説明

6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[1,2−a]イミダゾール−3−スルホン酸アミドの合成

下記式I(式中、R1〜R3は、本出願で定義されるとおり)の化合物の多工程製造方法を開示する。式Iの化合物は、ヒト細胞間接着分子のロイコインテグリンへの結合を阻害する。結果として、これら化合物は炎症性疾患及び免疫細胞媒介疾患の治療に有用である。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
この出願は、2004年1月27日提出の米国仮特許出願第60/591,398号の利益を主張する。
〔技術分野〕
本発明は、炎症性疾患及び免疫細胞媒介疾患の治療用薬として有用な6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-スルホン酸アミドの改良された製造方法に関する。
【0002】
〔発明の背景〕
下式Iの6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-スルホン酸アミド(式中、R1〜R3は本明細書の定義どおり)は、ヒト細胞間接着分子(ICAM-1、ICAM-2及びICAM-3等)のロイコインテグリン(Leukointegrins)、特にCD18/CD11aへの結合の小分子インヒビターとして報告されている。結果として、これら小分子は炎症性疾患及び免疫細胞媒介疾患の治療で役立つ(U.S. 6,492,408、U.S. 6,844,360、WO 2004/041827 A2、U.S. 6,852,748、及びWO 2004/041273 A1参照)。
【化1】

【0003】
式Iの化合物を調製するために用いた合成経路(U.S. 6,492,408)をスキーム1に示す。スキーム1に示されるように、式IIのアミノ-エステルと3,5-ジクロロフェニルイソチオシアネートの反応がチオヒダントインIIIを与えた。トリフェニルホスフィンの溶液をアジドIVで処理し、その結果として生じた中間体をチオヒダントインIIIと反応させてグアニジン誘導体Vを与えた。Vのトフルオロ酢酸との処理がVIを与えた。VIのN-ヨードスクシンイミドによるヨウ素化がVIIを与えた。VIIをシクロペンチルマグネシウムブロミドで処理した後、二酸化イオウを添加して中間体マグネシウムスルフィン酸塩を得た。この中間体塩をN-クロロスクシンイミドで処理して塩化スルホニルVIIIを与えた。VIIIの適切なアミンとの処理が式Iの所望化合物又はさらに変化させて所望化合物を与えうる前駆体を与えた。
スキーム1
【0004】
【化2】

【0005】
スキーム2に示される中間体VIIの代替合成法はU.S. 6,414,161で開示された。
スキーム2
【化3】

【0006】
スキーム2に示されるように、アミノ-アミドIXとイソシアナト酢酸エチルの反応が尿素Xを与えた。Xの四塩化炭素、トリフェニルホスフィン及びトリエチルアミンによる脱水-環化がグアニジンXIを与えた。XIのトリメチルアルミニウムとの処理がラクタムXIIを与えた。ラクタムXIIのクロロリン酸エチル及びビス(トリメチルシリル)アミドとの反応がホスフェートXIIIを与えた。XIIIのトリメチルシリルクロリド及びヨウ化ナトリウムによるヨウ素化がヨード中間体VIIを与えた。
上記2つの手順の欠点として、アジドIV(スキーム1)のような潜在的に危険な試薬の使用及びXIIの精製(スキーム2)のようなクロマトグラフ精製の必要が挙げられる。従って、概要を上述した合成方法は、式Iの化合物の大規模製造に適さない。
【0007】
〔発明の概要〕
本発明は、式Iの化合物の新規な製造方法に関する。この方法は実用的かつ経済的であり、より少ない化学工程を含み、かつクロマトグラフ精製を含まない。本発明の一局面は、下記式Iの化合物、又はその医薬的に許容しうる塩の新規な製造方法に関する。
【化4】

【0008】
(式中:
R1は、ブロモ、トリフルオロメトキシ、シアノ及びピリミジン-5-イル(任意にNH2で一置換又は二置換されていてもよい)から選択され;かつ
R2及びR3は、以下の基:
(A) 水素;及び
(B) C1-4直鎖若しくは分岐アルキル基(任意に、オキソ、-OH、NH2及び-C(O)NR4R5から独立に選択される基で一置換又は二置換されていてもよく、ここで、R4及びR5は、以下の基:
(1) 水素、及び
(2) C1-4直鎖若しくは分岐アルキル基(アルキル基は、CONH2及びOHから独立に選択される基で一置換又は二置換されている);
から独立に選択される);
から成る群よりそれぞれ独立に選択され;
或いは、
R2とR3が、それらが結合している窒素と結合して以下の基:
(1) ピロリジン又はピペリジン環(それぞれ任意に、基-C(O)NR6R7で置換されていてもよく、ここで、R6及びR7は、以下の基:
(A) 水素;及び
(B) C1-4直鎖若しくは分岐アルキル基(任意に、オキソ、-OH及びNH2から独立に選択される基で一置換又は二置換されていてもよい);
から独立に選択される);
(2) モルフォリン環;又は
(3) ピペラジン環;
を形成している。)
【0009】
本方法は、以下の工程(特に断らない限り、以下の合成工程に示される化学式のすべての置換基は、式Iについて上述したのと同じ定義を有する)を含む。
a)非プロトン性有機溶媒中、強塩基の存在下、0℃〜周囲温度の温度で、下記式XIVの化合物と式XVの化合物を反応させて式XVIの化合物を得る工程。
【化5】

【0010】
b)工程a)で生成した式XVIの化合物をテトラヒドロフラン又は2-メチルテトラヒドロフラン中、相間移動触媒と塩基で処理後、酸で処理することによって、式XVIの化合物を脱保護及び加水分解して下記式式XVIIの化合物を形成する工程。
【化6】

【0011】
c)工程b)で生成した式XVIIの化合物を、極性有機溶媒中、下記式XVIII(式中、Raはアリールであり、RbはC1-4アルキルである)の化合物、及び有機塩基と反応させて式XIXの化合物を形成する工程。
【化7】

【0012】
d)工程c)で生成した式XIXの化合物を、非プロトン性有機溶媒中、式(Rc)3P(式中、RcはC1-4アルキル、C3-6シクロアルキル又はアリールである)、四ハロゲン化炭素及びトリ-C1-6アルキルアミンと反応させた後、酸を添加して式XXの化合物を形成し、或いは
d)二者択一的に、工程c)で生成した式XIXの化合物を、非プロトン性有機溶媒中、式(Rc)3PX2(式中、RcはC1-4アルキル、C3-6シクロアルキル又はアリールであり、Xはハロゲン化物である)の化合物、及びトリ-C1-6アルキルアミンと反応せた後、酸を添加して式XXの化合物を形成し、或いは
d)二者択一的に、工程c)で生成した式XIXの化合物を、非プロトン性有機溶媒中、ボロン酸化合物ArB(OH)2(式中、Arは1個以上の電子吸引基で置換されている芳香族炭素環式基である)と反応させて式XXの化合物を形成する工程。
【化8】

【0013】
e)工程d)で生成した式XXの化合物を、非プロトン性有機溶媒中、下記式XXI(式中、Yはハロゲンである)の化合物と反応させて式XXIIの化合物を形成する工程。
【化9】

【0014】
f)工程e)で生成した式XXIIの化合物を、非プロトン性有機溶媒中、式RdMgY(式中、RdはC1-6アルキル又はC3-6シクロアルキルであり、Yはハロゲンである)、二酸化イオウ及びN-クロロスクシンイミドと反応させた後、塩基及び式XXIIIの化合物と反応させて式Iの化合物を形成する工程(この工程中に形成される中間体は単離しない)。
【化10】

【0015】
技術的に既知のいずれの常法を用いても、式Iの最終化合物をその医薬的に許容しうる塩に変換することができる。
【0016】
〔発明の詳細な説明〕
本明細書で特に定義しない用語は、その開示及び文脈に照らして本技術の当業者によって与えられるであろう意味が与えられるものとする。
一般的に、特有の立体化学又は異性形を化合物名又は構造で具体的に示していない限り、化学構造又は化合物のすべての互変異性形及び異性形並びに混合物(個々の幾何異性体若しくは光学異性体又は異性体のラセミ若しくは非ラセミ混合物のいずれにしても)が意図されている。
本発明方法の個々の工程については、本発明の他の局面と共に詳細に後述する。本発明は、記載した多工程法のみならず、該多工程法の個々の工程、並びに該方法の工程で形成又は使用される種々の新規な中間体をも包含する。
個々の各工程の最適な反応条件及び反応時間は、使用する個々の反応物によって変化しうる。特に断らない限り、溶媒、温度及び他の反応条件は、当業者によって容易に選択される。特有の手順は合成例セクションで提供される。典型的に、所望により反応の進行を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)でモニターすることができる。再結晶で中間体及び生成物を精製することができる。特に断らない限り、出発原料及び試薬は市販されており、又は化学文献に記載されている方法を用いて、市販原料から当業者によって調製される。
【0017】
工程(a)
この第1工程で使用する式XIVの出発原料は、N. Yee, Org. Lett. 2000, 2, 2781-2783、及びR. Frutos, Tetrahedron: Asymmetry 2001, 12, 101-104(参照によってその全体が本明細書に取り込まれる)に記載されているように調製される。この方法をスキーム3に示す。
スキーム3
【化11】

