3次元映像表示装置
【課題】ゴーストを低減し、良好な3次元映像を表示可能な3次元映像表示装置を提供する。
【解決手段】視差を有する複数の映像を同時に表示可能であり、視差を有する複数の映像をそれぞれ表示する複数の画素116が1組となり、この画素116の組がマトリクス状に配置されたLCDパネル112を有する表示装置部11と、LCDパネル112の映像光の出射側に設けられ、略円柱形状の一部形状である単位レンズ131が出射側の面に複数配列され、視差を有する複数の映像の映像光を所定の方向へそれぞれ出射させるレンチキュラーレンズシート13と、レンチキュラーレンズシート13とLCDパネル112との間に配置され、光透過部122と光吸収部123とが、単位レンズ131の配列方向に沿って交互に配列されている光制御シート12とを備えるものとした。
【解決手段】視差を有する複数の映像を同時に表示可能であり、視差を有する複数の映像をそれぞれ表示する複数の画素116が1組となり、この画素116の組がマトリクス状に配置されたLCDパネル112を有する表示装置部11と、LCDパネル112の映像光の出射側に設けられ、略円柱形状の一部形状である単位レンズ131が出射側の面に複数配列され、視差を有する複数の映像の映像光を所定の方向へそれぞれ出射させるレンチキュラーレンズシート13と、レンチキュラーレンズシート13とLCDパネル112との間に配置され、光透過部122と光吸収部123とが、単位レンズ131の配列方向に沿って交互に配列されている光制御シート12とを備えるものとした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元映像を表示可能な3次元映像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、3次元映像を表示可能な表示装置に関する需要が高まっており、様々な方式の3次元映像表示装置が開発されている。そして、めがねシャッター方式等で用いられる3次元映像の観察に必要な眼鏡等を使用せずに、観察者が裸眼で3次元映像を観察可能な透過型表示装置の開発も進んでいる(例えば、特許文献1,2参照)。特許文献1,2に示すような表示装置の観察面側にレンチキュラーレンズシートを配置する方式では、3次元映像を視聴する際に、観察者が3次元視聴用のめがね等を着用する必要がなく、また、表示する視差映像の数も任意で設定できるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3940456号公報
【特許文献2】特許第3051604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1,2等に示されるようなレンチキュラーレンズシートを用いる3次元映像表示の方式は、主にLCD(Liquid Crystal Display)パネル、PDP(Plasma Display Panel)、有機EL(Electro−Luminescence)パネル(OLED(Organic Light Emitting Diode)パネル)等を用いる表示装置に用いられる。これらの表示装置では、その画素(表示画素)から比較的広く広がる拡散光が出射される。そのため、所定の画素からの光が、その画素と対となる所定のレンチキュラーレンズ以外のレンチキュラーレンズからも出射して迷光となり、このような迷光によりゴーストとなって映像の画質品位を損なうという問題があった。しかし、特許文献1,2には、このようなゴーストに関する対策に関してなんら開示されていない。
【0005】
本発明の課題は、ゴーストを低減し、良好な3次元映像を表示可能な3次元映像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
請求項1の発明は、視差を有する複数の映像を同時に表示可能であり、前記視差を有する複数の映像をそれぞれ表示する複数の表示画素(116)が1組となり、この表示画素の組がマトリクス状に配置された表示パネル(112)を有する表示装置部(11)と、前記表示パネルの映像光の出射側に設けられ、略円柱形状の一部形状又は略楕円柱形状の一部形状である単位レンズ(131)が出射側の面に複数配列され、前記視差を有する複数の映像の映像光を所定の方向へそれぞれ出射させるレンチキュラーレンズシート(13)と、前記レンチキュラーレンズシート(13)と前記表示パネル(112)との間に配置され、光透過部(122)と光吸収部(123)とが、前記単位レンズの配列方向に沿って交互に配列されている光制御シート(12)と、を備える3次元映像表示装置(10)である。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の3次元映像表示装置において、前記単位レンズ(131)の配列ピッチP1と、前記光吸収部(123)の配列ピッチP2とは、P2≦P1という関係を満たすこと、を特徴とする3次元映像表示装置(10)である。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の3次元映像表示装置において、前記光吸収部(123)は、その配列方向に平行であって前記光制御シート(12)の厚み方向に平行な断面における断面形状が略楔形形状又は略矩形形状であること、を特徴とする3次元映像表示装置(10)である。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の3次元映像表示装置において、前記表示画素(116)の組は、該3次元映像表示装置の使用状態における画面左右方向及び画面上下方向に配列されており、前記表示画素の組における複数の前記表示画素は、前記単位レンズの配列方向に沿って配列されていること、を特徴とする3次元映像表示装置(10)である。
請求項5の発明は、請求項4に記載の3次元映像表示装置において、前記単位レンズ(131)の配列方向は、該3次元映像表示装置の使用状態における画面左右方向であること、を特徴とする3次元映像表示装置(10)である。
請求項6の発明は、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の3次元映像表示装置において、前記表示装置部(11)は、前記表示パネル(112)である液晶透過型表示部と、前記液晶透過型表示部を背面から照明する面光源装置部(111)と、を備えること、を特徴とする3次元映像表示装置(10)である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)3次元映像表示装置は、視差を有する複数の映像を同時に表示可能であり、視差を有する複数の映像をそれぞれ表示する複数の表示画素が1組となり、この表示画素の組がマトリクス状に配置された表示パネルを有する表示装置部と、表示パネルの映像光の出射側に設けられ、略円柱形状の一部形状又は略楕円柱形状の一部形状である単位レンズが出射側の面に複数配列され、視差を有する複数の映像の映像光を所定の方向へそれぞれ出射させるレンチキュラーレンズシートと、レンチキュラーレンズシートと表示パネルとの間に配置され、光透過部と光吸収部とが、単位レンズの配列方向に沿って交互に配列されている光制御シートとを備える。従って、その表示画素に対応する単位レンズ以外の単位レンズに進み、その単位レンズから所定の出射方向から大きく逸れた方向へ出射して迷光となる光が、光制御シートの光吸収部によって低減され、ゴースト等の表示不良を低減することができる。
【0010】
(2)単位レンズの配列ピッチP1と光吸収部の配列ピッチP2とは、P2≦P1という関係を満たすので、効率よく迷光を吸収してゴーストを低減でき、より高画質の3次元映像を表示できる。
【0011】
(3)光吸収部は、その配列方向に平行であって光制御シートの厚み方向に平行な断面における断面形状が略楔形形状又は略矩形形状であるので、効率よく迷光を吸収してゴーストを低減でき、より高画質の3次元映像を表示できる。
【0012】
(4)表示画素の組は、3次元映像表示装置の使用状態における画面左右方向及び画面上下方向に配列されており、表示画素の組における複数の表示画素は、単位レンズの配列方向に沿って配列されているので、単位レンズによって視差を有する映像の光を画面左右方向における所定の方向へそれぞれ出射させることができ、良好な3次元映像を表示できる。
【0013】
(5)単位レンズの配列方向は、3次元映像表示装置の使用状態における画面左右方向であるので、単位レンズによって視差を有する映像の光を画面左右方向における所定の方向へそれぞれ出射させることができ、良好な3次元映像を表示できる。
【0014】
(6)表示装置部は、表示パネルである液晶透過型表示部と、この液晶透過型表示部を背面から照明する面光源装置部を備えるので、例えば、表示装置部として汎用の液晶透過型表示装置を利用することができ、安価に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態の3次元映像表示装置を説明する図である。
