説明

3次元磁気方位センサおよびマグネト・インピーダンス・センサ素子

3次元磁気方位センサ10aは、外部磁界に応じて特性が変化する感磁体2と、該感磁体2を貫通させるように形成された絶縁体4と、該絶縁体4の外表面に隣接して配設された箔状の導電パターン31、32よりなる電磁コイル3とを有するマグネト・インピーダンス・センサ素子10である第1センサ101、第2センサ102及び第3センサ103を含むものである。第1センサ101、第2センサ102及び第3センサ103は、各感磁体2の磁界検出感度が最大となる方向が相互に直交するように配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子コンパスに適用可能な3次元磁気方位センサおよびマグネト・インピーダンス・センサ素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、感磁体としてのアモルファスワイヤを保持した個片素子を、検出コイルおよび負帰還コイルを巻回した管状ボビンに内挿した磁気センサがある(例えば、特許文献1参照。)。上記個片素子は、例えば、基板の長手方向の両端に配設した電極間にアモルファスワイヤを配設し、全体をゲル状物質で覆ったものである。
さらに、このように構成された磁気センサを、2組あるいは3組有する磁気方位センサがある。この磁気方位センサでは、各アモルファスワイヤの軸方向が相互に略直交するよう、各磁気センサを配置してある(例えば、特許文献2参照。)
【0003】
【特許文献1】特開2001−296127号公報
【特許文献2】特開平11−64473号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の磁気センサでは、次のような問題がある。この上記磁気センサでは、基板上にアモルファスワイヤを配置した上記個片素子を用い、これを、管状ボビンに内挿、配置する構造を採用している。そのため、部品数および製造工程数が多く、製造および組み立てが複雑で、センサの小型化およびコストダウンに適さないという問題があった。
【0005】
また、上記のように構成された磁気センサを3組配設した上記従来の磁気方位センサでは、次のような問題がある。上記のように小型化及びコストダウンが十分でない上記磁気センサを3組配設した磁気方位センサは、その体格が一層大型化すると共に、そのコストが高くなるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、外部磁界に応じて特性が変化する感磁体と、該感磁体を貫通させるように形成した絶縁体と、該絶縁体の外表面に隣接する箔状の導電パターンよりなる電磁コイルとを有するマグネト・インピーダンス・センサ素子よりなる第1センサ、第2センサ及び第3センサを含み、
上記第1センサ、上記第2センサ及び上記第3センサは、上記各感磁体の磁界検出感度が最大となる方向が相互に略直交するように配設されていることを特徴とする3次元磁気方位センサにある。
【0007】
上記第1の発明の3次元磁気方位センサは、外部磁界に応じて特性が変化する感磁体と、該感磁体を貫通させるように形成された絶縁体と、該絶縁体の外表面に隣接して配設された箔状の導電パターンよりなる電磁コイルとを有するマグネト・インピーダンス・センサ素子よりなる第1センサ、第2センサ及び第3センサを利用して構成したものである。そして、この3次元磁気方位センサでは、上記各感磁体の磁気感度が最大となる方向が相互に略直交するように上記各センサを配設してある。
【0008】
ここで、上記各センサにおける電磁コイルは、箔状の導電パターンよりなるものである。箔状の導電パターンよりなる電磁コイルは、例えば、金属蒸着による方法や、金属薄膜をエッチングして選択的に除去する方法や、導電性インクを塗布する方法等により極めて効率良く、小型に形成することができる。そのため、上記各センサは、小型かつ低コストに形成できる。さらに、上記のように導電パターンにより電磁コイルを形成すれば、その形成精度を高めることで特性のばらつきを抑制でき、高精度のセンサを実現できる。
【0009】
そして、上記3次元磁気方位センサは、上記各感磁体の磁気感度が最大となる方向が相互に略直交するように上記各センサを配設したものである。そのため、優れた品質の上記各センサを利用した上記3次元磁気方位センサは、小型かつ低コストであって高精度の優れた製品となる。
【0010】
以上のように、上記第1の発明の3次元磁気方位センサは、製造および組み立てが容易であると共に小型化を実現したものである。そして、この3次元磁気方位センサによれば、その姿勢に関係無く、精度の高い方位検出が可能である。
【0011】
第2の発明は、外部磁界に応じて特性が変化する感磁体の外周に電磁コイルを巻回してなるマグネト・インピーダンス・センサ素子であって、
上記感磁体を保持するセンサ基板と、該感磁体を貫通させるように形成された絶縁体と、該絶縁体の外表面に隣接して配設された箔状の導電パターンよりなる電磁コイルとを有し、
上記センサ基板は、その外表面のうちの上記感磁体の軸方向に略直交する面に、上記電磁コイル及び上記感磁体からそれぞれ延設された電極を有することを特徴とするマグネト・インピーダンス・センサ素子にある。
【0012】
上記第2の発明のマグネト・インピーダンス・センサ素子における上記基板は、その外表面のうちの上記感磁体の軸方向に略直交する面に、上記電磁コイル及び上記感磁体からそれぞれ延設された電極を有している。そのため、例えば、上記マグネト・インピーダンス・センサ素子を電子回路基板等に実装するに当たって、電子回路基板等の厚さ方向に沿って上記感磁体の軸方向を設定するような場合に好適である。すなわち、上記マグネト・インピーダンス・センサ素子における電極配設した面を、上記電子回路基板等の実装表面と同じ方向に向けることができるため、リード線等を用いた接続作業を容易に実施し得る。
さらに、このマグネト・インピーダンス・センサ素子は、2次元プロセスにより作製することができる。それ故、高コストな3次元プロセスを不要にして、コストダウンが可能である。
【0013】
さらに、上記マグネト・インピーダンス・センサ素子は、上記感磁体を貫通させるように形成された絶縁体の外表面に隣接して配設された箔状の導電パターンよりなる電磁コイルを有するものである。該電磁コイルを形成する上記導電パターンは、例えば、金属蒸着による方法や、金属薄膜をエッチングして選択的に除去する方法や、導電性インクを塗布する方法等により極めて効率良く、小型、高精度に形成することができる。そのため、上記マグネト・インピーダンス・センサ素子は、小型、高精度かつ低コストのものとなる。
【0014】
以上のように、上記第2の発明のマグネト・インピーダンス・センサ素子は、小型、構成度かつ低コストのものであって、さらに、マグネト・インピーダンス・センサ素子を実装する電子回路基板等の厚さ方向の磁気センシングのためのデバイスとして好適なものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
[図1]実施例1における、MI素子の正面を示す概念図。
[図2]実施例1における、MI素子を示す図1のA−A線に沿う断面を示す概念図。
[図3]実施例1における、3次元磁気方位センサの全体構成を示す斜視図。
[図4]実施例1における、延在溝内の電磁コイルの配設形態を示す部分斜視図。
[図5A]実施例1における、第1の導電パターンの配設形態を示す部分平面図。
[図5B]実施例1における、第2の導電パターンの配設形態を示す部分平面図。
[図6]実施例1における、延在溝内の電磁コイルの配設形態を示す部分平面図。
[図7]実施例1における、第1及び第2センサを示す斜視図。
