説明

4−置換キノリン誘導体、それらの製造方法及び中間体並びにそれらを含有する製薬組成物

本発明は、抗細菌剤として活性である次式(I):


[ここで、X1、X2、X3、X4及びX5はそれぞれ>C−R'1乃至>C−R'5を表わすか或いはそれらのうちの多くとも一つは窒素原子を表わし、Yは基CHR、C=O、CROH、CRNH2、CRF又はCF2(ここに、Rは水素原子又はアルキル基である。)を表わし、mは0、1又は2に等しく、nは0又は1に等しく、R2は基R、−CO2R、−CH2CO2R、−CH2−CH2CO2R、−CONH2、−CH2−CONH2、−CH2−CH2−CONH2、−CH2OH、−CH2−CH2OH、−CH2−NH2、−CH2−CH2−NH2又は−CH2−CH2−CH2−NH2(ここに、Rは上で定義した通りである。)を表わし、R3はフェニル、単環式若しくは二環式複素アリール又は基−alk−Ro3(ここに、alkはアルキレン基であり、Ro3は種々の基であり、この場合には含酸素基、含硫黄基又はアミノ基である。)を表わす。]
に相当し、そのエナンチオマー若しくはジアステレオマー形又はこれらの形の混合物の形態及び(又は)適当な場合にはsyn若しくはanti形又はこれらの形の混合物の形態にあり得る4−置換キノリン誘導体又はそれらの塩類に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌物質として活性である次の一般式:
【化1】

の4−置換キノリン誘導体に関する。また、本発明は、それらの製造方法及び中間体並びにそれらを含有する製薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
特許出願WO 99/37635及びWO 00/43383に、次の一般式:
【化2】

[ここで、
基R1は特にアルコキシ(C1〜C6)であり、
2は水素であり、
3は2又は3位置にあり、アルキル(C1〜C6)(これはチオール、ハロゲン、アルキルチオ、トリフルオルメチル、カルボキシ、アルキルオキシカルボニル、アルキルカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、アルケニルカルボニル及びヒドロキシル(アルキルで置換されていてよい。)から選ばれる1〜3個の置換基により置換されていてよい。)を表わし、
4は基−CH2−R5(ここに、R5はアルキル、ヒドロキシアルキル、アルケニル、アルキニル、テトラヒドロフラニル、置換されていてよいフェニルアルキル、置換されていてよいフェニルアルケニル、置換されていてよい複素アリールアルキル、置換されていてよい複素アロイルなどを表わす。)であり、
nは0〜2であり、mは1又は2であり、
A及びBは特に酸素、硫黄、スルフィニル、スルホニル、NR11、CR67(ここに、R6及びR7はH、チオール、アルキルチオ、ハロ、トリフルオルメチル、アルケニル、アルケニルカルボニル、ヒドロキシル、アミノである。)であり、
1〜Z5はN又はCR1aである。]
の抗菌性キノリルプロピルピペリジン誘導体が記載された。
【0003】
他の出願、特にWO 00/21952、WO 00/21948、WO 01/07432、WO 01/07433、WO 03/010138、或いはWO 02/40474又はWO 02/072572に、同じ分野において活性である、特に3位置が置換され又は4位置が置換された他の4−(キノリルプロピル)ピペリジン誘導体が記載されている。更に、ヨーロッパ特許出願EP 30044には、心臓血管系の分野において活性である関連誘導体が記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、新規な4−置換キノリン誘導体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ここに、本発明の主題をなす前記の一般式(I)[この式(I)において、
1、X2、X3、X4及びX5はそれぞれ>C−R'1乃至>C−R'5を表わすか、或いはそれらのうちの多くとも一つは窒素原子を表わし、
1、R'1、R'2、R'3、R'4及びR'5は、同一又は異なっていてよく、水素若しくはハロゲン原子、アルキル、シクロアルキル、フェニル、フェニルチオ、単環式若しくは二環式複素アリール若しくは複素アリールチオ、OH、SH、アルキルオキシ、ジフルオルメトキシ、トリフルオルメトキシ、アルキルチオ、トリフルオルメチルチオ、シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、アシル、アシルオキシ、アシルチオ、シアノ、カルボキシル、アルキルオキシカルボニル、シクロアルキルオキシカルボニル、ニトロ、−NRaRb又は−CONRaRb基{ここに、Ra及びRbは水素、アルキル、シクロアルキル、フェニル、単環式若しくは二環式複素アリールを表わし、又はRaとRbはこれらが結合している窒素原子と一緒になって5員若しくは6員の複素環(この環はO、S若しくはNから選ばれる他の複素原子を含有してよく、また適当ならば該窒素原子上にアルキル、フェニル若しくは単環式若しくは二環式複素アリール置換基を有し、又は適当ならば該硫黄原子はスルフィニル若しくはスルホニル状態に酸化されている。)を形成できる。}を表わし、或いは、フルオル、ヒドロキシル、アルキルオキシ、アルキルチオ、シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、フェニル、単環式若しくは二環式複素アリール、カルボキシル、アルキルオキシカルボニル、シクロアルキルオキシカルボニル、−NRaRb又は−CONRaRb(ここに、Ra及びRbは上で定義した通りである。)により置換されたメチレン基を表わし、或いは、フェノキシ、ヘテロシクリルオキシ、ベンジルオキシ又はヘテロシクリルメチルオキシ基を表わし、
或いは、R1はジフルオルメトキシ又は構造式:−Cm2m+1、−SCm2m+1若しくは−OCm2m+1(ここに、mは1〜6の整数である。)を有する基も表わすことができ、或いは、R'5はトリフルオルアセチルも表わすことができ、
mは0、1又は2に等しく、
nは0又は1に等しく、
Yは基CHR、C=O又は、mが1若しくは2に等しいときは、CROH、CRNH2、CRF若しくはCF2(ここに、Rは水素原子又はアルキル(C1〜C6)基である。)を表わし、
2は基R、−CO2R、−CH2CO2R、−CH2−CH2CO2R、−CONH2、−CH2−CONH2、−CH2−CH2−CONH2、−CH2OH、−CH2−CH2OH、−CH2−NH2、−CH2−CH2−NH2又は−CH2−CH2−CH2−NH2(ここに、Rは上で定義した通りである。)を表わし、
3はフェニル、単環式若しくは二環式複素アリール又は基−alk−Ro3[ここに、alkはアルキレン基であり、Ro3は水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルオキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、シクロアルキルスルフィニル、シクロアルキルスルホニル、シクロアルキルアミノ、N−シクロアルキル−N−アルキルアミノ、−N−(シクロアルキル)2、アシル、シクロアルキルカルボニル、フェニル、フェノキシ、フェニルチオ、フェニルスルフィニル、フェニルスルホニル、フェニルアミノ、N−アルキル−N−フェニルアミノ、N−シクロアルキル−N−フェニルアミノ、−N−(フェニル)2、フェニルアルキルオキシ、フェニルアルキルチオ、フェニルアルキルスルフィニル、フェニルアルキルスルホニル、フェニルアルキルアミノ、N−アルキル−N−フェニルアミノアルキル、N−シクロアルキル−N−フェニルアルキルアミノ、ベンゾイル、単環式若しくは二環式複素アリール、複素アリールオキシ、複素アリールチオ、複素アリールスルフィニル、複素アリールスルホニル、複素アリールアミノ、N−アルキル−N−複素アリールアミノ、N−シクロアルキル−N−複素アリールアミノ、複素アリールカルボニル、複素アリールアルキルオキシ、複素アリールアルキルチオ、複素アリールアルキルスルフィニル、複素アリールアルキルスルホニル、複素アリールアルキルアミノ、N−アルキル−N−複素アリールアミノアルキル、N−シクロアルキル−N−複素アリールアミノアルキル(上記の複素アリール部分は単環式又は二環式である。)、カルボキシル、アルキルオキシカルボニル、−NRaRb又は−CONRaRb基{ここに、Ra及びRbはそれぞれ水素、アルキル、シクロアルキル、フェニル、単環式若しくは二環式複素アリールを表わし、又はRa若しくはRbの一つはヒドロキシル、アルキルオキシ若しくはシクロアルキルオキシを表わし、又はRaとRbはこれらが結合している窒素原子と一緒になって5員若しくは6員の複素環(この環はO、S若しくはNから選ばれる他の複素原子を含有してよく、また適当ならば該窒素原子上にアルキル、フェニル若しくは単環式若しくは二環式複素アリール置換基を有し、又は適当ならば該硫黄原子はスルフィニル若しくはスルホニル状態に酸化されている。)を形成する。}を表わし、或いは、Ro3は基−CR'b=CR'c−R'a{ここに、R'aはフェニル、フェニルアルキル、複素アリール若しくは複素アリールアルキル(ここに、上記の複素アリール部分は単環式若しくは二環式複素である。)、フェノキシアルキル、フェニルチオアルキル、フェニルスルフィニルアルキル、フェニルスルホニルアルキル、フェニルアミノアルキル、N−アルキル−N−フェニルアミノアルキル、複素アリールオキシアルキル、複素アリールチオアルキル、複素アリールスルフィニルアルキル、複素アリールスルホニルアルキル、複素アリールアミノアルキル、N−アルキル−N−複素アリールアミノアルキル、複素アリールチオ、複素アリールスルフィニル、複素アリールスルホニル(ここに、上記の複素アリール部分は単環式若しくは二環式である。)、フェニルチオ、フェニルスルフィニル又はフェニルスルホニルを表わし、R'b及びR'cは水素、アルキル又はシクロアルキルを表わす。}を表わし、或いは、Ro3は基−C≡C−Rd{ここに、Rdはアルキル、フェニル、フェニルアルキル、フェノキシアルキル、フェニルチオアルキル、N−アルキル−N−フェニルアミノアルキル、単環式若しくは二環式複素アリール、複素アリールアルキル、複素アリールオキシアルキル、複素アリールチオアルキル、複素アリールアミノアルキル、N−アルキル−N−複素アリールアミノアルキル(ここに、上記の複素アリール部分は単環式若しくは二環式芳香族である。}を表わし、或いは、Ro3は基−CF2−フェニル又は単環式若しくは二環式−CF2−複素アリールを表わす。]を表わし、
前記したフェニル、ベンジル、ベンゾイル又は複素アリールである基又は部分はハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルキルオキシ、アルキルオキシアルキル、ハロアルキル、トリフルオルメチル、トリフルオルメトキシ、トリフルオルメチルチオ、カルボキシル、アルキルオキシカルボニル、シアノ、アルキルアミノ、−NRaRb(ここに、Ra及びRbは上で定義した通りである。)、フェニル、ヒドロキシアルキル、アルキルチオアルキル、アルキルスルフィニルアルキル及びアルキルスルホニルアルキルから選ばれる1〜4個の置換基が環上に置換していてもよく、
4は基R、−CHO、−COCH3、−CH2CO2H又は−COCH2NH2を表わし、
また、前記したアルキル又はアシルである基及び部分は(特に述べてなければ)直鎖又は分岐鎖の形で1〜10個の炭素原子を含有すること並びにシクロアルキル基は3〜6個の炭素原子を含有するものと理解されたい。]
に相当し、そのエナンチオマー若しくはジアステレオマー形又はこれらの形の混合物の形態及び(又は)適当な場合にはsyn若しくはanti形又はこれらの形の混合物の形態にある化合物並びにそれらの塩類が非常に強力な抗菌剤であることが見出された。
【0006】
前記した基がハロゲン原子を表わし又は有するときは、ハロゲンは弗素、塩素、臭素又は沃素から選ばれ、好ましくは弗素であると理解されたい。
【0007】
上記の一般式において、基が単環式又は二環式複素アリール置換基を表わし又は有するときは、後者は5〜10個の環員を有し、チエニル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、インドリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、インダゾリル、ベンゾチアゾリル、ナフチリジニル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリルから選ばれるが、これらの限定されない。また、これらは、前記したような置換基により置換されていてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
一般式(I)の化合物のうちでも、特に、
1、X2、X3、X4及びX5が上で定義した通りであり、
1、R'1、R'2、R'3、R'4及びR'5が、同一又は異なっていてよく、水素若しくはハロゲン原子又はアルキル若しくはアルキルオキシ基を表わし、或いはアルキルオキシで置換されたメチレン基を表わし、
mが1に等しく、
nが1に等しく、
Yが基CH2、CHOH、CHF、CHNH2又はC=Oを表わし、
2が上で定義した通りであり、
3が基−alk−Ro3[ここに、alkはアルキレン基であり、Ro3はアルキルオキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、シクロアルキルアミノ、N−シクロアルキル−N−アルキルアミノ、−N−(シクロアルキル)2、フェノキシ、フェニルチオ、フェニルアミノ、N−アルキル−N−フェニルアミノ、N−シクロアルキル−N−フェニルアミノ、フェニルアルキルオキシ、フェニルアルキルチオ、フェニルアルキルアミノ、N−アルキル−N−フェニルアミノアルキル、N−シクロアルキル−N−フェニルアルキルアミノ、複素アリールオキシ、複素アリールチオ、複素アリールアミノ、N−アルキル−N−ヘテロシクリルアミノ、N−シクロアルキル−N−複素アリールアミノ、複素アリールカルボニル、複素アリールアルキルオキシ、複素アリールアルキルチオ、複素アリールアルキルアミノ、N−アルキル−N−複素アリールアミノアルキル、N−シクロアルキル−N−複素アリールアミノアルキル(上記の複素アリール部分は単環式又は二環式である。)、−NRaRb又は−CONRaRb基(ここに、Ra及びRbは請求項1で定義した通りである。)を表わし、或いは、Ro3は基−CR'b=CR'c−R'a{ここに、R'aはフェニル、フェニルアルキル、複素アリール、複素アリールアルキル、フェノキシアルキル、フェニルチオアルキル、フェニルアミノアルキル、N−アルキル−N−フェニルアミノアルキル、複素アリールオキシアルキル、複素アリールチオアルキル、複素アリールアミノアルキル、N−アルキル−N−複素アリールアミノアルキル、複素アリールチオ(ここに、上記の複素アリール部分は単環式若しくは二環式である。)又はフェニルチオを表わし、R'b及びR'cは水素、アルキル又はシクロアルキルを表わす。}を表わし、或いは、Ro3は基−C≡C−Rd{(ここに、Rdはアルキル、フェニル、フェニルアルキル、フェノキシアルキル、フェニルチオアルキル、N−アルキル−N−フェニルアミノアルキル、複素アリール、複素アリールアルキル、複素アリールオキシアルキル、複素アリールチオアルキル、複素アリールアミノアルキル、N−アルキル−N−複素アリールアミノアルキル(ここに、上記の複素アリール部分は単環式若しくは二環式ある。}を表わし、或いは、Ro3は基−CF2−フェニル又は単環式若しくは二環式−CF2−複素アリールを表わす。]を表わし、
4が上で定義した通りであり、
前記したフェニル、ベンジル、ベンゾイル又は複素アリールである基又は部分が前記した通りに置換されていてもよい、
エナンチオマー若しくはジアステレオマー形又はこれらの形の混合物の形態及び(又は)適当な場合にはsyn若しくはanti形又はこれらの形の混合物の形態にある化合物並びにそれらの塩類が挙げられる。
【0009】
更に特別には、
1、X2、X3、X4及びX5がそれぞれ>C−R'1乃至>C−R'5を表わし、
1、R'1、R'2、R'3、R'4及びR'5が、同一又は異なっていてよく、水素若しくはハロゲン原子又はアルキル若しくはアルキルオキシ基を表わし、或いはアルキルオキシで置換されたメチレン基を表わし、
mが1に等しく、
nが1に等しく、
Yが基CH2、CHOH、CHF、CHNH2又はC=Oを表わし、
2が上で定義した通りであり、
3が基−alk−Ro3[ここに、alkはアルキレン基であり、Ro3はシクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、フェノキシ、フェニルチオ、フェニルアルキルオキシ、フェニルアルキルチオ、複素アリールオキシ、複素アリールチオ、複素アリールアルキルオキシ又は複素アリールアルキルチオ(上記の複素アリール部分は単環式又は二環式である。)を表わし、或いは、Ro3は基−CR'b=CR'c−R'a{ここに、R'aはフェニル、フェニルチオアルキル、複素アリール、複素アリールアルキル、フェノキシアルキル、フェニルチオアルキル、複素アリールオキシアルキル、複素アリールチオアルキル、複素アリールチオ(ここに、上記の複素アリール部分は単環式若しくは二環式である。)又はフェニルチオを表わし、R'b及びR'cは水素、アルキル又はシクロアルキルを表わす。}を表わし、或いは、Ro3は基−C≡C−Rd(ここに、Rdはアルキル、フェニル、フェニルアルキル、フェノキシアルキル、フェニルチオアルキル、N−アルキル−N−フェニルアミノアルキル、単環式若しくは二環式複素アリール、複素アリールアルキル、複素アリールオキシアルキル、複素アリールチオアルキル(ここに、上記の複素アリール部分は単環式若しくは二環式ある。)を表わす。]を表わし、
4が基Rを表わし、
前記したフェニル、ベンジル、ベンゾイル又は複素アリールである基又は部分が前記した通りに置換されていてもよい、
エナンチオマー若しくはジアステレオマー形又はこれらの形の混合物の形態及び(又は)適当な場合にはsyn若しくはanti形又はこれらの形の混合物の形態にあり得る化合物並びにそれらの塩類が挙げられる。
【0010】
一般式(I)の化合物のうちでも、本発明の主題は、特に、化合物名が、
1−[(E)−3−(2,5−ジフルオルフェニル)アリル]−3−[2−(3−フルオル−6−メトキシ−4−キノリニル)エチルアミノ]−3−ピロリジンカルボン酸、
1−[(E)−3−(2,5−ジフルオルフェニル)アリル]−3−[2−(6−メトキシ−4−キノリニル)エチルアミノ]−3−ピロリジンカルボン酸、
1−[(E)−3−(2,5−ジフルオルフェニル)アリル]−3−[2−(3−フルオル−6−メトキシ−4−キノリニル)エチルアミノ]−3−ピロリジンカルボン酸メチル、
1−[(E)−3−(2,5−ジフルオルフェニル)アリル]−3−[2−(6−メトキシ−4−キノリニル)エチルアミノ]−3−ピロリジンカルボン酸メチル、
1−[(E)−3−(2,5−ジフルオルフェニル)アリル]−3−[2−(3−クロル−6−メトキシ−4−キノリニル)エチルアミノ]−3−ピロリジンカルボン酸メチル、
1−[(E)−3−(2,5−ジフルオルフェニル)アリル]−3−[2−(3−クロル−6−メトキシ−4−キノリニル)エチルアミノ]−3−ピロリジンカルボン酸
のいずれかである、エナンチオマー若しくはジアステレオマー形又はこれらの形の混合物の形態及び(又は)syn若しくはanti形又はこれらの形の混合物の形態にある化合物並びにそれらの塩類にある。
【0011】
また、一般式(I)の化合物のうちでも、特に、化合物名が、
1−[(2E)−3−(2,5−ジフルオルフェニル)−2−プロペニル]−3−[[2−(3−フルオル−6−メトキシ−4−キノリニル)エチル]メチルアミノ]−3−ピロリジンカルボン酸、
1−[(2E)−3−(2,5−ジフルオルフェニル)−2−プロペニル]−3−[[2−(3−フルオル−6−メトキシ−4−キノリニル)エチル]ホルミルアミノ]−3−ピロリジンカルボン酸、
3−[(アミノアセチル)[2−(3−フルオル−6−メトキシ−4−キノリニル)エチル]アミノ]−1−[(2E)−3−(2,5−ジフルオルフェニル)−2−プロペニル]−3−ピロリジンカルボン酸、
3−[(カルボキシメチル)[2−(3−フルオル−6−メトキシ−4−キノリニル)エチル]アミノ]−1−[(2E)−3−(2,5−ジフルオルフェニル)−2−プロペニル]−3−ピロリジンカルボン酸、
N−[1−[(2E)−3−(2,5−ジフルオルフェニル)−2−プロペニル]−3−ピロリジニル]−3−フルオル−6−メトキシ−4−キノリンエタンアミン、
N−[1−[(2E)−3−(2,5−ジフルオルフェニル)−2−プロペニル]−3−ピロリジニル]−N−[2−(3−フルオル−6−メトキシ−4−キノリニル)エチル]グリシン、
N−[1−[(2E)−3−(2,5−ジフルオルフェニル)−2−プロペニル]−3−ピロリジニル]−3−フルオル−6−メトキシ−N−メチル−4−キノリンエタンアミン、
1−[(2E)−3−(2,5−ジフルオルフェニル)−2−プロペニル]−3−[[2−(3−フルオル−6−メトキシ−4−キノリニル)エチル]アミノ]−3−ピロリジンメタノール、
1−[(2E)−3−(2,5−ジフルオルフェニル)−2−プロペニル]−3−[[2−(3−フルオル−6−メトキシ−4−キノリニル)エチル]アミノ]−3−ピロリジンカルボキサミド、
N−[3−(アミノメチル)−1−[(2E)−3−(2,5−ジフルオルフェニル)−2−プロペニル]−3−ピロリジニル]−3−フルオル−6−メトキシ−4−キノリンエタンアミン、又は
α−[[[1−[(2E)−3−(2,5−ジフルオルフェニル)−2−プロペニル]−3−ピロリジニル]アミノ]メチル]−3−フルオル−6−メトキシ−4−キノリンメタノール
のいずれかである、エナンチオマー若しくはジアステレオマー形又はこれらの形の混合物の形態及び(又は)syn若しくはanti形又はこれらの形の混合物の形態にある化合物並びにそれらの塩類が挙げられる。
【0012】
本発明によれば、一般式(I)の化合物は、鎖R3を次の一般式:
【化3】

