説明

5−ベンジル−4−アゾリルメチル−4−スピロ[2.4]ヘプタノール誘導体、その製造方法、農園芸用薬剤および工業用材料保護剤

新規5−ベンジル−4−アゾリルメチル−4−スピロ[2.4]ヘプタノール誘導体、その製造方法、前記5−ベンジル−4−アゾリルメチル−4−スピロ[2.4]ヘプタノール誘導体を有効成分とする農園芸用薬剤および工業用材料保護剤を提供すること。一般式(I)で表される5−ベンジル−4−アゾリルメチル−4−スピロ[2.4]ヘプタノール誘導体とすること。


(式中、Xは、ハロゲン原子、C〜Cのアルキル基、C〜Cのハロアルキル基、C〜Cのアルコキシ基、C〜Cのハロアルコキシ基、フェニル基、シアノ基またはニトロ基を表す。nは、0〜5の整数を表す。nが2以上の場合、Xはそれぞれ同一であっても相異なっていてもよい。R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C〜Cのアルキル基を表す。Aは、窒素原子又はメチン基を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、5−ベンジル−4−アゾリルメチル−4−スピロ[2.4]ヘプタノール誘導体、その製造方法並びに、5−ベンジル−4−アゾリルメチル−4−スピロ[2.4]ヘプタノール誘導体を有効成分として含有する農園芸用薬剤および工業用材料保護剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、環境汚染や薬剤耐性を回避する観点より、新規な殺菌性化合物に対する要望が高い。例えば、トリアゾール基を含む多くの製品、特に殺菌剤が知られている。また、シクロペンタン環を含むトリアゾール殺菌剤も知られており、例えば特許文献1〜4に開示されている。さらに、シクロアルキル基を含むトリアゾール殺菌剤についても知られており、例えば特許文献5、6に開示されている。
【0003】
また、シクロプロピル基を含む特定のトリアゾール又はイミダゾール誘導体は、例えば特許文献7〜13に開示されている。
【0004】
また、特許文献14には、スピロ環を含む特定のトリアゾール又はイミダゾール誘導体が開示されている。
【0005】
これらの文献に記載されている化合物は本発明の5−ベンジル−4−アゾリルメチル−4−スピロ[2.4]ヘプタノール誘導体とは構造が異なるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭63−156782号公報(欧州特許出願公開第0272895号明細書及びスペイン国特許出願公開第2030080号明細書などに対応)
【特許文献2】特開平1−93574号公報(アルゼンチン国特許出願公開第245703号明細書、欧州特許出願公開第0267778号明細書及びスペイン国特許出願公開第2053564号明細書などに対応)
【特許文献3】特開平2−237979号公報(欧州特許出願公開第0378953号明細書、スペイン国特許出願公開第2087873号明細書及びオーストラリア国特許出願公開第4734889号明細書などに対応)
【特許文献4】特開平62−149667号公報(スペイン国特許出願公開第2006179号明細書、英国特許出願公開第2180236号明細書などに対応)
【特許文献5】特開平1−186869号公報(欧州特許出願公開第0324646号明細書及びスペイン国特許出願公開第2055026号明細書などに対応)
【特許文献6】特開昭60−215674号公報(欧州特許出願公開第0153797号明細書などに対応)
【特許文献7】特開昭56−97276号公報(スペイン国特許出願公開第8204428号明細書及び英国特許出願公開第2064520号明細書などに対応)
【特許文献8】特開昭61−126049号公報(欧州特許出願公開第0180136号明細書及びスペイン国特許出願公開第8701732号明細書などに対応)
【特許文献9】特開平2−286664号公報(カナダ国特許出願公開第2011085号明細書及び欧州特許出願公開第0390022号明細書などに対応)
【特許文献10】欧州特許出願公開第47594号公報(特開昭55−122771号公報などに対応)
【特許文献11】欧州特許出願公開52424号公報(特開昭57−114577号公報などに対応)
【特許文献12】欧州特許出願公開212605号公報(スペイン国特許出願公開第2001270号明細書及び特開昭62−51670号公報などに対応)
【特許文献13】特開平11−80126号公報
【特許文献14】特開平7−285943号公報(カナダ国特許出願公開第2093623号明細書及び欧州特許出願公開第0565463号明細書などに対応)
【特許文献15】特開平1−301664号公報(欧州特許出願公開第0329397号明細書などに対応、段落0083にて言及)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、人畜に対する毒性が低く、取扱い上での安全性が高く、かつ広範な植物病害に対して優れた防除効果を示す農園芸用病害防除剤に対する要望が高い。加えて、種々の農作物や園芸植物の成長を調節して収量を増加させる効果やその品質を高める効果を示す植物生長調節剤や、工業用材料を侵す広範な有害微生物から材料を保護する効果を示す工業用材料保護剤に対する要望も高い。
【0008】
そこで、本発明は、優れた農園芸病害防除効果、植物生長調節効果、工業用材料保護効果を示す新規5−ベンジル−4−アゾリルメチル−4−スピロ[2.4]ヘプタノール誘導体、その製造方法、前記5−ベンジル−4−アゾリルメチル−4−スピロ[2.4]ヘプタノール誘導体を有効成分とする農園芸用薬剤、工業用材料保護剤を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、まず一般式(I)で表される5−ベンジル−4−アゾリルメチル−4−スピロ[2.4]ヘプタノール誘導体を提供する。
【0010】
【化1】

(式中、Xは、ハロゲン原子、C〜Cのアルキル基、C〜Cのハロアルキル基、C〜Cのアルコキシ基、C〜Cのハロアルコキシ基、フェニル基、シアノ基またはニトロ基を表す。nは、0〜5の整数を表す。nが2以上の場合、Xはそれぞれ同一であっても相異なっていてもよい。R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C〜Cのアルキル基を表す。Aは、窒素原子又はメチン基を表す。)
【0011】
次に、本発明は、一般式(IV)で表されるカルボニル化合物をオキシラン化して得られる一般式(II)で表されるオキシラン誘導体と、一般式(III)で表される1,2,4−トリアゾール若しくはイミダゾール化合物とを反応させることを特徴とする一般式(I)で表される5−ベンジル−4−アゾリルメチル−4−スピロ[2.4]ヘプタノール誘導体の製造方法を提供する。
【0012】
【化2】

(式中、Xは、ハロゲン原子、C〜Cのアルキル基、C〜Cのハロアルキル基、C〜Cのアルコキシ基、C〜Cのハロアルコキシ基、フェニル基、シアノ基またはニトロ基を表す。nは、0〜5の整数を表す。nが2以上の場合、Xはそれぞれ同一であっても相異なっていてもよい。R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C〜Cのアルキル基を表す。)
【化3】

(式中、Xは、ハロゲン原子、C〜Cのアルキル基、C〜Cのハロアルキル基、C〜Cのアルコキシ基、C〜Cのハロアルコキシ基、フェニル基、シアノ基またはニトロ基を表す。nは、0〜5の整数を表す。nが2以上の場合、Xはそれぞれ同一であっても相異なっていてもよい。R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C〜Cのアルキル基を表す。)
【0013】
【化4】

(式中、Mは水素原子若しくはアルカリ金属を表す。Aは、窒素原子又はメチン基を表す。)
【0014】
【化5】

(式中、X、n、R、R、R、Rは前記一般式(II)で表される化合物のX、n、R、R、R、Rに対応する。Aは前記一般式(III)で表される化合物のAに対応する。)
【0015】
ここで、一般式(IV)で表されるカルボニル化合物をオキシラン化して得られる一般式(II)で表されるオキシラン誘導体の製造した後、一般式(III)で表される1,2,4−トリアゾール若しくはイミダゾール化合物とを反応させることもできるが、オキシラン化反応を行う際に、一般式(III)で表される1,2,4−トリアゾール若しくはイミダゾール化合物を共存させることにより、一般式(IV)で表されるカルボニル化合物をオキシラン化しながら、一般式(III)で表される1,2,4−トリアゾール若しくはイミダゾール化合物とを反応させることにより、一般式(I)で表される5−ベンジル−4−アゾリルメチル−4−スピロ[2.4]ヘプタノール誘導体を製造する方法をも包含している。
【0016】
さらに、本発明は、一般式(I)で表される5−ベンジル−4−アゾリルメチル−4−スピロ[2.4]ヘプタノール誘導体を含有する農園芸用病害防除剤を提供する。
【0017】
【化6】

(式中、Xは、ハロゲン原子、C〜Cのアルキル基、C〜Cのハロアルキル基、C〜Cのアルコキシ基、C〜Cのハロアルコキシ基、フェニル基、シアノ基またはニトロ基を表す。nは、0〜5の整数を表す。nが2以上の場合、Xはそれぞれ同一であっても相異なっていてもよい。R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C〜Cのアルキル基を表す。Aは、窒素原子又はメチン基を表す。)
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、優れた農園芸病害防除効果、植物生長調節効果、工業用材料保護効果を示す新規5−ベンジル−4−アゾリルメチル−4−スピロ[2.4]ヘプタノール誘導体、その製造方法、前記5−ベンジル−4−アゾリルメチル−4−スピロ[2.4]ヘプタノール誘導体を有効成分とする農園芸用薬剤および工業用材料保護剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための好適な形態について図面を参照としながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
【0020】
A)5−ベンジル−4−アゾリルメチル−4−スピロ[2.4]ヘプタノール誘導体
本発明に係る5−ベンジル−4−アゾリルメチル−4−スピロ[2.4]ヘプタノール誘導体は、前記一般式(I)で表される。以下、本発明に係る5−ベンジル−4−アゾリルメチル−4−スピロ[2.4]ヘプタノール誘導体について詳細に説明する。
【0021】
前記化学式(I)において、Xは、ハロゲン原子、C〜Cのアルキル基、C〜Cのハロアルキル基、C〜Cのアルコキシ基、C〜Cのハロアルコシキ基、フェニル基、シアノ基又はニトロ基を表す。ここで、ハロゲン原子としては、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。C〜Cのアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。また、C〜Cのハロアルキル基としては、トリフルオロメチル基、1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル基、クロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基等が挙げられる。C〜Cアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基等が挙げられる。また、C〜Cハロアルコキシ基としては、トリフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、1,1,2,2,2−ペンタフルオロエトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基等が挙げられる。
このうち、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基及びメトキシ基が好ましい。
さらに、このうち、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びトリフルオロメチル基が特に好ましい。
【0022】
nは、0〜5の整数を表す。nが2以上の場合、Xはそれぞれ同一であっても相異なっていてもよい。nは、1から2の範囲内であることが好ましい。さらに、nは1であり、Xは4位に結合していることがより好ましい。
【0023】
,R,R,Rは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C〜Cのアルキル基を表す。ここで、ハロゲン原子としては塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。C〜Cのアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
このうち、水素原子、メチル基及び塩素原子が好ましい。
さらに、水素原子及びメチル基が特に好ましい。
【0024】
Aは、窒素原子又はメチン基を表す。
このうち、窒素原子が好ましい。
【0025】
上述のX,R,R,R,R,Aの置換基の種類およびnの数の組み合わせにより、本発明に係る5−ベンジル−4−アゾリルメチル−4−スピロ[2.4]ヘプタノール誘導体として表1〜表20に記載する化合物を例示することができる。
【0026】
なお、本発明に係る5−ベンジル−4−アゾリルメチル−4−スピロ[2.4]ヘプタノール誘導体には、下記(I−C)、(I−T)で表される立体異性体(C型およびT型)が存在するが、いずれかの異性体単体でもよく、混合物でもよい。なお、下記化学式において、4位の水酸基と5位のベンジル基がシス型であるものの相対立体配置を(I−C)とし、トランス型であるものの相対立体配置を(I−T)とした。
【0027】
【化7】

(式中、Xは、ハロゲン原子、C〜Cのアルキル基、C〜Cのハロアルキル基、C〜Cのアルコキシ基、C〜Cのハロアルコキシ基、フェニル基、シアノ基またはニトロ基を表す。nは、0〜5の整数を表す。nが2以上の場合、Xはそれぞれ同一であっても相異なっていてもよい。R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C〜Cのアルキル基を表す。Aは、窒素原子又はメチン基を表す。)
【0028】
【表1】


※)「−」(ダッシュ)は未置換(n=0)であることを示す。「−」(ダッシュ)の前の数字は、フェニル環上に置換基を有する場合において、メチレンブリッジを介したシクロペンタン環との連結位置を1位置とした結合位置を示す。
【0029】
【表2】

【0030】
【表3】

【0031】
【表4】

【0032】
【表5】

【0033】
【表6】

【0034】
【表7】

【0035】
【表8】

【0036】
【表9】

【0037】
【表10】

【0038】
【表11】

【0039】
【表12】

【0040】
【表13】

【0041】
【表14】

【0042】
【表15】

【0043】
【表16】

【0044】
【表17】

【0045】
【表18】

【0046】
【表19】

【0047】
【表20】

【0048】
B)5−ベンジル−4−アゾリルメチル−4−スピロ[2.4]ヘプタノール誘導体の製造方法
ここで、以下に示す製造に関連する記載において、使用される溶媒は特に限定されないが、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、石油エーテル、ヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリジノン等のアミド類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類、メタノール、エタノール等のアルコール類等が挙げられる。
また、水、二硫化炭素、アセトニトリル、酢酸エチル、ピリジン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの溶媒は、2種類以上を混合して用いることができる。
【0049】
また、互いに均一な層を形成することのない溶媒からなる溶媒組成物が挙げられる。例えば、反応混合物中に、テトラブチルアンモニウム塩等の4級アンモニウム塩、クラウンエーテルとその類似物等の相間移動触媒を添加してこれらの反応を行うこともできる。この場合において、用いる溶媒は特に限定されないが、油相としてはベンゼン、クロロホルム、ジクロロメタン、ヘキサン、トルエン等を用いることができる。
【0050】
また、以下に示す製造に関連する記載において、上述の溶媒に加えて塩基または酸の共存下で反応を行なうことができる。
【0051】
この際、用いられる塩基は特に限定されないが、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩。炭酸カルシウム、炭酸バリウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩。水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物。リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属。ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムt−ブトキシド等のアルカリ金属のアルコキシド。水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化リチウム等のアルカリ金属水素化合物、n−ブチルリチウム等のアルカリ金属の有機金属化合物。ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属類。リチウムジイソプロピルアミド等のアルカリ金属アミド類。トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチルアニリン、1,8−ジアザビシクロ−7−[5.4.0]ウンデセン等の有機アミン類等が挙げられる。
【0052】
また、用いられる酸は特に限定されないが、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、酪酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸、塩化リチウム、臭化リチウム、塩化ロジウム等のルイス酸が挙げられる。
【0053】
次いで、前記一般式(I)で表される5−ベンジル−4−アゾリルメチル−4−スピロ[2.4]ヘプタノール誘導体の製造方法について以下に説明する。尚、反応式(1)は、本発明に係る5−ベンジル−4−アゾリルメチル−4−スピロ[2.4]ヘプタノール誘導体の製造方法を説明する反応式である。
【0054】
反応式(1)
【化8】

【0055】
前記一般式(I)で表される5−ベンジル−4−アゾリルメチル−4−スピロ[2.4]ヘプタノール誘導体は、前記一般式(IV)で表わされるカルボニル化合物をオキシラン化して得られる前記一般式(II)で表されるオキシラン誘導体と、前記一般式(III)で表される1,2,4−トリアゾールもしくはイミダゾール化合物とを反応させ、前記オキシラン誘導体のオキシラン環中の炭素原子と、1,2,4−トリアゾールもしくはイミダゾール化合物の窒素原子間に炭素−窒素結合を生成させることを特徴とする(反応式(1)参照)。
【0056】
ここで、まず、一般式(IV)で表されるカルボニル化合物をオキシラン化して、一般式(II)で表されるオキシラン誘導体を得る方法について説明する。
【0057】
【化9】

