説明

2−アミノ−5−エチルフェノールを含有するケラチン繊維の染色剤

本発明の目的は、2-アミノ-5-エチルフェノール又はこれの生理学的に温和な水溶性塩を含有するケラチン繊維用、特に人間の毛髪用の染色剤を提供することにある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、染色成分として2-アミノ-5-エチルフェノールを含有する、ケラチン繊維、特に人間の毛髪を酸化的に染色するための薬剤に関する有用な発明である。
【背景技術】
【0002】
ケラチン繊維の染色、特に毛髪を染色する技術分野において、酸化染料は非常に重要になっている。染色は、適当な酸化剤存在下に、特定の顕色物質を特定のカップラー物質と反応させることにより行われる。顕色物質としては、特に、2,5-ジアミノトルエン、2,5-ジアミノフェニルエチルアルコール、p-アミノフェノール、1,4-ジアミノベンゼン及び4,5-ジアミノ-1-(2-ヒドロキシエチル)ピラゾールが挙げられる。また、カップラー物質としては、例えばレゾルシン、2-メチルレゾルシン、1-ナフトール、3-アミノフェノール、m-フェニレンジアミン、2-アミノ-4-(2'-ヒドロキシエチル)アミノアニソール、1,3-ジアミノ-4-(2'-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン及び2,4-ジアミノ-5-フルオロトルエン等が挙げられる。
【0003】
酸化染料を用いて得られた毛髪の着色は、少なくとも4〜6週間以上の間、安定な状態で維持されることが要求される。また、この染料は、毒物学的な点においても皮膚科学的な点においても危険性のないものでなければならず、しかも、得られた毛髪染色が、良好な光堅牢性、パーマネントウェーブ堅牢性、摩擦堅牢性及びシャンプーに対する安定性を示し、また、発汗に対しても十分安定であることが必要とされる。更に、適当な顕色物質とカップラー物質の組み合わせによって、幅広い色彩の範囲において種々の染色の色合いを生じさせることができることも必要である。
【0004】
パーマネントウェーブ処理後の着色堅牢性、並びに毛の根元から毛先にかけて均一に明るい色の濃淡を表現するという特別な問題がある。黄色の芳香族ニトロ系直接染料を予め酸化染毛剤と混ぜて使用することにより、前記の問題は部分的には解決することができる。しかし、数週間の間、十分安定した着色を維持することができない。
【0005】
上記の問題を解決するために、特許文献1において、黄色の酸化染料として2-アミノ-5-メチルフェノールを使用した酸化染毛剤が示されている。この薬剤は、明るいブロンドやゴールド調にするためのニュアンス染料としてよく使用されている。しかしながら、特に、髪への着色安定性に関して言えば、例えばパーマネントウエーブ剤のような化学物質に対して十分満足のいくものではない。
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第2833989号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
酸化染色剤を含有する2-アミノ-5-エチルフェノールを使用することにより、薬剤において、特に、洗浄堅牢性、及び例えばパーマネントウェーブ剤のような化学物質に対する安定性が十分満たされるようにして欲しいという要求があることがわかっている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は、例えば、羊毛、毛皮、羽毛又は毛、特に人間の毛髪のようなケラチン繊維の酸化染色剤に関するものであって、これは、2-アミノ-5-エチルフェノール又はその生理学的に温和な水溶性塩を含有することを特徴とする。
【0009】
2-アミノ-5-エチルフェノールは、フリーな塩基、又は例えば塩化水素、硫酸、リン酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸若しくはクエン酸等の無機若しくは有機酸との生理学的に温和な塩の形態で使用することができる。
【0010】
染色剤は、2-アミノ-5-エチルフェノールを、合計量でおよそ0.001〜5重量パーセント、好ましくは0.001〜2重量パーセント、より好ましくは0.01〜1重量パーセント含有する。
【0011】
2-アミノ-5-エチルフェノールは、更に着色物質を添加することなく、ケラチン物質を黄色に着色する。
更に色のニュアンスを得るために、例えば顕色物質やカップラー物質といった通常の酸化着色物質のいずれか又はこれらの混合物が付加的に使用される。
