4−[−2−[[5−メチル−1−(2−ナフタレニル)−1H−ピラゾール−3−イル]オキシ]エチル]モルホリン塩酸塩多形体および溶媒和物
本発明は、4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンの塩酸塩(P027)の多形体および溶媒和物、それらの調製のための方法、およびそれらを含む医薬組成物に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンの塩酸塩(P027)の多形体および溶媒和物、それらの調製のための方法、およびそれらを含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
新たな治療剤の探索は、標的疾患と関連するタンパク質および他の生体分子の構造のより良好な理解によって、近年大いに援助されている。これらのタンパク質の最も重要な一部類は、オピオイドの不快性、幻覚発現性および心臓の刺激効果に関係し得る中枢神経系(CNS)の細胞表面受容体であるシグマ(σ)受容体である。シグマ受容体の生物学および機能の研究から、シグマ受容体リガンドは、ジストニアおよび遅発性ジスキネジーなどの精神病および運動障害、ならびにハンチントン舞踏病またはトゥレット症候群に伴う、およびパーキンソン病と関係がある運動妨害の治療において有用であり得る証拠が示された(Walker、J.M.ら、Pharmacological Reviews、1990、42、355)。公知のシグマ受容体リガンドのリムカゾールは、臨床的に、精神病の治療において効果を示すことが報告された(Snyder、S.H.、Largent、B.L. J. Neuropsychiatry 1989、1、7)。シグマ結合部位は、(+)SKF 10047、(+)シクラゾシンおよび(+)ペンタゾシンなどの特定のアヘン剤ベンゾモルファンの右旋性異性体、ならびにさらにハロペリドールなどの一部のナルコレプシーに対する優先的な親和性を有する。
【0003】
シグマ受容体は少なくとも2種のサブタイプを有し、これらは、これらの薬剤活性薬物の立体選択性異性体によって区別することができる。SKF 10047は、シグマ1(σ-1)部位に対してナノモル親和性を有し、シグマ2(σ-2)部位に対してマイクロモル親和性を有する。ハロペリドールは、両方のサブタイプに対して同様の親和性を有する。内因性シグマリガンドは知られていないが、プロゲステロンがそれらの1つであると示唆された。可能なシグマ部位媒介薬物効果として、グルタメート受容体機能、神経伝達物質応答、神経保護、挙動および認知の調節が挙げられる(Quirion、R.ら、Trends Pharmacol. Sci.、1992、13:85-86)。大部分の研究が、シグマ結合部位(受容体)はシグナル伝達カスケードの原形質膜要素であることを暗示してきた。選択的シグマリガンドであると報告されている薬物は、統合失調症治療薬として評価されてきた(Hanner、M.ら、Proc. Natl. Acad. Sci.、1996、93:8072-8077)。CNS系、免疫系および内分泌系におけるシグマ受容体の存在は、それが該3つの系の間のリンクとして働くことができる可能性を示唆した。
【0004】
シグマ受容体のアゴニストまたはアンタゴニストの有望な治療用途を考慮して、多大な労力が選択的リガンドを見出すことに向けられてきた。したがって、従来技術は異なるシグマ受容体リガンドを開示している。4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンは、こうした有望なシグマ受容体リガンドの1つである。該化合物およびその合成は、WO2006/021462において開示され、特許請求されている。
【0005】
4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンは、高選択的シグマ-1(σ-1)受容体アンタゴニストである。それは、慢性疼痛および急性疼痛ならびに特に神経因性疼痛の治療および予防において強力な鎮痛活性を示してきた。該化合物は分子量337.42umaを有する。該化合物の構造式は以下である。
【0006】
【化1】
【0007】
医薬化合物の固体状態物性は、該化合物が固体形態で得られる条件によって影響され得る。固体状態物性として、例えば、化合物を医薬品に加工する最中の取扱いやすさに影響を及ぼす製粉固体の流動性が挙げられる。医薬化合物の別の重要な固体状態特性は、水性流体中のその溶解速度である。患者の胃液中における活性成分の溶解速度は治療の結果を招くことがあり、なぜならばそれが、経口投与された活性成分が血中に到達できる速度に上限を課するからである。化合物の固体状形態は、その溶解性、生物学的利用能、コンパクションに対する挙動、安定性、またはその静電気的性質にも影響を及ぼすことがある。
【0008】
多形性は、固体状態における1つより多い結晶質または非晶質の形態を想定させる一部の分子および分子複合体の特性である。一般に、多形性は、その立体配座を変えるか、または異なる分子間および分子内の相互作用、特に水素結合を形成する、物質の分子の能力によって起こり、これは、異なる多形体の結晶格子における異なる原子配置に反映される。すなわち、多形体は、同じ分子式を共有し、多形体系統群における他の形態と比較して別々の有利および/または不利な物性を有する別々の固体である。
【0009】
「溶媒和物」という用語は、所定の化合物の任意の固体形態を指し、ここで、前記化合物は非共有結合によって溶媒(通常、極性溶媒)の分子に結合される。
【0010】
医薬化合物の新たな結晶多形または非晶質の形態の発見は、それが、処方科学者が例えば標的放出プロフィールまたは他の所望の特徴を有する薬物の医薬品剤形を設計するために利用可能である材料のレパートリーを拡大することにおいて、医薬品の物理的または性能的特徴を改善する機会を提供する。
【0011】
したがって、4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンの追加の形態は、その医薬開発を実行し、その潜在力を解放し、この医薬活性成分のより良好な処方物の調製を促進するために、当技術分野において依然必要とされている。この点において、該化合物の異なる形態学的形態は、例えば、増強した熱力学的安定性、より高い純度、または改善された生物学的利用能(例えば、より良好な吸収、溶解パターン)などの広く異なる特性を有することがあり、他の形態のための中間体になるか、またはこの医薬活性成分のいっそう良好な処方物をそれら自体で提供するかのいずれかであり得る。特定の化合物形態は、化合物処方物の製造(例えば、増強した流動性)、取扱いおよび貯蔵(例えば、非吸湿の長い保存期間)を促進するか、または治療剤のより低い用量の使用を可能にし、したがってその潜在的副作用を減少することもあり得る。したがって、医薬的使用のための望ましい特性を有するこうした形態を見出すことは重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】WO2006/021462
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Walker、J.M.ら、Pharmacological Reviews、1990、42、355
【非特許文献2】Snyder、S.H.、Largent、B.L. J. Neuropsychiatry 1989、1、7
【非特許文献3】Quirion、R.らTrends Pharmacol. Sci.、1992、13:85-86
【非特許文献4】Hanner、M.らProc. Natl. Acad. Sci.、1996、93:8072-8077
【非特許文献5】M. LangらJ. Am. Chem. Soc、2002、124、14834.; C. PriceらJ. Am. Chem. Soc、2005、127、5512.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の発明者らは、驚くべきことに、4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンの塩酸塩(P027)の新たな固体形態が、上記で述べた目的の1つまたは複数を達成できることを見出し、実証した。本明細書に開示されているP027の新規な多形形態および溶媒和形態は、その期間にわたりかなり安定であり、良好な流動特徴および溶解特徴を有する。特に、P027化合物の新規および高安定な結晶形(第1相形態)は、有利な製造、取扱い、貯蔵および治療法特性を提供する。さらに、P027の新たな固体形態の一部は、P027の第1結晶相形態などの他の有用な形態のための中間体として有用であり得る。
【課題を解決するための手段】
【0015】
したがって、本発明は、P027の多形形態および溶媒和物、それらの使用、ならびにそれらの調製のためのいくつかの方法に関する。
【0016】
4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンの塩酸塩(P027)は、該塩基の溶液と塩酸とを接触させることによって調製することができる。P027化合物は、373.88umaの分子量、6.73のpKaおよび194.2℃の融点を有する。該化合物は水に非常に可溶であり、メタノール、1N塩酸およびジメチルスルホキシドに溶けやすい。それはエタノールにやや溶けにくく、アセトンに溶けにくく、酢酸エチルおよび1N水酸化ナトリウムにほとんど溶けない。該生成物は、生体内で、その関連塩基より良好な溶解および吸収プロフィールを呈する。
【0017】
一実施形態において、本発明は、4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンの塩酸塩の固体多形形態または溶媒和形態を対象とする。
【0018】
好ましくは、前記固体形態は、以下のものからなる群から選択される。
-P027第1相形態、これは、約5.9、8.1、11.3、11.7、14.2、15.1、15.8、16.3、16.8、17.8、18.1、18.6、19.8、20.9、21.9、22.8、23.0、23.2、23.6、23.9、24.3、25.0、25.1、28.0、28.3、28.6、29.0、29.2、30.7、および30.9の反射角[2θ]で特徴的なピークを示すX線粉末回折パターンをそれが有することにより特徴づけすることができ、該2θ値は、銅放射線を使用して得られる(CuKα1 1.54060Å)。
-P027第2相形態、これは、下記表1に表示されている値辺りの反射角[2θ]で特徴的なピークを示すX線粉末回折パターンをそれが有することにより特徴づけすることができる。
【0019】
【表1】
【0020】
-P027第3相形態、これは、下記表2に表示されている値辺りの反射角[2θ]で特徴的なピークを示すX線粉末回折パターンをそれが有することにより特徴づけすることができる。
【0021】
【表2】
【0022】
-P027第4相形態、これは、下記表3に表示されている値辺りの反射角[2θ]で特徴的なピークを示すX線粉末回折パターンをそれが有することにより特徴づけすることができる。
【0023】
【表3】
【0024】
-P027ジオキサン溶媒和物、これは、下記表4に表示されている値辺りの反射角[2θ]で特徴的なピークを示すX線粉末回折パターンをそれが有することにより特徴づけすることができる。
【0025】
【表4】
【0026】
-P027クロロホルム溶媒和物、これは、下記表5に表示されている値辺りの反射角[2θ]で特徴的なピークを示すX線粉末回折パターンをそれが有することにより特徴づけすることができる。
【0027】
【表5】
【0028】
別の実施形態によると、本発明による4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリン塩酸塩の結晶質P027第1相形態は、以下のおよその寸法を持つ単斜晶の単位格子を有する。
a=29.4(3)Å
b=11.7(11)Å
c=11.0(10)Å
α=90°
β=91.3(2)
γ=90°
【0029】
上記の多形形態および溶媒和形態の調製は、本発明の追加の実施形態を表す。
【0030】
P027第1相形態は、変動する温度での溶媒蒸発、熱飽和溶液からの結晶化、貧溶媒添加による結晶化、貧溶媒拡散による結晶化、水および溶媒混合物からの結晶化、ならびに懸濁液の調製などの様々な技術の手段によって、様々な溶媒中でP027化合物を結晶化することによって調製することができる。
【0031】
P027第2相形態は、溶媒蒸発によって、ポリマー誘起結晶体で得ることができる。
【0032】
P027第3相形態は、溶媒蒸発または貧溶媒添加による結晶化のいずれかによって、ポリマー誘起結晶体で得ることができる
【0033】
P027第4相形態は、貧溶媒添加による結晶化によって、ポリマー誘起結晶体で得ることができる。
【0034】
P027ジオキサン溶媒和物は、ジオキサン中での溶媒滴粉砕、またはジオキサンの熱飽和溶液からの結晶化によって得ることができる。
【0035】
P027クロロホルム溶媒和物は、溶媒(クロロホルム)蒸発、またはクロロホルムの熱飽和溶液からの結晶化のいずれかによって、ポリマー誘起結晶体で得ることができる。
【0036】
本発明の別の実施形態には、上記第2相、第3相および第4相の結晶形を、P027第1相形態などのより安定な多形形態に形態転換することが含まれる。
【0037】
本発明の別の実施形態には、P027の溶媒和物、好ましくはクロロホルム溶媒和物を、第1相形態などのより安定な多形形態に形態転換することが含まれる。
【0038】
本発明のさらなる実施形態として、上記で述べた4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンの塩酸塩の形態、特にP027第1相、P027第2相、P027第3相、P027第4相、P027クロロホルム溶媒和物およびP027ジオキサン溶媒和物の少なくとも1つを含む医薬組成物が挙げられる。
【0039】
これらの態様およびそれらの好ましい実施形態は、本請求項においてさらに規定されている。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】第1相の標準PXRDパターンを示すグラフである。
【図2】P027化合物溶液の1H NMRスペクトルを示すグラフである。
【図3】第1相のDSC分析およびTGA分析を示すグラフである。
【図4】第1相のFTIR分析を示すグラフである。
【図5】組織効果を認めることができる、第1相に対応する異なる固体の、無作為に選択されたPXRDパターンを示すグラフである。
【図6】粉砕前後の第1相試料のPXRDパターンを示すグラフである。第1相の標準PXRDパターンが比較目的のために示されている。
【図7】図6に表されている試料の1H-NMRスペクトルを示すグラフである。
【図8】5℃/分の加熱速度を用いる第1相のDSC分析を示すグラフである。
【図9】20℃/分の加熱速度を用いる第1相のDSC分析を示すグラフである。
【図10】単位格子に含有される有機カチオンおよび2個の独立した半分の塩素アニオンを示すOrtepプロット(50%)を示すグラフである。
【図11】第1相の構造を示すOrtepプロット(50%)を示すグラフである。水素結合は不連続線で印を付けられている。
【図12】第1相の単結晶データから作成されたシミュレート粉末回折パターンを示すグラフである。
【図13】単結晶データから得られたシミュレート粉末回折パターン、および第1相の実験的に測定された粉末回折パターンの比較を示すグラフである。
【図14】-21℃でn-ブタノールを蒸発することによって得られた第1相形態のPXRDパターンを示すグラフである。
【図15】メチルエチルケトン中で熱飽和P027化合物溶液をゆっくり結晶化することによって得られた第1相形態のPXRDパターンを示すグラフである。
【図16】メタノール中のP027溶液をn-ヘプタン溶液に添加することを介する結晶化によって得られた第1相形態のPXRDパターンを示すグラフである。
【図17】ニトロメタン中のP027溶液およびイソプロピルエーテル溶液の液-液拡散を介する結晶化によって得られた第1相形態のPXRDパターンを示すグラフである。
【図18】P027第1相形態の試料をジクロロメタンと一緒に粉砕した後で得られたPXRDパターンを示すグラフである。パターンは、相安定性を実証する標準第1相PXRDパターンと一致する。
【図19】30トンの圧力を試料に90分間かけた後のP027第1相形態の試料のPXRDパターンを示すグラフである。パターンは、相安定性を実証する標準第1相PXRDパターンと一致する。
【図20】第2相および第3相に関して得られたPXRDパターンの比較を示すグラフである。
【図21】第2相および第4相に関して得られたPXRDパターンの比較を示すグラフである。
【図22】第3相および第4相に関して得られたPXRDパターンの比較を示すグラフである。
【図23】第1相および第2相に関して得られたPXRDパターンの比較を示すグラフである。
【図24】第2相の標準PXRDパターンを示すグラフである。
【図25】第2相の1H NMRスペクトルを示すグラフである。
【図26】第2相のDSC分析およびTGA分析を示すグラフである。
【図27】第3相の標準PXRDパターンを示すグラフである。
【図28】ポリ(エチレングリコール)および第3相に関して得られたPXRDパターンの比較を示すグラフである。
【図29】第3相の1H NMRスペクトルを示すグラフである。
【図30】ポリ(エチレングリコール)の1H NMRスペクトルを示すグラフである。
【図31】第3相のDSC分析およびTGA分析を示すグラフである。
【図32】ポリ(エチレングリコール)のDSC分析およびTGA分析を示すグラフである。
【図33】20℃/分の加熱速度を用いる第3相のDSC分析を示すグラフである。
【図34】30℃/分の加熱速度を用いる第3相のDSC分析を示すグラフである。
【図35】第4相の標準PXRDパターンを示すグラフである。
【図36】第4相の1H NMRスペクトルを示すグラフである。
【図37】第4相のDSC分析およびTGA分析を示すグラフである。
【図38】ジオキサン溶媒和物の標準PXRDパターンを示すグラフである。
【図39】ジオキサン溶媒和物の1H NMRスペクトルを示すグラフである。
【図40】ジオキサン溶媒和物のDSC分析およびTGA分析を示すグラフである。
【図41】ジオキサン溶媒和物のFTIR分析を示すグラフである。
【図42】クロロホルム溶媒和物の標準PXRDパターンを示すグラフである。
【図43】クロロホルム溶媒和物のDSC分析およびTGA分析を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明の本発明者らは、有利な製造、取扱い、貯蔵および治療特性を提供する4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンの塩酸塩(P027)の新規な固体形態を見出した。これらの化合物は、それらが単離、精製および取扱いを簡便にする固体であるという事実による利点を有する。さらに、この化合物の第1相形態は高安定であり、処方および投与されて安定な組成物および良好な薬理学的特性を提供することができる。追加として、P027の新たな形態は、P027の第1結晶相形態などの他の形態を得るために使用することができる。