{ここで、X1、X2、X3、X4、X5、R1、R2、Y、m及びnは上で定義した通りであり、R2及びR4はカルボキシル基を有するときは保護されている。}
の4−置換キノリン誘導体と縮合させ、次いで、適当ならば、カルボキシル基を保護する基を除去し、適当ならば、エナンチオマー若しくはジアステレオマー形及び(又は)適当な場合にはsyn若しくはanti形を分離し、及び(又は)得られた化合物を塩に転化することにより得ることができる。
【0013】
該鎖R3と複素環窒素との縮合は、次の一般式:
3−X (IIa)
(ここで、R3は上で定義した通りであり、Xはハロゲン原子、メチルスルホニル基、トリフルオルメチルスルホニル基又はp−トルエンスルホニル基を表わす。)
の誘導体を作用させることにより有利に実施される。操作手順は、無水の、好ましくは不活性の媒体中で、例えば、アミド(例えば、ジメチルホルムアミド)、ケトン(例えば、アセトン)又はニトリル(例えば、アセトニトリル)のような有機溶媒中で、含窒素有機塩基(例えば、トリエチルアミン)又は無機塩基(炭酸アルカリ金属、例えば炭酸カリウム)のような塩基の存在下に20℃から該溶媒の還流温度までの温度で実施される。一般式(II)の誘導体のピロリジン環の窒素原子は、分子の残部又は反応と適合できる慣用の方法に従い随意に保護される。この保護は、例えば、ベンジル、t−ブトキシカルボニル及びベンジルオキシカルボニル基から選ばれる保護基により達成される。また、この窒素原子は、式(IIa)の誘導体と縮合させる前に、特に酸加水分解により遊離にされる。
好ましくは、Xが塩素、臭素又は沃素原子である式(IIa)の誘導体が作用せしめられる。
【0014】
一般式(II)の誘導体と一般式(IIa)の誘導体との間の縮合を実施するのが可能である条件が特許出願WO 02/40474にも記載されている。R3が基−alk−Ro3{ここに、alkはアルキル基であり、Ro3は基−C≡C−Rd(ここに、Rdは上で定義した通りである。)を表わす。}を表わすときは、ハロゲン化アルキニルが中間で縮合され、次いでそのようにして得られたアルキンと所望の基が反応せしめられる。R3が基−alk−Ro3(ここに、alkはアルキル基であり、Ro3はフェノキシ、フェニルチオ、フェニルアミノ、複素アリールオキシ、複素アリールチオ又は複素アリールアミノ基を表わす。)を表わすときは、反応を、まず、一般式(IIa)の化合物の反応について前記した条件下で、鎖:HO−alk−X(ここに、Xはハロゲン原子、好ましくは沃素原子である。)を縮合させ、次いで、適当ならば、得られたヒドロキシアルキル鎖をハロアルキル、メタンスルホニルアルキル若しくはp−トルエンスルホニルアルキル鎖に転化し、最後に構造式:Ro3H又はRo32を有する芳香族誘導体を塩基媒体中で作用させることによって鎖を構成することが可能である。
【0015】
ヒドロキシル化鎖のハロアルキル又はp−トルエンスルホニル鎖への転化は、慣用のハロゲン化又はスルホニル化方法に従って実施され、特に、塩化チオニル、燐のハロゲン化誘導体(例えば、三塩化又は三臭化燐)のようなハロゲン化剤又は例えば塩化メタンスルホニル、塩化p−トルエンスルホニル若しくはトリフルオルメタンスルホン酸無水物のようなスルホニル化剤が作用せしめられる。この反応は、塩素化溶媒(例えば、ジクロルメタン又はクロロホルム)のような有機溶媒中で0〜60℃の温度で実施される。ある場合には、操作をピリジン又はトリエチルアミンのような塩基の存在下に実施することが有益であろう。
【0016】
芳香族誘導体:Ro3H又はRo32の反応は、一般式(IIa)の誘導体の作用について前記したように、アミド(例えば、ジメチルホルムアミド)、ケトン(例えば、アセトン)又はニトリル(例えば、アセトニトリル)のような有機溶媒中で、含窒素有機塩基(例えば、トリエチルアミン)又は無機塩基(炭酸アルカリ金属、例えば炭酸カリウム)のような塩基の存在下に20℃から反応混合物の還流温度までの温度で有利に実施される。操作を沃化カリウムの存在下に実施するのが有益であろう。また、操作をエーテル(例えば、テトラヒドロフラン)中で脱水条件下に、例えばジイソプロピルカルボジイミド及びトリフェニルホスフィンの存在下に実施することも可能である。
【0017】
基R3がカルボキシル又はアミノ置換基を有するならば、後者は予め保護され、次いで反応後に遊離にされることを理解されたい。この操作手順は、分子の残部に悪影響を及ぼさない当業者に周知の方法に従って、特に、T.W.グリーン、P.G.M.ウッツの「有機合成における保護基(第2版)」(A.ウイリー−インターサイエンス・パブリケーション社、1991)又はマッコーミーの「有機化学における保護基」(プレナム・プレス社、1973)に記載された方法に従って実施される。
【0018】
基R2又はR4に存在する保護されたカルボキシル基は、容易に加水分解できるエステルから選ぶことができる。例えば、メチル、ベンジル又はt−ブチルエステル、或いはフェニルプロピル又はアリルエステルが挙げられる。随意であるが、カルボキシル基の保護は反応と同時に行なわれる。
適当ならば、アミノ基の保護は、前記の参考文献に挙げられた慣用の保護基によって行なわれる。
【0019】
これらの保護基の導入及び除去は、当業者に知られた方法に従って実施される。本発明によれば、R2がヒドロキシメチル又はヒドロキシエチルである一般式(I)の誘導体は、R2がカルボキシル若しくはカルボキシメチル又は保護されたカルボキシル若しくは保護されたカルボキシメチルである誘導体に適当な還元剤を作用させることによって製造することができる。その際に、存在し得るケトン官能基は中間的に保護されるはずである。
【0020】
また、本発明によれば、R2がカルボキシメチル又はカルボキシエチルである一般式(I)の化合物は、R2がヒドロキシメチル又はヒドロキシエチルである誘導体から、これにハロゲン化剤又はトシル化剤を作用させ、次いでシアネート化剤を作用させ、最後にニトリルの加水分解を実施することによって製造することもできる。
【0021】
また、本発明によれば、R2が−CONH2、−CH2−CONH2又は−CH2−CH2−CONH2である一般式(I)の化合物は、相当する酸又はエステルからアンモニアによるアミド化によって製造することもできる。
【0022】
また、本発明によれば、R2が−CH2−NH2、−(CH22−NH2又は−(CH23−NH2である一般式(I)の化合物は、相当するアミドを還元することにより製造することもできる。
【0023】
保護されたカルボキシルの還元は、分子の残部に悪影響を与えない慣用の方法によって、特に、水素化物(例えば、水素化アルミニウムリチウム又は水素化ジイソブチルアルミニウム)をエーテル(例えば、テトラヒドロフラン)のような溶媒中で20〜60℃の温度で作用させることによって実施することが可能である。存在し得るケトン官能基は、特に環状又は非環状のアセタールを経て中間的に保護され、次いで脱保護される。
【0024】
遊離のカルボキシル基の還元は、やはり当業者に知られた方法に従って、例えば、ロジウム若しくはルテニウム系触媒の存在下での水素化、ルイス酸の存在下での水素化硼素ナトリウムの作用又はエーテル中での水素化アルミニウムリチウムの作用によって実施することができる。好ましくは、ケトン官能基は、この場合にも、中間段階で保護される。
【0025】
ヒドロキシメチル又はヒドロキシエチル基のカルボキシメチル又はカルボキシエチル基への転化は、分子の残部に悪影響を及ぼさない慣用の方法に従って、特に、例えば塩化チオニル若しくは三塩化若しくは三臭化燐のようなハロゲン化剤又はトシル化剤の作用、続いてシアン化アルカリ金属、例えばシアン化カリウム若しくはシアン化ナトリウムの作用によって実施して相当するシアノメチル誘導体を得、次いでこのニトリルの加水分解によって実施される。
【0026】
ハロゲン化は、塩素化溶媒(例えば、ジクロルメタン又はクロロホルム)中で0℃〜該溶媒の還流温度までの温度で実施することができる。
【0027】
アンモニアによるアミド化反応は、当業者に知られた慣用の条件下で実施される。操作は、好ましくは、例えば、酸から出発し、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン)、塩素化溶媒(例えば、ジクロルメタン)又はジメチルホルムアミド中でジシクロヘキシルカルボジイミド及びジメチルアミノピリジン又はヒドロキシベンゾトリアゾールの存在下に実施される。
【0028】
アミンへの還元は、同様に、慣用の条件下に、例えば、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン)中で水素化アルミニウムリチウムのような水素化物の作用により、又はジメチルスルフィドの存在下にボランの作用により実施される。
【0029】
4が水素を表わすときは、鎖R3とピロリジン又はアゼチジンの窒素との縮合は、原則的には、R4を有する窒素がこの窒素の周囲の立体障害を念頭に置いて保護されることを要求しない。適当ならば、これが必要であると証明できる例外的な場合として、アミン官能基を保護する慣用の基、例えば、前記したT.W.グリーン、P.G.M.ウッツによる書籍に記載されたものを使用することができる。
【0030】
本発明によれば、Yが基CH2であり且つmが1又は2に等しい一般式(II)の化合物の製造は、次の一般式:
【化4】