カップラー物質としては、例えば、N-(3-ジメチルアミノフェニル)尿素、2,6-ジアミノピリジン、2-アミノ-4-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]アニソール、2,4-ジアミノ-1-フルオロ-5-メチルベンゼン、2,4-ジアミノ-1-メトキシ-5-メチルベンゼン、2,4-ジアミノ-1-エトキシ-5-メチルベンゼン、2,4-ジアミノ-1-(2-ヒドロキシエトキシ)-5-メチルベンゼン、2,4-[ジ(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-1,5-ジメトキシベンゼン、2,3-ジアミノ-6-メトキシピリジン、3-アミノ-6-メトキシ-2-(メチルアミノ)ピリジン、2,6-ジアミノ-3,5-ジメトキシピリジン、3,5-ジアミノ-2,6-ジメトキシピリジン、1,3-ジアミノベンゼン、2,4-ジアミノ-1-(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,3-ジアミノ-4-(2,3-ジヒドロキシプロピル)ベンゼン、1,3-ジアミノ-4-(3-ヒドロキシプロポキシ)ベンゼン、1,3-ジアミノ-4-(2-メトキシエトキシ)ベンゼン、2,4-ジアミノ-1,5-ジ(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1-(2-アミノエトキシ)-2,4-ジアミノベンゼン、2-アミノ-1-(2-ヒドロキシエトキシ)-4-メチルアミノベンゼン、2,4-ジアミノフェノキシ酢酸、3-[ジ(2-ヒドロキシエチル)アミノ]アニリン、4-アミノ-2-ジ[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-1-エトキシベンゼン、5-メチル-2-(1-メチルエチル)フェノール、3-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]アニリン、3-[(2-アミノエチル)アミノ]アニリン、1,3-ジ(2,4-ジアミノフェノキシ)プロパン、ジ(2,4-ジアミノフェノキシ)メタン、1,3-ジアミノ-2,4-ジメトキシベンゼン、2,6-ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノトルエン、4-ヒドロキシインドール、3-ジメチルアミノフェノール、3-ジエチルアミノフェノール、5-アミノ-2-メチルフェノール、5-アミノ-4-フルオロ-2-メチルフェノール、5-アミノ-4-メトキシ-2-メチルフェノール、5-アミノ-4-エトキシ-2-メチルフェノール、3-アミノ-2,4-ジクロロフェノール、5-アミノ-2,4-ジクロロフェノール、3-アミノ-2-メチルフェノール、3-アミノ-2-クロロ-6-メチルフェノール、3-アミノフェノール、2-[(3-ヒドロキシフェニル)アミノ]アセトアミド、5-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-4-メトキシ-2-メチルフェノール、5-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-メチルフェノール、3-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]フェノール、3-[(2-メトキシエチル)アミノ]フェノール、5-アミノ-2-エチルフェノール、5-アミノ-2-メトキシフェノール、2-(4-アミノ-2-ヒドロキシフェノキシ)エタノール、5-[(3-ヒドロキシプロピル)アミノ]-2-メチルフェノール、3-[(2,3-ジヒドロキシプロピル)アミノ]-2-メチルフェノール、3-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-メチルフェノール、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、2,6-ジヒドロキシ-3,4-ジメチルピリジン、5-アミノ-4-クロロ-2-メチルフェノール、1-ナフトール、2-メチル-1-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,7-ジヒドロキシナフタレン、2,3-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン、2-メチル-1-ナフトールアセテート、1,3-ジヒドロキシベンゼン、1-クロロ-2,4-ジヒドロキシベンゼン、2-クロロ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、1,2-ジクロロ-3,5-ジヒドロキシ-4-メチルベンゼン、1,5-ジクロロ-2,4-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシ-2-メチルベンゼン、3,4-メチレンジオキシフェノール、3,4-メチレンジオキシアニリン、5-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-1,3-ベンゾジオキソール、6-ブロモ-1-ヒドロキシ-3,4-メチレンジオキシベンゼン、3,4-ジアミノ安息香酸、3,4-ジヒドロ-6-ヒドロキシ-1,4(2H)-ベンゾキサジン、6-アミノ-3,4-ジヒドロ-1,4(2H)-ベンゾキサジン、3-メチル-1-フェニル-5-ピラゾロン、5,6-ジヒドロキシインドール、5,6-ジヒドロキシインドリン、5-ヒドロキシインドール、6-ヒドロキシインドール、7-ヒドロキシインドール、2,3-インドリンジオンなどが挙げられる。
