解が起こらなかった場合、溶解性を重量的に測定した。体積既知のろ液を蒸発乾固し、残留物の重量を測定した。
【0231】
溶液の蒸発試験。アセトン、アセトニトリル、塩化メチレンおよびテトラヒドロフランなど、化合物Aの溶解性が約50mg/mLを超える溶媒について溶液の蒸発を行った。開口バイアル中で窒素中で約25℃または約50℃で溶媒をゆっくりと蒸発させることによって固形サンプルを得た。
【0232】
平衡試験。過量の化合物Aを試験溶媒約2mLに加えることによって平衡実験を行った。得られた混合物を、少なくとも24時間約25℃または約50℃でかき混ぜた。平衡を達成した後、飽和溶液を除去し、開口バイアル中で窒素中でそれぞれ約25℃または約50℃で置いてゆっくりと蒸発させた。平衡から得られたスラリーをろ過し空気中で乾燥した。
【0233】
冷却結晶化試験。冷却結晶化試験を行った。固形物を溶媒中で高温度約65℃で溶解し、約25℃まで放冷した。約25℃で結晶化しなかったサンプルを冷蔵庫(約0〜5℃)に入れた。固形物をデカンテーションによって単離し置いて空気中で乾燥した。
【0234】
溶媒/貧溶媒の沈殿試験。溶媒/貧溶媒の組合せによって沈殿を行った。化合物Aが比較的高い溶解性を有する溶媒に固形物を溶解し、次いで、化合物Aが比較的低い溶解性(すなわち、貧溶媒)を有する、選択した溶媒を溶液に加えた。沈殿物は、いくつかの溶媒/貧溶媒系で直ちに形成した。沈殿が直ちに起こらなかった場合、沈殿物が形成するまで得られた混合物を冷蔵庫(約0〜5℃)で放冷した。次いで、沈殿物をデカンテーションによって単離し空気中で置いて乾燥した。
【0235】
相互変換試験。飽和溶媒中で固形物形態のスラリーを作製することによって相互変換実験を行った。スラリーを少なくとも2日間約25℃でかき混ぜた。飽和溶液をろ過によって除去し、固形物を空気中で乾燥した。
【0236】
圧縮試験。Carver Mini Cプレッサーで2000psiの力で少なくとも1分間サンプルを加圧することによって圧縮試験を実施した。次いで、サンプルをXRPDによって分析した。
【0237】
吸湿性試験。様々な固形物形態の吸湿性をSurface Measurement SystemsのDVS装置を用いて試験した。通常、約10〜50mgのサンプルサイズを、DVS装置のサンプル皿に添加し、サンプルをDVS自動収着分析器で約25℃で分析した。相対湿度をRH約0%〜約95%まで約10%ずつ高くした。次いで、相対湿度を類似の方式で低くして、完全な吸着/脱着周期を達成した。実験中定期的な間隔で質量を記録した。
【0238】
5.12.2.特徴付け方法論
固形物形態スクリーニングに記載した通りに生成したサンプルを、通常、粉末X線回折(XRPD)によって分析した。XRPDをThermo ARL X’TRA(商標)粉末X線回折計で1.54ÅのCu Kα放射線を用いて実施した。装置は、ファインフォーカス型X線管を装備させた。X線発生装置の電圧およびアンペア数を、それぞれ45kVおよび40mAに設定した。ダイバージェンススライスを4mmおよび2mmに設定し、測定スライスを0.5mmおよび0.2mmに設定した。回折した放射線をペルティエ冷却Si(Li)固体検出器によって検出した。通常、2.40°/分(0.5秒/0.02°ステップ)で1.5°2θ〜40°2θまでの1θ−2θ連続スキャンを使用した。焼結アルミナ標準を用いてピーク位置を確認した。一般に、XRPDピークの位置は、測定ごとに約±0.2°2θで個別に変わることが予想された。一般に、当技術分野で理解されるように、第1のパターンの特徴的なピークが第2のパターンの特徴的なピークとほぼ同じ位置に位置する場合、2つのXRPDパターンは互いに一致する。当技術分野で理解されるように、2つのXRPDパターンが一致するか否かまたは2つのXRPDパターンの個別のピークが一致するか否かを決定することは、それだけには限らないが、とりわけ、好ましい配向、相の不純物、結晶化度の程度、粒度、回折計装置一式の違い、XRPDデータ収集パラメーターの変動、および/またはXRPDデータ処理のばらつきなどの個別の変数およびパラメーターを考慮する必要があり得る。2つのパターンが一致するか否かの決定は、眼および/またはコンピュータ分析によって実施することができる。これらの方法およびパラメーターを用いて収集したおよび分析したXRPDパターンの例を、本明細書で、例えば、図1、図5、図9、図13、図17、図21および図25として提供する。
