説明

1−ブテンポリマーの製造方法

a)式(I):
【化1】


(式中:Mは元素周期律表の3、4、5、6族またはランタニドもしくはアクチニドグループに属する遷移金属原子であり;pは0〜3の整数であり;Xは水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり;
R1は炭化水素基であり;R2、R3およびR6は水素原子または炭化水素基であり;R4およびR5は一緒になって、縮合した、飽和または不飽和の4〜7員環を形成し;Lは2価の架橋基である)のメタロセン化合物、および
b)アルモキサン、またはアルキルメタロセンカチオンを形成し得る化合物
を接触させて得られる触媒系の存在下に、1−ブテンおよび任意にエチレン、プロピレンまたはアルファオレフィンを、重合条件下に接触させる工程を含む、エチレン、プロピレンまたは式CH2=CHZ(ここで、ZはC3−C10アルキル基である)のアルファ−オレフィンを任意に30モル%まで含む、1−ブテンポリマーの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、置換架橋ビス−インデニルメタロセン化合物の使用による、1−ブテンの重合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1−ブテンポリマーは、従来技術において周知である。耐圧性、耐クリープ性および衝撃強さに関する良好な性質の観点から、それらは例えば金属パイプの代用パイプ、開封の容易な包装材およびフィルムの製造において、広く用いられている。
【0003】
1−ブテン(コ)ポリマーは一般に、助触媒としてのジエチルアルミニウムクロライド(DEAC)と一緒にTiCl3ベースの触媒成分の存在下に、1−ブテンを重合させることによって製造される。ジエチルアルミニウムヨーダイド(DEAI)およびDEACの混合物が用いられる場合がある。
【0004】
しかしながら、得られるポリマーは通常、満足のいく機械特性を示さない。
さらに、TiCl3ベースの触媒によって得られる低収率の観点から、これらの触媒を用いて製造される1−ブテンポリマーは、高い含量の残留触媒(通常、300 ppmより多いTi)を有し、それがポリマーの物性を低下させ、その後の脱灰処理を必要とする。
【0005】
1−ブテン(コ)ポリマーは、(A)Ti化合物、およびMgCl2上に担持された電子供与化合物を含む固体成分、(B)アルキルアルミニウム化合物、および任意に(C)外部電子供与化合物を含む、立体特異性触媒の存在下に、モノマーを重合させることによっても得ることができる。このタイプの方法は、EP−A−172961およびWO99/45043に開示されている。
【0006】
最近では、メタロセン化合物が、1−ブテンポリマーを製造するために使用されている。Macromolecules 1995, 28, 1739−1749では、rac−ジメチルシリルビス(4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムジクロライドおよびメチルアルミノキサンが、1−ブテンを重合させるために用いられている;この方法の収率は示されていないけれども、得られるポリマーの数平均分子量(Mn)はきわめて低い。
【0007】
Macromol. Rapid Commun. 18, 581−589 (1997)では、racおよびmeso−[ジメチルシリレンビス(2,3,5−トリメチル−シクロペンタジエニル)]ジルコニウムジクロライドが1−ブテンを重合させるために用いられている;この方法の収率および得られるポリマーの分子量はかなり低い。
【0008】
より最近では、Macromolecules 2000, 33, 1955−1956において、Me2Si(2−Me−4,5−BzoInd)2ZrCl2、Me2Si(2−Me−4−PhInd)2ZrCl2およびMe2Si(Ind)2ZrCl2が、1−ブテンの重合に試みられている。得られるポリマーは、前記の文献に記載されているものより高い分子量を有しているが、さらに改善され得るものであり;その上、本出願の比較例に示されているように、これらの触媒の活性は満足のいくものではない。
【0009】
WO 99/46270は、式MX2Dの金属錯体を、式(L−A−L)M"n(ここで、Mは見かけ酸化状態+2にあるチタン、ジルコニウムまたはハフニウムであり;M"は水素、1族の金属カチオン、2族の金属または亜鉛ジカチオンなどであり;LはAに結合しているアニオンリガンドであり;Aは2価の架橋基であり;Xは1価のアニオン性脱離基であり、Dは1, 3−ブタジエンの中性置換誘導体である)の化合物と、接触させる工程を含む、中性ジエンリガンドを含む架橋メタロセン錯体の合成方法に関する。実施例14において、式(d)の錯体が製造されている。
【0010】
【化1】

【0011】
この化合物は、1−ブテンを重合させるのに用いられていない。
それゆえ、高分子量の1−ブテンポリマーを、高収率で得る方法を開発することが望まれている。
【発明の開示】
【0012】
本発明の目的は、
a)式(I):
【化2】

【0013】
(式中:
Mは元素周期律表の3、4、5、6族またはランタニドもしくはアクチニドグループに属する遷移金属であり;好ましくはMはチタン、ジルコニウムまたはハフニウムであり;
pは0〜3の整数であり、好ましくはpは2であり、金属Mの見かけ酸化状態マイナス2に等しく;
【0014】
Xは互いに同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、R、OR、OSO2CF3、OCOR、SR、NR2またはPR2基(ここで、Rは直鎖状または分枝鎖状の、飽和または不飽和の、C1−C20アルキル、C3−C20シクロアルキル、C6−C20アリール、C7−C20アルキルアリールまたはC7−C20アリールアルキル基であり、元素周期律表の13〜17族に属するヘテロ原子を任意に含んでいてもよい)であるか;あるいは二つのXは置換もしくは非置換のブタジエニル基または OR'O基(ここで、R'はC1−C20アルキリデン、C6−C40アリーリデン、C7−C40アルキルアリーリデンおよびC7−C40アリールアルキリデン基から選択される2価の基である)を任意に形成することができ;好ましくはXは水素原子、ハロゲン原子またはR基であり;より好ましくはXは塩素またはメチル基であり;
【0015】
R1は互いに同一または異なって、直鎖状または分枝鎖状の、飽和または不飽和の、C1−C20−アルキル、C3−C20−シクロアルキル、C6−C20−アリール、C7−C20−アルキルアリールまたはC7−C20−アリールアルキル基であり、元素周期律表の13〜17族に属する一つ以上のヘテロ原子を任意に含んでいてもよく;好ましくはR1はC1−C20−アルキル基であり;より好ましくはそれはメチルまたはエチル基であり;
【0016】
R2、R3およびR6は互いに同一または異なって、水素原子、または直鎖状もしくは分枝鎖状の、飽和もしくは不飽和の、C1−C20−アルキル、C3−C20−シクロアルキル、C6−C20−アリール、C7−C20−アルキルアリールもしくはC7−C20−アリールアルキル基であり、元素周期律表の13〜17族に属する一つ以上のヘテロ原子を任意に含んでいてもよく;好ましくはR2、R3およびR6は水素原子であり;
【0017】
R4およびR5は一緒になって、元素周期律表の13〜16族に属するヘテロ原子を任意に含んでいてもよい、縮合した、飽和または不飽和のC3−C7員環、好ましくはC4−C6員環を形成し;この環を形成する各原子はR7基で置換されており;すなわちこの環を形成する各原子の原子価がR7基で満たされており(ここで、R7は互いに同一または異なって、水素、または直鎖状もしくは分枝鎖状の、飽和もしくは不飽和の、C1−C20−アルキル、C3−C20−シクロアルキル、C6−C20−アリール、C7−C20−アルキルアリールもしくはC7−C20−アリールアルキル基であって、元素周期律表の13〜17族に属する一つ以上のヘテロ原子を任意に含んでいてもよい);好ましくは、R7は水素原子または直鎖状もしくは分枝鎖状の、飽和もしくは不飽和のC1−C20−アルキル基であり;より好ましくはそれは水素原子またはメチルもしくはエチル基であり;
【0018】
Lは、元素周期律表の13〜17族に属するヘテロ原子を任意に含んでいてもよい、C1−C20アルキリデン、C3−C20シクロアルキリデン、C6−C20アリーリデン、C7−C20アルキルアリーリデンまたはC7−C20アリールアルキリデン基から選択される2価の架橋基であるか、またはそれはケイ素原子を5つまで含むシリリデン基であり;好ましくはLはSi(R8)2 (ここで、R8は直鎖状または分枝鎖状の、飽和または不飽和の、C1−C20−アルキル、C3−C20−シクロアルキル、C6−C20−アリール、C7−C20−アルキルアリールまたはC7−C20−アリールアルキル基であり;より好ましくはLはSi(CH3)2またはSiPh2である)
の、少なくとも一つのメタロセン化合物、
【0019】
b)少なくとも一つのアルモキサンまたはアルキルメタロセンカチオンを形成し得る化合物;および
c)任意に有機アルミニウム化合物
を接触させて得られる触媒系の存在下に、1−ブテンおよび任意にエチレン、プロピレンまたはアルファオレフィンを重合させることを含む、エチレン、プロピレンまたは式CH2=CHZ(ここで、ZはC3−C10のアルキル基である)のアルファオレフィンから選択される少なくとも一つのモノマーから誘導される単位を任意に30モル%まで含む、1−ブテンポリマーの製造方法である。
【0020】
好ましくは、式(I)の化合物はラセミ(rac)の形態にある。
好ましくは、式(I)の化合物は式(IIa)または(Iib):
【0021】
【化3】

