説明

3次元映像表示装置

【課題】
2次元映像表示装置の画面に表示される2次元映像を3次元映像として観賞することができる、コンパクトな構造の3次元映像表示装置を提供する。
【解決手段】
映像表示装置の画面に表示される映像を複数のミラーを用いて反射させて、3次元的に表示する3次元映像表示装置は、映像表示装置を装着する本体ケースと、本体ケースと一体的に形成され、複数のミラーが奥行き方向へ所定間隔かつ所定角度で並行に配置して固定されたミラーケースを備えるミラー装置を有し、前記ミラーケースは、前記本体ケースの所定部に軸を中心に回転可能に軸支される。3次元映像を表示する時に、ミラーケースは軸を中心にして本体ケース側に回転して、複数のミラーが映像表示装置の画面に対して観賞者側に所定角度傾斜して位置付けされて、映像表示装置の画面に表示される映像を反射して表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、3次元映像表示装置に関し、特に2次元映像表示装置と複数のミラーを用いて、特殊な眼鏡等をつけずに見ることのできる3次元映像を表示する3次元映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の3次元映像表示装置には、2次元映像表示装置に複数のハーフミラーを配置した方式がある。たとえば、特許文献1および特許文献2で開示された表示装置では、2次元映像表示装置に表示された映像からハーフミラーによって生成された虚像を観賞者から見て奥行き位置の異なる複数の表示面に同時に表示することで、3次元映像を生成する。特許文献1ではハーフミラーの高さは同じであり、視認できる範囲が狭いが、特許文献2ではハーフミーらの高さを観賞者に近いほど大きくすることで、楔形の映像領域を生成させ視認できる範囲を広げている。
【0003】
このように2次元映像表示装置に複数のハーフミラーを配置して平面的な虚像を奥行き方向に重ねて見せる3次元映像は、芝居の舞台で使われる書割のような3次元映像であるが、特殊な眼鏡を必要としない。また立体視の生理的要因においても、通常の立体を見るのとまったく同じ、輻輳、ピント調節、両眼視差、運動視差のすべての要因を使っているため、両眼視差や輻輳などの一部の要因だけで見る3次元映像装置のような眼の疲れがない。
【0004】
なお、本明細書では「フルミラー」とは、反射率が100%〜80%の鏡を指す。また「ミラー」は、ハーフミラーとフルミラーとを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−135378号公報
【特許文献2】特開2008−020564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1および特許文献2に記載された従来の装置では塩ビ板などの反射率の低い材料をハーフミラーとして使っているため、生成される3次元映像が暗いため、暗い場所でなければ観賞できないという欠点があった。また2次元映像表示装置に対するハーフミラーの取付け方が固定式であるため、2次元映像表示装置の画面だけを通常の方法で観賞することができなかった。また装置全体がかさばるため持ち運びに適していないという問題があった。
【0007】
本発明は、2次元映像表示装置の画面に表示される2次元映像を3次元映像として観賞することができる、コンパクトな構造の3次元映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る3次元映像表示装置は、好ましくは、映像表示装置の画面に表示される映像を複数のミラーを用いて反射させて、3次元的に表示する3次元映像表示装置において、該映像表示装置を装着する本体ケースと、該本体ケースと一体的に形成され、複数のミラーが奥行き方向へ所定間隔かつ所定角度で並行に配置して固定されたミラーケースを備えるミラー装置を有し、
前記ミラーケースは、前記本体ケースの所定部に軸を中心に回転可能に軸支され、
3次元映像を表示する時に、該ミラーケースは該軸を中心にして該本体ケース側に回転して、該複数のミラーが該映像表示装置の画面に対して観賞者側に所定角度傾斜して位置付けされて、該映像表示装置の該画面に表示される映像を反射して表示することを特徴とする3次元映像表示装置として構成される。
【0009】
