ALC部材及びALC部材への取付構造
【課題】他の部材の取付強度の信頼性が高く、高精度の取付を行うことができるALC部材を提供する。
【解決手段】ALC部材としての天井パネル1は、天井化粧板5と接合されるものであって、ALC本体1Aに鉄筋枠2が埋設されているとともに、鉄筋枠2に固定されてタッピングビス4,・・・がねじ込まれる金属プレート3が埋設された構成とされている。
【解決手段】ALC部材としての天井パネル1は、天井化粧板5と接合されるものであって、ALC本体1Aに鉄筋枠2が埋設されているとともに、鉄筋枠2に固定されてタッピングビス4,・・・がねじ込まれる金属プレート3が埋設された構成とされている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ALC部材(軽量発泡コンクリート部材)及び同ALC部材への他の部材の取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、建築用部材として、軽量で耐火性能などに優れたALC部材を用いることがなされている。
【0003】
ここで、このALC部材へ他の部材を取り付けるには、湿式接合による取付とファスナー接合による取付とに大別される。
【0004】
まず、湿式接合による取付としては、代表的なものとして、モルタルでの接合による取付や接着剤での接合による取付などがあげられる。
【0005】
しかしながら、モルタルでの接合による取付と接着剤での接合による取付とは、共に、ALC部材へ他の部材を、これらの表面同士で接合して取り付けするので、剪断力に対しては優れた取付強度を発揮するものの、ALC部材の表面強度が脆いため、引っ張り力に対しては脆弱である。
【0006】
次に、ファスナー接合による取付としては、代表的なものとして、ALC部材からアンカーを立設しておくアンカー式の接合による取付(例えば特許文献1等を参照)と、ALC部材にナットをインサートしておくインサート式の接合による取付(例えば特許文献2等を参照)などがあげられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−274721号公報
【特許文献2】特開2004−076372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、アンカー式の接合による取付では、大きな振動や強い力がアンカーの付け根近傍に働いた場合、この付け根近傍でALC部材が破損するおそれがあり、取付強度の信頼性が低い。
【0009】
これに対し、インサート式の接合による取付では、通常、ALC部材の内部に、鉄筋に溶接してナットを埋設しているので、取付強度の信頼性は高い。
【0010】
しかしながら、ALC部材の製造時における発泡、乾燥などの過程で、ナットの位置が動いてしまい、ナットの孔の向きが一定しないため、高精度の取付を行うことができない。
【0011】
そこで、本発明は、他の部材の取付強度の信頼性が高く、高精度の取付を行うことができるALC部材及び同ALC部材への取付構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために、本発明のALC部材は、他の部材が取り付けられるALC部材であって、ALC本体に鉄筋枠が埋設されているとともに、該鉄筋枠に固定されて金属プレートが埋設されていることを特徴とする。
【0013】
ここで、前記金属プレートは、前記他の部材の所要の取付強度を確保可能且つビス又は釘を貫通させることが可能な厚さであるとよい。
【0014】
また、前記金属プレートの前記ALC本体内でのかぶり深さは、前記鉄筋枠より深いとよい。
【0015】
本発明のALC部材への取付構造は、上記したいずれかのALC部材への取付構造であって、前記他の部材側からビスがねじ込まれ、前記ALC本体内に埋設された金属プレートまでねじ込まれて、前記他の部材が前記ALC部材へ取り付けられていることを特徴とする。
【0016】
ここで、前記他の部材が天井化粧板であり、前記ALC部材が天井パネルであってもよい。
【0017】
この場合、前記天井化粧板が前記天井パネルへスペーサーを介して取り付けられており、両者間に空間が形成されているとよい。
【0018】
また、前記他の部材が内壁化粧板であり、前記ALC部材が内壁パネルであってもよい。
【0019】
この場合、前記内壁化粧板が前記内壁パネルへスペーサーを介して取り付けられており、両者間に空間が形成されているとよい。
【0020】
さらに、前記他の部材が天井梁であり、前記ALC部材が野縁であってもよい。
【0021】
また、前記他の部材が外壁下地材であり、前記ALC部材が外壁パネルであるとともに、前記外壁下地材の表面に、接着剤により、外壁化粧板が接着されていてもよい。
【0022】
ここで、前記外壁下地材は、前記外壁パネルよりも幅狭とされており、前記外壁化粧板の裏面の縁部は、当該外壁化粧板と同質の部材が貼設された多重構造であるとよい。
【発明の効果】
【0023】
このような本発明のALC部材は、他の部材が取り付けられるALC部材であって、ALC本体に鉄筋枠が埋設されているとともに、鉄筋枠に固定されて金属プレートが埋設された構成である。
【0024】
こうした構成なので、他の部材側から例えばタッピングビス等をねじ込むと、脆いALC本体部分での固定ではなく、ALC本体内に埋設されて鉄筋枠に固定された金属プレートで締結されるため、他の部材の取付強度の信頼性が高い。
【0025】
そのうえ、ALC本体及び金属プレートには、ビス孔等は設けられていないため、位置の制約が少なく、タッピングビス等を金属プレートに向けてねじ込むだけで、高精度の取付を行うことができる。
【0026】
ここで、金属プレートが、他の部材の所要の取付強度を確保可能且つビス又は釘を貫通させることが可能な厚さである場合は、他の部材の必要な取付強度を確保できるとともに、タッピングビス等を容易にねじ込むことができる。
【0027】
また、金属プレートのALC本体内でのかぶり深さが、鉄筋枠より深い場合は、金属プレートまでのかぶり部分のタッピングビス等の周囲が、鉄筋枠で囲まれた状態となるため、他の部材の取付部近傍におけるALC本体の脆性破壊を極力防止することができる。
【0028】
本発明のALC部材への取付構造は、他の部材側からビスがねじ込まれ、ALC本体内に埋設された金属プレートまでねじ込まれて、他の部材がALC部材へ取り付けられた構成である。
【0029】