(式中:
M、X、p、L、R1、R2、R3、R6およびR7は上記の意味を有する)
を有する。
【0022】
式(I)の化合物は、以下の工程:
a)式(III):
【化4】

(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびLは上記の意味を有する)
のリガンドおよび/またはその2重結合異性体を、
【0023】
TjB、TMgT1
(式中、Bはアルカリもしくはアルカリ土類金属であり、
jは1または2であり、Bがアルカリ金属、好ましくはリチウムであるときjは1であり、Bがアルカリ土類金属であるときjは2であり;
【0024】
Tは直鎖状または分枝鎖状の、飽和または不飽和の、任意に一つ以上のSiまたはGe原子を含んでいてもよい、C1−C20アルキル、C3−C20シクロアルキル、C6−C20アリール、C7−C20アルキルアリールまたはC7−C20アリールアルキル基であり、好ましくはTはメチルまたはブチル基であり;
【0025】
T1はハロゲン原子または基OR"(ここで、R"は直鎖状または分枝鎖状の、飽和または不飽和の、C1−C20−アルキル、C3−C20−シクロアルキル、C6−C20−アリール、C7−C20−アルキルアリールまたはC7−C20−アリールアルキル基であって、元素周期律表の13〜17族に属する一つ以上のヘテロ原子を任意に含んでいてもよく;好ましくはT1はハロゲン原子、より好ましくは臭素である)、
【0026】
水素化ナトリウムおよびカリウム、金属ナトリウムおよびカリウムから選択される塩基と接触させ、ここで上記の塩基と式(III)のリガンドとのモル比は少なくとも2:1であり;過剰の塩基を用いることができ;そして
【0027】
b)工程a)で得られる生成物を、式MX4(ここで、MおよびXは上記の意味を有する)の化合物と接触させることを含む方法によって製造され得る。
【0028】
この方法は、極性または無極性の非プロトン性溶媒中で行うのが好ましい。該非プロトン性溶媒は、好ましくは任意にハロゲン化されていてもよい、芳香族もしくは脂肪族の炭化水素またはエーテルであり;より好ましくはそれはベンゼン、トルエン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランおよびそれらの混合物から選択される。上記の方法は、−100℃〜+80℃の範囲の温度、より好ましくは−20℃〜+70℃で行われる。
【0029】
式(III)のリガンドは、以下の工程:
a)式(IVa):
【化5】

(式中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は上で定義されたとおりである)
の化合物、および/またはその2重結合異性体を、TjB、TMgT1(ここで、T、j、BおよびT1は上で定義されたとおりである)、水素化ナトリウムおよびカリウム、金属ナトリウムおよびカリウムから選択される塩基と接触させ、ここで上記の塩基と式(IVa)の化合物とのモル比は少なくとも1:1であり、過剰の塩基を用いることができる、
【0030】
b)工程a)で得られるアニオン性化合物を、式(IVb):
【化6】

(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6 およびLは上で定義されたとおりであり、Yは塩素、臭素および沃素であり、好ましくはYは塩素または臭素である)
の化合物と接触させることを含む方法によって得ることができる。
【0031】
インデニル部分が同じであるとき、つまり置換基R1、R2、R3、R4、R5およびR6が両インデニル部分において同じであるとき、式(III)のリガンドのもう一つの製造方法は、以下の工程:
【0032】
a)式(IVa):
【化7】

【0033】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は上で定義されたとおりである)
の化合物、および/またはその2重結合異性体を、TjB、TMgT1(ここで、T、j、BおよびT1は上で定義されたとおりである)、水素化ナトリウムおよびカリウム、金属ナトリウムおよびカリウムから選択される塩基と接触させる。その際、上記の塩基と式(IVa)の化合物とのモル比は少なくとも1:1であり、過剰の塩基を用いることができる。
【0034】
b)工程a)で得られる生成物を、式YLY(ここで、LおよびYは上で定義されたとおりである)の化合物と反応させる。ここで工程a)で得られる化合物と式YLYの化合物とのモル比は少なくとも2:1であり、工程a)で得られる化合物を過剰に用いることができる
を含む。
【0035】
成分b)として用いられるアルモキサンは、水を式:
HjAlU3-jまたはHjAl2U6-j
(式中、置換基Uは同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、少なくとも一つのUはハロゲンではないという条件で、任意にケイ素またはゲルマニウム原子を含んでいてもよい、C1−C20−アルキル、C3−C20−シクロアルキル、C6−C20−アリール、C7−C20−アルキルアリールまたはC7−C20−アリールアルキル基であり、jは0〜1の範囲であり、かつ整数ではない)
の有機アルミニウム化合物と反応させることによって得ることができる。この反応におけるAl/水のモル比は、好ましくは1:1〜100:1である。
アルミニウムとメタロセンの金属とのモル比は、通常、約10:1〜約30000:1であり、好ましくは約100:1〜約5000:1である。
【0036】
本発明による触媒において用いられるアルモキサンは、次のタイプ:
【化8】

(式中、置換基Uは同一または異なって、上に定義されたとおりである)
の少なくとも一つの基を含む、直鎖状、分子鎖状または環状の化合物であると考えられる。
【0037】
特に、式:
【化9】

(式中、n1は0または1〜40の整数であり、置換基Uは上で定義されたとおりである)
のアルモキサンは、直鎖状の化合物の場合に用いられ;
【0038】
あるいは式:
【化10】