(式中、Xは、ハロゲン原子、C〜Cのアルキル基、C〜Cのハロアルキル基、C〜Cのアルコキシ基、C〜Cのハロアルコキシ基、フェニル基、シアノ基またはニトロ基を表す。nは、0〜5の整数を表す。nが2以上の場合、Xはそれぞれ同一であっても相異なっていてもよい。R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C〜Cのアルキル基を表す。)
【0058】
本発明で用いられる一般式(II)で表されるオキシラン誘導体の好適な第一の合成方法として、一般式(IV)で表されるカルボニル化合物をジメチルスルホニウムメチリド等のスルホニウムメチリド類やジメチルスルホキソニウムメチリド等のスルホキソニウムメチリド類等の硫黄イリドと溶媒中で反応させる方法が挙げられる(反応式(2)参照)。
【0059】
反応式(2)
【化10】

【0060】
ここで、用いられるスルホニウムメチリド類やスルホキソニウムメチリド類は、溶媒中、スルホニウム塩(例えば、トリメチルスルホニウムヨージドやトリメチルスルホニウムブロミド等)やスルホキソニウム塩(例えばトリメチルスルホキソニウムヨージドやトリメチルスルホキソニウムブロミド等)と、塩基とを反応させることにより生成させることができる。
【0061】
この際、用いられるスルホニウムメチリド類やスルホキソニウムメチリド類の量は、前記一般式(IV)で表されるカルボニル化合物に対して0.5〜5倍モル、好適には0.8〜2倍モルとするのが好ましい。
【0062】
用いられる溶媒は特に限定されないが、例えば、ジメチルスルホキシドやN−メチルピロリドンやN,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類およびこれらの混合溶媒等が挙げられる。
【0063】
スルホニウムメチリド類やスルホキソニウムメチリド類の生成に用いられる塩基は特に限定されないが、例えば、水素化ナトリウム等の金属水素化合物やナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムt−ブトキシド等のアルカリ金属のアルコキシド等が好適に用いられる。
【0064】
前記一般式(II)で表されるオキシラン誘導体の好適な第一の合成方法の反応温度は、用いられる溶媒、前記一般式(IV)で表されるカルボニル化合物、スルホニウム塩若しくはスルホキソニウム塩、塩基等の種類によって適宜設定することができるが、好適には−100℃〜200℃、より好適には−50℃〜150℃とするのが好ましい。また、反応時間は、用いられる溶媒、前記一般式(IV)で表されるカルボニル化合物、スルホニウム塩若しくはスルホキソニウム塩、塩基等の種類によって適宜設定することができるが、好適には0.1時間〜数日、より好適には0.5時間〜2日とするのが好ましい。
【0065】
本発明で用いられる一般式(II)で表されるオキシラン誘導体の好適な第二の合成方法として、前記一般式(IV)で表されるカルボニル化合物をヨウ化サマリウムおよびジヨードメタンと溶媒中で反応させた後、塩基で処理する方法が挙げられる。用いられる塩基は特に限定されず、例えば水酸化ナトリウム等を用いることができる(反応式(3)参照)。
【0066】
反応式(3)
【化11】

【0067】
この際、用いられるヨウ化サマリウムの量は、前記一般式(IV)で表されるカルボニル化合物に対して0.5〜10倍モル、好適には1〜6倍モルとするのが好ましい。また、用いられるジヨードメタンの量は、前記一般式(IV)で表されるカルボニル化合物に対して0.5〜10倍モル、好適には0.8〜5倍モルとするのが好ましい。
【0068】
ここで、用いられるヨウ化サマリウムは、無水溶媒中で、金属サマリウムと、1,2−ジヨードエタン若しくはジヨードメタンとを反応させることにより生成させることができる。
【0069】
前記一般式(IV)で表されるカルボニル化合物に対するヨウ化サマリウムの量は特に限定されないが、通常0.5〜10倍モル、好ましくは0.8〜6倍モルとするのが好適である。また、本反応に用いられる好適な溶媒は特に限定されないが、例えば、テトラヒドロフラン等のエーテル類が挙げられる。
【0070】
前記一般式(II)で表されるオキシラン誘導体の好適な第二の合成方法の反応温度は、用いられる溶媒、前記一般式(IV)で表されるカルボニル化合物、塩基等の種類によって適宜設定することができるが、好適には−100℃〜150℃、より好適には−50℃〜100℃とするのが好ましい。また、反応時間は、用いられる溶媒、前記一般式(IV)で表されるカルボニル化合物、塩基等の種類によって適宜設定することができるが、好適には0.1時間〜数日、より好適には0.5時間〜2日とするのが好ましい。
【0071】
次いで、前記一般式(II)で表されるオキシラン誘導体と、前記一般式(III)で表される1,2,4−トリアゾールもしくはイミダゾール化合物とを反応させ、5−ベンジル−4−アゾリルメチル−4−スピロ[2.4]ヘプタノール誘導体を得る方法について説明する。
【0072】
前記一般式(II)で表されるオキシラン誘導体と、前記一般式(III)で表される1,2,4−トリアゾールもしくはイミダゾール化合物とを溶媒中で混合し、オキシラン誘導体のオキシラン環中の炭素原子と1,2,4−トリアゾール若しくはイミダゾールの窒素原子間に炭素−窒素結合を生成させるのが好適である(反応式(4)参照)。
【0073】
反応式(4)
【化12】

【0074】
この際、用いられる溶媒は特に限定されないが、例えば、N−メチルピロリドンやN,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類が挙げられる。
【0075】
一般式(II)で表されるオキシラン誘導体に対する一般式(III)で表される化合物の使用量は通常0.5〜10倍モル、好ましくは0.8〜5倍モルである。また、所望により塩基を添加してもよく、その場合の一般式(III)で表される化合物に対する塩基の使用量は通常0を超え5倍モル以下、好ましくは0.5〜2倍モルである。
【0076】
反応温度は、用いられる溶媒、塩基等によって適宜設定することができるが、好適には0℃〜250℃、より好適には10℃〜200℃とするのが好ましい。また、反応時間は、用いられる溶媒、塩基等によって適宜設定することができるが、好適には0.1時間〜数日、より好適には0.5時間〜2日とするのが好ましい。
【0077】
また、一般式(II)で表されるオキシラン誘導体を生成させたのち、段階的に一般式(III)で表される化合物と反応させる方法もあるが、一般式(II)で表されるオキシラン誘導体の好適な第一の合成方法として前述した、一般式(IV)で表されるカルボニル化合物をジメチルスルホニウムメチリド等のスルホニウムメチリド類やジメチルスルホキソニウムメチリド等のスルホキソニウムメチリド類等の硫黄イリドと溶媒中で反応させる方法において、オキシラン化反応のみを単独で行った場合、オキセタン誘導体の様な副生成物が生成する等して、収率低下を招くことがある。その様な場合、一般式(II)で表されるオキシラン誘導体を生成させながら、トリアゾール化を行う方法がより好ましい。(反応式(5)参照)
【0078】
反応式(5)
【化13】

【0079】
この場合、前記一般式(IV)で表されるカルボニル化合物と一般式(III)で表されるアゾール化合物とをアミド結合を持つ極性溶媒若しくは、ジメチルスルホキシド又はこれら極性溶媒とアルコールより選ばれる混合溶媒に溶解し、これにトリメチルスルホニウム塩又は、トリメチルスルホキソニウム塩と塩基とを間欠的に加え、反応系内でジメチルスルホニウムメチリド等のスルホニウムメチリド類やジメチルスルホキソニウムメチリド等のスルホキソニウムメチリド類等を発生させ、一般式(II)で表されるオキシラン誘導体を生成させながら、トリアゾール化を行うことができる。
【0080】
用いられる溶媒は特に限定されないが、好ましくは、N−メチルピロリドンやN,N−ジメチルホルムアミド等のアミド結合を持つ極性溶媒若しくは、ジメチルスルホキシド又はこれら極性溶媒とt−ブタノール等のアルコールより選ばれる混合溶媒等が挙げられる。
【0081】
スルホニウムメチリド類やスルホキソニウムメチリド類の生成に用いられる塩基は特に限定されないが、例えば、水素化ナトリウム等の金属水素化合物やナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムt−ブトキシド等のアルカリ金属のアルコキシド等が好適に用いられる。また、1,2,4−トリアゾールやイミダゾールのアルカリ金属塩も、使用することができる。
【0082】
前記一般式(IV)で表されるカルボニル化合物と一般式(III)で表されるアゾール化合物とをアミド結合を持つ極性溶媒若しくは、ジメチルスルホキシド又はこれら極性溶媒とアルコールより選ばれる混合溶媒に溶解し、これにトリメチルスルホニウムハライド又は、トリメチルスルホキソニウムハライドと塩基とを間欠的に加え、一般式(II)で表されるオキシラン誘導体を生成させながら、トリアゾール化を行う合成方法の反応温度は、用いられる溶媒、前記一般式(IV)で表されるカルボニル化合物、スルホニウム塩若しくはスルホキソニウム塩、塩基等の種類によって適宜設定することができるが、好適には−100℃〜250℃、より好適には−50℃〜200℃とするのが好ましい。また、反応時間は、用いられる溶媒、前記一般式(IV)で表されるカルボニル化合物、スルホニウム塩若しくはスルホキソニウム塩、塩基等の種類によって適宜設定することができるが、好適には0.1時間〜数日、より好適には0.5時間〜2日とするのが好ましい。また、トリメチルスルホニウムハライド又は、トリメチルスルホニウムハライドと塩基とを間欠的に加える回数については、所定の目的を達すれば良いので、特に限定されないが、それぞれ、通常2〜20回、好ましくは3〜15回である。
この際、用いられるトリメチルスルホニウム塩又は、トリメチルスルホキソニウム塩の合計の使用量は、前記一般式(IV)で表されるカルボニル化合物に対して0.5〜5倍モル、好適には0.8〜2倍モルとするのが好ましい。また、一般式(IV)で表されるカルボニル化合物に対する一般式(III)で表される化合物の使用量は通常0.5〜10倍モル、好ましくは0.8〜5倍モルである。また、この場合、一般式(III)で表される化合物中、Mがアルカリ金属塩を使用するのが、より好ましい。
【0083】
尚、ある種のアゾリルメチルシクロアルカノール誘導体の製造において、オキシラン誘導体を生成させながら、トリアゾール化を行う方法が特開平1−301664号公報に記載されている。
【0084】
前記一般式(IV)で表されるカルボニル化合物の好適な第一の合成方法として、一般式(V)で表される2−(2−ハロエチル)シクロペンタノン化合物について、塩基存在下の溶媒中で分子内求核置換反応を行う方法が挙げられる(反応式(6)参照)。
【0085】
【化14】

(式中、Xは、ハロゲン原子、C〜Cのアルキル基、C〜Cのハロアルキル基、C〜Cのアルコキシ基、C〜Cのハロアルコキシ基、フェニル基、シアノ基またはニトロ基を表す。nは、0〜5の整数を表す。nが2以上の場合、Xはそれぞれ同一であっても相異なっていてもよい。R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C〜Cのアルキル基を表す。Aは、窒素原子又はメチン基を表す。Zはハロゲン原子を表す。)
【0086】
反応式(6)
【化15】

【0087】
この際、用いられる塩基は特に限定されず、例えば、水素化ナトリウム等のアルカリ金属水素化合物や、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物塩等を用いることができる。
【0088】
前記一般式(IV)で表されるカルボニル化合物の好適な第一の合成方法の反応温度は、用いられる溶媒、塩基等によって適宜設定することができるが、好適には−50℃〜250℃、より好適には0℃〜150℃とするのが好ましい。また、反応時間は、用いられる溶媒、塩基等によって適宜設定することができるが、好適には0.1時間〜数日、より好適には0.5時間〜2日とするのが好ましい。
【0089】
前記一般式(V)で表される2−(2−ハロエチル)シクロペンタノン化合物の好適な第一の合成方法として、一般式(VII)で表されるケトエステル化合物と、一般式(VIII)で表されるジハロゲノアルカン化合物とを反応させて一般式(VI)で表されるハロアルキル化ケトエステル化合物を得る工程(以下、第A工程とする)の後、アルコキシカルボニル基を加水分解・脱炭酸する工程(以下、第B工程とする)を行う方法が挙げられる(反応式(7)参照)。
【0090】
【化16】

(式中、Xは、ハロゲン原子、C〜Cのアルキル基、C〜Cのハロアルキル基、C〜Cのアルコキシ基、C〜Cのハロアルコキシ基、フェニル基、シアノ基またはニトロ基を表す。nは、0〜5の整数を表す。nが2以上の場合、Xはそれぞれ同一であっても相異なっていてもよい。RはC〜Cのアルキル基を表す。)
【0091】
【化17】

(式中、R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C〜Cのアルキル基を表す。Z、Zはそれぞれ独立にハロゲン原子を表す。)
【0092】
【化18】

(式中、Xは、ハロゲン原子、C〜Cのアルキル基、C〜Cのハロアルキル基、C〜Cのアルコキシ基、C〜Cのハロアルコキシ基、フェニル基、シアノ基またはニトロ基を表す。nは、0〜5の整数を表す。nが2以上の場合、Xはそれぞれ同一であっても相異なっていてもよい。R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C〜Cのアルキル基を表す。Rは、C〜Cのアルキル基を表す。Zはハロゲン原子を表す。)
【0093】
反応式(7)
【化19】

【0094】
第A工程は、前記一般式(VII)で表されるケトエステル化合物と、前記一般式(VIII)で表されるジハロゲノアルカン化合物とを塩基存在下の溶媒中で反応させることにより行われる。
【0095】
この際、用いられる塩基は特に限定されず、例えば、水素化ナトリウム等のアルカリ金属水素化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩等が挙げられる。用いられる塩基の量は、前記一般式(VII)で表されるケトエステル化合物に対して0.5〜5倍モル、好適には0.8〜2倍モルとするのが好ましい。
【0096】
また、用いられる前記一般式(VIII)で表されるジハロゲノアルカン化合物の量は、前記一般式(VII)で表されるケトエステル化合物に対して0.5〜10倍モル、好適には0.8〜5倍モルとするのが好ましい。
【0097】
前記一般式(VII)で表されるケトエステル化合物において、Rはメチル基又はエチル基が好適である。該ケトエステル化合物は、例えば特開平5−78282号公報(欧州特許出願公開第0537909号明細書などに対応)記載の方法等の既知の方法により合成することができる。また、化合物(VI)中、X=4−Cl、n=1、R=H、R=H、R3=H、R4=H、Z=Fの化合物、および化合物(V)中、X=4−Cl、n=1、R=H、R=H、R3=H、R4=H、Z=Fの化合物は、特許公開公報平2−72176号公報に記載の化合物である。
【0098】
第A工程の反応温度は、用いられる溶媒、前記(VII)で表されるケトエステル化合物、前記(VIII)で表されるジハロゲノアルカン化合物、塩基等の種類によって適宜設定することができるが、好適には0℃〜250℃、より好適には室温〜150℃とするのが好ましい。また、反応時間は、用いられる溶媒、前記(VII)で表されるケトエステル化合物、前記(VIII)で表されるジハロゲノアルカン化合物、塩基等の種類によって適宜設定することができるが、好適には0.1時間から数日、より好適には0.5時間〜24時間が好ましい。
【0099】
第B工程は、前記一般式(VI)で表されるハロアルキル化ケトエステル化合物のアルコキシカルボニル基を、酸性条件下の溶媒中で加水分解・脱炭酸することにより行われる。
【0100】
この際、用いられる酸は特に限定されないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸等の無機酸を使用するのが好ましい。また、用いられる溶媒は特に限定されないが、水又は水に酢酸等の有機酸を添加したものを用いることができる。
【0101】
第B工程の反応温度は、用いられる溶媒、前記(VI)で表されるハロアルキル化ケトエステル化合物、酸触媒等の種類によって適宜設定することができるが、好適には0℃〜還流点、より好適には室温〜還流点とするのが好ましい。また、反応時間は、用いられる溶媒、前記(VI)で表されるハロアルキル化ケトエステル化合物、酸触媒等の種類によって適宜設定することができるが、好適には0.1時間〜数日、より好適には0.5時間〜24時間が好ましい。
【0102】
前記一般式(IV)で表されるカルボニル化合物の好適な第二の合成方法として、一般式(X)で表されるシクロペンタノン化合物と、一般式(XI)で表される化合物とのアルドール縮合反応を行い、一般式(IX)で表されるアルキリデン化合物を得る工程(以下、第C工程とする)の後、炭素−炭素二重結合に対してシクロプロパン化を行う工程(以下、第D工程とする)を行う方法が挙げられる(反応式(8)参照)。
【0103】
【化20】