【0018】
市販のD-N-Boc-アラニンをN-メチルモルフォリン(-10℃,THF)中、クロロギ酸イソブチルと反応させた後、3,5-ジクロロアニリンを添加してアミドXXIVを得た。ジクロロメタン中、THFで粗製N-Boc-アラニンアミドを処理して脱保護して、2工程全体で92%の収率でアミノアミドXXVを得た。このアミノアミドを、還流ペンタン中でピバルアルデヒド又はイソブチルアルデヒドと反応させ、該反応混合物から生成物XXVIを単一ジアステレオマーとして74%を超える収率で結晶させた。塩化メチレン中、トリエチルアミンの存在下でXXVIを無水トリフルオロ酢酸で処理して収率98%でXIVを得た。
本発明の方法の工程(a)では、非プロトン性有機溶媒中、強塩基の存在下、0℃〜周囲温度の温度で、式XIVの化合物と式XVの化合物を反応させて式XVIの化合物を与える工程を含む。
同様のプロセス工程がN. Yee, Org. Lett. 2000, 2, 2781-2783; R. Frutos, Tetrahedron: Asymmetry 2001, 12, 101-104;U.S. 6,844,360、WO 2004/041827 A2、U.S. 6,852,748及びWO 2004/041273 A1に記載されている。
本発明のプロセス工程(a)は、引用文献における-30〜0℃に比べて0℃〜周囲温度で反応を行うことによって改良されている。この改良プロセスを用いて調製される式XVIの新規化合物の例(a、b、c、d及びe)を以下に示す。
【化12】

【0019】
工程a)は、THF、エーテル又はジメトキシエタンのような非プロトン性有機溶媒中で行われる。好適な塩基として、カリウムtert-ブトキシド、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、カリウムビス(トリメチルシリル)アミド及びナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドが挙げられる。
【0020】
工程(b)
本発明方法の工程(b)は、式XVIの化合物の脱保護を含む。テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン又は2-プロパノールのような適切な溶媒中、任意的にトリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシドのような相間移動触媒の存在下、塩基でこの工程を実行後、酸で処理して式XVIIの対応アミノアミドを形成することができる。特定例を以下の示す。
【化13】

【0021】
同様のプロセス工程がN. Yee, Org. Lett. 2000, 2, 2781-2783; R. Frutos, Tetrahedron: Asymmetry 2001, 12, 101-104;U.S. 6,844,360、WO 2004/041827 A2、U.S. 6,852,748、及びWO 2004/041273 A1に記載されている。
この工程に好適な塩基として、アルカリ金属の水酸化物、例えば水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムが挙げられる。好適な酸として、H2SO4及びHClが挙げられる。最も好ましくは、イソプロピルアルコール中の水酸化カリウム後、3M H2SO4である。この工程で生成される式XVIIa〜XVIIdの新規化合物は、本発明の別の局面である。
【0022】
工程(c)
本発明プロセスの工程(c)は、工程b)で生成した式XVIIの化合物を、極性有機溶媒中、式XVIII(式中、Raはアリールであり、RbはC1-4アルキルである)の化合物、及び有機塩基と反応させて良好な収率で式XIXの化合物を形成する工程を含む。特定例を以下に示す。
【化14】

【0023】
アミンとカルバミン酸フェニルの反応による尿素の形成は、科学文献(例えば、B. Thavonekham Synthesis, 1997, 1189-1194参照)で実証されている。この工程で生成される式XIXa〜XIXdの新規化合物は、本発明の別の局面である。
工程(c)のカルバメートXVIIIに好適なC1-4アルキルRb基として、例えば、メチル、エチル及びシクロブチルが挙げられる。
工程(c)は、ジメチルスルホキシドのような極性有機溶媒中で行われる。好適な有機塩基として、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン及びN-メチルモルフォリンが挙げられる。
【0024】
工程(d)
本発明プロセスの工程(d)は、工程c)で生成した式XIXの化合物を、非プロトン性有機溶媒中、式(Rc)3P(式中、RcはC1-4アルキル、C3-6シクロアルキル又はアリールである)の化合物、四ハロゲン化炭素及びトリ-C1-6アルキルアミンと反応させた後、酸を添加してて良好な収率で式XXの化合物を形成する工程を含む。或いは、工程c)で生成した式XIXの化合物を、非プロトン性有機溶媒中、式(Rc)3PX2(式中、RcはC1-4アルキル、C3-6シクロアルキル又はアリールであり、Xはハロゲン化物である)、及びトリ-C1-6アルキルアミンと反応させた後、酸を添加して式XXの化合物を与える工程を含む。別の代替工程は、工程c)で生成した式XIXの化合物を、非プロトン性有機溶媒中、ボロン酸化合物ArB(OH)2(式中、Arは、1個以上の電子吸引基で置換されている芳香族炭素環式基である)と反応させて式XXの化合物を形成することである。特定例を以下に示す。
【化15】

【0025】
尿素の脱水と、その後のグアニジン誘導体への環化はFrutosらの米国特許第6,414,161号に記載されている。しかし、Frutosらの特許に記載の手順と対照的に、本発明の方法では、中間体グアニジン誘導体は単離されず、かつ自発的な環化を受けて式XXの最終二環式生成物を与える。さらに、脱水/環化のために試薬(Rc)3PX2を使用することは、Frutosらの特許には記載されていない。
上述した式XXa〜XXdの新規化合物は、本発明の別の局面である。
この工程で使用するための好ましい四ハロゲン化炭素は四塩化炭素であり、好ましいトリ-C1-6アルキルアミンはトリエチルアミンである。
工程(d)は、非プロトン性有機溶媒中で行われる。XIXを(Rc)3P又は(Rc)3PX2と反応させるとき、工程(d)を行うために好適な非プロトン性有機溶媒として、例えば、ジクロロメタン及びアセトニトリルが挙げられる。工程(d)の好適な(Rc)3Pの例として、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン及びトリフェニルホスフィンが挙げられる。工程(d)で好適な四ハロゲン化炭素として、例えば、四塩化炭素、及び四臭化炭素が挙げられる。工程(d)の好適な(Rc)3PX2の例として、トリフェニルホスフィンジクロリド及びトリフェニルホスフィンジブロミドが挙げられる。工程(d)で好適な酸の例として、塩酸及び4-トルエンスルホン酸が挙げられる。
この変換で利用しうる好適なボロン酸化合物の例は、式ArB(OH)2(式中、Arは、ハロアルキル、ハロゲン及びニトロのような1個以上の電子吸引基で置換されている芳香族炭素環式基、例えばフェニル又はナフチル基である)の化合物である。言及しうる特定例は以下の化合物3a〜3dである。
【化16】

【0026】
XIXをボロン酸化合物と反応させるとき、工程(d)を行うために好適な有機溶媒として、トルエン、キシレン及び酢酸イソブチルのような比較的高沸点の有機溶媒が挙げられる。
工程(e)
本発明プロセスの工程(e)は、工程d)で生成した式XXの化合物を、非プロトン性有機溶媒中、式XXI(式中、Yはハロゲン化物である)の化合物と反応させて式XXIIの化合物を形成することを含むハロゲン化工程である。式中、R1がトリフルオロメトキシ及び5-ピリミジルの場合の特定例を以下に示す。
【0027】
【化17】

【0028】
この種のハロゲン化工程は、U.S. 6,492,408、U.S. 6,844,360、WO 2004/041827 A2、U.S. 6,852,748及びWO 2004/041273 A1に記載されている。
本発明の一実施態様では、式XXIIのハロゲン化された化合物中のY基がブロモ及びヨードである。好ましい実施態様では、Yがブロモである。
工程(e)でヨウ素化を行う場合、p-トルエンスルホン酸ピリジニウムのようなルイス酸の存在下で行う。我々は、この反応をトリエチルアミン、炭酸カリウム、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、炭酸セシウム、炭酸ナトリウム又はリン酸ナトリウムのような塩基の存在下、かつ好ましくはジメトキシエタン又は酢酸イソプロピル中で行うと、工程(e)の臭素化が最も清潔にかつ最高収率で進行することを見出した。
工程(e)は、非プロトン性有機溶媒中で行われる。好適な非プロトン性有機溶媒として、例えば、ジクロロメタン、アセトン、エチレングリコールジメチルエーテル、及びジグリムが挙げられる。
広範な反応温度で工程(e)を行うことができるが、好ましくは約-20℃〜約60℃、さらに好ましくは約-10℃〜約40℃、さらに好ましくは約-5℃〜約30℃、さらに好ましくは約0℃〜約25℃の範囲である。
【0029】
工程(f)
本発明プロセスの工程(f)は、工程e)で生成した式XXIIの化合物を、非プロトン性有機溶媒中、式RdMgY(式中、RdはC1-6アルキル又はC3-6シクロアルキルであり、Yはハロゲン化物である)の化合物、二酸化イオウ及びN-クロロスクシンイミドと反応させた後、塩基及び式XXIIIの化合物と反応させて式Iの化合物を形成する工程を含む(この工程中に形成される中間体は単離しない)。 特定例を以下に示す。
【化18】