(式中、n2 は2〜40の整数であり、置換基Uは上で定義されたとおりである)
のアルモキサンは、環状の化合物の場合に用いられ得る。
【0039】
本発明による使用に適したアルモキサンの例は、メチルアルモキサン(MAO)、テトラ−(イソブチル)アルモキサン(TIBAO)、テトラ−(2,4,4−トリメチル−ペンチル)アルモキサン(TIOAO)、テトラ−(2,3−ジメチルブチル)アルモキサン(TDMBAO)およびテトラ−(2,3,3−トリメチルブチル)アルモキサン(TTMBAO)である。
【0040】
特に興味深い助触媒は、アルキルおよびアリール基が特定の分枝鎖状パターンを有する、WO 99/21899およびWO01/21674に記載されているものである。
【0041】
WO 99/21899およびWO01/21674に記載されている、好適なアルモキサン(b)を得るために、水と反応し得るアルミニウム化合物の非限定的な例は、トリス(2,3,3−トリメチル−ブチル)アルミニウム、トリス(2,3−ジメチル−ヘキシル)アルミニウム、トリス(2,3−ジメチル−ブチル)アルミニウム、トリス(2,3−ジメチル−ペンチル)アルミニウム、トリス(2,3−ジメチル−ヘプチル)アルミニウム、トリス(2−メチル−3−エチル−ペンチル)アルミニウム、トリス(2−メチル−3−エチル−ヘキシル)アルミニウム、トリス(2−メチル−3−エチル−ヘプチル)アルミニウム、トリス(2−メチル−3−プロピル−ヘキシル)アルミニウム、トリス(2−エチル−3−メチル−ブチル)アルミニウム、トリス(2−エチル−3−メチル−ペンチル)アルミニウム、トリス(2,3−ジメチル−ペンチル)アルミニウム、トリス(2−プロピル−3−メチル−ブチル)アルミニウム、
【0042】
トリス(2−イソプロピル−3−メチル−ブチル)アルミニウム、トリス(2−イソブチル−3−メチル−ペンチル)アルミニウム、トリス(2,3,3−トリメチル−ペンチル)アルミニウム、トリス(2,3,3−トリメチル−ヘキシル)アルミニウム、トリス(2−エチル−3,3−ジメチル−ブチル)アルミニウム、トリス(2−エチル−3,3−ジメチル−ペンチル)アルミニウム、トリス(2−イソプロピル−3,3−ジメチル−ブチル)アルミニウム、トリス(2−トリメチルシリル−プロピル)アルミニウム、トリス(2−メチル−3−フェニル−ブチル)アルミニウム、トリス(2−エチル−3−フェニル−ブチル)アルミニウム、トリス(2,3−ジメチル−3−フェニル−ブチル)アルミニウム、トリス(2−フェニル−プロピル)アルミニウム、トリス[2−(4−フルオロ−フェニル)−プロピル]アルミニウム、
【0043】
トリス[2−(4−クロロ−フェニル)−プロピル]アルミニウム、トリス[2−(3−イソプロピル−フェニル)−プロピル]アルミニウム、トリス(2−フェニル−ブチル)アルミニウム、トリス(3−メチル−2−フェニル−ブチル)アルミニウム、トリス(2−フェニル−ペンチル)アルミニウム、トリス[2−(ペンタフルオロフェニル)−プロピル]アルミニウム、トリス[2,2−ジフェニル−エチル]アルミニウムおよびトリス[2−フェニル−2−メチル−プロピル]アルミニウム、ならびにヒドロカルビル基のうちの一つが水素原子で置き換えられた対応化合物、およびヒドロカルビル基のうちの一つまたは二つがイソブチル基で置き換えられた対応化合物である。
【0044】
上記のアルミニウム化合物のうち、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリイソブチルアルミニウム(TIBA)、トリス(2,4,4−トリメチル−ペンチル)アルミニウム(TIOA)、トリス(2,3−ジメチルブチル)アルミニウム(TDMBA)およびトリス(2,3,3−トリメチルブチル)アルミニウム(TTMBA)が好ましい。
【0045】
アルキルメタロセンカチオンを形成し得る化合物の非限定的な例は、式D+E-
(式中、D+ はプロトンを供与できて、式(I)のメタロセンの置換基Xと不可逆的に反応し得るブレンステッド酸であり、E- は二つの化合物の反応に由来する活性触媒種を安定化することができ、十分に不安定であって、オレフィンモノマーによって除去される、適当なアニオンである)
の化合物である。
【0046】
好ましくは、アニオンE- は一つ以上のホウ素原子を含む。より好ましくは、アニオン
E- は、式BAr4(-)
(式中、同一であっても異なっていてもよい置換基Arは、フェニル、ペンタフルオロフェニルまたはビス(トリフルオロメチル)フェニルのようなアリール基である)
のアニオンである。
【0047】
WO 91/02012に記載されているように、テトラキス−ペンタフルオロフェニルボレートは、特に好ましい化合物である。
さらに、式BAr3の化合物は、都合よく用いられ得る。このタイプの化合物は、例えば国際特許出願WO 92/00333に記載されている。
【0048】
アルキルメタロセンカチオンを形成し得る化合物のその他の例は、Pが置換または非置換のピロール基である式BAr3Pの化合物である。これらの化合物はWO01/62764に記載されている。ホウ素原子を含む化合物は、DE−A−19962814およびDE−A−19962910の記載に従って簡便に担持され得る。
ホウ素原子を含むこれら全ての化合物は、ホウ素とメタロセン金属とのモル比、約1:1〜約10:1;好ましくは1:1〜2:1;より好ましくは約1:1で用いられ得る。
【0049】
式D+E- の化合物の非限定的な例は:
トリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ボレート、
トリブチルアンモニウムテトラ(フェニル)ボレート、
トリメチルアンモニウムテトラ(トリル)ボレート、
トリブチルアンモニウムテトラ(トリル)ボレート、
トリブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)アルミネート、
トリプロピルアンモニウムテトラ(ジメチルフェニル)ボレート、
トリブチルアンモニウムテトラ(トリフルオロメチルフェニル)ボレート、
トリブチルアンモニウムテトラ(4−フルオロフェニル)ボレート、
N,N−ジメチルベンジルアンモニウム−テトラキスペンタフルオロフェニルボレート、
【0050】
N,N−ジメチルヘキシルアンモニウム−テトラキスペンタフルオロフェニルボレート、
N,N−ジメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ボレート、
N,N−ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)ボレート、
N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート、
N,N−ジメチルベンジルアンモニウム−テトラキスペンタフルオロフェニルボレート,
N,N−ジメチルヘキシルアンモニウム−テトラキスペンタフルオロフェニルボレート、
ジ(プロピル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
ジ(シクロヘキシル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリフェニルホスホニウムテトラキス(フェニル)ボレート、
【0051】
トリエチルホスホニウムテトラキス(フェニル)ボレート、
ジフェニルホスホニウムテトラキス(フェニル)ボレート、
トリ(メチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(フェニル)ボレート、
トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(フェニル)ボレート、
トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート、
トリフェニルカルベニウムテトラキス(フェニル)アルミネート、
フェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
フェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート、
トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、および
N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート
である。
【0052】
化合物c)として用いられる有機アルミニウム化合物は、上記のような、式HjAlU3-jまたはHjAl2U6-jのものである。
【0053】
本発明の重合方法は、液相で行うことができる。重合媒体は、任意に不活性炭化水素溶媒の存在する1−ブテンであり得る。そのような炭化水素溶媒は、芳香族(トルエンのような)または脂肪族(プロパン、ヘキサン、ヘプタン、イソブタン、シクロヘキサンおよび2,2,4−トリメチルペンタンのような)のいずれかであり得る。あるいは、本発明の重合方法は気相で行うことができる。
好ましくは、液体1−ブテン、すなわちモノマーを重合媒体として用いることによって重合が行われる(塊重合)。
【0054】
本発明の触媒系は、不活性担体上にも担持され得る。これは、メタロセン化合物a)、または成分b)とのそれらの反応生成物、あるいは成分b)および次いで化合物a)を、例えばシリカ、アルミナ、Al−Si、Al−Mg混合酸化物、ハロゲン化マグネシウム、スチレン/ジビニルベンゼンコポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレンのような不活性担体上に沈積することによって行われる。担持工程は、トルエン、ヘキサン、ペンタンおよびプロパンから選択される炭化水素のような不活性溶媒中で、0℃〜100℃、より好ましくは30℃〜60℃の範囲の温度で行われる。
【0055】
触媒系の特に好適な担持方法は、WO01/44319に記載されており、以下の工程:
(a)可溶触媒成分を含む触媒溶液を製造する;
(b)接触容器中に:
(i)粒子の形態にある多孔性担持材料、および
(ii)導入される多孔性担持材料の総細孔容積よりも大きくない量の触媒溶液を導入する;
(c)溶媒が蒸発する条件下に、工程(b)から得られる材料を接触容器から排出し、それを不活性ガスフロー中に懸濁する;そして
(d)工程(c)から得られる少なくとも一部の材料を、再導入される材料の総細孔容積よりも大きくない量の触媒溶液とともに接触容器中に再導入することを含む。
【0056】
好適な担持体のクラスは、活性水素原子を有する基で機能化された多孔性有機担持体を含む。特に好適なのは、有機担持体が部分的に架橋したスチレンポリマーであるものである。このタイプの担持体は、EP 633 272に記載されている。
本発明による使用に特に好適な不活性担持体のもう一つの群は、ポリオレフィン多孔性プレポリマー、特にポリエチレンのものである。
【0057】
本発明による使用にさらに好適な不活性担持体の群は、WO 95/32995に記載されているもののような、多孔性のハロゲン化マグネシウムである。
重合温度は、好ましくは0℃〜250℃の範囲であり;好ましくは20℃〜150℃、より詳しくは40℃〜90℃である。
【0058】
一般に、使用されるメタロセンが純粋な異性体であるとき、本発明のポリマーは狭い分子量分布Mw/Mnを有しており、Mw/Mnは好ましくは3より低く、より好ましくは2.5より低い。
【0059】
分子量分布は、異なるメタロセン化合物の混合物または式(I)のメタロセン化合物とチーグラーナッタ触媒の混合物を用いることにより、あるいは異なる重合温度および/または異なる濃度の分子量調整剤、および/または異なるモノマー濃度で、いくつかの段階で重合を行うことにより、変化させ得る。
【0060】
重合収率は、触媒中の遷移金属有機金属触媒化合物(式(I)のメタロセン化合物)a)の純度に依存しており、それゆえ、該化合物はそのまま用いることができ、使用前に精製処理に付すこともできる。
【0061】
本発明の方法によれば、1−ブテンは高収率で単独重合することができ、得られるアイソタクチックポリマーは、高い分子量および比較的低い融点を示す。得られるポリマーは、改善された柔軟性および破断点伸びを有する。
【0062】
1−ブテンがエチレン、プロピレンまたは式CH2=CHZ(ここで、ZはC3−C10のアルキル基である)のアルファオレフィンと共重合するとき、30モル%までのコモノマー誘導単位含量を有するコポリマーが得られる。好ましくは、コモノマー含量は0.5〜20モル%の範囲である。好ましいコモノマーは、エチレン、プロピレンまたは1−ヘキセンである。
【0063】
本発明のさらなる目的は、式(IIb):
【化11】

