説明

3次元入力表示装置

【課題】本発明は、3次元表示されたオブジェクトに対してユーザが直接触れるような動作を行うことで、入力を行うことを可能にすることで、ユーザに直感的な入力環境を提供するとともに誤入力を防止することができる3次元入力表示装置を提供する。
【解決手段】オブジェクト41を所定高さで3次元表示する表示手段11と、入力媒体の3次元位置を検出する検出手段と、検出された3次元位置が、表示されたオブジェクトの表示領域内であった場合、このオブジェクト41の高さを3次元位置に基づいて変更する表示制御手段と、検出された3次元位置が表示されたオブジェクトの表示領域内であり、かつ検出された3次元位置から表示手段までの距離が所定距離であった場合、このオブジェクト41に対応付けられたデータを入力する入力手段とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元表示機能と3次元入力検出機能とを備え、入力のためのオブジェクトの表示中に、入力確定前の段階で、ユーザによる入力動作に伴ってオブジェクトの表示内容を逐次変更することで、実行が予想される入力操作をユーザにリアルタイムに提示することができる3次元入力表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、両目視差を用いた3次元表示装置が開発されている。この3次元表示装置を用いると、ユーザは、例えばレンチキュラーレンズ、シャッタなどにより左右の目それぞれに対応した画像が表示されることで、表示される画像や映像を立体視することができる。
【0003】
このような3次元表示装置の発展に伴い、電子機器においてペン型などの入力装置を用いた3次元の入力方法(特許文献1参照)が開発されている。このペン型の入力装置は、例えば円錐形に電磁波などを発生させ、ディスプレイの表示面に設置された検出器によりその強度を検出し、入力ポイント位置を3次元で検出するものである。このような入力装置を用いると、ユーザ操作を、従来の2次元座標に高さ方向を加えた3次元空間で検出することができる。
【0004】
また、従来用いられているタッチパネルなどの2次元の平面入力装置は、ユーザの指などの接触を検知して、これを契機として動作するのが一般的である。しかしながら、携帯電話機などの携帯型の情報処理端末では画面が小さく操作対象のオブジェクトを大きく表示できないため、または指などにより画面の一部が覆われてオブジェクトが視認しにくくなるため、入力ミスなどによる誤操作が発生しやすかった。
【0005】
そこで、平面入力装置において、ユーザがタッチコントロール入力で入力している最中には最適なデータが入力されているかどうかをユーザ自身が認識できず、入力確定後に認識できるように構成されているため、誤入力を誘発してしまうという欠点があったが、利便性を低下させることなくその欠点を解決したタッチコントロールによる情報入力方法が提案されている(特許文献2参照)。この情報入力方法は、3次元表示装置に表示された複数のオブジェクトの中からユーザが指し示すオブジェクトを入力オブジェクトとして選択する情報入力方法において、表示されたオブジェクトの奥行き位置、あるいは奥行き方向の形状を変化させる第1の過程と、第1の過程において、ユーザが所定時間オブジェクトを指し示す操作を続けた場合に該当するオブジェクトを入力オブジェクトとして選択する第2の過程を有するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2005−529395号公報
【特許文献2】特開2005−316790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、表示装置としては2次元の平面ディスプレイが主流であり、3次元入力装置が用いられた場合であっても入力のための表示がディスプレイに対して平面に投影された状態となり、表示能力と入力能力の不一致が発生していた。特許文献2の情報入力方法でも、ディスプレイの表示層と操作層とが一致していないため、ユーザに入力対象と表示画像との一体感を与えることができていない。また、特許文献1では3次元入力装置による操作例が提示されているが、入力装置と表示空間が同一にならず、ユーザに直感的な操作方法を提供できていない。
【0008】
一方、3次元表示機能を備えた3次元入力装置を用いることにより、ユーザの入力操作を3次元空間を利用して検出することができるため、ユーザが操作可能な領域を従来の平面入力装置に比べ格段に大きくして表示させることができる。また、ユーザの入力のための動作を、指などが表示面や検出器面(2次元入力装置における検出位置)に接触していなくても検出することができるため、ユーザの指の中空での動作をもとにポイント位置を予め強調表示することができる。