こうした構成なので、上記したALC部材の効果を享受した取付構造とすることができる。
【0030】
ここで、他の部材が天井化粧板であり、ALC部材が天井パネルである場合は、上記したALC部材への取付構造の効果を奏する天井化粧板の天井パネルへの取付構造とすることができる。
【0031】
この場合、天井化粧板が天井パネルへスペーサーを介して取り付けられており、両者間に空間が形成されていると、この両者間の空間を、配線、配管、換気などに利用することができる。
【0032】
また、他の部材が内壁化粧板であり、ALC部材が内壁パネルである場合は、上記したALC部材への取付構造の効果を奏する内壁化粧板の内壁パネルへの取付構造とすることができる。
【0033】
この場合、内壁化粧板が内壁パネルへスペーサーを介して取り付けられており、両者間に空間が形成されていると、この両者間の空間を、配線、配管、換気などの多目的に利用することができる。
【0034】
さらに、他の部材が天井梁であり、ALC部材が野縁である場合は、上記したALC部材への取付構造の効果を奏する天井梁の野縁への取付構造とすることができる。
【0035】
また、他の部材が外壁下地材であり、ALC部材が外壁パネルであるとともに、外壁下地材の表面に、接着剤により、外壁化粧板が接着されている場合は、上記したALC部材への取付構造の効果を奏する外壁下地材の外壁パネルへの取付構造とすることができ、さらに、外壁下地材の表面に、ALC部材には固定し難い薄い石材などの外壁化粧板を容易に接着でき、この外壁化粧板により、意匠的外観の良いものとすることができる。
【0036】
ここで、外壁下地材は、外壁パネルよりも幅狭とされており、外壁化粧板の裏面の縁部は、外壁化粧板と同質の部材が貼設された多重構造である場合は、同じものを並べて、その間にシーリング材を設けて目地を形成した際に、外壁化粧板の側面に同質の部材のみが表れて、外壁下地材が露出せず、意匠的外観の良いものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】実施例1のALC部材としての天井パネルの概略構成を示す平面図である。
【図2】図1の天井パネルの底面図である。
【図3】図1の天井パネルの側面図である。
【図4】図1におけるA−A線矢視拡大断面図である。
【図5】図1の天井パネルに用いられる金属プレートの拡大断面図である。
【図6】実施例1のALC部材としての天井パネルへの取付構造の概略構成を示す縦断面図である。
【図7】実施例2のALC部材としての内壁パネルへの取付構造の概略構成を示す縦断面図である。
【図8】実施例3のALC部材としての野縁の概略構成を示す正面図である。
【図9】図8の野縁の平面図である。
【図10】図8の野縁の底面図である。
【図11】図8におけるB−B線矢視断面図である。
【図12】図8におけるC−C線矢視断面図である。
【図13】実施例3のALC部材としての野縁への取付構造の概略構成を示す縦断面図である。
【図14】実施例4のALC部材としての外壁パネルの概略構成を示す正面図である。
【図15】図14の外壁パネルの背面図である。
【図16】図14の外壁パネルの側面図である。
【図17】図14におけるD−D線矢視拡大断面図である。
【図18】実施例4のALC部材としての外壁パネルへの取付構造の概略構成を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明を実施するための形態を、図面に示す実施例1〜4に基づいて説明する。
【実施例1】
【0039】
先ず、実施例1について説明する。
【0040】
この実施例1のALC部材は、図1〜図4に示したように、天井パネル1である。
【0041】
この天井パネル1は、図1に示したように、ALC本体1Aに鉄筋枠2が埋設されているとともに、鉄筋枠2に固定されて金属プレート3が埋設された構成である。
【0042】
ここで、ALC本体1Aは、図2及び図3に示したように、複数本の鉄筋2a,・・・により組んだ鉄筋枠2の長手方向の裏面の略中央部に、長尺の金属プレート3を鉄筋2a,・・・と接する部分s,・・・を溶接(スポット溶接)により固定してからALC(軽量発泡コンクリート)を打設して製造される。
【0043】
また、この金属プレート3の長手方向の両端部は、図4及び図5に示したように、溶接しやすくするため、金属プレート3と略平行に折り曲げた折り曲げ部3a,3aが設けられており、この折り曲げ部3a,3aが鉄筋2a,・・・に溶接されている。
【0044】
但し、鉄筋枠2へ金属プレート3を固定するのは、溶接に限定されず、例えば鉄筋2a,・・・へ金属プレート3の端部を巻き付けたり、結束線によりくくり付けたりして固定してもよい。
【0045】
さらに、金属プレート3の厚さは、0.8mmとされている。
【0046】
但し、この金属プレート3の厚さは、これに限定されず、図6に示したように、他の部材としての天井化粧板5の所要の取付強度を確保可能且つビスとしてのタッピングビス4,・・・を貫通させることが可能な厚さであればよい。
【0047】
また、金属プレート3のALC本体1A内でのかぶり深さが、図4及び図6に示したように、鉄筋枠2より深くされている。
【0048】
こうして構成された実施例1のALC部材としての天井パネル1は、図6に示したように、スペーサー6と下地桟7を介して、天井化粧板5側からタッピングビス4,・・・がねじ込まれ、ALC本体1Aに埋設された金属プレート3を貫通するまでねじ込まれて、天井化粧板5が取り付けられる。
【0049】
よって、天井パネル1と天井化粧板5との間には空間が形成される。
【0050】
ここで、スペーサー6には、下地桟7から天井パネル1の表面に局所的に大きな力が働かないように、合成ゴムなどの弾性部材が好適に使用される。
【0051】
また、下地桟7には、長尺で極薄肉の溝形鋼などが好適に使用される。
【0052】
さらに、天井化粧板5には、パーチクルボードなどの一般的なものを使用すればよい。
【0053】
次に、この実施例1の作用効果について説明する。
【0054】
このような実施例1のALC部材としての天井パネル1は、他の部材としての天井化粧板5が取り付けられるものであって、ALC本体1Aに鉄筋枠2が埋設されているとともに、鉄筋枠2に固定されて金属プレート3が埋設された構成である。
【0055】
こうした構成なので、天井化粧板5側からビスとしてのタッピングビス4,・・・をねじ込むと、脆いALC本体1A部分での固定ではなく、ALC本体1A内に埋設されて鉄筋枠2に固定された金属プレート3で締結されるため、天井化粧板5の取付強度の信頼性が高い。
