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(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドのマレイン酸塩およびその結晶形態
説明

(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドのマレイン酸塩およびその結晶形態

【課題】キナーゼ活性を選択的に阻害し、次いで細胞増殖および腫瘍形成を阻害する置換3−シアノキノリン化合物の安定な結晶水溶性形態を提供すること。
【解決手段】本発明は、(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドのマレイン酸塩形態、結晶マレイン酸塩形態を調製する方法、関連する化合物、およびそのマレイン酸塩形態を含有する医薬組成物に関する。このマレイン酸塩は、癌、特に上皮増殖因子受容体ファミリーのキナーゼの影響を受ける癌の治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドのマレイン酸塩、その結晶形態、塩を調製する方法、関連する化合物、そのマレイン酸塩を含有する医薬組成物、およびそれらの使用方法に関する。(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドのマレイン酸塩は、癌の治療に有用である。
【背景技術】
【0002】
3−シアノキノリンから誘導された化合物は、抗腫瘍活性を有することが示されており、この活性は、これに限定されるものではないが、膵臓癌、黒色腫、リンパ癌、耳下腺腫瘍、バレット食道、食道癌腫、頭頸部腫瘍、卵巣癌、乳癌、類表皮腫瘍、腎臓、膀胱、喉頭、胃、および肺などの主要器官の癌、結腸ポリープ、および結腸直腸癌、ならびに前立腺癌を含めた種々の癌の治療において、それらの化合物を化学療法剤として有用なものとする可能性がある。3−シアノキノリンから誘導された化合物の例は、米国特許第6002008号、第6432979号、および第6288082号に開示され、抗腫瘍活性を有することが示されている。ある種の3−シアノキノリン化合物の限界の1つは、遊離塩基形態で水溶性でないことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
その塩、水和物、および/または任意の多形としての特定の薬物の結晶形態はしばしば、薬物の調製の容易さ、安定性、水溶性、貯蔵安定性、配合の容易さ、およびin vivo薬理の重要な決定要因の1つである。調製の容易さ、安定性、水溶性、および/または優れた薬物動態などのある種の側面が重要であるとみなされる場合、1つの結晶形態が別の結晶形態より好ましい可能性がある。遊離塩基より高い水溶解度を有するが安定である(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミド塩の結晶形態は、キナーゼ活性を選択的に阻害し、次いで細胞増殖および腫瘍形成を阻害する置換3−シアノキノリン化合物の安定な結晶水溶性形態という、満たされていない要求をかなえるものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、無水物形態、一水和物形態、および無水物形態と一水和物形態の混合物(部分水和物形態と称する)として単離され、特徴づけられた、(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩の結晶形態を提供する。本発明はまた、このマレイン酸塩およびその結晶形態を使用する方法、ならびにそれらを含有する医薬製剤に関する。
【0005】
本発明は、示差走査熱量測定(DSC)によって、溶融および分解が起こる、約196〜204℃の範囲の開始温度を示すことを特徴とする、無水(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩の単離された結晶形態(形態I)を提供する。
【0006】
本発明はまた、無水(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩の単離された結晶形態(形態I)を提供し、このマレイン酸塩は、X線回折パターンにおいて以下の2θ角(±0.20°):6.16、7.38、8.75、10.20、12.24、12.61、14.65、15.75、17.33、18.64、19.99、20.66、21.32、22.30、23.18、24.10、24.69、25.49、26.09、26.54、27.52、28.62、および29.43におけるX線回折(XRD)ピークを特徴とする。別の実施形態において、無水(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩の単離された結晶形態は、すべてのX線回折ピークがほぼ上に開示した2θ角であるX線回折パターンを示す。
【0007】
本発明は、約50℃で水分損失を示し、一水和物としての化合物の重量に対して、約2.5から2.7重量%の水分含量を特徴とする、(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩一水和物の単離された結晶形態(形態II)を提供する。
【0008】
本発明はまた、(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩一水和物の単離された結晶形態(形態II)を提供し、このマレイン酸塩は、X線回折パターンにおいて以下の2θ角(±0.20°):6.53、8.43、10.16、12.19、12.47、13.01、15.17、16.76、17.95、19.86、21.11、21.88、23.22、23.78、25.69、26.17、27.06、27.58、28.26、28.73、および29.77におけるXRDピークを特徴とする。別の実施形態において、(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩一水和物の単離された結晶形態は、すべてのX線回折ピークがほぼ上に開示した2θ角であるX線回折パターンを示す。
【0009】
本発明はまた、DSCによって、特に遷移温度約203.8℃において、溶融および分解が起こる、196〜204℃の範囲の開始温度を示すことを特徴とする、(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩一水和物の単離された結晶形態(形態II)を提供する。
【0010】
本発明は、化合物の重量に対して、約1.5重量%から約2.3重量%を含めた約0.8から約2.4重量%の水分含量を特徴とする、部分水和(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩の単離された結晶形態(形態III)を提供する。
【0011】
本発明は、(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミド(遊離塩基)をマレイン酸と混合し、その混合物を高温で水−アルコール溶液に溶解することによって、マレイン酸塩を調製する方法を提供する。得られた溶液を冷却し、冷却した溶液は(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩を含有する。
【0012】
本発明はまた、結晶一水和物の形態(形態II)で(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩を調製する方法であって、無水(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩(形態I)を有機溶媒およびある量の水と混合するステップ、および混合物から析出する結晶一水和物を濾過するステップを含む方法を提供する。
【0013】
本発明はまた、結晶一水和物の形態(形態II)で(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩を調製する方法であって、無水(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩(形態I)を有機溶媒と混合するステップ、有機溶媒にある量の水を含む溶液を添加するステップ、および混合物から析出する結晶一水和物を濾過するステップを含む方法を提供する。
【0014】
本発明はまた、結晶一水和物の形態(形態II)で(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩を調製する方法であって、無水(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩(形態I)を有機溶媒およびある量の水と混合するステップ、および混合物から析出する結晶一水和物を濾過するステップを含む方法を提供する。
【0015】
本発明はまた、結晶一水和物の形態(形態II)で(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩を調製する方法であって、無水(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩(形態I)をある量の水を含む有機溶媒と混合するステップ、および混合物から析出する結晶一水和物を濾過するステップを含む方法を提供する。
【0016】
本発明はまた、結晶一水和物の形態(形態II)で(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩を調製する方法であって、無水(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩(形態I)を数日の期間をかけてある量の水を含む有機溶媒と混合するステップ、および混合物から析出する結晶一水和物を濾過するステップを含む方法を提供する。
【0017】
本発明はまた、無水物形態(形態I)で(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩を調製する方法であって、約12から約48時間、30℃を超える温度で、一水和物(形態II)の(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩を真空下で乾燥するステップを含む方法を提供する。
【0018】
本発明はまた、(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩、および以下の構造を有する1種または複数の関連化合物を含む医薬製剤を提供する。
【0019】
【化1】

