説明

1成分現像装置及び画像形成装置

【課題】1成分現像剤を用いて駆動ローラーに外嵌された現像スリーブで静電潜像を現像できる現像装置において、現像スリーブ端部に当接する端部シール部材と現像スリーブの間へのトナー侵入を信頼性高く、長期にわたり抑制する。
【解決手段】現像スリーブ41は全体に均一厚さに形成されているとともに、端部シール部材45が当接されるスリーブ端部411の外径D2が現像剤規制部材46、47が当接される現像剤規制域A部分の外径D1より大径である1成分現像装置4。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は静電潜像担持体に目的とする画像に対応する静電潜像を形成し、前記静電潜像を現像してトナー像を形成できる画像形成装置に関係しており、特に、そのような画像形成装置で静電潜像の現像に用いることができる1成分現像装置に関係している。
【背景技術】
【0002】
上記の画像形成装置の具体例として、電子写真方式の複写機、プリンター、ファクシミリ機、これらを組み合わせた複合機といった画像形成装置を挙げることができる。
【0003】
複写機、プリンター、ファクシミリ機、これらを組み合わせた複合機等の、静電潜像担持体に目的とする画像に対応する静電潜像を形成し、前記静電潜像を現像してトナー像を形成できる画像形成装置では、静電潜像を現像してトナー像を形成する手段として現像装置が採用される。
【0004】
現像装置は、一般的に言えば、トナーを主体とする所謂1成分現像剤を用いる1成分現像装置と、トナー及びキャリアを主体とする所謂2成分現像剤を用いる2成分現像装置に大別される。
【0005】
2成分現像装置はトナーをキャリアとの混合による摩擦帯電で帯電させるため、トナーを帯電させるにあったての現像剤ストレスが小さく、トナーが劣化しにくい等の利点がある。しかし、現像剤を担持して静電潜像現像域へ搬送する現像剤担持体はトナーとキャリアを共に担持して現像域へ搬送しなければならないので、キャリアを磁性キャリアとし、現像剤担持体内に磁界発生体を配置するのが一般的である。
【0006】
一方、1成分現像装置は現像剤としてトナーを主体とする現像剤を用いるので、2成分現像装置の場合のキャリアが不要であるとともにキャリアを保持するための磁界発生体も不要であり、それだけ構造簡単、安価に提供できる。そのため、1成分現像装置は比較的安価な画像形成装置に採用されてきた。
【0007】
1成分現像装置には幾つかのタイプがあるが、次の1成分現像装置は比較的構造簡単で、安価に製作できるものとして知られている。すなわち、
1成分現像剤を収容するためのハウジング、前記ハウジングに回転可能に設けられた駆動ローラー、前記駆動ローラーに外嵌され、一部が像担持体上の静電潜像現像のために前記ハウジング外へ向け露出している現像スリーブ、前記現像スリーブの両端部に前記ハウジング内側から当接され、該現像スリーブ両端部からの現像剤漏れを防止するための端部シール部材及び前記端部シール部材の間において前記ハウジング内側から前記現像スリーブに当接された現像剤規制部材を含んでおり、前記現像スリーブは前記駆動ローラー外径より大きい内径を有しており、前記ハウジング内側で前記駆動ローラーに該駆動ローラーの回転に摩擦従動回転可能に接触せしめられるとともに前記ハウジング外側へ向け露出した余長部分で前記像担持体に弾性変形しつつ接触可能である1成分現像装置である。
【0008】
このタイプの現像装置は、例えば、特開2007−128008号公報(特許文献1)に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−128008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、このタイプの現像装置では、現像スリーブ端部に当接する端部シール部材と現像スリーブの間に現像剤(トナー)が侵入すると、その侵入したトナーが現像スリーブの回転にともない、端部シ−ル部材が当接していない、ハウジング外側へ向け露出される現像スリーブ表面部分へ移動し、そこから落下したり、飛散したり、現像スリーブが臨む像担持体へ無秩序に付着したりする。