(式中、M、p、L、R1、R2、R3、R6、R7およびXは上記の意味を有する)
のメタロセン化合物である。
【0064】
式(IIb)のメタロセン化合物は、式(V):
【化12】

【0065】
(式中、L、R1、R2、R3、R6およびR7は上記のとおりであり;好ましくはR1はC1−C20−アルキル基であり;より好ましくはそれはメチルまたはエチル基であり;R2、R3およびR6 は好ましくは水素原子であり;好ましくはR7は直鎖状または分枝鎖状の、飽和または不飽和のC1−C20−アルキル基であり;より好ましくはそれはメチルまたはエチル基であり;好ましくはLはSi(R8)2 (ここで、R8は直鎖状または分枝鎖状の、飽和または不飽和の、C1−C20−アルキル、C3−C20−シクロアルキル、C6−C20−アリール、C7−C20−アルキルアリールまたはC7−C20−アリールアルキル基であり;より好ましくはLはSi(CH3)2またはSiPh2である)である)
のリガンドまたはそれに対応する2重結合異性体から出発して、上記の方法により製造され得る。式(III)のリガンドを用いる代わりに。
【0066】
したがって、本発明のさらなる目的は、以下の工程:
a)式(V):
【化13】

(式中、R1、R2、R3、R5、R6、R7およびLは上記のとおりである)
のリガンドおよび/またはその2重結合異性体を、式TjBまたはTMgT1
(式中、Bはアルカリまたはアルカリ土類金属であり;
jは1または2であり、Bがアルカリ金属であるときjは1であり、Bがアルカリ土類金属であるときjは2であり;
【0067】
Tは直鎖状または分枝鎖状の、飽和または不飽和の、一つ以上のSiまたはGe原子を任意に含んでいてもよい、C1−C20アルキル、C3−C20シクロアルキル、C6−C20アリール、C7−C20アルキルアリールまたはC7−C20アリールアルキル基からなる群から選択され;
【0068】
T1はハロゲン原子または基OR"(ここで、R"は直鎖状または分枝鎖状の、飽和または不飽和の、C1−C20−アルキル、C3−C20−シクロアルキル、C6−C20−アリール、C7−C20−アルキルアリールまたはC7−C20−アリールアルキル基であって、元素周期律表の13〜17族に属する一つ以上のヘテロ原子を任意に含んでいてもよい)
または水素化ナトリウムもしくはカリウム、または金属ナトリウムもしくはカリウムの塩基と接触させる;その際、塩基と式(V)のリガンドとのモル比は少なくとも2:1であり、過剰の塩基を用いることができる;そして
【0069】
b)工程a)で得られる生成物を、式MX4(ここで、MおよびXは上記のとおりである)の化合物と接触させることを含む、式(IIb)のメタロセン化合物の製造方法である。
【0070】
式(V)の化合物は、式(VI)および(VII):
【化14】

の化合物から出発して、式(VIa)および(IVb)の化合物の代わりに、式(VI)および(VII)の化合物を用いることにより、上記の方法に従って製造され得る。
【0071】
したがって、本発明のさらなる目的は、以下の工程:
a)式(VI):
【化15】

(式中:R1、R2、R3、R6およびR7は上記のとおりである)
の化合物またはその2重結合異性体を、式TjBまたはTMgT1
(式中、T、j、BおよびT1は上記のとおりである)、または水素化ナトリウムもしくはカリウム、または金属ナトリウムもしくはカリウムの塩基と接触させる;その際、上記の塩基と式(VI)の化合物とのモル比は少なくとも1:1であり、過剰の塩基を用いることができる;
【0072】
b)工程a)で得られるアニオン性化合物を、式(VII):
【化16】

(式中、R1、R2、R3、R6、R7およびLは上記のとおりであり、Yはクロライド、ブロマイドおよびヨーダイドからなる群から選択されるハロゲンラジカルである)
の化合物またはその2重結合異性体と接触させることを含む、式(V)のリガンドの製造方法である。
【0073】
置換基R1、R2、R3、R4、R5およびR6が両インデニル部分において同じであるとき、式(V)のリガンドのもう一つの製造方法は、以下の工程:
a)式(VI):
【化17】

