説明

2−メチレン−19,26−ジノル−(20S,22E,25R)−ビタミンD類似物質

本発明は、2−メチレン−19,26−ジノル−(20S,22E,25R)−ビタミンD類似物質、特定的には、2−メチレン−19,26−ジノル−(20S,22E,25R)−1α,25−ジヒドロキシビタミンD、並びにこれらの医薬としての使用を開示する。この化合物は、転写活性を示し、未分化細胞の増殖を抑止し、単球への分化を誘発するという顕著な活性を示し、したがって、このことは、抗癌剤としての使用、および乾癬のような皮膚疾患の治療、およびしわ、皮膚のたるみ、乾燥肌、不十分な皮脂分泌のような皮膚の状態のための使用の証拠となる。また、この化合物は、天然ホルモンである1α,25−ジヒドロキシビタミンDと比較して、in vivoで骨のカルシウムを導入する活性を示さず、腸のカルシウムを移動する活性が比較的低く、したがって、ヒトの自己免疫障害または炎症性疾患、および腎性骨ジストロフィーを治療するために使用することができる。また、この化合物は、肥満を治療または予防するために使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビタミンD化合物に関し、さらに特定的には、2−メチレン−19,26−ジノル−(20S,22E,25R)−ビタミンD類似物質、及びこれらの医薬としての使用に関する。
【0002】
天然ホルモンである1α,25−ジヒドロキシビタミンD、及びそのエルゴステロール群の類似物質、すなわち、1α,25−ジヒドロキシビタミンDは、動物及びヒトにおけるカルシウムホメオスタシスの極めて強力な調整剤であることが知られており、細胞分化におけるこれらの活性も、Ostrem et al.によって、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、84、2610(1987)で確立されている。1α−ヒドロキシビタミンD、1α−ヒドロキシビタミンD、種々の側鎖が認定されているビタミン及びフッ素化された類似物質を含め、これらの代謝物の多くの構造類似物質が調製され、試験されている。これらの化合物のうち、いくつかは、細胞分化及びカルシウム調節において興味深い分離活性を示す。この活性の差は、腎性骨ジストロフィー、ビタミンD抵抗性くる病、骨粗鬆症、乾癬、特定の悪性腫瘍といった種々の疾患の治療で有用であり得る。
【0003】
別の種類のビタミンD類似物質、すなわち、いわゆる19−ノル−ビタミンD化合物は、ビタミンD系では典型的なA環の環外メチレン基(炭素19)が2個の水素原子と置き換わっていることを特徴とする。このような19−ノル−類似物質(例えば、1α,25−ジヒドロキシ−19−ノル−ビタミンD)の生物学的試験は、細胞分化を誘導する高い能力を有し、カルシウム代謝活性がきわめて低いという選択的な活性プロフィールを明らかにした。従って、これらの化合物は、悪性腫瘍の治療、または種々の皮膚障害の治療の治療薬剤として有用な可能性を秘めている。このような19−ノル−ビタミンD類似物質の2つの異なる合成方法が記載されている(Perlman et al.、Tetrahedron Lett.31、1823(1990);Perlman et al.、Tetrahedron Lett.32、7663(1991)、DeLuca et al.、米国特許第5,086,191号)。
【0004】
米国特許第4,666,634において、1α,25−ジヒドロキシビタミンDの2β−ヒドロキシ類似物質及びアルコキシ類似物質(例えば、ED−71)が記載されており、骨粗鬆症の有望な薬物として、及び抗腫瘍剤として、中外グループによって試験されている。また、Okano et al.、Biochem. Biophys.Res.Commun.163、1444(1989)を参照。1α,25−ジヒドロキシビタミンDの他の2−置換された(ヒドロキシアルキルで、例えば、ED−120、フルオロアルキル基で)A環類似物質も、側鎖にシクロプロプル基を有する類似物質(例えば、カルシポトリエンとして知られており、Nishii et al、米国特許第5,063,221号に記載される、MC−903)と同様に、調製され、試験されている(Miyamoto et al.、Chem.Pharm.Bull.41、1111(1993);Nishii et al.、Osteoporosis Int.Suppl.1、190(1993);Posner et al.、J.Org.Chem.59、7855(1994)、及び、J.Org.Chem.60、4617(1995))。
【0005】
1α,25−ジヒドロキシ−19−ノル−ビタミンDの2−置換された類似物質、すなわち、2位で、ヒドロキシ基またはアルコキシ基で置換された化合物(DeLuca et al.、米国特許第5,536,713号)、2−アルキル基で置換された化合物(DeLuca et al、米国特許第5,945,410号)、および2−アルキリデン基で置換された化合物(DeLuca et al、米国特許第5,843,928号)も合成されており、これらは、興味深く選択的な活性プロフィールを示す。これらのすべての研究は、ビタミンD受容体の結合部位が、合成されたビタミンD類似物質のC−2に異なる置換基を受け入れることが可能であることを示す。
【0006】
薬理学的に重要なビタミンD化合物である19−ノル群を調査する努力を続けていく中で、炭素2(C−2)にメチレン置換基が存在し、炭素1(C−1)にヒドロキシル基が存在し、炭素20(C−20)に短い側鎖が結合していることを特徴とする類似物質も合成され、試験されている。1α−ヒドロキシ−2−メチレン−19−ノル−プレグナカルシフェロールは、米国特許第6,566,352号に記載されており、一方、1α−ヒドロキシ−2−メチレン−19−ノル−ホモプレグナカルシフェロールは、米国特許第6,579,861号に記載されており、1α−ヒドロキシ−2−メチレン−19−ノル−ビスホモプレグナカルシフェロールは、米国特許第6,627,622号に記載されている。これら3種類の化合物はすべて、ビタミンD受容体に対して相対的に高い結合活性を有しており、比較的高い細胞分化活性を有しているが、1α,25−ジヒドロキシビタミンDと比較して、カルシウム血症活性は、それがあったとしても非常に低い。これらの生物学的活性は、’352特許、’861特許、’622特許に記載されているように、これらの化合物を、種々の医薬用途のすぐれた候補物質にする。
【0007】
17−エンビタミンD化合物、ならびに側鎖に二重結合を有するビタミンD化合物も知られており、種々の薬理学的用途が提案されている。骨粗鬆症のような骨の疾患、乾癬のような皮膚障害、白血病のような癌、しわのような美容に関する状態は、このような化合物で提案されている用途のうち、ほんのいくつかである。17−エン化合物は、米国特許第5,545,633号;第5,929,056号、第6,399,797号に記載されており、一方、二重結合を有する側鎖を有する2−アルキリデン化合物は、例えば、米国特許第5,843,928号に記載されている。
【0008】
環Aの炭素−2の位置で、メチルのようなアルキル基、またはメチレンのようなアルキリデン基で置換されており、標準的な1つ以上のビタミンD置換基を持っていない側鎖を有する19−ノルビタミンD化合物も知られており、種々の薬理学的用途が提案されている。例えば、多くの2α−メチル−19,26,27−トリノル類似物質が、米国出願番号第2007/028704号に記載されており、公開されている米国出願番号第2007/0270391に記載されており、多くの2−メチレン−19,26,27−トリノル類似物質が、公開されている米国出願番号第2007/0249567号に記載されている。それに加えて、2α−メチル−19−ノル−(20S)−1α−ヒドロキシ−ビスホモプレグナカルシフェロールが、公開されている米国出願番号第2007/0254857号に記載されており、多くの2−メチレン−19,26−ジノルビタミンD類似物質は、公開されている米国出願番号第2007/0191317号および公開されている米国出願番号第2007/0191316号に記載されている。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、2−メチレン−19,26−ジノル−(20S,22E,25R)−ビタミンD類似物質、それらの生物学的活性、及びそれらの化合物の種々の薬理学的用途に関する。これまでに知られていない、これらの新規ビタミンD化合物は、2−位(C−2)にメチレン基を有し、側鎖の25−位(C−25)に接続したヒドロキシル置換基を有し、通常は側鎖の26位(C−26)に位置しているメチル基が、水素原子と置き換わっており、二重結合が、側鎖の炭素原子22と23(C−22とC−23)の間に位置する19−ノル−ビタミンD類似物質である。好ましいビタミンD類似物質は、2−メチレン−19,26−ジノル−(20S,22E,25R)−1α,25−ジヒドロキシビタミンD(以下、「SOR−1」と称する)である。
【0010】
構造的に、これらの2−メチレン−19,26−ジノル−(20S,22E,25R)−ビタミンD類似物質は、以下に示される一般式Iによって特徴づけられ、
【化1】


式中、X、X、Xは、同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、水素又はヒドロキシ保護基から選択される。好ましい類似物質は、以下の式Iaを有する、2−メチレン−19,26−ジノル−(20S,22E,25R)−1α,25−ジヒドロキシビタミンDである。
【化2】