【0009】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、3次元表示されたオブジェクトに対してユーザが直接触れるような動作を行うことで、入力を行うことを可能にすることで、ユーザに直感的な入力環境を提供するとともに誤入力を防止することができる3次元入力表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明に係る3次元入力表示装置は、オブジェクトを所定高さで3次元表示する表示手段と、入力媒体の3次元位置を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された3次元位置が、前記表示手段により表示されたオブジェクトの表示領域内であった場合、このオブジェクトの高さを前記3次元位置に基づいて変更する表示制御手段と、前記検出手段により検出された3次元位置が前記表示手段により表示されたオブジェクトの表示領域内であり、かつ前記検出手段により検出された3次元位置から前記表示手段までの距離が所定距離であった場合、このオブジェクトに対応付けられたデータを入力する入力手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る3次元入力表示装置によると、3次元表示されたオブジェクトに対してユーザが直接触れるような動作を行うことで、入力を行うことを可能にすることで、ユーザに直感的な入力環境を提供するとともに誤入力を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る3次元入力表示装置の斜視図。
【図2】本発明に係る3次元入力表示装置の機能を示すブロック図。
【図3】ボタン表示情報の一例を示すデータ構成図。
【図4】本発明に係る3次元入力表示装置の3次元入力検出機能の一例を説明するための概略図。
【図5】本発明に係る3次元入力表示装置が入力制御処理を行う際の手順を示すフローチャート。
【図6】(A)は、本発明に係る3次元入力表示装置において入力が行われる直前の状態を示す概略図、(B)は、本発明に係る3次元入力表示装置において入力確認表示が行われている状態を示す概略図、(C)は、本発明に係る3次元入力表示装置において入力が行われている状態を示す概略図。
【図7】(A)は、本発明に係る3次元入力表示装置において入力が行われる直前の状態の別例を示す概略図、(B)は、本発明に係る3次元入力表示装置において入力が行われている状態の別例を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る3次元入力表示装置の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。本発明に係る3次元入力表示装置として、3次元表示されたオブジェクトをユーザが指Uなどで触れることより簡単にデータを入力することができる3次元表示装置を備えた携帯電話機1を例に挙げて説明する。
【0014】
図1は、携帯電話機1を示す斜視図である。携帯電話機1は、図1に示すように、矩形の板状の筐体10を備えている。筐体10の一方の面には、3次元データを立体表示させるとともに入力媒体の位置検出によりデータを入力する3次元表示装置11、音声を出力するスピーカ12、音声を入力するマイクロフォン13及びデータを入力する操作キー14が設けられている。
【0015】
3次元表示装置11は、3次元データを3次元表示する表示機能、及び、ユーザが指や専用ペンなどの入力媒体をかざした際にその3次元位置を検出することによりデータを入力する入力機能の双方の機能を備えている。3次元表示装置11は、例えば右目用の表示データと左目用の表示データを別個に表示させることにより、ユーザの視差を利用して3次元表示を行うものである。なお、3次元表示の方法はこれに限定されず、任意の方法で良い。
【0016】
また、3次元表示装置11は、例えば赤外線を発信する赤外線発信装置と、その発信された赤外線の入力媒体による反射光を検出する赤外線検出器を備えている。そして携帯電話機1は、その赤外線検出器により検出された反射光から推測される入力媒体の3次元位置に基づいて様々な処理を行う。なお、3次元位置検出の方法はこれに限定されず、任意の方法で良い。
【0017】
操作キー14は、ユーザによる物理的な押下によりデータを入力するキーであっても、静電気または感圧により接触を感知してデータ入力するキーであっても良い。操作キー14は、例えば電源のON/OFFを切り替えたり待機状態から復帰したりするための電源キーなどである。