好ましい例では、前記複数のミラーは、該ミラーの高さが奥に行くにつれて低くなるように配置され、観賞者側に近い側に配置された第1および第2のハーフミラーと、該第1および第2のハーフミラーの後方に配置された1枚のフルミラーとを含む3次元映像表示装置である。
【0010】
また、好ましくは、前記本体ケースは、前記2次元映像表示装置として2次元映像を表示する画面を有する携帯可能な表示装置を収容する3次元映像表示装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、2次元映像表示装置の画面に表示される2次元映像を3次元映像として観賞することができる、コンパクトな構造の3次元映像表示装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】2次元映像表示装置とミラー装置との位置関係を示す斜視図である。
【図2】2次元映像表示装置とミラー装置との位置関係を示す側面図である。
【図3】第1実施の形態におけるミラー装置と本体ケースを示す分解斜視図である。
【図4】第1実施の形態における2次元映像表示装置の画面が観賞できる状態の3次元映像表示装置の斜視図である。
【図5】ミラーが回転する仕組みを説明する図である。
【図6】ミラーの軸の強度を説明するための図である。
【図7】ミラーの軸の詳細を示す図である。
【図8】第1実施の形態における3次元映像を鑑賞するときの3次元映像表示装置の斜視図である。
【図9】第1実施の形態における3次元映像を鑑賞するときの3次元映像表示装置の断面図である。
【図10】第1実施の形態におけるミラーを折り畳んだときのミラー装置の斜視図である。
【図11】第1実施の形態におけるミラーを折り畳んだときの3次元映像表示装置の斜視図である。
【図12】第1実施の形態におけるミラーを折り畳んだときの3次元映像表示装置の断面図である。
【図13】ミラーが折り畳まれる仕組みを示す側面視図である。
【図14】第1実施の形態におけるミラーケースの切込みを示す斜視図である。
【図15】第1実施の形態における本体ケースの斜視図である。
【図16】第1実施の形態における3次元映像表示装置の断面図である。
【図17】第2実施の形態におけるミラー装置の分解斜視図である。
【図18】第2実施の形態における3次元映像表示装置を示す斜視図である。
【図19】第2実施の形態における3次元映像表示装置の断面図である。
【図20】第2実施の形態における3次元映像を鑑賞するときの3次元映像表示装置の斜視図である。
【図21】第2実施の形態における3次元映像を鑑賞するときの3次元映像表示装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の一実施の形態を、図面を参照して説明する。図1および図2はこの発明の一実施の形態に係る3次元映像表示装置を構成する要素の位置関係を示す斜視図および側面図である。図1および図2を参照して、3次元映像表示装置の主要な構成要素は、2次元映像表示装置70と2次元映像表示装置70の上に設けられたミラー装置80である。ミラー装置80の主要な構成要素は2枚の平板のハーフミラー81,82と1枚の平板のフルミラー83である。図1および図2においては、ミラー装置80はハーフミラー81,82とフルミラー83だけが示されており、ミラーを所定の位置に固定するための構成要素は示していない。図2においてハーフミラー81,82とフルミラー83は2次元映像表示装置70の画面71a,71b,71cに表示された映像を反射し、虚像81a,82a,83aを生成する。
【0014】
図2に示すようにハーフミラー81,82とフルミラー83とは画面71に対して、所定間隔かつ所定角度に傾斜させて配置される。ハーフミラー81,82およびフルミラー83は画面71の上に一定角度で傾斜させ、かつすべてのハーフミラー81,82とフルミラー83の面同士が平行になるように配置する。ハーフミラー81,82およびフルミラー83は観賞者200の側に約45°傾斜させて配置することが好ましい。
【0015】
2次元映像表示装置70とは薄型テレビや携帯電話などに用いられる、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、LEDディスプレイなどを示すが、ディスプレイ部分を含んだ薄型テレビ全体、携帯電話全体、携帯ゲームプレーヤー全体、タッチ式タブレット全体を示す。携帯電話はタッチパネル付ディスプレイのものも含む。
