説明

1次元照明装置及び画像生成装置

【課題】1次元照明装置において光利用効率を損なうことなく干渉縞を低減する。
【解決手段】アレイレーザ等より成る光源1と、波面を分割し重ね合わせる波面分割部21と、波面を重ね合わせる波面合成部22とを備える。波面分割部により分割された隣接する一対の光束のうち一方の光束の偏光面を回転させる偏光変換部5を波面分割部21の直後に配置する。迷光を抑制し、効率よく干渉縞を低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1次元状の光を出射するアレイレーザを光源として用いる1次元照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザを光源とし、波面の分割及び重ね合わせを行い、均一な強度分布とされた1次元状すなわち線状の光束を得る方法としては、ロッドレンズを用いる方法、ファセット加工したミラーによる方法、レンズアレイによる方法などが挙げられる。しかしながら、これらのいずれの方法においても、レーザのもつ空間コヒーレンスのために集光部分で細かい干渉縞が観測される。これは、波面を分割する際にレーザの空間コヒーレンス距離よりも短い距離で波面を分割してしまうことによるもので、分割後の波面同士が干渉性を有するため、それを重ね合わせることで干渉縞が発生してしまう。
ところが、実際のレーザでその空間コヒーレンス距離よりも長い距離で波面を分割しようとすると、コヒーレンス距離がレーザ直径に対してあまり小さくないため、波面の分割数が十分にとれず、重ね合わせたときに十分な強度の均一性が確保されない。また、空間コヒーレンス距離よりも長い距離で波面を分割した場合でも空間コヒーレンスがゼロになっているわけではないので干渉性が残っている。
【0003】
このような干渉縞の発生を低減させるために、分割した波面(又は分割する波面)を時間コヒーレンス距離よりも長い光路差をつけて合成することで干渉縞を低減する方法が提案されている(例えば特許文献1及び2参照。)。
図24及び25にこの方法による光学系の概略構成図を示す。図24に示すように、光源から出射されたレーザ光Loは、光路差を生じさせる光路差生成部材59を通過した後、波面を分割し、重ね合わせる機能を有する一対のシリンドリカルレンズアレイ52a及び52b、更に集光レンズ53を介して被照射体54に照射される。図25に示すように、光路差生成部材59はシリンドリカルレンズアレイ52a及び52bの間に配置することもできる。
【特許文献1】特開2006−49656号公報
【特許文献2】特開2004−12757号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら実際のレーザでは時間コヒーレンス距離が数cm以上ある場合が多く、図24及び25に示す光路差生成部材59の光路に沿う方向の長さdpを確保するためにその部分の空間を必要とし、装置の小型化に不利となる。また、レーザが完全にコリメートされていない場合、光路差生成部材の側面で反射した光Lsが迷光の原因になってしまう。更に、図25において破線Eで示す光路差生成部材59が存在する光路と、光路差生成部材が存在しない光路とでは、光学距離が異なることから、光束を重ね合わせたときの効率が悪く、光の利用効率の低下を招くという問題もある。
特に、光源としてレーザ素子を1次元状に配列して1次元照明装置を構成し、これを利用して1次元状の光変調装置に所望の強度分布をもって照明して1次元状の画像光を生成し、スクリーン等への走査投影を行う画像生成装置に利用する場合に、上述した迷光や光の利用効率の低下により、画像を良好に表示できない恐れがある。
【0005】
以上の問題に鑑みて、本発明は、光の利用効率の低下を招くことなく、波面の分割及び重ね合わせを行って干渉縞を低減する1次元照明装置を提供する。更に、この1次元照明装置を用いることによって、干渉縞を抑制した照明光を用いて画像を生成する画像生成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明による1次元照明装置は、複数のレーザ素子が1次元状に配列された光源と、光源から出射される光の波面を分割し、重ね合わせる1以上のシリンドリカルレンズアレイを含む波面分割部と、この波面分割部からの光を被照射体に導くと共に波面を重ね合わせる波面合成部と、波面分割部により分割された隣接する一対の光束のうち、一方の光束の偏光面を回転させる偏光変換部とを備える。そして、この偏光変換部を、波面分割部のうち、光源からのレーザ光が最後に通過する光学素子の直前又は直後に、例えば、一対のシリンドリカルレンズアレイのうち2枚目のシリンドリカルレンズアレイの直前又は直後配置する構成とする。
【0007】
上述の本発明によれば、分割した波面に対して隣り合う2つの光路を一組と考え、一方の光路の光束の偏光面を偏光変換部により例えば90度回転させることによって、他方の光路の光束との干渉を低減させることができる。