【0042】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、明記されている値のわずかな変動、好ましくは明記されている値の10パーセント以内を意味する。それでもなお、「約」という用語は、例えば使用される実験技術に依存して、より高い許容差の変動を意味することがある。明記されている値の前記変動は当業者によって理解され、本発明の文脈の範囲内である。さらに、より簡潔な記述を提供するため、本明細書において示されている定量的表現の一部には「約」という用語が適さない。「約」という用語が明確に使用されていても、または使用されていなくても、本明細書に示されているあらゆる定量は実際の所定の値を指すと意味されること、ならびにそれが、こうした所定の値に関する実験および/または測定の条件により、同等値および近似値を含めて、当技術分野における通常の技術に基づいて合理的に推測されるような所定の値の近似値を指すことも意味されることが理解される。
【0043】
本明細書で使用される場合、「室温」またはその略語「rt」は、20℃から25℃を意味すると解釈される。
【0044】
本明細書に開示されているP027の新たな形態を、粉末X線回折(PXRD)、プロトン核磁気共鳴(1H-NMR)、示差走査熱測定(DSC)、熱重量分析(TGA)およびフーリエ変換赤外分光法によって特徴づけた。本発明は、一態様において、P027自体の新たな固体形態を、それらの特徴づけのために使用された技術にかかわらずに対象とする。したがって、本明細書において提供されている技術および結果は、本発明を限定するものではなく、その特徴づけとしての働きをするものと意図される。当業者は、本明細書に記載されているガイダンスおよび結果を前提として、利用可能な技術を使用して、化合物4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリン塩酸塩(P027)の異なる多形体および溶媒和物を比較し、特徴づけすることができる。
【0045】
化合物P027の固体試料の調製は、40種の溶媒(表6)の組合せにおいて行った。溶媒は、特性が広範囲に及ぶ目的で、以前の経験に従って選択された。
【0046】
【表6】
【0047】
結晶化スクリーニングを計画するために、P027の溶解性を室温にて表6の溶媒の組合せにおいて以下の方法論(表7)を使用して決定した。送達試料10mgを室温にて対応する溶媒0.2mL中に懸濁し、溶媒の逐次添加(初期0.2mL、および最終的に0.5mL)を、固体が完全に溶解するまで、または最大8mLまで行った。それぞれの溶媒添加後、懸濁液を10〜15分間激しく撹拌し、目視検査することで、固体が完全に溶解しているかどうかを決定した。溶解範囲は表7に列挙されている。
【0048】
【表7】
【0049】
P027が不溶である溶媒を貧溶媒として使用した(例えば、<1.2mg/mLの溶解性をもたらす溶媒)。例えば、n-ヘプタン(HEP)、メチルtert-ブチルエーテル(MTE)およびジイソプロピルエーテル(DIE)を貧溶媒として使用した。他の溶媒を、試験した異なる結晶化戦略において、溶解溶媒として使用した。
【0050】
可能な結晶化が最も広い範囲に及ぶために、表6に記載されている溶媒を使用するいくつかの結晶化方法論を用いた。熱力学的に安定な相を得るために適応させた手順、ならびに動力学的に好適な相を得ることを対象とした手順を使用した。さらに、溶媒媒介ならびに溶媒フリーの結晶化手順を試験した。本発明で使用された結晶化手順の一覧は以下である。
-2つの速度にて室温での溶媒蒸発
-異なる温度-21℃、4℃および60℃での溶媒蒸発
-2つの冷却速度で熱飽和溶液から結晶化
-水和物の調製を目指す結晶化
-貧溶媒の添加による結晶化
-貧溶媒の拡散による結晶化
-粉砕実験
-圧力実験
-スラリー実験(懸濁液)
【0051】
標準結晶化手順に追加して、ポリマーを適用することで新たな固体の結晶化を誘起する新たな方法論を使用した。文献において記載されている通り、ポリマーの使用は新たな結晶相の形成に好適であり得る(M. LangらJ. Am. Chem. Soc、2002、124、14834.; C. PriceらJ. Am. Chem. Soc.、2005、127、5512.)。さらに、ポリマーの存在はより大きな単結晶の形成を支持し、溶媒和物の形成を安定化し得る。一連のポリマー(表8を参照のこと)を触媒量でP027の溶液に添加し、以下の方法論で結晶化した。
-室温での溶媒蒸発
-熱飽和溶液からの結晶化
-貧溶媒添加による結晶化
-粉砕実験
【0052】
【表8】
【0053】
本明細書でポリマーに言及して使用される場合、「触媒量」は化合物P027に関するポリマーの半化学量論量、好ましくは該化合物P027の量(wt)の25%wt未満を表し、特定の実施形態において、「触媒量」は化合物P027の20%wt未満を表す。より特定の実施形態において、「触媒量」は化合物P027の10%wt未満を表す。
【0054】
該異なる結晶化方法論を使用して得られた全ての固体をPXRDによって特徴づけ、得られた異なるPXRDパターンに従って分類した。行われたさらなる分析も固体の分類のために考慮に入れた(実験項を参照のこと)。
【0055】
P027の以下の形態を同定し、得られた固体の間で特徴づけた。P027第1相形態、P027第2相形態、P027第3相形態、P027第4相形態、P027ジオキサン溶媒和物およびP027クロロホルム溶媒和物。
【0056】
本発明の一実施形態において、P027第1相形態は、P027化合物を適当な溶媒中に溶解し、次いで第1相の結晶形を得るために溶媒を蒸発させることによって得られる。この方法の一変形例に従って、P027化合物は、ほぼ室温から約120℃の範囲の温度で溶解される。この方法の別の変形例において、溶媒を約-21℃から約60℃の範囲の温度で蒸発させる。この方法のさらなる変形例において、P027溶液をゆっくり冷却させる。この方法のまた別の変形例において、P027溶液を急速に冷却する。
【0057】
本発明の別の実施形態において、P027第1相形態は、P027溶液および貧溶媒を混合することによって得られる。この方法の変形例において、P027溶液は貧溶媒に添加される。この方法の別の変形例において、貧溶媒はP027溶液に添加される。この方法の追加の変形例において、P027溶液および貧溶媒は、ほぼ室温から約90℃の範囲の温度で混合される。
【0058】
本発明の追加の実施形態において、P027第1相形態は、拡散を介してP027溶液および貧溶媒を組み合わせることによって得られる。この方法の変形例において、拡散は液-液拡散である。この方法の別の変形例において、拡散は気-液拡散である。
【0059】
本発明の別の実施形態において、P027第1相形態は、P027、水および溶媒の混合物から回収される。
【0060】
本発明のまた追加の実施形態において、P027第1相形態は、P027化合物を含有する懸濁液から得られる。この方法の変形例において、懸濁液は、ほぼ室温から約80℃の範囲の温度で保持される。
【0061】
本発明の追加の実施形態において、塩酸溶液および4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンを混合することでP027化合物を得る。好ましくは、貧溶媒を混合物に添加することで、P027化合物の結晶化を誘起する。
【0062】
上記の様々な実施形態は、P027第1相形態をさらに単離するために、遠心分離などの追加のステップを必要とする場合がある。
【0063】
P027の第2相形態、第3相形態および第4相形態は、溶媒蒸発または貧溶媒添加による結晶化のいずれかによって、ポリマー誘起結晶体で得ることができる。したがって、本発明の別の実施形態は、
a)4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンの塩酸塩を、適当な溶媒または溶媒の混合物中に、触媒量のポリマーの存在下で溶解するステップ、および
b)溶媒または複数の溶媒を蒸発させるステップ、または貧溶媒を添加するステップのいずれか
を含む4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンの塩酸塩の多形形態を調製するための方法に言及する。
【0064】
好ましい実施形態において、P027第2相形態は、水中のP027の溶液を、触媒量のポリ(ビニルアルコール)の存在下で蒸発させることによって調製される。
【0065】
別の好ましい実施形態において、P027第3相形態は、水またはアセトン中のP027の溶液を、触媒量のポリ(エチレングリコール)の存在下で蒸発させることによって調製される。P027第3相形態は、好都合にも、貧溶媒としてジイソプロピルエーテルを水中のP027の溶液に、触媒量のポリ(エチレングリコール)の存在下で添加することによって調製することもできる。
【0066】
別の好ましい実施形態において、P027第4相形態は、溶媒としてクロロホルム、貧溶媒としてジイソプロピルエーテル、および以下のポリマー:ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ(アクリル酸)(PAA)、ポリプロピレン(PPL)、ポリ(スチレン-co-ジビニルベンゼン)(PSV)、ポリ(テトラフルオロエチレン)(PTF)、ポリ(ビニルアルコール)(PVH)、ポリアクリルアミド(PAD)およびポリ(メタクリル酸メチル)(PMM)を使用することによって調製される。
【0067】
P027ジオキサン溶媒和物は、ジオキサン中の溶媒滴粉砕実験において、またはジオキサンの熱飽和溶液からの結晶化によって得ることができる。P027クロロホルム溶媒和物は、溶媒(クロロホルム)の蒸発、またはクロロホルムの熱飽和溶液の結晶化のいずれかによって、ポリマー誘起結晶体で得ることができる。
【0068】
したがって、本発明の別の実施形態は、以下の3つの選択肢i)からiii)の少なくとも1つを含む、4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンの塩酸塩の溶媒和形態を調製するための方法に言及する。
i)以下:
a)4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンの塩酸塩を、触媒量の適当な溶媒と一緒に、ボールミル容器に投入するステップ、および
b)粉砕するステップ
を含む溶媒滴粉砕、
ii)適当な溶媒の熱飽和溶液からの結晶化、または
iii)以下:
a)4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンの塩酸塩を、適当な溶媒中に、触媒量のポリマーの存在下で溶解するステップ、および
b)溶媒を蒸発させるステップ、または溶媒の熱飽和溶液中で結晶化するステップのいずれか
を含むポリマー誘起結晶化。
【0069】
好ましい実施形態において、P027ジオキサン溶媒和物は、
i)以下:
a)4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンの塩酸塩を、触媒量のジオキサンと一緒に、ボールミル容器に投入するステップ、および
b)粉砕するステップ
を含む溶媒滴粉砕、または
ii)ジオキサンの熱飽和溶液からの結晶化
によって調製される。
【0070】
好ましい実施形態において、P027クロロホルム溶媒和物は、
a)4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンの塩酸塩を、クロロホルム中に、ポリ(エチレングリコール)、ポリビニルピロリドン、ポリ(アクリル酸)、ナイロン6/6、ポリプロピレン、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアクリルアミドおよびポリスルホンからなる群から選択される触媒量のポリマーの存在下で溶解するステップ、および
b)クロロホルムを蒸発させるステップ、またはクロロホルムの熱飽和溶液中で結晶化するステップのいずれか
によって調製される。
【0071】
本発明の別の実施形態には、P027のより安定な多形性第1相形態の獲得における、P027の第2相、第3相および第4相の結晶形の使用が含まれる。一実施形態において、形態転換は、第2相、第3相および第4相の結晶形を加熱することによって多形性第1相形態にすることである。
【0072】
第2相、第3相および第4相のDSC分析において、固体-固体転移に対応する広範な発熱ピークが観察された。第2相から第1相への固体-固体転移(再結晶)が145℃で観察された。第3相から第1相への固体-固体転移(再結晶)が150〜170℃の範囲で観察された。第4相から第1相への固体-固体転移(再結晶)が147℃で観察された。
【0073】
したがって、別の実施形態において、本発明は、約140℃から約170℃の間の温度でP027の第2相、第3相および第4相の結晶形を加熱するステップを含む、P027の第1相形態の調製を対象とする。
【0074】
本発明の別の実施形態には、P027の溶媒和物、好ましくはクロロホルム溶媒和物から、第1相形態などのより安定な多形形態への形態転換が含まれる。ジオキサン溶媒和物を4時間60℃、80℃および100℃で乾燥させた後、第1相の形態転換が観察された。得られた固体をPXRDによって特徴づけた。
【0075】
本発明のさらなる実施形態として、上記で述べた4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンの塩酸塩の形態、特にP027第1相、P027第2相、P027第3相、P027第4相、P027クロロホルム溶媒和物およびP027ジオキサン溶媒和物の少なくとも1つを含む医薬組成物が挙げられる。
【0076】
本発明を一般用語で記載したので、例示として示されており本発明を限定することを意図するものではない以下の実施例を参照することにより、より容易に理解されるであろう。
【実施例】
【0077】
4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリン塩酸塩固体形態の特徴づけに使用される装置
a)粉末X線回折分析(PXRD)
操作されていない試料およそ20mgを、2個のポリアセテート箔を使用する標準試料ホルダー内で調製した。
【0078】
粉末回折パターンは、透過幾何(波長:1.54060)におけるCuKα放射線を使用するD8 Advance Series 2Theta/Theta粉末回折システム上で獲得した。該システムは、VANTEC-1単一光子計数PSD、ゲルマニウム単色光分光器、90位置自動交換器試料ステージ(ninety positions auto changer sample stage)、固定発散スリットおよび放射状ソーラーを備えていた。使用したプログラム:DIFFRAC プラスXRD Commander V.2.5.1を用いるデータ収集、およびEVA V.12.0を用いる評価。
【0079】
b)プロトン核磁気共鳴(1H NMR)
プロトン核磁気共鳴分析は、ATMおよび自動BACS-120オートサンプラー付きのz勾配5mm BBO(Broadband Observe)プローブを備えたBruker Avance 400 Ultrashield NMR分光計内の重水素化クロロホルム(CDCI3)において記録した。スペクトルは、試料2〜10mgを重水素化溶媒0.6mLに溶かして獲得した。
【0080】
c)示差走査熱測定分析(DSC)
標準DSC分析は、Mettler Toledo DSC822eにおいて記録した。試料を1〜2mg秤量してピンホール蓋付きの40μLアルミニウムるつぼに入れ、10℃/分で30℃から300℃、窒素下(50mL/分)で加熱した。データの収集および評価は、ソフトウェアSTAReで行った。
【0081】
d)熱重量分析(TGA)
熱重量分析は、Mettler Toledo SDTA851eにおいて記録した。試料を3〜4mg秤量して(マイクロスケールMX5、Mettlerを使用)、ピンホール蓋付きの開口40μLアルミニウムるつぼに入れ、10℃/分で30℃から500℃の間、窒素下(80mL/分)で加熱した。データの収集および評価は、ソフトウェアSTAReで行った。
【0082】
e)フーリエ変換赤外分析(FTIR)
FTIRスペクトルは、MKII Golden Gate単一反射ATRシステム、励起光源として中赤外光源、およびDTGS検出器を備えたBruker Tensor 27を使用して記録した。該スペクトルは、4cm-1の分解能にて32回の走査で獲得した。該分析を行うのに試料調製は必要なかった。
【0083】
f)単結晶X線回折分析(SCXRD)
測定された結晶は、偏光を使用するZeiss立体顕微鏡を使用して選択し、操作用保護油としてペルフルオロポリエーテル中に浸漬して不活性条件下で調製した。結晶構造の決定は、APPEX 2 4K CCD面積検出器、MoKα放射線を用いるFR591回転陽極、モノクロメーターとしてMontelミラー、およびKryoflex低温装置(T=100K)を備えたBruker-Nonius回折計を使用して実施した。全球データ収集オメガ走査およびフィー走査。使用したプログラム:データ収集Apex2 V.1.0-22(Bruker-Nonius 2004)、データ整理Saint+Version 6.22(Bruker-Nonius 2001)、および吸収補正SADABS V. 2.10(2003)。結晶構造の解明は、SHELXTLバージョン6.10(Sheldrick、Universtitat Gottingen(ドイツ)、2000)で実行される直接的方法を使用して達成し、XPプログラムを使用して可視化した。引き続いて欠けている原子を差フーリエ合成から位置決定し、原子リストに加えた。全ての測定された強度を使用してF02に対する最小二乗精密化を、プログラムSHELXTLバージョン6.10(Sheldrick、Universtitat Gottingen(ドイツ)、2000)を使用して実施した。異方性変位パラメータを含めて、全ての非水素原子を精密化した。
【0084】
P027化合物の初期合成
4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリン塩酸塩を、以下のプロトコールに従って得た。
1)6N塩酸/プロパン-2-オール溶液50.8リットルを、エタノール(290l)中の4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリン(85kg)の溶液に、T>35℃で添加した。次いで、メチルtert-ブチルエーテル213リットルを、該懸濁液に添加した。混合物を後に0〜5℃で冷却した。生じた固体を遠心分離によって単離することで、P027化合物90kgを得た。
2)6N塩酸/プロパン-2-オール溶液27mlを、エタノール(120mL)およびメチルtert-ブチルエーテル(112mL)中の4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリン(44.5g)の溶液に、T>35℃で添加した。次に、懸濁液を0〜5℃で冷却した。生じた固体を濾過によって単離することで、P027化合物47gを得た。
【0085】
(実施例1)
4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリン塩酸塩第1相結晶形の調製および特徴づけ
(実施例1.1)
2つの速度にて室温での溶媒蒸発