【0239】
TA Instruments Q1000(商標)で示差走査熱量測定(DSC)分析を実施した。サンプル約5mgを質量既知のDSC皿に入れ、サンプルの重量を正確に記録した。通常、サンプルを窒素中で1分間に約10℃ずつ約25℃〜最終温度約200℃まで加熱した。通常、熱イベントを補外開始温度として報告した。これらの方法およびパラメーターを用いて収集したおよび分析したDSCサーモグラムの例を、本明細書で、例えば、図2、図6、図10、図14、図18、図22および図26として提供する。
【0240】
熱重量分析(TGA)をTA Instruments Q500(商標)で実施した。シュウ酸カルシウムを較正に用いた。サンプル約10mgを皿に入れ、正確に秤量し、TGA炉に添加した。サンプルを窒素中で1分間に約10℃ずつ約25℃〜最終温度約200℃まで加熱した。これらの方法およびパラメーターを用いて収集したおよび分析したTGAサーモグラムの例を、本明細書で、例えば、図3、図7、図11、図15、図19、図23および図27として提供する。
【0241】
溶媒和溶媒をThermo Nicolet AEMフーリエ変換IR分光光度計と適合したTA Instruments Q500(商標)TGAを用いたTG−IR実験によって同定し定量した。通常、約20〜50mgのサンプルサイズをアルミニウム製皿で秤量し、約200℃まで加熱した。TGA運転中、蒸気を、加熱したトランスファーラインにより細胞に移動させた。トランスファーラインおよび細胞の温度を約225℃に設定した。IRスペクトルをそれぞれ10秒の反復時間で収集した。Aldrich気相スペクトルライブラリーの検索から揮発性を同定し、ライブラリーの一致結果から同定した蒸気を示すことが提示された。
【0242】
サンプルの形態および粒度分析をOlympus社製顕微鏡を用いて行った。装置をUSP標準で較正した。Image Plus−Material Plusソフトウェアを用いてD90値を決定した。D90値は、長さで測定された粒度分布の第90百分位数を表す、すなわち、粒子の90%がこの値以下の長さを有する。
【0243】
5.12.3.固形物形態スクリーニング試験結果
固形物形態スクリーニング試験中に調製された化合物Aを含む固形物形態には、形態A、B、C、D、E、F、Gおよび非晶質の形態が含まれた。形態A、B、C、D、E、FおよびGのそれぞれについての代表的なXRPDパターン、DSCプロット、TGAプロットおよびDVSプロットを本明細書で図1〜図28として提供する。
【0244】
溶解性試験。約25℃における様々な溶媒中の化合物Aの形態Bの近似の溶解性を決定した。結果は表6に示す。形態Bは、アセトン、アセトニトリル、塩化メチレン、メチルエチルケトンおよびテトラヒドロフラン(約50mg/mLを超える)に最も可溶性であり、続いて、酢酸エチル(約30.15mg/mL)に可溶性であることが判明した。形態Bは、n−ブタノール、ヘプタン、2−プロパノール、トルエンおよび水(約1mg/mL未満)を含めたいくつかの溶媒において溶解性が低いことも判明した。
【0245】
溶液蒸発試験。約25℃および約50℃で実施した溶液蒸発試験から得られた結果を表7にまとめて示す。
【0246】
平衡試験。約25℃および約50℃で実施した平衡試験から得られた結果を表8にまとめて示す。