(ここで、R1、X1、X2、X3、X4及びX5は上で定義した通りであり、mは1又は2に等しい。)
の複素芳香族誘導体を次の一般式:
【化5】

(ここで、Pは保護基であり、n及びR2は上で定義した通りであり、R2がカルボン酸官能基を表わし又は有するならば、R2は保護された基を表わす。)
の誘導体と縮合させ、続いて、その保護基を除去し及び(又は)続いてこのようにして得られた一般式(II)の芳香族二環化合物の置換基をその後の操作によって転化させて基R1、R'1、R'2、R'3、R'4及びR'5を有する所期の誘導体を得、適当ならば、分子内に依然存在する保護基を除去することによって実施される。
【0031】
Pは、反応と適合できる窒素原子の任意の保護基(例えば、t−ブチルオキシカルボニル又はベンジルオキシカルボニル)であってよい。酸官能基の保護基は、その導入及び除去が分子の残部に悪影響を及ぼさない慣用の基から、特に上記の参考文献に挙げられたものから選ばれる。
【0032】
その反応は、ハロゲン化溶媒、例えばクロロホルム又はジクロルメタン中でトリエチルアミンのようなアミン含有塩基の存在下に、次いで酢酸の存在下にトリアセトキシ水素化硼素ナトリウムのような還元剤の存在下に実施することができ、操作は室温で実施される。
【0033】
mが0に等しい場合には、その製造は、類似の条件下に、次の一般式:
【化6】

(ここで、R1、X1、X2、X3、X4及びX5は上で定義した通りである。)
の誘導体を出発物質として使用して実施される。
【0034】
本発明によれば、YがCHR基(ここに、Rはアルキルである。)である一般式(II)の化合物は、YがCH2である相当する化合物から出発し、強塩基、例えばアルカリ金属t−ブトキシドの作用により製造したキノリンのα−位置の陰イオンにハロゲン化アルキル、好ましくは沃化アルキルを作用させることにより製造することができる。このような反応は当業者に知られている。
【0035】
YがCHOH基であり且つm=1である一般式(II)の化合物の製造は、次の一般式:
【化7】

(ここで、R1、X1、X2、X3、X4及びX5は上で定義した通りである。)
の誘導体を上で定義した一般式(IV)の誘導体と縮合させることにより実施される。その操作は、ジメチルホルムアミドのような溶媒中で過塩素酸リチウム又はナトリウムの存在下に加熱状態で実施することができる。
【0036】
Yがカルボニル基であり且つmが1又は2である一般式(II)の化合物は、YがCHOHである相当する誘導体を酸化することによって製造することができる。この酸化は、例えば、過マンガン酸カリウムを使用し、場合により水酸化ナトリウム溶液(例えば、3N
水酸化ナトリウム)中で−20〜20℃の温度で実施され、或いは、塩化オキサリルをジメチルスルホキシドの存在下に作用させ、次いでトリエチルアミンのようなアミンをジクロルメタン、ジメチルスルホキシドのような不活性溶媒中で−60〜20℃の温度で添加することによって実施される(D.スワーン他によりJ.Org.Chem.、44、4148(1979)に記載された方法から類推)。
【0037】
Yがカルボニル基であり且つmが0である一般式(II)の化合物は、式(IV)のアミンと次の一般式:
【化8】

(ここで、R1、X1、X2、X3、X4及びX5は上で定義した通りである。)
の誘導体とのペプチドカップリング反応によって得ることができる。
その操作は、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾールの存在下に実施される。
【0038】
YがCROH基(ここに、Rはアルキルである。)である一般式(II)の化合物は、Yがカルボニル基である化合物から出発し、当業者に知られた慣用の条件下に適当なハロゲン化アルキルマグネシウムを反応させることによって得ることができる。その操作は、例えば、塩化メチルマグネシウムをテトラヒドロフランのようなエーテル中で作用させることによって実施される。
【0039】
また、YがCHR基(ここに、Rはアルキルである。)である一般式(II)の化合物は、前記のようにして得られるYがCROH基である化合物から出発し、キサントゲン酸エステルによりアルコールを除去することによって得ることができる。このアルコールが強塩基、例えば水素化ナトリウムと反応せしめられ、次いで二硫化炭素が添加され、次いで沃化メチルが添加される。このようにして得られたキサントゲン酸エステルは、次いで水素化トリブチル錫の存在下に加熱される。
【0040】
YがCRNH2基である一般式(II)の化合物は、相当するCROH誘導体から出発し、これをそのトシル化誘導体に転化し、これをアンモニアと反応させることにより製造することができる。その操作は、不活性溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミド又はジメチルスルホキシド中で、好ましくは加圧(2〜20気圧)下に20〜100℃の温度で実施される。
【0041】
トシルオキシ誘導体は、YがCROHである一般式(II)の化合物から出発し、ピリジン中で塩化トシルを−10〜20℃の温度で作用させることによって得られる。
【0042】
YがCRF又はCF2基である一般式(II)の誘導体は、YがCROHである誘導体及びYがカルボニル基である誘導体からそれぞれ弗素化によって製造することができる。この反応は、弗化硫黄[例えば、三弗化アミノ硫黄(例えば、三弗化ジエチルアミノ硫黄(Tetrahedron、44、2875、1988)、三弗化ビス(2−メトキシエチル)アミノ硫黄(Deoxofluor(商標登録))、三弗化モルホリノ硫黄)の存在下、又は四弗化硫黄(J.Org.Chem.、40、3808、1975)の存在下]の存在下に実施される。また、弗素化反応は、ヘキサフルオルプロピルジエチルアミン(日本特許第2039546号)又はN−(2−クロル−1,1,2−トリフルオルエチル)ジエチルアミンのような弗素化剤を使用して実施することもできる。
【0043】
その操作は、塩素化溶媒(例えば、ジクロルメタン、ジクロルエタン、クロロホルム)のような有機溶媒中で又はエーテル(例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン)中で−78〜40℃(好ましくは、0〜30℃)の温度で実施される。操作を不活性媒体中で実施するのが有益である。
【0044】
YがCROHであり且つmが1又は2である一般式(II)の化合物は、Yが基CH2である相当する誘導体を塩基性媒体中で酸化することによって製造することもできる。この酸化は、酸素を、好ましくはジメチルスルホキシドのような不活性媒体中で、t−ブタノール及びカリウム又はナトリウムt−ブトキシドのような塩基の存在下に0〜100℃の温度で作用させることによって実施される。
【0045】
式(II)の化合物上のYのレベルで起こるように意図された上記の反応は、適当ならば、ピロリジン又はアゼチジンの反応性官能基及びR4のレベルでの鎖の反応性官能基を保護した後に、達成される。使用される保護基は、特に、前記したものである。
【0046】
m=1である一般式(III) の化合物は、次式:
【化9】

(ここで、R1、X1、X2、X3、X4及びX5は上で定義した通りである。)
の化合物から出発し、この化合物をアリルトリブチル錫とジメチルホルムアミド中でテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム及び沃化銅の存在下に60℃で反応させて次式:
【化10】

のアリル化化合物を得、この化合物を水−アセトン混合物中でN−メチルモルホリンN−オキシドの存在下に室温で四酸化オスミウムにより酸化して次式:
【化11】

のジオールを得、これをテトラヒドロフラン−水混合物中で室温で過沃素酸ナトリウムにより酸化することによって製造することができる。
一般式(V)の出発物質は、特許出願WO 02/40474に記載のように得ることができる。
【0047】
m=2である一般式(III) の化合物は、上で定義した式(IV)の化合物から出発し、この化合物を9−ボラビシクロ[3.2.1]オクタンで処理することによりヒドロ硼素化反応に付し、続いて過酸化水素による酸化反応に付して次式:
【化12】

の化合物を得、この化合物を、例えば、前記したいわゆるスワーン法によって、次の一般式:
【化13】

の相当するアルデヒドに酸化することによって製造することができる。また、アルコールを所定の条件下にペルイオジナンで処理することからなるいわゆるデス−マーチン法(J.Org.Chem.48、1155−6、1983)を使用することも可能である。
【0048】
一般式(III') の化合物は、次の一般式:
【化14】

(ここで、R1、X1、X2、X3、X4及びX5は上で定義した通りである。)
の化合物から出発し、この化合物を強塩基により処理し、次いで、そのようにして得られた陰イオンをジメチルホルムアミドと反応させることによって得ることができる。強塩基は、好ましくは、ビチルリチウム、sec−ブチルリチウム又はリチウムジイソプロピルアミドであり、操作はエーテル(例えば、テトラヒドロフラン)のような溶媒中で−78℃〜−40℃の温度で実施される。このリチウム含有誘導体とDMFとの縮合は、同じ溶媒中で−78℃〜0℃の温度で実施される。
一般式(X)の化合物は、特許出願WO 02/40474に記載の方法に従って製造することができる。
【0049】
一般式(III") の化合物は、前記した一般式(X)の化合物であってその4位置における陰イオンが前記のように調製されたものを出発物質とし、これをアセトアルデヒドで処理して次の一般式:
【化15】

のアルコールを得、このアルコールを次式(XII ):
【化16】

の相当するケトンに酸化し、これを濃硫酸の存在下に臭素で処理して次の一般式:
【化17】

の化合物を得、次いでこの化合物にケトンの還元剤を作用させて次の一般式:
【化18】

の化合物を得、この化合物に塩基を作用させて所期の化合物を得ることによって製造することができる。
【0050】
ケトンの還元剤は特に水素化硼素であり、操作は例えばテトラヒドロフラン中で実施される。使用される塩基は特に炭酸アルカリ金属又は水酸化アルカリ金属であり、操作は例えばアルカノール中で実施される。
【0051】
一般式(III") の化合物は、前記した一般式(X)の化合物であってその4位置における陰イオンが前記のように調製されたものを出発物質とし、これをクロルぎ酸アルキルで処理して次の一般式:
【化19】