(式中、Xは、ハロゲン原子、C〜Cのアルキル基、C〜Cのハロアルキル基、C〜Cのアルコキシ基、C〜Cのハロアルコキシ基、フェニル基、シアノ基またはニトロ基を表す。nは、0〜5の整数を表す。nが2以上の場合、Xはそれぞれ同一であっても相異なっていてもよい。)
【0104】
【化21】

(式中、R、Rは水素原子、C〜Cのアルキル基を表す。)
【0105】
【化22】

(式中、Xは、ハロゲン原子、C〜Cのアルキル基、C〜Cのハロアルキル基、C〜Cのアルコキシ基、C〜Cのハロアルコキシ基、フェニル基、シアノ基またはニトロ基を表す。nは、0〜5の整数を表す。nが2以上の場合、Xはそれぞれ同一であっても相異なっていてもよい。R、Rは水素原子、C〜Cのアルキル基を表す。)
【0106】
反応式(8)
【化23】

(式中、Xは、ハロゲン原子、C〜Cのアルキル基、C〜Cのハロアルキル基、C〜Cのアルコキシ基、C〜Cのハロアルコキシ基、フェニル基、シアノ基またはニトロ基を表す。nは、0〜5の整数を表す。nが2以上の場合、Xはそれぞれ同一であっても合い異なっていてもよい。R、Rはそれぞれ水素原子またはC〜Cのアルキル基を表す。R1a、R2aはそれぞれ水素原子、ハロゲン原子またはC〜Cのアルキル基を表す。)
【0107】
第C工程は、前記一般式(X)で表されるシクロペンタノン化合物と、前記一般式(XI)で表される化合物とを、塩基又は酸の存在下の溶媒中でアルドール縮合させることにより行われる。
【0108】
この際、用いられる塩基又は酸は特に限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物等の塩基が好適に用いられる。用いられる塩基又は酸の量は、前記一般式(X)で表されるシクロペンタノン化合物に対して0.01〜5倍モル、好適には0.1〜2倍モルとするのが好ましい。
【0109】
また、用いられる前記一般式(XI)で表される化合物の量は、前記一般式(X)で表されるシクロペンタノン化合物に対して0.5〜10倍モル、好適には0.8〜5倍モルとするのが好ましい。
【0110】
なお、前記一般式(X)で表されるシクロペンタノン化合物は、文献既知の方法により合成することができる。
【0111】
第C工程の反応温度は、用いられる溶媒、前記(X)で表されるシクロペンタノン化合物、前記(VIII)で表される化合物、塩基又は酸等の種類によって適宜設定することができるが、好適には0℃〜250℃、より好適には室温〜150℃とするのが好ましい。また、反応時間は、用いられる溶媒、前記(X)で表されるシクロペンタノン化合物、前記(VIII)で表される化合物、塩基又は酸等の種類によって適宜設定することができるが、好適には0.1時間から数日、より好適には0.5時間〜24時間が好ましい。
【0112】
第D工程は、一般式(IX)で表されるアルキリデン化合物の炭素−炭素二重結合に対するシクロプロパン化は、(a)例えばジメチルスルホキソニウムメチリド等のスルホキソニウムイリド類との反応、(b)トリハロメタンと、例えばクロロホルムと水酸化ナトリウム水溶液等の塩基との反応や、トリハロ酢酸塩の熱分解等によって生じるハロカルベン類の付加反応、(c)ジヨードメタンと亜鉛−銅、ジヨードメタンとジエチル亜鉛等を用いた炭化水素系カルベン類の付加反応等により行われる。
【0113】
例えば、(a)スルホキソニウムイリド類との反応を用いる際、用いられる該スルホキソニウムイリド類の量は、前記一般式(IX)で表されるアルキリデン化合物の種類に応じて適宜設定することができるが、前記一般式(X)で表されるアルキリデン化合物に対して0.5〜5倍モル、好適には0.8〜2倍モルとするのが好ましい。ここで、生成する化合物(IVa)が、同条件でスルホキソニウムイリド類と反応する場合は、生成する化合物(IVa)を収率よく得るため、約当量とするのがより好ましい。
【0114】
この際、前記スルホキソニウムイリド類は、例えばトリメチルスルホキソニウムヨージドやトリメチルスルホキソニウムブロミド等のスルホキソニウム塩と、塩基との反応により生成させることができる。
【0115】
第D工程で用いられる塩基は特に限定されないが、例えば、水素化ナトリウム等のアルカリ金属水素化物、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド等のアルカリ金属のアルコキシド等が好適に用いられる。
【0116】
第D工程の反応温度は、用いられる溶媒、前記一般式(IX)で表されるアルキリデン化合物等の種類によって適宜設定することができるが、好適には−100℃〜150℃、より好適には−20℃〜100℃とするのが好ましい。また、反応時間は、用いられる溶媒、前記一般式(IX)で表されるアルキリデン化合物等の種類によって適宜設定することができるが、好適には0.1時間から数日、より好適には0.5時間〜2日が好ましい。
【0117】
また、前記一般式(IV)で表されるカルボニル化合物の好適な第三の合成方法として、一般式(XV)で表されるスピロ[2.4]ヘプタン−4−オン化合物に対し、塩基存在下、一般式(XVI)で表される化合物との反応を行い、一般式(XIV)で表されるケトエステル化合物を得た(以下、第E工程とする)後、化合物(XIV)のアルコキシカルボニル基の結合した炭素原子と一般式(XIII)で表されるハロゲン化ベンジル化合物のハロゲン原子の結合した炭素原子間に炭素−炭素結合を生成させ、一般式(XII)で表されるベンジル化ケトエステル化合物を得た(以下、第F工程とする)後、加水分解・脱炭酸すること(以下、第G工程とする)により、得ることができる(反応式(9)参照)。
【0118】
【化24】

(式中、R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C〜Cのアルキル基を表す。)
【0119】
【化25】

(式中、RはC〜Cのアルキル基を表す。YはC〜Cのアルコキシ基若しくはハロゲン原子を表す。)
【0120】
【化26】

(式中、R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C〜Cのアルキル基を表す。RはC〜Cのアルキル基を表す。)
【0121】
【化27】

(式中、Zはハロゲン原子を表す。Xは、ハロゲン原子、C〜Cのアルキル基、C〜Cのハロアルキル基、C〜Cのアルコキシ基、C〜Cのハロアルコキシ基、フェニル基、シアノ基またはニトロ基を表す。nは、0〜5の整数を表す。nが2以上の場合、Xはそれぞれ同一であっても相異なっていてもよい。)
【0122】
【化28】

(式中、Xは、ハロゲン原子、C〜Cのアルキル基、C〜Cのハロアルキル基、C〜Cのアルコキシ基、C〜Cのハロアルコキシ基、フェニル基、シアノ基またはニトロ基を表す。nは、0〜5の整数を表す。nが2以上の場合、Xはそれぞれ同一であっても相異なっていてもよい。R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C〜Cのアルキル基を表す。RはC〜Cのアルキル基を表す。)
【0123】
反応式(9)
【化29】

【0124】
ここで、化合物(XV)に対し、塩基存在下、化合物(XVI)で表される化合物との反応により、化合物(XIV)で表される化合物を得る反応(第E工程)では、溶媒中もしくは、YがC〜Cのアルキコキシ基である場合には、化合物(XVI)を溶媒として使用することも可能である。
化合物(XV)に対する化合物(XVI)の使用量は、通常、0.5倍モル〜20倍モルであり、好ましくは0.8倍モル〜10倍モルである。
【0125】
ここで、使用される好適な塩基としては水素化ナトリウム等のアルカリ金属水素化合物、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド等のアルカリ金属のアルコキシド類等が挙げられるが、勿論これらに限定されるわけではない。化合物(X)に対する塩基の使用量は、通常、0.5倍モル〜5倍モルであり、好ましくは0.8倍モル〜2倍モルである。
反応温度は通常0℃〜250℃、好ましくは室温〜150℃であり、反応時間は通常、0.1時間〜数日、好ましくは0.5時間〜24時間である。
【0126】
尚、ここで使用される化合物(XV)で表されるシクロペンタノン化合物は、文献既知の方法により合成可能である。
【0127】
ここで、化合物(XIV)のアルコキシカルボニル基の結合した炭素原子と化合物(XIII)のハロゲン原子が結合した炭素原子との間に炭素原子−炭素原子結合を生成させ、化合物(XII)を得る反応(第F工程)では、溶媒中、塩基の存在下で行われる。
【0128】
化合物(XIV)に対する化合物(XIII)の使用量は、通常、0.5倍モル〜10倍モルであり、好ましくは0.8倍モル〜5倍モルである。
【0129】
ここで、塩基として、使用される好適な塩基としては水素化ナトリウム等のアルカリ金属水素化合物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩等が挙げられるが、勿論これらに限定されるわけではない。
化合物(XIV)に対する塩基の使用量は、通常、0.5倍モル〜5倍モルであり、好ましくは0.8倍モル〜2倍モルである。
【0130】
反応温度は通常、0℃〜250℃、好ましくは室温〜150℃であり、反応時間は通常、0.1時間〜数日、好ましくは0.5時間〜24時間である。
【0131】
また、上記反応で得られた、化合物(XII)のアルコキシカルボニル基を加水分解・脱炭酸する反応(第G工程)では、溶媒中、塩基性条件下でも酸性条件下でも可能であるが、好ましくは塩基性条件下で行なう。
【0132】
ここで、加水分解を塩基性で行なう場合は、塩基には通常、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属塩基を使用する。溶媒には、通常、水の他、アルコール類などを加えた水を使用する。
【0133】
また、加水分解を酸性で行なう場合は、酸触媒には、好ましくは塩酸、臭化水素酸、硫酸などの無機酸を使用し、溶媒には、通常、水、若しくは、水に酢酸などの有機酸を加えて行なう。
【0134】
反応温度は通常、0℃〜還流点、好ましくは室温〜還流点である。反応時間は、通常、0.1時間〜数日であって、好ましくは0.5時間〜24時間である。
【0135】
前記一般式(V)で表される2−(2−ハロエチル)シクロペンタノン化合物の好適な第二の合成方法として、一般式(VII)で表されるケトエステル化合物と、一般式(XVII)で表される2−(低級アルコキシ)アルキルハライド化合物とを反応させて一般式(XVIII)で表される2−(低級アルコキシ)アルキルケトエステル化合物を得る工程(以下、第H工程とする)の後、アルコキシカルボニル基を加水分解・脱炭酸するとともに、低級アルコキシ基をハロゲン原子に置換して一般式(Va)で表される2−(2−ハロエチル)シクロペンタノン化合物を得る工程(以下、第I工程とする)を行う方法が挙げられる。(反応式(10)参照)
【0136】
【化30】

(式中、Xは、ハロゲン原子、C〜Cのアルキル基、C〜Cのハロアルキル基、C〜Cのアルコキシ基、C〜Cのハロアルコキシ基、フェニル基、シアノ基またはニトロ基を表す。nは、0〜5の整数を表す。nが2以上の場合、Xはそれぞれ同一であっても相異なっていてもよい。Rは、C〜Cのアルキル基を表す。)
【0137】
【化31】

(式中、R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C〜Cアルキル基を示す。また、Zはハロゲン原子を示し、RはC〜C低級アルキル基を示す。)
【0138】
【化32】

(式中、Xは、ハロゲン原子、C〜Cアルキル基、C〜Cハロアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cハロアルコキシ基、フェニル基、シアノ基またはニトロ基を示す。nは、0〜5の整数を示す。nが2以上の時には、Xは、同一であっても相異なっていても良い。R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C〜Cアルキル基を示す。R、Rはそれぞれ独立にC〜C低級アルキル基を示し、R、R共に、メチル基、エチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。)
【0139】
【化33】

(式中、Xは、ハロゲン原子、C〜Cアルキル基、C〜Cハロアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cハロアルコキシ基、フェニル基、シアノ基またはニトロ基を示す。nは、0〜5の整数を示す。nが2以上の時には、Xは、同一であっても相異なっていても良い。R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C〜Cアルキル基を示す。Zはハロゲン原子を示し、臭素原子、塩素原子が好ましく、臭素原子が特に好ましい。)
【0140】
反応式(10)
【化34】

