説明

ADPP2Y12レセプターアンタゴニストとしてのトリアゾロピリミジン誘導体

本発明は、式(I)の新規な二環式トリアゾロピリミジン化合物またはその形態物に関するものである。ここで、RおよびRは、本明細書に定義されたものである。また、本発明は、その作製方法およびADP抑制剤としての使用方法に関するものである。
【化30】

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔関連出願に対するクロスリファレンス〕
本出願は、2006年10月31日出願の米国仮特許出願シリアル番号第60/855678号の利益を享受するものである。この出願は、その全体および全目的において、参照によってここに取り入れられる。
【0002】
〔発明の分野〕
本発明は、新規なトリアゾロピリミジン化合物またはその形態物、その作製方法およびADP P2Y12レセプターアンタゴニストとしての使用方法、ならびに、血小板が仲立ちする血栓症の障害を治療するための血小板凝集抑制剤に関するものである。
【0003】
〔発明の背景〕
アゴニストによって誘発される血小板賦活は、血栓と止血血栓の生成の原因となるプロセスである血小板の凝集に至る血小板−内皮の相互作用と血小板−血小板の相互作用を引き起こす。このプロセスは、損傷を受けた血管壁の修復や創傷治癒に重要な役割を演ずるが、異常な血小板凝集は、動脈血栓症に至る病態的生理である。
【0004】
血栓症は世界の主な死因の一つであって、種々の疾患容態(例えば、血管形成または大動脈冠動脈バイパス、深部静脈血栓症および動脈硬化後の、心筋梗塞、不安定な狭心症、安定な狭心症、一過性虚血性発作(TIA)、脳卒中、末梢動脈の閉塞疾患、再閉塞および再狭窄)に関係している。
【0005】
血小板凝集(その最終的な一般的事象は、グリコプロテインIIb/IIIa(GPIIb/IIIa)膜結合部位へのフィブリノゲンの結合から起こる血小板の架橋である)に至る経路はいくつかに収斂する。GPIIb/IIIaに対する抗体またはアンタゴニストの高い抗血小板凝集の有効性により、フィブリノゲンの結合が妨害され、また、この種の剤に観察される副作用の出血事象が引き起こされる。トロンビンは、一般的にその他の経路とは別に、血小板凝集を生じ得る。しかしながら、その他のメカニズムによる血小板の事前の賦活がない場合には、かなりの量のトロンビンが存在することはないようである。
【0006】
ADP(アデノシン5’−二リン酸塩)は、血栓症の重要な仲介者として作用する。ADPの重要な役割は、その他の剤、例えばアドレナリンと5−ヒドロキシトリプタミン(5HT、セロトニン)が、ADPの存在下のみ凝集を生じるという事実によってサポートされる。アスピリンの抗血栓性活性が限られているのは、アスピリンが、血小板の付着後に、トロンボキサンに依存して放出されるADPの一つの源だけを妨害するという事実を反映するものであろう。アスピリンは、損傷を受けた細胞等のADPのその他の源や、血流の乱れた条件下において放出されるADPによって生じる凝集には影響を与えない。ADPによって誘発される血小板凝集は、血小板膜上のプリン受容体(purinoceptor)P2Tサブタイプレセプターによって誘発される。
【0007】
更に、凝集血小板の高密度粒状体から放出されるADPは、その他のアゴニスト(例えばコラーゲン、トロンボキシン(thromboxin)、5HTおよびセロトニン)によって誘発される血小板の賦活を拡大、伝播するフィードバックプロセスによって、二次的な凝集を誘発する。ADPによって誘発される血小板凝集の抑制は、臨床における動脈血栓症および静脈血栓症の事象の危険性を減らすために使用されるいくつかの抗血小板薬のメカニズムの一つである。
【0008】
これまでの証拠では、血小板表面には、P2X、P2YおよびP2Y12(P2T、P2TAC、P2YADPまたはP2cycとも呼ばれる)レセプターとして分類される三種類のADPレセプターがあると推定されている。
【0009】
P2Yレセプターは、Gqタンパク質を介するホスファリパーゼCの賦活および細胞質ゾルカルシウムの上昇およびIPの形成を介するカルシウム流入および細胞間蓄積物からのCa++の放出に関連する。これらには、形状変化と一時的な凝集とが関与する。P2Y12レセプターは、アデニル酸シクラーゼの抑制に対しGを介して関連づけられたレセプターとして、選択的なアンタゴニストを利用して薬理的に特徴づけられてきた。従って、P2Y12レセプターは、ADPに応答して、サイクリックAMPレベルの低下を仲介し、更なる粒状体の減少と凝集の継続とを仲介する。
【0010】
それ故、ADP P2Y12レセプターアンタゴニストは、アスピリンまたは現在利用可能な治療法より有効性が高く、出血に対しフィブリノゲンレセプターの他のアンタゴニストより影響の少ない抗血栓剤を提供するものであろう。
【0011】
PCT出願WO97/03084(米国特許第5,747,496号として特許)、WO98/28300(米国特許第6,297,232号参照)、WO99/05142(米国特許第6,156,756号参照)、WO99/05143(米国特許第6,251,910号参照)、WO99/05144(米国特許第6,166,022号参照)、WO99/41254(米国特許第6,369,064号参照)WO00/004021、WO00/33080(米国特許第6,455,322号参照)、WO00/34283(米国特許出願公開2003/0144305、2006/0025590および米国特許第6,525,060号と6,974,868号参照)、WO01/36421(米国特許第6,713,483号参照)、WO01/92262(米国特許出願公開2003/0120105および2003/0181469号参照)、WO01/92263(米国特許出願公開2003/0148888および2006/0041132および米国特許第7,067,663)、WO02/38570(米国特許出願公開2004/0146498および米国特許第7,034,023号参照)およびWO02/96428(米国特許出願公開2004/0146498および2006/0189584参照)は、それぞれ、シクロペンチル置換トリアゾロピリミジン化合物をP2Tアンタゴニストとして記載している。
【0012】
PCT出願WO97/35539(米国特許第6,107,300号および6,448,261号参照)は、CRFアンタゴニストとしてのアリールアミノ縮合ピリジンおよびピリミジンの作製について開示している。米国特許第4,076,711号は、乾癬の局所治療のためのトリアゾロピリミジン化合物について記述している。米国特許第6,458,796号は、cGMP代謝ホスホジエステラーゼの抑制剤としてのトリアゾロピリミジン化合物について記述している。PCT出願WO04/018473は、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤としてのアザプリン誘導体について記述している。
【0013】
論文 ν-Triazolo[4,5-d]pyrimidines (8-azapurines){ν−トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン(8−アザプリン)}、パート18、Three new reactions for synthesizing 8-azapurinethiones from 4-amino-5-cyano-1,2,3-triazoles(4−アミノ−5−シアノ−1,2,3−トリアゾールから8−アザプリンチオンを合成するための三つの新規な反応)(Adrien A., Lin C. J., Journal of the Chemical Society, Perkin Transactions 1: Organic and Bio-Organic Chemistry (1972-1999) (1977), (2), 210-13)には、3,4−ジヒドロ−7−(フェニルアミノ)−3−(フェニルメチル)−5H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−チオン化合物が記述されている。
【0014】
〔発明の概要〕
本発明は、式(I)の化合物またはその形態物に関するものである。
【化1】

【0015】
ここで、RおよびRは、本明細書に定義されたものである。式(I)の化合物は、ADP P2Y12レセプターアンタゴニストとして有用である。
【0016】
更に、本発明は、血小板が仲立ちする血栓症、障害または容態の、改善、治療または抑制の必要な対象者の、血小板が仲立ちする血栓症、障害または容態の、改善、治療または抑制方法であって、対象者に式(I)の化合物またはその形態物の有効量を投与することを含む方法に関する。
【0017】
また、本発明は、血小板の凝集の抑制が必要な対象者の、血小板の凝集を抑制する方法であって、対象者に式(I)の化合物またはその形態物の有効量を投与することを含む方法に関する。
【0018】
〔発明の詳細な説明〕
本発明は、式(I)の化合物またはその形態物を提供する。
【化2】