【0011】
このタイプの現像装置が搭載された画像形成装置が、像担持体上に形成されたトナー像が記録媒体或いは中間転写体に転写されたあとの転写残トナーを除去する像担持体用の転写残トナークリーナーが設けられた画像形成装置であれば、前記のように現像装置の端部シール部材と現像スリーブの間に侵入して現像スリーブから像担持体へ付着したトナーはこの転写残トナークリーナーで回収される。
【0012】
しかし、そのような像担持体用の転写残トナークリーナーが省略され、現像装置として、静電潜像の現像を行ないつつ像担持体上の転写残トナーを電界の作用で現像スリーブへ移行させ、現像スリーブの回転と共にトナー収容ハウジング内へ取り込む、所謂クリーナレス画像形成装置では、前記のように現像装置の端部シール部材と現像スリーブの間に侵入して現像スリーブから像担持体へ付着したトナーは該像担持体から落下したり、飛散したりしやすい。
【0013】
現像スリーブから落下したり、飛散したトナーや、像担持体から落下したり、飛散したトナーは、画像形成装置内を汚したり、ユーザーの手指、衣服等を汚したり、画像露光装置に付着して露光蹴りを招き、白筋ノイズを発生させたりする。
【0014】
特許文献1には、現像スリーブ端部に当接する端部シール部材と現像スリーブの間に侵入した現像剤(トナー)が外へ漏れ出ることを抑制するため、端部シール部材に、現像スリーブ幅方向における中央側の端部シール部材端から、現像スリーブ回転方向とは逆方向に、且つ、現像スリーブ幅方向において外側へ傾斜して延びる切れ込みを形成し、その切れ込みにおける前記回転方向前方側の縁部に、現像スリーブ回転に伴い、端部シール部材と現像スリーブの間に侵入したトナーを現像スリーブ幅方向中央側へ導かせることも記載されている。
【0015】
しかし、このような切れ込みを採用しても、なお、現像スリーブ端部に当接する端部シール部材と現像スリーブの間に侵入したトナーが現像スリーブの回転にともない、ハウジング外側へ向け露出された現像スリーブ表面部分へ移動し、落下したり、飛散したり、現像スリーブが臨む像担持体へ無秩序に付着したりする恐れが無いとは言えない。
【0016】
最近では単位時間当たりの画像形成枚数を多くする、画像形成装置の高速化が求められており、高速画像形成装置で採用される前記タイプの1成分現像装置では、現像スリーブ端部に当接する端部シール部材と現像スリーブの間に現像剤(トナー)が侵入し、ひいてはトナーの落下、飛散、像担持体への付着の恐れが大きい。
【0017】
本発明は、1成分現像剤を収容するためのハウジング、前記ハウジングに回転可能に設けられた駆動ローラー、前記駆動ローラーに外嵌され、一部が像担持体上の静電潜像現像のために前記ハウジング外へ向け露出している現像スリーブ、前記現像スリーブの両端部に前記ハウジング内側から当接され、該現像スリーブ両端部からの現像剤漏れを防止するための端部シール部材及び前記端部シール部材の間において前記ハウジング内側から前記現像スリーブに当接された現像剤規制部材を含んでおり、前記現像スリーブは前記駆動ローラー外径より大きい内径を有しており、前記ハウジング内側で前記駆動ローラーに該駆動ローラーの回転に摩擦従動回転可能に接触せしめられるとともに前記ハウジング外側へ向け露出した余長部分で前記像担持体に弾性変形しつつ接触可能である1成分現像装置であって、前記現像スリーブ端部に当接する前記端部シール部材と前記現像スリーブの間へのトナー侵入を信頼性高く、長期にわたり抑制することができる1成分現像装置を提供することを第1の課題とする。
【0018】
