ALCパネルの取付構造およびこれに用いるALCパネル
【課題】アンカー金具の軽量化を図ることが可能であるとともにパネル壁面外方向のせん断力に対して十分な耐力が確保されるALCパネルの取付構造を提供すること。
【解決手段】ALCパネル16内のカゴ状補強鉄筋24のパネル上端短辺小口側で幅方向の両端2カ所とパネル下端短辺小口側で幅方向の中央位置1カ所にそれぞれ平板状アンカー金具26が溶接固定される。パネル上端短辺小口面から形成された連通孔28とこれに連通する平板状アンカー金具26の挿通孔26bには建物の上側躯体12に固定された2本以上の棒状体18が遊挿されてALCパネル16の上端は2カ所以上で支承される。パネル下端短辺小口面から形成された連通孔29とこれに連通する平板状アンカー金具26の挿通孔26bには建物の下側躯体14に台座22を介して固定された1本の棒状体20が遊挿されてALCパネル16の下端はパネル幅方向の中央位置で支承される。
【解決手段】ALCパネル16内のカゴ状補強鉄筋24のパネル上端短辺小口側で幅方向の両端2カ所とパネル下端短辺小口側で幅方向の中央位置1カ所にそれぞれ平板状アンカー金具26が溶接固定される。パネル上端短辺小口面から形成された連通孔28とこれに連通する平板状アンカー金具26の挿通孔26bには建物の上側躯体12に固定された2本以上の棒状体18が遊挿されてALCパネル16の上端は2カ所以上で支承される。パネル下端短辺小口面から形成された連通孔29とこれに連通する平板状アンカー金具26の挿通孔26bには建物の下側躯体14に台座22を介して固定された1本の棒状体20が遊挿されてALCパネル16の下端はパネル幅方向の中央位置で支承される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ALCパネルの取付構造およびこれに用いるALCパネルに関し、さらに詳しくは、外壁・間仕切壁・隔て壁・袖壁などの建物の壁として好適に用いられるALCパネルの取付構造およびこれに用いるALCパネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ビル・一般住宅などにおける外壁・間仕切壁・隔て壁・袖壁などの建物の壁には、ALCパネル(軽量気泡コンクリートパネル)が用いられている。建物躯体へのALCパネルの取付構造としては、例えば特許文献1〜4に記載されているものが知られている。
【0003】
特許文献1には、布基礎へのALCパネルの取付構造が記載されている。具体的には、布基礎上面に長尺鋼板を敷設固定し、その上に短尺のL字型の係止部材を溶接固定するとともに、ALCパネルの下部をその係止部材に係止させた構造が記載されている。この取付構造においては、係止部材がL字型であるため、ALCパネルの取付後には係止部材の一部がパネル壁面に配置される。係止部材のこの部分がパネル壁面の外に露出されると、ALCパネルの美感が損なわれるため、石膏ボードなどの内装材でこの部分を覆い隠す必要が生じる。また、この部分がパネル壁面の外に露出されると、風雨にされされた場合に腐食しやすくなるため、係止部材に防錆処理を施す必要が生じる。したがって、施工コストが増加する問題があった。
【0004】
これに対し、特許文献2〜4には、ALCパネルを建物躯体に取り付けるための取付金具がパネル壁面の外に露出しないようにしたALCパネルの取付構造が記載されている。
【0005】
特許文献2、3には、床スラブ上に固定された台座を介してボルトによりALCパネルの下部がその下端短辺小口面で床スラブへ取り付けられたALCパネルの取付構造が記載されている。具体的には、金属板で形成された断面がコ字状あるいはロ字状の本体部とこの本体部のパネル下端短辺小口面に平行に配置された底面から立設された雌ネジ部とを有するアンカー金具がALCパネルの下端短辺小口面の近傍に埋設され、この雌ネジ部がパネル下端短辺小口面に開口されて、この雌ネジ部に上記のボルトが螺合されることによりALCパネルはその下端短辺小口面で床スラブへ取り付けられている。このとき、埋設されたアンカー金具の本体部底面から立設された両側面はそれぞれ2本以上の副筋に掛かる長さに構成されており、両側面がそれぞれ2本以上の副筋に溶接固定され、アンカー金具が側面全体で補強鉄筋全体およびパネル母材と一体化されることにより、高い取付強度が発揮されるように構成されている。
【0006】
特許文献4には、ALCパネルの上端短辺小口面から下方のパネル内部に向かってパネル母材に穿設形成された挿入孔内に天井側の建物躯体に固定された棒状体が遊挿されることによりALCパネルの上部が建物躯体に取り付けられた構造が記載されている。
【0007】
また、この特許文献4には、金属板で形成された断面がロ字状の本体部とこの本体部のパネル上端短辺小口面に平行に配置された底面と上面との間に架設された筒状体とを有するアンカー金具がALCパネルの上端短辺小口面の近傍に埋設され、この筒状体がパネル上端短辺小口面に開口されて、この筒状体に上記の棒状体が遊挿されることによりALCパネルの上部が建物躯体に取り付けられた構造が記載されている。このとき、埋設されたアンカー金具の両側面はそれぞれ2本以上の副筋に掛かる長さに構成されており、両側面がそれぞれ2本以上の副筋に溶接固定されることにより、アンカー金具が側面全体で補強鉄筋全体およびパネル母材と一体化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−169020号公報
【特許文献2】特開2009−097184号公報
【特許文献3】特開2011−026827号公報
【特許文献4】特開2011−111816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献2、3に記載されるALCパネルの取付構造では、パネル下端短辺小口面でのパネル壁面外方向のせん断力に対して、台座を介して床スラブ上に固定されたボルトとALCパネル内の2本以上の副筋に両側面が溶接固定された埋設アンカー金具とが一体となって埋設アンカー金具の側面全体で抵抗することにより高い取付強度が発揮されるが、それ故、アンカー金具が大型になって重くなる(約1.5kg)。これにより、アンカー金具の取り扱い性が悪くなるという問題があった。また、これにより、ALCパネル全体の重量も増加する。
【0010】
特許文献4に記載されるALCパネルの取付構造のうちパネル母材に穿設形成された挿入孔内に天井側の建物躯体に固定された棒状体が遊挿される構造では、パネル上端短辺小口面でのパネル壁面外方向のせん断力に対して、十分な耐力が確保できないという問題があった。
【0011】
特許文献4に記載されるALCパネルの取付構造のうちALCパネルの上端短辺小口面の近傍に埋設されたアンカー金具の筒状体に上記の棒状体が遊挿される構造では、パネル上端短辺小口面でのパネル壁面外方向のせん断力に対して、棒状体の遊挿されている部分全体がアンカー金具の筒状体で拘束され、筒状体を介してアンカー金具の側面全体で抵抗することにより高い取付強度が発揮されるが、それ故、アンカー金具が大型になるため、ALCパネルが重いという問題があった。なお、この構造において、アンカー金具の筒状体に棒状体が遊挿されているのは、地震などにより建物躯体が層間変形したときに棒状体が筒状体内で上下動する(ロッキングする)ためである。
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、アンカー金具の軽量化を図ることが可能であるとともにパネル壁面外方向のせん断力に対して十分な耐力が確保されるALCパネルの取付構造およびこれに用いるALCパネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため本発明に係る第1のALCパネルの取付構造は、主筋と副筋とからなる格子状の補強鉄筋マットを2枚互いに離して平行に並べて連結材により連結させて形成したカゴ状補強鉄筋を埋設したALCパネルを建物の上下躯体間に取り付けるALCパネルの取付構造において、ALCパネルの上端側では、前記カゴ状補強鉄筋のパネル上端短辺小口側のパネル幅方向に平行に配された2本の副筋に跨ってパネル上端短辺小口面と平行になるように平板状アンカー金具がパネル幅方向に2枚以上配置されて前記2本の副筋のそれぞれに溶接され、ALCパネルの下端側では、前記カゴ状補強鉄筋のパネル下端短辺小口側のパネル幅方向に配されている2本の副筋に跨ってパネル下端短辺小口面と平行になるように平板状アンカー金具がパネル幅方向の中央位置に1枚配置されて前記2本の副筋のそれぞれに溶接され、これら平板状アンカー金具の板面には建物躯体に固定される棒状体を挿通させるための挿通孔が設けられ、パネル母材には該挿通孔と連通する連通孔が各短辺小口面からパネル内部に向かって該挿通孔よりもさらに奥まで穿設形成されており、ALCパネルの上端は、パネル上端短辺小口面から形成された連通孔とこれに連通する平板状アンカー金具の挿通孔に遊挿された状態で建物の上側躯体に直接または台座を介して固定された2本以上の棒状体によって2カ所以上で支承されているとともに、ALCパネルの下端は、パネル下端短辺小口面から形成された連通孔とこれに連通する平板状アンカー金具の挿通孔に遊挿された状態で建物の下側躯体に台座を介して固定された1本の棒状体によってパネル幅方向の中央位置で支承されていることを要旨とするものである。
【0014】
また、本発明に係る第2のALCパネルの取付構造は、主筋と副筋とからなる格子状の補強鉄筋マットを2枚互いに離して平行に並べて連結材により連結させて形成したカゴ状補強鉄筋を埋設したALCパネルを建物の上下躯体間に取り付けるALCパネルの取付構造において、ALCパネルの上端側では、前記カゴ状補強鉄筋のパネル上端短辺小口側のパネル幅方向に平行に配された2本の副筋に跨ってパネル上端短辺小口面と平行になるように平板状アンカー金具がパネル幅方向に2枚以上配置されて前記2本の副筋のそれぞれに溶接され、これら平板状アンカー金具の板面には建物躯体に固定される棒状体を挿通させるための挿通孔が設けられ、パネル母材には該挿通孔と連通する連通孔がパネル上端短辺小口面からパネル内部に向かって該挿通孔よりもさらに奥まで穿設形成されており、ALCパネルの下端側では、平板状の基板部と該基板部の両端から互いに平行に立設される一対の側板部と該基板部の中央位置から前記側板部と平行に立設される雌ネジ部とで構成される螺合型のコ字状アンカー金具の基板部が前記カゴ状補強鉄筋のパネル下端短辺小口側のパネル幅方向に配されている2本の副筋に跨ってパネル下端短辺小口面と平行になるようにパネル幅方向の中央に配置されるとともに、該螺合型のコ字状アンカー金具の両側板部がパネル長さ方向に配されている2本以上の主筋に跨がるようにパネル壁面と平行で前記基板部から上に延びるように配置されて前記2本以上の主筋のそれぞれに溶接され、該基板部の雌ネジ部が立設されている部分には雌ネジ部の雌ネジ孔に連通する基板貫通孔が設けられ、パネル母材には該基板貫通孔と連通する連通孔がパネル下端短辺小口面からパネル内部に向かって穿設形成されており、ALCパネルの上端は、パネル上端短辺小口面から形成された連通孔とこれに連通する平板状アンカー金具の挿通孔に遊挿された状態で建物の上側躯体に直接または台座を介して固定された2本以上の棒状体によって2カ所以上で支承されているとともに、ALCパネルの下端は、パネル下端短辺小口面から形成された連通孔に連通する螺合型のコ字状アンカー金具の雌ネジ部の雌ネジ孔に螺合された状態で建物の下側躯体に台座を介して固定された1本の雄ネジ部材によってパネル幅方向の中央位置で支持されていることを要旨とするものである。
【0015】
そして、本発明に係る第3のALCパネルの取付構造は、主筋と副筋とからなる格子状の補強鉄筋マットを2枚互いに離して平行に並べて連結材により連結させて形成したカゴ状補強鉄筋を埋設したALCパネルを建物の上下躯体間に取り付けるALCパネルの取付構造において、ALCパネルの上端側では、前記カゴ状補強鉄筋のパネル上端短辺小口側のパネル幅方向に平行に配された2本の副筋に跨ってパネル上端短辺小口面と平行になるように平板状アンカー金具がパネル幅方向に2枚以上配置されて前記2本の副筋のそれぞれに溶接され、これら平板状アンカー金具の板面には建物躯体に固定される棒状体を挿通させるための挿通孔が設けられ、パネル母材には該挿通孔と連通する連通孔がパネル上端短辺小口面からパネル内部に向かって該挿通孔よりもさらに奥まで穿設形成されており、ALCパネルの下端側では、平板状の基板部と該基板部の両端から互いに平行に立設される一対の側板部とで構成されるコ字状アンカー金具の基板部が前記カゴ状補強鉄筋のパネル下端短辺小口側のパネル幅方向に配されている2本の副筋に跨ってパネル下端短辺小口面と平行になるようにパネル幅方向の中央に配置されるとともに、該コ字状アンカー金具の両側板部がパネル長さ方向に配されている2本以上の主筋に跨がるようにパネル壁面と平行で前記基板部から上に延びるように配置されて前記2本以上の主筋のそれぞれに溶接され、該基板部の板面には建物躯体に固定される棒状体を挿通させるための挿通孔が設けられ、パネル母材には該挿通孔と連通する連通孔がパネル下端短辺小口面からパネル内部に向かって該挿通孔よりもさらに奥まで穿設形成されており、ALCパネルの上端は、パネル上端短辺小口面から形成された連通孔とこれに連通する平板状アンカー金具の挿通孔に遊挿された状態で建物の上側躯体に直接または台座を介して固定された2本以上の棒状体によって2カ所以上で支承されているとともに、ALCパネルの下端は、パネル下端短辺小口面から形成された連通孔に連通するコ字状アンカー金具の挿通孔に遊挿された状態で建物の下側躯体に台座を介して固定された1本の棒状体によってパネル幅方向の中央位置で支承されていることを要旨とするものである。
【0016】
さらに、本発明に係る第4のALCパネルの取付構造は、主筋と副筋とからなる格子状の補強鉄筋マットを2枚互いに離して平行に並べて連結材により連結させて形成したカゴ状補強鉄筋を埋設したALCパネルを建物の上下躯体間に取り付けるALCパネルの取付構造において、ALCパネルの上端側では、建物躯体に固定される棒状体を挿通させるための通孔がパネル上端短辺小口面からパネル内部に向かって穿設形成され、ALCパネルの下端側では、前記カゴ状補強鉄筋のパネル下端短辺小口側のパネル幅方向に配されている2本の副筋に跨ってパネル下端短辺小口面と平行になるように平板状アンカー金具がパネル幅方向の中央位置に1枚配置されて前記2本の副筋のそれぞれに溶接され、前記平板状アンカー金具の板面には建物躯体に固定される棒状体を挿通させるための挿通孔が設けられ、パネル母材には該挿通孔と連通する連通孔がパネル下端短辺小口面からパネル内部に向かって該挿通孔よりもさらに奥まで穿設形成されており、ALCパネルの上端は、パネル上端短辺小口面から形成された通孔に挿通された状態で建物の上側躯体に直接または台座を介して固定された2本以上の棒状体によって2カ所以上で支承されているとともに、ALCパネルの下端は、パネル下端短辺小口面から形成された連通孔とこれに連通する平板状アンカー金具の挿通孔に遊挿された状態で建物の下側躯体に台座を介して固定された1本の棒状体によってパネル幅方向の中央位置で支承されていることを要旨とするものである。
【0017】
本発明に係るALCパネルの取付構造においては、前記平板状アンカー金具の挿通孔および該挿通孔に連通するパネル母材の連通孔の内径と前記棒状体の外径との差が1mm以上に設定されていることが望ましい。また、前記平板状アンカー金具の挿通孔は、パネル幅方向の長径がパネル壁面外方向の短径よりも大きく設定されていることが望ましい。そして、前記平板状アンカー金具の幅方向の両端には、パネル長さ方向のパネル内部に向かって折曲された折曲部が形成されているとともに、該折曲部のパネル壁面外方向の端部には、副筋がはめ込まれる切り欠き係止部が設けられていることが望ましい。
【0018】
一方、本発明に係る第1のALCパネルは、上記第1のALCパネルの取付構造に用いられるALCパネルであって、ALCパネルの上端側では、前記カゴ状補強鉄筋のパネル上端短辺小口側のパネル幅方向に平行に配された2本の副筋に跨ってパネル上端短辺小口面と平行になるように平板状アンカー金具がパネル幅方向に2枚以上配置されて前記2本の副筋のそれぞれに溶接され、ALCパネルの下端側では、前記カゴ状補強鉄筋のパネル下端短辺小口側のパネル幅方向に配されている2本の副筋に跨ってパネル下端短辺小口面と平行になるように平板状アンカー金具がパネル幅方向の中央位置に1枚配置されて前記2本の副筋のそれぞれに溶接され、これら平板状アンカー金具の板面には建物躯体に固定される棒状体を遊挿させるための挿通孔が設けられていることを要旨とするものである。
【0019】
また、本発明に係る第2のALCパネルは、上記第2のALCパネルの取付構造に用いられるALCパネルであって、ALCパネルの上端側では、前記カゴ状補強鉄筋のパネル上端短辺小口側のパネル幅方向に平行に配された2本の副筋に跨ってパネル上端短辺小口面と平行になるように平板状アンカー金具がパネル幅方向に2枚以上配置されて前記2本の副筋のそれぞれに溶接され、これら平板状アンカー金具の板面には建物躯体に固定される棒状体を遊挿させるための挿通孔が設けられており、ALCパネルの下端側では、平板状の基板部と該基板部の両端から互いに平行に立設される一対の側板部と該基板部の中央位置から前記側板部と平行に立設される雌ネジ部とで構成される螺合型のコ字状アンカー金具の基板部が前記カゴ状補強鉄筋のパネル下端短辺小口側のパネル幅方向に配されている2本の副筋に跨ってパネル下端短辺小口面と平行になるようにパネル幅方向の中央に配置されるとともに、該螺合型のコ字状アンカー金具の両側板部がパネル長さ方向に配されている2本以上の主筋に跨がるようにパネル壁面と平行で前記基板部から上に延びるように配置されて前記2本以上の主筋のそれぞれに溶接され、該基板部の雌ネジ部が立設されている部分には雌ネジ部の雌ネジ孔に連通する基板貫通孔が設けられていることを要旨とするものである。
【0020】
そして、本発明に係る第3のALCパネルは、上記第3のALCパネルの取付構造に用いられるALCパネルであって、ALCパネルの上端側では、前記カゴ状補強鉄筋のパネル上端短辺小口側のパネル幅方向に平行に配された2本の副筋に跨ってパネル上端短辺小口面と平行になるように平板状アンカー金具がパネル幅方向に2枚以上配置されて前記2本の副筋のそれぞれに溶接され、これら平板状アンカー金具の板面には建物躯体に固定される棒状体を遊挿させるための挿通孔が設けられており、ALCパネルの下端側では、平板状の基板部と該基板部の両端から互いに平行に立設される一対の側板部とで構成されるコ字状アンカー金具の基板部が前記カゴ状補強鉄筋のパネル下端短辺小口側のパネル幅方向に配されている2本の副筋に跨ってパネル下端短辺小口面と平行になるようにパネル幅方向の中央に配置されるとともに、該コ字状アンカー金具の両側板部がパネル長さ方向に配されている2本以上の主筋に跨がるようにパネル壁面と平行で前記基板部から上に延びるように配置されて前記2本以上の主筋のそれぞれに溶接され、該基板部の板面には建物躯体に固定される棒状体を挿通させるための挿通孔が設けられていることを要旨とするものである。
【0021】