【0141】
第H工程は、前記一般式(VII)で表されるケトエステル化合物と、前記一般式(XVII)で表される2−(低級アルコキシ)アルキルハライド化合物とを塩基存在下、溶媒中で反応させることにより行われる。
【0142】
この際、用いられる塩基は特に限定されず、例えば、水素化ナトリウム等のアルカリ金属水素化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩等が挙げられる。用いられる塩基の量は、前記一般式(VII)で表されるケトエステル化合物に対して0.5〜5倍モル、好適には0.8〜2倍モルとするのが好ましい。
【0143】
また、用いられる前記一般式(XVII)で表される2−(低級アルコキシ)アルキルルハライド化合物の量は、前記一般式(VII)で表されるケトエステル化合物に対して0.5〜10倍モル、好適には0.8〜5倍モルとするのが好ましい。
【0144】
第H工程の反応温度は、用いられる溶媒、前記(VII)で表されるケトエステル化合物、前記(XVII)で表される2−(低級アルコキシ)アルキルハライド化合物、塩基等の種類によって適宜設定することができるが、好適には0℃〜250℃、より好適には室温〜150℃とするのが好ましい。また、反応時間は、用いられる溶媒、前記(VII)で表されるケトエステル化合物、前記(XVII)で表される2−(低級アルコキシ)アルキルハライド化合物、塩基等の種類によって適宜設定することができるが、好適には0.1時間から数日、より好適には0.5時間〜24時間が好ましい。
【0145】
第I工程は、前記一般式(VI)で表される2−(低級アルコキシ)化ケトエステル化合物のアルコキシカルボニル基を、酸性条件下、加水分解・脱炭酸すると共に、2−(低級アルコキシ)をハロゲン原子に置換することにより行われる。
【0146】
この際、用いられる酸は特に限定されないが、反応系内に2−(低級アルコキシ)をハロゲン原子に置換するハロゲン原子を有しなければならないので、臭化水素酸、塩酸等のハロゲン化水素酸の使用するのが好ましい。また、用いられる溶媒は特に限定されないが、水又は水に酢酸等の有機酸を添加したものを用いることができる。
【0147】
第I工程の反応温度は、用いられる溶媒、前記(XVIII)で表される2−(低級アルコキシ)化ケトエステル化合物、酸触媒等の種類によって適宜設定することができるが、好適には0℃〜還流点、より好適には室温〜還流点とするのが好ましい。また、反応時間は、用いられる溶媒、前記(XVIII)で表されるハロアルキル化ケトエステル化合物、酸触媒等の種類によって適宜設定することができるが、好適には0.1時間〜数日、より好適には0.5時間〜24時間が好ましい。
【0148】
C)農園芸用薬剤、および工業用材料保護剤
本発明の前記一般式(I)で表される5−ベンジル−4−アゾリルメチル−4−スピロ[2.4]ヘプタノール誘導体は、1,2,4−トリアゾリル基もしくは、イミダゾリル基を有するので、無機酸、有機酸の酸付加塩や、金属錯体を形成する。従って、酸付加塩や金属錯体の一部として、農園芸用薬剤、および工業用材料保護剤の有効成分として使用することもできる。
【0149】
また、一般式(I)で表される5−ベンジル−4−アゾリルメチル−4−スピロ[2.4]ヘプタノール誘導体には、少なくとも2個の不斉炭素が存在する。そのため、組成によっては立体異性体混合物であるか、光学異性体混合物であるか、いずれかの立体異性体か、光学異性体であるが、本発明は立体異性体混合物、光学異性体混合物、立体異性体あるいは光学異性体のいずれかに限定されるものではない。したがって、これらの立体異性体又は光学異性体の少なくとも1種類を農園芸用薬剤、および工業用材料保護剤の有効成分として使用することもできる。
【0150】
次に、本発明に係る本発明の一般式(I)で表される5−ベンジル−4−アゾリルメチル−4−スピロ[2.4]ヘプタノール誘導体の農園芸用薬剤および工業用材料保護剤の活性成分としての有用性について説明する。
本発明の化合物(I)は広汎な植物病害に対して防除効果を呈する。かかる病害の例として以下が挙げられる。
ダイズさび病(Phakopsora pachyrhizi、Phakopsora meibomiae)、イネいもち病(Pyricularia grisea)、イネごま葉枯病 (Cochliobolus miyabeanus)、イネ白葉枯病 (Xanthomonas oryzae)、イネ紋枯病 (Rhizoctonia solani)、イネ小黒菌核病(Helminthosporium sigmoideun)、イネばか苗病 (Gibberella fujikuroi)、イネ苗立枯病 (Pythium aphanidermatum)、リンゴうどんこ病 (Podosphaera leucotricha)、リンゴ黒星病 (Venturia inaequalis)、リンゴモリニア病 (Monilinia mali)、リンゴ斑点落葉病 (Alternaria alternata)、リンゴ腐乱病 (Valsa mali)、ナシ黒斑病(Alternaria kikuchiana)、ナシうどんこ病 (Phyllactinia pyri)、ナシ赤星病 (Gymnosporangium asiaticum)、ナシ黒星病 (Venturia nashicola)、ブドウうどんこ病 (Uncinula necator)、ブドウべと病 (Plasmopara viticola)、ブドウ晩腐病 (Glomerella cingulata)、オオムギうどんこ病 (Erysiphe graminis f. sp hordei)、オオムギ黒さび病 (Puccinia graminis)、オオムギ黄さび病 (Puccinia striiformis)、オオムギ斑葉病 (Pyrenophora graminea)、オオムギ雲形病 (Rhynchosporium secalis)、コムギうどんこ病 (Erysiphe graminis f. sp tritici)、コムギ赤さび病 (Puccinia recondita)、コムギ黄さび病 (Puccinia striiformis)、コムギ眼紋病(Pseudocercosporella herpotrichoides)、コムギ赤かび病 (Fusarium graminearum、Microdochium nivale)、コムギふ枯病 (Phaeosphaeria nodorum)、コムギ葉枯病 (Septoria tritici)、ウリ類うどんこ病(Sphaerotheca fuliginea)、ウリ類の炭疸病 (Colletotrichum lagenarium)、キュウリべと病 (Pseudoperonospora cubensis)、キュウリ灰色疫病 (Phytophthora capsici)、トマトうどんこ病 (Erysiphe cichoracearum)、トマト輪紋病(Alternaria solani)、ナスうどんこ病 (Erysiphe cichoracearum)、イチゴうどんこ病 (Sphaerotheca humuli)、タバコうどんこ病 (Erysiphe cichoracearum)、テンサイ褐斑病(Cercospora beticola)、トウモロコシ黒穂病 (Ustillaga maydis)、核果類果樹の灰星病 (Monilinia fructicola)、種々の作物をおかす灰色かび病 (Botrytis cinerea)、菌核病(Sclerotinia sclerotiorum) 等が挙げられる。
【0151】
さらに、本発明化合物(I)は広汎な作物や園芸植物に対してその成長を調節して収量を増加させる効果やその品質を高める効果を示す。かかる作物の例として以下が挙げられる。
コムギ・大麦・燕麦などの麦類、稲、ナタネ、サトウキビ、トウモロコシ、メイズ、大豆、エンドウ、落花生、シュガービート、キャベツ、ニンニク、ダイコン、ニンジン、リンゴ、ナシ、みかん、オレンジ、レモンなどの柑橘類、モモ、桜桃、アボガド、マンゴー、パパイヤ、トウガラシ、キュウリ、メロン、イチゴ、タバコ、トマト、ナス、芝、菊、ツツジ、その他の観賞用植物。
さらに、本発明化合物(I)は工業材料を侵す広汎な有害微生物から材料を保護する優れた効果を示す。かかる微生物の例として以下が挙げられる。
紙・パルプ劣化微生物(スライム形成菌を含む)であるアスペルギルス(Aspergillus sp.)、トリコデルマ(Trichoderma sp.)、ペニシリウム(Penicillium sp.)、ジェオトリカム(Geotrichum sp.)、ケトミウム(Chaetomium sp.)、カドホーラ(Cadophora sp.)、セラトストメラ(Ceratostomella sp.)、クラドスボリウム(Cladosporium sp.)、コーティシウム(Corticium sp.)、レンティヌス(Lentinus sp.)、レンズィテス(Lenzites sp.)、フォーマ(Phoma sp.)、ポリスティクス(Polysticus sp.)、プルラリア(Pullularia sp.)、ステレウム(Stereum sp.)、トリコスポリウム(Trichosporium sp.)、アエロバクタ−(Aerobacter sp.)、バシルス(Bacillus sp.)、デスルホビブリオ(Desulfovibrio sp.)、シュードモナス(Pseudomonas sp.)、フラボバクテリウム(Flavobacterium sp.)、ミクロコツカス(Micrococcus sp.)など、繊維劣化微生物であるアスペルギルスAspergillus sp.)、ペニシリウム(Penicillium sp.)、ケトミウム(Chaetomium sp.)、ミロテシウム(Myrothecium sp.)、クルブラリア(Curvularia sp.)、グリオマスティックス、(Gliomastix sp.)、メンノニエラ(Memnoniella sp.)、サルコポディウム(Sarcopodium sp.)、スタキボトリス(Stschybotrys sp.)、ステムフィリウム(Stemphylium sp.)、ジゴリンクス(Zygorhynchus sp.)、バシルス(bacillus sp.)、スタフィロコッカス(Staphylococcus sp.)など、木材変質菌であるオオウズラタゲ(Tyromyces palustris)、カワラタケ(Coriolus versicolor)、アスペルギルス(Aspergillus sp.)、ペニシリウム(Penicillium sp.)、リゾプス(Rhizopus sp.)、オーレオバシディウム(Aureobasidium sp.)、グリオクラデイウム(Gliocladum sp.)、クラドスポリウム(Cladosporium sp.)、ケトミウム(Chaetomium sp.)、トリコデルマ(Trichoderma sp.)など、皮革劣化微生物であるアスペルギルス(Aspergillus sp.)、ペニシリウム(Penicillium sp.)、ケトミウム(Chaetomium sp.)、クラドスポリウム(Cladosporium sp.)、ムコール(Mucor sp.)、パエシロミセス(Paecilomyces sp.)、ピロブス(Pilobus sp.)、プルラリア(Pullularia sp.)、トリコスポロン(Trichosporon sp.)、トリコテシウム(Tricothecium sp.)など、ゴム・プラスチック劣化微生物であるアスペルギルス(Aspergillus sp.)、ペニシリウム(Penicillium sp.)、リゾプス(Rhizopus sp.)、トリコデルマ(Trichoderma sp.)、ケトミウム(Chaetomium sp.)、ミロテシウム(Myrothecium sp.)、ストレプトマイセス(Streptomyces sp.)、シュードモナス(Pseudomonas sp.)、バシルス(Bacillus sp.)、ミクロコツカス(Micrococcus sp.)、セラチア(Serratia sp.)、マルガリノマイセス(Margarinomyces sp.)、モナスクス(Monascus sp.)など、塗料劣化微生物であるアスペルギルス(Aspergillus sp.)、ペニシリウム(Penicillium sp.)、クラドスポリウム(Cladosporium sp.)、オーレオバシディウム(Aureobasidium sp.)、グリオクラディウム(Gliocladium sp.)、ボトリオディプロディア(Botryodiplodia sp.)、マクロスポリウム(Macrosporium sp.)、モニリア(Monilia sp.)、フォーマ(Phoma sp.)、プルラリア((Pullularia sp.)、スポロトリカム(Sporotrichum sp.)、トリコデルマ(Trichoderma sp.)、バシルス((bacillus sp.)、プロテウス(Proteus sp.)、シュードモナス(Pseudomonas sp.)、セラチア(Serratia sp.)
【0152】
本発明化合物を農園芸用病害防除剤の有効成分として適用するには、他の何らかの成分も加えずそのままでもよいが、通常は固体担体、液体担体、界面活性剤、その他の製剤補助剤と混合して粉剤、水和剤、粒剤、乳剤などの種々の形態に製剤して使用する。これらの製剤には有効成分として本発明化合物を、0.1〜95重量%、好ましくは0.5〜90重量%、より好ましくは2〜80重量%含まれるように製剤する。製剤補助剤として使用する坦体、希釈剤、界面活性剤を例示すれば、固体坦体として、タルク、カオリン、ベンナイト、珪藻土、ホワイトカーボン、クレーなど。液体希釈剤として、水、キシレン、トルエン、クロロベンゼン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アルコールなど。界面活性剤はその効果により使い分けるのがよく、乳化剤として、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなど。分散剤として、リグニンスルホン酸塩、ジブチルナフタリンスルホン酸塩など、湿潤剤として、アルキルスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩など、をあげることができる。上記製剤には、そのまま使用するものと水等の希釈剤で所定濃度に希釈して使用するものとがある。希釈して使用する時の本発明化合物の濃度は0.001〜1.0%の範囲が望ましい。また、本発明化合物の使用量は畑、田、果樹園、温室などの農園芸地1haあたり、20〜5000g、より好ましくは50〜2000gである。これらの使用濃度および使用量は剤形、使用時期、使用方法、使用場所、対象作物等によっても異なるため、上記の範囲にこだわることなく増減することは勿論可能である。さらに、本発明化合物は他の有効成分、例えば、殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、除草剤と組み合わせて使用することもできる。
【0153】
例えば、以下に示す薬剤と混合することにより、農園芸用薬剤としての性能を高めることができる。
<抗菌性物質>
アシベンゾラーSメチル、2−フェニルフェノール(OPP)、アザコナゾール、アゾキシストロビン、アミスルブロム、ビキサフェン、ベナラキシル、ベノミル、ベンチアバリカルブ-イソプロピル、ビカルボネイト、ビフェニル、ビテルタノール、ブラスチシジン−S、ボラックス、ボルドー液、ボスカリド、ブロムコナゾール、ブロノポール、ブピリメート、セックブチラミン、カルシウムポリスルフィド、カプタフォル、キャプタン、カルベンダジム、カルボキシン、カルプロパミド、キノメチオネート、クロロネブ、クロロピクリン、クロロタロニル、クロゾリネート、シアゾファミド、シフルフェナミド、シモキサニル、シプロコナゾール、シプロジニル、ダゾメット、デバカルブ、ジクロフルアニド、ジクロシメット、ジクロメジン、ジクロラン、ジエトフェンカルブ、ジフェノコナゾール、ジフルメトリン、ジメトモルフ、ジメトキシストロビン、ジニコナゾール、ジノカップ、ジフェニルアミン、ジチアノン、ドデモルフ、ドジン、エディフェンフォス、エポキシコナゾール、エタポキサム、エトキシキン、エトリジアゾール、エネストロブリン、ファモキサドン、フェナミドン、フェナリモル、フェンブコナゾール、フェンフラム、フェンヘキサミド、フェノキサニル、フェンピクロニル、フェンプロピジン、フェンプロピモルフ、フェンチン、フェルバム、フェリムゾン、フルアジナム、フルジオキソニル、フルモルフ、フルオロミド、フルオキサストロビン、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルスルファミド、フルトラニル、フルトリアフォル、フォルペット、フォセチル−アルミニウム、フベリダゾール、フララキシル、フラメトピル、フルオピコリド、フルオピラム、グアザチン、ヘキサクロロベンゼン、ヘキサコナゾール、ヒメキサゾール、イマザリル、イミベンコナゾール、イミノクタジン、イプコナゾール、イプロベンフォス、イプロジオン、イプロバリカルブ、イソプロチオラン、イソピラザム、イソチアニル、カスガマイシン、銅調製物例えば水酸化銅、ナフテン酸銅、オキシ塩化銅、硫酸銅、酸化銅、オキシン−銅、クレゾキシムメチル、マンコカッパー、マンコゼブ、マネブ、マンジプロパミド、メパニピリム、メプロニル、メタラキシル、メトコナゾール、メチラム、メトミノスウトロビン、ミルジオマイシン、ミクロブタニル、ニトロタル−イソプロピル、ヌアリモル、オフレース、オキサジキシル、オキソリニック酸、オキスポコナゾール、オキシカルボキシン、オキシテトラサイクリン、ペフラゾエート、オリサストロビン、ペンコナゾール、ペンシクロン、ペンチオピラド、ピリベンカルブ、フサライド、ピコキシストロビン、ピペラリン、ポリオキシン、プロベナゾール、プロクロラズ、プロシミドン、プロパモカルブ、プロピコナゾール、プロピネブ、プロキナジド、プロチオコナゾール、ピラクロストロビン、ピラゾフォス、ピリフェノックス、ピリメタニル、ピロキロン、キノキシフェン、キントゼン、シルチオファム、シメコナゾール、スピロキサミン、硫黄及び硫黄調製物、テブコナゾール、テクロフタラム、テクナゼン、テトラコナゾール、チアベンダゾール、チフルザミド、チオファネート−メチル、チラム、チアジニル、トルクロフォス−メチル、トリルフルアニド、トリアジメフォン、トリアジメノール、トリアゾキシド、トリシクラゾール、トリデモルフ、トリフロキシストロビン、トリフルミゾール、トリホリン、トリチコナゾール、バリダマイシン、ビンクロゾリン、ジネブ、ジラム、ゾキサミド等。
【0154】
<殺虫剤/殺ダニ剤/殺線虫剤>
アバメクチン、アセフェート、アクリナトリン、アラニカルブ、アルジカルブ、アレトリン、アミトラズ、アベルメクチン、アザジラクチン、アザメチフォス、アジンフォス−エチル、アジンフォス−メチル、アゾサイクロチン、バシルス・フィルムス、バシルス・ズブチルス、バシルス・ツリンジエンシス、ベンジオカルブ、ベンフラカルブ、ベンスルタップ、ベンゾキシメイト、ビフェナゼイト、ビフェントリン、ビオアレトリン、ビオレスメトリン、ビストリフルロン、ブプロフェジン、ブトカルボキシン、ブトキシカルボキシン、カズサフォス、カルバリル、カルボフラン、カルボスルファン、カータップ、CGA 50439、クロルデイン、クロレトキシフォス、クロルフェナピル、クロルフェンビンフォス、クロルフルアズロン、クロルメフォス、クロルピリフォス、クロルピリフォスメチル、クロマフェノザイド、クロフェンテジン、クロチアニジン、クロラントラリニプロール、コウンパフォス、クリオライト、シアノフォス、シクロプロトリン、シフルトリン、シハロトリン、シヘキサチン、シペルメトリン、シフェノトリン、シロマジン、シエノピラフェン、DCIP、DDT、デルタメトリン、デメトン−S−メチル、ジアフェンチウロン、ジアジノン、ジクロロフェン、ジクロロプロペン、ジクロルボス、ジコフォル、ジクロトフォス、ジシクラニル、ジフルベンズロン、ジメトエート、ジメチルビンフォス、ジノブトン、ジノテフラン、エマメクチン、エンドスルファン、EPN、エスフェンバレレート、エチオフェンカルブ、エチオン、エチプロール、エトフェンプロックス、エトプロフォス、エトキサゾール、ファムフル、フェナミフォス、フェナザキン、フェンブタチンオキシド、フェニトロチオン、フェノブカルブ、フェノチオカルブ、フェノキシカルブ、フェンプロパトリン、フェンピロキシメート、フェンチオン、フェンバレレート、フイプロニル、フロニカミド、フルアクロピリム、フルシクロクスロン、フルシトリネート、フルフェノクスロン、フルメトリン、フルバリネート、フルベンジアミド、フォルメタネート、フォスチアゼート、ハルフェンプロクス、フラチオカルブ、ハロヘノジド、ガンマ−HCH、ヘプテノフォス、ヘキサフルムロン、ヘキシチアゾックス、ヒドラメチルノン、イミダクロプリド、イミプロトリン、インドキサカルブ、イソプロカルブ、イソキサチオン、ルフェヌロン、マラチオン、メカルバム、メタム、メタミドフォス、メチダチオン、メチオカルブ、メトミル、メトプレン、メトスリン、メトキシフェノジド、メトルカルブ、ミルベメクチン、モノクロトフォス、ナレド、ニコチン、ニテンピラム、ノバルロン、ノビフルムロン、オメトエート、オキサミル、オキシデメトンメチル、パラチオン、パーメトリン、フェントエート、フォレート、フォサロン、フォスメット、フォスファミドン、フォキシム、ピリミカルブ、ピリミフォスメチル、プロフェノフォス、プロポクスル、プロチオフォス、ピメトロジン、ピラクロフォス、ピレスリン、ピリダベン、ピリダリル、ピリミジフェン、ピリプロキシフェン、ピリフルキナゾン、ピリプロール、キナルフォス、シラフルオフェン、スピノサド、スピロジクロフェン、スピロメシフェン、スピロテトラマット、スルフラミド、スルフォテップ、SZI-121、テブフェノジド、テブフェンピラド、テブピリムフォス、テフルベンズロン、テフルトリン、テメフォス、テルブフォス、テトラクロルビンフォス、チアクロプリド、チアメトキサム、チオジカルブ、チオファノックス、チオメトン、トルフェンピラド、トラロメトリン、トラロピリル、トリアザメート、トリアゾフォス、トリクロルフオン、トリフルムロン、バミドチオン、XMC、キシリルカルブ。
【0155】
<植物成長調節剤>
アンシミドール、6−ベンジルアミノプリン、パクロブトラゾール、ジクロブトラゾール、メピコートクロリド、ウニコナゾール。
【0156】
本発明化合物(I)を工業用材料保護剤の有効成分として適用するには、他の成分を添加せずに単独で用いてもよいが、一般に、適当な液体担体に溶解或いは分散させ、又は固体担体と混合し、必要に応じて、更に乳化剤、分散剤、展着剤、浸透剤、湿潤剤、安定剤等を添加し、水和剤、粉剤、粒剤、錠剤、ペースト剤、懸濁剤、噴霧材などの剤型として使用することができる。又、他の殺菌剤、殺虫剤、劣化防止剤等を配合してもよい。
液体担体としては、有効成分と反応しない限り如何なる液体を用いてもよく、例えば、水、アルコール類(例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、エチレングリコール、セロソルブ等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトンなど)、エーテル類(例えばジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルナフタレン等)、脂肪族炭化水素類(例えばガソリン、ケロシン、灯油、機械油、燃料油等)、酸アミド類(例えばジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等)ハロゲン化炭化水素類(例えば、クロロホルム、四塩化炭素等)、エステル類(例えば、酢酸エチルエステル、脂肪酸のグリセリンエステル等)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル等)及びジメチルスルホキシド等が使用できる。又、固体担体としては、カオリンクレー、ベントナイト、酸性白土、パイロフィライト、タルク、珪藻土、方解石、尿素、硫酸アンモニウム等の微粉末或いは粒状物が使用できる。又、乳化剤、分散剤としては、石鹸類、アルキルスルホン酸、アルキルアリールスルホン酸、ジアルキルスルホコハク酸、第4級アンモニウム塩、オキシアルキルアミン、脂肪酸エステル、ポリアルキレンオキサイド系、アンヒドロソルビトール系等の界面活性剤が使用できる。
本発明化合物(I)を有効成分として製剤中に含有させる場合、その含有割合は、剤型及び使用目的によっても異なるが、一般には、0.1〜99.9%重量%の濃度となるように加えるのが適当である。なお、実際の使用時においては、その処理濃度は、通常0.005〜5重量%、好ましくは0.01〜1重量%となるように適宜、溶剤、希釈剤、増量剤などを加えて調整するのが好ましい。
【実施例】
【0157】
以下、製造例、製剤例、試験例を示し、本発明を具体的に説明する。なお、本発明はその要旨を越えない限り以下の製造例、製剤例および試験例に限定されるものではない。
【0158】
<製造例1>
5−(4−クロロベンジル)−4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)−4−スピロ[2.4]ヘプタノール(化合物番I−1(化合物(I)、X=4-Cl、n=1、R1= H、R2= H、R3= H、R4= H 、異性体の型C)および化合物番号I−2(化合物(I)、X=4-Cl、n=1、R1= H、R2= H、R3= H、R4= H 、異性体の型T))の合成
(1)中間体、9−(4−クロロベンジル)−1−オキサジスピロ[2.0.2.3] ノナン(化合物(II)、X=4-Cl、n=1、R1= H、R2= H、R3= H、R4= H ) の合成
窒素気流下、60%水素化ナトリウム(246 mg, 6.1mmol)をヘキサンで洗浄した後、DMSO(2 ml)に懸濁させ、トリメチルスルホニウムヨージド(1.28 g, 6.1mmol)を加えた。室温で5分間撹拌した後、氷冷下5−(4−クロロベンジル)−4−スピロ[2.4]ヘプタノン(化合物(IV)、X=4-Cl、n=1、R1= H、R2= H、R3= H、R4= H)(961 mg, 4.1mmol)のDMSO(2 ml)溶液を加え、室温で16時間撹拌した。反応液を氷水中に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、粗目的物を得た。
粗収量 926 mg 粗収率 90% 褐色油状物
1H-NMR(CDCl3) δ 0.3-0.6 (m, 4H), 1.5-1.8 (m, 2H), 1.8-2.0 (m, 2H), 2.38 (d, J = 4.3Hz, 1H), 2.4-2.5 (m, 2H), 2.56 (d, J = 4.3Hz, 1H), 2.77 (dd, J = 13.2, 5.7Hz, 1H), 7.11 (d, J = 8.4Hz, 2H), 7.23 (d, J = 8.4Hz, 2H).