本発明はまた、静電潜像担持体に目的とする画像に対応する静電潜像を形成し、前記静電潜像を現像装置で現像してトナー像を形成できる画像形成装置であって、現像装置からのトナー漏れによる画像装置内のトナー汚れや、ユーザーの手指、衣服等のトナー汚れを抑制して、良好な画像を形成できる画像形成装置を提供することを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は前記第1の課題を解決するため、
1成分現像剤を収容するためのハウジング、前記ハウジングに回転可能に設けられた駆動ローラー、前記駆動ローラーに外嵌され、一部が像担持体上の静電潜像現像のために前記ハウジング外へ向け露出している現像スリーブ、前記現像スリーブの両端部に前記ハウジング内側から当接され、該現像スリーブ両端部からの現像剤漏れを防止するための端部シール部材及び前記端部シール部材の間において前記ハウジング内側から前記現像スリーブに当接された現像剤規制部材を含んでおり、前記現像スリーブは前記駆動ローラー外径より大きい内径を有しており、前記ハウジング内側で前記駆動ローラーに該駆動ローラーの回転に摩擦従動回転可能に接触せしめられるとともに前記ハウジング外側へ向け露出した余長部分で前記像担持体に弾性変形しつつ接触可能である1成分現像装置であり、
前記現像スリーブは全体に均一厚さに形成されているとともに、前記端部シール部材が当接されるスリーブ端部の外径D2が前記現像剤規制部材が当接される現像剤規制域部分の外径D1より大径である1成分現像装置を提供する。
【0020】
本発明は前記第2の課題を解決するため、
静電潜像担持体に目的とする画像に対応する静電潜像を形成し、前記静電潜像を現像装置で現像してトナー像を形成できる画像形成装置であり、少なくとも一つの現像装置が本発明に係る現像装置である画像形成装置を提供する。
【0021】
本発明に係る現像装置によると、前記端部シール部材が当接される前記現像スリーブの端部の外径D2が前記現像剤規制部材が当接される前記現像スリーブの現像剤規制域部分の外径D1より大径である。従って現像剤規制域部分から現像スリーブ端部へ立ち上がる段差が提供されており、それにより現像剤規制域部分から現像スリーブ端部へトナーが移行し難く、延いては前記端部シール部材と前記現像スリーブ端部の間へのトナー侵入が信頼性高く、長期にわたり抑制され、それにより現像装置外へのトナー落下や、飛散、延いてはこの現像装置を搭載した画像形成装置の汚れ、ユーザーの手指や衣服の汚れの発生を抑制できる。
【0022】
また、現像装置外へのトナー落下や飛散が抑制されるので、画像露光装置に付着して露光蹴りを招き、白筋ノイズを発生させる恐れも低減され、それだけ良好な画像を形成できる。
【0023】
前記現像スリーブは前記外径D2の現像スリーブ端部を含め、全体に均一厚さに形成されているので、該現像スリーブの前記駆動ローラーに当接される部分は全体的に該駆動ローラーに均一な接触圧で当接され、前記現像剤規制域部分における現像剤層形成に問題視すべき悪影響はない。
【0024】
本発明に係る画像形成装置によると、少なくとも一つの現像装置が本発明に係る現像装置であるから、それだけ画像形成装置内のトナー汚れや、ユーザーの手指、衣服等のトナー汚れを抑制して、良好な画像を形成できる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように本発明によると、1成分現像剤を収容するためのハウジング、前記ハウジングに回転可能に設けられた駆動ローラー、前記駆動ローラーに外嵌され、一部が像担持体上の静電潜像現像のために前記ハウジング外へ向け露出している現像スリーブ、前記現像スリーブの両端部に前記ハウジング内側から当接され、該現像スリーブ両端部からの現像剤漏れを防止するための端部シール部材及び前記端部シール部材の間において前記ハウジング内側から前記現像スリーブに当接された現像剤規制部材を含んでおり、前記現像スリーブは前記駆動ローラー外径より大きい内径を有しており、前記ハウジング内側で前記駆動ローラーに該駆動ローラーの回転に摩擦従動回転可能に接触せしめられるとともに前記ハウジング外側へ向け露出した余長部分で前記像担持体に弾性変形しつつ接触可能である1成分現像装置であって、前記現像スリーブ端部に当接する前記端部シール部材と前記現像スリーブの間へのトナー侵入を信頼性高く、長期にわたり抑制することができる1成分現像装置を提供することができる。