【図2】光制御シートの断面の一部を拡大して示す図である。
【図3】実施例の3次元映像表示装置と比較例の3次元映像表示装置の出射光の様子を示す図である。
【図4】実施例の3次元映像表示装置と比較例の3次元映像表示装置の画面左右方向における出射強度分布のグラフである。
【図5】変形形態の光制御シートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張している。
また、板、シート、フィルム等の言葉を使用しているが、これらは、一般的な使い方として、厚さの厚い順に、板、シート、フィルムの順で使用されており、本明細書中でもそれに倣って使用している。しかし、このような使い分けには、技術的な意味は無いので、特許請求の範囲の記載は、シートという記載で統一して使用した。なお、シート、板、フィルムの文言は、適宜置き換えることができるものとする。
さらに、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値及び材料名等は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用してよい。
【0017】
(実施形態)
図1は、本実施形態の3次元映像表示装置を説明する図である。
3次元映像表示装置10は、3次元映像を表示可能であり、表示装置部11、光制御シート12、レンチキュラーレンズシート13等を備えている。なお、図1において、表示装置部11のLCDパネル112と光制御シート12とレンチキュラーレンズシート13とは、それぞれ所定の間隔を空けて配置されている例を示しているが、これらが一体に積層される形態としてもよい。
以下の明細書では、3次元映像表示装置10の使用状態における横長の略矩形形状の観察画面(LCDパネル112)の短辺に平行な方向を、使用状態における画面上下方向(画面鉛直方向)とし、長辺に平行な方向を、使用状態における画面左右方向(画面水平方向)とする。また、以下の説明において、特に断りが無い場合、画面左右方向、画面上下方向とは、3次元映像表示装置10の使用状態における画面左右方向、画面上下方向であるとする。
【0018】
表示装置部11は、視差を有する2つ以上の映像光を出射し、それぞれの視差映像を表示可能な部分である。本実施形態の表示装置部11は、液晶透過型表示装置であり、面光源部111とLCDパネル112とを備えている。なお、表示装置部11は、LCDパネル112を備える液晶透過型表示装置に限らず、PDPや、OLEDパネル等を用いた表示装置としてもよい。
面光源部111は、LCDパネル112を背面側(観察者O側とは反対側)から照明する光を発光する部分である。面光源部111としては、汎用の直下型やエッジライト型等の各種面光源装置(バックライト)を用いることができる。
【0019】
LCDパネル112は、略矩形形状である透過型の液晶表示部であり、その観察面に映像を表示可能な表示パネルである。このLCDパネル112は、2枚のガラス基板113,114の間に液晶層115を備えている。この液晶層115には、マトリクス状に配列された表示画素である画素(ピクセル)116が形成されている。
この画素116は、3次元映像表示装置10の観察面に平行な面に沿って、画面上下方向及び画面左右方向に配列されている。また、本実施形態では、R(赤),G(緑),B(青)の色を表示する3つのドットが画面左右方向に配列され、この3つのドットが1セットとなって1つの画素(ピクセル)116を形成している。
【0020】
LCDパネル112は、3次元映像表示時に、複数の視差映像を同時に表示可能である。ここでは、一例として、LCDパネル112は、3次元映像表示時に、右眼用映像及び左眼用映像の2つの視差を有する映像を同時に表示するものを挙げて説明する。このようなLCDパネル112の場合、画素116は、右眼用映像を表示する画素116と左眼用映像を表示する画素116とが画面左右方向に配列されて1組となっており、この画素116の組が画面上下方向及び画面左右方向に配列されている形態となっている。従って、LCDパネル112は、画面左右方向において右眼用映像を表示する画素116と左眼用映像を表示する画素116が交互に配列されており、画面上下方向に並ぶ同一の列の画素116は同じ視差映像を表示する形態となっている。なお、画素116の組を構成する画素の数は、LCDパネル112が表示する視差映像の数に対応している。例えば、LCDパネル112が4つの視差映像を表示する場合には、画素116の組は4つの画素116から構成され、その4つの画素116は、それぞれの視差映像を表示する。
LCDパネル112は、2次元映像表示時には、全ての画素116において1つの映像を表示する。
【0021】
光制御シート12は、表示装置部11から出射した映像光の出射角度方向を制御する機能を有するシートであり、表示装置部11とレンチキュラーレンズシート13との間に設けられる。光制御シート12は、基材層121と光透過部122と光吸収部123とを有している。
図2は、光制御シートの断面の一部を拡大して示す図である。図2では、画面左右方向に平行であって光制御シート12の厚み方向に平行(光制御シート12のシート面に直交)な光制御シート12の断面の一部を拡大して示している。
ここで、シート面とは、各種光学シート等において、そのシート全体として見たときにおける、シートの平面方向となる面を示すものであり、本明細書中においても同一の定義として用いている。例えば、光制御シート12のシート面は、光制御シート12全体として見たときにおける、光制御シート12の平面方向となる面である。
基材層121は、光透過性を有し、光透過部122及び光吸収部123を形成するベースとなる層である。本実施形態の基材層121は、PET樹脂等の熱可塑性樹脂製のシート状の部材である。
【0022】
光透過部122は、光透過性を有し、略四角柱形状であり、基材層121の入射側(表示装置部11側)の面に画面左右方向に互いに隣接して複数配列されている。光吸収部123は、光を吸収する作用を有し、配列された光透過部122間の谷部分に設けられており、光透過部122及び光吸収部123の配列方向に平行であって光制御シート12の厚み方向に平行な断面における断面形状が略楔形形状である。なお、この略楔形形状とは、略台形形状や略三角形形状を含む形状である。
図2に示すように、画面左右方向に平行であって光制御シート12の厚み方向に平行な断面において、光透過部122の断面形状は、入射側(表示装置部11側)の幅よりも出射側(観察者O側)の幅の方が広い略台形形状である。また、この断面において、光吸収部123の断面形状は、表示装置部11側を底辺とする略二等辺三角形形状である。そして、この断面において、光透過部122と光吸収部123とは、シート面に沿って交互に設けられる形態となっている。
【0023】
光制御シート12の基材層121の厚さはd1であり、光透過部の高さ(厚み方向における寸法)はd2であり、光吸収部123の配列ピッチはP2であり、光吸収部123の高さ(厚み方向における寸法)はhであり、光吸収部123の底辺(画面左右方向における表示装置部11側の幅)はwである。
なお、光吸収部123の配列ピッチP2は、後述するレンチキュラーレンズシート13の単位レンズ131の配列ピッチP1に対して、P2≦P1という関係を満たしている。
【0024】
光透過部122は、光透過性を有する紫外線硬化型樹脂製であり、光吸収部123は、例えば、黒色顔料等を含有した紫外線硬化型樹脂製である。本実施形態の光透過部122及び光吸収部123は、その屈折率が等しい。
なお、光吸収部123の屈折率が光透過部122の屈折率よりもやや大きい形態としてもよい。この場合、光透過部122と光吸収部123との界面で、映像光が全反射することを抑えることができ、ゴースト低減効果を高めることができる。
また、光透過部122及び光吸収部123は、紫外線硬化型樹脂に限らず、電子線硬化型樹脂等の他の電離放射線硬化型樹脂等を用いてもよい。
さらに、本実施形態では、光吸収部123の断面形状は、略二等辺三角形状である例を示したが、頂点部分が平面となっている略台形形状としてもよいし、不等辺三角形形状としてもよい。さらに、光吸収部123の断面形状は、光制御シート12の場所に応じて変化する形態としてもよい。さらにまた、本実施形態では、光吸収部123の配列ピッチP2は一定である例を示したが、部分的に異なっていてもよい。
【0025】
レンチキュラーレンズシート13は、図1に示すように、光制御シート12の出射側(観察者O側)に配置されている。レンチキュラーレンズシート13は、出射側に複数配列される単位レンズ131、レンズ基材層132、接合層133、ガラス基板134等を備えている。
