説明

2つの材料原紙の層が接着された板紙の製造方法および製造装置、システム

【課題】間違いが起こることを防ぎ、作業も面倒ではない、ダンボールへのRFIDタグの埋め込み方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、材料原紙の2層間に情報担体を埋め込めこんだ板紙を製造もしくは整える方法、装置、およびシステム、また、このような方法で製造された板紙および箱に関する。特に、本発明は、後に実行される横方向の切断、情報担体の埋め込み位置から横方向の切断位置までの距離、および、情報担体の埋め込み位置と横方向の切断位置間における板紙状の紙匹の動きを考慮して、段ボール紙に情報担体を埋め込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料原紙の2つの層の間に情報担体が埋め込まれた板紙を製造もしくは整える方法、装置、およびシステム、また、このような方法で製造された板紙および箱に関する。
【背景技術】
【0002】
段ボール紙を製造する従来の装置の基本的な構造を図1に示す。当該装置は、平らな紙匹(ライナー)と、波形状の紙匹(波形中芯)とを接着させる1つ以上のシングルフェーサー部を含む。前述のように接着された紙匹を片面紙匹(片面ダンボールシート)という。ダブルバッカー・貼り合わせ部において、片面紙匹とライナー紙匹とが接着され、かつ貼り合わせられて、単一の紙匹(両面ダンボールシート)となる。ここまでの工程を行う区域をウェットエンドという。張り合わせの後、紙匹(両面ダンボールシート)は加熱・加圧区域を通過する。ここで紙匹は加熱乾燥される。最終工程において、段ボールはその両端が裁断され、必要に応じてさらに所望の形式に切断されて、保管場所に搬送される。
【0003】
また、例えば、倉庫内の物品を認識するために使用されるRFID(Radio Frequency Identification)タグやRFIDトランスポンダーなどの情報担体も従来では周知の技術である。このようなタグは接触しなくても読み取ることができる。したがって、商品でいっぱいの買い物かごも、レジカウンターでスキャナーを通すために空にする必要がない。従来においては、RFIDタグは通常の価格ラベルのように箱に糊付けされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
手作業で商品にタグを糊付けするのは、間違いが起こりやすいうえ、面倒である。
【0005】
それゆえに、本発明の目的は、周知の方法および装置を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、上述の目的は独立請求項に記載の方法、板紙、箱、装置、およびシステムにより達成される。好ましい実施例は従属請求項に記載される。
【0007】
本発明によると、箱の出荷の流れを常時追跡し、箱の中身を自動的に認識する目的で、内部に埋め込まれるRFIDタグが段ボールの内側もしくは各々の紙匹間に設けられている。前記目的を達成するために、前記タグは段ボール紙を製造する工程で、段ボール紙製造装置によって埋め込まれねばならない。縦横両方向に対して正確に定められた位置にタグを配置することも、本発明の重要な局面である。
【0008】
本発明によると、少なくとも2層の材料原紙を接着し、情報担体を2層間に埋め込むことにより、板紙もしくは板紙状の紙匹を製造する方法が提供されている。好ましくは、少なくとも1層の材料原紙は片面紙匹(片面ダンボールシート)であり、段ボール紙製造装置のシングルフェーサー部によって製造される。
【0009】
情報担体は、情報担体を含む材料原紙の層(例えば片面ダンボールシート)が、情報担体を保護するもう一方の材料原紙の層(例えば表ライナ)と接着される前に、当該情報担体を含む材料原紙の層に貼付けられてもよい。情報担体は、貼り合わせ部の前、および、糊剤塗布機の後に貼付けされるのが好ましい。
【0010】
材料原紙の全ての層が接着された後、板紙状の紙匹は横方向(X軸方向)に切断されて個々の板紙に分割される。ここで、「横方向」とは、進行方向に対して垂直の方向を示す。その結果、個々に分割された板紙には、それぞれの規定位置に配置された情報担体が事前にその内部に埋め込まれていることになる。したがって、紙匹の位置、紙匹の搬送速度および/または情報担体の貼付け位置から横方向の切断位置までのアイドル時間には特に注意を払わねばならない。
【0011】
