説明

1,4―ジヒドロピリジン誘導体の製造法

【課題】降圧薬として有用な融点120〜124℃を有する[2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)―3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル]の製造法を提供する。
【解決手段】2−(3−ニトロベンジリデン)アセト酢酸イソプロピルエステルとアミジノ酢酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩とを反応させてジヒドロピリジン誘導体を製造する方法において、反応終了後、得られた粗ジヒドロピリジン誘導体を溶媒中で再結晶し、ジヒドロピリジン誘導体・溶媒付加体を得ることを特徴とする、ジヒドロピリジン誘導体の製造法、および、ジヒドロピリジン誘導体・溶媒付加体から溶媒を除去することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、融点120〜124℃を有する[2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)―3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル](以下、ジヒドロピリジン誘導体と称する)の製造法、特にその単離方法に関するものである。ジヒドロピリジン誘導体は、高血圧症、狭心症等の循環系疾病を治療する医薬として有用である(例えば、特許文献1参照)。
【背景技術】
【0002】
従来のジヒドロピリジン誘導体は、例えば特許文献1の実施例1に記載された方法に準じて製造される。すなわち、2−(3−ニトロベンジリデン)アセト酢酸イソプロピルエステルとアミジノ酢酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩を反応させた後、得られた粗ジヒドロピリジン誘導体をシリカゲルカラムで単離し、次いで、ベンゼン−n−ヘキサンから再結晶することによりジヒドロピリジン誘導体を得ている。しかしながら、この方法はカラム単離を用いており、工業的製造にするには満足する方法ではなかった。また、目的の融点を有する結晶を得るためにベンゼンを用いており安全性の面からも問題があった。また、特許文献2の実施例1に記載された方法に準じて製造されるメタノール付加体は空気中で変質する性質があり安定性に問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63−253082号公報
【特許文献2】特許第3491506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ジヒドロピリジン誘導体を工業的に有利に製造することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の課題は、2−(3−ニトロベンジリデン)アセト酢酸イソプロピルエステルとアミジノ酢酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩を反応させてジヒドロピリジン誘導体を製造する方法において、反応終了後、得られた粗ジヒドロピリジン誘導体をグリコール類、メタノールを除くアルコール類又はジオキサンで再結晶し、ジヒドロピリジン誘導体・溶媒付加体を得た後、必要によりさらに再結晶して精製し、付加した溶媒を酢酸エチルと水の混合溶媒で撹拌、洗浄して除き、アセトン等に溶解させ、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、ヘキサン等の有機貧溶媒中に加えるか、またはジヒドロピリジン誘導体・溶媒付加体から溶媒をシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、ヘキサン等の有機貧溶媒との共沸により除去することを特徴とするジヒドロピリジン誘導体の製造法によって達成される。グリコール類とは、例えばエチレングリコール、プロピレングリコ−ル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等である。
【0006】
本発明者らは、公知法に替わるジヒドロピリジン誘導体の製造方法、特に単離、精製法について各種の有機溶媒(炭化水素類、ニトリル類、ケトン類、アルコール類、エーテル類、エステル類)を用いて鋭意検討した結果、粗ジヒドロピリジン誘導体に特定の溶媒を加えると、ジヒドロピリジン誘導体のみが溶媒を包接し、ジヒドロピリジン誘導体・溶媒付加体として結晶化することを見い出した。さらに純度を向上させたい場合は付加した溶媒で再結晶を繰り返せばよい。また、付加した溶媒がエチレングリコール、プロピレングリコールの場合は、ジヒドロピリジン誘導体・溶媒付加体がエチレングリコール、プロピレングリコールに溶け難いのでエタノール、イソプロピルアルコールを共存させてもよい。すなわち、粗ジヒドロピリジン誘導体の特定の溶媒による再結晶は、純度、取得率において非常に大きい精製効果をもたらすものである。
【0007】
さらに、本発明者らは、エチレングリコール、プロピレングリコールが付加したジヒドロピリジン誘導体・溶媒付加体の脱溶媒方法について検討した結果、ジヒドロピリジン誘導体・溶媒付加体を酢酸エチル等の水に難溶性の有機溶媒に溶解、水洗して溶媒付加体から付加している溶媒を除き、アセトン等に溶解後、有機貧溶媒中に加えると融点120〜124℃を有するジヒドロピリジン誘導体を容易に得ることを見出した。また、ジヒドロピリジン誘導体・溶媒付加体をシクロヘキサン中で共沸留去することでも同様に溶媒付加体から容易に溶媒は除去され、融点120〜124℃を有するジヒドロピリジン誘導体を高純度・高収率で与えることを見出した。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、医薬として有用なジヒドロピリジン誘導体を工業的に簡便な方法により、高純度、高収率で得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本発明を詳しく説明する。本発明は、例えば反応式(1)によって示すことができる。