(式中:R1、R2、R3、R6、R7およびLは上記のとおりである)
の化合物またはその2重結合異性体を、式TjBまたはTMgT1
(式中、T、j、BおよびT1は上記のとおりである)、または水素化ナトリウムもしくはカリウム、または金属ナトリウムもしくはカリウムの塩基と接触させる;その際、上記の塩基と式(VI)の化合物とのモル比は少なくとも1:1であり、過剰の塩基を用いることができる;そして
【0074】
b)工程a)で得られる生成物を、式YLY(ここで、LおよびYは上記のとおりである)の化合物と反応させる;その際、工程a)で得られる化合物と式YLYの化合物とのモル比は少なくとも2:1であり、工程a)で得られる化合物は過剰に用いることができる
を含む。
以下の実施例は、本発明を説明するために示され、本発明を限定するものではない。
【0075】
実施例
一般的方法
全ての操作は、通常のシュレンク−ライン技法を用いて窒素下に行われた。溶媒は、窒素で脱ガス化して精製され、活性化されたAl2O3上を通され、窒素下に保存された。全ての化合物は、DPX 200ブルーカー・スペクトロメーターで1H−NMR および13C−NMR (CDCl3、7.25 ppmにおける残留CHCl3のピークを基準として)によって分析された。ジルコノセンの溶解性が低いので、この化合物の13C−NMRスペクトルはブルーカーDPX 400で、CD2Cl4中、120℃で行われた。
【0076】
実施例1
Me2Si[2−Me−5,6(テトラメチルシクロトリメチレン)インデニル]2ZrCl2 [A1]の合成
1,1,3,3−テトラメチルインダンの合成
α−メチルスチレン(117.26 g)(アルドリッチ 99 %、0.98 mol)およびt−ブタノール(73.0 g)(アルドリッチ 99 %、0.97 mol)の混合物を、予め40℃に加温した酢酸(200 g)および硫酸(200 g)の混合物に、ゆっくり(1時間)加えた。このようにして得られた懸濁液を40℃で30分間撹拌し、次いで2層を分離した。有機層を0.7 M NaOH水溶液(3 × 50 ml、中性)および水(2 × 50 ml)で洗浄した。次いで、得られた不透明の黄色溶液を26 mbarで蒸留した。約100℃で、無色透明の液体を留去し(28.43 g)、これをNMRによって純粋な1,1,3,3テトラメチルインダンと特徴づけた(収率16.6%)。
【0077】
1H−NMR (CDCl3, δ, ppm): 1.39 (s, CH3, H8およびH9, 12H); 1.99 (s, CH2, H2, 2H); 7.17−7.30 (m, Ar, H4, H5, H6 および H7, 4H)
13C−NMR (CDCl3, δ, ppm): 31.56 (CH3, C8 および C9, 4C); 42.51 (C, C1 および C3, 2C); 56.60 (CH2, C2, 1C) ; 122.45 および 126.69 (Ar, C4, C5, C6 および C7, 4C); 151.15 (Ar, C3a および C7a, 2C)
【0078】
2,5,5,7,7−ペンタメチル−2,3,5,6,7−ペンタヒドロ−s−インダセン−1−オンの合成
AlCl3 (50.71 g)(アルドリッチ 99%、376.5 mmol)を、1,1,3,3テトラメチルインダン(163.1 mmol)(28.43 g) 、2−ブロモイソブチリルブロマイド(38.32 g)(アルドリッチ98%、163.3 mmmol)およびCH2Cl2 (500 ml)の混合物に、0℃でゆっくり(30分間)加えた。溶液の色は黄色に変わり、最後に暗赤色に変わった。懸濁液を室温で17時間撹拌し、次いで氷(200 g)で冷却した。緑色の有機層を1 M HCl水溶液(1 × 200 ml)、NaHCO3飽和溶液(2 × 200 ml)および水(2 × 200 ml)で洗浄した。次いで、それをNa2SO4で乾燥し、ろ過し、減圧下に蒸発乾固して、緑色の固体(38.23 g)を得た(収率96.7%)。この固体は、GC−MSにより、所期の物質を76.7%含むと測定された。これをMeOH(50 ml)で処理し、ろ過した。白色の残渣をMeOHで洗浄し、乾燥して、白色の粉末(20.28 g)を得た。ろ液を−20℃で保存して、白色の粉末(3.95 g)を得、これを先に得られたものと合わせた。この粉末は、NMRにより、純粋な2,5,5,7,7−ペンタメチル−2,3,5,6,7−ペンタヒドロ−s−インダセン−1−オンと特徴づけられた。単離された純粋な物質の収率は61.3%であった。
【0079】
1H−NMR (CDCl3, δ, ppm): 1.27 (s, CH3, H9, 3H); 1.31 (s, CH3, H11, 6H); 1.33 (s, CH3, H10, 6H); 1.95 (s, CH2, H6, 2H),; 2.62−2.79 (m, CH2 および CH, H2 および H3, 2H); 3.28−3.37 (m, CH2, H3, 1H); 7.15 (s, Ar, H4, 1H); 7.51 (s, Ar, H8, 1H)
13C−NMR (CDCl3, δ, ppm): 16.34 (CH3, C9, 1C); 31.28, 31.30 (CH3, C10, 2C); 31.50, 31.55 (CH3, C11, 2C); 34.73 (CH2, C3, 1C); 41.86 (C, C7, 1C); 42.38 (CH, C2, 1C); 42.52 (C, C5, 1C); 56.44 (CH2, C6, 1C); 117.87 (Ar, C8, 1C); 120.22 (Ar, C4, 1C); 135.67 (Ar, C8a, 1C); 151.69 (Ar, C7a, 1C); 152.91 (Ar, C3a, 1C); 159.99 (Ar, C4a, 1C); 208.96 (C=O, C1, 1C)
【0080】
2,5,5,7,7−ペンタメチル−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロ−s−インダセン−1−オールの合成
エタノール(15 ml)中の純粋な2,5,5,7,7−ペンタメチル−2,3,5,6,7−ペンタヒドロ−s−インダセン−1−オン(2.70 g)(11.1 mmol)の懸濁液を、NaBH4 (0.46 g)(アルドリッチ98%、11.9 mmol)を用い、室温で処理した。不透明の黄色溶液を得た。室温で18時間撹拌した後、溶液をアセトン(2 ml)で処理し、次いで減圧下に蒸発乾固した。得られた黄色のゲルをトルエン(35 ml)および水(35 m)で処理した。2層を分離した。水層をトルエン(20 ml)で洗浄した。有機層を10% NH4Cl水溶液(2 × 20 ml)で洗浄し、Na2SO4 で乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧下に蒸発乾固して、白色粉末(2.54 g) を得た(収率93.7%)。これは、NMRにより、純粋な2,5,5,7,7−ペンタメチル−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロ−s−インダセン−1−オールと特徴づけられた。2つの不斉中心(炭素C1および C2)が存在するため、このサンプルはAおよびBで表示される2つの異性体の存在によって特徴づけられた。1H−NMRスペクトルにより観測されたA:B比は60:40であった。
【0081】
1H−NMR (CDCl3, δ, ppm): 1.17 (d, CH3, H9, 3H, J=6.85, 異性体 B); 1.27 (d, CH3, H9, 3H, J=6.85, 異性体 A); 1.31 (s, CH3, H10 および H11, 12H, 異性体 A および B); 1.48 (d, OH, 1H, J=6.85, 異性体 A); 1.80 (d, OH, 1H, J=6.85, 異性体 B); 1.93 (s, CH2, H6, 2H, 異性体 A および B); 2.17−3.13 (m, CH および CH2, H2 および H3, 3H, 異性体 A および B); 4.69 (t, CH, H1, 1H, J=7.24, 異性体 A); 4.95 (t, CH, H1, 1H, J=8.57, 異性体 B); 6.95 (s, Ar, H4, 1H, 異性体 A); 6.97 (s, Ar, H4, 1H, 異性体 B); 7.14 (s, Ar, H8, 1H, 異性体 A); 7.17 (s, Ar, H8, 1H, 異性体 B).
13C−NMR (CDCl3, δ, ppm): 13.88 (CH3, C9, 1C, 異性体 B); 17.87 (CH3, C9, 1C, 異性体 A); 31.58, 31.65, 31.69, 31.75 (CH3, C10 および C11, 4C, 異性体 A および B); 37.64−37.75 (CH2, C3, 1C); 39.62 (CH, C2, 1C, 異性体 B); 42.11−42.16 (C, C5 および C7, 2C, 異性体 A および B); 45.99 (CH, C2, 1C, 異性体 A); 56.89 (CH2, C6, 1C); 77.51 (C−OH, C1, 1C, 異性体 B); 82.78 (C−OH, C1, 1C, 異性体 A); 117.80, 118.62, 118.80 (Ar, C4 および C8, 2C, 異性体 A および B); 140.68−152.10 (Ar, C3a, C4a, C7a, C8a)
【0082】
1,1,3,3,6−ペンタメチル−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセンの合成
エタノール(100 ml)中の純粋な2,5,5,7,7−ペンタメチル−2,3,5,6,7−ペンタヒドロ−s−インダセン−1−オン(24.36 g)(100.5 mmol)の懸濁液を、NaBH4(4.06 g)(アルドリッチ98%、105.2 mmol)を用いて室温で処理した。 不透明の黄色の溶液を得た。室温で4時間撹拌した後、溶液をアセトン(5 ml)で処理し、次いで減圧下に蒸発乾固した。得られた黄色のゲルをトルエン(100 ml)および水(40 ml)で処理した。2層を分離した。水層をトルエン(50 ml)で洗浄した。有機層を10%NH4Cl水溶液(2 × 30 l)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、ろ過した。黄色のろ液を、p−トルエンスルホン酸1水和物(1.89 g)(アルドリッチ98.5%、9.8 mmol)で処理し、80℃に加熱した。水が生成し、2層の分離が観測された。80℃で5時間および室温で2日間撹拌した後、反応は終わっていなかった(アルコール11%)ので、生成した水を反応混合物から分離し、p−トルエンスルホン酸1水和物(0.20 g)(アルドリッチ98.5%、1.0 mmol)を加えた。80℃で1時間および室温で16時間撹拌した後、反応が完了した。混合物をNaHCO3飽和水溶液(50 ml)で処理した。有機層を分離し、NaHCO3飽和水溶液(1 × 50 ml)および水(3 × 50 ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、ろ過した。黄色のろ液を減圧下に蒸発乾固し、黄色の液体(20.89 g)を得た(収率91.8%)。数分後に結晶化した。これはNMRにより、純粋な1,1,3,3,6−ペンタメチル−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセンと特徴づけられた。
【0083】
1H−NMR (CDCl3, δ, ppm): 1.38 (s, CH3, H9 e H10, 12H); 2.00 (s, CH2, H2, 2H); 2.18 (bs, CH3, H11, 3H); 3.30 (s, CH2, H5, 2H); 6.51 (s, CH, H7, 1H); 7.06 (s, Ar, H8, 1H); 7.18 (s, Ar, H4, 1H)