さらに、本発明に係る第4のALCパネルは、上記第4のALCパネルの取付構造に用いられるALCパネルであって、ALCパネルの下端側では、前記カゴ状補強鉄筋のパネル下端短辺小口側のパネル幅方向に配されている2本の副筋に跨ってパネル下端短辺小口面と平行になるように平板状アンカー金具がパネル幅方向の中央位置に1枚配置されて前記2本の副筋のそれぞれに溶接され、前記平板状アンカー金具の板面には建物躯体に固定される棒状体を挿通させるための挿通孔が設けられていることを要旨とするものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るALCパネルの取付構造によれば、ALCパネルに埋設するアンカー金具として平板状アンカー金具を用いたことによりアンカー金具の埋設によるALCパネルの重量増加が低く抑えられている。このとき、建物躯体に固定された棒状体の外径よりもこの棒状体が挿通されるパネル短辺小口面の連通孔とこれに連通する平板状アンカー金具の挿通孔の内径が大きく構成されているので、棒状体はこの連通孔とこれに連通する平板状アンカー金具の挿通孔には拘束されず、パネル短辺小口面でのパネル壁面外方向のせん断力によってパネル壁面外方向に遊動する。これにより、棒状体は平板状アンカー金具の挿通孔の内周縁に接触する。この接触により、パネル壁面外方向のせん断力が平板状アンカー金具を介してALCパネルの副筋に伝達され、この副筋からカゴ状補強鉄筋全体に伝達され、これによりパネル壁面外方向のせん断力に抵抗するので、パネル壁面外方向のせん断力に対して十分な耐力が確保される。
【0023】
特許文献4のように棒状体が拘束されていると、アンカー引抜せん断力が働いたときにそのこじりの力をアンカー金具の筒状体全体が拘束することによりさらに大きな荷重がアンカー金具に加わり、アンカー金具への負担を大きくしていた。本発明の構成であれば、棒状体が遊動できることで、アンカー金具にかかる負担が少なくなる。負担が少ない分、アンカー金具を小さくすることができる。
【0024】
この棒状体がパネル母材の連通孔や平板状アンカー金具の挿通孔に遊挿されているのは、ロッキングを目的とする棒状体の上下動を確保するだけでなく、棒状体の拘束を緩和することでパネル壁面外方向に棒状体を遊動しやすくし、平板状アンカー金具の挿通孔の内周縁に棒状体を接触しやすくして副筋およびカゴ状補強鉄筋全体への力の伝達効率を高めることにもある。そして、ALCパネルの上端が2カ所以上で支承されているとともにALCパネルの下端がパネル幅方向の中央位置で支承されているので、地震などにより建物躯体が層間変形したときにALCパネルはスムーズにロッキングしてその層間変形に追従することができる。
【0025】
この際、平板状アンカー金具の挿通孔のパネル幅方向の長径がパネル壁面外方向の短径よりも大きく設定されていれば、層間変形時には棒状体がパネル幅方向に遊動しやすくなるので、ALCパネルのロッキング性能とパネル壁面外方向のせん断力の伝達性能を高度に両立させることができる。
【0026】
そして、平板状アンカー金具の幅方向の両端に形成された折曲部のパネル壁面外方向の端部に切り欠き係止部が設けられていれば、平板状アンカー金具の溶接に際し、切り欠き係止部に副筋を係止させて平板状アンカー金具を副筋に仮固定することができ、溶接しやすくなる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施形態に係るALCパネルの取付構造の正面図(a)および側面図(b)である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るALCパネルの取付構造の透視分解斜視図である。
【図3】ALCパネルに埋設される平板状アンカー金具の一実施形態の斜視図である。
【図4】図1のパネル上端側の要部の正面側拡大断面図である。
【図5】図1のパネル下端側の要部の正面側拡大断面図である。
【図6】図1のパネル上端側の要部の側面側拡大断面図であり、パネル壁面外方向の力が作用していない状態図(a)と作用している状態図(b)である。
【図7】本発明の第2実施形態に係るALCパネルの取付構造の正面図(a)および側面図(b)である。
【図8】本発明の第2実施形態に係るALCパネルの取付構造の下端側の透視分解斜視図である。
【図9】ALCパネルに埋設される螺合型のコ字状アンカー金具の一実施形態の斜視図である。
【図10】本発明の第3実施形態に係るALCパネルの取付構造の正面図(a)および側面図(b)である。
【図11】ALCパネルに埋設されるコ字状アンカー金具の一実施形態の斜視図である。
【図12】本発明の第4実施形態に係るALCパネルの取付構造の正面図(a)および側面図(b)である。
【図13】図12のパネル上端側の要部の正面側拡大断面図である。
【図14】ALCパネル上端側の取付構造の他の実施例の正面図である。
【図15】ALCパネル上端側の取付構造の他の実施例の正面図である。
【図16】平板状アンカー金具の他の実施例の斜視図である。
【図17】棒状体でパネル短辺小口面の2カ所を支承した取付構造について行うパネル壁面外方向のせん断試験の概略模式図である。
【図18】棒状体あるいは雄ネジ部材でパネル短辺小口面の1カ所を支承(支持)した取付構造について行うパネル壁面外方向のせん断試験の概略模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1〜6は、本発明の第1実施形態に係るALCパネルの取付構造に関するものである。図1は、第1実施形態に係るALCパネルの取付構造の正面図(a)および側面図(b)であり、ALCパネル内に埋設あるいは挿入されている部材を点線で示している。図2は、本発明の第1実施形態に係るALCパネルの取付構造の透視分解斜視図であり、ALCパネルについては、パネル母材の輪郭を点線で示し、ALCパネル内に埋設されている部材を実線で示している。
【0029】
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係るALCパネルの取付構造10は、建物の上側躯体12に埋設された埋込みプレート12aに固定されたフラットバー12bを介して固定された2本の棒状体18,18によってALCパネル16の上端が2カ所で支承されるとともに建物の下側躯体14に埋設された埋込みプレート14aに固定されたフラットバー14bに固定された台座22を介して固定された1本の棒状体20によってALCパネル16の下端が1カ所で支承されたものから構成されている。
【0030】
図2に示すように、ALCパネル16は、カゴ状補強鉄筋24が埋設された軽量気泡コンクリートがパネル状に成形されたもので構成されている。カゴ状補強鉄筋24は、ALCパネル16の強度を高めるものであり、パネル全体にわたって埋設されている。
【0031】
カゴ状補強鉄筋24は、ALCパネル16の長さ方向に沿って配置される主筋24aとその幅方向に沿って配置される副筋24bとを格子状に組み合わせた補強鉄筋マットを2枚互いに離してパネル壁面に平行に並べて連結材24cにより連結させてカゴ状に形成したものからなる。一方の補強鉄筋マットは一方のパネル壁面に近接させて配置され、他方の補強鉄筋マットは他方のパネル壁面に近接させて配置される。このカゴ状補強鉄筋24には、ALCパネル16の建物躯体への取付に用いるアンカー金具が溶接固定されている。
【0032】
図3に示すように、アンカー金具は、長方形の平板面を有する平板状のものからなる。この平板状アンカー金具26の平板面26aの長さ(L)は、カゴ状補強鉄筋24の主筋24a間距離以上の長さとされ、その幅(W)は、カゴ状補強鉄筋24の副筋24b間距離に合わせた長さとされている。平板面26aの中央位置には、建物躯体に固定される棒状体18,20を挿通させるための挿通孔26bが形成されている。挿通孔26bは、平板面26aの長さ方向(L方向)と幅方向(W方向)に辺を有し、長さ方向の辺が幅方向の辺より長い長方形に構成されている。長さ方向の辺および幅方向の辺のいずれも、この挿通孔26bに挿通される棒状体18,20の外径より大きく(長く)構成されており、棒状体18,20はこの挿通孔26bに対し、その周縁との間で所定の隙間がある状態で挿入(遊挿)される。
【0033】
平板状アンカー金具26の平板面26aの長さ方向の両端には、平板面26aから同方向に起立するように折曲された折曲部26cがそれぞれ形成されている。この折曲部26cにより平板面26aの幅方向の曲げ強度が高められている。この折曲部26cの基端で幅方向の両端は副筋24bの太さに切り欠かれており、平板面26aの長さ方向の辺に沿って配置される副筋24bがはめ込まれる切り欠き係止部26dとされている。
【0034】
このような構成の平板状アンカー金具26は、図2に示すように、カゴ状補強鉄筋24のパネル上端側に2つ、パネル下端側に1つ溶接固定されている。
【0035】
ALCパネル16の上端側では、カゴ状補強鉄筋24のパネル上端短辺小口側で幅方向の両端にそれぞれ1枚ずつ合計2枚の平板状アンカー金具26が配置されている。各平板状アンカー金具26は、その平板面26aの長さ方向の2つの辺がそれぞれカゴ状補強鉄筋24のパネル上端短辺小口側の2本の副筋24bに沿い、その平板面26aがその2本の副筋24bに跨ってパネル上端短辺小口面と平行になるように配置されている。平板面26aの長さ方向の両端には切り欠き係止部26dが設けられており、平板面26aの長さ方向の辺に沿う副筋24bはこの切り欠き係止部26dにはめ込まれて係止されている。このように平板状アンカー金具26が副筋24bに仮固定された状態で、副筋24bに沿った平板面26aの長さ方向の2つの辺がそれぞれの副筋24bに溶接されて、平板状アンカー金具26がカゴ状補強鉄筋24に固定されている。溶接に際し、平板状アンカー金具26は副筋24bに仮固定されているので、溶接しやすく、作業性に優れる。
【0036】
ALCパネル16の下端側では、カゴ状補強鉄筋24のパネル下端短辺小口側で幅方向の中央位置に1枚の平板状アンカー金具26が配置されている。ALCパネル16の上端側と同様、平板状アンカー金具26は、その平板面26aの長さ方向の2つの辺がそれぞれカゴ状補強鉄筋24のパネル下端短辺小口側の2本の副筋24bに沿い、その平板面26aがその2本の副筋24bに跨ってパネル下端短辺小口面と平行になるように配置され、平板面26aの長さ方向の辺に沿う副筋24bが平板面26aの長さ方向の両端に形成された切り欠き係止部26dにはめ込まれて係止された状態で、副筋24bに沿った平板面26aの長さ方向の2つの辺がそれぞれの副筋24bに溶接されている。
【0037】
このようにカゴ状補強鉄筋24に溶接固定された平板状アンカー金具26の挿通孔26bは、パネル短辺小口面に向かって開口している。図4、5に示すように、パネル母材16aには、この挿通孔26bと連通するように各短辺小口面からパネル内部に向かって挿通孔26bよりもさらに奥まで連通孔28,29が穿設形成されている。具体的には、各短辺小口面から平板状アンカー金具26の平板面26aまではその挿通孔26bの孔径よりも大きい孔径の孔(入口側孔28a,29a)とされ、平板状アンカー金具26の平板面26aからさらに奥には、その挿通孔26bの孔径と同じかやや小さい孔径の孔(奥側孔28b、29b)とされている。連通孔28,29の入口側孔28a,29aおよび奥側孔28b,29bのいずれも、挿通される棒状体18,20の外径より大きく構成されており、棒状体18,20はこれらの孔に対し、その周面との間で所定の隙間がある状態で挿入(遊挿)される。この連通孔28,29により、平板状アンカー金具26の挿通孔26bはパネル短辺小口面に開口する。
【0038】
ALCパネル16の上端側では、図4に示すように、建物の上側躯体12に埋設された埋込みプレート12aに固定されたフラットバー12bを介して固定された棒状体18がパネル上端短辺小口面から形成された連通孔28とこれに連通する平板状アンカー金具26の挿通孔26bに遊挿されている。一方、ALCパネル16の下端側では、図5に示すように、建物の下側躯体14に埋設された埋込みプレート14aに固定されたフラットバー14bに固定されたハット型の台座22を介して固定された棒状体20がパネル下端短辺小口面から形成された連通孔29とこれに連通する平板状アンカー金具26の挿通孔26bに遊挿されている。
【0039】
上側躯体12に固定される棒状体18は、円盤状の基部18aと基部18aから立設される棒状部18bとにより構成されており、円盤状の基部18aが上側躯体12への固定面となり、棒状体18はこの部分で上側躯体12に固定されている。また、棒状部18bが連通孔28および挿通孔26bに挿通される部分であり、棒状体18はこの棒状部18bで連通孔28および挿通孔26bに遊挿されている。一方、下側躯体14に固定される棒状体20には円盤状の基部がなく、棒状部20bのみで構成されている。この棒状部20bの基端が、ハット型の台座22に溶接固定される。
【0040】
ハット型の台座22は、ALCパネル16が下端短辺小口面で載置される載置面を有する載置部22aと載置部22aの幅方向両端より延設形成された一対の脚部22b,22bとにより構成されている。脚部22bは、載置部22aの載置面の同一方向に直角に曲げ加工された折曲片よりなり、その先端はさらに外側に開く方向にさらに直角に曲げ加工されている。脚部22bの先端は載置部22aの載置面に平行な面を有しており、この面が下側躯体14に固定される面となって下側躯体14に固定されている。下側躯体14に固定される棒状体20は、その棒状部20bでこの載置部22aの載置面の中央位置に溶接固定されて、ハット型の台座22に一体化されている。
【0041】
そして、図1に示す全体構造から、ALCパネル16は、下端短辺小口面の幅方向中央位置でハット型の台座22上に載置され、パネル下端と下側躯体14との間にはハット型の台座22の高さ分の隙間Sが設けられ、パネル上端と上側躯体12との間にはパネル下端と下側躯体14との間の隙間Sと同程度の隙間Sが設けられた状態で、パネル上端が建物の上側躯体12に埋設された埋込みプレート12aに固定されたフラットバー12bを介して固定された2本の棒状体18,18によって2カ所で支承され、パネル下端が建物の下側躯体14に埋設された埋込みプレート14aに固定されたフラットバー14bに固定されたハット型の台座22を介して1本の棒状体20によって1カ所で支承されて、建物の上下躯体間に取り付けられている。
【0042】
したがって、このようなALCパネルの取付構造10によれば、地震などで建物躯体が層間変形したときには、ALCパネル16の幅方向の中央位置を中心にその幅方向の両側が上下するようにロッキングすることができる。このため、このように取り付けられたALCパネル16は、建物躯体の層間変形に対して優れた追従性能を発揮することができる。特にパネル上端側では、平板状アンカー金具26が、パネル幅方向において、その中心を挟んで両端方向に均等な位置に1つずつ配置されているため、ALCパネル16はバランス良くスムーズにロッキングすることができる。また、パネル上端側が2つの棒状体18,18で支承されているため、パネル幅方向中央位置を中心軸としてパネル壁面外方向に回転(どんでん返し)が発生することもない。
【0043】
この際、建物躯体には、層間変形またはパネル壁面外方向にせん断力が作用する場合がある。このとき、棒状体18,20の外径よりもこの棒状体18,20が挿通されるパネル短辺小口面の連通孔28,29とこれに連通する平板状アンカー金具26の挿通孔26bの内径が大きく構成されているので、棒状体18,20はこの連通孔28,29とこれに連通する平板状アンカー金具26の挿通孔26bには拘束されない。このため、図6(b)に示すように、パネル短辺小口面でのパネル壁面外方向のせん断力によってALCパネル16に対して棒状体18,20がパネル壁面外方向に相対的に遊動する。これにより、棒状体18,20は平板状アンカー金具26の挿通孔26bの内周縁に接触する。この接触により、パネル壁面外方向のせん断力が平板状アンカー金具26を介してALCパネル16の副筋24bに伝達され、この副筋24bからカゴ状補強鉄筋24全体に伝達され、これによりパネル壁面外方向のせん断力に抵抗するので、パネル壁面外方向のせん断力に対して十分な耐力が確保される。
【0044】
すなわち、この棒状体18,20がパネル母材16aの連通孔28,29や平板状アンカー金具26の挿通孔26bに遊挿されているのは、ロッキングを目的とする棒状体18,20の上下動を確保するだけでなく、棒状体18,20の拘束を緩和することでパネル壁面外方向に棒状体18,20を遊動しやすくし、平板状アンカー金具26の挿通孔26bの内周縁に棒状体18,20を接触しやすくして副筋24bおよびカゴ状補強鉄筋24全体への力の伝達効率を高めることにもある。
【0045】
このようにして、ALCパネル16に埋設されたアンカー金具が平板状アンカー金具26でもパネル壁面外方向のせん断力に対して十分な耐力が確保されるので、パネル壁面外方向のせん断力に対する耐力の確保とともにアンカー金具の軽量化が図られる。
【0046】
ALCパネル16の大きさとしては、特に限定されるものではないが、通常、幅300〜610mm、長さ1500〜4000mm、厚さ75〜150mmの範囲に設定される。このとき、ALCパネル16に埋設されるカゴ状補強鉄筋24が、ALCパネル16の各短辺小口面からの距離が5〜40mmの範囲までALCパネル16の内部を占めていれば、平板状アンカー金具26が、ALCパネル16の各端面からの距離が5〜40mmの範囲に埋設され、パネル短辺小口面の表面にひび割れがより生じにくくなる。
【0047】
上記範囲の大きさのALCパネル16を支承する棒状体18,20は、ALCパネル16内に埋設された補強鉄筋とのかぶりを考慮して、棒状部18b,20bの長さが60〜150mmの範囲内であることが好ましく、また、棒状部18b,20bの外径は10〜15mmの範囲内であることが好ましい。棒状体18,20は鋼材などの剛体で形成され、棒状体18,20の棒状部18b,20bはパネル母材16aの連通孔28,29内や平板状アンカー金具26の挿通孔26b内でロッキング時に上下動しやすいように円柱状であることが好ましい。
【0048】
平板状アンカー金具26の大きさとしては、ALCパネル16に埋設されるカゴ状補強鉄筋24の大きさに合わせて、平板面26aの幅が30〜110mm、平板面26aの長さが50〜250mm、平板面26aの厚さが1.0〜3.5mm、折曲部26cの高さが8〜20mmの範囲内に設定することが好ましい。より好ましくは、平板面26aの長さが70〜150mm、平板面26aの厚さが1.0〜2.3mm、折曲部26cの高さが8〜15mmの範囲内である。
【0049】
パネル母材16aの連通孔28,29のパネル壁面外方向の短径(ALCパネル16の厚さ方向の内径)および平板状アンカー金具26の挿通孔26bのパネル壁面外方向の短径(平板状アンカー金具26の平板面26aの幅方向の内径)としては、棒状体18,20の棒状部18b,20bの外径との差が1mm以上に設定されていることが好ましい。より好ましくは棒状体18,20の棒状部18b,20bの外径との差が1mm以上3mm以下であり、さらに好ましくは棒状体18,20の棒状部18b,20bの外径との差が1.5mm以上3mm以下である。このように棒状体18,20の棒状部18b,20bとの外径差を大きくすることにより、棒状体18,20の拘束がより緩和され、パネル壁面外方向にせん断力が作用したときにパネル壁面外方向に棒状体18,20を遊動しやすくし、平板状アンカー金具26の挿通孔26bの内周縁に棒状体18,20を接触しやすくして副筋24bおよびカゴ状補強鉄筋24全体への力の伝達効率をより高めることができる。