【0020】
本発明はまた、治療有効量の(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩および薬学的に許容できる担体を含む、HER−2キナーゼ活性を阻害するための医薬組成物を提供する。医薬組成物はまた、上に記載した1種または複数の関連化合物を含有することができる。マレイン酸塩は、無水物形態、一水和物形態、およびこれらの形態の組合せであってよい。
【0021】
本発明はまた、治療有効量の(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩を対象に投与することによって、癌を予防、治療、または抑制する方法を提供する。対象は、哺乳動物、より具体的にはヒトであってよい。マレイン酸塩は、無水物形態、一水和物形態、または部分水和物形態で投与することができる。上に記載した1種または複数の関連化合物もこの方法の間に投与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩の2種の結晶形態、無水物形態Iおよび一水和物形態IIのXRDスキャンである。
【図2】(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩、形態IおよびIIの動的蒸気吸着(DSV)等温プロットである。
【図3】形態IおよびIIの示差走査熱量測定(DSC)プロットである。
【図4】形態IおよびIIの熱重量分析(TGA)プロットである。
【図5】形態Iを22日間、周囲温度で相対湿度75%に曝露した後の形態I、II、およびIII(部分水和物形態)のXRDスキャンである。
【図6】形態Iの2つのバッチのXRDスキャンである。
【図7】24時間、周囲温度20〜25℃で相対湿度50〜60%に曝露した前後の形態IIのXRDスキャンである。
【図8】24時間、周囲温度20〜25℃で相対湿度50〜60%に曝露した前後の形態IのXRDスキャンである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドは、上皮増殖因子受容体(EGFR)ファミリーのメンバーである、Her−2(別名ErbB−2またはneu)キナーゼの不可逆的阻害剤である。EGFRファミリーのメンバーは腫瘍形成に関与するとされており、ヒトにおいて腫瘍型の予後不良と関連づけられている。遊離塩基の形態の(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドの構造を以下に示す。
【0024】
【化2】

【0025】
遊離塩基の形態の化合物(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドは、米国特許第6288082号に記載されている。この化合物は、生物薬剤分類体系(Biopharmaceutical Classification System)に基づいて、BCS Class IV化合物(低水溶解性および低透過性)に分類される。この遊離塩基は水に低い溶解性を有し、約pH7で水溶解度は約1μg/mLである。化合物がイオン化されるため、水溶解度はpHの低下に伴って増大する。この化合物は胃腸のpHで水溶性であり、分解は律速ではない。改善された物理化学的特性を有するこの化合物の形態が求められている。
【0026】
本発明は、(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドの水溶性酸付加塩形態を提供する。遊離塩基化合物は、薬学的に適切な種々の酸と塩を形成することができる。薬学的に適切な酸には、これに限定されるものではないが、たとえば酢酸、フマル酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、およびp−トルエンスルホン酸が含まれる。表1に示したとおり、最適な医薬塩形態をスクリーニングするために、それぞれの酸付加塩形態の物理化学的特性を評価した。
【0027】
【表1】