そして本発明においては、偏光変換部の配置位置として、波面分割部のうち光源からの光が最後に通過する光学素子、例えばシリンドリカルレンズ2枚を用いる場合は2枚目のシリンドリカルレンズアレイの直前又は直後に配置する構成とすることにより、分割された光が偏光変換部の角部等に当たる恐れが少なく、迷光の発生を抑制し、光の利用効率の低下を回避することができる。偏光変換部とシリンドリカルレンズアレイ等の光学素子との間の間隔としては、分割された光が偏光変換部の角部等に当たらない範囲であればよい。
特に、この光学素子の直後に偏光変換部を配置する場合は、偏光変換部により偏光が回転する光と回転しない光との光路長の変化を少なくすることができて、被照射体上における倍率のずれや位置ずれを抑制することができる。これにより、光の利用効率を損なうことなく確実に干渉縞を低減できる。
【0008】
また、本発明による1次元照明装置は、光源の各レーザ素子から出射される各レーザ光の集光又は発散の角度をθ、光源の全てのレーザ素子から出射されるレーザ光束の集光又は発散角度をψとし、波面分割部に設ける入射側のシリンドリカルレンズアレイの開口数をNAとすると、
cos{(ψ+θ)/2}≦NA
として構成することが望ましい。
このような構成とすることによって、複数のレーザ素子から出射される全てのレーザ光を効率よく波面分割部のシリンドリカルレンズアレイに入射する構成とすることができる。
【0009】
更に、本発明による1次元照明装置は、光源のうち1つのレーザ素子から出射されるレーザ光が、シリンドリカルレンズアレイの2以上4未満のレンズセルに跨って入射される構成とすることが望ましい。
このような構成とする場合、1つのレーザ素子から出射される光のうち隣り合うレンズセルに入射する光は、分割後に重ね合わせても、上述の偏光変換部の作用によって干渉することがなく、確実に干渉縞を低減することができる。1つのレーザ素子から出射される光が3つのレンズセルに跨って入射される場合、中央のレンズセルに入射する光に比べて両側のレンズセルに入射する光は強度が小さいので、干渉縞による影響は少ない。
一方、4以上のレンズセルに跨って入射されると、1つおきのレンズセルに入射する光の強度が十分小さくない場合があるので、干渉縞を十分低減できない恐れがある。1つのレーザ素子から出射される光が2未満のレンズセルに入射される場合は、分割及び重ね合わせによる強度均一化が十分でなく、干渉縞の低減効果も十分得られない。
したがって、上述したように1つのレーザ素子から出射される光が2以上4未満のレンズセルに入射される構成とすることによって、最も効率よく干渉縞を抑えることができる。
【0010】
また、本発明は、光源と、1次元照明装置と、1次元光変調装置と、投射光学部と、走査光学部とを備える画像生成装置であって、本発明構成の1次元照明装置を用いることを特徴とする。
上述の本発明の画像生成装置によれば、1次元照明装置において光の利用効率を損なうことなく干渉を低減した照明光を用いて画像を生成することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の1次元照明装置によれば、光の利用効率を損なうことなく波面の分割及び重ね合わせによって干渉縞を低減することができる。
本発明の画像生成装置によれば、干渉縞を低減した照明光を用いて画像を生成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下本発明を実施するための最良の形態の例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
まず、本発明の1次元照明装置の説明に先立って、波面を分割して合成する基本的な構成の1次元照明装置について図1〜図3の概略構成図を参照して説明する。
【0013】
この例においては、光源から出射される光Loは、図中矢印xで示す(x軸)方向を長手方向とし、これとは直交する矢印yで示す(y軸)方向には単一横モードで出射され、矢印zで示す(z軸)方向を進行方向とする1次元状(線状)の光束とされる。この光Loを、x軸方向すなわち1次元方向に波面を分割し、被照射体、例えば1次元光変調装置上でそれぞれの分割された波面が重なって照明する構成となる。図1及び図2においては、波面を分割する方向と波面の進行方向(光軸)とに沿う断面を示す。
図1及び図2に示す例においては、波面を分割する波面分割部57は1対のシリンドリカルレンズアレイ52a及び52bで構成され、これらシリンドリカルレンズアレイ52a及び52bは互いの焦点の位置に配置されている。また波面を合成する波面合成部58は、図1に示すように凸レンズ等の1つの集光レンズ53や、図2に示すように、平凸レンズなどの2つの光学レンズ55及び56の組み合わせを基本構成とし、その他種々の構成の光学系を用いることができる。波面合成部58は、被照射体54上の所望の場所に分割された波面を重ね合わせて照明する機能があればよい。
図3に示すように、単に波面を分割した後重ね合わせるだけでは、隣り合う2つの光束は、干渉性をもっているため重ね合わせたときに干渉縞を発生してしまう。図3において、図1及び図2と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
【0014】