板紙状の紙匹の製造過程において、材料原紙の層は長手方向(Y軸方向)に移動する。ここで、「長手方向」とは、進行方向に対して平行の方向を示す(つまり、流れ方向)。情報担体は、上記搬送される層上であって、当該層の長手方向のに基づいて定められた位置に、時間制御されて、貼付けられる。この時、後の工程で実行される横方向(X軸方向)の切断と、情報担体の貼付け位置から横方向の切断位置までの距離と、情報担体の貼付け位置と横方向の切断位置間における板紙状の紙匹の動きとが考慮される。
【0012】
情報担体の貼付け位置は、材料原紙の層に、継続して貼付けられるように当該情報担体の貯蔵庫を備える位置決めシステムにより決められ、当該位置決めシステムを通過した情報担体が、材料原紙の層に継続して貼付けられる。
【0013】
本発明における方法は、ウェットエンドとドライエンドとを有する段ボール紙製造装置で実行される。図1のように、ウェットエンドはシングルフェーサー部とダブルバッカー・貼り合わせ所からなる。ドライエンドは加熱・加圧区域と最終工程所を含む。
【0014】
使用される段ボール紙製造装置は、少なくとも1つのシングルフェーサー部、1つのダブルバッカー所、1つの貼り合わせ所、1つの加熱・加圧区域、および/または1つの最終工程所を備えてもよい。
【0015】
前記情報担体は、情報担体それぞれからの情報を電磁波、音響電磁波、無線周波、および/または超音波で読み出す装置を含み、特に、RFIDトランスポンダーまたはEASタグである。
【0016】
さらに、少なくとも1枚の外側の紙匹には、内部備え付けの情報担体に注意を促すための標示が施されてもよい。このような標示は、例えば、色付きの標示、ラベル、あるいは製造工程内で印刷された標示などである。
【0017】
標示が紙匹に施されることで、情報担体が貼られる前の紙匹(以下、白紙と呼ぶ)の正しい位置合わせが容易となる。これにより、オフセットが蓄積された結果、情報担体が貼付けられていない板紙の発生が防止され、したがって、情報担体は常に板紙から形成される箱の同じ位置に配置されることになる。また、上記白紙を、段ボール紙製造装置において最適で正しい位置に置くことが可能となり、これにより誤切断を防ぐことができる。また、標示は外側から認識できるため、自動式のRFIDスキャナーはRFIDタグの位置を正確に特定でき、データを読み取る確実性が増加する。さらに、箱で商品を出荷する際の物流管理も、これに伴い改善される。
【0018】
また、本発明には、上述した本発明にかかる方法のいずれか1つによって製造された板紙、特に段ボール紙も含まれる。また、本発明には、板紙または段ボール紙の層の内部に情報担体を含む板紙、特に段ボール紙も含まれる。当該板紙は、本発明にかかる方法で製造されることにより達成される利点を有する。例えば、情報担体は、情報担体それぞれの情報を電磁波、音響電磁波、無線周波、および/または超音波で読み出す装置を含む。前記情報担体は、RFIDトランスポンダーまたはEASタグであってもよい。
【0019】
さらに、本発明の局面によれば、板紙、特に段ボールで一部分または全体が形成される箱が提供され、当該箱の内部には情報担体が含まれる。この箱は、上述した本発明にかかる方法のいずれか1つによって製造されることにより、もしくは、前記板紙から形成されることにより得られる利点を有する。
【0020】
さらに本発明によれば、独自の方法において全局面を実行できる装置が提供され、この目的に適した、あるいは相応しい手段を備える。上述の全ての記述は、この装置にも同様に適応される。
【0021】
また、本発明によれば、材料原紙に情報担体を貼付けるシステムが提供され、当該システムは、少なくとも1つの位置決めシステムを備え、前記位置決めシステムは、情報担体が材料原紙の2層間に埋め込まれるように、前記装置内に配置されてもよい。
【0022】
位置決めシステムは、情報担体が後に板紙それぞれの既定位置に配置されるように位置決めシステムを制御するのに適したコントローラに接続されるのが好ましい。
【0023】
また、コントローラは、材料原紙の層または片面紙匹の長手方向(Y軸方向)に沿って情報担体が貼付けられるように、位置決めシステムを制御してもよい。この時、横切断機から位置決めシステムまでの距離、位置決めシステムと横切断機間における板紙状の紙匹の動き方とその速度、および/または、板紙の規定寸法のパラメータが考慮される。
【0024】