【0026】
また本発明によると、静電潜像担持体に目的とする画像に対応する静電潜像を形成し、前記静電潜像を現像装置で現像してトナー像を形成できる画像形成装置であって、現像装置からのトナー漏れによる画像装置内のトナー汚れや、ユーザーの手指、衣服等のトナー汚れを抑制して、良好な画像を形成できる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る1成分現像装置例を搭載した画像形成装置例を示す図である。
【図2】図1の画像形成装置における1成分現像装置の拡大図である。
【図3】図1の画像形成装置における1成分現像装置の駆動ローラー、現像スリーブ等をトナー収容ハウジング内側から見て示す概略斜視図である。
【図4】図1の画像形成装置における1成分現像装置の現像スリーブの断面図である。
【図5】図4の現像スリーブの感光体への当接状態を示す図である。
【図6】比較例現像スリーブの断面図である。
【図7】図6の比較例現像スリーブの感光体への当接状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明に係る画像形成装置の例及びそこで用いられている現像装置の例について説明する。
図1は画像形成装置の1例PRの構成の概略を示している。画像形成装置PRはモノクロ画像を形成できるプリンターである。
【0029】
プリンターPRは、ドラム型感光体1を備えており、感光体1の周囲に帯電ローラ2、画像露光装置3、現像装置4、転写ローラー5及び転写残トナークリーナー6がこの順序で配置されている。
【0030】
記録紙等の記録シートSの搬送方向において感光体1の上流側(図1では感光体1の下方)にレジストローラー対7が、さらにその上流側(下方)に記録シート供給カセット8が設けられている。
【0031】
感光体1に転写ローラー5が臨んでいるトナー像転写部の上方に(記録シート搬送方向において感光体1の下流側に)定着装置9が、さらにその下流側に記録シート排出トレイ10が設けられている。
【0032】
感光体1は図示省略の感光体駆動モーターにより図上反時計まわりに回転駆動可能である。感光体1はここでは負帯電性の感光体である。
【0033】
帯電ローラー2は所定のタイミングで図示省略の帯電用電源から帯電用電圧が印加されて感光体1表面を帯電させることができる。帯電ローラーに代えてコロナ放電を行なう帯電器等を採用することもできる。
【0034】
画像露光装置3は、図示省略のコンコンピューター、スキャナー、ファクシミリ機等から提供される画像情報に基づいて、前記帯電ローラー2で帯電された感光体1の帯電域に画像露光を施し、静電潜像を形成できる。
【0035】
現像装置4は、トナーを主体とする所謂1成分現像剤を用いて、感光体1上に形成される静電潜像を、図示省略の電源から現像バイアスが印加される現像スリーブ41で反転現像することができる。現像装置4については後ほどさらに説明する。
【0036】
転写ローラー5は図示省略の圧接手段にて感光体1に当接され、感光体1との間にニップ部を形成し、感光体1の回転に従動して、或いは後述するように該ニップ部に送り込まれる記録シートSの移動に従動して、或いは図示省略の駆動部に駆動されて回転することができる。転写ローラ−5には、図示省略の電源から転写バイアスを印加することができる。
【0037】
記録シート収容カセット8に収容された記録シートSは、供給ローラー81にて1枚ずつ引き出してレジストローラー対7へ供給することができる。
【0038】
定着装置9は、それとは限定されないが本例ではハロゲンランプヒーター等の熱源を内蔵した定着加熱ローラーとこれに圧接される加圧ローラーとを含むものである。