【0056】
そのうえ、ALC本体1A及び金属プレート3には、ビス孔等は設けられていないため、位置の制約が少なく、タッピングビス4,・・・を金属プレート3に向けてねじ込むだけで、高精度の取付を行うことができる。
【0057】
ここで、金属プレート3が、天井化粧板5の所要の取付強度を確保可能且つタッピングビス4,・・・を貫通させることが可能な厚さであるので、天井化粧板5の必要な取付強度を確保できるとともに、タッピングビス4,・・・を容易にねじ込むことができる。
【0058】
また、金属プレート3のALC本体1A内でのかぶり深さが、鉄筋枠2より深いので、金属プレートまでのかぶり部分のタッピングビス4,・・・の周囲が、鉄筋枠2で囲まれた状態となるため、天井化粧板5の取付部近傍におけるALC本体1Aの脆性破壊を極力防止することができる。
【0059】
実施例1のALC部材としての天井パネル1への取付構造は、他の部材としての天井化粧板5側からタッピングビス4,・・・がねじ込まれ、ALC本体1A内に埋設された金属プレート3までねじ込まれて、天井化粧板5が天井パネル1へ取り付けられた構成である。
【0060】
こうした構成なので、上記したALC部材としての天井パネル1の作用効果を享受した取付構造とすることができる。
【0061】
ここで、天井化粧板5が天井パネル1へスペーサー6と下地桟7を介して取り付けられており、両者間に空間が形成されているので、この両者間の空間を、配線、配管、換気などの多目的に利用することができる。
【実施例2】
【0062】
次に、実施例2について説明する。
【0063】
なお、前記実施例1で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
【0064】
この実施例2のALC部材は、図7に示したように、内壁パネル10である。
【0065】
この内壁パネル10は、図1に示したように、ALC本体1Aに鉄筋枠2が埋設されているとともに、鉄筋枠2に固定されて金属プレート3が埋設された構成である。
【0066】
ここで、ALC本体1Aは、図2及び図3に示したように、複数本の鉄筋2a,・・・により組んだ鉄筋枠2の長手方向の裏面の略中央部に、長尺の金属プレート3を鉄筋2a,・・・と接する部分s,・・・を溶接(スポット溶接)により固定してからALC(軽量発泡コンクリート)を打設して製造される。
【0067】
また、この金属プレート3の長手方向の両端部は、図4及び図5に示したように、溶接しやすくするため、金属プレート3と略平行に折り曲げた折り曲げ部3a,3aが設けられており、この折り曲げ部3a,3aが鉄筋2a,・・・に溶接されている。
【0068】
但し、鉄筋枠2へ金属プレート3を固定するのは、溶接に限定されず、例えば鉄筋2a,・・・へ金属プレート3の端部を巻き付けたり、結束線によりくくり付けたりして固定してもよい。
【0069】
さらに、金属プレート3の厚さは、0.8mmとされている。
【0070】
但し、この金属プレート3の厚さは、これに限定されず、図7に示したように、他の部材としての内壁化粧板50の所要の取付強度を確保可能且つビスとしてのタッピングビス4,・・・を貫通させることが可能な厚さであればよい。
【0071】
また、金属プレート3のALC本体1A内でのかぶり深さが、図4及び図6に示したように、鉄筋枠2より深くされている。
【0072】
こうして構成された実施例2のALC部材としての内壁パネル10は、図7に示したように、スペーサー6と下地桟7を介して、内壁化粧板50側からタッピングビス4,・・・がねじ込まれ、ALC本体1Aに埋設された金属プレート3を貫通するまでねじ込まれて、内壁化粧板50が取り付けられる。
【0073】
よって、内壁パネル10と内壁化粧板50との間には空間が形成される。
【0074】
ここで、スペーサー6には、下地桟7から内壁パネル10の表面に局所的に大きな力が働かないように、合成ゴムなどの弾性部材が好適に使用される。
【0075】
また、下地桟7には、長尺で極薄肉の溝形鋼などが好適に使用される。
【0076】
さらに、内壁化粧板50には、パーチクルボードなどの一般的なものを使用すればよい。
【0077】
次に、この実施例2の作用効果について説明する。
【0078】
このような実施例1のALC部材としての内壁パネル10は、他の部材としての内壁化粧板50が取り付けられるものであって、ALC本体1Aに鉄筋枠2が埋設されているとともに、鉄筋枠2に固定されて金属プレート3が埋設された構成である。
【0079】
こうした構成なので、内壁化粧板50側からビスとしてのタッピングビス4,・・・をねじ込むと、脆いALC本体1A部分での固定ではなく、ALC本体1A内に埋設されて鉄筋枠2に固定された金属プレート3で締結されるため、内壁化粧板50の取付強度の信頼性が高い。
【0080】
そのうえ、ALC本体1A及び金属プレート3には、ビス孔等は設けられていないため、位置の制約が少なく、タッピングビス4,・・・を金属プレート3に向けてねじ込むだけで、高精度の取付を行うことができる。
【0081】
ここで、金属プレート3が、内壁化粧板50の所要の取付強度を確保可能且つタッピングビス4,・・・を貫通させることが可能な厚さであるので、内壁化粧板50の必要な取付強度を確保できるとともに、タッピングビス4,・・・を容易にねじ込むことができる。
【0082】
また、金属プレート3のALC本体1A内でのかぶり深さが、鉄筋枠2より深いので、金属プレートまでのかぶり部分のタッピングビス4,・・・の周囲が、鉄筋枠2で囲まれた状態となるため、内壁化粧板50の取付部近傍におけるALC本体1Aの脆性破壊を極力防止することができる。
【0083】
実施例2のALC部材としての内壁パネル10への取付構造は、他の部材としての内壁化粧板50側からタッピングビス4,・・・がねじ込まれ、ALC本体1A内に埋設された金属プレート3までねじ込まれて、内壁化粧板50が内壁パネル10へ取り付けられた構成である。
【0084】
こうした構成なので、上記したALC部材としての内壁パネル10の作用効果を享受した取付構造とすることができる。
【0085】
ここで、内壁化粧板50が内壁パネル10へスペーサー6と下地桟7を介して取り付けられており、両者間に空間が形成されているので、この両者間の空間を、配線、配管、換気などの多目的に利用することができる。
【実施例3】
【0086】
次に、実施例3について説明する。
