説明

3次元フォトニック結晶の製造方法及びそれに使用する3次元フォトニック結晶製造装置

【課題】 複数の光束を感光材中で干渉させて干渉縞を生じさせることで3次元フォトニック結晶を製造するいわゆるホログラフィックリソグラフィー法において、簡易な構成の光学系を用いて短時間で大型のフォトニック結晶を製造する手段及びそれに使用する製造装置を提供する。
【解決手段】 本発明に係る3次元フォトニック結晶の製造方法は、3次元周期で光の屈折率が変化する3次元フォトニック結晶の製造方法において、照射された光強度に応じて屈折率が変化する感光材3に対し、相異なる3方向から2光束干渉露光を行うことにより、所定厚みの壁状の潜像16が複数並設されてなる潜像群17,18,19を3方向に向かってそれぞれ形成し、3つの潜像群17,18,19が重なり合う部分とそれ以外の部分とで屈折率に差を生じさせることにより、感光材3に3次元周期の屈折率変化を形成するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトニックバンドギャップを利用した各種光導波路デバイスや、バンド端での光学特性を利用した各種光デバイスを作製するための光学媒質である3次元フォトニック結晶の製造方法及びそれに使用する製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種光デバイスを作製するための新たな光学媒質としてフォトニック結晶が提唱されている。このフォトニック結晶は、光の波長オーダーの周期的屈折率分布を有し、光子のエネルギーに対してバンド構造が形成されるという特徴を有している。特に、3次元周期の屈折率分布を持つ3次元フォトニック結晶の場合、全ての方向に対して光の存在が禁止される完全フォトニックバンドギャップが形成されるため、線欠陥を導入して光の存在を許容することによって極微小光導波路を形成することができ、また点欠陥を導入して微小点への光の捕獲を可能とすることによって微小光共振器を形成することができる。これにより、導波現象や発光現象の根元制御が可能となり、各種発光デバイスの性能向上を図ることができる。また、その他にも、光の群速度が零になるバンド端に着目して、定在波状態を共振器として用いることで大面積レーザ等を実現することや、光が伝搬可能な透過バンドに着目して、特異な分散関係に基づき様々な光制御を可能にすることも期待されている。
【0003】
この3次元フォトニック結晶の製造方法は4つに大別される。第1の製造方法は、微粒子の凝集を用いる方法である。この方法では、例えば、数ミクロン径の一定の大きさのプラスチック球を水中に分散させ、静かに放置して水を蒸発させると、プラスチック球がエネルギー的に最も安定な面心立方格子を形成する。しかし、この第1の製造方法によれば、形成された結晶の一部に不整列の欠陥が入りやすい反面、人工的に欠陥を導入して導波路化する手法がないという問題がある。また、形成できる結晶が面心立方格子に限られるという問題もある。
【0004】
また、第2の製造方法は、層毎形成方法である。この方法では、エッチングにより2次元格子を形成してこれを積層することで3次元化するか、或いはあらかじめ2次元格子が形成された基板上にスパッタリングにより屈折率の異なる2種類の材料を交互に積層することで3次元化する。しかし、この第2の製造方法によれば、結晶の形成途中で人工的な欠陥を導入することは容易であるが、形成に時間を要するため、大型で原子層数の大きい結晶の形成が難しいという問題がある。
【0005】
また、第3の製造方法は、SOR(Synchrotron Orbital Radiation;シンクロトロン放射)リソグラフィー法である。この方法では、三角配列の2次元のX線マスクを用いて斜入射のX線で3方向から多重露光することで、面心立方格子が形成される。しかし、この第3の製造方法では、過去作製が報告されているのは面心立方格子だけである上に、SORを用いるので製造装置が高価になるという問題がある。
【0006】
第4の製造方法は、ホログラフィックリソグラフィー法と呼ばれるレーザ干渉法である(例えば特許文献1参照)。この方法では、1本のレーザを4つの光束に分割して、これら4光束を1度の露光によって光硬化性樹脂中で同時に干渉させる。すると、周期的な干渉縞が形成されてその部分の光硬化性樹脂が硬化するため、未硬化部分を除去すれば、3次元格子構造を有する硬化部分だけが残留する。この方法によれば、4光束干渉を用いることで14種類のブラベー格子全てを形成できることが証明されており、また、人工的な欠陥の導入方法も提案されており、比較的大型の結晶も形成できるので有力な手法である。