また、好ましくは、システムは、位置決めシステムと横切断機間における板紙状の紙匹の速度を測定する少なくとも1つのセンサをさらに備える。位置決めシステムは、情報担体が位置決めシステムによって情報担体を含む材料原紙の層または片面紙匹に継続的に貼付けられるように、情報担体の貯蔵庫を備えてもよい。
【0025】
本発明の更なる局面および長所は、添付図面に関する詳細な説明により明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図2は、シングルフェーサー部の概略図である。段ボール紙製造装置には、このようなシングルフェーサー部が1つ以上備えられていてもよい。その機能および基本的な構成は、すべて類似している。
【0027】
紙または紙状の原紙が、給紙ローラー1に配置されている。上記給紙ローラー1は、常に対で配置され、原紙が一方のローラーから巻き出され、他方のローラーはいつでも切り換えられる状態にある。一方のローラーの原紙が切れると、給紙が途切れないように位置2にて他方のローラーに紙継ぎされる。ここから紙は、第一の原紙貯留場所3に送られる。紙はここで貯留され、一方のローラーから他方のローラーに紙継ぎされる際の用紙供給の遅れを補う。貯留場所3の貯留量を調整するために、貯留場所の左右に位置する偏向ローラーを互いに近づけるまたは遠ざけることができる。
【0028】
第一の貯留場所3から、紙は位置誘導装置4を通過する。上記位置誘導装置4の後に、紙はローラーを通過し、その際、特に内側から熱蒸気が出るローラーによって加熱される。さらに紙は、延性の向上のため、また後に2つの紙層がしっかりと接着されるように、その搬送途中において加湿される。
【0029】
一方から搬送された紙匹は、波形ローラー5を通過し、ここで紙匹は波形状に成形される。糊剤塗布装置6が上記紙匹に糊剤を塗布する。他方の側から第二の紙匹が送られ、上記波形紙匹と貼り合わされて、片面紙匹(片面ダンボール)を形成する。
【0030】
このようにして得られた片面紙匹は、ブリッジ8に移送される。ここには、第二の原紙貯留場所であるブリッジ貯留7が配置される。これは、製造過程において、片面紙匹の供給の役割を果たすものである。通常、一方の給紙ローラー1から他方の給紙ローラーに紙継ぎされる際、より確実に紙継ぎを行おうとするがゆえにその速度が緩慢になるため、片面紙匹の製造速度は低下してしまう。この速度が低下する間、製造工程が1分当たり約100〜400mの速度で持続できるように、ブリッジ貯留7が片面紙匹を供給する役割を果たす。他方のローラーに紙継ぎされた後では、ブリッジ貯留7を補給するため、片面紙匹の製造速度が平均を上まわる速度になる。
【0031】
図3は、ダブルバッカー・貼り合わせ所、および加熱・加圧区域の概略図を示す。1枚以上の片面紙匹はここに移送される。位置誘導装置11、12はそれぞれ、片面紙匹の位置と、必要な紙匹の張力を調整する。表ライナー供給ローラー9から、表ライナーが原紙貯留箇所を経て位置誘導装置10に誘導される。
【0032】
上記位置誘導装置10、11、12の後、紙匹は予熱器13および糊剤塗布機14を経て、貼り合わせ所20へと送られ、そこで紙匹は接着される。ここで、紙匹が互いに対して接着される位置が出来る限り精密であることが望ましい。
【0033】
貼り合わせの前、すなわち片面紙匹16(片面ダンボール)がライナー紙匹15(表ライナー)と接着される前に、貼付けシステム18によって情報担体26(例えば、RFIDタグ)が片面紙匹16に貼り付けられる。RFIDタグ26は糊剤塗布機14と貼り合わせ所20の間で貼り付けられるのが好ましい。塗布されたばかりの糊剤によって、RFIDタグが付着しやすくなるためである。RFIDタグ26は、例えば、機械工法もしくは圧気工法で貼り付けられる。あるいは、RFIDタグ26を貼り付けるシステムを参照符号19が示す位置に配置してもよい。これにより、多層からなる段ボール紙の異なる2層間にRFIDタグ26を貼り付けることができる。
【0034】
段ボール紙製造装置では、一度に1つ以上の工程を行うことができる。紙匹は罫線入れ・切断機24により縦方向に分断されてもよい。このように分断された紙匹の両端は、様々な方法でさらなる処理が施される。完成品それぞれにはRFIDタグ26が貼り付けられているのが望ましい。このため、貼付けシステム18は1つ1つを個別に制御できる複数の貼付けヘッドを備える構成であってもよい。また、貼付けヘッドは紙匹の進行方向に対して垂直に移動し、それぞれ異なる時間間隔でRFIDタグ26を貼り付けてもよい。
【0035】