上の化合物I、特にIaは、望ましく、極めて有益な生物学的活性パターンを示す。これらの化合物は、ビタミンD受容体に対し、比較的に結合性が高いことを特徴とし、天然のホルモン1α,25−ジヒドロキシビタミンDよりもほんのわずか低い。これらの化合物は、特に、推奨される低い用量では、腸のカルシウム輸送をin vivoで促進する能力は比較的低い。これらは、1α,25−ジヒドロキシビタミンDと比較して、低い活性を有するものと分類され、従って、腸のカルシウム輸送活性をin vivoで刺激する能力は低いと分類される。これらの化合物I、特にIaは、1α,25−ジヒドロキシビタミンDと比較して、骨からカルシウムを移動させる能力も極めて低く、これらは、骨のカルシウムを移動させる活性は実質的にないと分類されるであろう。プレプロ副甲状腺ホルモン遺伝子(Darwish & DeLuca、Arch.Biochem.Biophys.365、123−130、1999)および副甲状腺の増殖を抑制する場合、血清カルシウムが生理学的レベルを超えた値まで上がることは望ましくない。骨のカルシウムを移動させる活性は相対的にないが、細胞分化に対しては非常に活性である、これらの類似物質は、腎性骨ジストロフィーの二次性副甲状腺機能亢進症を抑制するための治療として有用であると予想される。
【0011】
また、本発明の化合物I、特にIaは、免疫系の失調によって特徴づけられるヒトの障害、例えば、多発性硬化症、ループス、糖尿病、移植片対宿主拒絶反応、臓器移植の拒絶反応を含む自己免疫疾患の治療及び予防、さらに、関節リウマチ、喘息のような炎症性疾患、セリアック病、潰瘍性大腸炎、クローン病のような炎症性腸疾患に特に適していることが発見されている。座瘡、脱毛症、高血圧は、本発明の化合物で治療し得る他の状態である。
【0012】
上の化合物I、特にIaは、比較的高い細胞分化活性と、転写を促進することによっても特徴づけられる。従って、これらの化合物は、乾癬を治療するため、または抗癌剤、特に、白血病、結腸癌、乳癌、皮膚癌、前立腺癌の抗癌剤として治療薬剤も提供する。それに加えて、これらが比較的高い細胞分化活性を有するため、これらの化合物は、しわ、十分な皮膚の水分が失われること、すなわち、乾燥肌、十分な皮膚の堅さが失われること、すなわち、皮膚のたるみ、不十分な皮脂分泌を含む種々の皮膚の状態を治療するための治療薬剤を提供する。従って、これらの化合部物の使用は、皮膚を保湿するだけではなく、皮膚の障壁機能も高める。
【0013】
式I、特に式Iaの化合物は、肥満を予防するか、または治療し、脂肪細胞の分化を阻害し、SCD−1遺伝子の転写を阻害し、及び/又は、動物対象の体脂肪を減らすことにも有用である。従って、ある実施形態では、肥満を予防するか、または治療する方法、脂肪細胞の分化を阻害する方法、SCD−1遺伝子の転写を阻害する方法、及び/又は動物対象の体脂肪を減らす方法は、動物対象に、式Iの1つ以上の化合物、または式Iの1つ以上の化合物を含む医薬組成物を有効な量投与することを含む。1つ以上の化合物または医薬組成物を対象に投与すると、脂肪細胞の分化を阻害し、遺伝子の転写を阻害し、及び/又は動物対象において体脂肪を減らす。
【0014】
上述の1つ以上の化合物は、上述の疾患および障害を治療するために、組成物の約0.01μg/g〜約1000μg/gの量で、好ましくは、組成物の約0.1μg/g〜約500μg/gの量で組成物中に存在してもよく、約0.01μg/日〜約1000μg/日、好ましくは、約0.1μg/日〜約500μg/日の容量で、局所投与、経皮投与、経口投与、直腸投与、経鼻投与、舌下投与または非経口投与されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図面において、図1〜5は、以下、「1,25(OH)」と称する天然のホルモンである1α,25−ジヒドロキシビタミンDと比較した、以下「SOR−1」と称する2−メチレン−19,26−ジノル−(20S,22E,25R)−1α,25−ジヒドロキシビタミンDの種々の生物学的活性を示す。
【図1】図1は、全長組み換えラットビタミンD受容体に対する結合について、[H]−1,25−(OH)−Dと競合する、SOR−1および1,25(OH)の相対活性を示すグラフである。
【図2】図2は、SOR−1および1,25(OH)の濃度の関数として、HL−60細胞分化の割合(%)を示すグラフである。
【図3】図3は、1,25(OH)のin vitroでの転写活性をSOR−1と比較して示すグラフである。
【図4】図4は、動物の一群において、1,25(OH)が、骨のカルシウムを動員する活性をSOR−1と比較して示すグラフである。
【図5】図5は、動物の一群において、1,25(OH)が、腸のカルシウムを移動させる活性をSOR−1と比較して示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
炭素2(C−2)にメチレン置換基が存在し、側鎖の25−位(C−25)に接続したヒドロキシル置換基を有し、通常は側鎖の26位(C−26)に位置しているメチル基が、水素原子と置き換わっており、二重結合が、側鎖の炭素原子22と23(C−22とC−23)の間に位置する19−ノルビタミンD類似物質である、2−メチレン−19,26−ジノル−(20S,22E,25R)−1α,25−ジヒドロキシビタミンD(本明細書では「SOR−1」と称する)が合成され、試験された。C−2位置にある比較的小さなメチレン基は、ビタミンD受容体への結合を妨害しないはずであるため、このようなビタミンD類似物質は、興味深い標的であると思われる。構造的に、この19−ノル類似物質は、本明細書ですでに示された一般式Iaによって特徴づけられ、そのプロドラッグ(保護されたヒドロキシ形態)は、本明細書ですでに示された一般式Iによって特徴づけられる。
【0017】
構造Iを有する2−メチレン−19,26−ジノル−(20S,22E,25R)−ビタミンD類似物質の調製は、通常の一般的な方法によって行うことができ、すなわち、Windaus−Grundmann型の二環式ケトンIIをアリルホスフィンオキシドIIIと縮合させて、対応する2−メチレン−19−ノル−ビタミンD類似物質IVにした後、後者の化合物のC−1、C−3、C−25で脱保護する(本明細書のスキームI、II、III、IVを参照)。
【化3】


