説明

7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトアミド−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)の新規結晶およびその製造方法

粉末X線回折パターンにおいて下記の表に示される回折角にピークを示す7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)の新規結晶(B型結晶)。


この結晶は、溶液を−5℃〜5℃で酸性状態で結晶を形成させることにより得られる。この結晶は、かさ高くなく、安定性とろ過性が良好で、かつ水に対する溶解性に優れ製造が容易である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、広い抗菌スペクトルを有し、抗菌剤等の医薬品として有用な7−置換−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸の新規な結晶、及びその製造方法に関する。更に詳しくは、抗菌剤等の医薬品として有用な7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトアミド−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)の新規な結晶、及びその製造方法に関する発明である。
【背景技術】
本発明に係わる、7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトアミド−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)は、次の化学式(I)で表される化合物である[以下、本明細書において「化合物(I)」と呼称する]。

この化合物(I)は、抗菌剤等の医薬品として有用な公知の化合物であり、日本薬局方名称「セフジニル」として使用されている。そして、この化合物(I)は、具体的には、例えば、既に発行されている特公平1−49273号公報の中に化学構造・諸性質等が記載され、またその製造方法等も実施例として記載されており、更に、特公平6−74276号公報には、ここに記載された化合物が同一出願人のその後の研究から無晶形の化合物であることが確認されている。しかし、これらの無晶形の化合物は、かさ高く、純度が低く、不安定であり、かつ濾過速度が小さい等の欠点を有しており、従って、医薬として適しておらず、製剤上や保存上取り扱いにくく、また、大量に合成する上においても取り扱いにくいという問題があった。そして、前記化合物(I)の開発者らはこれらの問題点を解決するものとして、特公平6−74276号公報において、化合物(I)の新しい結晶形態の物質としてA型結晶のものを記載している。
化合物(I)の無晶形のものは、かさ高く、純度が低く、不安定であり、かつ濾過速度が小さく製剤上や保存上取り扱いにくく、また、前記A型結晶のものはこれらの性質を改良したものであるが、まだこれらの性質は十分に満足すべきものではない。本発明は、これらの性質のより改善された、特に水に対する溶解性の優れた、製造工程の簡便な新規な結晶形の化合物(I)を提供することを目的とするものである。
【発明の開示】
本発明者らは、このような課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、既に知られているA型結晶のものよりも水に対して優れた溶解性を有し、製造工程がより簡便な新しい結晶形を有する化合物(I)の新規結晶を得ることに成功し、本発明を完成した[以下、この新規な結晶形を有する化合物(I)を「化合物(I)のB型結晶」と呼称する]。
即ち、本発明は、以下の内容をその要旨とするものである。
(1)粉末X線回折パターンにおいて次の第1表に示される回折角にピークを示すことを特徴とする、7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)の新規結晶。

(2)7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)を含む溶液を、−5℃ないし5℃の温度範囲で、酸性状態で結晶化して得られる、前記(1)に記載の7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)の新規結晶。
(3)7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)を含む溶液が該化合物のアルカリ金属塩の水溶液である、前記(1)または(2)に記載の7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)の新規結晶。
(4)7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)の炭酸水素ナトリウム水溶液を、−5℃ないし5℃の温度範囲に冷却しながら溶液のpHを1ないし3に調節して得られる、前記(1)ないし(3)のいずれかに記載の7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)の新規結晶。
(5)7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)を含む溶液を−5℃ないし5℃の温度範囲で酸性状態とすることにより結晶を形成させることを特徴とする、7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)の新規結晶の製造方法。
(6)溶液の酸性状態がpH値1ないし3である、前記(5)に記載の7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)の新規結晶の製造方法。
(7)7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)を含む溶液が、該化合物のアルカリ金属塩の水溶液である、前記(5)または(6)に記載の7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)の新規結晶の製造方法。
(8)酸性状態での溶液の温度が0℃ないし2℃である、前記(5)ないし(7)のいずれかに記載の7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)の新規結晶の製造方法。
(9)前記(5)ないし(8)のいずれかの方法で得られた新規結晶を、さらに−5℃〜−80℃の温度で凍結し、ついで真空乾燥に付することを特徴とする、7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)の新規結晶の無水物の製造方法。
(10)真空乾燥の条件が、真空度が0.1〜0.001mmHg、温度が−20〜35℃であることを特徴とする、前記に(9)記載の7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)の新規結晶の無水物の製造方法。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の化合物(I)のB型結晶の1水和物のX線回折チャートであり、第2図は、本発明の化合物(I)のB型結晶の1水和物の赤外吸収スペクトルのチャートである。第3図は、本発明の化合物(I)のB型結晶の無水物のX線回折チャートであり、第4図は、本発明の化合物(I)のB型結晶の無水物の赤外吸収スペクトルのチャートである。第5図は、参考例で得られた化合物(I)の結晶の無水物のX線回折チャートであり、第6図は、参考例で得られた化合物(I)の結晶の無水物の赤外吸収スペクトルのチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明により得られる、7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)の新規結晶のであるB型結晶の物理化学的特性、およびそれらの製造方法について、以下に詳しく説明する。
1)B型結晶の粉末X線回折パターン
前述の本発明の製造方法によって得られるB型結晶は、その凍結乾燥処理前は化合物(I)の1水和物の結晶であり、凍結乾燥処理後は化合物(I)の1/4水和物ないし無水物の結晶である。
この化合物(I)の新規結晶であるB型結晶は、粉末X線回折パターンにおいて以下の第2表に示される回折角[2θ(°)]にその特徴的なピークを示すものである。

