説明

1α,25−ジヒドロキシビタミンD3の肺送達および副甲状腺ホルモンまたはカルシトニンの同時投与

経肺医薬組成物、ヒトの肺へのその送達方法および治療方法。1α,25-ジヒドロキシビタミンD3、エタノール等のアルコール、およびプロピレングリコール等のポリールを含む医薬製剤。1α,25-ジヒドロキシビタミンD3と、乾燥粉末吸入器で使用する乾燥充填粉末を含む、別の経肺医薬製剤。1α,25-ジヒドロキシビタミンD3と、定量吸入器で使用するエアロゾル噴射剤を含む、別の経肺医薬製剤。前記経肺医薬製剤は、カルシトニンまたは配列番号1の最初から(34)番目ないし(38)番目までのアミノ酸から成る副甲状腺ホルモンのN末端ペプチド断片等の第2の活性医薬成分を含んでいてもよい。前記製剤の肺送達により、効果的に哺乳動物体内で血清カルシウムレベルを増加させ、低カルシウム血症を管理し、カルシウム代謝障害を治療し、高い副甲状腺ホルモンレベルを低下させることができる。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の参照】
【0001】
本出願は、2006年5月15日に出願した米国特許出願第60/800,453号(参照によりその全文が本明細書に組み込まれる)に基づく優先権を主張する。
【政府の所有権に関する記載】
【0002】
適用なし。
【技術分野】
【0003】
本発明は、1α,25-ジヒドロキシビタミンDH-1,25(OH)とも呼ばれる)の肺送達および副甲状腺ホルモンまたはカルシトニンの同時投与のための組成物並びに方法の技術分野に関する。
【背景技術】
【0004】
ビタミンDの1α-水酸化代謝物は、ヒト等の哺乳動物におけるカルシウムホメオスタシスの非常に強力な調節因子である。また、これら代謝物のいくつかは、細胞分化に関与する活性を有することが報告されている(Ostrem et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84, 2610 (1987))。
【0005】
このような代謝物の例としては、天然のホルモンである1α,25-ジヒドロキシビタミンDとエルゴステロール系の類似体である1α,25-ジヒドロキシビタミンDが挙げられる。これら代謝物の構造類似体には、1または2つ以上の異なる側鎖、異なる水酸化パターン、異なる立体化学、または他の適切な差異を有する化合物が含まれる。他の類似体としては、1α-ヒドロキシビタミンD、1α-ヒドロキシビタミンD、1α,25-ジヒドロキシビタミンDのフッ化側鎖誘導体、およびホモロゲートされた側鎖の類似体(homologated side chain analogs)が含まれる。このような化合物は、イン・ビボとイン・ビトロの両方で非常に強い活性を示す。また、このような化合物は、腎性骨形成異常症、ビタミンD抵抗性くる病、骨粗鬆症、乾癬および他の悪性疾患を含む種々の疾患の治療に使用される有益な治療活性プロファイルを有する。
【0006】
治療用のビタミンD誘導体は、従来から、経口投与または注射可能な剤形で投与されている。しかしながら、患者がクローン病、炎症性腸疾患、または別の胃腸の疾患若しくは状態といった胃腸障害を有する場合には、経口用剤形は好ましくないケースもある。このような胃腸の状態は、薬物の吸収を低下させ、治療効果を阻害する可能性がある。また、患者によっては、経口用剤形を嫌がり、そして/または他の剤形若しくは医療用装置の方を好む場合もある。
【0007】
1α,25-ジヒドロキシビタミンDは、腸で吸収されるとともに、腸でのカルシウムとリンの吸収を活性化させるので、この化合物の投与には、経口投与用剤形は好ましくないであろう。また、1α,25-ジヒドロキシビタミンDの化合物は、腸内に存在するCYP-24酵素により分解されやすい。興味深いことに、経口摂取された1α,25-ジヒドロキシビタミンDの代謝物は、CYP-24酵素を誘起する。CYP-24酵素は、1α,25-ジヒドロキシビタミンDを炭素数が23個のカルボン酸(カルシトロン酸とも呼ばれる)へと分解する。
【0008】
更に、とりわけヒトの肌は、治療用量の投与には不十分な透過性しか有していないので、ビタミンD類似体を投与する際には、経皮用剤形もあまり適切ではないだろう。従って、ビタミンD類似体(例えば1α,25-ジヒドロキシビタミンD)を、これを必要とするヒトの患者に投与するための効果的な医薬剤形に対する需要が存在する。また、ビタミンD類似体(例えば1α,25-ジヒドロキシビタミンD)を他の活性医薬成分と組み合わせた医薬製剤であって、これを必要とするヒトの患者への現時点で利用可能な治療と効能を向上および拡大させる効果的な医薬剤形に対する需要が存在する。
【発明の概要】
【0009】
本発明の一局面は、水と、1または2種類以上のアルコールと、1または2種類以上のポリオールと、1α,25-ジヒドロキシビタミンDまたはそのエステル若しくは溶質を含んでなる第1の活性医薬成分とを含んでなる霧状の医薬溶液の投与量をヒトの肺に送達する工程または動作を含んでなる、ヒトにおいて血清カルシウム量を増加させる方法である。
【0010】
前記方法の代表的な態様では、前記アルコールはエタノールである。
【0011】
前記方法の別の代表的な態様では、前記ポリオールはプロピレングリコールである。
【0012】
前記方法の別の代表的な態様では、前記医薬溶液は、更に1または2種類以上の賦形剤を含んでなる。
【0013】