図4に、本発明の実施形態例による1次元照明装置の一例の概略構成図を示す。この場合においても、光源1から出射される光Loは、矢印xで示すx軸方向が長手方向とされ、これとは直交する矢印yで示す(y軸)方向には単一横モードとされ、矢印zで示す(z軸)方向を進行方向とする1次元状(線状)の光束とされる。そしてこの1次元照明装置10においては、波面分割部21として一対のシリンドリカルレンズ4a及び4b、波面合成部22として凸レンズ等よりなる集光レンズ6が配置される。シリンドリカルレンズアレイ4a及び4bのうち、光が通過する最後の光学素子であるシリンドリカルレンズアレイ4bの直前又は直後、この場合直後に、隣り合う光束に対して偏光面をおよそ90度回転する偏光変換部5を挿入する。偏光変換部5としては、例えば波長フィルム、薄膜波長板、水晶波長板、フレネルロムなどを用いることができる。偏光変換機能を有さない光透過性基板上に部分的に波長フィルムなどの偏光変換素子を設ける構成としてもよい。このような構成の偏光変換部5を挿入することで、被照射体11上において隣り合う光束LA及びLBの波面を重ね合わせても、干渉を低減することができる。なお偏光変換部5としては、偏光面をおよそ90度回転させる機能を有するものであればよく、上述の例に限定されるものではない。また、偏光面を90度回転することが最も望ましいが、90度から多少ずれても、干渉の低減を図る効果は得られる。
【0015】
またこの場合、図5にその要部を拡大した概略構成図を示すように、挿入した偏光変換部5の破線A及びBで示す角部(エッジ)に隣り合う光束LA及びLBが当たりにくくなるので、ここにおける散乱の発生を抑え、迷光の発生を抑えることができる。偏光変換部5とシリンドリカルレンズアレイ4bとの間の間隔は、このように、偏光変換部5の角部に、光束LA及びLBが当たらない範囲であればよい。特に、この例のようにシリンドリカルレンズアレイ4bの直前ではなく直後に配置する場合は、波面分割部21内における光路長の変化がないので、集光位置での倍率のずれや位置ずれは殆ど発生せず、最も好ましい配置といえる。図5において、図4と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
【0016】
更に、本実施形態例に係る1次元照明装置においては、図6にその一例の要部の概略構成図を示すように、使用するレーザの空間コヒーレンス距離をdscとすると、シリンドリカルレンズアレイ4a及び4bのレンズセルのピッチPを空間コヒーレンス距離dscのおよそ1/2になるように構成することが望ましい。このような構成とすると、隣り合う光束の一方の偏光面を約90度回転することによって、最も効果的に干渉縞の発生を抑えることができる。実際には空間コヒーレンス距離以上でレーザ光の干渉性がゼロとはならないので、レンズセルのピッチが空間コヒーレンス距離の1/2を下回ってもある程度の干渉を抑える効果は得られるが、確実に干渉を抑制するためには、P≒dsc/2であることが望ましい。
【0017】
また、本実施形態例に係る1次元照明装置は、図7にその一例の要部の概略構成図を示すように、光源1を構成する1次元状に配列された各レーザ素子の発散角度θを、波面分割の方向に関して平行ではなく、波面分割部を構成するシリンドリカルレンズアレイ4aのカップリングの角度φ以下程度に広げてシリンドリカルレンズアレイ4aに入射する構成としてもよい。この場合、レーザ素子の発散角度をθとすると、θ≦φとする。図7において、図4と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。レーザの広がり角θはシリンドリカルレンズアレイ4a及び4bのカップリング角度φに近いほど、干渉縞を低減する効果が得られる。シリンドリカルレンズアレイ4aのカップリングの角度φより広げ、θ>φとする場合は、一部の光が迷光となってしまい、光学系の効率の損失になってしまう。なお、確実に迷光の発生を抑制するためには、レーザ素子の発散角度θをθ<φとすることがより望ましい。
【0018】
光源から平行光線でシリンドリカルレンズアレイ4aに入射させた場合、上述の構成により干渉縞を低減させても、僅かに残る干渉性によって干渉縞が発生してしまう。
これに対し、光源から出射される光に集光又は発散角θを与えることによって、残った干渉縞の干渉の強度を低減することが可能である。また、その副次効果として、シリンドリカルレンズアレイの面粗度の影響を受けにくいという効果もある。これについて図8及び図9を参照して説明する。
図8Aにおいては、平行光Ld1を入射する場合を示す。シリンドリカルレンズアレイ4aの1つのレンズセル4aで分割された光束はもう一方のシリンドリカルレンズ4bの1つのレンズセル4bの表面で比較的狭い面積に集光されるため、表面の面粗度や塵埃などの影響を受けやすい。したがって、図8A中の破線Cで示す領域の光強度分布は、図8Bに示すようにピーク強度が高い鋭い分布となるので、干渉強度が高くなってしまう。
これに対し、図9Aに示すように、集光又は発散、図示の例では発散した光Ld2を入射する場合は、シリンドリカルレンズアレイ4bの1つのレンズセル4bの表面で比較的広い面積に集光されるので、表面の面粗度や塵埃による影響を受けにくく、また、図9A中の破線Dで囲む領域の光強度分布は、図9Bに示すようにピーク強度が比較的低いブロードな分布となるので、干渉強度を抑える効果がある。
