説明

5−{4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ベンジル}−2,4−チアゾリジンジオン塩酸塩の製造方法

【課題】純度が高い5−{4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ベンジル}−2,4−チアゾリジンジオン塩酸塩(ピオグリタゾン塩酸塩)を製造する方法を提供する。
【解決手段】 塩基の存在下、5−{4−[2−(5−エチル−ピリジル)エトキシ]ベンジル}−2−イミノ−4−チアゾリジノン(イミノ体)と、ジアルキルジカーボネート及びトリアリールメチルハライドからなる群より選ばれる少なくとも1種の保護基導入剤とを反応させて、該イミノ体に保護基を導入した保護体を製造した後、該保護体を精製し、次いで、精製された保護体と塩化水素とを反応させて、ピオグリタゾン塩酸塩を製造する方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
5−{4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ベンジル}−2,4−チアゾリジンジオン塩酸塩の新規な製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記式(3)
【0003】
【化1】

【0004】
で示される5−{4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ベンジル}−2,4−チアゾリジンジオン塩酸塩(以下、ピオグリタゾン塩酸塩とする場合もある)は、優れた血糖低下作用を示し、且つ毒性が低いため、糖尿病治療薬として実用されている。ピオグリタゾン塩酸塩は、下記式(1)
【0005】
【化2】

【0006】
で示される5−{4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ベンジル}−2−イミノ−2−チアゾリジノン(以下イミノ体とする場合もある)と塩化水素(塩酸)とを反応させることにより製造されている(例えば、特許文献1参照)。このピオグリタゾン塩酸塩は、上記の通り、治療薬として使用されるため、高純度のものが要求されている。
【0007】
しかしながら、ピオグリタゾン塩酸塩は、溶媒に溶解し難いため、精製することが困難であった。特許文献1の方法では、ピオグリタゾン塩酸塩を合成後、塩基を用いてピオグリタゾンとし、このピオグリタゾンをジメチルアセトアミド−水混合溶媒中で再結晶している。そのため、純度の高いピオグリタゾン塩酸塩とするためには、再度、このピオグリタゾンと塩酸とを反応させる必要があった。また、ピオグリタゾン自体も溶媒に溶解しにくいため、前記の通り、ジメチルアセトアミドのような高融点の溶媒を使用する必要があった。
【0008】
特許文献1に基づくピオグリタゾン塩酸塩の合成法では、下記式(4)
【0009】
【化3】

【0010】
で示される2−ブロモ−3−{4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]フェニル}プロピオン酸メチル(以下ブロモ体とする場合もある)をチオ尿素と反応させることによってイミノ体を得ている。
【0011】
このブロモ体は、臭化水素の存在下、4−{2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ}アニリンと亜硝酸塩とを反応させてジアゾニウム塩を製造した後、銅触媒存在下、該ジアゾニウム塩とアクリル酸メチルとを反応させて得ることができる。本発明者等の検討によれば、この際、4−{2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ}フェニルにより修飾された化合物が不純物として含まれる場合があることが分かった。下記式(5)にこの不純物の構造を示す。
【0012】
【化4】

【0013】
{式中、Rは、下記式(6)
【0014】
【化5】

【0015】
(式中、aの炭素原子は、ピリジル基、またはフェニル基と結合する炭素原子を示す。)
で示される基であり、n、およびmは置換基Rの数を示し、nは0〜3の整数、mは0〜4の整数であり、ただし、nとmの合計は0とはならない。}。
【0016】
このような不純物がブロモ体に含まれると、該ブロモ体とチオ尿素とを反応させる際、不純物もチオ尿素と反応してしまい、下記式(7)
【0017】
【化6】

