説明

2−置換カルバペネム誘導体の中間体および製造方法

本発明は、下記式(1)の化合物及びその製造方法に関する。この化合物を用いることにより、優れた抗菌力及び広範囲の抗菌スペクトルを有するカルバペネム誘導体を、安全かつ安価に製造することができる。


[式中、Rは、水素原子を表すか、又は水酸基の保護基を表し、Rは、水素原子、カルボキシル基の保護基、又はカルボン酸アニオンのアニオンを表し、Z及びZは一緒になって、酸素原子、又はカルボニル基の保護基を表すか、又は、Z及びZの一方が水素原子を表し、かつ、他方が水酸基又は保護された水酸基を表し、Yは、酸素原子、又は基P(Rを表し、ここで、Rは、同一でも異なっていてもよく、ハロゲン原子により置換されていてもよいC1−6アルキル基、又はハロゲン原子もしくはC1−6アルキル基(このアルキル基はハロゲン原子により置換されていてもよい)により置換されていてもよいアリール基を表す]

【発明の詳細な説明】
[発明の背景]
発明の分野
本発明は、優れた抗菌力および広範囲の抗菌スペクトルを有するカルバペネム誘導体を製造するために用いられる新規な合成中間体、およびその製造方法に関する。
関連技術
カルバペネム誘導体は、強い抗菌力と広範囲にわたり優れた抗菌スペクトルを示すことから、有用性の高いβ−ラクタム剤として研究が盛んに行われている。
WO02/42312号において、本発明者らは、カルバペネム環上の2位に7−(1−カルバモイルメチルピリジニウム−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール基を有するカルバペネム誘導体、すなわち下記式(A)の化合物が、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)、PRSP(ペニシリン耐性肺炎球菌)、インフルエンザ菌、およびβ−ラクタマーゼ産生菌を含むグラム陽性菌およびグラム陰性菌に対して強い抗菌力を有すると共に、DHP−1(腎デヒドロペプチダーゼ−1)に対して高い安定性を有するとの知見を報告している。ここには、このような誘導体の製造法として、下記に示すスキームAの方法が開示されている。
スキームA:


[上記スキーム中、Rは水素原子または水酸基の保護基を表し、Rはカルボキシル基の保護基を表し、および、Lは脱離基を表す]。
この製造方法は、パラジウム触媒、ホスフィン配位子、および添加剤の存在下において、式(i)の化合物と、式(ii)の化合物とを反応させて、式(iii)の化合物を得、次いで、式(iii)の化合物と、式(iv)の化合物とを反応させて式(v)の化合物を得た後、脱保護を行って、式(A)の化合物を得るものである。
しかしながら、この方法において使用される式(ii)の化合物、およびこの化合物を調製する際に用いられる塩化トリアルキルスズなどの試薬は、有機スズ化合物に属するものであり、高い毒性があることが知られている。また、式(i)の化合物と、式(ii)の化合物との反応の際に用いられるパラジウム触媒、およびホスフィン配位子は、一般的に高価である。このため、安全性に優れ、かつ、より安価に、式(A)のカルバペネム誘導体を得る方法が望まれている。
[発 明 の 概 要]
本発明者らは、今般、式(A)のカルバペネム誘導体の合成中間体として、後述する式(1)の化合物を調製することに成功した。この式(1)の化合物を、カルバペネム環を形成しうる条件下において処理して、閉環反応によりカルバペネム環を形成させることにより、式(A)のカルバペネム誘導体の前駆体である、後述する式(2)の化合物を得ることができた。式(1)の化合物を用いる製造プロセスは、有機スズ化合物のような毒性の強い化合物を使用する必要がなく、また、パラジウム触媒等の高価な薬品をほとんど使用しないものであった。本発明はかかる知見に基づくものである。
よって、本発明は、式(A)のカルバペネム誘導体を、効率的に、安全かつ安価な製造コストで製造することができる製造方法およびその製造方法に用いられる合成中間体の提供をその目的とする。
本発明による化合物は、下記式(1)の化合物である:

[式中、
は、水素原子を表すか、または水酸基の保護基を表し、
は、水素原子、カルボキシル基の保護基、またはカルボン酸アニオンのアニオンを表し、
およびZは一緒になって、酸素原子、またはカルボニル基の保護基を表すか、または、
およびZの一方が水素原子を表し、かつ、他方が水酸基または保護された水酸基を表し、
Yは、酸素原子、または基P(Rを表し、
ここで、Rは、同一でも異なっていてもよく、
ハロゲン原子により置換されていてもよいC1−6アルキル基、または
ハロゲン原子もしくはC1−6アルキル基(このアルキル基はハロゲン原子により置換されていてもよい)により置換されていてもよいアリール基を表す]。
本発明の別の一つの態様によれば、式(1)[式中、Yが基P(Rである]の化合物の製造方法であって、下記式(4’)の化合物をグリニア試薬により処理して得られる反応混合物と、下記式(5)の化合物とを反応させることを含んでなる方法が提供される:

[式中、
11およびZ12は一緒になって、酸素原子、またはカルボニル基の保護基を表すか、または、
11およびZ12の一方が水素原子を表し、他方が保護された水酸基を表し、
Xは、ハロゲン原子を表す];

[式中、
11は、水酸基の保護基を表し、
およびRは、式(1)で定義される内容と同義であり、
は、
置換されていてもよいC1−6アルキル基、または
ハロゲン原子、置換されていてもよいC1−6アルキル基、置換されていてもよいC1−6アルコキシ基、および−NR基からなる群より選択される基により置換されていてもよい、アリール基を表し、
ここで、RおよびRは、同一でも異なっていてもよく、C1−6アルキル基を表すか、または、RおよびRが一緒になって−(CH−基(ここでnは2〜6の整数である)を表す]。
本発明の好ましい態様によれば、前記式(1)[式中、Yが基P(Rである]の化合物の製造方法は、前記式(4’)の化合物を、下記工程(c)および(d)により得ることをさらに含んでなる:
(c) 下記式(14)の化合物を、ビルスマイヤー錯体を用いてホルミル化して、下記式(18)の化合物を得:

[式中、Xは、ハロゲン原子を表す]、

[式中、Xは、ハロゲン原子を表す]、
(d) 得られた式(18)の化合物を下記式(19)の3−メタロピリジンと反応させて、Z11およびZ12の一方が水素原子で他方が水酸基である式(4’)の化合物を得、この化合物の水酸基を保護するか、またはこの化合物の水酸基を酸化して得られるカルボニル基を保護して、式(4’)の化合物を得る工程:

[式中、Mはリチウム、MgBr、またはMgIを表す]。
本発明の好ましい態様によれば、前記式(1)[式中、Yが基P(Rである]の化合物の製造方法は、前記式(14)の化合物を下記工程(a)および(b)により得ることをさらに含んでなる:
(a) 下記式(15)の化合物とハロゲン化剤とを反応させて得られる下記式(16)の化合物を、必要に応じて保護基を除去した後に、アミノ基をホルミル化し、下記式(17)の化合物を得、


[これら式中、
は、水素原子、またはアミノ基の保護基を表し、
Xは、ハロゲン原子を表す]、
(b) 得られた式(17)の化合物と、脱水剤とを反応させて環化し、式(14)の化合物を得る工程。
本発明の別の一つの態様によれば、式(1)[式中、Yが酸素原子である]の化合物の製造方法であって、下記式(8)の化合物と、下記式(9)の化合物とを塩基存在下で反応させることを含んでなる方法が提供される:

COCOOR (9)
[これら式中、
は、水素原子、またはアミノ基の保護基を表し、
、R、ZおよびZは、式(1)で定義される内容と同義であり、
は、脱離基を表す]。
本発明の好ましい態様によれば、前記式(1)[式中、Yが酸素原子である]の化合物の製造方法は、前記式(8)の化合物を下記工程(f)により得ることをさらに含んでなる:
(f) 下記式(6’)の化合物を、アルカリ金属塩基、または、塩基およびI〜IV価の金属化合物を用いて処理して得られる化合物と、式(7)の化合物とを反応させて、必要に応じて、保護基の除去および/または保護基の導入および/または酸化を行って、式(8)の化合物を得る工程:

[式中、
11およびZ12は一緒になって、酸素原子、またはカルボニル基の保護基を表すか、または、
11およびZ12の一方が水素原子を表し、他方が保護された水酸基を表す];

[式中、
11は、水酸基の保護基を表し、
は、水素原子、またはアミノ基の保護基を表し、
は、脱離基を表す]。
本発明の好ましい態様によれば、前記式(1)[式中、Yが酸素原子である]の化合物の製造方法は、前記式(6’)の化合物を下記工程(c)、(d)および(e)により得ることをさらに含んでなる:
(c) 下記式(14)の化合物を、ビルスマイヤー錯体を用いてホルミル化して、下記式(18)の化合物を得、

[式中、Xは、ハロゲン原子を表す]、
(d) 得られた式(18)の化合物を下記式(19)の3−メタロピリジンと反応させて、Z11およびZ12の一方が水素原子で他方が水酸基である式(4’)の化合物を得、この化合物の水酸基を保護するか、またはこの化合物の水酸基を酸化して得られるカルボニル基を保護して、式(4’)の化合物を得、

[式中、Mはリチウム、MgBr、またはMgIを表す]、
(e) 得られた式(4’)の化合物をグリニア試薬を用いて処理して得られる化合物と、プロピオン酸誘導体と反応させて、式(6’)の化合物を得る工程。
本発明の好ましい態様によれば、前記式(1)[式中、Yが酸素原子である]の化合物の製造方法は、前記式(14)の化合物を下記工程(a)および(b)により得ることをさらに含んでなる:
(a) 下記式(15)の化合物とハロゲン化剤とを反応させて得られる下記式(16)の化合物を、必要に応じて保護基を除去した後に、アミノ基のホルミル化を行って、下記式(17)の化合物を得、

[これら式中、
は、水素原子、またはアミノ基の保護基を表し、
Xは、ハロゲン原子を表す]、
(b) 得られた式(17)の化合物と、脱水剤とを反応させて環化し、式(14)の化合物を得る工程。
本発明の別の一つの態様によれば、式(1)[式中、Yが基P(Rである]の化合物の製造方法であって、下記式(8)の化合物と、下記式(10)の化合物またはその反応性等価物とを反応させて得られる下記式(11)の化合物の水酸基を、ハロゲン化剤を用いてハロゲン化し、得られた化合物と、下記式(13)の化合物とを反応させることを含んでなる方法が提供される:

HC(=O)−COOR (10)

P(R (13)
[これら式中、
11は、水酸基の保護基を表し、
、R、Rは、式(1)で定義される内容と同義であり、
は水素原子を表し、
およびZは一緒になって、酸素原子、またはカルボニル基の保護基を表すか、または、
およびZの一方が水素原子を表し、かつ、他方が水酸基または保護された水酸基を表し、
11およびZ12は一緒になって、酸素原子、またはカルボニル基の保護基を表すか、または、
11およびZ12の一方が水素原子を表し、他方が保護された水酸基を表す]。
本発明の別の態様によれば、下記式(2)の化合物の製造方法であって、式(1)の化合物を、カルバペネム環を形成しうる条件下において処理して、閉環反応によりカルバペネム環を形成させ、必要に応じて保護基の除去および/または酸化を行うことを含んでなる方法が提供される:

[式中、
は、水素原子を表すか、または水酸基の保護基を表し、
Rは、水素原子、カルボキシル基の保護基、またはカルボン酸アニオンのアニオンを表し、
およびZは一緒になって、酸素原子、またはカルボニル基の保護基を表すか、または、
およびZの一方が水素原子を表し、他方が水酸基または保護された水酸基を表す]。
本発明のさらに別の態様によれば、下記式(A)の化合物の製造方法であって、前記した式(2)の化合物の製造方法によって、式(1)の化合物から式(2)の化合物を得ることを含んでなる方法が提供される:

本発明の好ましい態様によれば、前記した式(A)の化合物の製造方法は、式(2)の化合物と、下記式(iv)の化合物とを反応させることによって、下記式(3)の化合物を得る工程をさらに含んでなる:
CHCONH (iv)

[式中、
は、脱離基を表し、
は、水素原子を表すか、または水酸基の保護基を表し、
Rは、水素原子、カルボキシル基の保護基、またはカルボン酸アニオンのアニオンを表す]。
本発明の好ましい態様によれば、前記した式(A)の化合物の製造方法は、式(3)の化合物の保護基を脱保護反応により除去して、式(A)の化合物を得る工程をさらに含んでなる。
本発明のさらに好ましい態様によれば、前記した式(A)の化合物の製造方法は、式(1)の化合物を、前記した式(1)の化合物の製造方法のいずれかの方法により得ることをさらに含んでなる。
本発明によればまた、下記式(4)の化合物が提供される。

[式中、
およびZは一緒になって、酸素原子、またはカルボニル基の保護基を表すか、または、
およびZの一方が水素原子を表し、かつ、他方が水酸基または保護された水酸基を表し、
Xは、ハロゲン原子を表す]。
本発明によればまた、下記式(6)の化合物が提供される:

[式中、
およびZは一緒になって、酸素原子、またはカルボニル基の保護基を表すか、または、
およびZの一方が水素原子を表し、かつ、他方が水酸基または保護された水酸基を表す]。
本発明によればまた、下記式(8)の化合物が提供される:

[式中、
は、水素原子を表すか、または水酸基の保護基を表し、
およびZは一緒になって、酸素原子、またはカルボニル基の保護基を表すか、または、
およびZの一方が水素原子を表し、かつ、他方が水酸基または保護された水酸基を表し、
は、水素原子、またはアミノ基の保護基を表す]。
本発明によればまた、下記式(14a)の化合物が提供される:

本発明の別の態様によれば、抗菌剤の製造における合成中間体としての、本発明による式(1)の化合物の使用が提供される。
[発明の具体的説明]
本明細書において、基または基の一部としての「アルキル」という語は、特に限定されていない限り、基が直鎖状、分岐鎖状、環状もしくはこれらの組み合わせのアルキル基を意味する。また例えば「C1−6アルキル」という場合の「C1−6」とは、該アルキル基の炭素数が1〜6個であることを意味する。
「C1−6アルキル」は、好ましくはC1−4アルキルであり、さらに好ましくはC1−3アルキルである。アルキルの例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル等が挙げられる。
基または基の一部としての「アルコキシ」という語は、基が直鎖状、分岐鎖状、環状もしくはこれらの組み合わせのアルコキシ基を意味する。
「C1−6アルコキシ」は、好ましくはC1−4アルコキシ、より好ましくはC1−3アルコキシである。アルコキシの例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ等が挙げられる。
基または基の一部としての「アルケニル」とは、基が直鎖状、分岐鎖状、環状もしくはこれらの組み合わせのアルケニル基を意味する。好ましくは、アルケニル基は、直鎖状、または分岐鎖状である。また基のアルケニル部分に含まれる二重結合の数は、特に限定されず、二重結合はZ配置またはE配置のいずれであってもよい。アルケニル基は、例えばC2−6アルケニルである。「C2−6アルケニル」は、好ましくはC2−5アルケニルであり、より好ましくはC2−4アルケニルである。アルケニルの例としては、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−メチル−1−プロペニル、2−メチルアリル、ペンテニル、2−ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、2−ヘキセニル、およびシクロヘキセニルが挙げられる。
ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を意味する。好ましくは、ハロゲン原子は、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子である。
基または基の一部としての「アリール」とは、6〜14員の単環式〜3環式の芳香族炭素環を意味する。好ましくは、アリールは、5〜7員の芳香族単環式炭素環および8〜12員の芳香族二環式炭素環である。アリールの例としては、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニル、2−アンスリルナフチルが挙げられる。本発明において、アリールは特に好ましくは、フェニルである。
基または基の一部としての「アラルキル」という語は、前記アリールにより置換されたC1−6アルキル基を意味する。ここで、このアルキル基およびアリール基の部分は、その基上の1またはそれ以上の水素原子が1またはそれ以上の置換基(同一または異なっていてもよい)により置換されていてもよい。置換基としては、ニトロ基、ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基等が挙げられる。アラルキル基のC1−6アルキル基部分は、好ましくはC1−4アルキル基、より好ましくはC1−3アルキル基、さらに好ましくはC1−2アルキル基である。アラルキル基の例としては、ベンジル基、ジフェニルメチル基、トリチル基、フェネチル基、4−メトキシベンジル基、2−ニトロベンジル基、および4−ニトロベンジル基(pNB)などが挙げられる。
基または基の一部としての「アシル」という語は、基が直鎖状、分枝鎖状もしくは環状の基を意味する。アシル基は、例えばC1−8アシル、好ましくはC1−6アシル、さらに好ましくはC1−4アシルであることができる。アシルの例としては、ホルミル、アルキルカルボニル、アラルキルカルボニル、アリールカルボニル等が挙げられ、具体的には、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、トルオイル、アニソイル、ベンゾイルなどが挙げられる。
本明細書において、アルキル基が「置換されていてもよい」とは、アルキル基上の1またはそれ以上の水素原子が1またはそれ以上の置換基(同一または異なっていてもよい)により置換されていてもよいことを意味する。置換基の最大数はアルキル上の置換可能な水素原子の数に依存して決定できることは当業者に明らかであろう。これらは、アルコキシ基、アルケニル基等についても同様である。
またはR11が表すことがある水酸基の保護基は、カルバペネム誘導体の合成において常用される水酸基の保護基であれば特に限定されず、当業者であれば適宜選択することができる。このような水酸基の保護基としては、例えば、t−ブチルジメチルシリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基などのシリル基;4−ニトロベンジルオキシカルボニル基、4−メトキシベンジルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基などのオキシカルボニル基などが挙げられる。好ましくは、RまたはR11が表すことがある水酸基の保護基は、t−ブチルジメチルシリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基などのシリル基であり、より好ましくは、t−ブチルジメチルシリル基、または、トリエチルシリル基である。
またはR11は、好ましくは、水素原子、t−ブチルジメチルシリル基、トリメチルシリル基、および、トリエチルシリル基からなる群より選択され、より好ましくは、水素原子、および、t−ブチルジメチルシリル基からなる群より選択される。
またはRが表すことがあるカルボキシル基の保護基は、カルボキシル基の保護基として当業者に周知のものであれば、特に限定されずいずれのものも包含される。好ましくは、容易に除去可能なカルボキシル基の保護基である。このようなカルボキシル基の保護基としては、例えば、4−ニトロベンジル基(pNB)、4−メトキシベンジル基、ジフェニルメチル基などのアラルキル基;アリル基などのアルケニル基;t−ブチルジメチルシリル基などのシリル基などが挙げられる。好ましくは、RまたはRが表すカルボキシル基の保護基は、アリル基、4−ニトロベンジル基、4−メトキシベンジル基、ジフェニルメチル基であり、より好ましくは、アリル基、または4−ニトロベンジル基である。
またはRはカルボン酸アニオン(−COO)のアニオンを表すことができる。このときカルボン酸アニオンは、塩の形態をとっていてもよく、このとき塩は、薬学上許容されうる塩である。このような薬学上許容されうる塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムのような金属との無機塩、またはアンモニウム塩、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンのような有機塩基との塩が挙げられる。
またはRは、好ましくは、水素原子、カルボン酸アニオンのアニオン、4−ニトロベンジル基、4−メトキシベンジル基、ジフェニルメチル基、アリル基、および、t−ブチルジメチルシリル基からなる群より選択され、より好ましくは、アリル基、4−ニトロベンジル基、または4−メトキシベンジル基からなる群より選択される。
本発明の一つの好ましい態様によれば、Rは、水素原子、カルボン酸アニオンのアニオン、カルボキシル基の保護基を表し、Rは、容易に除去可能なカルボキシル基の保護基を表す。
Yが基P(Rを表す場合、Rが表すことがある「ハロゲン原子により置換されていてもよいC1−6アルキル基」としては、例えば、塩素化されたアルキル基が挙げられ、具体例を挙げると、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、クロロメチル基、および、ジクロロエチル基が挙げられる。好ましくは、プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基が挙げられる。
また、Rが表すことがある「ハロゲン原子もしくはC1−6アルキル基(このアルキル基はハロゲン原子により置換されていてもよい)により置換されていてもよいアリール基」としては、例えば、ハロゲン原子もしくは非置換C1−6アルキル基により置換されていてもよいアリール基が挙げられる。好ましくは、Rは、4−フルオロフェニル基、o−メチルフェニル基、m−メチルフェニル基、p−メチルフェニル基、または、非置換のフェニル基であり、より好ましくは、Rは、非置換のフェニル基である。
Yは、好ましくは、酸素原子、または基P(Cを表す。
およびZが一緒になって形成しうるカルボニル基の保護基は、カルボニル基の保護基として当業者に周知のものであれば、特に限定されずいずれのものも包含される。好ましくは、容易に除去可能なカルボニル基の保護基である。このようなカルボニル基の保護基としては、例えば、ジメトキシ、ジエトキシのようなジアルコキシ基;エチレンジオキシ、トリメチレンジオキシのようなアルキレンジオキシ基;エチレンジチオ、トリメチレンジチオのようなアルキレンジチオ基;ジメチルヒドラゾン、フェニルヒドラゾンなどのヒドラゾン基;オキシム基、O−メチルオキシム基、O−ベンジルオキシム基、メチレン基などが挙げられる。好ましくは、該カルボニル基の保護基は、ジメトキシ基、ジエトキシ基などのジアルコキシ基、または、ジメチルヒドラゾンなどのヒドラゾン基である。
およびZの一方が水素原子を表す場合に他方が表しうる保護された水酸基の保護基は、水酸基の保護基として当業者に周知のものであれば、特に限定されずいずれのものも包含される。このような水酸基の保護基としては、例えば、t−ブチルジメチルシリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基などのシリル基;4−ニトロベンジルオキシカルボニル基、4−メトキシベンジルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基などのオキシカルボニル基;ベンジル基、4−メトキシベンジル基などのアラルキル基などが挙げられる。好ましくは、RまたはR11が表すことがある保護された水酸基は、t−ブチルジメチルシリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基などのシリル基により保護された水酸基であり、より好ましくは、トリメチルシリル基、またはトリエチルシリル基により保護された水酸基である。
およびZは、好ましくは、一緒になって、酸素原子、ジメトキシ基、ジエトキシ基、および、ジメチルヒドラゾン基からなる群より選択される基を表すか、または、ZおよびZの一方が水素原子を表し、かつ、他方が水酸基を表すか、もしくは、t−ブチルジメチルシリル基、トリメチルシリル基、および、トリエチルシリルからなる群より選択される基により保護された水酸基を表す。
より好ましくは、ZおよびZは一緒になって酸素原子、ジメトキシ、ジエトキシ、もしくはジメチルヒドラゾンを形成するか、または、ZおよびZの一方が水素原子を表して、他方がトリエチルシリルにより保護された水酸基を表す。
が表すことがある「置換されていてもよいC1−6アルキル基」において、置換基としては、例えば塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子が挙げられる。したがって、Rが表すことがある「置換されていてもよいC1−6アルキル基」は、好ましくは、「ハロゲン原子により置換されていてもよいC1−6アルキル基」である。具体例を挙げると、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、2−クロロ−1,1−ジメチルエチル基、2−クロロエチル基、1−ブロモイソブチル基が挙げられる。「置換されていてもよいC1−6アルキル基」は、より好ましくは、t−ブチル基、2−クロロ−1,1−ジメチルエチル基である。
が表すことがある「ハロゲン原子、置換されていてもよいC1−6アルキル基、置換されていてもよいC1−6アルコキシ基、および−NR基からなる群より選択される基により置換されていてもよい、アリール基」において、アリール基は、好ましくは、フェニル基である。
ここでRおよびRは、同一でも異なっていてもよく、C1−6アルキル基を表すか、または、RおよびRが一緒になって−(CH−基(ここでnは2〜6、好ましく4〜6の整数である)を表す。
が表すことがある「アリール基」の置換基である「置換されていてもよいC1−6アルキル基」は、好ましくは、「ハロゲン原子、C1−6アルキル、またはC1−6アルコキシにより置換されていてもよいC1−6アルキル基」である。またその置換基である「置換されていてもよいC1−6アルコキシ基」は、好ましくは、「ハロゲン原子、C1−6アルキル、またはC1−6アルコキシにより置換されていてもよいC1−6アルコキシ基」である。
が表すことがあるアリール基は、その1以上の水素原子が置換基により置換されている場合、その置換基の具体例としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基等の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、t−ブチル基等の分岐鎖状アルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基等の直鎖状アルコキシ基;N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基等のN,N−ジ(C1−6アルキル)アミノ基;1−ピロリジニル基、1−ピペリジニル基等の3〜7員の環状アルキルアミノ基等が挙げられる。好ましい置換基は、C1−6アルコキシ基、N,N−ジ(C1−6アルキル)アミノ基または3〜7員の環状アルキルアミノ基である。
が表すことがあるアリール基は、好ましくは、非置換フェニル基、2−クロロフェニル基、2−メチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、2−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−エトキシフェニル基、4−イソプロピルオキシフェニル基、4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル基、および、4−(N,N−ジエチルアミノ)フェニル基である。より好ましくは、Rが表すことがあるアリール基は、4−メトキシフェニル基、4−イソプロピルオキシフェニル基、4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル基および4−(N,N−ジエチルアミノ)フェニル基である。
およびRが表すことがあるアミノ基の保護基は、アミノ基の保護基として当業者に周知のものであれば、特に限定されずいずれのものも包含される。このようなアミノ基の保護基としては、例えば、ホルミル基、アルキルカルボニル基(アセチル基など)、アリールカルボニル基(ベンゾイル基など)などのアシル基;ベンジル基などのアラルキル基;アルキルカルボニル基(t−ブトキシカルボニル基など)、アリールカルボニル基(ベンジルオキシカルボニル基など)などのオキシカルボニル基;アルキルスルホニル基(メタンスルホニル基など)、アリールスルホニル基(ベンゼンスルホニル基など)などのスルホニル基;トリアルキルシリル基(トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基など)などのシリル基などである。好ましくはホルミル基、t−ブトキシカルボニル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基などである。
が表す脱離基としては、例えば、アルキルカルボニルオキシ基(アセトキシ基など)、アリールカルボニルオキシ基(ベンゾイルオキシ基など)などのアシルオキシ;ベンゼンスルホニルオキシ基などのアリールスルホニルオキシ基;メタンスルホニル基などのアルキルスルホニル基;アセチルチオ基などのアルカノイルチオ基;メチルチオ基などのアルキルチオ基;メチルスルフィニル基などのアルキルスルフィニル基;ベンゼンスルフィニル基などのアリールスルフィニル基;メタンスルホニル基などのアルキルスルホニル基;ベンゼンスルホニル基などのアリールスルホニル基;塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子などが挙げられる。好ましくは、Lが表す脱離基は、メチルチオ基、アセチルチオ基、塩素原子、アセトキシ基であり、より好ましくはアセトキシ基である。
が表す脱離基としては、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;メタンスルホニルオキシ基などのアルキルスルホニルオキシ基;ベンゼンスルホニルオキシ基などのアリールスルホニルオキシ基などが挙げられる。好ましくは、Lが表す脱離基は、メタンスルホニルオキシ基、塩素原子であり、より好ましくは塩素原子などである。
が表す脱離基としては、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;メタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、−OSOCF基、−OSOPhCH基などの、ハロゲン原子により置換されていてもよいアルキルスルホニルオキシ基、アルキル基により置換されていてもよいアリールスルホニルオキシ基などが挙げられる。好ましくは、Lが表す脱離基は、−OSOCF基、ヨウ素原子であり、より好ましくは、ヨウ素原子である。
Xは、ハロゲン原子を表し、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、好ましくは、臭素原子、ヨウ素原子であり、さらに好ましくは、臭素原子である。
Mは、リチウム、MgBr、またはMgIを表し、好ましくは、MgBrを表す。
本発明の一つの好ましい態様によれば、
は、水素原子、または水酸基の保護基を表し、
Rは、水素原子、カルボン酸アニオンのアニオン、または、カルボキシル基の保護基を表し、
は、カルボキシル基の保護基を表し、
Xは臭素原子、またはヨウ素原子を表し、
Yは酸素原子、または基P(Cを表し、
およびZは一緒になって、酸素原子、または容易に除去できるカルボニル基の保護基を表すか、または一方が水素原子を表し、かつ他方が保護された水酸基を表す。
本発明の一つの好ましい態様によれば、式(1)において、
は、水素原子、または水酸基の保護基を表し、
は、カルボキシル基の保護基を表し、
Yは、酸素原子、または基P(Cを表し、
およびZは一緒になって、酸素原子、またはカルボニル基の保護基を表すか、またはZおよびZの一方が水素原子を表し、かつ他方が保護された水酸基を表す。
本発明の別の一つの好ましい態様によれば、式(1)において、
は、水素原子または水酸基の保護基を表し、
は、容易に除去可能なカルボキシル基の保護基を表し、
およびZは一緒になって、酸素原子、または容易に除去できるカルボニル基の保護基を表すか、または、ZおよびZの一方が水素原子、他方が水酸基、もしくは保護された水酸基を表し、
Yは、酸素原子、または基P(Rを表し、
ここで、Rは同一でも異なっていても良く、
ハロゲン原子により置換されていてもよいC1−6アルキル基、または
ハロゲン原子もしくはC1−6アルキル基(このアルキル基はハロゲン原子により置換されていてもよい)により置換されていてもよいアリール基を表す。
式(1)の化合物の具体例としては、
(3S,4R)−1−アリルオキシオキザリル−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン(例23の化合物);
(3S,4R)−1−アリルオキシオキザリル−3−[(1R)−1−ヒドロキシエチル)−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン(例25の化合物);
(3S,4R)−3−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−{(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル}−1−[4−ニトロベンジルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]アゼチジン−2−オン(例27の化合物);
(3S,4R)−3−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−{(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル}−1−[4−ニトロベンジルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]アゼチジン−2−オン(例29の化合物);
(3S,4R)−1−[アリルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]−3−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−{(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)トリエチルシリルオキシメチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル}アゼチジン−2−オン(例31の化合物);
(3S,4R)−1−[アリルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]−3−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−{(1R)−1−メチル−2−[7−ジメトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル}アゼチジン−2−オン(例32〜35の化合物);
(3S,4R)−1−[アリルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]−3−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−{(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル}アゼチジン−2−オン(例36等の化合物);
(3S,4R)−1−[アリルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]−3−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−ジエトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン(例37の化合物);
(3S,4R)−1−[アリルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]−3−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)ジメチルヒドラゾノイルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン(例40の化合物);および
(3S,4R)−3−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−{(1R)−1−メチル−2−[7−ジメトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]−1−[4−ニトロベンジルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]アゼチジン−2−オン(例42の化合物)
が挙げられる。
好ましくは、式(1)の化合物は、
(3S,4R)−1−アリルオキシオキザリル−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン(例23の化合物);
(3S,4R)−1−アリルオキシオキザリル−3−[(1R)−1−ヒドロキシエチル)−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン(例25の化合物);
(3S,4R)−1−[アリルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]−3−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−{(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)トリエチルシリルオキシメチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル}アゼチジン−2−オン(例31の化合物);
(3S,4R)−1−[アリルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]−3−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−{(1R)−1−メチル−2−[7−ジメトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル}アゼチジン−2−オン(例32〜35の化合物);
(3S,4R)−1−[アリルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]−3−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−{(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル}アゼチジン−2−オン(例36等の化合物);および
(3S,4R)−1−[アリルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]−3−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−ジエトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン(例37の化合物);
である。
より好ましくは、式(1)の化合物は、
(3S,4R)−1−アリルオキシオキザリル−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン(例23の化合物);
(3S,4R)−1−アリルオキシオキザリル−3−[(1R)−1−ヒドロキシエチル)−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン(例25の化合物);
(3S,4R)−1−[アリルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]−3−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−{(1R)−1−メチル−2−[7−ジメトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル}アゼチジン−2−オン(例32〜35の化合物);および
(3S,4R)−1−[アリルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]−3−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−{(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル}アゼチジン−2−オン(例36等の化合物)
である。
式(3)の化合物の好ましい具体例としては、
2−ブロモ−7−ジメトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール;
2−ブロモ−7−(ピリジン−3−イル)トリエチルシリルオキシメチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール;
2−ブロモ−7−ジエトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール;および
2−ブロモ−7−(ピリジン−3−イル)ジメチルヒドラゾノイルイミダゾ[5,1−b]チアゾール
が挙げられる。
式(6)の化合物の好ましい具体例としては、
2−プロピオニル−7−ジメトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール;
2−プロピオニル−7−(ピリジン−3−イル)トリエチルシリルオキシメチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール;および
2−プロピオニル−7−(ピリジン−3−イル)ジメチルヒドラゾノイルイミダゾ[5,1−b]チアゾール
が挙げられる。
式(8)の化合物の好ましい具体例としては、
(3S,4R)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−ジメトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン;
(3S,4R)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)トリエチルシリルオキシメチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン;
(3S,4R)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン;
(3S,4R)−3−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン;および
(3S,4R)−3−[(1R)−1−(トリエチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン
が挙げられる。
式(1)の化合物および式(A)の化合物の製造スキーム
本発明による式(1)の化合物の製造方法および式(A)の化合物を製造するための過程は下記スキームBに示されるとおりである。
スキームB:

(I) 式(14)の化合物の製造
式(14)の化合物は、以下に示すスキームIの方法により合成することができる。
スキームI

[式中、Rは水素原子、またはアミノ基の保護基を表し、Xはハロゲン原子、好ましくは臭素原子を表す]。
本発明において、式(14)の化合物は、スキームIに示されるように、下記工程(a)および(b)により得ることができる:
(a) 式(15)の化合物とハロゲン化剤とを反応させて得られる式(16)の化合物を、必要に応じて保護基を除去した後に、アミノ基のホルミル化を行って、式(17)の化合物を得、
(b) 得られた式(17)の化合物と、脱水剤とを反応させて環化し、式(14)の化合物を得る工程。
すなわち、スキームIの方法は、工程I−1において、式(15)の化合物をハロゲン化剤と反応させ式(16)の化合物を得、工程I−2において、Rが水素原子、またはホルミル基以外の保護基であるとき、Rをホルミル基に変換するか、または、必要に応じて式(16)の化合物の保護基を除去した後、アミノ基をホルミル化することによって、式(17)の化合物を得、次いで、工程I−3において、式(17)の化合物と脱水剤とを反応させることによって、環化させて、式(14)の化合物を得るものである。
Xが臭素原子である場合、式(14)は下記式(14a)で表すことができる:

(工程I−1)
工程I−1における式(15)の化合物は、市販品を使用するか、常法により合成することができる。例えば、特開平8−311071号公報に記載の方法にしたがって、式(15)の化合物は合成することができる。
この工程は、式(15)の化合物のハロゲン化の反応である。式(15)の化合物とハロゲン化剤とを、反応に関与しない溶媒中において、塩基、および添加剤存在下に反応させることによって、式(16)の化合物を得ることができる。
工程I−1で用いられる溶媒としては、この工程の反応に関与しないものであれば特に限定されず、当業者であれば適宜選択可能である。溶媒の具体例としては、クロロホルム、塩化メチレン、エチルアルコール、メチルアルコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、水などが挙げられる。これらは、2種以上を混合して混合溶媒として用いてもよい。好ましくは、該溶媒は、テトラヒドロフランと水との混合溶媒である。
使用可能な塩基としては、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウムなどが挙げられる。好ましくは、塩基は、水酸化ナトリウムである。
添加剤としては、例えば、塩化ナトリウム、臭化ナトリウムなどの塩;および、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、酢酸、酢酸ナトリウムなどの緩衝剤が挙げられる。好ましくは、添加剤は、臭化ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムである。添加剤の使用量は、好ましくは、式(15)の化合物の重量の5〜50倍量である。
ハロゲン化剤としては、慣用のものが使用可能であるが、好ましくは塩素化剤、臭素化剤、ヨウ素化剤などが挙げられ、より好ましくは臭素化剤である。臭素化剤としては、例えば、臭素、N−ブロモコハク酸イミドなどが挙げられる。より好ましくは、ハロゲン化剤は、臭素である。ハロゲン化剤の使用量は、好ましくは、式(15)の化合物に対して、5〜10モル当量である。
反応温度は、用いられる溶媒などにより変化しうるが、通常は、0℃から用いられる溶媒の還流温度である。反応時間は用いられる溶媒、および反応温度などにより変化しうるが、通常は、10分〜24時間である。
得られた式(16)の化合物は、通常の後処理に付すことができる。ここで、通常の後処理とは、当業者であれば周知の処理であり、例えば、クエンチ(反応停止)、抽出などが挙げられる。さらに、沈殿、結晶化、ゲル濾過、シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどの慣用の手法を必要に応じて適用して、単離、精製することができる。
(工程I−2)
工程I−2は、式(16)の化合物のRが水素原子、またはホルミル基以外の保護基のとき、Rをホルミル基に変換するか、または、必要に応じて式(16)の化合物の保護基を除去した後、アミノ基をホルミル化することによって、式(17)の化合物を得る工程である。
アミノ基の保護基を除去する反応は、保護基の種類により異なるが、一般的な有機合成化学におけるアミノ基の保護基の除去反応を参考にして行うことができる。例えば、式(16)の化合物のアミノ基の保護基Rがt−ブトキシカルボニル基である場合、式(16)の化合物を、反応に関与しない溶媒(例えば、メタノール、エタノール、塩化メチレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ヘキサン、アニソールなど)中において、−20℃から用いられる溶媒の還流温度において、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などの酸、および/または、三塩化アルミニウム、ブロムカテコールボラン、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネートなどのルイス酸を、式(16)の化合物に対して0.1〜100モル当量用いて、10分〜24時間の間、反応させることによって、保護基のt−ブトキシカルボニル基を除去することができる。
アミノ基をホルミル化する反応は、一般的な有機合成化学におけるアミノ基のホルミル化反応を参考にして行うことができる。例えば、式(16)の化合物のRが水素原子である場合はそのまま、または、式(16)の化合物のアミノ基の保護基の除去の反応後に、反応に関与しない溶媒(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、水、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ヘキサンなど)中において、または溶媒を用いることなく、−20℃から用いられる溶媒の還流温度において、ギ酸エチル、ギ酸n−プロピルなどのギ酸エステル、ギ酸酢酸無水物、ギ酸ピバリン酸無水物などの混合酸無水物、または、ギ酸(4−ニトロフェニル)エステルなどの活性エステルなどを、式(16)の化合物に対して1〜100モル当量用いて、10分〜24時間の間、反応させることによって、アミノ基をホルミル化することができる。
得られた式(17)の化合物は、通常の後処理に付すことができる。さらに、沈殿、結晶化、ゲル濾過、シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどの慣用の手法を必要に応じて適用して、単離、精製することができる。
(工程I−3)
工程I−3は、式(17)の化合物の環化反応であり、例えば、特開平8−311071号公報に記載の方法にしたがって行うことができる。工程I−3においては、式(17)の化合物と脱水剤とを、反応に関与しない溶媒中において、または溶媒を用いることなく、反応させることによって、環化させて、式(14)の化合物を得ることができる。
工程I−3で用いられる溶媒としては、この反応に関与しないものであれば特に限定されず、当業者であれば適宜選択することができる。溶媒の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、塩化メチレン、クロロホルム、1、2−ジクロロエタンなどが挙げられる。好ましくは、該溶媒は、トルエンである。
脱水剤としては、例えば、オキシ塩化リン、オキシ臭化リン、五塩化リン、ポリリン酸、硫酸、塩化チオニル、トリフルオロ酢酸無水物、トリフルオロメタンスルホン酸無水物などが挙げられる。好ましくは、脱水剤は、オキシ塩化リンである。脱水剤の使用量は、好ましくは、式(17)の化合物に対して、1〜100モル当量である。
反応温度は用いられる溶媒などにより変化し得るが、通常は、−20℃から用いられる溶媒の還流温度である。反応時間は用いられる溶媒、および反応温度などにより変化し得るが、通常は、10分〜24時間である。
得られた式(14)の化合物は、通常の後処理に付すことができる。さらに、沈殿、結晶化、ゲル濾過、シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどの慣用の手法を必要に応じて適用して、単離、精製することができる。
(II) 式(4)および式(6)の化合物の製造
式(4)および式(6)の化合物は、例えば、以下に示すスキームIIの方法により合成することができる。
スキームII

[式中、X、Z11およびZ12は前記定義のとおりである]。
本発明において、式(4’)の化合物は、スキームIIに示されるように、下記工程(c)および(d)により得ることができる:
(c) 式(14)の化合物を、ビルスマイヤー錯体を用いてホルミル化して、下記式(18)の化合物を得、
(d) 得られた式(18)の化合物を下記式(19)の3−メタロピリジンと反応させて、Z11およびZ12の一方が水素原子で他方が水酸基である式(4’)の化合物(式(4a)の化合物)を得、この化合物の水酸基を保護するか、またはこの化合物の水酸基を酸化して得られるカルボニル基を保護して、式(4’)の化合物を得る工程:

[式中、Mはリチウム、MgBr、またはMgIを表す]。
式(6’)の化合物が必要である場合には、下記工程(e)をさらに実施することにより得ることができる:
(e) 得られた式(4’)の化合物をグリニア試薬を用いて処理して得られる化合物と、プロピオン酸誘導体と反応させて、式(6’)の化合物を得る工程。
(工程II−1)
工程II−1は、式(14)の化合物のホルミル化の反応であり、例えば、特開平8−311071号公報に記載の方法にしたがって行うことができる。すなわち、式(14)の化合物と、別途調製して得られたビルスマイヤー錯体とを、反応に関与しない溶媒中において反応させることによって、式(18)の化合物を得ることができる。
工程II−1で用いられる溶媒としては、この反応に関与しないものであれば特に限定されず、当業者であれば適宜選択することができる。溶媒の具体例としては、塩化メチレン、クロロホルム、1、2−ジクロロエタン、ジメチルホルムアミド、ニトロベンゼンなどが挙げられる。好ましくは、該溶媒は、塩化メチレンである。
ビルスマイヤー錯体とは、当業者に周知のホルミル化の反応、すなわちビルスマイヤー反応、において用いられる反応剤を意味し、当業者であれば適宜選択することができる。ビルスマイヤー錯体としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアニリド、N−ホルミルモルホリン、または、N,N−ジイソプロピルホルムアミドなどと、オキシ塩化リン、ホスゲン、塩化オキサリル、塩化チオニルなどのハロゲン化試剤とを反応させることによって得られるメチレンイミニウム化合物が挙げられる。ビルスマイヤー錯体の使用量は、好ましくは、式(14)の化合物に対して、1〜10モル当量である。
反応温度は用いられる溶媒などにより変化しうるが、通常、−20℃から用いられる溶媒の還流温度である。反応時間は用いられる溶媒、および反応温度などにより変化しうるが、通常、10分〜24時間である。
得られた式(18)の化合物は、通常の後処理に付すことができる。さらに、沈殿、結晶化、ゲル濾過、シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどの慣用の手法を必要に応じて適用して、単離、精製することができる。
(工程II−2)
工程II−2は、式(18)の化合物のホルミル基に対して、式(19)の3−メタロピリジンを反応させる工程であり、ここでは、式(18)の化合物と、別途調製しておいた3−メタロピリジンとを、反応に関与しない溶媒中において反応させることによって、式(4a)の化合物を得ることができる。
工程II−2で用いられる溶媒は、この反応に関与しないものであれば特に限定されず、当業者であれば適宜選択することができる。溶媒の具体例としては、エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ヘキサンなどが挙げられる。好ましくは、該溶媒は、テトラヒドロフランである。
3−メタロピリジンは、当業者に周知の方法により調製して得ることができる。例えば、3−ブロモピリジン、または3−ヨードピリジンなどと、n−ブチルリチウム、t−ブチルリチウムなどの有機リチウム化合物、またはエチルマグネシウムブロミド、メチルマグネシウムヨーダイドなどのグリニア試薬と、金属マグネシウムなどとを、エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ヘキサンなどの溶媒中において、−100℃〜用いられる溶媒の還流温度で、10分〜24時間の間、反応させることによって、3−メタロピリジンを調製できる。
工程II−2において、3−メタロピリジンの使用量は、好ましくは、式(18)の化合物に対して、1〜2モル当量である。
反応温度は用いられる溶媒などにより変化しうるが、通常、−100℃から用いられる溶媒の還流温度である。反応時間は用いられる溶媒、および反応温度などにより変化しうるが、通常、10分〜24時間である。
得られた式(4a)の化合物は、通常の後処理に付すことができる。さらに、沈殿、結晶化、ゲル濾過、シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどの慣用の手法を必要に応じて適用して、単離、精製することができる。
(工程II−3)
工程II−3は、式(4a)の化合物の水酸基を保護する工程であり、ZおよびZの一方が水素原子を表し、他方が保護された水酸基を表す、式(4)の化合物(式(4’)の化合物)を得ることができる。
工程II−3において用いることができる水酸基の保護基は、特に限定されず、例えば、t−ブチルジメチルシリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基などのトリアルキルシリル基;4−ニトロベンジルオキシカルボニル基、4−メトキシベンジルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基などのオキシカルボニル基;ベンジル基、4−メトキシベンジル基などのアラルキル基などが挙げられる。好ましくは、該保護基は、トリエチルシリル基である。
この水酸基の保護反応は、保護基の種類によって異なるが、一般的な有機合成反応における水酸基の保護反応を参考にして行うことができる。例えば、保護基がトリエチルシリル基である場合、式(4a)の化合物を、反応に関与しない溶媒(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミドなど)中で、−20℃から用いられる溶媒の還流温度において、塩基(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、イミダゾールなど)存在下、トリエチルシリル化剤(例えば、トリエチルシリルクロリド、トリエチルシリルトリフルオロメタンスルホネートなど)を、式(4a)の化合物に対して1〜10モル当量用いて、10分〜24時間反応させることによって、式(4’)の化合物を得ることができる。
得られた式(4’)の化合物(ZおよびZの一方が水素原子を表し、他方が保護された水酸基を表す、式(4)の化合物)は、通常の後処理に付すことができる。さらに、沈殿、結晶化、ゲル濾過、シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどの慣用の手法を必要に応じて適用して、単離、精製することができる。
(工程II−4)
工程II−4は、式(4a)の化合物の水酸基を酸化する反応であり、式(4b)の化合物(ZおよびZが一緒になって酸素原子を表す、式(4)の化合物)を得ることができる。
工程II−4における水酸基の酸化反応は、水酸基以外の原子、および官能基に関与しないものであれば、いずれの酸化反応であってもよく、当業者であれば、一般的な有機合成化学における水酸基の酸化の反応を参考にして適宜実施することができる。例えば、二酸化マンガンを用いて酸化反応を実施する場合、式(4a)の化合物を、反応に関与しない溶媒(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、メタノール、エタノール、酢酸エチル、テトラヒドロフランなど)中に、−20℃から用いられる溶媒の還流温度において、二酸化マンガンを、式(4a)の化合物の重量の1〜10倍量用いて、10分〜24時間反応させることによって、前記式(4b)の化合物を得ることができる。
得られた式(4b)の化合物は、通常の後処理に付すことができる。さらに、沈殿、結晶化、ゲル濾過、シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどの慣用の手法を必要に応じて適用して、単離、精製することができる。
(工程II−5)
工程II−5は、式(4b)の化合物のカルボニル基を保護する工程であり、ZおよびZが一緒になってカルボニル基の保護基を表す、式(4)の化合物(式(4’)の化合物)を得ることができる。
工程II−5で用いることができるカルボニルの保護基は、特に限定されず、例えば、ジメトキシ、ジエトキシのようなジアルコキシ基;エチレンジオキシ、トリメチレンジオキシのようなアルキレンジオキシ基;エチレンジチオ、トリメチレンジチオのようなアルキレンジチオ基;ジメチルヒドラゾン、フェニルヒドラゾンなどのヒドラゾン基、オキシム基、O−メチルオキシム基、O−ベンジルオキシム基、メチレン基などが挙げられる。好ましくは、カルボニルの保護基は、ジメトキシ基、ジエトキシ基などのジアルコキシ基;ジメチルヒドラゾンなどのヒドラゾン基であり、より好ましくは、ジメトキシ基である。
このカルボニル基の保護反応は、保護基の種類によって異なるが、一般的な有機合成反応におけるカルボニル基の保護の反応を参考にして行うことができる。例えば、カルボニル基の保護基がジメトキシ基である場合、式(4b)の化合物を、メタノール中で、−20℃から還流温度において、式(4b)の化合物に対して1〜100モル当量のオルトギ酸トリメチル存在下、1〜30モル当量の硫酸、トシル酸などの酸を用いて、10分〜24時間の間処理することによって、前記した式(4’)の化合物を得ることができる。
得られた式(4’)の化合物(ZおよびZが一緒になってカルボニル基の保護基を表す、式(4)の化合物)は、通常の後処理に付すことができる。さらに、沈殿、結晶化、ゲル濾過、シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどの慣用の手法を必要に応じて適用して、単離、精製することができる。
上記工程II−1〜II−5を利用することにより、式(4)の化合物(式中、ZおよびZは一緒になって、酸素原子、またはカルボニル基の保護基を表すか、または、ZおよびZの一方が水素原子を表し、かつ、他方が水酸基または保護された水酸基を表し、Xは、ハロゲン原子を表す)を適宜得ることができる。
(工程II−6および工程II−7)
工程II−6は、反応に関与しない溶媒中において、式(4’)の化合物をグリニア試薬で処理する工程であり、工程II−7は、工程II−6で得られた化合物と、プロピオン酸誘導体と反応させることによって、式(6’)の化合物を得る工程である。
工程II−6で用いられる溶媒としては、この反応に関与しないものであれば特に限定されず、当業者であれば適宜選択することができる。溶媒の具体例としては、塩化メチレン、エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ベンゼン、トルエンなどが挙げられる。好ましくは、該溶媒は、テトラヒドロフランである。
用いられるグリニア試薬としては、特に限定されず、当業者であれば適宜選択することができる。グリニア試薬の具体例としては、アルキルマグネシウムクロリド、アルキルマグネシウムブロミド、アルキルマグネシウムヨーダイド、アリールマグネシウムブロミドが挙げられる。好ましくは、グリニア試薬は、アルキルマグネシウムブロミドである。グリニア試薬の使用量は、好ましくは、式(4’)の化合物に対して、1〜2モル当量である。
反応温度は用いられる溶媒などにより変化しうるが、通常、−100℃から用いられる溶媒の還流温度である。反応時間は用いられる溶媒、および反応温度などにより変化しうるが、通常、10分〜24時間である。
得られた反応混合物は、そのまま工程II−7において用いることができる。
工程II−7で用いることができるプロピオン酸誘導体は、例えば、N−メチル−N−メトキシプロピオンアミド、プロピオン酸無水物、塩化プロピオニル、および、プロピオン酸(ピリジン−2−イルチオ)エステルからなる群より選択される。好ましくは、プロピオン酸誘導体は、N−メチル−N−メトキシプロピオンアミドである。プロピオン酸誘導体の使用量は、好ましくは、式(4’)の化合物に対して、1〜3モル当量である。
本発明の一つの好ましい態様によれば、グリニア試薬が、アルキルマグネシウムクロリド、アルキルマグネシウムブロミド、アルキルマグネシウムヨーダイド、およびアリールマグネシウムブロミドからなる群より選択され、かつ、プロピオン酸誘導体が、N−メチル−N−メトキシプロピオンアミド、プロピオン酸無水物、塩化プロピオニル、および、プロピオン酸(ピリジン−2−イルチオ)エステルからなる群より選択される。
反応温度は用いられる溶媒などにより変化しうるが、通常、−100℃から用いられる溶媒の還流温度である。反応時間は用いられる溶媒、および反応温度などにより変化しうるが、通常、10分〜24時間である。
得られた式(6’)の化合物は、通常の後処理に付すことができる。さらに、沈殿、結晶化、ゲル濾過、シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどの慣用の手法を必要に応じて適用して、単離、精製することができる。
上記工程II−6〜II−7、および慣用の方法を利用することにより、式(6)の化合物(式中、ZおよびZは一緒になって、酸素原子、またはカルボニル基の保護基を表すか、または、ZおよびZの一方が水素原子を表し、かつ、他方が水酸基または保護された水酸基を表す)を適宜得ることができる。
(III) 式(1)の化合物(式中、Yが酸素原子である)の製造
Yが酸素原子である式(1)の化合物は、例えば、以下に示すスキームIIIの方法により合成することができる。
スキームIII

[式中、R、R11、Z、Z、Z11、Z12、R、およびLは、前記定義のとおりである]。
本発明において、式(1)の化合物は、スキームIIIに示されるように、下記工程(f)および(g)により得ることができる:
(f) 式(6’)の化合物を、アルカリ金属塩基、または、塩基およびI〜IV価の金属化合物を用いて処理して得られる化合物と、式(7)の化合物とを反応させて、必要に応じて、保護基の除去および/または保護基の導入および/または酸化を行って、式(8)の化合物を得る工程:
(g) 式(8)の化合物と、下記式(9)の化合物とを塩基存在下で反応させることを含んでなる方法:
COCOOR (9)
[式中、Rはカルボキシル基の保護基を表し、Lは、脱離基を表す]。
すなわち、スキームIIIの方法は、工程III−1において、式(6’)の化合物を、反応に関与しない溶媒中で、必要に応じて添加剤の存在下に、アルカリ金属塩基で処理するか、または塩基およびI〜IV価の金属化合物で処理して、金属エノラートとし、次いで工程III−2において、この化合物と式(7)の化合物とを反応させて、式(8)の化合物を得、必要に応じてIII−3工程において、保護基を除去する工程および/または酸化する工程および/または保護基を導入する工程を実施した後、III−4工程において式(8)または式(8’)の化合物と式(9)の化合物とを反応させて、Yが酸素原子である式(1)の化合物を得るものである。
(工程III−1)
工程III−1においては、式(6’)の化合物をアルカリ金属塩基で処理して対応する金属エノラートとする方法(以下、「A法」ということがある)と、または、式(6’)の化合物を塩基およびI〜IV価の金属化合物で処理して対応する金属エノラートとする方法(以下、「B法」ということがある)とがある。
A法: A法において用いられる溶媒は、この反応に関与しないものであれば特に限定されず、当業者であれば適宜選択することができる。溶媒の具体例としては、エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、トルエン、ヘキサンなどが挙げられる。好ましくは、該溶媒は、テトラヒドロフランである。
使用可能な添加剤としては、塩化リチウム、臭化リチウム、酢酸リチウムなどのリチウム塩が好ましい。添加剤の使用量は、好ましくは、式(6’)の化合物に対して、1〜10モル当量である。
用いられるアルカリ金属塩基としては、アルカリ金属を有する塩基であって、式(6’)の化合物のカルボニル基のアルファ位から水素原子を引き抜いてエノラートを形成するのに十分な塩基性を有するものであれば、いずれのものであっても使用可能である。アルカリ金属塩基の具体例としては、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムイソプロピルシクロヘキシルアミド、リチウムジシクロヘキシルアミド、リチウムビストリメチルシリルアミド、ナトリウムビストリメチルシリルアミド、カリウムビストリメチルシリルアミド、ブロモマグネシウムジイソプロピルアミド、ヨードマグネシウムジイソプロピルアミド、ブロモマグネシウムビストリメチルシリルアミド、ヨードマグネシウムビストリメチルシリルアミド、リチウム−N−イソプロピル−N−フェニルアミド、リチウム−N−イソプロピル−N−ナフチルアミドなどのアルカリ金属アミド、水素化ナトリウム、水素化カリウムなどの水素化アルカリ金属;カリウム−t−ブトキシド、ナトリウム−t−ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド;および、n−ブチルリチウム、メチルリチウム、フェニルリチウムなどの有機リチウム化合物が挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。好ましいアルカリ金属塩基は、リチウムビストリメチルシリルアミドである。アルカリ金属塩基の使用量は、好ましくは、式(6’)の化合物に対して、1〜3モル当量である。
反応温度は用いられる溶媒などにより変化しうるが、通常、−100℃から用いられる溶媒の還流温度である。反応時間は用いられる溶媒、および反応温度などにより変化し得るが、通常、10分〜24時間である。
B法: B法において用いられる溶媒は、この反応に関与しないものであれば特に限定されず、当業者であれば適宜選択することができる。溶媒の具体例としては、エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、トルエン、ヘキサン、塩化メチレン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。好ましくは、該溶媒は、塩化メチレンである。
用いられる塩基としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウムなどの無機塩基類;トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、N−エチルピペリジン、N−メチルモルホリンなどの第3級アミン;ピリジン、2,6−ルチジン、N,N−ジメチルアミノピリジンなどの芳香族アミン;リチウムジイソプロピルアミド、リチウムイソプロピルシクロヘキシルアミド、リチウムジシクロヘキシルアミド、リチウムビストリメチルシリルアミド、ナトリウムビストリメチルシリルアミド、カリウムビストリメチルシリルアミド、ブロモマグネシウムジイソプロピルアミド、ヨードマグネシウムジイソプロピルアミド、ブロモマグネシウムビストリメチルシリルアミド、ヨードマグネシウムビストリメチルシリルアミド、リチウム−N−イソプロピル−N−フェニルアミド、リチウム−N−イソプロピル−N−ナフチルアミドなどのアルカリ金属アミド;および、カリウム−t−ブトキシド、ナトリウム−t−ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシドが挙げられる。塩基は、好ましくは、トリエチルアミン、N−エチルピペリジン、ピリジン、2,6−ルチジンである。塩基の使用量は、好ましくは、式(6’)の化合物に対して、1〜5モル当量である。
用いられるI〜IV価の金属化合物としては、例えば、チタニウムテトラクロリド、トリクロロイソプロポキシチタニウム、ジクロロジイソプロポキシチタニウム、クロロトリイソプロポキシチタニウム、チタニウムテトライソプロポキシド、ジクロロジシクロペンタジエニルチタニウム、ジルコニウムテトラクロリド、ジクロロジシクロペンタジエニルジルコニウム、スズ(II)トリフルオロメタンスルホネート、銀トリフルオロメタンスルホネート、銅(II)トリフルオロメタンスルホネート、亜鉛(II)トリフルオロメタンスルホネート、塩化亜鉛、臭化亜鉛、よう化亜鉛、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、塩化スズ(II)、クロロトリメチルシラン、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、tert−ブチルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、ジ−n−ブチルボロントリフルオロメタンスルホネート、ボロントリクロリド、ボロントリイソプロポキシド、エチレンクロロボロネートなどが挙げられる。I〜IV価の金属化合物は、好ましくは、スズ(II)トリフルオロメタンスルホネートである。I〜IV価の金属化合物の使用量は、好ましくは、式(6’)の化合物に対して、1〜5モル当量である。
反応温度は用いられる溶媒などにより変化しうるが、通常、−100℃から用いられる溶媒の還流温度である。反応時間は用いられる溶媒、および反応温度などにより変化しうるが、通常、10分〜24時間である。
このようにして得られた反応混合物は、そのままIII−2工程で用いることができる。
(工程III−2)
工程III−2は、工程III−1において得られた反応混合物を、式(7)の化合物と反応させ、式(8)の化合物を得る工程である。
用いられる式(7)の化合物は、当該分野において当業者に周知の化合物であり、市販品を使用してもよいが、当業者に公知の方法により適宜合成して得てもよい。式(7)の化合物としては、工業規模で生産されいて大量に入手が可能であることから、(3S,4R)−4−アセトキシ−3−[(1R)−1−tert−ブチルジメチルシリルオキシエチル]アゼチジン−2−オン(下記式(20)の化合物)を使用することが好ましい。