【0018】
図2は、携帯電話機1の機能を示すブロック図である。携帯電話機1は、図2に示すように、主制御部20、電源回路部21、3次元入力検出部22、3次元表示制御部23、音声制御部24、通信制御部25及び記憶部26がバスによって相互に通信可能に接続されて構成されている。
【0019】
主制御部20は、CPU(Central Processing Unit)を具備し、携帯電話機1の総括的な制御を行うとともに、後述する入力制御処理、その他の様々な演算処理や制御処理などを行う。また主制御部20は、いずれかの操作キー14の入力操作を検知すると、その操作キー14に対応する処理を行う。電源回路部21は、電源供給源(バッテリなど)を備え、例えば所定の操作キー14を介した入力に基づいて携帯電話機1の電源のON/OFF状態を切り替え、電源がON状態の場合に電力供給源から各部に対して電力を供給して、携帯電話機1を動作可能にする。
【0020】
3次元入力検出部22は、例えば、ユーザ操作に基づいて、または一定時間毎に、3次元表示装置11の赤外線検出器に、赤外線発信装置により発信された赤外線の反射光を検出させて、その検出値を示す信号を生成して主制御部20に伝送する。信号を受信した主制御部20は、この信号に基づいて入力媒体の3次元位置を推測して、この位置に対応する処理を行う。3次元表示制御部23は、主制御部20の制御に基づいて、画面表示用の3次元データを生成して3次元表示装置11に3次元表示させる。
【0021】
音声制御部24は、主制御部20の制御に基づいて、マイクロフォン13で集音された音声からアナログ音声信号を生成し、このアナログ音声信号をデジタル音声信号に変換する。また音声制御部24は、デジタル音声信号を取得すると、主制御部20の制御に基づいて、このデジタル音声信号をアナログ音声信号に変換し、スピーカ12から音声として出力する。
【0022】
通信制御部25はアンテナ25aを備えていて、主制御部20の制御に基づいて、基地局からアンテナ25aを介して受信した受信信号をスペクトラム逆拡散処理してデータを復元する。このデータは、主制御部20の指示により、音声制御部24に伝送されてスピーカ12から出力されたり、または記憶部26に記録されたりする。また通信制御部25は、主制御部20の制御に基づいて、マイクロフォン13で集音された音声データや、記憶部26に記憶されたデータを取得すると、これらのデータに対してスペクトラム拡散処理を行い、基地局に対してアンテナ25aを介して送信する。
【0023】
記憶部26は、主制御部20が行う処理について、処理プログラムや処理に必要なデータなどを格納するROM(Read Only Memory)やハードディスク、不揮発性メモリ、主制御部20が処理を行う際に使用されるデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)などから構成される。また、主制御部20が後述する入力制御処理を行う際の処理プログラムは、例えばROMに記憶されているものとする。
【0024】
また、記憶部26は、ユーザが入力操作を行うための3次元ボタンについて定義されたボタン表示情報30を記憶している。図3は、ボタン表示情報30の一例を示すデータ構成図である。図3に示すように、ボタン表示情報30は、ボタンを識別するためのボタンID情報31に対して、そのボタンのxy平面における表示領域を示す領域情報32、そのボタンの高さ方向であるz軸における表示領域を示す高さ情報33、そのボタンにおいて入力操作を決定するための高さを示す入力操作決定高さ情報34がそれぞれ対応付けられた情報である。ユーザにより、いずれかのボタンのxy平面における表示領域において、入力操作決定高さ情報34に示される高さの平面(入力決定面42)における入力が検知された場合、入力操作が決定されたものと判断されて入力処理が実行される。
【0025】
図3に示すボタン表示情報30によると、ボタンID「01」に対して、「(2,2)、(2,4)、(4,2)、(4,4)」のxy平面における表示領域、「2−5」の高さのz軸における表示領域、「2」の入力操作決定高さが対応付けられている。また、ボタンID「02」に対して、「(4,2)、(4,4)、(6,2)、(6,4)」のxy平面における表示領域、「2−5」の高さのz軸における表示領域、「2」の入力操作決定高さが対応付けられている。
【0026】