【0039】
このプリンターによると、感光体1が図中反時計方向に回転駆動され、帯電ローラー2にて感光体表面が一様に所定電位に帯電され、該帯電域に画像露光装置3から画像露光が施されることで、感光体1上に静電潜像が形成される。この静電潜像は現像装置4の現像バイアスが印加された現像スリーブ41にて現像されて可視トナー像となる。
【0040】
感光体1上に形成されたトナー像は感光体1の回動により転写ローラー5へ向け移動する。
【0041】
一方、記録シートSが記録シート収容カセット8から供給ローラー81にて引き出され、レジストローラー対7へ供給され、待機している。
【0042】
このようにレジストローラー対7のところで待機する記録シートSは、転写ローラー5へ移動して来るトナー像に合わせて、感光体1と転写ローラ−5とのニップ部に供給される。該トナー像は図示省略の電源から転写バイアスが印加された転写ローラー5にて記録シートS上に転写される。
【0043】
その後記録シートSは定着装置9に通され、そこでトナー像が加熱加圧下に記録シートSに定着される。記録シートSはひき続き、排出ローラ対DRにて排出トレイ10へ排出される。
【0044】
トナー像の記録シートSへの転写において感光体1上に残留する転写残トナー等はクリーナー6で除去清掃される。これら清掃除去されたトナーは図示省略の搬送手段にて廃棄容器へ送られる。
【0045】
以上説明したように画像形成されるのであるが、1成分現像剤を用いる現像装置4についてさらに説明する。現像装置4は図2及び図3に示すもので、本発明に係る現像装置の1例である。
【0046】
図2は1成分現像装置4の拡大図であり、図3は現像装置4の駆動ローラー42、現像スリーブ41等をトナー収容ハウジング40内側から見て示す概略斜視図である。図4は現像装置4の現像スリーブ41の断面図であり、図5は現像スリーブ41の感光体1への当接状態を示す図である。
【0047】
現像装置4は、トナーを主体とする1成分現像剤を収容するトナー収容ハウジング40並びにハウジング40に回転可能に支持された駆動ローラー42、駆動ローラー42に外嵌された現像スリーブ41及びこれらの背後の現像剤供給ローラー43を含んでいる。
【0048】
ハウジング40は駆動ローラー42、現像スリーブ41及び現像剤供給ローラー43が配置された前室401と、その背後の後室402を含んでいる。後室402は現像剤を撹拌翼44で撹拌しつつ前室401へ供給する部分である。
【0049】
これらローラー42、43、44は図示省略の現像モーターで所定のタイミングで回転駆動される。ローラー42、43は時計方向まわりに回転駆動され、撹拌翼44は反時計方向まわりに回転駆動される。現像スリーブ41は駆動ローラー42の回転に摩擦力で従動回転して図上時計方向まわりに回転可能である。
【0050】
現像スリーブ41は駆動ローラー42に外嵌され、一部が感光体1上の静電潜像現像のためにハウジング40の開口部400(本例では前室401の開口部に同じ)から外へ向け露出している。現像スリーブ41の両端部のそれぞれ411にハウジング前室401の内側から帯状の端部シール部材45が巻き掛け当接されている。端部シール部材45は現像スリーブ端部411からの現像剤漏れを防止するためのものである。
【0051】
各端部シール部材45は一端部451が前室開口部400を提供している上顎部分401Uに連結されているとともに他端部452が前室開口部400を提供している下顎部分401Dに連結され、途中部分453が前室内側から駆動ローラー42に巻き掛けられ、該ローラー42に相対的に摺動可能に当接されている。
【0052】
現像スリーブ41の両端部411に当接された端部シール部材45の間にわたって板状の可撓性の現像剤規制部材46、47が当接されている。現像剤規制部材46、47は回転する現像スリーブ41に供給ローラー43から供給されるトナーを該規制部材と現像スリーブ41の間に通過させることでトナーを摩擦帯電させるとともに静電潜像現像に要求される適度のトナー量が現像域に搬送されるようにトナー層厚を規制するものである。