構造II、III、IVにおいて、X基、X基、X基は、ヒドロキシ保護基であり、好ましくは、t−ブチルジメチルシリルであり、縮合反応に感受性であるか、または縮合反応を妨害するであろう任意の官能基は、当該技術分野で十分に知られているように適切に保護されることも理解される。上に示されるプロセスは、収束型合成の概念の適用をあらわしており、ビタミンD化合物を調製するのに有効に適用されている[例えば、Lythgoe et al.、J.Chem.Soc.Perkin Trans.I、590(1978);Lythgoe、Chem.Soc.Rev.9、449(1983);Toh et al.、J.Org.Chem.48、1414(1983);Baggiolini et al.、J.Org.Chem.51、3098(1986);Sardina et al.、J.Org.Chem.51、1264(1986);J.Org.Chem.51、1269(1986);DeLuca et al.、米国特許第5,086,191;DeLuca et al.、米国特許第5,536,713号]。
【0018】
一般構造IIのヒドリンダノンは既知ではない。これは、本明細書のスキームI、II、III、IVに示されている方法によって調製することができる(化合物RR−22の調製を参照)。
【0019】
一般構造IIIの必要なホスフィンオキシドを調製するために、Perlman et al.、Tetrahedron Lett.32、7663(1991)、DeLuca et al.、米国特許第5,086,191に記載されているように、市販の(1R,3R,4S,5R)−(−)−キナ酸から容易に得られるメチルキニケート(methyl quinicate)誘導体から出発する合成経路が開発されている。
【0020】
化合物IおよびIaの全体的な合成プロセスは、「2−Alkylidene−19−Nor−Vitamin D Compounds」という名称の米国特許第5,843,928号に示され、もっと完全に記載されており、この明細書は、特に、参照により組み込まれる。
【0021】
この記載および特許請求の範囲で使用される場合、用語「ヒドロキシ保護基」は、ヒドロキシ官能基を一時的に保護するために一般的に使用される任意の基を示し、例えば、アルコキシカルボニル基、アシル基、アルキルシリル基又はアルキルアリールシリル基(以下、単に「シリル」基と称する)及びアルコキシアルキル基を意味する。アルコキシカルボニル保護基は、アルキル−O−CO−群であり、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルまたはアリルオキシカルボニルである。用語「アシル」は、すべての異性体形態での1〜6個の炭素を有するアルカノイル基、または1〜6個の炭素を有するカルボキシアルカノイル基、例えば、オキサリル基、マロニル基、スクシニル基、グルタリル基、または、芳香族アシル基、例えば、ベンゾイル基、またはハロ基、ニトロ基またはアルキル置換されたベンゾイル基を意味する。用語「アルキル」は、この記載および特許請求の範囲で使用される場合、すべての異性体形態での1〜10個の炭素を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基を意味する。アルコキシアルキル保護基は、メトキシメチル、エトキシメチル、メトキシエトキシメチル、またはテトラヒドロフラニルおよびテトラヒドロピラニルのような群である。好ましいシリル保護基は、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、ジブチルメチルシリル、ジフェニルメチルシリル、フェニルジメチルシリル、ジフェニル−t−ブチルシリル、および類似するアルキル化シリル基である。用語「アリール」は、フェニル置換されたフェニル基、またはアルキル置換されたフェニル基、ニトロ置換されたフェニル基、またはハロ置換されたフェニル基を表す。
【0022】
「保護されたヒドロキシ」基は、ヒドロキシ官能基を一時的または永久的に保護するために一般的に使用される、例えば、すでに定義された、シリル基、アルコキシアルキル基、アシル基またはアルコキシカルボニル基のような、上述のいずれかの基によって誘導体化されたか、または保護されたヒドロキシ基である。用語「ヒドロキシアルキル」「重水素アルキル(deuteroalkyl)」、「フルオロアルキル」は、それぞれ、1個以上のヒドロキシ基、重水素、またはフルオロ基で置換されたアルキル基を指す。
【0023】
さらに特定的には、以下の実例となる例および記載、並びに化合物SOR−1を調製する詳細な実例のための本明細書のスキームI、II、III、IVに対して、参照がなされるべきである。
【0024】
この例では、アラビア数字(1、2、3)によって特定される特定の生成物は、スキームI、II、III、IVで特定される特定の構造を指す。
【実施例】
【0025】
化学。紫外線(UV)吸収スペクトルは、記載した溶媒中、Hitachi Model 60−100 UV−vis分光計で記録された。H核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、Bruker AM−500 FT分光計を用い、重水素クロロホルム中、500MHzで報告された。化学シフト(δ)は、内部MeSi(δ0.00)からの低磁場で報告される。マススペクトルは、Kratos DS−50 TC装置に、Kratos MS−55データシステムを取り付け、70eVで報告された。試料を、直接挿入プローブを介し、120〜250℃に維持されているイオン源に導入した。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は、Waters Associates液体クロマトグラフをModel 6000A 溶媒送達システム、Model 6 UK Universalインジェクタ、Model 486の調整可能な吸光度検出器、R 401型示差屈折計を取り付けて行った。
【0026】
(実施例1)
【0027】
(3R)−1−p−トルエンスルホニルオキシ−3−トリエチルシリルオキシ−ブタン(2)の調製
(R)−(−)−1,3−ブタンジオール1(1g、11.1mmol)、DMAP(30mg、0.25mmol)、EtN(4.6mL、3.33g、33mmol)の無水塩化メチレン(20mL)溶液を撹拌し、これに、p−トルエンスルホニルクロリド(2.54g、13.3mmol)を0℃で添加した。この反応混合物を、4℃で22時間撹拌した。塩化メチレンを添加し、混合物を水で洗浄し、乾燥し(NaSO)、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーによってヘキサン/酢酸エチル(8:2、次いで1:1)で精製して、トシレートを無色油状物として得た(2.17g、収率80%)。
【0028】
上述のトシレート(2.17g、8.9mmol)および2,6−ルチジン(1.14mL、1.05g、9.8mmol)の無水塩化メチレン(15mL)溶液を撹拌し、これに、トリエチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(2mL、2.35g、8.9mmol)を−50℃で添加した。反応混合物を、室温まで加温し(4時間)、撹拌をさらに20時間続けた。塩化メチレンを添加し、混合物を水で洗浄し、乾燥し(NaSO)、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーによってヘキサン/酢酸エチル(97:3)で精製し、生成物2を無色油状物として得た(3.16g、収率99%)。
【0029】
[α]−20.7(c 1.62,CHCl);H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.77(2H,d,J=8.2Hz,o−HTs),7.33(2H,d,J=8.2Hz,m−HTs),4.10(2H,t,J=6.1Hz,1−H),3.90(1H,m,3−H),2.43(3H,s,MeTs),1.72(2H,m,2−H),1.10(3H,d,J=6.2Hz,4−H),0.88(9H,t,J=7.9Hz,3xSiCHCH),0.50(6H,q,J=7.9Hz,3xSiCHCH);13C NMR(100MHz)δ 144.62(s,p−CTs),133.02(s,i−CTs),129.72(d,m−CTs),127.82(d,o−CTs),67.78(t,C−1),64.45(d,C−3),38.46(t,C−2),23.81(q,C−4),21.51(q,MeTs),6.71(q,SiCHCH),4.76(t,SiCHCH);MS(EI)m/z 359(0.5,MH),329(59,M−C),285(24),258(71),229(22),212(14),199(12),159(28),145(45),115(72),91(100);C1525SSiとして算出した正確な質量(M−C)329.1243、実測値329.1248。
【0030】
(3R)−1−ヨード−3−トリエチルシリルオキシ−ブタン(3)の調製
【0031】
トシレート2(3.15g、8.8mmol)の無水アセトン(50mL)溶液を撹拌し、これに、ヨウ化カリウム(8g、48mmol)を添加し、反応混合物を10時間還流した。水(30mL)を添加し、溶液を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相を乾燥し(NaSO)、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーによってヘキサン/酢酸エチル(97:3)で精製して、アルコール3を無色油状物として得た(2.6g、収率94%)。
【0032】
[α]−39.5(c 1.75,CHCl);H NMR(400MHz,CDCl)δ 3.89(1H,m,3−H),3.22(2H,t,J=7.0Hz,1−H),1.91(2H,m,2−H),1.16(3H,d,J=6.1Hz,4−H),0.96(9H,t,J=7.9Hz,3 x SiCHCH),0.61(6H,q,J=7.9Hz,3 x SiCHCH);13C NMR(100MHz)δ 68.14(d,C−3),43.24(t,C−2),23.46(q,C−4),6.87(q,SiCHCH),5.00(t,SiCHCH),3.37(t,C−1);MS(EI)m/z 314(1,M),299(3,M−CH),285(100,M−C),257(78,M−C),228(56),212(99),184(65),157(70),129(46),115(46);C18OISiとして算出した正確な質量(M−C)285.0172,実測値285.0167。
【0033】
(3R)−ヒドロキシブチル−トリフェニルホスホニウムヨージド(4)の調製
【0034】
ヨウ化物3(1.24g、3.9mmol)のアセトニトリル(50mL)溶液を撹拌し、これに、トリフェニルホスフィン(3.1g、11.8mmol)を添加し、反応混合物を2日間還流した。アセトニトリルを減圧下で蒸発させ、酢酸エチル(50mL)を添加し、混合物を室温で4時間撹拌した。濾過によって溶媒を除去した後、固体を酢酸エチルで洗浄し、濾別し、乾燥した。純粋なホスホニウム塩4(1.74g、収率96%)を白色結晶として得た。
【0035】
H NMR(400MHz,CDOD)δ 8.00−7.70(15H,m,HPh),3.89(1H,m,3−H),3.48(2H,m,1−H),1.73(2H,m,2−H),1.19(3H,d,J=6.2Hz,4−H);13C NMR(100MHz)δ 136.41(d,p−CPh),134.99(d,JC−P=10.1Hz,m−CPh),131.70(d,JC−P=12.1Hz,o−CPh),120.03(s,JC−P=86.5Hz,i−CPh),67.94(d,JC−P=17.1Hz,C−3),32.52(t,JC−P=4.0Hz,C−2),23.38(q,C−4),19.85(t,JC−P=54.3Hz,C−1);C2224OPIとして算出した正確な質量(M)335.1565,実測値335.1562。
【0036】
(8S,20S)−デス−A,B−20−(ヒドロキシメチル)プレグナン−8−オール(5)の調製
【0037】