【0018】
(式中、Rは、上記式(6)で示される基であり、nおよびmは置換基Rの数を示し、nは0〜3の整数、mは0〜4の整数であり、ただし、nとmの合計は0とはならない。)
で示される不純物(以下、重合体とする場合もある)となり、前記イミノ体に含まれてしまう。この重合体がイミノ体に含まれる場合、イミノ体は溶媒に対する溶解度が低いため、該重合体を除去することが困難であった。
【0019】
ピオグリタゾン塩酸塩は、イミノ体よりも溶媒に対する溶解度は高くなる。しかしながら、前記重合体が含まれるイミノ体と塩酸とを反応させた場合、前記重合体は、重合体のままのもの、一部分が塩酸塩になっているもの、および塩酸塩になっているものと変換され、不純物の種類をより増やす場合があった。また、イミノ体、ピオグリタゾン、ピオグリタゾン塩酸塩での精製処理において、重合体、その前駆体、および重合体の塩酸塩を低減することは、それらの溶解度の問題から困難であった。そのため、ピオグリタゾン塩酸塩からこれら不純物を除去することがより難しくなる場合があった。
【0020】
したがって、より純度の高いピオグリタゾン塩酸塩を合成するためには、前記イミノ体に含まれる前記重合体の量を低減しておく必要があった。
【0021】
【特許文献1】特公平5−66956公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
したがって、本発明の目的は、有機溶媒に難溶であるイミノ体からピオグリタゾン塩酸塩を合成する際、不純物、特に前記重合体の含量を低減し、より純度の高いピオグリタゾン塩酸塩を製造する方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明者等は、上記課題に対して鋭意検討を行った。具体的には原料となる前記イミノ体を有機溶媒に対する溶解性が高い化合物とすることにより、分離精製を行い易くし、かつ、得られた化合物を容易にピオグリタゾン塩酸塩にできるような方法を検討した。その結果、イミノ体と特定の保護基導入剤とを反応させた化合物は、溶媒に対する溶解性が向上するため、該化合物自体の精製が容易となり、さらに、該化合物は、塩化水素と反応させることにより、容易に保護基を脱離することができ、しかも、容易にピオグリタゾン塩酸塩とすることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0024】
即ち、本発明は、塩基の存在下、下記式(1)
【0025】
【化7】

【0026】
で示される5−{4−[2−(5−エチル−ピリジル)エトキシ]ベンジル}−2−イミノ−4−チアゾリジノン(イミノ体)と、ジアルキルジカーボネート、およびトリアリールメチルハライドからなる群より選ばれる少なくとも1種の保護基導入剤とを反応させて、下記式(2)
【0027】
【化8】

【0028】
(式中、R、およびRは、それぞれ、水素原子、アルコキシカルボニル基、またはトリアリールメチル基であり、ただし、R、およびRは、同時に水素原子とはならない基である。)
で示される化合物(以下、単に「保護体」とする場合もある)を合成する保護基導入工程、
前記保護基導入工程で得られた前記式(2)で示される化合物を精製する精製工程、および、
前記精製工程で得られた前記式(2)で示される化合物と塩酸とを反応させて、下記式(3)
【0029】
【化9】