【0247】
冷却結晶化試験。冷却結晶化試験から得られた結果を表9にまとめて示す。冷却結晶化試験では、アセトン、アセトニトリル、酢酸n−ブチル、酢酸エチル、メタノール、塩化メチレン、メチルエチルケトン(MEK)およびテトラヒドロフラン(THF)を含めた多数の溶媒から結晶性物質を生成した。得られた結晶性物質は、通常、XRPD、DSCおよびTGAによって特徴付けられた。
【0248】
溶媒/貧溶媒沈殿試験。溶媒/貧溶媒沈殿試験から得られた結果を表10にまとめて示す。ヘプタン、水およびトルエンをTHF溶液中の形態Bに約40℃で加えるとき、沈殿物が直ちに形成された。ヘプタン、メチルt−ブチルエーテル(MTBE)、トルエンおよび水を、別々にアセトニトリル溶液中の形態Bに約25℃で加えるとき、透明な溶液または混合物が形成された。MTBE/アセトニトリル、水/アセトニトリルおよびトルエン/アセトニトリルから得られた結晶性物質を終夜撹拌した後に得た。しかし、ヘプタン/アセトニトリル混合物で結晶化は起こらなかった。メタノール溶液中の形態Bに約50℃で水を加えたとき、沈殿物が直ちに形成され、ヘプタンおよびトルエンを、別々にメタノール溶液中の形態Bに約50℃で加えたとき、透明な溶液または混合物が形成された。トルエン/メタノールおよびヘプタン/メタノールから得られた結晶性物質を終夜撹拌した後に得た。トルエンを塩化メチレン溶液中の形態Bに約25℃で加えたとき、沈殿物が直ちに形成され、MTBEを塩化メチレン溶液中の形態Bに約25℃で加えたとき、透明な溶液を得た。MTBE/塩化メチレンから得られた結晶性物質を終夜撹拌した後に得た。しかし、ヘプタンを塩化メチレン溶液中の形態Bに加えたとき、結晶化は起こらなかった。ヘプタンをMEK溶液中の形態Bに約50℃で加えたとき、沈殿物が直ちに形成され、MTBEおよびトルエンを、別々にMEK溶液中の形態Bに約50℃で加えたとき、透明な溶液を得た。MTBE/MEKおよびトルエン/MEKから得られた結晶性物質を終夜撹拌した後に得た。ヘプタンを酢酸n−ブチル溶液中の形態Bに約50℃で加えたとき、沈殿物が直ちに形成され、MTBEおよびトルエンを、別々にMEK溶液中の形態Bに約50℃で加えたとき、透明な溶液を得た。MTBE/酢酸n−ブチルおよびトルエン/酢酸n−ブチルから得られた結晶性物質を終夜撹拌した後に得た。水およびトルエンを、別々にアセトン溶液中の形態Bに約40℃で加えたとき、沈殿物が直ちに形成され、エタノールおよび2−プロパノールを、別々にアセトン溶液中の形態Bに約40℃で加えたとき、透明な溶液を得た。エタノール/アセトンおよび2−プロパノール/アセトンから得られた結晶性物質を終夜撹拌した後に得た。得られた結晶性物質をXRPD、DSC、TGAによって同定した。
【0249】
安定性試験。安定性試験の結果を表11にまとめて示す。形態A、B、CおよびDの安定性を、固形サンプルを40℃/75%のRHの苛酷条件に4週間曝露することによって試験した。さらに、異なる溶媒中の形態A、B、CおよびDの安定性を、40℃で4週間異なる溶媒の平衡によって試験した。次いで、スラリーをろ過し空気中で乾燥した。安定性実験から得られた固形サンプルをXRPDおよびDSCによって分析した。
【0250】
相互変換試験。相互変換試験から得られた結果を表12にまとめて示す。
【0251】
圧縮試験。化合物Aの形態A、B、C、D、E、FおよびGについて圧縮試験を実施した。試験された各形態は、XRPD分析で観察されたように実質的に物理的に安定していることが判明した。
【0252】
吸湿性試験。形態A、B、C、D、E、FおよびGについて吸湿性(水分収着/脱着)試験を実施した。DVS系において完全な吸着/脱着周期を経た後、それぞれの固形サンプルをXRPDによって分析した。XRPD結果では、DVS分析の結果として、分析したどの形態も実質的な固体状態の転換がないことが示された。
【0253】
【表6】