【化1】

【0010】
本発明の製法における、原料である2−(3−ニトロベンジリデン)アセト酢酸イソプロピルエステル(I)は、例えば、Org.Reactions,15巻、204頁(1967年)に記載の方法に準じて、3−ニトロベンズアルデヒドとアセト酢酸イソプロピルエステルから脱水縮合させることにより合成される。
【0011】
本発明の製法における、一方の原料であるアミジノ酢酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩(II)は、特開昭63−253082号公報に示される方法によって合成される。アミジノ酢酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩は、2−(3−ニトロベンジリデン)アセト酢酸イソプロピルエステル1モルに対して、通常0.8〜1.2モル、好ましくは1モルの割合で使用する。
【0012】
本発明の製法において使用される溶媒としては、例えばメタノ−ル、エタノ−ル、イソプロパノ−ル、tert−ブタノ−ル等のアルコ−ルを挙げることができるが、イソプロパノ−ルの使用が好ましい。溶媒は、2−(3−ニトロベンジリデン)アセト酢酸イソプロピルエステル1モルに対して、通常1〜10Lの量で使用する。
【0013】
本発明の製法における反応は、原料であるアミジノ酢酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩をフリ−化するための塩基を加えなくても進行するが、反応を速やかに完結させるためには、塩基を使用することが好ましい。塩基としては、例えばナトリウムメチラ−ト、ナトリウムエチラ−ト、ナトリウムイソプロピラ−ト等のアルコラ−ト及び水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の無機塩基を挙げることができるが、特に、無機塩基の使用が反応収率、取得物純度の面において好ましい。塩基は、2−(3−ニトロベンジリデン)アセト酢酸イソプロピルエステル1モルに対して、通常0.5〜1.0倍モルの割合で使用する。
【0014】
本発明の製法における反応温度としては、通常50℃〜使用溶媒の沸点の範囲が有利であり、反応時間は、反応温度等によって異なるが、通常0.5〜5時間である。
反応終了後、粗ジヒドロピリジン誘導体までは反応混合物を常法に従って、例えば、濃縮、抽出、洗浄、乾燥等の処理をすることによって容易に得ることができる。
【0015】
以下に、粗ジヒドロピリジン誘導体からジヒドロピリジン誘導体・溶媒付加体を取得する工程(工程(1))について説明する。工程(1)は、(a) 粗ジヒドロピリジン誘導体を溶媒による結晶化により、粗ジヒドロピリジン誘導体・溶媒付加体を得る工程と、(b)粗ジヒドロピリジン誘導体・溶媒付加体を、さらに溶媒中で再結晶して精製する工程とからなっている。
【0016】
(a)粗ジヒドロピリジン誘導体・溶媒付加体工程
溶媒は、2−(3―ニトロベンジリデン)アセト酢酸イソプロピルエステル1モルに対して、通常1〜5L、好ましくは1.8〜3.5Lの量で使用する。溶媒としてはグリコール類、メタノールを除くアルコール類又はジオキサンを用いる。
結晶化は、通常、所定量の溶媒を加え、室温付近で約1時間撹拌するか、または加熱し、60〜65℃で約1時間撹拌した後、冷却し、5〜10℃で約1時間撹拌することで実施される。得られた粗ジヒドロピリジン誘導体・溶媒付加体は、濾取した後、乾燥せずに次の再結晶化工程に移ることが好ましい。
【0017】
(b) 粗ジヒドロピリジン誘導体・溶媒付加体再結晶工程
前記の粗ジヒドロピリジン誘導体・溶媒付加体工程で得られた湿潤状態の粗ジヒドロピリジン誘導体・溶媒付加体1重量部に対して、付加体を製造するときに用いた溶媒を通常2〜15倍容量、好ましくは2〜5倍容量使用する。粗ジヒドロピリジン誘導体・溶媒付加体の溶媒がエチレングリコール、プロピレングリコールの場合、粗ジヒドロピリジン誘導体・溶媒付加体がエチレングリコール、プロピレングリコールに溶解し難いためエタノール、イソプロピルアルコールを共存させてもかまわない。この場合、粗ジヒドロピリジン誘導体・溶媒付加体1重量部に対して、エタノール、イソプロピルアルコールを通常1〜10倍容量、好ましくは2〜5倍容量使用する。再結晶化は、通常、所定量の溶媒を加え加熱し、60〜65℃で撹拌溶解した後、約60℃で熱時濾過し、次いで、その濾液を冷却し、5〜10℃で約1時間撹拌することで実施される。純度が99.9%に達しない場合は再結晶を繰り返すことにより達成される。
【0018】
ジヒドロピリジン誘導体・溶媒付加体は、再結晶化後、濾取、乾燥により得られる。以上により、ジヒドロピリジン誘導体・溶媒付加体は、99.9%以上の高純度(HPLC面積百分率)で得られる。
【0019】
次に、ジヒドロピリジン誘導体・溶媒付加体から脱溶媒により、融点120〜124℃を有する[2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)―3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル]を取得する工程(工程(2))について説明する。例えばエチレングリコールまたはプロピレングリコールが付加したジヒドロピリジン誘導体・溶媒付加体の脱溶媒方法について検討した結果、ジヒドロピリジン誘導体・溶媒付加体を酢酸エチルと混合し、水で洗浄すると付加していた溶媒は水層に移行し、ジヒドロピリジン誘導体は酢酸エチル層に移行する。濃縮後、アセトンに置換してアセトン溶液とし、有機貧溶媒中に加えることにより融点120〜124℃を有するジヒドロピリジン誘導体を取得することができる。アセトンの使用量は[2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)―3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル]・溶媒付加体に対して0.5〜2倍容量で溶解させる。有機貧溶媒の使用量はアセトンに対して5から100倍、好ましくは10から50倍である。