図4は、携帯電話機1の3次元入力検出機能の一例を説明するための概略図である。図4の(i)は、携帯電話機1を3次元表示装置11の正面から見た図であり、図4の(ii)は、携帯電話機1を図1や図4の(i)に示すk方向から見た図である。例えば図4の(i)に示すように、3次元表示装置11は、表示面40の上方(z軸プラス方向)に、ユーザが操作するための複数の3次元ボタン(例えば「0」乃至「9」の3次元ボタン41)を3次元表示する。
【0027】
また、図4の(ii)に示すように、3次元表示装置11は、各々の3次元ボタン41の表示領域に、ユーザの指Uなどの入力媒体を検出するための赤外線を発信している。ユーザが図4の(ii)に示すように3次元ボタン41の表示領域に指Uをかざすと、指Uによって赤外線が反射される。3次元入力検出部22は、このユーザの指Uにより反射された赤外線の反射光を検出することにより、その検出値からユーザの指Uの位置を推測して入力処理を確定する。
【0028】
なお、図4において、3次元表示を強調するために、3次元で上方になるオブジェクトの影を下方に描いている。実際の3次元表示においては、視差による擬似的な立体表示であるため、情報のオブジェクトによる影が出ることはないが、説明の表現上影により立体感を示している。
【0029】
ここで、携帯電話機1が「0」乃至「9」の3次元ボタン41を3次元表示している状態で、ユーザが所望の3次元ボタン41を選択するときに、主制御部20が入力制御処理を行う際の手順について、図5に示すフローチャート、図6(A)乃至図6(C)に示す概略図に基づいて説明する。なお、図6(A)は、携帯電話機1において入力が行われる直前の状態を示す概略図であり、図6(B)は、携帯電話機1において入力確認表示が行われている状態を示す概略図であり、図6(C)は、携帯電話機1において入力が行われている状態を示す概略図である。
【0030】
3次元表示装置11において、図6(A)の(i)に示すように、「0」乃至「9」の3次元ボタン41が3次元表示されている。具体的には、携帯電話機1は、背景領域(ユーザ操作が適用されない領域)42a、複数の3次元ボタン41を含んだ表示内容全体を3次元表示にて立体で浮かび上がらせていて、これらのうち背面領域42aを入力決定面42に設定して表示させ、さらに各々の3次元ボタン41の高さを背景領域42aより上方(z軸プラス方向)に設定して表示させることで、実物のハードウェア入力キーに類似した立体的な入力ボタンを表現している。
【0031】
そしてユーザは、図6(A)の(i)に示すように、3次元表示装置11により3次元表示された任意の3次元ボタン41を選択する際に、まず所望の3次元ボタン41の表示領域のxy座標上方に指Uを位置させる。この際、入力を確定するための入力決定面42を、3次元表示装置11の表示面40よりもz軸のプラス方向に水平移動させた平面としている。このように、3次元表示装置11の表示面40と入力決定面42とを一致させないことで、ユーザは指Uを3次元表示装置11に接触させずに入力操作を行うことができる。
【0032】
主制御部20は、3次元入力が検出されたかを判断する(S101)。この際、例えば3次元入力検出部22が指Uなどの3次元位置を検出した場合に、3次元入力が検出されたものと判断される。3次元入力が検出されていない場合(S101のNo)は、主制御部20はそのまま待機する。
【0033】
3次元入力が検出された場合(S101のYes)は、主制御部20は、3次元入力検出部22からその検出位置(xy座標の値)を取得する(S103)。また同様に、主制御部20は、3次元入力検出部22からその検出高さ(z座標の値)を取得する(S105)。
【0034】
主制御部20は、ステップS103にて検出された検出位置がいずれかの3次元ボタン41のボタン領域内であるか否かを判断する(S107)。この際、検出位置のxy座標の値が、ボタン画像が表示されている領域内であった場合に、ボタン領域内であるものと判断される。ボタン表示情報30に基づいて、検出位置が例えば(2,2)、(2,4)、(4,2)、(4,4)をそれぞれ頂点とする矩形領域内(その他、それぞれの点を含む円内などでも良い)であった場合は、ボタンID「01」の3次元ボタン41のボタン領域内であると判断される。検出位置がいずれの3次元ボタン41のボタン領域内でなかった場合(S107のNo)は、ステップS101に戻って、主制御部20は再び3次元入力が検出されたか否かを判断する。
【0035】
検出位置がボタン領域内であった場合(S107のYes)は、主制御部20は、ステップS105にて取得した検出高さがボタン描画範囲内か否かを判断する(S109)。この際、検出高さのz座標の値が、ボタン画像が3次元表示されている領域内にあった場合に、ボタン描画範囲内であるものと判断される。ボタン表示情報30に基づいて、検出高さが例えば2以上5以下であった場合は、ボタンID「01」のボタン41のボタン描画範囲内であるものと判断される。検出高さがボタン描画範囲内でなかった場合(S109のNo)は、ステップS101に戻って、主制御部20は再び3次元入力が検出されたか否かを判断する。