作業を設定する際には、例えば、後に形成される板紙箱全体の外形寸法など、あらゆる測定値が必要となる。他にも、許容値や、打ち抜き、罫線入れ、取手開口部などの寸法の測定値が不可欠である。これらのデータは制御システムに送られ、RFIDタグ26を配置するために使用される。また、段ボール紙のどの位置にRFIDタグ26を埋め込むかは、作業の設定/企画の段階で決めておかねばならない(例えば、切断された/罫線が刻まれた端部、もしくは座標基準点からの位置等)。この点に関しては、図5を参照して、より詳細に説明する。
【0036】
貼付けシステム18は十分な個数のタグを貯蔵する貯蔵庫と1個以上の貼付けヘッドの位置を定める位置決め器とを含む。この位置決め器は、紙匹の進行方向に対して垂直の線上にある任意の位置に移動することができる。これにより、紙匹の位置を基準に定められた所望の位置に貼付けヘッドが誘導される。
【0037】
RFIDタグ26を貼り付ける所定の位置は、位置誘導装置10、11、12の近傍に設置されるダブルバッカーの区域、および、罫線入れ・切断機24の区域で、紙匹の位置と幅をさらに任意に測定することにより、正確に決められてもよい。また、幅、位置、収縮率等を測定する測定システムをさらに備えるか、あるいは、罫線入れ・切断機の区域に不要な部分を断裁する端部断裁決定システムをさらに備えることにより、補助的な測定を行うこともできる。このように、紙匹が貼り合わせ所20に到達する前に、タグは所定の位置に正確に埋め込まれる。
【0038】
タグを長手方向(流れ方向)に沿って配置する際に以下の工程を用いてもよい。横切断機25において、紙匹は、後に続く処理において必要な形式の長さを有するように、横方向(幅方向)に切断される。したがって、段ボール紙製造装置の前段部でRFIDタグ26を正確に配置するために、タグが埋め込まれるタイミングは、紙匹が横方向に切断されるタイミングと同期していなければならない。これにより、後に横切断機25の切断ラインから正確に定められた位置で紙匹を切断することができる。前述の両タイミングを同期させるために、横切断機から送信される切断信号を使用してもよい。速度あるいは製品の長さの測定値と組み合わせて、この切断信号を用いれば、RFIDタグ26を埋め込む正確なタイミングを測定することができる。紙匹が搬送される速度は、例えば、速度測定手段22によって検出される。貼付けシステム18から横切断機25までの距離は、ダンボール紙製造装置の構成より明らかである。RFIDタグ26の正確な配置が特に求められている場合は、貼付けシステム18は、実際に処理されている紙匹の搬送速度を考慮して、制御を行わねばならない。紙匹の搬送の許容速度は、1分当たり約100〜400mであり、これは重要な係数である。
【0039】
さらに、作業を変更する際(例えば、別タイプの板紙製品の製造に作業が切り替わる際)、埋め込み位置を適時移動させる必要があることがある。貼付けシステム18は、このような埋め込み位置の移動も考慮せねばならない。
【0040】
段ボール紙製造装置はさらに簡易横切断機23を備える。これは、特に(ダンボールの)形式(フォーマット)が変更された後、もしくは、機械が停止してしまった際に、不要部分を切断する役割を果たす。上記簡易横切断機23は、通常は、、本来のフォーマットに基づく長さとは異なる長さで裁断するため、裁断される部分については貼付けシステム18の制御において考慮されねばならない。
【0041】
貼り合わせ所20の後、紙匹は加熱・加圧区域21内で乾燥される。上記区域内において循環ベルトが紙匹を引き取り、上記紙匹は次に加熱要素に誘導される。板紙は加熱により脱湿され、乾燥される。
【0042】
図4は、最終工程所の概略図である。紙匹の搬送速度が速度測定手段22により検出される。次いで、紙匹は簡易横切断機23を経て、罫線入れ・切断機24に送られる。横切断機25において、紙匹は所望の寸法で横方向に切断され、図4の右に概略的に示される保管場所に搬送される。
【0043】
図5は、縦横両方向に所望の寸法で裁断され、本発明による情報担体26を備えた、縦方向の罫線(後の折り目)付きの段ボール紙の例を示す。進行方向(中心線)に対して垂直の切断および罫線入れは最終工程所で行われる。
【0044】