【0087】
この実施例3のALC部材は、図8〜図12に示したように、野縁11である。
【0088】
この野縁11は、図8〜図12に示したように、ALC本体11Aに鉄筋枠20が埋設されているとともに、鉄筋枠20に固定されて金属プレート30が埋設された構成である。
【0089】
ここで、ALC本体11Aは、図8に示したように、複数本の鉄筋20a,・・・により組んだ鉄筋枠20の短手方向の端部に、短尺の金属プレート30を鉄筋20a,20aと接する部分s,sを溶接(スポット溶接)により固定してからALC(軽量発泡コンクリート)を打設して製造される。
【0090】
また、この金属プレート30の上下端部は、図8〜図10に示したように、溶接しやすくするため、鉄筋20a,20aと略平行となる方向へ折り曲げた折り曲げ部30a,30aが設けられており、この折り曲げ部30a,30aが鉄筋20a,20aに溶接されている。
【0091】
但し、鉄筋枠20へ金属プレート30を固定するのは、溶接に限定されず、例えば鉄筋20a,20aへ金属プレート30の上下端部を巻き付けたり、結束線によりくくり付けたりして固定してもよい。
【0092】
さらに、金属プレート30の厚さは、1.2mmとされている。
【0093】
但し、この金属プレート30の厚さは、これに限定されず、図13に示したように、他の部材としての天井梁51の所要の取付強度を確保可能且つビスとしてのタッピングビス40,40を貫通させることが可能な厚さであればよい。
【0094】
こうして構成された実施例3のALC部材としての野縁11は、図13に示したように、溝形鋼から成る天井梁51側からタッピングビス40,40がねじ込まれ、ALC本体1Aに埋設された金属プレート30にまでねじ込まれて、天井梁51が取り付けられる。
【0095】
なお、野縁11の反対側の端部も、図示は省略したが、天井梁51と同様な取付構造とされている。
【0096】
ここで、野縁11,・・・の下面には、切り欠き部12,・・・が間隔をあけて設けられており、これらの切り欠き部12,・・・に野縁11,・・・と略直角に木製などの下地桟70,・・・が貼設されている。
【0097】
そして、野縁11,・・・の下面に、パーチクルボードなどから成る化粧天井板9が接着剤により接合されている。
【0098】
なお、野縁11,・・・の下面には、プライマー処理が施されており、化粧天井板9との接着剤による接着が容易に行えるようにされている。
【0099】
次に、この実施例3の作用効果について説明する。
【0100】
このような実施例3のALC部材としての野縁11は、他の部材としての天井梁51が取り付けられるものであって、ALC本体11Aに鉄筋枠20が埋設されているとともに、鉄筋枠20に固定されて金属プレート30が埋設された構成である。
【0101】
こうした構成なので、天井梁51側からビスとしてのタッピングビス40,40をねじ込むと、脆いALC本体11A部分での固定ではなく、ALC本体11A内に埋設されて鉄筋枠20に固定された金属プレート30で締結されるため、天井梁51の取付強度の信頼性が高い。
【0102】
そのうえ、ALC本体11A及び金属プレート30には、ビス孔等は設けられていないため、位置の制約が少なく、タッピングビス40,40を金属プレート30に向けてねじ込むだけで、高精度の取付を行うことができる。
【0103】
ここで、金属プレート30が、天井梁51の所要の取付強度を確保可能且つタッピングビス40,40を貫通させることが可能な厚さであるので、天井梁51の必要な取付強度を確保できるとともに、タッピングビス40,40を容易にねじ込むことができる。
【0104】
実施例3のALC部材としての野縁11への取付構造は、他の部材としての天井梁51側からタッピングビス40,40がねじ込まれ、ALC本体11A内に埋設された金属プレート30までねじ込まれて、天井梁51が野縁11,・・・へ取り付けられた構成である。
【0105】
こうした構成なので、上記したALC部材としての野縁11の作用効果を享受した取付構造とすることができる。
【実施例4】
【0106】
次に、実施例4について説明する。
【0107】
なお、前記実施例1で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
【0108】
この実施例4のALC部材は、図14〜図16に示したように、外壁パネル12である。
【0109】
この外壁パネル12は、図14に示したように、ALC本体12Aに鉄筋枠2が埋設されているとともに、鉄筋枠2に固定されて金属プレート3,3及び金属プレート31,31が埋設された構成である。
【0110】
ここで、複数本の鉄筋2a,・・・により組んだ鉄筋枠2には、図14〜図16に示したように、長手方向の正面の中心から略左右対称に、一対の長尺の金属プレート3,3を鉄筋2a,・・・と接する部分s,・・・を溶接(スポット溶接)により固定している。
【0111】
また、鉄筋枠2の短手方向の裏面の中心から略上下対称に、一対の短尺の金属プレート31,31を鉄筋2a,・・・と接する部分s,・・・を溶接(スポット溶接)により固定している。
【0112】
そして、この鉄筋枠2にALC(軽量発泡コンクリート)を打設して、ALC本体12Aが製造される。
【0113】
また、この金属プレート3の長手方向の両端部は、図5及び図17に示したように、溶接しやすくするため、金属プレート3と略平行に折り曲げた折り曲げ部3a,3aが設けられており、この折り曲げ部3a,3aが鉄筋2a,・・・に溶接されている。
【0114】
但し、鉄筋枠2へ金属プレート3を固定するのは、溶接に限定されず、例えば鉄筋2a,・・・へ金属プレート3の端部を巻き付けたり、結束線によりくくり付けたりして固定してもよい。
【0115】
さらに、金属プレート3の厚さは、0.8mmとされている。
【0116】
但し、この金属プレート3の厚さは、これに限定されず、図18に示したように、他の部材としての高強度の外壁下地材52の所要の取付強度を確保可能且つビスとしてのタッピングビス4,・・・を貫通させることが可能な厚さであればよい。
【0117】
なお、タッピングビス4,・・・には、後述する外壁化粧板53を外壁下地材52の表面に接着する際、干渉しないように、頭部が皿状のものを用いている。
【0118】
また、金属プレート3のALC本体12A内でのかぶり深さが、図17及び図18に示したように、鉄筋枠2より深くされている。
【0119】