【0036】
検出高さがボタン描画範囲内であった場合(S109のYes)は、主制御部20は、ステップS105にて検出された検出高さに応じて、3次元表示されたボタンの高さ(z方向長さ)を変更して、3次元ボタン41を再表示させる(S111)。そのとき選択されている3次元ボタン41が半押し状態で表示されることにより、ユーザは、入力確定前の段階で、入力が予想される3次元ボタン41を確認することができる。ボタン表示情報30によると、例えば検出高さが4であった場合には、ボタンID「01」のボタン41のボタン描画領域の高さが「2−5」から「2−4」に変更され、例えば図6(B)の(i)(ii)に示すように、ボタンID「01」のボタン41が半押し状態で表示させる。
【0037】
これらのステップS101乃至S111の処理により、ユーザがデータ入力の際に、図6(A)の(ii)に示すように3次元ボタン41を押下するようにz軸方向において指Uを表示面40に近づける方向(z軸マイナス方向)に動かしていき、そして、図6(B)の(iv)に示すように、指Uがいずれかの3次元ボタン41のz軸方向の表示領域内に位置されると、図6(iii)に示すように、3次元ボタン41の高さ(3次元ボタン41のz軸方向における表示領域)が、指Uのz軸位置と合致するように設定されてその3次元ボタン41が再表示される。
【0038】
このように、ユーザの動作によって3次元表示された3次元ボタン41に指Uが近接すると、その指の押下動作に合わせて3次元ボタン41の高さを大きくしたり小さくしたりすることにより、ユーザには実際のハードウェア操作キーを押す操作と同様に見えるようになり、操作が視覚的に理解しやすくなる。
【0039】
なお、この際に指の押下動作にあわせ、携帯電話機1のバイブレータを弱から徐々に強めていくことや、操作に合わせた効果音(キーボードが押される音に類似させた音など)を再生させることにより、よりボタン押下の臨場感を出すことが可能である。
【0040】
主制御部20は、ステップS105にて取得した検出高さが、入力操作決定処理の高さであるか否かを判断する(S113)。この際、図6(C)の(ii)に示すように、例えばユーザの指Uの検出高さが入力決定面42と同じ高さになり、検出高さのz座標が選択決定面42の高さであった場合に、主制御部20は、入力操作決定処理の高さであるものと判断する。ボタン表示情報30に基づいて、検出高さが例えば2であった場合は、ボタンID「01」の3次元ボタン41の入力操作決定処理の高さであるものと判断される。
【0041】
検出高さが入力決定処理の高さでなかった場合(S113のNo)は、ステップS101に戻って、主制御部20は再び3次元入力が検出されたか否かを判断する。検出高さが入力決定処理の高さであった場合(S113のYes)は、主制御部20は、その3次元ボタン41が選択されたものと判断して、ユーザにより選択された3次元ボタン41に対応する処理を行う(S115)。このとき、図6(C)の(v)に示すように、3次元ボタン41は全押し状態で表示される。そして再びステップS101に戻って、主制御部20は3次元入力が検出されたか否かを判断する。主制御部20がステップS101乃至S115の処理を繰り返すことにより、携帯電話機1の入力制御が行われる。
【0042】
これらのステップS113乃至S115の処理によって、図6(C)の(vi)に示すように、指Uが3次元ボタン41の表示領域内を移動して入力決定面42に到達すると、その3次元ボタン41の入力が確定され、図6(C)の(v)に示すように、3次元表示装置11により3次元表示された3次元ボタン41の表示高さが、入力決定面42の高さと等しくなり、全押し状態の3次元ボタン41の画像が表示される。
【0043】
ユーザにより3次元ボタンが選択される際、3次元表示により背景領域42a(すなわち入力決定面42)が3次元表示装置11の表面面40から上方(z軸プラス方向)に浮かせた高さに設定されて表示されることにより、ユーザの操作する指が画面に直接触れることが無く、画面に指紋が付着したり画面が損傷したりすることが防止される。また、入力確定の際に、同時にバイブレータによる振動、決定音、3次元ボタン41の色変化などを併せて行うとなお良い。
【0044】