【0019】
本発明においては、光源として1次元状に配列された複数のレーザ素子より構成する。全てのレーザ素子から出射されるレーザ光束がそれぞれ平行ではなく、光束全体が集光又は発散角ψをもつ構成であってもよい。この実施形態例に係る1次元照明装置の一例の要部の概略構成図を図10に示す。この場合、複数のレーザ素子から出射される各レーザ光Lb1、Lb2、Lb3の成す集光又は発散角度をψ、各レーザ素子のレーザ光の集光又は発散角度をθ、波面分割部に設ける入射側のシリンドリカルレンズアレイ4aの開口数をNAとすると、
cos{(ψ+θ)/2}≦NA
として構成することが望ましい。
このような構成とすることによって、複数のレーザ素子から出射される全てのレーザ光を効率よく波面分割部のシリンドリカルレンズアレイに入射する構成とすることができる。
【0020】
また、この発散角度ψと各レーザ素子のレーザ光の集光又は発散角度θとの和が、波面分割部に設けるシリンドリカルレンズアレイ4aのカップリング角度φ以内の角度で入射することが望ましい。すなわち、
ψ+θ≦φ
の関係を満たすように角度ψをつける構成とする。なお、これらψ、θ及びφはいずれもシリンドリカルレンズの光軸方向と平行な方向と成す角度である。
光源からのレーザ光に集光又は発散角度ψをもたせる方法としては、プリズム、ミラー、などの光学素子を介するか、又は、一つ一つのレーザ素子間に角度をつけて配置する構成としてもよい。このような配置構成とすることで、上記と同じ効果を生むことが可能となる。
【0021】
なお、本実施形態例の1次元照明装置の光源として、例えば半導体バーレーザのようなレーザ素子が一体化されたレーザ光源を用いる場合、図11にその一例の要部の概略構成図を示すように、各レーザ素子12の出射端前方にコリメータレンズ13が配置される。そして各レーザ素子12から出射されるレーザ光は、これら各レーザ素子12のサイズとコリメータレンズ13の焦点距離とによって決まる発散角度θをもつ構成となる。特に高出力のレーザはレーザ素子12のサイズが比較的大きいので発散角度θも比較的大きくなる。
この場合は、本実施形態例に係る1次元照明装置の一例の概略構成図を図12に示すように、レーザ素子12のサイズ及びコリメータレンズ13の焦点距離により決まる発散角度θに対して、θ≦φ、より望ましくはθ<φとなるカップリング角度φをもつシリンドリカルレンズアレイ4aを用いて波面分割部を構成することによって、迷光を抑制することができる。
【0022】
またこのとき、1つのレーザ素子12から出射されるレーザ光束Lがシリンドリカルレンズ4aの2以上4未満のレンズセル、すなわちレンズセル4a及び4a、またはレンズセル4a、4a及び4aに入射するように、レーザ素子12の発散角θ及びレーザ素子12とシリンドリカルレンズアレイ4aの距離dLSを設定することが望ましい。
このように、2以上のレンズセルに入射する構成とすることによって、上述したように、分割及び重ね合わせの効果によって、より均一な光強度分布の1次元照明光を得ることができる。また、干渉縞低減の効果を十分に得ることができる。
【0023】
すなわち、1つのレーザ素子から出射される光が隣り合う2つのレンズセル4a及び4aに入射する光は、偏光変換部5の作用によって干渉することがなく、確実に干渉縞を低減することができる。1つのレーザ素子から出射される光が3つのレンズセルに4a〜4aに跨って入射される場合、中央のレンズセル4aに入射する光に比べて両側のレンズセル4a、4aに入射する光は強度が比較的小さいので、干渉縞による影響は少ない。
これに対し、4以上のレンズセルに跨って入射すると、1つおきのレンズセルに入射する光の強度が十分小さくない場合があるので、干渉縞を十分低減できない恐れがある。また1つのレーザ素子から出射される光が2未満のレンズセルに入射される場合は、分割及び重ね合わせによる強度均一化が十分でなく、干渉縞の低減効果も十分得られない。
したがって、上述したように1つのレーザ素子から出射される光を2以上4未満のレンズセルに入射させる構成とすることによって、最も効率よく干渉縞を抑えることができる。
【0024】
つまり、レーザ素子12とシリンドリカルレンズアレイ4aとの距離をdLS、シリンドリカルレンズアレイ4aのレンズセルのピッチをPL、レーザ素子12の発散角度をθとすると、
2×P≦dLS×tanθ<4×P
かつ
θ≦φ
より望ましくは
θ<φ
を満たすように配置する。
このような配置構成とすることによって、確実に干渉縞の発生を抑制することができ、また迷光の発生を抑制し、光の利用効率の低下を回避ないし抑制することができる。
【0025】
ところで、上述したように、波面分割部のシリンドリカルレンズアレイに入射させるレーザ光が集光又は発散角度θを有すると、光源とシリンドリカルレンズアレイとの距離が比較的長い場合は次のような問題が生じる。例えば、図13に示すように、光源とシリンドリカルレンズアレイ4aとの間の距離をd14とすると、シリンドリカルレンズアレイ4aに入射する光束Ldの幅はおよそd14×tanθ(θは発散角)となる。このとき、実際の装置内の設計制限などから、レーザ光束の幅とシリンドリカルレンズアレイのレンズセルのピッチとを設計値に合わせられない場合がある。図13において、図4と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