単位レンズ131は、略円柱形状の一部形状であり、レンチキュラーレンズシート13の出射側の面に画面左右方向に配列されている。この単位レンズ131の配列ピッチはP1である。
単位レンズ131は、所謂、シリンドリカルレンズである。この単位レンズ131は、レンズ基材層132の出射側の面に紫外線硬化型樹脂により形成されている。なお、単位レンズ131は、紫外線硬化型樹脂に限らず、電子線硬化型樹脂等の他の電離放射線硬化型樹脂や、光硬化型樹脂等を用いてもよい。
【0026】
本実施形態では、1つの単位レンズ131は、画面左右方向(単位レンズ131の配列方向)において、LCDパネル112が表示する2つの視差映像(右眼用映像、左眼用映像)をそれぞれ表示する2つの画素116からなる1つの画素116の組に対応するように配置されている。なお、LCDパネル112が4つや8つの視差映像を表示する場合には、1つの単位レンズ131は、画面左右方向において、その数の視差映像を表示する数の画素116によって構成される1つの画素の組(4視差の場合には画素が4つで1組、8視差の場合には画素が8つで1組)に対応するように設けられる。
【0027】
レンズ基材層132は、単位レンズ131を形成する際のベースとなる層であり、光透過性を有するシート状の部材が用いられている。
接合層133は、レンズ基材層132とガラス基板134とを接合する層であり、例えば、感圧接着剤や紫外線硬化型の粘着剤や接着剤等が用いられる。
ガラス基板134は、接合層133を介してレンズ基材層132の入射側(表示装置部11側)に設けられる。このガラス基板134は、単位レンズ131の焦点距離に略等しい位置に画素116が位置するように設けられる。また、ガラス基板134は、その剛性により、レンチキュラーレンズシート13の平面性を維持する作用を有する。
【0028】
本実施形態のレンチキュラーレンズシート13は、表示装置部11が表示する2つの視差映像(左眼用映像、右眼用映像)の光の主たる出射角度方向を、画面左右方向において正面方向を0°として例えば±5°、即ち、画面左右方向において正面方向に対して右眼用映像の光は観察者Oの右側へ5°を主たるピークとし、左眼用映像の光は観察者Oの左側へ5°を主たるピークとして出射するように設計されている。この主たるピークの方向は、光学条件や使用環境条件等に応じて適宜選択できる。
【0029】
本実施形態の3次元映像表示装置10は、以上のような構成を備えており、3次元映像表示時には、右眼用映像を表示する画素116は、右眼用映像を表示し、左眼用映像を表示する画素116は、左眼用映像を表示する。そして、面光源部111からの光がLCDパネルを透過することにより、それぞれの視差映像の映像光がLCDパネル112から出射し、光制御シート12を透過してレンチキュラーレンズシート13へ入射する。そして、各視差映像は、レンチキュラーレンズシート13の単位レンズ131の界面で屈折して出射することにより、それぞれの出射方向へ出射する。そして、観察者Oは、右眼用映像の映像光を右眼で観察し、それと同時に左眼用映像の映像光を左眼で観察することにより、立体視用の眼鏡等を用いることなく、3次元映像を裸眼で観察することができる。
【0030】
(実施例と比較例との比較)
ここで、本実施形態の実施例に相当する3次元映像表示装置10と比較例の3次元映像表示装置10Bとを用意し、その光の出射強度分布等を調べた。比較例の3次元映像表示装置10Bは、光制御シート12を備えていない点が異なる以外は、本実施形態の実施例に相当する3次元映像表示装置10と略同様の形態である。
図3は、実施例の3次元映像表示装置と比較例の3次元映像表示装置の出射光の様子を示す図である。図3(a)は、実施例の3次元映像表示装置10を示し、図3(b)は比較例の3次元映像表示装置を10B示している。なお、図3においては、理解を容易にするために、面光源部111は省略して示してあり、レンチキュラーレンズシート13や光制御シート12等の層構成等も簡略化して示している。
図4は、実施例の3次元映像表示装置と比較例の3次元映像表示装置の画面左右方向における光の出射強度分布のグラフである。図4のグラフにおいて、縦軸は、出射光の相対強度であり、横軸は、画面左右方向における出射角度であり、マイナス側は観察者Oから見て左方向、プラス側は観察者Oから見て右方向である。この図4のグラフは、シミュレーションにより得られたものであり、左眼用視差映像(所望する出射角度のピーク−5°)を表示した場合の光の出射強度分布を示している。
【0031】
ここで実施例の3次元映像表示装置10及び比較例の3次元映像表示装置10Bの各部の詳細について説明する。
面光源部111は、±40°のランバート分布を有する直下型の面光源装置を用いている。
LCDパネル112は、有効画面サイズが対角42インチワイドサイズ(929.8mm×523.0mm)、FHD(full high definition:フルハイビジョン)であり、解像度1920×1080ピクセルである。
LCDパネル112の画素(ピクセル)116の配列ピッチP1は、画面上下方向及び画面左右方向においていずれも484.5μmであり、1つのドット(サブピクセル)の画面左右方向における配列ピッチは、161.5μmであり、画素の開口率(Aperture Ratio)は、90%である。
【0032】
レンチキュラーレンズシート13の単位レンズ131は、曲率半径Rが807.5μm、屈折率が1.55であり、配列ピッチP1が969μmである。また、レンチキュラーレンズシート13のレンズ基材層132は、屈折率が1.58であり、厚さが100μmであり、ガラス基板134は、屈折率が1.5168(ただし、測定波長λ=589.3nm)のガラス製(BK−7)であり、その厚さが1mmである。
また、このレンチキュラーレンズシート13は、表示装置部11が表示する2つの視差映像(左眼用映像、右眼用映像)の光の主たる出射角度方向を、画面左右方向において正面方向を0°とし、正面方向に対しての右眼用映像の光は観察者Oの右側へ5°を主たるピークとし、左眼用映像の光は観察者Oの左側へ5°を主たるピークとして出射するように設計されている。
【0033】
また、実施例の3次元映像表示装置10は、光制御シート12を表示装置部11とレンチキュラーレンズシート13との間に備えている。
この光制御シート12の基材層121は、厚さd1が100μmのPET樹脂製のシート状の部材である。また、光制御シート12は、光透過部122の高さd2が190μmであり、光吸収部123の高さhが170μmであり、光吸収部123の配列ピッチP2が60μmであり、光吸収部123の底辺の幅wが28μmである(図2参照)。また、光透過部122及び光吸収部123は、屈折率がともに1.55である。また、この光制御シート12のカットオフ角度は、画面左右方向において、約±30°(ただし、屈折率1.0中)となっている。
【0034】
表示装置部11から出射する光は比較的広く広がる拡散光である。そのため、図3に(b)に示すように、比較例の3次元映像表示装置10Bでは、ある画素116bから出射した光(L3、L4)は、光L3のように、その画素116bに対応する単位レンズ131bから主として出射するが、一方で、光L4のように、画素116bに対応する単位レンズ131b以外の単位レンズ131c(他の画素に対応する単位レンズ131)にもその画素116bからの光が到達し、その単位レンズ131cから出射している。このような光L4は、所望する方向から大きくそれた方向へ出射する迷光となり、ゴーストを生じさせる。また、これらの光L4は、3次元映像を観察可能とするための所定の方向から大きく逸れた方向から観察者Oへ到達してクロストーク等を生じさせ、一部が2次元映像として視認される等の3次元映像としての質の低下を招くおそれがある。
光の出射強度分布を確認すると、図4に示すように、比較例の3次元映像表示装置10Bでは、主として約−5°方向にピークを有してはいるが、約+35°付近まで比較的強度の強い光が広がって出射している。そのため、比較例の3次元映像表示装置10Bでは、ゴースト等の表示不良が生じる虞がある。
【0035】
これに対して、実施例の3次元映像表示装置10では、図3(a)に示すように、ある画素116aから出射した光は、光L1のように、その画素116aに対応する単位レンズ131aから主として出射している。また、この画素116aから出射し、他の画素に対応する単位レンズ131cの方向へ向かう光L2は、その多くが光制御シート12の光吸収部123へ入射して吸収される。従って、ゴースト等のような3次元映像の画質の低下を招く光が極力低減される。
光の出射強度分布を確認すると、図4に示すように、実施例の3次元映像表示装置10では、主として−5°方向にピークを有しており、位置部の光が+10°前後まで光は広がっているがそれよりプラス側(観察者Oの右側)へ出射する光が、大幅に低減されている。