[式中、Acは、アセチル基を表す]。
反応温度は用いられる溶媒などにより変化しうるが、通常、−100℃から用いられる溶媒の還流温度である。反応時間は用いられる溶媒、および反応温度などにより変化しうるが、通常、10分〜24時間である。
このようにして得られた式(8)の化合物は、通常の後処理に付すことができる。さらに、沈殿、結晶化、ゲル濾過、シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどの慣用の手法を必要に応じて適用して、単離、精製することができる。
(工程III−3)
工程III−3は、任意工程であり、工程III−2において得られた式(8)の化合物を、必要に応じて、保護基を除去する工程および/または保護基を導入する工程および/または酸化する工程に付すことができる。
例えば、式(8)中のZおよびZが一緒になってカルボニル基の保護基を表す場合、式(8)の化合物の当該保護基を除去することにより、Z11およびZ12が一緒になって酸素原子を表す式(8’)の化合物に変換することができる。保護基を除去する反応は保護基の種類により異なるが、一般的な有機合成化学におけるカルボニル基の保護基の除去の反応を参考にして行うことができる。例えば、ZおよびZがメトキシ基である場合、式(8)の化合物を、反応に関与しない溶媒(例えば、メタノール、エタノール、水、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、塩化メチレン、クロロホルム、アセトン、アセトニトリルなど)中で、−20℃から用いられる溶媒の還流温度において、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などの酸を、式(8)の化合物に対して0.1〜100モル当量用い、10分〜24時間反応させることによって、保護基であるジメトキシ基を除去することができる。このとき、Rの水酸基の保護基が同時に除去されてRが水素原子になっても良い。
式(8)のZおよびZの一方が水素原子を表し、他方が保護された水酸基を表す場合、水酸基の保護基を除去することにより、Z11およびZ12の一方が水素原子を表し、他方が水酸基を表す式(8’)の化合物に変換することができる。水酸基の保護基を除去する反応は、保護基の種類により異なるが、一般的な有機合成化学における水酸基の保護基の除去の反応を参考にして行うことができる。例えば、水酸基の保護基がトリエチルシリル基である場合、式(8)の化合物を、反応に関与しない溶媒(例えば、メタノール、エタノール、水、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、塩化メチレン、クロロホルム、アセトン、アセトニトリルなど)中で、−20℃から用いられる溶媒の還流温度において、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などの酸、またはテトラブチルアンモニウムフロリドなどのようなフッ素試薬を、式(8)の化合物に対して0.1〜100モル当量用い、10分〜24時間反応させることによって、保護基であるトリエチルシリル基を除去することができる。ここで、Rの水酸基の保護基が同時に除去されてRが水素原子になっても良い。
また、式(8)のZおよびZが一緒になって酸素原子を表すもの以外である場合、式(8)の化合物を酸化反応に付すことにより、Z11およびZ12が一緒になって酸素原子を表す式(8’)の化合物に変換することができる。酸化反応は、一般的な有機合成化学における酸化の反応を参考にして行うことができる。例えば、二酸化マンガンを用いる酸化反応の場合、式(8)の化合物を、反応に関与しない溶媒(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、メタノール、エタノール、酢酸エチル、テトラヒドロフランなど)中で、−20℃から用いられる溶媒の還流温度において、二酸化マンガンを式(8)の化合物の重量の1〜10倍量用いて、10分〜24時間反応させることによって、Z11およびZ12が一緒になってカルボニル基を表す式(8’)の化合物を得ることができる。
式(8)の化合物のRが水素原子を表す場合、その水酸基を保護することができる。水酸基の保護の反応は、保護基により異なるが、一般的な有機合成化学における水酸基の保護の反応を参考にして行うことができる。例えば、所望する保護基がトリエチルシリル基である場合、Rが水素原子を表す式(8)の化合物を、反応に関与しない溶媒(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミドなど)中で、−20℃から用いられる溶媒の還流温度において、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、イミダゾールなどの塩基存在下、トリエチルシリル化剤(例えば、トリエチルシリルクロリド、トリエチルシリルトリフルオロメタンスルホネートなど)を、式(8)の化合物に対して1〜10モル当量用い、10分〜24時間反応させることによって、Rが保護された水酸基である式(8’)の化合物を得ることができる。
式(8)の化合物のRがアミノ基の保護基を表す場合、その保護基を除去することにより、Rが水素原子を表す式(8)の化合物に変換することができる。アミノ基の保護基を除去する反応は、保護基の種類により異なるが、一般的な有機合成化学におけるアミノ基の保護基の除去の反応を参考にして行うことができる。例えば、アミノ基の保護基がトリエチルシリル基である場合、式(8)の化合物を、反応に関与しない溶媒(例えば、メタノール、エタノール、水、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチル、ホルムアミド、塩化メチレン、クロロホルム、アセトン、アセトニトリルなど)中で、−20℃から用いられる溶媒の還流温度において、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などの酸、またはテトラブチルアンモニウムフロリドなどのようなフッ素試薬を、式(8)の化合物に対し0.1〜100モル当量用い、10分〜24時間反応させることによって、保護基を除去することができる。
このようにして得られた式(8’)の化合物(式中、Rが保護された水酸基である)は、通常の後処理に付すことができる。さらに、沈殿、結晶化、ゲル濾過、シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどの慣用の手法を必要に応じて適用して、単離、精製することができる。
工程III−3により、式(8)において、ZおよびZをこの式に包含されるいずれの形態に相互に変換することが可能であり、またRおよびRの置換基も、同様に、この式に包含されるいずれの形態に相互に変換することが可能である。したがって、式(8)の化合物を、必要に応じて式(8’)の化合物に変換することができる。また同様にして、式(8’)の化合物を、式(8)の化合物に必要に応じて変換することもできる。
(工程III−4)
工程III−4は、式(8)または式(8’)の化合物と式(9)の化合物とを塩基存在下において反応させて、Yが酸素原子である式(1)の化合物を得る工程である。
工程III−4において用いられる溶媒は、この反応に関与しないものであれば、特に限定されず、当業者であれば適宜合成することができる。溶媒の具体例としては、塩化メチレン、クロロホルム、エーテル、テトラヒドロフラン、トルエン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。好ましくは、該溶媒は、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、トルエンである。
式(9)の化合物は、市販品を用いるか、または、当業者に公知の方法により合成することにより容易に入手することができる。式(9)の化合物の使用量は、式(8)の化合物に対して、1〜3モル当量が好ましい。
用いられる塩基としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウムなどの無機塩基類;トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、N−エチルピペリジン、N−メチルモルホリンなどの第3級アミン;ピリジン、2,6−ルチジン、N,N−ジメチルアミノピリジンなどの芳香族アミン;リチウムジイソプロピルアミド、リチウムイソプロピルシクロヘキシルアミド、リチウムジシクロヘキシルアミド、リチウムビストリメチルシリルアミド、ナトリウムビストリメチルシリルアミド、カリウムビストリメチルシリルアミド、ブロモマグネシウムジイソプロピルアミド、ヨードマグネシウムジイソプロピルアミド、ブロモマグネシウムビストリメチルシリルアミド、ヨードマグネシウムビストリメチルシリルアミド、リチウム−N−イソプロピル−N−フェニルアミド、リチウム−N−イソプロピル−N−ナフチルアミドなどのアルカリ金属アミドなどが挙げられる。好ましくは、該塩基は、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、2,6−ルチジンである。塩基の使用量は、式(8)または式(8’)の化合物に対して、1〜3モル当量が好ましい。
反応温度は用いられる溶媒などにより変化し得るが、通常、−80℃から用いられる溶媒の還流温度である。反応時間は用いられる溶媒、および反応温度などにより変化しうるが、通常、10分〜24時間である。
得られる式(1)の化合物(式中Y=Oである)は、通常の後処理に付すことができる。さらに、沈殿、結晶化、グル濾過、シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどの慣用の手法を必要に応じて適用して、単離、精製することができる。
(IV) 式(1)の化合物(式中、Yが基P(Rである)の製造(a)
Yが基P(Rである式(1)の化合物は、例えば、以下のスキームIVの方法により合成することができる。
スキームIV

[式中、R、R11、R、R、Z、Z、Z11、およびZ12は前記定義のとおりであり、Xは、ハロゲン原子を表す]。
本発明において、式(1)の化合物[式中Yが基P(Rである]の製造方法は、スキームIVに示されるように、式(8)の化合物(好ましくは式(8’)の化合物)と、式(10)の化合物またはその反応性等価物とを反応させて得られる下記式(11)の化合物の水酸基を、ハロゲン化剤を用いてハロゲン化し、得られた化合物(典型的には式(12)の化合物)と、式(13)の化合物とを反応させることを含んでなる。ここで、式(10)の化合物と、式(13)の化合物は下記の通りである:
HC(=O)−COOR (10)
P(R (13)
[これら式中、R、およびRは、前記定義のとおりである]。
ここで、式(10)の化合物の「反応性等価物」とは、式(10)の化合物を使用した場合に引き起こされる反応と同等の反応を引き起こしうる化合物であって、当業者が容易に選択しうるものであれば、いずれのものも包含される。前記「反応性等価物」の具体例としては、式(10)の化合物の水和物、そのヘミアセタール等が挙げられる。式(10)の化合物の水和物としては、例えば、一水和物(HOCH(OH)COOR)が好適なものとして挙げられる。式(10)の化合物の「反応性等価物」は、好ましくは、一水和物であり、より好ましくは、グリオキシル酸(4−ニトロベンジル)エステル一水和物、グリオキシル酸アリルエステル一水和物である。
すなわち、スキームIVの方法は、工程IV−1において、式(8’)の化合物と式(10)の化合物またはその反応性等価物とを反応させて式(11)の化合物を得、IV−2工程において、式(11)の化合物の水酸基を塩基存在下においてハロゲン化剤と反応させて式(12)の化合物を得、IV−3工程において、式(12)の化合物と式(13)の化合物とを反応させ、式(1)の化合物を得るものである。
(工程IV−1)
工程IV−1で用いられる溶媒は、この反応に関与しないものであれば特に限定されず、当業者であれば適宜合成することができる。溶媒の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジオキサン、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。好ましくは、該溶媒は、トルエンである。
式(10)の化合物またはその反応性等価物は、市販品を用いるか、または、当業者に公知の方法により合成することにより容易に入手することができる。式(10)の化合物またはその反応性等価物の使用量は、式(8’)の化合物に対して、1〜3モル当量が好ましい。
反応温度は用いられる溶媒などにより変化しうるが、通常、室温から用いられる溶媒の還流温度である。反応時間は用いられる溶媒、および反応温度などにより変化しうるが、通常、10分〜24時間である。
得られた式(11)の化合物は、通常の後処理に付すことができる。さらに、沈殿、結晶化、ゲル濾過、シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどの慣用の手法を必要に応じて適用して、単離、精製することができる。
(工程IV−2)
工程IV−2で用いられる溶媒は、この反応に関与しないものであれば特に限定されず、当業者であれば適宜合成することができる。溶媒の具体例としては、エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、塩化メチレン、クロロホルム、酢酸エチル、トルエン、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。好ましくは、該溶媒は、テトラヒドロフランである。
ハロゲン化剤としては、公知のものであればいずれのものも使用可能である。ハロゲン化剤の具体例としては、塩化チオニル、臭化チオニル、ホスホラスオキシクロリド、ホスホラスオキシブロミドなどが挙げられる。好ましくは、該ハロゲン化剤は、塩化チオニルである。ハロゲン化剤の使用量は、式(11)の化合物に対して、1〜3当量が好ましい。
用いられる塩基としては、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、N−エチルピペリジン、N−メチルモルホリンなどの第3級アミン;ピリジン、2,6−ルチジン、N,N−ジメチルアミノピリジンなどの芳香族アミンなどが挙げられる。好ましくは、塩基は、ピリジン、または2,6−ルチジンである。塩基の使用量は、式(11)の化合物に対して、1〜3モル当量が好ましい。
反応温度は用いられる溶媒などにより変化し得るが、通常、−50℃から用いられる溶媒の還流温度である。反応時間は用いられる溶媒、および反応温度などにより変化しうるが、通常、10分〜24時間である。
得られた式(12)の化合物は、通常の後処理に付すことができる。さらに、沈殿、結晶化、ゲル濾過、シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどの慣用の手法を必要に応じて適用して、単離、精製することができる。
(工程IV−3)
工程IV−3で用いられる溶媒は、この反応に関与しないものであれば特に限定されず、当業者であれば適宜合成することができる。溶媒の具体例としては、ヘキサン、トルエン、エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。好ましくは、該溶媒は、ジメチルホルムアミドである。
式(13)の化合物としては、例えば、トリn−ブチルホスフィン、トリt−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリp−トリルホスフィンなどが挙げられる。好ましくは、式(13)の化合物は、トリフェニルホスフィンである。式(13)の化合物は、市販品を用いるか、または、当業者に公知の方法により合成することにより容易に入手することができる。式(13)の化合物の使用量は、式(12)の化合物に対して、1〜3モル当量が好ましい。
反応温度は用いられる溶媒などにより変化しうるが、通常、室温から用いられる溶媒の還流温度である。反応時間は用いられる溶媒、および反応温度などにより変化しうるが、通常、10分〜24時間である。
得られた式(1)の化合物(式中、Yが基P(Rである)は、通常の後処理に付すことができる。さらに、沈殿、結晶化、ゲル濾過、シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどの慣用の手法を必要に応じて適用して、単離、精製することができる。
(V) 式(1)の化合物(式中、Yが基P(Rである)の製造(b)
Yが基P(Rである式(1)の化合物はまた、例えば、以下のスキームVの方法により合成することができる。
スキームV

[式中、R、R11、R、R、R、Z、Z、Z11、Z12、およびXは前記定義のとおりである]。
本発明において、式(1)の化合物[式中Yが基P(Rである]の製造方法は、スキームVに示されるように、式(4’)の化合物をグリニア試薬により処理して得られる反応混合物と、式(5)の化合物とを反応させることを含んでなる。
すなわち、スキームVの方法は、反応に関与しない溶媒中において、工程V−1において、式(4)の化合物(好ましくは式(4’)の化合物)をグリニア試薬で処理し、次いで、工程V−2において、得られた反応混合物と、式(5)の化合物とを反応させることによって、Yが基P(Rである式(1)の化合物を得るものである。
(工程V−1)
工程V−1で用いられる溶媒は、この反応に関与しないものであれば特に限定されず、当業者であれば適宜合成することができる。溶媒の具体例としては、塩化メチレン、エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ベンゼン、トルエンなどが挙げられる。好ましくは、該溶媒は、テトラヒドロフランである。
グリニア試薬としては、例えば、アルキルマグネシウムクロリド、アルキルマグネシウムブロミド、アルキルマグネシウムヨーダイド、アリールマグネシウムブロミドが挙げられる。好ましくは、グリニア試薬は、アルキルマグネシウムブロミドである。グリニア試薬の使用量は、好ましくは、式(4’)の化合物に対して、1〜2モル当量である。
本発明の一つの好ましい態様によれば、グリニア試薬による処理は、グリニア試薬としてアルキルマグネシウムブロミドを用いて、塩化メチレン、エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ベンゼン、およびトルエンからなる群より選択される溶媒中において実施される。
反応温度は用いられる溶媒などにより変化しうるが、通常、−100℃から用いられる溶媒の還流温度である。反応時間は用いられる溶媒、および反応温度などにより変化しうるが、通常、10分〜24時間である。
このようにして得られた反応混合物は、そのまま工程V−2で用いることができる。
(工程V−2)
工程V−2で用いられる溶媒は、この反応に関与しないものであれば特に限定されず、当業者であれば適宜合成することができる。溶媒の具体例としては、塩化メチレン、エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ベンゼン、トルエンなどが挙げられる。好ましくは、該溶媒は、トルエン、またはテトラヒドロフランである。
式(5)の化合物は、WO01/53305に記載の方法にしたがって合成し入手することができる。式(5)の化合物としては、(3S,4R)−1−[アリルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]−3−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−(4−ジメチルアミノベンゾイルオキシカルボニル)エチル]アゼチジン−2−オン、または(3S,4R)−1−[アリルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]−3−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−(4−ジエチルアミノベンゾイルオキシカルボニル)エチル]アゼチジン−2−オンが好ましい。式(5)の化合物の使用量は、式(4’)の化合物に対して、1〜3モル当量が好ましい。
反応温度は用いられる溶媒などにより変化しうるが、通常、−100℃から用いられる溶媒の還流温度である。反応時間は用いられる溶媒、および反応温度などにより変化しうるが、通常、10分〜24時間である。
得られた式(1)の化合物(式中、Yが基P(Rである)は、通常の後処理に付すことができる。さらに、沈殿、結晶化、ゲル濾過、シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどの慣用の手法を必要に応じて適用して、単離、精製することができる。
得られた式(1)のZおよびZが一緒になってカルボニル基の保護基を表す場合、保護基を除去することにより、ZおよびZが一緒になって酸素原子を表す式(1)の化合物に変換することができる。保護基を除去する反応は保護基の種類により異なるが、一般的な有機合成化学におけるカルボニル基の保護基の除去の反応を参考にして行うことができる。例えば、ZおよびZがメトキシ基である場合、式(1)の化合物を、反応に関与しない溶媒(例えば、メタノール、エタノール、水、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、塩化メチレン、クロロホルム、アセトン、アセトニトリルなど)中で、−20℃から用いられる溶媒の還流温度において、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などの酸を、式(1)の化合物に対して0.1〜100モル当量用い、10分〜24時間反応させることによって、保護基であるジメトキシ基を除去することができる。このとき、Rの水酸基の保護基が同時に除去されてRが水素原子になっても良い。
式(1)のZおよびZの一方が水素原子を表し、他方が保護された水酸基を表す場合、水酸基の保護基を除去することにより、ZおよびZの一方が水素原子を表し、他方が水酸基を表す式(1)の化合物に変換することができ、さらに酸化反応を行うことにより、ZおよびZが一緒になって酸素原子を表す式(1)の化合物に変換することができる。水酸基の保護基を除去する反応は、保護基の種類により異なるが、一般的な有機合成化学における水酸基の保護基の除去の反応を参考にして行うことができる。例えば、水酸基の保護基がトリエチルシリル基である場合、式(1)の化合物を、反応に関与しない溶媒(例えば、メタノール、エタノール、水、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、塩化メチレン、クロロホルム、アセトン、アセトニトリルなど)中で、−20℃から用いられる溶媒の還流温度において、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などの酸、またはテトラブチルアンモニウムフロリドなどのようなフッ素試薬を、式(1)の化合物に対して0.1〜100モル当量用い、10分〜24時間反応させることによって、保護基であるトリエチルシリル基を除去することができる。このとき、Rの水酸基の保護基が同時に除去されてRが水素原子になっても良い。また、酸化反応は、一般的な有機合成化学における酸化の反応を参考にして行うことができる。例えば、二酸化マンガンを用いる酸化反応の場合、式(1)の化合物を、反応に関与しない溶媒(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、メタノール、エタノール、酢酸エチル、テトラヒドロフランなど)中で、−20℃から用いられる溶媒の還流温度において、二酸化マンガンを式(1)の化合物の重量の1〜10倍量用いて、10分〜24時間反応させることによって、ZおよびZが一緒になってカルボニル基を表す式(1)の化合物を得ることができる。
このようにして得られた式(1)の化合物は、通常の後処理に付すことができる。さらに、沈殿、結晶化、ゲル濾過、シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどの慣用の手法を必要に応じて適用して、単離、精製することができる。
式(2)の化合物は、式(1)の化合物をカルバペネム環を形成しうる条件下において処理することにより得ることができる。カルバペネム環形成条件は当該分野において当業者に周知である。
(VI) 式(2)の化合物の製造(a)
式(2)の化合物は、式(1)の化合物[式中、Yが酸素である]から以下に示す方法により合成することができる。
スキームVI

[式中、R、R、R、Z、およびZは前記定義のとおりである]。
本発明において、式(2)の化合物の製造方法は、式(1)の化合物を、カルバペネム環を形成しうる条件下において処理して、閉環反応によりカルバペネム環を形成させ、必要に応じて保護基の除去および/または酸化を行うことを含んでなる。
スキームVIの方法は、式(1)中のYが酸素原子である場合であり、式(1)の化合物を、反応に関与しない溶媒中で、下記式(21)の化合物とを反応させることによって、式(2)の化合物を得るものである。
P(R (21)
[式中、Rは、同一でも異なっていてもよく、C1−6アルキル基、またはC1−6アルコキシ基を表す]。
よって本発明の一つの好ましい態様によれば、カルバペネム環を形成させる処理を、式(1)の化合物と、式(21)の化合物とを反応させることによって行う。
用いられる溶媒は、この反応に関与しないものであれば特に限定されず、当業者であれば適宜合成することができる。溶媒の具体例としては、ヘキサン、塩化メチレン、クロロホルム、イソプロピルアルコール、エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエンなどが挙げられる。好ましくは、該溶媒は、イソプロピルアルコール、トルエンである。
式(21)の化合物としては、例えば、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリメチル、メチル亜ホスホン酸ジメチル、メチル亜ホスホン酸ジエチルなどが挙げられる。好ましくは、式(21)の化合物は、メチル亜ホスホン酸ジエチルである。式(21)の化合物は、市販品を用いるか、または、当業者に公知の方法により合成することにより容易に入手することができる。式(21)の化合物の使用量は、式(1)の化合物に対して、1〜10モル当量が好ましい。
反応温度は用いられる溶媒などにより変化しうるが、通常、室温から用いられる溶媒の還流温度である。反応時間は用いられる溶媒、および反応温度などにより変化しうるが、通常、10分〜24時間である。
このようにして得られた式(2)の化合物は、通常の後処理に付すことができる。さらに、沈殿、結晶化、ゲル濾過、シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどの慣用の手法を必要に応じて適用して、単離、精製することができる。
(VII) 式(2)の化合物の製造(b)
式(2)の化合物は、式(1)の化合物[式中、Yが基P(Rである]から以下に示すスキームVIIの方法にしたがって合成することができる。
スキームVII