タグ26の位置は進行方向に平行な軸からの距離(X座標)と、進行方向の終端であって進行方向に対して垂直になる未加工の縁部からの距離(Y座標)とから決められる。当業者は、これ以外の適切な座標システムを用いても構わない。このような位置決めにおいては、板紙の不要な周辺縁部がまだ裁断されていないこと、乾燥のときに紙匹が収縮すること、所定の形式のいくつかの原紙は、その計4つの縁について、その後の工程において更に切り取られる可能性があること、を考慮しなければならない。最終工程後に、RFIDタグ26の埋め込み位置が、基準となる端部あるいは罫線の特定の位置に対して正確に定められた位置からずれてしまうことがないように、これらの係数にはそれぞれ適切な許容値を設ける必要がある。好ましくは、上記装置のオペレータが、使い勝手のよいインターフェース(例えば、図5に示されるような画像を表示するディスプレイを備えたもの)を使って、RFIDタグ26の所望の埋め込み位置を入力あるいは変更してもよい。また、RFIDタグ26の埋め込み位置が作業工程の規格で規定されたタイミングと同じタイミングで入力されるように、上記装置が制御されてもよい。
【0045】
また、少なくとも1枚の外側の紙匹15または17には、内部備え付けの情報担体26に注意を促すための標示が施されてもよい。このような標示は加熱・加圧区域21の後で施されるのが好ましい。さらに、後に外側から認識できるようにするため、標示は最終工程の後で施されるのがより好ましい。段ボール板の製造と連動して標示を施せば、RFIDタグ26を配置する際に使用済みのデータおよび制御変数は全て、標示を施す際にも同様に使用できる。例えば、RFIDタグ26を貼り付けるタイミングと標示を施すタイミングとを同期させることもできる。
【0046】
上述および図5の例に示されるように、少なくとも1枚の外側の紙匹15または17には、内部備え付けの担体が配置される位置のX座標とY座標を示す標示(X、Y)が施されてもよい。RFIDタグ26を配置する際に使用済みのデータおよび制御変数は全て、標示を施す際にも同様に使用できる。例えば、RFIDタグ26を貼り付けるするタイミングと標示を施すタイミングとを同期させることもできる。
【0047】
標示が紙匹に施されることで、情報担体を基準に紙板の位置を測定することが容易になる。これにより、オフセットが蓄積された結果、情報担体が貼り付けられていない板紙の発生が防止され、したがって、情報担体は常に板紙から形成される箱の同じ位置に配置されることになる。上記板紙の位置は段ボール紙製造装置において測定されるのが最も好ましく、これにより誤切断を防ぐことができる。また、標示は外側から認識できるため、自動式のRFIDスキャナーはRFIDタグの位置を正確に特定でき、データを読み取る確実性が増加する。さらに、箱で商品を出荷する際の物流管理も、これに伴い改善される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】段ボール紙の製造設備の図式的外観図
【図2】本発明に係る段ボール紙を製造する装置のシングルフェーサー部の概略図
【図3】本発明に係るダブルバッカー・貼り合わせ所と加熱・加圧区域の概略図
【図4】本発明に係る最終工程所の概略図
【図5】本発明に係る情報担体を備えた板紙の概略図
【符号の説明】
【0049】
1…給紙ローラー
3…原紙貯留場所
4…位置誘導装置
5…波形ローラー
6…糊剤塗布装置
7…ブリッジ貯留
8…ブリッジ
9…表ライナー供給ローラー
10、11、12…位置誘導装置
13…予熱器
14…糊剤塗布機
15…外側の紙匹(ライナー紙匹)
16…片面紙匹
17…外側の紙匹
18…貼付けシステム
20…貼り合わせ所
21…加熱・加圧区域
22…速度測定手段
23…簡易横切断機
24…罫線入れ・切断機
25…横切断機
26…RFIDタグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの材料原紙の層が接着された板紙または板紙状の紙匹の製造方法であって、
情報担体(26)は前記少なくとも2つの材料原紙の層(15、16)の間に埋め込まれる製造方法。
【請求項2】
前記情報担体(26)は、当該情報担体を含む材料原紙の層が、情報担体を保護するもう一方の材料原紙の層と接着される前に、当該情報担体を含む材料原紙の層に貼付けられる請求請1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記材料原紙の全ての層が接着された後、前記板紙状の紙匹は横方向に切断されて個々の板紙に分割され、個々に分割された板紙には、それぞれの規定位置に配置された前記情報担体(26)が事前に埋め込まれている請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記板紙状の紙匹の製造過程において、前記材料原紙の層は長手方向に移動し、