【0028】
9種の塩のうち、マレイン酸塩は有利な物理化学的特性を示した。マレイン酸塩は結晶性であり、吸湿性が低かった。メシル酸塩は吸湿性であり、結晶性が低かった。トシル酸塩は、主として高い分子量と安全性に関する懸念から、さらに魅力を欠いた。酢酸「塩」は結晶のように見えたが、酢酸から調製されたこの生成物は実際には塩でないことがNMRによって明らかになった。酢酸から調製された生成物がアルカリ性のpHを生じ、水に不溶性であるという事実から、この生成物が大いに遊離塩基の特性を保持していることが確認された。
【0029】
表2に示したとおり、(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩は結晶性であり、遊離塩基と比較して水に高い溶解性を有する。
【0030】
【表2】

【0031】
ラットでの複数の前臨床試験から抽出したデータに関して、(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドの全身曝露(SE)データの比較を行った。これらのデータの分析は、ラットにおいて、用量範囲5から45mg/kgで投与したとき、マレイン酸塩としての化合物の投与が、遊離塩基と比較してAUC(濃度下面積)を2倍増大することを示した。遊離塩基としての化合物の全身アベイラビリティは比較的低く(20%)、便に相当量の薬物が存在するのは吸収の不良に起因する可能性がある。マレイン酸塩の溶解性の増大は、ラットにおいて化合物の吸収を亢進すると考えられる。表3はラットで観察された血漿化合物平均AUCおよびCmaxデータを示す。
【0032】
【表3】

【0033】
表4に示したとおり、マレイン酸塩は一貫して再現性良く、有益な物理化学的特性を示した。
【0034】
【表4】

【0035】
不良な水溶解性を示すことに加えて、遊離塩基の形態の化合物(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドは、哺乳動物において胃の嘔吐受容器と相互作用し、下痢を引き起こす。しかしながら、(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドのマレイン酸塩は、意外なことに、そのような問題を軽減し、哺乳動物において嘔吐受容器相互作用を最小限に抑える。
【0036】
マレイン酸塩は、(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミド(遊離塩基)をマレイン酸と混合し、その混合物を高温で水−アルコール溶液に溶解することによって調製される。得られた溶液を冷却し、冷却した溶液は(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩を含有する。一実施形態によれば、(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩は、スキーム1に記載したとおり、水およびn−プロパノールの溶液中、マレイン酸と遊離塩基を混ぜ合わせることによって調製される。
【0037】
【化3】