【0053】
規制部材46、47は現像スリーブ回転方向において2段に配置されている。規制部材46、47はいずれも前室開口部400の上顎部分401Uに片持ち支持されて、前室内側から弾力的に現像スリーブ41に当接している。現像スリーブ41の規制部材46、47が当接された部分が現像スリーブ41における両端部411間の現像剤規制域A部分である。なお、現像剤規制部材は1段だけ設けられる場合もある。
【0054】
前室開口部の下顎部分401Dと現像スリーブ41との間には除電部材48が配置されている。この除電部材48は現像スリーブ41の前記現像剤規制域A含む該規制域Aより若干幅広い範囲にわたって該スリーブ41に当接配置されている。除電部材48は感光体1上の静電潜像を現像する現像域で消費されずに現像スリーブ41に保持されたままハウジング40内へ戻ってくるトナーを摺擦除電する部材である。
【0055】
また、前室開口部の下顎部分401Dと現像スリーブ41との間にはトナー漏れ防止のシール部材49も配置されている。シール部材49は端部シール部材45及び除電部材48の下側、従って下顎部分401Dと端部シール部材45及び除電部材48との間に配置されている。
【0056】
現像スリーブ41は駆動ローラー42の外径より大きい内径を有しており、ハウジング40内側から端部シール部材45や規制部材46、47にて駆動ローラー42側へ押圧されることでハウジング40外側へ向け露出した余長部分410が発生し、この余長部分410が弾性変形しつつ感光体1に接触可能である。
【0057】
このような現像スリーブ41は例えば金属製のものでも合成樹脂製のものでもよいが、本例では合成樹脂製のもの(例えばポリアミド(PA)系樹脂製のもの)を採用している。
それとは限定ではされないが、本例では駆動ローラー42は外径が15mm〜16mm程度のもの、例えば15.5mmのものを挙げることができる。これに対し、現像スリーブ41の内径は16mm〜17mm程度のもの、例えば16.5mmのものを挙げることができる。
【0058】
いずれにしても、現像スリーブ41は全体に均一厚さに形成しておく。前記ポリアミド(PA)系樹脂製の現像スリーブであれば、厚さ0.1mm〜0.14mm程度、例えば0.12mm程度に均肉に形成する例を挙げることができる。
【0059】
図4に示すように、現像スリーブ41は端部シール部材45が当接されるスリーブ端部411の外径D2が現像剤規制部材46、47が当接される現像剤規制域A部分の外径D1より大径である。現像スリーブ41は、このように径差を設けることで現像剤規制域Aからスリーブ端部411へかけて立ち上がる段部を提供し、この段部で現像剤規制域Aからスリーブ端部411と端部シール部材45の間へトナーが侵入することを抑制しようとするものである。
【0060】
このため、この種の現像装置で使用されるトナーtの概ねの粒径範囲6μm〜10μmを考慮すれば、それとは限定されないが、現像剤規制域A部分の外径D1とスリーブ端部411の外径D2の差|D1−D2|として、概ね40μm〜100μmの範囲を例示できる。
【0061】
現像装置4によると、端部シール部材45が当接される現像スリーブ41の端部411の外径D2が現像剤規制部材46、47が当接される現像剤規制域A部分の外径D1より大径である。従って現像剤規制域A部分から現像スリーブ端部411へ立ち上がる段差が提供されており、それにより現像剤規制域A部分から現像スリーブ端部411へトナーが移行し難く、延いては端部シール部材45と現像スリーブ端部411の間へのトナー侵入が信頼性高く、長期にわたり抑制され、それにより現像装置4外へのトナー落下や、飛散、延いてはこの現像装置4を搭載したプリンターPRの汚れ、ユーザーの手指や衣服の汚れの発生を抑制できる。
【0062】