[図8]実施例1における、第3センサを示す斜視図。
[図9]実施例1における、第3センサの電極形成を説明するための部分斜視図。
[図10]実施例1における、3次元磁気方位センサの電子回路を示すブロック回路図。
[図11]実施例1における、3次元磁気方位センサが検出したX軸、Y軸出力を示す線図。
[図12]実施例1における、3次元磁気方位センサが検出したX軸、Z軸出力を示す線図。
[図13]実施例1における、3次元磁気方位センサが検出したY軸、Z軸出力を示す線図。
[図14A]実施例1における、その他の3次元磁気方位センサの構成を示す平面図。
[図14B]実施例1における、その他の3次元磁気方位センサの構成を示す平面図。
[図14C]実施例1における、その他の3次元磁気方位センサの構成を示す平面図。
[図14D]実施例1における、その他の3次元磁気方位センサの構成を示す平面図。
[図15]実施例2における、MI素子を利用した磁気センサに作用する外部磁場と出力電圧の関係を示す線図。
[図16]実施例2において比較するボビンタイプのMI素子を示す正面図。
[図17]実施例4における、アモルファスワイヤを貫通させた絶縁体を示す斜視図。
[図18]実施例4における、両端付近の金属薄膜を環状に除去した絶縁体を示す斜視図。
[図19]実施例4における、MI素子を示す斜視図。
[図20]実施例4における、3次元磁気方位センサを示す斜視図。
[図21]実施例4における、第3センサの製造工程を説明する組み合わせ図。
[図22]実施例5における、3次元磁気方位センサその1の全体構成を示す斜視図。
[図23]実施例5における、3次元磁気方位センサその2の全体構成を示す斜視図。
【符号の説明】
【0016】
1 電極配線基板
11 延在溝
100 IC
101 第1センサ
102 第2センサ
103 第3センサ
2 感磁体(アモルファスワイヤ)
3 電磁コイル
31 第1の導電パターン
32 第2の導電パターン
4 絶縁体
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
上記第1及び上記第2の発明の3次元磁気方位センサあるいはマグネト・インピーダンス・センサ素子における上記感磁体としては、例えば、直径50μm以下のアモルファスワイヤを用いることができる。この場合には、上記電磁コイルの断面積を小さく形成でき、上記マグネト・インピーダンス・センサ素子を小型に構成することができる。さらに好ましくは、直径30μm以下のアモルファスワイヤを用いることができる。さらにまた、感磁体の材質としては、FeCoSiB、NiFe等を採用することができる。
【0018】
また、上記マグネト・インピーダンス・センサ素子は、上記感磁体に通電する電流の変化に応じて電磁コイルに誘起電圧が生じる、いわゆるMI現象を利用して磁気センシングを行うものである。このMI現象は、供給する電流方向に対して周回方向に電子スピン配列を有する磁性材料からなる感磁体について生じるものである。この感磁体の通電電流を急激に変化させると、周回方向の磁界が急激に変化し、その磁界変化の作用によって周辺磁界に応じて電子のスピン方向の変化が生じる。そして、その際の感磁体の内部磁化及びインピーダンス等の変化が生じる現象が上記のMI現象である。
【0019】
そして、マグネト・インピーダンス・センサ素子とは、供給する電流方向に対して周回方向に電子スピン配列を有する磁性材料からなる感磁体を利用したものである。この感磁体の通電電流を急激に変化させると、周回方向の磁界が急激に変化し、その磁界変化の作用によって周辺磁界に応じて電子のスピン方向の変化が生じる。そして、その際の感磁体の内部磁化及びインピーダンス等の変化を感磁体に生じる電圧もしくは電流又は、感磁体の外周に配置した電磁コイルの両端に発生する電圧もしくは電流等に変換するよう構成した素子がマグネト・インピーダンス・センサ素子である。
【0020】
また、上記マグネト・インピーダンス・センサ素子は、上記感磁体に通電する電流を10ナノ秒以下で立ち上げたとき、或いは、立ち下げたときに、上記電磁コイルの両端に発生する誘起電圧の大きさを計測することで作用する磁界強度を計測し得るように構成するのが好ましい。
この場合には、上記のような急激な通電電流の変化により、上記感磁体について、電子スピン変化の伝播速度に近い速度に見合う周回方向の磁場変化を生じさせることができ、それにより十分なMI現象を発現させることができる。
【0021】
10ナノ秒以下で通電電流の立ち上げあるいは立ち下げを実施すれば、およそ0.1GHzの高周波成分を含む電流変化を上記感磁体に作用することができる。そして、上記電磁コイルの両端に発生する誘起電圧を計測すれば、周辺磁界に応じて上記感磁体に生じる内部磁界変化を、上記誘起電圧の大きさとして計測でき、さらに精度良く周辺磁界の強度を計測することができる。ここで、通電電流の立ち上げ或いは立ち下げとは、例えば、上記磁気インピーダンス素子に通電する電流の電流値を、定常電流値の10%以下(90%以上)から90%以上(10%以下)に変化させることをいう。
【0022】
また、上記マグネト・インピーダンス・センサ素子は、上記感磁体に通電する電流を立ち下げたときに上記電磁コイルの両端に発生する誘起電圧を計測するように構成されていることが好ましい。
通電電流を立ち上げる場合に比べて、通電電流を急激に立ち下げる場合は、磁界の強さに対して上記磁気検出ヘッドの計測信号の直線性が良好になる。
【0023】
上記第1の発明の3次元磁気方位センサにおいては、上記第1センサ、上記第2センサ及び上記第3センサは、凹溝状の延在溝を設けた電極配線基板と、上記延在溝の溝方向と交差するように該延在溝の内周面に配設されていると共に上記電極配線基板の表面に両端部が延設された第1の導電パターンと、上記感磁体としてのアモルファスワイヤを貫通させた状態で上記延在溝に収容された上記絶縁体と、上記延在溝を跨ぐように上記絶縁体の外表面に配設された第2の導電パターンとを有しており、
上記電磁コイルは、上記第1の導電パターンよりなる一方のコイル部と、隣り合う上記第1の導電パターンの端部を電気的に接続する上記第2の導電パターンよりなる他方のコイル部とを組み合わせて構成することができる。
【0024】
この場合には、上記延在溝の内周面に配設した上記第1の導電パターンよりなる上記一方のコイル部と、上記絶縁体の外表面に配設した上記第2の導電パターンよりなる上記他方のコイル部とを組み合わせることで、上記電磁コイルを極めて小型に形成することができる。そしてそれ故、上記各センサは、小型のものとなり、これを用いた上記3次元磁気方位センサは、小型であって搭載性に優れたものとなる。
【0025】
上記延在溝の内周面や、上記絶縁体の外表面の上記導電パターンは、例えば、金属蒸着やエッチング処理等により極めて効率良く、かつ、精度良く形成することができる。それ故、上記3次元磁気方位センサは、生産効率良く製造でき、かつ、高精度の優れた品質を有するものとなる。
【0026】
また、上記3次元磁気方位センサは、4面の側壁面を備えた略矩形状をなし、その内部に電子回路を形成したICを有し、上記第1センサ、上記第2センサ及び上記第3センサを上記ICに配設してなり、
上記第3センサは、上記延在溝の溝方向が、上記ICの厚さ方向に略一致するように上記側壁面のいずれかに配設することができる。
【0027】
延在溝の溝方向が上記ICの厚さ方向に略一致するよう、上記側壁面のいずれかに上記第3センサを配設する場合には、上記厚さ方向の磁界成分を計測するための第3センサを効率良く配置することができる。一方、上記第1及び上記第2センサについては、上記ICの表面や、上記側壁面等に取り付けることができる。第1及び第2センサは、ICの表面に沿って延在溝を有するものであるため、ICに配置する際の自由度が上記第3センサと比べて高くなっている。