【0030】
で示される5−{4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ベンジル}−2,4−チアゾリジンジオン塩酸塩(ピオグリタゾン塩酸塩)を製造する製造工程
を含むことを特徴とするピオグリタゾン塩酸塩の製造方法である。
【0031】
また、本発明は、塩化水素と反応させることにより、容易にピオグリタゾン塩酸塩が合成できる、前記式(2)で示される化合物である。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、イミノ体に特定の保護基を導入し、溶解度の高い保護体(イミノ体に保護基を導入した化合物)を経ることにより、分液操作及びカラムクロマトグラム等による精製が容易となる。これらの精製工程によって単離した保護体を用いることによって、純度の高いピオグリタゾン塩酸塩を合成することができる。特に、本発明によれば、前記ブロモ体を経由してピオグリタゾン塩酸塩を合成する際に、前記重合体、前記重合体の一部分が塩酸塩化したもの、前記重合体の塩酸塩等の従来の方法では除去しにくかった不純物をより低減することができる。
【0033】
また、本発明によれば、特定の保護基をイミノ体に導入した保護体とするため、この保護体を塩化水素と反応させることにより、保護基の脱離とピオグリタゾン塩酸塩の合成を同時に進行させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明を詳しく説明する。
【0035】
本発明は、塩基の存在下、イミノ体と特定の保護基導入剤とを反応させること(保護基導入工程)により、特定の保護基が導入された保護体を製造し、保護体を精製(精製工程)した後、塩化水素と保護体とを反応させることによってピオグリタゾン塩酸塩を製造(製造工程)するものである。以下、順を追って説明する。
【0036】
(保護基導入工程 保護体の製造)
本発明において、この保護基導入工程とは、塩基の存在下、前記式(1)で示されるイミノ体と保護基導入剤とを反応させて、前記式(2)で示される保護体を製造する工程である。
【0037】
(イミノ体)
本発明において、保護基を導入する前記式(1)で示されるイミノ体は、特に制限されるものではなく、公知の方法により製造することができる。中でも、本発明の方法は、特許文献1に記載された方法により製造されたイミノ体を使用する場合に適している。つまり、本発明は、前記式(4)で示されるブロモ体を経由して製造されたイミノ体を使用する場合に、特に適している。
【0038】
このイミノ体の製造方法は、特許文献1に記載されている。具体的には、臭化水素の存在下、4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]アニリンと亜硝酸塩とを反応させてジアゾニウム塩を製造した後、銅触媒存在下、該ジアゾニウム塩とアクリル酸メチルとを反応させて前記式(4)で示されるブロモ体を製造し、得られたブロモ体とチオ尿素を酢酸ナトリウム等の塩基の存在下、エタノール等の溶媒を用いて加熱反応を行い、前記式(1)で示されるイミノ体を製造する方法である。この方法に従えば、該ブロモ体製造時に、前記式(5)で示される不純物を含むため、ブロモ体とチオ尿素との反応において、得られるイミノ体中に分離困難である前記式(7)で示される重合体が含まれるようになる。本発明は、このような重合体を含むイミノ体を使用する場合に特に優れた効果を発揮する。
【0039】
(保護基導入剤)
本発明において、前記式(1)で示されるイミノ体と反応させる保護基導入剤は、ジアルキルジカーボネート、およびトリアリールメチルハライドからなる群より選ばれる少なくとも1種である。なお、当然のことながら、ジアルキルジカーボネートを使用することにより、イミノ体にアルコキシカルボニル基を導入することができ、トリアリールメチルハライドを使用することにより、イミノ体にトリアリールメチル基を導入することができる。このような保護基導入剤を使用することにより、溶媒に対する溶解度が高く、精製のし易い保護体とすることができる。
【0040】
この保護基導入剤を具体的に例示すれば、ジアルキルジカーボネートとして、ジ−t−ブチルジカーボネートが挙げられる。トリアリールメチルハライドとしては、炭素数が19〜34のトリアリールメチルクロライドが挙げられ、中でも、トリフェニルメチルクロライドを使用することが好ましい。
【0041】
これら保護基導入剤は、単独で使用することもできるし、2種類以上のものを同時に使用することもできる。この中でも、入手が容易であること、得られるピオグリタゾン塩酸塩中に含まれる重合体由来の不純物を低減できる効果を考慮すると、トリフェニルメチルクロライド、またはジ−t−ブチルジカーボネートを使用するが好ましい。さらに、塩酸との反応により保護基を脱離した際、分離が容易となることから、ジ−t−ブチルジカーボネートを使用することが特に好ましい。
【0042】
このような保護基導入剤を使用することにより、得られる保護体の溶解度を向上することができる。その結果、保護体の純度を容易に高めることができ、ピオグリタゾン塩酸塩の純度をも高めることができる。前記式(1)で示されるイミノ体が前記重合体を不純物として含む場合、該イミノ体と保護基導入剤との反応において、前記重合体にも保護基が導入される。その結果、保護基が導入された重合体も、溶媒に対する溶解度が高くなり、分子量が大きく異なる保護体との分離が容易となる。
【0043】
前記イミノ体と前記保護基導入剤との反応において、保護基導入剤の使用量は、一般的にイミド体の保護を行うのに適した量であればよい。前記イミノ体は一分子に対して二箇所、保護基を導入する箇所がある。そのため、保護基導入剤の使用量は、保護基導入剤の除去、最終的に得られるピオグリタゾン塩酸塩の収率を考慮すると、前記イミノ体1モルに対して、1〜5モルであることが好ましく、さらに1〜3モルがあることが好ましい。本発明においては、前記イミノ体の少なくとも一方のNH基に保護基を導入すればよい。
【0044】
(塩基)
前記イミノ体と前記保護基導入剤との反応は、塩基の存在下で行う。この塩基は、イミノ体と前記保護基導入剤との反応を生じさせるものであれば、特に制限されるものではなく、具体的には、O−ジメチルアミノピリジン(以下DMAPと称す)、1,4−ジアザビシクロ[2、2、2]オクタン(以下DABCOと称す)、ルチジン、ピリジン、トリエチルアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、または炭酸カリウム等を用いることができる。これらは単独で使用することもできるし、2種類以上のもの同時に使用することもできる。中でも、操作性、除去のことを考慮すると、有機塩基であることが好ましく、不純物を低減できるといった点でDABCOが特に好ましい。
【0045】
この塩基の使用量は、特に制限されるものではなく、反応速度、反応後の塩基除去を簡易化することを考慮すると、原料となるイミノ体1モルに対して、通常、0.01〜5モル、好ましくは0.1〜3モルである。
【0046】
(その他の反応条件)
塩基の存在下、前記イミノ体と前記保護基導入剤との反応は、有機溶媒中で行うことが好ましい。有機溶媒としては、一般的に反応溶媒として用いられるものの内、保護基導入剤と反応しないものを用いることが好ましく、具体的には、アセトニトリル等のニトリル系溶剤、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロヘキサン等の非環状または環状の飽和炭化水素類、ギ酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、またはプロピオン酸エチル等のエステル類、クロロホルム、または塩化メチレン等のハロゲン系溶剤、ベンゼン、またはトルエン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、またはテトラヒドロフラン等のエーテル類を使用することができる。これら有機溶媒は、単独で用いることもできるし、これら有機溶媒を複数含む混合溶媒を用いることができる。これらの有機溶媒の中でも、保護体の溶解度の観点からハロゲン系溶剤、ニトリル系溶剤が好ましい。特に、一置換体の選択率が高く、用いる保護基導入剤の使用量を低減できる点からアセトニトリルが好ましい。
【0047】
有機溶媒の使用量は、特に制限されるものではなく、一般的に、イミノ体1質量部に対して1〜100質量部である。バッチ収量を増加させることを考慮すると1〜10質量部が好ましい。
【0048】
反応条件は、一般的な保護反応の条件を採用すればよい。具体的には、前記イミノ体を室温程度で前記有機溶媒と混合し、次いで、この混合物に、保護基導入剤、および塩基を混合し、攪拌を行えばよい。反応温度は、使用する保護基導入剤、塩基によって反応性が異なるため、一義的に決定することはできないが、一般的には、0〜80℃の温度範囲であればよい。また、反応時間は、条件により異なるが、一般には10分〜20時間である。
【0049】
(保護体)
このような条件に従い、前記イミノ体と前記保護基導入剤とを反応させることにより、下記式(2)
【0050】
【化10】