メタノール(250mL)及びピリジン(2.44g、2.5mL、31mmol)中のビタミンD2(3g、7.6mmol)溶液に、−78℃で50分間、オゾンを通気した。次いで、反応混合物に、15分間酸素を流し、残留オゾンがを除去し、この溶液をNaBH(0.75g、20mmol)で処理した。20分後、第2の量のNaBH(0.75g、20mmol)を添加し、混合物を室温まで加温した。次いで、第3の量のNaBH(0.75g、20mmol)を添加し、反応混合物を18時間撹拌した。反応物を水(40mL)でクエンチし、溶液を減圧下で濃縮した。残渣を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機相を、1M HCl水溶液、飽和NaHCO水溶液で洗浄し、乾燥し(NaSO)、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーによってヘキサン/酢酸エチル(75:25)で精製し、ジオール5を白色結晶として得た(1.21g、収率75%)。
【0038】
m.p.106〜108℃;[α]+30.2°(c 1.46,CHCl);H NMR(400MHz,CDCl)δ 4.08(1H,d,J=2.0Hz,8α−H),3.63(1H,dd,J=10.5,3.1Hz,22−H),3.38(1H,dd,J=10.5,6.8Hz,22−H),1.99(1H,br.d,J=13.2Hz),1.03(3H,d,J=6.6Hz,21−H3),0.956(3H,s,18−H);13C NMR(100MHz)δ 69.16(d,C−8),67.74(t,C−22),52.90(d),52.33(d),41.83(s,C−13),40.19(t),38.20(d),33.53(t),26.62(t),22.54(t),17.36(t),16.59(q,C−21),13.54(q,C−18);MS(EI)m/z 212(2,M),194(34,M−HO),179(33,M−HO−CH),163(18,M−CHOH−HO),135(36),125(54),111(100),95(63),81(67);C1322Oとして算出した正確な質量(M−HO)194.1671,実測値194.1665。
【0039】
(8S,20S)−デス−A,B−8−ベンゾイルオキシ−20−(ヒドロキシメチル)プレグナン(6)の調製
【0040】
ジオール5(0.6g、2.8mmol)及びDMAP(15mg、0.1mmol)の無水ピリジン(10mL)溶液に、0℃で、塩化ベンゾイル(1.2g、1mL、8.5mmol)を添加した。反応混合物を4℃で24時間撹拌し、塩化メチレン(100mL)で希釈し、5% HCl水溶液、水、飽和NaHCO水溶液で洗浄し、乾燥し(NaSO)、減圧下で濃縮した。残渣(1.65g)を、室温で、KOH(1g,15.5mmol)の無水エタノール(30mL)溶液で処理した。この反応混合物を3時間撹拌した後、pH=6になるまで、氷および5% HCl水溶液を添加した。この溶液を、酢酸エチルで抽出し(50mL×3回)、合わせた有機相を、飽和NaHCO水溶液で洗浄し、乾燥し(NaSO)、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーによってヘキサン/酢酸エチル(75:25)で精製して、アルコール6を無色油状物として得た(0.78g、収率88%)。
【0041】
[α]+56.0(c 0.48,CHCl);H NMR(400MHz,CDCl+TMS)δ 8.08−8.02(2H,m,o−HBz),7.59−7.53(1H,m,p−HBz),7.50−7.40(2H,m,m−HBz),5.42(1H,d,J=2.4Hz,8α−H),3.65(1H,dd,J=10.5,3.2Hz,22−H),3.39(1H,dd,J=10.5,6.8Hz,22−H),1.08(3H,d,J=5.3Hz,21−H3),1.07(3H,s,18−H3);13C NMR(125MHz)δ 166.70(s,C=O),132.93(d,p−CBz),130.04(s,i−CBz),129.75(d,o−CBz),128.57(d,m−CBz),72.27(d,C−8),67.95(t,C−22),52.96(d),51.60(d),42.15(s,C−13),39.98(t),38.61(d),30.73(t),26.81(t),22.91(t),18.20(t),16.87(q,C−21),13.81(q,C−18); MS(EI)m/z 316(5,M+),301(3,M+−Me),299(1,M+−OH),298(2,M+−H2O),285(10,M+−CH2OH),257(6),230(9),194(80),135(84),105(100);C2028として算出した正確な質量316.2038,実測値316.2019。
【0042】
(8S,20S)−デス−A,B−8−ベンゾイルオキシ−20−ホルミルプレグナン(7)の調製
【0043】
無水塩化メチレン(5mL)及び無水DMSO(1mL)中のアルコール6(320mg、1.01mmol)、トリエチルアミン(0.70mL、0.51g、5.05mmol)溶液に、0℃で三酸化硫黄ピリジン錯体(0.97g、6.1mmol)を添加した。反応混合物を、アルゴン下、0℃で1時間撹拌し、次いで、濃縮した。残渣を酢酸エチルで希釈し、ブラインで洗浄し、乾燥し(NaSO)、濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーによってヘキサン/酢酸エチル(95:5)で精製して、アルデヒド7を油状物として得た(251mg、収率79%)。
【0044】
H NMR(400MHz,CDCl+TMS)δ 9.60(1H,d,J=3.1Hz,CHO),8.05(2H,m,o−HBz),7.57(1H,m,p−HBz),7.45(2H,m,m−HBz),5.44(1H,s,8α−H),2.39(1H,m,20−H),2.03(2H,dm,J=11.5Hz),1.15(3H,d,J=6.9Hz,21−H),1.10(3H,s,18−H);13C NMR(100MHz)δ 204.78(d,CHO),166.70(s,C=O),132.78(d,p−Bz),130.69(s,i−Bz),129.50(d,o−Bz),128.38,(d,m−Bz),71.66(d,C−8),51.30(d),50.95(d),49.20(d),42.38(s,C−13),39.62(t),30.47(t),25.99(t),22.92(t),17.92(t),13.90(q),13.35(q);MS(EI)m/z 314(1,M+),299(0.5,M+−Me),286(1,M+−CO),285(5,M+−CHO),257(1,M+−CO),209(10,M+−PhCO),192(38),134(60),105(100),77(50);C2026として算出した正確な質量314.1882,実測値314.1887。
【0045】
(8S,20R)−デス−A,B−8−ベンゾイルオキシ−20−(ヒドロキシメチル)プレグナン(8)の調製
【0046】
アルデヒド7(182mg、0.6mmol)を塩化メチレン(10mL)に溶解し、40% n−BuNOH水溶液(0.73mL、0.72g、1.12mmol)を添加した。得られた混合物を、アルゴン下、室温で16時間撹拌し、塩化メチレン(15mL)で希釈し、水で洗浄し、乾燥し(NaSO)、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーによってヘキサン/酢酸エチル(95:5)で精製して、アルデヒド7及び20−エピマーの混合物(146mg、収率80%)を比率約1:2で得た(H NMRによる)。
【0047】
このアルデヒド混合物(146mg、0.45mmol)を、THF(5mL)に溶解し、NaBH(32mg、0.85mmol)を添加し、次いで、エタノール(5mL)を滴下した。反応混合物を室温で30分間撹拌し、飽和NHCl水溶液でクエンチした。混合物をエーテルで抽出し(20mL×3回)、合わせた有機相を水で洗浄し、乾燥し(NaSO)減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーによってヘキサン/酢酸エチル(96:4→80:20)で精製して、所望の純粋な(20R)−アルコール8(80mg、収率55%)を油状物として得て、8とその20−エピマーとの混合物6(63mg、収率43%)を比率約1:3で得た(H NMRによる)。
【0048】
[α]+50.1(c 1.09,CHCl);H NMR(400MHz,CDCl+TMS)δ 8.05(2H,m,o−HBz),7.55(1H,m,p−HBz),7.44(2H,m,m−HBz),5.41(1H,s,8α−H),3.77(1H,dd,J=10.4,3.3Hz,22−H),3.45(1H,dd,J=10.4,7.4Hz,22−H),1.067(3H,s,18−H3),0.973(3H,d,J=6.6Hz,21−H3);13C NMR(100MHz)δ 166.36(s,C=O),132.61(d,p−CBz),130.63(s,i−CBz),129.39(d,o−CBz),128.23(d,m−CBz),71.97(d,C−8),66.42(t,C−22),52.65(d),51.38(d),41.58(s,C−13),39.16(t),37.45(d),30.38(t),26.29(t),22.35(t),17.89(t),16.42(q,C−21),13.78(q,C−18);MS(EI)m/z 316(16,M+),301(5,M+−Me),299(2,M+−OH),298(3,M+−H2O),285(9,M+−CH2OH),257(5),242(11),230(8),194(60),147(71),105(100);C2028として算出した正確な質量316.2038,実測値316.2050。
【0049】
(8S,20R)−デス−A,B−8−ベンゾイルオキシ−20−ホルミルプレグナン(9)の調製
【0050】
無水塩化メチレン(5mL)及び無水DMSO(1mL)中のアルコール8(40mg、0.13mmol)、トリエチルアミン(88μL、64mg、0.6mmol)溶液に、0℃で三酸化硫黄ピリジン錯体(122mg、0.77mmol)を添加した。反応混合物を、アルゴン下、0℃で1時間撹拌し、次いで、濃縮した。残渣を酢酸エチルで希釈し、ブラインで洗浄し、乾燥し(NaSO)、濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーによってヘキサン/酢酸エチル(95:5)で精製して、アルデヒド9(30mg、収率76%)を油状物として得た。
【0051】
[α]+28.8(c 0.88,CHCl);H NMR(500MHz,CDCl)δ 9.55(1H,d,J=5.0Hz,CHO),8.02(2H,m,o−HBz),7.54(1H,m,p−HBz),7.43(2H,m,m−HBz),5.42(1H,s,8α−H),2.35(1H,m,20−H),2.07(1H,m),1.87(1H,m),1.05(3H,s,18−H),1.04(3H,d,J=7.8Hz,21−H);13C NMR(125MHz)δ 205.51(d,CHO),166.34(s,C=O),132.76(d,p−CBz),130.62(s,i−CBz),129.47(d,o−CBz),128.35,(d,m−CBz),71.52(d,C−8),52.08(d),51.08(d),48.40(d),41.55(s,C−13),38.54(t),30.41(t),25.28(t),22.08(t),17.68(t),14.49(q),13.38(q); MS(EI)m/z 314(2,M+),285(3,M+−CHO),209(8,M+−PhCO),192(30,M+−PhCOOH),177(14),134(45),105(100),77(50);C1925として算出した正確な質量(M−CHO)285.1855,実測値285.1849。
【0052】
(8S,20S)−デス−A,B−8−ベンゾイルオキシ−20−[(4R)−ヒドロキシ−ペンタ−(1E)−en−yl]プレグナン(10)の調製
【0053】
ホスホニウム塩4(97mg、0.29mmol)の無水THF(5mL)懸濁物を撹拌し、これに、−20℃で、ブチルリチウム(1.6M,317μL、0.50mmol)を添加した。溶液は深い橙色に変わった。1時間後、あらかじめ冷却しておいた(−20℃)アルデヒド9(30mg、96μmol)の無水THF(2mL)溶液を添加し、反応混合物を、−20℃で3時間撹拌し、室温で18時間撹拌した。反応を水でクエンチし、混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、乾燥し(NaSO)、蒸発させた。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーによってヘキサン/酢酸エチル(95:5)で精製して、生成物10を得た(22mg、収率61%)。