【0050】
そして上記実施形態においては、パネル母材16aの連通孔28,29のうちの入口側孔28a,29aが平板状アンカー金具26の平板面26aの挿通孔26bの孔径よりも大きい孔径とされているため、図6(b)に示すように、パネル壁面外方向にせん断力が作用したときに、平板状アンカー金具26の挿通孔26bの内周縁に棒状体18,20が接触しても、入口側孔28a,29aのパネル短辺小口側の開口端に接触しないようにすることができる。パネル短辺小口側の開口端には補強鉄筋が配置されていないため、パネル母材16aの破壊強度が特に低く、棒状体18,20のこじりによってパネル母材16aの破壊が特に起こりやすい部分である。この部分に棒状体18,20の基端が接触しないようにすることで、パネル母材16aの表面の破壊を抑えてパネル壁面外方向のせん断力に対するパネル強度をさらに高めることができる。
【0051】
この観点から、パネル母材16aの連通孔28,29のうちの入口側孔28a,29aのパネル壁面外方向の短径としては、棒状体18,20の棒状部18b,20bの外径との差が2mm以上に設定されていることが好ましい。より好ましくは棒状体18,20の棒状部18b,20bの外径との差が5mm以上20mm以下である。なお、入口側孔28a,29aは、例えば円形に形成して、パネル幅方向の長径をパネル壁面外方向の短径と同じにすれば良い。
【0052】
一方、パネル母材16aの連通孔28,29のパネル幅方向の長径(ALCパネル16の幅方向の内径)および平板状アンカー金具26の挿通孔26bのパネル幅方向の長径(平板状アンカー金具26の平板面26aの長さ方向の内径)としては、パネル壁面外方向の短径と同じ(挿通孔26bの形状が正方形や円などの場合)か、あるいは、パネル壁面外方向の短径よりも大きい(挿通孔26bの形状が長方形や楕円などの場合)ことが好ましい。パネル幅方向には層間変形が生じるため、ロッキング時に上下動しやすいようにするためである。パネル幅方向の長径が大きいほど、ロッキング時に上下動しやすくできる。この観点から、パネル母材16aの連通孔28,29および平板状アンカー金具26の挿通孔26bのパネル幅方向の長径としては、棒状体18,20の棒状部18b,20bの外径との差が1mm以上に設定されていることが好ましい。より好ましくは棒状体18,20の棒状部18b,20bの外径との差が1mm以上5mm以下であり、さらに好ましくは棒状体18,20の棒状部18b,20bの外径との差が1.5mm以上4.5mm以下である。なお、パネル母材16aの連通孔28,29の深さは、連通孔28,29の底が棒状体18,20の先端でこじられない程度に棒状体18,20の棒状部18b,20bの長さに合わせて適宜設定すれば良い。
【0053】
次に、本発明の第2実施形態に係るALCパネルの取付構造について説明する。図7〜9は、本発明の第2実施形態に係るALCパネルの取付構造に関するものである。第2実施形態に係るALCパネルの取付構造30は、第1実施形態に係るALCパネルの取付構造10と比較して、パネル下端側の取付構造が異なっており、パネル上端側の取付構造については第1実施形態に係るALCパネルの取付構造10と同様であるため、その説明を省略する。
【0054】
図7に示すように、本発明の第2実施形態に係るALCパネルの取付構造30は、建物の上側躯体12に埋設された埋込みプレート12aに固定されたフラットバー12bを介して固定された2本の棒状体18,18によってALCパネル16の上端が2カ所で支承されるとともに建物の下側躯体14に埋設された埋込みプレート14aに固定されたフラットバー14bに固定された台座22を介して固定された1本の雄ネジ部材32によってALCパネル16の下端が1カ所で支持されたものから構成されている。
【0055】
ALCパネル16内に埋設されているカゴ状補強鉄筋24のパネル上端短辺小口側には、幅方向の両端にそれぞれ1枚ずつ合計2枚の上述の平板状アンカー金具26が配置され、溶接固定されている。そして、カゴ状補強鉄筋24のパネル下端短辺小口側には、幅方向の中央位置に1枚の螺合型のコ字状アンカー金具34が配置されている。
【0056】
図9に示すように、螺合型のコ字状アンカー金具34は、長方形の平板面を有する平板状の基板部34aと、基板部34aの幅方向の両端から同方向に互いに平行に立設される一対の側板部34b,34bと、基板部34aの中央位置から側板部34bと平行に立設される雌ネジ部34cと、により構成されている。この螺合型のコ字状アンカー金具34の基板部34aの長さ(L)は、カゴ状補強鉄筋24のパネル壁面方向に並ぶ主筋24a間距離よりも長く、基板部34aから立設される側板部34bがパネル壁面方向において2本の主筋24aに掛かるように構成されている。また、その幅(W)は、カゴ状補強鉄筋24のパネル厚さ方向に並ぶ副筋24b間距離に合わせた長さとされている。基板部34aの雌ネジ部34cが立設されている部分には、雌ネジ部34cの雌ネジ孔に連通する基板貫通孔(図示せず)が設けられている。基板貫通孔の孔径は、雌ネジ部34cの雌ネジ孔の孔径と同じかそれよりも大きくされて、後述する雄ネジ部材32が基板貫通孔を通って雌ネジ部34cの雌ネジ孔に螺合できるようになっている。
【0057】
このような構成の螺合型のコ字状アンカー金具34は、図8に示すように、基板部34aがカゴ状補強鉄筋24のパネル下端短辺小口側のパネル幅方向に配されている2本の副筋24bに跨ってパネル下端短辺小口面と平行になるようにパネル幅方向の中央に配置されるとともに、基板部34aから立設される両側板部34b,34bがパネル長さ方向に配されている2本の主筋24aに跨がるようにパネル壁面と平行で基板部34aから上に延びるように配置されている。そして、両側板部34b,34bで2本の主筋24aのそれぞれに溶接されている。
【0058】
このように配置されたことで、カゴ状補強鉄筋24に溶接固定された螺合型のコ字状アンカー金具34の雌ネジ部34cの雌ネジ孔は、基板部34aの基板貫通孔を介してパネル下端短辺小口面に向かって開口している。パネル母材16aには、図5に示す第1実施形態のパネル下端側のように、基板貫通孔および雌ネジ孔と連通するようにパネル下端短辺小口面からパネル内部に向かって連通孔が穿設形成されている。この連通孔により、螺合型のコ字状アンカー金具34の雌ネジ部34cの雌ネジ孔はパネル下端短辺小口面に開口する。
【0059】
そして、図8に示すように、ALCパネル16の下端側は、ハット型の台座22を介してボルトなどの雄ネジ部材32がパネル下端短辺小口面から形成された連通孔に挿通され、この連通孔に連通される螺合型のコ字状アンカー金具34の雌ネジ部34cの雌ネジ孔に螺合されることにより、建物の下側躯体14に埋設された埋込みプレート14aに固定されたフラットバー14bに固定された台座22を介して固定された1本の雄ネジ部材32によってパネル幅方向の中央位置で支持される。
【0060】
したがって、このようなALCパネルの取付構造30によれば、地震などで建物躯体が層間変形したときには、ALCパネル16の幅方向の中央位置を中心にその幅方向の両側が上下するようにロッキングすることができる。このため、このように取り付けられたALCパネル16は、建物躯体の層間変形に対して優れた追従性能を発揮することができる。また、ALCパネル16に埋設されたアンカー金具が平板状アンカー金具26でもパネル壁面外方向のせん断力に対して十分な耐力が確保されるので、パネル壁面外方向のせん断力に対する耐力の確保とともにアンカー金具の軽量化が図られる。
【0061】
螺合型のコ字状アンカー金具34の大きさとしては、ALCパネル16に埋設されるカゴ状補強鉄筋24の大きさに合わせて、基板部34aの幅が30〜110mm、基板部34aの長さが150〜350mm、基板部34aの厚さが1.0〜3.5mm、側板部34bの高さが10〜50mm、雌ネジ部34cの高さが10〜80mm、雌ネジ部34cの呼び径が10〜14mmの範囲内に設定することが好ましい。
【0062】
次に、本発明の第3実施形態に係るALCパネルの取付構造について説明する。図10〜11は、本発明の第3実施形態に係るALCパネルの取付構造40に関するものである。第3実施形態に係るALCパネルの取付構造40は、第1実施形態に係るALCパネルの取付構造10と比較して、パネル下端側のアンカー金具の構造が異なっており、パネル上端側の取付構造については第1実施形態に係るALCパネルの取付構造10と同様であるため、その説明を省略する。
【0063】
図10に示すように、本発明の第3実施形態に係るALCパネルの取付構造40は、第1実施形態に係るALCパネルの取付構造10と同様、建物の上側躯体12に埋設された埋込みプレート12aに固定されたフラットバー12bを介して固定された2本の棒状体18,18によってALCパネル16の上端が2カ所で支承されるとともに建物の下側躯体14に埋設された埋込みプレート14aに固定されたフラットバー14bに固定された台座22を介して固定された1本の棒状体20によってALCパネル16の下端が1カ所で支承されたものから構成されている。
【0064】
ALCパネル16内に埋設されているカゴ状補強鉄筋24のパネル上端短辺小口側には、幅方向の両端にそれぞれ1枚ずつ合計2枚の上述の平板状アンカー金具26が配置され、溶接固定されている。そして、カゴ状補強鉄筋24のパネル下端短辺小口側には、幅方向の中央位置に1枚のコ字状アンカー金具42が配置されている。
【0065】
図11に示すように、コ字状アンカー金具42は、長方形の平板面を有する平板状の基板部42aと、基板部42aの幅方向の両端から同方向に互いに平行に立設される一対の側板部42b,42bと、により構成されている。このコ字状アンカー金具42の基板部42aの長さ(L)は、カゴ状補強鉄筋24のパネル壁面方向に並ぶ主筋24a間距離よりも長く、基板部42aから立設される側板部42bがパネル壁面方向において2本の主筋24aに掛かるように構成されている。また、その幅(W)は、カゴ状補強鉄筋24のパネル厚さ方向に並ぶ副筋24b間距離に合わせた長さとされている。そして、基板部42aの中央位置には、建物躯体に固定される棒状体20を挿通させるための挿通孔42cが形成されている。この挿通孔42cの構成は、平板状アンカー金具26の挿通孔26bと同じ構成であり、棒状体20はこの挿通孔42cに対し、その周縁との間で所定の隙間がある状態で挿入(遊挿)される。
【0066】
このような構成のコ字状アンカー金具42は、図10に示すように、基板部42aがカゴ状補強鉄筋24のパネル下端短辺小口側のパネル幅方向に配されている2本の副筋24bに跨ってパネル下端短辺小口面と平行になるようにパネル幅方向の中央に配置されるとともに、基板部42aから立設される両側板部42b,42bがパネル長さ方向に配されている2本の主筋24aに跨がるようにパネル壁面と平行で基板部42aから上に延びるように配置されている。そして、両側板部42b,42bで2本の主筋24aのそれぞれに溶接されている。
【0067】
このように配置されたことで、カゴ状補強鉄筋24に溶接固定されたコ字状アンカー金具42の基板部42aの挿通孔42cは、パネル下端短辺小口面に向かって開口している。パネル母材16aには、図5に示す第1実施形態のパネル下端側のように、この挿通孔42cと連通するようにパネル下端短辺小口面からパネル内部に向かって挿通孔42cよりもさらに奥まで連通孔が穿設形成されている。この連通孔により、コ字状アンカー金具42の基板部42aの挿通孔42cはパネル下端短辺小口面に開口する。
【0068】
そして、図10に示すように、ALCパネル16の下端側は、建物の下側躯体14に埋設された埋込みプレート14aに固定されたフラットバー14bに固定されたハット型の台座22を介して固定された棒状体20がパネル下端短辺小口面から形成された連通孔とこれに連通するコ字状アンカー金具42の基板部42aの挿通孔42cに遊挿されることにより、建物の下側躯体14に埋設された埋込みプレート14aに固定されたフラットバー14bに固定された台座22を介して固定された1本の棒状体20によってパネル幅方向の中央位置で支承される。
【0069】
したがって、このようなALCパネルの取付構造40によれば、地震などで建物躯体が層間変形したときには、ALCパネル16の幅方向の中央位置を中心にその幅方向の両側が上下するようにロッキングすることができる。このため、このように取り付けられたALCパネル16は、建物躯体の層間変形に対して優れた追従性能を発揮することができる。また、ALCパネル16に埋設されたアンカー金具が平板状アンカー金具26でもパネル壁面外方向のせん断力に対して十分な耐力が確保されるので、パネル壁面外方向のせん断力に対する耐力の確保とともにアンカー金具の軽量化が図られる。
【0070】
コ字状アンカー金具42の大きさとしては、ALCパネル16に埋設されるカゴ状補強鉄筋24の大きさに合わせて、基板部42aの幅が30〜110mm、基板部42aの長さが150〜350mm、基板部42aの厚さが1.0〜3.5mm、側板部42bの高さが10〜50mmの範囲内に設定することが好ましい。なお、コ字状アンカー金具42の挿通孔42cの大きさは、平板状アンカー金具26の挿通孔26bと同じ構成にすれば良い。
【0071】
次に、本発明の第4実施形態に係るALCパネルの取付構造について説明する。図12〜13は、本発明の第4実施形態に係るALCパネルの取付構造に関するものである。第4実施形態に係るALCパネルの取付構造50は、第1実施形態に係るALCパネルの取付構造10と比較して、パネル上端側の取付構造が異なっており、パネル下端側の取付構造については第1実施形態に係るALCパネルの取付構造10と同様であるため、その説明を省略する。
【0072】
図12に示すように、本発明の第4実施形態に係るALCパネルの取付構造50は、建物の上側躯体12に埋設された埋込みプレート12aに固定されたフラットバー12bを介して固定された2本の棒状体18,18によってALCパネル16の上端が2カ所で支承されるとともに建物の下側躯体14に埋設された埋込みプレート14aに固定されたフラットバー14bに固定された台座22を介して固定された1本の棒状体20によってALCパネル16の下端が1カ所で支承されたものから構成されている。
【0073】
第1実施形態のALCパネル16のカゴ状補強鉄筋24には、パネル上端側に2つ、パネル下端側に1つ、平板状アンカー金具26が溶接固定されているが、第4実施形態のALCパネル16のカゴ状補強鉄筋24には、パネル上端側に平板状アンカー金具26は溶接固定されておらず、パネル下端側に1つ、平板状アンカー金具26が溶接固定されている。このとき、図12,13に示すように、第4実施形態のALCパネル16のパネル母材16aには、建物躯体に固定される棒状体18を挿通させるための通孔52が、パネル幅方向に2カ所、パネル上端短辺小口面からパネル内部に向かって穿設形成されている。そして、図13に示すように、ALCパネル16の上端側は、建物の上側躯体12に埋設された埋込みプレート12aに固定されたフラットバー12bを介して固定された2本の棒状体18,18がこの通孔52に挿通(遊挿)されることによって2カ所で支承されている。
【0074】
したがって、このようなALCパネルの取付構造50によれば、地震などで建物躯体が層間変形したときには、ALCパネル16の幅方向の中央位置を中心にその幅方向の両側が上下するようにロッキングすることができる。このため、このように取り付けられたALCパネル16は、建物躯体の層間変形に対して優れた追従性能を発揮することができる。また、ALCパネル16に埋設されたアンカー金具が平板状アンカー金具26でもパネル壁面外方向のせん断力に対して十分な耐力が確保されるので、パネル壁面外方向のせん断力に対する耐力の確保とともにアンカー金具の軽量化が図られる。
【0075】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0076】
例えば上記実施形態においては、棒状体18は上側躯体12に埋込みプレート12aを介して直接固定されているが、図14や図15に示すように、上側躯体12に埋設された埋込みプレート12aに固定されたフラットバー12bを介して固定された台座22を介して間接的に上側躯体12に固定されても良い。図14では、棒状体18の棒状部18bがハット型の台座22の貫通孔22cに挿通され、棒状体18の円盤状の基部18aがハット型の台座22の載置面22aに係止しており(固定はされていない)、棒状体18はハット型の台座22とは別個にALCパネル16の面内方向あるいは壁面外方向に動くことができるようになっている。これにより、建物躯体の層間変形に対するパネルの追従性が一層向上して好ましい。一方、図15では、棒状体20の棒状部20bがハット型の台座22の載置面22aに溶接固定されており、棒状体20はハット型の台座22とは独立にALCパネル16の面内方向あるいは壁面外方向に動くことができないようになっている。
【0077】
また、上記実施形態においては、平板状アンカー金具26は、切り欠き係止部26dによって平板面の長さ方向の辺に沿って配置される副筋24bがはめ込まれるようになっているが、図16(a)に示すように、平板面の幅方向の外側に突出するフック状の係止部54dを備える平板状アンカー金具54とし(挿通孔54bを備える)、このフック状の係止部54dによって、平板面54aの長さ方向の辺に沿って配置される副筋24bがはめ込まれるように構成されていても良い。また、図16(b)に示すように、その係止部56dがフック状ではなく、パネル長さ方向に真っ直ぐに延びる平板状アンカー金具56(挿通孔56bを備える)であっても良い。
【0078】
また、上記第2実施形態の螺合型のコ字状アンカー金具34や第3実施形態のコ字状アンカー金具42は、コ字状部が上に開口する上向きに取り付けられて基板部34a,42aが下端短辺小口側の副筋24bに接触するように固定されているが、その取付向きをコ字状部が下に開口する下向き(図10の反対向き)とし、基板部34a,42aを副筋24bに接触させないようにしても良い。なお、コ字状部が上に開口する上向きに取り付けるほうが、せん断強度を高くすることができる。
【0079】
また、上記実施形態においては、平板状アンカー金具26やコ字状アンカー金具42の挿通孔26b,42cは長方形であるが、真円や楕円などであっても良い。また、上記実施形態においては、ALCパネル16の上端側は、2本の棒状体18,18によって2カ所で支承されている例が示されているが、パネル幅方向に3本以上の棒状体18によって3カ所以上で支承されていても良いのは勿論である。なお、2本の棒状体18,18によってALCパネル16の上端側が支承される場合には、その支承される位置は、パネル幅方向の中央位置を中心にその両側に対称となる位置であることが好ましい。
【実施例】
【0080】
<ALCパネルの上端側取付構造のせん断引抜強度について>