このような上記の第2表のX線回折パターンで特定される化合物(I)の新規結晶であるB型結晶は、前述の特公平6−74276号公報に記載されている7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)のA型結晶とはX線回折パターン及びピークの位置が明らかに異なっており、新規な結晶構造の化合物である。
このような粉末X線回折パターンを示す一つの具体的な例として、後記する実施例1で得られた化合物(I)のB型結晶の1水和物の粉末X線回折パターンを第1図に、実施例2で得られた化合物(I)のB型結晶の無水物の粉末X線回折パターンを第3図に示す。ただし、この回折パターンはあくまで参考として挙げられたものであり、化合物(I)の無水物ないし1水和物の結晶であってその粉末X線回折パターンが本質的に上記の回折パターンと同じ位置に特徴的なピークを示すものであるものはいかなるものも、新規結晶である本発明の化合物(I)のB型結晶と同定されるものである。
2)赤外吸収スペクトル
赤外吸収スペクトルのデータの一例として、後記する実施例1で得られた化合物(I)のB型結晶の1水和物の赤外吸収スペクトルを第2図に、実施例2で得られた化合物(I)のB型結晶の無水物の赤外吸収スペクトルを第4図に示す。ただし、これらのスペクトルはあくまで参考として挙げられたものであり、化合物(I)の無水物ないし1水和物の結晶であって、その赤外吸収スペクトルがこれらのスペクトルと本質的に同じものはいかなるものも、新規結晶である化合物(I)のB型結晶と同定されるものである。
3)化合物(I)のB型結晶の製造方法
従来公知の、例えば特公平1−49273号公報に記載の方法によって製造される7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)は無晶形であり、また特公平6−74276号公報に記載の方法によって製造される化合物はA形結晶の化合物であるが、本発明の方法によれば、これらのものとは異なった新規な結晶形であるB型結晶の化合物が得られる。
本発明の方法によれば、化合物(I)のB型結晶の1水和物は、7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(化合物I)を含む溶液を、−5℃ないし5℃の温度範囲で酸性状態として結晶を生成させることによって得ることが出来る。
ここで使用する、化合物(I)を含む溶液の好ましい例としては、例えば化合物(I)を炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属塩の水溶液に溶解したものが挙げられる。この水溶液中のアルカリ金属塩の濃度は1〜20質量%が好ましく、1〜5質量%が更に好ましい。この化合物(I)の溶液を、さらに必要により活性炭、非イオン性吸着樹脂、アルミナ、酸性酸化アルミニウム等のカラムクロマトグラフィーに付した後に、塩酸、リン酸等の酸性物質を添加して、溶液のpHが1〜3の範囲の酸性になるように調節して化合物(I)の1水和物の結晶を形成させる。この酸性となす操作は温度が−5℃ないし5℃の範囲で行なう必要がある。なお、この酸性化による結晶生成条件は、pHが1.5〜2.5で、温度が0℃ないし2℃の範囲が更に好ましい。このような条件を保った状態で、化合物(I)を含む溶液を0.5〜2時間の間ゆるく攪拌して結晶を形成させる。この結晶を、常法により濾取し、減圧下、25℃ないし30℃で乾燥する。以上の方法により上述のような化合物(I)のB型結晶の1水和物が得られる。得られる化合物(I)のB型結晶の1水和物の水分含量は、カールフィッシャー法により測定して4〜4.5質量%程度である。
このようにして得られた化合物(I)のB型結晶の1水和物を、−5〜−80℃、好ましくは−10〜−30℃の温度で凍結した後、0.1〜0.001mmHg、好ましくは0.01〜0.001mmHgの減圧下に100〜200時間真空乾燥することにより、結晶水の離脱した化合物(I)のB型結晶の無水物ないし1/4水和物を得ることができる。真空乾燥時の温度は−20〜35℃、好ましくは−15〜30℃、最も好ましくは−15〜25℃である。凍結真空乾燥の条件を選択することによって、化合物(I)のB型結晶の1/4水和物から無水物の間の種々の水和物を得ることができる。
次に、本発明で使用する原料の化合物(I)の製造法について説明する。
化合物(I)またはその塩類は、既に述べたように前記特公平1−49273号公報に記載された方法により製造することができるが、特に化合物(I)を高収率で得るには、以下の反応式で示される方法により行なうのが好ましい。