また、光源からシリンドリカルレンズアレイまでの間に例えば装置の小型化を目的として折り返しミラーを設ける場合においては、レーザ光に上述したような発散角をもたせると、この折り返しミラーのサイズが大きくなるという不都合も生じる。
【0026】
図14に示すように、スペックル低減を図ることを目的として光学遅延ループを挿入する場合も同様である。図14においては、光源1から出射された光Lが、波長板23を介して偏光ビームスプリッタ24で分離され、ミラー25〜28により矢印L24〜L28で示すように遅延ループを通って再び偏光ビームスプリッタ24により反射され、スペックルを抑えた光L29として出射される。このような光学遅延ループを設ける場合において、上述したように光源からの光に発散角を与えると、各光学素子のサイズを大きくする必要があり、また遅延ループの分だけ一部の光束は前述の距離d14が異なることとなるので、シリンドリカルレンズアレイ上でのビーム幅が異なってしまうという問題も生じる。
【0027】
このような問題を回避するために、光源から出射される光束は平行もしくは平行に近い状態とし、波面分割部のシリンドリカルレンズアレイの近傍で所定の発散角度をもつように、凸又は凹レンズやプリズム等のレーザ光の発散角度θを広げる機能を有する光学素子を配置することが望ましい。図15及び図16にこのような光学素子として、それぞれ凹レンズ2、凸レンズ3を設ける場合の各例の概略構成図を示す。図15及び図16において、図4と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
光源1から平行光を出射し、このような光学素子を配置することで、光源1とこれらの光学素子(凹レンズ2、凸レンズ3)との間の距離d12、d13を十分確保でき、また波面分割部との間にミラー等を挿入する場合においても、ミラー等を必要以上に大きくする必要がない。また、光学遅延ループなどを挿入する場合のように、光路長が異なる光束を波面分割部のシリンドリカルレンズアレイに入射する場合においても、ビーム径をほぼ同じにすることができ、干渉縞の低減を効率良く行うことが可能となる。
【0028】
また、図17に概略構成図を示すように、波面分割部としてシリンドリカルレンズアレイを用いる場合に、1枚目のシリンドリカルレンズアレイ4aの入射面に光学素子14を一体化させ、光束を所定の発散角度まで広げる機能をもたせてもよい。この光学素子14は凸又は凹のレンズ形状とすることができる。このように、光を集光又は発散させる機能を一体化した部品を用いることにより、光学素子の面数削減による調整効率の向上を図ることができ、また各光学素子の設計自由度を上げることが可能である。
このような構成とすることによって、波面合成部において光束を重ね合わせたときに、最も干渉縞が少なく、効率も良く、均一な1次元照明を行うことができる。
【0029】
このような光源1及び波面分割部4a及び4bの配置構成とし、更に図4に示す偏光変換部5として、偏光面をおよそ90度回転する偏光変換素子を用いてシリンドリカルレンズアレイ4bの直後に配置した構成とすることによって、大幅に干渉縞の発生を抑制することができた。この様子を図18及び図19に示す。図18においては、偏光変換部を設けない従来の1次元照明装置、図19においては本発明による実施形態例の1次元照明装置におけるそれぞれ光強度分布を示す。図18の比較例に対して、図19に示す本発明の実施形態例においては、干渉縞を大幅に低減することが可能となることがわかる。
【0030】
以上説明したように、本発明の1次元照明装置によれば、次の効果を得ることができる。
(1)偏光面を略90度回転させる偏光変換部を用い、特にこの偏光変換部を波面分割部の光が通過する最後の光学素子の直前又は直後に配置することによって、干渉縞の発生を確実に抑制するとともに、迷光の発生を抑えることができる。特に、最後の光学素子の直後に偏光変換部を配置することによって、波面分割部内における光路長の変化がないので、集光位置での倍率のずれや位置ずれは殆ど発生せず、光の利用効率を損なうことなく干渉縞を低減することができる。
【0031】
(2)光源の各レーザ素子から出射される各レーザ光の集光又は発散の角度をθ、光源の全てのレーザ素子から出射されるレーザ光束の集光又は発散角度をψとし、波面分割部に設ける入射側のシリンドリカルレンズアレイの開口数をNAとすると、
cos{(ψ+θ)/2}≦NA
として構成する。このような構成とすることによって、複数のレーザ素子から出射される全てのレーザ光を効率よく波面分割部のシリンドリカルレンズアレイに入射する構成とすることができる。
【0032】
(3)光源のうち1つのレーザ素子から出射されるレーザ光が、シリンドリカルレンズアレイの2以上4未満のレンズセルに跨って入射される構成とすることにより、最も効率よく干渉縞を抑えることができる。
【0033】