本発明では、ALCパネルの上端側は、2本以上の棒状体によって2カ所以上で支承されている。そこで、2本の棒状体によって2カ所で支承された取付構造のせん断引抜強度を比較した。図17は、そのせん断試験の概略模式図である。具体的には、図17のようにALCパネル1を試験用鉄骨架台2上に水平に配置し、ALCパネル1の上端短辺小口面から300mmの位置でパネル壁面を挟持してALCパネル1を試験用鉄骨架台2に固定した。次いで、ALCパネル1の上端短辺小口面の2カ所に2本の棒状体3,3を遊挿し、2本の棒状体3,3を連結板4で連結し、油圧ジャッキ5を用いて連結板4の中央位置を上方に変位させた。このときの最大荷重をせん断引抜強度とした。ALCパネル1の寸法は、幅:600mm、長さ:2490mm、厚さ:100mmである。
【0081】
(実施例1)
本発明の第1実施形態のALCパネルの上端側取付構造に対応する。具体的には、図3に示す形状の平板状アンカー金具を2枚用い、図2に示すパネル上端短辺小口側の所定位置でカゴ状補強鉄筋の副筋に平板状アンカー金具を溶接固定した。また、ALCパネル1の上端短辺小口面から平板状アンカー金具の挿通孔と連通する連通孔を挿通孔よりもさらに奥まで穿設形成した。この連通孔および挿通孔に棒状体3を遊挿し、2本の棒状体3,3を連結板4で連結し、油圧ジャッキ5を用いて連結板4の中央位置を上方に変位させた。
【0082】
平板状アンカー金具の寸法は、幅50mm、長さ100mm、厚さ1.6mm、折曲部26cの高さ10mmである。平板状アンカー金具の挿通孔の寸法は、幅13.5mm、長さ17mmである。棒状体の外径は、12.5mmである。また、パネル母材に穿設形成した連通孔の入口側孔(円形孔)の寸法は、内径30mmであり、奥側孔(円形孔)の寸法は、内径13mmである。
【0083】
(参考例1)
本発明の第4実施形態のALCパネルの上端側取付構造に対応する。具体的には、平板状アンカー金具を用いないで、カゴ状補強鉄筋が埋設されただけのALCパネル1のパネル母材に、実施例1と同じ位置、同じ深さで、ALCパネル1の上端短辺小口面からパネル内部に向かって通孔を穿設形成した。この通孔に棒状体3を遊挿し、2本の棒状体3,3を連結板4で連結し、油圧ジャッキ5を用いて連結板4の中央位置を上方に変位させた。棒状体の外径は、12.5mmである。また、パネル母材に穿設形成した連通孔(円形孔)の寸法は、内径13mmである。
【0084】
<ALCパネルの下端側の取付構造のせん断引抜強度について>
本発明では、ALCパネルの下端側は、台座を介して1本の棒状体あるいは1本の雄ネジ部材によってパネル幅方向の中央位置で1カ所で支承されている。そこで、1本の棒状体あるいは1本の雄ネジ部材によってパネル幅方向の中央位置で1カ所で支承(支持)された取付構造のせん断引抜強度を比較した。図18は、そのせん断試験の概略模式図である。具体的には、図18のようにALCパネル1を試験用鉄骨架台2上に水平に配置し、ALCパネル1の下端短辺小口面から300mmの位置でパネル壁面を挟持してALCパネル1を試験用鉄骨架台2に固定した。次いで、ALCパネル1の下端短辺小口面のパネル幅方向中央位置の1カ所に、1本の棒状体3を遊挿し(あるいは、1本の雄ネジ部材3を螺合し)、この棒状体3(あるいは、雄ネジ部材3)を油圧ジャッキ5を用いて上方に変位させた。このときの最大荷重をせん断引抜強度とした。ALCパネル1の寸法は、幅:600mm、長さ:2490mm、厚さ:100mmである。
【0085】
(実施例2)
本発明の第1実施形態のALCパネルの下端側取付構造に対応する。具体的には、図3に示す形状の平板状アンカー金具を1枚用い、図1に示すパネル下端短辺小口側の所定位置でカゴ状補強鉄筋の副筋に平板状アンカー金具を溶接固定した。また、ALCパネル1の下端短辺小口面から平板状アンカー金具の挿通孔と連通する連通孔を挿通孔よりもさらに奥まで穿設形成した。この連通孔および挿通孔に棒状体3を遊挿し、油圧ジャッキ5を用いて棒状体3を上方に変位させた。
【0086】
平板状アンカー金具の寸法は、幅50mm、長さ100mm、厚さ1.6mm、折曲部26cの高さ10mmである。平板状アンカー金具の挿通孔の寸法は、幅13.5mm、長さ17mmである。棒状体の外径は、12.5mmである。また、パネル母材に穿設形成した連通孔の入口側孔(円形孔)の寸法は、内径30mmであり、奥側孔(円形孔)の寸法は、内径13mmである。
【0087】
(実施例3)
本発明の第2実施形態のALCパネルの下端側取付構造に対応する。具体的には、図9に示す形状の螺合型のコ字状アンカー金具を1枚用い、図8に示すパネル下端短辺小口側の所定位置でカゴ状補強鉄筋の主筋2本に螺合型のコ字状アンカー金具の両側板部をそれぞれ溶接固定した。また、ALCパネル1の下端短辺小口面から螺合型のコ字状アンカー金具の雌ネジ孔と連通する連通孔を穿設形成した。この連通孔に雄ネジ部材3を挿通し、雌ネジ孔に螺合させ、油圧ジャッキ5を用いて雄ネジ部材3を上方に変位させた。実施例3の螺合型のコ字状アンカー金具の取付向きは、図8に示すようにコ字状部が上に開口する上向きとし、基板部を下端短辺小口側の副筋に接触させた。
【0088】
螺合型のコ字状アンカー金具の寸法は、幅56mm、長さ170mm、厚さ2.3mm、側板部の高さ40mm、雌ネジ部34cの高さ50mm、雌ネジ孔の呼び径はM12である。雄ネジ部材3の外径は、12.5mmである。また、パネル母材に穿設形成した連通孔(円形孔)の寸法は、内径13mmである。
【0089】
(実施例4)
螺合型のコ字状アンカー金具の取付向きをコ字状部が下に開口する下向き(図8の反対向き)とし、基板部を副筋に接触させなかった以外は実施例3と同様にした。
【0090】
(実施例5)
本発明の第3実施形態のALCパネルの下端側取付構造に対応する。具体的には、図11に示す形状のコ字状アンカー金具を1枚用い、図10に示すパネル下端短辺小口側の所定位置でカゴ状補強鉄筋の主筋2本にコ字状アンカー金具の両側板部をそれぞれ溶接固定した。また、ALCパネル1の下端短辺小口面からコ字状アンカー金具の挿通孔と連通する連通孔を挿通孔よりもさらに奥まで穿設形成した。この連通孔および挿通孔に棒状体3を遊挿し、油圧ジャッキ5を用いて棒状体を上方に変位させた。実施例5のコ字状アンカー金具の取付向きは、図10に示すようにコ字状部が上に開口する上向きとし、基板部を下端短辺小口側の副筋に接触させた。
【0091】
(実施例6)
コ字状アンカー金具の取付向きをコ字状部が下に開口する下向き(図10の反対向き)とし、基板部を副筋に接触させなかった以外は実施例5と同様にした。
【0092】
(参考例2)
アンカー金具を用いないで、カゴ状補強鉄筋が埋設されただけのALCパネル1のパネル母材に、実施例2と同じ位置、同じ深さで、ALCパネル1の下端短辺小口面からパネル内部に向かって通孔を穿設形成した。この通孔に棒状体3を遊挿し、油圧ジャッキ5を用いて棒状体3を上方に変位させた。棒状体3の外径は、12.5mmである。また、パネル母材に穿設形成した連通孔(円形孔)の寸法は、内径13mmである。
【0093】
【表1】
【0094】
以上の試験結果を表1にまとめている。表1によれば、平板状アンカー金具を用いたことにより、ALCパネルの上端側取付構造のせん断引抜強度が高く、パネル壁面外方向のせん断力に対して十分な耐力が確保されていることが確認できた。同様に、平板状アンカー金具を用いたことにより、ALCパネルの下端側取付構造のせん断引抜強度が高く、パネル壁面外方向のせん断力に対して十分な耐力が確保されていることが確認できた。そして、用いたアンカー金具が平板状であるため、アンカー金具の大幅な軽量化を図ることができた。
【符号の説明】
【0095】
10 ALCパネルの取付構造
12 建物の上側躯体
14 建物の下側躯体
16 ALCパネル
18 棒状体
20 棒状体
22 ハット型の台座
24 カゴ状補強鉄筋
26 平板状アンカー金具
28,29 連通孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、ALCパネルの取付構造およびこれに用いるALCパネルに関し、さらに詳しくは、外壁・間仕切壁・隔て壁・袖壁などの建物の壁として好適に用いられるALCパネルの取付構造およびこれに用いるALCパネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ビル・一般住宅などにおける外壁・間仕切壁・隔て壁・袖壁などの建物の壁には、ALCパネル(軽量気泡コンクリートパネル)が用いられている。建物躯体へのALCパネルの取付構造としては、例えば特許文献1〜4に記載されているものが知られている。
【0003】
特許文献1には、布基礎へのALCパネルの取付構造が記載されている。具体的には、布基礎上面に長尺鋼板を敷設固定し、その上に短尺のL字型の係止部材を溶接固定するとともに、ALCパネルの下部をその係止部材に係止させた構造が記載されている。この取付構造においては、係止部材がL字型であるため、ALCパネルの取付後には係止部材の一部がパネル壁面に配置される。係止部材のこの部分がパネル壁面の外に露出されると、ALCパネルの美感が損なわれるため、石膏ボードなどの内装材でこの部分を覆い隠す必要が生じる。また、この部分がパネル壁面の外に露出されると、風雨にされされた場合に腐食しやすくなるため、係止部材に防錆処理を施す必要が生じる。したがって、施工コストが増加する問題があった。
【0004】
これに対し、特許文献2〜4には、ALCパネルを建物躯体に取り付けるための取付金具がパネル壁面の外に露出しないようにしたALCパネルの取付構造が記載されている。
【0005】
特許文献2、3には、床スラブ上に固定された台座を介してボルトによりALCパネルの下部がその下端短辺小口面で床スラブへ取り付けられたALCパネルの取付構造が記載されている。具体的には、金属板で形成された断面がコ字状あるいはロ字状の本体部とこの本体部のパネル下端短辺小口面に平行に配置された底面から立設された雌ネジ部とを有するアンカー金具がALCパネルの下端短辺小口面の近傍に埋設され、この雌ネジ部がパネル下端短辺小口面に開口されて、この雌ネジ部に上記のボルトが螺合されることによりALCパネルはその下端短辺小口面で床スラブへ取り付けられている。このとき、埋設されたアンカー金具の本体部底面から立設された両側面はそれぞれ2本以上の副筋に掛かる長さに構成されており、両側面がそれぞれ2本以上の副筋に溶接固定され、アンカー金具が側面全体で補強鉄筋全体およびパネル母材と一体化されることにより、高い取付強度が発揮されるように構成されている。
【0006】
特許文献4には、ALCパネルの上端短辺小口面から下方のパネル内部に向かってパネル母材に穿設形成された挿入孔内に天井側の建物躯体に固定された棒状体が遊挿されることによりALCパネルの上部が建物躯体に取り付けられた構造が記載されている。
【0007】
また、この特許文献4には、金属板で形成された断面がロ字状の本体部とこの本体部のパネル上端短辺小口面に平行に配置された底面と上面との間に架設された筒状体とを有するアンカー金具がALCパネルの上端短辺小口面の近傍に埋設され、この筒状体がパネル上端短辺小口面に開口されて、この筒状体に上記の棒状体が遊挿されることによりALCパネルの上部が建物躯体に取り付けられた構造が記載されている。このとき、埋設されたアンカー金具の両側面はそれぞれ2本以上の副筋に掛かる長さに構成されており、両側面がそれぞれ2本以上の副筋に溶接固定されることにより、アンカー金具が側面全体で補強鉄筋全体およびパネル母材と一体化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−169020号公報
【特許文献2】特開2009−097184号公報
【特許文献3】特開2011−026827号公報
【特許文献4】特開2011−111816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献2、3に記載されるALCパネルの取付構造では、パネル下端短辺小口面でのパネル壁面外方向のせん断力に対して、台座を介して床スラブ上に固定されたボルトとALCパネル内の2本以上の副筋に両側面が溶接固定された埋設アンカー金具とが一体となって埋設アンカー金具の側面全体で抵抗することにより高い取付強度が発揮されるが、それ故、アンカー金具が大型になって重くなる(約1.5kg)。これにより、アンカー金具の取り扱い性が悪くなるという問題があった。また、これにより、ALCパネル全体の重量も増加する。
【0010】
特許文献4に記載されるALCパネルの取付構造のうちパネル母材に穿設形成された挿入孔内に天井側の建物躯体に固定された棒状体が遊挿される構造では、パネル上端短辺小口面でのパネル壁面外方向のせん断力に対して、十分な耐力が確保できないという問題があった。
【0011】
特許文献4に記載されるALCパネルの取付構造のうちALCパネルの上端短辺小口面の近傍に埋設されたアンカー金具の筒状体に上記の棒状体が遊挿される構造では、パネル上端短辺小口面でのパネル壁面外方向のせん断力に対して、棒状体の遊挿されている部分全体がアンカー金具の筒状体で拘束され、筒状体を介してアンカー金具の側面全体で抵抗することにより高い取付強度が発揮されるが、それ故、アンカー金具が大型になるため、ALCパネルが重いという問題があった。なお、この構造において、アンカー金具の筒状体に棒状体が遊挿されているのは、地震などにより建物躯体が層間変形したときに棒状体が筒状体内で上下動する(ロッキングする)ためである。
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、アンカー金具の軽量化を図ることが可能であるとともにパネル壁面外方向のせん断力に対して十分な耐力が確保されるALCパネルの取付構造およびこれに用いるALCパネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため本発明に係る第1のALCパネルの取付構造は、主筋と副筋とからなる格子状の補強鉄筋マットを2枚互いに離して平行に並べて連結材により連結させて形成したカゴ状補強鉄筋を埋設したALCパネルを建物の上下躯体間に取り付けるALCパネルの取付構造において、ALCパネルの上端側では、前記カゴ状補強鉄筋のパネル上端短辺小口側のパネル幅方向に平行に配された2本の副筋に跨ってパネル上端短辺小口面と平行になるように平板状アンカー金具がパネル幅方向に2枚以上配置されて前記2本の副筋のそれぞれに溶接され、ALCパネルの下端側では、前記カゴ状補強鉄筋のパネル下端短辺小口側のパネル幅方向に配されている2本の副筋に跨ってパネル下端短辺小口面と平行になるように平板状アンカー金具がパネル幅方向の中央位置に1枚配置されて前記2本の副筋のそれぞれに溶接され、これら平板状アンカー金具の板面には建物躯体に固定される棒状体を挿通させるための挿通孔が設けられ、パネル母材には該挿通孔と連通する連通孔が各短辺小口面からパネル内部に向かって該挿通孔よりもさらに奥まで穿設形成されており、ALCパネルの上端は、パネル上端短辺小口面から形成された連通孔とこれに連通する平板状アンカー金具の挿通孔に遊挿された状態で建物の上側躯体に直接または台座を介して固定された2本以上の棒状体によって2カ所以上で支承されているとともに、ALCパネルの下端は、パネル下端短辺小口面から形成された連通孔とこれに連通する平板状アンカー金具の挿通孔に遊挿された状態で建物の下側躯体に台座を介して固定された1本の棒状体によってパネル幅方向の中央位置で支承されていることを要旨とするものである。
【0014】
また、本発明に係る第2のALCパネルの取付構造は、主筋と副筋とからなる格子状の補強鉄筋マットを2枚互いに離して平行に並べて連結材により連結させて形成したカゴ状補強鉄筋を埋設したALCパネルを建物の上下躯体間に取り付けるALCパネルの取付構造において、ALCパネルの上端側では、前記カゴ状補強鉄筋のパネル上端短辺小口側のパネル幅方向に平行に配された2本の副筋に跨ってパネル上端短辺小口面と平行になるように平板状アンカー金具がパネル幅方向に2枚以上配置されて前記2本の副筋のそれぞれに溶接され、これら平板状アンカー金具の板面には建物躯体に固定される棒状体を挿通させるための挿通孔が設けられ、パネル母材には該挿通孔と連通する連通孔がパネル上端短辺小口面からパネル内部に向かって該挿通孔よりもさらに奥まで穿設形成されており、ALCパネルの下端側では、平板状の基板部と該基板部の両端から互いに平行に立設される一対の側板部と該基板部の中央位置から前記側板部と平行に立設される雌ネジ部とで構成される螺合型のコ字状アンカー金具の基板部が前記カゴ状補強鉄筋のパネル下端短辺小口側のパネル幅方向に配されている2本の副筋に跨ってパネル下端短辺小口面と平行になるようにパネル幅方向の中央に配置されるとともに、該螺合型のコ字状アンカー金具の両側板部がパネル長さ方向に配されている2本以上の主筋に跨がるようにパネル壁面と平行で前記基板部から上に延びるように配置されて前記2本以上の主筋のそれぞれに溶接され、該基板部の雌ネジ部が立設されている部分には雌ネジ部の雌ネジ孔に連通する基板貫通孔が設けられ、パネル母材には該基板貫通孔と連通する連通孔がパネル下端短辺小口面からパネル内部に向かって穿設形成されており、ALCパネルの上端は、パネル上端短辺小口面から形成された連通孔とこれに連通する平板状アンカー金具の挿通孔に遊挿された状態で建物の上側躯体に直接または台座を介して固定された2本以上の棒状体によって2カ所以上で支承されているとともに、ALCパネルの下端は、パネル下端短辺小口面から形成された連通孔に連通する螺合型のコ字状アンカー金具の雌ネジ部の雌ネジ孔に螺合された状態で建物の下側躯体に台座を介して固定された1本の雄ネジ部材によってパネル幅方向の中央位置で支持されていることを要旨とするものである。
【0015】
そして、本発明に係る第3のALCパネルの取付構造は、主筋と副筋とからなる格子状の補強鉄筋マットを2枚互いに離して平行に並べて連結材により連結させて形成したカゴ状補強鉄筋を埋設したALCパネルを建物の上下躯体間に取り付けるALCパネルの取付構造において、ALCパネルの上端側では、前記カゴ状補強鉄筋のパネル上端短辺小口側のパネル幅方向に平行に配された2本の副筋に跨ってパネル上端短辺小口面と平行になるように平板状アンカー金具がパネル幅方向に2枚以上配置されて前記2本の副筋のそれぞれに溶接され、これら平板状アンカー金具の板面には建物躯体に固定される棒状体を挿通させるための挿通孔が設けられ、パネル母材には該挿通孔と連通する連通孔がパネル上端短辺小口面からパネル内部に向かって該挿通孔よりもさらに奥まで穿設形成されており、ALCパネルの下端側では、平板状の基板部と該基板部の両端から互いに平行に立設される一対の側板部とで構成されるコ字状アンカー金具の基板部が前記カゴ状補強鉄筋のパネル下端短辺小口側のパネル幅方向に配されている2本の副筋に跨ってパネル下端短辺小口面と平行になるようにパネル幅方向の中央に配置されるとともに、該コ字状アンカー金具の両側板部がパネル長さ方向に配されている2本以上の主筋に跨がるようにパネル壁面と平行で前記基板部から上に延びるように配置されて前記2本以上の主筋のそれぞれに溶接され、該基板部の板面には建物躯体に固定される棒状体を挿通させるための挿通孔が設けられ、パネル母材には該挿通孔と連通する連通孔がパネル下端短辺小口面からパネル内部に向かって該挿通孔よりもさらに奥まで穿設形成されており、ALCパネルの上端は、パネル上端短辺小口面から形成された連通孔とこれに連通する平板状アンカー金具の挿通孔に遊挿された状態で建物の上側躯体に直接または台座を介して固定された2本以上の棒状体によって2カ所以上で支承されているとともに、ALCパネルの下端は、パネル下端短辺小口面から形成された連通孔に連通するコ字状アンカー金具の挿通孔に遊挿された状態で建物の下側躯体に台座を介して固定された1本の棒状体によってパネル幅方向の中央位置で支承されていることを要旨とするものである。