10mgから20mgの間のP027化合物を、最小量の関連溶媒中に、室温(rt)、60℃および80℃で溶解した。生じた溶液を放置することで、開口バイアル中で急速に、または針で穴を開けた閉口チューブ内でゆっくりと、室温で蒸発させた(表9および10を参照のこと)。3カ月後に完全に蒸発していない溶液を、室温にて開口バイアル中で蒸発させた。得られた固体試料をPXRDによって分析した。試料は、標準PXRD第1相パターンと一致するパターンを示した。
【0086】
【表9】
【0087】
【表10】
【0088】
(実施例1.2)
異なる温度での溶媒蒸発
10mgから20mgの間のP027化合物を、最小量の関連溶媒中に、室温(rt)、60℃または80℃で溶解した。生じた溶液を放置することで、開口バイアル中にて3つの異なる温度:60℃、4℃および-21℃で蒸発させた(表11、12および13を参照のこと)。3カ月後に完全に蒸発していない溶液を、室温にて開口バイアル中で蒸発させた。得られた固体試料をPXRDによって分析した。試料は、標準PXRD第1相パターンと一致するパターンを示した。図14は、本プロトコールに従って-21℃でn-ブタノール溶液の蒸発によって得られた第1相形態のPXRDパターンを例示している。
【0089】
【表11】
【0090】
【表12】
【0091】
【表13】
【0092】
(実施例 1.3)
熱飽和溶液からの結晶化
20mgから30mgの間のP027化合物を、最小量の関連溶媒中に高温で溶解することで、飽和溶液が得られた。次いで、溶液を以下の2つの異なる方法によって冷却した。
1)室温で遅い冷却(遅い結晶化)[表14を参照のこと]。
2)氷浴浸漬による急速な冷却(速い結晶化)[表15を参照のこと]。
【0093】
室温で冷却した後、得られた固体を濾過または遠心分離によって分離した。固体が形成されなかった場合、溶液を4℃で数日間第1ステップにおいて保持した。このステップ中に形成された任意の固体を溶液から分離した。固体が第1ステップ中に形成されなかった場合、溶液を-21℃で追加の数日間保持した。この第2ステップ中に形成された任意の固体を溶液から分離した。第2ステップ中に結晶化しなかった溶液を放置することで、室温で蒸発乾固させた。完全に蒸発する前に結晶化が生じた場合、一部の実験において固体を濾別した
【0094】
得られた固体試料をPXRDによって分析した。試料は、標準PXRD第1相パターンと一致するパターンを示した。図15は、メチルエチルケトン中の熱飽和P027化合物溶液の遅い結晶化によって得られた第1相形態のPXRDパターンを例示している。
【0095】
【表14】
【0096】
【表15】
【0097】
(実施例1.4)
貧溶媒の添加による小スケールの結晶化
10mgから20mgの間のP027化合物を、最小量の関連溶解剤中に、高温または室温で溶解した。ジイソプロピルエーテル(DIE)およびn-ヘプタン(HEP)を貧溶媒として使用した。以下のプロトコールを行った。
1)貧溶媒をP027溶液に、激しい撹拌下にて室温または高温で滴下により添加した(表16および17を参照のこと)。
2)P027溶液を貧溶媒4mLに、激しい撹拌下にて室温または高温で滴下により添加した(表18および19を参照のこと)。
【0098】
溶解剤および貧溶媒を混合した後に得られた固体を、溶液から濾過または遠心分離によって分離した。固体が形成されなかった場合、4℃で数日間第1ステップにおいて溶液を保持した。このステップ中に形成された任意の固体を溶液から分離した。第1ステップ中に固体が形成されなかった場合、溶液を-21℃で追加の数日間保持した。この第2ステップ中に形成された任意の固体を溶液から分離した。第2ステップ中に結晶化しなかった溶液を放置することで、室温で蒸発乾固させた。完全に蒸発する前に結晶化が生じた場合、一部の実験において固体を濾別した。
【0099】
得られた固体試料をPXRDによって分析した。試料は、標準PXRD第1相パターンと一致するパターンを示した。図16は、メタノール中のP027溶液をn-ヘプタン溶液に添加することを介する結晶化によって得られた第1相形態のPXRDパターンを例示している。
【0100】
【表16】
【0101】
【表17】
【0102】
【表18】
【0103】
【表19】
【0104】
(実施例1.5)
貧溶媒の添加による大スケールの結晶化
メチルtert-ブチルエーテル133リットルを、エタノール(265l)溶液中のP027化合物(45kg)に、T>35℃で添加した。次に、懸濁液を0〜5℃で冷却した。生じた固体を遠心分離によって単離することで、4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリン塩酸塩40.2kgを得た。
【0105】
(実施例1.6)
貧溶媒拡散による結晶化
10mgから50mgの間のP027化合物を、最小量の関連溶媒中に高温または室温で溶解した。様々な溶解剤を利用した。以下のプロトコールを行った。
1)液-液拡散。貧溶媒をP027溶液上に慎重に添加し、2つの分離相を形成した。相の拡散により固体が結晶化した(表20を参照のこと)。
2)気-液拡散。P027溶液が入った第1容器を、貧溶媒を含有する第2のより大きい受入器に挿入した。貧溶媒をP027溶液上に気体拡散したことで、第1相の結晶化を誘起した(表21を参照のこと)。
【0106】
得られた固体試料をPXRDによって分析した。試料は、標準PXRD第1相パターンと一致するパターンを示した。図17は、イソプロピルエーテルをニトロメタン中のP027溶液中に液-液拡散することを介する結晶化によって得られた第1相形態のPXRDパターンを例示している。
【0107】
【表20】
【0108】
【表21】
【0109】
(実施例1.7)
水および溶媒の混合物からの結晶化
10mgから20mgの間のP027化合物を、水で飽和された最小量の関連溶媒中に溶解した。溶媒を、それらの混和性によって様々な比率で水と混合した(表22を参照のこと)。
【0110】
溶液を室温にて閉口チューブ内で2週間結晶化させた。固体が形成されなかった場合、溶液を4℃で数日間保持した。このステップ中に形成された任意の固体を、溶液から分離した。第1ステップ中に固体が形成されなかった場合、溶液を放置することで室温で蒸発乾固させた。
【0111】
得られた固体試料をPXRDによって分析した。試料は、標準PXRD第1相パターンと一致するパターンを示した。
【0112】
【表22】
【0113】
(実施例1.8)
粉砕
およそ40mgのP027第1相をボールミル容器に、触媒量の関連溶媒と一緒に(3滴剤)移した。P027第1相および溶媒を、30s-1の最大周波数で30分間粉砕した(表23を参照のこと)。
【0114】
得られた固体試料をPXRDによって分析した。試料は、標準PXRD第1相パターンと一致するパターンを示し、したがって、P027第1相が粉砕した後に安定であることを実証した。図18は、P027をジクロロメタンと一緒に粉砕することから得られる第1相形態のPXRDパターンを例示している。
【0115】
【表23】
【0116】
(実施例1.9)
圧力
P027第1相の錠剤を、水圧中で3つの異なる圧力にて(5トン、7.5トンおよび10トン)3つの異なる時間で(5分、30分および90分)調製した[表24を参照のこと]。
【0117】
得られた固体試料をPXRDによって分析した。試料は、標準PXRD第1相パターンと一致するパターンを示し、したがって、P027第1相が圧力下で安定であることを実証した。図19は、30トンの圧力をP027に90分間かけたことによって得られた第1相形態のPXRDパターンを例示している。
【0118】
【表24】
【0119】
(実施例1.10)
懸濁液の調製
30mgから400mgの間のP027化合物を、関連溶媒4mL中で、i)室温で48時間、またはii)80℃で24時間の間撹拌した(表25を参照のこと)。
【0120】
全ての懸濁液を濾過した。得られた固体試料をPXRDによって分析した。試料は、標準PXRD第1相パターンと一致するパターンを示した。
【0121】
【表25】
【0122】
4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリン塩酸塩第1相結晶形の特徴づけ
P027第1相形態は、2θ値が銅放射線(CuKα1 1.54060Å)を使用して得られる約5.9、8.1、11.3、11.7、14.2、15.1、15.8、16.3、16.8、17.8、18.1、18.6、19.8、20.9、21.9、22.8、23.0、23.2、23.6、23.9、24.3、25.0、25.1、28.0、28.3、28.6、29.0、29.2、30.7、および30.9の反射角[2θ]で特徴的なピークを有するPXRDパターンを示す。
【0123】
PXRDパターンのピーク強度における差異は、使用される結晶化手順または結晶化溶媒に依存して観察することができる(図5を参照のこと)。ピーク強度における強い差異は、結晶の好ましい配向、組織効果によることがあり、異なる結晶相の存在の指標ではない。非理想的結晶相はピーク位置によって定義され、ピーク強度によって定義されるものではない。ピーク強度における差異は、測定装置の異なる構成(透過対反射)、または結晶の好ましい配向に関係している組織効果によることがある。
【0124】
ピーク強度における差異が組織効果によるのか検証するために、一部の選択試料をメノウ乳鉢で穏やかに粉砕し、測定した。試料を均質化した後、組織効果は目立たなくなるか、または消失した(図6を参照のこと)。
【0125】
さらに、第1相のいくつかの試料を1H NMRによって分析することで、該塩の安定性を調べた。1H NMRシグナルの化学シフトおよび積分が全ての試料に関して一致しており、HClの損失または試料の分解の兆候は観察できない(図7を参照のこと)。
【0126】
第1相試料のDSC分析を10℃/分の加熱速度を用いて行った。ベースラインに回復しない該分析は、194℃でのオンセットおよび103J/gのエンタルピーを有する鋭い吸熱ピークを示し、該生成物の溶融、続いて分解に対応する(図3を参照のこと)。5℃/分および20℃/分の加熱速度を用いて行った同じ試料の追加のDSC分析において、吸熱ピークのオンセット温度は加熱速度によって変動するのではないことが観察された(図8および9を参照のこと)。
【0127】
第1相試料のTGAにおいて、試料の分解による重量損失が、195℃より高い温度で観察された(図3を参照のこと)。重量損失は195℃未満の温度で観察されず、溶媒の非存在を示す。TGAにおける重量損失のオンセット温度は溶融温度と一致しており、該試料は溶融するとすぐに分解することを確証している。
【0128】
P027第1相のFTIRスペクトルは、約2965cm-1、2609cm-1、1632cm-1、1600cm-1、1559cm-1、1508cm-1、1490cm-1、1439cm-1、1376cm-1、1301cm-1、1257cm-1、1242cm-1、1169cm-1、1129cm-1、1103cm-1、1042cm-1、1010cm-1、932cm-1、914cm-1、862cm-1、828cm-1および753cm-1で激しいピークを表示した(図4を参照のこと)。
【0129】
単結晶X線回折による4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリン塩酸塩第1相結晶形の構造決定
P027化合物第1相の同一性および結晶構造を、単結晶X線構造決定によって試験した。適当な結晶を、n-ヘプタンをアセトン中の該生成物の濃縮溶液にゆっくり拡散することによって得た。選択された結晶はほぼ双晶であったので、小さい断片のプレート(0.30x0.30x0.07mm3)をマイクロメスで分離し、単結晶X線構造決定のために使用した。表26は、利用した測定条件、セル定数、および単結晶X線構造回折解析で得られた結果を示している。表27は、100Kで行われたX線構造決定に関する第1相選択結合距離および角度を表している。
【0130】
【表26】
【0131】
【表27】
【0132】
第1相形態は、単位格子中に1個のカチオン性分子および2個の半分独立したアニオン性塩素原子を有する中心対称空間C2/cにおいて結晶化する(図10を参照のこと)。各カチオン性分子は、隣接しているカチオン性分子と2個の塩素アニオンを共有している。共有塩素原子の1個は、2個の水素結合を作る2個の隣接しているカチオン性分子の正荷電N-H基に連結している(Cl1・・・N3の距離:3.13Å)[図10および11を参照のこと]。第2の共有塩素アニオンは、周囲の分子との弱い相互作用しか行わない分子間空間中に位置する(最短距離はCl2・・・C17の距離:3.56Åである)。
【0133】
単結晶データからシミュレートした粉末回折パターンは、第1相の実験的に測定した標準粉末回折パターンに対する良好な対応を示している。オーバレイは相純度を確証している。ピーク位置における小さい変動は、比較粉末ディフラクトグラムを測定した温度差によるものである(-173℃でシミュレートし、室温で実験的に測定)。図12および13は、第1相シミュレート粉末回折パターン、および実験的に測定したパターンとのその比較をそれぞれ示している。
【0134】
(実施例2)
4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリン塩酸塩第2相結晶形の調製および特徴づけ
初期のスクリーニングにおいて、第1相および第2相の混合物を、いくつかの溶媒(メタノール、水、ジイソプロピルエーテル-水、ニトロメタンジオキサン-水およびヘプタン-水)中での溶媒蒸発によって得た。この新たな第2相は、水中のP027の溶液を蒸発することによる、および触媒量のポリ(ビニルアルコール)の存在下での、ポリマーを使用して行われるスクリーニングにおいて純粋に再生することができる。
【0135】
室温での溶媒蒸発による第2相形態の結晶化:4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリン塩酸塩の試料(20〜25mg)を、最小量の水(0.7ml)中に室温で溶解し、少量のポリ(ビニルアルコール)(2〜3mg)を対応する溶液に添加した。生じた溶液または懸濁液を放置して、2週間開口バイアル中にて室温で蒸発させた。
【0136】
第1相および第2相のPXRDパターンの比較を図23に示す。ポリ(ビニルアルコール)を使用して得られる第2相は純粋であり、第1相のピークは該パターンにおいて検出され得ないことを観察することができる。
【0137】
第2相形態の標準PXRDパターンを図24に示す。
【0138】
1H NMR、DSCおよびTGAによる特徴づけを図25および26に示す。
【0139】
第1相および第2相の混合物から得られた1H NMRスペクトルは、第1相に関して得られたものと同一であり、第2相が分解生成物ではないことを示している。第1相および第2相に関して得られたスペクトルは、図25において比較されている。関連水素原子のシフトの差異は、観察することができない。
【0140】
10℃/分の加熱速度を用いて行われた第2相のDSC分析は、145℃でのオンセットおよび4J/gのエンタルピーを有する弱く広い発熱ピーク、ならびに194℃でのオンセットおよび92J/gのエンタルピーを有する鋭い吸熱ピークを示しており、該生成物の溶融、続いて分解に対応する(図26)。145℃での小さい発熱ピークは、第2相が第1相と単変的に関係している準安定性相であるはずであると示唆している。したがって、DSCは実際には、第2相から第1相への固体-固体転移、続いて第1相の溶融を示している。
【0141】
第2相のTG分析において(図26)、試料の分解による重量損失は、195℃より高い温度で観察されている。TGAにおける重量損失の出発温度は溶融温度と一致しており、試料は溶融するとすぐに分解することを確証している。重量損失は180℃未満の温度で観察されず、溶媒の非存在を示している。第2相を含有する固体のTG分析は、第1相に関して得られたものと同一である。
【0142】
(実施例3)
4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリン塩酸塩第3相結晶形の調製および特徴づけ
第3相形態をポリマー誘起結晶化によって生成した。この固体は、常にポリ(エチレングリコール)の存在下における4つの実験で得た。3つの場合において、それは水またはアセトンの蒸発によって得られ、1つの場合において、それは、貧溶媒としてジイソプロピルエーテルを水中の溶液に添加することによって得られた。
【0143】
室温での溶媒蒸発における相形態の結晶化:4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリン塩酸塩の試料(20〜25mg)を、最小量の水(0.7ml)またはアセトン(5.7ml)中に室温で溶解し、少量のポリ(エチレングリコール)(2〜3mg)を対応する溶液に添加した。生じた溶液または懸濁液を放置することで、2週間開口バイアル中にて室温で蒸発させた。
【0144】
貧溶媒の添加による相形態の結晶化:4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリン塩酸塩の試料(20〜25mg)をポリ(エチレングリコール)(3〜4mg)と一緒に、最小量の水中に室温で溶解し、ジイソプロピルエーテル(10ml)を激しい撹拌下で添加した。最終懸濁液を放置することで蒸発させた。
【0145】
第3相をPXRD、1H NMR、DSCおよびTGAによって特徴づけた。第3相に関する代表的なPXRDパターンを図27に示す。第3相のPXRDパターンをポリ(エチレングリコール)のパターンと比較することによって、2θにおける19.1°および23.2°でのポリマーの2つの最も強い特徴的なシグナルは、明らかに識別することができる(図28での比較を参照のこと)。2θにおける19.1°でのピークは弱いシグナルとして観察することができ、2θにおける23.2°での広いピークは、第3相のパターンにおいて、2θにおける23.6°にわずかにシフトしているのも観察することができる。
【0146】
1H NMR、DSCおよびTGAによる特徴づけを図29および31に示す。
【0147】
第3相の1H NMRスペクトルにおいて、P027の特徴的なシグナルの存在は、試料が分解しなかったことを示唆している。追加として、測定された全てのスペクトルにおいて、ポリ(エチレングリコール)に対応する特徴的なピークが観察され、第3相がこのポリマーと常に混合されていることを示している。ポリ(エチレングリコール)の1H NMRスペクトルを図30に表示する。
【0148】
10℃/分の加熱速度を用いて行われた第3相のDSC分析(図31を参照のこと)は、56℃でのオンセットおよび46J/gのエンタルピーを有する第1の鋭い吸熱ピークを示し、ポリ(エチレングリコール)の溶融に対応する。純粋なポリ(エチレングリコール)のDSCを図32に示す。150℃から170℃の範囲において、DSCは、最初に吸熱および次いで発熱の二重ピークを示し、第1相の再結晶と重複する第3相の溶融に大方対応する。最終的に、第1相の溶融、続いて分解に対応する190℃でのオンセットおよび47J/gのエンタルピーを有する吸熱ピークを観察することができる。追加として、20℃/分(図33)および30℃/分(図34)の加熱速度を用いて行われた同じ試料のDSC分析を行い、吸熱ピークのオンセット温度は加熱速度により変動しないことを示した。これは、吸熱ピークが融点に対応することを示唆している。