前記方法の別の代表的な態様では、前記賦形剤は、非イオン性界面活性剤、塩化ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、エデト酸二ナトリウムまたはこれらの組合せである。
【0014】
前記方法の別の代表的な態様では、前記霧状の医薬溶液の投与量は、1α,25-ジヒドロキシビタミンDまたはそのエステル若しくは溶質である第1の活性医薬成分の投与量を0.2〜10μgの範囲で含んでなる。ヒトの場合の投与方式は、1日当たり0.2〜10μgの範囲にあり、より好ましくは1日当たり0.2〜2μgの範囲である。毎日の投与計画を実行するためには、1日当たりの投与の回数および各投与における1α,25-ジヒドロキシビタミンDまたはそのエステル若しくは溶質の量を変化させてもよい。
【0015】
前記方法の別の代表的な態様では、前記溶液は、カルシトニンまたは配列番号1の最初から34番目ないし38番目までのアミノ酸から成る副甲状腺ホルモンのN末端ペプチド断片である第2の活性医薬成分を更に含んでなる。ここで用いられる「カルシトニン」とは、合成カルシトニン、カルシトニン様ペプチドまたはカルシトニン模倣体を指し、これらは、2002年9月5日に出願された米国特許出願第10/235,244号および2006年2月13日に出願された米国特許出願第11/352,717号に詳細に記載されている(これらの文献は参照によりその全文が本明細書に組み込まれる)。
【0016】
前記方法の別の代表的な態様では、前記霧状の医薬溶液の投与量は、配列番号1の最初から34番目ないし38番目までのアミノ酸から成る副甲状腺ホルモンのN末端ペプチド断片である第2の活性医薬成分の投与量を100〜2000μgの範囲で含む。
【0017】
前記方法の別の代表的な態様では、前記霧状の医薬溶液の投与量は、カルシトニンである第2の活性医薬成分の投与量を100〜1000μgの範囲で含む。
【0018】
本発明の別の局面は、水と、1または2種類以上のアルコールと、1または2種類以上のポリオールと、1α,25-ジヒドロキシビタミンDまたはこのエステル若しくは溶質を含んでなる第1の活性医薬成分とを含んでなる経肺用医薬組成物である。
【0019】
前記組成物の代表的な態様では、前記アルコールはエタノールである。
【0020】
前記組成物の別の代表的な態様では、前記ポリオールはプロピレングリコールである。
【0021】
前記組成物の別の代表的な態様では、前記組成物は、更に1または2種類以上の賦形剤を含んでなる。
【0022】
前記組成物の別の代表的な態様では、前記賦形剤は、非イオン性界面活性剤、塩化ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、エデト酸二ナトリウムまたはこれらの組合せである。
【0023】
前記組成物の別の代表的な態様では、前記組成物は、1α,25-ジヒドロキシビタミンDまたはそのエステル若しくは溶質である第1の活性医薬成分の投与量を0.2〜10μgの範囲で含み、より好ましくは0.2〜2μgの範囲で含んでなる。
【0024】
前記組成物の別の代表的な態様では、前記組成物は、カルシトニンまたは配列番号1の最初から34番目ないし38番目までのアミノ酸から成る副甲状腺ホルモンのN末端ペプチド断片である第2の活性医薬成分を更に含んでなる。
【0025】
前記組成物の別の代表的な態様では、前記組成物は、配列番号1の最初から34番目ないし38番目までのアミノ酸から成る副甲状腺ホルモンのN末端ペプチド断片である第2の活性医薬成分の投与量を100〜2000μg/投与の範囲で含んでなる。
【0026】
前記組成物の別の代表的な態様では、前記組成物は、カルシトニンである第2の活性医薬成分の投与量を100〜1000μg/投与の範囲で含んでなる。
【0027】
本発明の別の局面は、1α,25-ジヒドロキシビタミンDまたはそのエステル若しくは溶質を含んでなる第1の活性医薬成分の医薬投与量をヒトの肺に送達する工程または動作を含んでなる、ヒトにおいて血清カルシウム量を増加させる方法である。
【0028】
本発明の別の局面は、1α,25-ジヒドロキシビタミンDまたはそのエステル若しくは溶質を含む第1の活性医薬成分の医薬投与量をヒトの肺に送達する工程または動作を含んでなる、長期間の血液透析を受けているヒトにおいて低カルシウム血症を管理する方法である。
【0029】
本発明の別の局面は、1α,25-ジヒドロキシビタミンDまたはそのエステル若しくは溶質を含んでなる第1の活性医薬成分の医薬投与量をヒトの肺に送達する工程または動作を含んでなる、ヒトのカルシウム代謝障害を治療する方法である。
【0030】
本発明の別の局面は、1α,25-ジヒドロキシビタミンDまたはそのエステル若しくは溶質を含んでなる第1の活性医薬成分の医薬投与量をヒトの肺に送達する工程または動作を含んでなる、ヒトにおける高い副甲状腺ホルモンレベルを低下させる方法である。
【0031】
上記方法の代表的な態様では、前記方法は、カルシトニンおよび配列番号1の最初から34番目ないし38番目までのアミノ酸から成る副甲状腺ホルモンのN末端ペプチド断片から成る群から選択される第2の活性医薬成分の医薬投与量を同時送達する工程または動作を更に含んでなる。
【0032】
上記のいずれかの方法の別の代表的な態様では、前記方法は、配列番号1の最初から34番目ないし38番目までのアミノ酸から成る副甲状腺ホルモンのN末端ペプチド断片である第2の活性医薬成分の投与量を100〜2000μgの範囲で送達することを含んでなる。