【0016】
図2に示すように、ハーフミラー81,82とフルミラー83の高さは観賞者200から見て奥に行くにつれて低くなるように観賞領域Vが楔状である。前後のハーフミラー81,82、あるいはフルミラー83の高さの比は同じでその範囲は1:0.65〜1:0.95とする。
【0017】
また、前後のハーフミラー81,82、あるいはフルミラー83の高さの比はHa: Hb=1:0.79かつHb: Hc=1:0.79とするのが好ましい。
【0018】
そのため、画面71の奥行きDに対して、ハーフミラー81の映像領域71aの長さDaは0.41D、ハーフミラー82の映像領域71bの長さDbは0.33D、フルミラー83の映像領域71cの長さDcは0.26Dとなり、ハーフミラー81,82とフルミラー83の高さHa, Hb, Hcの高さはそれぞれDa, Db, Dcの1.4倍になる。図1において、ハーフミラー81,82とフルミラー83の幅Wmは画面71の幅Wよりも若干長い。
【0019】
ハーフミラー81の下の映像領域71aの虚像81a、ハーフミラー82の下の映像領域71bの虚像82a、フルミラー83の下の映像領域71cの虚像83aが観賞者200の視線方向201の奥行き位置に重なって見え、3次元映像として見える。
【0020】
この実施の形態においては従来では用いられなかった反射率の高いハーフミラーを使用することで、より明るい3次元映像を得ることができる。具体的には観賞者200からみて最も手前のハーフミラー81の可視光の透過率:反射率を67:33〜60:40の範囲とし、次のハーフミラー82の可視光の透過率:反射率を50:50〜55:45とし、最も奥のフルミラー83の可視光の反射率を100%〜80%とすることで、観賞者からはすべての虚像81a,81b,81cがほぼ同じ明るさに見え、室内で照明を点けた状態でも十分な明るさの映像が得られる。その結果、3次元映像を室内の照明を点けた明るさでの観賞が可能になる。
【0021】
なお、ミラー装置を構成する各ミラーの反射率:透過率の好ましい組み合わせとしては、ハーフミラー81が67:33、ハーフミラー82が50:50、フルミラー83の反射率が100%としてもよい。これはフルミラー83の反射性能が高い場合を想定している。
【0022】
また別の好ましい組み合わせは、ハーフミラー81が69:31、ハーフミラー82が55:45、フルミラー83の反射率が80%である。これはフルミラー83の反射性能がやや劣った場合を想定している。
【0023】
さらに別の好ましい組み合わせは、ハーフミラー81が60:40、ハーフミラー82が50:50、フルミラー83の反射率が80%である。上記2つの組合せは理論的な計算に基づく値であるが、この値は実験的に得られた値である。
【0024】
この時ゴーストを軽減するためにハーフミラー81,82およびフルミラー83の反射物質のコーティング面は観賞者200の側になるように配置する。
【0025】
次に、図1および図2に示したハーフミラー81,82とフルミラー83と2次元映像表示装置70とを所定の位置に配置、固定するための具体的な実施の形態について説明する。なお、ハーフミラー81,82とフルミラー83の基本的な比例寸法や透過率、反射率は同じである。
(1)第1実施の形態
図3は本発明の第1実施形態に係る3次元映像表示装置の全体構成を示す分解斜視図である。ただしこの図の中には2次元映像表示装置70は含まれていない。図3を参照して、ミラー装置80は、ミラーケース2と、ハーフミラー11,12と、フルミラー13から構成される。ミラー装置80は本体ケース3と合体できる。
【0026】
本体ケース3は2次元映像装置70が隙間なく入る容器の形を呈しており、ミラーケース2と合体させるための一対の軸受け穴3kとミラーケース2の位置を安定させるための一対の谷型の突起3iを備えている。
【0027】
ミラーケース2はハーフミラー11,12とフルミラー13を所定の位置に固定するものであり、本体ケース3と合体させる機能を持っている。ミラーケース2には、ハーフミラー11,12とフルミラー13を固定するための一対の略扇形の穴(軸穴)2a,2b,2cと一対のストッパー2d,2f,2h、および一対の爪2e,2g,2iが両側に具わっており、本体ケースとの合体のための一対のピボット2kとミラーケース2と本体ケース3の位置を安定させるための一対の山型の突起2jが具わっている。本体ケース3およびミラーケース2の材質はポリプロピレン、ポリカーボネート、ABS樹脂、スチロール樹脂、硬質塩化ビニールなどの弾性を持つ合成樹脂が好ましい。