【0051】
(式中、R、およびRは、それぞれ、水素原子、アルコキシカルボニル基、またはトリアリールメチル基であり、ただし、R、およびRは、同時に水素原子とはならない基である。)
で示される化合物(保護体)を得ることができる。本発明においては、Rのみ保護基が導入されたもの、Rのみに保護基が導入されたもの、または、RおよびRの両方に保護基が導入されたものを下記に詳述する精製工程で精製することができる。
【0052】
前記式(2)で示される保護体は、溶媒に対する溶解性が高いため、精製がし易い。前記保護体は、有機溶媒に対する溶解性が高いため、下記に詳述する精製方法によって、不純物、特に、前記重合体のような不純物を低減することができる。さらに、該保護体は、塩酸との反応により、容易に保護基(水素原子以外の基)を脱離することができ、しかも、容易にピオグリタゾン塩酸塩とすることができる。
【0053】
前記式(2)で示される保護体の中でも、ピオグリタゾン塩酸塩の生産性、高純度化等を考慮すると、以下に示される化合物が好ましい。すなわち、下記式(8)
【0054】
【化11】

【0055】
で示される5−{4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ベンジル}−2−{N−(t−ブトキシカルボニル)イミノ}−4−チアゾリジノン、下記式(9)
【0056】
【化12】

【0057】
で示される5−{4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ベンジル}−2−{N−(t−ブトキシカルボニル)イミノ}−3−(t−ブトキシカルボニル)−4−チアゾリジノン、下記式(10)
【0058】
【化13】