(4)光源の各レーザ素子から出射される各レーザ光の集光又は発散の角度をθ、光源の全てのレーザ素子から出射されるレーザ光束の集光又は発散角度をψとし、シリンドリカルレンズアレイのカップリング角度をφとすると、
ψ+θ≦φ
とすることによって、迷光の発生を抑え、効率よく干渉縞を低減することができる。
(5)波面分割部に入射する光束を発散又は集光させることによって、干渉縞の干渉強度を下げることができる。またシリンドリカルレンズアレイを通過する光束の領域が広がるため、シリンドリカルレンズアレイの面粗度や面精度、塵埃の影響を緩和することできる。
【0034】
(6)レーザ光の発散角度を所望の角度にする光学素子をシリンドリカルレンズアレイ近傍に配置することで、レイアウトの制限を受けることなく効率よく干渉縞を低減することができる。
(7)上記(6)を実現するために、レーザ光を集光又は発散する機能を有する光学素子を、シリンドリカルレンズアレイに一体化する構成とすることによって、光が通過する面数を削減することができ、これにより調整工程の削減による組み立て作業効率の向上を図ることが可能であり、更に各光学部品の配置スペースも削減されるので、軽量化、小型化に貢献できる。
【0035】
次に、このような画像信号の構成方法を利用した本発明の画像生成装置の一実施形態例について図20〜図23を参照して説明する。
図20に示すように、この画像生成装置は光源1と、上述した波面分割部及び波面合成部を含む照明光学系20とより構成される1次元照明装置10、例えば回折格子型の1次元光変調装置51、光選択部52を含む光変調部55、投射光学部53、走査素子54を有する走査光学部56から構成される。光源1には、例えば複数の半導体レーザ素子が1次元状に配列されたアレイレーザや、各レーザ素子が一体型に形成されたバーレーザ等が用いられる。なお、この1次元状に配列されたレーザ光が本発明構成の1次元照明装置10の照明光学系20を介して、非線形光学素子等の波長変換素子及びレーザ媒質を有する共振器内部に入射され、高調波を出射する波長変換構成としてもよい。
光源1から射出された光Loは、1次元照明装置10を経て例えば回折格子型構成の1次元型光変調装置51に1次元状(線状)の光ビームとして照射される。
回折格子型の光変調装置51は外部演算部150において生成された画像信号をもとに、図示しない駆動回路からの信号Spを受けて動作する。光変調装置51を回折格子型構成とする場合、その回折光が光選択部53に入射される。なお、例えば三原色の光を用いる場合は、各色の光源からそれぞれ1次元照明装置、各色用光変調装置を経てL字型プリズム等の色合成部により光束を重ね合わせて光選択部に出射される構成とすることができる。
光選択部52はオフナーリレー光学系等より成り、シュリーレンフィルター等の空間フィルター(図示せず)を有し、ここにおいて例えば+1次光が選択されて1次元画像光Lmとして出射される。更に投射光学部53によって拡大等を行い、走査光学部56における走査素子54の矢印rで示す回転によりL1、L2、・・・Ln−1、Lnで示すように走査され、スクリーン等の画像生成面100上に2次元像57が生成される。画像生成面100上において走査位置は矢印sで示すように走査される。走査素子54としては、例えばガルバノミラー、ポリゴンミラーの他、例えば電磁石等によって共振して走査を行ういわゆるレゾナントスキャナを用いることも可能である。
【0036】
このような画像生成装置において利用可能な1次元光変調装置の一例を図21〜図23を参照して説明する。図21は、この実施形態例に係る光変調装置を構成する光変調素子の概略斜視構成図である。図21に示すように、この光変調素子60は、シリコン等より成る基板上に、ポリシリコン薄膜などから成る共通電極63が形成され、この共通電極63と所定の間隔を保って、表面に反射膜が形成された条帯(ストリップ)状の第1の電極61a〜61cと、第2の電極62a〜62cとが交互に形成されている。第1の電極61a〜61cは、固定電位とされて例えば接地され、第2の電極62a〜62cは可動電極すなわち可動部とされ、駆動電圧電源65に接続される。
【0037】
このような構成とする場合、第1の電極61a〜61cは例えば固定されており、反射面の高さは不変である。そして第2の電極62a〜62cが駆動電圧に応じた静電力に起因する吸引力又は反発力によって、共通電極63に向かって移動又は屈曲可能であり、第2の電極62a〜62cの反射面の高さ(例えば基板との間隔)を変えることができる。第2の電極62a〜62cの移動又は屈曲によってピッチは一定で深さが変調可能な回折格子として機能させることができる。
なお、この光変調素子60は、光変調装置内の1つの画素(ピクセル)に対応して第2の電極62a〜62cを1画素分の画素信号に対応して変調させるものであるが、この光変調素子に設ける第1の電極及び第2の電極の数は図21に示す例のように6本とする以外に、2本、4本等とすることができ、適宜変更可能である。また、この光変調素子60を各電極の長手方向と直交する方向に画素数分並置配列して、所望の画素数に対応する光変調装置が構成される。すなわち光変調装置内に設ける電極の総数は、1画素あたりの電極の本数及び目的とする表示画像の画素数に対応して適宜選定される。
【0038】