【0033】
上記のいずれかの方法の別の代表的な態様では、前記方法は、カルシトニンである第2の活性医薬成分の投与量を100〜1000μgの範囲で送達することを含んでなる。
【0034】
上記のいずれかの方法の別の代表的な態様では、前記方法は、1α,25-ジヒドロキシビタミンDまたはそのエステル若しくは溶質である第1の活性医薬成分の投与量を0.2〜10μgの範囲で、より好ましくは0.2〜2μgの範囲で送達することを含んでなる。
【0035】
本発明の別の局面は、乾燥充填粉末と1α,25-ジヒドロキシビタミンDまたはそのエステル若しくは溶質を含んでなる第1の活性医薬成分とを含んでなる乾燥粉末医薬組成物の投与量をヒトの肺に送達する工程または動作を含んでなる、ヒトにおける血清カルシウム量を増加させる方法である。
【0036】
本発明の別の局面は、乾燥充填粉末と1α,25-ジヒドロキシビタミンDまたはそのエステル若しくは溶質を含んでなる第1の活性医薬成分とを含んでなる経肺用医薬組成物である。
【0037】
本発明の別の局面は、噴射剤と1α,25-ジヒドロキシビタミンDまたはそのエステル若しくは溶質を含んでなる第1の活性医薬成分とを含んでなるエアロゾル医薬組成物の投与量をヒトの肺に送達する工程または動作を含んでなる、ヒトにおける血清カルシウム量を増加させる方法である。
【0038】
本発明の別の局面は、エアロゾル噴射剤と1α,25-ジヒドロキシビタミンDまたはそのエステル若しくは溶質を含んでなる第1の活性医薬成分とを含んでなる経肺用医薬組成物である。
【0039】
前記経肺用医薬組成物の代表的な態様では、前記組成物は更に界面活性剤を含んでなる。
【0040】
本発明の別の局面は、乾燥充填粉末と1α,25-ジヒドロキシビタミンDまたはそのエステル若しくは溶質を含んでなる第1の活性医薬成分とを含んでなる経肺用医薬組成物を収容する乾燥粉末吸入器である。
【0041】
本発明の別の局面は、ヒトの肺への、噴射剤と1α,25-ジヒドロキシビタミンDまたはそのエステル若しくは溶質を含んでなる第1の活性医薬成分とを含んでなる経肺用医薬組成物を収容する計量投与用吸入器である。
【発明の具体的説明】
【0042】
本発明は、経肺用医薬組成物、ヒトの肺へのその送達方法およびその治療方法に関する。医薬製剤は、1α,25-ジヒドロキシビタミンDまたはそのエステル若しくは塩である第1の活性医薬成分、エタノール等のアルコール、そしてプロピレングリコール等のポリオールを含む。別の経肺用医薬製剤は、1α,25-ジヒドロキシビタミンDと、乾燥粉末吸入器で用いられる乾燥充填粉末とを含む。別の医薬製剤は、1α,25-ジヒドロキシビタミンDと、定量吸入器で用いられるエアロゾル噴射剤とを含む。前記経肺用医薬製剤は、カルシトニンまたは配列番号1の最初から34番目ないし38番目までのアミノ酸から成る副甲状腺ホルモンのN末端ペプチド断片等の第2の活性医薬成分を含んでいてもよい。前記製剤の肺送達により、効果的に哺乳動物体内で血清カルシウムレベルを増加させ、低カルシウム血症を管理し、カルシウム代謝障害を治療し、高い副甲状腺ホルモンレベルを低下させることができる。肺送達は、投与経路とも呼ばれる。
【0043】
本明細書で用いる場合、「医薬」は、医薬としての使用に適し、そして許容可能であり、それに伴って、好ましくは全ての成分(例えば、賦形剤、溶媒、添加剤、界面活性剤、粉末等)が米国薬局方グレードの材料であり、そして、活性医薬成分が、ヒトに治療効果、治療(状態の予防、治療等)、および/または利益を与えるのに十分な量で存在するような組成物、製剤、溶液、方法等を指す。
【0044】
本明細書で用いる場合、「肺系統」とは、通常理解される上気道、下気道、気管、気管支樹および肺を含む。
【0045】
本明細書で用いる場合、「肺」は、気管支樹、呼吸細気管支、肺胞管および肺胞を含む。
【0046】
1α,25-ジヒドロキシビタミンDの全身肺送達(systemic pulmonary delivery)は、複数の理由により有益である。全身肺送達は、薬物を好適に、直接患者の血液へと送達し、次に薬物を全身に循環させるので、胃/腸および/または胃腸管における分解または不活性化が避けられる。また、肺送達は、肝臓や腎臓等の器官における初回通過代謝も回避する。また、肺送達では、経口用剤形よりも早く患者に薬物が送達される。カルシトリオールは、腸でのカルシウム輸送を促進する化合物として、当該技術分野でよく知られている(Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st Ed., p. 1698 (2006))。カルシトリオールは、長期間の血液透析を受けている患者での低カルシウム血症の管理、カルシウム代謝障害の治療および高い副甲状腺ホルモンレベルの低下のために有効であることが知られている。
【0047】
本発明に係る経肺用医薬組成物は、更に、1α,25-ジヒドロキシビタミンDと共に同時投与される第2の活性医薬成分(「API」)を含んでいてもよい。適切な第2のAPIには、カルシトニンと副甲状腺ホルモン(例えば、hPTH)が含まれる。
【0048】