【0030】
同様のプロセス工程は、U.S. 6,492,408、U.S. 6,844,360、WO 2004/041827 A2、U.S. 6,852,748及びWO 2004/041273 A1に記載されている。しかし、本発明では、このプロセス工程を該プロセス中に生成されるいずれの中間体も単離せずに行う。上記引用文献には、このワンポットプロセスは開示されていない。
工程(f)の好適なRdMgYとして、例えば、イソプロピルマグネシウムクロリド、イソプロピルマグネシウムブロミド、シクロペンチルマグネシウムクロリド及びシクロペンチルマグネシウムブロミドが挙げられる。
R1基が5-ピリミジル(例えば、XXIId)の場合、式XXIIdの化合物と反応させる前に、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン、ビス[2-(N,N-ジメチルアミノ)エチル]エーテル及びN,N,N',N',N''-ペンタメチルジエチレントリアミンのような有機塩基をRdMgYと予め混合する必要がある。これが、RdMgYの5-ピリミジル基への付加を妨げるのだろう。この新規プロセスは、本発明の別の局面であり、科学文献には開示されていない。
工程(f)は非プロトン性有機溶媒、好ましくはテトラヒドロフラン中で行われる。
工程(f)で使用するのに好適な塩基として、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、炭酸カリウム、炭酸セシウム及び炭酸ナトリウムが挙げられる。
工程(f)のRdMgYの添加は、約-40℃〜約-15℃、好ましくは約-25℃〜約-15℃の温度で行われる。二酸化イオウとN-クロロスクシンイミドの添加は約-40℃〜約-5℃、好ましくは約-15℃〜約-5℃の温度で行われる。XXIIIの添加は室温で行われる。
XXIIIの添加は、好ましくは共溶媒として水の存在下で行われ、なおさらに好ましくは水とDMFの存在下で行われる。水が生成物の形成を促進することが分かった。この工程は、テトラヒドロフラン中、10〜25%までの水と共に行われた。
【0031】
〔式(I)の化合物の好ましい実施態様〕
本発明の方法で調製しうる化合物は、前述したとおりの式Iの化合物、すなわち下記式の化合物、又はその医薬的に許容しうる塩である。
【化19】

【0032】
(式中:
R1は、ブロモ、トリフルオロメトキシ、シアノ及びピリミジン-5-イル(任意にNH2で一置換又は二置換されていてもよい)から選択され;かつ
R2及びR3は、以下の基:
(A) 水素;及び
(B) C1-4直鎖若しくは分岐アルキル基(任意に、オキソ、-OH、NH2及び-C(O)NR4R5から独立に選択される基で一置換又は二置換されていてもよく、ここで、R4及びR5は、以下の基:
(1) 水素;及び
(2) C1-4直鎖若しくは分岐アルキル基(アルキル基は、CONH2及びOHから独立に選択される基で一置換又は二置換されている);
から独立に選択される);
から成る群よりそれぞれ独立に選択され;
或いは、
R2とR3が、それらが結合している窒素と結合して以下の基:
(1) ピロリジン又はピペリジン環(それぞれ任意に基-C(O)NR6R7で置換されていてもよく、ここで、R6及びR7は、以下の基:
(A) 水素;及び
(B) C1-4直鎖若しくは分岐アルキル基(任意に、オキソ、-OH及びNH2から独立に選択される基で一置換又は二置換されていてもよい);
から独立に選択される);
(2) モルフォリン環;又は
(3) ピペラジン環;
を形成している。)
【0033】
式Iの化合物の別の実施態様では、
R1が、ブロモ、トリフルオロメトキシ、シアノ及びピリミジン-5-イルから選択され;
R2がHであり;かつ
R3が-CH(R8)C(O)NH2(式中、R8は直鎖若しくは分岐C1-3アルキル基である)であり;或いは
R2とR3が、それらが結合している窒素と一緒に以下の基から選択される基を形成している。
【化20】

【0034】
(式中、R6及びR7は、H及び任意にOHで置換されていてもよい直鎖若しくは分岐C1-4アルキルから選択される。)
本発明の方法を用いて調製しうる式(I)の化合物の特定例は以下のとおりである。
【0035】
【化21】

【0036】
この発明をさらに完全に理解してもらうため、以下に実施例を示す。これら実施例は、この発明の実施態様を説明する目的のためであり、いかなる場合にも本発明の範囲を制限するものと解釈すべきでない。
〔合成例〕
以下の実施例は、本発明の方法を実証する代表例である。
実施例1:(R)-3-(4-ピリミジン-5-イル-ベンジル)-1-(3,5-ジクロロフェニル)-5-ヨード-3-メチル-1-ヒドロイミダゾ[1,2-a]イミダゾール-2-オンの合成
【0037】
【化22】