[式中、R、R、R、R、Z、およびZは前記定義のとおりである]。
本発明において、式(2)の化合物の製造方法は、式(1)の化合物を、カルバペネム環を形成しうる条件下において処理して、閉環反応によりカルバペネム環を形成させ、必要に応じて保護基の除去および/または酸化を行うことを含んでなる。
スキームVIIの方法は、式(1)中のYがP(Rである場合であり、式(1)の化合物から、基O=P(Rを脱離することによって環形成させて、式(2)の化合物を得るものである。
よって、本発明の一つの好ましい態様によれば、カルバペネム環を形成させる処理を、式(1)の化合物から、基O=P(Rを脱離することによっておこなう。
用いられる溶媒は、この反応に関与しないものであれば特に限定されず、当業者であれば適宜合成することができる。溶媒の具体例としては、ヘキサン、塩化メチレン、クロロホルム、イソプロピルアルコール、エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエンなどが挙げられる。好ましくは、該溶媒は、トルエンである。溶媒の使用量は、式(1)の化合物の重量に対し、5〜100倍量程度であることが好ましい。
反応温度は用いられる溶媒などにより変化しうるが、通常、室温から用いられる溶媒の還流温度である。反応時間は用いられる溶媒、および反応温度などにより変化しうるが、通常、10分〜24時間である。
得られた式(2)のZおよびZが一緒になってカルボニル基の保護基を表す場合、保護基を除去することにより、ZおよびZが一緒になって酸素原子を表す式(2)の化合物に変換することができる。保護基を除去する反応は保護基の種類により異なるが、一般的な有機合成化学におけるカルボニル基の保護基の除去の反応を参考にして行うことができる。このとき、Rの水酸基の保護基が同時に除去されてRが水素原子になっても良い。
また、式(2)のZおよびZの一方が水素原子を表し、他方が保護された水酸基を表す場合、水酸基の保護基を除去することにより、ZおよびZの一方が水素原子を表し、他方が水酸基を表す式(2)の化合物に変換することができ、さらに酸化反応を行うことにより、ZおよびZが一緒になって酸素原子を表す式(2)の化合物に変換することができる。水酸基の保護基を除去する反応は、保護基の種類により異なるが、一般的な有機合成化学における水酸基の保護基の除去の反応を参考にして行うことができる。このとき、Rの水酸基の保護基が同時に除去されてRが水素原子になっても良い。酸化反応は、一般的な有機合成化学における酸化の反応を参考にして行うことができる。
このようにして得られた式(2)の化合物は、通常の後処理に付すことができる。さらに、沈殿、結晶化、ゲル濾過、シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどの慣用の手法を必要に応じて適用して、単離、精製することができる。
(VIII) 式(3)の化合物の製造
式(3)の化合物は、式(2)の化合物から以下に示すスキームVIIIの方法にしたがって合成することができる。
スキームVIII

[式中、R、R、L、ZおよびZは前記定義のとおりである]。
本発明において、式(3)の化合物は、式(2)の化合物と、下記式(iv)の化合物とを反応させることによって得ることができる。
CHCONH (iv)
[式中、Lは、脱離基を表す]。
ここで用いられる溶媒は、この反応に関与しないものであれば特に限定されず、当業者であれば適宜合成することができる。溶媒の具体例としては、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジオキサンなどが挙げられる。好ましくは、該溶媒は、メタノールである。
式(iv)の化合物としては、例えば、ブロモアセトアミド、ヨードアセトアミド、トリフルオロメタンスルホニルオキシアセトアミドが挙げられる。好ましくは、式(iv)の化合物は、ヨードアセトアミドである。
式(iv)の化合物は、市販品を用いるか、または、当業者に公知の方法により合成することにより容易に入手することができる。式(iv)の化合物の使用量は、式(2)の化合物に対して、1〜5モル当量が好ましい。
反応温度は用いられる溶媒などにより変化しうるが、通常、−20℃から用いられる溶媒の還流温度である。反応時間は用いられる溶媒、および反応温度などにより変化しうるが、通常、10分〜24時間である。
得られた式(3)の化合物は、通常の後処理に付すことができる。さらに、沈殿、結晶化、ゲル濾過、シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどの慣用の手法を必要に応じて適用して、単離、精製することができる。
(IX) 式(A)の化合物の製造
式(A)の化合物は、式(2)の化合物から以下に示すスキームIXの方法にしたがって合成することができる。
スキームIX

[式中、R、R、およびLは前記定義のとおりである]。
式(3)の化合物の保護基を、脱保護して除去することによって、式(A)の化合物を得ることができる。水酸基の保護基およびカルボキシル基の保護基を除去する反応は、保護基の種類により異なるが、一般的な有機合成化学における水酸基の保護基の除去の反応を参考にして行うことができる。例えば、水酸基の保護基Rがトリエチルシリルである場合、式(3)の化合物を、反応に関与しない溶媒(例えば、メタノール、エタノール、水、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、塩化メチレン、クロロホルム、アセトン、アセトニトリルなど)中で、−20℃から用いられる溶媒の還流温度において、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などの酸、またはテトラブチルアンモニウムフロリドなどのようなフッ素試薬を、式(3)の化合物に対して0.1〜10モル当量用い、10分〜24時間反応させることによって、保護基であるトリエチルシリル基を除去することができる。また、カルボキシル基の保護基Rが4−ニトロベンジル(pNB)である場合、WO02/42314号に記載の方法により保護基を脱保護することができる。
本発明の一つの好ましい態様によれば、式(3)の化合物の保護基を脱保護反応により除去して、式(A)の化合物を得る。
得られる式(A)の化合物は、通常の後処理に付すことができる。さらに、沈殿、結晶化、ゲル濾過、シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどの慣用の手法を必要に応じて適用して、単離、精製することができる。
本発明の別の態様によれば、式(A)の化合物の製造方法であって、前記した式(2)の化合物の製造方法によって、式(1)の化合物から式(2)の化合物を得ることを含んでなる方法が提供される。好ましくは、式(A)の化合物の製造方法は、式(1)の化合物を、前記した式(1)の化合物の製造方法により得ることをさらに含んでなる。
化合物の用途
本発明による式(1)、式(4)、式(6)、式(8)、および式(14a)の化合物は、カルバペネム環上の2位に7−(1−カルバモイルメチルピリジニウム−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール基を有するカルバペネム誘導体(式(A)の化合物)の製造中間体として有用である。
本発明による式(1)の化合物を用いて得られる式(A)のカルバペネム誘導体が、グラム陽性菌およびグラム陰性菌に対し、幅広く強力な抗菌活性を有しており、かつ、MRSA、PRSP、インフルエンザ菌およびβ−ラクタマーゼ産生菌に対し強い抗菌力を有していることは、WO02/42312号公報に開示されている通りである。またこの誘導体が、毒性も低く、DHP−1に対しても安定であることも、この公報に開示されている通りである。そして、この誘導体を、ヒトを含む動物の各種病原性細菌に起因する感染症の治療剤として使用すること、および、この化合物を用いた医薬組成物の製造については、この公報を参照することにより、当業者に明かであろう。
【実施例】
以下本発明を以下の実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例1: 5−ブロモ−2−t−ブトキシカルボニルアミノメチルチアゾール
酢酸ナトリウム8.6kgの水溶液20Lに、2−t−ブトキシカルボニルアミノメチルチアゾール1.33kgの酢酸エチル溶液2Lを加え攪拌した。この溶液に内温19〜24℃で臭素1.35Lを3.5時間かけて滴下し、内温25.5±5℃で14時間攪拌した。亜硫酸ナトリウム五水和物180gを加えた後、酢酸エチル3Lで抽出し、有機層を水1L、6M−水酸化ナトリウム水溶液1.53Lで洗浄した。さらに水層を酢酸エチル3Lで抽出し、有機層を合わせて無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ去した。減圧下ろ液を留去後、エタノール2Lで2回置換濃縮を行い、5−ブロモ−2−t−ブトキシカルボニルアミノメチルチアゾール944gを得た。
H−NMR(CDCl)δ:1.40(9H,s),4.48(2H,d,J=6.1Hz),5.16(1H,brs),7.51(1H,s)
例2: 2−アミノメチル−5−ブロモチアゾール・塩酸塩
5−ブロモ−2−t−ブトキシカルボニルアミノメチルチアゾール542gのエタノール溶液1.6Lに、内温40℃にて4N−塩酸ジオキサン溶液2.3Lを1.1時間かけて滴下し、内温23℃になるまで攪拌した。析出した結晶をろ取し、エタノールで2回洗浄後、減圧下乾燥を行い、2−アミノメチル−5−ブロモチアゾール・塩酸塩394gを得た。
H−NMR(CDCl)δ:4.37(2H,s),7.72(1H,s)
例3: 5−ブロモ−2−ホルミルアミノメチルチアゾール
2−アミノメチル−5−ブロモチアゾール・塩酸塩350gをギ酸エチル7Lに溶解し、この溶液にナトリウムメトキシド28%メタノール溶液296mlおよびギ酸173ml溶液を加えた後、内温48℃で5時間攪拌した。減圧下溶媒を留去し、沈殿物が析出したところでエタノールを加えて溶解し、減圧下、再び結晶が析出するまで溶媒を留去した。溶液を氷冷下終夜攪拌した後、析出した結晶をろ取後、冷エタノールおよびヘキサンで洗浄を行い、減圧下乾燥し、5−ブロモ−2−ホルミルアミノメチルチアゾール189gを得た。さらにろ液を濃縮し、エタノールから結晶化を行い、二次晶58gを得た。
H−NMR(CDCl)δ:4.71(2H,d,J=6.6Hz)、6.58(1H,s)、7.59(1H,s)、8.29(1H,s)
例4: 5−ブロモ−2−ホルミルアミノメチルチアゾール
リン酸二水素ナトリウム二水和物4.5Kgの水6L溶液に2−ホルミルアミノメチルチアゾール200gを加え30℃で攪拌した。臭化ナトリウム4.0Kg、テトラヒドロフラン2L、を順次加えた。6N−水酸化ナトリウム水溶液でpH3に保ちながら、臭素1.49Kgを加え2時間攪拌した。亜硫酸ナトリウム500gの水4L溶液に反応混合物を加え反応を停止させ、30℃に保ちながら6N−水酸化ナトリウム水溶液でpH4.9に調整した。酢酸エチル10L、5Lで反応混合物を順次抽出し、有機層を合わせ無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を1Lになるまで濃縮し、6℃で12時間攪拌して結晶化させることにより5−ブロモ−2−ホルミルアミノメチルチアゾール104.4gを得た。NMRによる分析結果は、例3の分析結果と一致した。
例5: 2−ブロモイミダゾ[5,1−b]チアゾール
5−ブロモ−2−ホルミルアミノメチルチアゾール104gにトルエン1.0Lを加え90℃に加熱し攪拌した。反応混合物にオキシ塩化リン65.8gのトルエン100ml溶液を加え同温度で1.5時間攪拌した。放冷した後、0.5N−塩酸水溶液を2L加え水層を分離した。水層を5N−水酸化ナトリウム水溶液でpH6.2に調整し酢酸エチル1.5L、1.0Lで順次抽出した。有機層を合わせ5%重曹水、20%塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を約100mlまで濃縮し、酢酸エチル:ヘキサン=1:4溶液500mlを加え、氷水浴で攪拌して結晶化させて2−ブロムイミダゾ[5,1−b]チアゾール57.6gを得た。
H−NMR(CDCl)δ:7.05(1H,s)、7.48(1H,s)、7.96(1H,s)
例6: 2−ブロモ−7−ホルミルイミダゾ[5,1−b]チアゾール
アルゴン雰囲気下、2−ブロモイミダゾ[5,1−b]チアゾール300mgの塩化メチレン3ml溶液にジメチルホルムアミド0.13ml、オキシ塩化リン0.15mlを順次加え、80℃で6時間撹拌した。反応混合物に水を加え反応を停止させ、1N−水酸化ナトリウム水溶液でpHを10に調整した。酢酸エチルで抽出後、有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去して得られた混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:10)で精製することにより2−ブロモ−7−ホルミルイミダゾ[5,1−b]チアゾール223mgを得た。
H−NMR(CDCl)δ:7.66(1H,s)、8.02(1H,s)、9.90(1H,s)
例7: 2−ブロモ−7−ヒドロキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール
アルゴン雰囲気下、3−ヨードピリジン147mgのテトラヒドロフラン1ml溶液に、エチルマグネシウムブロミドの1M−テトラヒドロフラン溶液0.9mlを加え、室温で30分攪拌した。その溶液に2−ブロモ−7−ホルミルイミダゾ[5,1−b]チアゾール149mgのテトラヒドロフラン2ml溶液を加え、同温度で2.5時間撹拌した。反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え反応を停止させ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去して得られた混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール=4:1)で精製することにより2−ブロモ−7−(ピリジン−3−イル)ヒドロキシメチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール147mgを得た。
H−NMR(CDCl)δ:6.04(1H,s)、7.32−7.36(1H、m)、7.84(1H,s)、7.91(1H,s)、8.58(1H、dd、J=2.2、4.7Hz)、8.67(1H、d、J=2.2Hz)
例8: 2−ブロモ−7−(ピリジン−3−イル)トリエチルシリルオキシメチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール
2−ブロモ−7−(ピリジン−3−イル)ヒドロキシメチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール4.05gのジメチルホルムアミド30ml溶液にジイソプロピルエチルアミン3.1ml、トリエチルシリルクロリド3.0mlを順次加え、室温で1時間攪拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水、5%重曹水、20%塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去して得られた混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(2〜5%メタノール/塩化メチレン)で精製することにより2−ブロモ−7−(ピリジン−3−イル)トリエチルシリルオキシメチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール5.14gを得た。
H−NMR(CDCl)δ:0.59−0.68(6H,m)、0.88−0.94(9H,m)、5.95(1H,s)、7.25(1H,dd,J=4.7,8.0Hz)、7.41(1H,s)、7.76(1H,m)、7.83(1H,s)、8.50−8.52(1H,dd,J=2.2,4.7Hz)、8.72(1H,d,J=2.2Hz)
例9: 2−ブロモ−7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール
2−ブロモ−7−(ピリジン−3−イル)ヒドロキシメチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール645mgの塩化メチレン12ml溶液に二酸化マンガン645mgを加え、室温で22時間攪拌した。反応混合物をセライトで濾過し、塩化メチレン:メタノール=10:1で洗浄後、溶媒を留去し粗精製の固体を得た。この固体にヘキサン:酢酸エチル=3:1溶液10mlを加え室温で撹拌し、濾過することで2−ブロモ7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール448mgを得た。
H−NMR(CDCl)δ:7.43−7.47(1H,m)、7.70(1H,s)、8.04(1H,s)、8.78−8.85(2H,m),9.72−9.73(1H,m)
例10: 2−ブロモ−7−(ピリジン−3−イル)ジメチルヒドラゾノイルイミダゾ[5,1−b]チアゾール
2−ブロム−7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール1.89gのエタノール25ml懸濁液に酢酸0.86ml、ジメチルヒドラジン1.9mlを加え封管で80℃に加熱し18時間撹拌した。反応混合物を希重曹水に加えて反応を停止させ、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和重曹水、飽和食塩水で順次洗浄し無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去して得られた固体を酢酸エチル:ヘキサン=1:1溶液で洗浄して2−ブロモ−7−(ピリジン−3−イル)ジメチルヒドラゾノイルイミダゾ[5,1−b]チアゾール1.41gを得た。
H−NMR(CDCl)δ:2.62(6H,s)、7.31−7.35(1H,m)、7.65(1H,s)、7.92(1H,s)、7.98−8.01(1H,m)、8.65(1H,dd,J=1.6,4.9Hz)、8.88−8.90(1H,m)
例11: 2−ブロモ−7−ジメトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール
2−ブロム−7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール3.08gにメタノール50ml、オルトぎ酸メチル32gを加え、50℃に加熱して溶解させた後、氷水浴で冷却した。同温度で反応混合物に硫酸5.4mlを滴下した後、18時間加熱還流した。放熱後、反応混合物を氷水浴で冷却した2.5N−水酸化ナトリウム水溶液80mlに滴下し、酢酸エチルで抽出した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を濃縮して得られた固体を濾取することにより2−ブロモ−7−ジメトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール2.70gを得た。
H−NMR(CDCl)δ:3.21(6H,s)、7.24−7.29(1H,m)、7.44(1H,s)、7.84(1H,s)、7.90(1H,ddd,J=1.9、1.9、8.0Hz)、8.52(1H,dd,J=1.6,4.9Hz),8.73(1H,d,J=1.9Hz)
例12: 2−ブロモ−7−ジエトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール
2−ブロム−7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール3.08gにエタノール50ml、オルトぎ酸エチル44.5gを加え、50℃に加熱して溶解させた後、氷水浴で冷却した。同温度で反応混合物に硫酸5.4mlを滴下した後、18時間加熱還流した。放熱後、反応混合物を氷水浴で冷却した2.5N−水酸化ナトリウム水溶液80mlに滴下し、塩化メチレンで抽出した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を濃縮して得られた混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(5〜12%メタノール/酢酸エチル)で精製することにより2−ブロモ−7−ジエトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール1.29gを得た。
H−NMR(CDCl)δ:1.26(6H,t,J=7.1Hz)、3.37−3.45(4H,m)、7.23−7.27(1H,m)、7.43(1H,s)、7.81(1H,s)、7.92(1H,ddd,J=1.6,1.6,8.0Hz),8.50(1H,dd,J=1.6,4.7Hz)、8.73(1H,dd,J=0.6,2.2Hz)
例13: 2−プロピオニル−7−(ピリジン−3−イル)トリエチルシリルオキシメチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール
アルゴン雰囲気下、2−ブロム−7−(ピリジン−3−イル)トリエチルシリルオキシメチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール5.14gのテトラヒドロフラン36ml溶液を−60℃に冷却し、エチルマグネシウムブロミドの0.89Mテトラヒドロフラン溶液13.3mlを加え1時間撹拌した。−30℃でN−メチル−N−メトキシプロピオンアミド1.71gを加え、室温で12時間撹拌した。20%塩化アンモニウム水で反応を停止させ、反応混合物を酢酸エチルで抽出し、飽和重曹水、飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去して得られた混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(3〜6%メタノール/塩化メチレン)で精製することにより2−プロピオニル−7−(ピリジン−3−イル)トリエチルシリルオキシメチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール3.88gを得た。
H−NMR(CDCl)δ:0.56−0.82(6H,m)、0.88−0.93(9H,m)、1.25(3H,t,J=7.28)、2.86(2H,d,J=7.28)、5.98(1H,s)、7.23−7.27(1H,m)、7.77−7.81(1H,m)、7.97(1H,s)、7.98(1H,s)、8.51(1H,dd,J=1.9,4.7Hz)、8.73(1H,d,J=1.9Hz)
例14: 2−プロピオニル−7−(ピリジン−3−イル)ジメチルヒドラゾノイルイミダゾ[5,1−b]チアゾール
アルゴン雰囲気下、2−ブロモ−7−(ピリジン−3−イル)ジメチルヒドラゾノイルイミダゾ[5,1−b]チアゾール1.75gのテトラヒドロフラン10ml溶液を−50℃に冷却し、エチルマグネシウムブロミドの0.89M−テトラヒドロフラン溶液15.4mlを加え1時間撹拌した。−20℃でN−メチル−N−メトキシプロピオンアミド2.2mlを加え、室温で1時間撹拌した。20%塩化アンモニウム水で反応を停止させ、反応混合物を酢酸エチルで抽出し、飽和重曹水、飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去して得られた固体を酢酸エチル:ヘキサン=2:1溶液で洗浄して2−プロピオニル−7−(ピリジン−3−イル)ジメチルヒドラゾノイルイミダゾ[5,1−b]チアゾール0.94gを得た。
H−NMR(CDCl)δ:1.29(3H,t,J=7.1Hz)、2.92(2H,q,J=7.1Hz)、7.31−7.35(1H,m)、7.98(1H,ddd,J=1.6,1.6,8.2Hz)、8.87−8.88(1H,m)
例15: 7−ジメトキシ(ピリジン−3−イル)メチル−2−プロピオニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール
アルゴン雰囲気下、2−ブロモ−7−ジメトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール10.63gのテトラヒドロフラン100ml溶液を−50℃に冷却し、エチルマグネシウムブロミドの0.89M−テトラヒドロフラン溶液40mlを加え1時間撹拌した。−20℃でN−メチル−N−メトキシプロピオンアミド5.3mlを加え、室温で6時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水で反応を停止させ、反応混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和重曹水、飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去して得られた混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(5〜15%メタノール/酢酸エチル)で精製することにより2−プロピオニル−7−(ピリジン−3−イル)ジメトキシメチルイミダゾ[5,1−b]チアゾールの粗精製物を得た。この粗精製物の酢酸エチル200ml溶液を0.02N−塩酸水溶液100mlで4回洗浄し、さらに5%重曹水、20%塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄して7−ジメトキシ(ピリジン−3−イル)メチル−2−プロピオニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール4.79gを得た。
H−NMR(CDCl)δ:1.26(3H,t,J=7.1Hz)、2.88(2H,q,J=7.1Hz)、3.22(6H,s)、7.24−7.29(1H,m)、7.88−7.92(1H,m)、7.90(1H,ddd,J=1.9,1.9,8.2Hz)、7.97(1H,s)、8.02(1H,s)、8.52(1H,dd,J=1.6,4.9Hz)、8.74−8.75(1H,m)
例16: (3S,4R)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン

(a) (3S,4R)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)トリエチルシリルオキシメチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン
アルゴン雰囲気下、臭化リチウム2.05gのテトラヒドロフラン10ml溶液にリチウムビストリメチルシリルアミドの1M−テトラヒドロフラン溶液5.2mlを加え−78℃に冷却した。2−プロピオニル−7−(ピリジン−3−イル)トリエチルシリルオキシメチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール0.95gのテトラヒドロフラン4.7ml溶液を加え同温度で1時間撹拌した。(3S,4R)−4−アセトキシ−3−[(1R)−1−tert−ブチルジメチルシリルオキシエチル]アゼチジン−2−オン0.81gのテトラヒドロフラン3.8ml溶液を加え、同温度で2時間撹拌した。反応混合物に10%クエン酸水溶液を加え反応を停止させ、反応混合物を酢酸エチルで抽出し、飽和重曹水、飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を濃縮して得られた混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(5〜10%メタノール/塩化メチレン)で精製することにより(3S,4R)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)トリエチルシリルオキシメチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オンの粗精製物0.80gを得た。
(b) (3S,4R)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[1−メチル−2−[7−ヒドロキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン
(a)で得られた(3S,4R)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)トリエチルシリルオキシメチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オンの粗精製物0.80gをメタノール7mlに溶解し、氷浴で冷却した。1N塩酸水溶液2.6mlを加え同温度で1時間40分撹拌した。希重曹水溶液で反応混合物を中和し、塩化メチレンで抽出し、飽和重曹水、飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を濃縮して(3S,4R)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[1−メチル−2−[7−ヒドロキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オンの粗精製物を得た。
(c) (3S,4R)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン
(b)で得られた(3S,4R)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[1−メチル−2−[7−ヒドロキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オンの粗精製物を塩化メチレン13.5ml、メタノール1.5mlに溶解し二酸化マンガン1gを加え、室温で4時間撹拌した。反応混合物をセライトでろ過し、溶媒を留去して(3S,4R)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オンの粗精製物0.63gを得た。この粗精製物0.63gを酢酸エチルで結晶化することにより(3S,4R)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン0.38gを得た。
H−NMR(CDCl)δ:0.06(3H,s)、0.08(3H,s)、0.87(9H,s)、1.17(3H,d,J=6.3Hz)、1.39(3H,d,J=6.9Hz)、2.92(1H,dd,J=2.2,4.4Hz)、3.34−3.43(1H,m)、4.02(1H,dd,J=4.7,6.0Hz)、4.14−4.23(1H,m)、6.14(1H,s)、7.43−7.48(1H,m)、8.20(1H,s)、8.26(1H,s)、8.77−8.83(2H,m)、9.73−9,75(1H,m)
例17: (3S,4R)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)ジメチルヒドラゾノイルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン

アルゴン雰囲気下、リチウムビストリメチルシリルアミドの1M−テトラヒドロフラン溶液1.1mlにテトラヒドロフラン1mlを加え−78℃に冷却した。2−プロピオニル−7−(ピリジン−3−イル)ジメチルヒドラゾノイルイミダゾ[5,1−b]チアゾール0.16gのテトラヒドロフラン2.5ml溶液を加え同温度で30分撹拌した。(3S,4R)−4−アセトキシ−3−[(1R)−1−tert−ブチルジメチルシリルオキシエチル]アゼチジン−2−オン0.18gのテトラヒドロフラン1ml溶液を加え、同温度で3.5時間撹拌した。反応混合物に10%クエン酸水溶液を加え反応を停止させ、反応混合物を酢酸エチルで抽出し、飽和重曹水、飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去して得られた混合物を薄層クロマトグラフィー(10%メタノール/塩化メチレンで展開)で精製することにより(3S,4R)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)ジメチルヒドラゾノイルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オンの粗精製物0.16gを得た。この粗精製物をコスモシル40C18逆層カラムクロマトグラフィー(60%アセトニトリル水)により精製することにより(3S,4R)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)ジメチルヒドラゾノイルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン72.3mgを得た。
H−NMR(CDCl)δ:0.07(3H,s)、0.08(3H,s)、0.88(9H,s)、1.19(3H,d,J=6.3Hz)、1.38(3H,d,J=7.1Hz)、2.63(6H,s)、2.96(1H,dd,J=2.2,4.4Hz)、3.31−3.41(1H,m)、4.01(1H,dd,J=2.2,4.9Hz)、4.15−4.25(1H,m)、6.12(1H,s)、7.34(1H,ddd,J=0.8,4.9,8.0Hz)、7.99(1H,ddd,J=2.2,2.2,8.0Hz)、8.10(1H,s)、8.25(1H,s)、8.65(1H,dd,J=2.2,4.9Hz)、8.88(1H,dd,J=0.8,2.2Hz)
例18: (3S,4R)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−ジメトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン

アルゴン雰囲気下、リチウムビストリメチルシリルアミドの1M−テトラヒドロフラン溶液4.4mlにテトラヒドロフラン4mlを加え−78℃に冷却した。7−ジメトキシ(ピリジン−3−イル)メチル−2−プロピオニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール0.70gのテトラヒドロフラン4ml溶液を加え同温度で30分撹拌した。(3S,4R)−4−アセトキシ−3−[(1R)−1−tert−ブチルジメチルシリルオキシエチル]アゼチジン−2−オン0.69gのテトラヒドロフラン2.4ml溶液を加え、同温度で13時間撹拌した。反応混合物に10%クエン酸水溶液を加え反応を停止させ、反応混合物を酢酸エチルで抽出し、飽和重曹水、飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去して得られた混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(7.5〜12%メタノール/酢酸エチル)で精製することにより(3S,4R)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[1−メチル−2−[7−ジメトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オンの粗精製物0.21gを得た。この粗精製物をコスモシル40C18逆層カラムクロマトグラフィー(60%アセトニトリル水)により精製することにより(3S,4R)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−ジメトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン64.5mgを得た。
H−NMR(CDCl)δ:0.06(3H,s)、0.08(3H,s)、0.87(9H,s)、1.17(3H,d,J=6.3Hz)、1.36(3H,d,J=6.9Hz)、2.94(1H,dd,J=1.9,4.1Hz)、3.23(6H,s)、3.30−3.39(1H,m)、3.99(1H,dd,J=1.9,4.9Hz)、4.15−4.23(1H,m)、6.10(1H,s)、7.35(1H,dd,J=4.9,8.0Hz)、7.96−8.04(1H,m)、8.01(1H,s)、8.09(1H,s)、8.54(1H,dd,J=1.3,4.9Hz)、8.74(1H,d,J=1.9Hz)
例19: (3S,4R)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン

(a) (3S,4R)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−ジメトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン
アルゴン雰囲気下、塩化リチウム0.64gのテトラヒドロフラン10ml溶液にリチウムビストリメチルシリルアミドの1M−テトラヒドロフラン溶液11mlを加え−78℃に冷却した。7−ジメトキシ(ピリジン−3−イル)メチル−2−プロピオニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール1.66gのテトラヒドロフラン5ml溶液を加え同温度で1時間撹拌した。(3S,4R)−4−アセトキシ−3−[(1R)−1−tert−ブチルジメチルシリルオキシエチル]アゼチジン−2−オン1.72gのテトラヒドロフラン5ml溶液を加え、同温度で1.5時間撹拌した。反応混合物を氷水浴で冷却した10%クエン酸水溶液50ml、テトラヒドロフラン25mlの混液に加え反応を停止させ、反応混合物を酢酸エチルで抽出し、0.05N−塩酸水溶液、飽和重曹水、飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を濃縮して得られた混合物をHPLC(コスモシル5C18−MS、4.6x150mm、70%アセトニトリル水)で分析すると、(3S,4R)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−ジメトキシメチル(ピリジン−3−イル)イミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オンの収量は1.17gであった。この混合物に酢酸エチル:ヘキサン=1:3溶液20mlを加え攪拌し、析出した固体を濾取することにより(3S,4R)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−ジメトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン1.00gを得た。NMRによる分析結果は、例18の分析結果と一致した。
(b) (3S,4R)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン
(a)で得られた(3S,4R)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−ジメトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン2.02gを室温下1,4−ジオキサン40mlに溶解し、ジメチルスルホキシド40ml、水6mlを順次加えた。この溶液を104℃まで昇温し2日間、同温度で攪拌した。反応終了後、溶液を室温まで冷却し、減圧下、ジオキサンを留去した。残液を酢酸エチル−テトラヒドロフラン混合溶液で希釈した後、20%食塩水を加え、反応混合物を酢酸エチル−テトラヒドロフラン混合溶液で抽出した。有機層を20%食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去して得られた混合物を酢酸ブチル−イソプロピルエーテル−ヘプタンで結晶化することにより(3S,4R)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オンを1.64g得た。NMRによる分析結果は、例16−(c)の分析結果と一致した。
例20: (3S,4R)−3−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン

(3S,4R)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−ジメトキシメチル(ピリジン−3−イル)イミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン0.56gのメタノール2ml溶液に5N−塩酸水溶液2mlを加え、50℃で1時間攪拌した。反応混合物を水で希釈し、塩化メチレンで抽出した。有機層を0.5N−塩酸水溶液10mlで抽出した。水層を合わせ、5N−水酸化ナトリウム水溶液で中和し、析出した沈殿を濾取することにより、(3S,4R)−3−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン0.34gを得た。
H−NMR(DMSO−d)δ:0.95(3H,d,J=6.3Hz)、1.23(3H,d,J=6.6Hz)、2.89(1H,dd,J=1.6,5.2Hz)、3.61−3.82(3H,m)、4.74(1H,d,J=5.2Hz)、7.62(1H,dd,J=4.9,8.0Hz)、8.24(1H,s)、8.64(1H,s)、8.72(1H,ddd,J=1.9,1.9,8.0Hz)、8.80(1H,dd,J=1.9、4.9Hz)、9.37(1H,s)、9.57(1H,d、J=1.9Hz)
例21: (3S,4R)−3−[(1R)−1−(トリエチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン

(3S,4R)−3−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン0.32gのジメチルホルムアミド3.2ml溶液に、氷冷下、イミダゾール0.15g、トリエチルシリルクロリド0.36mlを加え、室温で2時間攪拌した。反応混合物を酢酸エチル80mlで希釈し、10%塩化ナトリウム水溶液20mlで3度、飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去して得られた固体をヘキサン:酢酸エチル=1:1溶液4mlに懸濁させ、濾取することにより(3S,4R)−3−[(1R)−1−(トリエチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン0.33gを得た。
H−NMR(CDCl)δ:0.60(6H,q、J=7.7Hz)、0.94(9H,t,J=7.7Hz)、1.20(3H,d,J=6.3Hz)、1.40(3H,d,J=7.1Hz)、2.93(1H,dd,J=1.9,5.2Hz)、3.35−3.45(1H,m)、4.00(1H,dd,J=2.2,4.7Hz)、4.14−4.22(1H,m)、6.14(1H,s)、7.44−7.50(1H,m)、8.20(1H,s)、8.28(1H,s)、8.27−8.33(2H,m)、9.75(1H,m)
例22: (3S,4R)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−ジメトキシメチル(ピリジン−3−イル)イミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン

アルゴン雰囲気下、スズ(II)トリフルオロメタンスルホネート0.69gに塩化メチレン2mlを加え−20℃に冷却した。2−プロピオニル−7−(ピリジン−3−イル)ジメトキシメチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール0.25gの塩化メチレン1.5ml溶液、N−エチルピペリジン0.12mlを加え2時間攪拌した。0℃において、(3S,4R)−4−アセトキシ−3−[(1R)−1−tert−ブチルジメチルシリルオキシエチル]アゼチジン−2−オン0.14gの塩化メチレン1ml溶液を加え、室温で1時間攪拌した。反応混合物に飽和重曹水を加え反応を停止させ、酢酸エチルで抽出した。有機層を5%重曹水、20%塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去して得られた混合物をHPLC(コスモシル5C18−MS、4.6x150mm、70%アセトニトリル水)で分析すると、(3S,4R)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−ジメトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オンの収量は45mgであった。NMRによる分析結果は、例18の分析結果と一致した。
例23: (3S,4R)−1−アリルオキシオキザリル−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン

アルゴン雰囲気下、(3S,4R)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン0.66gの塩化メチレン6.4ml溶液にジイソプロピルエチルアミン0.45ml、アリルオキシオキザリルクロリド0.32mlを順次加え室温で10分間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し飽和重曹水、飽和食塩水で順次洗浄し無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去して得られた固体を酢酸エチルで洗浄して(3S,4R)−1−アリルオキシオキザリル−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン0.57gを得た。
H−NMR(CDCl)δ:0.02(3H,s)、0.08(3H,s)、0.85(9H,s)、1.25(3H,d,J=6.3Hz)、1.38(3H,d,J=7.1Hz)、3.71(1H,dd,J=3.0,3.0Hz)、4.20−4.30(1H,m)、4.30−4.40(1H,m)、4.50−4.55(1H,m)、4.57−4.63(2H,m)、5.15−5.24(2H,m)、5.65−5.79(1H,m)、7.44−7.48(1H,m)、8.18(1H,s)、8.21(1H,s)、8.78−8.82(2H,m)、9.73−9.75(1H,m),
例24: (1S,5R,6S)−6−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−1−メチルカルバペン−2−エム−3−カルボン酸アリル

アルゴン雰囲気下、(3S,4R)−1−アリルオキシオキザリル−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン62.4mgのテトラヒドロフラン1ml溶液にメチル亜ホスホン酸ジエチルの30%ヘキサン溶液0.19mlを加え、室温で1時間、さらに40〜50℃で1時間30分撹拌した。反応混合物にイソプロピルアルコール1mlを加え溶媒を留去する操作を3度繰り返した後、イソプロピルアルコール2mlを加え60℃で1時間撹拌した。溶媒を留去して得られた混合物を薄層クロマトグラフィー(酢酸エチルで展開)で精製することにより(1S,5R,6S)−6−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−1−メチルカルバペン−2−エム−3−カルボン酸アリル33.6mgを得た。
H−NMR(CDCl)δ:0.10(3H,s)、0、11(3H,s)、0.91(9H,s)、1.27(3H,d,J=5.8Hz)、1.29(3H,d,J=6.6Hz)、3.33(1H,dd,J=2.7、5.2Hz)、3.42−3.52(1H,m)、4.26−4.36(1H,m)、4.39(1H,dd,J=2.7,9.9Hz)、4.70−4.86(2H,m)、5.27−5.49(2H,m)、5.91−6.03(1H,m)、7.45(1H,dd,J=4.7,7.7Hz)、8.10(1H,s)、8.61(1H,s)、8.77−8.85(2H,m)、9.71(1H,m)
例25: (3S,4R)−1−アリルオキシオキザリル−3−[(1R)−1−ヒドロキシエチル)−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン

アルゴン雰囲気下、(3S,4R)−1−アリルオキシオキザリル−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン0.59gのアセトニトリル5ml懸濁液に、ボロントリフルオリドジエチルエーテルコンプレックス0.59mlを加え、室温で22時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチル−希重曹水溶液の混液に撹拌下加え反応を停止させ、有機層を分離した。有機層を飽和重曹水、飽和食塩水で順次洗浄し溶媒を留去して(3S,4R)−1−アリルオキシオキザリル−3−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン0.51gを得た。
H−NMR(CDCl)δ:1.37(3H,d,J=6.3Hz)、1.42(3H,d,J=7.1Hz)、3.74(1H,d,J=3.3,5.2Hz)、4.19−4.35(2H,m)、4.49−4.52(1H,m)、4.62−4.64(2H,m)、5.21−5.30(2H,m)、5.69−5.82(1H,m)、7.45−7.50(1H,m)、8.17(1H,s)、8.28(1H,s)、8.78−8.82(2H,m)、8.73−8.74(1H,m)
例26: (1S,5R,6S)−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−1−メチルカルバペン−2−エム−3−カルボン酸アリル

アルゴン雰囲気下、(3S,4R)−1−アリルオキシオキザリル−3−[(1R)−1−ヒドロキシエチル)−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン51mgのテトラヒドロフラン1ml溶液にメチル亜ホスホン酸ジエチルの30%ヘキサン溶液0.19mlを加えた。室温で2.5時間撹拌した。反応混合物にイソプロピルアルコール1mlを加え溶媒を留去する操作を3度繰り返した後、イソプロピルアルコール2mlを加えで2時間加熱還流した。溶媒を留去して得られた混合物を薄層クロマトグラフィー(10%メタノール/塩化メチレンで展開)で精製することにより(1S,5R,6S)−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−1−メチルカルバペン−2−エム−3−カルボン酸アリル26.6mgを得た。
H−NMR(CDCl)δ:1.32(3H,d,J=7.1Hz)、1.40(3H,d,J=6.3Hz)、3.38(1H,dd,J=2.7,6.9Hz)、3.52−3.60(1H,m)、4.26−4.35(1H,m)、4.40(1H,dd,J=2.7,9.6Hz)、4.71−4.91(2H,m)、5.28−5.50(2H,m)、5.92−6.05(1H,m)、7.44−7.49(1H,m)、8.11(1H,s)、8.61(1H,s)、8.78(1H,dd,J=1.6,4.7Hz)、8.84(1H,ddd,J=1.9,1.9,8.0Hz)、9.70−9.71(1H,m)
例27: (3S,4R)−3−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−{(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル}−1−[4−ニトロベンジルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]アゼチジン−2−オン

(a) (3S,4R)−3−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル−4−{(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル}−1−[[(4−ニトロベンジルオキシ)カルボニル]ヒドロキシメチル]]アゼチジン−2−オン
(3S,4R)−3−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン0.26gのトルエン15ml溶液にグリオキシル酸(4−ニトロベンジル)エステル1水和物0.14gを加え、1.5時間加熱還流した。不溶物を除き、溶媒を留去することにより(3S,4R)−3−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−{(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル}−1−[[(4−ニトロベンジルオキシ)カルボニル]ヒドロキシメチル]アゼチジン−2−オンの粗精製物0.23gを得た。
(b) (3S,4R)−3−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−{(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル}−1−[4−ニトロベンジルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]アゼチジン−2−オン
アルゴン雰囲気下、(3S,4R)−3−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−{(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル}−1−[[(4−ニトロベンジルオキシ)カルボニル]ヒドロキシメチル]アゼチジン−2−オンの粗精製物0.23gのテトラヒドロフラン2ml溶液にピリジン0.1mlを加え、−20℃に冷却した。塩化チオニル0.09mlを加え同温度で1時間攪拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去することにより(3S,4R)−3−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−{(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル}−1−[[(4−ニトロベンジルオキシ)カルボニル]クロロメチル]アゼチジン−2−オンの粗精製物を得た。この粗精製物のジメチルホルムアミド2ml溶液にトリフェニルホスフィン0.26g、ヨウ化カリウム0.05gを加え60℃で1時間攪拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去することにより得られた混合物を薄層クロマトグラフィー(10%メタノール/酢酸エチルで展開)で精製して(3S,4R)−3−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−{(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル}−1−[4−ニトロベンジルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]アゼチジン−2−オン0.19gを得た。
H−NMR(CDCl)δ:−0.90−0.00(6H,m)、0.75−0.85(9H,m)、0.90−1.00(3H,m)、1.40−1.60(3H,m)、2.60−2.70(2H,m)、2.70−2.90(2H,m)、4.80−4.95(2H,m)、6.65−6.75(2H,m)、7.4−7.9(18H,m)、8.15−8.25(1H,m)、8.70−8.95(3H,m)、9.70−9.80(1H,m)
例28: (1S,5R,6S)−6−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−1−メチルカルバペン−2−エム−3−カルボン酸(4−ニトロベンジル)