顕色剤としては、例えば、1,4-ジアミノベンゼン(p-フェニレンジアミン)、1,4-ジアミノ-2-メチルベンゼン(p-トルエンジアミン)、1,4-ジアミノ-2,6-ジメチルベンゼン、1,4-ジアミノ-3,5-ジエチルベンゼン、1,4-ジアミノ-2,5-ジメチルベンゼン、1,4-ジアミノ-2,3-ジメチルベンゼン、2-クロロ-1,4-ジアミノベンゼン、1,4-ジアミノ-2-(チオフェン-2-イル)ベンゼン、1,4-ジアミノ-2-(チオフェン-3-イル)ベンゼン、4-(2,5-ジアミノフェニル)-2-[(ジエチルアミノ)メチル]チオフェン、2-クロロ-3-(2,5-ジアミノフェニル)チオフェン、1,4-ジアミノ-2-(ピリジン-3-イル)ベンゼン、2,5-ジアミノビフェニル、2,5-ジアミノ-4'-(1-メチルエチル)-1,1'-ビフェニル、2,3',5-トリアミノ-1,1'-ビフェニル、1,4-ジアミノ-2-メトキシメチルベンゼン、1,4-ジアミノ-2-アミノメチルベンゼン、1,4-ジアミノ-2-[(フェニルアミノ)メチル]ベンゼン、1,4-ジアミノ-2-[(エチル-(2-ヒドロキシエチル)アミノ)メチル]ベンゼン、1,4-ジアミノ-2-ヒドロキシメチルベンゼン、1,4-ジアミノ-2-(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2-[2-(アセチルアミノ)エトキシ]-1,4-ジアミノベンゼン、4-フェニルアミノアニリン、4-ジメチルアミノアニリン、4-ジエチルアミノアニリン、4-ジプロピルアミノアニリン、4-[エチル-(2-ヒドロキシエチル)アミノ]アニリン、4-[ジ(2-ヒドロキシエチル)アミノ]アニリン、4-[ジ(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-メチルアニリン、4-[(2-メトキシエチル)アミノ]アニリン、4-[(3-ヒドロキシプロピル)アミノ]アニリン、4-[(2,3-ジヒドロキシプロピル)アミノ]アニリン、4-(((4-アミノフェニル)メチル)アミノ)アニリン、4-[(4-アミノフェニルアミノ)メチル]フェノール、1,4-ジアミノ-N-(4-ピロリジン-1-イル-ベンジル)ベンゼン、1,4-ジアミノ-N-フラン-3-イルメチルベンゼン、1,4-ジアミノ-Nーチオフェン-2-イルメチルベンゼン、1,4-ジアミノ-N-フラン-2-イル-メチルベンゼン、1,4-ジアミノ-N-チオフェン-3-イルメチルベンゼン、1,4-ジアミノ-N-ベンジルベンゼン、1,4-ジアミノ-2-(1-ヒドロキシエチル)ベンゼン、1,4-ジアミノ-2-(2-ヒドロキシエチル)ベンゼン、1,4-ジアミノ-2-(1-メチルエチル)ベンゼン、1,3-ビス[(4-アミノフェニル)(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-プロパノール、1,4-ビス[(4-アミノフェニル)アミノ]ブタン、1,8-ビス(2,5-ジアミノフェノキシ)-3,6-ジオキサオクタン、2,5-ジアミノ-4'-ヒドロキシ-1,1'-ビフェニル、2,5-ジアミノ-2'-トリフルオロメチル-1,1'-ビフェニル、2,4',5-トリアミノ-1,1'-ビフェニル、4-アミノフェノール、4-アミノ-3-メチルフェノール、4-アミノ-3-(ヒドロキシメチル)フェノール、4-アミノ-3-フルオロフェノール、4-メチル-アミノフェノール、4-アミノ-2-(アミノメチル)フェノール、4-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)フェノール、4-アミノ-2-フルオロフェノール、4-アミノ-2-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]メチルフェノール、4-アミノ-2-メチルフェノール、4-アミノ-2-(メトキシメチル)フェノール、4-アミノ-2-(2-ヒドロキシエチル)フェノール、5-アミノサリチル酸、2,5-ジアミノピリジン、2,4,5,6-テトラアミノピリジン、2,5,6-トリアミノ-4-(1H)-ピリミドン、4,5-ジアミノ-1-(2-ヒドロキシエチル)-1H-ピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(1-メチルエチル)-1H-ピラゾール、4,5-ジアミノ-1-[(4-メチルフェニル)メチル]-1H-ピラゾール、1-[(4-クロロフェニル)メチル]-4,5-ジアミノ-1H-ピラゾール、4,5-ジアミノ-1-メチル-1H-ピラゾール、4,5-ジアミノ-1-ペンチル-1H-ピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(フェニルメチル)-1H-ピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(4-メトキシフェニル)メチル-1H-ピラゾール、2-アミノフェノール、2-アミノ-6-メチルフェノール、2-アミノ-5-メチルフェノール、1,2,4-トリヒドロキシベンゼン、2,4-ジアミノフェノール、1,4-ジヒドロキシベンゼン、及び2-(((4-アミノフェニル)アミノ)メチル)-1,4-ジアミノベンゼンが挙げられる。