【0038】
遊離塩基とマレイン酸の反応は、約40℃から約60℃、好ましくは約40℃から約50℃の高温で起こる。水:n−プロパノールの比率は、たとえば約1:10から約1:5の間で多様であってよく、水:n−プロパノールの最適な比率は、約1:9である。水−アルコール溶液は、約5体積%から約20体積%の水、および約80体積%から約95体積%のアルコールを含んでよい。アルコールは、n−プロパノールであってよい。一実施形態において、水−アルコール溶液は、約10体積%の水、および約90体積%のn−プロパノールを含む。溶媒溶液の体積は、約10から約12体積を含めて、約8から約25体積であってよい。遊離塩基当量当たり、マレイン酸約1.0〜1.2当量、好ましくは遊離塩基当量当たり、マレイン酸約1.03当量を用いる。
【0039】
得られたマレイン酸塩の溶液は、冷却に先立って濾過によって透明にすることができる。冷却ステップは、溶液が、温度約39℃以下、より好ましくは約30℃以下を含めて、温度約45℃以下に達するまで続けることができる。一実施形態において、ほぼ室温、好ましくは約23℃から約25℃に冷却した後、溶液を濾過する。典型的に、マレイン酸塩は温度が37℃以下に達すると、溶液から晶出を始める。溶液を室温で少なくとも12時間、好ましくは約12から約15時間静置し、その後濾過し、洗浄して、結晶マレイン酸塩生成物を回収する。得られた濾過ケークを、同じかまたは異なる水−アルコール溶液で洗浄して、生成物を得ることができる。生成物を乾燥して、結晶(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩を得ることができる。この時点で、回収され、単離されたマレイン酸塩生成物は、典型的に、マレイン酸塩の一水和物の形態である。
【0040】
生成物を加熱しながら真空下で乾燥して、収率約70から約95%、好ましくは収率約80から約95%で、マレイン酸塩の無水物形態(形態I)を製造することができる。この生成物は通常、純度約98%より良好な純度であり、しばしば純度約99%より良好な純度である。典型的に、乾燥工程は、マレイン酸塩の無水物形態をマレイン酸の一水和物形態(形態II)に完全に変換させるために、約12から約48時間かけて行われる。乾燥時間が短いと、一般に2種の結晶形態の混合物が生じる。乾燥工程は多くの場合、室温を超える温度で行われる。一実施形態において、マレイン酸塩の乾燥は、約30℃を超える温度、好ましくは約40℃から約60℃で行われ、別の実施形態では約50℃で行われる。
【0041】
このマレイン酸塩は、当業者に公知であろう多くの極性溶媒に可溶性であるが、小容量の溶媒が望ましい場合、しばしばジメチルスルホキシド(DMSO)が用いられる。DMSO溶液を約45℃から約60℃に加熱して、さらに溶解度を高めることができる。無水マレイン酸塩が溶解したところで、典型的には迅速に、水を添加することができ、結晶化させて、濾過により結晶一水和物形態を得る。無水塩を溶媒、たとえばDMSOに溶解することができ、この溶液に水ならびに有機溶媒、たとえばテトラヒドロフラン(THF)、イソプロパノール(IPA)、n−プロパノール、アセトン、エタノール、メタノール、およびアセトニトリルなどの水性溶液を添加することができる。一実施形態において、用いられる有機溶媒はIPAであり、別の実施形態では、n−プロパノールであり、第3の実施形態では、これら2種の有機溶媒の混合物が用いられる。水性溶液の水分含量は、わずか5%であってよいが、約7.5%以上であってもよく、一実施形態では、約10%から約15%である。次いで、得られた溶液を約24時間まで静置し、一実施形態では、約12時間から約24時間静置し、結晶化を起こさせることができる。混合物を濾過して、マレイン酸塩の結晶一水和物形態を得る。本発明の目的では、用語「有機溶媒および水」は、たとえばテトラヒドロフラン(THF)、DMSO、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、またはアセトニトリルなどの有機溶媒および水の溶液であり、有機溶媒が溶液の50体積%超を占める溶液を指す。
【0042】
本発明の(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドのマレイン酸塩は、3種の異なる結晶形態、無水物形態(形態I)、一水和物形態(形態II)、および形態Iと形態IIの混合物を含む部分水和物形態(形態III)で単離された。
【0043】
一実施形態によれば、(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩の無水物形態(形態I)は、(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドとマレイン酸の反応生成物を乾燥することによって、結晶固体として得られる。乾燥には、空気乾燥、加熱、および減圧乾燥が含まれる。別の実施形態において、(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩の無水物形態(形態I)は、(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩の一水和物形態(形態II)を乾燥することによって、結晶固体として得られる。
【0044】
単離された無水(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩の結晶形態(形態I)は、示差走査熱量測定(DSC)によって、溶融および分解が起こる、約196〜204℃の範囲の開始温度を示すことを特徴とする。
【0045】
この無水マレイン酸塩(形態I)は、X線回折パターンにおいて以下の2θ角(±0.20°):6.16、7.38、8.75、10.20、12.24、12.61、14.65、15.75、17.33、18.64、19.99、20.66、21.32、22.30、23.18、24.10、24.69、25.49、26.09、26.54、27.52、28.62、および29.43におけるX線回折(XRD)ピークを特徴とする。別の実施形態において、無水(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩の単離された結晶形態(形態I)は、すべてのX線回折ピークがほぼ上に開示した2θ角であるX線回折パターンを示す。
【0046】
一実施形態によれば、(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩は、無水(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩(形態I)を有機溶媒およびある量の水と混合し、混合物から析出する結晶一水和物を濾過することによって、結晶一水和物の形態(形態II)で調製される。
【0047】
別の実施形態によれば、結晶一水和物形態(形態II)の(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩は、無水(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩(形態I)を有機溶媒と混合し、有機溶媒にある量の水を含む溶液を添加し、混合物から析出する結晶一水和物を濾過することによって調製される。
【0048】
他の実施形態において、結晶一水和物形態(形態II)の(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩は、無水(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩(形態I)を数日の期間をかけてある量の水を含む有機溶媒と混合し、混合物から析出する結晶一水和物を濾過することによって調製される。数日の期間は、適切には約1〜20日である。
【0049】
(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩一水和物の単離された結晶形態(形態II)は、DSCによる測定で、約50℃で水分損失を示し、熱重量分析(TGA)による測定で、一水和物としての化合物の重量に対して、約2.5から2.7重量%の水分含量を特徴とする。マレイン酸塩の一水和物形態の水分含量は、カールフィッシャー滴定によっても測定した。
【0050】
一水和物の(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩(形態II)は、X線回折パターンにおいて以下の2θ角(±0.20°):6.53、8.43、10.16、12.19、12.47、13.01、15.17、16.76、17.95、19.86、21.11、21.88、23.22、23.78、25.69、26.17、27.06、27.58、28.26、28.73、および29.77におけるX線回折ピーク(XRD)を特徴とする。別の実施形態において、(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩一水和物の単離された結晶形態は、すべてのX線回折ピークがほぼ上に開示した2θ角であるX線回折パターンを示す。