【0038】
テトラヒドロフラン(3L)中の(2S,4R)-1-(3,5-ジクロロフェニル)-3-トリフルオロアセチル-2-(2-tert-ブチル)-4-メチルイミダゾリジン-5-オン(1.0kg,2.52mol)の溶液にリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(2.4kg,テトラヒドロフラン中1.0M溶液,2.66mol)を0℃で1時間にわたって加えた。4-(5-ピリミジル)ベンジルブロミド(0.63kg,2.52mol)を一度に加えた。結果混合物を2時間かけて20℃に戻して10%の塩化アンモニウム水溶液(2L)を加えた。真空下でテトラヒドロフランを蒸発させて酢酸エチルを加えた(5L)。層を分け、有機層を水洗した(2L)。有機層をその元の体積の1/3に濃縮してヘプタン(3.5L)を加えた。固体をろ過で収集して1.2kg(86%)の(2S,4R)-1-(3,5-ジクロロフェニル)-3-トリフルオロアセチル-2-(2-tert-ブチル)-4-(4-ピリミジン-5-イル-ベンジル)-4-メチルイミダゾリジン-5-オンを明黄色固体として得た:融点168-169℃:1H NMR (400 MHz, CDCl3)一方の回転異性体 δ 9.21 (m, 1H, ArH), 8.93 (s, 2H, ArH), 7.42 (ABq, J=8.4 Hz, 2H, ArH), 7.19 (d, J=1.6 Hz, 1H, ArH), 7.09 (ABq, J=8.4 Hz, 2H, ArH), 6.79(d, J=1.6 Hz, 2H, ArH), 5.72 (s, 1H, NCHN), 3.37 (ABq, J=14.0 Hz, 1H, ArCH2), 3.24 (ABq, J=14.0 Hz, 1H, ArCH2), 2.02 (s, 3H, CH3), 0.75 (s, 9H, C(CH3)); 1H NMR (400 MHz, CDCl3) 第2異性体 δ 9.21 (m, 1H, ArH), 8.93 (s, 2H, ArH), 7.40(ABq, J=8.4 Hz, 2H, ArH), 7.27 (t, J=1.6 Hz, 1H, ArH), 7.09 (ABq, J=8.4 Hz, 2H, ArH), 6.93 (d, J=1.6 Hz, 2H, ArH), 5.43 (s, 1H, NCHN), 3.85 (ABq, J=14.0 Hz, 1H, ArCH2), 3.17 (ABq, J=14.0 Hz, 1H, ArCH2), 1.99 (s, 3H, CH3), 0.88 (s, 9H, C(CH3)); MS: m/z 564 (M+);C27H25Cl2F3N4O2の分析計算値:C, 57.35; H, 4.46; N, 9.91。実測値:C, 57.27; H, 4.44; N, 9.74。
【0039】
上記イミダゾリジン-5-オン(150.0g,265.3mmol)のテトラヒドロフラン(500mL)中の溶液に40%の水酸化トリメチルベンジルアンモニウム(232.4g,557.1mmol)を添加後、50%のNaOH(42.4g,530.5mmol)を加えた。混合物を45℃に加熱して5時間撹拌した。内部温度を50℃未満に維持しながら反応混合物に6N HCl(243mL,1.46mol)を滴加した。混合物を50℃で1時間撹拌してから真空下で溶媒を蒸発させた。これに酢酸イソプロピル(750mL)を加えて混合物を50% NaOH(63.0g,787.5mmol)で中和した。層を分けて有機層を水洗した(500mL)。混合物をその元の体積の1/3に濃縮し、ヘプタン(600mL)を加えた。ろ過で固体を収集して88.4g(83%)の(R)-2-アミノ-2-(4-ピリミジン-5-イル-ベンジル)-N-(3,5-ジクロロフェニル)プロピオンアミドを明黄色固体として得た:融点124-126℃;1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.79 (s, 1H, ArNH), 9.18 (s, 1H, ピリミジン-H), 8.91 (s, 2H, ピリミジン-H), 7.53 (d, J=1.6 Hz, 2H, ArH), 7.52 (ABq, J=8.0 Hz, 2H, ArH), 7.35 (ABq, J=8.0 Hz, 2H, ArH), 7.06 (t, J=1.6 Hz, 1H, ArH), 3.58 (ABq, J=13.2 Hz, 1H. ArCH2), 2.75 (ABq, J=13.2 Hz, 1H, ArCH2), 1.51 (s, 3H, CH3); 13C NMR (400 MHz, CDCl3) δ 174.8, 157.5, 154.7, 139.6, 137.6, 135.2, 133.8, 133.1, 131.3, 127.1, 124.0, 117.6, 59.1, 46.0, 28.2; MS: m/z 400 (M+);C20H18Cl2N4Oの分析計算値:C, 59.86; H, 4.52; N, 13.96。実測値: C, 60.14; H, 4.52; N, 13.65。
【0040】
ジメチルスルホキシド(65mL)中の上記プロピオンアミド(52.0g,129.6mmol)に、ジメチルスルホキシド(50mL)中のフェノキシカルボニルアミノアセトアルデヒドジメチルアセタール(29.2g,129.6mmol)の溶液を添加後、トリエチルアミン(1.3g,13.0mmol)を加えた。混合物を60℃で5時間加熱した。反応混合物を室温に冷ましてこれに3% Na2CO3(320mL)と酢酸エチル(320mL)を加えた。層を分けて有機層を水(200mL)で洗浄した。有機フラクションを低体積にエバポレートしてヘプタン(400mL)をゆっくり加えた。結果のスラリーを22℃で4時間撹拌した。固体をろ過で集めて62.1g(90%)の(R)-2-[(4',4'-ジメトキシエチル)アミノカルボニル]アミノ-2-(4-ピリミジン-5-イル-ベンジル)-N-(3,5-ジクロロフェニル)-プロピオンアミドを白色固体として得た。融点178-179℃:1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.45 (bs, 1H, NH), 9.15 (s, 1H, ピリミジン-H), 8.86 (s, 2H, ピリミジン-H), 7.44 (d, J=1.6 Hz, 2H, ArH), 7.41 (ABq, J=8.0 Hz, 2H, ArH), 7.16 (ABq, J=8.0 Hz, 2H, ArH), 6.92 (t, J=1.6 Hz, 1H, ArH), 5.97 (bs, 1H, NH), 5.90 (bs, 1H, NH), 4.23 (t, J=5.2 Hz, 1H, (CH3O)2CH), 3.46 (ABq, J=12.8, 1H. ArCH2), 3.21 (s, 3H, CH3O), 3.18 (s, 3H, CH3O), 3.02 (ABq, J=12.8 Hz, ArCH2), 1.24 (s, 3H, CH3); 13C NMR (400 MHz, CDCl3) δ 174.4, 157.8, 157.3, 154.6, 140.0, 137.4, 135.0, 134.9, 133.7, 132.5, 131.7, 126.5, 123.9, 118.6, 102.9, 60.4, 60.2, 54.2, 53.6, 23.2, 14.2; MS: m/z 531 (M+);C25H27Cl2N5O4の分析計算値: C, 56.40; H, 5.11; N, 13.15。実測値: C, 55.95; H, 4.83; N, 12.86。
【0041】
アセトニトリル(200mL)中の上記アミド(50.0g,93.9mmol)、トリフェニルホスフィン(32.0g,122.1mmol)及びトリエチルアミン(13.3g,131.1mmol)の混合物に四塩化炭素(20.2g,131.5.0mmol)を20℃で加えた。混合物を20℃で3時間撹拌してからアセトニトリル(40mL)中の4-トルエンスルホン酸一水和物(27.1g,141.0mmo)を加えた。結果混合物を70℃で2時間加熱した。真空下でアセトニトリルを蒸発させ、酢酸イソプロピル(250mL)と水(250mL)の混合物を加えた。層を分けて有機層をそれぞれ5% Na2CO3(250mL)及び3% NaCl(250mL)で洗浄した。溶液を低体積に濃縮し、n-プロパノール(200mL)をゆっくり加えた。混合物を70℃で1時間加熱してから20℃に冷まして20℃で4時間撹拌した。固体をろ過で収集して34.2gの(R)-3-(4-ピリミジン-5-イル-ベンジル)-1-(3,5-ジクロロフェニル)-3-メチル-1-ヒドロイミダゾ[1,2-a]イミダゾール-2-オンを白色固体として得た:融点170-171℃;1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.17 (s, 1H, ピリミジン-H), 8.85 (s, 2H, ピリミジン-H), 7.66 (d, J=1.6 Hz, 2H, ArH), 7.39 (ABq, J=8.4 Hz, 2H, ArH), 7.21 (s, 1H, イミダゾール-H), 7.03 (ABq, J=8.4 Hz, 2H, ArH), 6.98 (t, J=1.6 Hz, 1H, ArH), 3.39 (ABq, J=14.0, 1H. ArCH2), 3.26 (ABq, J=14.0 Hz, ArCH2), 1.83 (s, 3H, CH3); 13C NMR (400 MHz, CDCl3) δ 174.8, 157.6, 154.7, 145.8, 135.2, 134.9, 134.1, 133.8, 133.4, 130.6, 129.2, 127.0, 120.3, 111.2, 66.2, 44.5, 23.2; MS: m/z 450 (M++1);C23H17Cl2N5Oの分析計算値: C, 61.35; H, 3.81; N, 15.55。実測値: C, 61.27; H, 3.55; N, 15.27。
【0042】
塩化メチレン(160mL)中の上記イミダゾール-2-オン(14.0g,31.1mmol)の溶液に4-トルエンスルホン酸(sulfoniate)ピリジニウム(0.78g,3.1mmol)を加えた。混合物を-5℃に冷却してN-ヨードスクシンアミド(7.73g,34.3mmol)を一度に加えた。混合物を0℃で3時間撹拌し、これに2% Na2SO3(60mL)を加えた。層を分けて有機層を水(60mL)で洗浄して真空下で低体積に濃縮した。残留物にイソプロパノール(130mL)を加え、混合物を50℃に1時間加熱した。溶液を徐々に室温に冷まし、固体をろ過で収集して24.7g(63%)の(R)-3-(4-ピリミジン-5-イル-ベンジル)-1-(3,5-ジクロロフェニル)-5-ヨード-3-メチル-1-ydroイミダゾ[1,2-a]イミダゾール-2-オンを明黄色固体として得た:1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.17 (s, 1H, ピリミジル-H), 8.85 (s, 2H, ピリミジル-H), 7.49 (s, 2H, ArH), 7.38 (ABq, J=8.0 Hz, 2H, ArH), 7.27 (s, 1H, イミダゾール-H), 7.07 (ABq, J=8.0 Hz, 2H, ArH), 3.67 (ABq, J=14.0 Hz, 1H, CH2Ar), 3.35 (ABq, J=14.0 Hz, 1H, CH2Ar), 1.97 (s, 3H, CH3)。
【0043】
無水テトラヒドロフラン(35mL)中の上記ヨードイミダゾール-2-オン(16.5g,30.8mmol)の溶液を、テトラヒドロフラン(20mL)中のイソプロピルマグネシウムクロリド(20.3g,テトラヒドロフラン中2.0M溶液,33.9mmol)とN,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン(3.9g,33.9mmol)の混合物に、内部温度を-20℃未満に維持しながら20分にわたって添加した。混合物を-20℃で10分撹拌し、内部温度を-20℃未満に維持しながら、無水テトラヒドロフラン(20mL)中の二酸化イオウ(2.2g,24.0mmol)を滴加した。反応を-20℃で10分撹拌してから無水テトラヒドロフラン(30mL)中のN-クロロスクシンイミド(7.2g,40.1mmol)のスラリーに加えた。混合物を0℃で10分撹拌した。結果混合物にイソニペコタミド(isonipecotamide)(4.0g,56.0mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(6.4mL,37.0)及び水(35mL)を添加した。混合物を22℃に温めて22℃で2時間撹拌した。反応混合物に水(70mL)と酢酸エチル(40mL)を加え、層を分けた。有機層を0.5N HCl(70mL)と水(70mL)で洗浄した。有機フラクションを低体積にエバポレートしてイソプロパノール(120mL)を加えた。次いで溶液を濃縮した。残余生産物をイソプロパノールから結晶化した。ろ過で固体を収集して14.1g(75%)の表題化合物を白色固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.17 (s, 1, ArH), 8.84 (s, 2H, ArH), 7.38-7.09 (m, 8H, ArH), 5.59 (bs, 1H, NH), 5.53 (bs, 1H, NH), 3.95 (ABq, J=13.9Hz, CH2Ar), 3.93 (m, 1H, NCH2), 3.80 (m, 1H, NCH2), 3.31 (ABq, J=13.9Hz, 1H, CH2Ar), 2.90 (m, 2H, NCH2), 2.33 (m, 1H, CHCONH2), 2.05 (m, 1H, CH2), 2.02 (s, 3H, CH3), 1.83-1.97 (m, 3H, CH2)。13C NMR (400 MHz, CDCl3) δ 175.7, 173.9, 157.5, 154.7, 149.0, 135.8, 135.4, 134.1, 133.8, 133.4, 133.3, 130.3, 128.0, 127.0, 123.9, 121.3, 70.5, 45.1, 44.8, 43.1, 41.0, 28.1, 28.0, 22.5. MS: m/z 605 (M+);C29H27Cl2N7O4Sの分析計算値: C, 54.38; H, 4.25; Cl, 11.07; N, 15.31; S, 5.01。実測値: C, 54.31; H, 4.15; Cl, 10.74; N, 15.17; S, 5.15。
【0044】
実施例2:2(S)-[7-(3,5-ジクロロフェニル)]-5(R)-メチル-6-オキソ-5-(4-ブロモベンジル)-6,7-ジヒドロ-5H-イミダゾ[1,2-a]イミダゾール-3-スルホニルアミノ]プロピオンアミドの合成
【0045】
【化23】