13C−NMR (CDCl3, δ, ppm): 16.81 (CH3, C11, 1C); 31.77 (CH3, C9 e C10, 4C); 42.08, 42.16 (C, C1 e C3, 2C); 42.28 (CH2, C5, 1C); 57.04 (CH2, C2, 1C); 113.61 (Ar, C8, 1C); 117.55 (Ar, C4, 1C); 127.13 (CH, C7, 1C); 142.28 (Ar, C4a, 1C); 145.00, 145.26 (Ar および C=, C7a および C6, 2C); 146.88 (Ar, C3a, 1C); 149.47 (Ar, C8a, 1C)
【0084】
ジメチル−ビス−(2,5,5,7,7−ペンタメチル−1,5,6,7−テトラヒドロ−s−インダセン−1−イル)−シラン
2.5 M BuLiジエチルエーテル溶液(8.8 ml)(アルドリッチ、22.0 mmol)を、ジエチルエーテル(65 ml)中の1,1,3,3,6−ペンタメチル−1,2,3,5−テトラヒドロ−s−インダセン(4.99 g)(22.0 mmol)の溶液に、0℃でゆっくり加えた。次いで、生成した黄色の懸濁液を室温で撹拌した。1H−NMRは、1時間後にリチウム塩の完全な生成を示した。THF(30 ml)中のジメチルジクロロシラン(1.51 g)(Fluka 99%、11.6 mmol)の溶液を、反応混合物に0℃で加えた。次いで、清澄な黄色の懸濁液を室温で20時間撹拌した。次いで、懸濁液を減圧下に蒸発乾固して、粘性の黄色固体を得た。これをトルエン(70 ml)で処理し、ろ過した。フリット上の白色残渣をトルエン(20 ml)で2回洗浄した。黄色のろ液を減圧下に蒸発乾固して、所期の物質(rac:meso = 20:80)、出発インデン(生成物に対して11%)、およびその他の未知物質を含む粘性の黄色固体(5.67 g)を得た。この固体をペンタン(20 ml)で処理すると、白色の沈殿物を有する淡黄色の溶液が生成した。これをろ過し、乾燥して、白色粉末(0.53 g)を得た。これはNMRにより純粋なrac−ジメチル−ビス−(2,5,5,7,7−ペンタメチル−1,5,6,7−テトラヒドロ−s−インダセン−1−イル)−シランと特徴づけられた。ろ液を10 mlに濃縮し、−20℃に冷却した。20時間後、白色固体(2.27 g) を溶液から分離した。これはNMRにより、純粋なジメチル−ビス−(2,5,5,7,7−ペンタメチル−1,5,6,7−テトラヒドロ−s−インダセン−1−イル)−シラン(rac:meso = 10:90)と特徴づけられた。次いで、その他の純粋な生成物(1.12 g)を結晶化した。純粋な単離物質の総収率は57.0%であった。
【0085】
rac異性体
1H−NMR (CDCl3, δ, ppm): −0.23 (s, Si−CH3, 6H); 1.32 (s, CH3, H11, 12H); 1.37, 1.38 (s, CH3, H10, 12H); 1.97 (s, CH2, H6, 4H); 2.19 (bs, CH3, H9, 6H); 3.62 (s, CH, H1, 2H); 6.58 (s, CH, H3, 2H); 7.10 (s, Ar, H4, 2H); 7.27 (s, Ar, H8, 2H)
13C−NMR (CDCl3, δ, ppm): −5.52 (Si−CH3, 2C); 17.90 (CH3, C9, 2C); 31.68, 31.80, 31.98 (CH3, C10 e C11, 8C); 42.06, 42.13 (C, C5 e C7, 4C); 46.69 (CH, C1, 2C); 57.13 (CH2, C6, 2C); 113.60 (Ar, C4, 2C); 117.15 (Ar, C8, 2C); 126.69 (CH, C3, 2C); 143.78 (Ar, C8a, 2C); 144.40 (Ar, C3a, 2C); 146.19 (C=, C2, 2C); 146.35 (Ar, C7a, 2C); 148.63 (Ar, C4a, 2C)
【0086】
meso異性体
1H−NMR (CDCl3, δ, ppm): −0.29, −0.16 (s, Si−CH3, 6H); 1.28, 1.30 (s, CH3, H11, 12H); 1.32, 1.33 (s, CH3, H10, 12H); 1.93 (s, CH2, H6, 4H); 2.16 (bs, CH3, H9, 6H); 3.51 (s, CH, H1, 2H); 6.57 (s, CH, H3, 2H); 7.06 (s, Ar, H4, 2H); 7.08 (s, Ar, H8, 2H)
13C−NMR (CDCl3, δ, ppm): −5.04, −4.67 (Si−CH3, 2C); 17.83 (CH3, C9, 2C); 31.70, 31.79, 31.96 (CH3, C10 e C11, 8C); 42.05, 42.12 (C, C5 e C7, 4C); 46.55 (CH, C1, 2C); 57.10 (CH2, C6, 2C); 113.59 (Ar, C4, 2C); 117.29 (Ar, C8, 2C); 126.59 (CH, C3, 2C); 143.88 (Ar, C8a, 2C); 144.27 (Ar, C3a, 2C); 146.33 (C=, C2, 2C); 146.53 (Ar, C7a, 2C); 148.62 (Ar, C4a, 2C)
【0087】
Me2Si[2−Me−5,6(テトラメチルシクロトリメチレン)インデニル]2ZrCl2 [A1]の合成
1.5 M MeLiジエチルエーテル溶液(1.39 ml)(アルドリッチ、2.1 mmol)を、ジエチルエーテル(10 ml)中の純粋なrac−ジメチル−ビス−(2,5,5,7,7−ペンタメチル−1,5,6,7−テトラヒドロ−s−インダセン−1−イル)−シラン(0.53 g)(1.0 mmol)の懸濁液に、0℃でゆっくり加えた。室温で90分間撹拌した後、 淡黄色の懸濁液を、ペンタン(10 ml)中の ZrCl4 (0.25 g)(アルドリッチ、1.1 mmol)の懸濁液に0℃で加えた。黄色の懸濁液を生成した。室温で20時間撹拌した後、1H−NMR分析は所期の物質(rac:meso = 95:5)の生成を示した。rac異性体を重合試験に用いた。
【0088】
rac異性体
1H−NMR (CDCl3, δ, ppm): 1.22, 1.31 (s, CH3, H11, 12H); 1.28 (s, Si−CH3, 6H); 1.33, 1.42 (s, CH3, H10, 12H); 1.90 (d, CH2, H6, 4H, J=0.78); 2.19 (s, CH3, H9, 6H); 6.70 (s, CH, H3, 2H); 7.22 (s, Ar, H4, 2H, J=0.78); 7.28 (s, Ar, H8, 2H, J=0.78)
13C−NMR (CD2Cl4, δ, ppm): 2.86 (Si−CH3, 2C); 18.39 (CH3, C9, 2C); 31.41 (CH3, C11, 2C); 31.63, 31.64 (CH3, C10 e C11, 4C); 33.43 (CH3, C10, 2C); 41.72, 41.75 (C, C5 e C7, 4C); 57.50 (CH2, C6, 2C); 81.77 (Ar, C1, 2C); 117.77 (Ar, C8, 2C); 118.40 (Ar, C4, 2C); 121.37 (Ar, C3, 2C); 127.21 (Ar, C8a, 2C); 133.44 (Ar, C3a, 2C); 134.64 (Ar, C2, 2C); 152.15 (Ar, C7a, 2C); 155.45 (Ar, C4a, 2C).
【0089】
実施例2
Me2Si[2−Me−5,6(テトラメチルシクロトリメチレン)インデニル]2ZrCl2 [A1]のもう一つの合成ルート
2.5 M BuLi溶液(5.0 ml)(アルドリッチ、12.6 mmol)を、エーテル(40 ml)中の純粋なジメチル−ビス−(2,5,5,7,7−ペンタメチル−1,5,6,7−テトラヒドロ−s−インダセン−1−イル)−シラン(3.2 g)(実験20826/93、MW = 508.86, 6.3 mmol)の懸濁液に、0℃でゆっくり加えた。室温で3時間撹拌した後、淡黄色の懸濁液をペンタン(40 ml)中のZrCl4 (1.50 g)の懸濁液に0℃で加えた。黄橙色の懸濁液が生成した。室温で18時間撹拌した後、1H−NMR分析は、所期の物質(rac:meso = 60:40)の生成を示した。懸濁液をろ過した。黄色の残渣(3.6 g)をフリット上、トルエン(300 ml)で処理した。ろ液を減圧下に蒸発乾固して、Me2Si[2−Me−5,6(テトラメチルトリメチレン)インデニル]2ZrCl2 (rac:meso = 61:39)を含む黄色の粉末(2.41 g)を得た。フリット上の淡黄色の残渣をトルエン(50 ml)で処理し、ろ過した。純粋なrac−Me2Si[2−Me−5,6(テトラメチルトリメチレン)インデニル]2ZrCl2 (160 mg)をろ液から得た。総収率は61.2%であった。rac異性体を重合試験に用いた。
【0090】
重合実施例
一般的方法
固有粘度(I.V.)は、テトラヒドロナフタレン(THN)中、135℃で測定された。
分子量および分子量分布は、次のクロマトグラフィー条件を用いて、WATERS 150 Cで測定された。
カラム:3 × SHODEX AT 806 MS; 1 × SHODEX UT 807; 1 × SHODEX AT−G;
溶媒: 1,2,4−トリクロロベンゼン(+0.025% 2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチル −フェノール);
流速: 0.6〜1 ml/分;
温度: 135℃;
検出器:INFRARED AT λ≒3.5μm;
較正: PS−スタンダードでユニバーサル較正
【0091】
ポリマー (Tm) の融点を、パーキンエルマーDSC−7計器で示差走査熱量法(D.S.C.) により、標準的な方法に従って測定した。重合から得られた、秤量したサンプル(5〜10 mg)をアルミニウムのパン中に密封し、10℃/分で180℃に加熱した。サンプルを180℃で5分間保って、全ての結晶を完全に溶融させ、次いで10℃/分で20℃に冷却した。20℃で2分間維持した後、10℃/分に相当する走査速度でサンプルを180℃に加熱(2回目)した。この2回目の加熱中におけるピーク温度を溶融温度(Tm)とし、ピークの面積を溶融エンタルピー(ΔHf)とした。
racジメチルシリルビス(2−メチル−4−フェニル−インデニル)ジルコニウムジクロライド[A−2]を、米国特許5,786,432に従って製造した。racジメチルシリルビス(2−メチル−4, 5ベンゾ−インデニル)ジルコニウムジクロライド[A−3]を、米国特許5,830,821に従って製造した。
【0092】
重合実施例1〜3および比較例4〜5:
1−ブテン単独重合
メタロセンをトルエン中の適当な量のMAOの溶液とともに(Al/Zr比は表1に報告)溶解して触媒混合物を製造した。得られた溶液を、オートクレーブ中に注入する前に、室温で10分間撹拌した。磁性撹拌アンカー(撹拌速度550 rpm)、および1−ブテンに対して最速フローレート9000 g/時を有するフロー・レコード・アンド・コントロール・システム(FRC)を備えた4.25リットルのスチール製オートクレーブを、加温した窒素でパージした(1.5 barg N2、70℃、1時間)。1−ブテンを、Al(i−Bu)3 (TIBA)(6 mmol)(ヘキサン中の1 M溶液として)とともに、反応器中に注入し(30℃で1350 g)、撹拌を開始した。続いて、反応器の内温を30℃から重合温度(表1に表示)に上げた。圧力および温度が一定であるとき、窒素の加圧で触媒溶液を反応器中に供給した。選択された重合温度で、表1に示した時間、重合を行った。次いで、撹拌を中断し;オートクレーブ中の圧力を窒素で20 bar−gに上げた。底部の排出バルブを開け、1−ブテン/ポリ−1−ブテン混合物を、70℃の水を含む加熱したスチール製タンク中に排出した。タンクの加熱スイッチを切り、窒素気流を0.5 bar−gで供給した。室温で1時間冷却した後、スチール製タンクを開け、湿ったポリマーを回収した。湿ったポリマーをオーブン中、減圧下に70℃で乾燥した。重合条件、および得られたポリマーの特徴づけデータを表1に報告する。
【0093】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)式(I):
【化1】