【0028】
また、上記第1センサ及び上記第2センサは、上記ICの互いに直交する2面の上記側壁面にそれぞれ配設してあり、上記各センサの上記延在溝の溝方向が、それぞれ、他方の上記センサを配設した上記側壁面と略直交していることが好ましい。
直交する2面の側壁面に対して、それぞれ、延在溝の溝方向が他方の側壁面と略直交するように上記第1及び上記第2センサを配設する場合には、ICに略平行な面内における直交する2方向の磁界成分の検出が可能となる。さらに、例えば、上記第1及び上記第2センサとして同一のセンサを使用すれば、部品の種類を減らすことができる。
【0029】
また、上記第3センサは、上記ICの表面が面する側を向く表面に電極を形成してなり、かつ、この電極が、上記ICの表面に配設された電極とリード線を介して電気的に接続されていることが好ましい。
この場合には、第3センサにおける電極の配設面と、上記ICにおける電極を設けた表面とが、略同一方向を向くため、上記リード線を接続する作業を容易に実施することができる。
【0030】
また、上記第3センサは、上記ICの表面が面する側を向く表面に電極を形成してなり、かつ、この電極が、上記ICの表面に配設された電極とリード線を介して電気的に接続されており、
上記第1センサ及び上記第2センサは、上記ICの表面が面する側を向く表面に電極を形成してなり、かつ、この電極が、上記ICの表面に配設された電極とリード線を介して電気的に接続されていることが好ましい。
【0031】
この場合には、第1〜第3センサにおける電極の配設面と、上記ICにおける電極を設けた表面とが、略同一方向を向くため、上記リード線を接続する作業を容易に実施することができる。
【0032】
また、上記3次元磁気方位センサは、縦3mm以内であって、かつ、横3mm以内であって、かつ、高さ1.5mm以内とすることができる。
上記3次元磁気方位センサを上記のように小型に構成した場合には、例えば、携帯電話やPDA等の携帯端末機器に対して上記3次元磁気方位センサを適用し易くなる。なお、上記3次元磁気方位センサが、縦2.5mm以内であって、かつ、横2.5mm以内であって、かつ、高さ1mm以内である場合には、携帯端末機器への搭載がさらに容易となる。
【0033】
また、上記3次元磁気方位センサは、電子回路を形成してなるICと、該ICを実装する共通基板とを有し、上記第1センサ、上記第2センサ及び上記第3センサを上記共通基板に配設してなり、
上記第3センサは、上記延在溝の溝方向が上記共通基板の厚さ方向に略一致するように配設されているのが良い。
この場合には、上記共通基板を利用して、上記ICと共に、上記各センサを効率良く配置することができる。
【0034】
また、上記第1センサ、上記第2センサ及び上記第3センサでは、上記感磁体としてのアモルファスワイヤあるいは磁気異方性薄膜の外周に上記絶縁体を形成してあり、上記電磁コイルが、上記絶縁体の外周面に配設した上記導電パターンよりなるのが良い。
この場合には、上記感磁体を貫通、収容した上記絶縁体の外周面に、上記導電パターンを形成することで、極めて効率良く、精度の高い電磁コイルを形成することができる。また、上記絶縁体の外周面の導電パターンよりなる電磁コイルによれば、上記各センサを非常に小型に構成することができる。そして、このように構成した各センサを用いて3次元磁気方位センサを構成すれば、小型かつ高精度であって、生産効率が良好で低コストの優れた製品を実現することができる。
【0035】
また、上記3次元磁気方位センサは、4面の側壁面を備えた略矩形状をなし、その内部に電子回路を形成したICを有し、上記第1センサ、上記第2センサ及び上記第3センサを上記ICに配設してなり、
上記第3センサは、上記ICの表面と略直交する状態で上記側壁面のいずれかに配設されたドータ基板に表面実装されており、かつ、上記感磁体における磁界検出感度が最大となる方向が上記ICの厚さ方向に略一致しているのが良い。
磁界検出感度の方向を上記ICの厚さ方向に略一致させて上記第3センサを配設する場合には、該第3センサを用いて上記厚さ方向の磁界成分を計測することができる。なお、一般に、上記各センサは、上記感磁体の長手方向に上記磁界検出感度が最大となる方向を有している。さらに、上記ドータ基板は、ICの表面に立設することもできる。
【0036】
また、上記第1センサ及び上記第2センサは、上記ICの表面に配設することができる。
上記ICの表面に上記第1センサ及び上記第2センサを配設すれば、上記3次元磁気方位センサ全体の体格をさらに小型化させることができる。
【0037】
また、上記第3センサは、上記ドータ基板の実装表面に対面する電極を有し、かつ、この電極が、上記ドータ基板の電極と当接する状態で表面実装することができる。
この場合には、上記ドータ基板と上記第3センサとの電気的に接続を確実性高く実現することができる。
【0038】
また、上記第3センサは、上記ドータ基板の実装表面に対面する電極を有しており、かつ、この電極が、上記ドータ基板の電極と当接する状態で表面実装されており、
上記第1センサ及び上記第2センサは、上記ICの表面に対面する電極を有し、かつ、この電極が、上記ICの電極と当接する状態で配設することができる。
この場合には、上記ICに対して、上記各センサを効率良く配置して、小型の3次元磁気方位センサを実現することができる。
【0039】
また、上記3次元磁気方位センサは、縦3mm以内であって、かつ、横3mm以内であって、かつ、高さ1.5mm以内とすることができる。
上記3次元磁気方位センサを上記のように小型に構成した場合には、例えば、携帯電話やPDA等の携帯端末機器に対して上記3次元磁気方位センサを適用し易くなる。なお、上記3次元磁気方位センサが、縦2.5mm以内であって、かつ、横2.5mm以内であって、かつ、高さ1mm以内である場合には、携帯端末機器への搭載がさらに容易となる。
【0040】
また、上記3次元磁気方位センサは、電子回路を形成してなるICと、該ICを実装する共通基板とを有し、上記第1センサ、上記第2センサ及び上記第3センサを上記共通基板に配設してなり、
上記第3センサは、上記感磁体における磁界検出感度が最大となる方向が上記共通基板の厚さ方向に略一致するように配設するのが良い。
この場合には、上記共通基板を利用して、上記ICと共に、上記各センサを効率良く配置することができる。
【0041】
上記第2の発明においては、上記マグネト・インピーダンス・センサ素子は、凹溝状の延在溝を設けた上記センサ基板としての電極配線基板と、上記延在溝の溝方向と略直交するように該延在溝の内周面に配設されていると共に上記電極配線基板の表面に両端部が延設された第1の導電パターンと、上記感磁体としてのアモルファスワイヤを貫通させた状態で上記延在溝に収容された上記絶縁体と、上記延在溝を跨ぐように上記絶縁体の外表面に配設した第2の導電パターンとを有し、
上記電磁コイルは、上記第1の導電パターンよりなる一方のコイル部と、隣り合う上記第1の導電パターンの端部を電気的に接続する上記第2の導電パターンよりなる他方のコイル部とを組み合わせて構成することができる。
【0042】
この場合には、上記延在溝の内周面に配設した上記第1の導電パターンよりなる上記一方のコイル部と、上記絶縁体の外表面に配設した上記第2の導電パターンよりなる上記他方のコイル部とを組み合わせることで、上記電磁コイルを極めて小型に形成することができる。そしてそれ故、上記マグネト・インピーダンス・センサ素子は、小型のものとなり、搭載性に優れたものとなる。また、上記延在溝の内周面や、上記絶縁体の外表面の上記導電パターンは、例えば、金属蒸着やエッチング処理等により極めて効率良く、かつ、精度良く形成することができる。それ故、上記マグネト・インピーダンス・センサ素子は、生産効率良く製造でき、かつ、高精度の優れた品質を有するものとなる。