【0036】
従って、本実施形態によれば、ゴースト等の表示不良を低減でき、良好な3次元映像を表示できる。また、各種の表示装置部11の特性やこの3次元映像表示装置10の使用環境等に応じて、この光制御シート12の光吸収部123の形状や配列ピッチ、屈折率等は適宜変更可能であり、各種条件に合わせて設計可能であり、より容易に良好な3次元映像を表示可能である。
【0037】
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
(1)本実施形態において、光制御シート12は、光透過部122の断面形状が表示装置部11側の幅が観察者O側の幅よりも狭い略台形形状である例を示したが、これに限らず、以下のような形態としてもよい。
図5は、変形形態の光制御シートを示す図である。
図5(a)に示す変形例の光制御シート22のように、光透過部222の断面形状が出射側(観察者O側)の幅が、入射側(表示装置部11側)の幅よりも狭い略台形形状としてもよい。この場合、光透過部222及び光吸収部223は、基材層121の出射側(観察者O側)に形成される。
また、図5(b)に示す変形例の光制御シート32のように、光透過部322の断面形状が略矩形形状又は略正方形形状であるとしてもよい。このとき、光吸収部323の断面形状は略矩形形状となっている。
さらに、図示しないが光透過部122及び光吸収部123は、一部が曲線からなる形状としてもよいし、一部の斜面が2つ以上の曲面又は平面からなる形状としてもよい。
光吸収部123及び光透過部122のこれらの形状は、表示装置部11の光学特性や使用環境等に応じて、適宜選択して適用してよい。
【0038】
(2)本実施形態において、光吸収部123と光透過部122とは屈折率が等しく、屈折率差がない例を示したが、これに限らず、例えば、光吸収部123の屈折率が光透過部122の屈折率よりも僅かに小さい形態とした場合には、一部の光を光吸収部123と光透過部122との界面で全反射して所定の画素116に対応する単位レンズ131へ入射させることができる。これにより、映像の正面輝度を上げることができる。また、光吸収部123の屈折率が光透過部122の屈折率よりもやや大きい形態とした場合には、光透過部122と光吸収部123との界面で、映像光が全反射することを抑えることができ、ゴースト低減効果を高めることができる。光吸収部123と光透過部122との屈折率差に関しては、表示装置部11の光学性能や使用環境等の各種条件に応じて適宜設計してよい。
【0039】
(3)本実施形態において、レンチキュラーレンズシート13は、レンズ基材層132に接合層133を介してガラス基板134が接合される例を示したが、これに限らず、レンズ基材層132の厚さを十分に厚くすること等により、ガラス基板134及び接合層133を備えない形態としてもよい。
また、本実施形態において、単位レンズ131は、レンズ基材層132の片面に紫外線硬化型樹脂により形成される例を示したが、これに限らず、例えば、熱可塑性樹脂を用いて押出成形によりレンズ基材層132と単位レンズ131とを一体に成形してもよい。
さらに、本実施形態において、単位レンズ131は、画面左右方向に配列され、単位レンズ131の長手方向が画面上下方向に延在する例を示したが、これに限らず、例えば、単位レンズの長手方向が画面上下方向に対して角度α(ただし、0°<α<90°)をなす方向に延在するように、画面左右方向に対して角度αをなす方向に平行に配列する形態としてもよい。このように配列することによって、画面左右方向における解像度の低下を低減することができる。
【0040】
(4)本実施形態において、表示装置部11は、LCDパネル112を備える液晶透過型表示装置である例を示したが、これに限らず、例えば、PDPや、OLEDパネル等を用いる表示装置としてもよい。PDPやOLEDパネルのように画素が自発光する表示装置部を用いることにより、映像の明るさをより向上させることができる。
【0041】
(5)本実施形態において、LCDパネル112は、2つの視差映像を表示する例を示したが、これに限らず、例えば、より多い数の視差映像を表示する形態としてもよい。
また、本実施形態において、視差映像の光の出射方向のピークを+5°、−5°とする例を示したが、これに限らず、例えば、光の出射方向のピークは、使用環境や表示装置部11の特性等応じて適宜設定してよく、それに合わせた単位レンズ131の設計とすることができる。
【0042】
(6)本実施形態において、3つ(R,G,B)のドット(サブピクセル)が画面左右方向に並んで(ストライプ配列)1画素(ピクセル)116を形成する例を示したが、1画素116中の3つのドットの配列方向は画面上下方向でもよいし、3つのドットがデルタ配列される形態等としてもよい。
また、本実施形態において、1つの画素を形成するドットは、3つ(R,G,B)である例を示したが、これに限らず、例えば、4つ以上としてもよい。
【0043】
(7)本実施形態において、レンチキュラーレンズシート13の表面に、ハードコート処理や、反射防止処理等を適宜施してもよい。反射防止処理は、WET方式やDRY方式等の処理によるものや、モスアイ型の微小形状を形成する方式等、適宜選択して用いることができる。反射防止処理をレンズシートの表面に施す事により、光の透過率を高め、より明るい映像の表示を行うことができる。また、ハードコート処理を行うことにより、単位レンズ131の表面が傷つくことを低減できる。
【0044】
(8)本実施形態において、レンチキュラーレンズシート13を用いる例を示したが、これに限らず、例えば、マイクロレンズアレイ(ハエの目レンズ)シート等を用いてもよい。この場合も、画面左右方向におけるレンズの配列ピッチが、光制御シート12の光吸収部123の配列ピッチと同等又は大きいことが好ましい。
【0045】
(9)本実施形態において、単位レンズ131は、略円柱形状の一部形状である例を示したが、これに限らず、例えば、長軸がシート面に直交する略楕円柱形状の一部形状としてもよい。
【0046】
(10)本実施形態では、光制御シート12は、レンチキュラーレンズシート13と表示装置部11との間に配置される例を示したが、これに限らず、例えば、光制御シート12を、レンチキュラーレンズシート13より観察者側に(即ち、3次元映像表示装置において最も観察者側)に配置してもよいし、LCDパネル112と面光源部111との間に配置してもよい。
【0047】
なお、本実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0048】
10 3次元映像表示装置
11 表示装置部
111 面光源部
112 LCDパネル
12 光制御シート
121 基材層
122 光透過部
123 光吸収部
13 レンチキュラーレンズシート
131 単位レンズ
132 レンズ基材層
133 接合層
134 ガラス基板
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元映像を表示可能な3次元映像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、3次元映像を表示可能な表示装置に関する需要が高まっており、様々な方式の3次元映像表示装置が開発されている。そして、めがねシャッター方式等で用いられる3次元映像の観察に必要な眼鏡等を使用せずに、観察者が裸眼で3次元映像を観察可能な透過型表示装置の開発も進んでいる(例えば、特許文献1,2参照)。特許文献1,2に示すような表示装置の観察面側にレンチキュラーレンズシートを配置する方式では、3次元映像を視聴する際に、観察者が3次元視聴用のめがね等を着用する必要がなく、また、表示する視差映像の数も任意で設定できるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3940456号公報
【特許文献2】特許第3051604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1,2等に示されるようなレンチキュラーレンズシートを用いる3次元映像表示の方式は、主にLCD(Liquid Crystal Display)パネル、PDP(Plasma Display Panel)、有機EL(Electro−Luminescence)パネル(OLED(Organic Light Emitting Diode)パネル)等を用いる表示装置に用いられる。これらの表示装置では、その画素(表示画素)から比較的広く広がる拡散光が出射される。そのため、所定の画素からの光が、その画素と対となる所定のレンチキュラーレンズ以外のレンチキュラーレンズからも出射して迷光となり、このような迷光によりゴーストとなって映像の画質品位を損なうという問題があった。しかし、特許文献1,2には、このようなゴーストに関する対策に関してなんら開示されていない。