なお、金属プレート31,31は、厚さ3.2mmのものが用いられ、図示省略の建物本体などの構造体側からタッピングビスがねじ込まれて、固定するのに用いられる。
【0120】
こうして構成された実施例4のALC部材としての外壁パネル12は、図18に示したように、フレキシブルボードから成る高強度の外壁下地材52側からタッピングビス4,・・・がねじ込まれ、ALC本体12Aに埋設された金属プレート3を貫通するまでねじ込まれて、高強度の外壁下地材52が取り付けられる。
【0121】
そして、この高強度の外壁下地材52の表面に、接着剤54により、薄い石材から成る外壁化粧板53が接着される。
【0122】
なお、この外壁下地材52に用いられる部材としては、フレキシブルボードの他に、鋼板、硬質木片セメント板、合板、PC板又はRC板などの高強度を有するものが好適に使用される。
【0123】
また、外壁化粧板53に用いられる部材としては、例えば、厚さが6mm〜8mmの花崗岩などの高級石材が好適に使用される。
【0124】
ここで、外壁下地材52は、外壁パネル12よりも幅狭とされており、外壁化粧板53の裏面の両側縁部には、この外壁化粧板53と同質の部材53A,53Aがそれぞれ貼設された二重構造とされている。
【0125】
また、外壁下地材52の側縁部とこの外壁化粧板53と同質の部材53A,53Aの内側縁部との間には、外壁下地材52の表面に外壁化粧板53を接着する際に、施工誤差を吸収できるように、若干の隙間が設けられている。
【0126】
次に、この実施例4の作用効果について説明する。
【0127】
このような実施例4のALC部材としての外壁パネル12は、他の部材としての外壁下地材52が取り付けられるものであって、ALC本体12Aに鉄筋枠2が埋設されているとともに、鉄筋枠2に固定されて金属プレート3が埋設された構成である。
【0128】
こうした構成なので、高強度の外壁下地材52側からビスとしてのタッピングビス4,・・・をねじ込むと、脆いALC本体12A部分での固定ではなく、ALC本体12A内に埋設されて鉄筋枠2に固定された金属プレート3で締結されるため、外壁下地材52の取付強度の信頼性が高い。
【0129】
そのうえ、ALC本体12A及び金属プレート3には、ビス孔等は設けられていないため、位置の制約が少なく、タッピングビス4,・・・を金属プレート3に向けてねじ込むだけで、高精度の取付を行うことができる。
【0130】
ここで、金属プレート3が、高強度の外壁下地材52の所要の取付強度を確保可能且つタッピングビス4,・・・を貫通させることが可能な厚さであるので、高強度の外壁下地材52の必要な取付強度を確保できるとともに、タッピングビス4,・・・を容易にねじ込むことができる。
【0131】
また、金属プレート3のALC本体12A内でのかぶり深さが、鉄筋枠2より深いので、金属プレートまでのかぶり部分のタッピングビス4,・・・の周囲が、鉄筋枠2で囲まれた状態となるため、高強度の外壁下地材52の取付部近傍におけるALC本体12Aの脆性破壊を極力防止することができる。
【0132】
実施例4のALC部材としての外壁パネル12への取付構造は、他の部材としての高強度の外壁下地材52側からタッピングビス4,・・・がねじ込まれ、ALC本体12A内に埋設された金属プレート3までねじ込まれて、高強度の外壁下地材52が外壁パネル12へ取り付けられるとともに、高強度の外壁下地材52の表面に、接着剤54により、外壁化粧板53が接着された構成である。
【0133】
こうした構成なので、上記したALC部材としての外壁パネル12の作用効果を享受した取付構造とすることができる。
【0134】
そのうえ、高強度の外壁下地材52の表面に、ALC部材としての外壁パネル12には固定し難い薄い石材などの外壁化粧板53を容易に接着でき、この外壁化粧板53により、意匠的外観の良いものとすることができる。
【0135】
ここで、高強度の外壁下地材52は、外壁パネル12よりも幅狭とされており、外壁化粧板53の裏面の縁部は、この外壁化粧板53と同質の部材53A,53Aが貼設された二重構造である。
【0136】
このため、同じものを並べて、その間にシーリング材を設けて目地を形成した際に、外壁化粧板53の側面に同質の部材のみが表れて、外壁下地材52が露出せず、意匠的外観の良いものとすることができる。
【0137】
以上、図面を参照して、本発明を実施するための形態について実施例1〜4をもとに詳述してきたが、具体的な構成は、上記した実施例1〜4に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0138】
例えば、実施例1〜4では、ALC部材を、天井パネル1,内壁パネル10,野縁11,外壁パネル12とし、これらに取り付ける他の部材を、天井化粧板5,内壁化粧板50,天井梁51,外壁下地材52としてそれぞれ実施したが、これらに限定されない。
【0139】
すなわち、ALC部材を、床パネルとし、これに取り付ける他の部材を、床化粧板として実施することなどもできる。
【0140】
また、実施例1〜4では、ALC部材へ他の部材を取り付けるのに、タッピングビス4,40を用いて実施したが、これに限定されず、例えば、コンクリート釘などを用いて実施してもよい。
【符号の説明】
【0141】
1 天井パネル(ALC部材)
10 内壁パネル(ALC部材)
11 野縁(ALC部材)
12 外壁パネル(ALC部材)
1A ALC本体
11A ALC本体
12A ALC本体
2 鉄筋枠
20 鉄筋枠
2a 鉄筋
20a 鉄筋
3 金属プレート
30 金属プレート
4 タッピングビス(ビス)
40 タッピングビス(ビス)
5 天井化粧板(他の部材)
50 内壁化粧板(他の部材)
51 天井梁(他の部材)
52 外壁下地材(他の部材)
53 外壁化粧板
53A 外壁化粧板と同質の部材
54 接着剤
6 スペーサー
【技術分野】
【0001】
本発明は、ALC部材(軽量発泡コンクリート部材)及び同ALC部材への他の部材の取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、建築用部材として、軽量で耐火性能などに優れたALC部材を用いることがなされている。
【0003】
ここで、このALC部材へ他の部材を取り付けるには、湿式接合による取付とファスナー接合による取付とに大別される。
【0004】
まず、湿式接合による取付としては、代表的なものとして、モルタルでの接合による取付や接着剤での接合による取付などがあげられる。
【0005】