【0043】
また、上記マグネト・インピーダンス・センサ素子は、上記感磁体としてのアモルファスワイヤあるいは磁気異方性薄膜の外周を被う絶縁体と、該絶縁体の外周面に配設した上記導電パターンよりなる上記電磁コイルと、上記感磁体を収容した上記絶縁体を配設する上記センサ基板としてのドータ基板とから構成することができる。
【0044】
この場合には、上記感磁体の外周に形成した上記絶縁体の外周面に、上記導電パターンを形成することで、極めて効率良く、精度の高い電磁コイルを形成することができる。また、上記絶縁体の外周面に導電パターンを配設して電磁コイルを形成すれば、非常に小型のマグネト・インピーダンス・センサ素子を実現することができる。
なお、電磁コイルをなす上記導電パターンを上記絶縁体の外周面に形成する方法としては、金属蒸着による方法や、蒸着した金属薄膜をエッチングにより除去する方法や、導電性インクを塗布する方法などがある。なお、上記絶縁体としては、エポキシ樹脂、シリコーン等のうちの少なくともいずれかよりなるものを適用することができる。
【実施例】
【0045】
[実施例1]
本例は、電磁コイル付のマグネト・インピーダンス・センサ素子10を利用した3次元磁気方位センサ10aに関する例である。この内容について、図1〜図14を用いて説明する。
本例の3次元磁気方位センサ10aは、図1〜図3に示すごとく、外部磁界に応じて特性が変化する感磁体2と、該感磁体2を貫通させるように形成された絶縁体4と、該絶縁体4の外表面に隣接して配設された箔状の導電パターン31、32よりなる電磁コイル3とを有するマグネト・インピーダンス・センサ素子10よりなる第1センサ101、第2センサ102及び第3センサ103を含むものである。
ここで、第1センサ101、第2センサ102及び第3センサ103は、各感磁体2の磁界検出感度が最大となる方向が相互に略直交するように配設されている。
以下に、この内容について詳しく説明する。
【0046】
上記第1センサ101、上記第2センサ102及び上記第3センサ103をなすマグネト・インピーダンス・センサ素子10は、図1及び図2に示すごとく、凹溝状の延在溝11を延設した電極配線基板1と、延在溝11の溝方向と略直交するように該延在溝11の内周面に配設されていると共に電極配線基板1の表面に両端部が延設された第1の導電パターン31と、上記感磁体2としてのアモルファスワイヤ(以下、適宜アモルファスワイヤ2と記載する。)を貫通した状態で延在溝11に収容された絶縁体4と、延在溝11を跨ぐように絶縁体4の外表面に配設した第2の導電パターン32とを有している。
本例の電磁コイル3は、第1の導電パターン31よりなる一方のコイル部と、隣り合う第1の導電パターン31の端部を電気的に接続する第2の導電パターン32よりなる他方のコイル部とを組み合わせたものである。
【0047】
そして、本例の3次元磁気方位センサ10aは、図3に示すごとく、IC100のX方向にアモルファスワイヤ2が沿うように第1センサ101を配設し、IC100のY方向にアモルファスワイヤ2が沿うように第2センサ102を配設し、IC100のZ方向にアモルファスワイヤ2が沿うように第3センサ103を配設したものである。
【0048】
まず、上記各センサ101〜103をなす電磁コイル付のマグネト・インピーダンス・センサ素子10(以下、MI素子10と記載する。)について、最初に説明する。
このMI素子10は、図1および図2に示すごとく、延在溝11を設けた電極配線基板1と、作用する磁界により特性が変化するアモルファスワイヤ2と、絶縁体4を介してアモルファスワイヤ2の外周に巻回した電磁コイル3と、アモルファスワイヤ2、電磁コイル3から延設された端子である電極52、51とを有している。
【0049】
上記アモルファスワイヤ2は、直径20μmの導電性の磁性ワイヤである。そして、本例のMI素子10では、図1及び図2に示すごとく、電極配線基板1に形成した深さ50μm、幅70μmの延在溝11内に、その溝方向に沿ってアモルファスワイヤ2を収容してある。そして、アモルファスワイヤ2を収容した延在溝11内には、エポキシ樹脂よりなる絶縁体4を充填してある。
【0050】
上記電磁コイル3は、上記のように、延在溝11の内周面111に配設した導電パターン31よりなる上記一方のコイル部と、電極配線基板1の表面に沿って延在溝11を跨ぐように絶縁体4の外表面に配設した導電パターン32よりなる上記他方のコイル部とを組み合わせて、全体としてら旋状の電気的な経路を形成したものである。なお、本例では、導電パターン31は、図4〜図6に示すごとく、延在溝11の溝方向と略直交して形成してある。導電パターン32は、延在溝11の幅方向に対して斜めに形成し、隣り合う導電パターン31の端部を電気的に接続している。なお、これに代えて、導電パターン32を延在溝11の幅方向に配設すると共に、導電パターン31を幅方向に対して斜めに形成することもできる。
【0051】
ここで、延在溝11の内周面111に配設した導電パターン31の形成方法について、図4〜図6を用いて説明する。本例では、まず、電極配線基板1の長手方向に形成された延在溝11の内周面111の全面および電極配線基板1の表面における延在溝11の近傍領域に導電性の金属薄膜を蒸着した。その後、選択エッチング手法を用いて金属薄膜の一部を選択的に除去することにより、垂直パターン311、水平パターン312よりなる上記の導電パターン31を形成した。延在溝11の溝側面113において上下方向垂直に垂直パターン311を形成すると共に、延在溝11の溝底面110では、相互に対面する垂直パターン311を接続する水平パターン312を形成した。
【0052】
次に、延在溝11の上面112、すなわち絶縁体4の上面41(図2参照。)に上記導電パターン32を形成するに当たっては、まず、延在溝11に絶縁体4を充填した電極配線基板1の表面のうち、延在溝11の上面112及びその近傍領域に導電性の金属薄膜を蒸着した。その後、図4〜図6に示すごとく、選択エッチング手法を用いて、この金属薄膜を除去することにより、隣り合う導電パターン31の端部を接続する導電パターン32を形成した。
なお、図6に示される垂直パターン311および水平パターン312の溝方向の幅は、50μm、10μm等に設定し、上記間隙部の同幅は、それぞれ、その半分の25μm、5μm等に設定することができる。また、これに代えて、各パターン311、312の溝方向の幅を25μmとし、間隙部の同幅を同等の25μmとすることもできる。
【0053】
本例のMI素子10では、アモルファスワイヤ2と電磁コイル3の間には絶縁体4が配置され、この絶縁体4が、アモルファスワイヤ2と電磁コイル3との電気的な絶縁を保持している。特に、本例では、アモルファスワイヤ2を貫通させた絶縁体4の外周に、直接、電磁コイル3を形成してある。
【0054】
本例のMI素子10では、上記のような構成を採用することで、電磁コイル3の内径を200μm以下と、非常に小径にして、MI素子10全体の小型化を実現している。なおここで、アモルファスワイヤ2として、直径1〜150μmのものを採用すれば、電磁コイル3のコイル径をさらに小径化させることができる。
そして、本例では、電磁コイル3の円相当内径(高さと幅で形成される溝断面積と同一面積となる円の直径。)を66μmと、非常に小径に形成してある。
【0055】
図7及び図8に示すごとく、第1センサ101、第2センサ102及び第3センサ103では、それぞれ、上面1011又は上面1021又は側壁面1032に延在溝11を形成し、該延在溝11の溝方向に沿って電磁コイル3を形成してある。そして、電磁コイル3の内周側に形成された断面略矩形状の空間には、絶縁体4を収容してある。そして、該絶縁体4の断面の略中心部分には、感磁体2としてのアモルファスワイヤを溝方向に沿って貫通させてある。