カルシトニン(カルシマー(calcimar)やミアカルシン(miacalcin)とも呼ばれる)は、哺乳動物の甲状腺の濾胞傍細胞から分泌される32個のアミノ酸から成るポリペプチドホルモンである。カルシトニンの化学式はC14524048であり、3431.88の分子量を有する。以下の文献にカルシトニンの配列ID(SEQ. ID.)とその説明が開示されている:Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st Ed., p. 1456-1457 (2006) (この文献は、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0049】
カルシトニンは、カルシウムとリンの代謝に関与することが知られている。特にカルシトニンは、少なくとも部分的に、2つの十分に研究された標的器官に対する効果により、血中カルシウムレベルを低下させることが知られている。骨においては、カルシトニンは、血中にカルシウムとリンを放出する破骨細胞の活動を阻害することで骨の吸収を抑制している。腎臓においては、尿細管内での再吸収により、カルシウムとリンが尿内へと失われるのが妨げられている。カルシトニンは、カルシウムイオンとリンイオンの再吸収を阻害し、尿への喪失の割合を高めている。カルシトニンは、低カルシウム血症およびパジェット病の治療に有効であることが知られている。また、カルシトニンは、ある種の形態の骨粗鬆症の管理に有用な補助剤であることも知られている。
【0050】
ヒト副甲状腺ホルモン(「hPTH」)は、84個のアミノ酸を有する直鎖状のポリペプチド鎖である。正常に機能している場合には、hPTHは、ヒト体内で細胞外のカルシウムを一定の濃度に維持することが知られている(Remingtonの558頁参照)。このペプチドのN末端部分の1ないし27番目のアミノ酸が、ヒト体内での生物活性と関連していることが知られている。かつては、低カルシウム血症の患者の血漿カルシウムレベルを上昇させるために、ヒトに対してhPTH注射が広く用いられた。しかしながら、hPTH注射は、もはや臨床的使用に利用することができず、カルシウムまたはビタミンDの投与に取って代わられた。
【0051】
hPTHは、リンのホメオスタシスの調節にも関与している。PTHは、骨成長と骨密度の調節と制御にも関与している。hPTHのいくつかのN末端断片は、完全長の無傷のタンパク質と同じまたは同程度の生物活性を有する。特に、アミノ酸1-34を含むhPTHのN末端セグメント(「hPTH34」)とアミノ酸1-38を含むセグメント(「hPTH38」)が好ましい。また、アミノ酸1-84を含む天然のhPTH‐(1-84)を第2のAPIとして同時投与してもよい。hPTH(1-84)は、閉経後骨粗鬆症を治療するための治療薬としても知られている。hPTH(1-84)は、NPS、Allelix Biopharmaceuticals(オンタリオ、加国)およびGlaxoSmithKlineにより試験された化合物ALX1-11であってもよい。hPTHの製造と送達は、当該技術分野で知られている(以下を参照:Morley P, et al, Parathyroid Hormone: An Anabolic Treatment for Osteoporosis, Current Pharmaceutical Design, 2001 , Vol. 7, No. 8, p. 671-687:この文献は、参照により本明細書に組み込まれる)。hPTH(1-84) の他の種々の形態とその治療用投与レベルは、米国特許第5,496,801号に開示されている(この文献は、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる)。hPTH(1-84)のアミノ酸配列は、Kimura et al, Biochem Biophys Res Comm, 114 (2):493にて報告されている(この文献は、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる)。
【0052】
組み換え技術により作製されたhPTHと同一の配列を有するポリペプチドを用いてもよい。また、34番目の位置を超えるカルボキシル末端側へのアミノ酸の伸長を有するhPTHを用いてもよい。アミノ末端側の伸長またはカルボキシル末端でのα-カルボキシル基のアミド置換も用いることができる。また、PTH断片の治療に適した塩およびエステルも用いることができる。
【0053】
hPTH34およびhPTH38は、それぞれ表1に示すアミノ酸配列[配列番号1]を有する。
【表1】

【0054】
hPTH34およびhPTH38の断片は、Peninsula Laboratories, Inc.(ベルモント、カリフォルニア州);Sigma Chemical(セントルイス、ミズーリ州)およびBachem California(トランス、カリフォルニア州)から市販されている。また、PTH断片は、PTH分子の所望の断片をコードする組換えDNA分子を培養細胞内で発現させることにより、遺伝子組み換え作製することもできる。適切な組換え発現系と方法は、文献中に記載されている(以下の文献を参照:Manniatis, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, NY 1982)。hPTH34は、Eli Lillyの組換えrhPTH-(1-34)(FORTEO(商標)またはテリパラチドとも呼ばれる)であってもよい。発現されるDNA分子は、それ自体が合成によるもの、または天然の供給源から得られたものであってもよい。合成ポリヌクレオチドは、よく知られる技術によって合成できる。例えば、1本鎖DNA断片は、Beaucage and Carruthers (1981) Tett. Lett. 22:1859-1862に記載されるホスホラミダイト法により調製できる。また、2本鎖断片は、(1)相補鎖を合成して、適切な条件下で前記鎖にアニーリングさせるか、または(2)適切なプライマー配列と共にDNAポリメラーゼを用いて相補鎖を付け加えることにより得ることができる。合成DNA配列は、Applied Biosystems, Inc.(フォスターシティー、カリフォルニア州)から入手可能な自動装置を用いて分離することができる。