【0046】
テトラヒドロフラン(24L)中の(2S,4R)-1-(3,5-ジクロロフェニル)-3-トリフルオロアセチル-2-(2-tert-ブチル)-4-メチルイミダゾリジン-5-オン(1.62kg,4.08mol)の溶液にリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(3.86kg,テトラヒドロフラン1.0M溶液,4.34mol)を0℃で1時間にわたって加えた。内部温度を0℃に維持しながら、テトラヒドロフラン(1.7L)中の4-ブロモベンジルブロミド(1.05kg,4.21mol)を1時間にわたって加えた。結果の混合物を30分撹拌し、10%の塩化アンモニウム水溶液(3.6L)を加えた。真空下でテトラヒドロフランを蒸発させて該スラリーをろ過した。フィルターケークを水(6L)で洗浄し、ろ液をヘプタンと酢酸エチルの10:1混合物(2.5L)と共に30分撹拌した。固体をろ過で集めて2.10Kg(91%)の(2S,4R)-1-(3,5-ジクロロフェニル)-3-トリフルオロアセチル-2-(2-tert-ブチル)-4-(4-ブロモベンジル)-4-メチルイミダゾリジン-5-オンを白色固体として得た:1H NMR (400 MHz, CDCl3) 一方の回転異性体 δ 7.21 (d, J=1.8Hz, 2H, ArH), 7.19 (ABq, J=8.4Hz, 2H, ArH), 6.87 (d, J=1.8Hz, 1H, ArH), 6.72 (ABq, J=8.4Hz, 2H, ArH), 5.60 (s, 1H, NCHN), 3.65 (ABq, J=14.0 Hz, 1H, ArCH2), 3.04 (ABq, J=14.0 Hz, 1H, ArCH2), 1.90 (s, 3H, CH3), 0.67 (s, 9H, C(CH3)); 1H NMR (400 MHz, CDCl3) 第2異性体 δ 7.21 (d, J=1.8Hz, 2H, ArH), 7.18 (ABq, J=8.4Hz, 2H, ArH), 6.87 (d, J=1.8Hz, 1H, ArH), 6.70 (ABq, J=8.4Hz, 2H, ArH), 5.40 (s, 1H, NCHN), 3.20 (ABq, J=14.0 Hz, 1H, ArCH2), 3.00 (ABq, J=14.0 Hz, 1H, ArCH2), 1.87 (s, 3H, CH3), 0.80 (s, 9H, C(CH3)); MS: m/z 566 (M+)。
【0047】
テトラヒドロフラン(7.0L)中の上記イミダゾリジン-5-オン(2.0Kg,3.50mol)の溶液に、40%のトリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド(3.07Kg,7.35mol)を添加後、50%のNaOH(0.56Kg,7.00mol)を加えた。混合物を45℃に加熱して5時間撹拌した。内部温度を50℃未満に維持しながら6N HCl(3.2L,19.20mol)を滴加した。混合物を50℃で1時間撹拌してから真空下でTHFを蒸発させた。酢酸イソプロピル(10L)を加えて混合物を50% NaOH(0.84Kg,10.5mol)で中和した。層を分けて有機層を水(6.7L)で洗浄した。真空下で酢酸イソプロピルを蒸発させ、ジメチルスルホキシド(3.5L)を加えた。HPLCによる定量アッセイは、ジメチルスルホキシド中の1.41Kg(99%)の(R)-2-アミノ-2-(4-ブロモベンジル)-N-(3,5-ジクロロフェニル)プロピオンアミドを示した。この粗製反応生成物を含有するジメチルスルホキシド溶液を精製せずに次工程で直接使用した。特徴づけのため生成物の4-トルエンスルホン酸塩としての小サンプルをアセトニトリルから結晶化によって白色固体として単離した:融点>200℃;1H NMR (400 MHz, (D3C)2SO) δ 10.44 (s, 1H, ArNH), 8.30 (bs, 2H, NH2), 7.71 (d, J=1.6 Hz, 2H, ArH), 7.51 (ABq, J=6.4 Hz, 2H, ArH), 7.37 (t, J=1.6 Hz, 1H, ArH), 7.28 (ABq, J=7.4 Hz, 2H, ArH), 7.11 (ABq, J=6.4 Hz, 2H, ArH), 6.81 (ABq, J=7.4 Hz, 2H, ArH), 3.40 (ABq, J=14.0, 1H. ArCH2), 3.20 (ABq, J=14.0 Hz, ArCH2), 2.27 (s, 3H, CH3), 2.27 (s, 3H, CH3), 1.66 (s, 3H, CH3); MS: m/z 402 (M+)。
【0048】
ジメチルスルホキシド(3.3L)中のフェノキシカルボニルアミノアセトアルデヒドジメチルアセタール(0.91Kg,4.03mol)の溶液に上記プロピオンアミドを添加後、トリエチルアミン(33g,34mol)を加えた。混合物を60℃で5時間加熱して3% Na2CO3(10L)を加えた。層を分けて有機層を水(6.7L)で洗浄した。酢酸エチルを低体積に蒸発させてヘプタン(12L)をゆっくり加えた。結果のスラリーを22℃で4時間撹拌した。固体をろ過で集めて1.67Kg(89%)の(R)-2-[(4',4'-ジメトキシエチル)アミノカルボニル]アミノ-2-(4-ブロモベンジル)-N-(3,5-ジクロロフェニル)-プロピオンアミドを白色固体として得た。融点:128-130℃。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.94 (bs, 1H, NH), 7.79 (d, J=1.8 Hz, 2H, ArH), 7.46 (ABq, J=8.3 Hz, 2H, ArH), 7.22 (t, J=1.8 Hz, 1H, ArH), 7.07 (ABq, J=8.3 Hz, 2H, ArH), 6.17 (bs, 1H, NH), 6.12 (t, J=4.4 Hz, 1H, NH), 4.35 (t, J=5.3 Hz, 1H, (CH3O)2CH), 3.38 (ABq, J=12.4, 1H. ArCH2), 3.30 (s, 6H, CH3O), 3.30-3.25 (m, 2H, CH2NH), 3.08 (ABq, J=12.4 Hz, ArCH2), 1.15 (s, 3H, CH3). MS: m/z 502 (M+-OCH3)。
【0049】
アセトニトリル(6L)中の上記アミド(1.60Kg,3.00mol)、トリフェニルホスフィン(1.01Kg,3.86mol)及びトリエチルアミン(419g,4.14mol)の混合物に四塩化炭素(640g,4.16mol)を20℃で加えた。混合物を20℃で3時間撹拌してからアセトニトリル(12L)中の4-トルエンスルホン酸一水和物(848g,4.45mol)を加えた。結果混合物を70℃に2時間加熱した。真空下でアセトニトリルを蒸発させ、酢酸イソプロピル(8L)と水(8L)を加えた。層を分けて有機層をそれぞれ5% Na2CO3(8L)及び3% NaCl(8L)で洗浄した。溶液を低体積に濃縮してヘプタン(8L)をゆっくり加えた。スラリーをろ過し、ろ液を低体積に濃縮した。残留物をジメトキシエタン(2.5L)に溶かした。HPLCによる定量アッセイは、ジメトキシエタン中の1.27g(94%)の(R)-3-(4-ブロモベンジル)-1-(3,5-ジクロロフェニル)-3-メチル-1-ヒドロイミダゾ[1,2-a]イミダゾール-2-オンを示した。この粗生成物の溶液を精製せずに次工程で直接用いた。
【0050】
上記工程で得たジメトキシエタン(350mL)中のイミダゾール-2-オン(30.9g,67.7mmol)の溶液にp-トルエンスルホン酸ピリジニウム(1.71g,6.8mmol)を加えた。混合物を-5℃に冷却してN-ヨードスクシンイミド(16.83g,74.8mmol)を一度に加えた。混合物を0℃で3時間撹拌し、この反応混合物に酢酸エチル(124mL)と2% Na2SO3(124mL)を加えた。層を分けた。有機層を水(100mL)で洗浄して真空下で低体積にエバポレートした。残留物にイソプロパノール(130mL)を加え、混合物を50℃に1時間加熱した。溶液を徐々に室温に戻した。固体をろ過で集めて24.7g(63%)の(R)-3-(4-ブロモベンジル)-1-(3,5-ジクロロフェニル)-5-ヨード-3-メチル-1-ヒドロイミダゾ[1,2-a]イミダゾール-2-オンを明黄色固体として得た:融点120-122℃;1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.56 (d, J=1.8Hz, 2H, ArH), 7.28 (ABq, J=8.4Hz, 2H, ArH), 6.96 (s, 1H, ArH), 6.80 (ABq, J=8.4Hz, 2H, ArH), 3.55 (ABq, J=14.0Hz, 1H, CH2Ar), 3.26 (d, J=14.0Hz, 1H,CH2Ar), 1.93 (s, 3H, CH3)。MS: m/z 577 (M+)。
【0051】
無水THF(150mL)中の上記ヨードイミダゾール-2-オン(50.0g,93.4mmol)の溶液を-25℃に冷却した。THF中のiPrMgClの溶液(49.0mL,98.1mmol,2.0M/THF)を、温度を-20〜-25℃に維持しながら添加ロートを介して20〜30分にわたって添加した。添加完了後、反応混合物を-20℃で20分撹拌した。-20〜-25℃で15〜20分にわたって反応混合物に、THF中のSO2の溶液(33.7g,107.4mmol,約33mL,THF中20.4w/w%のSO2)を加えた。反応混合物を1.5時間かけてゆっくり約20℃まで温めて確実に反応を完了させた。別個の1000mL三つ口フラスコに固体のN-クロロスクシンイミド(17.5g,130.8mmol)とTHF(75mL)を加えた。撹拌スラリーを-5℃に冷却した。このTHF中の中間体、SO2付加物をカニューレでN-クロロスクシンイミド-THFスラリーに20〜30分かけて温度を0℃未満に維持しながら移した。結果混合物を約0℃で0.5時間撹拌した。約0℃で、固体の炭酸セシウム(45.6g,140.1mmol)とL-アラニンアミドハイドロクロライド(23.3g,186.8mmol)を添加後、水(51mL)とDMF(61.4mL)を加えた。(注:水/THFのvol/volは1:6,DMF/THFのvol/volは1:5。)
【0052】
0.5時間かけて反応混合物を20〜22℃に温め、当該温度でさらに6〜7時間撹拌した。反応混合物にEtOAc(120mL)と水(200mL)を加えた。混合物を10分撹拌し、相分離のため静置した。層を分けて水層を除去した。浴温を45℃未満に維持しながら有機層を真空下(約165トル)で最小撹拌レベルに蒸留した。残留物にEtOAc(250mL)と10% K2CO3溶液(200mL)を加えて混合物を10分撹拌した。有機層を分けて0.5N HCl(200mL)と10分撹拌した。有機層を分けて2% NaCl(200mL)と10分撹拌した。浴温を45℃未満に維持しながら有機層を真空下(約88トル)で最小撹拌レベルに蒸留した。蒸留の残留物にEtOAc(100mL)を加えた。混合物を65℃に加熱すると清澄溶液になった。当該温度で、ヘプタン(600mL)を1時間にわたって加えた。添加後、スラリーを65℃で0.5時間撹拌してから2時間かけて20〜22℃に冷ました。当該温度でさらに2時間撹拌を続けた。固体をろ過し、1:6のEtOAc/ヘプタン(170mL)で洗浄し、真空下40℃で乾燥させて47.5gの表題化合物を酢酸エチル溶媒和物として得た:白色固体,融点110-112℃;1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.43 (s, 1H, ArH), 7.38 (s, 2H, ArH), 7.32 (s, H, ArH), 7.27 (ABq, J=8.4 Hz, 2H, ArH), 6.83 (ABq, J=8.0 Hz, 2H, ArH), 6.78 (d, J=6.5 Hz, 1H, NH), 6.49 (s, 1H, NH2), 6.41 (s, 1H, NH2), 4.04 (m, 1H, CHCONH2), 3.81 (ABq, J=12.0 Hz, 1H, CH2Ar), 3.22 (ABq, J=12.0 Hz, CH2Ar), 2.00 (s, 3H, CH3), 1.38 (d, J=8.0Hz, 3H, CH3). 13C NMR (400 MHz, CDCl3) δ 173.2, 172.7, 148.2, 134.7, 134.5, 132.4, 131.0, 130.7, 129.8, 127.0, 124.8, 121.2, 120.1, 69.1, 51.2, 41.6, 21.1, 18.2. MS: m/z 601 (M+)。
【0053】
下記式XXII:
【化24】