上記の顕色剤やカップラー剤は、染色剤中に単独で或いは互いに混合して加えてもよい。染色剤中に加える量は、顕色剤とカップラー剤の総量が0.01〜12重量パーセント、より好ましくは0.2〜6重量パーセントとなるようにする。
【0012】
更に、本発明に係る染色剤は、更なる染色成分を含んでいてもよい。このような染色成分には、例えば、4-(2,5-ジアミノ-ベンジルアミノ)アニリンや3-(2,5-ジアミノ-ベンジルアミノ)アニリン、更に、トリアリールメタン系着色物質、ニトロ系着色物質、分散型染料及びアゾ系着色物質を含有する、アニオン(酸)性又はカチオン(塩基)性の着色物質の群から成る天然又は人工の直接染料がある。直接染料としては、例えばインディゴやヘンナのような天然染料や、4-[(4'-アミノフェニル)-(4'-イミノ-2",5"-シクロヘキサジエン-1"-イリデン)メチル]-2-メチル-アミノベンゼンモノヒドロクロライド(C.I.42510)、及び4-[(4'-アミノ-3'-メチルフェニル)-(4"-イミノ-3"-メチル-2",5"-シクロヘキサジエン-1"-イリデン)メチル]-2-メチルアミノベンゼンモノヒドロクロライド(C.I.42520)のようなトリフェニルメタン系着色物質、4-(2'-ヒドロキシエチル)アミノニトロトルエン、2-アミノ-4,6-ジニトロフェノール、2-アミノ-5-(2'-ヒドロキシエチル)アミノニトロベンゼン、2-クロロ-6-エチルアミノ-4-ニトロフェノール、4-クロロ-N-(2-ヒドロキシエチル)-2-ニトロアニリン、5-クロロ-2-ヒドロキシ-4-ニトロアニリン、2-アミノ-4-クロロ-6-ニトロフェノール、及び1-(2'-ウレイドエチル)アミノ-4-ニトロベンゼンのような芳香族ニトロ系着色物質、6-[(4'-アミノフェニル)アゾ]-5-ヒドロキシナフタレン-1-スルホン酸ナトリウム塩(C.I.14805)のようなアゾ系着色物質、及び1,4-ジアミノアントラキノンや1,4,5,8-テトラアミノアントラキノンのような分散型染色物質が挙げられる。
本発明の染色剤は、このような染色成分を約0.1〜4重量パーセント含有していてもよい。
【0013】
上記の顕色剤及び/又はカップラー剤及び/又は更なる染色成分を本発明の2-アミノ-5-エチルフェノールと組み合わせることにより、多様な染色ニュアンスを表すことが可能になる。例えば、ブロンドからブラウンの髪色を得るために、4-(2,5-ジアミノベンジルアミノ)アニリン及び/又は2-(3-アミノフェニル)アミノメチル-1,4-ジアミノベンゼンや、これらの塩を2-アミノ-5-エチルフェノールと組み合わせて使用することが可能である。
【0014】
もちろん、上記のカップラー剤と顕色剤とその他の染色成分は、それが塩基である場合には、有機酸又は無機酸(例えば塩化水素や硫酸)との生理学的に温和な塩の形態で添加することもできる。或いは、それが芳香族性のOH基を有する場合には、例えばアルカリフェノレートのような塩基との塩の形態で添加することができる。
【0015】
更に、これが毛髪の染色に使用される場合には、アスコルビン酸やチオグリコール酸、亜硫酸ナトリウムのような抗酸化剤や、香料、錯体化試薬、湿潤剤、乳化剤、増粘剤、保存剤といった一般的に使用される化粧用添加剤を染色剤中に含有させてもよい。
【0016】
本発明に係る染色剤の調製形態は、例えば、溶液、特に水性若しくは水−アルコール溶液、ペースト、クリーム、ジェル、エマルジョン、又はエアゾール調製物とすることができる。これらの組成物は、一般的な添加剤との染色物質成分の混合物として調製される。
【0017】
溶液、クリーム、エマルジョン又はジェル中の通常の添加剤としては、例えば、水、エタノール、プロパノール若しくはイソプロパノールといった低級脂肪族アルコール、グリセリン又は1,2-プロピレングリコールといったグリコールのような溶剤、更に、アニオン性、カチオン性、両性、非イオン性の界面活性剤由来の湿潤剤や乳化剤(このような物質としては、例えば、脂肪族アルコール硫酸エステルやオキシエチル脂肪族アルコール硫酸エステルやアルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルベタイン、オキシエチル脂肪族アルコール、オキシエチルノニフェノール、脂肪酸アルカノールアミド、及びオキシエチル脂肪酸エステルのようなものがある。)、更には、高級脂肪族アルコール、澱粉、セルロース誘導体、ペトロラタム、パラフィンオイル、脂肪酸のような増粘剤、その他に、カチオン樹脂、ラノリン誘導体、コレステロール、パントテン酸、ベタインのような保存剤がある。上述の成分は、そのような目的に一般的な量を使用する、例えば湿潤剤や乳化剤の濃度は、約0.5〜30重量パーセントとする。増粘剤の濃度は約0.1〜30重量パーセント、保存剤の濃度は約0.1〜5重量パーセントとする。
【0018】