(3S,4R)−3−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−{(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル}−1−[4−ニトロベンジルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]アゼチジン−2−オン54.6mgのトルエン2ml溶液を2.5時間加熱還流した。溶媒を留去して得られた混合物を薄層クロマトグラフィー(5%メタノール/酢酸エチルで展開)で精製することにより、(1S,5R,6S)−6−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−1−メチルカルバペン−2−エム−3−カルボン酸(4−ニトロベンジル)28.3mgを得た。
H−NMR(CDCl)δ:0.09(3H,s)、0.11(3H,m)、0.87(9H,s)、1.28(3H,d,J=6.3Hz)、1.31(3H,d,J=7.1Hz)、3.36(1H,dd,J=4.7,7.7Hz)、3.45−3.58(1H,m)、4.28−4.38(1H,m)、4.4(1H,dd,J=3.0,9.9Hz)、5.28(1H、d、J=13.7Hz)、5.50(1H,d,J=13.7Hz)、7.43−7.49(1H,m)、7.68(2H,d,J=8.8Hz)、8.10(1H,s)、8.24(2H,d,J=8.8Hz)、8.58(1H,s)、8.78(1H,dd,J=1.6,4.9Hz)、8.83(1H,ddd,J=1.6,1.6,8.0Hz)、9.71(1H,dd,J=0.8,1.6Hz)
例29: (3S,4R)−3−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−{(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル}−1−[4−ニト.ロベンジルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]アゼチジン−2−オン

(3S,4R)−3−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−{(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル}−1−[4−ニトロベンジルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]アゼチジン−2−オン72.4mgのメタノール2ml溶液に5N−塩酸水溶液1mlを加え室温で2時間攪拌した。反応混合物を飽和重曹水で中和し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去して得られた混合物を薄層クロマトグラフィー(10%メタノール/塩化メチレンで展開)で精製することにより、(3S,4R)−3−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−{(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル}−1−[4−ニトロベンジルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]アゼチジン−2−オン46.9mgを得た。
H−NMR(CDCl)δ:0.9−1.0(3H,m),1.5−1.7(3H,m),2.3−3.1(3H,m),3.60−3.70,4.0−4.2(1H,m),4.7−5.0,5.1−5.4(2H,m)6.69(2H,d,J=6.8Hz),7.4−7.8(18H,m),8.13−8.27(2H,m),8.78(2H,m),9.71(1H,s).
例30: (1S,5R,6S)−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−1−メチルカルバペン−2−エム−3−カルボン酸(4−ニトロベンジル)

(3S,4R)−3−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−{(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル}−1−[4−ニトロベンジルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]アゼチジン−2−オン46.9mgのトルエン1ml溶液を3時間加熱還流した。溶媒を留去して得られた混合物を薄層クロマトグラフィー(10%メタノール/塩化メチレンで展開)で精製することにより、(1S,5R,6S)−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−1−メチルカルバペン−2−エム−3−カルボン酸(4−ニトロベンジル)23.1mgを得た。
H−NMR(CDCl)δ:1.33(3H,d,J=7.3Hz)、1.41(3H,d,J=6.1Hz)、3.43(1H,dd,J=3.0,6.4Hz)、3.60(1H,m)、4.35(1H,m)、4.49(1H,dd、J=2.9,9.7Hz)、5.22(1H,d,J=13.9Hz),5.50(1H,d,J=13.6Hz),7.46(1H,ddd,J=0.7,4.9,8.1Hz),7.67(2H,d,J=8.8Hz)、8.11(1H,s),8.17(2H,d,J=8.8Hz),8.53(1H,s),8.76(1H,dd,J=1.7,4.8Hz),8.84(1H,dt,J=2.0,7.9Hz),9.69(1H,dd,J=0.7,2.2Hz)
例31: (3S,4R)−1−[アリルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]−3−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−{(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)トリエチルシリルオキシメチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル}アゼチジン−2−オン

2−ヨード−7−トリエチルシリルオキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール0.12gのテトラヒドロフラン(2ml)溶液を−60℃に冷却し、臭化エチルマグネシウムの0.89Mテトラヒドロフラン溶液を0.31ml加え、同温度で1時間撹拌した。この反応混合物に(3S,4R)−1−[アリルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]−3−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−(4−ジメチルアミノベンゾイルオキシカルボニル)エチル]アゼチジン−2−オン0.23gのテトラヒドロフラン(0.7ml)溶液を加えて室温で3時間撹拌した。この反応混合物を20%塩化アンモニウム水溶液に加えて、酢酸エチル(20ml)で2回抽出した。有機層を合わせて1N塩酸2mlと20%食塩水18mlの混液、5%重曹水(20ml)、20%食塩水(20ml)で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去して得られた混合物をシリカゲルクロマトグラフィー(塩化メチレン:メタノール=20:1)で精製することにより、(3S,4R)−1−[アリルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]−3−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−{(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)トリエチルシリルオキシメチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル}アゼチジン−2−オン94mgを得た。
H−NMR(CDCl)δ:−0.03(3H,s),−0.02(3H,s),0.68(6H,m),0.85(9H,2s),0.94(13H,m),1.55(3H,m),2.63−2.87(2H,m),3.80−3.99(1H,m),4.24(1H,m),4.62−4.74(2H,m),5.19−5.27(2H,m),6.03(1H,m),7.29(1H,m),7.56−7.86(16H,m),8.03(1H,m),8.55(1H,m),8.78(1H,m).
MS(FAB)m/z 987(M
例32:(1S,5R,6S)−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−1−メチルカルバペン−2−エム−3−カルボン酸アリル

(a)(3S,4R)−1−[アリルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]−3−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−{(1R)−1−メチル−2−[7−ジメトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル}アゼチジン−2−オン
2−ブロモ−7−ジメトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール0.24gのテトラヒドロフラン(2ml)溶液を−60℃に冷却し、臭化エチルマグネシウムの0.89Mテトラヒドロフラン溶液を0.84ml加え、同温度で1時間撹拌した。この反応混合物に(3S,4R)−1−[アリルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]−3−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−(4−ジメチルアミノベンゾイルオキシカルボニル)エチル]アゼチジン−2−オン0.60gのテトラヒドロフラン1ml溶液を加えて室温で4時間撹拌した。この反応混合物を20%塩化アンモニウム水溶液に加えて、酢酸エチル(20ml)で2回抽出した。有機層を合わせて10%食塩水(20ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去して得られた混合物をシリカゲルクロマトグラフィー(塩化メチレン:メタノール=20:1)で精製することにより、(3S,4R)−1−[アリルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]−3−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−{(1R)−1−メチル−2−[7−ジメトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル}アゼチジン−2−オン0.37gを得た。
H−NMR(CDCl)δ:−0.06(3H,s),−0.05(3H,s),0.81(9H,s),0.90(3H,2s),1.49(3H,m),2.39(1H,m),2.64−2.86(1H,m),3.21(3H,2s),3.76−4.04(1H,m),4.18(1H,m)、4.59(1H,m),4.67(1H,m),5.12−5.43(2H,m),6.04(1H,m),7.26(1H,m),7.52−7.81(15H,m),7.90(1H,m),7.95−8.04(2H,m),8.51(1H,m),8.76(1H,m).
MS(FAB)m/z 917(M
(b)(1S,5R,6S)−6−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−2−[7−ジメトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−1−メチルカルバペン−2−エム−3−カルボン酸アリル
(3S,4R)−1−[アリルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]−3−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−{(1R)−1−メチル−2−[7−ジメトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル}アゼチジン−2−オン1.90gにトルエン20mlを加え、3.5時間加熱還流した。溶媒を濃縮して得られた混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(4%メタノール/酢酸エチルで溶出)で精製して、(1S,5R,6S)−6−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−2−[7−ジメトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−1−メチルカルバペン−2−エム−3−カルボン酸アリル1.04gを得た。
H−NMR(CDCl)δ:0.30(6H,s)、0.91(9H,s)、1.27(3H,d,J=4.4Hz)、1.29(3H,d,J=5.5Hz)、3.22(3H,s)、3.23(3H,s)、3.30(1H,dd,J=2.7,5.5Hz)、3.35−3.47(1H,m)、4.23−4.33(2H,m)、4.68−4.88(2H,m)、5.25−5.30(1H,m)、5.40−5.50(1H,m)、5.90−6.05(1H,m)、7.23−7.31(1H,m)、7.90(1H,s)、7.90−7.95(1H,m)、8.31(1H,s)、8.51(1H,dd,J=1.6、4.7Hz)、8.75(1H,d,J=2.2Hz)
(c) (1S,5R,6S)−6−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−1−メチルカルバペン−2−エム−3−カルボン酸アリル
(1S,5R,6S)−6−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−2−[7−ジメトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−1−メチルカルバペン−2−エム−3−カルボン酸アリル0.28gのジオキサン12ml溶液にジメチルスルホキシド2ml、水1mlを加え90℃で36時間攪拌した。反応混合物を酢酸エチル50mlで希釈し水25mlで3回、10%食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し溶媒を留去して得られた混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチルで溶出)で精製して(1S,5R,6S)−6−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−1−メチルカルバペン−2−エム−3−カルボン酸アリル0.16gを得た。NMRによる分析結果は、例24の分析結果と一致した。
(d)(1S,5R,6S)−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−1−メチルカルバペン−2−エム−3−カルボン酸アリル
(1S,5R,6S)−6−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−1−メチルカルバペン−2−エム−3−カルボン酸アリル0.14gのテトラヒドロフラン2ml溶液に酢酸0.23ml、テトラブチルアンモニウムフルオリドの1M−テトラヒドロフラン溶液0.72mlを加え、室温で36時間攪拌した。反応混合物を酢酸エチル50mlで希釈し、5%重曹水、10%食塩水で順次洗浄した。有機層を乾燥後、溶媒を留去して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(10%メタノール/酢酸エチルで溶出)で精製して(1S,5R,6S)−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−1−メチルカルバペン−2−エム−3−カルボン酸アリル60.3mgを得た。NMRによる分析結果は、例26の分析結果と一致した。
例33: (3S,4R)−1−[アリルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]−3−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−{(1R)−1−メチル−2−[7−ジメトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル}アゼチジン−2−オン

例32記載の方法と同様にして、2−ブロモ−7−ジメトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール0.25gと(3S,4R)−1−[アリルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]−3−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−(ピバロイルオキシカルボニル)エチル]アゼチジン−2−オン0.63gより表題化合物66mgを得た。
例34: (3S,4R)−1−[アリルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]−3−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−{(1R)−1−メチル−2−[7−ジメトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル}アゼチジン−2−オン

例32記載の方法と同様にして、2−ブロモ−7−ジメトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール0.25gと(3S,4R)−1−[アリルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]−3−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−(4−メトキシベンゾイルオキシカルボニル)エチル]アゼチジン−2−オン0.66gより表題化合物0.27gを得た。
例35: (3S,4R)−1−[アリルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]−3−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−{(1R)−1−メチル−2−[7−ジメトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル}アゼチジン−2−オン

例32記載の方法と同様にして、2−ブロモ−7−ジメトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール0.35gと(3S,4R)−1−[アリルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]−3−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−(4−ジエチルアミノベンゾイルオキシカルボニル)エチル]アゼチジン−2−オン1.01gより表題化合物0.51gを得た。
例36: (3S,4R)−1−[アリルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]−3−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−{(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル}アゼチジン−2−オン

(3S,4R)−1−[アリルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]−3−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−(7−ジメトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル)−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン113mgにメタノール0.5mlを加えて溶解し、5N塩酸0.5mlを加えて45℃で1時間撹拌した。室温まで冷却した後、5%重曹水を加え中和して酢酸エチル20mlで抽出した。水層を酢酸エチル10mlで再抽出し、有機層を合わせて10%食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去して得られた混合物をシリカゲルクロマトグラフィー(塩化メチレン:メタノール=15:1)で精製することにより、(3S,4R)−1−[アリルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]−3−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−{(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル}アゼチジン−2−オン86mgを得た。
H−NMR(CDCl)δ:0.96(3H,d,J=6.1Hz),1.67(3H,d,J=6.9Hz),2.43−3.02(3H,m),3.86−4.18(2H,m),4.53−4.70(2H,m),5.08−5.53(2H,m),6.13(1H,m),7.45(1H,m),7.51−7.79(16H,m),8.23(1H,m),8.79(2H,m),9.71(1H,m).
MS(FAB)m/z 757(M
例37: (3S,4R)−1−[アリルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]−3−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−ジエトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン

2−ブロモ−7−ジエトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール0.38gのテトラヒドロフラン2ml溶液を−35℃に冷却し、これに臭化エチルマグネシウムの0.89M−テトラヒドロフラン溶液を1.2ml加え、同温度で45分間撹拌した。この反応混合物を−70℃に冷却し、(3S,4R)−1−[アリルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]−3−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−(4−ジエチルアミノベンゾイルオキシカルボニル)エチル]アゼチジン−2−オン0.88gのテトラヒドロフラン1.5ml溶液を加え、攪拌下、−45℃から室温まで4時間で昇温させた。反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を希塩酸、希重曹水、飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去して得られる混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(5〜10%メタノール/酢酸エチル)で精製することにより(3S,4R)−1−[アリルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]−3−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−ジエトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン0.58gを得た。
H−NMR(CDCl)δ:−0.06(3H,s)、−0.04(3H,s)、0.81(9H,s)、0.8−0.9(3H,m)、1.2−1.3(6H,m)、1.4−1.6(3H,m)、2.6−2.7(1H,m)、2.7−3.0(2H,m)、3.3−3.5(4H,m)、3.7−4.0(1H,m)、4.1−4.3(1H,m)、4.5−4.7(2H,m)、5.1−5.3(1H,m)、5.3−5.5,6.0−6.1(1H,m)、7.2−7.3(1H,m)、7.5−7.7(9H,m)、7.7−7.9(6H,m)、7.9−8.0(2H,m)、8.45−8.55(2H,m)、8.7−8.8(1H,m)
例38: (3S,4R)−1−[アリルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]−3−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン

(3S,4R)−1−[アリルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]−3−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−ジエトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン0.53gのメタノール2.5ml溶液に室温で5N−塩酸水溶液2.5mlを加え、50℃で1時間攪拌した。反応混合物を希重曹水で中和し、酢酸エチルで抽出した。有機層を5%重曹水、20%塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去して得られた混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(2〜7.5%メタノール/塩化メチレン)で精製することにより(3S,4R)−1−[アリルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]−3−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン0.41gを得た。NMRによる分析結果は、例36の分析結果と一致した。
例39: (1S,5R,6S)−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−1−メチルカルバペン−2−エム−3−カルボン酸アリル

(3S,4R)−1−[アリルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]−3−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン0.76gにトルエン20mlを加え、2時間加熱還流した。溶媒を濃縮して得られた混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(5〜10%メタノール/酢酸エチルで溶出)で精製し、目的物を含む溶出液を濃縮して得られた個体をヘキサン:酢酸エチル=1:1溶液で洗浄して、(1S,5R,6S)−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−1−メチルカルバペン−2−エム−3−カルボン酸アリル0.38gを得た。NMRによる分析結果は、例26の分析結果と一致した。
例40: (3S,4R)−1−[アリルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]−3−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)ジメチルヒドラゾノイルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン

2−ブロモ−7−(ピリジン−3−イル)ジメチルヒドラゾノイルイミダゾ[5,1−b]チアゾール0.18gのテトラヒドロフラン2ml溶液を氷水浴で冷却し、これに臭化エチルマグネシウムの0.89M−テトラヒドロフラン溶液を0.6ml加え、同温度で1時間攪拌した。この反応混合物を−60℃に冷却し、(3S,4R)−1−[アリルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]−3−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−(4−ジメチルアミノベンゾイルオキシカルボニル)エチル]アゼチジン−2−オン0.48gのテトラヒドロフラン1.2ml溶液を加え、攪拌下、−45℃から室温まで4時間で昇温させた。反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を希塩酸、希重曹水、飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去して得られる混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(5〜7%メタノール/塩化メチレン)で精製することにより(3S,4R)−1−[アリルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]−3−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)ジメチルヒドラゾノイルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン0.21gを得た。
H−NMR(CDCl)δ:−0.06(3H,s)、−0.02(3H,m)、0.83(9H,s)、0.9−1.0(3H,m)、1.5−1.6(3H,m)、2.59(6H,s)、2.5−3.0(3H,m)、3.8−4.1(1H,m)、4.1−4.4(2H,m)、4.6−4.8(2H,m)、5.2−5.4(1H,m)、7.3−7.4(1H,m)、7.5−7.7(9H,m)、7.8−7.9(6H,m)、8.0−8.1(1H,m)、8.1−8.3(2H,m)、8.65−8.75(1H,m)、8.9−9.0(1H,m)
例41: (1S,5R,6S)−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−1−メチルカルバペン−2−エム−3−カルボン酸アリル

(3S,4R)−1−[アリルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]−3−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)ジメチルヒドラゾノイルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン0.21gのメタノール1ml溶液に室温で5N−塩酸水溶液1mlを加え、50℃で8時間攪拌した。反応混合物を希重曹水で中和し、塩化メチレンで抽出した。有機層を5%重曹水、20%塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去して(3S,4R)−1−[アリルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]−3−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オンの粗精製物を得た。この粗精製物にトルエン5mlを加え、2.5時間加熱還流した。溶媒を留去して得られた混合物を薄層クロマトグラフィー(10%メタノール/塩化メチレンで展開)で精製することにより(1S,5R,6S)−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−1−メチルカルバペン−2−エム−3−カルボン酸アリル64.1mgを得た。NMRによる分析結果は、例26の分析結果と一致した。
例42: (3S,4R)−3−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−{(1R)−1−メチル−2−[7−ジメトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]−1−[4−ニトロベンジルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]アゼチジン−2−オン

例32に記載の方法と同様にして、2−ブロモ−7−ジメトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール0.36gと(3S,4R)−3−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−(4−ジメチルアミノベンゾイルオキシカルボニル)エチル]−1−[4−ニトロベンジルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]−アゼチジン−2−オン1.09gより(3S,4R)−3−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−{(1R)−1−メチル−2−[7−ジメトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]−1−[4−ニトロベンジルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]アゼチジン−2−オン0.54gを得た。
H−NMR(CDCl)δ:−0.10(6H,m),0.80(9H,2s),0.96(3H,m),1.46(3H,m),2.64−2.89(3H,m),3.53(3H,3s),3.51−3.93(1H,m),4.82−5.34(2H,m),6.71(2H,d,J=8.5Hz),7.26(1H,m),7.48−7.91(16H,m),7.99(1H,s),8.20(2H,d,J=8.5Hz),8.52(1H,m),8.75(1H,m).
MS(FAB)m/z 1012(MH
例43: (3S,4R)−3−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−{(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル}−1−[4−ニトロベンジルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]アゼチジン−2−オン

例36に記載の方法と同様にして、(3S,4R)−3−[(1R)−1−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−{(1R)−1−メチル−2−[7−ジメトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル}−1−[4−ニトロベンジルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]アゼチジン−2−オン110mgより(3S,4R)−3−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−{(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル}−1−[4−ニトロベンジルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]アゼチジン−2−オンを84mg得た。NMRによる分析結果は、例29の分析結果と一致した。
MS(FAB)m/Z 852(MH
例44: (1S,5R,6S)−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−1−カルバペン−2−エム−3−カルボン酸(4−ニトロベンジル)
例30記載の方法と同様にして、(3S,4R)−3−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−{(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル}−1−[4−ニトロベンジルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]アゼチジン−2−オン84mgより(1S,5R,6S)−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−1−カルバペン−2−エム−3−カルボン酸(4−ニトロベンジル)48mgを得た。NMRによる分析結果は、例30の分析結果と一致した。
MS(FAB)m/z 574(MH
例45: (3S,4R)−1−[アリルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]−3−(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−{(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル}アゼチジン−2−オン