【0056】
各センサ101〜103をなす本例のMI素子10は、電極配線基板1の大きさが0.5mm×0.4mm×1.0mmのものである。アモルファスワイヤ2は、CoFeSiB系合金を使った直径20μm、長さ1mmのものである。そして、延在溝11は、電極配線基板1の長手方向に形成してある。
そして、以上のような構成を採用したことにより、本例では、第1センサ101〜第3センサ103を、それぞれ、0.5mm×0.4mm×1.0mmの大きさで実現している。
【0057】
さらに、同図に示すごとく、各センサ101、102、103では、電極配線基板1の上面1011、1021、1031に電極5を形成してある。この電極5は、電磁コイル3から延設された電極51と、アモルファスワイヤ2から延設された電極52との計4個である。
第1センサ101および第2センサ102の上面1011、1021には、図7に示すごとく、アモルファスワイヤ2の両端から延設された電極52と、電磁コイル3の両端から延設された電極51とを配設してある。なお、本例では、電極52を各センサ101、102の両端付近に設け、電極51は一対の電極52の間に配置した。そして、電極51、52は、それぞれ、リード線6を介して、IC100上に形成された図示しない電極パッドと電気的に接続可能なように構成してある(図3参照。)。
【0058】
第3センサ103では、図8に示すごとく、長手方向の稜線を介して側壁面1032と隣り合う上面1031に、アモルファスワイヤ2の両端から延設された電極52と、電磁コイル3の両端から延設された電極51とを配設してある。これら各電極51、52は、側壁面1032に配設された導電パターンを経由して、アモルファスワイヤ2あるいは電磁コイル3から電気的に延設されたものである。そして、第3センサ103の電極51、52は、それぞれ、リード線を介して、IC100上に形成された図示しない電極パッドと電気的に接続可能なように構成してある(図3参照。)。
【0059】
ここで、第3センサ103の上面1031に電極51、52を形成する方法について図9を用いて説明する。第3センサ103を構成する電極配線基板1の長手方向の両端に所定の幅の溝部1034を形成する(図9においては、代表的に一端のみ図示してある)。第3センサ103では、電磁コイル3あるいは、アモルファスワイヤ2から溝部1034の内壁面すなわち第3センサ103の端面まで延設した電極51、52を形成する。第32センサ103は、溝部1034において切断して切り出したものである。
【0060】
また、第3センサ103では、エッチングその他により、側面1032に延在溝11を作製すると共に接合用のパッド部を作製してある。なお、本例では、フォトリソ工程(半導体技術)を利用して第3センサ103を作製した。
さらに、この第3センサ103をIC100に接合するに当たっては、第3センサ103の側面1032のパッド部をIC100の側壁面1003に当接させて接合する。
【0061】
次に、本例の3次元磁気方位センサ10aは、図3に示すごとく、上記MI素子10よりなる略直方体の各センサ101〜103を上記IC100に取り付けたものである。ここで、第1センサ101は、X方向に沿う磁界成分を計測するためのものであり、第2センサ102は、Y方向に沿う磁界成分を計測するためのもであり、第3センサ103は、Z方向(IC100の厚さ方向。)に沿う磁界成分を計測するためのもである。
【0062】
上記IC100は、図3に示されるように直交する4個の側壁面を備えた矩形板状のものである。本例では、隣合う側壁面1001、1002に、それぞれ、上記第1センサ101及び上記第2センサ102を取り付けてある。また、IC100の側壁面のうち、側壁面1002と略平行な側壁面1003(側壁面1001と略平行な側壁面であっても良い。)に、上記第3センサ103を取り付けてある。
【0063】
第1センサ101は、長手方向に沿う上面1011に、その長手方向に沿って延在溝11を有している。そして、この第1センサ101は、長手方向の稜線を介して上面1011と隣り合う側壁面1012を上記側壁面1001に当接させた状態で取り付けされている。
第2センサは、長手方向に沿う上面1021に、その長手方向に沿って延在溝11を有している。そして、この第2センサ102は、長手方向の稜線を介して上面1021と隣り合う側壁面1022を上記側壁面1002に当接させた状態で取り付けされている。
さらに、第3センサは、長手方向に沿う側壁面1032に、その長手方向に略直交して延在溝11を有している。そして、この第3センサ103は、延在溝11を設けた側壁面1032を上記側壁面1003に当接させた状態で取り付けされている。
なお、本例では、IC100の側壁面のうち、側壁面1001に沿ってX方向を規定し、側壁面1002に沿ってY方向を規定し、X方向及びY方向と直交してZ方向を規定してある。
【0064】
すなわち、図3に示すごとく、第1センサ101は、その延在溝11の溝方向がX方向に略一致するように配設されており、第2センサ102は、その延在溝11の溝方向がY方向に略一致するように配設され、第3センサ103は、その延在溝11の溝方向がZ方向に略一致するように配設されている。
【0065】
上述したように第1センサ101〜第3センサ103は、それぞれ、0.5mm×0.4mm×1.0mmの大きさのものである。それ故、この小型のMI素子10である各センサ101〜103を用いた本例の3次元磁気方位センサ10aは、2.0mm×1.8mm×1.0mmという非常に小型であって、搭載性に優れたサイズを実現している。
【0066】
また、本例の3次元磁気方位センサでは、第1センサ101及び第2センサ102は、その上面1011、1021の電極51、52に接続されたリード線6を介して、IC100と電気的に接続してある。また、第3センサ103は、その上面1031の電極51、52に接続されたリード線6を介して、IC100と電気的に接続してある。すなわち、上記3次元磁気方位センサでは、各センサ101、102、103の上面1011、1021、1031の電極51、52を利用し、IC100側との電気的な接続を効率良く実現している。
【0067】
そして、これらのセンサ101〜103では、アモルファスワイヤ2に高周波またはパルス電流が印加されたときに電磁コイルに発生する電圧を計測することで、感磁体2に作用する外部磁界を検出する。
本例の3次元磁気方位センサ10aは、図10に示す電子回路を一体的に有している。そして、この電子回路を用いてアモルファスワイヤ2に高周波数領域の電流変化を作用して、このときに電磁コイル3に発生する誘起電圧を計測することで、作用する磁界強度を計測するように構成してある。
【0068】
この電子回路は、信号発生器6と各センサ101〜103と信号処理回路7とからなる。
信号発生器6は、主として200MHzを含む170mAの強さであって、信号間隔が1μ secのパルス信号を生成する。電子回路は、このパルス信号をアモルファスワイヤ2に入力するように構成してある。ここで、各センサ101〜103は、アモルファスワイヤ2に作用する外部磁界に応じて、電磁コイル3に誘起電圧が生じる現象を利用したものである。なお、電磁コイル3の誘起電圧は、パルス信号の立ち上がり時あるいは立ち下がり時に発生する。
【0069】
信号処理回路7は、電磁コイル3の誘起電圧を処理するように構成された回路である。この信号処理回路7では、上記パルス信号に連動して開閉される同期検波71を介して電磁コイル3の誘起電圧を取り出し、増幅器72により所定の増幅率で増幅する。そして、信号処理回路7が増幅した信号が、上記電子回路の出力信号として出力される。なお、本例では、パルス電流が、定常値の90%から10%に立ち下がる遮断時間を4ナノ秒とした。