【0051】
本明細書では、単離されたという用語は、存在する結晶(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩の50%超が、形態IおよびIIの1つであることを意味する。一実施形態において、存在する結晶(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩の少なくとも70%が、形態IおよびIIの1つである。第2の実施形態において、存在するマレイン酸塩の少なくとも80%が、形態IおよびIIの1つである。第3の実施形態において、存在するマレイン酸塩の少なくとも90%が、形態IおよびIIの1つである。
【0052】
(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩の2種の結晶形態は、別個の異なるXRDパターンおよびピークを示す。それぞれのマレイン酸塩形態のXRDパターンは、その塩形態に特有である。形態IおよびIIのXRDパターンを、分析化学およびX線結晶学の当業者に公知の技法および装置を用いて求めた。XRDパターンは粉末試料を用いて作製したが、XRDパターンは、2θ角、面間隔d(d−spacing)、および/または相対ピーク強度で表わすことのできる、一連の回折ピークからなる。XRDパターンを図1、5、6、7、および8に示す。図1、7、および8に示したX線データの収集パラメータは次のとおりであった。電圧:40kV、電流:40.0mA、走査範囲5.00〜30.00°、Bruker D8 Advance装置、走査幅0.01°、総走査時間30分、Vantec−1検出器およびNiフィルタ使用。図5および6のX線データは次のとおり収集した。電圧:30kV、電流:15mA、走査範囲3〜40°、2.00°/分、Rigaku MiniFlexベンチトップ型X線回折装置。
【0053】
2θ回折角および対応する面間隔d値は、XRDパターンに見出されるピークの位置を説明する。面間隔d値は、ブラッグの方程式を用いて、観察された2θ角および銅Kα1波長によって算出される。これらの数の変動は、異なる回折装置の使用、および試料調製法によって生じる可能性がある。しかしながら、より多くの変動が相対ピーク強度に関して予期できる。したがって、種々の形態の同定は、観察された2θ角および面間隔dに基づくべきであり、強度をあまり重要視すべきではない。本明細書に記載した、得られた形態IおよびIIのXRDパターンはさらなるピークを含有できることを当業者は理解するであろう。さらに、所与の形態に関してすべてのピークが観察されているかどうかは、その形態の濃度レベルに大きく依存する可能性のあることを当業者は認識するであろう。図1は、マレイン酸塩の2種の結晶形態、形態IおよびIIのXRDスキャンを例示する。結晶無水マレイン酸塩形態、形態Iを下に示し、マレイン酸塩の結晶一水和物形態、形態IIを下に示す。
【0054】
マレイン酸塩の2種の結晶形態の相対安定性および吸湿性を、動的蒸気吸着(DVS)によって詳細に研究した。マレイン酸塩の無水物形態は容易に水を吸収し、マレイン酸塩の結晶一水和物形態に変換される。図2に要約したとおり、乾燥するかまたは相対湿度が低下すると、マレイン酸塩の結晶一水和物形態は、マレイン酸塩の無水物形態に変換される。図2は、(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩形態Iが、相対湿度(RH)40%超、特にRH60%以上で湿分を得ることを示す動的蒸気吸着等温プロットである。図2はまた、形態IIがRH20%以下、特にRH10%以下で水分を失うことを示している。DVSは、以下の条件で行った。RHは0%、30%、52.5%、75%、および90%に設定し、2回の全サイクルで試料をそれぞれのRHに3時間曝露した。
【0055】
(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩の2種の結晶形態は、別個の異なるDSCトレースを示す。マレイン酸塩の形態Iおよび形態II両方のDSCプロットを図3に要約する。マレイン酸塩の形態Iは、遷移温度202.49℃を示唆する、1つの吸熱ピークを示す。マレイン酸塩の形態IIは2つの吸熱ピークを示し、幅広い吸熱は水分損失に相当する55℃の開始温度を有し、第2の吸熱は遷移温度202.81℃を示唆する。遷移温度は、溶融および分解が起こる、約196〜204℃の範囲で観察される。DSCデータ、遷移温度、および熱流量は、以下のパラメータ、50mL/分(N)ガスパージ、走査範囲40から240℃、走査速度10℃/分で、TA Instrument Model Q1000を用いて収集した。純粋な結晶性固体は、その物質が状態を変える、この場合は固体が液体に遷移する温度である、特徴的な遷移温度を有する。固体と液体との間の遷移は、純粋な物質の小さい試料では非常に鋭いため、遷移温度は0.1℃まで測定できる。遷移温度より高い温度に固体を加熱するのは困難であり、純粋な固体は非常に小さい温度範囲で遷移する傾向があるため、遷移温度はしばしば化合物の同定を助けるために用いられる。固体の遷移温度の測定は、その物質の純度に関する情報も提供できる。純粋な結晶性固体は非常に狭い温度範囲で遷移するが、混合物は広い温度範囲にわたって遷移する。混合物はまた、純粋な固体の遷移温度より低い温度で遷移する傾向がある。
【0056】
マレイン酸塩の一水和物および無水物形態のTGAデータを図4に要約する。マレイン酸塩の形態IIは、TGAによる測定で、一水和物としての化合物の重量に対して、約2.5から2.7重量%の水分含量を特徴とする。TGAデータは、TA Instrument ModelQを用いて収集した。30〜220℃の間で加熱速度10℃/分を用い、TGAチャンバは40mL/分の窒素流下であった。
【0057】
XRDから観察されるように、マレイン酸塩の第3の結晶形態が観察され、部分水和物(形態III)と称される。部分水和物は、マレイン酸塩の形態Iと形態IIの混合物である。部分水和(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩(形態III)は、化合物の重量に対して、約1.5重量%から約2.3重量%を含めた約0.8から約2.4重量%の水分含量を特徴とする。
【0058】
図5は、マレイン酸塩の無水物形態を22日間、周囲温度20〜25℃で相対湿度75%に曝露した後の(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩の無水物形態I、一水和物形態II、および部分水和物形態IIIそれぞれのXRDスキャンを含む。
【0059】
図6は、形態Iの結晶(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩の2つのバッチのXRDスキャンである。マレイン酸塩の無水物形態は24時間にわたって周囲温度20〜25℃で水を吸収し、マレイン酸塩の一水和物形態に部分的に変換される。マレイン酸塩の一水和物形態は、24時間周囲温度20〜25℃で比較的安定である。図7は、24時間、周囲温度20〜25℃で相対湿度50〜60%に曝露した前後の形態IIの結晶(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩のXRDスキャンを例示するものである。マレイン酸塩の一水和物形態を高温(>50℃)または減圧下での加熱に曝露することによって、水分損失およびマレイン酸塩の無水物形態に戻る完全な変換が促進される。
【0060】
無水物形態の形態Iは、一水和物形態の形態IIに容易に変換される。図8に示したとおり、形態Iは、経時的に温度20〜25℃および相対湿度(RH)50〜60%で水を吸収し、部分的に一水和物に変換され得る。図8は、24時間、室温20〜25℃で相対湿度50〜60%に曝露する前(下部スキャン)および曝露した後(上部スキャン)の形態Iの結晶(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩のXRDスキャンである。水和物のピークが上部スキャンに出現し、結晶がこれらの条件下で水を吸収することを示唆している。
【0061】
(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドのマレイン酸塩の両方の形態の安定性を40℃および75%RHで密封および開放容器において評価した。これらの条件下で6カ月間、形態Iおよび形態IIは両方とも安定なままであった。開放容器では、マレイン酸塩の無水物形態は急速に1モルの水を吸収して、マレイン酸塩の一水和物形態を形成した。密封容器の試料は乾燥したままであった。HPLC純度分析は、6カ月までの間、開放および密封容器の両方において、分解生成物の著しい増加のないことを示唆した。データを表5に要約する。
【0062】
【表5】