のエステルを得、これを慣用の条件下で塩基によりけん化することによって得ることができる。
【0052】
前記の一般式(IV)の化合物であって、その反応性官能基が遊離であるもの並びに反応性官能基が保護されているいくつかは文献に記載されており、またいくつかについては、n=0又は1であり且つR2がH、CH3、C25、COOH、COOCH3、CH2CO2CH3、CONH2、CH2OHである場合には、市場で入手できる。
参考文献のうちでは、特許出願WO 9414794、WO 0170734、WO 9907696、EP 536035、EP 326916、EP 242789、特開昭63−130594及び特開昭62−030776並びにSynlett、11、783−4、1991及びSynthetic Comm.25(9)、1295−1302、1995が挙げられる。
【0053】
文献に記載されていない式(IV)の化合物は、一般に、これらの文献に記載された方法により、或いは記載された化合物から出発して、当業者に知られた方法により得ることができる。
【0054】
本発明によれば、R4が水素と異なる一般式(I)の化合物は、前記したように、R4が水素と異なる相当する意味を有する一般式(II)の化合物から出発するか、或いはR4が水素である一般式(I)の化合物から出発して、前記した方法のいずれかによって得ることができる。
【0055】
本発明によれば、R4が水素と異なる一般式(II)の化合物は、R4が水素である一般式(II)の化合物から出発して、同様の方法によって得ることができる。
【0056】
適当ならば、そして特に、一般式(II)の化合物を製造するためには、これらの方法の使用は、反応性官能基、特にアミノ及び(又は)カルボキシル及び(又は)ヒドロキシル官能基の中間での保護を要求する。
この保護及び脱保護は、前記した方法に従って実施することができる。
【0057】
4がアルキル基を表わす化合物は、還元剤の存在下に相当するアルデヒドをアミンに作用させることにより得ることができる。この還元剤は、例えば、水素化硼素ナトリウム又は水素化シアノ硼素ナトリウム或いは水素化トリアセトキシ硼素ナトリウムであり、その操作は慣用のハロゲン化溶媒又はアルコール中で実施することができる。この操作を弱酸性のpHで、好ましくは酢酸の存在下に実施するのが有益であろう。
【0058】
4がCHO基を表わす化合物は、アミンに対して、酢酸の存在下にぎ酸を作用させ、又はp−トルエンスルホン酸及びトリエチルアミンの存在下にオルトぎ酸トリエチルを作用させることにより得ることができる。その操作は、ハロゲン化溶媒又はテトラヒドロフラン中で或いはジメチルホルムアミド中で実施することができる。また、ビルスマイヤー型方法に従ってホルミル化を実施することも可能である。
【0059】
4がCOCH3基を表わす化合物は、アミンに対してハロゲン化アセチル又は無水酢酸を作用させることにより得ることができる。その操作は、トリエチルアミンのような塩基の存在下に実施される。
【0060】
4がCH2CO2H基を表わす化合物は、アミンに対してブロム酢酸を作用させ、その操作を前記と同じ条件下で実施するか、又はアミンにグリオキサアルデヒドを作用させ、次いで水素化シアノ硼素ナトリウムを作用させ、その操作を同じ形の溶媒中で実施することによって得ることができる。
【0061】
4がCO−CH2−NH2基を表わす化合物は、アミンに対して、例えばジシクロヘキシルカルボジイミドの存在下にグリシン(グリシンのアミン官能基を保護した後に)を作用させてペプチドカップリングさせるか、又はアミンに対して同じく保護されたグリシンであってその酸官能基が特に塩化オキサリル若しくは塩化チオニルの作用により塩化物の形で予め活性化されているものを作用させることによって得ることができる。この操作は、好ましくはハロゲン化溶媒又はテトラヒドロフラン中で実施される。
【0062】
本発明に従う方法の使用中に得られる反応性官能基が遊離であるか又は保護されている一般式(II)の中間体化合物は、新規であって、それ自体で本発明の一部を構成する。
【0063】
一般式(I)及び(II)の誘導体はそのエナンチオマー若しくはジアステレオマー形又はこれらの形の混合物の形態及び(又は)syn若しくはanti形又はこれらの形の混合物の形態で存在できることを理解されたい。勿論、これらは本発明の範囲内にある。これらの形は、当業者に知られた通常の方法に従って、特にキラルクロマトグラフィーにより又は高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分離することができる。これは実験の部において例示する。
【0064】
一般式(I)の誘導体は、適当ならば、物理的方法、例えば結晶化又はクロマトグラフィーにより精製することができる。
【0065】
一般式(I)の誘導体は、適当ならば、既知の方法により酸又は塩基との付加塩に転化させることができる。これらの酸又は塩基との塩類も本発明の範囲内に入ることを理解されたい。
【0066】
製薬上許容できる酸との付加塩の例としては、無機酸により形成される塩類(例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩又は燐酸塩)又は有機酸により形成される塩類(例えば、こはく酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、マレイ酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、フェニルスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、ナフチルスルホン酸塩又は樟脳スルホン酸塩)或いはこれらの酸の置換誘導体が挙げられる。
【0067】
カルボキシル基を有する一般式(I)の誘導体は、それ自体知られた方法に従って金属塩又は含窒素塩基との付加塩に転化させることができる。これらの塩類は、本発明に従う化合物に金属(例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属)塩基、アンモニア又はアミンをアルコール、エーテル又は水のような適当な溶媒中で作用させることにより、或いは有機酸の塩との交換反応により得ることができる。形成された塩は随意に溶液を濃縮した後に沈澱し、これはろ過、デカンテーション又は凍結乾燥により分離される。製薬上許容できる塩類の例としては、特に、アルカリ金属(ナトリウム、カリウム、リチウム)若しくはアルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム)との塩類、アンモニウム塩、含窒素塩基(エタノールアミン、ジリエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、メチルアミン、プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、ベンジルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N−ベンジル−β−フェネチルアミン、N,N'−ジベンジルエチレンジアミン、ジフェニレンジアミン、ベンズヒドリルアミン、キノン、コリン、アルギニン、リジン、ロイシン、ジベンジルアミン)の塩類が挙げられる。
【0068】
本発明に従う一般式(I)の誘導体は、特に活性な抗菌剤である。
以下の研究はこれを立証するものである。
【0069】
a)インビトロでの活性
NCCLSの勧告に従う寒天培地での希釈法を最少抑止濃度(MIC)(μg/mlで表わす。)の決定のために使用する。例1〜4の化合物の活性を下記の表にまとめる。
【0070】
【表1】