ここで、Rは、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル−C1−8アルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリール−C1−8アルキルから選択される。ここで、ヘテロシクリルとヘテロアリールとのそれぞれの場合は、オプションで、C1−4アルキルまたはハロゲンで置換される。
【0019】
ここで、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールは、ヘテロシクリル環炭素原子またはヘテロアリール環炭素原子を介して結合している。
【0020】
ここで、ヘテロシクリル−C1−8アルキルとヘテロアリール−C1−8アルキルとのヘテロシクリル部分およびヘテロアリール部分は、ヘテロシクリル環窒素原子またはヘテロアリール環窒素原子を介してC1−8アルキル部分に結合している。
【0021】
また、Rは、C1−8アルキル、C1−8アルコキシ−C1−8アルキル、C1−8アルキル−チオ−C1−8アルキル、C3−8シクロアルキル、C3−8シクロアルキル−C1−8アルキル、フェニル−C1−8アルキル、ヘテロシクリル−C1−8アルキル、ヘテロアリール−C1−8アルキルまたはハロ−C1−8アルキルから選択される。
【0022】
ここで、C3−8シクロアルキルは、オプションで、フェニルまたはヘテロアリールで置換される。ここで、フェニルまたはヘテロアリールは、それぞれ、オプションで、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、アミノ、C1−4アルキル−アミノ、ヒドロキシ、シアノ、ハロ−C1−4アルキルまたはハロゲンで置換される。
【0023】
本発明の一例は式(I)の化合物およびその形態物である。ここで、
は、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル−C1−4アルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリール−C1−4アルキルから選択される。ここで、ヘテロシクリルとヘテロアリールとのそれぞれの場合は、オプションで、C1−4アルキルで置換される。
【0024】
ここで、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールは、ヘテロシクリル環炭素原子またはヘテロアリール環炭素原子を介して結合している。
【0025】
ここで、ヘテロシクリル−C1−4アルキルとヘテロアリール−C1−4アルキルとのヘテロシクリル部分およびヘテロアリール部分は、ヘテロシクリル環窒素原子またはヘテロアリール環窒素原子を介してC1−4アルキル部分に結合している。
【0026】
本発明の一例は、式(I)の化合物およびその形態物である。ここで、Rは、1H−テトラゾール−1−イル、1H−テトラゾール−1−イル−C1−4アルキル、2H−テトラゾール−2−イル−C1−4アルキル、1H−テトラゾール−5−イル、1H−イミダゾール−1−イル−C1−4アルキル、4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル、1H−[1,2,3]トリアゾール−1−イル−C1−4アルキル、2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−C1−4アルキルまたは4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルから選択される。そのそれぞれは、オプションで、C1−4アルキルで置換される。
【0027】
本発明の一例は、式(I)の化合物およびその形態物である。ここで、Rは、1H−テトラゾール−1−イル、1H−テトラゾール−1−イル−メチル、2H−テトラゾール−2−イル−メチル、1H−テトラゾール−5−イル、1H−イミダゾール−1−イル−メチル、4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル、1H−[1,2,3]トリアゾール−1−イル−メチル、2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−メチルまたは4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルから選択される。ここで、4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルは、オプションで、C1−4アルキルで置換される。
【0028】
本発明の一例は、式(I)の化合物およびその形態物である。ここで、Rは、1H−テトラゾール−1−イル−メチル、2H−テトラゾール−2−イル−メチル、1H−テトラゾール−5−イル、1H−イミダゾール−1−イル−メチル、1H−[1,2,3]トリアゾール−1−イル−メチル、2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−メチルまたは4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルから選択される。ここで、4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルは、オプションで、C1−4アルキルで置換される。
【0029】
本発明の一例は、式(I)の化合物およびその形態物である。ここで、Rは、1H−テトラゾール−5−イルまたは4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルから選択される。ここで、4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルは、オプションで、メチルで置換される。
【0030】
本発明の一例は、式(I)の化合物およびその形態物である。ここで、
は、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ−C1−4アルキル、C1−4アルキル−チオ−C1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルキル−C1−4アルキル、フェニル−C1−4アルキル、ヘテロシクリル−C1−4アルキル、ヘテロアリール−C1−4アルキルまたはハロ−C1−4アルキルから選択される。
ここで、C3−6シクロアルキルは、オプションで、フェニルで置換され、そのフェニルは、オプションで、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、アミノ、C1−4アルキル−アミノ、ヒドロキシ、シアノ、ハロ−C1−4アルキルまたはハロゲンで置換される
【0031】
本発明の一例は、式(I)の化合物およびその形態物である。ここで、
は、C1−4アルキル、C1−4アルキル−チオ−C1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルキル−C1−4アルキル、フェニル−C1−4アルキル、ヘテロシクリル−C1−4アルキル、ヘテロアリール−C1−4アルキルまたはハロ−C1−4アルキルから選択される。
【0032】
ここで、C3−6シクロアルキルは、オプションで、フェニルで置換され、そのフェニルは、オプションで、ハロゲンで置換される。
【0033】
本発明の一例は、式(I)の化合物およびその形態物である。ここで、Rは、C1−4アルキル、C1−4アルキル−チオ−C1−4アルキル、シクロプロピル、シクロプロピル−C1−4アルキル、フェニル−C1−4アルキル、テトラヒドロフラン−2−イル−C1−4アルキル、チエン−2−イル−C1−4アルキル(thien2ylC14alkyl)またはハロ−C1−4アルキルから選択される。ここで、シクロプロピルは、オプションで、フェニルで置換される。
【0034】
本発明の一例は、式(I)の化合物およびその形態物である。ここで、Rは、C1−4アルキルまたはC3−6シクロアルキルから選択される。ここで、C3−6シクロアルキルは、オプションで、フェニルで置換され、そのフェニルは、オプションで、ハロゲンで置換される。
【0035】
本発明の一例は、式(I)の化合物およびその形態物である。ここで、Rは、C1−4アルキルまたはシクロプロピルから選択される。ここで、シクロプロピルは、フェニルで置換される。
【0036】
本発明の一例は、式(I)の化合物およびその形態物である。ここで、Rは、フェニル置換シクロプロピルである。
【0037】
本発明の一例は、式(I)の化合物およびその形態物である。ここで、
は、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル−C1−4アルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリール−C1−4アルキルから選択される。ここで、ヘテロシクリルとヘテロアリールとのそれぞれの場合は、オプションで、C1−4アルキルで置換される。
【0038】
ここで、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールは、ヘテロシクリル環炭素原子またはヘテロアリール環炭素原子を介して結合している。
【0039】
また、ここで、ヘテロシクリル−C1−4アルキルとヘテロアリール−C1−4アルキルとのヘテロシクリル部分およびヘテロアリール部分は、ヘテロシクリル環窒素原子またはヘテロアリール環窒素原子を介してC1−4アルキル部分に結合している。
【0040】
また、Rは、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ−C1−4アルキル、C1−4アルキル−チオ−C1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルキル−C1−4アルキル、フェニル−C1−4アルキル、ヘテロシクリル−C1−4アルキル、ヘテロアリール−C1−4アルキルまたはハロ−C1−4アルキルから選択される。
【0041】
ここで、C3−6シクロアルキルは、オプションで、フェニルで置換され、そのフェニルは、オプションで、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、アミノ、C1−4アルキル−アミノ、ヒドロキシ、シアノ、ハロ−C1−4アルキルまたはハロゲンで置換される。
【0042】
本発明の一例は、式(I)の化合物およびその形態物である。ここで、
は、1H−テトラゾール−1−イル、1H−テトラゾール−1−イル−C1−4アルキル、2H−テトラゾール−2−イル−C1−4アルキル、1H−テトラゾール−5−イル、1H−イミダゾール−1−イル−C1−4アルキル、4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル、1H−[1,2,3]トリアゾール−1−イル−C1−4アルキル、2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−C1−4アルキルまたは4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルから選択される。ここで、4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルは、オプションで、C1−4アルキルで置換される。
【0043】
また、Rは、C1−4アルキル、C1−4アルキル−チオ−C1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルキル−C1−4アルキル、フェニル−C1−4アルキル、ヘテロシクリル−C1−4アルキル、ヘテロアリール−C1−4アルキルまたはハロ−C1−4アルキルから選択される。
【0044】
ここで、C3−6シクロアルキルは、オプションで、フェニルで置換され、そのフェニルは、オプションで、ハロゲンで置換される。
【0045】
本発明の一例は、式(I)の化合物およびその形態物である。ここで、
は、1H−テトラゾール−1−イル、1H−テトラゾール−1−イル−メチル、2H−テトラゾール−2−イル−メチル、1H−テトラゾール−5−イル、1H−イミダゾール−1−イル−メチル、4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル、1H−[1,2,3]トリアゾール−1−イル−メチル、2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−メチルまたは4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルから選択される。ここで、4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルは、オプションで、C1−4アルキルで置換される。
【0046】
また、Rは、C1−4アルキル、C1−4アルキル−チオ−C1−4アルキル、シクロプロピル、シクロプロピル−C1−4アルキル、フェニル−C1−4アルキル、テトラヒドロフラン−2−イル−C1−4アルキル、チエン−2−イル−C1−4アルキルまたはハロ−C1−4アルキルから選択される。ここで、シクロプロピルは、オプションで、フェニルで置換される。
【0047】
本発明の一例は、式(I)の化合物およびその形態物である。ここで、
は、1H−テトラゾール−1−イル−メチル、2H−テトラゾール−2−イル−メチル、1H−テトラゾール−5−イル、1H−イミダゾール−1−イル−メチル、1H−[1,2,3]トリアゾール−1−イル−メチル、2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−メチルまたは4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルから選択される。ここで、4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルは、オプションで、C1−4アルキルで置換される。
【0048】
また、Rは、C1−4アルキルまたはC3−6シクロアルキルから選択される。ここで、C3−6シクロアルキルは、オプションで、フェニルで置換され、そのフェニルは、オプションで、ハロゲンで置換される。
【0049】
本発明の一例は、式(I)の化合物およびその形態物である。ここで、
は、1H−テトラゾール−5−イルまたは4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルから選択される。ここで、4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルは、オプションで、メチルで置換される。
【0050】
また、Rは、C1−4アルキルまたはシクロプロピルから選択される。ここで、シクロプロピルは、フェニルで置換される。
【0051】
本発明の一例は、式(I)の化合物およびその形態物である。ここで、Rは、1H−テトラゾール−5−イルまたは4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルから選択される。ここで、4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルは、オプションで、メチルで置換される。また、Rは、フェニル置換シクロプロピルである。
【0052】
式(I)の化合物またはその形態物の代表的化合物には、以下のものからなる群から選ばれた化合物およびその形態物が含まれる。
【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【0053】
式(I)の化合物またはその形態物の代表的な化合物には、以下のものからなる群から選択された化合物1〜23およびそれらの形態物が含まれる。
【表1】



【0054】
式(I)の化合物またはその形態物の代表的な化合物には、以下のものから選択された化合物およびその形態物が含まれる。
【表2】



【0055】
式(I)の化合物またはその形態物の代表的な化合物には、以下のものから選択された化合物およびその形態物が含まれる。
【表3】

【0056】
式(I)の化合物またはその形態物の代表的な化合物には、以下のものから選択された化合物およびその形態物が含まれる。
【表4】

【0057】
〔化合物形態物〕
用語「形態物」は、本発明の化合物の、塩、立体異性体、互変異性体、結晶形態、多形体、非晶形態、溶媒和化合物、水和物、エステル、プロドラッグまたは代謝体を意味する。本発明は、これらの化合物形態物およびそれらの混合物の全てを包含する。
【0058】
本発明の化合物に関連して、用語「単離された形態」は、鏡像異性体、ラセミ混合物、幾何異性体(例えば、シスまたはトランス立体異性体)、幾何異性体の混合物等を意味する。これらは、本質的に純粋な状態で存在し得る。ただし、これらに限定されるわけではない。本発明は、これらの化合物形態物およびそれらの混合物の全てを包含する。
【0059】
本発明の化合物は、薬学的に許容できる塩類の形態で存在し得る。薬剤における使用においては、本発明の化合物の「薬学的に許容できる塩類」は、非毒性の酸性/陰イオン性または塩基性/陽イオン性の塩形態を意味する。
【0060】
適切な塩の形態には、たとえば、本発明に係る化合物の溶液を、酢酸、アジピン酸、安息香酸、炭酸、クエン酸、フマル酸、グリコール酸、塩酸、マレイン酸、マロン酸、リン酸、サッカリン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、トリフルオロ酢酸等の酸の溶液と混合することによって形成され得る酸付加塩が含まれる。
【0061】
更に、本発明の化合物に酸性の成分が存在する場合、その適切な塩類には、アルカリ金属塩(例えばナトリウムまたはカリウム塩);アルカリ土類金属塩(例えばカルシウムまたはマグネシウム塩);および、適切な有機リガンドで形成された塩(例えば第四級アンモニウム塩)が含まれ得る。
【0062】
このように、代表的な塩には、以下が含まれる:酢酸塩、アジピン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、臭化物、カルシウム、カムシレート(camsylate)(またはカンホスルホネート(camphosulphonate))、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩(clavulanate)、クエン酸塩、二塩化水素化物(dihydrochloride)、エデト酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコン酸塩(glyconate)、ヒドラバミン、ヒドロ臭素(hydrobromine)、塩酸塩、ヨウ化物、イソチオン酸塩(isothionate)、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシレート、硝酸塩、オレイン酸塩、パモエート、パルミチン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、サッカリン酸塩(saccharinate)、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トシレート(tosylate)、トリクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩等。
【0063】
本発明の化合物の作製の任意のプロセス中、関与する任意の分子について、その上にある、影響を受けやすい基または反応性の基を保護することが必要であり得、および/または、好ましいことであり得る。このことは、Protective Groups in Organic Chemistry、J. F. W. McOmie編集、Plenum Press社、1973;および、T. W. Greene & P. G. M. Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis、第3版、John Wiley & Sons社, 1999に記述されているような従来の保護基によって達成し得る。これらの保護基は、当技術分野で公知の方法を使用して、以降の適切な段階で除去し得る。本発明の範囲には、これらの保護された化合物形態物およびそれらの混合物の全てが包含される。
【0064】
本発明には、種々の異性体化合物とそれらの混合物とが含まれる。用語「異性体」は、同じ組成と分子量とを有するが、物理特性および/または化学特性において相違する化合物を意味する。そのような物質は、原子の数と種類とは同一であるが構造において相違する。構造上の相違は、構成における相違(幾何異性体)、または、偏光面を回転させる能力における相違(光学異性体)であり得る。
【0065】
用語「立体異性体」は、分子式と共有結合原子の配列とは同一であるが、空間配置が異なる異性体を意味する。
【0066】
用語「光学異性体」は、同一構成であって、その基の空間配置においてのみ相違する異性体を意味する。光学異性体は、偏光面を種々異なる方向に回転させる。用語「光学活性」は、光学異性体が偏光面を回転させる程度を意味する。
【0067】
用語「ラセミ化合物」または「ラセミ混合物」は、二つの鏡像異性種の等モル混合物であって、単離されたそれぞれの種が偏光面を反対方向に回転させる結果、混合物が、光学活性を示さないものを意味する。
【0068】
用語「鏡像異性体」は、重ね合わせ不可能な鏡像を有する異性体を意味する。用語「ジアステレオマー」は、鏡像異性体ではない立体異性体を意味する。
【0069】
用語「キラル」は、所与の構成において、その鏡像上に重ね合わせることができない分子を意味する。これは、その鏡像上に重ね合わせることができるアキラル分子と対照的である。
【0070】
キラル分子の二つの明瞭に区別できる鏡像体は、これらの物質が偏光をどちら側に回転させるかに依存して、levo(左旋性の、省略形はL)またはdextro(右旋性の、省略形はD)としても知られている。記号「R」と「S」とは、ステレオジェン炭素原子のまわりの基の構成を示している。
【0071】
ラセミ混合物から単離される鏡像異性に富んだ形態の一例には、混合物に左旋性異性体が実質的に含まれない右旋性鏡像異性体が含まれる。この文脈において、実質的に含まれないとは、左旋性異性体が、ある範囲において、下式に従って、混合物の25%未満、10%未満、5%未満、2%未満または1%未満含まれ得ることを意味する:
【数1】