【0028】
ハーフミラー11,12とフルミラー13はミラーケース2にある略扇形穴(軸穴)2a,2b,2cに差し込めるよう、矩形の軸11a,12a,13aをその一辺の両側に持つ略長方形の形状を呈している。ハーフミラー11,12、フルミラー13の厚さは画面71の対角線長さが3.5インチ程度の場合1mm〜2mmが好ましい。
【0029】
画面71が10インチ程度の場合2mm〜3mmが好ましい。画面71が30インチ程度の場合3mm〜5mmが好ましい。ハーフミラー11,12およびフルミラー13はガラスまたはアクリル、硬質塩化ビニール、ポリカーボネート製であることが好ましい。色はできるだけ透明に近いものが好ましい。ハーフミラー11,12の可視光の透過率や反射率は上記したとおりであり、ハーフミラー11,12は可視光の吸収率を少なく抑えたいため誘電体多層膜コーティングによるハーフミラーが好ましい。フルミラー13は誘電体多層膜コーティングによるものが好ましいが、金属蒸着膜によるインコーネルコーティングのものでもかまわない。
【0030】
図4は本体ケース3に2次元映像表示装置70を収容し、ミラー装置80と本体ケース3とが合体した状態を示す。ミラー装置80はミラーケース2の略扇形の穴2a,2b,2cにハーフミラー11,12とフルミラー13の軸がそれぞれの差し込まれることで組み立てられる。
【0031】
また、本体ケース3の軸受け穴3kにミラーケース2のピボット2kを差し込むことでミラー装置80と本体ケース3は合体できる(図12(D)参照)。図4の状態では、画面71が全部見えているため、画面71を通常に観賞できるが、ハーフミラー11,12とフルミラー13が画面71に対して所定の位置にはないので3次元映像の観賞はできない。
【0032】
図5はハーフミラー11が軸を中心に回転する状態を示す図である。図5(A)はハーフミラー11の斜視図であり、図5(B)は側面図である。図5を参照して、ハーフミラー11の軸11aは外部へ突出した矩形であり、長さはdであり、幅はwである。長さdは略扇形の軸受け穴2aの径と等しい。両側に矩形の軸11aを持つハーフミラー11は両側から略扇形の軸受け穴2a(図3参照)によって挟むことで抜け落ちることなく略扇形の扇頂角αの範囲で回転軸101を中心に回転できるように固定される。すなわちハーフミラー11は点線のハーフミラー11で示す位置まで回転軸がぶれることなく回転が可能となる。通常回転部分の軸は細い形状となるが、ハーフミラー11がガラスや合成樹脂で製作されることを考慮して、軸11aを矩形にして強度を高め、軸が欠け落ちる危険性を軽減している。同様の仕組みによってハーフミラー12とフルミラー13もそれぞれ略扇形の軸受け穴2b,2cによって回転を可能にしながら固定される。
【0033】
図6および図7はハーフミラー11,12、およびフルミラー13の軸11a,12a,13aの強度を説明した図である。図6(A)と(B)はそれぞれd1、d2が異なる形状の軸を示す図である。軸11a,12a,13aはすべて図6(C)の100のような形状をしている。このような形状の場合、荷重に対する応力集中はコーナー部C1,C2によく発生する。底辺Bを固定し、Pの位置に荷重をかけた条件で有限要素法の平面応力解析をすると、コーナー部C1,C2に最大主応力の応力集中が発生する。
【0034】
通常回転部分の軸は細く、たとえば図6(A)に示すように幅w:長さd1=1:1のような形状の場合のコーナー部の最大主応力σaが1.0であったとする。一方図6(B)に示すようにw:d2=1:5として軸の形状の長さが長い矩形にすることで、コーナー部の最大主応力σbは約0.3となる。
【0035】
ハーフミラー11,12、およびフルミラー13の材質はガラスや合成樹脂であるため、軸の欠け落ちを防止するためには、できるだけ応力集中箇所の応力を軽減するべきである。そこで、この実施の形態においては、軸の幅wに対する長さd2の比を大きくすることで、コーナー部の応力を軽減している。なお、幅w:長さd2の比は1:4以上が好ましく、1:5とすることによって、1:1の場合と比べてコーナー部の応力を約3分の1に軽減できる。