ユーザ操作に伴って3次元ボタン41の半押しの表示(ステップS111における表示)が始まった際に、その時点ではまだ3次元ボタン41の入力が確定されていない。そのため、ユーザは、そのときに押下されている3次元ボタン41を確認して、誤った3次元ボタン41が押下されている場合には、そのまま指Uを上方(z軸プラス方向)に移動させることにより、その3次元ボタン41の表示が、半押し状態の3次元ボタン41の画像から、全く押されていない状態の3次元ボタン41の画像に変更され、入力処理も行われない。そしてユーザは所望の3次元ボタン41の選択を最初からやり直すことができる。
【0045】
このようにして携帯電話機1は、ユーザ操作インタフェース(3次元ボタン41など)を、3次元表示装置11の表示面40の上方に立体的に表示してユーザの指Uなどの位置を3次元で検出するために、ユーザの中空での操作位置とユーザ操作インタフェースの表示位置とを同一の位置及び高さに設定する。これにより、3次元入力装置を用いたデータ入力の際のユーザ操作性を向上させることができる。すなわち、携帯電話機1は、ユーザに直感的な入力インタフェースを提供するとともに、誤操作の回避、デバイスの汚損を防止する。
【0046】
また、携帯電話機1は、ユーザ入力の際に3次元ボタン41の半押し状態から全押し状態までの遊び(余裕)があるため、ユーザがそのとき選択中の3次元ボタン41を確認しつつ入力できることから、ユーザの誤操作が防止される。
【0047】
また、例えば3次元ボタン41を半押し状態において、検出高さが変わらずに検出位置が移動したときには誤操作とみなして入力決定を行わないことにより、ユーザの意図に反して指Uや携帯電話機1が動いてしまったために、指Uの位置が操作対象の3次元ボタン41からずれてしまった場合にも、他の3次元ボタン41に対応付けられた処理が誤って実行されてしまうことが防止される。
【0048】
また、携帯電話機1は、3次元入力検出部22により検出された指Uの検出高さに合わせ、3次元表示された3次元ボタン41の表示高さ(または傾斜)を変化させる。また、ユーザによる選択操作に合わせて表示の変更とともに音のボリューム変化や、バイブレータの振動強弱により、ユーザに選択行為を喚起することができる。これは物理的なキースイッチを押下する感覚に近い表示表現となり、ユーザが直感的に判断しやすいものである。
【0049】
また、携帯電話機1は、3次元表示装置11の表示面40に直接触れずに入力操作できることから、画面に指紋や汚れが付着したり、画面を傷つけてしまうことを抑止することが期待される。
【0050】
なお、実施例として入力媒体の検出位置が変更される毎に、その検出高さに合わせてオブジェクト(3次元ボタン41など)の高さを連続的に変更させる例を示したが、これに限定されない。携帯電話機1は、例えば3次元ボタン41が押されていない状態、全押し状態、半押し状態の3種類の画像を予め記憶しておき、入力媒体が3次元ボタン41の表示領域内に位置していない間、押されていない状態の3次元ボタン41を表示させ、入力媒体が3次元ボタン41の表示領域内に位置しているが入力決定面42に位置していない間、半押し状態の3次元ボタン41を表示させ、入力媒体が3次元ボタン41の表示領域内に位置するとともに入力決定面42に位置している間、全押し状態の3次元ボタン41を表示させるように構成されても良い。
【0051】
図7(A)は、携帯電話機1において入力が行われる前の状態の別例を示す概略図であり、図7(B)は携帯電話機1において入力が行われている状態の別例を示す概略図である。図7(A)の(i)、(ii)に示すように、3次元表示装置11における3次元表示において、3次元ボタン41aが表示面40に対して傾斜を有する平面として3次元表示されても良い。この場合には、図7(B)の(i)、(ii)に示すように、3次元ボタン41が押されていない状態から半押し状態に、あるいは半押し状態から全押し状態に切り替わる際には傾斜が緩やかになるように変更され、3次元ボタン41が全押し状態から半押し状態に、あるいは半押し状態から押されていない状態に切り替わる際には傾斜が大きくなるように変更されて表示される。
【0052】
銀行ATM(Automated Teller Machine)などのようにユーザの視点が表示装置の直上ではなく斜め角となる場合には、背景領域を水平に表示させるとともに3次元ボタン41aを水平面に対して傾斜を持たせて3次元表示させることにより、見易さの向上を図ることができる。そして、ユーザの指Uが画面に近接する毎に、3次元ボタン41aの傾斜を小さくして3次元ボタン41aを徐々に寝かせていき、背景領域と平行になる位置にて入力確定とすると良い。
【0053】