組成によっては、本発明に係る染色剤は、弱酸性、中性或いは塩基性で反応可能である。染色剤のpH値は、6.5〜11.5にするのが望ましい。塩基性への調整は、特にアンモニアやモノエタノールアミンやトリエチルアミンのような有機アミン、或いはアミノ酸や水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのような無機塩基を用いて行われる。上記の化合物は、組み合わせて用いることができる。特に、アンモニアとモノエタノールアミンとを組み合わせるとよい。酸性領域におけるpH調整には、リン酸や酢酸、クエン酸、酒石酸といった無機酸や有機酸を用いることができる。
【0019】
酸化染料を毛髪に使用する場合、上述の染色剤を使用する直前に酸化剤と混ぜ、毛髪量に応じて、毛髪染色処理をするのに十分な量、一般的には約60〜200gの混合物を毛髪上に塗布する。
【0020】
毛髪の染色剤の酸化剤としては、特に、過酸化水素又は添加剤として尿素やメラミン、ホウ酸ナトリウム又はカルボン酸ナトリウムを含有する過酸化水素の3〜12%水溶液、好ましくは6%水溶液が挙げられる。空気中の酸素も挙げられる。酸化剤として6%の過酸化水素溶液を用いる場合、毛髪染色剤と酸化剤の割合は、重量比で5:1〜1:2、好ましくは1:1とする。特に毛髪染色剤中の染料濃度が高い場合又は同時に毛髪を強く漂白しようとする場合には、大量の酸化剤を使用する。15〜50℃としたこの混合物を毛髪に塗布した後、約10〜45分、好ましくは30分放置する。その後、髪を水で洗浄し、乾燥させる。必要とあらば、水で洗浄後、続いてシャンプーで洗浄し、必要とあらば、例えばクエン酸や酒石酸のような弱い有機酸ですすぐ。続いて、毛髪を乾燥させる。
【0021】
本発明に係る2-アミノ-5-エチルフェノールを含有する染色剤により染色された髪は、優れた着色堅牢性、特に、光堅牢性、洗浄堅牢性、摩擦堅牢性、パーマネント堅牢性を有する。染色性に関して言えば、本発明に係る毛髪染色剤では、着色成分の種類や組成を変化させることにより、ブロンドから茶色、濃紅色、紫、青、黒に至るまで、広範な様々な色の濃淡を表現することができる。この際、ダメージを受けた髪でもダメージを受けていない髪でも、際だって優れた色強度及び良好な色均一性を示す。この毛髪染料剤の大変優れた染色特徴は、これらの白髪用染色剤が、ダメージを受けていない髪を問題なく化学的に染色し、良好な被覆性を達成できることを示している。
【0022】
2-アミノ-5-エチルフェノールは、3-エチルフェノール又は3-エチルフェノール誘導体をニトリル化した後、ニトリル基をアミノ基に還元する、実際によく知られた方法で製造される。適当な製造方法としては、例えば、国際公開第96/25157号パンフレット(例えば92 a/b)に記載されているものがある。
【0023】
以下に記載の実施例は、発明をより詳細に説明するものであって、本願発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0024】
実施例1〜15: 毛髪染色剤
製造される染色剤溶液の組成は、以下通りである。
2-アミノ-5-エチルフェノール Xg
表1に記載のE8〜E15の顕色剤 Ug
表3に記載のK11〜K35のカップラー剤 Yg
表2に記載のD1〜D3の直接染料 Zg
オレイン酸カリウム(8%水溶液) 10.0g
アンモニア(22%水溶液) 10.0g
エタノール 10.0g
アスコルビン酸 0.3g
100.0gになるように水を添加
【0025】
使用直前に、上記の毛髪染色剤30gを6%過酸化水素水溶液30gと混合する。続いて、この混合物を脱色した髪に塗布する。その後、40℃で30分間浸透させ、その後髪を水ですすぎ、市販のシャンプーで洗浄し、髪を乾燥させる。染色結果を表5に示す。
【0026】
実施例16〜21: 毛髪染色剤
製造されるクリーム状の染色剤の組成は、以下通りである。
2-アミノ-5-エチルフェノール Xg
表1に記載のE8〜E15の顕色剤 Ug
表3に記載のK11〜K35のカップラー剤 Yg
表2に記載のD1〜D3の直接染料 Zg
セチルアルコール 15.0g
アスコルビン酸 0.3g
ラウリルアルコールジグリコールエーテル硫酸ナトリウム、28%水溶液 3.5g
22%アンモニア水溶液 3.0g
無水亜硫酸ナトリウム 0.3g
100.0gになるように水を添加
【0027】
使用直前に、上記の毛髪染色剤30gを6%過酸化水素水溶液30gと混合する。続いて、この混合物を髪に塗布する。その後、30分間浸透させ、その後髪を水ですすぎ、市販のシャンプーで洗浄し、髪を乾燥させる。染色結果を表6に示す。
【0028】
実施例22〜29: 毛髪染色剤
製造される染色剤溶液の組成は、以下通りである。
2-アミノ-5-エチルフェノール Xg
表4に記載のW1又はW2の染色組成物 Zg
表1に記載のE8〜E15の顕色剤 Ug
オレイン酸カリウム(8%水溶液) 10.0g
アンモニア(22%水溶液) 10.0g
エタノール 10.0g
アスコルビン酸 0.3g
100.0gになるように水を添加
【0029】
使用直前に、上記の毛髪染色剤30gを6%過酸化水素水溶液30gと混合する。続いて、この混合物を脱色した髪に塗布する。その後、40℃で30分間浸透させ、その後髪を水ですすぎ、市販のシャンプーで洗浄し、髪を乾燥させる。染色結果を表7に示す。
【0030】
【表1】