【0149】
第3相のTG分析(図31)において、試料の分解による重量損失が、180℃より高い温度で観察される。重量損失は180℃未満の温度で観察されず、溶媒の非存在を示唆している。TGAにおける重量損失のオンセット温度は、溶融温度と一致しており、試料は溶融するとすぐ分解することを確証している。
【0150】
(実施例4)
4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリン塩酸塩第4相結晶形の調製および特徴づけ
第4相形態をポリマー誘起結晶化だけによって生成した。この相は、溶媒としてクロロホルムおよび貧溶媒としてジイソプロピルエーテルを使用して行われた実験で形成された。第4相固体を、以下のポリマーを用いて得た。ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ(アクリル酸)(PAA)、ポリプロピレン(PPL)、ポリ(スチレン-co-ジビニルベンゼン)(PSV)、ポリ(テトラフルオロエチレン)(PTF)、ポリ(ビニルアルコール)(PVH)、ポリアクリルアミド(PAD)およびポリ(メタクリル酸メチル)(PMM)。ポリマーPVP、PAA、PSV、PVH、PADおよびPMMは非晶質であり、ポリマーPPLおよびPTFは結晶質である。結晶質PTFを用いて得られた第4相の試料にだけ、該ポリマーの弱いピークをPXRDパターンで検出することができる。
【0151】
貧溶媒の添加による相形態の結晶化:4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリン塩酸塩の試料(20〜25mg)を、対応するポリマー(ポリビニルピロリドン、ポリ(アクリル酸)、ポリプロピレン、ポリ(スチレン-co-ジビニルベンゼン)、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアクリルアミド、ポリ(メタクリル酸メチル))3〜4mgと一緒に、最小量のクロロホルム中に室温で溶解し、ジイソプロピルエーテル(2ml)を激しい撹拌下で添加した。得られた最終の固体を遠心分離によって分離した。
【0152】
第4相形態を、PXRD、1H NMR、DSCおよびTGAによって特徴づけた。
【0153】
第4相に関する代表的なPXRDパターンを図35に示す。
【0154】
1H NMR、DSCおよびTGAによる特徴づけを図36および37に示す。
【0155】
第4相の1H NMRスペクトル(図36を参照のこと)において、P027の特徴的なシグナルの存在は、試料が分解しなかったことを示唆している。該ポリマーに対応するシグナルは検出することができなかった。
【0156】
10℃/分の加熱速度を用いて行われた第4相のDSC分析(図37を参照のこと)は、147℃でのオンセットおよび9J/gのエンタルピーを有する広い発熱ピークを示し、第4相から第1相への固体-固体転移に大方対応する。最終的に、第1相の溶融、続いて分解に対応する191℃でのオンセットおよび71J/gのエンタルピーを有する吸熱ピークを観察することができる。
【0157】
第4相のTG分析(図37)において、試料の1.4%に対応する小さい重量損失を、120℃から170℃の間で観察することができる。試料の分解は190℃より高い温度で観察される。重量損失は、転移過程において失われる少量の水またはジクロロメタンに大方対応している。TGAにおけるより高い重量損失のオンセット温度は溶融温度に一致しており、試料は溶融するとすぐ分解することを確証している。
【0158】
(実施例5)
ジオキサンを用いる4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリン塩酸塩溶媒和物の調製および特徴づけ
標識ジオキサン溶媒和物である新たな結晶質の溶媒和相を、ジオキサン中の溶媒滴粉砕実験において、およびジオキサン中の熱飽和溶液からの結晶化によって得た。ジオキサン溶媒和物は小さい粘性の結晶子の形態で結晶化する。溶媒和物の代表的なPXRDパターンを図38に示す。1H NMR、DSC、TGAおよびFTIRによる特徴づけを図39から41に示す。
【0159】
粉砕実験:化合物50mgを触媒量のジオキサン(3滴剤)と一緒に、ボールミル内にて30s-1で30分間粉砕した。該粉砕実験に、Retsch MM400ボールミルを使用した。
【0160】
熱飽和溶液からの結晶化:4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリン塩酸塩0.5gを、ジオキサン(80mL)中に80℃で溶解した。生じた溶液を40℃に冷却し、固体が結晶化し始めた。生じた懸濁液を40℃にて2時間穏やかな撹拌下で保持し、室温に冷却し、その温度にて2時間穏やかな撹拌下で保持した。最終固体を濾別した。
【0161】
10℃/分の加熱速度を用いるジオキサン溶媒和物のDSC分析は、大方ジオキサンの損失による124℃および130℃でのオンセットを有する2つの重複吸熱ピーク、ならびに192℃でのオンセットおよび73J/gのエンタルピーを有する第3の鋭い吸熱ピークを示しており、該生成物の溶融、続いて分解に対応する(図40)。
【0162】
ジオキサン溶媒和物のTG分析(図40)において、ジオキサン(ジオキサン一溶媒和物のための理論上のジオキサン含有量は19%である)の損失による14.6%の重量損失は、100℃および160℃の間で観察することができる。該試料の分解は、190℃より高い温度で観察される。TGAにおける分解による重量損失のオンセット温度は、DSCでの吸熱ピークと一致しており、試料は溶融するとすぐ分解することを確証している。1H NMRスペクトルにおいて、ジオキサンの特徴的なシグナルを観察することができ、この溶媒の存在を確証している(図39を参照のこと)。
【0163】
ジオキサン溶媒和物に関するFTIRスペクトルの特徴は図41に表されており、3138cm-1、3055cm-1、2959cm-1、2857cm-1、2660cm-1、2572cm-1、2540cm-1、2444cm-1、1633cm-1、1600cm-1、1556cm-1、1509cm-1、1488cm-1、1446cm-1、1372cm-1、1304cm-1、1289cm-1、1255cm-1、1168cm-1、1118cm-1、1099cm-1、1083cm-1、1039cm-1、933cm-1、872cm-1、861cm-1、819cm-1、771cm-1および748cm-1で激しいピークを示している。
【0164】
ジオキサン溶媒和物のスケールアップを、該化合物50mg、100mgおよび500mgから出発して行った。各場合において得られた結果を表28に集約する。
【0165】
【表28】
【0166】
初期のスクリーニングならびに100mgおよび500mgでのスケールアップにおいて得られた固体で、同じ結晶相を得た。50mgスケールで、固体は、ジオキサン中の溶媒滴粉砕実験によって得られた。100mgおよび500mgスケールで、固体は、ジオキサン中の熱飽和溶液を室温に冷却する間に結晶化した。
【0167】
(実施例6)
クロロホルムを用いる4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリン塩酸塩溶媒和物の調製および特徴づけ
標識クロロホルム溶媒和物である新たな結晶質の溶媒和相を、ポリマー誘起結晶体で得た。P027のクロロホルム溶媒和物を、以下のポリマーを使用してクロロホルム溶液の蒸発または熱飽和クロロホルム溶液の結晶化によって得た。ポリ(エチレングリコール)(PGY)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ(アクリル酸)(PAA)、ナイロン6/6(NYL)、ポリプロピレン(PPL)、ポリ(テトラフルオロエチレン)(PTF)、ポリ(酢酸ビニル)(PVA)、ポリ(ビニルアルコール)(PVH)、ポリアクリルアミド(PAD)およびポリスルホン(PLS)。ポリマーPGY、PPLおよびPTFは結晶質であり、残りは非晶質である。結晶質ポリマーのシグナルは、PXRDパターンにおいて観察することができなかった。クロロホルム溶媒和物は、その大部分の場合、ポリマーの存在によって大方安定化する大きい結晶の形態で結晶化する。溶媒和物の代表的なPXRDパターンを図42に示す。DSCおよびTGAによる特徴づけを図43に示す。
【0168】
溶媒蒸発によるクロロホルム溶媒和物の結晶化:4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリン塩酸塩の試料(20〜25mg)を、クロロホルム0.6mL中に溶解し、対応するポリマー(ポリ(エチレングリコール)、ポリビニルピロリドン、ポリ(アクリル酸)、ナイロン6/6、ポリプロピレン、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアクリルアミド、ポリスルホン)3〜4mgを添加した。懸濁液を放置することで蒸発させた。24時間後、得られた固体をPXRD、DSCおよびTGAによって分析した。
【0169】
10℃/分の加熱速度を用いて測定されたクロロホルム溶媒和物のDSC分析は、クロロホルムの損失による67℃でのオンセットおよび42J/gのエンタルピーを有する広い吸熱ピーク、ならびに194℃でのオンセットおよび73J/gのエンタルピーを有する第2の鋭い吸熱ピークを示しており、第1相の溶融、続いて分解に対応する(図43)。
【0170】
クロロホルム溶媒和物のTG分析(図43)において、クロロホルム(クロロホルム一溶媒和物に関する理論上のクロロホルム含有量は22.6%である)の損失による21.5%の重量損失は、50℃から120℃の間で観察することができる。試料の分解は190℃より高い温度で観察される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンの塩酸塩(P027)の多形体および溶媒和物、それらの調製のための方法、およびそれらを含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
新たな治療剤の探索は、標的疾患と関連するタンパク質および他の生体分子の構造のより良好な理解によって、近年大いに援助されている。これらのタンパク質の最も重要な一部類は、オピオイドの不快性、幻覚発現性および心臓の刺激効果に関係し得る中枢神経系(CNS)の細胞表面受容体であるシグマ(σ)受容体である。シグマ受容体の生物学および機能の研究から、シグマ受容体リガンドは、ジストニアおよび遅発性ジスキネジーなどの精神病および運動障害、ならびにハンチントン舞踏病またはトゥレット症候群に伴う、およびパーキンソン病と関係がある運動妨害の治療において有用であり得る証拠が示された(Walker、J.M.ら、Pharmacological Reviews、1990、42、355)。公知のシグマ受容体リガンドのリムカゾールは、臨床的に、精神病の治療において効果を示すことが報告された(Snyder、S.H.、Largent、B.L. J. Neuropsychiatry 1989、1、7)。シグマ結合部位は、(+)SKF 10047、(+)シクラゾシンおよび(+)ペンタゾシンなどの特定のアヘン剤ベンゾモルファンの右旋性異性体、ならびにさらにハロペリドールなどの一部のナルコレプシーに対する優先的な親和性を有する。
【0003】
シグマ受容体は少なくとも2種のサブタイプを有し、これらは、これらの薬剤活性薬物の立体選択性異性体によって区別することができる。SKF 10047は、シグマ1(σ-1)部位に対してナノモル親和性を有し、シグマ2(σ-2)部位に対してマイクロモル親和性を有する。ハロペリドールは、両方のサブタイプに対して同様の親和性を有する。内因性シグマリガンドは知られていないが、プロゲステロンがそれらの1つであると示唆された。可能なシグマ部位媒介薬物効果として、グルタメート受容体機能、神経伝達物質応答、神経保護、挙動および認知の調節が挙げられる(Quirion、R.ら、Trends Pharmacol. Sci.、1992、13:85-86)。大部分の研究が、シグマ結合部位(受容体)はシグナル伝達カスケードの原形質膜要素であることを暗示してきた。選択的シグマリガンドであると報告されている薬物は、統合失調症治療薬として評価されてきた(Hanner、M.ら、Proc. Natl. Acad. Sci.、1996、93:8072-8077)。CNS系、免疫系および内分泌系におけるシグマ受容体の存在は、それが該3つの系の間のリンクとして働くことができる可能性を示唆した。
【0004】
シグマ受容体のアゴニストまたはアンタゴニストの有望な治療用途を考慮して、多大な労力が選択的リガンドを見出すことに向けられてきた。したがって、従来技術は異なるシグマ受容体リガンドを開示している。4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンは、こうした有望なシグマ受容体リガンドの1つである。該化合物およびその合成は、WO2006/021462において開示され、特許請求されている。
【0005】
4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンは、高選択的シグマ-1(σ-1)受容体アンタゴニストである。それは、慢性疼痛および急性疼痛ならびに特に神経因性疼痛の治療および予防において強力な鎮痛活性を示してきた。該化合物は分子量337.42umaを有する。該化合物の構造式は以下である。
【0006】
【化1】
【0007】
医薬化合物の固体状態物性は、該化合物が固体形態で得られる条件によって影響され得る。固体状態物性として、例えば、化合物を医薬品に加工する最中の取扱いやすさに影響を及ぼす製粉固体の流動性が挙げられる。医薬化合物の別の重要な固体状態特性は、水性流体中のその溶解速度である。患者の胃液中における活性成分の溶解速度は治療の結果を招くことがあり、なぜならばそれが、経口投与された活性成分が血中に到達できる速度に上限を課するからである。化合物の固体状形態は、その溶解性、生物学的利用能、コンパクションに対する挙動、安定性、またはその静電気的性質にも影響を及ぼすことがある。
【0008】
多形性は、固体状態における1つより多い結晶質または非晶質の形態を想定させる一部の分子および分子複合体の特性である。一般に、多形性は、その立体配座を変えるか、または異なる分子間および分子内の相互作用、特に水素結合を形成する、物質の分子の能力によって起こり、これは、異なる多形体の結晶格子における異なる原子配置に反映される。すなわち、多形体は、同じ分子式を共有し、多形体系統群における他の形態と比較して別々の有利および/または不利な物性を有する別々の固体である。
【0009】
「溶媒和物」という用語は、所定の化合物の任意の固体形態を指し、ここで、前記化合物は非共有結合によって溶媒(通常、極性溶媒)の分子に結合される。
【0010】
医薬化合物の新たな結晶多形または非晶質の形態の発見は、それが、処方科学者が例えば標的放出プロフィールまたは他の所望の特徴を有する薬物の医薬品剤形を設計するために利用可能である材料のレパートリーを拡大することにおいて、医薬品の物理的または性能的特徴を改善する機会を提供する。
【0011】
したがって、4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンの追加の形態は、その医薬開発を実行し、その潜在力を解放し、この医薬活性成分のより良好な処方物の調製を促進するために、当技術分野において依然必要とされている。この点において、該化合物の異なる形態学的形態は、例えば、増強した熱力学的安定性、より高い純度、または改善された生物学的利用能(例えば、より良好な吸収、溶解パターン)などの広く異なる特性を有することがあり、他の形態のための中間体になるか、またはこの医薬活性成分のいっそう良好な処方物をそれら自体で提供するかのいずれかであり得る。特定の化合物形態は、化合物処方物の製造(例えば、増強した流動性)、取扱いおよび貯蔵(例えば、非吸湿の長い保存期間)を促進するか、または治療剤のより低い用量の使用を可能にし、したがってその潜在的副作用を減少することもあり得る。したがって、医薬的使用のための望ましい特性を有するこうした形態を見出すことは重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】WO2006/021462
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Walker、J.M.ら、Pharmacological Reviews、1990、42、355
【非特許文献2】Snyder、S.H.、Largent、B.L. J. Neuropsychiatry 1989、1、7
【非特許文献3】Quirion、R.らTrends Pharmacol. Sci.、1992、13:85-86
【非特許文献4】Hanner、M.らProc. Natl. Acad. Sci.、1996、93:8072-8077
【非特許文献5】M. LangらJ. Am. Chem. Soc、2002、124、14834.; C. PriceらJ. Am. Chem. Soc、2005、127、5512.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の発明者らは、驚くべきことに、4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンの塩酸塩(P027)の新たな固体形態が、上記で述べた目的の1つまたは複数を達成できることを見出し、実証した。本明細書に開示されているP027の新規な多形形態および溶媒和形態は、その期間にわたりかなり安定であり、良好な流動特徴および溶解特徴を有する。特に、P027化合物の新規および高安定な結晶形(第1相形態)は、有利な製造、取扱い、貯蔵および治療法特性を提供する。さらに、P027の新たな固体形態の一部は、P027の第1結晶相形態などの他の有用な形態のための中間体として有用であり得る。
【課題を解決するための手段】
【0015】
したがって、本発明は、P027の多形形態および溶媒和物、それらの使用、ならびにそれらの調製のためのいくつかの方法に関する。
【0016】
4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンの塩酸塩(P027)は、該塩基の溶液と塩酸とを接触させることによって調製することができる。P027化合物は、373.88umaの分子量、6.73のpKaおよび194.2℃の融点を有する。該化合物は水に非常に可溶であり、メタノール、1N塩酸およびジメチルスルホキシドに溶けやすい。それはエタノールにやや溶けにくく、アセトンに溶けにくく、酢酸エチルおよび1N水酸化ナトリウムにほとんど溶けない。該生成物は、生体内で、その関連塩基より良好な溶解および吸収プロフィールを呈する。
【0017】
一実施形態において、本発明は、4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンの塩酸塩の固体多形形態または溶媒和形態を対象とする。
【0018】
好ましくは、前記固体形態は、以下のものからなる群から選択される。