(式中:
Mは元素周期律表の3、4、5、6族またはランタニドもしくはアクチニドグループに属するものから選択される遷移金属原子であり;
pは0〜3の整数であって、金属Mの見かけ酸化状態マイナス2に等しく;
Xは互いに同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、またはR、OR、OSO2CF3、OCOR、SR、NR2もしくはPR2基(ここで、Rは直鎖状または分枝鎖状の、飽和または不飽和のC1−C20アルキル、C3−C20シクロアルキル、C6−C20アリール、C7−C20アルキルアリールまたはC7−C20アリールアルキル基であり、元素周期律表の13〜17族に属するヘテロ原子を任意に含んでいてもよい)であるか;あるいは二つのXは、置換もしくは非置換のブタジエニル基または OR'O基(ここで、R'はC1−C20アルキリデン、C6−C40アリーリデン、C7−C40アルキルアリーリデンおよびC7−C40アリールアルキリデン基から選択される二価の基である)を任意に形成することができ;
R1は互いに同一または異なって、直鎖状または分枝鎖状の、飽和または不飽和の、C1−C20−アルキル、C3−C20−シクロアルキル、C6−C20−アリール、C7−C20−アルキルアリールまたはC7−C20−アリールアルキル基であり、元素周期律表の13〜17族に属する一つ以上のヘテロ原子を任意にんでいてもよく;
R2、R3およびR6は互いに同一または異なって、水素原子、または直鎖状もしくは分枝鎖状の、飽和もしくは不飽和の、C1−C20−アルキル、C3−C20−シクロアルキル、C6−C20−アリール、C7−C20−アルキルアリールもしくはC7−C20−アリールアルキル基であり、元素周期律表の13〜17族に属する一つ以上のヘテロ原子を任意に含んでいてもよく;
R4およびR5は一緒になって、元素周期律表の13〜16族に属するヘテロ原子を任意に含んでいてもよい、縮合した、飽和または不飽和のC3−C7員環を形成し;この環を形成する各原子はR7基(ここで、R7は互いに同一または異なって、水素原子、または直鎖状もしくは分枝鎖状の、飽和もしくは不飽和の、C1−C20−アルキル、C3−C20−シクロアルキル、C6−C20−アリール、C7−C20−アルキルアリールもしくはC7−C20−アリールアルキル基であって、元素周期律表の13〜17族に属する一つ以上のヘテロ原子を任意に含んでいてもよい)で置換されており;
Lは、元素周期律表の13〜17族に属するヘテロ原子を任意に含んでいてもよい、C1−C20アルキリデン、C3−C20シクロアルキリデン、C6−C20アリーリデン、C7−C20アルキルアリーリデンまたはC7−C20アリールアルキリデン基から選択される二価の架橋基、またはケイ素原子を5つまで含むシリリデン基である)
の、少なくとも一つのメタロセン化合物、および
b)アルモキサンまたはアルキルメタロセンカチオンを形成し得る化合物
を接触させて得られる触媒系の存在下に、1−ブテンおよび任意にエチレン、プロピレンまたはアルファオレフィンを重合させることを含む、エチレン、プロピレンまたは式CH2=CHZ(ここで、ZはC3−C10のアルキル基である)のアルファオレフィンの誘導単位を任意に30モル%まで含む1−ブテンポリマーの製造方法。
【請求項2】
触媒系が有機アルミニウム化合物をさらに含む、請求項1による方法。
【請求項3】
式(I)の化合物において、Mがチタン、ジルコニウムまたはハフニウムであり、Xが水素原子、ハロゲン原子またはR基(ここで、Rは請求項1と同じ意味を有する)であり、LがSi(R8)2(ここで、R8は直鎖状または分枝鎖状の、飽和または不飽和の、C1−C20−アルキル、C3−C20−シクロアルキル、C6−C20−アリール、C7−C20−アルキルアリールまたはC7−C20−アリールアルキル基である)である、請求項1または2による方法。
【請求項4】
R1がC1−C20−アルキル基であり、R2、R3およびR6が水素原子であり、R7が水素原子または直鎖状もしくは分枝鎖状の、飽和もしくは不飽和のC1−C20−アルキル基である、請求項1〜3のいずれかによる方法。
【請求項5】
式(I)の化合物が、式(IIa)または(IIb):
【化2】