【0055】
PTH34およびPTH38を含む分子の肺送達は、米国特許第5,814,607号に開示されている(この文献は、参照により全文が本明細書に組み込まれる)。
【0056】
乾燥粉末吸入用の医薬製剤と装置は、当該技術分野にて知られている。本発明の第1および第2の活性医薬成分は、これら活性医薬成分をヒトの肺系統に投与および送達する乾燥粉末吸入器(DPI)で用いるための乾燥粉末医薬製剤へと処方できる。前記DPIは、多重投与用DPI(MDPIまたはMDDPI)であってもよい。種々の粒径を有する呼吸に適した粉末は、ジェットミル、スプレードライ、溶媒沈澱等の種々の従来方法により作製できる。この乾燥粉末は、次にスクロース、ラクトース、トレハロース、ヒト血清アルブミン、グリシン、セロビオース、デキストラン、マルトトリオース、ペクチン、クエン酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、マンニトール等の乾燥充填粉末を用いて乾燥塊へと製剤される。製剤された乾燥粉末組成物は、Novartis Pharma AGおよびSchering-Plough Corporationから市販されるAerolizer(登録商標)、AstraZenecaから市販されるTurbohaler(登録商標)、GlaxoSmithKline から市販されるDiskus(登録商標)、Brittannia Pharmaceuticals から市販されるActispire(商標)、Schering-Plough から市販されるTwisthaler(登録商標)、Meda Pharma BV から市販されるNovolizer(登録商標)、Respirics Inc.から市販されるAcuBreathe(商標)、Skye Pharma から市販されるCertihaler(商標)等のDPI内に充填できる。
【0057】
エアロゾル吸入用の医薬製剤と装置も当該技術分野で知られている。本発明の第1および第2の活性医薬成分は、これら活性医薬成分をヒトの肺系統に投与および送達する定量吸入器(MDI)で用いるためのエアロゾル医薬製剤へと処方してもよい。前記活性医薬成分は、医薬的に適切なエアロゾル噴射剤、例えばハイドロフルオロカーボン(HFC)、好ましくはハイドロフルオロアルカン(HFA)中に溶解または懸濁(固体として)してもよい。代表的なHFAには、テトラフルオロエタン(HFA-134a)やヘプタフルオロプロパン(HFA-227)が含まれるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、活性医薬成分は、本明細書に記載するDPIで用いる粒子と同様に、呼吸に適した粒子の形態でエアロゾル噴霧剤中に懸濁される。好ましくは、エアロゾル組成物は、分散性を向上させるために、オレイン酸、トリオレイン酸ソルビタン、および長鎖ジグリセリド若しくはリン脂質といった医薬的に適切な界面活性剤を更に含む。また、エアロゾル組成物には、更に、低級アルコール(30重量%以下)、他の添加剤または賦形剤を含ませることで、化学的安定性と生理学的許容性を加えることができる。エアロゾル製剤は、当該技術分野でよく知られるMDI中に充填可能である(例として以下の文献を参照:Stein SW et al., "Reinventing Metered Dose Inhalers: From Poorly Efficient CFC MDIs to Highly Efficient HFA MDIs," Drug Delivery Technology 2003, 3:46-51)。
【実施例】
【0058】
水性製剤
6-7週齢のオスのSprague DawleyラットとBrown NorwayラットをHarlan Sprague-Dawley(マジソン、ウィスコンシン州)から入手し、靴箱型のケージ内に収容した。動物には、当組織で調製した0.47%のカルシウムと0.3%のリンを含む精製げっ歯類用食料を提供し、水は適宜摂取可能な状態で提供した。この食料には、食糧1グラム当たり1.6 IUのビタミンDを補充した。
【0059】
ラットとヒトでは、1α,25-ジヒドロキシビタミンDおよびビタミンDの類似体の代謝が類似していることから、ラットは、これらの化合物のイン・ビボでの解析に好ましい種である。
【0060】
1α,25-ジヒドロキシビタミンD投与用溶液の調製。1α,25-ジヒドロキシビタミンDは2種類の異なる製剤へと調製した。製剤Aは、pH〜7で30%のプロピレングリコールと5%のエタノールを含有する水溶液である。製剤Bも水溶液であるが、pH〜7で、更に0.4%のTWEENポリソルベート20[溶液1mL中に4mgのTweenポリソルベート20、1.5mgの塩化ナトリウム、10mgのアスコルビン酸ナトリウム、7.6mgのリン酸ナトリウム(二塩基)、1.8mgのリン酸ナトリウム(一塩基)および1.1mgのエデト酸二ナトリウムを含む]を含む。