しかしながら、モルタルでの接合による取付と接着剤での接合による取付とは、共に、ALC部材へ他の部材を、これらの表面同士で接合して取り付けするので、剪断力に対しては優れた取付強度を発揮するものの、ALC部材の表面強度が脆いため、引っ張り力に対しては脆弱である。
【0006】
次に、ファスナー接合による取付としては、代表的なものとして、ALC部材からアンカーを立設しておくアンカー式の接合による取付(例えば特許文献1等を参照)と、ALC部材にナットをインサートしておくインサート式の接合による取付(例えば特許文献2等を参照)などがあげられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−274721号公報
【特許文献2】特開2004−076372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、アンカー式の接合による取付では、大きな振動や強い力がアンカーの付け根近傍に働いた場合、この付け根近傍でALC部材が破損するおそれがあり、取付強度の信頼性が低い。
【0009】
これに対し、インサート式の接合による取付では、通常、ALC部材の内部に、鉄筋に溶接してナットを埋設しているので、取付強度の信頼性は高い。
【0010】
しかしながら、ALC部材の製造時における発泡、乾燥などの過程で、ナットの位置が動いてしまい、ナットの孔の向きが一定しないため、高精度の取付を行うことができない。
【0011】
そこで、本発明は、他の部材の取付強度の信頼性が高く、高精度の取付を行うことができるALC部材及び同ALC部材への取付構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために、本発明のALC部材は、他の部材が取り付けられるALC部材であって、ALC本体に鉄筋枠が埋設されているとともに、該鉄筋枠に固定されて金属プレートが埋設されていることを特徴とする。
【0013】
ここで、前記金属プレートは、前記他の部材の所要の取付強度を確保可能且つビス又は釘を貫通させることが可能な厚さであるとよい。
【0014】
また、前記金属プレートの前記ALC本体内でのかぶり深さは、前記鉄筋枠より深いとよい。
【0015】
本発明のALC部材への取付構造は、上記したいずれかのALC部材への取付構造であって、前記他の部材側からビスがねじ込まれ、前記ALC本体内に埋設された金属プレートまでねじ込まれて、前記他の部材が前記ALC部材へ取り付けられていることを特徴とする。
【0016】
ここで、前記他の部材が天井化粧板であり、前記ALC部材が天井パネルであってもよい。
【0017】
この場合、前記天井化粧板が前記天井パネルへスペーサーを介して取り付けられており、両者間に空間が形成されているとよい。
【0018】
また、前記他の部材が内壁化粧板であり、前記ALC部材が内壁パネルであってもよい。
【0019】
この場合、前記内壁化粧板が前記内壁パネルへスペーサーを介して取り付けられており、両者間に空間が形成されているとよい。
【0020】
さらに、前記他の部材が天井梁であり、前記ALC部材が野縁であってもよい。
【0021】
また、前記他の部材が外壁下地材であり、前記ALC部材が外壁パネルであるとともに、前記外壁下地材の表面に、接着剤により、外壁化粧板が接着されていてもよい。
【0022】
ここで、前記外壁下地材は、前記外壁パネルよりも幅狭とされており、前記外壁化粧板の裏面の縁部は、当該外壁化粧板と同質の部材が貼設された多重構造であるとよい。
【発明の効果】
【0023】
このような本発明のALC部材は、他の部材が取り付けられるALC部材であって、ALC本体に鉄筋枠が埋設されているとともに、鉄筋枠に固定されて金属プレートが埋設された構成である。
【0024】
こうした構成なので、他の部材側から例えばタッピングビス等をねじ込むと、脆いALC本体部分での固定ではなく、ALC本体内に埋設されて鉄筋枠に固定された金属プレートで締結されるため、他の部材の取付強度の信頼性が高い。
【0025】
そのうえ、ALC本体及び金属プレートには、ビス孔等は設けられていないため、位置の制約が少なく、タッピングビス等を金属プレートに向けてねじ込むだけで、高精度の取付を行うことができる。
【0026】
ここで、金属プレートが、他の部材の所要の取付強度を確保可能且つビス又は釘を貫通させることが可能な厚さである場合は、他の部材の必要な取付強度を確保できるとともに、タッピングビス等を容易にねじ込むことができる。
【0027】
また、金属プレートのALC本体内でのかぶり深さが、鉄筋枠より深い場合は、金属プレートまでのかぶり部分のタッピングビス等の周囲が、鉄筋枠で囲まれた状態となるため、他の部材の取付部近傍におけるALC本体の脆性破壊を極力防止することができる。
【0028】
本発明のALC部材への取付構造は、他の部材側からビスがねじ込まれ、ALC本体内に埋設された金属プレートまでねじ込まれて、他の部材がALC部材へ取り付けられた構成である。
【0029】
こうした構成なので、上記したALC部材の効果を享受した取付構造とすることができる。
【0030】
ここで、他の部材が天井化粧板であり、ALC部材が天井パネルである場合は、上記したALC部材への取付構造の効果を奏する天井化粧板の天井パネルへの取付構造とすることができる。
【0031】
この場合、天井化粧板が天井パネルへスペーサーを介して取り付けられており、両者間に空間が形成されていると、この両者間の空間を、配線、配管、換気などに利用することができる。
【0032】
また、他の部材が内壁化粧板であり、ALC部材が内壁パネルである場合は、上記したALC部材への取付構造の効果を奏する内壁化粧板の内壁パネルへの取付構造とすることができる。
【0033】
この場合、内壁化粧板が内壁パネルへスペーサーを介して取り付けられており、両者間に空間が形成されていると、この両者間の空間を、配線、配管、換気などの多目的に利用することができる。
【0034】
さらに、他の部材が天井梁であり、ALC部材が野縁である場合は、上記したALC部材への取付構造の効果を奏する天井梁の野縁への取付構造とすることができる。
【0035】
また、他の部材が外壁下地材であり、ALC部材が外壁パネルであるとともに、外壁下地材の表面に、接着剤により、外壁化粧板が接着されている場合は、上記したALC部材への取付構造の効果を奏する外壁下地材の外壁パネルへの取付構造とすることができ、さらに、外壁下地材の表面に、ALC部材には固定し難い薄い石材などの外壁化粧板を容易に接着でき、この外壁化粧板により、意匠的外観の良いものとすることができる。