【0031】
【表2】

【0032】
【表3】

【0033】
【表4】

【0034】
【表5】

【0035】
【表6】

【0036】
【表7】

【0037】
【表8】

【0038】
【表9】

【0039】
【表10】

【0040】
【表11】

【0041】
上記の百分率表記は、特に断りがない限り、重量パーセントで示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2-アミノ-5-エチルフェノール又はその生理学的に温和な水溶性塩を含有することを特徴とするケラチン繊維の酸化染色剤。
【請求項2】
2-アミノ-5-エチルフェノールを0.001〜5重量パーセント含有することを特徴とする請求項1に記載のケラチン繊維の酸化染色剤。
【請求項3】
前記染色剤が、顕色物質、カップラー物質、直接染料及びその他の染色成分から成る群からの着色物質を更に少なくとも一つ含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のケラチン繊維の酸化染色剤。
【請求項4】
4-(2,5-ジアミノベンジルアミノ)アニリン及び2-(3-アミノフェニル)アミノメチル-1,4-ジアミノベンゼン及びこれらの塩から選択される物質を更に含有することを特徴とする請求項3に記載のケラチン繊維の酸化染色剤。
【請求項5】
pH値が6.5〜11.5であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のケラチン繊維の酸化染色剤。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の染色剤を酸化剤と混合した後、これを毛髪に塗布し、15〜50℃で10〜45分間放置し、その後、毛髪を水で洗浄し、必要に応じてシャンプーをし、髪を乾燥させることを特徴とする毛髪を酸化染色する方法。

【公表番号】特表2006−505595(P2006−505595A)
【公表日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−548753(P2004−548753)
【出願日】平成15年10月17日(2003.10.17)
【国際出願番号】PCT/EP2003/011526
【国際公開番号】WO2004/041225
【国際公開日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【出願人】(591011627)ウエラ アクチェンゲゼルシャフト (64)
【氏名又は名称原語表記】WELLA AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】