-P027第1相形態、これは、約5.9、8.1、11.3、11.7、14.2、15.1、15.8、16.3、16.8、17.8、18.1、18.6、19.8、20.9、21.9、22.8、23.0、23.2、23.6、23.9、24.3、25.0、25.1、28.0、28.3、28.6、29.0、29.2、30.7、および30.9の反射角[2θ]で特徴的なピークを示すX線粉末回折パターンをそれが有することにより特徴づけすることができ、該2θ値は、銅放射線を使用して得られる(CuKα1 1.54060Å)。
-P027第2相形態、これは、下記表1に表示されている値辺りの反射角[2θ]で特徴的なピークを示すX線粉末回折パターンをそれが有することにより特徴づけすることができる。
【0019】
【表1】
【0020】
-P027第3相形態、これは、下記表2に表示されている値辺りの反射角[2θ]で特徴的なピークを示すX線粉末回折パターンをそれが有することにより特徴づけすることができる。
【0021】
【表2】
【0022】
-P027第4相形態、これは、下記表3に表示されている値辺りの反射角[2θ]で特徴的なピークを示すX線粉末回折パターンをそれが有することにより特徴づけすることができる。
【0023】
【表3】
【0024】
-P027ジオキサン溶媒和物、これは、下記表4に表示されている値辺りの反射角[2θ]で特徴的なピークを示すX線粉末回折パターンをそれが有することにより特徴づけすることができる。
【0025】
【表4】
【0026】
-P027クロロホルム溶媒和物、これは、下記表5に表示されている値辺りの反射角[2θ]で特徴的なピークを示すX線粉末回折パターンをそれが有することにより特徴づけすることができる。
【0027】
【表5】
【0028】
別の実施形態によると、本発明による4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリン塩酸塩の結晶質P027第1相形態は、以下のおよその寸法を持つ単斜晶の単位格子を有する。
a=29.4(3)Å
b=11.7(11)Å
c=11.0(10)Å
α=90°
β=91.3(2)
γ=90°
【0029】
上記の多形形態および溶媒和形態の調製は、本発明の追加の実施形態を表す。
【0030】
P027第1相形態は、変動する温度での溶媒蒸発、熱飽和溶液からの結晶化、貧溶媒添加による結晶化、貧溶媒拡散による結晶化、水および溶媒混合物からの結晶化、ならびに懸濁液の調製などの様々な技術の手段によって、様々な溶媒中でP027化合物を結晶化することによって調製することができる。
【0031】
P027第2相形態は、溶媒蒸発によって、ポリマー誘起結晶体で得ることができる。
【0032】
P027第3相形態は、溶媒蒸発または貧溶媒添加による結晶化のいずれかによって、ポリマー誘起結晶体で得ることができる
【0033】
P027第4相形態は、貧溶媒添加による結晶化によって、ポリマー誘起結晶体で得ることができる。
【0034】
P027ジオキサン溶媒和物は、ジオキサン中での溶媒滴粉砕、またはジオキサンの熱飽和溶液からの結晶化によって得ることができる。
【0035】
P027クロロホルム溶媒和物は、溶媒(クロロホルム)蒸発、またはクロロホルムの熱飽和溶液からの結晶化のいずれかによって、ポリマー誘起結晶体で得ることができる。
【0036】
本発明の別の実施形態には、上記第2相、第3相および第4相の結晶形を、P027第1相形態などのより安定な多形形態に形態転換することが含まれる。
【0037】
本発明の別の実施形態には、P027の溶媒和物、好ましくはクロロホルム溶媒和物を、第1相形態などのより安定な多形形態に形態転換することが含まれる。
【0038】
本発明のさらなる実施形態として、上記で述べた4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンの塩酸塩の形態、特にP027第1相、P027第2相、P027第3相、P027第4相、P027クロロホルム溶媒和物およびP027ジオキサン溶媒和物の少なくとも1つを含む医薬組成物が挙げられる。
【0039】
これらの態様およびそれらの好ましい実施形態は、本請求項においてさらに規定されている。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】第1相の標準PXRDパターンを示すグラフである。
【図2】P027化合物溶液の1H NMRスペクトルを示すグラフである。
【図3】第1相のDSC分析およびTGA分析を示すグラフである。
【図4】第1相のFTIR分析を示すグラフである。
【図5】組織効果を認めることができる、第1相に対応する異なる固体の、無作為に選択されたPXRDパターンを示すグラフである。
【図6】粉砕前後の第1相試料のPXRDパターンを示すグラフである。第1相の標準PXRDパターンが比較目的のために示されている。
【図7】図6に表されている試料の1H-NMRスペクトルを示すグラフである。
【図8】5℃/分の加熱速度を用いる第1相のDSC分析を示すグラフである。
【図9】20℃/分の加熱速度を用いる第1相のDSC分析を示すグラフである。
【図10】単位格子に含有される有機カチオンおよび2個の独立した半分の塩素アニオンを示すOrtepプロット(50%)を示すグラフである。
【図11】第1相の構造を示すOrtepプロット(50%)を示すグラフである。水素結合は不連続線で印を付けられている。
【図12】第1相の単結晶データから作成されたシミュレート粉末回折パターンを示すグラフである。
【図13】単結晶データから得られたシミュレート粉末回折パターン、および第1相の実験的に測定された粉末回折パターンの比較を示すグラフである。
【図14】-21℃でn-ブタノールを蒸発することによって得られた第1相形態のPXRDパターンを示すグラフである。
【図15】メチルエチルケトン中で熱飽和P027化合物溶液をゆっくり結晶化することによって得られた第1相形態のPXRDパターンを示すグラフである。
【図16】メタノール中のP027溶液をn-ヘプタン溶液に添加することを介する結晶化によって得られた第1相形態のPXRDパターンを示すグラフである。
【図17】ニトロメタン中のP027溶液およびイソプロピルエーテル溶液の液-液拡散を介する結晶化によって得られた第1相形態のPXRDパターンを示すグラフである。
【図18】P027第1相形態の試料をジクロロメタンと一緒に粉砕した後で得られたPXRDパターンを示すグラフである。パターンは、相安定性を実証する標準第1相PXRDパターンと一致する。
【図19】30トンの圧力を試料に90分間かけた後のP027第1相形態の試料のPXRDパターンを示すグラフである。パターンは、相安定性を実証する標準第1相PXRDパターンと一致する。
【図20】第2相および第3相に関して得られたPXRDパターンの比較を示すグラフである。
【図21】第2相および第4相に関して得られたPXRDパターンの比較を示すグラフである。
【図22】第3相および第4相に関して得られたPXRDパターンの比較を示すグラフである。
【図23】第1相および第2相に関して得られたPXRDパターンの比較を示すグラフである。
【図24】第2相の標準PXRDパターンを示すグラフである。
【図25】第2相の1H NMRスペクトルを示すグラフである。
【図26】第2相のDSC分析およびTGA分析を示すグラフである。
【図27】第3相の標準PXRDパターンを示すグラフである。
【図28】ポリ(エチレングリコール)および第3相に関して得られたPXRDパターンの比較を示すグラフである。
【図29】第3相の1H NMRスペクトルを示すグラフである。
【図30】ポリ(エチレングリコール)の1H NMRスペクトルを示すグラフである。
【図31】第3相のDSC分析およびTGA分析を示すグラフである。
【図32】ポリ(エチレングリコール)のDSC分析およびTGA分析を示すグラフである。
【図33】20℃/分の加熱速度を用いる第3相のDSC分析を示すグラフである。
【図34】30℃/分の加熱速度を用いる第3相のDSC分析を示すグラフである。
【図35】第4相の標準PXRDパターンを示すグラフである。
【図36】第4相の1H NMRスペクトルを示すグラフである。
【図37】第4相のDSC分析およびTGA分析を示すグラフである。
【図38】ジオキサン溶媒和物の標準PXRDパターンを示すグラフである。
【図39】ジオキサン溶媒和物の1H NMRスペクトルを示すグラフである。
【図40】ジオキサン溶媒和物のDSC分析およびTGA分析を示すグラフである。
【図41】ジオキサン溶媒和物のFTIR分析を示すグラフである。
【図42】クロロホルム溶媒和物の標準PXRDパターンを示すグラフである。
【図43】クロロホルム溶媒和物のDSC分析およびTGA分析を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明の本発明者らは、有利な製造、取扱い、貯蔵および治療特性を提供する4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンの塩酸塩(P027)の新規な固体形態を見出した。これらの化合物は、それらが単離、精製および取扱いを簡便にする固体であるという事実による利点を有する。さらに、この化合物の第1相形態は高安定であり、処方および投与されて安定な組成物および良好な薬理学的特性を提供することができる。追加として、P027の新たな形態は、P027の第1結晶相形態などの他の形態を得るために使用することができる。
【0042】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、明記されている値のわずかな変動、好ましくは明記されている値の10パーセント以内を意味する。それでもなお、「約」という用語は、例えば使用される実験技術に依存して、より高い許容差の変動を意味することがある。明記されている値の前記変動は当業者によって理解され、本発明の文脈の範囲内である。さらに、より簡潔な記述を提供するため、本明細書において示されている定量的表現の一部には「約」という用語が適さない。「約」という用語が明確に使用されていても、または使用されていなくても、本明細書に示されているあらゆる定量は実際の所定の値を指すと意味されること、ならびにそれが、こうした所定の値に関する実験および/または測定の条件により、同等値および近似値を含めて、当技術分野における通常の技術に基づいて合理的に推測されるような所定の値の近似値を指すことも意味されることが理解される。
【0043】
本明細書で使用される場合、「室温」またはその略語「rt」は、20℃から25℃を意味すると解釈される。
【0044】
本明細書に開示されているP027の新たな形態を、粉末X線回折(PXRD)、プロトン核磁気共鳴(1H-NMR)、示差走査熱測定(DSC)、熱重量分析(TGA)およびフーリエ変換赤外分光法によって特徴づけた。本発明は、一態様において、P027自体の新たな固体形態を、それらの特徴づけのために使用された技術にかかわらずに対象とする。したがって、本明細書において提供されている技術および結果は、本発明を限定するものではなく、その特徴づけとしての働きをするものと意図される。当業者は、本明細書に記載されているガイダンスおよび結果を前提として、利用可能な技術を使用して、化合物4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリン塩酸塩(P027)の異なる多形体および溶媒和物を比較し、特徴づけすることができる。
【0045】
化合物P027の固体試料の調製は、40種の溶媒(表6)の組合せにおいて行った。溶媒は、特性が広範囲に及ぶ目的で、以前の経験に従って選択された。
【0046】
【表6】
【0047】
結晶化スクリーニングを計画するために、P027の溶解性を室温にて表6の溶媒の組合せにおいて以下の方法論(表7)を使用して決定した。送達試料10mgを室温にて対応する溶媒0.2mL中に懸濁し、溶媒の逐次添加(初期0.2mL、および最終的に0.5mL)を、固体が完全に溶解するまで、または最大8mLまで行った。それぞれの溶媒添加後、懸濁液を10〜15分間激しく撹拌し、目視検査することで、固体が完全に溶解しているかどうかを決定した。溶解範囲は表7に列挙されている。
【0048】
【表7】
【0049】
P027が不溶である溶媒を貧溶媒として使用した(例えば、<1.2mg/mLの溶解性をもたらす溶媒)。例えば、n-ヘプタン(HEP)、メチルtert-ブチルエーテル(MTE)およびジイソプロピルエーテル(DIE)を貧溶媒として使用した。他の溶媒を、試験した異なる結晶化戦略において、溶解溶媒として使用した。
【0050】
可能な結晶化が最も広い範囲に及ぶために、表6に記載されている溶媒を使用するいくつかの結晶化方法論を用いた。熱力学的に安定な相を得るために適応させた手順、ならびに動力学的に好適な相を得ることを対象とした手順を使用した。さらに、溶媒媒介ならびに溶媒フリーの結晶化手順を試験した。本発明で使用された結晶化手順の一覧は以下である。
-2つの速度にて室温での溶媒蒸発
-異なる温度-21℃、4℃および60℃での溶媒蒸発
-2つの冷却速度で熱飽和溶液から結晶化
-水和物の調製を目指す結晶化
-貧溶媒の添加による結晶化
-貧溶媒の拡散による結晶化
-粉砕実験
-圧力実験
-スラリー実験(懸濁液)
【0051】
標準結晶化手順に追加して、ポリマーを適用することで新たな固体の結晶化を誘起する新たな方法論を使用した。文献において記載されている通り、ポリマーの使用は新たな結晶相の形成に好適であり得る(M. LangらJ. Am. Chem. Soc、2002、124、14834.; C. PriceらJ. Am. Chem. Soc.、2005、127、5512.)。さらに、ポリマーの存在はより大きな単結晶の形成を支持し、溶媒和物の形成を安定化し得る。一連のポリマー(表8を参照のこと)を触媒量でP027の溶液に添加し、以下の方法論で結晶化した。
-室温での溶媒蒸発
-熱飽和溶液からの結晶化
-貧溶媒添加による結晶化
-粉砕実験
【0052】
【表8】
【0053】
本明細書でポリマーに言及して使用される場合、「触媒量」は化合物P027に関するポリマーの半化学量論量、好ましくは該化合物P027の量(wt)の25%wt未満を表し、特定の実施形態において、「触媒量」は化合物P027の20%wt未満を表す。より特定の実施形態において、「触媒量」は化合物P027の10%wt未満を表す。
【0054】
該異なる結晶化方法論を使用して得られた全ての固体をPXRDによって特徴づけ、得られた異なるPXRDパターンに従って分類した。行われたさらなる分析も固体の分類のために考慮に入れた(実験項を参照のこと)。
【0055】
P027の以下の形態を同定し、得られた固体の間で特徴づけた。P027第1相形態、P027第2相形態、P027第3相形態、P027第4相形態、P027ジオキサン溶媒和物およびP027クロロホルム溶媒和物。
【0056】
本発明の一実施形態において、P027第1相形態は、P027化合物を適当な溶媒中に溶解し、次いで第1相の結晶形を得るために溶媒を蒸発させることによって得られる。この方法の一変形例に従って、P027化合物は、ほぼ室温から約120℃の範囲の温度で溶解される。この方法の別の変形例において、溶媒を約-21℃から約60℃の範囲の温度で蒸発させる。この方法のさらなる変形例において、P027溶液をゆっくり冷却させる。この方法のまた別の変形例において、P027溶液を急速に冷却する。
【0057】
本発明の別の実施形態において、P027第1相形態は、P027溶液および貧溶媒を混合することによって得られる。この方法の変形例において、P027溶液は貧溶媒に添加される。この方法の別の変形例において、貧溶媒はP027溶液に添加される。この方法の追加の変形例において、P027溶液および貧溶媒は、ほぼ室温から約90℃の範囲の温度で混合される。
【0058】
本発明の追加の実施形態において、P027第1相形態は、拡散を介してP027溶液および貧溶媒を組み合わせることによって得られる。この方法の変形例において、拡散は液-液拡散である。この方法の別の変形例において、拡散は気-液拡散である。
【0059】
本発明の別の実施形態において、P027第1相形態は、P027、水および溶媒の混合物から回収される。
【0060】
本発明のまた追加の実施形態において、P027第1相形態は、P027化合物を含有する懸濁液から得られる。この方法の変形例において、懸濁液は、ほぼ室温から約80℃の範囲の温度で保持される。
【0061】
本発明の追加の実施形態において、塩酸溶液および4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンを混合することでP027化合物を得る。好ましくは、貧溶媒を混合物に添加することで、P027化合物の結晶化を誘起する。
【0062】
上記の様々な実施形態は、P027第1相形態をさらに単離するために、遠心分離などの追加のステップを必要とする場合がある。
【0063】
P027の第2相形態、第3相形態および第4相形態は、溶媒蒸発または貧溶媒添加による結晶化のいずれかによって、ポリマー誘起結晶体で得ることができる。したがって、本発明の別の実施形態は、
a)4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンの塩酸塩を、適当な溶媒または溶媒の混合物中に、触媒量のポリマーの存在下で溶解するステップ、および
b)溶媒または複数の溶媒を蒸発させるステップ、または貧溶媒を添加するステップのいずれか
を含む4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンの塩酸塩の多形形態を調製するための方法に言及する。
【0064】
好ましい実施形態において、P027第2相形態は、水中のP027の溶液を、触媒量のポリ(ビニルアルコール)の存在下で蒸発させることによって調製される。
【0065】
別の好ましい実施形態において、P027第3相形態は、水またはアセトン中のP027の溶液を、触媒量のポリ(エチレングリコール)の存在下で蒸発させることによって調製される。P027第3相形態は、好都合にも、貧溶媒としてジイソプロピルエーテルを水中のP027の溶液に、触媒量のポリ(エチレングリコール)の存在下で添加することによって調製することもできる。
【0066】
別の好ましい実施形態において、P027第4相形態は、溶媒としてクロロホルム、貧溶媒としてジイソプロピルエーテル、および以下のポリマー:ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ(アクリル酸)(PAA)、ポリプロピレン(PPL)、ポリ(スチレン-co-ジビニルベンゼン)(PSV)、ポリ(テトラフルオロエチレン)(PTF)、ポリ(ビニルアルコール)(PVH)、ポリアクリルアミド(PAD)およびポリ(メタクリル酸メチル)(PMM)を使用することによって調製される。
【0067】
P027ジオキサン溶媒和物は、ジオキサン中の溶媒滴粉砕実験において、またはジオキサンの熱飽和溶液からの結晶化によって得ることができる。P027クロロホルム溶媒和物は、溶媒(クロロホルム)の蒸発、またはクロロホルムの熱飽和溶液の結晶化のいずれかによって、ポリマー誘起結晶体で得ることができる。
【0068】
したがって、本発明の別の実施形態は、以下の3つの選択肢i)からiii)の少なくとも1つを含む、4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンの塩酸塩の溶媒和形態を調製するための方法に言及する。