【0007】
【特許文献1】特開2000−329920号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、3次元フォトニック結晶の従来の製造方法のうち、前記第4の製造方法では、4光束干渉の光学系が複雑で、形成する結晶系によっては光学系を構成するのが難しいという問題がある。また、干渉においては、4光束の偏光間の内積で干渉縞のコントラストが決まるが、4光束ゆえに、例えば偏光方向を全て一致させることができないことからもわかるように、偏光方向を任意に設定できないという問題もある。
【0009】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、複数の光束を感光材中で干渉させて干渉縞を生じさせることで3次元フォトニック結晶を製造するいわゆるホログラフィックリソグラフィー法において、簡易な構成の光学系を用いて短時間で大型のフォトニック結晶を製造する手段及びそれに使用する製造装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための請求項1記載の3次元フォトニック結晶の製造方法は、3次元周期で屈折率が変化する3次元フォトニック結晶の製造方法において、照射された光強度に応じて屈折率が変化する感光材に対し、相異なる3方向から2光束干渉露光を行うことにより、所定厚みの壁が複数並設されてなる壁群を前記3方向に向かってそれぞれ形成し、これら3つの壁群が重なり合う部分とそれ以外の部分とで屈折率に差を生じさせることにより、前記感光材に3次元周期の屈折率変化を形成するものである。
【0011】
請求項2記載の3次元フォトニック結晶の製造方法は、前記感光材に対する相異なる3方向からの2光束干渉露光は、前記感光材に対して同じ入射角で所定時間差をおいて3回の2光束干渉露光を行い、各2光束干渉露光の合間に前記感光材を同一平面内で所定角度ずつ回転させることにより行うものである。
【0012】
請求項3記載の3次元フォトニック結晶の製造方法は、前記感光材に対する相異なる3方向からの2光束干渉露光は、前記感光材に対して異なる入射角で所定時間差をおいて3回の2光束干渉露光を行い、各2光束干渉露光の合間に前記感光材を同一平面内で所定角度ずつ回転させることにより行うものである。
【0013】
請求項4記載の3次元フォトニック結晶製造装置は、3次元周期で屈折率が変化する3次元フォトニック結晶を製造するための3次元フォトニック結晶製造装置において、光強度が周期的に変化する光の場を2光束干渉露光によって作り出す光学系と、該光学系によって作り出される光の場の中に、照射された光強度に応じて屈折率が変化する感光材を同一平面内で回転可能に保持する可動ステージと、を具備するものである。
【0014】
請求項5記載の3次元フォトニック結晶製造装置は、前記光学系が、2光束干渉露光の前記感光材への入射角を変更可能に設けられたものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る3次元フォトニック結晶の製造方法によれば、感光材に対し、相異なる3方向から2光束干渉露光を行うことで3つの壁群を形成するので、簡易な構成の光学系で、短時間に大型の3次元フォトニック結晶を形成することができる。また、光学系を動かすことなく、感光材を回転させることで相異なる3方向から2光束干渉露光を行うので、光学系の構成を更に簡略化することができる。
【0016】
また、2光束干渉露光を用いることにより、偏光方向を同一とすることができるので、コントラストの大きい干渉縞を形成することができる。逆に、偏光方向や、強度比を変えることでコントラストを調整することもでき、原子のつながり具合や、形をコントロールすることができる。
【0017】
また、各2光束干渉露光毎に感光材への入射角を変化させることにより、立方晶系以外の、すなわち正方晶系、斜方晶系、菱面体、六方晶系、単斜晶系、三斜晶系の格子を形成することも可能である。これにより、感光材への入射角を一定にして立方晶系の格子を形成する場合と合わせて、14種類のブラベー格子全てを形成することができる。
【0018】
また、本発明に係る3次元フォトニック結晶製造装置によれば、光強度が周期的に変化する光の場を2光束干渉露光によって作り出すので、簡易な構成の光学系で、短時間に大型の3次元フォトニック結晶を形成することができる。また、可動ステージを制御して感光材を同一平面内で回転させることにより、光学系を動かすことなく、感光材の異なる方向から2光束干渉露光を行うことができる。