この反応式においてRは「保護されたカルボキシル基」を意味するが、このRにおける好適な保護されたカルボキシ基としては、セファロスポリン化合物の分野において通常用いられるものが挙げられるが、例えばエステル化されたカルボキシ基が挙げられる。この「エステル化されたカルボキシ基」の好ましい例としては、例えばベンジルオキシカルボニル基、ベンズヒドリルオキシカルボニル基、トリチルオキシカルボニル基等のアル(低級)アルコキシカルボニル基が挙げられる。
化合物(I)の好適な塩類は、塩基との塩、酸付加塩などの慣用の無毒性塩類であり、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;例えばカルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土金属塩;アンモニウム塩などの無機塩基との塩;例えばトリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N′−ジベンジルエチレンジアミン塩等の有機アミンなどの有機塩基との塩;例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、燐酸塩等の無機酸付加塩;例えばぎ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等の有機カルボン酸付加塩もしくは有機スルホン酸付加塩;例えば3−(N−ホルミル−N−ヒドロキシアミノ)プロピルホスホン酸塩、2−ヒドロキシ−3−(N−ヒドロキシアミノ)プロピルホスホン酸塩等の有機ホスホン酸付加塩などの有機酸付加塩;例えばアルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸等の塩基性アミノ酸または酸性アミノ酸との塩等が挙げられる。
次に、化合物(I)の製造法を上記の反応式によって詳述する。
まず、工程Aの化合物(IV)またはその塩類は、化合物(II)またはそのアミノ基における反応性誘導体もしくはその塩類に、化合物(III)またはそのカルボキシ基における反応性誘導体もしくはその塩類を反応させることにより製造できる。
化合物(II)のアミノ基における反応性誘導体としては、慣用の誘導体、例えば、化合物(II)と、トリメチルシリルアセトアミド、ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、ビス(トリメチルシリル)尿素等のようなシリル化合物との反応によって生成するシリル誘導体が挙げられ、また化合物(III)の反応性誘導体としては、酸塩化物、酸臭化物等のような酸ハロゲン化物が挙げられ、これらの酸ハロゲン化物はジケテンとハロゲンとの反応によって製造できる。
化合物(II)の塩類としては、化合物(I)における酸付加塩の例示がそのまま挙げられ、化合物(III)の塩類としては、化合物(I)における塩基との塩の例示がそのまま挙げられる。
反応は通常、水、アセトン、ジオキサン、アセトニトリル、クロロホルム、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、塩化エチレン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ピリジン、ヘキサメチルホスホルアミド等のこの反応に悪影響を及ぼさない慣用の溶媒またはそれらの混合物中で行なわれる。反応温度は特に限定されないが、通常冷却下ないし加温下で行われる。
工程Bの化合物(V)は、化合物(IV)またはその塩類にニトロソ化剤を反応させることにより製造できる。
ニトロソ化剤としては、亜硝酸およびその誘導体、例えば塩化ニトロシル、臭化ニトロシル等のニトロシルハロゲン化物、例えば亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム等の亜硝酸アルカリ金属;例えば亜硝酸ブチル、亜硝酸ペンチル、亜硝酸イソアミル等の亜硝酸アルキル等が挙げられる。ニトロソ化剤として亜硝酸の塩、例えばそのアルカリ金属塩を使用する場合、例えば塩酸、硫酸、ぎ酸、酢酸等の無機または有機酸の存在下で反応を行なうのが好ましい。
この反応は通常、水、酢酸、ベンゼン、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、塩化メチレン等のこの反応に悪影響を及ぼさない慣用の溶媒またはそれらの混合物中で行われる。反応温度は特に限定されないが、通常冷却下ないし常温で行われる。化合物(V)は、単離精製することなく、次の工程Cの原料として用いることもできる。
工程Cの化合物(VI)またはその塩類は、化合物(V)に、チオ尿素を反応させることにより製造できる。 この反応は通常、酢酸エチル、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジオキサン、水、酢酸、ぎ酸等のこの反応に悪影響を及ぼさない慣用の溶媒またはそれらの混合物中で行われる。反応温度は特に限定されないが、通常冷却下ないし加温下で行われる。
工程Dの化合物(I)またはその塩類は、化合物(VI)またはその塩類をカルボキシ保護基の脱離反応に付すことにより製造できる。化合物(VI)の塩類としては、化合物(I)において例示した酸付加塩がそのまま挙げられる。
この反応におけるカルボキシ保護基は脱離方法としては、加水分解、還元等のような慣用の方法が挙げられる。
(i)加水分解