【0059】
で示される5−{4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ベンジル}−2−(N−トリフェニルメチルイミノ)−4−チアゾリジノンである。
【0060】
上記保護反応によって得られる保護体の構造は、下記(i)〜(iii)のいずれかの方法により確認することができる。なお、この保護体の構造は、下記に詳述する精製工程を経て得られる純度の高い保護体を分析することにより確認する。
【0061】
(i)重ジメチルスルホキシド等の重水素化溶媒を用いてH−核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)を測定することにより、化合物中に存在する水素原子の結合用英気を知ることができる。例えば、7.0ppm付近に芳香環の水素のスペクトルを示す。
【0062】
(ii)赤外吸収スペクトル(IR)を測定することにより、化合物の官能基に由来する特性吸収を観察することができる。例えば、1670cm−1付近に1級アミド基のカルボニル基のC=Oの吸収を示す。
【0063】
(iii)大気圧イオン化法(APCI)等のMSスペクトルを測定し、上記式(2)で示される保護体の分子量および分子式を決定することができる。
【0064】
本発明は、次いで、前記保護体を精製する精製工程によって、保護体の純度を高める。
【0065】
(保護体の精製工程)
前記保護体を精製する方法は、特に制限されるものではない。本発明において、精製とは、保護体の純度をより高めるものである。この保護体とは、前記式(2)において、RおよびRの少なくとも一方の基に、保護基が導入されたものである。特に、特許文献1に記載の方法に従い、前記イミノ体を製造した場合には、最終的に得られるピオグリタゾン塩酸塩において、前記重合体に由来する不純物(重合体、重合体の一部分が塩酸塩化したもの、および重合体が塩酸塩となったものなど)をより低減することができる。
【0066】
前記保護体は、前記イミノ体とは異なり、溶媒に対する溶解性が非常に高くなる。該保護体を溶解できる溶媒を例示すれば、保護基によっても多少溶解度は異なるが、ピリジン、メタノール、テトラヒドロフラン、クロロホルム等の溶媒に溶解することができる。これら有機溶媒において、水溶性のものは、水を混合した混合溶媒でも、前記保護体を溶解することができる。
【0067】
本発明において、前記保護体を精製する方法を具体的に示せば、前記保護体は溶媒に溶解させることができるため、再結晶、シリカゲルを使用したカラムクロマトグラム、活性炭等による吸着処理、または、保護体を溶媒に溶解させ、該溶媒に溶解しない他の溶媒で洗浄し、分液する方法(以下、分液操作とする)等が挙げられる。前記重合体に保護基が導入された不純物を含む保護体を精製する場合には、保護体と該不純物とは分子量が異なり、溶媒に対する溶解性が異なるため、前記精製方法により、容易に保護体と該不純物とを分離することができる。例えば、前記分液操作において、該不純物を含む保護体をアルカリ性の水溶液に溶解させ、水に溶解しない溶媒(例えば、エーテル類など)で洗浄することにより、該不純物を水に溶解しない溶媒へ移行させることができ、該水溶液中の保護体の純度を高めることができる。
【0068】
このようにして高純度化した保護体は、次いで、塩化水素と反応させてピオグリタゾン塩酸塩とする。
【0069】
(ピオグリタゾン塩酸塩の製造工程)
前記精製工程で精製された保護体は、塩化水素と反応させることにより、ピオグリタゾン塩酸塩とすることができる。
【0070】
該保護体と塩化水素との反応溶媒は、特に制限されるものではなく、極性溶媒、または水中で反応させればよい。塩化水素は、取扱いを考慮すると、該極性溶媒、水に溶解させたものを使用することが好ましい。この際、塩化水素の濃度は、一般的に塩化水素が0.1N〜6.0Nのものを使用すればよい。反応条件、塩化水素の使用量を調節することにより、脱保護反応のみを行い、高純度のイミノ体を製造することもできるが、工程を簡略化するためには、直接、保護体からピオグリタゾン塩酸塩を製造することが好ましい。そのため、塩化水素の使用量は、保護体の種類に応じてピオグリタゾン塩酸塩が製造できるに十分な量とすることが好ましい。
【0071】
該保護体と塩化水素の反応は、両者を混合することにより実施することができるが、その他の反応条件としては、通常、撹拌下、50〜100℃の反応温度で3〜20時間反応させればよい。反応の終了は、高速液体クロマトグラフィーで確認することができる。
【0072】
前記条件により該保護体と塩化水素とを反応させることにより、ピオグリタゾン塩酸塩と脱離した保護基由来の化合物を含む反応溶液とすることができる。得られたピオグリタゾン塩酸塩は、該化合物よりも溶媒に対する溶解性が低いため、ろ過等の操作により、容易に反応溶液中から該化合物を分離して単離できる。得られたピオグリタゾン塩酸塩は、非常に高純度のものであるが、必要に応じて、水、エタノール等で洗浄を行い、さらに、再結晶等による精製を行うこともできる。
【実施例】
【0073】
以下、本発明をより詳細に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0074】
(液体クロマトグラフィーの測定)
各実施例において、純度、重合体量(重合体由来の不純物量)の測定は、液体クロマトグラフィーによって行った。条件を以下に示す。
使用カラム:YMC社製ODS−A(内径4.6mm、長さ250mm)
展開液:アセトニトリル/0.1M酢酸アンモニウム水溶液/酢酸=25/25/1の混合液を1mL/minで展開させた。
検出波長:269nm
以上の条件で測定した。
【0075】
製造例1
4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ニトロベンゼン60.0gのメタノール溶液500mlを10%Pd−C(50%wet、6.0g)存在下、室温、1気圧で接触還元を行った。Pd−Cをろ過し、ろ液を減圧濃縮した。残留油状物をアセトン(500ml)−メタノール(200ml)に溶解させ、47質量%臭化水素水溶液152gを加えた。ついで氷冷し、亜硝酸ナトリウム(17.3g)の水溶液(30ml)を5℃以下で滴下した。5℃で20分間かき混ぜた後、アクリル酸メチル(112g)を加え、38℃に加熱し、酸化銅(I)(2.0g)を少量ずつ添加した。発泡が止まるまで反応混合物を攪拌し、その後減圧下濃縮した。残留物を濃アンモニア水でアルカリ性とし、酢酸エチルで抽出した。有機層を水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を留去し2−ブロモ−3−{4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]フェニル}プロピオン酸メチルの粗油状物(74.0g、収量85.7%)を得た。
【0076】
製造例2
上記製造例1で得られた2−ブロモ−3−{4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]フェニル}プロピオン酸メチルの粗油状物(73.0g)、チオ尿素(14.2g)、酢酸ナトリウム(15.3g)及びエタノールの混合物を3時間還流した。溶媒を減圧濃縮し、残留物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和した。水(200ml)およびエーテル(100ml)を加えて10分攪拌した後、析出している黄色結晶を得た。該結晶をメタノールから再結晶することによって5−{4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ベンジル}−2−イミノ−4−チアゾリジノン(イミノ体)の結晶(30.5g、収率45.6%)を得た。得られたイミノ体の純度は96.3%、不純物である重合体は0.80%であった。
【0077】
実施例1
5−{4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ベンジル}−2−{N−(t−ブトキシカルボニル)イミノ}−4−チアゾリジノン(保護体)を経たピオグリタゾン塩酸塩の製造法)
(保護基導入工程)
ジ−t−ブチルカーボネート3.67g (16.8mmol)を100mLナスフラスコへ入れ、アセトニトリル 40mL、製造例2で得られた5−{4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ベンジル}−2−イミノ−4−チアゾリジノン(イミノ体)の粗体 5.0g(イミノ体換算で 14.0mmol) 、DABCO 4.70g(42.0mmol)を入れ、加熱還流を10時間行った。反応液を濃縮し、20質量%食塩水60mLを添加し、酢酸エチル50mLで2回抽出した。得られたろ液を減圧濃縮したところ、赤褐色固体の5−{4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ベンジル}−2−{N−(t−ブトキシカルボニル)イミノ}−4−チアゾリジノン、および5−{4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ベンジル}−2−{N−(t−ブトキシカルボニル)イミノ}−3−(t−ブトキシカルボニル)−4−チアゾリジノンの混合物(保護体)7.68g(粗収率120%)の粗体を得た。保護体の純度は79.40%、重合体由来の不純物0.78%であった。