【0019】
また、本発明に係る3次元フォトニック結晶製造装置によれば、3回の2光束干渉露光毎に感光材への入射角を変化させることにより、立方晶系以外の、すなわち正方晶系、斜方晶系、菱面体、六方晶系、単斜晶系、三斜晶系の格子を形成することも可能である。これにより、感光材への入射角を一定にして立方晶系の格子を形成する場合と合わせて、14種類のブラベー格子全てを形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施例に係る3次元フォトニック結晶の製造方法及びその製造装置について図面に基づいて説明する。図1は、本実施例に係る3次元フォトニック結晶製造装置1の構成を示す概略図である。3次元フォトニック結晶製造装置1は、空間内に光の波長オーダーの周期で光強度が変化する光の場を作り出す光学系2と、該光学系2によって作り出された光の場の中に感光材3を移動可能に保持する可動ステージ4と、を備えてなるものである。
【0021】
光学系2は、いわゆる2光束干渉露光系であって、図1に示すように、レーザ光L1を放射するレーザ光源5と、該レーザ光源5から発せられたレーザ光L1を2つの光束L2,L3に分割するためのビームスプリッタ6と、各光束L2,L3を可動ステージ4上の感光材3へと導くための光路ミラー群7と、各光束L2,L3のビーム径を拡げるためのビームエクスパンダ8と、2つの光束L2,L3のうち一方の光束L2の光路長を補正するための光路長補正機構9とを具備している。
【0022】
レーザ光源5は、シャッタ装置10を備え、このシャッタ装置10の制御によって所望のタイミングでレーザ光L1を射出可能となっている。また、ビームスプリッタ6は、いわゆるハーフミラー11を備え、このハーフミラー11でレーザ光L1を反射し又は透過することによって2分割するものである。また、ビームエクスパンダ8は、集光レンズ12と空間フィルタ13と平行化レンズ14とを備え、集光レンズ12で各光束L2,L3を集光して空間フィルタ13に形成されたピンホール15を通過させた後、平行化レンズ14で平行光に変換することにより、そのビーム径を拡大するものである。また、光路長補正機構9は、ハーフミラー11で反射された光束L2の光路上に配置され、その光路長をハーフミラー11を透過した光束L3の光路長との関係で適宜補正するためのものである。
【0023】
このように構成される光学系2によれば、レーザ光源5から射出された1本のレーザ光L1が、光路ミラー7Aによってビームスプリッタ6へ案内され、2つの光束L2,L3に分割される。このうち、ハーフミラー11を透過した光束L3は、光路ミラー7Bによってビームエクスパンダ8へ案内されてそのビーム径が拡大された後、光路ミラー7Cで反射されることにより可動ステージ4へ向けて照射される。一方、ハーフミラー11で反射された光束L2は、ビームエクスパンダ8によってビーム径が拡大され、光路長補正機構9によってその光路長が補正された後、光路ミラー7Dで反射されることにより可動ステージ4へ向けて照射される。これにより、可動ステージ4近傍の空間では、光路ミラー7Cからの光束L3と光路ミラー7Dからの光束L2とが所定角度をなして交差し、その干渉によって周期的な干渉縞、すなわち光の波長オーダーの周期で光強度が変化する光の場が作り出される。
【0024】
一方、可動ステージ4は、図に詳細は示さないが、光学系2によって作り出された光の場の中に感光材3を保持するための保持トレイと、感光材3をその法線を中心として回転可能に支持する回転ステージとからなるものである。
【0025】
以下、3次元フォトニック結晶製造装置1を用いた3次元フォトニック結晶の製造方法について説明する。まず、可動ステージ4上に感光材3をセットする。本実施例では、感光材3として、ある閾値以上の光強度で露光されることで硬化する光硬化性樹脂を使用し、この感光材3を所定の基板の上に塗布することにより、感光材3の薄膜を形成する。そして、この感光材3の薄膜が形成された基板を可動ステージ4の上に移動不能に固定する。
【0026】