加水分解は酸の存在下に行うのが好ましい。このような酸としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸等の無機酸、ぎ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸、酸性イオン交換樹脂等が挙げられる。これらの酸のうち、トリフルオロ酢酸およびp−トルエンスルホン酸のような有機酸を使用する場合、例えばアニソール等の陽イオン捕捉剤の存在下に反応を行うことが望ましい。さらに上記の酸の代りに、三ふっ化ほう素、三ふっ化ほう素エーテレート、三塩化アルミニウム、五塩化アンチモン、塩化第二鉄、塩化第二すず、四塩化チタン、塩化亜鉛等のようなルイス酸も使用することができ、さらにルイス酸を使用する場合にもアニソールのような陽イオン捕捉剤の存在下で反応を行うことができる。
加水分解は通常、塩化メチレン、水、メタノール、エタノール、プロパノール、第三級ブチルアルコール、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジオキサン等のこの反応に悪影響を及ぼさない慣用の溶媒またはそれらの混合物中で行われ、さらに前記酸が液体である場合も溶媒として使用することができる。この加水分解の反応温度は特に限定されないが、通常冷却下ないし加温下で行われる。
(ii)還元
還元は化学還元および接触還元を含む慣用の方法により行われる。
化学還元で使用される還元剤としては、例えばすず、亜鉛、鉄等の金属もしくは例えば塩化クロム、酢酸クロム等の金属化合物と、ぎ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、塩酸、臭化水素酸等の有機もしくは無機酸との組合せが挙げられる。
接触還元で使用される触媒としては、例えば白金板、白金海綿、白金黒、コロイド白金、酸化白金、白金線等の白金触媒、例えばパラジウム海綿、パラジウム黒、酸化パラジウム、パラジウム炭素、コロイドパラジウム、パラジウム硫酸バリウム、パラジウム炭酸バリウム等のパラジウム触媒、例えば還元ニッケル、酸化ニッケル、ラネーニッケル等のニッケル触媒、例えば還元コバルト、ラネーコバルト等のコバルト触媒、例えば還元鉄、ラネー鉄等の鉄触媒、例えば還元銅、ラネー銅、ウルマン銅等の銅触媒等のような慣用の触媒が挙げられる。
還元は通常、水、メタノール、エタノール、プロパノール、N,N−ジメチルホルムアミドのような、この反応に悪影響を及ぼさない慣用の溶媒またはそれらの混合物中で行われる。さらに、化学還元に使用される前記の酸が液体である場合、それらの溶媒として使用することもできる。またさらに、接触還元に使用される溶媒としては、上記の溶媒に加えて、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の慣用の溶媒またはそれらの混合物が挙げられる。反応温度は特に限定されないが、通常冷却下ないし加温下で行われる。
工程Eの化合物(VII)またはその塩類は、化合物(V)を、カルボキシ保護基の脱離反応に付すことにより製造できる。化合物(VII)の塩類としては、化合物(I)において例示した塩基との塩が挙げられる。この反応におけるカルボキシ保護基の脱離反応は、工程Dにおいて説明された方法と同様にして行なわれる。
工程Fの化合物(I)またはその塩類は、化合物(VII)またはその塩類に、チオ尿素を反応させることにより製造できる。この反応は、工程Cにおいて説明された方法と同様にして行われる。
以上の方法により得られた化合物(I)が遊離の形である場合には、常法により、その塩類、特に酸付加塩に導くことができ、また、得られた化合物(I)がその塩類である場合には、常法により遊離の化合物に導くことができる。
以上の製造法により製造された化合物(I)に対して、その単離段階において既に述べた本発明の化合物(I)のB型結晶の1水和物の製造法を適用することにより、新規な結晶形である化合物(I)のB型結晶の1水和物へと導くことができる。更に、この化合物(I)のB型結晶の1水和物を既に述べたように−5〜−80℃の温度で凍結し、0.1〜0.001mmHg、好ましくは0.01〜0.001mmHgの減圧下に100〜200時間真空乾燥するすることによって、化合物(I)のB型結晶の無水物ないし1/4水和物を得ることが出来る。真空乾燥時の温度は−20〜35℃、好ましくは−15〜30℃、最も好ましくは−10〜25℃である。
以上に説明した製造法は化合物(I)のB型結晶を高収率で得る方法であり、またきわめて安全に行なうことができるものである。また、化合物(I)のB型結晶を大量に製造するのにも適したものである。
このようにして得られた本発明の化合物(I)の新規結晶であるそのB型結晶の無水物ないし1水和物は、比較的緻密であるためかさ高くならず、結晶の純度が非常に高く、また熱や光等に対してきわめて安定であると同時に、水に対して優れた溶解性を有する。従って、もともと化合物(I)は抗菌剤として有用な物質であるが、その新規結晶であるB型結晶の無水物ないし1水和物は、上記のような優れた物理的性質を有するため製剤化が容易で、医薬品製剤として使用するのに適しており、また製剤上や保存上の取り扱いも容易である。
また、化合物(I)のB型結晶の無水物ないし1水和物は十分に大きな濾過速度を有しており、製造上の作業を非常に効率的に行なうことが出来るという特徴も有する。従って、本発明の化合物(I)のB型結晶の無水物ないし1水和物は、工場における生産のような大量合成にもきわめて適した物質である。さらに、濾過が容易に行なえるため、精製工程において不純物が混入しにくく、そのため高品質の化合物(I)のB型結晶を製造することができるのである。