【0061】
1α,25-ジヒドロキシビタミンDの気管内送達。MicroSprayer(商標)のモデル1Cを製造元のプロトコル(PennCentury、フィラデルフィア、ペンシルバニア州)に従って用いて、麻酔下(イソフルラン)のSprague Dawleyラットに5μCiの1α,25-ジヒドロキシビタミンDを気管内送達した。この装置には、高圧シリンジ(モデルFMJ-250、PennCentury)に取り付けられた直径0.64mmのステンレススチール製チューブが含まれていた。このチューブの末端部分にある噴霧器によりエアロゾルのプルームが発生した。MicroSprayerを気管の深部に挿入し、エアロゾル化した化合物を肺内に送達させた。1α,25-ジヒドロキシビタミンDは、100μL(製剤Aおよび製剤B)または200μL(製剤A)のいずれかの投与用量で投与した。クエンチコントロール(quench control)として、一群の動物に、製剤Aまたは製剤Bのいずれかを投与した。
【0062】
組織分析。前記投与量の投与後4時間および10分間という時間を採用し、前記動物をイソフルランで麻酔して、心臓から血液を回収した。気管、肺および胃を取り出してアルコールで脱水し、そして微粉砕した。20〜100mgのサンプルを1mLのSolvable(Packard BioScience B. V.、オランダ)中に入れて60℃で一晩インキュベートした。次に、10mLのOptima Gold(Perkin Elmer、ボストン、マサチューセッツ州)を前記サンプルに添加して、液体用シンチレーションアナライザー(TRI-CARB 2100 TR、Packard)を用いて放射能を測定した。血液中の1α,25-ジヒドロキシビタミンDの存在を測定するため、10mLのOptima Gold中の200〜300μLの血清をシンチレーション計数に用いた。
【0063】
肺樹(pulmonary tree)へのビタミンDのエアロゾル送達の効果。Brown Norwayラットの血清カルシウムレベルに対する1α,25-ジヒドロキシビタミンDの効果を測定した。1α,25-ジヒドロキシビタミンDの送達(即ち、イン・ビボでの活性)を測定して、血清カルシウムレベルに対するエアロゾル化1α,25-ジヒドロキシビタミンDによる処置の効果を決定する。0日目(0日目は処置の初日であった)および2日目に1α,25-ジヒドロキシビタミンDを含有する製剤Aを200μLの用量で気管内送達した。2つの独立した実験において、1μg/kgBWと10μg/kgBWの2種類の異なる投与量を試験した。最後の用量投与(即ち2日目)から24時間後に、動物をイソフルランで麻酔して、心穿刺により血液を回収した。血液は、室温で少なくとも30分間かけて凝固させた。血液を3000 x g(粒状基剤(granulated base))で15分間遠心して上清(血清)を回収した。カルシウムレベルは、Perkin Elmerモデル3110を用いて、血清で希釈した0.1%の塩化ランタンの原子吸光分析を行うことにより測定した。
【0064】
製剤Aによって送達された1α,25-ジヒドロキシビタミンDの組織分布。図1に示すように、10分後では、検出された1α,25-ジヒドロキシビタミンD(100μLの投与量)の46%が気管と肺に認められ、53%が血清中に検出された。胃に検出された1α,25-ジヒドロキシビタミンDの量は非常に少量であった(〜1%)。200μLの投与量の製剤Aにより1α,25-ジヒドロキシビタミンDを送達した場合にも同様の結果が得られた。4時間後では、検出された1α,25-ジヒドロキシビタミンDの大部分が、血清(60%)と胃(36%)で認められた。5%未満が気管と肺で検出された。
【0065】
製剤Bによって送達された1α,25-ジヒドロキシビタミンDの組織分布。図2に示すように、10分後では、検出された1α,25-ジヒドロキシビタミンDの51%が血清中に認められた。気管と肺には、検出された1α,25-ジヒドロキシビタミンDの33%が含まれ、4%未満が胃で検出された。4時間後では、1α,25-ジヒドロキシビタミンDは血清(全体の56%)と胃(全体の35%)で検出された。
【0066】
血清カルシウムレベルに対するエアロゾル化/噴霧化1α,25-ジヒドロキシビタミンDの効果。図3および4に示すように、1 μg/kgBWと10 μg/kgBWの1α,25-ジヒドロキシビタミンDの肺送達により、血清カルシウムレベルがそれぞれ2.8 mg/dLと4 mg/dL上昇した。
【0067】
上記のデータは、製剤AおよびBに含まれる1α,25-ジヒドロキシビタミンDが、肺系統を通じて首尾よく全身に送達されたことを示している。製剤AまたはBの投与において、組織分布に有意なまたは実質的な差異は観察されなかった。肺送達の10分後に血中に1α,25-ジヒドロキシビタミンDが存在していたことは、1α,25-ジヒドロキシビタミンDが迅速に利用可能であったことを示している。投与の4時間後に胃で1α,25-ジヒドロキシビタミンDが検出されたことは、恐らく化合物の一部が食道に逆流したことを示している。また、上記実施例は、肺系統に送達された1α,25-ジヒドロキシビタミンDが、対象動物体内で血清カルシウムレベルを効果的に増加させたことを示している。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】図1は、100μLの製剤Aの投与により1α,25-ジヒドロキシビタミンDを肺送達した10分後(n=4)および4時間後(n=3)の1α,25-ジヒドロキシビタミンDのSprague Dawleyラット体内の組織内分布を示しており、データは、10分後において1α,25-ジヒドロキシビタミンDは肺、気管および血清で主に検出され、4時間後では、1α,25-ジヒドロキシビタミンDは主に血清と胃で検出されたことを示している。