【0254】
【表7】



【0255】
【表8−1】



【表8−2】



【0256】
【表9】



【0257】
【表10】



【0258】
【表11】



【0259】
【表12】



【実施例13】
【0260】
5.13.実施例13:200MG用量カプセル剤
表13は、0サイズカプセル剤中で、化合物Aを含む固形物形態200mg、すなわち、約40重量パーセントを含む単回投与単位のためのバッチ配合物および単回用量配合物を図示する。
【0261】
【表13】



【0262】
アルファ化トウモロコシデンプン(SPRESS(商標)B−820)および化合物A構成物を、710μmのふるいに通し、次いで、バッフルインサートを有する拡散ミキサーに添加し、15分間混合した。ステアリン酸マグネシウムを210μmのふるいに通し、その拡散ミキサーに加えた。次いで、混合物を、Dosatorタイプのカプセル充てん機を用いて、0サイズのカプセルにカプセル(8400カプセルバッチサイズ)当たり500mgを被包した。
【実施例14】
【0263】
5.14.実施例14:100MG経口剤形
表14は、化合物Aを含む固形物形態100mgを含むバッチ配合物および単回投与単位配合物を図示する。
【0264】
【表14】



【0265】
微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、および化合物A構成物を、30号メッシュふるい(約430μ〜約655μ)に通す。(Lenexa、KSのJRH Biosciences、Inc.によって製造された)PluronicF−68(登録商標)界面活性剤を20号メッシュふるい(約457μ〜約1041μ)に通す。PluronicF−68(登録商標)界面活性剤およびクロスカルメロースナトリウム0.5kgを16クォートのV型タンブルブレンダーに添加し、約5分間混合した。次いで、混合物を3立方フィートのV型タンブルブレンダーに移し、微結晶セルロースを加え、約5分間混合する。化合物Aを含む固形物形態を加え、追加で25分間混合する。このプレブレンドを、ローラー圧縮機の排出にハンマーミルが取り付けられたローラー圧縮機に通し、タンブルブレンダーに戻す。残りのクロスカルメロースナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムをタンブルブレンダーに加え、約3分間混合する。最終混合物を、回転式タブレットプレスで1錠当たり250mg(200,000錠バッチサイズ)に圧縮する。
【0266】
本発明は、具体的な実施形態に関して記載されているが、特許請求の範囲に定義される本発明の精神および範囲から逸脱することなく様々な変更および修正を加えることができることが、当業者に明らかである。かかる修正はまた、添付した特許請求の範囲の範囲内に収まるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鏡像異性体として純粋な式(I)の化合物を含む固形物形態であって、
【化2】



2θで約8.1°、15.2°、17.4°、23.6°および25.1°のピークを含む粉末X線回折パターンを有する固形物形態。
【請求項2】
約155℃の開始温度による吸熱イベントを含む示差走査熱量測定プロットを有する、請求項1に記載の固形物形態。
【請求項3】
約25℃から約140℃まで加熱したとき約1%未満の質量損失を含む熱重量分析プロットを有する、請求項1に記載の固形物形態。
【請求項4】
鏡像異性体として純粋な式(I)の化合物を含む固形物形態であって、
【化3】



2θで約10.1°、13.5°、20.7°および26.9°のピークを含む粉末X線回折パターンを有する固形物形態。
【請求項5】
2θで約12.4°、15.7°、18.1°および24.7°のピークをさらに含む粉末X線回折パターンを有する、請求項4に記載の固形物形態。
【請求項6】
約154℃の開始温度による吸熱イベントを含む示差走査熱量測定プロットを有する、請求項4に記載の固形物形態。
【請求項7】
約25℃から約140℃まで加熱したとき約1%未満の質量損失を含む熱重量分析プロットを有する、請求項4に記載の固形物形態。
【請求項8】
相対湿度約0%から約95%までの相対湿度の増加を受けたとき約1%未満の質量の増加を示す、請求項4に記載の固形物形態。
【請求項9】
約4週間約40℃および相対湿度約75%への曝露に対して安定である、請求項4に記載の固形物形態。
【請求項10】
鏡像異性体として純粋な式(I)の化合物を含む固形物形態であって、
【化4】



2θで約7.5°、11.3°、16.4°、17.8°および26.4°のピークを含む粉末X線回折パターンを有する固形物形態。
【請求項11】
約138℃の開始温度による吸熱イベントを含む示差走査熱量測定プロットを有する、請求項10に記載の固形物形態。
【請求項12】
約25℃から約140℃まで加熱したとき約10%未満の質量損失を含む熱重量分析プロットを有する、請求項10に記載の固形物形態。
【請求項13】
鏡像異性体として純粋な式(I)の化合物を含む固形物形態であって、
【化5】



2θで約7.5°、11.3°、16.3°、25.2°および26.0°のピークを含む粉末X線回折パターンを有する固形物形態。
【請求項14】
約100℃の開始温度による吸熱イベントを含む示差走査熱量測定プロットを有する、請求項13に記載の固形物形態。
【請求項15】
約25℃から約110℃まで加熱したとき約10%未満の質量損失を含む熱重量分析プロットを有する、請求項13に記載の固形物形態。
【請求項16】
鏡像異性体として純粋な式(I)の化合物を含む固形物形態であって、
【化6】