以上述べたように、本発明の化合物(I)のB型結晶の無水物ないし1水和物は、きわめてすぐれた利点を有しており、従来公知の無晶形の化合物(I)に比べて非常に優れており、且つ、化合物(I)のA型結晶より製造工程が簡便である。
以下、製造例ならびに実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。尚、各実施例中の「%」は特に注記しない限り「質量%」である。
製造例1:
7−アミノ−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸のベンズヒドリルエステルの塩酸塩(26.6kg)を、N,N−ジメチルアセトアミド(78L)に溶解し、−10℃まで冷却した。
別途、ジケテン(7.6kg)を塩化メチレン(130L)に溶解した溶液に、−25℃以下で塩素(6.5kg)を通気して得た4−クロロアセト酢酸クロリドの塩化メチレン溶液を、上記の溶液に撹拌下、−10〜0℃の温度にて滴下した。滴下終了後、同温度で30分間撹拌を続けた。
反応終了後、反応液に塩化メチレン(130L)を撹拌下5℃にて加え、次いで6%炭酸水素ナトリウム水溶液(260L)を撹拌下5℃にて加えた後、有機層を分取した。次いで、有機層を水(156L)にて5℃で洗浄した。有機層を182Lになるまで減圧濃縮した後、アセトン(130L)を加え、再度182Lになるまで減圧濃縮した。濃縮液にアセトン(78L)を加え、次いで20℃でメタノール(130L)を滴下した。10分間撹拌した後、水(260L)を加え、撹拌下5℃にまで冷却した後、一夜静置した。
析出した結晶を濾取し、30%メタノール水溶液(130L)で洗浄した後、乾燥して、7−(4−クロロアセトアセトアミド)−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸のベンズヒドリルエステル(31.3kg)を得た。
融点:171℃
IR(ヌジョール):3260,1775,1713,1661,1224,698cm−1
製造例2:
7−(4−クロロアセトアセトアミド)−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸のベンズヒドリルエステル(30.8kg)を塩化メチレン(290L)に懸濁し、−5℃に冷却した。冷却後、10.6Nの塩化水素テトラヒドロフラン溶液(267ml)を添加し、次いで亜硝酸イソアミル(7.1kg)を添加した後、0℃にて60分間撹拌を続けた。
得られた7−(4−クロロ−2−ヒドロキシイミノアセトアセトアミド)−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸のベンズヒドリルエステルの塩化メチレン溶液を、チオ尿素(6.5kg)をN,N−ジメチルアセトアミド(78L)に溶解した溶液に、1時間で添加しながら減圧濃縮下反応を行った。塩化メチレンを留去した後、50℃で30分間撹拌を続けた。反応終了後、20℃でアセトン(145L)および5%炭酸水素ナトリウム水溶液(73L)を加え、この溶液を20℃に温度を保ちながら水(290L)中へ20分間で滴下した。滴下終了後、5%炭酸水素ナトリウム水溶液で溶液のpHを6に調整し、撹拌下に5℃に冷却した後、一夜静置した。
析出した沈殿物を濾取し、40%アセトン水溶液(145L)で洗浄後、乾燥して、無晶形の7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸のベンズヒドリルエステル(シン異性体)(36.9kg)を得た。
IR(ヌジョール):3320,1782,1720,1670,1618,1528,1220,698cm−1
実施例1:
7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸のベンズヒドリルエステル(無晶形)の25.0gを塩化メチレン(150ml)とアニソール(15ml)との混液に溶解した。得られた溶液に2,2,2−トリフルオロ酢酸(500ml)を撹拌下5℃にて滴下した後、30分間撹拌を続けた。
反応液を減圧下に濃縮して得られる残渣にジイソプロピルエーテル(250ml)を加えて、固体状の物質(16.5g)が得られた。これを粉砕してイソプロピルアルコール(80ml)に溶かし、活性炭(1.6g)で処理した後5℃にて3時間放置した。得られた析出物を濾取すると無色の結晶(7.8g)を得た。(この結晶はイソプロピルアルコール1分子を包含する。)
この得られた結晶(6.0g)を水(300ml)に加え、炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液を用いてpH6.0に調整した。次いで、この溶液を0℃に冷却し、4規定塩酸(7mL)を用いてpH2.0とし、溶液から結晶を析出させた。得られた結晶を濾取し、25°で12時間かけて減圧乾燥し、7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)の結晶(5.8g)を得た。
この結晶の熱分析の結果、48.7℃に吸熱ピークを有し、かつ6.56%の重量減少を認めた。また、カールフィッシャー法によって水分を測定したところ、その水分は4.11%(1水和物としての計算値:4.36%)であった。これらの結果から、上記で得られた結晶は1水和物であると決定した。
この結晶を下記の測定条件でX線回折装置(島津製作所製、XRD−6000)にかけ、粉末X線回折パターンを測定した。
対陰極: Cu
フィルター: Ni
管電圧: 30kv
管電流: 10mA
検出器:シンチレーションカウンター
この側的結果を第1図及び第3表に示す。