【0016】
さらに、本発明に係る第4のALCパネルの取付構造は、主筋と副筋とからなる格子状の補強鉄筋マットを2枚互いに離して平行に並べて連結材により連結させて形成したカゴ状補強鉄筋を埋設したALCパネルを建物の上下躯体間に取り付けるALCパネルの取付構造において、ALCパネルの上端側では、建物躯体に固定される棒状体を挿通させるための通孔がパネル上端短辺小口面からパネル内部に向かって穿設形成され、ALCパネルの下端側では、前記カゴ状補強鉄筋のパネル下端短辺小口側のパネル幅方向に配されている2本の副筋に跨ってパネル下端短辺小口面と平行になるように平板状アンカー金具がパネル幅方向の中央位置に1枚配置されて前記2本の副筋のそれぞれに溶接され、前記平板状アンカー金具の板面には建物躯体に固定される棒状体を挿通させるための挿通孔が設けられ、パネル母材には該挿通孔と連通する連通孔がパネル下端短辺小口面からパネル内部に向かって該挿通孔よりもさらに奥まで穿設形成されており、ALCパネルの上端は、パネル上端短辺小口面から形成された通孔に挿通された状態で建物の上側躯体に直接または台座を介して固定された2本以上の棒状体によって2カ所以上で支承されているとともに、ALCパネルの下端は、パネル下端短辺小口面から形成された連通孔とこれに連通する平板状アンカー金具の挿通孔に遊挿された状態で建物の下側躯体に台座を介して固定された1本の棒状体によってパネル幅方向の中央位置で支承されていることを要旨とするものである。
【0017】
本発明に係るALCパネルの取付構造においては、前記平板状アンカー金具の挿通孔および該挿通孔に連通するパネル母材の連通孔の内径と前記棒状体の外径との差が1mm以上に設定されていることが望ましい。また、前記平板状アンカー金具の挿通孔は、パネル幅方向の長径がパネル壁面外方向の短径よりも大きく設定されていることが望ましい。そして、前記平板状アンカー金具の幅方向の両端には、パネル長さ方向のパネル内部に向かって折曲された折曲部が形成されているとともに、該折曲部のパネル壁面外方向の端部には、副筋がはめ込まれる切り欠き係止部が設けられていることが望ましい。
【0018】
一方、本発明に係る第1のALCパネルは、上記第1のALCパネルの取付構造に用いられるALCパネルであって、ALCパネルの上端側では、前記カゴ状補強鉄筋のパネル上端短辺小口側のパネル幅方向に平行に配された2本の副筋に跨ってパネル上端短辺小口面と平行になるように平板状アンカー金具がパネル幅方向に2枚以上配置されて前記2本の副筋のそれぞれに溶接され、ALCパネルの下端側では、前記カゴ状補強鉄筋のパネル下端短辺小口側のパネル幅方向に配されている2本の副筋に跨ってパネル下端短辺小口面と平行になるように平板状アンカー金具がパネル幅方向の中央位置に1枚配置されて前記2本の副筋のそれぞれに溶接され、これら平板状アンカー金具の板面には建物躯体に固定される棒状体を遊挿させるための挿通孔が設けられていることを要旨とするものである。
【0019】
また、本発明に係る第2のALCパネルは、上記第2のALCパネルの取付構造に用いられるALCパネルであって、ALCパネルの上端側では、前記カゴ状補強鉄筋のパネル上端短辺小口側のパネル幅方向に平行に配された2本の副筋に跨ってパネル上端短辺小口面と平行になるように平板状アンカー金具がパネル幅方向に2枚以上配置されて前記2本の副筋のそれぞれに溶接され、これら平板状アンカー金具の板面には建物躯体に固定される棒状体を遊挿させるための挿通孔が設けられており、ALCパネルの下端側では、平板状の基板部と該基板部の両端から互いに平行に立設される一対の側板部と該基板部の中央位置から前記側板部と平行に立設される雌ネジ部とで構成される螺合型のコ字状アンカー金具の基板部が前記カゴ状補強鉄筋のパネル下端短辺小口側のパネル幅方向に配されている2本の副筋に跨ってパネル下端短辺小口面と平行になるようにパネル幅方向の中央に配置されるとともに、該螺合型のコ字状アンカー金具の両側板部がパネル長さ方向に配されている2本以上の主筋に跨がるようにパネル壁面と平行で前記基板部から上に延びるように配置されて前記2本以上の主筋のそれぞれに溶接され、該基板部の雌ネジ部が立設されている部分には雌ネジ部の雌ネジ孔に連通する基板貫通孔が設けられていることを要旨とするものである。
【0020】
そして、本発明に係る第3のALCパネルは、上記第3のALCパネルの取付構造に用いられるALCパネルであって、ALCパネルの上端側では、前記カゴ状補強鉄筋のパネル上端短辺小口側のパネル幅方向に平行に配された2本の副筋に跨ってパネル上端短辺小口面と平行になるように平板状アンカー金具がパネル幅方向に2枚以上配置されて前記2本の副筋のそれぞれに溶接され、これら平板状アンカー金具の板面には建物躯体に固定される棒状体を遊挿させるための挿通孔が設けられており、ALCパネルの下端側では、平板状の基板部と該基板部の両端から互いに平行に立設される一対の側板部とで構成されるコ字状アンカー金具の基板部が前記カゴ状補強鉄筋のパネル下端短辺小口側のパネル幅方向に配されている2本の副筋に跨ってパネル下端短辺小口面と平行になるようにパネル幅方向の中央に配置されるとともに、該コ字状アンカー金具の両側板部がパネル長さ方向に配されている2本以上の主筋に跨がるようにパネル壁面と平行で前記基板部から上に延びるように配置されて前記2本以上の主筋のそれぞれに溶接され、該基板部の板面には建物躯体に固定される棒状体を挿通させるための挿通孔が設けられていることを要旨とするものである。
【0021】
さらに、本発明に係る第4のALCパネルは、上記第4のALCパネルの取付構造に用いられるALCパネルであって、ALCパネルの下端側では、前記カゴ状補強鉄筋のパネル下端短辺小口側のパネル幅方向に配されている2本の副筋に跨ってパネル下端短辺小口面と平行になるように平板状アンカー金具がパネル幅方向の中央位置に1枚配置されて前記2本の副筋のそれぞれに溶接され、前記平板状アンカー金具の板面には建物躯体に固定される棒状体を挿通させるための挿通孔が設けられていることを要旨とするものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るALCパネルの取付構造によれば、ALCパネルに埋設するアンカー金具として平板状アンカー金具を用いたことによりアンカー金具の埋設によるALCパネルの重量増加が低く抑えられている。このとき、建物躯体に固定された棒状体の外径よりもこの棒状体が挿通されるパネル短辺小口面の連通孔とこれに連通する平板状アンカー金具の挿通孔の内径が大きく構成されているので、棒状体はこの連通孔とこれに連通する平板状アンカー金具の挿通孔には拘束されず、パネル短辺小口面でのパネル壁面外方向のせん断力によってパネル壁面外方向に遊動する。これにより、棒状体は平板状アンカー金具の挿通孔の内周縁に接触する。この接触により、パネル壁面外方向のせん断力が平板状アンカー金具を介してALCパネルの副筋に伝達され、この副筋からカゴ状補強鉄筋全体に伝達され、これによりパネル壁面外方向のせん断力に抵抗するので、パネル壁面外方向のせん断力に対して十分な耐力が確保される。
【0023】
特許文献4のように棒状体が拘束されていると、アンカー引抜せん断力が働いたときにそのこじりの力をアンカー金具の筒状体全体が拘束することによりさらに大きな荷重がアンカー金具に加わり、アンカー金具への負担を大きくしていた。本発明の構成であれば、棒状体が遊動できることで、アンカー金具にかかる負担が少なくなる。負担が少ない分、アンカー金具を小さくすることができる。
【0024】
この棒状体がパネル母材の連通孔や平板状アンカー金具の挿通孔に遊挿されているのは、ロッキングを目的とする棒状体の上下動を確保するだけでなく、棒状体の拘束を緩和することでパネル壁面外方向に棒状体を遊動しやすくし、平板状アンカー金具の挿通孔の内周縁に棒状体を接触しやすくして副筋およびカゴ状補強鉄筋全体への力の伝達効率を高めることにもある。そして、ALCパネルの上端が2カ所以上で支承されているとともにALCパネルの下端がパネル幅方向の中央位置で支承されているので、地震などにより建物躯体が層間変形したときにALCパネルはスムーズにロッキングしてその層間変形に追従することができる。
【0025】
この際、平板状アンカー金具の挿通孔のパネル幅方向の長径がパネル壁面外方向の短径よりも大きく設定されていれば、層間変形時には棒状体がパネル幅方向に遊動しやすくなるので、ALCパネルのロッキング性能とパネル壁面外方向のせん断力の伝達性能を高度に両立させることができる。
【0026】
そして、平板状アンカー金具の幅方向の両端に形成された折曲部のパネル壁面外方向の端部に切り欠き係止部が設けられていれば、平板状アンカー金具の溶接に際し、切り欠き係止部に副筋を係止させて平板状アンカー金具を副筋に仮固定することができ、溶接しやすくなる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施形態に係るALCパネルの取付構造の正面図(a)および側面図(b)である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るALCパネルの取付構造の透視分解斜視図である。
【図3】ALCパネルに埋設される平板状アンカー金具の一実施形態の斜視図である。
【図4】図1のパネル上端側の要部の正面側拡大断面図である。
【図5】図1のパネル下端側の要部の正面側拡大断面図である。
【図6】図1のパネル上端側の要部の側面側拡大断面図であり、パネル壁面外方向の力が作用していない状態図(a)と作用している状態図(b)である。
【図7】本発明の第2実施形態に係るALCパネルの取付構造の正面図(a)および側面図(b)である。
【図8】本発明の第2実施形態に係るALCパネルの取付構造の下端側の透視分解斜視図である。
【図9】ALCパネルに埋設される螺合型のコ字状アンカー金具の一実施形態の斜視図である。
【図10】本発明の第3実施形態に係るALCパネルの取付構造の正面図(a)および側面図(b)である。
【図11】ALCパネルに埋設されるコ字状アンカー金具の一実施形態の斜視図である。
【図12】本発明の第4実施形態に係るALCパネルの取付構造の正面図(a)および側面図(b)である。
【図13】図12のパネル上端側の要部の正面側拡大断面図である。
【図14】ALCパネル上端側の取付構造の他の実施例の正面図である。
【図15】ALCパネル上端側の取付構造の他の実施例の正面図である。
【図16】平板状アンカー金具の他の実施例の斜視図である。
【図17】棒状体でパネル短辺小口面の2カ所を支承した取付構造について行うパネル壁面外方向のせん断試験の概略模式図である。
【図18】棒状体あるいは雄ネジ部材でパネル短辺小口面の1カ所を支承(支持)した取付構造について行うパネル壁面外方向のせん断試験の概略模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1〜6は、本発明の第1実施形態に係るALCパネルの取付構造に関するものである。図1は、第1実施形態に係るALCパネルの取付構造の正面図(a)および側面図(b)であり、ALCパネル内に埋設あるいは挿入されている部材を点線で示している。図2は、本発明の第1実施形態に係るALCパネルの取付構造の透視分解斜視図であり、ALCパネルについては、パネル母材の輪郭を点線で示し、ALCパネル内に埋設されている部材を実線で示している。
【0029】
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係るALCパネルの取付構造10は、建物の上側躯体12に埋設された埋込みプレート12aに固定されたフラットバー12bを介して固定された2本の棒状体18,18によってALCパネル16の上端が2カ所で支承されるとともに建物の下側躯体14に埋設された埋込みプレート14aに固定されたフラットバー14bに固定された台座22を介して固定された1本の棒状体20によってALCパネル16の下端が1カ所で支承されたものから構成されている。
【0030】
図2に示すように、ALCパネル16は、カゴ状補強鉄筋24が埋設された軽量気泡コンクリートがパネル状に成形されたもので構成されている。カゴ状補強鉄筋24は、ALCパネル16の強度を高めるものであり、パネル全体にわたって埋設されている。
【0031】
カゴ状補強鉄筋24は、ALCパネル16の長さ方向に沿って配置される主筋24aとその幅方向に沿って配置される副筋24bとを格子状に組み合わせた補強鉄筋マットを2枚互いに離してパネル壁面に平行に並べて連結材24cにより連結させてカゴ状に形成したものからなる。一方の補強鉄筋マットは一方のパネル壁面に近接させて配置され、他方の補強鉄筋マットは他方のパネル壁面に近接させて配置される。このカゴ状補強鉄筋24には、ALCパネル16の建物躯体への取付に用いるアンカー金具が溶接固定されている。
【0032】
図3に示すように、アンカー金具は、長方形の平板面を有する平板状のものからなる。この平板状アンカー金具26の平板面26aの長さ(L)は、カゴ状補強鉄筋24の主筋24a間距離以上の長さとされ、その幅(W)は、カゴ状補強鉄筋24の副筋24b間距離に合わせた長さとされている。平板面26aの中央位置には、建物躯体に固定される棒状体18,20を挿通させるための挿通孔26bが形成されている。挿通孔26bは、平板面26aの長さ方向(L方向)と幅方向(W方向)に辺を有し、長さ方向の辺が幅方向の辺より長い長方形に構成されている。長さ方向の辺および幅方向の辺のいずれも、この挿通孔26bに挿通される棒状体18,20の外径より大きく(長く)構成されており、棒状体18,20はこの挿通孔26bに対し、その周縁との間で所定の隙間がある状態で挿入(遊挿)される。
【0033】
平板状アンカー金具26の平板面26aの長さ方向の両端には、平板面26aから同方向に起立するように折曲された折曲部26cがそれぞれ形成されている。この折曲部26cにより平板面26aの幅方向の曲げ強度が高められている。この折曲部26cの基端で幅方向の両端は副筋24bの太さに切り欠かれており、平板面26aの長さ方向の辺に沿って配置される副筋24bがはめ込まれる切り欠き係止部26dとされている。
【0034】
このような構成の平板状アンカー金具26は、図2に示すように、カゴ状補強鉄筋24のパネル上端側に2つ、パネル下端側に1つ溶接固定されている。
【0035】
ALCパネル16の上端側では、カゴ状補強鉄筋24のパネル上端短辺小口側で幅方向の両端にそれぞれ1枚ずつ合計2枚の平板状アンカー金具26が配置されている。各平板状アンカー金具26は、その平板面26aの長さ方向の2つの辺がそれぞれカゴ状補強鉄筋24のパネル上端短辺小口側の2本の副筋24bに沿い、その平板面26aがその2本の副筋24bに跨ってパネル上端短辺小口面と平行になるように配置されている。平板面26aの長さ方向の両端には切り欠き係止部26dが設けられており、平板面26aの長さ方向の辺に沿う副筋24bはこの切り欠き係止部26dにはめ込まれて係止されている。このように平板状アンカー金具26が副筋24bに仮固定された状態で、副筋24bに沿った平板面26aの長さ方向の2つの辺がそれぞれの副筋24bに溶接されて、平板状アンカー金具26がカゴ状補強鉄筋24に固定されている。溶接に際し、平板状アンカー金具26は副筋24bに仮固定されているので、溶接しやすく、作業性に優れる。
【0036】
ALCパネル16の下端側では、カゴ状補強鉄筋24のパネル下端短辺小口側で幅方向の中央位置に1枚の平板状アンカー金具26が配置されている。ALCパネル16の上端側と同様、平板状アンカー金具26は、その平板面26aの長さ方向の2つの辺がそれぞれカゴ状補強鉄筋24のパネル下端短辺小口側の2本の副筋24bに沿い、その平板面26aがその2本の副筋24bに跨ってパネル下端短辺小口面と平行になるように配置され、平板面26aの長さ方向の辺に沿う副筋24bが平板面26aの長さ方向の両端に形成された切り欠き係止部26dにはめ込まれて係止された状態で、副筋24bに沿った平板面26aの長さ方向の2つの辺がそれぞれの副筋24bに溶接されている。
【0037】
このようにカゴ状補強鉄筋24に溶接固定された平板状アンカー金具26の挿通孔26bは、パネル短辺小口面に向かって開口している。図4、5に示すように、パネル母材16aには、この挿通孔26bと連通するように各短辺小口面からパネル内部に向かって挿通孔26bよりもさらに奥まで連通孔28,29が穿設形成されている。具体的には、各短辺小口面から平板状アンカー金具26の平板面26aまではその挿通孔26bの孔径よりも大きい孔径の孔(入口側孔28a,29a)とされ、平板状アンカー金具26の平板面26aからさらに奥には、その挿通孔26bの孔径と同じかやや小さい孔径の孔(奥側孔28b、29b)とされている。連通孔28,29の入口側孔28a,29aおよび奥側孔28b,29bのいずれも、挿通される棒状体18,20の外径より大きく構成されており、棒状体18,20はこれらの孔に対し、その周面との間で所定の隙間がある状態で挿入(遊挿)される。この連通孔28,29により、平板状アンカー金具26の挿通孔26bはパネル短辺小口面に開口する。
【0038】
ALCパネル16の上端側では、図4に示すように、建物の上側躯体12に埋設された埋込みプレート12aに固定されたフラットバー12bを介して固定された棒状体18がパネル上端短辺小口面から形成された連通孔28とこれに連通する平板状アンカー金具26の挿通孔26bに遊挿されている。一方、ALCパネル16の下端側では、図5に示すように、建物の下側躯体14に埋設された埋込みプレート14aに固定されたフラットバー14bに固定されたハット型の台座22を介して固定された棒状体20がパネル下端短辺小口面から形成された連通孔29とこれに連通する平板状アンカー金具26の挿通孔26bに遊挿されている。
【0039】
上側躯体12に固定される棒状体18は、円盤状の基部18aと基部18aから立設される棒状部18bとにより構成されており、円盤状の基部18aが上側躯体12への固定面となり、棒状体18はこの部分で上側躯体12に固定されている。また、棒状部18bが連通孔28および挿通孔26bに挿通される部分であり、棒状体18はこの棒状部18bで連通孔28および挿通孔26bに遊挿されている。一方、下側躯体14に固定される棒状体20には円盤状の基部がなく、棒状部20bのみで構成されている。この棒状部20bの基端が、ハット型の台座22に溶接固定される。
【0040】
ハット型の台座22は、ALCパネル16が下端短辺小口面で載置される載置面を有する載置部22aと載置部22aの幅方向両端より延設形成された一対の脚部22b,22bとにより構成されている。脚部22bは、載置部22aの載置面の同一方向に直角に曲げ加工された折曲片よりなり、その先端はさらに外側に開く方向にさらに直角に曲げ加工されている。脚部22bの先端は載置部22aの載置面に平行な面を有しており、この面が下側躯体14に固定される面となって下側躯体14に固定されている。下側躯体14に固定される棒状体20は、その棒状部20bでこの載置部22aの載置面の中央位置に溶接固定されて、ハット型の台座22に一体化されている。