【0072】
同様に、ラセミ混合物から単離される鏡像異性に富んだ形態の一例には、混合物に右旋性異性体が実質的に含まれない左旋性鏡像異性体が含まれる。この文脈において、実質的に含まれないとは、右旋性異性体が、ある範囲において、下式に従って、混合物の25%未満、10%未満、5%未満、2%未満または1%未満含まれ得ることを意味する:
【数2】

【0073】
用語「幾何異性体」は、炭素−炭素二重結合、シクロアルキル環または架橋された二環系との関係において、置換基原子の配置が相違する異性体を意味する。炭素−炭素二重結合のそれぞれの側上の(水素以外の)置換基原子は、EまたはZ構成であり得る。「E」構成の場合、置換基は、炭素−炭素二重結合との関係では、互いに反対側にある。「Z」構成の場合は、置換基は、炭素−炭素二重結合との関係において、同一側に配置される。
【0074】
環系に結合される(水素以外の)置換基原子は、シスまたはトランス構成であり得る。「シス」構成では、置換基は、環の平面との関係において同一側にある;「トランス」構成では、置換基は、環の平面との関係において互いに反対側にある。「シス」種と「トランス」種との混合物を有する複合物は、「シス/トランス」と呼ばれる。
【0075】
異性体の記述用記号(「R」、「S」、「E」および「Z」)は、原子構成を示し、文献に定義されたように使用されることを意図したものである。
【0076】
本発明の化合物は、個々の異性体として、異性体に特有の合成法によって作製しても、異性体混合物から分離してもよい。従来の分離技術には、光学的に活性な酸(または塩基)を使用して異性体対のそれぞれの異性体の遊離塩基(または遊離酸)を結合させ、光学的に活性な塩を形成すること(その後に分別晶析と遊離塩基の再生とが続く)、適切なキラル補助体との反応により異性体対の異性体のそれぞれのエステルまたはアミドを形成すること(その後に、分別晶析またはクロマトグラフィ単離およびキラル補助体の除去が続く)、または、種々の周知のクロマトグラフ法を使用して、中間製品または最終製品の異性体混合物を分離することが含まれる。
【0077】
更に、本発明の化合物は、一以上の多形体または非晶形態を有し得、このようなものとして、本発明の範囲に含まれることが意図されている。更に、本化合物のいくつかは、水と溶媒和物(すなわち水和物)を形成し得、または、一般的な有機溶媒(例えばエタノラートなどの有機エステル等)と溶媒和物を形成し得、このようなものとして、本発明の範囲に含まれることも意図されている。
【0078】
〔化学的定義〕
ここで使用される次の用語は、以下の意味を有することを意図したものである(必要に応じて、更なる定義が、明細書中に与えられる)。ここにおける定義は、ある化学用語が、示された式を有することを特定し得る。与えられる特定の式は、本発明の範囲を制限することを意図したものではなく、用語の例示として与えられている。用語の定義自体の範囲は、当業者が包含すると期待する多くの改変物が包含されることを意図したものである。
【0079】
用語「C1−8アルキル」は、単独での使用または置換基の一部としての使用に関係なく、それぞれ1−8の炭素原子を有する直鎖または枝分かれ鎖炭化水素アルキル基またはアルキルジイル連結基を意味する。ここで、基とは、一つの炭素原子から一つの水素原子を取り去ることに由来するものであり、アルキルジイル連結基は、鎖中の二つの炭素原子のそれぞれから一つの水素原子を取り去ることに由来するものである。これらの例には、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、第三ブチル、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル等が含まれる。その他の例には、C1−4アルキル基が含まれる。C1−8アルキルは、結合価的に許容される場合、一以上の利用可能な炭素鎖原子上で、一以上の置換基と置換される。
【0080】
用語「C1−8アルコキシ」は、単独での使用または置換基の一部としての使用に関係なく、1−8の炭素原子を有する、式−O−C1−8アルキルの、直鎖または枝分かれ鎖炭化水素アルキル基またはアルキルジイル連結基を意味する。ここで、アルキルジイル連結基は、鎖中の一つ炭素原子から一つの水素原子を取り去ることに由来するものである。例には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ等が含まれる。その他の例には、C1−4アルコキシ基が含まれる。C1−8アルコキシは、結合価的に許容される場合、一以上の利用可能な炭素鎖原子上で、一以上の置換基と置換される。
【0081】
用語「C1−8アルコキシ−C1−8アルキル」は、式:−C1−8アルキル−O−C1−8アルキルの基を意味する。ここで、C1−8アルキル部分のそれぞれは、オプションで、更に置換される。
【0082】
用語「C1−8アルキル−チオ−C1−8アルキル」は、式:−C1−8アルキル−S−C1−8アルキルの基を意味する。ここで、C1−8アルキル部分のそれぞれは、オプションで、更に置換される。
【0083】
用語「C3−8シクロアルキル」は、単独での使用または置換基の一部としての使用に関係なく、一つの環炭素原子から一つの水素原子を取り去ることに由来する、飽和のまたは部分的に不飽和の単環式炭化水素環系基または多環式炭化水素環基を意味する。典型的シクロアルキル基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等が含まれる。C3−8シクロアルキルは、結合価的に許容される場合、一以上の利用可能な環炭素原子上で、一以上の置換基と置換される。
【0084】
用語「ヘテロ」は、環系の接頭辞として使用される場合、環系中の少なくとも一つの炭素原子環員の、N、O、S、S(O)またはSOから選択されるヘテロ原子による置き換えを意味する。ヘテロ環は、1,2,3または4の炭素原子環員を窒素原子で置き換え得る。あるいは、一つの環が、0,1,2または3の窒素原子環員と一つの酸素原子環員または硫黄原子環員を有し得る。あるいは、二つまでの隣接環員がヘテロ原子であり得る(ここで、一つのヘテロ原子は窒素であり、他のヘテロ原子は、N、SまたはOから選択される)。
【0085】
用語「ヘテロシクリル」は、シクロアルキル環をコア分子として有する、飽和のまたは部分的に不飽和の、単環式または多環式「ヘテロ」環系基を意味する。ヘテロシクリル環系には、2Hピロール、2−ピロリニル、3−ピロリニル、ピロリジニル、1,3−ジオキソラニル、2−イミダゾリニル(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾリルとも称する)、イミダゾリジニル、2−ピラゾリニル、ピラゾリジニル、テトラゾリジニル、ピペリジニル、1,4−ジオキサニル、モルホリニル、1,4−ジチアニル(1,4 dithianyl)、チオモルホリニル、ピペラジニル、アゼチジニル(azetidinyl)、アゼパニル(azepanyl)、ヘキサヒドロ−1,4−ジアゼピニル(hexahydro 1,4 diazepinyl)、ヘキサヒドロ−1,4−オキサゼパニル(hexahydro 1,4 oxazepanyl)、テトラヒドロ−フラニル、テトラヒドロ−チエニル、テトラヒドロ−ピラニル、テトラヒドロ−ピリダジニル等が含まれる。用語「ヘテロシクリル」には、たとえば、インドリニル(2,3−ジヒドロ−インドリルとも称する)、ベンゾ[1,3]ジオキソリル(1,3−ベンゾジオキソリルとも称する)、2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシニル、2,3−ジヒドロ−ベンゾフラニル、1,2−ジヒドロ−フタラジニル等のベンゾ縮合−ヘテロシクリル環系基等も含まれる。結合価的に許容される場合、ヘテロシクリル基は、コア分子に結合し得、更に、任意の原子上で置換され得る。
【0086】
用語「ヘテロアリール」は、芳香族単環式または芳香族多環式不飽和ヘテロシクリル基を意味する。ヘテロアリール環系には、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、1H−イミダゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、1H−テトラゾリル、2H−テトラゾリル、1H−[1,2,3]トリアゾリル、2H−[1,2,3]トリアゾリル、4H−[1,2,4]トリアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル等が含まれる。結合価的に許容される場合、ヘテロアリール基はコア分子に結合し得、更に、任意の原子上で置換され得る。
【0087】
用語「ヘテロアリール」には、たとえば、インドリジニル、インドリル、アザインドリル、イソインドリル、ベンゾ[b]フリル(benzo[b]furyl)、ベンゾ[b]チエニル(benzo[b]thienyl)、インダゾリル、アザインダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル(benzooxazolyl)、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、プリニル、4H−キノリジニル、キノリニル、イソキノリニル、シノリニル(cinnolinyl)、フタルジニル(phthalzinyl)、キナゾリニル、キノキサリニル、1,8−ナフチリジニル、プテリジニル等のベンゾ縮合−ヘテロアリール環系基等も含まれる。結合価的に許容される場合、ベンゾ縮合−ヘテロアリール基はコア分子に結合し得、更に、任意の原子上で置換され得る。
【0088】
用語「ベンゾ縮合(benzofused)」は、環系の接頭辞として使用された場合、任意の単環基をベンゼン環に縮合して(fused)形成される基を意味する。ベンゾ縮合した基は、二環系のいずれかの環を介して、コア分子に結合され得る。
【0089】
用語「C3−8シクロアルキル−C1−8アルキル」は、式:−C1−8アルキル−C3−8シクロアルキルの基を意味する。
【0090】
用語「ヘテロアリール−C1−8アルキル」は、式:−C1−8アルキル−ヘテロアリールの基を意味する
【0091】
用語「ヘテロシクリル−C1−8アルキル」は、式:−C1−8アルキル−ヘテロシクリルの基を意味する。
【0092】
用語「フェニル−C1−8アルキル」は、式:−C1−8アルキル−フェニルの基を意味する。
【0093】
用語「ハロゲン」または「ハロ」は、クロロ、ブロモ、フルオロまたはヨード基を意味する。
【0094】
用語「ハロ−C1−8アルキル」は、式:−C1−8アルキル−ハロの基を意味する。ここで、C1−8アルキルは、結合価的に許容される場合、一以上の利用可能な炭素鎖原子上で一以上のハロゲン原子によって置換される。
【0095】
用語「置換」は、コア分子の一以上の水素原子が、一以上の機能基部分で置換されたことを意味する。結合価的に許容される数によって、置換基の数が制限される。置換は、コア分子に限られる訳ではなく、置換基上でも起こり得る。その際、置換基は結合基になる。
【0096】
〔治療における使用〕
本発明の化合物は、IC50(50%阻害濃度)が、約25μM以下の範囲、約10μM以下の範囲、約1μM以下の範囲、約0.5μM以下の範囲または約0.1μM以下の範囲の、P212Yインヒビターとして有用である。
【0097】
従って、更に、本発明は、血小板が仲立ちする血栓症、障害または容態の、改善、治療または抑制の必要な対象者の、血小板が仲立ちする血栓症、障害または容態の、改善、治療または抑制方法であって、対象者に式(I)の化合物またはその形態物の有効量を投与することを含む、方法に関するものである。
【0098】
本発明は、血小板の凝集の抑制が必要な対象者の血小板の凝集を抑制する方法において、対象者に、式(I)の化合物またはその形態物の有効量を投与することを含む、方法にも関する。
【0099】
本発明の実施形態には、上記の障害の治療のための薬剤の製造における式(I)の化合物の使用が含まれる。
【0100】