次に、シャッタ装置10を操作してレーザ光源5から第1回目の露光を行う。レーザ光源5から射出されたレーザ光L1は、前述のように、ビームスプリッタ6によって2つの光束L2,L3に分割され、ハーフミラー11を透過した光束L3はビームエクスパンダ8を経て反射ミラー7Cで反射されることにより、またハーフミラー11で反射された光束L2はビームエクスパンダ8と光路長補正機構9を経て反射ミラー7Dで反射されることにより、それぞれ所定の入射角で可動ステージ4上の感光材3に露光される。この2つの光束L2,L3は、感光材3中で交差して干渉することで周期的な干渉縞を形成し、感光材3はこの干渉縞に対応する部分が露光されていわゆる潜像を形成している。これにより、図2(a)に示すように、感光材3中には、所定厚みの壁状の潜像16が一定間隔で並設されてなる潜像群17が所定方向に向かって形成される。
【0027】
そして、第1回目の露光が終了した後、可動ステージ4を動作制御することで感光材3を所定角度だけ回転させる。より詳細には、感光材3の位置を原点として空間内に(X,Y,Z)の直交座標系を考えた場合、XY平面内でZ軸廻りに120°だけ感光材3を回転させる。そして、この状態から、シャッタ装置10を操作してレーザ光源5から第2回目の露光を行い、第1回目の露光時と同じ入射角で2つの光束L2,L3を感光材3に露光する。これにより、感光材3中には、周期的な干渉縞が形成され、図2(b)に示すように、第1回目の露光時とは異なる方向に向かって延びる潜像群18が形成される。
【0028】
更に、第2回目の露光が終了した後、再び可動ステージ4を動作制御して感光材3を回転させる。より詳細には、XY平面内でZ軸廻りに、且つ、第1回目と第2回目の露光の間に回転させた方向と同じ廻り方向に、120°だけ感光材3を回転させる。そして、この状態から、シャッタ装置10を操作してレーザ光源5から第3回目の露光を行い、第1回目及び第2回目と同じ入射角で2つの光束L2,L3を感光材3に露光する。これにより、感光材3中には、周期的な干渉縞が形成され、図2(c)に示すように、第1回目及び第2回目の露光時とは異なる方向に向かって延びる潜像群19が形成される。
【0029】
最後に、溶剤等を用いて感光材3を現像する。すなわち、第3回目の露光が終了した時点において、感光材3中には異なる3方向に延びる3つの潜像群17,18,19が形成されるが、この3つの潜像群17,18,19が重なり合う部分では、3回の露光を受けてその露光量が感光材3の閾値を超えるようになっている。これにより、感光材3は、3つの潜像群17が重なり合う部分のみが硬化し、その他の部分は未硬化のままとなっている。従って、溶剤等を用いて未硬化部分を除去すれば、感光材3は、硬化部分だけを残してその他の部分が空洞状態となる。これにより、感光材3の残留部分と空洞部内の空気とで3次元周期の屈折率変化を形成する3次元フォトニック結晶が得られる。本実施例では、2つの光束L2,L3の感光材3への入射角を適宜設定することにより、図3に模式的に示すように、感光材3の硬化部分20すなわち3つの潜像群17が重なり合う部分が、面心立方格子の格子点に相当する位置となるようにして、面心立方格子の3次元フォトニック結晶を形成している。尚、図3では、各硬化部分20が棒状の連結部材21を介して互いに結合された状態を示したが、この連結部材21は説明の便宜上図示したものに過ぎない。実際には、連結部材21は形成されず、且つ、硬化部分20は互いに接触するほど大径であって、この接触部分を介して各硬化部分20同士が互いに結合された状態となっている。
【0030】
尚、本実施例では、各光束L2,L3の感光材3への入射角を変えることなく2光束干渉露光を3回行い、各露光の合間に感光材3をXY平面内でZ軸廻りに120°ずつ回転させることで面心立方格子の3次元フォトニック結晶を形成したが、各光束L2,L3の感光材3への入射角や感光材3の回転角を適宜変更すれば、単純立方格子や体心立方格子といった立方晶系の格子を形成することも可能である。また、各露光の合間に感光材3を回転させることに加えて、各露光時毎に感光材3への光束L2,L3の入射角を適宜変更すれば、立方晶系以外の、すなわち正方晶系、斜方晶系、菱面体、六方晶系、単斜晶系、三斜晶系の格子を形成することも可能である。このようにして、本発明によれば14種類全てのブラベー格子を形成することができる。
【0031】
また、本実施例によれば、感光材3をXY平面内でZ軸廻りに回転させたため、形成される格子は特定方位のものに限定されるが、感光材3を例えばY軸及びZ軸の2軸廻りに回転させれば、任意の方位の格子を形成することが可能である。
【0032】