また、現像装置4外へのトナー落下や、飛散が抑制されるので、画像露光装置3に付着して露光蹴りを招き、白筋ノイズを発生させる恐れも低減され、それだけ良好な画像を形成できる。
【0063】
現像スリーブ41は外径D2の現像スリーブ端部411を含め、全体に均一厚さに形成されているので、現像スリーブ41の駆動ローラー42に当接される部分は、図5に示すように全体的に駆動ローラー42に均一な接触圧で当接され、現像剤規制域A部分における現像剤層形成に問題視すべき悪影響はない。
【0064】
また、図示の現像装置4では、駆動ローラー42の回転中心線と同方向の現像スリーブ41の幅方向において、現像スリーブ41の外端から該外端に続く前記外径D2の現像スリーブ端部411の内端までの距離をW1とし、現像スリーブ41の外端から該外端に近い方の現像剤規制域A部分の端までの距離をW2とし、現像スリーブ端部411の内端は現像剤規制域A部分の端より現像スリーブ幅方向において外側に位置するとともにW1<W2の関係に設定してある。現像装置4では、この構成によっても現像剤規制域Aからスリーブ端部411と端部シール部材45の間へトナーが侵入することを抑制している。
【0065】
前記距離W1、W2としては、それとは限定されないが、差|W2−W1|として0.5mm〜1.0mmの範囲を例示できる。
【0066】
図6は内外径が全体に一様である(厚さ150μm)のスリーブの端部411’をコーテイング処理等により厚さを増した状態にした点を除けば前記現像スリーブ41と同じ構成の現像スリーブ41’を示している。
【0067】
前記プリンターPRにおいて現像装置4の現像スリーブ41の厚さを150μmの一定とし、現像スリーブ端部411の外径D2と現像剤規制域A部分の外径D1の差|D1−D2|を変化させて画像形成した場合の画像ムラ及び現像装置からのトナー漏れ防止効果を調べた結果を表1に示す。
【0068】
【表1】

【0069】
前記プリンターPRにおいて現像装置4の現像スリーブ41に代えて図6の現像スリーブ41’を採用し、現像スリーブ端部411’の外径D2と現像剤規制域A部分の外径D1の差|D1−D2|を変化させて画像形成した場合の画像ムラ及び現像装置からのトナー漏れ防止効果を調べた結果を表2に示す。
【0070】
【表2】

【0071】
表1、表2において、画像ムラ欄の「○」は目視観察の結果、画像ムラなしを、「×」は画像ムラありを示す。「△」は画像ムラ少しあり(許容範囲)を示す。
【0072】
トナー漏れに対する効果欄の「○」は目視観察の結果、画像形成装置内へのトナー漏れなしを、「×」はトナー漏れ大を示す。「△」はトナー漏れ小(許容範囲)を示す。
【0073】
この結果から、現像スリーブは現像スリーブ41のように端部411を含め全体に均肉に形成すれば画像ムラを抑制できるとともにトナー漏れを抑制できるが、比較例現像スリーブ41’のように端部のみ厚くすると画像ムラ抑制とトナー漏れ抑制を同時に行なうことが困難であることが分かる。
【0074】
現像装置4においては、現像スリーブ41の現像剤規制域A部分からスリーブ端部411と端部シール部材45との間へのトナー侵入を抑制するために、現像剤規制域A部分にはブラスト処理等による表面粗さ付与処理を施す一方、端部411表面にはそのような処理を施さないようにしてもよい。
【0075】
現像剤規制域A部分に表面粗さ付与処理を施す場合、この種の現像装置で使用されるトナーtの概ねの粒径範囲6μm〜10μmを考慮して、十点平均粗さRzで4μm〜6μm程度の表面粗さを与える場合を例示できる。
【0076】
以上説明した画像形成装置はモノクロ画像形成装置であったが、本発明は現像装置を複数備えたカラー画像形成装置及びその現像装置にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、1成分現像装置を採用する画像形成装置において、該現像装置からのトナー漏れによる画像装置内のトナー汚れや、ユーザーの手指、衣服等のトナー汚れを抑制して、良好な画像を形成できるようにすることに利用できる。