【0036】
図7は、軸の形状の変更例を示す図である。図7に示すようにハーフミラー11,12、およびフルミラー13の軸が形成されているコーナー部C1とC2(図6(C)参照)にRをつけることで、さらに応力を分散させることができる。この場合Rの半径rはwの3分の1〜4分の1にすることが好ましい。
【0037】
ミラー装置80の回転移動について説明する。
【0038】
図4のミラー装置80において、ハーフミラー11はミラーケース2に具わっているストッパー2dおよび爪2e(図9(A)、(B)、図3参照)に入る状態にあるため回転を許されない状態にある。ハーフミラー12およびフルミラー13も同様にストッパー2f,2h、および爪2g,2iによって回転を許されない状態にある。(図9(A)参照)。
【0039】
図4の状態からミラー装置80をピボット2kを中心に回転させ2次元映像表示装置70が入った本体ケース3の上に被せた状態を図8、図9に示す。図9(A)は3次元映像表示装置の3次元映像の観賞時の一部断面図であり、図9(B)は図9(A)において、矢印B-Bで示す部分の断面図であり、図9(C)は図9(A)において、矢印C-Cで示す部分の断面図である。図9(A)に示す状態で画面71に対してハーフミラー11,12とフルミラー13が所定の位置にあり、この実施の形態の3次元映像の観賞時の状態となる。本体ケース3と軸受け穴3k、ミラーケース2とピボット2kおよび略扇形の穴2a,2b,2cとストッパー2d,2f,2h、爪2e,2g,2iは、この状態で画面71に対してハーフミラー11,12とフルミラー13が所定の位置になるよう配置されている。略扇形穴2a,2b,2cの扇頂角はそれぞれ約28度、約23度、約15度となる。
【0040】
図8および図9の3次元映像の観賞時の状態において、図9(C)に示すように、ミラーケース2に具わっている山型の突起2jは本体ケース3の谷型の突起3jの谷の部分に入っている。そのため。ミラー装置80と本体ケース3の位置はある程度固定される。またミラーケース2と本体ケース3はポリプロピレンなどの弾性のある合成樹脂でできているため、ある程度の力で山型の突起2jは谷型の突起3jから外れてミラーケース2を回転させて図4の状態にすることができる。図4の状態から図8、図9の状態にもすることも同様の理由から可能である。このようにミラー装置80を簡単に回転させて動かすことが可能なため、3次元映像を観賞する状態と2次元映像表示装置70の画面71を通常の観賞する状態とを簡単に切り替えることができる。また画面71がタッチパネル付の場合は図4の状態では画面を触ることもできる。
【0041】
以上のように、この実施の形態においては、装着後もミラー装置80の部分だけを2次元映像表示装置の画面から引き離すことで、2次元映像と3次元映像を瞬時にかつ簡単な操作で切り替えて見ることが可能になる。
【0042】
ミラー装置80の折り畳みについて説明する。
【0043】
図10はミラーケース2内において図4の状態からミラーを折り畳んだ状態を示す。図10に示すように、ハーフミラー11は力P1を加えると、爪2eを乗り越えてミラーケース2の底部2nに折り畳める(図3参照)。ハーフミラー12とフルミラー13も同様に折り畳むことができる。図11と図12は図10の状態のミラーケース2を本体ケース3に被せた状態を示す。図9の3次元映像の観賞時と違い、ハーフミラー11,12とフルミラー13はミラーケース2の中に折り重なり、ミラー装置80は本体ケース3と2次元映像表示装置70に接近した状態で折り畳まれている。図9の観賞時と比較して全体の体積が削減されていることがわかる。
【0044】
図12(A)は折り畳み時の一部断面図であり、図12(B)は図12(A)において、矢印B−Bで示す部分の断面図であり、図12(C)は図12(A)において、矢印C−Cで示す部分の断面図であり、図12(D)は図12(A)において、矢印D−Dで示す部分の断面図である。この実施の形態では図12(B)に示すようにハーフミラー11はストッパー2dと爪2eからはずれている。また図12(C)に示すように山型の突起2jは谷型の突起3jから外れている。
【0045】
以上のように、この実施の形態によれば、かさばるハーフミラーの部分を折り畳んでコンパクトにできる構造をとることで、収納や持運びに適した3次元映像表示装置を提供できる。