本方法の実施形態には、治療、特に補助的治療における、血小板賦活、凝集および粒状体減少の抑制剤、血小板の凝集解離の促進剤、抗血栓剤としての本化合物の使用、アンギナ、不安定アンギナ、冠動脈血管形成、急性心筋梗塞(血栓溶解のある場合またはない場合)、周囲血栓溶解(perithrombolysis)、アテローム性動脈硬化症の一次性動脈血栓性合併症(例えば血栓性の脳卒中または塞栓性の脳卒中、一過性の虚血性発作または末梢血管疾患)、アテローム性動脈硬化症疾患への介入による動脈合併症(例えば、血管形成および、血管形成、血管内膜切除、ステント配置または冠動脈もしくはその他の血管移植手術の後の再閉塞)、手術の損傷または機械的損傷の血栓性合併症(例えば、血栓溶解の治療後、事故による損傷もしくは外科的損傷後の組織サルベージ後、または、皮膚と筋肉フラップとを含む再建手術後、の再閉塞)、散在性の血栓/血小板消費性成因を伴う容態(例えば、播種性血管内血液凝固、血栓性血小板減少紫斑病、容血性尿毒症症候群または血栓性合併敗血症)、成人呼吸窮迫症候群、抗リン脂質症候群、ヘパリン誘発血小板減少、子癇前症/子癇、動脈血栓症または静脈血栓症(例えば深部静脈血栓症)、静脈閉塞性疾患、生体内で機械的に誘発された血小板の賦活(例えば心肺バイパスや微小血栓塞栓症の防止のための体外膜型酸素付加)、試験管内で機械的に誘発された血小板の賦活(例えば、血液製剤、例えば血小板濃縮物、の保存における使用)または、(例えば腎臓透析や血漿分離交換における)短絡閉塞(shunt occlusion)の抑制における血液学的な疾病(例えば血小板血症または鎌状赤血球病を含む脊髄増殖性疾患)、血管損傷/炎症に対し二次的な血栓症(例えば、血管炎、動脈炎、糸球体腎炎、炎症性腸疾患および臓器移植拒否)、片頭痛等の容態、レイノー現象、血小板が、血管壁の内在的炎症疾患プロセスに寄与し得る症状(例えば、アテローム斑の形成/悪化または狭窄/再狭窄)、その他の炎症症状(例えば、血小板および血小板由来の因子が、免疫学的疾患過程に併発した、喘息)の治療または予防、におけるこれらの化合物の使用が含まれる。
【0101】
本方法の例には、急性心筋梗塞、アテローム性動脈硬化症の一次性動脈血栓性合併症(例えば血栓症または塞栓性の脳卒中、一過性虚血性発作または末梢血管疾患)、アテローム性動脈硬化症疾病への介入による動脈合併症(例えば、血管形成および血管形成後の再閉塞)、手術の損傷または機械的損傷の血栓性合併症(例えば血栓溶解治療後の再閉塞)、動脈血栓症、静脈血栓症、血小板が血管壁の内在的炎症疾患プロセスに寄与し得る症状(例えば、アテローム斑の形成/悪化または狭窄/再狭窄)およびアンギナまたは不安定アンギナ、を治療するための式(I)の化合物の使用が含まれる。
【0102】
本方法の例には、動脈血栓症、静脈血栓症、急性心筋梗塞、血栓溶解治療後の再閉塞、血管形成後の再閉塞、不安定アンギナおよび脳卒中を治療するための式(I)の化合物の使用も含まれる。
【0103】
本発明の方法に関して、用語「投与」は、具体的に開示された化合物または、明確に本化合物に属するものとして具体的に開示されていなくても、本発明の範囲内に含まれることが明らかであろう化合物またはそのプロドラッグで、ここに記述されたように、疾患を治療、改善または抑制するための手段を意味する。
【0104】
それらの方法には、式(I)の一以上の化合物、または、その形態物、組成物または薬剤、の有効量を、ある一つの治療の経過中の種々異なる時に、または、同時に組み合わせた形態で、投与することが含まれる。それらの方法には、式(I)の一以上の化合物、または、その形態物、組成物または薬剤、の有効量を、一以上の剤と共に、ある一つの治療の経過中の種々異なる時に、または、同時に組み合わせた形態で、投与することが更に含まれる。
【0105】
用語「プロドラッグ」は、式(I)の化合物またはその形態物の代謝前駆体を意味する。一般的に、プロドラッグは、患者に施されるときには不活性であり得るが、生体内では、活性代謝体化合物に直ちに変換し得る化合物の機能的誘導体である。
【0106】
用語「活性代謝体」は、トロンビンが仲立ちする疾患、障害または容態を、改善、治療または抑制するのに有効な化合物の代謝製品を意味する。適切なプロドラッグ誘導体の選択と作製の従来の手順は、たとえば、「Design of Prodrugs」H. Bundgaard編集、 Elsevier社、1985年に記述されている。
【0107】
ここで用いられる用語「患者」は、これまで、治療、観察または実験の対象であり、かつ、疾患を発現する危険性を有する(または、恐れがある)か、無規律な(unregulated)キナーゼ活性に関連した疾患を持つ危険性を有する(または、恐れがある)、動物、好ましくは哺乳類、最も好ましくはヒトを意味する。
【0108】
用語「有効量」は、患者の組織系、動物またはヒトに、(例えば、無規律なキナーゼ活性を抑制する)生物学的または医学的反応を惹起する活性化合物または医薬の量であって、研究者、獣医、医師またはその他の臨床医学者の探求の対象となる量を意味する。
【0109】
これらの方法で例証される式(I)の化合物の有効量は、約0.001mg/kg/日〜約300mg/kg/日である。
【0110】
用語「組成物」は、式(I)の一以上の化合物またはその形態物を含有する製品(例えば、指定された成分を指定された量含む製品、および、指定された量の指定された成分のそのような組合せから、直接または間接的に得られる任意の製品)を意味する。
【0111】
用語「薬剤」は、トロンビンが仲立ちする疾患、障害または容態を、改善、治療または抑制するのに使用される製品を製造する際に使用される、式(I)の一以上の化合物またはその形態物を意味する。
【0112】
本発明の組成物または薬剤の処方は、その中で使用される分子部分と構成成分とが、動物またはヒトに適切に投与された場合、その処方が、副作用、アレルギー反応またはその他の有害反応をもたらさないように、十分な純度と品質を有する場合に、「薬学的に許容できる」。本発明の範囲内には、ヒトへの使用(臨床または店頭での使用)と獣医による使用との両方が等しく含まれるので、薬学的に許容できる処方には、ヒトへの使用または獣医による使用のために組成物または薬剤が含まれよう。
【0113】
血栓症の基礎をなすメカニズムおよびその介入への理解が増大することにより、緊急治療と二次的抑制とのいずれにおける使用にとっても適切であるように、抗血小板剤、抗凝固剤および線維素溶解剤を単独または組み合わせて使用する併用療法アプローチが更に開発された。
【0114】
使用される抗血栓性化合物の例には、抗血小板剤(例えばアスピリン、クロピドグレル、チクロピジン、ジピリダモール、GPIIb/IIIaアンタゴニスト)、抗凝固剤(例えばトロンビン抑制剤、ワーファリン、ファクターXa抑制剤、ヘパリンおよび低分子量ヘパリン)および線維素溶解剤(例えばストレプトキナーゼ、組織プラスミノーゲン活性化因子およびテネクテプラーゼ)が含まれる。
【0115】
ヒルジン等のトロンビン抑制剤は高度に効果的な抗血栓症薬剤であるが、この場合も、それらが抗血小板剤および抗凝固剤の両方の剤として機能するので、過度の出血をもたらし得る。
【0116】
用語「併用療法」は、式(I)の一以上の化合物およびその形態物、組成物または薬剤を、一以上の抗血小板剤、抗凝固剤または線維素溶解剤と組み合わせて、単独で、または、トロンビンが仲立ちする疾患、障害または容態の、改善、治療または抑制と組み合わせて、使用することを意味し、特定のトロンビンが仲立ちする疾患、障害または容態の治療に推奨される量より少ない、式(I)の化合物および/または治療剤の有効量の使用を促進できる点で有利であり得る。それ故、本発明の化合物は、特定の治療剤での治療の前、その間、またはその後における使用の可能性が考えられる。
【0117】
〔薬用組成物〕
本発明の一実施形態には、式(I)の一以上の化合物および/またはその一以上の形態物および一以上の医薬添加物の混合物を含む組成物が含まれる。
【0118】
式(I)の化合物の形態物には、式(I)の化合物の塩、エステル、プロドラッグまたは活性代謝体が含まれる。式(I)の化合物の形態物には、式(I)の化合物の少なくとも一つの水素原子が、ジューテリウム原子またはトリチウム原子で置換された、式(I)の放射性ラベルが付いた化合物が更に含まれる。当業者に公知のその他のラベリング技術も使用し得る。
【0119】
本発明には、一以上の本化合物とオプションのキャリヤとを混合することを含む、組成物または薬剤の作製プロセスの使用が更に含まれ、このようなプロセスから得られる組成物や薬剤が含まれる。考えられるプロセスには、従来の製薬技術と従来にはない製薬技術との両方が含まれる。
【0120】
この組成物または薬剤は、静脈内投与(大量瞬時投与と注入)、経口投与、鼻からの投与、経皮投与、局所投与(閉塞ありまたはなし)、および、腹膜内、皮下、筋内、腫瘍内または非経口の注射、を含むがそれらに限られるわけではない、投与形態を達成するための広汎な形態を取り得る。この組成物または薬剤は、経口投与、非経口的投与、鼻腔内投与、舌下投与または直腸への投与のための、または、吸入または吹送による、例えば、タブレット、錠剤、カプセル、粉体、粒状体、無菌の非経口溶液または懸濁液、計量されたエアゾールまたは液体スプレー、滴剤、アンプル、自動注入器具または坐薬といった投薬量単位であり得る。
【0121】
経口投与に適した組成物または薬剤には、例えば、錠剤、タブレット、カプレット、カプセル(それぞれ、即時放出、時限放出および徐放の処方を含むもの)、粒状体および粉体等の固形形態;ならびに、溶液、シロップ、エリキシル剤、乳濁物および懸濁物等の液体形態が含まれる。非経口投与に有用な形態には、滅菌溶液、乳濁物および懸濁物が含まれる。あるいは、本組成物または薬剤は、一週間に一回または一ヶ月の一回の投与に適した形態で与えられ得る。たとえば、活性化合物の不溶性塩(例えばデカノエート塩)は、筋内注射のためのデポー製剤の提供に適し得る。
【0122】
活性成分としての一以上の式(I)の化合物またはその形態物、組成物または薬剤を含有する投薬形態(タブレット、カプセル、粉体、注射、坐薬、茶さじ投与等)には、治療的にまたは予防的に効果的であるのに必要な活性成分の有効量が含まれる。
【0123】
本組成物または薬剤は、約0.001〜約5000mg(好ましくは、約0.001〜約500mg)の活性成分を含有し得、投与の必要な患者ために選択された投与形態に適した任意の形態に構成し得る。
【0124】
考えられる有効量は、1日当たり、体重1kgにつき約0.001〜約300mgの範囲であり得る。考えられる有効量は、1日当たり、体重1kgにつき約0.003〜約100mgの範囲でもあり得る。もう一つの考えられる有効量は、1日当たり、体重1kgにつき約0.1〜約100mgの範囲であり得る。もう一つの考えられる有効量は、1日当たり、体重1kgにつき約0.005〜約15mg/kgの範囲でもあり得る。組成物または薬剤は、1日約1〜約5回の投薬量スキームに従って投与され得る。
【0125】
経口投与については、組成物または薬剤は、治療される患者への投薬量の症状に応じた調整のために、活性成分を、例えば、0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100、150、200、250、500ミリグラム等で含有するタブレットの形態であることが好ましい。最適投薬量は、治療されている特定の患者に関する要因(例えば、年令、体重、ダイエットおよび投与時間)、治療される容態のひどさ、使用されている化合物、投与の仕方および薬剤の強さに依存して変化する。毎日の投与または定期的な服用後のいずれの使用も採用し得る。
【0126】
式(I)の化合物の少なくとも一つの水素原子が、ジューテリウム原子またはトリチウム原子等の標識原子と置換される、式(I)の化合物の放射性ラベル形態物が、ADPレセプターの標識として使用され得る。当業者に公知の他のラベリング技術も使用され得る。
【0127】
更に、本発明の例には、本明細書に記載されたような医薬品組成物または薬剤に、以下の群から選択された式(I)の化合物またはその形態物を使用する方法が含まれる。
【表5】



【0128】
更に、本発明の例には、本明細書に記載されたような医薬品組成物または薬剤に、以下の群から選択された式(I)の化合物またはその形態物を使用する方法が含まれる。
【表6】



【0129】
更に、本発明の例には、本明細書に記載されたような医薬品組成物または薬剤に、以下の群から選択された式(I)の化合物またはその形態物を使用する方法が含まれる。
【表7】