【0070】
以上にように、本例の3次元磁気方位センサ10aは、IC100の所定位置に配設された3個のMI素子10(第1センサ101、第2センサ102、第3センサ103)に用いてX軸、Y軸、Z軸の各方向の磁界成分を検出する。そして、この3次元磁気方位センサ10aでは、各センサ101〜103が、図11〜図13に示されるような位相の異なるX軸出力、Y軸出力、Z軸出力を、IC100の内部に形成された図10の信号処理回路7に出力するように構成してある。
【0071】
ここで、図11は、Z軸方向、すなわち、第3センサ103の延在溝11を鉛直方向に向けた3次元磁気方位センサ10aについて、Z軸回りに360度回転させたとき、第1センサ101及び第2センサ102が検出する地磁気の水平成分の出力信号の変化を示している。また、図12は、Y軸方向、すなわち、第2センサ102の延在溝11を鉛直方向に向けた3次元磁気方位センサ10aについて、Y軸回りに回転させたときの第1センサ101及び第3センサ103の出力信号の変化を示している。さらに、図13は、X軸方向、すなわち、第1センサ101の延在溝11を鉛直方向に向けた3次元磁気方位センサ10aについて、X軸回りに回転させたときの第2センサ102及び第3センサ103の出力信号の変化を示している。なお、図11〜図13では、各軸回りの回転角度を横軸に規定し、各センサ101、102、103の出力信号の大きさを縦軸に規定している。
【0072】
この3次元磁気方位センサ10aは、従来技術では難しかった、X、Y、Z方向同時の磁気センシングを、3個のMI素子10によって行う小型かつ高精度のものである。そのため、上記3次元磁気方位センサ10aでは、その姿勢に関係無く、作用する外部磁界を精度高く検出することができる。
【0073】
特に、本例の3次元磁気方位センサ10aでは、2次元プロセスにより作製した第3センサ103を用い、これを直立させた状態でIC100の側面にボンディングして接合してある。それ故、高コストな3次元プロセスを不要にでき、コストダウンが可能である。
【0074】
さらに、上記MI素子10は、電極配線基板1に形成した延在溝11を利用して構成したものである。それ故、電磁コイルを巻回したボビン等を電極配線基板1に配置する場合と比べて小型化を実現でき、かつ、電磁コイル3への外的な接触を未然に防止し機械的な安定性を向上することができる。
【0075】
またさらに、本例では、感磁体としてアモルファスワイヤ2を採用している。感磁性能に優れたアモルファスワイヤ2を利用すれば、電磁コイル3のひと巻あたりの出力電圧をさらに増加でき、巻き線数を一層、減らすことができる。そして、この場合には、MI素子10の軸方向の長さをさらに短くすることができる。なお、本例のMI素子10では、電磁コイル3の単位長さ当たりの捲線間隔を100μm/巻以下の50μm/巻を実現している。
【0076】
このように電磁コイル3の1ターン当たり(単位長さ当たり)の巻線間隔を小さくして、1ターン当たりの巻き線数を増加させれば、出力電圧を大きくすることができる。本例のように電磁コイル3の単位長さ当たりの捲線間隔を100μm/巻以下とすれば、上記のような出力電圧を大きくするという効果が得られる。そして、出力電圧に対して、相対的に、MI素子10の長さを短くすることができる。
【0077】
さらに、上記3次元磁気方位センサ10aでは、4面の側壁面を有する略矩形状のIC100における隣合う側壁面1001、1002を利用して第1センサ101、第2センサ102を配設してある。また、残りの2つの側壁面のうちの一方の側壁面1003に、第3センサ103を配設してある。
【0078】
また、本例の3次元磁気方位センサでは、上記のように、各センサ101〜103を効率良く配置してある。さらに、上記第1センサ101及び上記第2センサ102として同一仕様のものを採用しているため、3次元磁気方位線さ10aを構成する部品点数を抑制でき、コストダウンを実現している。
なお、本例では、第3センサ103として、第1および第2センサ101、102と異なる形状および寸法諸元のものを用いたが、これに代えて、第1〜第3センサ101〜103を同一の形状および寸法諸元のものを用いることもできる。
【0079】
さらになお、本例では、第1および第2センサ101、102をIC100の隣合う側壁面1001、1002に配設するとともに、第3センサ103をIC100の残る2つの側壁面の一方に配設したが、これに代えて、図14に示されるように第3センサ103を第1センサ101が配設されている側壁面1001に配設すること(同図(A)。)も可能である。さらには、第3センサ103を第2センサ102が配設されている側壁面1002に配設すること(同図(B)。)も可能である。加えて、第1〜第3センサ101〜103を同じ側壁面に配設(同図(C)。)したり、第1〜第3センサ101〜103をIC100の上面(下面)に配設すること(同図(D)。)も可能である。
【0080】
[実施例2]
本例は、実施例1の3次元磁気方位センサを構成した各センサ101〜103(図3参照。以下、新構造センサと記載する。)の特性を評価した例である。この内容について、図15及び図16を用いて説明する。
本例では、実施例1と同様の電子回路を用いて新構造センサの評価を実施した。
【0081】
本例の上記新構造センサとの比較のため、図16に示す従来のボビンタイプのMI素子であるボビン素子9よりなる従来センサを比較例とした。このボビン素子9は、アモルファスワイヤ92と電磁コイル93の間に絶縁性を持つ巻き枠(ボビン)94を介設し、電気的な絶縁を確保したものである。また、感磁体は、CoFeSiB系合金を使った直径30μmのアモルファスワイヤ92である。
【0082】
電磁コイル93は、その内径が1.5mmである。巻き枠94には、電磁コイル3から延設された2個の電極95と、アモルファスワイヤ92から延設された2個の電極95とを形成してある。このボビン素子9の寸法は、3mm×2mm×4mmである。このように、従来のボビン素子9は、上記のように体格が大きい。そのため、これを利用した上記の比較例の従来センサは、設置空間が限られる携帯機器等には適用が難しい。
【0083】
上記ボビン素子9(ワイヤ長さ2.5mm、コイル径1.5mm、40ターン)よりなる上記従来センサと、新構造センサ(ワイヤ径20μmおよび長さ1.0mm、コイル径(円相当直径)66μm、18ターン)とで、磁気検出特性を比較した結果を図15に示す。同図における横軸は、外部磁場であり、縦軸は、信号処理回路から出力される出力電圧を示している。
【0084】
図15から明らかなように、従来センサと本例の新構造センサとは、線形範囲がほぼ±3Gで等しく、従来センサに比べて本例の新構造センサの出力電圧は8割強である。すなわち、本例の新構造センサは、小型薄型化したわりには出力電圧の低下が抑制されている。本例の新構造センサのMI素子は、ターン当たりの電圧の点で上記ボビン素子9よりも優秀である。ボビン素子9の28mV/turnに対して、本例の新構造センサのMI素子では約2倍の53mV/turnを実現している。
すなわち、本例の新構造センサは、ボビン素子9よりなる上記従来センサに比較し、約50分の1という桁違いに小型化されているにも関わらず、図15に示すごとく、±3Gの磁場領域で優れた直線性を得ることができる優れた特性を有している。
なお、その他の構成及び作用効果については、実施例1と同様である。
【0085】
[実施例3]