【0078】
(精製工程)
前記赤褐色固体をピリジン−水混合溶液(質量比 ピリジン:水=1:2)300mLに溶解させ、エーテル150mLで2回洗浄を行った。ピリジン−水層を濃縮することにより、5−{4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ベンジル}−2−{N−(t−ブトキシカルボニル)イミノ}−4−チアゾリジノン(一置換体)、および5−{4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ベンジル}−2−{N−(t−ブトキシカルボニル)イミノ}−3−(t−ブトキシカルボニル)−4−チアゾリジノン(二置換体)の混合物である保護体(白色固体)を得た。収量5.15gであり、保護体の純度94.4%、重合体由来の不純物0.21%であった。液体クロマトグラフィーの面積%より算出した結果、一置換体と二置換体の存在比は96.9:3.1であった。
【0079】
5−{4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ベンジル}−2−{N−(t−ブトキシカルボニル)イミノ}−4−チアゾリジノンの分析結果を以下に示す。
(i)H−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ12.2(s、1H、amide protone proton)8.36(s、1H、piridine−ring proton)、7.58−6.85(m、6H、ArH)、4.56−4.50(dd、1H、thiazoridine−ring)、4.32−4.29(t、2H、O−C−CH)、3.31−3.27(dd、1H、ph−C−CH)、3.14−3.11(t、2H、py−C−CH)、2.95−2.90(dd、1H、ph−C−CH)、2.61−2.57(q、2H、py−C−CH)1.42(s、9H、butoxy protone)、1.18−1.15(t、3H、py−CHCH
(ii)IR(KBr/cm−1):1667cm−1(C=O伸縮、ブトキシカルボニル基)
(iii)分子量分析:m/z Calcd for C2429S:455.2、Found:455.1。
【0080】
5−{4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ベンジル}−2−{N−(t−ブトキシカルボニル)イミノ}−3−(t−ブトキシカルボニル)−4−チアゾリジノンの分析結果を以下に示す。
(i)H−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ8.36(s、1H、piridine−ring proton)、7.58−6.85(m、6H、ArH)、4.62−4.55(dd、1H、thiazoridine−ring)、4.32−4.29(t、2H、O−C−CH)、3.32−3.27(dd、1H、ph−C−CH)、3.14−3.11(t、2H、py−C−CH)、2.95−2.90(dd、1H、ph−C−CH)、2.61−2.57(q、2H、py−C−CH)1.42(s、9H、butoxy protone)、1.35(s、9H、butoxy protone)1.18−1.15(t、3H、py−CHCH
(ii)IR(KBr/cm−1):1666cm−1(C=O伸縮、ブトキシカルボニル基)
(iii)分子量分析:m/z Calcd for C2429S:555.2、Found:555.2。
【0081】
(ピオグリタゾン塩酸塩の製造工程)
前記精製工程で得られた保護体(一置換体と二置換体との混合物)3.0gを30mLナスフラスコに仕込み、1N塩酸20mLを加え6時間加熱還流を行った。反応溶液を冷却し、得られた結晶をろ過し、水1.5mLで洗浄し、ついでエタノール1.5mlで3回洗浄した後、乾燥することでピオグリタゾン塩酸塩の黄白色固体を得た。収量2.2g(収率 68.3%、純度98.4%、重合体由来の不純物0.161%)であった。
【0082】
実施例2〜5
イミノ体の保護化反応において、保護基導入剤の使用量、塩基の種類、塩基の使用量、および反応溶媒を表1に示した通りに変更した以外は実施例1と同様の方法で保護化反応を行い、対応する保護体を得た。次いで、得られた保護体を実施例1と同様の方法で反応させることによってピオグリタゾン塩酸塩を得た。得られた保護体の一置換体、二置換体の選択率及び収率、純度及びピオグリタゾン塩酸塩の収率、純度、重合体量を表1に示した。
【0083】
実施例6
5−{4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ベンジル}−2−(N−トリフェニルメチルイミノ)−4−チアゾリジノン(保護体)を経たピオグリタゾン塩酸塩の製造法)
(保護基導入工程)
トリフェニルメチルクロリド4.68g (16.8mmol)を100mLナスフラスコへ入れ、アセトニトリル 40mL、製造例2で得られた5−{4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ベンジル}−2−イミノ−4−チアゾリジノン(イミノ体)の粗体 5.0g(イミノ体換算で 14.0mmol) 、ピリジン1.33g(16.8mmol)を入れ、加熱還流を1時間行った。反応液を濃縮し、20質量%食塩水60mLを添加し、酢酸エチル50mLで2回抽出した。得られたろ液を減圧濃縮したところ、赤褐色固体の5−{4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ベンジル}−2−(N−トリフェニルメチルイミノ)−4−チアゾリジノン(保護体)8.83g(収率105%)の粗体を得た。保護体の純度は82.61%、重合体由来の不純物0.82%であった。
【0084】
(精製工程)
前記赤褐色固体をピリジン−水混合溶液(質量比 ピリジン:水=1:2)300mLに溶解させ、エーテル150mLで2回洗浄を行った。ピリジン−水層を濃縮することにより、5−{4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ベンジル}−2−(N−トリフェニルメチルイミノ)−4−チアゾリジノン(保護体)の白色固体を得た。収量7.01gであり、保護体の純度96.6%、重合体由来の不純物0.26%であった。
【0085】
5−{4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ベンジル}−2−(N−トリフェニルメチルイミノ)−4−チアゾリジノンの分析結果を以下に示す。
(i)H−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ12.3(s、1H、amide protone proton)、8.36(s、1H、piridine−ring proton)、7.58−6.85(m、21H、ArH)、4.66−4.60(dd、1H、thiazoridine−ring)、4.32−4.29(t、2H、O−C−CH)、3.32−3.28(dd、1H、ph−C−CH)、3.14−3.11(t、2H、py−C−CH)、2.96−2.91(dd、1H、ph−C−CH)、2.61−2.57(q、2H、py−C−CH)、1.18−1.15(t、3H、py−CHCH
(ii)IR(KBr/cm−1):1654(C=O伸縮)
(iii)分子量分析:m/z Calcd for C2429S:597.2、Found: 597.2。
【0086】
(ピオグリタゾン塩酸塩の製造工程)
前記精製工程で得られた保護体(一置換体と二置換体との混合物)4.5gを30mLナスフラスコに仕込み、1N塩酸10mLを加え6時間加熱還流を行った。反応溶液を冷却し、得られた結晶をろ過し、水1.5mLで洗浄し、ついでエタノール1.5mlで3回洗浄した後、乾燥することでピオグリタゾン塩酸塩の黄白色固体を得た。収量2.3g(収率 64.8%、純度98.6%、重合体由来の不純物0.20%)であった。
【0087】
実施例7〜9
イミノ体の保護化反応において、保護基導入剤の使用量、塩基の種類、塩基の使用量、および反応溶媒を表1に示した通りに変更した以外は実施例6と同様の方法で保護化反応を行い、対応する保護体を得た。次いで、得られた保護体を実施例6と同様の方法で反応させることによってピオグリタゾン塩酸塩を得た。得られた保護体の一置換体、二置換体の選択率及び収率、純度及びピオグリタゾン塩酸塩の収率、純度、重合体量を表1に示した。
【0088】
【表1】