【0130】
更に、本発明の例には、本明細書に記載されたような医薬品組成物または薬剤に、以下の群から選択された式(I)の化合物またはその形態物を使用する方法が含まれる。
【表8】

【0131】
〔合成方法〕
本発明の代表的な化合物は、以下に記す一般的な合成スキームに従って合成し得る。これらは、以下の特定の合成例でより具体的に例示される。これらの一般的なスキームおよび特定の実施例は、例示として提供されるものである。本発明は、ここに開示された化学反応と条件によって制限されるものと解されるべきではない。本スキームと本実施例で使用される種々の出発材料を作製する方法は、充分当業者の技術の範囲内のものである。如何なる例示反応で得られる収率についても、最適化の試みはなされなかった。反応時間、温度、溶媒および/または試薬における通常のバリエーションにより、このような収率を高めるやり方については、当業者の認識するところであろう。
【0132】
本発明について記述する際に使用される用語は、当業者にとって一般的に使用され、かつ、知られたものである。ここに使用される場合、以下の省略形または式は、以下に示された意味を有する。
【表9】

【0133】
〔一般的な合成方法〕
本発明の代表的な化合物は、以下に記す一般的な合成方法に従って合成され得る。これらは、以下のスキームでより具体的に例示される。これらのスキームは例示であるので、本発明は、ここに開示された化学反応と条件によって制限されるものと解されるべきではない。本スキームで使用される種々の出発材料の作製は、充分当業者の技術の範囲内のものである。
【0134】
〔スキームA〕
スキームAは、本発明の中間体のあるものおよび化合物のあるものの作製について記述したものである。
【化7】

【0135】
式A1の化合物(ここで、PGは適切なヒドロキシル保護基であり、PGは適切なアミノ保護基である)は、市販品であり得る。あるいは、従来の方法と公知の材料とを使用して、当業者により作製され得るものである。式A1の化合物は、カップリング剤(例えばDCC/HOBt)の存在下、水酸化アンモニウムに結合して、式A2の化合物をもたらし得る。塩基(例えばピリジン)の存在下、式A2の化合物のTFAAによる処理とその後のPGの除去により、式A3の化合物が得られる。
【化8】

【0136】
塩基(例えばDIEA)の存在下、式A3の化合物と式A4の化合物(WO99/05142によって作製される)との反応により、式A5の化合物がもたらされる。
【化9】

【0137】
式A5の化合物は還元剤(例えばFe)で処理され、式A6の化合物を与え得る。
【化10】

【0138】
亜硝酸イソアミルによる式A6の化合物の環化により、式A7の化合物がもたらされる。
【化11】

【0139】
塩基(例えばDIEA)の存在下、式A8の適切な置換アミン化合物による式A7の化合物の処理により、式A9の化合物が得られる。
【化12】

【0140】
式A9の化合物は、MeSnNで縮合され、式A10の化合物(ここで、Rは1H−テトラゾール−5−イルである)が誘導され得る。
【0141】
式A9の化合物は、(エステルをもたらすための)MeOH/エーテル中HClによる処理および、その後の(酸ヒドラジドを与えるための)ヒドラジンの添加とその後の適切なイミデートの添加とを介して、式A10の化合物(ここで、Rは、4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルである)に変換され得る。
【0142】
式A9の化合物は、MeOH中HClによる処理および、その後のエタン−1,2−ジアミンの添加を介して、式A10の化合物(ここで、Rは、4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルである)に変換され得る。
【0143】
式A10の化合物(ここで、Rは、4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルである)の脱水物は、式(I)の化合物(ここで、Rは、1H−イミダゾール−2−イルである)を得るのに使用し得る。
【化13】

【0144】
式A10の化合物のヒドロキシルPG基の脱保護により、式(I)の目標化合物(ここでRは、1H−テトラゾール−5−イルまたは4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルである)がもたらされる。
【0145】
式(I)の目標化合物(ここで、Rはヘテロアリール−メチルである)は、以下の方法によって得られ得る。
【化14】

【0146】
式A11の化合物は、ピリジンの存在下MsClとの反応により、式A12の化合物に変換され得る。
【0147】
式A11の化合物は、式A9の化合物の作製手順(ここで、シアノ基は、ヒドロキシメチルで置き換えられ、R置換アミンは、PG保護基で保護される)を使用して作製され得る。シアノ基は、式A3の化合物(ここで、出発物質として、シアノの代わりにヒドロキシメチルが置換されている)を使用してヒドロキシメチルで置換される。適切な保護基を使用して、式A8の化合物のR置換アミンを保護することにより、PGで保護されたR置換アミンが得られる。
【化15】

【0148】
塩基(例えばKCO)の存在下、NH含有ヘテロアリール化合物(例えばテトラゾール、トリアゾールまたはイミダゾール)による式A12の化合物の処理により、式A13の化合物(ここで、Rは、テトラゾリル−メチル、トリアゾリル−メチルまたはイミダゾリル−メチルである)が与えられる。
【化16】

【0149】
式A13の化合物からのヒドロキシル(PG)保護基およびアミノ(PG)保護基の除去により、対応する式(I)の目標化合物がもたらされる。
【0150】
〔特定の合成例〕
以下の例と反応の繋がりとに従って本発明を例示する特定の化合物が作製された。これらの例と反応の繋がりを表す図とは、本発明の理解を助けるための例示として示されているものであり、如何なる意味においても、この後に続くクレームに示された本発明を制限するものと解釈されてはならない。示されている中間体は、本発明の更なる化合物を生産するために、以後の例でも使用され得る。如何なる反応で得られた収率についても、最適化の試みはなされなかった。反応時間、温度、溶媒および/または試薬における通常のバリエーションにより、このような収率を高めるやり方については、当業者の知るところであろう。
【0151】
一般論:H NMRスペクトルと13C NMRスペクトルとは、Brucker社のAVANCE 300分光計およびAVANCE 400分光計の400MHzと300MHzとで得られた。化学シフトは、内部の標準としてのTMSの下側(downfield)におけるppm単位で報告されている。回転蒸発による濃縮前の有機抽出物の乾燥には、硫酸マグネシウムが使用された。フラッシュクロマトグラフィは、EM Science社のsilica gel 60(230−400のメッシュ)を使用して実施された。J. T. Baker社の標準溶媒が、そのまま使用された。Aldrich社またはJ. T. Baker社の無水溶媒およびその他の全ての市販の試薬が、更なる精製なしで使用された。シリカゲル(E. Merck社、230−400のメッシュ)が、全てのフラッシュクロマトグラフィのために使用された。薄層クロマトグラフィは、EM Science社のsilica gel 60 F254でプレコートされたプレート上で実施された。収率は最適化されなかった。マスエレクトロスプレーのプラスまたはマイナスのスペクトル(Mass electrospray positive or negative spectra)(MS)は、Zorbax社のstablebond C18 narrow bore columnを装備した、Hewlett Packard社の1100シリーズ分光計またはAgilent1100シリーズ分光計で実行された。MS分析の移動相として、メタノール中0.05%の酢酸と水中0.05%の酢酸との傾斜液(gradient)を使用し、LCMS分析の移動相として、アセトニトリル中0.05%のTFAと水中0.05%の酢酸とを傾斜液として使用した。更に、HPLC純度定量分析が、Agilent 1100シリーズLC/MSD装置を用いて、Agilent 4.6 x 50 mm Zorbax 3.5 uMカラム(Elips XDB-phenyl)上で実施された。溶媒系として、0.05%TFAアセトニトリルと水中0.05%のTFAとの傾斜液を使用し、254nMにおける吸収を基礎にした。
【0152】
〔実施例1〕
(1R,2S,3R,5R)−3−{7−[(1R,2S)−2−フェニル−シクロプロピルアミノ]−5−プロピルスルファニル−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル}−5−(1H−テトラゾール−5−イル)−シクロペンタン−1,2−ジオール(化合物22)
【化17】

【0153】
化合物1a(9.23g、0.03モル)のCHCl/DMF溶液(10:1、100mL)に、DCC(6.94g、0.034モル)、HOBt(4.55g、0.0337モル)および水酸化アンモニウム(6mL、0.354モル)を加えた。この混合物を、一晩50℃で加熱した。溶媒を蒸発させ、粗製混合物にEtOAcを加えた。得られた白色の固体を濾過し、EtOAcで洗浄した。有機ろ液を合わせ、飽和重炭酸ナトリウム、食塩水で洗浄し、乾燥(NaSO)し、真空蒸発して、粗製生成物を得た。この粗製生成物は、フラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOHが97:3)によって精製され、化合物1b(8.34g、93%)がもたらされた。H NMR(CDCl)のδは、6.13(bs、1H)、5.75(bs、1H)、5.42(bs、1H)、4.77(d、J=5.4Hz、1H)、4.50(d、J=5.5Hz、1H)、4.14(m、1H)、2.82(d、J=8.7Hz、1H)、2.45(m、1H)、1.87(d、J=14.1Hz、1H)、1.45(s、3H)、1.43(s、9H)、1.28(s、3H)であった。ES−MS m/z 301(MH)。
【化18】

【0154】
化合物1b(8.34g、27.8mモル)のTHF(150mL)溶液を0℃に冷却し、これにピリジン(8.80g、111mモル)とトリフルオロ酢酸無水物(11.7g、56mモル)とを加えた。反応混合物は、一晩rtで撹拌した。水(5mL)を加え、その混合物を、EtOAcで抽出した。有機層を、HO、食塩水で洗浄し、乾燥(NaSO)し、真空蒸発して、固体を得た。生成物は、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/EtOAcが5:1)によって精製され、化合物1c(7.14g、94%)がもたらされた。H NMR(CDCl)のδは、4.88(d、J=5.3Hz、1H)、4.77(bs、1H)、4.63(d、J=5.3Hz、1H)、4.07(m、1H)、3.00(m、1H)、2.51(m、1H)、2.10(m、1H)、1.57(s、12H)、1.29(s、3H)であった。ES−MS m/z 283(MH)。
【化19】

【0155】
化合物1c(4.0g、14.2mモル)を、20%TFAのCHCl(100mL)で処理し、その混合物を20分間rtで撹拌した。揮発性物質を蒸発させ、化合物1dと化合物1eとの混合物を含んだ油を得た。粗製生成物を、フラッシュクロマトグラフィ(CHCl/MeOH/NHOHが95:5:0.5)によって分離し、化合物1d(2.31g、45%)と化合物1e(1.0g、25%)とを得た。
【0156】
化合物1d:H NMR(CDCl)のδは、4.96(dd、J=2.3、5.8Hz、1H)、4.56(d、J=5.8Hz、1H)、3.65(t、J=3.9Hz、1H)、3.60(bs、2H)、2.98(m、1H)、2.49(m、1H)、2.05(m、1H)、1.44(s、3H)、1.29(s、3H)であった。ES−MS m/z 183(MH)。
【化20】

【0157】
化合物1d(2.30g、12.6モル)のTHF溶液(25mL)に対し、化合物1f(3.38g、12.6mモル、WO 99/05142に従って作製)とDIEA(3.30g)とを加えた。混合物は、40℃で2時間撹拌した。更に化合物1f(1.00g、3.7mモル)を加え、40℃で1時間撹拌を続行した。揮発性物質を蒸発させ、残渣をフラッシュクロマトグラフィ(CHCl中3%MeOH)によって精製し、化合物1g(2.31g、44%)を得た。H NMR(CDCl)のδは、8.27(d、J=5.9Hz、1H)、4.95(d、J=5.7Hz、1H)、4.72(d、J=5.7Hz、1H)、4.62(dd、J=4.5、6.2Hz、1H)、3.15(m、3H)、2.66(m、1H)、2.23(m、1H)、1.77(m、2H)、1.48(s、3H)、1.31(s、3H)、1.06(t、J=7.3Hz、3H)であった。ES−MS m/z 414(MH)。
【化21】