【0054】
[α]−28.8(c 0.8,CHCl);H NMR(400MHz,CDCl)δ 8.05(2H,m,o−HBz),7.55(1H,m,p−HBz),7.44(2H,m,m−HBz),5.41(1H,s,8α−H),5.50−5.30(2H,m,22−H及び23−H),3.84(1H,m,25−H),1.20(3H,d,J=6.2Hz,27−H),1.04(3H,s,18−H),0.93(3H,d,J=6.6Hz,21−H);13C NMR(100MHz)δ 166.45(s,C=O),140.74(d,C−22),132.67(d,p−CBz),130.86(s,i−CBz),129.53(d,o−CBz),128.32(d,m−CBz),123.33(d,C−23),72.08(d,C−8),67.70(d,C−25),56.33(d),51.48(d),42.46(t),41.94(s,C−13),40.16(d),39.48(t),30.60(t),26.86(t),22.74(q,C−27),22.50(t),21.46(q,C−21),17.81(t),13.89(q,C−18);MS(EI)m/z 370(8,M),355(1,M−CH),326(2,M−CO),284(12,M−C10O),265(2,M−PhCO),248(28,M−PhCOOH),230(9),204(14),189(10),162(63),135(71),105(100);C2434Naとして算出した正確な質量(MNa)393.2406,実測値393.2407。
【0055】
(8S,20S)−デス−A,B−8−ベンゾイルオキシ−20−[(4R)−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−ペンタ−(1E)−エニル]プレグナン(11)の調製
【0056】
アルコール10(22mg、59μmol)及び2,6−ルチジン(30μL、27mg、0.26mmol)の無水塩化メチレン(3mL)溶液に、−20℃で、tert−ブチルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(29μL、34mg、0.13mmol)を添加した。この混合物を、アルゴン下、0℃で1時間撹拌した。反応を水でクエンチし、塩化メチレンで抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、乾燥し(NaSO)減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーによって、ヘキサン、次いでヘキサン/酢酸エチル(97:3)で精製して、生成物11を得た(24mg、84%)。
【0057】
H NMR(400MHz,CDCl+TMS)δ 8.05(2H,m,o−HBz),7.54(1H,m,p−HBz),7.42(2H,m,m−HBz),5.41(1H,s,8α−H),5.40−5.20(2H,m,22−H及び23−H),3.78(1H,m,25−H),1.11(3H,d,J=6.0Hz,27−H),1.02(3H,s,18−H),0.88(9H,s,Si−t−Bu),0.82(3H,d,J=6.5Hz,21−H),0.04(6H,s,SiMe);13C NMR(100MHz)δ 166.52,138.87,132.66,130.90,129.55,128.33,124.17,72.15,68.74,56.38,52.18,42.89,41.88,40.08,34.86,30.61,26.98,25.80,23.67,22.68,18.61,18.48,18.03,13.78,−4.47,−4.75;C3048SiNaとして算出した正確な質量(MNa)507.3267,実測値507.3254。
【0058】
(8S,20S)−デス−A,B−20−[(4R)−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−ペンタ−(1E)−エニル]プレグナン−8−オール(12)の調製
【0059】
ベンゾエート11(24mg、48μmol)の無水エタノール(5mL)溶液を撹拌し、これに、水酸化ナトリウムのエタノール(2.5M、2mL)溶液を添加し、反応混合物を18時間還流した。この混合物を室温まで冷却し、5%HCl水溶液で中和し、ジクロロメタンで抽出した。合わせた有機相を飽和NaHCO水溶液で洗浄し、乾燥し(NaSO)、蒸発させた。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーによってヘキサン/酢酸エチル(95:5)で精製して、アルコール12を得た(12mg、収率65%)。
【0060】
H NMR(400MHz,CDCl)δ 5.40−5.25(2H,m,22−H及び23−H),4.02(1H,d,J=1.8Hz,8α−H),3.73(1H,m,25−H),1.11(3H,d,J=6.1Hz,27−H),0.92(3H,s,18−H),0.88(9H,s,Si−t−Bu),0.81(3H,d,J=6.6Hz,21−H),0.04(6H,s,SiMe);13C NMR(100MHz)δ 138.87,124.15,69.45,68.94,56.43,52.66,42.89,41.68,40.08,39.63,33.54,27.60,25.80,23.24,22.48,18.78,18.16,17.43,13.68,−4.39,−4.69。
【0061】
(20S)−デス−A,B−20−[(4R)−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−ペンチル]プレグナン−8−オン(13)の調製
【0062】
アルコール12(10mg、26μmol)及びピリジニウム p−トルエンスルホネート(2mg、8μmol)の無水塩化メチレン(5mL)溶液に、二クロム酸ピリジニウム(51mg、138μmol)を添加した。得られた懸濁物を室温で3時間撹拌した。反応混合物をWaters silica Sep−Pakカートリッジ(5g)で濾過し、さらに、ヘキサン/酢酸エチル(8:2)で洗浄した。溶媒を除去した後、ケトン13(6.7mg、収率67%)を無色油状物として得た。
【0063】
H NMR(400MHz,CDCl)δ 5.35−5.22(2H,m,22−H及び23−H),3.74(1H,m,25−H),2.41(1H,dd,J=11.5,7.6Hz),1.13(3H,d,J=6.1Hz,27−H),0.89(9H,s,Si−t−Bu),0.84(3H,d,J=5.9Hz,21−H),0.63(3H,s,18−H),0.053(6H,s,SiMe);13C NMR(100MHz)δ 212.13,139.12,124.44,68.66,62.22,56.49,50.04,42.66,41.05,40.18,33.85,27.13,25.89,24.03,23.78,21.61,18.93,18.16,12.70,−4.38,−4.70;C2342SiNaとして算出した正確な質量(MNa)401.2852,実測値401.2848。
【0064】
(20S,25R)−2−メチレン−19,26−ジノル−22−(E)−エン−1α,25−ジヒドロキシビタミンD(15)の調製
【0065】
ホスフィンオキシド14(25mg、43μmol)の無水THF(400μL)溶液に、−20℃で、アルゴン下、撹拌しながら、PhLi(ジ−n−ブチルエーテル中1.8M、34μL、61μmol)をゆっくりと添加した。溶液は深い橙色に変わった。30分後、混合物を−78℃まで冷却し、あらかじめ冷却しておいた(−78℃)ケトン13(6.5mg、17μmol)の無水THF(200+100μL)溶液をゆっくりと添加した。この混合物を、アルゴン下、−78℃で3時間撹拌し、0℃で18時間撹拌した。酢酸エチルを添加し、有機相をブラインで洗浄し、乾燥し(NaSO)、蒸発させた。残渣をヘキサンに溶解し、Waters silica Sep−Pakカートリッジ(2g)で濾過した。このカートリッジを、ヘキサン、ヘキサン/酢酸エチル(99.5:0.5)で洗浄し、19−ノルビタミン誘導体15を得た(6mg、収率48%)。次いで、このSep−Pakを酢酸エチルで洗浄し、ジフェニルホスフィンオキシド14(11mg)を回収した。分析目的で、保護されたビタミン15の試料を、HPLC(9.4×250mm Zorbax Silカラム、4mL/分、ヘキサン/2−プロパノール(99.9:0.1)溶媒系,R=3.70分)によってさらに精製した。
【0066】
UV(ヘキサン中)λmax 262.6,253.0,244.8nm;H NMR(600 MHz,CDCl)δ 6.22及び5.84(それぞれ1H,それぞれd,J=11.2Hz,6−H及び7−H),5.38−5.27(2H,m,22−H及び23−H),4.97及び4.91(それぞれ1H,それぞれs,=CH2),4.43(2H,m,1β−H及び3α−H),3.77(1H,m,25−H),2.83(1H,dm,J=12.6Hz,9β−H),2.52(1H,dd,J=13.2,6.0Hz,10α−H),2.46(1H,dd,J=12.6,4.5Hz,4α−H),2.33(1H,dd,J=13.2,2.9Hz,10β−H),2.18(1H,dd,J=12.6,8.3Hz,4β−H),1.12(3H,d,J=6.0Hz,27−H),0.898(9H,s,Si−t−Bu),0.892(9H,s,Si−t−Bu),0.867(9H,s,Si−t−Bu),0.84(3H,d,J=6.5Hz,21−H),0.54(3H,s,18−H),0.082(3H,s,SiMe),0.067(3H,s,SiMe),0.052(9H,s,3 x SiMe),0.027(3H,s,SiMe);13C NMR(125MHz)δ 152.98,141.22,138.98,132.74,124.74,122.40,116.11,106.25,72.53,71.65,68.74,56.62,56.19,47.61,45.67,38.57,36.13,35.92,28.76,27.37,26.13,25.84,25.78,23.67,23.45,22.32,20.80,18.76,18.25,18.17,12.23,−4.38,−4.71,−4.87,−5.09;C4482SiNaとして算出した正確な質量(MNa+)765.5468,実測値765.5461。
【0067】
保護されたビタミン15(4.5mg、6.0μmol)を、THF(2mL)及びアセトニトリル(2mL)に溶解した。48% HF水のアセトニトリル溶液(比率1:9、2mL)を0℃で添加し、得られた混合物を室温で6時間撹拌した。飽和NaHCO水溶液を添加し、反応混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、乾燥し(NaSO)減圧下で濃縮した。残渣を、ヘキサン/酢酸エチル(8:2)2mLで希釈し、Waters silica Sep−Pakカートリッジ(2g)で濾過した。ヘキサン/酢酸エチル(8:2)で溶出し、次いで酢酸エチルで溶出し、粗生成物16(2mg)を得た。ビタミン16を、逆相HPLC[9.4×250mm Zorbax Eclipse XDB−C18カラム、3mL/分、メタノール/水(85:15)溶媒系、R=11.76分]でさらに精製して、無色油状物を得た(1.0mg、収率43%)。
【0068】
UV(EtOH中)λmax 262.1,252.6,244.1nm;H NMR(900MHz,CDCl)δ 6.28及び5.81(それぞれ1H,それぞれd,J=11.7Hz,6−H及び7−H),5.38−5.25(2H,m,22−H及び23−H),5.04及び5.02(それぞれ1H,それぞれs,=CH2),4.40(2H,m,1β−H及び3α−H),3.76(1H,m,25−H),2.78(1H,dd,J=13.5,4.5Hz,10βH),2.73(1H,brd,J=13.5Hz,9β−H),2.51(1H,dd,J=13.5,4.5Hz,4α−H),2.27(1H,dd,J=13.5,6.3Hz,4β−H),2.22(1H,dd,J=12.6,8.1Hz,10α−H),1.11(3H,d,J=6.3Hz,27−H),0.87(3H,d,J=6.3Hz,21−H),0.45(3H,s,18−H);C2640Naとして算出した正確な質量(MNa)423.2875,実測値423.2881。
【化4】