【0063】
マレイン酸塩のどの結晶形態が得られるか判定するために、種々の溶媒においてマレイン酸による遊離塩基の反応晶析を行った。表6は、様々な操作条件でのn−プロパノールと水の混合物中の晶析工程の結果を例示する。すべての実験で湿潤ケークはマレイン酸塩の一水和物形態を含有し、これは乾燥後にマレイン酸塩の無水物形態に変換される。
【0064】
【表6】

【0065】
表7は、種々の溶媒における遊離塩基とマレイン酸の反応晶析の結果を示すものであり、すべての実験でマレイン酸塩の無水物形態が生じた。
【0066】
【表7】

【0067】
(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩を明らかに溶解する1つの溶媒はジメチルスルホキシド(DMSO)である。DMSOとイソプロパノールまたはt−ブチルメチルエーテル(tBME)との混合物中で、冷却、非溶媒、および蒸発晶析を行った。この手法は多くの例で溶質の分解をもたらした。表8および9に要約したとおり、非溶媒晶析および蒸発晶析は新しい結晶形態を生じなかった。
【0068】
【表8】

【0069】
【表9】

【0070】
一実施形態によれば、無水物形態Iを一水和物形態IIに変換する1つの方法は、たとえばTHF、イソプロパノール(IPA)、n−プロパノール、アセトン、エタノール、メタノール、およびアセトニトリルなどの有機溶媒と水の溶液に溶解することによるものであり、存在する水は約5体積%から約20体積%であるが、典型的には存在する水は約10体積%から約15体積%である。この溶液を加熱して、マレイン酸塩の溶解度を高めることができ、一実施形態において、溶液を約45℃以上に加熱し、他の実施形態においては、溶液を約60℃に加熱する。次いで、溶液を数時間静置して結晶化させ、その後、結晶を濾過して、一水和物形態IIを得る(表6参照)。一実施形態において、溶液を約12から約24時間静置し、その後、濾過する。
【0071】
別の実施形態によれば、表10に要約した安定性試験に示したとおり、水を含有する有機溶媒に形態Iをリスラリーし、その溶液を数日間室温に曝露することによって、形態Iを形態IIに変換する。図8から明らかなように、無水物形態Iは容易に湿分を吸収するため、この変換は1%までの水を吸収した無水溶媒でも起こる。一実施形態において、リスラリーを約14日間放置する。
【0072】
【表10】

【0073】
本発明はまた、(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドの遊離塩基もしくはマレイン酸塩、または本発明の方法に関連する化合物に関する。1種または複数のこれらの関連化合物は、本発明の工程において冷却溶液に見出すことができる。これらの化合物はマレイン酸塩から分離されないことがあるため、マレイン酸塩で調製された医薬製剤は1種または複数のこれらの化合物を含有する可能性がある。
【0074】
マレイン酸塩の製剤を調製し、6カ月間40℃/75%RHの安定性チャンバ、および1カ月間56℃のオーブンに貯蔵した。試験のため試料を定期的に抜き出した。試料を50/50体積/体積のアセトニトリル/水に約0.5mg/mLの濃度で溶解した。6カ月時点での分解生成物および不純物(本明細書では関連化合物と称する)を同定するために、LC/MS法を用いて、溶液を直接検定した。LC/MSによって検出された関連化合物の構造を表11に示す。特に、(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩に関連する分解生成物の量は、本発明の生成方法によって低減する。
【0075】
【表11】