【0089】
実施例10
実施例2と同様にして得られた5−{4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ベンジル}−2−{N−(t−ブトキシカルボニル)イミノ}−4−チアゾリジノン、および5−{4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ベンジル}−2−{N−(t−ブトキシカルボニル)イミノ}−3−(t−ブトキシカルボニル)−4−チアゾリジノンの混合物(保護体)の粗体3.84gをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製したことにより、5−{4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ベンジル}−2−{N−(t−ブトキシカルボニル)イミノ}−4−チアゾリジノン(一置換体)である保護体(白色固体)を得た。収量2.32gであり、保護体の純度93.6%、重合体由来の不純物0.22%であった。
【0090】
比較例1
100mLナスフラスコに製造例2で得られたイミノ体 5.0g及び1N塩酸35.5mLを加え4時間還流を行った。反応液を冷却し、析出した固体をろ過した。10mLの水で二回洗浄を行い、ついで10mLのエタノールで3回洗浄し、乾燥することによりピオグリタゾン塩酸塩の微黄色結晶を得た。収量 4.68g 収率84.7% 純度96.8%、重合体由来の不純物0.63%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩基の存在下、下記式(1)
【化1】

で示される5−{4−[2−(5−エチル−ピリジル)エトキシ]ベンジル}−2−イミノ−4−チアゾリジノンと、ジアルキルジカーボネート、およびトリアリールメチルハライドからなる群より選ばれる少なくとも1種の保護基導入剤とを反応させて、下記式(2)
【化2】