(2)5−(4−クロロベンジル)−4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)−4−スピロ[2.4]ヘプタノール(化合物番号I−1(化合物(I)、X=4-Cl、n=1、R1= H、R2= H、R3= H、R4= H 、異性体の型C)および化合物番号I−2(化合物(I)、X=4-Cl、n=1、R1= H、R2= H、R3= H、R4= H 、異性体の型T))の合成
窒素気流下、60%水素化ナトリウム(149 mg, 3.7 mmol)をヘキサンで洗浄した後、無水DMF(1 ml)に懸濁させ、氷冷下1H−1,2,4−トリアゾール(257 mg, 3.7 mmol)を加えた。室温で5分間撹拌した後、9−(4−クロロベンジル)−1−オキサジスピロ[2.0.2.3] ノナン(化合物(II)、X=4-Cl、n=1、R1= H、R2= H、R3= H、R4= H の化合物)(926 mg, 3.7 mmol)の無水DMF(2 ml)溶液を加え、120℃で3時間撹拌した。
反応液を氷水中に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液、ヘキサン−酢酸エチル, 1 : 1)により精製し、目的物を得た。
化合物番号I−1
収量 141mg 収率11% 白色結晶 融点85.5-87.0℃
1H-NMR(CDCl3) δ 0.33 (ddd, J = 9.4, 6.0, 4.1Hz, 1H), 0.5-0.6 (m, 2H), 0.80 (ddd, J = 10.0, 6.0, 4.1Hz, 1H), 1.5-1.6 (m, 2H), 1.6-1.8 (m, 2H), 2.0-2.1 (m, 1H), 2.33 (dd, J = 13.7, 10.3Hz, 1H), 2.40 (dd, J = 13.7, 4.9Hz, 1H), 3.16 (bs, 1H), 4.05 (d, J = 14.2Hz, 1H), 4.19 (d, J = 14.2Hz, 1H), 6.95 (d, J = 8.4Hz, 2H), 7.19 (d, J = 8.4Hz, 2H), 7.97 (s, 1H), 8.16 (s, 1H).

化合物番号I−2
収量68mg 収率5% 白色結晶 融点166-167℃
1H-NMR(CDCl3) δ -0.31 (ddd, J = 10.2, 5.9, 5.1Hz, 1H), 0.09 (ddd, J = 9.5, 5.9, 4.0Hz, 1H), 0.24 (ddd, J = 9.5, 5.9, 5.1Hz, 1H), 0.60 (ddd, J = 10.2, 5.9, 4.0Hz, 1H), 1.3-1.5 (m, 2H), 1.8-2.0 (m, 2H), 2.3-2.4 (m, 2H), 3.07 (d, J = 9.5Hz, 1H), 3.29 (s, 1H), 4.24 (d, J = 14.0Hz, 1H), 4.32 (d, J = 14.0Hz, 1H), 7.11 (d, J = 8.4Hz, 2H), 7.25 (d, J = 8.4Hz, 2H), 7.98 (s, 1H), 8.14 (s, 1H).
【0159】
<製造例2>
5−(4−クロロベンジル)−4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)−4−スピロ[2.4]ヘプタノール(化合物番号I−1(化合物(I)、X=4-Cl、n=1、R1= H、R2= H、R3= H、R4= H 、異性体の型C)および化合物番号I−2(化合物(I)、X=4-Cl、n=1、R1= H、R2= H、R3= H、R4= H 、異性体の型T))の合成
アルゴン気流下、脱水NMP180ml中にトリアゾールナトリウム塩(40.0g, 505.2 mmol)を加え、約120℃まで、昇温した。
5−(4−クロロベンジル)−4−スピロ[2.4]ヘプタノン(化合物(IV)、X=4-Cl、n=1、R1= H、R2= H、R3= H、R4= H)(94.0 g, 400 mmol)をNMP(20ml)と共に加えた。約120℃で、約3時間かけて、t−BuONa(23.14 g, 240 mmol)及び臭化トリメチルスルホキソニウム(88.4 g, 511 mmol)を分割添加した。添加終了後、同温度で1時間撹拌した後、水を加え、酢酸エチルで抽出した。。有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。粗目的物を得た。粗目的物を定量分析したところ、以下の収率で生成していることがわかった。
化合物番号I−1
収量 53.68g 収率42%
化合物番号I−2
収量 28.71g 収率23%
【0160】
<製造例3>
5−(3−クロロベンジル)−4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)−4−スピロ[2.4]ヘプタノール(化合物番号I−3(化合物(I)、X=3-Cl、n=1、R1= H、R2= H、R3= H、R4= H、異性体の型C)および化合物番号I−4(化合物(I)、X=3-Cl、n=1、R1= H、R2= H、R3= H、R4= H、異性体の型T))の合成
(1)中間体、9−(3−クロロベンジル)−1−オキサジスピロ[2.0.2.3] ノナン(化合物(II)、X=3-Cl、n=1、R1= H、R2= H、R3= H、R4= H)の合成
窒素気流下、60%水素化ナトリウム(189 mg, 4.7 mmol)をヘキサンで洗浄した後、DMSO(3 ml)に懸濁させ、トリメチルスルホニウムヨージド(983 mg, 4.7 mmol)を加えた。室温で5分間撹拌した後、氷冷下5−(3−クロロベンジル)−4−スピロ[2.4]ヘプタノン(化合物(IV)、X=3-Cl、n=1、R1= H、R2= H、R3= H、R4= H)(739 mg, 3.2 mmol)のDMSO(2 ml)溶液を加え、室温で6.5時間撹拌した。反応液を氷水中に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、粗目的物を得た。
粗収量 748 mg 粗収率95% 黄色油状物

(2)5−(3−クロロベンジル)−4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)−4−スピロ[2.4]ヘプタノール(化合物番号I−3(化合物(I)、X=3-Cl、n=1、R1= H、R2= H、R3= H、R4= H、異性体の型C)および化合物番号I−4(化合物(I)、X=3-Cl、n=1、R1= H、R2= H、R3= H、R4= H、異性体の型T))の合成
窒素気流下、60%水素化ナトリウム(120 mg, 3.0 mmol)をヘキサンで洗浄した後、無水DMF(2 ml)に懸濁させ、氷冷下1H−1,2,4−トリアゾール(208 mg, 3.0 mmol)を加えた。室温で5分間撹拌した後、9−(3−クロロベンジル)−1−オキサジスピロ[2.0.2.3] ノナン(化合物(II)、X=3-Cl、n=1、R1= H、R2= H、R3= H、R4= Hの化合物)(748 mg, 3.0 mmol)の無水DMF(2 ml)溶液を加え、120℃で4時間撹拌した。反応液を氷水中に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液、ヘキサン−酢酸エチル, 1 : 1)により精製し、目的物を得た。
化合物番号I−3
収量 159 mg 収率16% 淡褐色結晶 融点84.5−85.5℃
1H-NMR(CDCl3) δ 0.33 (ddd, J = 9.4, 6.0, 4.1Hz, 1H), 0.49 (ddd, J = 9.4, 6.0, 4.8Hz, 1H), 0.55 (ddd, J = 9.9, 6.0, 4.8Hz, 1H), 0.79 (ddd, J = 9.9, 6.0, 4.1Hz, 1H), 1.5-1.6 (m, 2H), 1.6-1.8 (m, 2H), 2.0-2.1 (m, 1H), 2.35 (dd, J = 13.7, 10.7Hz, 1H), 2.43 (dd, J = 13.7, 4.6Hz, 1H), 3.17 (s, 1H), 4.06 (d, J = 14.2Hz, 1H), 4.20 (d, J = 14.2Hz, 1H), 6.89 (dt, J = 6.7, 1.9Hz, 1H), 7.03 (bs, 1H), 7.1-7.2 (m, 2H), 7.98 (s, 1H), 8.16 (s, 1H).