【0076】
これらの関連化合物の名称は以下のとおりである。
2−({4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}アミノ)−2−オキソ酢酸;
−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−エタンジアミド;
6−アミノ−4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−7−エトキシ−3−キノリンカルボニトリル;
4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−7−エトキシ−6−(2−ヒドロキシ−5−オキソピロリジニル)−3−キノリンカルボニトリル;
N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−3,4−ビス(ジメチルアミノ)ブタンアミド;
N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−1−メチル−2,3−ジオキソ−4−ピペリジンカルボキサミド;
N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}アセトアミド;
(E)−4−({4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}アミノ)−N,N,N−トリメチル−4−オキソ−2−ブテン−1−アミニウム
−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−N,N−ジメチルエタンジアミド;
4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニルホルムアミド;および、
4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−7−エトキシ−6−[(1−メチル−2−ピロリジニリデン)アミノ]−3−キノリンカルボニトリル。
【0077】
本発明のマレイン酸塩の結晶形態は、治療有効量の(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩を対象に投与することによって、炎症または癌を予防、治療、または抑制するのに有用である。対象は、哺乳動物、より具体的にはヒトであってよい。マレイン酸塩は、無水物形態、一水和物形態、または部分水和物形態で投与することができる。上に記載した1種または複数の関連化合物もこの方法の間に投与することができる。
【0078】
本発明のマレイン酸塩の結晶形態は、癌の治療に関係する、HER−2キナーゼ活性を阻害するための医薬組成物の調製に有用である。この製剤は、治療有効量の(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩、および薬学的に許容できる担体を含有する。医薬組成物は、無水物形態、一水和物形態、または部分水和物形態で投与することができる。上に記載した1種または複数の関連化合物もこの方法の間に投与することができる。
【0079】
本発明の医薬組成物および製剤は、乳癌、卵巣癌、類表皮腫瘍、結腸癌、前立腺癌、腎臓癌、膀胱癌、喉頭癌、食道癌、胃癌、および肺癌の1つまたは複数の治療に有用である可能性がある。一実施形態によれば、マレイン酸塩は、特に乳癌および/または卵巣癌の治療に有用である。
【0080】
本発明のマレイン酸塩形態を含む医薬組成物および製剤は、経口によって、または病変内、腹腔内、筋内、もしくは静脈内注射;注入;リポソーム媒介送達;局所、鼻腔、肛門、膣内、舌下、尿道、経皮、髄腔内、眼内、もしくは耳内送達によって投与することができる。本発明の化合物を投与する一様式は単位用量形態である。適切な単位用量形態には、錠剤、カプセル剤、およびサシェまたはバイアル中の粉剤が含まれる。本発明の結晶化合物は経口で投与できる。そのような化合物は、1日1から6回、より一般的には1日1から4回投与することができる。有効量は当業者に公知であろう。有効量はまた、化合物の形態、投与様式、および治療される状態の重症度によって決まる可能性がある。当業者は、実験的活性試験を通常のように行って、生物検定において化合物の生物活性を求め、それによって投与する用量を決定することができる。しかしながら、一般に満足できる結果は、体重1kg当たり約0.5mgから約1000mgの範囲で毎日投与したとき、本発明の化合物によって得ることができるが、通常、有効投与量は1日当たり約1mg/kgから約300mg/kgである。
【0081】
本発明のマレイン酸塩の結晶形態は、充填剤、崩壊剤、結合剤、滑剤、香味剤、着色添加剤、および担体などの通常の賦形剤と共に製剤化することができる。担体は、希釈剤、エアロゾル、局所担体、水性溶液、非水性溶液、または固体であってよい。担体は、ポリマーまたは練り歯磨き(toothpaste)であってよい。本発明の担体は、リン酸緩衝溶液、酢酸緩衝溶液、水、エマルション、たとえば油/水エマルション、またはトリグリセリドエマルションなど、種々の湿潤剤、錠剤、被覆錠剤、およびカプセルなどの薬学的に許容できる任意の標準的な担体を包含する。
【0082】
経口または局所投与される場合、本発明のマレイン酸塩の結晶形態は、種々の担体で対象に提供することができる。典型的に、そのような担体は、デンプン、ミルク、砂糖、ある種の粘土、ゼラチン、ステアリン酸、タルク、植物性油脂、ゴム、またはグリコールなどの賦形剤を含有する。特定の担体は、典型的には所望の送達方法に基づいて選択され、たとえば、静脈内または全身送達には、リン酸緩衝溶液(PBS)を用いることができ、局所送達には、植物脂、クリーム、軟膏(salve)、軟膏(ointment)、またはゲルを用いることができる。
【0083】