この光変調素子60の代表的な寸法の一例として、例えば、第1及び第2の電極の幅は3〜4μm、隣接する電極間ギャップは約0.6μm、電極の長さは200〜400μm程度である。この場合、6本の電極で1画素分とすると、1画素分の光変調素子の幅は約25μmである。
実用化されつつある1080画素を表示する1次元光変調装置においては、図21の第1及び第2の電極の幅方向に沿って、1080画素分の電極が多数並置配列される。
【0039】
なおこのような回折格子型の光変調装置としては、各電極が非動作時に表面がほぼ一平面上に配置される通常型構成と、各電極が基準面(例えば光変調装置の基板面)から所定の角度をもって傾斜されて配置されるいわゆるブレーズ型構成とが提案されている。これらの各タイプの光変調装置の一例の概略断面構成図を図22及び図23に模式的に示す。図22及び図23において、図21と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。図22及び図23に示す例では、1画素に対応する第1及び第2の電極の数を3本ずつ、合計6本とした場合を示すが、これに限定されるものではない。
【0040】
通常型構成の光変調装置は、図229に動作時の一例を示すように、第2の電極62a〜62cの移動量Z1を例えば入射光の波長λに対しλ/4とするときに、入射方向と逆向きに反射される0次回折光(図示せず)と、±1次回折光Lr(+1)及びLr(−1)が回折光として反射される。一例として、λ=532nmの場合は、第2の電極の移動量は最大λ/4=133nmである。例えば+1次回折光のみを利用する場合、1本の回折光だけを空間フィルタを通してスクリーン上に結像し、画像表示用に利用することができる。非動作時(駆動電圧をゼロとする場合)には+1次回折光は生じないため、このオフ状態は画面の暗状態に対応し、表示画面が黒になる。すなわち、第2の電極62a〜62cへの駆動電圧を外部からの画像情報に対応して調整して、移動量Z1を制御することによって、画素のオン/オフとこの間の階調表示が可能となる。
【0041】
一方ブレーズ型構成の光変調装置は、図23に示すように、基準面A、すなわち光変調装置の基板(図示せず)の表面と平行な面から例えば角度θをもって各電極61a〜61c、62a〜62cを傾斜して配置する。この時角度θは好適には電極1本分の周期に対して隣接する電極間の高さの差がλ/4(λは用いる光の波長)となる角度とする。そして動作時には、隣接する一対の第1及び第2の電極61a及び62a、61b及び62b、61c及び62cの各表面が一平面を成すように、第2の電極62a〜62cを移動させる。このときその移動量Z2は、入射光の波長λに対してλ/4(つまり2本の電極周期毎にλ/2の段差)となるように動作させると、+1次回折光のみが出射される。従って、この+1次回折光を用いて、1本の回折光だけを空間フィルタを通してスクリーン上に結像することができる。すなわちブレーズ型の光変調装置を用いる場合は、反射回折光のうち1本の回折光を利用する構成とすることにより、光利用効率を高めることができる。
【0042】
以上説明した1次元光変調装置、本発明構成の1次元照明装置を用いて画像生成装置を構成することによって、1次元光変調装置に対して、光の分割及び重ね合わせにより均一な照明を行うとともに、干渉縞の発生を抑制することができるので、良好な光変調を行い、光の利用効率を損なうことなく、良好な画像の生成が可能となる。
なお、本発明の画像生成装置は上述の例に限定されるものではなく、1次元照明装置において本発明構成とする他は、光変調部、投射光学部、走査光学部とにおいて種々の変形、変更が可能である。また投射型表示に限定されることなく、描画により文字情報や画像などを生成するレーザプリンタ等にも適用可能である。
【0043】
また、本発明は上述の実施形態例において説明した構成に限定されるものではなく、例えば1次元照明装置内の波面合成部等における光学素子の部品点数、材料構成等、本発明構成を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】1次元照明装置の基本的な構成例を示す概略構成図である。
【図2】1次元照明装置の基本的な構成例を示す概略構成図である。
【図3】1次元照明装置の一例における干渉が発生する様子を示す概略構成図である。
【図4】本発明の実施形態例に係る1次元照明装置の一例の概略構成図である。
【図5】本発明の実施形態例に係る1次元照明装置の一例の要部の概略構成図である。
【図6】本発明の実施形態例に係る1次元照明装置の一例の要部の概略構成図である。
【図7】本発明の実施形態例に係る1次元照明装置の一例の要部の概略構成図である。
【図8】Aは本発明の実施形態例に係る1次元照明装置の一例の要部の概略構成図である。Bは図8A中破線Cで示す領域中の光強度分布を示す図である。
【図9】Aは本発明の実施形態例に係る1次元照明装置の一例の要部の概略構成図である。Bは図9A中破線Dで示す領域中の光強度分布を示す図である。
【図10】本発明の実施形態例に係る1次元照明装置の一例の要部の概略構成図である。
【図11】本発明の実施形態例に係る1次元照明装置の一例の要部の概略構成図である。