【0158】
化合物1g(2.20g、5.30mモル)のHOAc(30mL)混合物に対し、Fe(2.5g、44.7mモル)を加えた。混合物はrtで2時間撹拌し、次いで、EtOAcと水とを加えた。水層を、EtOAcで数回抽出した。EtOAc抽出物を合わせて、水、食塩水で洗浄し、乾燥(NaSO)し、濃縮して化合物1hを粗製生成物として得た(2.30g)。この化合物は、次の段階で、更なる精製なしに使用された。H NMR(CDCl)のδは、5.18(d、J=4.7Hz、1H)、4.94(d、J=5.4Hz、1H)、4.78(d、J=5.6Hz、1H)、4.48(t、J=5.0Hz、1H)、3.09(m、3H)、2.59(m、1H)、2.18(d、J=14Hz、1H)、1.76(m、2H)、1.47(s、3H)、1.30(s、3H)、1.03(t、J=7.3Hz、3H)であった。ES−MS m/z 384(MH)。
【化22】

【0159】
化合物1h(2.30g、6.00モル)のアセトニトリル(50mL)混合物に対し、96%亜硝酸イソアミル(0.7g、6.00mモル)を加えた。混合物を、アルゴン下、1.5時間、60℃に加熱し、次いで、EtOAcで希釈した。有機層を分離し、水、食塩水で洗浄し、乾燥(NaSO)し、濃縮して、粗製生成物を得た。フラッシュクロマトグラフィ(EtOAc/ヘキサンが1:3)による精製で、化合物1i(1.65g、68%)がもたらされた。H NMR(CDCl)のδは、5.48(dd、J=2.6、6.1Hz、1H)、5.31(m、1H)、5.19(dd、J=3.4、6.1Hz、1H)、3.19(m、3H)、2.87(m、2H)、1.83(m、2H)、1.59(s、3H)、1.38(s、3H)、1.10(t、J=7.3Hz、3H)であった。ES−MS m/z 395(MH)。
【化23】

【0160】
化合物1i(0.51g、1.30mモル)の1,4−ジオキサン(10mL)混合物に対し、(1R,2S)−2−フェニル−シクロプロピルアミン1j(0.17g、1.30mモル)を加え、その後、DIEA(0.2mL)を加えた。混合物を、3時間、rtで撹拌し、次いで、EtOAcおよび水で希釈した。有機層を分離し、水で洗浄し、乾燥(NaSO)し、濃縮して粗製生成物を得た。粗製生成物を、フラッシュクロマトグラフィ(CHCl/MeOH/NHOHが97:3:0.3)によって精製し、化合物1k(0.64g、100%)を得た。H NMR(CDCl)のδは、7.24(m、5H)、6.77(bs、1H)、5.47(dd、J=1.8、5.9Hz、1H)、5.24(m、1H)、5.17(dd、J=3.4、6.0Hz、1H)、3.22(bs、1H)、3.08(m、2H)、2.92(m、1H)、2.82(m、1H)、2.71(m、1H)、2.22(m、1H)、1.62(m、2H)、1.55(s、3H)、1.40(m、2H)、1.36(s、3H)、0.91(t、J=7.2Hz、3H)であった。ES−MS m/z 492(MH)。
【化24】

【0161】
化合物1k(0.957g、1.95mモル)とアジドトリメチルスズ(0.836g、4.06mモル)とのトルエン(8mL)混合物を、一晩、110℃に加熱した。更に、アジドトリメチルスズ(0.200g、0.400mモル)を加え、6時間、110℃で撹拌を続行した。混合物を冷却し、EtOAcと水とを加えた。有機層を分離し、水、食塩水で洗浄し、乾燥(NaSO)し、濃縮した。残渣はフラッシュクロマトグラフィ(CHCl/MeOH/HOAcが97:5:0.5)によって精製され、化合物1I(0.95g、91%)がもたらされた。H NMR(CDCl)のδは、7.54(bs、1H)、7.24(m、5H)、5.47(m、1H)、5.27(m、1H)、5.07(m、1H)、3.98(m、1H)、3.28(m、1H)、3.05(m、2H)、2.86(m、2H)、2.24(m、1H)、1.63(s、3H)、1.56(m、2H)、1.46(m、2H)、1.33(s、3H)、0.86(t、J=7.2Hz、3H)であった。ES−MS m/z 535(MH)。
【化25】

【0162】
化合物1I(0.95g、1.78mモル)をTFA/HO(4:1、50mL)溶液で処理し、混合物を一晩、rtで撹拌した。混合物を水で希釈し、EtOAcで抽出した。有機層を合わせ、乾燥(NaSO)し、真空で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィ(CHCl/MeOH/HOAcが97:5:0.5)によって精製し、固体を得た。この固体は、エーテルで粉末にされ、化合物22が無色の固体(0.521g、59%)として得られた。H NMR(CDOD)のδは、7.26(m、5H)、5.26(m、1H)、4.60(m、2H)、3.71(m、1H)、3.20(m、1H)、2.98(m、1H)、2.87(m、2H)、2.62(m、1H)、2.15(m、1H)、1.45(m、4H)、0.83(t、J=7.3Hz、3H)であった。FAB−HRMS:C222610S+Hの計算値は495.2039、実測値は495.2037。化合物22は、KOH水溶液で処理することによって、そのカリウム塩に変換された。C222610S・0.6K・1.7HOについての分析計算値:C、48.30;H、5.22;N、25.60;K、4.29;KF、5.50。実測値:C、48.61;H、5.50;N、25.61;K、4.02;KF、5.51。
【0163】
〔実施例2〕
(1R,2S,3R,5R)−3−(7−ブチルアミノ−5−プロピルスルファニル−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−5−(1H−テトラゾール−5−イル)−シクロペンタン−1,2−ジオール(化合物2)
【化26】

【0164】
化合物1i(0.29g、0.73mモル)のジオキサン(5mL)溶液に対し、n−ブチリルアミン(0.11g、1.47mモル)を加え、次いでDIEA(0.1mL)を加えた。混合物を、一晩、rtで撹拌し、次いで、酢酸エチルで希釈した。溶液を水で洗浄し、乾燥(NaSO)し、濃縮して粗製生成物である化合物2a(0.31g)を得た。H NMR(CDCl)のδは、6.22(br、1H)、5.45(m、1H)、5.23(m、1H)、5.18(m、1H)、3.67(m、2H)、3.11(m、3H)、2.77(m、2H)、1.80(m、2H)、1.68(m、2H)、1.55(s、3H)、1.44(m、2H)、1.36(s、3H)、1.07(t、J=7.4Hz、3H)、0.98(t、J=7.3Hz、3H)であった。ES−MS m/z 432(MH)。
【化27】

【0165】
トルエン(3mL)中の化合物2a(0.31g、0.72mモル)とアジドトリメチルスズ(0.30g、1.45mモル)とを、一晩、110℃で撹拌した。反応混合物を冷却し、酢酸エチルで希釈した。溶液を、水、食塩水で洗浄し、乾燥(NaSO)し、濃縮して粗製生成物である化合物2b(0.55g)を得た。この化合物2bは、更なる精製なしに、次のステップにおいて使用された。ES−MS m/z 475(MH)。
【化28】

【0166】
化合物2b(0.55g、1.15mモル)を、3時間、rtで、TFA/HO(4:1、4mL)で処理した。混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、乾燥(NaSO)し、濃縮した。粗製生成物は、フラッシュクロマトグラフィ(CHCl/MeOH/HOAcが97:5:0.5)によって精製され、得られた製品は、エーテルで更に粉末にされ、化合物2が無色の固体(0.37g、73%)としてもたらされた。H NMR(CDOD)のδは、5.25(m、1H)、4.58(m、2H)、3.68(m、1H)、3.57(m、2H)、3.11(t、J=7.15Hz、2H)、2.88(m、1H)、2.63(m、1H)、1.72(m、4H)、1.44(dd、J=7.4、15.0Hz、2H)、1.00(m、6H)であった。
【0167】
化合物2は、KOH水溶液で処理することによってカリウム塩に変換された。FAB−HRMS:C172610S+Hについての計算値は435.2039、実測値は435.2041。C272610S・0.6K・1.7HOについての分析計算値:C、41.81;H、5.87;N、28.68;K、4.88;KF、6.35。実測値:C、42.02;H、5.88;N、28.51;K、4.62;KF、6.35。
【0168】
実施例1と実施例2との手順またはその他の従来の方法を使用して、本発明を例示するさらなる化合物が作製された{ここで、MSはES−MS m/z (MH)を表す}。
【表10】



【0169】
〔生物学的実施例〕
トロンビンが仲立ちする疾患、障害または容態を改善、治療または抑制する本発明の化合物の能力は、以下の手順を使用して決定された。
【0170】
〔例1〕
<高スループットスクリーニングアッセイ>
<Gi結合シグナルをGq経路に変換するFLIPRカルシウムアッセイ>
ADP P2Y12サブタイプは、cAMPの減少に至るアデニル酸シクラーゼの抑制を仲介するGi結合GPCRである一方、Gqタンパク質は主にホスホリパーゼCを賦活し、これが、イノシトール−1,4,5−三リン酸塩(IP)の形成とそれに続く細胞内のCa2+濃度の増加を刺激する。これは、FLIPRで容易に測定し得る。Gi結合GPCRシグナルをGq結合GPCRシグナルに変換する方法の開発に先立ち、Gi結合GPCR類の機能テストとスクリーニングに、かなりの障碍が存在していた。ある人気の方法(GTPγS移動)は、時間が掛かり、生じるシグナルが小さく、放射性廃棄物を生じる。Giタンパク質のアミノ酸配列の小さな切替により、そのGiタンパク質を、Gq結合応答を仲介するタンパク質に変換できるとの発見により、この価値あるレセプターサブタイプの、強力で、高いスループットのアッセイが開発された。
【0171】
GiシグナルをGq経路に変換するFLIPRベースのHTSアッセイは下記のようになっている。
【0172】
ハイグロマイシン抵抗性遺伝子を含有するpcDNA3hygroP2Y12と、ネオマイシン抵抗性遺伝子を含有するpLEC1-Gqi5-HA(Molecular Devices社、Sunnyvale、カリフォルニア州、からライセンス)とが、SuperFect(Qiagen社、Valencia、カリフォルニア州)で、ヒトの胚腎臓(HEK)293細胞に一緒にトランスフェクション(co-transfection)された。細胞クローンは、600μg/mLのハイグロマイシンB(Life Technologies社、Carlsbad、カリフォルニア州)および、1mg/mLのG418(Mediatech社、Herndon、ヴァージニア州)の存在下選択された。薬剤抵抗性コロニーが選択され、FLIPRでスクリーニングされ、更に、RT−PCRによって遺伝子発現が確認された。ポジティブなクローンは、400μg/mLのG418と200μg/mLのハイグロマイシンとを含有する増殖培地(10%FBSを補ったDMEM、1x p/s)中に維持された。
【0173】
アッセイの前日に、細胞を、透明で、平底、黒壁の、組織培養処理されたポリスチレン96−または384−ウエルプレート中に接種し、37℃、5%COで培養した。100μLの培地を有するそれぞれのウエルに、50μLの完全な染料入り溶液(FLIPR カルシウムアッセイキット、Molecular Devices社)を加えた。細胞は、FLIPRでのアッセイの開始前、37℃、5%COで、少なくとも30分間培養された。化合物テストの前に、ADPのアゴニスト効果がテストされ、EC50が決定された。EC60−70の投薬量が採用された。
【0174】
アンタゴニスト化合物は4xで作製され、アゴニストは、テストウエル中、所望の濃度の5xに希釈され、次いで、サンプルプレートに等分分けされた。サンプルプレートと細胞プレートとは、FLIPRアッセイチャンバーに置かれた。最初の添加(50μL)は、読み取りの始めになされ、第二の添加(50μL)は5分の読み取りの後になされた。それぞれのウエルについて生の蛍光データがエクスポートされ、アスキーファイル内で、時間との対比として表化された。データは次いでExcelにインポートされ、基礎レベルに対するピーク応答が決定された。表1(N/Aはデータなしを意味する)に示すように、それぞれの化合物についてのパーセント抑制値を、IC50を得るためのコントロールADP応答に対する%抑制値として、蛍光密度の変化により計算した。
【表11】