(式中:M、X、p、L、R1、R2、R3、R6およびR7は請求項1と同じ意味を有する)
を有する、請求項1〜4のいずれかによる方法。
【請求項6】
1−ブテンが単独重合される請求項1〜5のいずれかによる方法。
【請求項7】
式(IIb):
【化3】

(式中、M、p、L、R1、R2、R3、R6、R7およびXは請求項1と同じ意味を有する)
のメタロセン化合物。
【請求項8】
式(V):
【化4】

(式中、L、R1、R2、R3、R6およびR7は請求項1と同じ意味を有する)
のリガンドまたはそれに対応する二重結合異性体。
【請求項9】
以下の工程:
a)式(V):
【化5】

(式中、R1、R2、R3、R6、R7およびLは請求項1と同じ意味を有する)
のリガンドまたはその二重結合異性体を、
式TjBまたはTMgT1
(式中、Bはアルカリもしくはアルカリ土類金属であり、
jは1または2であり、Bがアルカリ金属であるときjは1であり、Bがアルカリ土類金属であるときjは2であり;
Tは直鎖状または分枝鎖状の、飽和または不飽和の、任意に一つ以上のSiまたはGe原子を含んでいてもよい、C1−C20アルキル、C3−C20シクロアルキル、C6−C20アリール、C7−C20アルキルアリールまたはC7−C20アリールアルキル基からなる群から選択され;
T1はハロゲン原子または基OR"(ここで、R"は直鎖状または分枝鎖状の、飽和または不飽和の、C1−C20−アルキル、C3−C20−シクロアルキル、C6−C20−アリール、C7−C20−アルキルアリールまたはC7−C20−アリールアルキル基であって、元素周期律表の13〜17族に属する一つ以上のヘテロ原子を任意に含んでいてもよい)
の塩基、または水素化ナトリウムもしくはカリウム、または金属ナトリウムもしくはカリウムとを、上記の塩基と式(V)のリガンドとのモル比少なくとも2:1で接触させ、そして
b)工程a)で得られる生成物を、
式MX4
(ここで、MおよびXは請求項1と同じ意味を有する)
の化合物と接触させることを含む、式(IIb):
【化6】

(式中、M、p、L、R1、R2、R3、R6、R7およびXは請求項1と同じ意味を有する)
のメタロセン化合物の製造方法。
【請求項10】
以下の工程:
a)式(VI):
【化7】

(式中、R1、R2、R3、R6およびR7は請求項1と同じ意味を有する)
の化合物またはその二重結合異性体を、
式TjBまたはTMgT1
(式中、Bはアルカリもしくはアルカリ土類金属であり、
jは1または2であり、Bがアルカリ金属であるときjは1であり、Bがアルカリ土類金属であるときjは2であり;
Tは直鎖状または分枝鎖状の、飽和または不飽和の、任意に一つ以上のSiまたはGe原子を含んでいてもよい、C1−C20アルキル、C3−C20シクロアルキル、C6−C20アリール、C7−C20アルキルアリールまたはC7−C20アリールアルキル基からなる群から選択され;
T1はハロゲン原子または基OR"(ここで、R"は直鎖状または分枝鎖状の、飽和または不飽和の、C1−C20−アルキル、C3−C20−シクロアルキル、C6−C20−アリール、C7−C20−アルキルアリールまたはC7−C20−アリールアルキル基であり、元素周期律表の13〜17族に属する一つ以上のヘテロ原子を任意に含んでいてもよい)
の塩基、または水素化ナトリウムもしくはカリウム、または金属ナトリウムもしくはカリウムとを、塩基と式(VI)の化合物のモル比少なくとも1:1で接触させ、
b)工程a)で得られる陰イオン化合物を、式(VII):
【化8】

(式中、R1、R2、R3、R6、R7およびLは請求項1と同じ意味を有し、Yはクロライド、ブロマイドおよびヨーダイドからなる群から選択されるハロゲン基である)
の化合物またはその二重結合異性体と接触させることを含む、式(V)
【化9】

(式中、R1、R2、R3、R6、R7およびLは請求項1と同じ意味を有する)
のリガンド、またはその二重結合異性体の製造方法。
【請求項11】
以下の工程:
a)式(VI):
【化10】

(式中、R1、R2、R3、R6およびR7は請求項1と同じ意味を有する)
の化合物、またはその二重結合異性体を、
式TjBまたはTMgT1
(式中、Bはアルカリまたはアルカリ土類金属であり、
jは1または2であり、Bがアルカリ金属であるときjは1であり、Bがアルカリ土類金属であるときjは2であり;
Tは直鎖状または分枝鎖状の、飽和または不飽和の、任意に一つ以上のSiまたはGe原子を含んでいてもよい、C1−C20アルキル、C3−C20シクロアルキル、C6−C20アリール、C7−C20アルキルアリールまたはC7−C20アリールアルキル基からなる群から選択され;
T1はハロゲン原子または基OR"(ここで、R"は直鎖状または分枝鎖状の、飽和または不飽和の、C1−C20−アルキル、C3−C20−シクロアルキル、C6−C20−アリール、C7−C20−アルキルアリールまたはC7−C20−アリールアルキル基であり、元素周期律表の13〜17族に属する一つ以上のヘテロ原子を任意に含んでいてもよい)
の塩基、または水素化ナトリウムもしくはカリウム、または金属ナトリウムもしくはカリウムと、上記の塩基と式(VI)の化合物とのモル比少なくとも1:1で接触させ、
b)工程a)で得られる生成物を、式YLY(ここで、LおよびYは、請求項9と同じ意味を有する)の化合物と、工程a)で得られた化合物と式YLYの化合物とのモル比少なくとも2:1で反応させることを含む、式(V)(ここで、置換基R1、R2、R3、R6およびR7は両インデニル部分におけるのと同じである)のリガンドの製造方法。

【公表番号】特表2006−509059(P2006−509059A)
【公表日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−556103(P2004−556103)
【出願日】平成15年11月3日(2003.11.3)
【国際出願番号】PCT/EP2003/012236
【国際公開番号】WO2004/050724
【国際公開日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(502303902)バセル ポリオレフィン ジーエムビーエイチ (19)
【氏名又は名称原語表記】BASELL POLYOLEFINE GMBH
【住所又は居所原語表記】Bruhler Strasse 60,50389 Wesseling,Germany
【Fターム(参考)】