【符号の説明】
【0078】
PR プリンター(画像形成装置の1例)
1 感光体
2 帯電ローラー
3 画像露光装置
4 現像装置
40 トナー収容ハウジング
400 ハウジング開口部
401 前室
402 後室
401U 上顎部
401D 下顎部
41 現像スリーブ
410 余長部分
411 現像スリーブ端部
42 駆動ローラー
43 現像剤供給ローラー
44 現像剤撹拌翼
45 端部シール部材
451 シール部材の一端部
452 シール部材の他端部
453 シール部材の途中部分
46、47 現像剤規制部材
A 現像スリーブの現像剤規制域
48 除電部材
49 シール部材
5 転写ローラー
6 転写残トナークリーナー
7 レジストローラー
8 記録シート供給カセット
9 定着装置
10 記録シート排出トレイ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
1成分現像剤を収容するためのハウジング、前記ハウジングに回転可能に設けられた駆動ローラー、前記駆動ローラーに外嵌され、一部が像担持体上の静電潜像現像のために前記ハウジング外へ向け露出している現像スリーブ、前記現像スリーブの両端部に前記ハウジング内側から当接され、該現像スリーブ両端部からの現像剤漏れを防止するための端部シール部材及び前記端部シール部材の間において前記ハウジング内側から前記現像スリーブに当接された現像剤規制部材を含んでおり、前記現像スリーブは前記駆動ローラー外径より大きい内径を有しており、前記ハウジング内側で前記駆動ローラーに該駆動ローラーの回転に摩擦従動回転可能に接触せしめられるとともに前記ハウジング外側へ向け露出した余長部分で前記像担持体に弾性変形しつつ接触可能である1成分現像装置であり、
前記現像スリーブは全体に均一厚さに形成されているとともに、前記端部シール部材が当接されるスリーブ端部の外径D2が前記現像剤規制部材が当接される現像剤規制域部分の外径D1より大径であることを特徴とする1成分現像装置。
【請求項2】
前記現像剤規制域部分の外径D1と前記スリーブ端部の外径D2の差|D1−D2|は40μm〜100μmである請求項1記載の1成分現像装置。
【請求項3】
前記現像スリーブの前記現像剤規制域部分表面は粗さ付与処理が施されている一方、前記スリーブ端部表面には前記粗さ付与処理が施されていない請求項1又は2記載の1成分現像装置。
【請求項4】
前記現像スリーブの前記現像剤規制域部分表面は前記粗さ付与処理により十点平均粗さRzで4μm〜6μmの表面粗さに処理されている請求項3記載の1成分現像装置。
【請求項5】
前記駆動ローラーの回転中心線と同方向の現像スリーブ幅方向において、該現像スリーブの外端から該外端に続く前記外径D2の現像スリーブ端部の内端までの距離がW1であり、前記現像スリーブの外端から該外端に近い方の前記現像剤規制域部分の端までの距離がW2であり、
前記現像スリーブ端部の内端は前記現像剤規制域部分の端より前記現像スリーブ幅方向において外側に位置するとともにW1<W2の関係がある請求項1から4のいずれか1項に記載の1成分現像装置。
【請求項6】
前記距離W1、W2の差|W2−W1|は0.5mm〜1.0mmである請求項5記載の1成分現像装置。
【請求項7】
静電潜像担持体に目的とする画像に対応する静電潜像を形成し、前記静電潜像を現像装置で現像してトナー像を形成できる画像形成装置であり、少なくとも一つの現像装置が請求項1から6のいずれか1項に記載の現像装置であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−101215(P2013−101215A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244535(P2011−244535)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】