化合物番号I−4
収量 209 mg 収率21% 白色結晶 融点120−121℃
1H-NMR(CDCl3) δ -0.31 (ddd, J = 10.2, 5.9, 5.1Hz, 1H), 0.09 (ddd, J = 9.5, 5.9, 4.1Hz, 1H), 0.25 (ddd, J = 9.5, 5.9, 5.1Hz, 1H), 0.60 (ddd, J = 10.2, 5.9, 4.1Hz, 1H), 1.4-1.6 (m, 2H), 1.9-2.0 (m, 2H), 2,30 (d, J = 9.9Hz, 1H), 2.3-2.4 (m, 1H), 3.09 (d, J = 9.9Hz, 1H), 3.33 (s, 1H), 4.24 (d, J = 14.0Hz, 1H), 4.32 (d, J = 14.0Hz, 1H), 7.06 (dt, J = 7.0, 1.6Hz, 1H), 7.1-7.3 (m, 3H), 7.98 (s, 1H), 8.15 (s, 1H).
【0161】
<製造例4>
5−(4−フルオロベンジル)−4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)−4−スピロ[2.4]ヘプタノール(化合物番号I−7(化合物(I)、X=4-F、n=1、R1= H、R2= H、R3= H、R4= H、異性体の型C)および化合物番号I−8(化合物(I)、X=4-F、n=1、R1= H、R2= H、R3= H、R4= H、異性体の型T))の合成
(1)9−(4−フルオロベンジル)−1−オキサジスピロ[2.0.2.3] ノナン(化合物(II)、X=4-F、n=1、R1= H、R2= H、R3= H、R4= H)の合成
窒素気流下、60%水素化ナトリウム(178 mg, 4.5 mmol)をヘキサンで洗浄した後、DMSO(3 ml)に懸濁させ、トリメチルスルホニウムヨージド(929 mg, 4.5 mmol)を加えた。室温で5分間撹拌した後、氷冷下5−(4−フルオロベンジル)−4−スピロ[2.4]ヘプタノン(化合物(IV)、X=4-F、n=1、R1= H、R2= H、R3= H、R4= H)(649 mg, 3.0 mmol)のDMSO(3 ml)溶液を加え、室温で12時間撹拌した。反応液を氷水中に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、粗目的物を得た。
粗収量 680mg 粗収率99% 淡黄色油状物
【0162】
(2)5−(4−フルオロベンジル)−4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)−4−スピロ[2.4]ヘプタノール(化合物番号I−7(化合物(I)、X=4-F、n=1、R1= H、R2= H、R3= H、R4= H、異性体の型C)および化合物番号I−8(化合物(I)、X=4-F、n=1、R1= H、R2= H、R3= H、R4= H、異性体の型T))の合成
窒素気流下、60%水素化ナトリウム(117 mg, 2.9 mmol)をヘキサンで洗浄した後、無水DMF(2ml)に懸濁させ、氷冷下1H−1,2,4−トリアゾール(202 mg, 2.9 mmol)を加えた。室温で5分間撹拌した後、9−(4−フルオロベンジル)−1−オキサジスピロ[2.0.2.3] ノナン(化合物(II)、X=4-F、n=1、R1= H、R2= H、R3= H、R4= Hの化合物)(680 mg, 2.9 mmol)の無水DMF(2 ml)溶液を加え、120℃で4.5時間撹拌した。反応液を氷水中に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液、ヘキサン−酢酸エチル, 1 : 1)により精製し、目的物を得た。
化合物番号I−7
収量 119 mg 収率13% 白色結晶 融点89-90℃
1H-NMR(CDCl3) δ 0.33 (ddd, J = 9.4, 6.0, 4.1Hz, 1H), 0.50 (ddd, J = 9.4, 6.0, 4.8Hz, 1H), 0.56 (ddd, J = 10.0, 6.0, 4.8Hz, 1H), 0.80 (ddd, J = 10.0, 6.0, 4.1Hz, 1H), 1.5-1.6 (m, 2H), 1.6-1.8 (m, 2H), 2.0-2.1 (m, 1H), 2.34 (dd, J = 13.7, 10.3Hz, 1H), 2.40 (dd, J = 13.7, 5.1Hz, 1H), 3.09 (s, 1H), 4.05 (d, J = 14.2Hz, 1H), 4.19 (d, J = 14.2Hz, 1H), 6.8-7.0 (m, 4H), 7.98 (s, 1H), 8.16 (s, 1H).

化合物番号I−8
収量 27 mg 収率3% 白色結晶 融点139−140℃
1H-NMR(CDCl3) δ -0.31 (dt, J = 10.0, 5.6Hz, 1H), 0.09 (ddd, J = 9.5, 5.7, 4.1Hz, 1H), 0.2-0.3 (m, 1H), 0.60 (ddd, J = 10.0, 5.7, 4.1Hz, 1H), 1.5-1.6 (m, 2H), 1.9-2.0 (m, 2H), 2.3-2.4 (m, 2H), 3.0-3.1 (m, 1H), 4.24 (d, J = 14.0Hz, 1H), 4.33 (d, J = 14.0Hz, 1H), 6.96 (d, J = 8.4Hz, 1H), 6.98 (d, J = 8.4Hz, 1H), 7.12 (d, J = 8.4Hz, 1H), 7.13 (d, J = 8.4Hz, 1H), 7.98 (s, 1H), 8.15 (s, 1H).
【0163】
<製造例5>
5−(4−クロロベンジル)−1,1−ジメチル−4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)−4−スピロ[2.4]ヘプタノール(化合物番号I−101(化合物(I)、X=4-Cl、n=1、R1= H、R2= H、R3= Me、R4= Me、異性体の型C)および化合物番号I−151(化合物(I)、X=4-Cl、n=1、R1= Me、R2= Me、R3= H、R4= H、異性体の型C))の合成
(1)9−(4−クロロベンジル)−5,5−ジメチル−1−オキサジスピロ[2.0.2.3] ノナン(化合物(II)、X=4-Cl、n=1、R1= H、R2= H、R3= Me、R4= Meの化合物および化合物(II)、X=4-Cl、n=1、R1= Me、R2= Me、R3= H、R4= H の化合物の混合物)の合成
アルゴン気流下、サマリウム(powder, -20mesh, 添川化学)(697mg, 4.6mmol)を無水THF(3ml)に懸濁させ、微量のヨウ素を加えた後、1,2−ジヨードエタン(652mg, 2.3mmol)を加え、0℃で1時間撹拌した。氷冷下、5−(4−クロロベンジル)−1,1−ジメチル−4−スピロ[2.4]ヘプタノン(化合物(IV)、X=4-Cl、n=1、R1= H、R2= H、R3= Me、R4= Me (304 mg, 1.2 mmol)とジヨードメタン(316 mg, 1.2 mmol)を無水THF(1 ml)に溶解させた溶液を5分間かけて滴下した。0℃で30分間撹拌した後、氷冷下、10%水酸化ナトリウム水溶液(1 ml)を少しずつ滴下し、さらに0℃で1.5時間撹拌した。吸引濾過により固形物を除き、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、粗目的物を得た。
粗収量 314mg 粗収率92% 淡黄色油状物
【0164】
(2)5−(4−クロロベンジル)−1,1−ジメチル−4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)−4−スピロ[2.4]ヘプタノール(化合物番号I−101(化合物(I)、X=4-Cl、n=1、R1= H、R2= H、R3= Me、R4= Me、異性体の型C)および化合物番号I−151(化合物(I)、X=4-Cl、n=1、R1= Me、R2= Me、R3= H、R4= H、異性体の型C))の合成
窒素気流下、60%水素化ナトリウム(45 mg, 1.13 mmol)をヘキサンで洗浄した後、無水DMF(2 ml)に懸濁させ、氷冷下1H−1,2,4−トリアゾール(78 mg, 1.13 mmol)を加えた。室温で5分間撹拌した後、9−(4−クロロベンジル)−5,5−ジメチル−1−オキサジスピロ[2.0.2.3] ノナン(化合物(II)、X=4-Cl、n=1、R1= H、R2= H、R3= Me、R4= Me の化合物および化合物(II)、X=4-Cl、n=1、R1= Me、R2= Me、R3= H、R4= Hの化合物の混合物)(314 mg, 1.13 mmol)の無水DMF(1 ml)溶液を加え、90℃で5時間撹拌した。反応液を氷水中に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液、ヘキサン−酢酸エチル, 1 : 1)により精製し、目的物を得た。
化合物番号I−101
収量 18 mg 収率5% 褐色油状物
1H-NMR(CDCl3) δ 0.26 (d, J = 4.8Hz, 1H), 0.79 (d, J = 4.8Hz, 1H), 1.17 (s, 3H), 1.3-1.5 (m, 2H), 1.3-1.5 (m, 2H), 1.38 (s, 3H), 1.5-1.6 (m, 1H), 1.9-2.1 (m, 3H), 2.19 (dd, J = 14.0, 11.8Hz, 1H), 2.81 (s, 1H), 4.24 (s, 2H), 6.92 (d, J = 8.4Hz, 2H), 7.18 (d, J = 8.4Hz, 2H), 7.99 (s, 1H), 8.20 (s, 1H).

化合物番号I−151
収量17 mg 収率4% 褐色油状物
1H-NMR(CDCl3) δ 0.18 (d, J = 4.0Hz, 1H), 1.04 (d, J = 4.0Hz, 1H), 1.16 (s, 3H), 1.33 (s, 3H), 1.4-1.5 (m, 2H), 1.5-1.6 (m, 1H), 1.7-1.8 (m, 1H), 1.9-2.0 (m, 1H), 2.29 (dd, J = 13.7, 11.0Hz, 1H), 2.57 (dd, J = 13.7, 4.6Hz, 1H), 3.37 (s, 1H), 4.23 (d, J = 14.2Hz, 1H), 4.34 (d, J = 14.2Hz, 1H), 6.84 (d, J = 8.4Hz, 2H), 7.16 (d, J = 8.4Hz, 2H), 7.99 (s, 1H), 8.13 (s, 1H).
【0165】
上記製造例1〜5に準じた方法で下記化合物(I)を合成した。各化合物の物性を表21〜表23に示す。
【0166】
【表21】