【0036】
ここで、外壁下地材は、外壁パネルよりも幅狭とされており、外壁化粧板の裏面の縁部は、外壁化粧板と同質の部材が貼設された多重構造である場合は、同じものを並べて、その間にシーリング材を設けて目地を形成した際に、外壁化粧板の側面に同質の部材のみが表れて、外壁下地材が露出せず、意匠的外観の良いものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】実施例1のALC部材としての天井パネルの概略構成を示す平面図である。
【図2】図1の天井パネルの底面図である。
【図3】図1の天井パネルの側面図である。
【図4】図1におけるA−A線矢視拡大断面図である。
【図5】図1の天井パネルに用いられる金属プレートの拡大断面図である。
【図6】実施例1のALC部材としての天井パネルへの取付構造の概略構成を示す縦断面図である。
【図7】実施例2のALC部材としての内壁パネルへの取付構造の概略構成を示す縦断面図である。
【図8】実施例3のALC部材としての野縁の概略構成を示す正面図である。
【図9】図8の野縁の平面図である。
【図10】図8の野縁の底面図である。
【図11】図8におけるB−B線矢視断面図である。
【図12】図8におけるC−C線矢視断面図である。
【図13】実施例3のALC部材としての野縁への取付構造の概略構成を示す縦断面図である。
【図14】実施例4のALC部材としての外壁パネルの概略構成を示す正面図である。
【図15】図14の外壁パネルの背面図である。
【図16】図14の外壁パネルの側面図である。
【図17】図14におけるD−D線矢視拡大断面図である。
【図18】実施例4のALC部材としての外壁パネルへの取付構造の概略構成を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明を実施するための形態を、図面に示す実施例1〜4に基づいて説明する。
【実施例1】
【0039】
先ず、実施例1について説明する。
【0040】
この実施例1のALC部材は、図1〜図4に示したように、天井パネル1である。
【0041】
この天井パネル1は、図1に示したように、ALC本体1Aに鉄筋枠2が埋設されているとともに、鉄筋枠2に固定されて金属プレート3が埋設された構成である。
【0042】
ここで、ALC本体1Aは、図2及び図3に示したように、複数本の鉄筋2a,・・・により組んだ鉄筋枠2の長手方向の裏面の略中央部に、長尺の金属プレート3を鉄筋2a,・・・と接する部分s,・・・を溶接(スポット溶接)により固定してからALC(軽量発泡コンクリート)を打設して製造される。
【0043】
また、この金属プレート3の長手方向の両端部は、図4及び図5に示したように、溶接しやすくするため、金属プレート3と略平行に折り曲げた折り曲げ部3a,3aが設けられており、この折り曲げ部3a,3aが鉄筋2a,・・・に溶接されている。
【0044】
但し、鉄筋枠2へ金属プレート3を固定するのは、溶接に限定されず、例えば鉄筋2a,・・・へ金属プレート3の端部を巻き付けたり、結束線によりくくり付けたりして固定してもよい。
【0045】
さらに、金属プレート3の厚さは、0.8mmとされている。
【0046】
但し、この金属プレート3の厚さは、これに限定されず、図6に示したように、他の部材としての天井化粧板5の所要の取付強度を確保可能且つビスとしてのタッピングビス4,・・・を貫通させることが可能な厚さであればよい。
【0047】
また、金属プレート3のALC本体1A内でのかぶり深さが、図4及び図6に示したように、鉄筋枠2より深くされている。
【0048】
こうして構成された実施例1のALC部材としての天井パネル1は、図6に示したように、スペーサー6と下地桟7を介して、天井化粧板5側からタッピングビス4,・・・がねじ込まれ、ALC本体1Aに埋設された金属プレート3を貫通するまでねじ込まれて、天井化粧板5が取り付けられる。
【0049】
よって、天井パネル1と天井化粧板5との間には空間が形成される。
【0050】
ここで、スペーサー6には、下地桟7から天井パネル1の表面に局所的に大きな力が働かないように、合成ゴムなどの弾性部材が好適に使用される。
【0051】
また、下地桟7には、長尺で極薄肉の溝形鋼などが好適に使用される。
【0052】
さらに、天井化粧板5には、パーチクルボードなどの一般的なものを使用すればよい。
【0053】
次に、この実施例1の作用効果について説明する。
【0054】
このような実施例1のALC部材としての天井パネル1は、他の部材としての天井化粧板5が取り付けられるものであって、ALC本体1Aに鉄筋枠2が埋設されているとともに、鉄筋枠2に固定されて金属プレート3が埋設された構成である。
【0055】
こうした構成なので、天井化粧板5側からビスとしてのタッピングビス4,・・・をねじ込むと、脆いALC本体1A部分での固定ではなく、ALC本体1A内に埋設されて鉄筋枠2に固定された金属プレート3で締結されるため、天井化粧板5の取付強度の信頼性が高い。
【0056】
そのうえ、ALC本体1A及び金属プレート3には、ビス孔等は設けられていないため、位置の制約が少なく、タッピングビス4,・・・を金属プレート3に向けてねじ込むだけで、高精度の取付を行うことができる。
【0057】
ここで、金属プレート3が、天井化粧板5の所要の取付強度を確保可能且つタッピングビス4,・・・を貫通させることが可能な厚さであるので、天井化粧板5の必要な取付強度を確保できるとともに、タッピングビス4,・・・を容易にねじ込むことができる。
【0058】
また、金属プレート3のALC本体1A内でのかぶり深さが、鉄筋枠2より深いので、金属プレートまでのかぶり部分のタッピングビス4,・・・の周囲が、鉄筋枠2で囲まれた状態となるため、天井化粧板5の取付部近傍におけるALC本体1Aの脆性破壊を極力防止することができる。
【0059】
実施例1のALC部材としての天井パネル1への取付構造は、他の部材としての天井化粧板5側からタッピングビス4,・・・がねじ込まれ、ALC本体1A内に埋設された金属プレート3までねじ込まれて、天井化粧板5が天井パネル1へ取り付けられた構成である。
【0060】
こうした構成なので、上記したALC部材としての天井パネル1の作用効果を享受した取付構造とすることができる。
【0061】