後の工程で実行される横方向の切断と、情報担体(26)の貼付け位置から横方向の切断位置までの距離と、情報担体の貼付け位置と横方向の切断位置間における板紙状の紙匹の動きとを考慮して、前記情報担体(26)が、前記情報担体を含む材料原紙の層上であって、当該材料原紙の層の長手方向に基づいて定められた位置に、時間制御されて貼付けられる請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記情報担体の貼付け位置は、前記材料原紙の層に継続して貼付けられるように当該情報担体の貯蔵庫を備える位置決め部により決められ、当該位置決め部を通過した情報担体が、前記材料原紙の層に継続して貼付けられる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記方法は、ウェットエンドとドライエンドとを有する段ボール紙製造装置において実行される請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記段ボール紙製造装置は、少なくとも1つのシングルフェーサー部、1つのダブルバッカー所、1つの貼り合わせ所(20)、1つの加熱・加圧区域、および/または1つの最終工程所を備える請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記情報担体(26)は、情報担体(26)それぞれからの情報を電磁波、音響電磁波、無線周波、および/または超音波で読み出す装置を含む請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項9】
前記情報担体(26)は、RFIDトランスポンダーまたはEASタグである請求項1〜8のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項10】
少なくとも1枚の外側の紙匹(15、17)には、前記2つの層の間に埋め込まれた前記情報担体(26)に注意を促すための標示が施される請求項1〜9のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項11】
前記板紙は、特に段ボール紙であって、
前記板紙は請求項1〜10に記載のいずれか1つの方法で製造される板紙。
【請求項12】
板紙、特に段ボール紙であって、
情報担体(26)は前記板紙または段ボール紙の層の内部に含まれる板紙。
【請求項13】
前記情報担体(26)は、情報担体(26)それぞれからの情報を電磁波、音響電磁波、無線周波、および/または超音波で読み出す装置を含む請求項12に記載の板紙。
【請求項14】
前記情報担体(26)は、RFIDトランスポンダーまたはEASタグである請求項12または13に記載の板紙。
【請求項15】
前記板紙には、当該板紙の層の内部に含まれる前記情報担体(26)に注意を促すための標示が施される請求項12〜14のいずれか一項に記載の板紙。
【請求項16】
前記板紙、特に段ボール紙で一部分または全体が形成される箱であって、
前記情報担体(26)は前記板紙の層の内部に含まれる箱。
【請求項17】
前記情報担体(26)は、情報担体(26)それぞれからの情報を電磁波、音響電磁波、無線周波、および/または超音波で読み出す装置を含む請求項16に記載の箱。
【請求項18】
前記情報担体(26)は、RFIDトランスポンダーまたはEASタグである請求項16または17に記載の箱。
【請求項19】
前記箱には、前記板紙の層の内部に含まれる前記情報担体(26)に注意を促すための標示が施される請求項16〜18のいずれか一項に記載の板紙。
【請求項20】
段ボール紙を製造する装置であって、
情報担体(26)を貼付けるための少なくとも1つの位置決め部を備え、
前記位置決め部は、前記情報担体(26)が材料原紙(15、16)の2層間に埋め込まれるように、前記装置の内部に配置される装置。
【請求項21】
前記位置決め部は、前記材料原紙の層が接着される前の工程において、2枚の片面紙匹の間、または、片面紙匹(16)とライナー紙匹(15)の間に配置される請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記位置決め部は、貼り付け所(20)の前、あるいは、その近傍に配置される請求項20または21に記載の装置。
【請求項23】
前記装置は、
板紙状の紙匹を個々の板紙に分断する横切断機(25)と、