【0167】
【表22】

【0168】
【表23】

【0169】
上記で使用される化合物(IV)は、例えば、下記製造例6〜9および、これらに準じた方法で合成することができる。
【0170】
<製造例6>
5−(4−クロロベンジル)−4−スピロ[2.4]ヘプタノン(化合物(IV)、X=4-Cl、n=1、R1= H、R2= H、R3= H、R4= H)の合成
(1)中間体、1−(2−ブロモエチル)−3−(4−クロロベンジル)−2−オキソシクロペンタンカルボン酸メチル(化合物(VI)、X=4-Cl、n=1、R1= H、R2= H、R3= H、R4= H、R5= Me、Z1 = Br )の合成
窒素気流下、60%水素化ナトリウム(0.83 g, 20.7 mmol)をヘキサンで洗浄した後、無水DMF(5 ml)溶液に懸濁させ、氷冷下3−(4−クロロベンジル)−2−オキソシクロペンタンカルボン酸メチル(化合物(VII)、X=4-Cl、n=1、R1= H、R2= H、R3= H、R4= H、R5= Me)(5.02g, 18.8 mmol)の無水DMF(10 ml)溶液を10分間かけて滴下した。室温で5分間撹拌した後、1,2−ジブロモエタン(化合物(VIII)、R1= H、R2= H、R3= H、R4= H、Z1 = Br、Z2= Br)(3.97 g, 20.7 mmol)を加え、90℃で2.5時間撹拌した。反応液を氷水中に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、目的粗中間体を得た。
粗収量 5.48 g 粗収率 78% 淡黄色油状物
【0171】
(2)中間体、2−(2−ブロモエチル)−5−(4−クロロベンジル)シクロペンタノン(化合物(V)、X=4-Cl、n=1、R1= H、R2= H、R3= H、R4= H、Z1= Br)の合成
上記で得られた粗1−(2−ブロモエチル)−3−(4−クロロベンジル)−2−オキソシクロペンタンカルボン酸メチル(化合物(VI)、X=4-Cl、n=1、R1= H、R2= H、R3= H、R4= H、R5= Me、Z1 = Br )(5.48 g, 14.7 mmol)を酢酸(5 ml)に溶解させ、48%臭化水素酸(4.94 g, 29.3 mmol)を加え3時間加熱還流した。反応液を氷水中に注いだ後10%水酸化ナトリウム水溶液で中和し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、粗目的物を得た。
粗収量 4.61g 粗収率 99% 黄色油状物
1H-NMR(CDCl3) δ 1.3-1.5 (m, 2H), 1.6-1.8 (m, 1H), 1.8-1.9 (m, 1H), 2.0-2.1 (m, 1H), 2.2-2.3 (m, 2H), 2.3-2.4 (m, 1H), 2.61 (dd, J = 14.2, 9.0Hz, 1H), 3.10 (dd, J = 13.9, 4.4Hz, 1H), 3.4-3.5 (m, 1H), 3.5-3.6 (m, 1H), 7.08 (d, J = 8.4Hz, 2H), 7.24 (d, J = 8.4Hz, 2H).
【0172】
(3)5−(4−クロロベンジル)−4−スピロ[2.4]ヘプタノン(化合物(IV)、X=4-Cl、n=1、R1= H、R2= H、R3= H、R4= H)の合成
窒素気流下、60%水素化ナトリウム(1.75 g, 43.8 mmol)をヘキサンで洗浄した後、無水THF(15 ml)に懸濁させ、加熱還流条件下2−(2−ブロモエチル)−5−(4−クロロベンジル)シクロペンタノン(化合物(V)、X=4-Cl、n=1、R1= H、R2= H、R3= H、R4= H、 Z1= Br)の粗生成物(4.61g, 14.6 mmol)の無水THF(5 ml)溶液を10分間かけて滴下し、6時間加熱還流した。反応液を氷水中に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液、ヘキサン−酢酸エチル, 19 : 1)により精製し、目的物を得た。
収量 1.93 g 収率 56% (3−(4−クロロベンジル)−2−オキソシクロペンタンカルボン酸メチル(化合物(VII)、X=4-Cl、n=1、R1= H、R2= H、R3= H、R4= H、R5= Me)からの収率44%) 淡黄色油状物
1H-NMR(CDCl3) δ 0.8-1.0 (m, 2H), 1.0-1.1 (m, 1H), 1.2-1.3 (m, 1H), 1.6-1.8 (m, 2H), 2.0-2.2 (m, 2H), 2.5-2.6 (m, 2H), 3.13 (d, J = 9.7Hz, 1H), 7.11 (d, J = 8.3Hz, 2H), 7.24 (d, J = 8.3Hz, 2H).
【0173】
<製造例7>
5−(4−クロロベンジル)−1,1−ジメチル−4−スピロ[2.4]ヘプタノン(化合物(IV)、X=4-Cl、n=1、R1= Me、R2= Me、R3= H、R4= Hおよび化合物(IV)、X=4-Cl、n=1、R1= H、R2= H、R3= Me、R4= Meの混合物)の合成
(1)中間体、2−(4−クロロベンジル)−5−イソプロピリデンシクロペンタノン(化合物(IX)、X=4-Cl、n=1、R6= Me、R7= Me)の合成
2−(4−クロロベンジル)シクロペンタノン(化合物(X)、X=4-Cl、n=1)(5.10 g, 24.4 mmol)、アセトン(7.16 g, 123.3 mmol)をメタノール(5ml)に溶解させ、水酸化カリウム(1.37 g, 24.4 mmol)を加え、2時間加熱還流した。反応液を氷水中に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液、ヘキサン−酢酸エチル, 19 : 1)で精製し、目的物を得た。
粗収量 4.27 g 収率 70% 淡黄色固体
1H-NMR(CDCl3) δ 1.4-1.5 (m, 1H), 1.83 (s, 3H), 1.9-2.0 (m, 1H), 2.25 (s, 3H), 2.4-2.6 (m, 3H), 2.51 (d, J = 9.4Hz, 1H), 3.17 (d, J = 9.4Hz, 1H), 7.11 (d, J = 8.4Hz, 2H), 7.24 (d, J = 8.4Hz, 2H).
【0174】
(2)5−(4−クロロベンジル)−1,1−ジメチル−4−スピロ[2.4]ヘプタノン(化合物(IV)、X=4-Cl、n=1、R1= Me、R2= Me、R3= H、R4= Hおよび化合物(IV)、X=4-Cl、n=1、R1= H、R2= H、R3= Me、R4= Meの混合物)の合成
窒素気流下、60%水素化ナトリウム(345 mg, 8.6 mmol)をヘキサンで洗浄した後、DMSO(4 ml)に懸濁させ、トリメチルスルホキソニウムブロミド(1.49 g, 8.6 mmol)を加えた。室温で5分間撹拌した後、上記で得られた粗2−(4−クロロベンジル)−5−イソプロピリデンシクロペンタノン(化合物(IX)、X=4-Cl、n=1、R6= Me、R7= Me)(2.15 g, 8.6 mmol)のDMSO(3 ml)溶液を加え、室温で6時間撹拌した。反応液を氷水中に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液、ヘキサン−酢酸エチル, 19 : 1)で精製し、目的物を得た。
収量 2.18 g 収率 96% 白色固体
1H-NMR(CDCl3) δ 0.77 (d, J = 3.5Hz, 1H), 1.13 (s, 3H), 1.24 (s, 3H), 1.29 (d, J = 3.5Hz, 1H), 1.5-1.6 (m, 1H), 1.6-1.7 (m, 1H), 2.0-2.2 (m, 2H), 2.5-2.6 (m, 2H), 3.15 (d, J = 9.9Hz, 1H), 7.11 (d, J = 8.4Hz, 2H), 7.24 (d, J = 8.4Hz, 2H).
【0175】
<製造例8>
5−(4−フルオロベンジル)−4−スピロ[2.4]ヘプタノン(化合物(IV)、X=4-F、n=1、R1= Me、R2= Me、R3= H、R4= H)の合成
(1)中間体、4−オキサスピロ[2.4]−5−ヘプタンカルボン酸メチルエステル(化合物(XIV)、X=4-F、n=1、R1= H、R2= H、R3= H、R4= H、R8= Me)の合成
窒素気流下、60%水素化ナトリウム(1.54g, 38.7mmol)をヘキサンで洗浄した後、炭酸ジメチル(18ml)に懸濁させ、脱水メタノールを10滴加えた。加熱還流条件下、スピロ[2.4]−4−ヘプタノン(化合物(XV)、R1= H、R2= H、R3= H、R4= H)(2.84g, 25.8mmol)の炭酸ジメチル(化合物(XVI)、R8= Me、Y= OMe)(8ml)溶液を10分間かけて滴下し(炭酸ジメチルの総使用量23.72g, 258mmol)、3.5時間加熱還流した。反応液を氷水中に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液, ヘキサン:酢酸エチル=9:1)で精製し、粗目的物を得た。
収量 3.21g 収率74% 褐色油状物
1H-NMR(CDCl3) δ 0.97 (dd, J = 8.9, 5.1Hz, 2H), 1.26 (ddd, J = 15.4, 9.9, 3.8Hz, 2H), 2.02 (ddd, J = 12.7, 7.6, 4.1Hz, 1H), 2.11 (ddd, J = 12.7, 9.2, 7.0Hz, 1H), 2.3-2.4 (m, 1H), 2.4-2.5 (m, 1H), 3.39 (t, J = 9.2Hz, 1H), 3.76 (s, 3H).
【0176】
(2)5−(4−フルオロベンジル)−4−オキサスピロ[2.4]ヘプタン−5−カルボン酸メチル(化合物(XII)、X=4-F、n=1、R1=H、R2=H、R3=H、R4=H、R8=Me)の合成
窒素気流下、60%水素化ナトリウム(270mg, 6.8mmol)をヘキサンで洗浄した後、無水DMF(3ml)に懸濁させ、氷冷下、4−オキサスピロ[2.4]ヘプタン−5−カルボン酸メチルエステル(化合物(XIV)、X=4-F、n=1、R1= H、R2= H、R3= H、R4= H、R8= Me)(758mg, 4.5mmol)の無水DMF(3ml)溶液を5分間かけて滴下した。0℃で5分間撹拌した後、4-フルオロベンジルブロミド(665mg, 4.5mmol)を加え、80℃で3時間撹拌した。反応液を氷水中に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、粗目的物を得た。
粗収量 1.18g 粗収率 94% 褐色油状物
1H-NMR(CDCl3) δ 0.78 (ddd, J = 9.1, 7.2, 3.2Hz, 1H), 0.95 (ddd, J = 9.1, 7.2, 3.5Hz, 1H), 1.09 (ddd, J = 9.9, 7.2, 3.2Hz, 1H), 1.30 (ddd, J = 9.9, 7.2, 3.5Hz, 1H), 1.61 (ddd, J = 12.6, 7.5, 4.1Hz, 1H), 2.00 (ddd, J = 12.6, 8.6, 7.5Hz, 1H), 2.1-2.2 (m, 1H), 2.49 (ddd, J = 12.7, 7.2, 4.1Hz, 1H), 3.09 (d, J = 14.0Hz, 1H), 3.23 (d, J = 14.0Hz, 1H), 3.73 (s, 3H), 6.93 (d, J = 8.4Hz, 2H), 7.09 (d, J = 8.4Hz, 2H).
【0177】
(3)5−(4−フルオロベンジル)−4−スピロ[2.4]ヘプタノン(化合物(IV)、X=4-F、n=1、R1=H、R2=H、R3=H、R4=H)の合成
上記で得られた粗5−(4−フルオロベンジル)−4−オキサスピロ[2.4]ヘプタン−5−カルボン酸メチル(化合物(XII)、X=4-F、n=1、R1=H、R2=H、R3=H、R4=H、R8=Me)(1.18g, 4.3mmol)を2-プロパノール(3ml)に溶解させ、水酸化ナトリウム(269mg,6.4mmol)の水(1ml)溶液を加え、60℃で5時間撹拌した。反応液を氷水中に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液、ヘキサン:酢酸エチル=9:1)で精製し、目的物を得た。
収量649mg 収率 70% 淡黄色油状物
1H-NMR(CDCl3) δ 0.82 (ddd, J = 9.1, 6.8, 2.7Hz, 1H), 0.90 (ddd, J = 9.1, 6.8, 3.3Hz, 1H), 1.09 (ddd, J = 9.9, 6.8, 2.7Hz, 1H), 1.25 (ddd, J = 9.9, 6.8, 3.3Hz, 1H), 1.6-1.8 (m, 2H), 2.0-2.2 (m, 2H), 2,5-2.6 (m, 1H), 2.58 (d, J = 9.7Hz, 1H), 3.14 (d, J = 9.7Hz, 1H), 6.95 (d, J = 8.4Hz, 2H), 7.12 (d, J = 8.4Hz, 2H).
【0178】
<製造例9>
5−(4−クロロベンジル)−4−スピロ[2.4]ヘプタノン(化合物(IV)、X=4-Cl、n=1、R1= H、R2= H、R3= H、R4= H)の合成
(1)中間体、1−(2−メトキシエチル)−3−(4−クロロベンジル)−2−オキソシクロペンタンカルボン酸メチル(化合物(XVIII)、X=4-Cl、n=1、R1= H、R2= H、R3= H、R4= H、R5= Me、R9= Me)の合成
窒素気流下、60%水素化ナトリウム(1.64 g, 41.0 mmol)をヘキサンで洗浄した後、無水DMF(2 ml)溶液に懸濁させ、氷冷下3−(4−クロロベンジル)−2−オキソシクロペンタンカルボン酸メチル(化合物(VII)、X=4-Cl、n=1、R1= H、R2= H、R3= H、R4= H、R5= Me)(10 g, 0.37 mmol)の無水DMF(10 ml)溶液(加熱溶解させた)を30分間かけて滴下した。DMF溶液を無水DMF(3 ml)で洗い、反応液に滴下した。室温下、約1時間撹拌した後、ブロモエチルメチルエーテル(化合物(XVII)、R1= H、R2= H、R3= H、R4= H、Z4 = Br、R9= Me)(6.25 g, 45.0 mmol)を加え、70℃で7時間撹拌した。反応液を氷水中に注ぎ、希塩酸で酸性にした後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、減圧下溶媒を留去した。
得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液、ヘキサン:酢酸エチル=10:1〜7:1)で精製し、目的物を得た。
収量 9.34 g 収率 77% 無色油状物
1H-NMR(CDCl3) δ 1.5-1.9 (m, 2H), 1.9-2.7 (m, 6H), 2.8-3.8 (m, 6H), 3.61 (m, 1.5H), 3.69 (m, 1.5H), 7.0-7.2 (m, 2H), 7.2-7.3 (m, 2H).
【0179】
(2)中間体、2−(2−ブロモエチル)−5−(4−クロロベンジル)シクロペンタノン(化合物(Va)、X=4-Cl、n=1、R1= H、R2= H、R3= H、R4= H、Z5= Br)の合成
上記で得られた1−(2−メトキシエチル)−3−(4−クロロベンジル)−2−オキソシクロペンタンカルボン酸メチル(化合物(XVIII)、X=4-Cl、n=1、R1= H、R2= H、R3= H、R4= H、R5= Me、R9= Me)(1.02 g, 3.13 mmol)に酢酸(0.5 ml)を加え、48%臭化水素酸(2 ml, 17.3 mmol)を加え120℃で15時間加熱撹拌した。反応液を氷水中に注いだ後、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液、ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で精製し、目的物を得た。
収量 0.63g 収率 64% 油状物
【0180】
(3)5−(4−クロロベンジル)−4−スピロ[2.4]ヘプタノン(化合物(IV)、X=4-Cl、n=1、R1= H、R2= H、R3= H、R4= H)の合成
上記で得られた2−(2−ブロモエチル)−5−(4−クロロベンジル)シクロペンタノン(化合物(V)、X=4-Cl、n=1、R1= H、R2= H、R3= H、R4= H、 Z5= Br)(0.64 g, 2.03 mmol)をエタノール(1 ml)に溶解し、炭酸カリウム(0.42 g, 3.04 mmol)を加え、約70℃で2時間撹拌した。反応混合物をろ過後、濾液を濃縮して粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液、ヘキサン:酢酸エチル=10:1)により精製し、目的物を得た。
収量 0.36 g 収率 76% 無色油状物
【0181】
上記製造例6〜9に準じた方法で下記化合物(IV)を合成した。各化合物の構造を表24に示す。各化合物の物性を表24に示す。
【0182】
【表24】

【0183】
【表25】

【0184】
上記製造例8に準じた方法で下記化合物(XII)を合成した。各化合物の構造を表26に示す。各化合物の物性を表27に示す。
【0185】
【表26】

【0186】
【表27】

【0187】
次に、製剤例と試験例を示すが、担体(希釈剤)および助剤、その混合比を有効成分は広い範囲で変更しえるものである。
各製剤例の”部”は重量部を表す。
【0188】
<製剤例1(水和剤)>
化合物(I−1) 50 部
リグニンスルホン酸塩 5 部
アルキルスルホン酸塩 3 部
珪藻土 42 部
を粉砕混合して水和剤とし、水で希釈して使用した。
【0189】
<製剤例2(粉剤)>
化合物(I−1) 3 部
クレー 40 部
タルク 57 部
を粉砕混合し、散粉として使用した。
【0190】
<製剤例3(粒剤)>
化合物(I−1) 5 部
ベンナイト 43 部
クレー 45 部
リグニンスルホン酸塩 7 部
を均一に混合しさらに水を加えて練り合わせ、押し出し式造粒機で粒状に加工乾燥して粒剤とした。
【0191】
<製剤例4(乳剤)>
化合物(I−1) 20 部
ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル 10 部
ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート 3 部
キシレン 67 部
を均一に混合溶解して乳剤とした。
【0192】
<試験例1:キュウリ灰色かび病防除効果試験>
角型プラスチックポット(6cm×6cm)を用いて栽培した子葉期のキュウリ(品種:SHARP1)に、製剤例1のような水和剤形態のものを、水で所定濃度(500mg/l)に希釈懸濁し、1,000L/haの割合で散布した。散布葉を風乾した後、灰色かび病菌の胞子液をしみこませたペーパーディスク(直径8mm)を乗せ、20℃高湿度条件下に保った。接種後、4日目にキュウリ灰色かび病の罹病度を調査して、防除価を下記式により算出した。
【0193】
【表28】

【0194】
防除価(%)=(1−散布区の平均罹病度/無散布区の平均罹病度)×100
【0195】
上記の試験において、例えば、化合物I-1、I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8、I-21、I-22、I-27、I-28、I-49、I-50、I-61、I-62、I-63、I-101、I-151、I-301、I-302は防除価80%以上を示した。
【0196】
また、所定濃度のみ(25mg/l)に変更した上記と同様の試験において、特許文献13(特開平11−80126号公報)に記載のシクロペンタン環にシクロプロピル環が縮環した化合物(A)と比較したところ、本発明化合物(I-1)は高活性を示した。
【0197】
【表29】

【0198】
【化35】

比較化合物(A): 3−(4−クロロベンジル)−1−メチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)ビシクロ[3.1.0]ヘキサン−2−オール(特開平11−80126号に記載の化合物)
【0199】
<試験例2:コムギ赤さび病防除効果試験>
角型プラスチックポット(6cm×6cm)を用いて栽培した第2葉期のコムギ(品種:農林61号)に、製剤例1のような水和剤形態のものを、水で所定濃度(500mg/L)に希釈懸濁し、1,000L/haの割合で散布した。散布葉を風乾した後、コムギ赤さび病菌の胞子(200個/視野に調整、60ppmとなるようにグラミンSを添加)を噴霧接種し、25℃高湿度条件下に48時間保った。その後は温室内で管理した。接種後、9〜14日目にコムギ赤さび病の罹病度を調査して、防除価を下記式により算出した。
【0200】
【表30】

【0201】
防除価(%)=(1−散布区の平均罹病度/無散布区の平均罹病度)×100
【0202】
上記の試験において、例えば、化合物I-1、I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8、I-21、I-22、I-27、I-28、I-49、I-50、I-61、I-62、I-63、I-101、I-151、I-301、I-302は防除価80%以上を示した。
【0203】
<試験例3:コムギうどんこ病防除効果試験>
角型プラスチックポット(6cm×6cm)を用いて栽培した第2葉期のコムギ(品種:農林61号)に、製剤例1のような水和剤形態のものを、水で所定濃度(500 mg/l)に希釈懸濁し、1、000l/haの割合で散布した。散布葉を風乾した後、コムギうどんこ病菌の胞子を振りかけて接種し、その後は温室内で管理した。接種後、14日目にコムギうどんこ病の罹病度を調査して、防除価を下記式により算出した。
【0204】
【表31】

【0205】
防除価(%)=(1−散布区の平均罹病度/無散布区の平均罹病度)×100
【0206】
上記の試験において、例えば、化合物I-1、I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8、I-21、I-22、I-27、I-28、I-49、I-50、I-61、I-62、I-63、I-101、I-151、I-301、I-302は防除価80%以上を示した。
【0207】
<試験例4:種子処理によるコムギうどんこ病防除効果試験>
供試化合物2mgを18μlのDMSOに溶解し、1gのコムギ種子にバイアル内で塗抹する。1日後に1/10000aポットに10粒/ポットの割合で播種し、温室内で下部給水にて栽培した。温室には接種源として罹病コムギ苗を置き、常に感染する状態を保った。播種後、7日、14日、28日、56日後に次の調査基準により、罹病度を調査し、下記式により防除価を算出した。無処理区の罹病度3以上になった時点での処理区の防除価をもとに、以下の基準で<うどんこ病防除指数>を求めた。
【0208】
【表32】