本例は、実施例1の3次元磁気方位センサを構成する各センサ101〜103について、地磁気の検出特性を評価した例である。この内容について、図3、図7〜図9及び表1〜表4を用いて説明する。
図3及び図7におけるD5は、第1センサ101の幅であり、D4は、第1センサ101の長手方向の長さであり、D6は、第1センサ101の高さである。
また、図3及び図7におけるD7は、第2センサ102の幅であり、D8は、第2センサ102の長手方向の長さであり、D9は、第2センサ102の高さである。
さらに、図3及び図8におけるD1は、第3センサ103の幅であり、D2は、第3センサ103の長手方向の長さであり、D3は、第3センサ103の高さである。
【0086】
図3における各部の寸法D1〜D9の設計値、センサの実測値、許容値(寸法許容範囲)については、表1に単位mmでそれぞれ示されるようになる。
【0087】
【表1】

【0088】
さらに、図8におけるW34は、第3センサ103における電極配線基板1の長手方向に形成された延在溝11の内周面111に形成される導電パターン31の幅であり、W35は、隣合う導電パターン31のピッチである。
図8における各部の寸法D1〜D3、W34及びW35の設計値、センサの実測値、許容値(寸法許容範囲)については、表2に単位mmでそれぞれ示されるようになる。
【0089】
【表2】

【0090】
図7におけるD6(D9)は、第1センサ101(第2センサ102)の高さであり、D5(D7)は、第1センサ101(第2センサ102)の幅であり、D4(D8)は、第1センサ101(第2センサ102)の長手方向の長さである。
【0091】
図7におけるW14(W24)は、第1センサ101(第2センサ102)における電極配線基板1の長手方向に形成された延在溝11の内周面111に形成される導電パターン31の幅であり、W15(W25)は、隣合う導電パターン31の配設ピッチである。
図7における各部の寸法D4〜D6、W14及びW15(D7〜D9、W24及びW25)の設計値、センサの実測値、許容値(寸法許容範囲)については、表3に単位mmでそれぞれ示されるようになる。
【0092】
【表3】

【0093】
図9におけるM1は、第3センサ103を製造する過程で設ける溝1034の幅であり、M2は、溝1034の深さであり、W53は、前記溝部1034の壁面に延在形成された電極51、52の幅である。上記のように、第3センサ103は、後の工程において溝1034によって分割して得たものである。
図9における各部の寸法M1、M2及びM53の設計値、センサの実測値、許容値(寸法許容範囲)については、表4に単位mmで示されるようになる。
【0094】
【表4】

【0095】
なお、その他の構成及び作用効果については、実施例1と同様である。
【0096】
[実施例4]
本例は、実施例1を基にして、MI素子10の構成を変更した例である。この内容について、図17〜図21を用いて説明する。
本例のMI素子10は、図17に示すごとく、アモルファスワイヤ2の外周側に配設した絶縁体4の外周面に、電磁コイル3を形成したものである。この電磁コイル3は、絶縁体4の外周面に配設した導電パターン33より形成してある。
【0097】
本例では、図18に示すごとく、型成形により、アモルファスワイヤ2の外周に樹脂よりなる絶縁体4を形成した。この絶縁体4は、断面矩形状を呈する棒状のものであって、その両端面にアモルファスワイヤ2の端部が露出するものである。
【0098】
そして、本例では、上記電磁コイル3を以下の手順により形成した。まず、棒状を呈する絶縁体4の外周面の全面に渡って、銅を含む金属材料を蒸着し、金属薄膜を形成した。その後、選択エッチングにより電磁コイル3を形成した。さらに、本例では、電磁コイル3を形成すると同時に、アモルファスワイヤ2の両端から延設された電極52及び、電磁コイル3の両端から延設された電極51を形成した。
【0099】
まず、図19に示すごとく、絶縁体の両端から所定の距離WD1の位置で、金属薄膜を環状に除去し、金属薄膜を3分割した。
その後、中間の金属薄膜30aについて、選択エッチング処理を実施して、電磁コイル3をなす導電パターン33と、その両端から延設された電極51を形成した。
なお、両端部の金属薄膜30bは、絶縁体4を貫通するアモルファスワイヤ2の端部と電気的に接続され、アモルファスワイヤ2の電極52として機能する。
【0100】
そして、本例の3次元磁気方位センサ10aは、図20に示すごとく、IC100に直接的又は間接的に配設した3つのMI素子10を利用して構成したものである。IC100の表面内における直交2方向であるX方向、Y方向の磁界強度を計測するための第1センサ101、第2センサ102として、それぞれ、上記のMI素子10を配設してある。また、IC100の厚さ方向であるZ方向の磁界強度を計測するための第3センサ103は、ドータ基板100dにMI素子10を表面実装したものである。この第3センサ103は、ドータ基板100dの裏面に形成したパッド部を利用してIC100の側壁面に接合するように構成してある。
【0101】
ここで、ドータ基板100dにMI素子10を表面実装した第3センサ103の形成方法について図21を用いて説明する。ドータ基板100dは、MI素子の電極51、52に対応する電極を形成したものである。そして、その側壁面には、各電極から延設された電極51d、52dが配設されている。これらの電極51d、52dは、実施例1と同様のリード線を介してIC100の電極(図示略)と電気的に接続可能なように構成してある。
【0102】
なお、その他の構成及び作用効果については実施例1と同様である。
さらになお、本例のアモルファスワイヤ2に代えて薄膜状を呈する磁気異方性薄膜を採用することもできる。この場合には、磁気異方性薄膜の外周を絶縁体4により覆って、断面略矩形状を呈するように形成すると共に、上記と同様の手順により、電磁コイル33及び電極51、52を形成することができる。
【0103】
[実施例5]
本例は、実施例1あるいは実施例4の3次元磁気方位センサを基にして、各センサ101〜103の配設方法を変更した例である。この内容について、図22及び図23を用いて説明する。
本例の3次元磁気方位センサ10aは、IC100及び各センサ101〜103を配設するための共通基板109を有している。
【0104】
図22の3次元磁気方位センサ10aは、実施例1を基にして、共通基板109の実装表面にIC100を実装すると共に、側壁面に第1センサ101、第2センサ102及び第3センサ103を配設したものである。
また、図23の3次元磁気方位センサ10aは、実施例4の3次元磁気方位センサを基にして、共通基板109の実装表面にIC100を実装すると共に、側壁面に第1センサ101、第2センサ102及び第3センサ103を配設したものである。
なお、その他の構成及び作用効果については、実施例1あるいは実施例4と同様である。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】



【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】



【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】

【図22】

【図23】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部磁界に応じて特性が変化する感磁体と、該感磁体を貫通させるように形成した絶縁体と、該絶縁体の外表面に隣接する箔状の導電パターンよりなる電磁コイルとを有するマグネト・インピーダンス・センサ素子よりなる第1センサ、第2センサ及び第3センサを含み、