2θで約7.6°、9.2°、11.4°、17.9°および26.6°のピークを含む粉末X線回折パターンを有する固形物形態。
【請求項17】
約95℃の開始温度による吸熱イベントを含む示差走査熱量測定プロットを有する、請求項16に記載の固形物形態。
【請求項18】
約25℃から約110℃まで加熱したとき約8%未満の質量損失を含む熱重量分析プロットを有する、請求項16に記載の固形物形態。
【請求項19】
鏡像異性体として純粋な式(I)の化合物を含む固形物形態であって、
【化7】



2θで約8.1°、8.6°、15.6°、17.3°および25.4°のピークを含む粉末X線回折パターンを有する固形物形態。
【請求項20】
約145℃の開始温度による吸熱イベントを含む示差走査熱量測定プロットを有する、請求項19に記載の固形物形態。
【請求項21】
約25℃から約180℃まで加熱したとき約1%未満の質量損失を含む熱重量分析プロットを有する、請求項19に記載の固形物形態。
【請求項22】
鏡像異性体として純粋な式(I)の化合物を含む固形物形態であって、
【化8】



2θで約7.9°、11.7°、16.8°、18.1°および26.7°のピークを含む粉末X線回折パターンを有する固形物形態。
【請求項23】
約109℃の開始温度による吸熱イベントを含む示差走査熱量測定プロットを有する、請求項22に記載の固形物形態。
【請求項24】
約25℃から約110℃まで加熱したとき約8%未満の質量損失を含む熱重量分析プロットを有する、請求項22に記載の固形物形態。
【請求項25】
請求項1、4、10、13、16、19および22に記載の固形物形態から選択される2つ以上の固形物形態を含む混合物。
【請求項26】
請求項1、4、10、13、16、19および22に記載の固形物形態から選択される固形物形態を含む医薬組成物。
【請求項27】
TNF−α産生の阻害によって寛解する疾患または障害を治療するまたは予防する方法であって、請求項1、4、10、13、16、19および22に記載の固形物形態から選択される固形物形態の治療上有効量または予防上有効量を投与するステップを含む方法。
【請求項28】
疾患または障害が、乾癬;乾癬性関節炎;関節リウマチ;慢性皮膚サルコイドーシス;巨細胞性動脈炎;パーキンソン病;結節性痒疹;扁平苔癬;複合性アフタ症;ベーチェット病;狼瘡;肝炎;ブドウ膜炎;シェーグレン病;うつ病;間質性膀胱炎;外陰部痛;前立腺炎;変形性関節症;びまん性大細胞型B細胞リンパ腫;多発性筋炎;皮膚筋炎;封入体筋炎;びらん性骨関節炎;間質性膀胱炎;肝炎;子宮内膜症;神経根症;および壊疽性膿皮症から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
PDE4の阻害によって寛解する疾患または障害を治療するまたは予防する方法であって、請求項1、4、10、13、16、19および22に記載の固形物形態から選択される固形物形態の治療上有効量または予防上有効量を投与するステップを含む方法。
【請求項30】
疾患または障害が、HIV;肝炎;成人呼吸促迫症候群;骨吸収疾患;慢性閉塞性肺疾患;慢性肺炎症性疾患;皮膚炎;炎症性皮膚疾患、アトピー性皮膚炎、嚢胞性線維症;敗血性ショック;敗血症;内毒素ショック;血行動態ショック;敗血症症候群;虚血後の再灌流障害;髄膜炎;乾癬;線維性疾患;悪液質;移植片対宿主病を含めた移植片拒絶;自己免疫疾患;リウマチ性脊椎炎;関節リウマチおよび変形性関節症などの関節炎症状;骨粗鬆症;クローン病;潰瘍性大腸炎;炎症性腸疾患;多発性硬化症;全身性エリテマトーデス;ハンセン病におけるらい性結節性紅斑;放射線損傷;喘息;および高酸素性肺胞損傷から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
癌を治療するまたは予防する方法であって、請求項1、4、10、13、16、19および22に記載の固形物形態から選択される固形物形態の治療上有効量または予防上有効量を投与するステップを含む方法。
【請求項32】
癌が多発性骨髄腫、悪性黒色腫、悪性神経膠腫、白血病および固形腫瘍から選択される、請求項31に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公表番号】特表2011−515463(P2011−515463A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−501754(P2011−501754)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際出願番号】PCT/US2008/004021
【国際公開番号】WO2009/120167
【国際公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(500026935)セルジーン コーポレイション (41)
【Fターム(参考)】