【0071】
しかして、インビトロでは、本発明の化合物の活性は、グラム陽性微生物及びグラム陰性微生物の双方に対して全く顕著であることを立証した。
【0072】
b)本発明に従う化合物は、それらの毒性が低いために特に有益である。化合物のどれもマウスにおいて皮下経路で又は経口で50mg/kgの薬量(1日2回の投与)で毒性を示さなかった。
【0073】
これらの性質は、前記の化合物並びにそれらの製薬上許容できる酸及び塩基との塩類を、グラム陽性細菌によってもたらされる感受性微生物が原因となる状態、特にぶどう球菌が原因となる状態、例えば、ぶどう球菌性敗血症、顔面又は皮膚悪性ぶどう球菌感染症、膿皮症、敗血症性又は化膿性創傷、炭疽、フレグモーネ、丹毒、インフルエンザ初期又はインフルエンザ後の急性ぶどう球菌感染症、気管支肺炎、肺化膿の治療に、並びに連鎖球菌又は腸球菌が原因となる状態の治療に薬剤として使用するのに好適ならしめる。
【0074】
また、これらの化合物は、グラム陰性細菌、例えばインフルエンザ菌やモラクセラ・カタラリス(Moraxella catarrhalis)が原因となる上部及び下部呼吸器感染症の治療に薬剤として使用することができる。
【0075】
従って、本発明の主題は、上で定義した一般式(I)の化合物又はそれらの製薬上許容できる塩類、特に前記した好ましい化合物からなる薬剤、特に人間又は動物における細菌感染症の治療を意図した薬剤である。
【0076】
また、本発明は、本発明に従う少なくとも1種の4−置換キノリン誘導体を、適当ならば、塩の形で、純粋な状態で又は1種以上の適合性の製薬上許容できる希釈剤又は補助剤と組み合わせた形で含有する製薬組成物に関する。
【0077】
本発明に従う組成物は、経口、非経口、局所又は直腸経路で使用することができ或いはエーロゾルとして使用することができる。
経口投与用の固形組成物としては、錠剤、ピル、ゼラチンカプセル、粉剤又は顆粒を使用することができる。これらの組成物においては、本発明による活性化合物が1種以上の希釈剤又は補助剤、例えば蔗糖、乳糖又はでんぷんと混合される。これらの組成物は、希釈剤以外の物質、例えばステアリン酸マグネシウムのような滑剤又は徐放性を意図した被覆を含むことができる。
【0078】
経口投与用の液状組成物としては、水又はパラフィン油のような不活性希釈剤を含有する製薬上許容できる懸濁液、エマルジョン、シロップ及びエリキシル剤である溶液を使用することができる。また、これらの組成物は、希釈剤以外の物質、例えば湿潤剤、甘味料又は香料を含むことができる。
【0079】
非経口用の組成物は、無菌の溶液又はエマルジョンである。溶媒又はビヒクルとして、水、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、特にオリーブ油、注射用の有機酸エステル、例えばオレイン酸エチルを使用することが可能である。また、これらの組成物は、補助剤、特に湿潤剤、等張剤、乳化剤、分散剤及び安定剤も含有することができる。
【0080】
殺菌は、いくつかの方法で、例えば、細菌フィルター、放射線照射又は加熱を使用して実施することができる。また、それらは、使用時に、無菌水又は任意の注射用無菌媒体に溶解できる無菌固形組成物の形で製造することができる。
【0081】
局所投与用の組成物は、例えばクリーム、軟膏、ローション又はエーロゾルである。
直腸投与用の組成物は、活性成分に加えて、ココアバター、半合成グリセリド又はポリエチレングリコールのような補助剤を含有する座薬又は直腸用カプセルである。
【0082】
また、組成物はエーロゾルであることができる。液状エーロゾルの形で使用するためには、この組成物は、使用時に、発熱源を含まない無菌水に、塩水に又は他の任意の製薬上許容できるビヒクルに溶解される安定な無菌溶液又は固形組成物であることができる。直接吸入を意図した乾燥エーロゾルの形で使用するためには、活性成分は、微粒状であり、30〜80μmの平均粒度を有する水溶性固形希釈剤又はビヒクル、例えばデキストラン、マンニット又は乳糖と混合される。
【0083】
人間の治療においては、本発明による新規な4−置換キノリン誘導体は、細菌に由来する感染症の治療に特に有用である。薬量は、所望する効果及び治療期間に依存する。医者は、年齢、体重、感染の程度及び治療する患者に特異的な他の要素に従って最も適切であると判断する投薬を決定しよう。一般的には、薬量は、成人について経口投与では1日当たり2又は3回の投与で750mg〜3gの活性物質であり、或いは静脈内経路で400mg〜1.2gである。
【0084】
下記の例は、本発明に従う組成物を例示する。
a)通常の技術に従って、下記の成分を含む非経口用の液状組成物を調製する。
・1−[(E)−3−(2,5−ジフルオルフェニル)アリル]−3−[2−(3−フルオル−6−メトキシ−4−キノリニル)エチルアミノ]−3−ピロリジンカルボン酸
1g
・グルコース 2.5%とするに要する量
・水酸化ナトリウム pH=4〜4.5とするのに要する量
・注射用の水 20mLとするのに要する量
【0085】
b)通常の技術に従って、下記の成分を含む非経口用の液状組成物を調製する。
・1−[(E)−3−(2,5−ジフルオルフェニル)アリル]−3−[2−(6−メトキシ−4−キノリニル)エチルアミノ]−3−ピロリジンカルボン酸
・グルコース 5%とするに要する量
・水酸化ナトリウム pH=4〜4.5とするのに要する量
・注射用の水 50mLとするのに要する量
【実施例】
【0086】
下記の実施例は本発明を例示するものである。
【0087】
例1
1−[(E)−3−(2,5−ジフルオルフェニル)アリル]−3−[2−(3−フルオル−6−メトキシ−4−キノリニル)エチルアミノ]−3−ピロリジンカルボン酸のエナンチオマーA及びB
1−[(E)−3−(2,5−ジフルオルフェニル)アリル]−3−[2−(3−フルオル−6−メトキシ−4−キノリニル)エチルアミノ]−3−ピロリジンカルボン酸のエナンチオマーAを次の態様で製造することができる。
3.80cm3(19.00ミリモル)の5N水酸化ナトリウム水溶液を、0.226g(0.452ミリモル)の1−[(E)−3−(2,5−ジフルオルフェニル)アリル]−3−[2−(3−フルオル−6−メトキシ−4−キノリニル)エチルアミノ]ピロリジン−3−カルボン酸のエナンチオマーAのメチルエステルを25cm3のジオキサン中に含有する溶液に、撹拌しながら添加し、このようにして得られた黄色溶液を還流温度に加熱し、この温度で18時間撹拌する。次いで、反応媒体を20℃の程度の温度にもたらし、次いで減圧下に濃縮乾燥する。このようにして得られた残留物を、20〜45μmのシリカを15cmまで入れた直径2cmのカラムで、溶離剤としてクロロホルム/メタノール/28%アンモニア水(容量で12/3/0.5)を使用して、大気圧下にクロマトグラフィーすることにより精製する。所期の化合物を含有する画分を一緒にし、減圧下に濃縮して0.150gの淡黄色生成物を得、これを20cm3のジクロルメタン/メタノール(9/1)混合物に溶解して採る。生じた溶液をろ紙によりろ過し、ろ紙を10cm3のジクロルメタン/メタノール(9/1)混合物で2回洗浄し、ろ液を一緒にし、次いで減圧下に濃縮乾燥する。残留物を50cm3のイソプロピルエーテルに溶解して採り、次いで生じた懸濁液を減圧下に濃縮乾燥して0.138gの初期のエナンチオマーAを淡黄色非晶質固体として得た。
[α]D=+25.5°+/−0.7(c=0.5、メタノール中)
MSスペクトル:CI m/z=486 MH+ 基準ピーク
1HNMRスペクトル(300MHz、(CD32SO、δppm):1.82(mt:1H);2.24(mt:1H);2.40(mt:1H);2.73(d、J=11Hz:1H);2.75〜3.05(mt:4H);3.05〜3.40(mt:4H);3.96(s:3H);6.41(dt、J=16及び6Hz:1H);6.58(広いd、J=16Hz:1H);7.13(mt:1H);7.23(分裂t、J=9.5及び5Hz:1H);7.35〜7.50(mt:1H);7.38(dd、J=9及び3Hz:1H);7.48(d、J=3Hz:1H);7.96(d、J=9.5Hz:1H);8.70(広いs:1H)
IRスペクトル(KBrペレット):2962;2834;1621;1512;1490;1385;1264;1240;1145;1033;969;825;799及び727cm-1
【0088】
1−[(E)−3−(2,5−ジフルオルフェニル)アリル]−3−[2−(3−フルオル−6−メトキシ−4−キノリニル)エチルアミノ]−3−ピロリジンカルボン酸のエナンチオマーBを次の態様で製造することができる。
3.85cm3(19.24ミリモル)の5N水酸化ナトリウム水溶液を、0.229g(0.458ミリモル)の1−[(E)−3−(2,5−ジフルオルフェニル)アリル]−3−[2−(3−フルオル−6−メトキシ−4−キノリニル)エチルアミノ]ピロリジン−3−カルボン酸のエナンチオマーBのメチルエステルを25cm3のジオキサン中に含有する溶液に、撹拌しながら添加し、このようにして得られた黄色溶液を還流温度に加熱し、この温度で18時間撹拌する。次いで、反応媒体を20℃の程度の温度にもたらし、次いで減圧下に濃縮乾燥する。このようにして得られた残留物を、20〜45μmのシリカを21cmまで入れた直径2cmのカラムで、溶離剤としてクロロホルム/メタノール/28%アンモニア水(容量で12/3/0.5)を使用して、大気圧下にクロマトグラフィーすることにより精製する。所期の化合物を含有する画分を一緒にし、減圧下に濃縮して0.150gの淡黄色生成物を得、これを20cm3のジクロルメタン/メタノール(9/1)混合物に溶解して採る。生じた溶液をろ紙によりろ過し、ろ紙を10cm3のジクロルメタン/メタノール(9/1)混合物で2回洗浄し、ろ液を一緒にし、次いで減圧下に濃縮乾燥する。残留物を50cm3のイソプロピルエーテルに溶解して採り、次いで生じた懸濁液を減圧下に濃縮乾燥して0.143gの初期のエナンチオマーBを淡黄色非晶質固体として得た。
[α]D=−21.6°+/−0.7(c=0.5、メタノール中)
MSスペクトル:CI m/z=486 MH+ 基準ピーク
1HNMRスペクトル(300MHz、数滴のCD3COODd4を添加した(CD32SO、δppm):2.02(mt:1H);2.33(mt:1H);2.65(mt:1H);2.94(d、J=11Hz:1H);3.00〜3.20(mt:3H);3.22(d、J=11Hz:1H);3.30〜3.50(mt:4H);3.93(s:3H);6.41(dt、J=16及び6Hz:1H);6.67(広いd、J=16Hz:1H);7.14(mt:1H);7.23(分裂t、J=9.5及び5Hz:1H);7.35〜7.45(mt:1H);7.38(dd、J=9及び3Hz:1H);7.44(d、J=3Hz:1H);7.96(d、J=9.5Hz:1H);8.70(広いs:1H)
IRスペクトル(KBrペレット):2928;2835;1621;1510;1490;1384;1264;1239;1146;1032;969;825;799及び727cm-1
【0089】
1−[(E)−3−(2,5−ジフルオルフェニル)アリル]−3−[2−(3−フルオル−6−メトキシ−4−キノリニル)エチルアミノ]−3−ピロリジンカルボン酸メチルエステルのエナンチオマーA及びBを次の態様で製造することができる。
2.3g(16.5ミリモル)の炭酸カリウム、0.603g(3.63ミリモル)の沃化カリウム、そして、1g(3.8ミリモル)の塩化(2,5−ジフルオルフェニル)アリル{特許出願WO 9307109に記載の方法により製造した。}を無水アセトニトリル中に含有する溶液の30cm3(5分間で)を、不活性雰囲気下に攪拌しながら、1.15g(3.3ミリモル)の3−(RS)−3−[2−(3−フルオル−6−メトキシ−4−キノリニル)エチルアミノ]−3−ピロリジンカルボン酸メチルエステルを90cm3の無水アセトニトリル中に含有する溶液に添加する。このようにして得られた黄色懸濁液を5時間加熱還流し、次いで20℃の程度の温度にもたらし、18時間撹拌する。次いで、反応媒体をろ過し、残留物を30cm3のアセトニトリルで3回すすぎ、ろ液を減圧下に濃縮する。このようにして得られた残留物を250cm3の酢酸エチルで溶解して採り、有機相を水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ紙でろ過し、減圧下に濃縮する。このようにして得られたオレンジ色油状物を20〜45μmのシリカを26cmまで入れた直径3.5cmのカラムで、溶離剤として酢酸エチル/メタノール(90/10)混合物、次いでジクロルメタン/メタノール(95/5)混合物を使用して、大気圧下にクロマトグラフィーすることにより精製する。所期の化合物を含有する画分を一緒にし、減圧下に濃縮して0.427gの3−(RS)−1−[(E)−3−(2,5−ジフルオルフェニル)アリル]−3−[2−(3−フルオル−6−メトキシキノリン−4−イル)エチルアミノ]ピロリジン−3−カルボン酸メチルエステルを粘稠な黄色油状物として得た。
MSスペクトル:EI m/z=499 M+;m/z=440(M−CO2CH3+;m/z=346(M−C972+;m/z=279(M−C1213ON2F)+;m/z=153 C972+;m/z=42 C24+ 基準ピーク
1HNMRスペクトル(300MHz、(CD32SO、δppm):1.70(mt:1H);2.20(mt:1H);2.40(未分割、複合:1H);2.55〜2.80(mt:4H);3.03(広いd、J=10Hz:1H);3.10〜3.20(mt:4H);3.58(s:3H);3.95(s:3H);6.45(dt、J=16及び6Hz:1H);6.58(広いd、J=16Hz:1H);7.13(mt:1H);7.25(分裂t、J=9.5及び5Hz:1H);7.39(dd、J=9及び3Hz:1H);7.43(d、J=3Hz:1H);7.50(ddd、J=9.5−6及び3Hz:1H);7.96(d、J=9Hz:1H);8.69(広いs:1H)
IRスペクトル(CH2Cl2溶液):2985;2805;1730;1621;1508;1490;1469;1277;1232;1145;1088;1030;972及び834cm-1
【0090】
また、0.294gの3−(RS)−1−[(E)−3−(2,5−ジフルオルフェニル)アリル]−3−[2−(3−フルオル−6−メトキシ−4−キノリニル)エチルアミノ]−3−ピロリジンカルボン酸メチルエステル塩酸塩も黄色油状物として回収された。
MSスペクトル:EI m/z=499 M+;m/z=440(M−CO2CH3+;m/z=346(M−C972+;m/z=279(M−C1213ON2F)+;m/z=153 C972+;m/z=42 C24+ 基準ピーク
【0091】
上記の化合物を含有する酢酸エチル溶液を重炭酸ナトリウム水溶液により処理し、有機相をデカンテーションし、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下に濃縮することによって該化合物を再度その遊離塩基にする。このようにして得られた化合物を先の画分と混合し、次いでChiracel OD 20μm相でキラルクロマトグラフィーし、溶離剤としてヘプタン95%/iPrOH5%/TEA0.5%混合物を使用して二つのエナンチオマーを分離する。検出は265nmで行なう。しかして、下記のものが得られた。