上記第1センサ、上記第2センサ及び上記第3センサは、上記各感磁体の磁界検出感度が最大となる方向が相互に略直交するように配設されていることを特徴とする3次元磁気方位センサ。
【請求項2】
請求項1において、上記第1センサ、上記第2センサ及び上記第3センサは、凹溝状の延在溝を設けた電極配線基板と、上記延在溝の溝方向と交差するように該延在溝の内周面に配設されていると共に上記電極配線基板の表面に両端部が延設された第1の導電パターンと、上記感磁体としてのアモルファスワイヤを貫通させた状態で上記延在溝に収容された上記絶縁体と、上記延在溝を跨ぐように上記絶縁体の外表面に配設された第2の導電パターンとを有しており、
上記電磁コイルは、上記第1の導電パターンよりなる一方のコイル部と、隣り合う上記第1の導電パターンの端部を電気的に接続する上記第2の導電パターンよりなる他方のコイル部とを組み合わせたものであることを特徴とする3次元磁気方位センサ。
【請求項3】
請求項2において、上記3次元磁気方位センサは、4面の側壁面を備えた略矩形状をなし、その内部に電子回路を形成したICを有し、上記第1センサ、上記第2センサ及び上記第3センサを上記ICに配設してなり、
上記第3センサは、上記延在溝の溝方向が上記ICの厚さ方向に略一致するように上記側壁面のいずれかに配設されていることを特徴とする3次元磁気方位センサ。
【請求項4】
請求項3において、上記第1センサ及び上記第2センサは、上記ICの互いに直交する2面の上記側壁面にそれぞれ配設してあり、上記各センサの上記延在溝の溝方向が、それぞれ、他方の上記センサを配設した上記側壁面と略直交していることを特徴とする3次元磁気方位センサ。
【請求項5】
請求項3において、上記第3センサは、上記ICの表面が面する側を向く表面に電極を形成してなり、かつ、この電極が、上記ICの表面に配設された電極とリード線を介して電気的に接続されていることを特徴とする3次元磁気方位センサ。
【請求項6】
請求項4において、上記第3センサは、上記ICの表面が面する側を向く表面に電極を形成してなり、かつ、この電極が、上記ICの表面に配設された電極とリード線を介して電気的に接続されており、
上記第1センサ及び上記第2センサは、上記ICの表面が面する側を向く表面に電極を形成してなり、かつ、この電極が、上記ICの表面に配設された電極とリード線を介して電気的に接続されていることを特徴とする3次元磁気方位センサ。
【請求項7】
請求項6において、上記3次元磁気方位センサは、縦3mm以内であって、かつ、横3mm以内であって、かつ、高さ1.5mm以内であることを特徴とする3次元磁気方位センサ。
【請求項8】
請求項2において、上記3次元磁気方位センサは、電子回路を形成してなるICと、該ICを実装する共通基板とを有し、上記第1センサ、上記第2センサ及び上記第3センサを上記共通基板に配設してなり、
上記第3センサは、上記延在溝の溝方向が上記共通基板の厚さ方向に略一致するように配設されていることを特徴とする3次元磁気方位センサ。
【請求項9】
請求項1において、上記第1センサ、上記第2センサ及び上記第3センサでは、上記感磁体としてのアモルファスワイヤあるいは磁気異方性薄膜の外周に上記絶縁体を形成してあり、上記電磁コイルが、上記絶縁体の外周面に配設した上記導電パターンよりなることを特徴とする3次元磁気方位センサ。
【請求項10】
請求項9において、上記3次元磁気方位センサは、4面の側壁面を備えた略矩形状をなし、その内部に電子回路を形成したICを有し、上記第1センサ、上記第2センサ及び上記第3センサを上記ICに配設してなり、
上記第3センサは、上記ICの表面と略直交する状態で上記側壁面のいずれかに配設されたドータ基板に表面実装されており、かつ、上記感磁体における磁界検出感度が最大となる方向が上記ICの厚さ方向に略一致していることを特徴とする3次元磁気方位センサ。
【請求項11】
請求項10において、上記第1センサ及び上記第2センサは、上記ICの表面に配設されていることを特徴とする3次元磁気方位センサ
【請求項12】
請求項10において、上記第3センサは、上記ドータ基板の実装表面に対面する電極を有し、かつ、この電極が、上記ドータ基板の電極と当接する状態で表面実装されていることを特徴とする3次元磁気方位センサ。
【請求項13】
請求項11において、上記第3センサは、上記ドータ基板の実装表面に対面する電極を有し、かつ、この電極が、上記ドータ基板の電極と当接する状態で表面実装されており、
上記第1センサ及び上記第2センサは、上記ICの表面に対面する電極を有し、かつ、この電極が、上記ICの電極と当接する状態で配設されていることを特徴とする3次元磁気方位センサ。
【請求項14】
請求項13において、上記3次元磁気方位センサは、縦3mm以内であって、かつ、横3mm以内であって、かつ、高さ1.5mm以内であることを特徴とする3次元磁気方位センサ。
【請求項15】
請求項9において、上記3次元磁気方位センサは、電子回路を形成してなるICと、該ICを実装する共通基板とを有し、上記第1センサ、上記第2センサ及び上記第3センサを上記共通基板に配設してなり、
上記第3センサは、上記感磁体における磁界検出感度が最大となる方向が上記共通基板の厚さ方向に略一致するように配設されていることを特徴とする3次元磁気方位センサ。
【請求項16】
外部磁界に応じて特性が変化する感磁体の外周に電磁コイルを巻回してなるマグネト・インピーダンス・センサ素子であって、
上記感磁体を保持するセンサ基板と、該感磁体を貫通させるように形成された絶縁体と、該絶縁体の外表面に隣接して配設された箔状の導電パターンよりなる電磁コイルとを有し、
上記センサ基板は、その外表面のうちの上記感磁体の軸方向に略直交する面に、上記電磁コイル及び上記感磁体からそれぞれ延設された電極を有することを特徴とするマグネト・インピーダンス・センサ素子。
【請求項17】
請求項16において、上記マグネト・インピーダンス・センサ素子は、凹溝状の延在溝を設けた上記センサ基板としての電極配線基板と、上記延在溝の溝方向と略直交するように該延在溝の内周面に配設されていると共に上記電極配線基板の表面に両端部が延設された第1の導電パターンと、上記感磁体としてのアモルファスワイヤを貫通させた状態で上記延在溝に収容された上記絶縁体と、上記延在溝を跨ぐように上記絶縁体の外表面に配設した第2の導電パターンとを有し、
上記電磁コイルは、上記第1の導電パターンよりなる一方のコイル部と、隣り合う上記第1の導電パターンの端部を電気的に接続する上記第2の導電パターンよりなる他方のコイル部とを組み合わせてなることを特徴とするマグネト・インピーダンス・センサ素子。
【請求項18】
請求項16において、上記マグネト・インピーダンス・センサ素子は、上記感磁体としてのアモルファスワイヤあるいは磁気異方性薄膜の外周を被う絶縁体と、該絶縁体の外周面に配設した上記導電パターンよりなる上記電磁コイルと、上記感磁体を収容した上記絶縁体を配設する上記センサ基板としてのドータ基板とを有することを特徴とするマグネト・インピーダンス・センサ素子。

【国際公開番号】WO2005/008268
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【発行日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−511824(P2005−511824)
【国際出願番号】PCT/JP2004/009972
【国際出願日】平成16年7月13日(2004.7.13)
【特許番号】特許第3781056号(P3781056)
【特許公報発行日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(000116655)愛知製鋼株式会社 (141)
【Fターム(参考)】