【化5】

【化6】

【化7】

【0069】
(2−メチレン−19,26−ジノル−(20S,22E,25R)−ビタミンD類似物質の生物学的活性)
2−位にメチレン基、および側鎖の25−位(C−25)に接続したヒドロキシル置換基の導入、通常は側鎖の26位(C−26)に位置しているメチル基を、側鎖の25位にある炭素原子に結合した水素原子と置き換えること、および側鎖の炭素原子22と23(C−22とC−23)の間の位置への二重結合の導入は、1α,25−ジヒドロキシビタミンDと比較して、全長組み換えラットビタミンD受容体に対するSOR−1の結合にほとんど影響を及ぼさなかった。化合物SOR−1は、標準物質1,25−(OH)と比較して、核内ビタミンD受容体に対してほとんど同じ親和性で結合した(図1)。これらの結果から、化合物SOR−1は、同等の生体活性を有するであろうと予想され得る。しかし、驚くべきことに、化合物SOR−1は、固有の生体活性を有し、きわめて選択的な類似物質である。
【0070】
図5は、SOR−1が、in vivoで腸のカルシウムを移動させる活性を上昇させる能力が相対的に低いことを示す。SOR−1は、天然ホルモンである1,25−ジヒドロキシビタミンD(1,25(OH))の効能と比較して、腸のカルシウム移動の刺激について、特に、推奨されている低い用量では、in vivoでの効能が明らかに低い。
【0071】
図4は、SOR−1が、1,25(OH)と比較して、骨のカルシウムを動員する活性が、それがあったとしても、きわめて低いことを示す。SOR−1は、1,25(OH)の用量の約3倍というきわめて高い用量の場合でも、骨のカルシウムを移動させる活性を示さなかった(1,25(OH) 780pmol/日に対し、SOR−1 2,340pmol/日)。したがって、SOR−1は、試験したすべての用量で、1,25(OH)と比較して、骨からカルシウムを移動させる効能は明らかに顕著に低い。
【0072】
したがって、図4および図5は、SOR−1が、腸のカルシウムを移動させる活性が低く、骨のカルシウムを動員する活性を実質的にもたないという特徴を有し得ることを示す。
【0073】
図2は、SOR−1が、HL−60細胞分化、すなわち、HL−60細胞を単球に分化させることに対し、1,25(OH)よりも約3倍以上強力であることを示す。したがって、SOR−1は、乾癬および癌の治療に対し、特に、白血病,結腸癌、乳癌、皮膚癌、前立腺癌に対し、優れた候補物質であろう。それに加えて、SOR−1が相対的に高い細胞分化活性を有するため、この化合物は、しわ、十分な皮膚の水分が失われること、すなわち、乾燥肌、十分な皮膚の堅さが失われること、すなわち、皮膚のたるみ、不十分な皮脂分泌を含む種々の皮膚の状態を治療するための治療薬剤を提供する。したがって、この化合物の使用は、皮膚を保湿するだけではなく、皮膚の障壁機能も高める。
【0074】
図3は、骨の細胞において、化合物SOR−1が、24−ヒドロキシラーゼ遺伝子の転写を高めることについて1,25(OH)よりも約3倍以上強力であることを示す。この結果を、図2の細胞分化活性とあわせると、SOR−1が、細胞分化、遺伝子転写を引き起こし、細胞成長を抑制するという直接的な細胞活性を有しているため、乾癬にきわめて有効である可能性を示唆している。また、これらのデータは、SOR−1が、抗癌剤として、特に、白血病、結腸癌、乳癌、皮膚癌、前立腺癌に対して顕著な活性を有する可能性を示している。
【0075】
HL−60分化に対し、SOR−1の活性が相対的に強いことは、SOR−1が、副甲状腺の成長を抑制し、プレプロ副甲状腺遺伝子を抑制する活性があることを示唆している。
【0076】
(実験法)
(ビタミンD受容体の結合)
(試験物質)
(タンパク質源)
全長組み換えラット受容体が、E.coli BL21(DE3)Codon Plus RIL細胞で発現され、2種類の異なるカラムクロマトグラフィーシステムを用いて均一になるように精製した。第1の系は、このタンパク質に対し、C−末端ヒスチジンタグを利用するニッケル親和性樹脂であった。この樹脂から溶出したタンパク質を、イオン交換クロマトグラフィー(S−Sepharose Fast Flow)を用いてさらに精製した。精製したタンパク質を等分し、液体窒素で迅速に凍結し、使用するまで−80℃で保存した。結合アッセイで使用するために、このタンパク質を、0.1% Chaps洗浄剤を含むTEDK50(50mM Tris、1.5mM EDTA、pH7.4、5mM DTT、150mM KCl)で希釈した。受容体タンパク質およびリガンド濃度は、受容体に結合する添加された放射能標識されたリガンドが20%を超えないように最適化された。
【0077】
(試験薬物)
標識されていないリガンドを、エタノールに溶解し、UV分光光度法を用いて濃度を決定した(1,25(OH):モル吸光係数=18,200およびλmax=265nm;類似物質:モル吸光係数=42,000およびλmax=252nm)。放射能標識されたリガンド(H−1,25(OH)、約159Ci/mmole)を、最終濃度が1nMになるようにエタノールに添加した。
【0078】
(アッセイ条件)
放射能標識されたリガンドおよび標識されていないリガンドを、最終エタノール濃度が10%以下になるように希釈したタンパク質100mclに添加し、混合して、結合を平衡状態にするため、氷上で一晩インキュベーションした。次の日に、ヒドロキシルアパタイトスラリー(50%)100mclをそれぞれの管に添加し、10分間隔で30分間混合した。ヒドロキシルアパタイトを、遠心分離によって収集し、次いで、0.5% Titron X−100を含有するTris−EDTAバッファ(50mM Tris、1.5mM EDTA、pH7.4)で3回洗浄した。最後の洗浄が終わったら、Biosafe IIシンチレーションカクテル4mlを含有するシンチレーションバイアルにペレットを移し、混合して、シンチレーションカウンターに置いた。放射能標識されたリガンドのみを含む管から、全結合を決定した。
【0079】
(HL−60の分化)
(試験物質)
(試験薬物)
試験薬物を、エタノールに溶解し、UV分光光度法を用いて濃度を決定した。細胞培養物中の最終エタノール濃度(≦0.2)を変えずに、さまざまな薬物濃度を試験することができるように、段階希釈物を調製した。
【0080】
(細胞)
ヒト前骨髄球性白血病(HL60)細胞を、10%胎児ウシ血清を含有するRPMI−1640培地で成長させた。この細胞を、5%CO存在下、37℃でインキュベーションした。
【0081】
(アッセイ条件)
HL60細胞を、1.2×10細胞/mlで播種した。播種してから18時間後、2ッ組の細胞を、薬物で処理した。4日後、細胞を採集し、ニトロブルーテトラゾリウム還元アッセイを行った(Collins et al.、1979;J.Exp.Med.149:969−974)。分化した細胞の割合は、合計200細胞を計数し、細胞内に黒〜青色のホルマザンの沈殿を含む数を記録することによって決定した。単球細胞への分化の検証を、食作用活性を測定することによって決定した(データは示されていない)。
【0082】
(in vitroでの転写アッセイ)
転写活性を、ルシフェラーゼレポーター遺伝子の上流の24−ヒドロキシラーゼ(24Ohase)遺伝子プロモーターで安定にトランスフェクトされたROS 17/2.8(骨)細胞で測定した(Arbour et al.、1998)。細胞に、さまざまな投与量を与えた。投与の16時間後、細胞を採集し、ルシフェラーゼ活性を、照度計を用いて測定した。
【0083】
RLU=相対ルシフェラーゼユニット
【0084】
(腸のカルシウム移動および骨のカルシウム動員)
雄の離乳期Sprague−Dawleyラットを、Diet 11(0.47% Ca)食餌+AEK油の状態に1週間置き、次いで、Diet 11(0.02% Ca)+AEK油の状態に3週間置いた。次いで、このラットを、0.47% Caを含む食餌に1週間変更し、次いで、0.02% Caを含有する食餌に2週間変更した。0.02% カルシウムの食餌の最後の週に、投与量の投与を開始した。約24時間の間隔をあけて、4回連続して腹腔内投与を行った。最後の投与から24時間後、切断された頸部から血液を採集し、血清カルシウム濃度を、骨のカルシウム動員の測定値として測定した。反転腸管法を用いて腸のカルシウム移動を分析するために、最初の腸10cmも採集した。
【0085】
(データの解釈)
生物学的知見のまとめ。この化合物SOR−1は、天然のホルモンよりもわずかに低い親和性でVDRに結合し、この活性において、1,25(OH)よりもわずかに効能が低いと考えることができる。また、SOR−1は、1,25(OH)と比較して、約3倍以上の細胞分化活性を示し、約3倍以上のin vitroでの遺伝子転写活性を示す。この化合物は、in vitroでは1,25(OH)よりも効能が強いが、天然ホルモンと比較して、in vivoでのカルシウム動員および腸では、より低い活性を示す。この化合物は、1,25(OH)が活性を示す投与量よりも約3倍以上多い投与量で、骨においてなんら活性を示さない。SOR−1は、骨の貯蔵庫からカルシウムを動員する効能は低く、腸管で活性なカルシウム移動を刺激する効能も低いが、細胞分化における効能は高く、すでに作られている化合物よりも安全性の範囲が大きい化合物をもたらすため、治療薬開発には潜在的に価値のある化合物である。この化合物は、比較的顕著な細胞分化および転写活性を示すが、カルシウム血症活性はほとんど有していないため、種々の自己免疫疾患、癌、腎性骨ジストロフィー、乾癬または他の皮膚疾患を患う患者を治療するのに有用であり得る。SOR−1は、上に列挙した疾患の治療に有用なだけではなく、上に列挙した疾患の予防にも有用であろう。
【0086】
(VDRへの結合、HL60細胞分化、および転写活性)