i)以下:
a)4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンの塩酸塩を、触媒量の適当な溶媒と一緒に、ボールミル容器に投入するステップ、および
b)粉砕するステップ
を含む溶媒滴粉砕、
ii)適当な溶媒の熱飽和溶液からの結晶化、または
iii)以下:
a)4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンの塩酸塩を、適当な溶媒中に、触媒量のポリマーの存在下で溶解するステップ、および
b)溶媒を蒸発させるステップ、または溶媒の熱飽和溶液中で結晶化するステップのいずれか
を含むポリマー誘起結晶化。
【0069】
好ましい実施形態において、P027ジオキサン溶媒和物は、
i)以下:
a)4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンの塩酸塩を、触媒量のジオキサンと一緒に、ボールミル容器に投入するステップ、および
b)粉砕するステップ
を含む溶媒滴粉砕、または
ii)ジオキサンの熱飽和溶液からの結晶化
によって調製される。
【0070】
好ましい実施形態において、P027クロロホルム溶媒和物は、
a)4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンの塩酸塩を、クロロホルム中に、ポリ(エチレングリコール)、ポリビニルピロリドン、ポリ(アクリル酸)、ナイロン6/6、ポリプロピレン、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアクリルアミドおよびポリスルホンからなる群から選択される触媒量のポリマーの存在下で溶解するステップ、および
b)クロロホルムを蒸発させるステップ、またはクロロホルムの熱飽和溶液中で結晶化するステップのいずれか
によって調製される。
【0071】
本発明の別の実施形態には、P027のより安定な多形性第1相形態の獲得における、P027の第2相、第3相および第4相の結晶形の使用が含まれる。一実施形態において、形態転換は、第2相、第3相および第4相の結晶形を加熱することによって多形性第1相形態にすることである。
【0072】
第2相、第3相および第4相のDSC分析において、固体-固体転移に対応する広範な発熱ピークが観察された。第2相から第1相への固体-固体転移(再結晶)が145℃で観察された。第3相から第1相への固体-固体転移(再結晶)が150〜170℃の範囲で観察された。第4相から第1相への固体-固体転移(再結晶)が147℃で観察された。
【0073】
したがって、別の実施形態において、本発明は、約140℃から約170℃の間の温度でP027の第2相、第3相および第4相の結晶形を加熱するステップを含む、P027の第1相形態の調製を対象とする。
【0074】
本発明の別の実施形態には、P027の溶媒和物、好ましくはクロロホルム溶媒和物から、第1相形態などのより安定な多形形態への形態転換が含まれる。ジオキサン溶媒和物を4時間60℃、80℃および100℃で乾燥させた後、第1相の形態転換が観察された。得られた固体をPXRDによって特徴づけた。
【0075】
本発明のさらなる実施形態として、上記で述べた4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンの塩酸塩の形態、特にP027第1相、P027第2相、P027第3相、P027第4相、P027クロロホルム溶媒和物およびP027ジオキサン溶媒和物の少なくとも1つを含む医薬組成物が挙げられる。
【0076】
本発明を一般用語で記載したので、例示として示されており本発明を限定することを意図するものではない以下の実施例を参照することにより、より容易に理解されるであろう。
【実施例】
【0077】
4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリン塩酸塩固体形態の特徴づけに使用される装置
a)粉末X線回折分析(PXRD)
操作されていない試料およそ20mgを、2個のポリアセテート箔を使用する標準試料ホルダー内で調製した。
【0078】
粉末回折パターンは、透過幾何(波長:1.54060)におけるCuKα放射線を使用するD8 Advance Series 2Theta/Theta粉末回折システム上で獲得した。該システムは、VANTEC-1単一光子計数PSD、ゲルマニウム単色光分光器、90位置自動交換器試料ステージ(ninety positions auto changer sample stage)、固定発散スリットおよび放射状ソーラーを備えていた。使用したプログラム:DIFFRAC プラスXRD Commander V.2.5.1を用いるデータ収集、およびEVA V.12.0を用いる評価。
【0079】
b)プロトン核磁気共鳴(1H NMR)
プロトン核磁気共鳴分析は、ATMおよび自動BACS-120オートサンプラー付きのz勾配5mm BBO(Broadband Observe)プローブを備えたBruker Avance 400 Ultrashield NMR分光計内の重水素化クロロホルム(CDCI3)において記録した。スペクトルは、試料2〜10mgを重水素化溶媒0.6mLに溶かして獲得した。
【0080】
c)示差走査熱測定分析(DSC)
標準DSC分析は、Mettler Toledo DSC822eにおいて記録した。試料を1〜2mg秤量してピンホール蓋付きの40μLアルミニウムるつぼに入れ、10℃/分で30℃から300℃、窒素下(50mL/分)で加熱した。データの収集および評価は、ソフトウェアSTAReで行った。
【0081】
d)熱重量分析(TGA)
熱重量分析は、Mettler Toledo SDTA851eにおいて記録した。試料を3〜4mg秤量して(マイクロスケールMX5、Mettlerを使用)、ピンホール蓋付きの開口40μLアルミニウムるつぼに入れ、10℃/分で30℃から500℃の間、窒素下(80mL/分)で加熱した。データの収集および評価は、ソフトウェアSTAReで行った。
【0082】
e)フーリエ変換赤外分析(FTIR)
FTIRスペクトルは、MKII Golden Gate単一反射ATRシステム、励起光源として中赤外光源、およびDTGS検出器を備えたBruker Tensor 27を使用して記録した。該スペクトルは、4cm-1の分解能にて32回の走査で獲得した。該分析を行うのに試料調製は必要なかった。
【0083】
f)単結晶X線回折分析(SCXRD)
測定された結晶は、偏光を使用するZeiss立体顕微鏡を使用して選択し、操作用保護油としてペルフルオロポリエーテル中に浸漬して不活性条件下で調製した。結晶構造の決定は、APPEX 2 4K CCD面積検出器、MoKα放射線を用いるFR591回転陽極、モノクロメーターとしてMontelミラー、およびKryoflex低温装置(T=100K)を備えたBruker-Nonius回折計を使用して実施した。全球データ収集オメガ走査およびフィー走査。使用したプログラム:データ収集Apex2 V.1.0-22(Bruker-Nonius 2004)、データ整理Saint+Version 6.22(Bruker-Nonius 2001)、および吸収補正SADABS V. 2.10(2003)。結晶構造の解明は、SHELXTLバージョン6.10(Sheldrick、Universtitat Gottingen(ドイツ)、2000)で実行される直接的方法を使用して達成し、XPプログラムを使用して可視化した。引き続いて欠けている原子を差フーリエ合成から位置決定し、原子リストに加えた。全ての測定された強度を使用してF02に対する最小二乗精密化を、プログラムSHELXTLバージョン6.10(Sheldrick、Universtitat Gottingen(ドイツ)、2000)を使用して実施した。異方性変位パラメータを含めて、全ての非水素原子を精密化した。
【0084】
P027化合物の初期合成
4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリン塩酸塩を、以下のプロトコールに従って得た。
1)6N塩酸/プロパン-2-オール溶液50.8リットルを、エタノール(290l)中の4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリン(85kg)の溶液に、T>35℃で添加した。次いで、メチルtert-ブチルエーテル213リットルを、該懸濁液に添加した。混合物を後に0〜5℃で冷却した。生じた固体を遠心分離によって単離することで、P027化合物90kgを得た。
2)6N塩酸/プロパン-2-オール溶液27mlを、エタノール(120mL)およびメチルtert-ブチルエーテル(112mL)中の4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリン(44.5g)の溶液に、T>35℃で添加した。次に、懸濁液を0〜5℃で冷却した。生じた固体を濾過によって単離することで、P027化合物47gを得た。
【0085】
(実施例1)
4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリン塩酸塩第1相結晶形の調製および特徴づけ
(実施例1.1)
2つの速度にて室温での溶媒蒸発
10mgから20mgの間のP027化合物を、最小量の関連溶媒中に、室温(rt)、60℃および80℃で溶解した。生じた溶液を放置することで、開口バイアル中で急速に、または針で穴を開けた閉口チューブ内でゆっくりと、室温で蒸発させた(表9および10を参照のこと)。3カ月後に完全に蒸発していない溶液を、室温にて開口バイアル中で蒸発させた。得られた固体試料をPXRDによって分析した。試料は、標準PXRD第1相パターンと一致するパターンを示した。
【0086】
【表9】
【0087】
【表10】
【0088】
(実施例1.2)
異なる温度での溶媒蒸発
10mgから20mgの間のP027化合物を、最小量の関連溶媒中に、室温(rt)、60℃または80℃で溶解した。生じた溶液を放置することで、開口バイアル中にて3つの異なる温度:60℃、4℃および-21℃で蒸発させた(表11、12および13を参照のこと)。3カ月後に完全に蒸発していない溶液を、室温にて開口バイアル中で蒸発させた。得られた固体試料をPXRDによって分析した。試料は、標準PXRD第1相パターンと一致するパターンを示した。図14は、本プロトコールに従って-21℃でn-ブタノール溶液の蒸発によって得られた第1相形態のPXRDパターンを例示している。
【0089】
【表11】
【0090】
【表12】
【0091】
【表13】
【0092】
(実施例 1.3)
熱飽和溶液からの結晶化
20mgから30mgの間のP027化合物を、最小量の関連溶媒中に高温で溶解することで、飽和溶液が得られた。次いで、溶液を以下の2つの異なる方法によって冷却した。
1)室温で遅い冷却(遅い結晶化)[表14を参照のこと]。
2)氷浴浸漬による急速な冷却(速い結晶化)[表15を参照のこと]。
【0093】
室温で冷却した後、得られた固体を濾過または遠心分離によって分離した。固体が形成されなかった場合、溶液を4℃で数日間第1ステップにおいて保持した。このステップ中に形成された任意の固体を溶液から分離した。固体が第1ステップ中に形成されなかった場合、溶液を-21℃で追加の数日間保持した。この第2ステップ中に形成された任意の固体を溶液から分離した。第2ステップ中に結晶化しなかった溶液を放置することで、室温で蒸発乾固させた。完全に蒸発する前に結晶化が生じた場合、一部の実験において固体を濾別した
【0094】
得られた固体試料をPXRDによって分析した。試料は、標準PXRD第1相パターンと一致するパターンを示した。図15は、メチルエチルケトン中の熱飽和P027化合物溶液の遅い結晶化によって得られた第1相形態のPXRDパターンを例示している。
【0095】
【表14】
【0096】
【表15】
【0097】
(実施例1.4)
貧溶媒の添加による小スケールの結晶化
10mgから20mgの間のP027化合物を、最小量の関連溶解剤中に、高温または室温で溶解した。ジイソプロピルエーテル(DIE)およびn-ヘプタン(HEP)を貧溶媒として使用した。以下のプロトコールを行った。
1)貧溶媒をP027溶液に、激しい撹拌下にて室温または高温で滴下により添加した(表16および17を参照のこと)。
2)P027溶液を貧溶媒4mLに、激しい撹拌下にて室温または高温で滴下により添加した(表18および19を参照のこと)。
【0098】
溶解剤および貧溶媒を混合した後に得られた固体を、溶液から濾過または遠心分離によって分離した。固体が形成されなかった場合、4℃で数日間第1ステップにおいて溶液を保持した。このステップ中に形成された任意の固体を溶液から分離した。第1ステップ中に固体が形成されなかった場合、溶液を-21℃で追加の数日間保持した。この第2ステップ中に形成された任意の固体を溶液から分離した。第2ステップ中に結晶化しなかった溶液を放置することで、室温で蒸発乾固させた。完全に蒸発する前に結晶化が生じた場合、一部の実験において固体を濾別した。
【0099】
得られた固体試料をPXRDによって分析した。試料は、標準PXRD第1相パターンと一致するパターンを示した。図16は、メタノール中のP027溶液をn-ヘプタン溶液に添加することを介する結晶化によって得られた第1相形態のPXRDパターンを例示している。
【0100】
【表16】
【0101】
【表17】
【0102】
【表18】
【0103】
【表19】
【0104】
(実施例1.5)
貧溶媒の添加による大スケールの結晶化
メチルtert-ブチルエーテル133リットルを、エタノール(265l)溶液中のP027化合物(45kg)に、T>35℃で添加した。次に、懸濁液を0〜5℃で冷却した。生じた固体を遠心分離によって単離することで、4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリン塩酸塩40.2kgを得た。
【0105】
(実施例1.6)
貧溶媒拡散による結晶化
10mgから50mgの間のP027化合物を、最小量の関連溶媒中に高温または室温で溶解した。様々な溶解剤を利用した。以下のプロトコールを行った。
1)液-液拡散。貧溶媒をP027溶液上に慎重に添加し、2つの分離相を形成した。相の拡散により固体が結晶化した(表20を参照のこと)。
2)気-液拡散。P027溶液が入った第1容器を、貧溶媒を含有する第2のより大きい受入器に挿入した。貧溶媒をP027溶液上に気体拡散したことで、第1相の結晶化を誘起した(表21を参照のこと)。
【0106】
得られた固体試料をPXRDによって分析した。試料は、標準PXRD第1相パターンと一致するパターンを示した。図17は、イソプロピルエーテルをニトロメタン中のP027溶液中に液-液拡散することを介する結晶化によって得られた第1相形態のPXRDパターンを例示している。
【0107】
【表20】
【0108】
【表21】
【0109】
(実施例1.7)
水および溶媒の混合物からの結晶化
10mgから20mgの間のP027化合物を、水で飽和された最小量の関連溶媒中に溶解した。溶媒を、それらの混和性によって様々な比率で水と混合した(表22を参照のこと)。
【0110】
溶液を室温にて閉口チューブ内で2週間結晶化させた。固体が形成されなかった場合、溶液を4℃で数日間保持した。このステップ中に形成された任意の固体を、溶液から分離した。第1ステップ中に固体が形成されなかった場合、溶液を放置することで室温で蒸発乾固させた。
【0111】
得られた固体試料をPXRDによって分析した。試料は、標準PXRD第1相パターンと一致するパターンを示した。
【0112】
【表22】
【0113】
(実施例1.8)
粉砕
およそ40mgのP027第1相をボールミル容器に、触媒量の関連溶媒と一緒に(3滴剤)移した。P027第1相および溶媒を、30s-1の最大周波数で30分間粉砕した(表23を参照のこと)。
【0114】
得られた固体試料をPXRDによって分析した。試料は、標準PXRD第1相パターンと一致するパターンを示し、したがって、P027第1相が粉砕した後に安定であることを実証した。図18は、P027をジクロロメタンと一緒に粉砕することから得られる第1相形態のPXRDパターンを例示している。
【0115】
【表23】
【0116】
(実施例1.9)
圧力
P027第1相の錠剤を、水圧中で3つの異なる圧力にて(5トン、7.5トンおよび10トン)3つの異なる時間で(5分、30分および90分)調製した[表24を参照のこと]。
【0117】
得られた固体試料をPXRDによって分析した。試料は、標準PXRD第1相パターンと一致するパターンを示し、したがって、P027第1相が圧力下で安定であることを実証した。図19は、30トンの圧力をP027に90分間かけたことによって得られた第1相形態のPXRDパターンを例示している。
【0118】
【表24】
【0119】
(実施例1.10)
懸濁液の調製
30mgから400mgの間のP027化合物を、関連溶媒4mL中で、i)室温で48時間、またはii)80℃で24時間の間撹拌した(表25を参照のこと)。
【0120】
全ての懸濁液を濾過した。得られた固体試料をPXRDによって分析した。試料は、標準PXRD第1相パターンと一致するパターンを示した。
【0121】
【表25】
【0122】
4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリン塩酸塩第1相結晶形の特徴づけ
P027第1相形態は、2θ値が銅放射線(CuKα1 1.54060Å)を使用して得られる約5.9、8.1、11.3、11.7、14.2、15.1、15.8、16.3、16.8、17.8、18.1、18.6、19.8、20.9、21.9、22.8、23.0、23.2、23.6、23.9、24.3、25.0、25.1、28.0、28.3、28.6、29.0、29.2、30.7、および30.9の反射角[2θ]で特徴的なピークを有するPXRDパターンを示す。
【0123】
PXRDパターンのピーク強度における差異は、使用される結晶化手順または結晶化溶媒に依存して観察することができる(図5を参照のこと)。ピーク強度における強い差異は、結晶の好ましい配向、組織効果によることがあり、異なる結晶相の存在の指標ではない。非理想的結晶相はピーク位置によって定義され、ピーク強度によって定義されるものではない。ピーク強度における差異は、測定装置の異なる構成(透過対反射)、または結晶の好ましい配向に関係している組織効果によることがある。
【0124】
ピーク強度における差異が組織効果によるのか検証するために、一部の選択試料をメノウ乳鉢で穏やかに粉砕し、測定した。試料を均質化した後、組織効果は目立たなくなるか、または消失した(図6を参照のこと)。
【0125】
さらに、第1相のいくつかの試料を1H NMRによって分析することで、該塩の安定性を調べた。1H NMRシグナルの化学シフトおよび積分が全ての試料に関して一致しており、HClの損失または試料の分解の兆候は観察できない(図7を参照のこと)。
【0126】
第1相試料のDSC分析を10℃/分の加熱速度を用いて行った。ベースラインに回復しない該分析は、194℃でのオンセットおよび103J/gのエンタルピーを有する鋭い吸熱ピークを示し、該生成物の溶融、続いて分解に対応する(図3を参照のこと)。5℃/分および20℃/分の加熱速度を用いて行った同じ試料の追加のDSC分析において、吸熱ピークのオンセット温度は加熱速度によって変動するのではないことが観察された(図8および9を参照のこと)。