また、感光材3の内部に3つの潜像群17を形成する手段としては、各露光の合間に感光材3を回転させる方法以外に、例えば、光学系2を移動可能に設けて、感光材3を位置固定したまま各露光の合間に光学系2を移動させる方法や、複数の光学系2を設けて、感光材3を位置固定したまま各露光の合間に光学系2を切り替える方法も採用可能である。しかし、本実施例のように感光材3を回転させた方が、光学系2の構成を簡略化することができるという利点がある。
【0033】
また、本実施例では、露光された部分が硬化するいわゆるネガ型の感光材3を使用したが、これに替えて露光された部分が分解するいわゆるポジ型の感光材3を使用することも可能である。この場合、3つの壁群が重なり合う部分においてのみ感光材3が分解するようにして、この分解部分を溶剤等で除去すれば、感光材3は、3次元格子の格子点に相当する位置が空洞状態となる。これにより、感光材3の残留部分と空洞部内の空気とで3次元周期の屈折率変化を形成する3次元フォトニック結晶が得られる。
【0034】
また、感光材3に対して2光束干渉露光を行うことに替えて、アクリル樹脂に代表されるX線レジスト材料に対してX線照射を3回行い、各照射の合間にアクリル樹脂を適宜回転させることも可能である。この場合、各X線が重なった部分においてのみアクリル樹脂に穴が開くようにスリットアレイ状のX線マスクを通して露光すれば、アクリル樹脂の残留部分と穴の開いた部分とで3次元周期の屈折率変化を形成する3次元フォトニック結晶が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、フォトニックバンドギャップを利用した各種光導波路デバイスや、バンド端での光学特性を利用した各種光デバイスの作製に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本実施例に係る3次元フォトニック結晶製造装置1の構成を示す概略図。
【図2】感光材3中に形成される3つの潜像群17,18,19を説明するための説明図。
【図3】面心立方格子の3次元フォトニック結晶を説明するための説明図。
【符号の説明】
【0037】
1 3次元フォトニック結晶製造装置
2 光学系
3 感光材
4 可動ステージ
16 潜像
17,18,19 潜像群
20 感光材の硬化部分
L2,L3 光束

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元周期で屈折率が変化する3次元フォトニック結晶の製造方法において、
照射された光強度に応じて屈折率が変化する感光材に対し、相異なる3方向から2光束干渉露光を行うことにより、所定厚みの壁状の潜像が複数並設されてなる潜像群を前記3方向に向かってそれぞれ形成し、これら3つの潜像群が重なり合う部分とそれ以外の部分とで屈折率に差を生じさせることにより、前記感光材に3次元周期の屈折率変化を形成することを特徴とする3次元フォトニック結晶の製造方法。
【請求項2】
前記感光材に対する相異なる3方向からの2光束干渉露光は、前記感光材に対して同じ入射角で所定時間差をおいて3回の2光束干渉露光を行い、各2光束干渉露光の合間に前記感光材を同一平面内で所定角度ずつ回転させることにより行うことを特徴とする請求項1に記載の3次元フォトニック結晶の製造方法。
【請求項3】
前記感光材に対する相異なる3方向からの2光束干渉露光は、前記感光材に対して異なる入射角で所定時間差をおいて3回の2光束干渉露光を行い、各2光束干渉露光の合間に前記感光材を同一平面内で所定角度ずつ回転させることにより行うことを特徴とする請求項1に記載の3次元フォトニック結晶の製造方法。
【請求項4】
3次元周期で屈折率が変化する3次元フォトニック結晶を製造するための3次元フォトニック結晶製造装置において、
光強度が周期的に変化する光の場を2光束干渉露光によって作り出す光学系と、該光学系によって作り出される光の場の中に、照射された光強度に応じて屈折率が変化する感光材を同一平面内で回転可能に保持する可動ステージと、を具備することを特徴とする3次元フォトニック結晶製造装置。
【請求項5】
前記光学系が、2光束干渉露光の前記感光材への入射角を変更可能に設けられたことを特徴とする請求項4記載の3次元フォトニック結晶製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−40334(P2008−40334A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−217173(P2006−217173)
【出願日】平成18年8月9日(2006.8.9)
【出願人】(593006630)学校法人立命館 (359)
【Fターム(参考)】