【0175】
〔例2〕
<レセプター結合アッセイ>
2-MeS[3H]-ADP(Amersham BioScience社、Piscataway、ニュージャージー州による特注製品)の、P2Y12レセプターに対する全細胞結合アッセイを行った。
【0176】
ハイグロマイシン抵抗性遺伝子含有P2Y12 cDNAを、HEK293細胞にトランスフェクションした。クローニング選択法によって安定した細胞系が得られた。この細胞は、10%のFBSを補ったDMEM(p/sは1x)で培養した。
【0177】
アッセイの当日に、細胞を収集し、0.25%BSA−DMEM中に再懸濁し、1.6x10/mLの細胞濃度に調整した。それぞれ15μLの化合物を、96ウエルのアッセイプレート中、120μLの細胞懸濁物と混ぜ合わせ、放射線ラベル付きリガンド2-MeS[3H]-ADP(最終状態は、0.25%BSA−DMEM中3nM)またはラベルなし2-MeS[3H]-ADP(非特異的結合用)の添加の前に、5分間培養した。次いで、反応物を37℃で30分間培養し、冷DMEMを加えることによって反応を止めた。ラベル付き細胞およびラベルなし細胞は、Packard社のFiltermate 196を使用するろ過法により、unifilter-96 GF/Bプレート上に分離された。これらのプレートを、37℃のオーブンで1〜2時間乾燥し、それぞれのウエルに50μLのMicroScint-20(PerkinElmer社)を添加した。TOPCOUNTベータカウンター(Packard社)を使用して放射能を測定した。表2に示すように、それぞれの化合物のパーセント抑制値を、IC50を得る際のコントロールに対する%抑制値として、放射能変化により計算した。
【表12】

【0178】
〔例3〕
<試験管内の血小板凝集>
血小板凝集の研究を、刊行物の方法(Bednar, B., Condra, C., Gould, R. J.およびConnolly, T. M.、Throm. Res.、第77巻、第453−463頁、1995年)に従って行った。抗凝固剤としてACD−Aを使用して、静脈穿刺により、少なくとも7日間アスピリンを服用していない健康なボランティアから作製した血小板リッチのプラズマ(PRP)濃縮物を、Biological Specialties社(Colmar、ペンシルベニア州)から購入した。PRPは、730gで15分間遠心処理した。血小板ペレットは、1μ/mLアピラーゼ(等級V、Sigma-Aldrich社、セントルイス、ミズーリ州)、1mMのEGTAを含有するCGSバッファ(13mMのクエン酸ナトリウム、30mMのグルコース、120mMのNaCl、pH6.5)で二回洗浄し、Tyrodeのバッファ(140mMのNaCl、2.7mMのKCl、12mMのNaHCO、0.76mMのNaHPO、5.5mMのデキストロース、5.0mMのヘペス(Hepes)、0.2%のBSA、pH7.4)で再懸濁した。血小板は、3x10個血小板/mLに希釈され、使用前に>45分間37℃に保たれた。96ウエルのマイクロリットル・プレートに、105μLの洗浄血小板、2mMのCaClおよび2.5mMのフィブリノゲンを加えた。
【0179】
ADP(BioData社、Horsham、ペンシルベニア州)の連続濃度物(serial concentrations)の添加によって血小板凝集を開始した。1組のコントロールウエルにバッファを加えた。アッセイプレートは絶えず撹拌し、断続的にマイクロプレートリーダー(Softmax, Molecular Devices社、Menlo Park、カリフォルニア州)に掛け、化合物溶液の添加の0分後と5分後に光学濃度(650nm)を読み取った。凝集は、時間0分の測定値と5分の測定値との間の光学濃度の減少として計算され、%凝集値として表わされた。抑制アッセイについては、化合物の添加を除いて、上述のように血小板凝集を行った。テスト化合物は、100%DMSO中で準備し、保存した。
【0180】
アッセイの当日、テスト化合物を3%DMSOを含有するバッファで希釈し、10xの作業溶液とした。CaClとフィブリノゲンの添加の5分前に、15μLの化合物溶液を105μLの血小板に加えた。血小板凝集は、60〜70%の凝集を成し遂げることが分かっているアゴニストの添加によって始められた。表3に示すように、アンタゴニストの効力は、IC50を得る際のコントロールADPの応答に対する%抑制値として推定された。
【表13】

【0181】
前述の明細書は、本発明の原理を示すものであり、例は、例示のために提供されるものである。本発明の実行は、以下のクレームとその等価物の範囲内にある、通常のバリエーション、改良および修正の全てを含むものと理解さるべきである。
【0182】
本出願を通して、種々の出版物が引用されている。ここにおいて、本発明に関する最新水準の技術をより充分に示すため、これらの出版物の開示内容は、参照によって本出願に取り入れられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物またはその形態物において、
【化29】