【0127】
第1相試料のTGAにおいて、試料の分解による重量損失が、195℃より高い温度で観察された(図3を参照のこと)。重量損失は195℃未満の温度で観察されず、溶媒の非存在を示す。TGAにおける重量損失のオンセット温度は溶融温度と一致しており、該試料は溶融するとすぐに分解することを確証している。
【0128】
P027第1相のFTIRスペクトルは、約2965cm-1、2609cm-1、1632cm-1、1600cm-1、1559cm-1、1508cm-1、1490cm-1、1439cm-1、1376cm-1、1301cm-1、1257cm-1、1242cm-1、1169cm-1、1129cm-1、1103cm-1、1042cm-1、1010cm-1、932cm-1、914cm-1、862cm-1、828cm-1および753cm-1で激しいピークを表示した(図4を参照のこと)。
【0129】
単結晶X線回折による4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリン塩酸塩第1相結晶形の構造決定
P027化合物第1相の同一性および結晶構造を、単結晶X線構造決定によって試験した。適当な結晶を、n-ヘプタンをアセトン中の該生成物の濃縮溶液にゆっくり拡散することによって得た。選択された結晶はほぼ双晶であったので、小さい断片のプレート(0.30x0.30x0.07mm3)をマイクロメスで分離し、単結晶X線構造決定のために使用した。表26は、利用した測定条件、セル定数、および単結晶X線構造回折解析で得られた結果を示している。表27は、100Kで行われたX線構造決定に関する第1相選択結合距離および角度を表している。
【0130】
【表26】
【0131】
【表27】
【0132】
第1相形態は、単位格子中に1個のカチオン性分子および2個の半分独立したアニオン性塩素原子を有する中心対称空間C2/cにおいて結晶化する(図10を参照のこと)。各カチオン性分子は、隣接しているカチオン性分子と2個の塩素アニオンを共有している。共有塩素原子の1個は、2個の水素結合を作る2個の隣接しているカチオン性分子の正荷電N-H基に連結している(Cl1・・・N3の距離:3.13Å)[図10および11を参照のこと]。第2の共有塩素アニオンは、周囲の分子との弱い相互作用しか行わない分子間空間中に位置する(最短距離はCl2・・・C17の距離:3.56Åである)。
【0133】
単結晶データからシミュレートした粉末回折パターンは、第1相の実験的に測定した標準粉末回折パターンに対する良好な対応を示している。オーバレイは相純度を確証している。ピーク位置における小さい変動は、比較粉末ディフラクトグラムを測定した温度差によるものである(-173℃でシミュレートし、室温で実験的に測定)。図12および13は、第1相シミュレート粉末回折パターン、および実験的に測定したパターンとのその比較をそれぞれ示している。
【0134】
(実施例2)
4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリン塩酸塩第2相結晶形の調製および特徴づけ
初期のスクリーニングにおいて、第1相および第2相の混合物を、いくつかの溶媒(メタノール、水、ジイソプロピルエーテル-水、ニトロメタンジオキサン-水およびヘプタン-水)中での溶媒蒸発によって得た。この新たな第2相は、水中のP027の溶液を蒸発することによる、および触媒量のポリ(ビニルアルコール)の存在下での、ポリマーを使用して行われるスクリーニングにおいて純粋に再生することができる。
【0135】
室温での溶媒蒸発による第2相形態の結晶化:4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリン塩酸塩の試料(20〜25mg)を、最小量の水(0.7ml)中に室温で溶解し、少量のポリ(ビニルアルコール)(2〜3mg)を対応する溶液に添加した。生じた溶液または懸濁液を放置して、2週間開口バイアル中にて室温で蒸発させた。
【0136】
第1相および第2相のPXRDパターンの比較を図23に示す。ポリ(ビニルアルコール)を使用して得られる第2相は純粋であり、第1相のピークは該パターンにおいて検出され得ないことを観察することができる。
【0137】
第2相形態の標準PXRDパターンを図24に示す。
【0138】
1H NMR、DSCおよびTGAによる特徴づけを図25および26に示す。
【0139】
第1相および第2相の混合物から得られた1H NMRスペクトルは、第1相に関して得られたものと同一であり、第2相が分解生成物ではないことを示している。第1相および第2相に関して得られたスペクトルは、図25において比較されている。関連水素原子のシフトの差異は、観察することができない。
【0140】
10℃/分の加熱速度を用いて行われた第2相のDSC分析は、145℃でのオンセットおよび4J/gのエンタルピーを有する弱く広い発熱ピーク、ならびに194℃でのオンセットおよび92J/gのエンタルピーを有する鋭い吸熱ピークを示しており、該生成物の溶融、続いて分解に対応する(図26)。145℃での小さい発熱ピークは、第2相が第1相と単変的に関係している準安定性相であるはずであると示唆している。したがって、DSCは実際には、第2相から第1相への固体-固体転移、続いて第1相の溶融を示している。
【0141】
第2相のTG分析において(図26)、試料の分解による重量損失は、195℃より高い温度で観察されている。TGAにおける重量損失の出発温度は溶融温度と一致しており、試料は溶融するとすぐに分解することを確証している。重量損失は180℃未満の温度で観察されず、溶媒の非存在を示している。第2相を含有する固体のTG分析は、第1相に関して得られたものと同一である。
【0142】
(実施例3)
4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリン塩酸塩第3相結晶形の調製および特徴づけ
第3相形態をポリマー誘起結晶化によって生成した。この固体は、常にポリ(エチレングリコール)の存在下における4つの実験で得た。3つの場合において、それは水またはアセトンの蒸発によって得られ、1つの場合において、それは、貧溶媒としてジイソプロピルエーテルを水中の溶液に添加することによって得られた。
【0143】
室温での溶媒蒸発における相形態の結晶化:4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリン塩酸塩の試料(20〜25mg)を、最小量の水(0.7ml)またはアセトン(5.7ml)中に室温で溶解し、少量のポリ(エチレングリコール)(2〜3mg)を対応する溶液に添加した。生じた溶液または懸濁液を放置することで、2週間開口バイアル中にて室温で蒸発させた。
【0144】
貧溶媒の添加による相形態の結晶化:4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリン塩酸塩の試料(20〜25mg)をポリ(エチレングリコール)(3〜4mg)と一緒に、最小量の水中に室温で溶解し、ジイソプロピルエーテル(10ml)を激しい撹拌下で添加した。最終懸濁液を放置することで蒸発させた。
【0145】
第3相をPXRD、1H NMR、DSCおよびTGAによって特徴づけた。第3相に関する代表的なPXRDパターンを図27に示す。第3相のPXRDパターンをポリ(エチレングリコール)のパターンと比較することによって、2θにおける19.1°および23.2°でのポリマーの2つの最も強い特徴的なシグナルは、明らかに識別することができる(図28での比較を参照のこと)。2θにおける19.1°でのピークは弱いシグナルとして観察することができ、2θにおける23.2°での広いピークは、第3相のパターンにおいて、2θにおける23.6°にわずかにシフトしているのも観察することができる。
【0146】
1H NMR、DSCおよびTGAによる特徴づけを図29および31に示す。
【0147】
第3相の1H NMRスペクトルにおいて、P027の特徴的なシグナルの存在は、試料が分解しなかったことを示唆している。追加として、測定された全てのスペクトルにおいて、ポリ(エチレングリコール)に対応する特徴的なピークが観察され、第3相がこのポリマーと常に混合されていることを示している。ポリ(エチレングリコール)の1H NMRスペクトルを図30に表示する。
【0148】
10℃/分の加熱速度を用いて行われた第3相のDSC分析(図31を参照のこと)は、56℃でのオンセットおよび46J/gのエンタルピーを有する第1の鋭い吸熱ピークを示し、ポリ(エチレングリコール)の溶融に対応する。純粋なポリ(エチレングリコール)のDSCを図32に示す。150℃から170℃の範囲において、DSCは、最初に吸熱および次いで発熱の二重ピークを示し、第1相の再結晶と重複する第3相の溶融に大方対応する。最終的に、第1相の溶融、続いて分解に対応する190℃でのオンセットおよび47J/gのエンタルピーを有する吸熱ピークを観察することができる。追加として、20℃/分(図33)および30℃/分(図34)の加熱速度を用いて行われた同じ試料のDSC分析を行い、吸熱ピークのオンセット温度は加熱速度により変動しないことを示した。これは、吸熱ピークが融点に対応することを示唆している。
【0149】
第3相のTG分析(図31)において、試料の分解による重量損失が、180℃より高い温度で観察される。重量損失は180℃未満の温度で観察されず、溶媒の非存在を示唆している。TGAにおける重量損失のオンセット温度は、溶融温度と一致しており、試料は溶融するとすぐ分解することを確証している。
【0150】
(実施例4)
4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリン塩酸塩第4相結晶形の調製および特徴づけ
第4相形態をポリマー誘起結晶化だけによって生成した。この相は、溶媒としてクロロホルムおよび貧溶媒としてジイソプロピルエーテルを使用して行われた実験で形成された。第4相固体を、以下のポリマーを用いて得た。ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ(アクリル酸)(PAA)、ポリプロピレン(PPL)、ポリ(スチレン-co-ジビニルベンゼン)(PSV)、ポリ(テトラフルオロエチレン)(PTF)、ポリ(ビニルアルコール)(PVH)、ポリアクリルアミド(PAD)およびポリ(メタクリル酸メチル)(PMM)。ポリマーPVP、PAA、PSV、PVH、PADおよびPMMは非晶質であり、ポリマーPPLおよびPTFは結晶質である。結晶質PTFを用いて得られた第4相の試料にだけ、該ポリマーの弱いピークをPXRDパターンで検出することができる。
【0151】
貧溶媒の添加による相形態の結晶化:4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリン塩酸塩の試料(20〜25mg)を、対応するポリマー(ポリビニルピロリドン、ポリ(アクリル酸)、ポリプロピレン、ポリ(スチレン-co-ジビニルベンゼン)、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアクリルアミド、ポリ(メタクリル酸メチル))3〜4mgと一緒に、最小量のクロロホルム中に室温で溶解し、ジイソプロピルエーテル(2ml)を激しい撹拌下で添加した。得られた最終の固体を遠心分離によって分離した。
【0152】
第4相形態を、PXRD、1H NMR、DSCおよびTGAによって特徴づけた。
【0153】
第4相に関する代表的なPXRDパターンを図35に示す。
【0154】
1H NMR、DSCおよびTGAによる特徴づけを図36および37に示す。
【0155】
第4相の1H NMRスペクトル(図36を参照のこと)において、P027の特徴的なシグナルの存在は、試料が分解しなかったことを示唆している。該ポリマーに対応するシグナルは検出することができなかった。
【0156】
10℃/分の加熱速度を用いて行われた第4相のDSC分析(図37を参照のこと)は、147℃でのオンセットおよび9J/gのエンタルピーを有する広い発熱ピークを示し、第4相から第1相への固体-固体転移に大方対応する。最終的に、第1相の溶融、続いて分解に対応する191℃でのオンセットおよび71J/gのエンタルピーを有する吸熱ピークを観察することができる。
【0157】
第4相のTG分析(図37)において、試料の1.4%に対応する小さい重量損失を、120℃から170℃の間で観察することができる。試料の分解は190℃より高い温度で観察される。重量損失は、転移過程において失われる少量の水またはジクロロメタンに大方対応している。TGAにおけるより高い重量損失のオンセット温度は溶融温度に一致しており、試料は溶融するとすぐ分解することを確証している。
【0158】
(実施例5)
ジオキサンを用いる4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリン塩酸塩溶媒和物の調製および特徴づけ
標識ジオキサン溶媒和物である新たな結晶質の溶媒和相を、ジオキサン中の溶媒滴粉砕実験において、およびジオキサン中の熱飽和溶液からの結晶化によって得た。ジオキサン溶媒和物は小さい粘性の結晶子の形態で結晶化する。溶媒和物の代表的なPXRDパターンを図38に示す。1H NMR、DSC、TGAおよびFTIRによる特徴づけを図39から41に示す。
【0159】
粉砕実験:化合物50mgを触媒量のジオキサン(3滴剤)と一緒に、ボールミル内にて30s-1で30分間粉砕した。該粉砕実験に、Retsch MM400ボールミルを使用した。
【0160】
熱飽和溶液からの結晶化:4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリン塩酸塩0.5gを、ジオキサン(80mL)中に80℃で溶解した。生じた溶液を40℃に冷却し、固体が結晶化し始めた。生じた懸濁液を40℃にて2時間穏やかな撹拌下で保持し、室温に冷却し、その温度にて2時間穏やかな撹拌下で保持した。最終固体を濾別した。
【0161】
10℃/分の加熱速度を用いるジオキサン溶媒和物のDSC分析は、大方ジオキサンの損失による124℃および130℃でのオンセットを有する2つの重複吸熱ピーク、ならびに192℃でのオンセットおよび73J/gのエンタルピーを有する第3の鋭い吸熱ピークを示しており、該生成物の溶融、続いて分解に対応する(図40)。
【0162】
ジオキサン溶媒和物のTG分析(図40)において、ジオキサン(ジオキサン一溶媒和物のための理論上のジオキサン含有量は19%である)の損失による14.6%の重量損失は、100℃および160℃の間で観察することができる。該試料の分解は、190℃より高い温度で観察される。TGAにおける分解による重量損失のオンセット温度は、DSCでの吸熱ピークと一致しており、試料は溶融するとすぐ分解することを確証している。1H NMRスペクトルにおいて、ジオキサンの特徴的なシグナルを観察することができ、この溶媒の存在を確証している(図39を参照のこと)。
【0163】
ジオキサン溶媒和物に関するFTIRスペクトルの特徴は図41に表されており、3138cm-1、3055cm-1、2959cm-1、2857cm-1、2660cm-1、2572cm-1、2540cm-1、2444cm-1、1633cm-1、1600cm-1、1556cm-1、1509cm-1、1488cm-1、1446cm-1、1372cm-1、1304cm-1、1289cm-1、1255cm-1、1168cm-1、1118cm-1、1099cm-1、1083cm-1、1039cm-1、933cm-1、872cm-1、861cm-1、819cm-1、771cm-1および748cm-1で激しいピークを示している。
【0164】
ジオキサン溶媒和物のスケールアップを、該化合物50mg、100mgおよび500mgから出発して行った。各場合において得られた結果を表28に集約する。
【0165】
【表28】
【0166】
初期のスクリーニングならびに100mgおよび500mgでのスケールアップにおいて得られた固体で、同じ結晶相を得た。50mgスケールで、固体は、ジオキサン中の溶媒滴粉砕実験によって得られた。100mgおよび500mgスケールで、固体は、ジオキサン中の熱飽和溶液を室温に冷却する間に結晶化した。
【0167】
(実施例6)
クロロホルムを用いる4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリン塩酸塩溶媒和物の調製および特徴づけ
標識クロロホルム溶媒和物である新たな結晶質の溶媒和相を、ポリマー誘起結晶体で得た。P027のクロロホルム溶媒和物を、以下のポリマーを使用してクロロホルム溶液の蒸発または熱飽和クロロホルム溶液の結晶化によって得た。ポリ(エチレングリコール)(PGY)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ(アクリル酸)(PAA)、ナイロン6/6(NYL)、ポリプロピレン(PPL)、ポリ(テトラフルオロエチレン)(PTF)、ポリ(酢酸ビニル)(PVA)、ポリ(ビニルアルコール)(PVH)、ポリアクリルアミド(PAD)およびポリスルホン(PLS)。ポリマーPGY、PPLおよびPTFは結晶質であり、残りは非晶質である。結晶質ポリマーのシグナルは、PXRDパターンにおいて観察することができなかった。クロロホルム溶媒和物は、その大部分の場合、ポリマーの存在によって大方安定化する大きい結晶の形態で結晶化する。溶媒和物の代表的なPXRDパターンを図42に示す。DSCおよびTGAによる特徴づけを図43に示す。
【0168】
溶媒蒸発によるクロロホルム溶媒和物の結晶化:4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリン塩酸塩の試料(20〜25mg)を、クロロホルム0.6mL中に溶解し、対応するポリマー(ポリ(エチレングリコール)、ポリビニルピロリドン、ポリ(アクリル酸)、ナイロン6/6、ポリプロピレン、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアクリルアミド、ポリスルホン)3〜4mgを添加した。懸濁液を放置することで蒸発させた。24時間後、得られた固体をPXRD、DSCおよびTGAによって分析した。
【0169】
10℃/分の加熱速度を用いて測定されたクロロホルム溶媒和物のDSC分析は、クロロホルムの損失による67℃でのオンセットおよび42J/gのエンタルピーを有する広い吸熱ピーク、ならびに194℃でのオンセットおよび73J/gのエンタルピーを有する第2の鋭い吸熱ピークを示しており、第1相の溶融、続いて分解に対応する(図43)。
【0170】
クロロホルム溶媒和物のTG分析(図43)において、クロロホルム(クロロホルム一溶媒和物に関する理論上のクロロホルム含有量は22.6%である)の損失による21.5%の重量損失は、50℃から120℃の間で観察することができる。試料の分解は190℃より高い温度で観察される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンの塩酸塩の固体多形形態または溶媒和形態。
【請求項2】
2θ値が銅放射線(CuKα1 1.54060Å)を使用して得られる、