第3表において、対比の欄の「○印」のあるピークが化合物(I)のB型結晶を特定する特有のピークである。従って、上記の実施例1で得られた7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)の結晶は、そのB型結晶の1水和物であることが分かった。
また、ここで得られた上記の1水和物の新規結晶の赤外吸収スペクトルのチャートを第2図に示す。
IR(ヌジョール):1780,1460cm−1
実施例2:
同様に、実施例1において、pH2.0として溶液から析出させた結晶を濾取し、これを−20℃の温度で一夜保存して凍結させ、次いで真空度0.01mmHgの真空下に室温(20℃)で158時間真空乾燥に付し、7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)の結晶21gを得た。この結晶の水分をカールフィシャー法によって測定したところ、その水分は1.05%であった。この結果からここで得られた結晶は7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)の無水物であると決定した。
この結晶を下記の測定条件でX線回折装置(島津製作所製、XRD−6000)にかけ、粉末X線回折パターンを測定した。
対陰極: Cu
フィルター: (Ni)
管電圧: 40kv
管電流: 30mA
検出器:シンチレーションカウンター
この側的結果を第3図及び第4表に示す。

第4表において、対比の欄の「○印」のあるピークが化合物(I)のB型結晶の無水物の特有のピークである。従って、上記の実施例2で得られた7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)の結晶は、そのB型結晶の無水物であることが分かった。
また、ここで得られた上記のB型結晶の無水物の赤外吸収スペクトルのチャートを第4図に示す。
IR(ヌジョール):1770,1665,1460cm−1
実施例3:
実施例2で得た7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)のB型結晶の無水物と、実施例1においてpH値が3.6、水溶液の温度が22℃で重炭酸ナトリウム水溶液からの結晶の析出を行なって得られた化合物(I)のA型結晶を用いて、その水への溶解速度を測定した。
即ち、イオン交換水50mLに上記のA型結晶またはB型結晶のそれぞれ10mgを投入し、回転速度を毎分60回転として溶解し、その経過時間とともに溶液中の各結晶の濃度を液クロで測定した。その結果を第5表に示す。