ジヒドロピリジン誘導体は、操作終了後、冷却、濾取、乾燥等の常法により得られる。また、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、ジオキサンが付加したジヒドロピリジン誘導体・溶媒付加体の脱溶媒方法について検討した結果、有機貧溶媒中で共沸させることにより除けることを見出した。本工程はジヒドロピリジン誘導体・溶媒付加体が有機貧溶媒に全く溶解しないため、スラリ−状態である。有機貧溶媒は、ジヒドロピリジン誘導体・溶媒付加体1重量部に対して、通常5〜100倍容量、好ましくは10〜20倍容量の量で使用する。下限値より少ない量では、スラリ−濃度が上がり撹拌に負荷がかかる。上限値より多い量を使用することはできるが、それによる利点はない。溶媒を共沸留去させる操作は、加熱下、常圧又は減圧下に行われるが、速やかに溶媒を留去させるには減圧下に行う方が好ましい。有機貧溶媒とはジヒドロピリジン誘導体をほとんど溶解しない溶媒でありシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン等を表す。
【0020】
この操作により、ジヒドロピリジン誘導体・溶媒付加体から付加していた溶媒は除去され、シクロヘキサンと共沸留去されるが、共沸終了後、さらに有機貧溶媒をその仕込量の1/10程度留去させる方が好ましい。溶媒及び有機貧溶媒を留去させる反応温度は、通常50〜70℃の範囲であり、その温度になるように減圧度を調節する。
反応時間は、反応温度、減圧度などによって異なるが、所定量の留出量になるまで、通常0.5〜5時間である。
このジヒドロピリジン誘導体を取得する工程では、収率は定量的であり、ジヒドロピリジン誘導体の純度低下も認められない。
以下に実施例を示し、ジヒドロピリジン誘導体・溶媒付加体及びその製造法並びに脱溶媒によるジヒドロピリジン誘導体の製造法についてさらに詳しく説明する。
【実施例1】
【0021】
2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)―3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル・エチレングリコールの製造
14.5gの2−(3−ニトロベンジリデン)アセト酢酸イソプロピルエステルと20.0gの3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩を200mlのイソプロピルアルコールと混合した。1.5gの水酸化ナトリウムを加えて1時間穏やかに還流した。濃縮後、200mlの酢酸エチルに溶解し、3回水洗した。無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濃縮後、150mlのエチレングリコールと混合した。50℃に加温後、室温で撹拌した。析出した結晶を濾取した。収量38.8g(Wet)、液体クロマトグラフィーでの面積百分率純度は99.0%であった。この結晶を50mlのイソプロピルアルコールと混合し、加温して溶解した。100mlのエチレングリコールを加えて混合した。室温で撹拌して得られた結晶を濾取した。収量37.0g(Wet)、液体クロマトグラフィーでの面積百分率純度は99.9%であった。エタノールで洗浄、乾燥後の融点は120〜123℃であった。
IR KBrcm−1 3464、3329、1698、1667、1498、1347、1286、1209、1079、794、755、707
【実施例2】
【0022】
2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)―3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル・プロピレングリコールの製造
1.06gの[2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)―3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル]を10mlのイソプロピルアルコールに溶解し、濃縮した。プロピレングリコール10mlを加えて溶解した。室温で撹拌した。析出した結晶を濾過し、エタノールで洗浄して1.05gの結晶を得た。乾燥後の融点は113〜116℃であった。
IR KBrcm−1 3466、3322、1668、1527、1499、1346、1222、1172、1103、929、763、707
【実施例3】
【0023】
2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)―3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル・エタノールの製造
17.8gの2−(3−ニトロベンジリデン)アセト酢酸イソプロピルエステルと24.6gの3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩を200mlのイソプロピルアルコールと混合した。2.4gの水酸化ナトリウムを加えて1時間穏やかに還流した。濃縮後、200mlの酢酸エチルに溶解し、3回水洗した。無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濃縮後、70mlのエタノールと混合し、加温して溶解した。室温で撹拌すると結晶が析出した。氷水で冷却し、濾取、乾燥した。収量30.9g、液体クロマトグラフィーでの面積百分率純度は98.6%であった。この結晶を50mlのエタノールから再結晶してエタノール付加体27.6gを得た。液体クロマトグラフィーでの面積百分率純度は99.9%であった。融点は107〜109℃(発泡)であった。
IR KBrcm−1 3320、1660、1530、1480、1350、1220、1110、1070、1030、790、750、710
【実施例4】
【0024】
2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)―3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル・tert−ブタノールの製造