【0054】
(式中、Yはヨード又はブロモである)の適切なヨードイミダゾロン又はブロモイミダゾロン中間体を用いて、同様の手順で以下に列挙する化合物を調製しうる。
【化25】

【0055】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.41 (d, J = 1.8 Hz, 2H, ArH), 7.34 (s, 1H, イミダゾール-H), 7.28 (t, J = 1.8 Hz, 1H, ArH), 7.23 (ABq, J = 8.4 Hz, 2H, ArH), 6.79 (ABq, J = 8.4 Hz, 2H, ArH), 3.78 (m, 5H), 3.21 (m, 5H), 1.95 (s, 3H, CH3), 13C NMR (500 MHz, CDCl3) δ 172.0, 147.2, 134.1, 133.5, 131.7, 130.1, 129.8, 128.9, 126.0, 121.1, 120.3, 119.2, 69.7, 45.9, 44.8, 42.3, 22.2. MS: m/z 600 (M+)。
【化26】

【0056】
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.41 (d, J = 1.8 Hz, 2H, ArH), 7.34 (s, 1H, イミダゾール-H), 7.31 (t, J = 1.8 Hz, 1H, ArH), 7.25 (ABq, J = 8.4 Hz, 2H, ArH), 6.82 (ABq, J = 8.4 Hz, 2H, ArH), 3.82 ((ABq, J = 13.4 Hz, 1H, ArCH2), 3.24 (m, 5H), 3.00 (m, 4H), 1.97 (s, 3H, CH3), 13C NMR (500 MHz, CDCl3) δ 171.9, 147.2, 134.1, 133.5, 131.7, 130.1, 129.8, 128.9, 126.0, 121.1, 120.3, 119.2, 68.4, 64.1, 43.8, 40.9, 20.8. MS: m/z 600 (M+)。
【化27】

【0057】
融点96-99℃;1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.40 (Bs, 1H, NH), 7.64 (s, 1H, ArH), 7.46 (s, 2H, ArH), 7.44 (bs, 2H, NH2), 7.16 (ABq, J=8.0Hz, 2H, ArH), 7.00 (ABq, J=8.0Hz, 2H, ArH), 3.75 (m, 1H, CHCONH2), 3.77 (ABq, J=12.0Hz, 1H, CH2Ar), 3.29 (ABq, J=12.0Hz, CH2Ar), 1.97 (s, 3H, CH3), 1.22 (d, J=8.0Hz, 3H, CH3). MS: m/z 605 (M+);C23H20Cl2F3N5O5Sの分析計算値: C, 45.55; H, 3.32; Cl, 11.69; F, 9.40; S, 5.29. N, 11.55。実測値: C, 45.56; H, 3.01; Cl, 11.54; F, 9.79; S, 5.29. N, 11.41。
【化28】