【0005】
本発明の課題は、ゴーストを低減し、良好な3次元映像を表示可能な3次元映像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
請求項1の発明は、視差を有する複数の映像を同時に表示可能であり、前記視差を有する複数の映像をそれぞれ表示する複数の表示画素(116)が1組となり、この表示画素の組がマトリクス状に配置された表示パネル(112)を有する表示装置部(11)と、前記表示パネルの映像光の出射側に設けられ、略円柱形状の一部形状又は略楕円柱形状の一部形状である単位レンズ(131)が出射側の面に複数配列され、前記視差を有する複数の映像の映像光を所定の方向へそれぞれ出射させるレンチキュラーレンズシート(13)と、前記レンチキュラーレンズシート(13)と前記表示パネル(112)との間に配置され、光透過部(122)と光吸収部(123)とが、前記単位レンズの配列方向に沿って交互に配列されている光制御シート(12)と、を備える3次元映像表示装置(10)である。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の3次元映像表示装置において、前記単位レンズ(131)の配列ピッチP1と、前記光吸収部(123)の配列ピッチP2とは、P2≦P1という関係を満たすこと、を特徴とする3次元映像表示装置(10)である。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の3次元映像表示装置において、前記光吸収部(123)は、その配列方向に平行であって前記光制御シート(12)の厚み方向に平行な断面における断面形状が略楔形形状又は略矩形形状であること、を特徴とする3次元映像表示装置(10)である。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の3次元映像表示装置において、前記表示画素(116)の組は、該3次元映像表示装置の使用状態における画面左右方向及び画面上下方向に配列されており、前記表示画素の組における複数の前記表示画素は、前記単位レンズの配列方向に沿って配列されていること、を特徴とする3次元映像表示装置(10)である。
請求項5の発明は、請求項4に記載の3次元映像表示装置において、前記単位レンズ(131)の配列方向は、該3次元映像表示装置の使用状態における画面左右方向であること、を特徴とする3次元映像表示装置(10)である。
請求項6の発明は、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の3次元映像表示装置において、前記表示装置部(11)は、前記表示パネル(112)である液晶透過型表示部と、前記液晶透過型表示部を背面から照明する面光源装置部(111)と、を備えること、を特徴とする3次元映像表示装置(10)である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)3次元映像表示装置は、視差を有する複数の映像を同時に表示可能であり、視差を有する複数の映像をそれぞれ表示する複数の表示画素が1組となり、この表示画素の組がマトリクス状に配置された表示パネルを有する表示装置部と、表示パネルの映像光の出射側に設けられ、略円柱形状の一部形状又は略楕円柱形状の一部形状である単位レンズが出射側の面に複数配列され、視差を有する複数の映像の映像光を所定の方向へそれぞれ出射させるレンチキュラーレンズシートと、レンチキュラーレンズシートと表示パネルとの間に配置され、光透過部と光吸収部とが、単位レンズの配列方向に沿って交互に配列されている光制御シートとを備える。従って、その表示画素に対応する単位レンズ以外の単位レンズに進み、その単位レンズから所定の出射方向から大きく逸れた方向へ出射して迷光となる光が、光制御シートの光吸収部によって低減され、ゴースト等の表示不良を低減することができる。
【0010】
(2)単位レンズの配列ピッチP1と光吸収部の配列ピッチP2とは、P2≦P1という関係を満たすので、効率よく迷光を吸収してゴーストを低減でき、より高画質の3次元映像を表示できる。
【0011】
(3)光吸収部は、その配列方向に平行であって光制御シートの厚み方向に平行な断面における断面形状が略楔形形状又は略矩形形状であるので、効率よく迷光を吸収してゴーストを低減でき、より高画質の3次元映像を表示できる。
【0012】
(4)表示画素の組は、3次元映像表示装置の使用状態における画面左右方向及び画面上下方向に配列されており、表示画素の組における複数の表示画素は、単位レンズの配列方向に沿って配列されているので、単位レンズによって視差を有する映像の光を画面左右方向における所定の方向へそれぞれ出射させることができ、良好な3次元映像を表示できる。
【0013】
(5)単位レンズの配列方向は、3次元映像表示装置の使用状態における画面左右方向であるので、単位レンズによって視差を有する映像の光を画面左右方向における所定の方向へそれぞれ出射させることができ、良好な3次元映像を表示できる。
【0014】
(6)表示装置部は、表示パネルである液晶透過型表示部と、この液晶透過型表示部を背面から照明する面光源装置部を備えるので、例えば、表示装置部として汎用の液晶透過型表示装置を利用することができ、安価に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態の3次元映像表示装置を説明する図である。
【図2】光制御シートの断面の一部を拡大して示す図である。
【図3】実施例の3次元映像表示装置と比較例の3次元映像表示装置の出射光の様子を示す図である。
【図4】実施例の3次元映像表示装置と比較例の3次元映像表示装置の画面左右方向における出射強度分布のグラフである。
【図5】変形形態の光制御シートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張している。
また、板、シート、フィルム等の言葉を使用しているが、これらは、一般的な使い方として、厚さの厚い順に、板、シート、フィルムの順で使用されており、本明細書中でもそれに倣って使用している。しかし、このような使い分けには、技術的な意味は無いので、特許請求の範囲の記載は、シートという記載で統一して使用した。なお、シート、板、フィルムの文言は、適宜置き換えることができるものとする。
さらに、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値及び材料名等は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用してよい。
【0017】
(実施形態)
図1は、本実施形態の3次元映像表示装置を説明する図である。
3次元映像表示装置10は、3次元映像を表示可能であり、表示装置部11、光制御シート12、レンチキュラーレンズシート13等を備えている。なお、図1において、表示装置部11のLCDパネル112と光制御シート12とレンチキュラーレンズシート13とは、それぞれ所定の間隔を空けて配置されている例を示しているが、これらが一体に積層される形態としてもよい。
以下の明細書では、3次元映像表示装置10の使用状態における横長の略矩形形状の観察画面(LCDパネル112)の短辺に平行な方向を、使用状態における画面上下方向(画面鉛直方向)とし、長辺に平行な方向を、使用状態における画面左右方向(画面水平方向)とする。また、以下の説明において、特に断りが無い場合、画面左右方向、画面上下方向とは、3次元映像表示装置10の使用状態における画面左右方向、画面上下方向であるとする。
【0018】
表示装置部11は、視差を有する2つ以上の映像光を出射し、それぞれの視差映像を表示可能な部分である。本実施形態の表示装置部11は、液晶透過型表示装置であり、面光源部111とLCDパネル112とを備えている。なお、表示装置部11は、LCDパネル112を備える液晶透過型表示装置に限らず、PDPや、OLEDパネル等を用いた表示装置としてもよい。
面光源部111は、LCDパネル112を背面側(観察者O側とは反対側)から照明する光を発光する部分である。面光源部111としては、汎用の直下型やエッジライト型等の各種面光源装置(バックライト)を用いることができる。
【0019】
LCDパネル112は、略矩形形状である透過型の液晶表示部であり、その観察面に映像を表示可能な表示パネルである。このLCDパネル112は、2枚のガラス基板113,114の間に液晶層115を備えている。この液晶層115には、マトリクス状に配列された表示画素である画素(ピクセル)116が形成されている。
この画素116は、3次元映像表示装置10の観察面に平行な面に沿って、画面上下方向及び画面左右方向に配列されている。また、本実施形態では、R(赤),G(緑),B(青)の色を表示する3つのドットが画面左右方向に配列され、この3つのドットが1セットとなって1つの画素(ピクセル)116を形成している。