【0092】
*0.226gの琥珀色ガム質の1−[(E)−3−(2,5−ジフルオルフェニル)アリル]−3−[2−(3−フルオル−6−メトキシ−4−キノリニル)エチルアミノ]−3−ピロリジンカルボン酸メチルエステルのエナンチオマーA
[α]D=+12.9°+/−0.7(c=0.5、メタノール中)
MSスペクトル:EI m/z=499 M+;m/z=440(M−CO2CH3+;m/z=346(M−C972+;m/z=279(M−C1213ON2F)+;m/z=153 C972+;m/z=42 C24+ 基準ピーク
1HNMRスペクトル(300MHz、(CD32SO、δppm):1.70(mt:1H);2.20(mt:1H);2.39(d、J=10Hz:1H);2.48(mt:1H);2.55〜2.80(mt:4H);3.03(広いd、J=10Hz:1H);3.14(広いd、J=6Hz:2H);3.18(広いt:J=7.5Hz:2H);3.59(s:3H);3.97(s:3H);6.45(dt、J=16及び6Hz:1H);6.59(広いd、J=16Hz:1H);7.13(mt:1H);7.25(分裂t、J=9.5及び5Hz:1H);7.39(dd、J=9及び3Hz:1H);7.43(d、J=3Hz:1H);7.50(ddd、J=9.5−6及び3Hz:1H);7.96(d、J=9Hz:1H);8.69(広いs:1H)
IRスペクトル(CCl4溶液):3077;3033;2935;2928;2832;2801;1732;1622;1507;1490;1469;1431;1263;1232;1217;1140;1034;971;909;872及び833cm-1
【0093】
*0.229gの琥珀色ガム質の1−[(E)−3−(2,5−ジフルオルフェニル)アリル]−3−[2−(3−フルオル−6−メトキシ−4−キノリニル)エチルアミノ]−3−ピロリジンカルボン酸メチルエステルのエナンチオマーB
[α]D=−5.2°+/−0.7(c=0.5、メタノール中)
MSスペクトル:EI m/z=499 M+;m/z=440(M−CO2CH3+;m/z=346(M−C972+;m/z=279(M−C1213ON2F)+;m/z=153 C972+;m/z=42 C24+ 基準ピーク
1HNMRスペクトル(300MHz、(CD32SO、δppm):1.70(mt:1H);2.20(mt:1H);2.39(d、J=10Hz:1H);2.48(t、J=7.5Hz:1H);2.55〜2.80(mt:4H);3.03(d、J=10Hz:1H);3.14(広いd、J=6Hz:2H);3.18(広いt:J=7.5Hz:2H);3.59(s:3H);3.97(s:3H);6.45(dt、J=16及び6Hz:1H);6.59(広いd、J=16Hz:1H);7.13(mt:1H);7.25(分裂t、J=9.5及び5Hz:1H);7.39(dd、J=9及び3Hz:1H);7.43(d、J=3Hz:1H);7.50(ddd、J=9.5−6及び3Hz:1H);7.96(d、J=9Hz:1H);8.69(広いs:1H)
IRスペクトル(CCl4溶液):3077;3033;2935;2928;2831;2800;1733;1622;1507;1490;1469;1431;1263;1232;1217;1140;1034;971;909;873及び833cm-1
【0094】
3−(RS)−3−[2−(3−フルオル−6−メトキシ−4−キノリニル)エチルアミノ]−3−ピロリジンカルボン酸メチルエステルは、次の態様で製造することができる。
25cm3のシクロヘキサンを、1.8g(4.114ミリモル)の3−(RS)−1−ベンジル−3−[2−(3−フルオル−6−メトキシ−4−キノリニル)エチルアミノ]−3−ピロリジンカルボン酸メチルエステルを160cm3のメタノール中に含有する溶液に撹拌しながら添加し、次いで1.8gの10%パラジウム炭を添加する。
このようにして得られた黒色懸濁液を還流温度に加熱し、この温度で1時間撹拌してから、20℃程度の温度にもたらす。反応媒体をろ紙でろ過し、残留物を30cm3のメタノールで5回洗浄する。ろ液を減圧下に濃縮して1.15gの所期のエステルを黄色油状物として得た。
MSスペクトル:EI m/z=347 M+;m/z=305(M−C24N)+;m/z=288(M−CO2CH3+;m/z=192 C1111ONF+基準ピーク;m/z=157 C71322+;m/z=42 C24+
【0095】
3−(RS)−1−ベンジル−3−[2−(3−フルオル−6−メトキシ−4−キノリニル)エチルアミノ]−3−ピロリジンカルボン酸メチルエステルは、次の態様で製造することができる。
2.08g(6.766ミリモル)の3−(RS)−3−アミノ−3−ピロリジンカルボン酸メチルエステル二塩酸塩{マモン他によりSynth.Commun.1995、25(9)、1295−1302に記載された方法に従って製造した酸}、そして、1.9cm3(13.53ミリモル)のトリエチルアミンを30cm3の無水クロロホルムに溶解してなる溶液(5分間で)を、1.5g(6.766ミリモル)の(3−フルオル−6−メトキシ−4−キノリニル)アセトアルデヒドを70cm3の無水クロロホルム中に含有する溶液に、不活性雰囲気(アルゴン)下に撹拌しながら添加する。この懸濁液を不活性雰囲気下に20℃程度の温度で18時間激しく撹拌する。このようにして得られた透明オレンジ色溶液を減圧下に濃縮して黄色残留物とし、これを100cm3の1,2−ジクロルエタンで溶解して採り、20℃程度の温度で撹拌する。このようにして得られた黄色懸濁液に2.12g(9.472ミリモル)の水素化トリアセトキシ硼素ナトリウムを添加し、次いで0.547cm3(9.472ミリモル)の酢酸を添加する。このようにして得られた懸濁液を20℃程度の温度で18時間撹拌する。次いで、反応媒体を300cm3のジクロルメタンで希釈し、有機相を150cm3の水で5回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ紙でろ過し、次いで減圧下に濃縮乾燥する。このようにして得られた残留物を70〜200μmのシリカのカラムで、溶離剤として酢酸エチル/メタノール(95/5)混合物を使用して、大気圧下にクロマトグラフィーすることにより精製する。所期の化合物を含有する画分を一緒にし、減圧下に濃縮して1.8gの所期のエステルを黄色油状物として得た。
MSスペクトル:EI m/z=437 M+;m/z=378(M−CO2CH3+;m/z=346(M−C77+;m/z=219 C13172+;m/z=133 C911+;m/z=91 C77+;m/z=42 C24+ 基準ピーク
【0096】
(3−フルオル−6−メトキシ−4−キノリニル)アセトアルデヒドは、次の態様で製造することができる。
90cm3の蒸留水を、1.7g(6.766ミリモル)の3−(3−フルオル−6−メトキシ−4−キノリニル)プロパン−1,2−ジオールを90cm3のテトラヒドロフラン中に含有する懸濁液に撹拌しながら添加し、次いで7.3g(33.83ミリモル)の過沃素酸ナトリウムを添加する。このようにして得られた黄色懸濁液を20℃程度の温度で90分間撹拌し、次いで300cm3の水で希釈する。水性相を200cm3の酢酸エチルで3回抽出し、有機相を一緒にし、100cm3の水で3回洗浄する。このようにして作られたエマルジョンを100cm3の塩水で溶解して採り、デカンテーションし、有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ紙でろ過し、次いで減圧下に濃縮乾燥して1.5gの所期の化合物を淡黄色固体として得た。これは次の工程にそのまま使用する。
MSスペクトル:EI m/z=219 M+;m/z=191(M−CO)+ 基準ピーク
【0097】
3−(3−フルオル−6−メトキシ−4−キノリニル)プロパン−1,2−ジオールは次の態様で製造することができる。
5.2g(43.73ミリモル)のN−メチルモルホリンN−オキシドを、1.9g(8.746ミリモル)の4−アリル−3−フルオル−6−メトキシキノリンを75cm3のアセトン及び15cm3の水中に含有する溶液に撹拌しながら添加し、次いで2cm3の2%四酸化オスミウムt−ブチルアルコール溶液を添加する。この黒色溶液を20℃程度の温度で終夜撹拌する。次いで、反応媒体を0℃程度の温度に冷却し、次いで30cm3の飽和Na2SO3・5H2O水溶液で処理する。このようにして得られた溶液を0℃程度の温度で15分間撹拌し、次いで150cm3の酢酸エチルで希釈する。有機相をデカンテーションし、水性相を100cm3の酢酸エチルで3回抽出する。有機相を一緒にし、50cm3の水で3回洗浄し、次いで無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ紙でろ過し、減圧下に濃縮乾燥する。このようにして得られた固形残留物を50cm3の酢酸エチルで溶解して採り、20℃程度の温度で30分間撹拌する。このようにして得られた懸濁液をろ過し、固形物を酢酸エチルで洗浄し、次いでイソプロピルエーテルで洗浄する。このようにして得られた固体を真空デシケーターにおいて2時間乾燥して1.6gの所期の化合物を融点が162℃のクリーム色結晶として得た。
MSスペクトル:EI m/z=251 M+;m/z=191(M−C242+ 基準ピーク;m/z=61 C252+
【0098】
4−アリル−3−フルオル−6−メトキシキノリンは次の態様で製造することができる。
7.2cm3(22.5ミリモル)のアリルトリブチル錫、0.88g(0.75ミリモル)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム及び0.575g(3ミリモル)の沃化銅(I)を、4.55g(15ミリモル)の4−ヨード−3−フルオル−6−メトキシキノリン{特許出願WO 0240474に記載の方法により製造した。}を150cm3のDMF中に含有する懸濁液に添加する。この懸濁液を不活性雰囲気(アルゴン)下に60℃程度の温度で24時間撹拌する。次いで、この反応媒体を20℃程度の温度にもたらし、500cm3の酢酸エチルで希釈し、300cm3の水で3回洗浄する。形成されるエマルジョンをNo.4焼結ガラスでろ過し、残留物を100cm3の水で3回洗浄し、次いで100cm3の酢酸エチルで3回洗浄する。有機相を一緒にし、無水硫酸マグネシウムで乾燥する。この懸濁液をろ紙でろ過し、溶液を減圧下に濃縮乾燥する。このようにして得られた残留物を20〜45μmのシリカカラムで、溶離剤としてジクロルメタン/酢酸エチル(容量で95/5)混合物を使用して、大気圧下にクロマトグラフィーすることにより精製する。所期の化合物を含有する画分を一緒にし、減圧下に濃縮する。1.9gの所期の化合物を黄色油状物として得た。
MSスペクトル:CI m/z=218 M+ 基準ピーク
【0099】
例2
3−(RS)−1−[(E)−3−(2,5−ジフルオルフェニル)アリル]−3−[2−(3−クロル−6−メトキシ−4−キノリニル)エチルアミノ]−3−ピロリジンカルボン酸ナトリウム塩
2.1cm3(10.18ミリモル)の5N水酸化ナトリウム水溶液を、0.125g(0.242ミリモル)の3−(RS)−1−[(E)−3−(2,5−ジフルオルフェニル)アリル]−3−[2−(3−クロル−6−メトキシ−4−キノリニル)エチルアミノ]−3−ピロリジンカルボン酸メチルエステルを20cm3のジオキサン中に含有する溶液に撹拌しながら添加し、このようにして得られたオレンジ色溶液を還流温度に加熱し、この温度で18時間撹拌する。次いで、反応媒体を20℃程度の温度にもたらし、次いで減圧下に濃縮乾燥する。このようにして得られた残留物を20〜45μmのシリカを15cmまで入れた直径2.5cmのカラムで大気圧下に、溶離剤としてクロロホルム/メタノール/28%アンモニア水(12/3/0.5)混合物を使用して、クロマトグラフィーすることにより精製する。所期の化合物を含有する画分を一緒にし、減圧下に濃縮する。0.038gの所期のナトリウム塩を淡黄色発泡体として得た。
質量スペクトル(EI):m/z=501 M+;m/z=265 C14132NF2+;m/z=207 C1110ONCl2+;m/z=153 C972+(基準ピーク);m/z=42 C24+
1HNMRスペクトル(300MHz、数滴のCD3COODd4を添加した(CD32SO、δppm):2.05(mt:1H);2.35(mt:1H);2.72(mt:1H);3.00(広いd、J=10.5Hz:1H);3.00〜3.20及び3.30〜3.65(mts:7H);3.25(広いd、J=10.5Hz:1H);3.97(s:3H);6.42(dt、J=16及び7Hz:1H);6.69(広いd、J=16Hz:1H);7.05〜7.30(mt:2H);7.35〜7.45(mt:1H);7.44(広いdd、J=9及び3Hz:1H);7.50(広いd、J=3Hz:1H);7.97(d、J=9Hz:1H);8.68(s:1H)
IRスペクトル(KBrペレット):3064;2920;2850;2379;1621;1506;1490;1387;1261;1233;1178;1122;1026;971;872;825及び727cm-1
【0100】
3−(RS)−1−[(E)−3−(2,5−ジフルオルフェニル)アリル]−3−[2−(3−クロル−6−メトキシ−4−キノリニル)エチルアミノ]−3−ピロリジンカルボン酸メチルエステルは次の態様で製造することができる。
0.456g(3.3ミリモル)の炭酸カリウム、0.121g(0.726ミリモル)の沃化カリウム及び、5分間で、0.15g(0.760ミリモル)の塩化(2,5−ジフルオルフェニル)アリル{特許出願WO 9307109に記載の方法により製造した。}を無水アセトニトリル中に含有する溶液の10cm3を、0.240g(0.66ミリモル)の3−(RS)−3−[2−(3−クロル−6−メトキシ−4−キノリニル)エチルアミノ]−3−ピロリジンカルボン酸メチルエステルを30cm3の無水アセトニトリル中に含有する溶液に、不活性雰囲気(アルゴン)下に攪拌しながら添加する。このようにして得られた黄色懸濁液を8時間加熱還流し、次いで20℃程度の温度にもたらし、18時間撹拌する。次いで、反応媒体をろ過し、残留物を15cm3のアセトニトリルで3回すすぎ、ろ液を減圧下に濃縮乾燥する。このようにして得られた残留物を50cm3の酢酸エチルで溶解して採り、有機相を15cm3の水で3回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ紙でろ過し、減圧下に濃縮する。このようにして得られたオレンジ色油状物を20〜45μmのシリカを15cmまで入れた直径2cmのカラムで、溶離剤として酢酸エチル/メタノール(95/5)混合物、次いで酢酸エチル/メタノール(95/5)混合物を使用して、大気圧下にクロマトグラフィーすることにより精製する。所期の化合物を含有する画分を一緒にし、減圧下に濃縮する。0.147gの所期の化合物を黄色発泡体として得た。
IRスペクトル(KBrペレット):2953;2651;1731;1621;1504;1491;1432;1423;1272;1261;1231;1195;1117;1040;1024;973;832及び727cm-1
【0101】