この結果から、本発明の化合物(I)のB型結晶の無水物は、従来のA型結晶に比べて水に対して優れた溶解性を有することが分かり、医薬として使用する場合にその吸収改善効果が期待できる。
参考例1:
実施例1で得た7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)の結晶の1水和物を、減圧下に、五酸化リン存在下、60℃で1時間の間、減圧乾燥を行なって、7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)の無水物の結晶を得た。
この結晶を実施例1と同一の測定条件でX線回折装置にかけ、粉末X線回折パターンを測定した。
この側的結果を第5図及び第6表に示す。

第6表において、対比の欄の「○印」のあるピークが化合物(I)のB型結晶の特有のピークに対応するピークであるが、それ以外の回折角のところにはB型結晶に特有のピークが見られず、この条件で製造した化合物(I)の結晶はB型結晶であるかどうか判断することは困難である。
また、ここで得られた上記の新規結晶の赤外吸収スペクトルのチャートを第6図に示す。
IR(ヌジョール):1770,1665,1460cm−1
【産業上の利用可能性】
本発明の化合物(I)のB型結晶の無水物または1水和物は、かさ高くならず、結晶の純度が非常に高く、また熱や光等に対してきわめて安定であると同時に、水に対して優れた溶解性を有するため、製剤化が容易で、医薬品製剤として使用するのに適しており、また製剤上や保存上の取り扱いも容易である。
また、化合物(I)のB型結晶の無水物または1水和物は、十分に大きな濾過速度を有しており、製造を非常に効率的に行なうことが出来、医薬品製剤の製造に有用である。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
末X線回折パターンにおいて以下の第1表に示される回折角にピークを示すことを特徴とする、7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)の新規結晶。

【請求項2】
7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)を含む溶液を、−5℃ないし5℃の温度範囲で、酸性状態で結晶化して得られる、請求の範囲第1項に記載の7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)の新規結晶。
【請求項3】
7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)を含む溶液が該化合物のアルカリ金属塩の水溶液である、請求の範囲第1項または第2項に記載の7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)の新規結晶。
【請求項4】
7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)の炭酸水素ナトリウム水溶液を、−5℃ないし5℃の温度範囲に冷却しながら溶液のpHを1ないし3に調節して得られる、請求の範囲第1項ないし第3項のいずれかに記載の7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)の新規結晶。
【請求項5】
7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)を含む溶液を−5℃ないし5℃の温度範囲で酸性状態とすることにより結晶を形成させることを特徴とする、7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)の新規結晶の製造方法。
【請求項6】
溶液の酸性状態がpH値1ないし3である、請求の範囲第5項に記載の7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)の新規結晶の製造方法。
【請求項7】
7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)を含む溶液が、該化合物のアルカリ金属塩の水溶液である、請求の範囲第5項または第6項に記載の7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)の新規結晶の製造方法。
【請求項8】
酸性状態での溶液の温度が0℃ないし2℃である、請求の範囲第5項ないし第7項のいずれかに記載の7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)の新規結晶の製造方法。
【請求項9】
請求の範囲第5項ないし第8項のいずれかの方法で得られた新規結晶を、さらに−5℃〜−80℃の温度で凍結し、ついで真空乾燥に付することを特徴とする、7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)の新規結晶の無水物の製造方法。
【請求項10】
真空乾燥の条件が、真空度が0.1〜0.001mmHg、温度が−20〜35℃であることを特徴とする、請求の範囲第9項に記載の7−[2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−2−ヒドロキシイミノアセトアミド]−3−ビニル−3−セフェム−4−カルボン酸(シン異性体)の新規結晶の無水物の製造方法。

【国際公開番号】WO2004/085443
【国際公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【発行日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−504012(P2005−504012)
【国際出願番号】PCT/JP2004/003622
【国際出願日】平成16年3月18日(2004.3.18)
【出願人】(594135140)
【Fターム(参考)】