【図2】図2は、100μLの製剤Bの投与により1α,25-ジヒドロキシビタミンDを肺送達した10分後(n=2)および4時間後(n=3)の1α,25-ジヒドロキシビタミンDのSprague Dawleyラット体内の組織内分布を示しており、データは、10分後において1α,25-ジヒドロキシビタミンDは主に血清で、次に気管と肺で検出され、4時間後では、1α,25-ジヒドロキシビタミンDは主に血清と胃で検出されたことを示している。
【図3】図3は、1μg/KgBWの1α,25-ジヒドロキシビタミンDを含む投与量(n=8)で製剤Aを投与した場合(n=6)のBrown Norwayラット体内の血清カルシウムレベルに対する1α,25-ジヒドロキシビタミンDの効果を示す。ここで、BW(またはkgBW)は、体重を表す。
【図4】図4は、10μg/KgBWの1α,25-ジヒドロキシビタミンDを含む投与量(n=9)で製剤Aを投与した場合(n=9)のBrown Norwayラット体内の血清カルシウムレベルに対する1α,25-ジヒドロキシビタミンDの効果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と、1または2種類以上のアルコールと、1または2種類以上のポリオールと、1α,25-ジヒドロキシビタミンDまたはそのエステル若しくは溶質を含んでなる第1の活性医薬成分とを含んでなる霧状の医薬溶液の投与量をヒトの肺に送達することを含んでなる、ヒトにおいて血清カルシウム量を増加させる方法。
【請求項2】
アルコールが、エタノールである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ポリオールが、プロピレングリコールである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
医薬溶液が、1または2種類以上の賦形剤を更に含んでなる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
賦形剤が、非イオン性界面活性剤、塩化ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、エデト酸二ナトリウムまたはこれらの組合せから成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
霧状の医薬溶液の投与量が、1α,25-ジヒドロキシビタミンDまたはそのエステル若しくは溶質である第1の活性医薬成分の投与量を0.2〜10μgの範囲で含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
溶液が、カルシトニンおよび配列番号1の最初から34番目ないし38番目までのアミノ酸から成る副甲状腺ホルモンのN末端ペプチド断片から成る群から選択される第2の活性医薬成分を更に含んでなる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
霧状の医薬溶液の投与量が、配列番号1の最初から34番目ないし38番目までのアミノ酸から成る副甲状腺ホルモンのN末端ペプチド断片である第2の活性医薬成分の投与量を100〜2000μgの範囲で含んでなる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
霧状の医薬溶液の投与量が、カルシトニンである第2の活性医薬成分の投与量を100〜1000μgの範囲で含んでなる、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
水と、
1または2種類以上のアルコールと、
1または2種類以上のポリオールと、
1α,25-ジヒドロキシビタミンDまたはこのエステル若しくは溶質を含む第1の活性医薬成分と
を含んでなる経肺用医薬組成物。
【請求項11】
アルコールが、エタノールである、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
ポリオールが、プロピレングリコールである、請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
1または2種類以上の賦形剤を更に含んでなる、請求項10に記載の組成物。
【請求項14】
賦形剤が、非イオン性界面活性剤、塩化ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、エデト酸二ナトリウムまたはこれらの組合せから成る群から選択される、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
1α,25-ジヒドロキシビタミンDまたはそのエステル若しくは溶質である第1の活性医薬成分の投与量を0.2〜10μgの範囲で含んでなる、請求項10に記載の組成物。
【請求項16】
カルシトニンおよび配列番号1の最初から34番目ないし38番目までのアミノ酸から成る副甲状腺ホルモンのN末端ペプチド断片から成る群から選択される第2の活性医薬成分を更に含んでなる、請求項10に記載の組成物。