【0020】
LCDパネル112は、3次元映像表示時に、複数の視差映像を同時に表示可能である。ここでは、一例として、LCDパネル112は、3次元映像表示時に、右眼用映像及び左眼用映像の2つの視差を有する映像を同時に表示するものを挙げて説明する。このようなLCDパネル112の場合、画素116は、右眼用映像を表示する画素116と左眼用映像を表示する画素116とが画面左右方向に配列されて1組となっており、この画素116の組が画面上下方向及び画面左右方向に配列されている形態となっている。従って、LCDパネル112は、画面左右方向において右眼用映像を表示する画素116と左眼用映像を表示する画素116が交互に配列されており、画面上下方向に並ぶ同一の列の画素116は同じ視差映像を表示する形態となっている。なお、画素116の組を構成する画素の数は、LCDパネル112が表示する視差映像の数に対応している。例えば、LCDパネル112が4つの視差映像を表示する場合には、画素116の組は4つの画素116から構成され、その4つの画素116は、それぞれの視差映像を表示する。
LCDパネル112は、2次元映像表示時には、全ての画素116において1つの映像を表示する。
【0021】
光制御シート12は、表示装置部11から出射した映像光の出射角度方向を制御する機能を有するシートであり、表示装置部11とレンチキュラーレンズシート13との間に設けられる。光制御シート12は、基材層121と光透過部122と光吸収部123とを有している。
図2は、光制御シートの断面の一部を拡大して示す図である。図2では、画面左右方向に平行であって光制御シート12の厚み方向に平行(光制御シート12のシート面に直交)な光制御シート12の断面の一部を拡大して示している。
ここで、シート面とは、各種光学シート等において、そのシート全体として見たときにおける、シートの平面方向となる面を示すものであり、本明細書中においても同一の定義として用いている。例えば、光制御シート12のシート面は、光制御シート12全体として見たときにおける、光制御シート12の平面方向となる面である。
基材層121は、光透過性を有し、光透過部122及び光吸収部123を形成するベースとなる層である。本実施形態の基材層121は、PET樹脂等の熱可塑性樹脂製のシート状の部材である。
【0022】
光透過部122は、光透過性を有し、略四角柱形状であり、基材層121の入射側(表示装置部11側)の面に画面左右方向に互いに隣接して複数配列されている。光吸収部123は、光を吸収する作用を有し、配列された光透過部122間の谷部分に設けられており、光透過部122及び光吸収部123の配列方向に平行であって光制御シート12の厚み方向に平行な断面における断面形状が略楔形形状である。なお、この略楔形形状とは、略台形形状や略三角形形状を含む形状である。
図2に示すように、画面左右方向に平行であって光制御シート12の厚み方向に平行な断面において、光透過部122の断面形状は、入射側(表示装置部11側)の幅よりも出射側(観察者O側)の幅の方が広い略台形形状である。また、この断面において、光吸収部123の断面形状は、表示装置部11側を底辺とする略二等辺三角形形状である。そして、この断面において、光透過部122と光吸収部123とは、シート面に沿って交互に設けられる形態となっている。
【0023】
光制御シート12の基材層121の厚さはd1であり、光透過部の高さ(厚み方向における寸法)はd2であり、光吸収部123の配列ピッチはP2であり、光吸収部123の高さ(厚み方向における寸法)はhであり、光吸収部123の底辺(画面左右方向における表示装置部11側の幅)はwである。
なお、光吸収部123の配列ピッチP2は、後述するレンチキュラーレンズシート13の単位レンズ131の配列ピッチP1に対して、P2≦P1という関係を満たしている。
【0024】
光透過部122は、光透過性を有する紫外線硬化型樹脂製であり、光吸収部123は、例えば、黒色顔料等を含有した紫外線硬化型樹脂製である。本実施形態の光透過部122及び光吸収部123は、その屈折率が等しい。
なお、光吸収部123の屈折率が光透過部122の屈折率よりもやや大きい形態としてもよい。この場合、光透過部122と光吸収部123との界面で、映像光が全反射することを抑えることができ、ゴースト低減効果を高めることができる。
また、光透過部122及び光吸収部123は、紫外線硬化型樹脂に限らず、電子線硬化型樹脂等の他の電離放射線硬化型樹脂等を用いてもよい。
さらに、本実施形態では、光吸収部123の断面形状は、略二等辺三角形状である例を示したが、頂点部分が平面となっている略台形形状としてもよいし、不等辺三角形形状としてもよい。さらに、光吸収部123の断面形状は、光制御シート12の場所に応じて変化する形態としてもよい。さらにまた、本実施形態では、光吸収部123の配列ピッチP2は一定である例を示したが、部分的に異なっていてもよい。
【0025】
レンチキュラーレンズシート13は、図1に示すように、光制御シート12の出射側(観察者O側)に配置されている。レンチキュラーレンズシート13は、出射側に複数配列される単位レンズ131、レンズ基材層132、接合層133、ガラス基板134等を備えている。
単位レンズ131は、略円柱形状の一部形状であり、レンチキュラーレンズシート13の出射側の面に画面左右方向に配列されている。この単位レンズ131の配列ピッチはP1である。
単位レンズ131は、所謂、シリンドリカルレンズである。この単位レンズ131は、レンズ基材層132の出射側の面に紫外線硬化型樹脂により形成されている。なお、単位レンズ131は、紫外線硬化型樹脂に限らず、電子線硬化型樹脂等の他の電離放射線硬化型樹脂や、光硬化型樹脂等を用いてもよい。
【0026】
本実施形態では、1つの単位レンズ131は、画面左右方向(単位レンズ131の配列方向)において、LCDパネル112が表示する2つの視差映像(右眼用映像、左眼用映像)をそれぞれ表示する2つの画素116からなる1つの画素116の組に対応するように配置されている。なお、LCDパネル112が4つや8つの視差映像を表示する場合には、1つの単位レンズ131は、画面左右方向において、その数の視差映像を表示する数の画素116によって構成される1つの画素の組(4視差の場合には画素が4つで1組、8視差の場合には画素が8つで1組)に対応するように設けられる。
【0027】
レンズ基材層132は、単位レンズ131を形成する際のベースとなる層であり、光透過性を有するシート状の部材が用いられている。
接合層133は、レンズ基材層132とガラス基板134とを接合する層であり、例えば、感圧接着剤や紫外線硬化型の粘着剤や接着剤等が用いられる。
ガラス基板134は、接合層133を介してレンズ基材層132の入射側(表示装置部11側)に設けられる。このガラス基板134は、単位レンズ131の焦点距離に略等しい位置に画素116が位置するように設けられる。また、ガラス基板134は、その剛性により、レンチキュラーレンズシート13の平面性を維持する作用を有する。
【0028】
本実施形態のレンチキュラーレンズシート13は、表示装置部11が表示する2つの視差映像(左眼用映像、右眼用映像)の光の主たる出射角度方向を、画面左右方向において正面方向を0°として例えば±5°、即ち、画面左右方向において正面方向に対して右眼用映像の光は観察者Oの右側へ5°を主たるピークとし、左眼用映像の光は観察者Oの左側へ5°を主たるピークとして出射するように設計されている。この主たるピークの方向は、光学条件や使用環境条件等に応じて適宜選択できる。
【0029】
本実施形態の3次元映像表示装置10は、以上のような構成を備えており、3次元映像表示時には、右眼用映像を表示する画素116は、右眼用映像を表示し、左眼用映像を表示する画素116は、左眼用映像を表示する。そして、面光源部111からの光がLCDパネルを透過することにより、それぞれの視差映像の映像光がLCDパネル112から出射し、光制御シート12を透過してレンチキュラーレンズシート13へ入射する。そして、各視差映像は、レンチキュラーレンズシート13の単位レンズ131の界面で屈折して出射することにより、それぞれの出射方向へ出射する。そして、観察者Oは、右眼用映像の映像光を右眼で観察し、それと同時に左眼用映像の映像光を左眼で観察することにより、立体視用の眼鏡等を用いることなく、3次元映像を裸眼で観察することができる。
【0030】
(実施例と比較例との比較)
ここで、本実施形態の実施例に相当する3次元映像表示装置10と比較例の3次元映像表示装置10Bとを用意し、その光の出射強度分布等を調べた。比較例の3次元映像表示装置10Bは、光制御シート12を備えていない点が異なる以外は、本実施形態の実施例に相当する3次元映像表示装置10と略同様の形態である。