3.62gの2−(3−ニトロベンジリデン)アセト酢酸イソプロピルエステルと5.0gの3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩を50mlのイソプロピルアルコールと混合した。0.33gの水酸化ナトリウムを加えて1.5時間穏やかに還流した。濃縮後、50mlの酢酸エチルに溶解し、3回水洗した。無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濃縮後、30mlのtert−ブタノールと混合し、加温して溶解した。室温で撹拌すると結晶が析出した。氷水で冷却し、濾取、乾燥した。収量7.0g、液体クロマトグラフィーでの面積百分率純度は95.9%であった。この結晶を10mlのエタノールと40mlのtert−ブタノールの混合溶媒に加温して溶解した。室温で撹拌すると結晶が析出した。氷水で冷却し、濾取、乾燥した。収量6.38g、液体クロマトグラフィーでの面積百分率純度は99.5%。であった。融点は126〜129℃(発泡)であった。
IR KBrcm−1 3445、3329、1676、1492、1349、1216、1026、906、801、750、703、694
【実施例5】
【0025】
2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)―3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル・1,4−ジオキサンの製造
3.62gの2−(3−ニトロベンジリデン)アセト酢酸イソプロピルエステルと5.0gの3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩を50mlのイソプロピルアルコールと混合した。0.33gの水酸化ナトリウムを加えて1.5時間穏やかに還流した。濃縮後、50mlの酢酸エチルに溶解し、3回水洗した。無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濃縮後、30mlの1,4−ジオキサンと混合し、加温して溶解した。室温で撹拌すると結晶が析出した。氷水で冷却し、濾取、乾燥した。収量5.8g、液体クロマトグラフィーでの面積百分率純度は98.2%であった。融点は127〜131℃(発泡)であった。
IR KBrcm−1 1700、1660、1530、1490、1350、1210、1120、1080、870、750、710、520
【実施例6】
【0026】
2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)―3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル・イソプロピルアルコールの製造
3.62gの2−(3−ニトロベンジリデン)アセト酢酸イソプロピルエステルと5.0gの3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩を50mlのイソプロピルアルコールと混合した。0.35gの水酸化ナトリウムを加えて2時間穏やかに還流した。濃縮後、50mlの酢酸エチルに溶解し、3回水洗した。無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濃縮後、20mlのイソプロピルアルコールと混合し、加温して溶解した。室温で撹拌すると結晶が析出した。氷水で冷却し、濾取、乾燥した。収量4.7g、液体クロマトグラフィーでの面積百分率純度は98.7%。この結晶を10mlのイソプロピルアルコールから再結晶して3.5gを得た。液体クロマトグラフィーでの面積百分率純度は99.9%であった。融点は110〜112℃(発泡)であった。
IR KBrcm−1 1670、1530、1480、1350、1220、1110、1030、830、790、750、710、520
【実施例7】
【0027】
2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)―3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル・プロピレングリコールモノメチルエーテルの製造
1.13gの[2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)―3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル]を10mlのプロピレングリコールモノメチルエーテルに溶解し、濃縮した。室温で撹拌した。析出した結晶を濾過、乾燥して0.58gの結晶を得た。乾燥後の融点は113〜115℃であった。
IR KBrcm−1 3308、2977、1663、1527、1481、1348、1285、1105、794、753、706、516
【実施例8】
【0028】
2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)―3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル・n−プロピルアルコールの製造
1.00gの[2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)―3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル]を10mlのn−プロピルアルコールに溶解し、少し濃縮した。室温で撹拌した。析出した結晶を濾過、乾燥して0.73gの結晶を得た。乾燥後の融点は110〜116℃であった。
IR KBrcm−1 1660、1520、1480、1350、1220、1100、1070、910、830、750、710、520
【実施例9】
【0029】
2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)―3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステルの製造