(a) (3S,4R)−1−[(アリルオキシカルボニル)ヒドロキシメチル]−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−ジメトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン
アルゴン雰囲気下、(3S,4R)−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−ジメトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン104mgのトルエン0.5ml懸濁液に、室温下、グリオキシル酸アリルエステル1水和物45mgのトルエン1.5ml溶液と無水硫酸ナトリウム266mg、トルエン1mlを加えた後、70℃で3日間攪拌した。室温まで放冷し、テトラヒドロフランで希釈した後、不溶物を除き、溶媒を留去することにより(3S,4R)−1−[(アリルオキシカルボニル)ヒドロキシメチル]−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−ジメトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オンの粗精製物を得た。
(b) (3S,4R)−1−[(アリルオキシカルボニル)クロロメチル]−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−ジメトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン
アルゴン雰囲気下、(3S,4R)−1−[(アリルオキシカルボニル)ヒドロキシメチル]−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−ジメトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オンの粗精製物のテトラヒドロフラン1ml溶液を−50℃に冷却し、ピリジン0.028mlのテトラヒドロフラン1.5ml溶液と塩化チオニル0.025mlのテトラヒドロフラン1.5ml溶液を順次加えた。−20℃に昇温後、その温度で更に1時間攪拌した。反応混合物をテトラヒドロフランで希釈した後、不溶物を除き、溶媒を留去することにより(3S,4R)−1−[(アリルオキシカルボニル)クロロメチル]−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−ジメトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オンの粗精製物を得た。
(c)(3S,4R)−1−[アリルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−ジメトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オン
アルゴン雰囲気下、(3S,4R)−1−[(アリルオキシカルボニル)クロロメチル]−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−ジメトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オンの粗精製物のジメチルホルムアミド2ml溶液に室温下、トリフェニルホスフィン92mgを加え、その温度で20時間攪拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、飽和食塩水を加え、炭酸水素ナトリウムで中和した。酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去することにより(3S,4R)−1−[アリルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−ジメトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オンの粗精製物を得た。
(d)(3S,4R)−1−[アリルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]−3−(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−{(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル}アゼチジン−2−オン
(3S,4R)−1−[アリルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]−3−[(1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)エチル]−4−[(1R)−1−メチル−2−[7−ジメトキシ(ピリジン−3−イル)メチルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル]アゼチジン−2−オンのメタノール1mlに5N塩酸−水溶液1mlを加え、45℃で30分間攪拌した。反応混合物を室温まで放冷し酢酸エチルと10%塩化ナトリウムを加え、水層を酢酸エチルで洗浄した。水層を炭酸水素ナトリウムで中和後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去して得られた混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、(3S,4R)−1−[アリルオキシカルボニル(トリフェニルホスホラニリデン)メチル]−3−(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−{(1R)−1−メチル−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−2−オキソエチル}アゼチジン−2−オンを30mg得た。NMR、MSによる分析結果は例36の分析結果と一致した。
例A−1: ヨウ化(1S,5R,6S)−2−[7−(1−カルバモイルメチルピリジニウム−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−1−メチルカルバペン−2−エム−3−カルボン酸アリル
(1S,5R,6S)−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−2−[7−(ピリジン−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−1−メチルカルバペン−2−エム−3−カルボン酸アリル1.46gのメタノール4.5ml溶液に2−ヨードアセトアミド1.13gを加え、40℃で22時間攪拌した。メタノール8mlを加えて希釈した反応混合物を酢酸エチル180mlに滴下して得られた粉末を濾取することによりヨウ化(1S,5R,6S)−2−[7−(1−カルバモイルメチルピリジニウム−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−1−メチルカルバペン−2−エム−3−カルボン酸アリル1.80gを得た。
H−NMR(DMSO−d)δ:1.18(3H,d,J=6.3Hz)、1.24(3H,d,J=7.1Hz)、3.43(1H,dd,J=2.5,5.5Hz)、3.74−3.85(1H,m)、3.98−4.35(1H,m)、4.35(1H,dd,J=2.7,9.6Hz)、4.70−4.90(2H,m)、5.17(1H,d,J=5.2Hz)、5.23−5.39(1H,m)、5.42−5.50(1H,m)、5.55(2H,s)、5.90−6.03(1H,m)、7.76(1H,s)、8.07(1H,s)、8.37(1H,dd,J=6.3,8.2Hz)、8.58(1H,s)、8.71(1H,s)、9.15(1H,d,J=6.3Hz)、9.58(1H,d,J=8.2Hz)、9.76(1H,s)
例A−2: (1S,5R,6S)−2−[7−(1−カルバモイルメチルピリジニウム−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−1−メチルカルバペン−2−エム−3−カルボキシレート
ジメドン0.28g、重曹0.13g、亜リン酸トリエチル0.06mlの水1ml、テトラヒドロフラン3ml溶液を室温で10分間攪拌した後、雰囲気をアルゴン置換し酢酸パラジウム22.4mgを加え10分間攪拌した。ヨウ化(1S,5R,6S)−2−[7−(1−カルバモイルメチルピリジニウム−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−1−メチルカルバペン−2−エム−3−カルボン酸アリル0.66gを加え40℃で2時間攪拌した。反応混合物を氷水浴で30分間攪拌し、生じた沈殿を濾取することにより(1S,5R,6S)−2−[7−(1−カルバモイルメチルピリジニウム−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−1−メチルカルバペン−2−エム−3−カルボキシレートの粗精製物0.47gを得た。この粗精製物を水2mlに溶解し、孔経0.45μmのフィルターでろ過、0.5mlの水で3回洗浄し、ろ液、洗液を合わせ4℃で12時間攪拌した。生じた沈殿をろ濾取することにより(1S,5R,6S)−2−[7−(1−カルバモイルメチルピリジニウム−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−1−メチルカルバペン−2−エム−3−カルボキシレート0.35gを得た。
H−NMR(DMSO−d)δ:1.15−1.25(6H,m)、3.15(1H,dd,J=2.7,6.9Hz)、3.43−3.53(1H,m)、3.90−4.00(1H,m)、4.10(1H,d,J=2.5,9.3Hz)、5.07(1H,d,J=5.2Hz)、5.07−5.20(2H,m)、7.75(1H,s)、8.28(1H,s)、8.34(1H,s)、8.31−8.36(2H,m)、9.15(1H,d,J=6.3Hz)、9.51(1H,d,J=8.2Hz)、9.79(1H,s)
例A−3: (1S,5R,6S)−2−[7−(1−カルバモイルメチルピリジニウム−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−1−メチルカルバペン−2−エム−3−カルボキシレート
2−プロパノール:水=3:2混液320mlに重曹6.72g、N−メチルアニリン10.4ml、トリエチルホスファイト4.8mlを順次加え、雰囲気をアルゴン置換して室温で15分間攪拌した後、酢酸パラジウム0.90gを加え10分間攪拌した。この反応混合物にヨウ化(1S,5R,6S)−2−[7−(1−カルバモイルメチルピリジニウム−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−1−メチルカルバペン−2−エム−3−カルボン酸アリル59.31gの2−プロパノール:水=3:2混液400ml溶液を加え30℃で1時間攪拌した。反応混合物に2−プロパノール80mlを加え、氷水浴で1時間攪拌した後生じた沈殿を濾取し、冷却した2−プロパノール:水=2:1混液265ml、2−プロパノール53ml、アセトン106mlで順次洗浄することにより(1S,5R,6S)−2−[7−(1−カルバモイルメチルピリジニウム−3−イル)カルボニルイミダゾ[5,1−b]チアゾール−2−イル]−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−1−メチルカルバペン−2−エム−3−カルボキシレート7.168gを得た。NMRによる分析結果は、例A−2の分析結果と一致した。
H−NMR(DMSO−d)δ:1.15−1.25(6H,m)、3.15(1H,dd,J=2.7,6.9Hz)、3.43−3.53(1H,m)、3.90−4.00(1H,m)、4.10(1H,dd,J=2.5,9.3Hz)、5.07(1H,d,J=5.2Hz)、5.07−5.20(2H,m)、7.75(1H,s)、8.28(1H,s)、8.34(1H,s)、8.31−8.36(2H,m)、9.15(1H,d,J=6.3Hz)、9.51(1H,d,J=8.2Hz)、9.79(1H,s)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)の化合物:

[式中、
は、水素原子を表すか、または水酸基の保護基を表し、
は、水素原子、カルボキシル基の保護基、またはカルボン酸アニオンのアニオンを表し、
およびZは一緒になって、酸素原子、またはカルボニル基の保護基を表すか、または、
およびZの一方が水素原子を表し、かつ、他方が水酸基または保護された水酸基を表し、
Yは、酸素原子、または基P(Rを表し、
ここで、Rは、同一でも異なっていてもよく、
ハロゲン原子により置換されていてもよいC1−6アルキル基、または
ハロゲン原子もしくはC1−6アルキル基(このアルキル基はハロゲン原子により置換されていてもよい)により置換されていてもよいアリール基を表す]。
【請求項2】
Yが酸素原子である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Yが基P(Rである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
がフェニル基である、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
が、水素原子、t−ブチルジメチルシリル基、トリメチルシリル基、および、トリエチルシリル基からなる群より選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
が、水素原子、カルボン酸アニオンのアニオン、4−ニトロベンジル基、4−メトキシベンジル基、ジフェニルメチル基、アリル基、および、t−ブチルジメチルシリル基からなる群より選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
およびZが一緒になって、酸素原子、ジメトキシ基、ジエトキシ基、および、ジメチルヒドラゾン基からなる群より選択される基を表すか、または
およびZの一方が水素原子を表し、かつ、他方が水酸基を表すか、もしくは、t−ブチルジメチルシリル基、トリメチルシリル基、および、トリエチルシリルからなる群より選択される基により保護された水酸基を表す、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
請求項1に記載の式(1)の化合物であって式中のYが基P(Rである化合物の製造方法であって、
下記式(4’)の化合物をグリニア試薬により処理して得られる反応混合物と、下記式(5)の化合物とを反応させることを含んでなる、方法:

[式中、
11およびZ12は一緒になって、酸素原子、またはカルボニル基の保護基を表すか、または、
11およびZ12の一方が水素原子を表し、他方が保護された水酸基を表し、
Xは、ハロゲン原子を表す];

[式中、
11は、水酸基の保護基を表し、
およびRは、式(1)で定義される内容と同義であり、
は、
置換されていてもよいC1−6アルキル基、または
ハロゲン原子、置換されていてもよいC1−6アルキル基、置換されていてもよいC1−6アルコキシ基、および−NR基からなる群より選択される基により置換されていてもよい、アリール基を表し、
ここで、RおよびRは、同一でも異なっていてもよく、C1−6アルキル基を表すか、または、RおよびRが一緒になって−(CH−基(ここでnは2〜6の整数である)を表す]。
【請求項9】
式(1)中のYが基P(Cである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
グリニア試薬による処理が、グリニア試薬としてアルキルマグネシウムブロミドを用いて、塩化メチレン、エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ベンゼン、およびトルエンからなる群より選択される溶媒中において実施される、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
式(4’)の化合物を下記工程(c)および(d)により得ることをさらに含んでなる、請求項8に記載の方法:
(c) 下記式(14)の化合物を、ビルスマイヤー錯体を用いてホルミル化して、下記式(18)の化合物を得:

[式中、Xは、ハロゲン原子を表す]、

[式中、Xは、ハロゲン原子を表す]、
(d) 得られた式(18)の化合物を下記式(19)の3−メタロピリジンと反応させて、Z11およびZ12の一方が水素原子で他方が水酸基である式(4’)の化合物を得、この化合物の水酸基を保護するか、またはこの化合物の水酸基を酸化して得られるカルボニル基を保護して、式(4’)の化合物を得る工程:

[式中、Mはリチウム、MgBr、またはMgIを表す]。
【請求項12】
式(14)の化合物を下記工程(a)および(b)により得ることをさらに含んでなる、請求項11に記載の方法:
(a) 下記式(15)の化合物とハロゲン化剤とを反応させて得られる下記式(16)の化合物を、必要に応じて保護基を除去した後に、アミノ基をホルミル化し、下記式(17)の化合物を得、


[これら式中、
は、水素原子、またはアミノ基の保護基を表し、
Xは、ハロゲン原子を表す]、
(b) 得られた式(17)の化合物と、脱水剤とを反応させて環化し、式(14)の化合物を得る工程。
【請求項13】
請求項1に記載の式(1)の化合物であって式中のYが酸素原子である化合物の製造方法であって、
下記式(8)の化合物と、下記式(9)の化合物とを塩基存在下で反応させることを含んでなる方法:

COCOOR (9)
[これら式中、
は、水素原子、またはアミノ基の保護基を表し、
、R、ZおよびZは、式(1)で定義される内容と同義であり、
は、脱離基を表す]。
【請求項14】
式(8)の化合物を下記工程(f)により得ることをさらに含んでなる、請求項13に記載の方法:
(f) 下記式(6’)の化合物を、アルカリ金属塩基、または、塩基およびI〜IV価の金属化合物を用いて処理して得られる化合物と、式(7)の化合物とを反応させて、必要に応じて、保護基の除去および/または保護基の導入および/または酸化を行って、式(8)の化合物を得る工程:

[式中、
11およびZ12は一緒になって、酸素原子、またはカルボニル基の保護基を表すか、または、
11およびZ12の一方が水素原子を表し、他方が保護された水酸基を表す];

[式中、
11は、水酸基の保護基を表し、
は、水素原子、またはアミノ基の保護基を表し、
は、脱離基を表す]。
【請求項15】
式(6’)の化合物を下記工程(c)、(d)および(e)により得ることをさらに含んでなる、請求項14に記載の方法:
(c) 下記式(14)の化合物を、ビルスマイヤー錯体を用いてホルミル化して、下記式(18)の化合物を得、

[式中、Xは、ハロゲン原子を表す]、
(d) 得られた式(18)の化合物を下記式(19)の3−メタロピリジンと反応させて、Z11およびZ12の一方が水素原子で他方が水酸基である式(4’)の化合物を得、この化合物の水酸基を保護するか、またはこの化合物の水酸基を酸化して得られるカルボニル基を保護して、式(4’)の化合物を得、

[式中、Mはリチウム、MgBr、またはMgIを表す]、
(e) 得られた式(4’)の化合物をグリニア試薬を用いて処理して得られる化合物と、プロピオン酸誘導体と反応させて、式(6’)の化合物を得る工程。
【請求項16】
グリニア試薬が、アルキルマグネシウムクロリド、アルキルマグネシウムブロミド、アルキルマグネシウムヨーダイド、およびアリールマグネシウムブロミドからなる群より選択され、かつ、
プロピオン酸誘導体が、N−メチル−N−メトキシプロピオンアミド、プロピオン酸無水物、塩化プロピオニル、および、プロピオン酸(ピリジン−2−イルチオ)エステルからなる群より選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
式(14)の化合物を下記工程(a)および(b)により得ることをさらに含んでなる、請求項15または16に記載の方法:
(a) 下記式(15)の化合物とハロゲン化剤とを反応させて得られる下記式(16)の化合物を、必要に応じて保護基を除去した後に、アミノ基のホルミル化を行って、下記式(17)の化合物を得、


[これら式中、
は、水素原子、またはアミノ基の保護基を表し、
Xは、ハロゲン原子を表す]、
(b) 得られた式(17)の化合物と、脱水剤とを反応させて環化し、式(14)の化合物を得る工程。
【請求項18】
請求項1に記載の式(1)の化合物であって式中のYが基P(Rである化合物の製造方法であって、
下記式(8)の化合物と、下記式(10)の化合物またはその反応性等価物とを反応させて得られる下記式(11)の化合物の水酸基を、ハロゲン化剤を用いてハロゲン化し、得られた化合物と、下記式(13)の化合物とを反応させることを含んでなる、方法:

HC(=O)−COOR (10)

P(R (13)
[これら式中、
11は、水酸基の保護基を表し、
、R、Rは、式(1)で定義される内容と同義であり、
は水素原子を表し、
およびZは一緒になって、酸素原子、またはカルボニル基の保護基を表すか、または、
およびZの一方が水素原子を表し、かつ、他方が水酸基または保護された水酸基を表し、
11およびZ12は一緒になって、酸素原子、またはカルボニル基の保護基を表すか、または、
11およびZ12の一方が水素原子を表し、他方が保護された水酸基を表す]。
【請求項19】
式(1)中のYが基P(Cである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
式(8)の化合物を下記工程(f)により得ることをさらに含んでなる、請求項18に記載の方法:
(f) 下記式(6’)の化合物を、アルカリ金属塩基、または、塩基およびI〜IV価の金属化合物を用いて処理して得られる化合物と、式(7)の化合物とを反応させて、必要に応じて、保護基の除去および/または保護基の導入および/または酸化を行って、式(8)の化合物を得る工程:

[式中、
11およびZ12は一緒になって、酸素原子、またはカルボニル基の保護基を表すか、または、
11およびZ12の一方が水素原子を表し、他方が保護された水酸基を表す];

[式中、
11は、水酸基の保護基を表し、
は、水素原子、またはアミノ基の保護基を表し、
は、脱離基を表す]。
【請求項21】
下記式(2)の化合物の製造方法であって、
請求項1に記載の式(1)の化合物を、カルバペネム環を形成しうる条件下において処理して、閉環反応によりカルバペネム環を形成させ、必要に応じて保護基の除去および/または酸化を行うことを含んでなる、方法:

[式中、
は、水素原子を表すか、または水酸基の保護基を表し、
Rは、水素原子、カルボキシル基の保護基、またはカルボン酸アニオンのアニオンを表し、
およびZは一緒になって、酸素原子、またはカルボニル基の保護基を表すか、または、
およびZの一方が水素原子を表し、他方が水酸基または保護された水酸基を表す]。
【請求項22】
式(1)中のYが酸素原子である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
カルバペネム環を形成させる処理を、式(1)の化合物と、下記式(21)の化合物とを反応させることによって行う、請求項22に記載の方法:
P(R (21)
[式中、
は、同一でも異なっていてもよく、C1−6アルキル基、またはC1−6アルコキシ基を表す]。
【請求項24】
式(21)の化合物が、メチル亜ホスホン酸ジエチルである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
式(1)中のYが基P(Cである、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
カルバペネム環を形成させる処理を、式(1)の化合物から、O=P(Rを脱離させることによって行う、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
下記式(A)の化合物の製造方法であって、
請求項21〜26のいずれか一項に記載の方法によって、式(1)の化合物から式(2)の化合物を得ることを含んでなる、方法:

【請求項28】
式(2)の化合物と、下記式(iv)の化合物とを反応させることによって、下記式(3)の化合物を得る工程をさらに含んでなる、請求項27に記載の方法:
CHCONH (iv)

[式中、
は、脱離基を表し、
は、水素原子を表すか、または水酸基の保護基を表し、
Rは、水素原子、カルボキシル基の保護基、またはカルボン酸アニオンのアニオンを表す]。
【請求項29】
式(3)の化合物の保護基を脱保護反応により除去して、式(A)の化合物を得る工程をさらに含んでなる、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
式(1)の化合物を、請求項8〜20のいずれか一項に記載の方法により得ることをさらに含んでなる、請求項27〜29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
下記工程(a)および(b)を含んでなる、下記式(14)の化合物の製造方法:

[式中、Xは、ハロゲン原子を表す]
(a) 下記式(15)の化合物とハロゲン化剤とを反応させて得られる下記式(16)の化合物を、必要に応じて保護基を除去した後に、アミノ基のホルミル化を行って、下記式(17)の化合物を得、


[これら式中、
は水素原子、またはアミノ基の保護基を表し、
Xは、ハロゲン原子を表す]、
(b) 得られた式(17)の化合物と、脱水剤とを反応させて環化し、式(14)の化合物を得る工程。
【請求項32】
Xが臭素原子である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
下記式(4)の化合物:

[式中、
およびZは一緒になって、酸素原子、またはカルボニル基の保護基を表すか、または、
およびZの一方が水素原子を表し、かつ、他方が水酸基または保護された水酸基を表し、
Xは、ハロゲン原子を表す]。
【請求項34】
下記式(6)の化合物:

[式中、
およびZは一緒になって、酸素原子、またはカルボニル基の保護基を表すか、または、
およびZの一方が水素原子を表し、かつ、他方が水酸基または保護された水酸基を表す]。
【請求項35】
下記式(8)の化合物:

[式中、
は、水素原子を表すか、または水酸基の保護基を表し、
およびZは一緒になって、酸素原子、またはカルボニル基の保護基を表すか、または、
およびZの一方が水素原子を表し、かつ、他方が水酸基または保護された水酸基を表し、
は、水素原子、またはアミノ基の保護基を表す]。
【請求項36】
下記式(14a)の化合物:

【請求項37】
抗菌剤の製造における合成中間体としての、請求項1に記載の式(1)の化合物の使用。

【国際公開番号】WO2004/055027
【国際公開日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【発行日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−560642(P2004−560642)
【国際出願番号】PCT/JP2003/016036
【国際出願日】平成15年12月15日(2003.12.15)
【出願人】(000006091)明治製菓株式会社 (180)
【Fターム(参考)】