【0058】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.39 (d, J = 1.8 Hz, 2H, ArH), 7.36 (s, 1H, イミダゾール-H), 7.27 (t, J = 1.8 Hz, 1H, ArH), 7.00 (ABq, J = 8.4 Hz, 2H, ArH), 6.96 (Abq, J = 8.4 Hz, 2H, ArH), 3.88 (ABq, J = 13.4 Hz, 1H, ArCH2), 3.26 (ABq, J = 13.4 Hz, 1H, ArCH2), 3.15 (m, 2H, NHCH2), 1.99 (s, 3H, CH3), 1.20 (t, J = 6.8 Hz, 3H, CH3). MS: m/z 558 (M+)。
【0059】
実施例3及び4は、尿素中間体のイミダゾール-2-オンへの環化のための実施例1及び2の工程の代替プロセスを示す。
実施例3:(R)-3-(4-ブロモベンジル)-1-(3,5-ジクロロフェニル)-3-メチル-1-ヒドロイミダゾ[1,2-a]イミダゾール-2-オンの合成
【化29】

【0060】
MeCN(50mL)中の(R)-2-[(4',4'-ジメトキシエチル)アミノカルボニル]アミノ-2-(4-ブロモベンジル)-N-(3,5-ジクロロフェニル)-プロピオンアミド(20g,37.15mmol)とEt3N(14.3g,141.2mmol)の混合物に、内部温度を10℃未満に維持しながら、MeCN(50mL)中のジクロロトリフェニルホスホラン(21.6g,66.86mmol)を30分にわたって0℃で加えた。混合物を25℃で30分撹拌し、p-トルエンスルホン酸一水和物(27.5g,144.6mmol)を添加した。溶液を70℃に30分加熱した。MeCNを除去して酢酸イソプロピル(200mL)を加えた。有機溶液をそれぞれH2O(150mL)、5% Na2CO3(150mL)及び3% NaCl(150mL)で洗浄した。溶媒を除去して残留油を16時間、10:1のヘプタン/酢酸イソプロピル(242mL)中でスラリーにした。混合物をろ過し、ケークを10:1のヘプタン/酢酸イソプロピル(44mL)で洗浄した。ろ液を低体積に濃縮した。残留物をジメトキシエタン(200mL)に溶かした。HPLCによる定量アッセイは、ジメトキシエタン中の16.1g(95%)の生成物を示した。粗生成物の溶液をハロゲン化工程で直接用いた。
【0061】
実施例4:(R)-3-(4-ピリミジン-5-イル-ベンジル)-1-(3,5-ジクロロフェニル)-3-メチル-1-ヒドロイミダゾ[1,2-a]イミダゾール-2-オンの合成
【化30】

【0062】
(R)-2-[(4',4'-ジメトキシエチル)アミノカルボニル]アミノ-2-(4-ピリミジン-5-イル-ベンジル)-N-(3,5-ジクロロフェニル)-プロピオンアミド(1.5g,2.82mmol)をMeCN(7mL)及びEt3N(1.08g,10.72mmol)と0℃でスラリーにした。内部温度を10℃未満に維持しながらMeCN(8mL)中のジクロロトリフェニルホスホラン(1.64g,5.08mmol)を30分にわたって加えた。混合物を25℃で30分撹拌した。MeCNを除去してEtOAc(15mL)を加えた。有機溶液を1N HCl(各10mL)で2回抽出して捨てた。水溶液をEtOAc(5mL)で2回洗浄した。水溶液をEtOAc(20mL)と混合し、10% NaOHを添加してpHを8に調整した。有機層を収集してp-トルエンスルホン酸一水和物(2.09g,11.0mmol)を加えた。この溶液を67℃に1時間加熱した。10% NaOHを添加してpHを7に調整した。有機溶液を3% NaCl(10mL)で洗浄した。溶媒を除去して残留油を2:1のヘプタン/EtOAc(5mL)中で16時間スラリーにした。ろ過で固体を集めて1.02g(80%)の表題化合物を得た。
実施例5:ボロン酸を用いる尿素中間体の環化
【0063】
【化31】

【0064】
トルエン(10mL)中の1a(0.50g,0.93 mMol)の溶液をDean Stark蒸留トラップ、磁気撹拌及び窒素ラインを備えた反応容器に装填し、室温にて触媒量の3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸(0.036g,0.14mMol,0.15当量)で処理した。反応混合物を5時間加熱還流させた。減圧下で溶媒を除去し、残留物をCombiFlash設備でEtOAc-ヘキサンを用いて(100%ヘキサン→70%ヘキサン)精製した。減圧下で溶媒を除去して0.23gの純粋生成物2aを白色固体として収率54%で得た:1H NMR (300MHz,CDCl3) δ 9.18 (s, 1H), 8.86 (s, 2H), 7.65 (d, J = 1.5 Hz, 2H), 7.41 (d, J = 6.0 Hz, 2H), 7.24 (dd, J = 1.5, 1.2 Hz, 1H), 7.04 (d, J = 6.0 Hz, 2H), 6.99 (dd, J = 8.7, 1.2 Hz, 2H), 3.26 (d, J = 40.8, 10.2Hz, 2H), 1.76 (s, 3H); 13C NMR (300MHz, CDCl3) δ 174.8, 157.6, 154.8 (2C), 145.8, 135.3 (2C), 134.9, 134.2, 133.8, 133.4, 130.6 (2C), 129.1, 127.2 (2C), 127.0 (2C), 120.4, 111.2, 66.3, 44.5, 23.3。
生成物2aを調製するために用いた手順と同様の手順によるが、適切な出発尿素化合物1b又は1cを用いて生成物2b及び2cを調製した。
2b:1H NMR (300MHz,CDCl3) δ 7.72 (d, J = 1.2 Hz, 2H), 7.29 (d, J = 6.3 Hz, 2H), 7.25 (s, 1H), 6.95 (s, 1H), 6.90 (s, 1H), 6.76 (d, J = 6.3 Hz, 2H), 3.20 (d, J = 40.8, 10.2Hz, 2H), 1.76 (s, 3H); 13C NMR (300MHz, CDCl3) δ 174.8, 145.7, 135.3, 134.8 (2C), 132.0 (2C), 131.7, 131.2 (2C), 128.8, 127.1, 122.13, 120.3, 120.0, 111.3, 66.1, 44.0, 23.2。
2c:1H NMR (400MHz,CDCl3) δ 7.69 (m, 2H), 7.26 (m, 1H), 7.03 (s, 1H), 7.01 (s, 1H), 6.97 (m, 1H), 6.92 (s, 1H), 6.90 (m, 2H), 3.3-3.20 (dd, J = 50.6, 13.9Hz, 2H), 1.78(s, 3H); 13C NMR (400MHz, CDCl3) δ 174.8, 148.9, 145.8, 135.4, 134.8, 131.8, 130.9, 129.2, 127.1, 120.9, 120.2, 111.1, 66.1, 44.0, 23.2。
【0065】
実施例6及び7は、本発明の方法で利用しうる代替中間体の製法を示す。
実施例6:(R)-3-(4-ブロモベンジル)-1-(3,5-ジクロロフェニル)-5-ブロモ-3-メチル-1-ヒドロイミダゾ[1,2-a]イミダゾール-2-オンの合成
【化32】

【0066】
ジメトキシエタン(15mL)中の(R)-3-(4-ブロモベンジル)-1-(3,5-ジクロロフェニル)-3-メチル-1-ヒドロイミダゾ[1,2-a]イミダゾール-2-オン(7.0g,15.3mmol)の溶液にトリエチルアミン(0.15g,1.5mmol)を加え、混合物を-5℃に冷却した。内部温度を0℃未満に維持しながら、ジメトキシエタン(40mL)中のN-ブロモスクシンイミド(3.95g,22.2mmol)を2時間にわたって加えた。次に、0.5% Na2SO3(4mL)を加え、真空下で混合物を濃縮した。反応混合物に酢酸エチル(35mL)と水(20mL)を加えて層を分けた。有機層を水(20mL)で洗浄して濃縮した。残留物をクロマトグラフィーで精製して6.26g(77%)の表題化合物を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.60 (d, J=1.8 Hz, 2H, ArH), 7.26 (ABq, J=8.4 Hz, 2H, ArH), 7.25 (s, 1H, ArH), 6.83 (s, 1H, イミダゾール-H), 6.80 (ABq, J=8.4 Hz, 2H, ArH), 3.46 (ABq, J=14.0, 1H. ArCH2), 3.27 (ABq, J=14.0 Hz, ArCH2), 1.90 (s, 3H, CH3). MS m/z 530 (M+)。
実施例7:(R)-2-アミノ-2-(4-トリフルオロメトキシベンジル)-N-(3,5-ジクロロフェニル)プロピオンアミドの合成
【化33】