【0046】
図13にハーフミラー11,12およびフルミラー13がミラーケース2の中に折り畳まれる仕組みを示す。図13(A)は仮にミラーケース2の底部2n’に折れがなく平板であった場合、ハーフミラー11,12とフルミラー13をミラーケースの中に折り畳み、さらにミラーケース2を本体ケース3に被せようと試みた状態を示す図である。このとき画面71からのミラーケース2の折り畳み時の底部2n’の高さh1をできるだけ低くすることで折り畳んだ状態での体積を少なくできる。ところがこれを実現しようとすると、ミラーケース2と本体ケース3をつなぐ回転軸k’は本体ケース3から離れた位置に存在しなければならず、両者の合体ができない。また図13(B)のように両者が合体できるよう、本体ケース3の中に回転軸kを配置した場合、底部2n’と画面71の折り畳み時の高さh2は3次元映像の観賞時の高さhmaxの約40%になる。このときミラーケース2の端部2w’が最高高さとなり、この高さが折り畳み時の高さh2になっている。
【0047】
図13(C)はミラーケース2の底部2nをフルミラー13の上端部付近2vで折った場合を示す。この場合折曲げ角度θを約19度とすることで、ミラーケース2の端部2wは画面71に接近するため、ミラーケース2の2vの位置が最高高さとなり折り畳み時の高さh3は観賞時の高さhmaxの約30%にすることができる。また最高高さとなる位置2vがミラーケース2の底部2nの中央付近にくるため、図13(B)と比較して中央が膨らんだ角張らない形状となり、持運ぶのに適している。このようにミラーケース2の底部2nを2v付近で折っても、フルミラー13が収納されるスペースがあるため、フルミラー13の折り畳みにも影響はない。
【0048】
図14はミラーケースの上面を示す斜視図である。図14に示すようにミラーケース2の底部にはU字型の切込み2p,2q,2rがある。U字型の切込2pの内側部分2sに指や手などの力P2を加えて合成樹脂の弾性で切込み内部をハーフミラー11側にたわませることができる。この作業を図10の状態で行うと2sの部分がハーフミラー11に当たって押し出すことになり、折り畳まれた状態からストッパー2d、爪2eの間に挟まる位置まで回転させることができる。こうすることで直接ハーフミラー11に指や手を触れることなくハーフミラー11を回転させることができる。ハーフミラー12とフルミラー13も同様に2t,2uの部分に力を加えることで指などで直接触れることなく回転させることができる。
【0049】
図15は本体ケース3とは別の形態の本体ケース4を示す斜視図である。本体ケース4は2次元映像表示装置70の端部だけを隙間なく覆う形状となっている。図16は本体ケース4に2次元映像表示装置70を入れ、ミラーケース2を合体させた状態の断面図である。本体ケース4も弾性を持つ合成樹脂で作ることが好ましい。また本体ケース4と2次元映像表示装置70とは摩擦力によって容易に外れない。軸受け穴4kと谷型の突起4jは、本体ケース3の軸受け穴3kと谷型の突起3jと同様の機能を果たす。
【0050】
以上のように、この実施の形態においては、液晶ディスプレイなどの2次元映像表示装置にハーフミラーなどからなるミラー装置を簡単に着脱でき、ミラー装置は折り畳ためてコンパクトにできるようにしてあるため、3次元映像を容易に持運んで楽しむことが可能になる。
(2)第2実施の形態
次に、この発明の第2実施の形態について説明する。図17は本発明の第2実施形態に係る3次元映像表示装置の構成部品を示す図である。ただしこの図の中には2次元映像表示装置は含まれていない。図17に示すように、ミラー装置50はミラーケース5a、ハーフミラー21,22、フルミラー23および本体ケース5bから構成される。ミラーケース5aと本体ケース5bはヒンジ部5fによってつながっているため、ポリプロピレンなどの耐ヒンジ特性の高い合成樹脂による一体成型で作ることが好ましい。
【0051】
ミラーケース5aにはハーフミラー21,22、フルミラー23を固定して装着するための溝5c,5d,5eがある。ハーフミラー21,22、フルミラー23の厚さと材質、および透過率、反射率は実施形態1と同じであるが、形はすべて長方形である。
【0052】
本体ケース5bは2次元映像表示装置70の端部だけを隙間なく覆う形状となっている。