SOR−1(K=1x10−10M)は、全長組み換えラットビタミンD受容体に対する結合について、[H]−1,25−(OH)−Dと競合する能力に関し、天然ホルモンである1α,25−ジヒドロキシビタミンD(K=5x10−11M)よりもわずかに活性が低い(図1)。SOR−1は、1α,25−ジヒドロキシビタミンD(EC50=2x10−9M)と比較した場合、HL−60の細胞分化を促進する能力(有効性または効力)において、約3倍以上の活性を示す(EC50=9x10−10M)(図2を参照)。また、化合物SOR−1(EC50=8x10−11M)は、1α,25−ジヒドロキシビタミンD(EC50=2x10−10M)よりも、骨細胞における転写活性が約3倍以上である(図3を参照)。これらの結果は、SOR−1が、細胞分化、遺伝子転写を引き起こし、細胞成長を抑制するという直接的な細胞活性を有しているため、乾癬にきわめて有効である可能性を示唆している。また、これらのデータは、SOR−1が、抗癌剤として、特に、白血病、結腸癌、乳癌、皮膚癌、前立腺癌に対して顕著な活性を有する可能性を示しており、さらに、乾燥肌(皮膚の水分が失われること)、過度な皮膚のたるみ(不十分な皮膚の堅さ)、不十分な皮脂分泌、しわのような皮膚の状態に対して顕著な活性を有する可能性を示している。また、SOR−1は、二次的な副甲状腺機能亢進症を抑制することに非常に活性があると予想されるであろう。
【0087】
ビタミンD欠損動物における、骨からのカルシウム動員および腸のカルシウム吸収。低カルシウムの食餌(0.02%)を与えたビタミン欠損ラットを使い、腸および骨におけるSOR−1および1,25(OH)の活性を試験した。予想されたように、天然のホルモン(1,25(OH))は、すべての投与量で血清カルシウム濃度を増加させた(図4)。図4に報告されている試験は、SOR−1が、骨からカルシウムを動員する活性は比較的低いか、ほとんどないことを示す。2,340pmol/日のSOR−1を連続して4日間投与した場合であっても、骨のカルシウム動員は起こらず、一方、天然のホルモンである1,25(OH)は、大幅なな影響がみられた780pmol/日で顕著な活性を有していた。
【0088】
腸のカルシウム移動を、反転腸管法を用いて、同じ動物群で評価した(図5)。図5に報告されている試験は、SOR−1が、腸のカルシウムを移動する活性は比較的低いことを示す。780pmol/日のSOR−1を連続して4日間投与しても、1,25(OH)と比較して、ほとんど活性はなかった。SOR−1は、2,340pmol/日投与まで、1,25(OH)と同じ活性は観察されなかった。
【0089】
これらの結果は、化合物SOR−1が、用量に依存する様式で腸のカルシウム移動を促進することを示している。したがって、SOR−1は、推奨される、より低い用量において、腸のカルシウムを移動する活性が1,25(OH)よりも低いと結論づけることができるだろう。
【0090】
これらの結果は、SOR−1が、本明細書に記載されるような多くのヒトの治療のために、優れた候補物質であることを示しており、腎性骨ジストロフィー、自己免疫疾患、癌、多くの種類の皮膚状態、乾癬の二次的な二次的な副甲状腺機能亢進症を抑制するといった多くの状況で特に有用な可能性があることを示している。SOR−1は、乾癬を治療するのに優れた候補物質である。なぜなら、(1)SOR−1は、顕著なVDR結合活性、転写活性、細胞分化活性を有しており、(2)SOR−1は、1,25(OH)とは異なり、高カルシウム血症の弊害がほとんどなく、(3)SOR−1は、簡単に合成されるからである。SOR−1は、ビタミンD受容体に比べて顕著な結合活性を有しているが、血清カルシウムを上げる能力はほとんどないので、このことは、腎性骨ジストロフィーの二次的な副甲状腺機能亢進症の治療に特に有用である可能性がある。
【0091】
これらのデータは、本発明の化合物SOR−1が、免疫系の失調によって特徴づけられるヒトの障害、例えば、多発性硬化症、ループス、糖尿病、移植片対宿主拒絶反応、臓器移植の拒絶反応を含む自己免疫疾患の治療および予防に特に適しており、さらに、関節リウマチ、喘息のような炎症性疾患、セリアック病、潰瘍性大腸炎、クローン病のような炎症性腸疾患に特に適していることも示している。座瘡、脱毛症、高血圧は、本発明の化合物SOR−1で治療可能な他の状態である。
【0092】
本発明の式Iの化合物、特に式IaのSOR−1は、肥満を予防するか、または治療し、脂肪細胞の分化を阻害し、SCD−1遺伝子の転写を阻害し、及び/又は、動物対象の体脂肪を減らすことにも有用である。従って、ある実施形態では、肥満を予防するか、または治療する方法、脂肪細胞の分化を阻害する方法、SCD−1遺伝子の転写を阻害する方法、及び/又は動物対象の体脂肪を減らす方法は、動物対象に、式Iの1つ以上の化合物、または式1の1つ以上の化合物を含む医薬組成物を有効量で投与することを含む。化合物または医薬組成物を対象に投与すると、脂肪細胞の分化を阻害し、遺伝子の転写を阻害し、及び/又は動物対象において体脂肪を減らす。動物は、ヒト、イヌまたはネコのような飼育されている動物、または農業用動物であってもよく、特に、ヒトが消費するための肉を提供する動物、例えば、ニワトリ、シチメンチョウ、キジまたはウズラのような鳥類、ウシ、ヒツジ、ヤギまたはブタのような動物であってもよい。
【0093】
予防及び/又は治療の目的で、式Iに定義される本発明の化合物、特にSOR−1は、医薬用途のために、当該技術分野で既知の従来の方法に従って、無害な溶媒の溶液、または適切な溶媒または担体のエマルション、懸濁物または分散物、または固体担体とともに丸薬、錠剤またはカプセルとして配合されてもよい。また、任意のこのような配合物は、安定化剤、抗酸化剤、結合剤、着色剤、乳化剤または味覚改質剤のような、他の医薬的に許容され、毒性のない賦形剤を含有していてもよい。
【0094】
式Iの化合物、特にSOR−1は、経口、局所、非経口、直腸、経鼻、舌下または経皮で投与されてもよい。この化合物は、注射によって、または静脈内注入または適切な滅菌溶液によって、または、液体または固体の投薬形態で、消化管を経て、または、クリーム、軟膏、パッチまたは経皮塗布するのに適した同様のビヒクルの形態で、有益に投与される。化合物I、特にSOR−1の投与量が1日あたり0.01μg〜1000μg、好ましくは、1日あたり約0.1μg〜約500μgであることが、予防および/または治療目的で適しており、このような投与量は、当該技術分野では十分に理解されているように、治療すべき疾患、疾患の重篤度、対象の応答によって調整される。この化合物が作用について特異性を示すため、それぞれを単独で適切に投与してもよく、骨中の無機質の動員およびカルシウム移動の刺激が異なるレベルであることが有益であることが分かっている状況では、別の活性があるビタミンD化合物、例えば、1α−ヒドロキシビタミンDまたはD、すなわち1α,25−ジヒドロキシビタミンDの投与量を段階的に変えて併用投与してもよい。
【0095】
上述の治療のための組成物は、活性成分として上の式IおよびIaによって定義される有効な量の式Iの化合物、特にSOR−1と、適切な担体とを含む。本発明に従って使用するための、このような化合物の有効な量は、組成物1gあたり、約0.01μg〜約1000μg、好ましくは、組成物1gあたり、約0.1μg〜約500μgであり、約0.01μg/日〜約1000μg/日の投与量で、好ましくは、約0.1μg/日〜約500μg/日の投与量で、局所、経皮、経口、直腸、経鼻、舌下、または非経口で投与されてもよい。
【0096】
化合物I、特にSOR−1は、クリーム、ローション、軟膏、局所用パッチ、丸薬、カプセルまたは錠剤、坐剤、エアロゾルとして配合されてもよく、または、医薬的に無害で許容される溶媒または油の溶液、エマルション、分散物または懸濁物として液体形態で配合されてもよく、このような製剤は、それに加えて、安定化剤、酸化防止剤、乳化剤、着色剤、結合剤または味覚改質剤のような、他の医薬的に無害または有益な成分を含有していてもよい。
【0097】
式Iの化合物、特にSOR−1は、前骨髄球から正常なマクロファージへの分化に影響を与えるのに十分な量で投与されるのが有益な場合がある。上述のような投与量が適しており、与えられている量は、当該技術分野で十分に理解されているように、疾患の重篤度、対象の状態および反応に従って調整すべきであることが理解される。
【0098】
本発明の配合物は、従って医薬的に許容される担体と組み合わせて、活性成分を含み、場合により、他の治療成分を含む。担体は、配合物の他の成分と適合性を有し、受容者に有害ではないという観点で、「許容される」ものでなければならない。
【0099】
経口投与に適した本発明の配合物は、それぞれ所定量の活性成分を含むカプセル、小袋、錠剤または薬用キャンディーのような別個の投与単位の形態、粉末または顆粒の形態、水系液体または非水系液体の溶液または懸濁物の形態、または、水中油エマルションまたは油中水エマルションの形態であり得る。
【0100】
直腸投与のための配合物は、活性成分と、ココアバターのような担体とが組み込まれた坐剤の形態、または浣腸剤の形態であってもよい。
【0101】
非経口投与に適した配合物は、便宜上、油系または水系の活性成分の滅菌製剤を含み、好ましくは、受容者の血液と等張性である。
【0102】
局所投与に適した配合物は、塗布薬、ローション、膏薬、水中油エマルションまたは油中水エマルション、例えば、クリーム、軟膏またはペースト、または、溶液または懸濁物、例えば、点薬、またはスプレーのような、液体または半液体の製剤を含む。
【0103】
経鼻投与の場合、粉末の吸入、スプレー缶を用いて分注する自己噴射式配合物またはスプレー式配合物、ネブライザまたはアトマイザを用いてもよい。配合物が分注される場合、好ましくは、粒径は、10〜100μの範囲である。
【0104】
配合物は、便宜上、投薬単位形態で存在していてもよく、医薬分野でよく知られている任意の方法によって調製することができる。用語「投薬単位」とは、単位を意味し、すなわち、活性成分を、それ自体で含むか、または、医薬品用の固体または液体の希釈剤または担体とともに含む、物理的および化学的に安定な単位投与量として患者に投与することが可能な1つの投与量を意味する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下式を有する化合物であって、
【化1】