【0041】
そして、図1に示す全体構造から、ALCパネル16は、下端短辺小口面の幅方向中央位置でハット型の台座22上に載置され、パネル下端と下側躯体14との間にはハット型の台座22の高さ分の隙間Sが設けられ、パネル上端と上側躯体12との間にはパネル下端と下側躯体14との間の隙間Sと同程度の隙間Sが設けられた状態で、パネル上端が建物の上側躯体12に埋設された埋込みプレート12aに固定されたフラットバー12bを介して固定された2本の棒状体18,18によって2カ所で支承され、パネル下端が建物の下側躯体14に埋設された埋込みプレート14aに固定されたフラットバー14bに固定されたハット型の台座22を介して1本の棒状体20によって1カ所で支承されて、建物の上下躯体間に取り付けられている。
【0042】
したがって、このようなALCパネルの取付構造10によれば、地震などで建物躯体が層間変形したときには、ALCパネル16の幅方向の中央位置を中心にその幅方向の両側が上下するようにロッキングすることができる。このため、このように取り付けられたALCパネル16は、建物躯体の層間変形に対して優れた追従性能を発揮することができる。特にパネル上端側では、平板状アンカー金具26が、パネル幅方向において、その中心を挟んで両端方向に均等な位置に1つずつ配置されているため、ALCパネル16はバランス良くスムーズにロッキングすることができる。また、パネル上端側が2つの棒状体18,18で支承されているため、パネル幅方向中央位置を中心軸としてパネル壁面外方向に回転(どんでん返し)が発生することもない。
【0043】
この際、建物躯体には、層間変形またはパネル壁面外方向にせん断力が作用する場合がある。このとき、棒状体18,20の外径よりもこの棒状体18,20が挿通されるパネル短辺小口面の連通孔28,29とこれに連通する平板状アンカー金具26の挿通孔26bの内径が大きく構成されているので、棒状体18,20はこの連通孔28,29とこれに連通する平板状アンカー金具26の挿通孔26bには拘束されない。このため、図6(b)に示すように、パネル短辺小口面でのパネル壁面外方向のせん断力によってALCパネル16に対して棒状体18,20がパネル壁面外方向に相対的に遊動する。これにより、棒状体18,20は平板状アンカー金具26の挿通孔26bの内周縁に接触する。この接触により、パネル壁面外方向のせん断力が平板状アンカー金具26を介してALCパネル16の副筋24bに伝達され、この副筋24bからカゴ状補強鉄筋24全体に伝達され、これによりパネル壁面外方向のせん断力に抵抗するので、パネル壁面外方向のせん断力に対して十分な耐力が確保される。
【0044】
すなわち、この棒状体18,20がパネル母材16aの連通孔28,29や平板状アンカー金具26の挿通孔26bに遊挿されているのは、ロッキングを目的とする棒状体18,20の上下動を確保するだけでなく、棒状体18,20の拘束を緩和することでパネル壁面外方向に棒状体18,20を遊動しやすくし、平板状アンカー金具26の挿通孔26bの内周縁に棒状体18,20を接触しやすくして副筋24bおよびカゴ状補強鉄筋24全体への力の伝達効率を高めることにもある。
【0045】
このようにして、ALCパネル16に埋設されたアンカー金具が平板状アンカー金具26でもパネル壁面外方向のせん断力に対して十分な耐力が確保されるので、パネル壁面外方向のせん断力に対する耐力の確保とともにアンカー金具の軽量化が図られる。
【0046】
ALCパネル16の大きさとしては、特に限定されるものではないが、通常、幅300〜610mm、長さ1500〜4000mm、厚さ75〜150mmの範囲に設定される。このとき、ALCパネル16に埋設されるカゴ状補強鉄筋24が、ALCパネル16の各短辺小口面からの距離が5〜40mmの範囲までALCパネル16の内部を占めていれば、平板状アンカー金具26が、ALCパネル16の各端面からの距離が5〜40mmの範囲に埋設され、パネル短辺小口面の表面にひび割れがより生じにくくなる。
【0047】
上記範囲の大きさのALCパネル16を支承する棒状体18,20は、ALCパネル16内に埋設された補強鉄筋とのかぶりを考慮して、棒状部18b,20bの長さが60〜150mmの範囲内であることが好ましく、また、棒状部18b,20bの外径は10〜15mmの範囲内であることが好ましい。棒状体18,20は鋼材などの剛体で形成され、棒状体18,20の棒状部18b,20bはパネル母材16aの連通孔28,29内や平板状アンカー金具26の挿通孔26b内でロッキング時に上下動しやすいように円柱状であることが好ましい。
【0048】
平板状アンカー金具26の大きさとしては、ALCパネル16に埋設されるカゴ状補強鉄筋24の大きさに合わせて、平板面26aの幅が30〜110mm、平板面26aの長さが50〜250mm、平板面26aの厚さが1.0〜3.5mm、折曲部26cの高さが8〜20mmの範囲内に設定することが好ましい。より好ましくは、平板面26aの長さが70〜150mm、平板面26aの厚さが1.0〜2.3mm、折曲部26cの高さが8〜15mmの範囲内である。
【0049】
パネル母材16aの連通孔28,29のパネル壁面外方向の短径(ALCパネル16の厚さ方向の内径)および平板状アンカー金具26の挿通孔26bのパネル壁面外方向の短径(平板状アンカー金具26の平板面26aの幅方向の内径)としては、棒状体18,20の棒状部18b,20bの外径との差が1mm以上に設定されていることが好ましい。より好ましくは棒状体18,20の棒状部18b,20bの外径との差が1mm以上3mm以下であり、さらに好ましくは棒状体18,20の棒状部18b,20bの外径との差が1.5mm以上3mm以下である。このように棒状体18,20の棒状部18b,20bとの外径差を大きくすることにより、棒状体18,20の拘束がより緩和され、パネル壁面外方向にせん断力が作用したときにパネル壁面外方向に棒状体18,20を遊動しやすくし、平板状アンカー金具26の挿通孔26bの内周縁に棒状体18,20を接触しやすくして副筋24bおよびカゴ状補強鉄筋24全体への力の伝達効率をより高めることができる。
【0050】
そして上記実施形態においては、パネル母材16aの連通孔28,29のうちの入口側孔28a,29aが平板状アンカー金具26の平板面26aの挿通孔26bの孔径よりも大きい孔径とされているため、図6(b)に示すように、パネル壁面外方向にせん断力が作用したときに、平板状アンカー金具26の挿通孔26bの内周縁に棒状体18,20が接触しても、入口側孔28a,29aのパネル短辺小口側の開口端に接触しないようにすることができる。パネル短辺小口側の開口端には補強鉄筋が配置されていないため、パネル母材16aの破壊強度が特に低く、棒状体18,20のこじりによってパネル母材16aの破壊が特に起こりやすい部分である。この部分に棒状体18,20の基端が接触しないようにすることで、パネル母材16aの表面の破壊を抑えてパネル壁面外方向のせん断力に対するパネル強度をさらに高めることができる。
【0051】
この観点から、パネル母材16aの連通孔28,29のうちの入口側孔28a,29aのパネル壁面外方向の短径としては、棒状体18,20の棒状部18b,20bの外径との差が2mm以上に設定されていることが好ましい。より好ましくは棒状体18,20の棒状部18b,20bの外径との差が5mm以上20mm以下である。なお、入口側孔28a,29aは、例えば円形に形成して、パネル幅方向の長径をパネル壁面外方向の短径と同じにすれば良い。
【0052】
一方、パネル母材16aの連通孔28,29のパネル幅方向の長径(ALCパネル16の幅方向の内径)および平板状アンカー金具26の挿通孔26bのパネル幅方向の長径(平板状アンカー金具26の平板面26aの長さ方向の内径)としては、パネル壁面外方向の短径と同じ(挿通孔26bの形状が正方形や円などの場合)か、あるいは、パネル壁面外方向の短径よりも大きい(挿通孔26bの形状が長方形や楕円などの場合)ことが好ましい。パネル幅方向には層間変形が生じるため、ロッキング時に上下動しやすいようにするためである。パネル幅方向の長径が大きいほど、ロッキング時に上下動しやすくできる。この観点から、パネル母材16aの連通孔28,29および平板状アンカー金具26の挿通孔26bのパネル幅方向の長径としては、棒状体18,20の棒状部18b,20bの外径との差が1mm以上に設定されていることが好ましい。より好ましくは棒状体18,20の棒状部18b,20bの外径との差が1mm以上5mm以下であり、さらに好ましくは棒状体18,20の棒状部18b,20bの外径との差が1.5mm以上4.5mm以下である。なお、パネル母材16aの連通孔28,29の深さは、連通孔28,29の底が棒状体18,20の先端でこじられない程度に棒状体18,20の棒状部18b,20bの長さに合わせて適宜設定すれば良い。
【0053】
次に、本発明の第2実施形態に係るALCパネルの取付構造について説明する。図7〜9は、本発明の第2実施形態に係るALCパネルの取付構造に関するものである。第2実施形態に係るALCパネルの取付構造30は、第1実施形態に係るALCパネルの取付構造10と比較して、パネル下端側の取付構造が異なっており、パネル上端側の取付構造については第1実施形態に係るALCパネルの取付構造10と同様であるため、その説明を省略する。
【0054】
図7に示すように、本発明の第2実施形態に係るALCパネルの取付構造30は、建物の上側躯体12に埋設された埋込みプレート12aに固定されたフラットバー12bを介して固定された2本の棒状体18,18によってALCパネル16の上端が2カ所で支承されるとともに建物の下側躯体14に埋設された埋込みプレート14aに固定されたフラットバー14bに固定された台座22を介して固定された1本の雄ネジ部材32によってALCパネル16の下端が1カ所で支持されたものから構成されている。
【0055】
ALCパネル16内に埋設されているカゴ状補強鉄筋24のパネル上端短辺小口側には、幅方向の両端にそれぞれ1枚ずつ合計2枚の上述の平板状アンカー金具26が配置され、溶接固定されている。そして、カゴ状補強鉄筋24のパネル下端短辺小口側には、幅方向の中央位置に1枚の螺合型のコ字状アンカー金具34が配置されている。
【0056】
図9に示すように、螺合型のコ字状アンカー金具34は、長方形の平板面を有する平板状の基板部34aと、基板部34aの幅方向の両端から同方向に互いに平行に立設される一対の側板部34b,34bと、基板部34aの中央位置から側板部34bと平行に立設される雌ネジ部34cと、により構成されている。この螺合型のコ字状アンカー金具34の基板部34aの長さ(L)は、カゴ状補強鉄筋24のパネル壁面方向に並ぶ主筋24a間距離よりも長く、基板部34aから立設される側板部34bがパネル壁面方向において2本の主筋24aに掛かるように構成されている。また、その幅(W)は、カゴ状補強鉄筋24のパネル厚さ方向に並ぶ副筋24b間距離に合わせた長さとされている。基板部34aの雌ネジ部34cが立設されている部分には、雌ネジ部34cの雌ネジ孔に連通する基板貫通孔(図示せず)が設けられている。基板貫通孔の孔径は、雌ネジ部34cの雌ネジ孔の孔径と同じかそれよりも大きくされて、後述する雄ネジ部材32が基板貫通孔を通って雌ネジ部34cの雌ネジ孔に螺合できるようになっている。
【0057】
このような構成の螺合型のコ字状アンカー金具34は、図8に示すように、基板部34aがカゴ状補強鉄筋24のパネル下端短辺小口側のパネル幅方向に配されている2本の副筋24bに跨ってパネル下端短辺小口面と平行になるようにパネル幅方向の中央に配置されるとともに、基板部34aから立設される両側板部34b,34bがパネル長さ方向に配されている2本の主筋24aに跨がるようにパネル壁面と平行で基板部34aから上に延びるように配置されている。そして、両側板部34b,34bで2本の主筋24aのそれぞれに溶接されている。
【0058】
このように配置されたことで、カゴ状補強鉄筋24に溶接固定された螺合型のコ字状アンカー金具34の雌ネジ部34cの雌ネジ孔は、基板部34aの基板貫通孔を介してパネル下端短辺小口面に向かって開口している。パネル母材16aには、図5に示す第1実施形態のパネル下端側のように、基板貫通孔および雌ネジ孔と連通するようにパネル下端短辺小口面からパネル内部に向かって連通孔が穿設形成されている。この連通孔により、螺合型のコ字状アンカー金具34の雌ネジ部34cの雌ネジ孔はパネル下端短辺小口面に開口する。
【0059】
そして、図8に示すように、ALCパネル16の下端側は、ハット型の台座22を介してボルトなどの雄ネジ部材32がパネル下端短辺小口面から形成された連通孔に挿通され、この連通孔に連通される螺合型のコ字状アンカー金具34の雌ネジ部34cの雌ネジ孔に螺合されることにより、建物の下側躯体14に埋設された埋込みプレート14aに固定されたフラットバー14bに固定された台座22を介して固定された1本の雄ネジ部材32によってパネル幅方向の中央位置で支持される。
【0060】
したがって、このようなALCパネルの取付構造30によれば、地震などで建物躯体が層間変形したときには、ALCパネル16の幅方向の中央位置を中心にその幅方向の両側が上下するようにロッキングすることができる。このため、このように取り付けられたALCパネル16は、建物躯体の層間変形に対して優れた追従性能を発揮することができる。また、ALCパネル16に埋設されたアンカー金具が平板状アンカー金具26でもパネル壁面外方向のせん断力に対して十分な耐力が確保されるので、パネル壁面外方向のせん断力に対する耐力の確保とともにアンカー金具の軽量化が図られる。
【0061】
螺合型のコ字状アンカー金具34の大きさとしては、ALCパネル16に埋設されるカゴ状補強鉄筋24の大きさに合わせて、基板部34aの幅が30〜110mm、基板部34aの長さが150〜350mm、基板部34aの厚さが1.0〜3.5mm、側板部34bの高さが10〜50mm、雌ネジ部34cの高さが10〜80mm、雌ネジ部34cの呼び径が10〜14mmの範囲内に設定することが好ましい。
【0062】
次に、本発明の第3実施形態に係るALCパネルの取付構造について説明する。図10〜11は、本発明の第3実施形態に係るALCパネルの取付構造40に関するものである。第3実施形態に係るALCパネルの取付構造40は、第1実施形態に係るALCパネルの取付構造10と比較して、パネル下端側のアンカー金具の構造が異なっており、パネル上端側の取付構造については第1実施形態に係るALCパネルの取付構造10と同様であるため、その説明を省略する。
【0063】
図10に示すように、本発明の第3実施形態に係るALCパネルの取付構造40は、第1実施形態に係るALCパネルの取付構造10と同様、建物の上側躯体12に埋設された埋込みプレート12aに固定されたフラットバー12bを介して固定された2本の棒状体18,18によってALCパネル16の上端が2カ所で支承されるとともに建物の下側躯体14に埋設された埋込みプレート14aに固定されたフラットバー14bに固定された台座22を介して固定された1本の棒状体20によってALCパネル16の下端が1カ所で支承されたものから構成されている。
【0064】
ALCパネル16内に埋設されているカゴ状補強鉄筋24のパネル上端短辺小口側には、幅方向の両端にそれぞれ1枚ずつ合計2枚の上述の平板状アンカー金具26が配置され、溶接固定されている。そして、カゴ状補強鉄筋24のパネル下端短辺小口側には、幅方向の中央位置に1枚のコ字状アンカー金具42が配置されている。
【0065】
図11に示すように、コ字状アンカー金具42は、長方形の平板面を有する平板状の基板部42aと、基板部42aの幅方向の両端から同方向に互いに平行に立設される一対の側板部42b,42bと、により構成されている。このコ字状アンカー金具42の基板部42aの長さ(L)は、カゴ状補強鉄筋24のパネル壁面方向に並ぶ主筋24a間距離よりも長く、基板部42aから立設される側板部42bがパネル壁面方向において2本の主筋24aに掛かるように構成されている。また、その幅(W)は、カゴ状補強鉄筋24のパネル厚さ方向に並ぶ副筋24b間距離に合わせた長さとされている。そして、基板部42aの中央位置には、建物躯体に固定される棒状体20を挿通させるための挿通孔42cが形成されている。この挿通孔42cの構成は、平板状アンカー金具26の挿通孔26bと同じ構成であり、棒状体20はこの挿通孔42cに対し、その周縁との間で所定の隙間がある状態で挿入(遊挿)される。
【0066】
このような構成のコ字状アンカー金具42は、図10に示すように、基板部42aがカゴ状補強鉄筋24のパネル下端短辺小口側のパネル幅方向に配されている2本の副筋24bに跨ってパネル下端短辺小口面と平行になるようにパネル幅方向の中央に配置されるとともに、基板部42aから立設される両側板部42b,42bがパネル長さ方向に配されている2本の主筋24aに跨がるようにパネル壁面と平行で基板部42aから上に延びるように配置されている。そして、両側板部42b,42bで2本の主筋24aのそれぞれに溶接されている。
【0067】
このように配置されたことで、カゴ状補強鉄筋24に溶接固定されたコ字状アンカー金具42の基板部42aの挿通孔42cは、パネル下端短辺小口面に向かって開口している。パネル母材16aには、図5に示す第1実施形態のパネル下端側のように、この挿通孔42cと連通するようにパネル下端短辺小口面からパネル内部に向かって挿通孔42cよりもさらに奥まで連通孔が穿設形成されている。この連通孔により、コ字状アンカー金具42の基板部42aの挿通孔42cはパネル下端短辺小口面に開口する。
【0068】
そして、図10に示すように、ALCパネル16の下端側は、建物の下側躯体14に埋設された埋込みプレート14aに固定されたフラットバー14bに固定されたハット型の台座22を介して固定された棒状体20がパネル下端短辺小口面から形成された連通孔とこれに連通するコ字状アンカー金具42の基板部42aの挿通孔42cに遊挿されることにより、建物の下側躯体14に埋設された埋込みプレート14aに固定されたフラットバー14bに固定された台座22を介して固定された1本の棒状体20によってパネル幅方向の中央位置で支承される。
【0069】
したがって、このようなALCパネルの取付構造40によれば、地震などで建物躯体が層間変形したときには、ALCパネル16の幅方向の中央位置を中心にその幅方向の両側が上下するようにロッキングすることができる。このため、このように取り付けられたALCパネル16は、建物躯体の層間変形に対して優れた追従性能を発揮することができる。また、ALCパネル16に埋設されたアンカー金具が平板状アンカー金具26でもパネル壁面外方向のせん断力に対して十分な耐力が確保されるので、パネル壁面外方向のせん断力に対する耐力の確保とともにアンカー金具の軽量化が図られる。
【0070】
コ字状アンカー金具42の大きさとしては、ALCパネル16に埋設されるカゴ状補強鉄筋24の大きさに合わせて、基板部42aの幅が30〜110mm、基板部42aの長さが150〜350mm、基板部42aの厚さが1.0〜3.5mm、側板部42bの高さが10〜50mmの範囲内に設定することが好ましい。なお、コ字状アンカー金具42の挿通孔42cの大きさは、平板状アンカー金具26の挿通孔26bと同じ構成にすれば良い。
【0071】