実施例1で得られたエチレングリコール付加体134gを400mlの酢酸エチルと100mlの水と混合した。撹拌して溶解させた。水層を除き、水で2回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。酢酸エチルを濃縮後、アセトン100mlに溶解した。濃縮後、さらにアセトン50mlに溶解し、濃縮した。残留物をアセトン50mlに溶解した。シクロヘキサン900mlを激しく撹拌し、先のアセトン溶液を3時間かけて滴下した。さらに4時間撹拌した。析出した結晶を濾取、5%のアセトンを含むシクロヘキサンで洗浄した。乾燥して融点120〜124℃の黄色粉末を88.9g得た。
IR KBrcm−1 3449、3317、1682、1651、1523、1488、1347、1224、1029、795、743、704
【実施例10】
【0030】
2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)―3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステルの製造
実施例3で得たエタノール付加体4.7gを50mlのシクロヘキサンと混合した。60℃に加温し、減圧にして留去した。冷後、濾取、シクロヘキサンで洗浄した。乾燥して融点120〜124℃の黄色粉末を4.05g得た。
IR KBrcm−1 1660、1520、1480、1350、1220、1100、1070、910、830、750、710、520
【実施例11】
【0031】
2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)―3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステルの製造
実施例4で得られたtert−ブタノール付加体2.0gを25mlのシクロヘキサンと混合した。60℃に加温し、減圧にして留去した。冷後、濾取、シクロヘキサンで洗浄した。融点120〜124℃の黄色粉末を1.69g得た。
IR KBrcm−1 1660、1520、1480、1350、1220、1100、1070、910、830、750、710、520
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は医薬として有用なジヒドロピリジン誘導体の工業的製造方法として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2−(3−ニトロベンジリデン)アセト酢酸イソプロピルエステルとアミジノ酢酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩を反応させて[2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)―3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル]を製造する方法において、反応終了後、得られた粗[2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)―3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル]をグリコール類、メタノールを除くアルコール類又はジオキサンで再結晶し、下式の一般式(1)で表される[2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)―3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル]・溶媒付加体を得る工程を含むことを特徴とする[2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)―3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル] の製造方法。
一般式(1)
【化2】

(式中、Xは付加した溶媒を表し、エチレングリコール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール、ジオキサンのいずれかである。)
【請求項2】
[2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)―3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル]・溶媒付加体を酢酸エチルと水の混合溶媒中で撹拌、洗浄して付加した溶媒を除き、濃縮後、アセトンに溶解し、有機貧溶媒中に加えて融点120〜124℃を有する[2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)―3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル]の製造方法。
【請求項3】
[2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)―3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル]・溶媒付加体から溶媒(X)を有機貧溶媒との共沸により除去することを特徴とする、融点120〜124℃を有する[2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)―3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル]の製造法。

【公開番号】特開2010−189293(P2010−189293A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−33727(P2009−33727)
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【出願人】(591095096)相模化成工業株式会社 (3)
【Fターム(参考)】