図3は、実施例の3次元映像表示装置と比較例の3次元映像表示装置の出射光の様子を示す図である。図3(a)は、実施例の3次元映像表示装置10を示し、図3(b)は比較例の3次元映像表示装置を10B示している。なお、図3においては、理解を容易にするために、面光源部111は省略して示してあり、レンチキュラーレンズシート13や光制御シート12等の層構成等も簡略化して示している。
図4は、実施例の3次元映像表示装置と比較例の3次元映像表示装置の画面左右方向における光の出射強度分布のグラフである。図4のグラフにおいて、縦軸は、出射光の相対強度であり、横軸は、画面左右方向における出射角度であり、マイナス側は観察者Oから見て左方向、プラス側は観察者Oから見て右方向である。この図4のグラフは、シミュレーションにより得られたものであり、左眼用視差映像(所望する出射角度のピーク−5°)を表示した場合の光の出射強度分布を示している。
【0031】
ここで実施例の3次元映像表示装置10及び比較例の3次元映像表示装置10Bの各部の詳細について説明する。
面光源部111は、±40°のランバート分布を有する直下型の面光源装置を用いている。
LCDパネル112は、有効画面サイズが対角42インチワイドサイズ(929.8mm×523.0mm)、FHD(full high definition:フルハイビジョン)であり、解像度1920×1080ピクセルである。
LCDパネル112の画素(ピクセル)116の配列ピッチP1は、画面上下方向及び画面左右方向においていずれも484.5μmであり、1つのドット(サブピクセル)の画面左右方向における配列ピッチは、161.5μmであり、画素の開口率(Aperture Ratio)は、90%である。
【0032】
レンチキュラーレンズシート13の単位レンズ131は、曲率半径Rが807.5μm、屈折率が1.55であり、配列ピッチP1が969μmである。また、レンチキュラーレンズシート13のレンズ基材層132は、屈折率が1.58であり、厚さが100μmであり、ガラス基板134は、屈折率が1.5168(ただし、測定波長λ=589.3nm)のガラス製(BK−7)であり、その厚さが1mmである。
また、このレンチキュラーレンズシート13は、表示装置部11が表示する2つの視差映像(左眼用映像、右眼用映像)の光の主たる出射角度方向を、画面左右方向において正面方向を0°とし、正面方向に対しての右眼用映像の光は観察者Oの右側へ5°を主たるピークとし、左眼用映像の光は観察者Oの左側へ5°を主たるピークとして出射するように設計されている。
【0033】
また、実施例の3次元映像表示装置10は、光制御シート12を表示装置部11とレンチキュラーレンズシート13との間に備えている。
この光制御シート12の基材層121は、厚さd1が100μmのPET樹脂製のシート状の部材である。また、光制御シート12は、光透過部122の高さd2が190μmであり、光吸収部123の高さhが170μmであり、光吸収部123の配列ピッチP2が60μmであり、光吸収部123の底辺の幅wが28μmである(図2参照)。また、光透過部122及び光吸収部123は、屈折率がともに1.55である。また、この光制御シート12のカットオフ角度は、画面左右方向において、約±30°(ただし、屈折率1.0中)となっている。
【0034】
表示装置部11から出射する光は比較的広く広がる拡散光である。そのため、図3に(b)に示すように、比較例の3次元映像表示装置10Bでは、ある画素116bから出射した光(L3、L4)は、光L3のように、その画素116bに対応する単位レンズ131bから主として出射するが、一方で、光L4のように、画素116bに対応する単位レンズ131b以外の単位レンズ131c(他の画素に対応する単位レンズ131)にもその画素116bからの光が到達し、その単位レンズ131cから出射している。このような光L4は、所望する方向から大きくそれた方向へ出射する迷光となり、ゴーストを生じさせる。また、これらの光L4は、3次元映像を観察可能とするための所定の方向から大きく逸れた方向から観察者Oへ到達してクロストーク等を生じさせ、一部が2次元映像として視認される等の3次元映像としての質の低下を招くおそれがある。
光の出射強度分布を確認すると、図4に示すように、比較例の3次元映像表示装置10Bでは、主として約−5°方向にピークを有してはいるが、約+35°付近まで比較的強度の強い光が広がって出射している。そのため、比較例の3次元映像表示装置10Bでは、ゴースト等の表示不良が生じる虞がある。
【0035】
これに対して、実施例の3次元映像表示装置10では、図3(a)に示すように、ある画素116aから出射した光は、光L1のように、その画素116aに対応する単位レンズ131aから主として出射している。また、この画素116aから出射し、他の画素に対応する単位レンズ131cの方向へ向かう光L2は、その多くが光制御シート12の光吸収部123へ入射して吸収される。従って、ゴースト等のような3次元映像の画質の低下を招く光が極力低減される。
光の出射強度分布を確認すると、図4に示すように、実施例の3次元映像表示装置10では、主として−5°方向にピークを有しており、位置部の光が+10°前後まで光は広がっているがそれよりプラス側(観察者Oの右側)へ出射する光が、大幅に低減されている。
【0036】
従って、本実施形態によれば、ゴースト等の表示不良を低減でき、良好な3次元映像を表示できる。また、各種の表示装置部11の特性やこの3次元映像表示装置10の使用環境等に応じて、この光制御シート12の光吸収部123の形状や配列ピッチ、屈折率等は適宜変更可能であり、各種条件に合わせて設計可能であり、より容易に良好な3次元映像を表示可能である。
【0037】
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
(1)本実施形態において、光制御シート12は、光透過部122の断面形状が表示装置部11側の幅が観察者O側の幅よりも狭い略台形形状である例を示したが、これに限らず、以下のような形態としてもよい。
図5は、変形形態の光制御シートを示す図である。
図5(a)に示す変形例の光制御シート22のように、光透過部222の断面形状が出射側(観察者O側)の幅が、入射側(表示装置部11側)の幅よりも狭い略台形形状としてもよい。この場合、光透過部222及び光吸収部223は、基材層121の出射側(観察者O側)に形成される。
また、図5(b)に示す変形例の光制御シート32のように、光透過部322の断面形状が略矩形形状又は略正方形形状であるとしてもよい。このとき、光吸収部323の断面形状は略矩形形状となっている。
さらに、図示しないが光透過部122及び光吸収部123は、一部が曲線からなる形状としてもよいし、一部の斜面が2つ以上の曲面又は平面からなる形状としてもよい。
光吸収部123及び光透過部122のこれらの形状は、表示装置部11の光学特性や使用環境等に応じて、適宜選択して適用してよい。
【0038】
(2)本実施形態において、光吸収部123と光透過部122とは屈折率が等しく、屈折率差がない例を示したが、これに限らず、例えば、光吸収部123の屈折率が光透過部122の屈折率よりも僅かに小さい形態とした場合には、一部の光を光吸収部123と光透過部122との界面で全反射して所定の画素116に対応する単位レンズ131へ入射させることができる。これにより、映像の正面輝度を上げることができる。また、光吸収部123の屈折率が光透過部122の屈折率よりもやや大きい形態とした場合には、光透過部122と光吸収部123との界面で、映像光が全反射することを抑えることができ、ゴースト低減効果を高めることができる。光吸収部123と光透過部122との屈折率差に関しては、表示装置部11の光学性能や使用環境等の各種条件に応じて適宜設計してよい。
【0039】
(3)本実施形態において、レンチキュラーレンズシート13は、レンズ基材層132に接合層133を介してガラス基板134が接合される例を示したが、これに限らず、レンズ基材層132の厚さを十分に厚くすること等により、ガラス基板134及び接合層133を備えない形態としてもよい。
また、本実施形態において、単位レンズ131は、レンズ基材層132の片面に紫外線硬化型樹脂により形成される例を示したが、これに限らず、例えば、熱可塑性樹脂を用いて押出成形によりレンズ基材層132と単位レンズ131とを一体に成形してもよい。
さらに、本実施形態において、単位レンズ131は、画面左右方向に配列され、単位レンズ131の長手方向が画面上下方向に延在する例を示したが、これに限らず、例えば、単位レンズの長手方向が画面上下方向に対して角度α(ただし、0°<α<90°)をなす方向に延在するように、画面左右方向に対して角度αをなす方向に平行に配列する形態としてもよい。このように配列することによって、画面左右方向における解像度の低下を低減することができる。