次に、本発明の第4実施形態に係るALCパネルの取付構造について説明する。図12〜13は、本発明の第4実施形態に係るALCパネルの取付構造に関するものである。第4実施形態に係るALCパネルの取付構造50は、第1実施形態に係るALCパネルの取付構造10と比較して、パネル上端側の取付構造が異なっており、パネル下端側の取付構造については第1実施形態に係るALCパネルの取付構造10と同様であるため、その説明を省略する。
【0072】
図12に示すように、本発明の第4実施形態に係るALCパネルの取付構造50は、建物の上側躯体12に埋設された埋込みプレート12aに固定されたフラットバー12bを介して固定された2本の棒状体18,18によってALCパネル16の上端が2カ所で支承されるとともに建物の下側躯体14に埋設された埋込みプレート14aに固定されたフラットバー14bに固定された台座22を介して固定された1本の棒状体20によってALCパネル16の下端が1カ所で支承されたものから構成されている。
【0073】
第1実施形態のALCパネル16のカゴ状補強鉄筋24には、パネル上端側に2つ、パネル下端側に1つ、平板状アンカー金具26が溶接固定されているが、第4実施形態のALCパネル16のカゴ状補強鉄筋24には、パネル上端側に平板状アンカー金具26は溶接固定されておらず、パネル下端側に1つ、平板状アンカー金具26が溶接固定されている。このとき、図12,13に示すように、第4実施形態のALCパネル16のパネル母材16aには、建物躯体に固定される棒状体18を挿通させるための通孔52が、パネル幅方向に2カ所、パネル上端短辺小口面からパネル内部に向かって穿設形成されている。そして、図13に示すように、ALCパネル16の上端側は、建物の上側躯体12に埋設された埋込みプレート12aに固定されたフラットバー12bを介して固定された2本の棒状体18,18がこの通孔52に挿通(遊挿)されることによって2カ所で支承されている。
【0074】
したがって、このようなALCパネルの取付構造50によれば、地震などで建物躯体が層間変形したときには、ALCパネル16の幅方向の中央位置を中心にその幅方向の両側が上下するようにロッキングすることができる。このため、このように取り付けられたALCパネル16は、建物躯体の層間変形に対して優れた追従性能を発揮することができる。また、ALCパネル16に埋設されたアンカー金具が平板状アンカー金具26でもパネル壁面外方向のせん断力に対して十分な耐力が確保されるので、パネル壁面外方向のせん断力に対する耐力の確保とともにアンカー金具の軽量化が図られる。
【0075】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0076】
例えば上記実施形態においては、棒状体18は上側躯体12に埋込みプレート12aを介して直接固定されているが、図14や図15に示すように、上側躯体12に埋設された埋込みプレート12aに固定されたフラットバー12bを介して固定された台座22を介して間接的に上側躯体12に固定されても良い。図14では、棒状体18の棒状部18bがハット型の台座22の貫通孔22cに挿通され、棒状体18の円盤状の基部18aがハット型の台座22の載置面22aに係止しており(固定はされていない)、棒状体18はハット型の台座22とは別個にALCパネル16の面内方向あるいは壁面外方向に動くことができるようになっている。これにより、建物躯体の層間変形に対するパネルの追従性が一層向上して好ましい。一方、図15では、棒状体20の棒状部20bがハット型の台座22の載置面22aに溶接固定されており、棒状体20はハット型の台座22とは独立にALCパネル16の面内方向あるいは壁面外方向に動くことができないようになっている。
【0077】
また、上記実施形態においては、平板状アンカー金具26は、切り欠き係止部26dによって平板面の長さ方向の辺に沿って配置される副筋24bがはめ込まれるようになっているが、図16(a)に示すように、平板面の幅方向の外側に突出するフック状の係止部54dを備える平板状アンカー金具54とし(挿通孔54bを備える)、このフック状の係止部54dによって、平板面54aの長さ方向の辺に沿って配置される副筋24bがはめ込まれるように構成されていても良い。また、図16(b)に示すように、その係止部56dがフック状ではなく、パネル長さ方向に真っ直ぐに延びる平板状アンカー金具56(挿通孔56bを備える)であっても良い。
【0078】
また、上記第2実施形態の螺合型のコ字状アンカー金具34や第3実施形態のコ字状アンカー金具42は、コ字状部が上に開口する上向きに取り付けられて基板部34a,42aが下端短辺小口側の副筋24bに接触するように固定されているが、その取付向きをコ字状部が下に開口する下向き(図10の反対向き)とし、基板部34a,42aを副筋24bに接触させないようにしても良い。なお、コ字状部が上に開口する上向きに取り付けるほうが、せん断強度を高くすることができる。
【0079】
また、上記実施形態においては、平板状アンカー金具26やコ字状アンカー金具42の挿通孔26b,42cは長方形であるが、真円や楕円などであっても良い。また、上記実施形態においては、ALCパネル16の上端側は、2本の棒状体18,18によって2カ所で支承されている例が示されているが、パネル幅方向に3本以上の棒状体18によって3カ所以上で支承されていても良いのは勿論である。なお、2本の棒状体18,18によってALCパネル16の上端側が支承される場合には、その支承される位置は、パネル幅方向の中央位置を中心にその両側に対称となる位置であることが好ましい。
【実施例】
【0080】
<ALCパネルの上端側取付構造のせん断引抜強度について>
本発明では、ALCパネルの上端側は、2本以上の棒状体によって2カ所以上で支承されている。そこで、2本の棒状体によって2カ所で支承された取付構造のせん断引抜強度を比較した。図17は、そのせん断試験の概略模式図である。具体的には、図17のようにALCパネル1を試験用鉄骨架台2上に水平に配置し、ALCパネル1の上端短辺小口面から300mmの位置でパネル壁面を挟持してALCパネル1を試験用鉄骨架台2に固定した。次いで、ALCパネル1の上端短辺小口面の2カ所に2本の棒状体3,3を遊挿し、2本の棒状体3,3を連結板4で連結し、油圧ジャッキ5を用いて連結板4の中央位置を上方に変位させた。このときの最大荷重をせん断引抜強度とした。ALCパネル1の寸法は、幅:600mm、長さ:2490mm、厚さ:100mmである。
【0081】
(実施例1)
本発明の第1実施形態のALCパネルの上端側取付構造に対応する。具体的には、図3に示す形状の平板状アンカー金具を2枚用い、図2に示すパネル上端短辺小口側の所定位置でカゴ状補強鉄筋の副筋に平板状アンカー金具を溶接固定した。また、ALCパネル1の上端短辺小口面から平板状アンカー金具の挿通孔と連通する連通孔を挿通孔よりもさらに奥まで穿設形成した。この連通孔および挿通孔に棒状体3を遊挿し、2本の棒状体3,3を連結板4で連結し、油圧ジャッキ5を用いて連結板4の中央位置を上方に変位させた。
【0082】
平板状アンカー金具の寸法は、幅50mm、長さ100mm、厚さ1.6mm、折曲部26cの高さ10mmである。平板状アンカー金具の挿通孔の寸法は、幅13.5mm、長さ17mmである。棒状体の外径は、12.5mmである。また、パネル母材に穿設形成した連通孔の入口側孔(円形孔)の寸法は、内径30mmであり、奥側孔(円形孔)の寸法は、内径13mmである。
【0083】
(参考例1)
本発明の第4実施形態のALCパネルの上端側取付構造に対応する。具体的には、平板状アンカー金具を用いないで、カゴ状補強鉄筋が埋設されただけのALCパネル1のパネル母材に、実施例1と同じ位置、同じ深さで、ALCパネル1の上端短辺小口面からパネル内部に向かって通孔を穿設形成した。この通孔に棒状体3を遊挿し、2本の棒状体3,3を連結板4で連結し、油圧ジャッキ5を用いて連結板4の中央位置を上方に変位させた。棒状体の外径は、12.5mmである。また、パネル母材に穿設形成した連通孔(円形孔)の寸法は、内径13mmである。
【0084】
<ALCパネルの下端側の取付構造のせん断引抜強度について>
本発明では、ALCパネルの下端側は、台座を介して1本の棒状体あるいは1本の雄ネジ部材によってパネル幅方向の中央位置で1カ所で支承されている。そこで、1本の棒状体あるいは1本の雄ネジ部材によってパネル幅方向の中央位置で1カ所で支承(支持)された取付構造のせん断引抜強度を比較した。図18は、そのせん断試験の概略模式図である。具体的には、図18のようにALCパネル1を試験用鉄骨架台2上に水平に配置し、ALCパネル1の下端短辺小口面から300mmの位置でパネル壁面を挟持してALCパネル1を試験用鉄骨架台2に固定した。次いで、ALCパネル1の下端短辺小口面のパネル幅方向中央位置の1カ所に、1本の棒状体3を遊挿し(あるいは、1本の雄ネジ部材3を螺合し)、この棒状体3(あるいは、雄ネジ部材3)を油圧ジャッキ5を用いて上方に変位させた。このときの最大荷重をせん断引抜強度とした。ALCパネル1の寸法は、幅:600mm、長さ:2490mm、厚さ:100mmである。
【0085】
(実施例2)
本発明の第1実施形態のALCパネルの下端側取付構造に対応する。具体的には、図3に示す形状の平板状アンカー金具を1枚用い、図1に示すパネル下端短辺小口側の所定位置でカゴ状補強鉄筋の副筋に平板状アンカー金具を溶接固定した。また、ALCパネル1の下端短辺小口面から平板状アンカー金具の挿通孔と連通する連通孔を挿通孔よりもさらに奥まで穿設形成した。この連通孔および挿通孔に棒状体3を遊挿し、油圧ジャッキ5を用いて棒状体3を上方に変位させた。
【0086】
平板状アンカー金具の寸法は、幅50mm、長さ100mm、厚さ1.6mm、折曲部26cの高さ10mmである。平板状アンカー金具の挿通孔の寸法は、幅13.5mm、長さ17mmである。棒状体の外径は、12.5mmである。また、パネル母材に穿設形成した連通孔の入口側孔(円形孔)の寸法は、内径30mmであり、奥側孔(円形孔)の寸法は、内径13mmである。
【0087】
(実施例3)
本発明の第2実施形態のALCパネルの下端側取付構造に対応する。具体的には、図9に示す形状の螺合型のコ字状アンカー金具を1枚用い、図8に示すパネル下端短辺小口側の所定位置でカゴ状補強鉄筋の主筋2本に螺合型のコ字状アンカー金具の両側板部をそれぞれ溶接固定した。また、ALCパネル1の下端短辺小口面から螺合型のコ字状アンカー金具の雌ネジ孔と連通する連通孔を穿設形成した。この連通孔に雄ネジ部材3を挿通し、雌ネジ孔に螺合させ、油圧ジャッキ5を用いて雄ネジ部材3を上方に変位させた。実施例3の螺合型のコ字状アンカー金具の取付向きは、図8に示すようにコ字状部が上に開口する上向きとし、基板部を下端短辺小口側の副筋に接触させた。
【0088】
螺合型のコ字状アンカー金具の寸法は、幅56mm、長さ170mm、厚さ2.3mm、側板部の高さ40mm、雌ネジ部34cの高さ50mm、雌ネジ孔の呼び径はM12である。雄ネジ部材3の外径は、12.5mmである。また、パネル母材に穿設形成した連通孔(円形孔)の寸法は、内径13mmである。
【0089】
(実施例4)
螺合型のコ字状アンカー金具の取付向きをコ字状部が下に開口する下向き(図8の反対向き)とし、基板部を副筋に接触させなかった以外は実施例3と同様にした。
【0090】
(実施例5)
本発明の第3実施形態のALCパネルの下端側取付構造に対応する。具体的には、図11に示す形状のコ字状アンカー金具を1枚用い、図10に示すパネル下端短辺小口側の所定位置でカゴ状補強鉄筋の主筋2本にコ字状アンカー金具の両側板部をそれぞれ溶接固定した。また、ALCパネル1の下端短辺小口面からコ字状アンカー金具の挿通孔と連通する連通孔を挿通孔よりもさらに奥まで穿設形成した。この連通孔および挿通孔に棒状体3を遊挿し、油圧ジャッキ5を用いて棒状体を上方に変位させた。実施例5のコ字状アンカー金具の取付向きは、図10に示すようにコ字状部が上に開口する上向きとし、基板部を下端短辺小口側の副筋に接触させた。
【0091】
(実施例6)
コ字状アンカー金具の取付向きをコ字状部が下に開口する下向き(図10の反対向き)とし、基板部を副筋に接触させなかった以外は実施例5と同様にした。
【0092】
(参考例2)
アンカー金具を用いないで、カゴ状補強鉄筋が埋設されただけのALCパネル1のパネル母材に、実施例2と同じ位置、同じ深さで、ALCパネル1の下端短辺小口面からパネル内部に向かって通孔を穿設形成した。この通孔に棒状体3を遊挿し、油圧ジャッキ5を用いて棒状体3を上方に変位させた。棒状体3の外径は、12.5mmである。また、パネル母材に穿設形成した連通孔(円形孔)の寸法は、内径13mmである。
【0093】
【表1】
【0094】
以上の試験結果を表1にまとめている。表1によれば、平板状アンカー金具を用いたことにより、ALCパネルの上端側取付構造のせん断引抜強度が高く、パネル壁面外方向のせん断力に対して十分な耐力が確保されていることが確認できた。同様に、平板状アンカー金具を用いたことにより、ALCパネルの下端側取付構造のせん断引抜強度が高く、パネル壁面外方向のせん断力に対して十分な耐力が確保されていることが確認できた。そして、用いたアンカー金具が平板状であるため、アンカー金具の大幅な軽量化を図ることができた。
【符号の説明】
【0095】
10 ALCパネルの取付構造
12 建物の上側躯体
14 建物の下側躯体
16 ALCパネル
18 棒状体
20 棒状体
22 ハット型の台座
24 カゴ状補強鉄筋
26 平板状アンカー金具
28,29 連通孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主筋と副筋とからなる格子状の補強鉄筋マットを2枚互いに離して平行に並べて連結材により連結させて形成したカゴ状補強鉄筋を埋設したALCパネルを建物の上下躯体間に取り付けるALCパネルの取付構造において、
ALCパネルの上端側では、前記カゴ状補強鉄筋のパネル上端短辺小口側のパネル幅方向に平行に配された2本の副筋に跨ってパネル上端短辺小口面と平行になるように平板状アンカー金具がパネル幅方向に2枚以上配置されて前記2本の副筋のそれぞれに溶接され、
ALCパネルの下端側では、前記カゴ状補強鉄筋のパネル下端短辺小口側のパネル幅方向に配されている2本の副筋に跨ってパネル下端短辺小口面と平行になるように平板状アンカー金具がパネル幅方向の中央位置に1枚配置されて前記2本の副筋のそれぞれに溶接され、
これら平板状アンカー金具の板面には建物躯体に固定される棒状体を挿通させるための挿通孔が設けられ、パネル母材には該挿通孔と連通する連通孔が各短辺小口面からパネル内部に向かって該挿通孔よりもさらに奥まで穿設形成されており、
ALCパネルの上端は、パネル上端短辺小口面から形成された連通孔とこれに連通する平板状アンカー金具の挿通孔に遊挿された状態で建物の上側躯体に直接または台座を介して固定された2本以上の棒状体によって2カ所以上で支承されているとともに、ALCパネルの下端は、パネル下端短辺小口面から形成された連通孔とこれに連通する平板状アンカー金具の挿通孔に遊挿された状態で建物の下側躯体に台座を介して固定された1本の棒状体によってパネル幅方向の中央位置で支承されていることを特徴とするALCパネルの取付構造。
【請求項2】
主筋と副筋とからなる格子状の補強鉄筋マットを2枚互いに離して平行に並べて連結材により連結させて形成したカゴ状補強鉄筋を埋設したALCパネルを建物の上下躯体間に取り付けるALCパネルの取付構造において、
ALCパネルの上端側では、前記カゴ状補強鉄筋のパネル上端短辺小口側のパネル幅方向に平行に配された2本の副筋に跨ってパネル上端短辺小口面と平行になるように平板状アンカー金具がパネル幅方向に2枚以上配置されて前記2本の副筋のそれぞれに溶接され、これら平板状アンカー金具の板面には建物躯体に固定される棒状体を挿通させるための挿通孔が設けられ、パネル母材には該挿通孔と連通する連通孔がパネル上端短辺小口面からパネル内部に向かって該挿通孔よりもさらに奥まで穿設形成されており、
ALCパネルの下端側では、平板状の基板部と該基板部の両端から互いに平行に立設される一対の側板部と該基板部の中央位置から前記側板部と平行に立設される雌ネジ部とで構成される螺合型のコ字状アンカー金具の基板部が前記カゴ状補強鉄筋のパネル下端短辺小口側のパネル幅方向に配されている2本の副筋に跨ってパネル下端短辺小口面と平行になるようにパネル幅方向の中央に配置されるとともに、該螺合型のコ字状アンカー金具の両側板部がパネル長さ方向に配されている2本以上の主筋に跨がるようにパネル壁面と平行で前記基板部から上に延びるように配置されて前記2本以上の主筋のそれぞれに溶接され、該基板部の雌ネジ部が立設されている部分には雌ネジ部の雌ネジ孔に連通する基板貫通孔が設けられ、パネル母材には該基板貫通孔と連通する連通孔がパネル下端短辺小口面からパネル内部に向かって穿設形成されており、
ALCパネルの上端は、パネル上端短辺小口面から形成された連通孔とこれに連通する平板状アンカー金具の挿通孔に遊挿された状態で建物の上側躯体に直接または台座を介して固定された2本以上の棒状体によって2カ所以上で支承されているとともに、ALCパネルの下端は、パネル下端短辺小口面から形成された連通孔に連通する螺合型のコ字状アンカー金具の雌ネジ部の雌ネジ孔に螺合された状態で建物の下側躯体に台座を介して固定された1本の雄ネジ部材によってパネル幅方向の中央位置で支持されていることを特徴とするALCパネルの取付構造。
【請求項3】
主筋と副筋とからなる格子状の補強鉄筋マットを2枚互いに離して平行に並べて連結材により連結させて形成したカゴ状補強鉄筋を埋設したALCパネルを建物の上下躯体間に取り付けるALCパネルの取付構造において、
ALCパネルの上端側では、前記カゴ状補強鉄筋のパネル上端短辺小口側のパネル幅方向に平行に配された2本の副筋に跨ってパネル上端短辺小口面と平行になるように平板状アンカー金具がパネル幅方向に2枚以上配置されて前記2本の副筋のそれぞれに溶接され、これら平板状アンカー金具の板面には建物躯体に固定される棒状体を挿通させるための挿通孔が設けられ、パネル母材には該挿通孔と連通する連通孔がパネル上端短辺小口面からパネル内部に向かって該挿通孔よりもさらに奥まで穿設形成されており、
ALCパネルの下端側では、平板状の基板部と該基板部の両端から互いに平行に立設される一対の側板部とで構成されるコ字状アンカー金具の基板部が前記カゴ状補強鉄筋のパネル下端短辺小口側のパネル幅方向に配されている2本の副筋に跨ってパネル下端短辺小口面と平行になるようにパネル幅方向の中央に配置されるとともに、該コ字状アンカー金具の両側板部がパネル長さ方向に配されている2本以上の主筋に跨がるようにパネル壁面と平行で前記基板部から上に延びるように配置されて前記2本以上の主筋のそれぞれに溶接され、該基板部の板面には建物躯体に固定される棒状体を挿通させるための挿通孔が設けられ、パネル母材には該挿通孔と連通する連通孔がパネル下端短辺小口面からパネル内部に向かって該挿通孔よりもさらに奥まで穿設形成されており、
ALCパネルの上端は、パネル上端短辺小口面から形成された連通孔とこれに連通する平板状アンカー金具の挿通孔に遊挿された状態で建物の上側躯体に直接または台座を介して固定された2本以上の棒状体によって2カ所以上で支承されているとともに、ALCパネルの下端は、パネル下端短辺小口面から形成された連通孔に連通するコ字状アンカー金具の挿通孔に遊挿された状態で建物の下側躯体に台座を介して固定された1本の棒状体によってパネル幅方向の中央位置で支承されていることを特徴とするALCパネルの取付構造。