(式中、R、およびRは、それぞれ、水素原子、アルコキシカルボニル基、またはトリアリールメチル基であり、ただし、R、およびRは、同時に水素原子とはならない基である。)
で示される化合物を合成する保護基導入工程、
前記保護基導入工程で得られた前記式(2)で示される化合物を精製する精製工程、および、
前記精製工程で得られた前記式(2)で示される化合物と塩化水素とを反応させて、下記式(3)
【化3】

で示される5−{4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ベンジル}−2,4−チアゾリジンジオン塩酸塩を製造する製造工程
を含むことを特徴とする5−{4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ベンジル}−2,4−チアゾリジンジオン塩酸塩の製造方法。
【請求項2】
前記保護基導入剤として、ジ−t−ブチルカーボネートを使用することを特徴とする請求項1に記載の塩酸塩の製造方法。
【請求項3】
前記保護基導入剤として、トリフェニルメチルクロライドを使用することを特徴とする請求項1に記載の塩酸塩の製造方法。
【請求項4】
下記式(2)
【化4】

(式中、R、およびRは、それぞれ、水素原子、アルコキシカルボニル基、またはトリアリールメチル基であり、ただし、R、およびRは、同時に水素原子とはならない基である。)
で示される化合物。

【公開番号】特開2010−105943(P2010−105943A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−278190(P2008−278190)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【出願人】(000003182)株式会社トクヤマ (839)
【Fターム(参考)】