式中、X、X、Xは、同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、水素又はヒドロキシ保護基から選択される。
【請求項2】
が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
、X、Xがすべてt−ブチルジメチルシリルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
有効な量の請求項1に記載の少なくとも1つの化合物を、医薬的に許容される賦形剤とともに含有する、医薬組成物。
【請求項6】
前記有効量が、前記組成物1gあたり約0.01μg〜約1000μgを含む、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記有効量が、前記組成物1gあたり約0.1μg〜約500μgを含む、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項8】
下式を有する、2−メチレン−19,26−ジノル−(20S,22E,25R)−1α,25−ジヒドロキシビタミンD
【化2】

【請求項9】
有効な量の2−メチレン−19,26−ジノル−(20S,22E,25R)−1α,25−ジヒドロキシビタミンDを、医薬的に許容される賦形剤とともに含有する、医薬組成物。
【請求項10】
前記有効量が、前記組成物1gあたり約0.01μg〜約1000μgを含む、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記有効量が、前記組成物1gあたり約0.1μg〜約500μgを含む、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項12】
有効な量の下式を有する化合物を、乾癬を患う対象に投与することを含む、乾癬を治療する方法であって、
【化3】


式中、X、X、Xは、同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、水素又はヒドロキシ保護基から選択される。
【請求項13】
前記化合物が経口投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記化合物が非経口投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記化合物が経皮投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記化合物が局所投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記化合物が直腸投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記化合物が経鼻投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記化合物が舌下投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記化合物が、約0.01μg/日〜約1000μg/日の用量で投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
前記化合物が、下式を有する、2−メチレン−19,26−ジノル−(20S,22E,25R)−1α,25−ジヒドロキシビタミンDである、請求項12に記載の方法。
【化4】

【請求項22】
白血病、結腸癌、乳癌、皮膚癌又は前立腺癌からなる群より選択される疾患を患う対象に、有効な量の下式を有する化合物を投与することを含む、前記疾患を治療する方法であって、
【化5】


式中、X、X、Xは、同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、水素又はヒドロキシ保護基から選択される。
【請求項23】
前記化合物が経口投与される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記化合物が非経口投与される、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記化合物が経皮投与される、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記化合物が直腸投与される、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記化合物が経鼻投与される、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前記化合物が舌下投与される、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
前記化合物が、約0.01μg/日〜約1000μg/日の用量で投与される、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
前記化合物が、下式を有する、2−メチレン−19,26−ジノル−(20S,22E,25R)−1α,25−ジヒドロキシビタミンDである、請求項22に記載の方法。
【化6】

【請求項31】
多発性硬化症、ループス、糖尿病、移植片対宿主拒絶反応、臓器移植の拒絶反応からなる群より選択される自己免疫疾患を患う対象に、有効な量の下式を有する化合物を投与することを含む、前記疾患を治療する方法であって、
【化7】


式中、X、X、Xは、同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、水素又はヒドロキシ保護基から選択される。
【請求項32】
前記化合物が経口投与される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記化合物が非経口投与される、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記化合物が経皮投与される、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記化合物が直腸投与される、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
前記化合物が経鼻投与される、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
前記化合物が舌下投与される、請求項31に記載の方法。
【請求項38】
前記化合物が、約0.01μg/日〜約1000μg/日の用量で投与される、請求項31に記載の方法。
【請求項39】
前記化合物が、下式を有する、2−メチレン−19,26−ジノル−(20S,22E,25R)−1α,25−ジヒドロキシビタミンDである、請求項31に記載の方法。
【化8】

【請求項40】
関節リウマチ、喘息、炎症性腸疾患からなる群より選択される炎症性疾患を患う対象に、有効な量の下式を有する化合物を投与することを含む、前記疾患を治療する方法であって、
【化9】


式中、X、X、Xは、同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、水素又はヒドロキシ保護基から選択される。
【請求項41】
前記化合物が経口投与される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記化合物が非経口投与される、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記化合物が経皮投与される、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
前記化合物が直腸投与される、請求項40に記載の方法。
【請求項45】
前記化合物が経鼻投与される、請求項40に記載の方法。
【請求項46】
前記化合物が舌下投与される、請求項40に記載の方法。
【請求項47】
前記化合物が、約0.01μg/日〜約1000μg/日の用量で投与される、請求項40に記載の方法。
【請求項48】
前記化合物が、下式を有する、2−メチレン−19,26−ジノル−(20S,22E,25R)−1α,25−ジヒドロキシビタミンDである、請求項40に記載の方法。
【化10】

【請求項49】
しわ、十分な皮膚の堅さが失われること、十分な皮膚の水分が失われること、不十分な皮脂分泌からなる群より選択される皮膚の状態を有する対象に、有効な量の下式を有する化合物を投与することを含む、前記状態を治療する方法であって、
【化11】


式中、X、X、Xは、同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、水素又はヒドロキシ保護基から選択される。
【請求項50】
前記化合物が経口投与される、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記化合物が非経口投与される、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記化合物が経皮投与される、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
前記化合物が局所投与される、請求項49に記載の方法。
【請求項54】
前記化合物が直腸投与される、請求項49に記載の方法。
【請求項55】
前記化合物が経鼻投与される、請求項49に記載の方法。
【請求項56】
前記化合物が舌下投与される、請求項49に記載の方法。
【請求項57】
前記化合物が、約0.01μg/日〜約1000μg/日の用量で投与される、請求項49に記載の方法。
【請求項58】
前記化合物が、下式を有する、2−メチレン−19,26−ジノル−(20S,22E,25R)−1α,25−ジヒドロキシビタミンDである、請求項49に記載の方法。
【化12】

【請求項59】
腎性骨ジストロフィーを患う対象に、有効な量の下式を有する化合物を投与することを含む、腎性骨ジストロフィーを治療する方法であって、
【化13】


式中、X、X、Xは、同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、水素又はヒドロキシ保護基から選択される。
【請求項60】
前記化合物が経口投与される、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記化合物が非経口投与される、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
前記化合物が経皮投与される、請求項59に記載の方法。
【請求項63】
前記化合物が直腸投与される、請求項59に記載の方法。
【請求項64】
前記化合物が経鼻投与される、請求項59に記載の方法。
【請求項65】
前記化合物が舌下投与される、請求項59に記載の方法。
【請求項66】
前記化合物が、約0.01μg/日〜約1000μg/日の用量で投与される、請求項59に記載の方法。
【請求項67】
前記化合物が、下式を有する、2−メチレン−19,26−ジノル−(20S,22E,25R)−1α,25−ジヒドロキシビタミンDである、請求項59に記載の方法。
【化14】

【請求項68】
動物の肥満を治療するか、又は予防する、脂肪細胞の分化を阻害する、SCD−1遺伝子の転写を阻害する、及び/又は体脂肪を減らすことが必要な動物に、有効な量の下式を有する化合物を投与することを含む、動物の肥満を治療するか、又は予防する方法、脂肪細胞の分化を阻害する方法、SCD−1遺伝子の転写を阻害する方法、及び/又は動物の体脂肪を減らす方法であって、
【化15】



式中、X、X、Xは、同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、水素又はヒドロキシ保護基から選択される。
【請求項69】
前記化合物が経口投与される、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記化合物が非経口投与される、請求項68に記載の方法。
【請求項71】
前記化合物が経皮投与される、請求項68に記載の方法。
【請求項72】
前記化合物が直腸投与される、請求項68に記載の方法。
【請求項73】
前記化合物が経鼻投与される、請求項68に記載の方法。
【請求項74】
前記化合物が舌下投与される、請求項68に記載の方法。
【請求項75】
前記化合物が、約0.01μg/日〜約1000μg/日の用量で投与される、請求項68に記載の方法。
【請求項76】
前記化合物が、下式を有する、2−メチレン−19,26−ジノル−(20S,22E,25R)−1α,25−ジヒドロキシビタミンDである、請求項68に記載の方法。
【化16】

【請求項77】
前記動物がヒトである、請求項68に記載の方法。
【請求項78】
前記動物が飼育されている動物である、請求項68に記載の方法。
【請求項79】
前記動物が農業用動物である、請求項68に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−527699(P2011−527699A)
【公表日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517621(P2011−517621)
【出願日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/050106
【国際公開番号】WO2010/006169
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(510180382)
【Fターム(参考)】