a)約5.9、8.1、11.3、11.7、14.2、15.1、15.8、16.3、16.8、17.8、18.1、18.6、19.8、20.9、21.9、22.8、23.0、23.2、23.6、23.9、24.3、25.0、25.1、28.0、28.3、28.6、29.0、29.2、30.7、および30.9の反射角[2θ(度)]で特徴的なピークを示すX線粉末回折パターンを有する多形性第1相形態、
b)約5.776、11.629、14.558、15.737、15.891、16.420、16.740、17.441、17.635、18.056、18.219、19.232、19.712、20.140、20.685、21.135、21.889、22.108、22.478、22.763、23.219、23.454、23.782、24.689、25.065、および25.671の反射角[2θ(度)]で特徴的なピークを示すX線粉末回折パターンを有する多形性第2相形態、
c)約5.437、5.714、10.918、11.546、12.704、13.344、13.984、14.505、15.606、15.824、16.164、16.646、17.333、17.837、18.719、18.878、19.236、19.533、20.142、20.689、21.337、22.008、22.929、23.596、24.748、25.064、25.207、25.737、および26.148の反射角[2θ(度)]で特徴的なピークを示すX線粉末回折パターンを有する多形性第3相形態、
d)好ましくは、約5.805、11.685、15.559、15.804、16.397、16.879、17.357、17.465、17.621、19.112、19.435、19.923、21.224、21.987、22.167、22.412、2.852、23.059、23.359、23.855、24.092、25.722、26.054、26.649、および27.780の反射角[2θ(度)]で特徴的なピークを示すX線粉末回折パターンを有する多形性第4相形態、
e)約4.734、9.317、11.390、13.614、14.290、14.815、16.211、16.432、16.782、17.741、18.056、18.329、18.724、19.070、19.494、20.436、20.762、21.587、22.000、22.935、23.084、23.551、23.891、24.721、および25.078の反射角[2θ(度)]で特徴的なピークを示すX線粉末回折パターンを有するジオキサン溶媒和物、および
f)約11.370、13.396、14.048、15.010、15.303、16.117、16.804、17.040、17.830、18.029、18.661、18.859、19.190、20.150、20.434、21.424、22.279、22.871、23.449、23.918、24.343、24.709、24.820、25.459、および26.199の反射角[2θ(度)]で特徴的なピークを示すX線粉末回折パターンを有するクロロホルム溶媒和物
からなる群から選択される、請求項1に記載の固体形態。
【請求項3】
a)4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリン塩酸塩を適当な溶媒中に溶解するステップ、および
b)前記溶媒を蒸発させるステップ
を含む、請求項2で定義した通りの多形性第1相形態を調製するための方法。
【請求項4】
4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリン塩酸塩が室温から120℃の範囲の温度で溶解され、および/または溶媒が-21℃から60℃の範囲の温度で蒸発される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリン塩酸塩を含む溶液と適当な貧溶媒とが混合される、請求項2に規定する多形性第1相形態を調製するための方法。
【請求項6】
前記混合が室温から90℃の範囲の温度で行われる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記混合が液-液拡散または気-液拡散によって行われる、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
水が溶液に添加される、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリン塩酸塩を含む懸濁液が調製される、請求項2に規定する多形性第1相形態を調製するための方法。
【請求項10】
前記懸濁液が室温から80℃の範囲の温度で保持される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
a)4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンの塩酸塩を水中に、触媒量のポリ(ビニルアルコール)の存在下で溶解するステップ、および
b)水を蒸発させるステップ
を含む、請求項2に規定する多形性第2相形態を調製するための方法。
【請求項12】
a)4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンの塩酸塩を水またはアセトン中に、触媒量のポリ(エチレングリコール)の存在下で溶解するステップ、および
b)水またはアセトンを蒸発させるステップ
を含むか、
または
a)4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンの塩酸塩を水中に、触媒量のポリ(エチレングリコール)の存在下で溶解するステップ、および
b)ジイソプロピルエーテルを貧溶媒として添加するステップ
を含む、請求項2に規定する多形性第3相形態を調製するための方法。
【請求項13】
a)4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンの塩酸塩をクロロホルム中に、ポリビニルピロリドン、ポリ(アクリル酸)、ポリプロピレン、ポリ(スチレン-co-ジビニルベンゼン)、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアクリルアミドおよびポリ(メタクリル酸メチル)からなる群から選択される触媒量のポリマーの存在下で溶解するステップ、および
b)ジイソプロピルエーテルを貧溶媒として添加するステップ
を含む、請求項2に規定する多形性第4相形態を調製するための方法。
【請求項14】
a)以下:
a)4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンの塩酸塩を触媒量のジオキサンと一緒に、ボールミル容器に投入するステップ、および
b)粉砕するステップ
を含む溶媒滴粉砕、ならびに
b)ジオキサンの熱飽和溶液からの結晶化
から選択される方法を含む、請求項2に規定するジオキサン溶媒和物を調製するための方法。
【請求項15】
a)4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンの塩酸塩をクロロホルム中に、ポリ(エチレングリコール)、ポリビニルピロリドン、ポリ(アクリル酸)、ナイロン6/6、ポリプロピレン、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアクリルアミドおよびポリスルホンからなる群から選択される触媒量のポリマーの存在下で溶解するステップ、および
b)クロロホルムを蒸発させるステップまたはクロロホルムの熱飽和溶液中で結晶化するステップのいずれか
を含む、請求項2に規定するクロロホルム溶媒和物を調製するための方法。
【請求項16】
4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンの塩酸塩の第1相形態を得るための、請求項2に規定する多形性第2相形態、多形性第3相形態、多形性第4相形態、ジオキサン溶媒和物またはクロロホルム溶媒和物の使用。
【請求項17】
4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンの塩酸塩の第1相形態を調製するための方法であって、この化合物の第2相、第3相および/または第4相の結晶形を、140℃から170℃の間の温度で加熱するステップを含む方法。
【請求項18】
請求項1または2に記載の固体形態を含む医薬組成物。
【請求項1】
4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンの塩酸塩の固体多形形態または溶媒和形態。
【請求項2】
2θ値が銅放射線(CuKα1 1.54060Å)を使用して得られる、
a)約5.9、8.1、11.3、11.7、14.2、15.1、15.8、16.3、16.8、17.8、18.1、18.6、19.8、20.9、21.9、22.8、23.0、23.2、23.6、23.9、24.3、25.0、25.1、28.0、28.3、28.6、29.0、29.2、30.7、および30.9の反射角[2θ(度)]で特徴的なピークを示すX線粉末回折パターンを有する多形性第1相形態、
b)約5.776、11.629、14.558、15.737、15.891、16.420、16.740、17.441、17.635、18.056、18.219、19.232、19.712、20.140、20.685、21.135、21.889、22.108、22.478、22.763、23.219、23.454、23.782、24.689、25.065、および25.671の反射角[2θ(度)]で特徴的なピークを示すX線粉末回折パターンを有する多形性第2相形態、
c)約5.437、5.714、10.918、11.546、12.704、13.344、13.984、14.505、15.606、15.824、16.164、16.646、17.333、17.837、18.719、18.878、19.236、19.533、20.142、20.689、21.337、22.008、22.929、23.596、24.748、25.064、25.207、25.737、および26.148の反射角[2θ(度)]で特徴的なピークを示すX線粉末回折パターンを有する多形性第3相形態、
d)好ましくは、約5.805、11.685、15.559、15.804、16.397、16.879、17.357、17.465、17.621、19.112、19.435、19.923、21.224、21.987、22.167、22.412、2.852、23.059、23.359、23.855、24.092、25.722、26.054、26.649、および27.780の反射角[2θ(度)]で特徴的なピークを示すX線粉末回折パターンを有する多形性第4相形態、
e)約4.734、9.317、11.390、13.614、14.290、14.815、16.211、16.432、16.782、17.741、18.056、18.329、18.724、19.070、19.494、20.436、20.762、21.587、22.000、22.935、23.084、23.551、23.891、24.721、および25.078の反射角[2θ(度)]で特徴的なピークを示すX線粉末回折パターンを有するジオキサン溶媒和物、および
f)約11.370、13.396、14.048、15.010、15.303、16.117、16.804、17.040、17.830、18.029、18.661、18.859、19.190、20.150、20.434、21.424、22.279、22.871、23.449、23.918、24.343、24.709、24.820、25.459、および26.199の反射角[2θ(度)]で特徴的なピークを示すX線粉末回折パターンを有するクロロホルム溶媒和物
からなる群から選択される、請求項1に記載の固体形態。
【請求項3】
a)4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリン塩酸塩を適当な溶媒中に溶解するステップ、および
b)前記溶媒を蒸発させるステップ
を含む、請求項2で定義した通りの多形性第1相形態を調製するための方法。
【請求項4】
4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリン塩酸塩が室温から120℃の範囲の温度で溶解され、および/または溶媒が-21℃から60℃の範囲の温度で蒸発される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリン塩酸塩を含む溶液と適当な貧溶媒とが混合される、請求項2に規定する多形性第1相形態を調製するための方法。
【請求項6】
前記混合が室温から90℃の範囲の温度で行われる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記混合が液-液拡散または気-液拡散によって行われる、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
水が溶液に添加される、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリン塩酸塩を含む懸濁液が調製される、請求項2に規定する多形性第1相形態を調製するための方法。
【請求項10】
前記懸濁液が室温から80℃の範囲の温度で保持される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
a)4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンの塩酸塩を水中に、触媒量のポリ(ビニルアルコール)の存在下で溶解するステップ、および
b)水を蒸発させるステップ
を含む、請求項2に規定する多形性第2相形態を調製するための方法。
【請求項12】
a)4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンの塩酸塩を水またはアセトン中に、触媒量のポリ(エチレングリコール)の存在下で溶解するステップ、および
b)水またはアセトンを蒸発させるステップ
を含むか、
または
a)4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンの塩酸塩を水中に、触媒量のポリ(エチレングリコール)の存在下で溶解するステップ、および
b)ジイソプロピルエーテルを貧溶媒として添加するステップ
を含む、請求項2に規定する多形性第3相形態を調製するための方法。
【請求項13】
a)4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンの塩酸塩をクロロホルム中に、ポリビニルピロリドン、ポリ(アクリル酸)、ポリプロピレン、ポリ(スチレン-co-ジビニルベンゼン)、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアクリルアミドおよびポリ(メタクリル酸メチル)からなる群から選択される触媒量のポリマーの存在下で溶解するステップ、および
b)ジイソプロピルエーテルを貧溶媒として添加するステップ
を含む、請求項2に規定する多形性第4相形態を調製するための方法。
【請求項14】
a)以下:
a)4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンの塩酸塩を触媒量のジオキサンと一緒に、ボールミル容器に投入するステップ、および
b)粉砕するステップ
を含む溶媒滴粉砕、ならびに
b)ジオキサンの熱飽和溶液からの結晶化
から選択される方法を含む、請求項2に規定するジオキサン溶媒和物を調製するための方法。
【請求項15】
a)4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンの塩酸塩をクロロホルム中に、ポリ(エチレングリコール)、ポリビニルピロリドン、ポリ(アクリル酸)、ナイロン6/6、ポリプロピレン、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアクリルアミドおよびポリスルホンからなる群から選択される触媒量のポリマーの存在下で溶解するステップ、および
b)クロロホルムを蒸発させるステップまたはクロロホルムの熱飽和溶液中で結晶化するステップのいずれか
を含む、請求項2に規定するクロロホルム溶媒和物を調製するための方法。
【請求項16】
4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンの塩酸塩の第1相形態を得るための、請求項2に規定する多形性第2相形態、多形性第3相形態、多形性第4相形態、ジオキサン溶媒和物またはクロロホルム溶媒和物の使用。
【請求項17】
4-[2-[[5-メチル-1-(2-ナフタレニル)-1H-ピラゾール-3-イル]オキシ]エチル]モルホリンの塩酸塩の第1相形態を調製するための方法であって、この化合物の第2相、第3相および/または第4相の結晶形を、140℃から170℃の間の温度で加熱するステップを含む方法。
【請求項18】
請求項1または2に記載の固体形態を含む医薬組成物。
【図7】
【図10】
【図11】
【図25】
【図29】
【図30】
【図36】
【図39】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図26】
【図27】
【図28】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図37】
【図38】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図10】
【図11】
【図25】
【図29】
【図30】
【図36】
【図39】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図26】
【図27】
【図28】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図37】
【図38】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【公表番号】特表2013−518857(P2013−518857A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551631(P2012−551631)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【国際出願番号】PCT/EP2011/051630
【国際公開番号】WO2011/095579
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(512036166)ラボラトリオス・デル・ドクター・エステベ・ソシエテ・アノニム (6)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【国際出願番号】PCT/EP2011/051630
【国際公開番号】WO2011/095579
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(512036166)ラボラトリオス・デル・ドクター・エステベ・ソシエテ・アノニム (6)
【Fターム(参考)】
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