3−(RS)−3−[2−(3−クロル−6−メトキシキノリン−4−イル)エチルアミノ]ピロリジン−3−カルボン酸メチルエステルは、次の態様で製造することができる。
33%の臭化水素酸を酢酸中に含有する溶液の1.1cm3(6.132ミリモル、3当量)を、1.03g(2.044ミリモル)の1−ビニルオキシカルボニル−3−{[2−(3−クロル−6−メトキシ−4−キノリニル)エチル]ビニルオキシカルボニルアミノ}−3−ピロリジンカルボン酸メチルエステルを10cm3の酢酸中に含有する溶液に不活性雰囲気下に撹拌しながら15℃程度の温度で約15分間滴下する。このようにして得られたオレンジ色溶液を20℃程度の温度で3時間撹拌する。次いで、反応媒体を減圧下に濃縮し、得られた残留物を50cm3の水に溶解して採り、溶液のpHをNaHCO3溶液により9程度の値にもたらし、このようにして得られた水性相を100cm3の酢酸エチルで3回抽出する。有機相を一緒にし、30cm3の水で3回洗浄し、無水MgSO4で乾燥し、ろ過し、減圧下に濃縮する。このようにして得られた残留物を20〜45μmのシリカカラムで、溶離剤としてジクロルメタン/メタノール(50/50)混合物を使用して、大気圧下にクロマトグラフィーすることにより精製する。所期の化合物を含有する画分を一緒にし、減圧下に濃縮する。0.240gの所期のエステルをオレンジ色油状物として得た。
質量スペクトル(CI):m/z=364 MH+(基準ピーク)
【0102】
3−(RS)−1−ビニルオキシカルボニル−3−{[2−(3−クロル−6−メトキシ−4−キノリニル)エチル]ビニルオキシカルボニルアミノ}−3−ピロリジンカルボン酸メチルエステルは、次の態様で製造することができる。
0.55cm3(6.343ミリモル、2.2当量)の塩化ビニルオキシカルボニルを、1.2g(2.643ミリモル)の3−(RS)−1−ベンジル−3−[2−(3−クロル−6−メトキシ−4−キノリニル)エチルアミノ]−3−ピロリジンカルボン酸メチルエステル(後記のように製造した。)を100cm3の1,2−ジクロルエタン中に含有する溶液に、不活性雰囲気下に撹拌しながら、添加する。得られたオレンジ色溶液を20℃程度の温度で1時間撹拌し、次いで100℃程度の温度で3時間撹拌する。次いで、反応媒体を減圧下に濃縮し、このようにして得られた残留物を20〜45μmのシリカのカラムで、溶離剤としてジクロルメタン、次いでジクロルメタン/酢酸エチル(95/5)混合物を使用して、大気圧下にクロマトグラフィーすることにより精製する。所期の化合物を含有する画分を一緒にし、減圧下に濃縮する。0.550gの所期のエステルをオレンジ色油状物として得た。
質量スペクトル(CI):m/z=504 MH+(基準ピーク)
【0103】
例3
3−(RS)−1−[(E)−3−(2,5−ジフルオルフェニル)アリル]−3−[2−(6−メトキシ−4−キノリニル)エチルアミノ]−3−ピロリジンカルボン酸
7.7cm3(38.39ミリモル)の5N水酸化ナトリウム水溶液を、0.44g(0.914ミリモル)の3−(RS)−1−[(E)−3−(2,5−ジフルオルフェニル)アリル]−3−[2−(6−メトキシ−4−キノリニル)エチルアミノ]−3−ピロリジンカルボン酸メチルエステルを50cm3のジオキサン中に含有する溶液に撹拌しながら添加し、このようにして得られたオレンジ色溶液を還流温度に加熱し、この温度で18時間撹拌する。次いで、反応媒体を20℃程度の温度にもたらし、次いで減圧下に濃縮乾燥する。このようにして得られた残留物を20〜45μmのシリカを21cmまで入れた直径2cmのカラムで大気圧下に、溶離剤としてクロロホルム/メタノール/28%アンモニア水(40/5/0.5)混合物を使用して、クロマトグラフィーすることにより精製する。所期の化合物を含有する画分を一緒にし、減圧下に濃縮して0.360gの淡黄色発泡体を得た。これを25cm3のジクロルメタン/メタノール(9/1)混合物に溶解して採る。生じた溶液をろ過し、フィルターをジクロルメタン/メタノール(9/1)混合物で洗浄し、ろ液を一緒にし、減圧下に濃縮乾燥する。残留物を50cm3のイソプロピルエーテルに溶解して採り、10分間攪拌し、次いで生じた懸濁液を減圧下に濃縮乾燥して0.330gの所期の酸を淡黄色固体として得た。
MSスペクトル:EI m/z=467 M+;m/z=282(M−C1211ON)+;m/z=185 C1211ON+ 基準ピーク;m/z=42 C24+
1HNMRスペクトル(300MHz、数滴のCD3COODを添加した(CD32SO、δppm):2.05(mt:1H);2.34(mt:1H);2.65(mt:1H);2.95(d、J=11Hz:1H);3.05〜3.20(mt:3H);3.25(d,j=11Hz:1H);3.30〜3.50(mt:4H);3.92(s:3H);6.42(dt、J=16及び6Hz:1H);6.7(広いd、J=16Hz:1H);7.13(mt:1H);7.23(分割t、J=9.5及び5Hz:1H);7.35〜7.50(mt:4H);7.95(d、J=9.5Hz:1H);8.66(d、J=4.5Hz:1H)
IRスペクトル(KBrペレット):2961;2832;1621;1592;1510;1490;1476;1431;1367;1263;1242;1228;1145;1082;1030;969;847;821及び727cm-1
【0104】
3−(RS)−1−[(E)−3−(2,5−ジフルオルフェニル)アリル]−3−[2−(6−メトキシ−4−キノリニル)エチルアミノ]−3−ピロリジンカルボン酸メチルエステルは次の態様で製造することができる。
1.82g(10.94ミリモル)の炭酸カリウム、0.400g(2.406ミリモル)の沃化カリウム及び、5分間で、0.600g(2.517ミリモル)の塩化(2,5−ジフルオルフェニル)アリル{特許出願WO 9307109に記載の方法により製造した。}を無水アセトニトリル中に含有する溶液の10cm3を、0.8g(2.187ミリモル)の3−(RS)−3−[2−(6−メトキシ−4−キノリニル)エチルアミノ]−3−ピロリジンカルボン酸メチルエステルを60cm3の無水アセトニトリル中に含有する溶液に不活性雰囲気(アルゴン)下に攪拌しながら添加する。このようにして得られた黄色懸濁液を5時間加熱還流し、次いで20℃程度の温度にもたらし、18時間撹拌する。次いで、反応媒体をNO.4焼結ガラスでろ過し、残留物を30cm3のアセトニトリルで3回すすぎ、ろ液を減圧下に濃縮する。このようにして得られた残留物を250cm3の酢酸エチルで溶解して採り、有機相を100m3の水で3回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、減圧下に濃縮する。このようにして得られたオレンジ色油状物を70〜200μmのシリカカラムで、溶離剤として酢酸エチル/メタノール(90/10)混合物、次いでジクロルメタン/メタノール(90/10)混合物を使用して、大気圧下にクロマトグラフィーすることにより精製する。所期の化合物を含有する画分を一緒にし、減圧下に濃縮する。0.460gの所期のエステルを黄色油状物として得た。
MSスペクトル:ES m/z=431 MH+ 基準ピーク
1HNMRスペクトル(300MHz、(CD32SO、δppm):1.27(mt:1H);2.23(mt:1H);2.46(d、J=10Hz:1H);2.50〜2.85(mt:5H);3.05(d、J=10Hz:1H);3.10〜3.25(mt:4H);3.60(s:3H);3.95(s:3H);6.47(dt、J=16及び6Hz:1H);6.62(広いd、J=16Hz:1H);7.14(mt:1H);7.26(分割t、J=9.5及び5Hz:1H);7.35(d、J=4.5Hz:1H);7.40(mt:2H);7.51(ddd、J=9.5−6及び3Hz:1H);7.94(d、J=9Hz:1H);8.64(d、J=4.5Hz:1H)
IRスペクトル(CCl4溶液):3076;3031;2952;2907;2833;2800;1733;1621;1593;1508;1490;1474;1431;1262;1241;1229;1196;1036;971;872及び850cm-1
【0105】
3−(RS)−3−[2−(6−メトキシ−4−キノリニル)エチルアミノ]−3−ピロリジンカルボン酸メチルエステル二塩酸塩は、次の態様で製造することができる。
15cm3のシクロヘキセンを、1.2g(2.643ミリモル)の3−(RS)−1−ベンジル−3−[2−(3−クロル−6−メトキシ−4−キノリニル)エチルアミノ]−3−ピロリジンカルボン酸メチルエステルを100cm3のメタノール中に含有する溶液に撹拌しながら添加し、次いで1.2gの10%パラジウム炭を添加する。このようにして得られた黒色懸濁液を還流加熱し、この温度で1時間撹拌してから、20℃程度の温度にもたらす。反応媒体をろ過し、残留物を20cm3のメタノールで5回洗浄する。ろ液を減圧下に濃縮して0.8gの所期のエステルの二塩酸塩を黄色油状物として得た。
MSスペクトル:EI m/z=329 M+;m/z=287(M−C24N)+;m/z=270(M−CO2CH3+;m/z=173 C1111ON+ 基準ピーク;m/z=42 C24+;m/z=36 HCl+
【0106】
3−(RS)−1−ベンジル−3−[2−(3−クロル−6−メトキシ−4−キノリニル)エチルアミノ]−3−ピロリジンカルボン酸メチルエステルは、次の態様で製造することができる。
1.38g(4.5ミリモル)の3−(RS)−3−アミノ−3−ピロリジンカルボン酸メチルエステル二塩酸塩及び、5分間で、1.27cm3(9ミリモル)のトリエチルアミンを15cm3の無水クロロホルムに溶解してなる溶液を、1.06g(4.5ミリモル)の(3−クロル−6−メトキシ−4−キノリニル)アセトアルデヒドを45cm3の無水クロロホルム中に含有する溶液に不活性雰囲気(アルゴン)下に撹拌しながら添加する。この懸濁液を不活性雰囲気下に20℃程度の温度で18時間激しく撹拌する。このようにして得られた溶液を減圧下に濃縮して残留物とし、これを60cm3の1,2−ジクロルエタンで溶解して採り、20℃程度の温度で撹拌する。このようにして得られた懸濁液に1.4g(6.3ミリモル)の水素化トリアセトキシ硼素ナトリウムを添加し、次いで0.364cm3(6.3ミリモル)の酢酸を添加する。このようにして得られた懸濁液を20℃程度の温度で18時間撹拌する。次いで、反応媒体を250cm3のジクロルメタンで希釈し、有機相を100cm3の水で5回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、次いで減圧下に濃縮乾燥する。このようにして得られた残留物を70〜200μmのシリカのカラムで、溶離剤として酢酸エチル/メタノール(95/5)混合物を使用して、大気圧下にクロマトグラフィーすることにより精製する。所期の化合物を含有する画分を一緒にし、減圧下に濃縮する。1.2gの所期のメチルエステルを黄色油状物として得た。
MSスペクトル:EI m/z=453 M+;m/z=394(M−CO2CH3+;m/z=362(M−C77+;m/z=219 C13172+;m/z=133 C911+;m/z=91 C77+;m/z=42 C24+ 基準ピーク
【0107】
(3−クロル−6−メトキシ−4−キノリニル)アセトアルデヒドは、次の態様で製造することができる。
60cm3の蒸留水を、1.2g(4.55ミリモル)の3−(3−クロル−6−メトキシ−4−キノリニル)プロパン−1,2−ジオールを60cm3のテトラヒドロフラン中に含有する懸濁液に撹拌しながら添加し、次いで4.8g(22.5ミリ)の過沃素酸ナトリウムを添加する。このようにして得られた黄色懸濁液を20℃程度の温度で90分間撹拌し、次いで280cm3の水で希釈する。水性相を150cm3の酢酸エチルで3回抽出し、有機相を一緒にし、100cm3の水で3回洗浄する。このようにして作られたエマルジョンを100cm3の塩水で溶解して採り、デカンテーションし、有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ紙でろ過し、次いで減圧下に濃縮乾燥して1.1gの所期の化合物を淡黄色固体として得た。これは次の工程にそのまま使用する。
MSスペクトル:EI m/z=235 M+;m/z=207(M−CO)+ 基準ピーク
【0108】
3−(3−クロル−6−メトキシ−4−キノリニル)プロパン−1,2−ジオールは次の態様で製造することができる。
4.7g(39.58ミリモル)のN−メチルモルホリンN−オキシドを、1.85g(7.916ミリモル)の4−アリル−3−クロル−6−メトキシキノリンを75cm3のアセトン及び15cm3の水中に含有する溶液に撹拌しながら添加し、次いで1.8cm3の2%四酸化オスミウムt−ブチルアルコール溶液を添加する。この黒色溶液を20℃程度の温度で終夜撹拌する。次いで、反応媒体を0℃程度の温度に冷却し、次いで30cm3の飽和Na2SO3・5H2O水溶液で処理する。このようにして得られた溶液を0℃程度の温度で15分間撹拌し、次いで150cm3の酢酸エチルで希釈する。有機相をデカンテーションし、水性相を100cm3の酢酸エチルで3回抽出する。有機相を一緒にし、50cm3の水で3回洗浄し、次いで無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、減圧下に濃縮乾燥する。このようにして得られた固形残留物を50cm3の酢酸エチルで溶解して採り、20℃程度の温度で30分間撹拌する。このようにして得られた懸濁液をろ過し、固形物を10cm3の酢酸エチルで3回洗浄し、次いで10cm3のイソプロピルエーテルで3回洗浄する。このようにして得られた固体を2時間減圧乾燥して1.2gの所期の化合物を融点が138℃の結晶として得た。
MSスペクトル:EI m/z=267 M+;m/z=207(M−C242+ 基準ピーク;m/z=61 C252+
【0109】
4−アリル−3−クロル−6−メトキシキノリンは次の態様で製造することができる。
14.4cm3(45ミリモル)のアリルトリブチル錫、1.75g(1.5ミリモル)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム及び1.2g(6ミリモル)の沃化銅(I)を、8.2g(30ミリモル)の4−ブロム−3−クロル−6−メトキシキノリン{特許出願WO 0240474に記載の方法により製造した。}を250cm3のDMF中に含有する溶液に添加する。この懸濁液を不活性雰囲気(アルゴン)下に60℃程度の温度で48時間撹拌する。次いで、この反応媒体を20℃程度の温度にもたらし、500cm3の酢酸エチルで希釈し、300cm3の水で3回洗浄する。形成されるエマルジョンをろ過し、残留物を100cm3の水で3回洗浄し、次いで100cm3の酢酸エチルで3回洗浄する。有機相を一緒にし、無水硫酸マグネシウムで乾燥する。この媒体をろ過し、減圧下に濃縮乾燥する。このようにして得られた残留物を40〜63μmのシリカを30cmまで入れた直径6cmのカラムで、溶離剤としてジクロルメタンを使用して、大気圧下にクロマトグラフィーすることにより精製する。所期の化合物を含有する画分を一緒にし、1.85gの所期の化合物を黄色油状物として得た。
MSスペクトル:CI m/z=234 MH+ 基準ピーク