ここで、
は、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル−C1−8アルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリール−C1−8アルキルから選択され、
ここで、ヘテロシクリルとヘテロアリールとのそれぞれの場合は、オプションで、C1−4アルキルまたはハロゲンで置換され、
ヘテロシクリルおよびヘテロアリールは、ヘテロシクリル環炭素原子またはヘテロアリール環炭素原子を介して結合しており、
ヘテロシクリル−C1−8アルキルとヘテロアリール−C1−8アルキルとのヘテロシクリル部分およびヘテロアリール部分が、ヘテロシクリル環窒素原子またはヘテロアリール環窒素原子を介してC1−8アルキル部分に結合しており、
は、C1−8アルキル、C1−8アルコキシ−C1−8アルキル、C1−8アルキル−チオ−C1−8アルキル、C3−8シクロアルキル、C3−8シクロアルキル−C1−8アルキル、フェニル−C1−8アルキル、ヘテロシクリル−C1−8アルキル、ヘテロアリール−C1−8アルキルまたはハロ−C1−8アルキルから選択され、
ここで、C3−8シクロアルキルは、オプションで、フェニルまたはヘテロアリールで置換され、ここで、フェニルまたはヘテロアリールは、それぞれ、オプションで、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、アミノ、C1−4アルキル−アミノ、ヒドロキシ、シアノ、ハロ−C1−4アルキルまたはハロゲンで置換される、
化合物またはその形態物。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物において、
は、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル−C1−4アルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリール−C1−4アルキルから選択され、
ここで、ヘテロシクリルとヘテロアリールとのそれぞれの場合は、オプションで、C1−4アルキルで置換され、
ヘテロシクリルおよびヘテロアリールは、ヘテロシクリル環炭素原子またはヘテロアリール環炭素原子を介して結合しており、
ヘテロシクリル−C1−4アルキルとヘテロアリール−C1−4アルキルとのヘテロシクリル部分およびヘテロアリール部分が、ヘテロシクリル環窒素原子またはヘテロアリール環窒素原子を介してC1−4アルキル部分に結合している、
化合物。
【請求項3】
請求項1に記載の化合物において、
は、1H−テトラゾール−1−イル、1H−テトラゾール−1−イル−C1−4アルキル、2H−テトラゾール−2−イル−C1−4アルキル、1H−テトラゾール−5−イル、1H−イミダゾール−1−イル−C1−4アルキル、4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル、1H−[1,2,3]トリアゾール−1−イル−C1−4アルキル、2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−C1−4アルキルまたは4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルから選択され、選択されるそれぞれは、オプションで、C1−4アルキルで置換される、
化合物。
【請求項4】
請求項1に記載の化合物において、
は、1H−テトラゾール−1−イル−メチル、2H−テトラゾール−2−イル−メチル、1H−テトラゾール−5−イル、1H−イミダゾール−1−イル−メチル、1H−[1,2,3]トリアゾール−1−イル−メチル、2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−メチルまたは4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルから選択され、ここで、4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルは、オプションで、C1−4アルキルで置換される、
化合物。
【請求項5】
請求項1に記載の化合物において、
は、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ−C1−4アルキル、C1−4アルキル−チオ−C1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルキル−C1−4アルキル、フェニル−C1−4アルキル、ヘテロシクリル−C1−4アルキル、ヘテロアリール−C1−4アルキルまたはハロ−C1−4アルキルから選択され、ここで、C3−6シクロアルキルは、オプションで、フェニルで置換され、前記フェニルは、オプションで、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、アミノ、C1−4アルキル−アミノ、ヒドロキシ、シアノ、ハロ−C1−4アルキルまたはハロゲンで置換される、
化合物。
【請求項6】
請求項1に記載の化合物において、
は、C1−4アルキル、C1−4アルキル−チオ−C1−4アルキル、シクロプロピル、シクロプロピル−C1−4アルキル、フェニル−C1−4アルキル、テトラヒドロフラン−2−イル−C1−4アルキル、チエン−2−イル−C1−4アルキルまたはハロ−C1−4アルキルから選択され、ここで、シクロプロピルは、オプションで、フェニルで置換される、
化合物。
【請求項7】
請求項1に記載の化合物において、
は、1H−テトラゾール−1−イル、1H−テトラゾール−1−イル−C1−4アルキル、2H−テトラゾール−2−イル−C1−4アルキル、1H−テトラゾール−5−イル、1H−イミダゾール−1−イル−C1−4アルキル、4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル、1H−[1,2,3]トリアゾール−1−イルC1−4アルキル、2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−C1−4アルキルまたは4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルから選択され、ここで、4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルは、オプションで、C1−4アルキルで置換され、
は、C1−4アルキル、C1−4アルキル−チオ−C1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルキル−C1−4アルキル、フェニル−C1−4アルキル、ヘテロシクリル−C1−4アルキル、ヘテロアリール−C1−4アルキルまたはハロ−C1−4アルキルから選択され、
3−6シクロアルキルは、オプションで、フェニルで置換され、ここで、フェニルは、オプションで、ハロゲンで置換される、
化合物。
【請求項8】
請求項1に記載の化合物において、
は、1H−テトラゾール−1−イル、1H−テトラゾール−1−イル−メチル、2H−テトラゾール−2−イル−メチル、1H−テトラゾール−5−イル、1H−イミダゾール−1−イル−メチル、4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル、1H−[1,2,3]トリアゾール−1−イル−メチル、2H−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−メチルまたは4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルから選択され、ここで、4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イルは、オプションで、C1−4アルキルで置換され;
は、C1−4アルキル、C1−4アルキル−チオ−C1−4アルキル、シクロプロピル、シクロプロピル−C1−4アルキル、フェニル−C1−4アルキル、テトラヒドロフラン−2−イル−C1−4アルキル、チエン−2−イル−C1−4アルキルまたはハロ−C1−4アルキルから選択され、ここで、シクロプロピルは、オプションで、フェニルで置換される、
化合物。
【請求項9】
化合物において、
次の群:
(1R,2S,3R,5R)−3−{7−[(1RS,2SR)−2−フェニル−シクロプロピルアミノ]−5−プロピルスルファニル−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル}−5−(1H−テトラゾール−5−イル)−シクロペンタン−1,2−ジオール,
(1R,2S,3R,5R)−3−(7−ブチルアミノ−5−プロピルスルファニル−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−5−(1H−テトラゾール−5−イル)−シクロペンタン−1,2−ジオール,
(1R,2S,3R,5R)−3−{7−[(1RS,2SR)−2−フェニル−シクロプロピルアミノ]−5−プロピルスルファニル−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル}−5−テトラゾール−2−イルメチル−シクロペンタン−1,2−ジオール,
(1R,2S,3R,5R)−3−{7−[(1RS,2SR)−2−フェニル−シクロプロピルアミノ]−5−プロピルスルファニル−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル}−5−テトラゾール−1−イルメチル−シクロペンタン−1,2−ジオール,
(1S,2R,3R,5R)−3−イミダゾール−1−イルメチル−5−{7−[(1RS,2SR)−2−フェニル−シクロプロピルアミノ]−5−プロピルスルファニル−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル}−シクロペンタン−1,2−ジオール,
(1R,2S,3R,5R)−3−{7−[(1RS,2SR)−2−フェニル−シクロプロピルアミノ]−5−プロピルスルファニル−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル}−5−[1,2,3]トリアゾール−2−イルメチル−シクロペンタン−1,2−ジオール,
(1R,2S,3R,5R)−3−{7−[(1RS,2SR)−2−フェニル−シクロプロピルアミノ]−5−プロピルスルファニル−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル}−5−[1,2,3]トリアゾール−1−イルメチル−シクロペンタン−1,2−ジオール,
(1R,2S,3R,5R)−3−[5−プロピルスルファニル−7−(2,2,2−トリフルオロ−エチルアミノ)−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル]−5−(1H−テトラゾール−5−イル)−シクロペンタン−1,2−ジオール,
(1R,2S,3R,5R)−3−(5−プロピルスルファニル−7−{[(2S)−テトラヒドロ−フラン−2−イルメチル]−アミノ}−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−5−(1H−テトラゾール−5−イル)−シクロペンタン−1,2−ジオール,
(1R,2S,3R,5R)−3−[7−(シクロプロピルメチル−アミノ)−5−プロピルスルファニル−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル]−5−(1H−テトラゾール−5−イル)−シクロペンタン−1,2−ジオール,
(1R,2S,3R,5R)−3−(7−ブチルアミノ−5−プロピルスルファニル−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−5−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−シクロペンタン−1,2−ジオール,
(1R,2S,3R,5R)−3−(7−フェネチルアミノ−5−プロピルスルファニル−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−5−(1H−テトラゾール−5−イル)−シクロペンタン−1,2−ジオール,
(1R,2S,3R,5R)−3−(7−ブチルアミノ−5−プロピルスルファニル−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−5−(5−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−シクロペンタン−1,2−ジオール,
(1S,2R,3R,5R)−3−(5−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−5−{7−[(1RS,2SR)−2−フェニル−シクロプロピルアミノ]−5−プロピルスルファニル−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル}−シクロペンタン−1,2−ジオール,
(1S,2R,3R,5R)−3−(5−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−5−[5−プロピルスルファニル−7−(2−チオフェン−2−イル−エチルアミノ)−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル]−シクロペンタン−1,2−ジオール,
(1S,2R,3R,5R)−3−(5−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−5−{7−[(2S)−2−フェニル−プロピルアミノ]−5−プロピルスルファニル−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル}−シクロペンタン−1,2−ジオール,
(1S,2R,3R,5R)−3−(5−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−5−{7−[(2R)−2−フェニル−プロピルアミノ]−5−プロピルスルファニル−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル}−シクロペンタン−1,2−ジオール,
(1S,2R,3R,5R)−3−(5−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−5−[5−プロピルスルファニル−7−(2,2,2−トリフルオロ−エチルアミノ)−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル]−シクロペンタン−1,2−ジオール,
(1R,2S,3R,5R)−3−[7−(2−メチルスルファニル−エチルアミノ)−5−プロピルスルファニル−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル]−5−(5−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−シクロペンタン−1,2−ジオール,
(1R,2S,3R,5R)−3−(7−ブチルアミノ−5−プロピルスルファニル−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−5−(4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−シクロペンタン−1,2−ジオール,
(1R,2S,3R,5R)−3−{7−[(1RS,2SR)−2−フェニル−シクロプロピルアミノ]−5−プロピルスルファニル−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル}−5−(4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−シクロペンタン−1,2−ジオール,
(1R,2S,3R,5R)−3−{7−[(1R,2S)−2−フェニル−シクロプロピルアミノ]−5−プロピルスルファニル−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル}−5−(1H−テトラゾール−5−イル)−シクロペンタン−1,2−ジオール、および、
(1R,2S,3R,5R)−3−{7−[(1S,2R)−2−フェニル−シクロプロピルアミノ]−5−プロピルスルファニル−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル}−5−(1H−テトラゾール−5−イル)−シクロペンタン−1,2−ジオール、
から選択される、化合物。
【請求項10】
請求項9に記載の化合物において、
次の群:
(1R,2S,3R,5R)−3−{7−[(1RS,2SR)−2−フェニル−シクロプロピルアミノ]−5−プロピルスルファニル−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル}−5−(1H−テトラゾール−5−イル)−シクロペンタン−1,2−ジオール,
(1R,2S,3R,5R)−3−(7−ブチルアミノ−5−プロピルスルファニル−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−5−(1H−テトラゾール−5−イル)−シクロペンタン−1,2−ジオール,
(1R,2S,3R,5R)−3−{7−[1RS,2SR)−2−フェニル−シクロプロピルアミノ]−5−プロピルスルファニル−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル}−5−テトラゾール−2−イルメチル−シクロペンタン−1,2−ジオール,
(1R,2S,3R,5R)−3−{7−[(1RS,2SR)−2−フェニル−シクロプロピルアミノ]−5−プロピルスルファニル−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル}−5−テトラゾール−1−イルメチル−シクロペンタン−1,2−ジオール,
(1S,2R,3R,5R)−3−イミダゾール−1−イルメチル−5−{7−[(1RS,2SR)−2−フェニル−シクロプロピルアミノ]−5−プロピルスルファニル−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル}−シクロペンタン−1,2−ジオール,
(1R,2S,3R,5R)−3−{7−[(1RS,2SR)−2−フェニル−シクロプロピルアミノ]−5−プロピルスルファニル−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル}−5−[1,2,3]トリアゾール−2−イルメチル−シクロペンタン−1,2−ジオール,
(1R,2S,3R,5R)−3−{7−[(1RS,2SR)−2−フェニル−シクロプロピルアミノ]−5−プロピルスルファニル−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル}−5−[1,2,3]トリアゾール−1−イルメチル−シクロペンタン−1,2−ジオール,
(1R,2S,3R,5R)−3−(5−プロピルスルファニル−7−{[(2S)−テトラヒドロ−フラン−2−イルメチル]−アミノ}−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−5−(1H−テトラゾール−5−イル)−シクロペンタン−1,2−ジオール,
(1R,2S,3R,5R)−3−[7−(シクロプロピルメチル−アミノ)−5−プロピルスルファニル−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル]−5−(1H−テトラゾール−5−イル)−シクロペンタン−1,2−ジオール,
(1R,2S,3R,5R)−3−(7−フェネチルアミノ−5−プロピルスルファニル−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−5−(1H−テトラゾール−5−イル)−シクロペンタン−1,2−ジオール,
(1S,2R,3R,5R)−3−(5−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−5−{7−[(1RS,2SR)−2−フェニル−シクロプロピルアミノ]−5−プロピルスルファニル−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル}−シクロペンタン−1,2−ジオール,
(1R,2S,3R,5R)−3−(7−ブチルアミノ−5−プロピルスルファニル−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−5−(4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−シクロペンタン−1,2−ジオール,
(1R,2S,3R,5R)−3−{7−[(1RS,2SR)−2−フェニル−シクロプロピルアミノ]−5−プロピルスルファニル−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル}−5−(4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−シクロペンタン−1,2−ジオール,
(1R,2S,3R,5R)−3−{7−[(1R,2S)−2−フェニル−シクロプロピルアミノ]−5−プロピルスルファニル−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル}−5−(1H−テトラゾール−5−イル)−シクロペンタン−1,2−ジオール、および、
(1R,2S,3R,5R)−3−{7−[(1S,2R)−2−フェニル−シクロプロピルアミノ]−5−プロピルスルファニル−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル}−5−(1H−テトラゾール−5−イル)−シクロペンタン−1,2−ジオール、
から選択される、化合物。
【請求項11】
請求項9に記載の化合物において、
次の群:
(1R,2S,3R,5R)−3−{7−[(1RS,2SR)−2−フェニル−シクロプロピルアミノ]−5−プロピルスルファニル−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル}−5−(1H−テトラゾール−5−イル)−シクロペンタン−1,2−ジオール,
(1R,2S,3R,5R)−3−(7−ブチルアミノ−5−プロピルスルファニル−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル)−5−(1H−テトラゾール−5−イル)−シクロペンタン−1,2−ジオール,
(1S,2R,3R,5R)−3−(5−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−5−{7−[(1RS,2SR)−2−フェニル−シクロプロピルアミノ]−5−プロピルスルファニル−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル}−シクロペンタン−1,2−ジオール,
(1R,2S,3R,5R)−3−{7−[(1RS,2SR)−2−フェニル−シクロプロピルアミノ]−5−プロピルスルファニル−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル}−5−(4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−シクロペンタン−1,2−ジオール,
(1R,2S,3R,5R)−3−{7−[(1R,2S)−2−フェニル−シクロプロピルアミノ]−5−プロピルスルファニル−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル}−5−(1H−テトラゾール−5−イル)−シクロペンタン−1,2−ジオール、および、
(1R,2S,3R,5R)−3−{7−[(1S,2R)−2−フェニル−シクロプロピルアミノ]−5−プロピルスルファニル−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−3−イル}−5−(1H−テトラゾール−5−イル)−シクロペンタン−1,2−ジオール、
から選択される、化合物。
【請求項12】
血小板が仲立ちする血栓症、障害または容態の、改善、治療または抑制の必要な対象者の、血小板が仲立ちする血栓症、障害または容態の、改善、治療または抑制方法において、
当該対象者に請求項1に記載の一以上の化合物の有効量を投与すること、
を含む、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、
前記疾患、障害または容態が、アンギナ、不安定アンギナ、冠動脈血管形成、急性心筋梗塞(血栓溶解のある場合またはない場合)、周囲血栓溶解、アテローム性動脈硬化症の一次性動脈血栓性合併症(例えば血栓性の脳卒中または塞栓性の脳卒中、一過性の虚血性発作または末梢血管疾患)、アテローム性動脈硬化症疾患への介入による動脈合併症(例えば、血管形成および、血管形成、血管内膜切除、ステント配置または冠動脈もしくはその他の血管移植手術の後の再閉塞)、手術の損傷または機械的損傷の血栓性合併症(例えば、血栓溶解の治療後、事故による損傷もしくは外科的損傷後の組織サルベージ後、または、皮膚と筋肉フラップとを含む再建手術後、の再閉塞)、散在性の血栓/血小板消費性成因を伴う容態(例えば、播種性血管内血液凝固、血栓性血小板減少紫斑病、容血性尿毒症症候群または血栓性合併敗血症)、成人呼吸窮迫症候群、抗リン脂質症候群、ヘパリン誘発血小板減少、子癇前症/子癇、動脈血栓症または静脈血栓症(例えば深部静脈血栓症)、静脈閉塞性疾患、生体内で機械的に誘発された血小板の賦活(例えば心肺バイパスや体外膜型酸素付加)、試験管内で機械的に誘発された血小板の賦活(例えば血小板濃縮物の保存における使用)または(例えば腎臓透析や血漿分離交換における)短絡閉塞の抑制における血液学的な疾病(例えば血小板血症または鎌状赤血球病を含む脊髄増殖性疾患)、血管損傷/炎症に対し二次的な血栓症(例えば、血管炎、動脈炎、糸球体腎炎、炎症性腸疾患および臓器移植拒否)、片頭痛、レイノー現象、アテローム斑の形成または悪化、狭窄、再狭窄または喘息、から選択される、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、
前記疾患、障害または容態が、動脈血栓症、静脈血栓症、急性心筋梗塞、血栓溶解治療の後の再閉塞、血管形成後の再閉塞、不安定アンギナおよび脳卒中から選択される、方法。
【請求項15】
請求項12に記載の方法において、
前記方法が、治療または補助的治療において、請求項1に記載の化合物を、血小板賦活、凝集および粒状体減少を抑制するための剤、または、血小板の凝集解離を促進するための剤、または抗血栓剤として使用することを更に含む、方法。
【請求項16】
請求項12に記載の方法において、
請求項1に記載の化合物の有効量が、約0.001mg/kg/日〜約300mg/kg/日である、方法。
【請求項17】
血小板が仲立ちする血栓症、障害または容態を改善、治療または抑制する場合に使用される薬剤の製造における、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項18】
請求項17に記載の使用において、
前記疾患、障害または容態が、動脈血栓症、静脈血栓症、急性心筋梗塞、血栓溶解治療後の再閉塞、血管形成後の再閉塞、不安定アンギナおよび脳卒中から選択される、使用。

【公表番号】特表2010−508350(P2010−508350A)
【公表日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535307(P2009−535307)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【国際出願番号】PCT/US2007/023015
【国際公開番号】WO2008/054795
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(397060175)ヤンセン ファーマシューティカ エヌ.ベー. (28)
【Fターム(参考)】