【0067】
THF(200mL)中の(2S,5R)-3-(3,5-ジクロロ-フェニル)-2-イソプロピル-5-メチル-1-(2,2,2-トリフルオロ-アセチル)-イミダゾリジン-4-オン(50.0g,130.0mmol)と4-トリフルオロメトキシベンジルブロミド(33.94g,133.0mmol)の溶液に、内部温度を0℃未満に維持しながらリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(136.5mL,THF中1.0M溶液,136.5mmol)を0℃で20分にわたって加えた。結果混合物を30分撹拌した。10%の塩化アンモニウム水溶液(160mL)とEtOAc(100mL)を加えた。層を分けて有機層を蒸発乾固させた。残留物に2-プロパノール(250mL)と水酸化カリウム(9.89g,176mmol)を加え、混合物を50℃で4時間加熱した。3M H2SO4(32mL)を加えて混合物を70℃で2時間加熱した。2-プロパノールを蒸留し、酢酸イソプロピル(200mL)を加えた。有機溶液を2N NaOH(200mL)と水(150mL)で洗浄してから濃縮乾固させた。残留物にアセトニトリル(150mL)を添加後、4-トルエンスルホン酸一水和物(25.9g, 136.5mmol)を加えた。混合物を室温で10時間撹拌した。表題化合物をろ過で収集した(69.3g,92%)。融点>200℃。1H NMR (400 MHz, (D3C)2SO) δ 10.44 (s, 1H, ArNH), 8.30 (bs, 2H, NH2), 7.71 (d, J=1.6 Hz, 2H, ArH), 7.51 (ABq, J=6.4 Hz, 2H, ArH), 7.37 (t, J=1.6 Hz, 1H, ArH), 7.30 (ABq, J=7.4 Hz, 2H, ArH), 7.28 (ABq, J=7.4 Hz, 2H, ArH), 7.11 (ABq, J=6.4 Hz, 2H, ArH), 3.40 (ABq, J=14.0, 1H. ArCH2), 3.20 (ABq, J=14.0 Hz, ArCH2), 2.27 (s, 3H, CH3), 2.27 (s, 3H, CH3), 1.66 (s, 3H, CH3); MS: m/z 406 (M+);C24H23Cl2F3N2O5Sの分析計算値:C, 49.75; H, 4.00; Cl, 12.24; N, 4.88。実測値: C, 49.87; H, 3.99; Cl, 12.40; N, 4.84。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式I:
【化1】

(式中:
R1は、ブロモ、トリフルオロメトキシ、シアノ及びピリミジン-5-イル(任意にNH2で一置換又は二置換されていてもよい)から選択され;かつ
R2及びR3は、以下の基:
(A) 水素;及び
(B) C1-4直鎖若しくは分岐アルキル基(任意に、オキソ、-OH、NH2及び-C(O)NR4R5から独立に選択される基で一置換又は二置換されていてもよく、ここで、R4及びR5は、以下の基:
(1) 水素;及び
(2) C1-4直鎖若しくは分岐アルキル基(アルキル基は、CONH2及びOHから独立に選択される基で一置換又は二置換されている);
から独立に選択される);
から成る群よりそれぞれ独立に選択され;
或いは、
R2とR3が、それらが結合している窒素と結合して以下の基:
(1) ピロリジン又はピペリジン環(それぞれ任意に基-C(O)NR6R7で置換されていてもよく、ここで、R6及びR7は、以下の基:
(A) 水素;及び
(B) C1-4直鎖若しくは分岐アルキル基(任意に、オキソ、-OH及びNH2から独立に選択される基で一置換又は二置換されていてもよい);
から独立に選択される);
(2) モルフォリン環;又は
(3) ピペラジン環;
を形成している)
の化合物、又はその医薬的に許容しうる塩の製造方法であって、
非プロトン性有機溶媒中、下記式XXIIの化合物を式RdMgY(式中、RdはC1-6アルキル又はC3-6シクロアルキルであり、Yはハロゲンである)の化合物、二酸化イオウ及びN-クロロスクシンイミドと反応させた後、塩基及び下記式XXIIIの化合物と反応させて式Iの化合物を形成する工程(この工程中に形成される中間体を単離しない)を含む、前記方法。
【化2】

【請求項2】
式中:
R1がブロモ、トリフルオロメトキシ、シアノ及びピリミジン-5-イルから選択され;
R2がHであり;かつ
R3が-CH(R8)C(O)NH2(式中、R8は直鎖若しくは分岐C1-3アルキル基である)であり;或いは
R2とR3が、それらが結合している窒素と一緒に以下の基:
【化3】

(式中、R6及びR7は、H及び任意にOHで置換されていてもよい直鎖若しくは分岐C1-4アルキルから独立に選択される)から選択される基を形成している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記式XXIIの化合物が、以下の工程:
a)非プロトン性有機溶媒中、下記式XIX(式中、R1は請求項1の定義どおりであり、RbはC1-4アルキルである)の化合物を式(Rc)3P(式中、RcはC1-4アルキル、C3-6シクロアルキル又はアリールである)の化合物、四ハロゲン化炭素及びトリ-C1-6アルキルアミンと反応させた後、酸を添加して下記式XXの化合物を形成する工程、又は
a)二者択一的に、非プロトン性有機溶媒中、下記式XIX(式中、R1は請求項1の定義どおりであり、RbはC1-4アルキルである)の化合物を式(Rc)3PX2(式中、RcはC1-4アルキル、C3-6シクロアルキル又はアリールであり、Xはハロゲン化物である)、及びトリ-C1-6アルキルアミンと反応させた後、酸を添加して下記式XXの化合物を形成する工程、又は
a)二者択一的に、非プロトン性有機溶媒中、下記式XIXの化合物をボロン酸化合物ArB(OH)2(式中、Arは、1個以上の電子吸引基で置換されている芳香族炭素環式基である)と反応させて下記式XXの化合物を形成する工程;
【化4】

及び
b)工程a)で生成した式XXの化合物を、非プロトン性有機溶媒中、下記式XXI(式中、Yはハロゲンである)の化合物と反応させて下記式XXIIの化合物を形成する工程;
【化5】

によって製造される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記式XIXの化合物が、
極性有機溶媒中、下記式XVII(式中、R1は請求項3の定義どおりである)の化合物を下記式XVIII(式中、Raはアリールであり、RbはC1-4アルキルである)の化合物、及び有機塩基と反応させて式XIXの化合物を形成する工程を含む方法で製造される、請求項3に記載の方法。
【化6】

【請求項5】
下記式XIXの化合物。
【化7】

(式中、R1はブロモ、トリフルオロメトキシ、シアノ及びピリミジン-5-イル(任意にNH2で一置換又は二置換されていてもよい)から選択され;かつRbはC1-4アルキルである。)
【請求項6】
請求項5に記載の式XIXの化合物の製造方法であって、
極性有機溶媒中、下記式XVII(式中、R1は請求項5の定義どおりである)の化合物を下記式XVIII(式中、Raはアリールであり、RbはC1-4アルキルである)の化合物、及び有機塩基と反応させて式XIXの化合物を形成する工程を含む方法。
【化8】

【請求項7】
前記式XX(式中、R1は、ブロモ、トリフルオロメトキシ、シアノ及びピリミジン-5-イル(任意にNH2で一置換又は二置換されていてもよい)から選択される)の化合物の製造方法であって、以下の工程:
非プロトン性有機溶媒中、請求項5に記載の式XIXの化合物を式(Rc)3P(式中、RcはC1-4アルキル、C3-6シクロアルキル又はアリールである)の化合物、四ハロゲン化炭素及びトリ-C1-6アルキルアミンと反応させた後、酸を添加して式XXの化合物を形成する工程、又は
二者択一的に、非プロトン性有機溶媒中、前記式XIXの化合物を式(Rc)3PX2(式中、RcはC1-4アルキル、C3-6シクロアルキル又はアリールであり、Xはハロゲン化物である)の化合物、及びトリ-C1-6アルキルアミンと反応させた後、酸を添加して式XXの化合物を形成する工程、又は
二者択一的に、非プロトン性有機溶媒中、前記式XIXの化合物をボロン酸化合物ArB(OH)2(式中、Arは、1個以上の電子吸引基で置換されている芳香族炭素環式基である)と反応させて式XXの化合物を形成する工程を含む、前記方法。
【化9】


【公表番号】特表2008−506786(P2008−506786A)
【公表日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−522821(P2007−522821)
【出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【国際出願番号】PCT/US2005/026148
【国際公開番号】WO2006/014828
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】