【0209】
防除価(%)=(1−散布区の平均罹病度/無散布区の平均罹病度)×100
【0210】
<うどんこ病防除指数>
1:防除価0から20
2:防除価21から40
3:防除価41から60
4:防除価61から80
5:防除価81から100
【0211】
上記の試験において、化合物I-1、I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8、I-21、I-22、I-27、I-28、I-49、I-50、I-61、I-62、I-63、I-64、I-101、I-151、I-301、I-302は種子処理における茎葉部うどんこ病に対し4以上の防除指数を示した。
【0212】
<試験例5:各種病原菌、有害微生物に対する抗菌性試験>
本試験例においては、後述する方法により、本発明化合物の各種植物病原性糸状菌および工業用材料有害微生物に対する抗菌性を試験した。
試験方法
本発明化合物を、それぞれ10mg秤量し、ジメチルスルホキシド2mlに溶解した。この溶液0.6mlを60℃前後のPDA培地(ポテト−デキストロース−アガー培地)60mlに加え、100ml三角フラスコ内でよく混合し、シャーレ内に流し固化させ、終濃度50mg/lの本発明化合物を含む平板培地を作製した。
一方、予め平板培地上で培養した供試菌を直径4mmのコルクボーラーで打ち抜き、上記の薬剤含有平板培地上に接種した。接種後、各菌の生育適温(この生育適温については、例えば、文献:LIST OF CULTURES 1996 microorganisms 10th edition 財団法人 発酵研究所 を参照することができる)にて1〜3日間培養し、菌の生育を菌そう直径で測定した。このようにして薬剤含有平板培地上で得られた菌の生育程度を、薬剤無添加区における菌の生育程度と比較して、下記式により、菌糸伸長抑制率を求めた。
【0213】
R=100(dc−dt)/dc
(式中、Rは菌糸伸長抑制率(%)、dcは無処理平板上菌そう直径、dtは薬剤処理平板上菌そう直径、をそれぞれ示す。)
【0214】
上記により得られた結果を、次の基準にしたがって5段階評価した。
<生育阻害度>
5:菌糸伸長抑制率が90%以上のもの
4:菌糸伸長抑制率が90未満〜70%以上のもの
3:菌糸伸長抑制率が70未満〜40%以上のもの
2:菌糸伸長抑制率が40未満〜20%以上のもの
1:菌糸伸長抑制率が20%未満のもの
【0215】
上記の試験において、得られた評価結果を以下に示す。
コムギ葉枯れ病菌(Septoria tritici)に対して化合物I-1、I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8、I-21、I-22、I-27、I-28、I-49、I-50、I-61、I-62、I-63、I-64、I-101、I-151、I-301、I-302は生育阻害度5の高い活性を示した。
【0216】
コムギふ枯病菌(Phaeosphaeria nodorum) に対して化合物I-1、I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8、I-21、I-22、I-27、I-28、I-49、I-50、I-61、I-62、I-63、I-64、I-101、I-151、I-301、I-302は生育阻害度5の高い活性を示した。
【0217】
コムギ眼紋病菌(Pseudocercoporella herpotrichoides) に対して化合物I-1、I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8、I-21、I-22、I-27、I-28、I-49、I-50、I-61、I-62、I-63、I-64、I-101、I-151、I-301、I-302は生育阻害度5の高い活性を示した。
【0218】
コムギ紅色雪腐病菌(Microdochium nivale) に対して化合物I-1、I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8、I-21、I-22、I-27、I-28、I-49、I-50、I-61、I-62、I-63、I-64、I-101、I-151、I-301、I-302は生育阻害度4の高い活性を示した。
【0219】
コムギ立枯れ病菌(Gaeumannomyces graminis) に対して化合物I-1、I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8、I-21、I-22、I-27、I-28、I-49、I-50、I-61、I-62、I-63、I-64、I-101、I-151、I-301、I-302は生育阻害度5の高い活性を示した。
【0220】
オオムギ斑葉病菌(Pyrenophora graminea) に対して化合物I-1、I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8、I-21、I-22、I-27、I-28、I-49、I-50、I-61、I-62、I-63、I-64、I-101、I-151、I-301、I-302は生育阻害度5の高い活性を示した。
【0221】
オオムギ雲形病菌(Rhynchosporium secalis) に対して化合物I-1、I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8、I-21、I-22、I-27、I-28、I-49、I-50、I-61、I-62、I-63、I-64、I-101、I-151、I-301、I-302は生育阻害度5の高い活性を示した。
【0222】
コムギ赤かび病菌(Fusarium graminearum) に対して化合物I-1、I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8、I-21、I-22、I-27、I-28、I-49、I-50、I-61、I-62、I-63、I-64、I-101、I-151、I-301、I-302は生育阻害度5の高い活性を示した。
【0223】
オオムギ裸黒穂病菌(Ustilago nuda)に対して化合物I-1、I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8、I-21、I-22、I-27、I-28、I-49、I-50、I-61、I-62、I-63、I-64、I-101、I-151、I-301、I-302は生育阻害度4の高い活性を示した。
【0224】
イネいもち病菌(Pyricularia oryzae) に対して化合物I-1、I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8、I-21、I-22、I-27、I-28、I-49、I-50、I-61、I-62、I-63、I-64、I-101、I-151、I-301、I-302は生育阻害度5の高い活性を示した。
【0225】
イネ紋枯病菌(Rhizoctonia solani) に対して化合物I-1、I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8、I-21、I-22、I-27、I-28、I-49、I-50、I-61、I-62、I-63、I-64、I-101、I-151、I-301、I-302は生育阻害度4の高い活性を示した。
【0226】
イネばか苗病菌(Giberella fujikuroi) に対して化合物I-1、I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8、I-21、I-22、I-27、I-28、I-49、I-50、I-61、I-62、I-63、I-64、I-101、I-151、I-301、I-302は生育阻害度5の高い活性を示した。
【0227】
イネ苗立枯病菌(リゾプス)(Rhizopus oryzae) に対して化合物I-1、I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8、I-21、I-22、I-27、I-28、I-49、I-50、I-61、I-62、I-63、I-64、I-101、I-151、I-301、I-302は生育阻害度4の高い活性を示した。
【0228】
リンゴ斑点落葉病菌(Alternaria alternata) に対して化合物I-1、I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8、I-21、I-22、I-27、I-28、I-49、I-50、I-61、I-62、I-63、I-64、I-101、I-151、I-301、I-302は生育阻害度4の高い活性を示した。
【0229】
菌核病菌(Sclerotinia sclerotiorum) に対して化合物I-1、I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8、I-21、I-22、I-27、I-28、I-49、I-50、I-61、I-62、I-63、I-64、I-101、I-151、I-301、I-302は生育阻害度5の高い活性を示した。
【0230】
灰色かび病菌(Botritis cinerea) に対して化合物I-1、I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8、I-21、I-22、I-27、I-28、I-49、I-50、I-61、I-62、I-63、I-64、I-101、I-151、I-301、I-302は生育阻害度5の高い活性を示した。
【0231】
炭疽病菌(Glomerella cingulata) に対して化合物I-1、I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8、I-21、I-22、I-27、I-28、I-49、I-50、I-61、I-62、I-63、I-64、I-101、I-151、I-301、I-302は生育阻害度5の高い活性を示した。
【0232】
キュウリつる割れ病菌(Fusarium oxysporum) に対して化合物I-1、I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8、I-21、I-22、I-27、I-28、I-49、I-50、I-61、I-62、I-63、I-64、I-101、I-151、I-301、I-302は生育阻害度5の高い活性を示した。
【0233】
カンキツ青かび病菌(Penicillium italicum) に対して化合物I-1、I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8、I-21、I-22、I-27、I-28、I-49、I-50、I-61、I-62、I-63、I-64、I-101、I-151、I-301、I-302は生育阻害度5の高い活性を示した。
【0234】
テンサイ褐班病菌(Cercospora beticola) に対して化合物I-1、I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8、I-21、I-22、I-27、I-28、I-49、I-50、I-61、I-62、I-63、I-64、I-101、I-151、I-301、I-302は生育阻害度5の高い活性を示した。
【0235】
紙・パルプ・繊維・皮革・塗料などの劣化微生物であるアスペルギルス(Aspergillus sp.)に対して化合物I-1、I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8、I-21、I-22、I-27、I-28、I-49、I-50、I-61、I-62、I-63、I-64、I-101、I-151、I-301、I-302は生育阻害度5の高い活性を示した。
【0236】
紙・パルプ・繊維・皮革・塗料などの劣化微生物であるトリコデルマ(Trichoderma sp.)に対して化合物I-1、I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8、I-21、I-22、I-27、I-28、I-49、I-50、I-61、I-62、I-63、I-64、I-101、I-151、I-301、I-302は生育阻害度5の高い活性を示した。
【0237】
紙・パルプ・繊維・皮革・塗料などの劣化微生物であるペニシリウム(Penicillium sp.)に対して化合物I-1、I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8、I-21、I-22、I-27、I-28、I-49、I-50、I-61、I-62、I-63、I-64、I-101、I-151、I-301、I-302は生育阻害度5の高い活性を示した。
【0238】
紙・パルプ・繊維・皮革・塗料などの劣化微生物であるクラドスボリウム(Cladosporium sp.)に対して化合物I-1、I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8、I-21、I-22、I-27、I-28、I-49、I-50、I-61、I-62、I-63、I-64、I-101、I-151、I-301、I-302は生育阻害度5の高い活性を示した。
【0239】
紙・パルプ・繊維・皮革・塗料などの劣化微生物であるムコール(Mucor sp.)に対して化合物I-1、I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8、I-21、I-22、I-27、I-28、I-49、I-50、I-61、I-62、I-63、I-64、I-101、I-151、I-301、I-302は生育阻害度4の高い活性を示した。
【0240】
紙・パルプ・繊維・皮革・塗料などの劣化微生物であるオーレオバシディウム(Aureobasidium sp.)に対して化合物I-1、I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8、I-21、I-22、I-27、I-28、I-49、I-50、I-61、I-62、I-63、I-64、I-101、I-151、I-301、I-302は生育阻害度4の高い活性を示した。
【0241】
紙・パルプ・繊維・皮革・塗料などの劣化微生物であるクルブラリア(Curvularia sp.)に対して化合物I-1、I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8、I-21、I-22、I-27、I-28、I-49、I-50、I-61、I-62、I-63、I-64、I-101、I-151、I-301、I-302は生育阻害度4の高い活性を示した。
【0242】
木材変質菌であるオオウズラタゲ(Tyromyces palustris)に対して化合物I-1、I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8、I-21、I-22、I-27、I-28、I-49、I-50、I-61、I-62、I-63、I-64、I-101、I-151、I-301、I-302は生育阻害度5の高い活性を示した。
【0243】
木材変質菌であるカワラタケ(Coriolus versicolor)に対して化合物I-1、I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8、I-21、I-22、I-27、I-28、I-49、I-50、I-61、I-62、I-63、I-64、I-101、I-151、I-301、I-302は生育阻害度5の高い活性を示した。
【0244】
<試験例6:イネ徒長防止試験>
供試化合物36mgを3.6mlのDMSOに溶解し、180gのイネ種子にバイアル内で塗抹する。浸種、催芽処理後、育苗箱に180g/箱の割合で播種し、育苗器内で発芽させた後に35℃の温室内にて栽培した。播種20日後に各処理区の苗の草丈を10箇所調査し、下記の式により、草丈抑制率を求めた。
【0245】
R=100(hc−ht)/hc
(式中、Rは草丈抑制率(%)、hcは無処理平均草丈、htは薬剤処理区平均草丈、をそれぞれ示す。)
【0246】
上記により得られた結果を、次の基準にしたがって5段階の生育調節度とした。
【0247】
<生育調節度>
5 草丈抑制率が50%以上のもの
4 草丈抑制率が50未満〜30%以上のもの
3 草丈抑制率が30未満〜20%以上のもの
2 草丈抑制率が20未満〜10%以上のもの
1 草丈抑制率が10%未満のもの
【0248】
上記の試験において、化合物I-1、I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8、I-21、I-22、I-27、I-28、I-49、I-50、I-61、I-62、I-63、I-64、I-101、I-151、I-301、I-302はイネの生育に対し4以上の生育調節度を示した。
【産業上の利用可能性】
【0249】
本発明の一般式(I)で表される5−ベンジル−4−アゾリルメチル−4−スピロ[2.4]ヘプタノール誘導体は農園芸用の殺菌財の有効成分として有用であるばかりでなく、種々の農作物や園芸植物の成長を調節して収量を増加させる効果やその品質を高める効果を示す植物生長調節剤や、工業用材料を侵す広範な有害微生物から材料を保護する効果を示す工業用材料保護剤としても有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)で表される5−ベンジル−4−アゾリルメチル−4−スピロ[2.4]ヘプタノール誘導体。

(式中、Xは、ハロゲン原子、C〜Cのアルキル基、C〜Cのハロアルキル基、C〜Cのアルコキシ基、C〜Cのハロアルコキシ基、フェニル基、シアノ基またはニトロ基を表す。nは、0〜5の整数を表す。nが2以上の場合、Xはそれぞれ同一であっても相異なっていてもよい。R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C〜Cのアルキル基を表す。Aは、窒素原子又はメチン基を表す。)
【請求項2】
下記一般式(IV)で表されるカルボニル化合物をオキシラン化して得られる下記一般式(II)で表されるオキシラン誘導体と、一般式(III)で表される1,2,4−トリアゾール若しくはイミダゾール化合物とを反応させることを特徴とする一般式(I)で表される5−ベンジル−4−アゾリルメチル−4−スピロ[2.4]ヘプタノール誘導体の製造方法。

(式中、Xは、ハロゲン原子、C〜Cのアルキル基、C〜Cのハロアルキル基、C〜Cのアルコキシ基、C〜Cのハロアルコキシ基、フェニル基、シアノ基またはニトロ基を表す。nは、0〜5の整数を表す。nが2以上の場合、Xはそれぞれ同一であっても相異なっていてもよい。R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C〜Cのアルキル基を表す。)

(式中、Xは、ハロゲン原子、C〜Cのアルキル基、C〜Cのハロアルキル基、C〜Cのアルコキシ基、C〜Cのハロアルコキシ基、フェニル基、シアノ基またはニトロ基を表す。nは、0〜5の整数を表す。nが2以上の場合、Xはそれぞれ同一であっても相異なっていてもよい。R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C〜Cのアルキル基を表す。)

(式中、Mは水素原子若しくはアルカリ金属を表す。Aは、窒素原子又はメチン基を表す。)

(式中、X、n、R、R、R、Rは前記一般式(II)で表される化合物のX、n、R、R、R、Rに対応する。Aは前記一般式(III)で表される化合物のAに対応する。)
【請求項3】
一般式(I)で表される5−ベンジル−4−アゾリルメチル−4−スピロ[2.4]ヘプタノール誘導体を含有する農園芸用薬剤および工業用材料保護剤。

(式中、Xは、ハロゲン原子、C〜Cのアルキル基、C〜Cのハロアルキル基、C〜Cのアルコキシ基、C〜Cのハロアルコキシ基、フェニル基、シアノ基またはニトロ基を表す。nは、0〜5の整数を表す。nが2以上の場合、Xはそれぞれ同一であっても相異なっていてもよい。R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C〜Cのアルキル基を表す。Aは、窒素原子又はメチン基を表す。)
【請求項4】
下記一般式(II)で表されるオキシラン誘導体。

(式中、Xは、ハロゲン原子、C〜Cのアルキル基、C〜Cのハロアルキル基、C〜Cのアルコキシ基、C〜Cのハロアルコキシ基、フェニル基、シアノ基またはニトロ基を表す。nは、0〜5の整数を表す。nが2以上の場合、Xはそれぞれ同一であっても相異なっていてもよい。R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C〜Cのアルキル基を表す。)
【請求項5】
下記一般式(IV)で表されるカルボニル化合物。

(式中、Xは、ハロゲン原子、C〜Cのアルキル基、C〜Cのハロアルキル基、C〜Cのアルコキシ基、C〜Cのハロアルコキシ基、フェニル基、シアノ基またはニトロ基を表す。nは、0〜5の整数を表す。nが2以上の場合、Xはそれぞれ同一であっても相異なっていてもよい。R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C〜Cのアルキル基を表す。)
【請求項6】
下記一般式(Va)で表される2−(2−ハロエチル)シクロペンタノン化合物。

(式中、Xは、ハロゲン原子、C〜Cアルキル基、C〜Cハロアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cハロアルコキシ基、フェニル基、シアノ基またはニトロ基を示す。nは、0〜5の整数を示す。nが2以上の時には、Xは、同一であっても相異なっていても良い。R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C〜Cアルキル基を示す。Z1aはフッ素原子を除くハロゲン原子を示す。)
【請求項7】
下記一般式(XVIII)で表される2−(低級アルコキシ)アルキルケトエステル化合物。

(式中、Xは、ハロゲン原子、C〜Cアルキル基、C〜Cハロアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cハロアルコキシ基、フェニル基、シアノ基またはニトロ基を示す。nは、0〜5の整数を示す。nが2以上の時には、Xは、同一であっても相異なっていても良い。R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C〜Cアルキル基を示す。R、Rはそれぞれ独立にC〜C低級アルキル基を示す。)


【公表番号】特表2012−501294(P2012−501294A)
【公表日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−503261(P2011−503261)
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【国際出願番号】PCT/JP2009/004053
【国際公開番号】WO2010/023862
【国際公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(000001100)株式会社クレハ (477)
【Fターム(参考)】