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の一般式:
【化1】

[ここで、
1、X2、X3、X4及びX5はそれぞれ>C−R'1乃至>C−R'5を表わすか、或いはそれらのうちの多くとも一つは窒素原子を表わし、
1、R'1、R'2、R'3、R'4及びR'5は、同一又は異なっていてよく、水素若しくはハロゲン原子、アルキル、シクロアルキル、フェニル、フェニルチオ、単環式若しくは二環式複素アリール若しくは複素アリールチオ、OH、SH、アルキルオキシ、ジフルオルメトキシ、トリフルオルメトキシ、アルキルチオ、トリフルオルメチルチオ、シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、アシル、アシルオキシ、アシルチオ、シアノ、カルボキシル、アルキルオキシカルボニル、シクロアルキルオキシカルボニル、ニトロ、−NRaRb又は−CONRaRb基{ここに、Ra及びRbは水素、アルキル、シクロアルキル、フェニル、単環式若しくは二環式複素アリールを表わし、又はRaとRbはこれらが結合している窒素原子と一緒になって5員若しくは6員の複素環(この環はO、S若しくはNから選ばれる他の複素原子を含有してよく、また適当ならば該窒素原子上にアルキル、フェニル若しくは単環式若しくは二環式複素アリール置換基を有し、又は適当ならば該硫黄原子はスルフィニル若しくはスルホニル状態に酸化されている。)を形成できる。}を表わし、或いは、フルオル、ヒドロキシル、アルキルオキシ、アルキルチオ、シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、フェニル、単環式若しくは二環式複素アリール、カルボキシル、アルキルオキシカルボニル、シクロアルキルオキシカルボニル、−NRaRb又は−CONRaRb(ここに、Ra及びRbは上で定義した通りである。)により置換されたメチレン基を表わし、或いは、フェノキシ、ヘテロシクリルオキシ、ベンジルオキシ又はヘテロシクリルメチルオキシ基を表わし、
或いは、R1はジフルオルメトキシ又は構造式:−Cm2m+1、−SCm2m+1若しくは−OCm2m+1(ここに、mは1〜6の整数である。)を有する基も表わすことができ、或いは、R'5はトリフルオルアセチルも表わすことができ、
mは0、1又は2に等しく、
nは0又は1に等しく、
Yは基CHR、C=O又は、mが1若しくは2に等しいときは、CROH、CRNH2、CRF若しくはCF2(ここに、Rは水素原子又はアルキル(C1〜C6)基である。)を表わし、
2は基R、−CO2R、−CH2CO2R、−CH2−CH2CO2R、−CONH2、−CH2−CONH2、−CH2−CH2−CONH2、−CH2OH、−CH2−CH2OH、−CH2−NH2、−CH2−CH2−NH2又は−CH2−CH2−CH2−NH2(ここに、Rは上で定義した通りである。)を表わし、
3はフェニル、単環式若しくは二環式複素アリール又は基−alk−Ro3[ここに、alkはアルキレン基であり、Ro3は水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルオキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、シクロアルキルスルフィニル、シクロアルキルスルホニル、シクロアルキルアミノ、N−シクロアルキル−N−アルキルアミノ、−N−(シクロアルキル)2、アシル、シクロアルキルカルボニル、フェニル、フェノキシ、フェニルチオ、フェニルスルフィニル、フェニルスルホニル、フェニルアミノ、N−アルキル−N−フェニルアミノ、N−シクロアルキル−N−フェニルアミノ、−N−(フェニル)2、フェニルアルキルオキシ、フェニルアルキルチオ、フェニルアルキルスルフィニル、フェニルアルキルスルホニル、フェニルアルキルアミノ、N−アルキル−N−フェニルアミノアルキル、N−シクロアルキル−N−フェニルアルキルアミノ、ベンゾイル、単環式若しくは二環式複素アリール、複素アリールオキシ、複素アリールチオ、複素アリールスルフィニル、複素アリールスルホニル、複素アリールアミノ、N−アルキル−N−複素アリールアミノ、N−シクロアルキル−N−複素アリールアミノ、複素アリールカルボニル、複素アリールアルキルオキシ、複素アリールアルキルチオ、複素アリールアルキルスルフィニル、複素アリールアルキルスルホニル、複素アリールアルキルアミノ、N−アルキル−N−複素アリールアミノアルキル、N−シクロアルキル−N−複素アリールアミノアルキル(上記の複素アリール部分は単環式又は二環式である。)、カルボキシル、アルキルオキシカルボニル、−NRaRb又は−CONRaRb基{ここに、Ra及びRbはそれぞれ水素、アルキル、シクロアルキル、フェニル、単環式若しくは二環式複素アリールを表わし、又はRa若しくはRbの一つはヒドロキシル、アルキルオキシ若しくはシクロアルキルオキシを表わし、又はRaとRbはこれらが結合している窒素原子と一緒になって5員若しくは6員の複素環(この環はO、S若しくはNから選ばれる他の複素原子を含有してよく、また適当ならば該窒素原子上にアルキル、フェニル若しくは単環式若しくは二環式複素アリール置換基を有し、又は適当ならば該硫黄原子はスルフィニル若しくはスルホニル状態に酸化されている。)を形成する。}を表わし、或いは、Ro3は基−CR'b=CR'c−R'a{ここに、R'aはフェニル、フェニルアルキル、複素アリール若しくは複素アリールアルキル(ここに、上記の複素アリール部分は単環式若しくは二環式複素である。)、フェノキシアルキル、フェニルチオアルキル、フェニルスルフィニルアルキル、フェニルスルホニルアルキル、フェニルアミノアルキル、N−アルキル−N−フェニルアミノアルキル、複素アリールオキシアルキル、複素アリールチオアルキル、複素アリールスルフィニルアルキル、複素アリールスルホニルアルキル、複素アリールアミノアルキル、N−アルキル−N−複素アリールアミノアルキル、複素アリールチオ、複素アリールスルフィニル、複素アリールスルホニル(ここに、上記の複素アリール部分は単環式若しくは二環式である。)、フェニルチオ、フェニルスルフィニル又はフェニルスルホニルを表わし、R'b及びR'cは水素、アルキル又はシクロアルキルを表わす。}を表わし、或いは、Ro3は基−C≡C−Rd{ここに、Rdはアルキル、フェニル、フェニルアルキル、フェノキシアルキル、フェニルチオアルキル、N−アルキル−N−フェニルアミノアルキル、単環式若しくは二環式複素アリール、複素アリールアルキル、複素アリールオキシアルキル、複素アリールチオアルキル、複素アリールアミノアルキル、N−アルキル−N−複素アリールアミノアルキル(ここに、上記の複素アリール部分は単環式若しくは二環式芳香族である。}を表わし、或いは、Ro3は基−CF2−フェニル又は単環式若しくは二環式−CF2−複素アリールを表わす。]を表わし、
前記したフェニル、ベンジル、ベンゾイル又は複素アリールである基又は部分はハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルキルオキシ、アルキルオキシアルキル、ハロアルキル、トリフルオルメチル、トリフルオルメトキシ、トリフルオルメチルチオ、カルボキシル、アルキルオキシカルボニル、シアノ、アルキルアミノ、−NRaRb(ここに、Ra及びRbは上で定義した通りである。)、フェニル、ヒドロキシアルキル、アルキルチオアルキル、アルキルスルフィニルアルキル及びアルキルスルホニルアルキルから選ばれる1〜4個の置換基が環上に置換していてもよく、
4は基R、−CHO、−COCH3、−CH2CO2H又は−COCH2NH2を表わし、
また、前記したアルキル又はアシルである基及び部分は(特に述べてなければ)直鎖又は分岐鎖の形で1〜10個の炭素原子を含有すること並びにシクロアルキル基は3〜6個の炭素原子を含有するものと理解されたい。]
に相当し、そのエナンチオマー若しくはジアステレオマー形又はこれらの形の混合物の形態及び(又は)適当な場合にはsyn若しくはanti形又はこれらの形の混合物の形態にあり得る4−置換キノリン誘導体又はそれらの塩類。
【請求項2】
1、X2、X3、X4及びX5が請求項1で定義した通りであり、
1、R'1、R'2、R'3、R'4及びR'5が、同一又は異なっていてよく、水素若しくはハロゲン原子又はアルキル若しくはアルキルオキシ基を表わし、或いはアルキルオキシで置換されたメチレン基を表わし、
mが1に等しく、
nが1に等しく、
Yが基CH2、CHOH、CHF、CHNH2又はC=Oを表わし、
2が請求項1で定義した通りであり、
3が基−alk−Ro3[ここに、alkはアルキレン基であり、Ro3はアルキルオキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、シクロアルキルアミノ、N−シクロアルキル−N−アルキルアミノ、−N−(シクロアルキル)2、フェノキシ、フェニルチオ、フェニルアミノ、N−アルキル−N−フェニルアミノ、N−シクロアルキル−N−フェニルアミノ、フェニルアルキルオキシ、フェニルアルキルチオ、フェニルアルキルアミノ、N−アルキル−N−フェニルアミノアルキル、N−シクロアルキル−N−フェニルアルキルアミノ、複素アリールオキシ、複素アリールチオ、複素アリールアミノ、N−アルキル−N−複素アリールアミノ、N−シクロアルキル−N−複素アリールアミノ、複素アリールカルボニル、複素アリールアルキルオキシ、複素アリールアルキルチオ、複素アリールアルキルアミノ、N−アルキル−N−複素アリールアミノアルキル、N−シクロアルキル−N−複素アリールアミノアルキル(上記の複素アリール部分は単環式又は二環式である。)、−NRaRb又は−CO−NRaRb基(ここに、Ra及びRbは請求項1で定義した通りである。)を表わし、或いは、Ro3は基−CR'b=CR'c−R'a{ここに、R'aはフェニル、フェニルアルキル、複素アリール、複素アリールアルキル、フェノキシアルキル、フェニルチオアルキル、フェニルアミノアルキル、N−アルキル−N−フェニルアミノアルキル、複素アリールオキシアルキル、複素アリールチオアルキル、複素アリールアミノアルキル、N−アルキル−N−複素アリールアミノアルキル、複素アリールチオ(ここに、上記の複素アリール部分は単環式若しくは二環式である。)又はフェニルチオを表わし、R'b及びR'cは水素、アルキル又はシクロアルキルを表わす。}を表わし、或いは、Ro3は基−C≡C−Rd{(ここに、Rdはアルキル、フェニル、フェニルアルキル、フェノキシアルキル、フェニルチオアルキル、N−アルキル−N−フェニルアミノアルキル、複素アリール、複素アリールアルキル、複素アリールオキシアルキル、複素アリールチオアルキル、複素アリールアミノアルキル、N−アルキル−N−複素アリールアミノアルキル(ここに、上記の複素アリール部分は単環式若しくは二環式ある。}を表わし、或いは、Ro3は基−CF2−フェニル又は単環式若しくは二環式−CF2−複素アリールを表わす。]を表わし、
4が請求項1で定義した通りであり、
前記したフェニル、ベンジル、ベンゾイル又は複素アリールである基又は部分が前記した通りに置換されていてもよい、
エナンチオマー若しくはジアステレオマー形又はこれらの形の混合物の形態及び(又は)適当な場合にはsyn若しくはanti形又はこれらの形の混合物の形態にあり得る請求項1に記載の4−置換キノリン誘導体又はそれらの塩類。
【請求項3】
1、X2、X3、X4及びX5がそれぞれ>C−R'1乃至>C−R'5を表わし、
1、R'1、R'2、R'3、R'4及びR'5が、同一又は異なっていてよく、水素若しくはハロゲン原子又はアルキル若しくはアルキルオキシ基を表わし、或いはアルキルオキシで置換されたメチレン基を表わし、
mが1に等しく、
nが1に等しく、
Yが基CH2、CHOH、CHF、CHNH2又はC=Oを表わし、
2が請求項1で定義した通りであり、
3が基−alk−Ro3[ここに、alkはアルキレン基であり、Ro3はシクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、フェノキシ、フェニルチオ、フェニルアルキルオキシ、フェニルアルキルチオ、複素アリールオキシ、複素アリールチオ、複素アリールアルキルオキシ又は複素アリールアルキルチオ(上記の複素アリール部分は単環式又は二環式である。)を表わし、或いは、Ro3は基−CR'b=CR'c−R'a{ここに、R'aはフェニル、フェニルチオアルキル、複素アリール、複素アリールアルキル、フェノキシアルキル、フェニルチオアルキル、複素アリールオキシアルキル、複素アリールチオアルキル、複素アリールチオ(ここに、上記の複素アリール部分は単環式若しくは二環式である。)又はフェニルチオを表わし、R'b及びR'cは水素、アルキル又はシクロアルキルを表わす。}を表わし、或いは、Ro3は基−C≡C−Rd(ここに、Rdはアルキル、フェニル、フェニルアルキル、フェノキシアルキル、フェニルチオアルキル、N−アルキル−N−フェニルアミノアルキル、単環式若しくは二環式複素アリール、複素アリールアルキル、複素アリールオキシアルキル、複素アリールチオアルキル(ここに、上記の複素アリール部分は単環式若しくは二環式ある。)を表わす。]を表わし、
4が基Rを表わし、
前記したフェニル、ベンジル、ベンゾイル又は複素アリールである基又は部分が前記した通りに置換されていてもよい、
エナンチオマー若しくはジアステレオマー形又はこれらの形の混合物の形態及び(又は)適当な場合にはsyn若しくはanti形又はこれらの形の混合物の形態にあり得る請求項1に記載の4−置換キノリン誘導体又はそれらの塩類。
【請求項4】
化合物名が、
1−[(E)−3−(2,5−ジフルオルフェニル)アリル]−3−[2−(3−フルオル−6−メトキシキノリン−4−イル)エチルアミノ]ピロリジン−3−カルボン酸、
1−[(E)−3−(2,5−ジフルオルフェニル)アリル]−3−[2−(6−メトキシキノリン−4−イル)エチルアミノ]ピロリジン−3−カルボン酸、
1−[(E)−3−(2,5−ジフルオルフェニル)アリル]−3−[2−(3−フルオル−6−メトキシキノリン−4−イル)エチルアミノ]ピロリジン−3−カルボン酸メチル、
1−[(E)−3−(2,5−ジフルオルフェニル)アリル]−3−[2−(6−メトキシキノリン−4−イル)エチルアミノ]ピロリジン−3−カルボン酸メチル、
1−[(E)−3−(2,5−ジフルオルフェニル)アリル]−3−[2−(3−クロル−6−メトキシキノリン−4−イル)エチルアミノ]ピロリジン−3−カルボン酸メチル、
1−[(E)−3−(2,5−ジフルオルフェニル)アリル]−3−[2−(3−クロル−6−メトキシキノリン−4−イル)エチルアミノ]ピロリジン−3−カルボン酸、
1−[(2E)−3−(2,5−ジフルオルフェニル)−2−プロペニル]−3−[[2−(3−フルオル−6−メトキシ−4−キノリニル)エチル]メチルアミノ]−3−ピロリジンカルボン酸、
1−[(2E)−3−(2,5−ジフルオルフェニル)−2−プロペニル]−3−[[2−(3−フルオル−6−メトキシ−4−キノリニル)エチル]ホルミルアミノ]−3−ピロリジンカルボン酸、
3−[(アミノアセチル)[2−(3−フルオル−6−メトキシ−4−キノリニル)エチル]アミノ]−1−[(2E)−3−(2,5−ジフルオルフェニル)−2−プロペニル]−3−ピロリジンカルボン酸、
3−[(カルボキシメチル)[2−(3−フルオル−6−メトキシ−4−キノリニル)エチル]アミノ]−1−[(2E)−3−(2,5−ジフルオルフェニル)−2−プロペニル]−3−ピロリジンカルボン酸、
N−[1−[(2E)−3−(2,5−ジフルオルフェニル)−2−プロペニル]−3−ピロリジニル]−3−フルオル−6−メトキシ−4−キノリンエタンアミン、
N−[1−[(2E)−3−(2,5−ジフルオルフェニル)−2−プロペニル]−3−ピロリジニル]−N−[2−(3−フルオル−6−メトキシ−4−キノリニル)エチル]グリシン、
N−[1−[(2E)−3−(2,5−ジフルオルフェニル)−2−プロペニル]−3−ピロリジニル]−3−フルオル−6−メトキシ−N−メチル−4−キノリンエタンアミン、
1−[(2E)−3−(2,5−ジフルオルフェニル)−2−プロペニル]−3−[[2−(3−フルオル−6−メトキシ−4−キノリニル)エチル]アミノ]−3−ピロリジンメタノール、
1−[(2E)−3−(2,5−ジフルオルフェニル)−2−プロペニル]−3−[[2−(3−フルオル−6−メトキシ−4−キノリニル)エチル]アミノ]−3−ピロリジンカルボキサミド、
N−[3−(アミノメチル)−1−[(2E)−3−(2,5−ジフルオルフェニル)−2−プロペニル]−3−ピロリジニル]−3−フルオル−6−メトキシ−4−キノリンエタンアミン、又は
α−[[[1−[(2E)−3−(2,5−ジフルオルフェニル)−2−プロペニル]−3−ピロリジニル]アミノ]メチル]−3−フルオル−6−メトキシ−4−キノリンメタノール
のいずれかである、エナンチオマー若しくはジアステレオマー形又はこれらの形の混合物の形態及び(又は)syn若しくはanti形又はこれらの形の混合物の形態にあり得る請求項1に記載の4−置換キノリン誘導体又はそれらの塩類。
【請求項5】
請求項1に記載の一般式(I)の誘導体を製造するにあたり、請求項1において
定義するような鎖R3を次の一般式:
【化2】

{ここで、X1、X2、X3、X4、X5、R1、R2、Y、m及びnは上で定義した通りであり、R2及びR4はカルボキシル基を有するときは保護されている。}
の4−置換キノリン誘導体と縮合させ、次いで、適当ならば、カルボキシル基を保護する基を除去し、適当ならば、エナンチオマー若しくはジアステレオマー形及び(又は)適当な場合にはsyn若しくはanti形を分離し、及び(又は)得られた化合物を塩に転化することからなる、一般式(I)の誘導体の製造方法。
【請求項6】
鎖R3と複素環の窒素との縮合を次の一般式:
3−X (IIa)
(ここで、R3は請求項1で定義した通りであり、Xはハロゲン原子、メチルスルホニル基、トリフルオルメチルスルホニル基又はp−トルエンスルホニル基を表わす。)
の誘導体の作用により実施することからなる請求項5に記載の方法。
【請求項7】
3が基−alk−Ro3{ここに、alkはアルキル基であり、Ro3は基−C≡C−Rd(ここに、Rdは請求項1で定義した通りである。)を表わす。}を表わすときは、反応をハロゲン化アルキニル:HC≡C−alk−X(ここに、alkは上で定義した通りであり、Xはハロゲン原子である。)の縮合によって実施し、次いで鎖を適当な基Rdにより置換することからなる請求項5又は6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
3が基−alk−Ro3(ここに、alkはアルキル基であり、Ro3はフェノキシ、フェニルチオ、フェニルアミノ、複素アリールオキシ、複素アリールチオ又は複素アリールアミノ基を表わす。)を表わすときは、反応を、まず鎖:HO−alk−X(ここに、Xはハロゲン原子である。)を縮合させ、次いで得られたヒドロキシアルキル鎖をハロアルキル、メタンスルホニルアルキル若しくはp−トルエンスルホニルアルキル鎖に転化し、最後に構造式:Ro3H又はRo32を有する芳香族誘導体を塩基媒体中で作用させることによるか、又は該芳香族誘導体を脱水条件下に直接作用させるかのいずれかにより鎖を構成することによって実施することからなる請求項5又は6のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
Yが基CH2であり且つmが1又は2に等しい一般式(II)の誘導体が、次の一般式:
【化3】

(ここで、R1、X1、X2、X3、X4及びX5は請求項1で定義した通りであり、mは1又は2に等しい。)
の複素芳香族誘導体を次の一般式:
【化4】

(ここで、Pは保護基であり、n及びR2は請求項1で定義した通りであり、R2がカルボン酸官能基を表わし又は有するならば、R2は保護された基を表わす。)
の誘導体と縮合させ、続いて、このようにして得られた一般式(II)の芳香族二環化合物の置換基をその後の操作によってその保護基を除去し及び(又は)続いて転化させて基R1、R'1、R'2、R'3、R'4及びR'5を有する所期の誘導体を得、適当ならば、分子内に依然存在する保護基を除去することによって製造される、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
次の一般式(II):
【化5】

(ここで、X1、X2、X3、X4、X5、R1、R2、Y、m及びnは請求項5で定義した通りである。)
の化合物。
【請求項11】
請求項1に記載の一般式(I)の誘導体からなる薬剤。
【請求項12】
請求項2〜4のいずれかに記載の一般式(I)の誘導体からなる薬剤。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の薬剤の少なくとも1種を純粋な状態で又は1種以上の適合性で且つ製薬上許容できる希釈剤及び(又は)補助剤と共に含有する製薬組成物。


【公表番号】特表2007−501777(P2007−501777A)
【公表日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522379(P2006−522379)
【出願日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【国際出願番号】PCT/FR2004/002090
【国際公開番号】WO2005/016916
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(506043284)
【Fターム(参考)】