【図12】本発明の実施形態例に係る1次元照明装置の一例の要部の概略構成図である。
【図13】本発明の実施形態例に係る1次元照明装置の一例の要部の概略構成図である。
【図14】光学遅延ループの一例の概略構成図である。
【図15】本発明の実施形態例に係る1次元照明装置の一例の要部の概略構成図である。
【図16】本発明の実施形態例に係る1次元照明装置の一例の要部の概略構成図である。
【図17】本発明の実施形態例に係る1次元照明装置の一例の要部の概略構成図である。
【図18】従来の照明装置における光の相対強度の分布を示す図である。
【図19】本発明の実施形態例に係る1次元照明装置における光の相対強度の分布を示す図である。
【図20】本発明の実施形態例に係る画像生成装置の一例の概略斜視構成図である。
【図21】1次元型の光変調装置の一例の要部の概略斜視構成図である。
【図22】1次元型の光変調装置の一例の要部の概略断面構成図である。
【図23】1次元型の光変調装置の一例の要部の概略断面構成図である。
【図24】従来の分割重ね合わせを行う照明装置の一例の概略構成図である。
【図25】従来の分割重ね合わせを行う照明装置の一例の概略構成図である。
【符号の説明】
【0045】
1.光源、2.凹レンズ、3.凸レンズ、4a.シリンドリカルレンズアレイ、4b.シリンドリカルレンズアレイ、5.偏光変換部、6.集光レンズ、10.1次元照明装置、11.被照射体、12.レーザ素子、13.コリメータレンズ、14.光学素子、21.波面分割部、22.波面合成部、50.画像生成装置、51.1次元光変調装置、52.光選択部、53.投射光学部、54.走査素子、55.光変調部、56.走査光学部、57.2次元像、100.画像生成面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレーザ素子が1次元状に配列された光源と、
前記光源から出射される光の波面を分割し、重ね合わせる1以上のシリンドリカルレンズアレイを含む波面分割部と、
前記波面分割部からの光を被照射体に導くと共に分割された波面を重ね合わせる波面合成部と、
前記波面分割部において分割された隣接する一対の光束のうち、一方の光束の偏光面を回転させる偏光変換部と、を備え、
前記偏光変換部が、前記波面分割部のうち、前記光源からのレーザ光が最後に通過する光学素子の直前又は直後に配置される
ことを特徴とする1次元照明装置。
【請求項2】
前記光源の各レーザ素子から出射される各レーザ光の集光又は発散の角度をθ、前記光源の全てのレーザ素子から出射されるレーザ光束の集光又は発散角度をψとし、前記波面分割部に設ける入射側のシリンドリカルレンズアレイの開口数をNAとすると、
cos{(ψ+θ)/2}≦NA
とされることを特徴とする請求項1記載の1次元照明装置。
【請求項3】
前記光源のうち1つのレーザ素子から出射されるレーザ光が、前記シリンドリカルレンズアレイの2以上4未満のレンズセルに跨って入射されることを特徴とする請求項1記載の1次元照明装置。
【請求項4】
前記シリンドリカルレンズアレイのカップリング角度をφ、前記光源の各レーザ素子から出射される各レーザ光の集光又は発散の角度をθとし、前記光源の全てのレーザ素子から出射されるレーザ光束の集光又は発散角度をψとすると、
ψ+θ≦φ
とされることを特徴とする請求項1記載の1次元照明装置。
【請求項5】
前記光源のレーザ素子から出射されるレーザ光の空間コヒーレンス距離をdscとしたときに、前記シリンドリカルレンズのレンズセルのピッチPが略dsc/2とされることを特徴とする請求項1記載の1次元照明装置。
【請求項6】
前記波面分割部の近傍に、前記光源の各レーザ素子から出射されるレーザ光の発散角度θを広げる機能を有する光学素子が配置されることを特徴とする請求項1記載の1次元照明装置。
【請求項7】
前記光学素子の機能を前記1以上のシリンドリカルレンズアレイのうち前記光源からのレーザ光が最初に通過するシリンドリカルレンズアレイが備える構成としたことを特徴とする請求項6記載の1次元照明装置。
【請求項8】
光源と、1次元照明装置と、1次元光変調装置と、投射光学部と、走査光学部とを備える画像生成装置であって、
前記1次元照明装置は、
複数のレーザ素子が1次元状に配列された光源と、
前記光源から出射される光の波面を分割し、重ね合わせる1以上のシリンドリカルレンズアレイを含む波面分割部と、
前記波面分割部からの光を1次元光変調装置に導くと共に分割された波面を重ね合わせる波面合成部と、
前記波面分割部において分割された隣接する一対の光束のうち、一方の光束の偏光面を回転させる偏光変換部と、を備え、
前記偏光変換部が、前記波面分割部のうち、前記光源からのレーザ光が最後に通過する光学素子の直前又は直後に配置される
ことを特徴とする画像生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2008−65165(P2008−65165A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−244614(P2006−244614)
【出願日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】