【請求項17】
配列番号1の最初から34番目ないし38番目までのアミノ酸から成る副甲状腺ホルモンのN末端ペプチド断片である第2の活性医薬成分の投与量を100〜2000μg/投与の範囲で含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
カルシトニンである第2の活性医薬成分の投与量を100〜1000μg/投与の範囲で含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
1α,25-ジヒドロキシビタミンDまたはそのエステル若しくは溶質を含んでなる第1の活性医薬成分の医薬投与量をヒトの肺に送達することを含んでなる、ヒトにおいて血清カルシウム量を増加させる方法。
【請求項20】
1α,25-ジヒドロキシビタミンDまたはそのエステル若しくは溶質を含んでなる第1の活性医薬成分の医薬投与量をヒトの肺に送達することを含んでなる、長期間の血液透析を受けているヒトにおいて低カルシウム血症を管理する方法。
【請求項21】
1α,25-ジヒドロキシビタミンDまたはそのエステル若しくは溶質を含んでなる第1の活性医薬成分の医薬投与量をヒトの肺に送達することを含んでなる、ヒトのカルシウム代謝障害を治療する方法。
【請求項22】
1α,25-ジヒドロキシビタミンDまたはそのエステル若しくは溶質を含んでなる第1の活性医薬成分の医薬投与量をヒトの肺に送達することを含んでなる、ヒトにおいて高い副甲状腺ホルモンレベルを低下させる方法。
【請求項23】
カルシトニンおよび配列番号1の最初から34番目ないし38番目までのアミノ酸から成る副甲状腺ホルモンのN末端ペプチド断片から成る群から選択される第2の活性医薬成分の医薬投与量を同時送達することを更に含んでなる、請求項19〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
配列番号1の最初から34番目ないし38番目までのアミノ酸から成る副甲状腺ホルモンのN末端ペプチド断片である第2の活性医薬成分の投与量を100〜2000μgの範囲で含んでなる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
カルシトニンである第2の活性医薬成分の投与量を100〜1000μgの範囲で含んでなる、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
1α,25-ジヒドロキシビタミンDまたはそのエステル若しくは溶質である第1の活性医薬成分の投与量を0.2〜10μgの範囲で含んでなる、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
乾燥充填粉末と1α,25-ジヒドロキシビタミンDまたはそのエステル若しくは溶質を含む第1の活性医薬成分とを含んでなる乾燥粉末医薬組成物の投与量をヒトの肺に送達することを含んでなる、ヒトにおいて血清カルシウム量を増加させる方法。
【請求項28】
乾燥充填粉末と、1α,25-ジヒドロキシビタミンDまたはそのエステル若しくは溶質を含んでなる第1の活性医薬成分とを含んでなる経肺用医薬組成物。
【請求項29】
噴射剤と1α,25-ジヒドロキシビタミンDまたはそのエステル若しくは溶質を含んでなる第1の活性医薬成分とを含んでなるエアロゾル医薬組成物の投与量をヒトの肺に送達することを含んでなる、ヒトにおいて血清カルシウム量を増加させる方法。
【請求項30】
エアロゾル噴射剤と、1α,25-ジヒドロキシビタミンDまたはそのエステル若しくは溶質を含んでなる第1の活性医薬成分とを含んでなる経肺用医薬組成物。
【請求項31】
界面活性剤を更に含んでなる、請求項30に記載の経肺用医薬組成物。
【請求項32】
請求項28に記載の経肺用医薬組成物を収容する、乾燥粉末吸入器。
【請求項33】
請求項30または31に記載の経肺用医薬組成物を収容する、計量投与用吸入器。
【請求項34】
霧状の医薬溶液の投与量が、1α,25-ジヒドロキシビタミンDまたはそのエステル若しくは溶質である第1の活性医薬成分の投与量を0.2〜2μgの範囲で含んでなる、請求項6に記載の方法。
【請求項35】
1α,25-ジヒドロキシビタミンDまたはそのエステル若しくは溶質である第1の活性医薬成分の投与量を0.2〜2μgの範囲で含んでなる、請求項15に記載の組成物。
【請求項36】
1α,25-ジヒドロキシビタミンD3またはそのエステル若しくは溶質である第1の活性医薬成分の投与量を0.2〜2μgの範囲で含んでなる、請求項26に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−537530(P2009−537530A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−511016(P2009−511016)
【出願日】平成19年5月15日(2007.5.15)
【国際出願番号】PCT/US2007/011570
【国際公開番号】WO2007/133747
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(591057706)ウィスコンシン・アルムニ・リサーチ・ファウンデーション (26)
【氏名又は名称原語表記】WISCONSIN ALUMNI RESEARCH FOUNDATION
【Fターム(参考)】