【0040】
(4)本実施形態において、表示装置部11は、LCDパネル112を備える液晶透過型表示装置である例を示したが、これに限らず、例えば、PDPや、OLEDパネル等を用いる表示装置としてもよい。PDPやOLEDパネルのように画素が自発光する表示装置部を用いることにより、映像の明るさをより向上させることができる。
【0041】
(5)本実施形態において、LCDパネル112は、2つの視差映像を表示する例を示したが、これに限らず、例えば、より多い数の視差映像を表示する形態としてもよい。
また、本実施形態において、視差映像の光の出射方向のピークを+5°、−5°とする例を示したが、これに限らず、例えば、光の出射方向のピークは、使用環境や表示装置部11の特性等応じて適宜設定してよく、それに合わせた単位レンズ131の設計とすることができる。
【0042】
(6)本実施形態において、3つ(R,G,B)のドット(サブピクセル)が画面左右方向に並んで(ストライプ配列)1画素(ピクセル)116を形成する例を示したが、1画素116中の3つのドットの配列方向は画面上下方向でもよいし、3つのドットがデルタ配列される形態等としてもよい。
また、本実施形態において、1つの画素を形成するドットは、3つ(R,G,B)である例を示したが、これに限らず、例えば、4つ以上としてもよい。
【0043】
(7)本実施形態において、レンチキュラーレンズシート13の表面に、ハードコート処理や、反射防止処理等を適宜施してもよい。反射防止処理は、WET方式やDRY方式等の処理によるものや、モスアイ型の微小形状を形成する方式等、適宜選択して用いることができる。反射防止処理をレンズシートの表面に施す事により、光の透過率を高め、より明るい映像の表示を行うことができる。また、ハードコート処理を行うことにより、単位レンズ131の表面が傷つくことを低減できる。
【0044】
(8)本実施形態において、レンチキュラーレンズシート13を用いる例を示したが、これに限らず、例えば、マイクロレンズアレイ(ハエの目レンズ)シート等を用いてもよい。この場合も、画面左右方向におけるレンズの配列ピッチが、光制御シート12の光吸収部123の配列ピッチと同等又は大きいことが好ましい。
【0045】
(9)本実施形態において、単位レンズ131は、略円柱形状の一部形状である例を示したが、これに限らず、例えば、長軸がシート面に直交する略楕円柱形状の一部形状としてもよい。
【0046】
(10)本実施形態では、光制御シート12は、レンチキュラーレンズシート13と表示装置部11との間に配置される例を示したが、これに限らず、例えば、光制御シート12を、レンチキュラーレンズシート13より観察者側に(即ち、3次元映像表示装置において最も観察者側)に配置してもよいし、LCDパネル112と面光源部111との間に配置してもよい。
【0047】
なお、本実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0048】
10 3次元映像表示装置
11 表示装置部
111 面光源部
112 LCDパネル
12 光制御シート
121 基材層
122 光透過部
123 光吸収部
13 レンチキュラーレンズシート
131 単位レンズ
132 レンズ基材層
133 接合層
134 ガラス基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
視差を有する複数の映像を同時に表示可能であり、前記視差を有する複数の映像をそれぞれ表示する複数の表示画素が1組となり、この表示画素の組がマトリクス状に配置された表示パネルを有する表示装置部と、
前記表示パネルの映像光の出射側に設けられ、略円柱形状の一部形状又は略楕円柱形状の一部形状である単位レンズが出射側の面に複数配列され、前記視差を有する複数の映像の映像光を所定の方向へそれぞれ出射させるレンチキュラーレンズシートと、
前記レンチキュラーレンズシートと前記表示パネルとの間に配置され、光透過部と光吸収部とが、前記単位レンズの配列方向に沿って交互に配列されている光制御シートと、
を備える3次元映像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の3次元映像表示装置において、
前記単位レンズの配列ピッチP1と、前記光吸収部の配列ピッチP2とは、
P2≦P1
という関係を満たすこと、
を特徴とする3次元映像表示装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の3次元映像表示装置において、
前記光吸収部は、その配列方向に平行であって前記光制御シートの厚み方向に平行な断面における断面形状が表示パネル側を底辺とする略楔形形状又は略矩形形状であること、
を特徴とする3次元映像表示装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の3次元映像表示装置において、
前記表示画素の組は、該3次元映像表示装置の使用状態における画面左右方向及び画面上下方向に配列されており、
前記表示画素の組における複数の前記表示画素は、前記単位レンズの配列方向に沿って配列されていること、
を特徴とする3次元映像表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の3次元映像表示装置において、
前記単位レンズの配列方向は、該3次元映像表示装置の使用状態における画面左右方向であること、
を特徴とする3次元映像表示装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の3次元映像表示装置において、
前記表示装置部は、前記表示パネルである透過型液晶表示部と、前記透過型液晶表示部を背面から照明する面光源装置部とを備えること、
を特徴とする3次元映像表示装置。
【請求項1】
視差を有する複数の映像を同時に表示可能であり、前記視差を有する複数の映像をそれぞれ表示する複数の表示画素が1組となり、この表示画素の組がマトリクス状に配置された表示パネルを有する表示装置部と、
前記表示パネルの映像光の出射側に設けられ、略円柱形状の一部形状又は略楕円柱形状の一部形状である単位レンズが出射側の面に複数配列され、前記視差を有する複数の映像の映像光を所定の方向へそれぞれ出射させるレンチキュラーレンズシートと、
前記レンチキュラーレンズシートと前記表示パネルとの間に配置され、光透過部と光吸収部とが、前記単位レンズの配列方向に沿って交互に配列されている光制御シートと、
を備える3次元映像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の3次元映像表示装置において、
前記単位レンズの配列ピッチP1と、前記光吸収部の配列ピッチP2とは、
P2≦P1
という関係を満たすこと、
を特徴とする3次元映像表示装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の3次元映像表示装置において、
前記光吸収部は、その配列方向に平行であって前記光制御シートの厚み方向に平行な断面における断面形状が表示パネル側を底辺とする略楔形形状又は略矩形形状であること、
を特徴とする3次元映像表示装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の3次元映像表示装置において、
前記表示画素の組は、該3次元映像表示装置の使用状態における画面左右方向及び画面上下方向に配列されており、
前記表示画素の組における複数の前記表示画素は、前記単位レンズの配列方向に沿って配列されていること、
を特徴とする3次元映像表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の3次元映像表示装置において、
前記単位レンズの配列方向は、該3次元映像表示装置の使用状態における画面左右方向であること、
を特徴とする3次元映像表示装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の3次元映像表示装置において、
前記表示装置部は、前記表示パネルである透過型液晶表示部と、前記透過型液晶表示部を背面から照明する面光源装置部とを備えること、
を特徴とする3次元映像表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2012−93631(P2012−93631A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−242312(P2010−242312)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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