また、携帯電話機1において、背面領域(ユーザ操作に適用されない領域)の立体表示は行わず、ユーザが操作できるボタンやスライダーなどや、特に立体表示させたいオブジェクトのみを立体階層で表示させても良い。すなわち3次元表示装置11の表示面40と背景面とを同じ高さ(z軸の値)に設定して表示させても良い。また、ユーザが立体視するのが困難な場合などには、2次元表示に切り替えることも可能なように構成すると良い。
【0054】
本発明に係る3次元入力表示装置(携帯電話機1)によると、3次元表示されたオブジェクトに対してユーザが直接触れるような動作を行うことで、入力を行うことを可能にすることで、ユーザに直感的な入力環境を提供するとともに誤入力を防止することが可能となる。
【0055】
本発明の説明として、携帯電話機1について説明したが、これに限らず、PHS(Personal Handyphone System)、PDA(Personal Digital Assistants)、MID(Mobile Internet Device)、携帯音楽プレイヤー、携帯ビデオカメラ、携帯ゲーム機など、3次元入力表示機能を備えている情報処理端末であれば、任意の情報処理端末であっても良い。
【符号の説明】
【0056】
1…携帯電話機,10…筐体,11…3次元表示装置,12…スピーカ,13…マイクロフォン,14…操作キー,20…主制御部,21…電源回路部,22…3次元入力検出部,23…3次元表示制御部,24…音声制御部,25…通信制御部,25a…アンテナ,26…記憶部,30…ボタン表示情報,31…ボタンID情報,32…領域情報,33…高さ情報,34…入力操作決定情報,40…3次元表示装置の表示面,41、41a…3次元ボタン,42…入力決定面,42a…背景領域,U…ユーザの指。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オブジェクトを所定高さで3次元表示する表示手段と、
入力媒体の3次元位置を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された3次元位置が、前記表示手段により表示されたオブジェクトの表示領域内であった場合、このオブジェクトの高さを前記3次元位置に基づいて変更する表示制御手段と、
前記検出手段により検出された3次元位置が前記表示手段により表示されたオブジェクトの表示領域内であり、かつ前記検出手段により検出された3次元位置から前記表示手段までの距離が所定距離であった場合、このオブジェクトに対応付けられたデータを入力する入力手段とを備えたことを特徴とする3次元入力表示装置。
【請求項2】
前記表示手段により表示されるオブジェクトが入力ボタンであり、
前記表示制御手段は、前記検出手段により検出された3次元位置に基づいて、前記入力ボタンの高さを変更することにより、前記入力ボタンが押されていない状態、半押しされている状態、あるいは全押しされている状態のいずれかの状態を表示させることを特徴とする請求項1記載の3次元入力表示装置。
【請求項3】
前記表示手段により表示されるオブジェクトが前記表示手段の表示面に対して傾斜を有する平面状の入力ボタンであり、
前記表示制御手段は、前記検出手段により検出された3次元位置に基づいて前記入力ボタンの傾斜を変更することにより前記入力ボタンの高さを変更することを特徴とする請求項1記載の3次元入力表示装置。
【請求項4】
前記表示手段は、前記オブジェクト以外の表示内容を表示する際、前記表示手段の表示面から前記所定距離だけ離れた位置に表示することを特徴とする請求項1記載の3次元入力表示装置。
【請求項5】
前記表示手段は、第1のオブジェクト及び第2のオブジェクトを3次元表示し、
前記入力手段は、前記検出手段により検出された3次元位置が、前記表示手段までの距離が変更されずに、前記第1のオブジェクトの表示領域内から第2のオブジェクトの表示領域内に移動した場合、前記3次元位置が前記第2のオブジェクトの表示領域内でありかつ前記3次元位置から前記表示手段までの距離が所定距離であった場合であっても前記第2のオブジェクトに対応付けられたデータの入力を行わないことを特徴とする請求項1記載の3次元入力表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−108152(P2011−108152A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−264905(P2009−264905)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(310022372)富士通東芝モバイルコミュニケーションズ株式会社 (219)
【Fターム(参考)】