【0053】
図18、図19はミラーケース5aにハーフミラー21,22、フルミラー23を固定してミラー装置50が形成され、本体ケース5bに2次元映像表示装置70を入れた状態を示す図である。これは2次元映像表示装置70の画面71を通常の観賞する状態である。
【0054】
図20、図21はミラーケース5aをヒンジ5fを軸に回転させて画面71に被せた状態を示す図である。この状態ではハーフミラー21,22とフルミラー23が画面71に対して所定の位置に来るため、3次元映像を観賞することができる。このようにミラー装置50を簡単に回転して動かすことが可能なため、3次元映像を観賞する状態と2次元映像表示装置70の画面71を通常の観賞する状態とを簡単に切り替えることができる。また画面71がタッチパネル付の場合は図18、図19の状態では画面を触ることもできる。
【0055】
第2実施形態では第1実施形態のようにミラー装置50の部分を折り畳んで体積を削減することはできない。しかしながら、第2実施形態は第1実施形態よりも部品数が少なく、部品の形状も簡単である。そのため、第1実施形態よりも製作コストを軽減することが可能である。
【0056】
以上のように、この実施の形態においては、液晶ディスプレイなどの2次元映像表示装置にハーフミラー等からなるミラー装置を簡単に着脱でき、3次元映像を楽しむことが可能になる。
【0057】
なお、上記いずれの実施の形態においても、ハーフミラーを2枚とその後部にフルミラーを1枚設けた場合について説明したが、これに限らず、ハーフミラーを3枚以上としてもよい。
【0058】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
この発明にかかる3次元映像表示装置は、2次元映像表示装置にミラー装置を簡単に着脱でき、特殊な眼鏡をかけることなく見やすい3次元映像を見ることができ、コンパクトに折り畳ためて持運びに適した3次元映像表示装置として有利に使用される。
【符号の説明】
【0060】
81, 82, 11, 12, 21, 22:ハーフミラー、
83, 13, 23:フルミラー、
81a, 82a, 83a:虚像
2:ミラーケース
3, 4:本体ケース、
70:2次元映像表示装置、
71:画面、
50, 80:ミラー装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像表示装置の画面に表示される映像を複数のミラーを用いて反射させて、3次元的に表示する3次元映像表示装置において、
該映像表示装置を装着する本体ケースと、
該本体ケースと一体的に形成され、複数のミラーが奥行き方向へ所定間隔かつ所定角度で並行に配置して固定されたミラーケースを備えるミラー装置を有し、
前記ミラーケースは、前記本体ケースの所定部に軸を中心に回転可能に軸支され、
3次元映像を表示する時に、該ミラーケースは該軸を中心にして該本体ケース側に回転して、該複数のミラーが該映像表示装置の画面に対して観賞者側に所定角度傾斜して位置付けされて、該映像表示装置の該画面に表示される映像を反射して表示する
ことを特徴とする3次元映像表示装置。
【請求項2】
前記複数のミラーは、該ミラーの高さが奥に行くにつれて低くなるように配置され、観賞者側に近い側に配置された第1および第2のハーフミラーと、該第1および第2のハーフミラーの後方に配置された1枚のフルミラーとを含む、請求項1記載の3次元映像表示装置。
【請求項3】
前記本体ケースは、前記2次元映像表示装置として2次元映像を表示する画面を有する携帯可能な表示装置を収容する、請求項1乃至3のいずれかの項記載の3次元映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−137766(P2012−137766A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−22696(P2012−22696)
【出願日】平成24年2月6日(2012.2.6)
【分割の表示】特願2011−226297(P2011−226297)の分割
【原出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【出願人】(311014185)株式会社ライツ (3)
【Fターム(参考)】