前記情報担体(26)が後に板紙それぞれの既定位置に配置されるように位置決め部を制御するのに適したコントローラとを更に備え、
前記位置決め部は前記コントローラに接続される請求項20〜22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
前記コントローラは、前記横切断機(25)から前記位置決め部までの距離、当該位置決め部と前記横切断機間における前記板紙状の紙匹の動き方とその速度、および/または、板紙の規定寸法を考慮して、材料原紙の層または片面紙匹の縦方向(Y軸方向)に前記情報担体(26)が貼付けられるように、当該位置決め部を制御する請求項20〜23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
前記位置決め部は、前記情報担体(26)が前記位置決め部によって情報担体を含む材料原紙の層に継続的に貼付けられるように、前記情報担体(26)の貯蔵庫を備える請求項20〜24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記装置は、ウェットエンドとドライエンドとを有する請求項20〜25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
前記装置は、少なくとも1つのシングルフェーサー部、1つのダブルバッカー所、1つの貼り合わせ所(20)、1つの加熱・延伸区域、および/または1つの最終工程所を備える請求項20〜26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
少なくとも1枚の外側の紙匹(15、17)は、前記2層間に埋め込まれた前記情報担体(26)に注意を促すための標示を施す構成を有する少なくとも1つの手段を含む請求項20〜27のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
請求項20〜28のいずれか一項に記載の装置において、材料原紙の層に情報担体(26)を貼付けるシステムであって、
少なくとも1つの位置決め部を備え、
前記位置決め部は、前記情報担体(26)が材料原紙(15、16)の2層間に埋め込まれるように、前記装置内に配置されるシステム。
【請求項30】
前記位置決め部は、前記情報担体(26)が後に板紙それぞれの既定位置に配置されるように制御するのに適したコントローラに接続される請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記コントローラは、前記横切断機から前記位置決め部までの距離、当該位置決め部と当該横切断機間における板紙状の紙匹の動き方とその速度、および/または、板紙の規定寸法を考慮して、材料原紙の層または片面紙匹の縦方向(Y軸方向)に前記情報担体(26)が貼付けられるように、当該位置決め部を制御する請求項29または30に記載のシステム。
【請求項32】
前記位置決め部と前記横切断機間における前記板紙状の紙匹の速度を測定する少なくとも1つのセンサをさらに備える請求項29〜31のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項33】
前記位置決め部は、前記情報担体(26)が当該位置決め部によって情報担体を含む材料原紙の層に継続的に貼付けられるように、当該情報担体(26)の貯蔵庫を備える請求項29〜32のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項34】
少なくとも1枚の外側の紙匹(15、17)は、前記2層間に埋め込まれた前記情報担体(26)に注意を促すための標示を施す構成を有する少なくとも1つの手段を含む請求項29〜33のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−216683(P2007−216683A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−37117(P2007−37117)
【出願日】平成19年2月16日(2007.2.16)
【出願人】(506399251)テックスマグ ゲーエムベーハー フェアトリーブスゲゼルシャフト ゲーエムベーハー (4)
【氏名又は名称原語表記】Texmag GmbH Vertriebsgesellschaft GmbH
【住所又は居所原語表記】Zehntenwegstrasse 17 8800 Thalwil Switzerland
【Fターム(参考)】