【請求項4】
主筋と副筋とからなる格子状の補強鉄筋マットを2枚互いに離して平行に並べて連結材により連結させて形成したカゴ状補強鉄筋を埋設したALCパネルを建物の上下躯体間に取り付けるALCパネルの取付構造において、
ALCパネルの上端側では、建物躯体に固定される棒状体を挿通させるための通孔がパネル上端短辺小口面からパネル内部に向かって穿設形成され、
ALCパネルの下端側では、前記カゴ状補強鉄筋のパネル下端短辺小口側のパネル幅方向に配されている2本の副筋に跨ってパネル下端短辺小口面と平行になるように平板状アンカー金具がパネル幅方向の中央位置に1枚配置されて前記2本の副筋のそれぞれに溶接され、
前記平板状アンカー金具の板面には建物躯体に固定される棒状体を挿通させるための挿通孔が設けられ、パネル母材には該挿通孔と連通する連通孔がパネル下端短辺小口面からパネル内部に向かって該挿通孔よりもさらに奥まで穿設形成されており、
ALCパネルの上端は、パネル上端短辺小口面から形成された通孔に挿通された状態で建物の上側躯体に直接または台座を介して固定された2本以上の棒状体によって2カ所以上で支承されているとともに、ALCパネルの下端は、パネル下端短辺小口面から形成された連通孔とこれに連通する平板状アンカー金具の挿通孔に遊挿された状態で建物の下側躯体に台座を介して固定された1本の棒状体によってパネル幅方向の中央位置で支承されていることを特徴とするALCパネルの取付構造。
【請求項5】
前記平板状アンカー金具の挿通孔および該挿通孔に連通するパネル母材の連通孔の内径と前記棒状体の外径との差が1mm以上に設定されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のALCパネルの取付構造。
【請求項6】
前記平板状アンカー金具の挿通孔は、パネル幅方向の長径がパネル壁面外方向の短径よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のALCパネルの取付構造。
【請求項7】
前記平板状アンカー金具の長さ方向の両端には、パネル長さ方向のパネル内部に向かって折曲された折曲部が形成されているとともに、該折曲部のパネル壁面外方向の端部には、副筋がはめ込まれる切り欠き係止部が設けられていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のALCパネルの取付構造。
【請求項8】
請求項1に記載のALCパネルの取付構造に用いられるALCパネルであって、
ALCパネルの上端側では、前記カゴ状補強鉄筋のパネル上端短辺小口側のパネル幅方向に平行に配された2本の副筋に跨ってパネル上端短辺小口面と平行になるように平板状アンカー金具がパネル幅方向に2枚以上配置されて前記2本の副筋のそれぞれに溶接され、
ALCパネルの下端側では、前記カゴ状補強鉄筋のパネル下端短辺小口側のパネル幅方向に配されている2本の副筋に跨ってパネル下端短辺小口面と平行になるように平板状アンカー金具がパネル幅方向の中央位置に1枚配置されて前記2本の副筋のそれぞれに溶接され、
これら平板状アンカー金具の板面には建物躯体に固定される棒状体を遊挿させるための挿通孔が設けられていることを特徴とするALCパネル。
【請求項9】
請求項2に記載のALCパネルの取付構造に用いられるALCパネルであって、
ALCパネルの上端側では、前記カゴ状補強鉄筋のパネル上端短辺小口側のパネル幅方向に平行に配された2本の副筋に跨ってパネル上端短辺小口面と平行になるように平板状アンカー金具がパネル幅方向に2枚以上配置されて前記2本の副筋のそれぞれに溶接され、これら平板状アンカー金具の板面には建物躯体に固定される棒状体を遊挿させるための挿通孔が設けられており、
ALCパネルの下端側では、平板状の基板部と該基板部の両端から互いに平行に立設される一対の側板部と該基板部の中央位置から前記側板部と平行に立設される雌ネジ部とで構成される螺合型のコ字状アンカー金具の基板部が前記カゴ状補強鉄筋のパネル下端短辺小口側のパネル幅方向に配されている2本の副筋に跨ってパネル下端短辺小口面と平行になるようにパネル幅方向の中央に配置されるとともに、該螺合型のコ字状アンカー金具の両側板部がパネル長さ方向に配されている2本以上の主筋に跨がるようにパネル壁面と平行で前記基板部から上に延びるように配置されて前記2本以上の主筋のそれぞれに溶接され、該基板部の雌ネジ部が立設されている部分には雌ネジ部の雌ネジ孔に連通する基板貫通孔が設けられていることを特徴とするALCパネル。
【請求項10】
請求項3に記載のALCパネルの取付構造に用いられるALCパネルであって、
ALCパネルの上端側では、前記カゴ状補強鉄筋のパネル上端短辺小口側のパネル幅方向に平行に配された2本の副筋に跨ってパネル上端短辺小口面と平行になるように平板状アンカー金具がパネル幅方向に2枚以上配置されて前記2本の副筋のそれぞれに溶接され、これら平板状アンカー金具の板面には建物躯体に固定される棒状体を遊挿させるための挿通孔が設けられており、
ALCパネルの下端側では、平板状の基板部と該基板部の両端から互いに平行に立設される一対の側板部とで構成されるコ字状アンカー金具の基板部が前記カゴ状補強鉄筋のパネル下端短辺小口側のパネル幅方向に配されている2本の副筋に跨ってパネル下端短辺小口面と平行になるようにパネル幅方向の中央に配置されるとともに、該コ字状アンカー金具の両側板部がパネル長さ方向に配されている2本以上の主筋に跨がるようにパネル壁面と平行で前記基板部から上に延びるように配置されて前記2本以上の主筋のそれぞれに溶接され、該基板部の板面には建物躯体に固定される棒状体を挿通させるための挿通孔が設けられていることを特徴とするALCパネル。
【請求項11】
請求項4に記載のALCパネルの取付構造に用いられるALCパネルであって、
ALCパネルの下端側では、前記カゴ状補強鉄筋のパネル下端短辺小口側のパネル幅方向に配されている2本の副筋に跨ってパネル下端短辺小口面と平行になるように平板状アンカー金具がパネル幅方向の中央位置に1枚配置されて前記2本の副筋のそれぞれに溶接され、
前記平板状アンカー金具の板面には建物躯体に固定される棒状体を挿通させるための挿通孔が設けられていることを特徴とするALCパネル。
【請求項1】
主筋と副筋とからなる格子状の補強鉄筋マットを2枚互いに離して平行に並べて連結材により連結させて形成したカゴ状補強鉄筋を埋設したALCパネルを建物の上下躯体間に取り付けるALCパネルの取付構造において、
ALCパネルの上端側では、前記カゴ状補強鉄筋のパネル上端短辺小口側のパネル幅方向に平行に配された2本の副筋に跨ってパネル上端短辺小口面と平行になるように平板状アンカー金具がパネル幅方向に2枚以上配置されて前記2本の副筋のそれぞれに溶接され、
ALCパネルの下端側では、前記カゴ状補強鉄筋のパネル下端短辺小口側のパネル幅方向に配されている2本の副筋に跨ってパネル下端短辺小口面と平行になるように平板状アンカー金具がパネル幅方向の中央位置に1枚配置されて前記2本の副筋のそれぞれに溶接され、
これら平板状アンカー金具の板面には建物躯体に固定される棒状体を挿通させるための挿通孔が設けられ、パネル母材には該挿通孔と連通する連通孔が各短辺小口面からパネル内部に向かって該挿通孔よりもさらに奥まで穿設形成されており、
ALCパネルの上端は、パネル上端短辺小口面から形成された連通孔とこれに連通する平板状アンカー金具の挿通孔に遊挿された状態で建物の上側躯体に直接または台座を介して固定された2本以上の棒状体によって2カ所以上で支承されているとともに、ALCパネルの下端は、パネル下端短辺小口面から形成された連通孔とこれに連通する平板状アンカー金具の挿通孔に遊挿された状態で建物の下側躯体に台座を介して固定された1本の棒状体によってパネル幅方向の中央位置で支承されていることを特徴とするALCパネルの取付構造。
【請求項2】
主筋と副筋とからなる格子状の補強鉄筋マットを2枚互いに離して平行に並べて連結材により連結させて形成したカゴ状補強鉄筋を埋設したALCパネルを建物の上下躯体間に取り付けるALCパネルの取付構造において、
ALCパネルの上端側では、前記カゴ状補強鉄筋のパネル上端短辺小口側のパネル幅方向に平行に配された2本の副筋に跨ってパネル上端短辺小口面と平行になるように平板状アンカー金具がパネル幅方向に2枚以上配置されて前記2本の副筋のそれぞれに溶接され、これら平板状アンカー金具の板面には建物躯体に固定される棒状体を挿通させるための挿通孔が設けられ、パネル母材には該挿通孔と連通する連通孔がパネル上端短辺小口面からパネル内部に向かって該挿通孔よりもさらに奥まで穿設形成されており、
ALCパネルの下端側では、平板状の基板部と該基板部の両端から互いに平行に立設される一対の側板部と該基板部の中央位置から前記側板部と平行に立設される雌ネジ部とで構成される螺合型のコ字状アンカー金具の基板部が前記カゴ状補強鉄筋のパネル下端短辺小口側のパネル幅方向に配されている2本の副筋に跨ってパネル下端短辺小口面と平行になるようにパネル幅方向の中央に配置されるとともに、該螺合型のコ字状アンカー金具の両側板部がパネル長さ方向に配されている2本以上の主筋に跨がるようにパネル壁面と平行で前記基板部から上に延びるように配置されて前記2本以上の主筋のそれぞれに溶接され、該基板部の雌ネジ部が立設されている部分には雌ネジ部の雌ネジ孔に連通する基板貫通孔が設けられ、パネル母材には該基板貫通孔と連通する連通孔がパネル下端短辺小口面からパネル内部に向かって穿設形成されており、
ALCパネルの上端は、パネル上端短辺小口面から形成された連通孔とこれに連通する平板状アンカー金具の挿通孔に遊挿された状態で建物の上側躯体に直接または台座を介して固定された2本以上の棒状体によって2カ所以上で支承されているとともに、ALCパネルの下端は、パネル下端短辺小口面から形成された連通孔に連通する螺合型のコ字状アンカー金具の雌ネジ部の雌ネジ孔に螺合された状態で建物の下側躯体に台座を介して固定された1本の雄ネジ部材によってパネル幅方向の中央位置で支持されていることを特徴とするALCパネルの取付構造。
【請求項3】
主筋と副筋とからなる格子状の補強鉄筋マットを2枚互いに離して平行に並べて連結材により連結させて形成したカゴ状補強鉄筋を埋設したALCパネルを建物の上下躯体間に取り付けるALCパネルの取付構造において、
ALCパネルの上端側では、前記カゴ状補強鉄筋のパネル上端短辺小口側のパネル幅方向に平行に配された2本の副筋に跨ってパネル上端短辺小口面と平行になるように平板状アンカー金具がパネル幅方向に2枚以上配置されて前記2本の副筋のそれぞれに溶接され、これら平板状アンカー金具の板面には建物躯体に固定される棒状体を挿通させるための挿通孔が設けられ、パネル母材には該挿通孔と連通する連通孔がパネル上端短辺小口面からパネル内部に向かって該挿通孔よりもさらに奥まで穿設形成されており、
ALCパネルの下端側では、平板状の基板部と該基板部の両端から互いに平行に立設される一対の側板部とで構成されるコ字状アンカー金具の基板部が前記カゴ状補強鉄筋のパネル下端短辺小口側のパネル幅方向に配されている2本の副筋に跨ってパネル下端短辺小口面と平行になるようにパネル幅方向の中央に配置されるとともに、該コ字状アンカー金具の両側板部がパネル長さ方向に配されている2本以上の主筋に跨がるようにパネル壁面と平行で前記基板部から上に延びるように配置されて前記2本以上の主筋のそれぞれに溶接され、該基板部の板面には建物躯体に固定される棒状体を挿通させるための挿通孔が設けられ、パネル母材には該挿通孔と連通する連通孔がパネル下端短辺小口面からパネル内部に向かって該挿通孔よりもさらに奥まで穿設形成されており、
ALCパネルの上端は、パネル上端短辺小口面から形成された連通孔とこれに連通する平板状アンカー金具の挿通孔に遊挿された状態で建物の上側躯体に直接または台座を介して固定された2本以上の棒状体によって2カ所以上で支承されているとともに、ALCパネルの下端は、パネル下端短辺小口面から形成された連通孔に連通するコ字状アンカー金具の挿通孔に遊挿された状態で建物の下側躯体に台座を介して固定された1本の棒状体によってパネル幅方向の中央位置で支承されていることを特徴とするALCパネルの取付構造。
【請求項4】
主筋と副筋とからなる格子状の補強鉄筋マットを2枚互いに離して平行に並べて連結材により連結させて形成したカゴ状補強鉄筋を埋設したALCパネルを建物の上下躯体間に取り付けるALCパネルの取付構造において、
ALCパネルの上端側では、建物躯体に固定される棒状体を挿通させるための通孔がパネル上端短辺小口面からパネル内部に向かって穿設形成され、
ALCパネルの下端側では、前記カゴ状補強鉄筋のパネル下端短辺小口側のパネル幅方向に配されている2本の副筋に跨ってパネル下端短辺小口面と平行になるように平板状アンカー金具がパネル幅方向の中央位置に1枚配置されて前記2本の副筋のそれぞれに溶接され、
前記平板状アンカー金具の板面には建物躯体に固定される棒状体を挿通させるための挿通孔が設けられ、パネル母材には該挿通孔と連通する連通孔がパネル下端短辺小口面からパネル内部に向かって該挿通孔よりもさらに奥まで穿設形成されており、
ALCパネルの上端は、パネル上端短辺小口面から形成された通孔に挿通された状態で建物の上側躯体に直接または台座を介して固定された2本以上の棒状体によって2カ所以上で支承されているとともに、ALCパネルの下端は、パネル下端短辺小口面から形成された連通孔とこれに連通する平板状アンカー金具の挿通孔に遊挿された状態で建物の下側躯体に台座を介して固定された1本の棒状体によってパネル幅方向の中央位置で支承されていることを特徴とするALCパネルの取付構造。
【請求項5】
前記平板状アンカー金具の挿通孔および該挿通孔に連通するパネル母材の連通孔の内径と前記棒状体の外径との差が1mm以上に設定されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のALCパネルの取付構造。
【請求項6】
前記平板状アンカー金具の挿通孔は、パネル幅方向の長径がパネル壁面外方向の短径よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のALCパネルの取付構造。
【請求項7】
前記平板状アンカー金具の長さ方向の両端には、パネル長さ方向のパネル内部に向かって折曲された折曲部が形成されているとともに、該折曲部のパネル壁面外方向の端部には、副筋がはめ込まれる切り欠き係止部が設けられていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のALCパネルの取付構造。
【請求項8】
請求項1に記載のALCパネルの取付構造に用いられるALCパネルであって、
ALCパネルの上端側では、前記カゴ状補強鉄筋のパネル上端短辺小口側のパネル幅方向に平行に配された2本の副筋に跨ってパネル上端短辺小口面と平行になるように平板状アンカー金具がパネル幅方向に2枚以上配置されて前記2本の副筋のそれぞれに溶接され、
ALCパネルの下端側では、前記カゴ状補強鉄筋のパネル下端短辺小口側のパネル幅方向に配されている2本の副筋に跨ってパネル下端短辺小口面と平行になるように平板状アンカー金具がパネル幅方向の中央位置に1枚配置されて前記2本の副筋のそれぞれに溶接され、
これら平板状アンカー金具の板面には建物躯体に固定される棒状体を遊挿させるための挿通孔が設けられていることを特徴とするALCパネル。
【請求項9】
請求項2に記載のALCパネルの取付構造に用いられるALCパネルであって、
ALCパネルの上端側では、前記カゴ状補強鉄筋のパネル上端短辺小口側のパネル幅方向に平行に配された2本の副筋に跨ってパネル上端短辺小口面と平行になるように平板状アンカー金具がパネル幅方向に2枚以上配置されて前記2本の副筋のそれぞれに溶接され、これら平板状アンカー金具の板面には建物躯体に固定される棒状体を遊挿させるための挿通孔が設けられており、
ALCパネルの下端側では、平板状の基板部と該基板部の両端から互いに平行に立設される一対の側板部と該基板部の中央位置から前記側板部と平行に立設される雌ネジ部とで構成される螺合型のコ字状アンカー金具の基板部が前記カゴ状補強鉄筋のパネル下端短辺小口側のパネル幅方向に配されている2本の副筋に跨ってパネル下端短辺小口面と平行になるようにパネル幅方向の中央に配置されるとともに、該螺合型のコ字状アンカー金具の両側板部がパネル長さ方向に配されている2本以上の主筋に跨がるようにパネル壁面と平行で前記基板部から上に延びるように配置されて前記2本以上の主筋のそれぞれに溶接され、該基板部の雌ネジ部が立設されている部分には雌ネジ部の雌ネジ孔に連通する基板貫通孔が設けられていることを特徴とするALCパネル。
【請求項10】
請求項3に記載のALCパネルの取付構造に用いられるALCパネルであって、
ALCパネルの上端側では、前記カゴ状補強鉄筋のパネル上端短辺小口側のパネル幅方向に平行に配された2本の副筋に跨ってパネル上端短辺小口面と平行になるように平板状アンカー金具がパネル幅方向に2枚以上配置されて前記2本の副筋のそれぞれに溶接され、これら平板状アンカー金具の板面には建物躯体に固定される棒状体を遊挿させるための挿通孔が設けられており、
ALCパネルの下端側では、平板状の基板部と該基板部の両端から互いに平行に立設される一対の側板部とで構成されるコ字状アンカー金具の基板部が前記カゴ状補強鉄筋のパネル下端短辺小口側のパネル幅方向に配されている2本の副筋に跨ってパネル下端短辺小口面と平行になるようにパネル幅方向の中央に配置されるとともに、該コ字状アンカー金具の両側板部がパネル長さ方向に配されている2本以上の主筋に跨がるようにパネル壁面と平行で前記基板部から上に延びるように配置されて前記2本以上の主筋のそれぞれに溶接され、該基板部の板面には建物躯体に固定される棒状体を挿通させるための挿通孔が設けられていることを特徴とするALCパネル。
【請求項11】
請求項4に記載のALCパネルの取付構造に用いられるALCパネルであって、
ALCパネルの下端側では、前記カゴ状補強鉄筋のパネル下端短辺小口側のパネル幅方向に配されている2本の副筋に跨ってパネル下端短辺小口面と平行になるように平板状アンカー金具がパネル幅方向の中央位置に1枚配置されて前記2本の副筋のそれぞれに溶接され、
前記平板状アンカー金具の板面には建物躯体に固定される棒状体を挿通させるための挿通孔が設けられていることを特徴とするALCパネル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−92031(P2013−92031A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257252(P2011−257252)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000185949)クリオン株式会社 (105)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000185949)クリオン株式会社 (105)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]