本発明のマレイン酸塩の結晶形態は、新生物の治療、抑制、または予防に有用である適切な希釈剤、保存剤、可溶化剤、乳化剤、補助剤、および/または担体と共に送達することができる。そのような組成物は、液体、または凍結乾燥、もしくは他の方法で乾燥させた製剤であり、種々のpHおよびイオン強度の緩衝剤内容物の希釈剤(たとえば、Tris−HCl、酢酸塩、リン酸塩)、表面への吸収を防ぐためのアルブミンまたはゼラチンなどの添加剤、界面活性剤(たとえば、TWEEN(商標)20、TWEEN(商標)80、PLURONIC(商標)F68、胆汁酸塩)、可溶化剤(たとえば、グリセロール、ポリエチレングリセロール)、抗酸化剤(たとえば、アスコルビン酸、メタ重硫酸ナトリウム)、保存剤(たとえば、チメロサール、ベンジルアルコール、パラベン)、増量物質または張度調整剤(たとえば、ラクトース、マンニトール)、ポリエチレングリコールなどのポリマー共有結合、金属イオンとの錯体形成、またはヒドロゲルもしくはリポソームの粒状調剤、ミクロエマルション、ミセル、単層もしくは多層ベシクル、赤血球ゴースト、もしくはスフェロブラスト(spheroblast)中もしくは上への化合物の取り込みを含む。そのような組成物は、化合物または組成物の物理的状態、可溶性、安定性、in vivo放出速度、およびin vivoクリアランス速度に影響を及ぼすであろう。組成物の選択は化合物の物理的および化学的特性に依存するであろう。
【0084】
本発明のマレイン酸塩の結晶形態は、ある期間にわたる化合物の持続放出を可能にするカプセルによって、局所送達することもできる。制御または持続放出組成物には、脂肪親和性デポー(たとえば、脂肪酸、ロウ、油)中の製剤が含まれる。
【0085】
本発明のマレイン酸塩の結晶形態はまた、癌を罹患している患者の利益となる他の活性化合物、たとえば化学療法剤もしくは抗生物質と共に、または放射線治療と併せて投与することができる。これらの活性化合物は、本発明の化合物と同時にまたは逐次的に投与できる。本発明の化合物はまた、同じ剤形に他の活性化合物を含むように製剤化することもでき、たとえば、両方を1つの丸剤、錠剤、またはカプセル剤に含有させることができる。本発明の化合物を組み合わせて用いることのできる活性化合物のいくつかの可能な種類は、タキソールおよびビンブラスチンなどの有糸分裂阻害剤、シスプラチンおよびシクロホスファミドなどのアルキル化剤、5−フルオロウラシルおよびヒドロキシウレアなどの代謝拮抗剤、アドリアマイシンおよびブレオマイシンなどのDNAインターカレータ、エトポシドおよびカンプトテシンなどのトポイソメラーゼ阻害剤、アンジオスタチンなどの抗血管新生剤、ならびにタモキシフェンなどの抗エストロゲンである。
【0086】
本発明を以下の特定の実施例と併せてより詳細に記載するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。当業者は、工程パラメータおよび装置に応じて、例示した工程のステップを再配列する、組み合わせる、修正する、または削除することができるであろう。
【実施例】
【0087】
(実施例1)
(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩、形態IIの調製
粗(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミド遊離塩基(0.100kg、0.159モル)を、USP精製水のn−プロパノール中10%溶液(0.082kg、0.10L)で洗い流し、続いて水:n−プロパノール溶液(0.74kg、0.90L)を添加する。マレイン酸(0.0191kg、0.164モル)を添加し、混合物を10%水:n−プロパノール(0.082kg、0.10L)で洗い流す。混合物を急速に50〜60℃に加熱し、溶液が得られるまで最低限15分間保持する。50〜60℃に予め加熱した0.2Mmフィルタカートリッジを通して、熱溶液を透明にし、45〜55℃に予め加熱した2L多口フラスコに濾液を集める。45〜55℃に予め加熱した10%水:n−プロパノール(0.082kg、0.10L)を通してフィルタカートリッジを洗い流す。溶液を少なくとも1時間かけて40℃に冷却し、その温度で12時間保持し、その後、最低限4時間かけて室温(25℃)に冷却し、その温度で少なくとも2時間保持する。混合物を直径12.5cmのブフナー漏斗で5分間濾過し、その後、予め濾過した10%水:n−プロパノール溶液(2×0.12kg、2×0.15L)で洗い流し、洗浄する。ケークをせき止め、滴下が本質的に停止するまで、約1時間、吸引を持続する。
【0088】
(実施例2)
(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩、形態Iの調製
実施例1の生成物(形態II)を乾燥して(50℃、10mmHg、24時間)、強度80.8%(遊離塩基)、17.4%(マレイン酸)、総不純物1.06%、最大単一不純物0.38%で、94.4g(収率88%)の結晶無水(E)−N−{4−[3−クロロ−4−(2−ピリジニルメトキシ)アニリノ]−3−シアノ−7−エトキシ−6−キノリニル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドマレイン酸塩(形態I)(収率88%)を得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−53170(P2013−53170A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−279650(P2012−279650)
【出願日】平成24年12月21日(2012.12.21)
【分割の表示】特願2011−289220(P2011−289220)の分割
【原出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(309040701)ワイス・エルエルシー (181)
【Fターム(参考)】