ここで、天井化粧板5が天井パネル1へスペーサー6と下地桟7を介して取り付けられており、両者間に空間が形成されているので、この両者間の空間を、配線、配管、換気などの多目的に利用することができる。
【実施例2】
【0062】
次に、実施例2について説明する。
【0063】
なお、前記実施例1で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
【0064】
この実施例2のALC部材は、図7に示したように、内壁パネル10である。
【0065】
この内壁パネル10は、図1に示したように、ALC本体1Aに鉄筋枠2が埋設されているとともに、鉄筋枠2に固定されて金属プレート3が埋設された構成である。
【0066】
ここで、ALC本体1Aは、図2及び図3に示したように、複数本の鉄筋2a,・・・により組んだ鉄筋枠2の長手方向の裏面の略中央部に、長尺の金属プレート3を鉄筋2a,・・・と接する部分s,・・・を溶接(スポット溶接)により固定してからALC(軽量発泡コンクリート)を打設して製造される。
【0067】
また、この金属プレート3の長手方向の両端部は、図4及び図5に示したように、溶接しやすくするため、金属プレート3と略平行に折り曲げた折り曲げ部3a,3aが設けられており、この折り曲げ部3a,3aが鉄筋2a,・・・に溶接されている。
【0068】
但し、鉄筋枠2へ金属プレート3を固定するのは、溶接に限定されず、例えば鉄筋2a,・・・へ金属プレート3の端部を巻き付けたり、結束線によりくくり付けたりして固定してもよい。
【0069】
さらに、金属プレート3の厚さは、0.8mmとされている。
【0070】
但し、この金属プレート3の厚さは、これに限定されず、図7に示したように、他の部材としての内壁化粧板50の所要の取付強度を確保可能且つビスとしてのタッピングビス4,・・・を貫通させることが可能な厚さであればよい。
【0071】
また、金属プレート3のALC本体1A内でのかぶり深さが、図4及び図6に示したように、鉄筋枠2より深くされている。
【0072】
こうして構成された実施例2のALC部材としての内壁パネル10は、図7に示したように、スペーサー6と下地桟7を介して、内壁化粧板50側からタッピングビス4,・・・がねじ込まれ、ALC本体1Aに埋設された金属プレート3を貫通するまでねじ込まれて、内壁化粧板50が取り付けられる。
【0073】
よって、内壁パネル10と内壁化粧板50との間には空間が形成される。
【0074】
ここで、スペーサー6には、下地桟7から内壁パネル10の表面に局所的に大きな力が働かないように、合成ゴムなどの弾性部材が好適に使用される。
【0075】
また、下地桟7には、長尺で極薄肉の溝形鋼などが好適に使用される。
【0076】
さらに、内壁化粧板50には、パーチクルボードなどの一般的なものを使用すればよい。
【0077】
次に、この実施例2の作用効果について説明する。
【0078】
このような実施例1のALC部材としての内壁パネル10は、他の部材としての内壁化粧板50が取り付けられるものであって、ALC本体1Aに鉄筋枠2が埋設されているとともに、鉄筋枠2に固定されて金属プレート3が埋設された構成である。
【0079】
こうした構成なので、内壁化粧板50側からビスとしてのタッピングビス4,・・・をねじ込むと、脆いALC本体1A部分での固定ではなく、ALC本体1A内に埋設されて鉄筋枠2に固定された金属プレート3で締結されるため、内壁化粧板50の取付強度の信頼性が高い。
【0080】
そのうえ、ALC本体1A及び金属プレート3には、ビス孔等は設けられていないため、位置の制約が少なく、タッピングビス4,・・・を金属プレート3に向けてねじ込むだけで、高精度の取付を行うことができる。
【0081】
ここで、金属プレート3が、内壁化粧板50の所要の取付強度を確保可能且つタッピングビス4,・・・を貫通させることが可能な厚さであるので、内壁化粧板50の必要な取付強度を確保できるとともに、タッピングビス4,・・・を容易にねじ込むことができる。
【0082】
また、金属プレート3のALC本体1A内でのかぶり深さが、鉄筋枠2より深いので、金属プレートまでのかぶり部分のタッピングビス4,・・・の周囲が、鉄筋枠2で囲まれた状態となるため、内壁化粧板50の取付部近傍におけるALC本体1Aの脆性破壊を極力防止することができる。
【0083】
実施例2のALC部材としての内壁パネル10への取付構造は、他の部材としての内壁化粧板50側からタッピングビス4,・・・がねじ込まれ、ALC本体1A内に埋設された金属プレート3までねじ込まれて、内壁化粧板50が内壁パネル10へ取り付けられた構成である。
【0084】
こうした構成なので、上記したALC部材としての内壁パネル10の作用効果を享受した取付構造とすることができる。
【0085】
ここで、内壁化粧板50が内壁パネル10へスペーサー6と下地桟7を介して取り付けられており、両者間に空間が形成されているので、この両者間の空間を、配線、配管、換気などの多目的に利用することができる。
【実施例3】
【0086】
次に、実施例3について説明する。
【0087】
この実施例3のALC部材は、図8〜図12に示したように、野縁11である。
【0088】
この野縁11は、図8〜図12に示したように、ALC本体11Aに鉄筋枠20が埋設されているとともに、鉄筋枠20に固定されて金属プレート30が埋設された構成である。
【0089】
ここで、ALC本体11Aは、図8に示したように、複数本の鉄筋20a,・・・により組んだ鉄筋枠20の短手方向の端部に、短尺の金属プレート30を鉄筋20a,20aと接する部分s,sを溶接(スポット溶接)により固定してからALC(軽量発泡コンクリート)を打設して製造される。
【0090】
また、この金属プレート30の上下端部は、図8〜図10に示したように、溶接しやすくするため、鉄筋20a,20aと略平行となる方向へ折り曲げた折り曲げ部30a,30aが設けられており、この折り曲げ部30a,30aが鉄筋20a,20aに溶接されている。
【0091】
但し、鉄筋枠20へ金属プレート30を固定するのは、溶接に限定されず、例えば鉄筋20a,20aへ金属プレート30の上下端部を巻き付けたり、結束線によりくくり付けたりして固定してもよい。
【0092】
さらに、金属プレート30の厚さは、1.2mmとされている。
【0093】
但し、この金属プレート30の厚さは、これに限定されず、図13に示したように、他の部材としての天井梁51の所要の取付強度を確保可能且つビスとしてのタッピングビス40,40を貫通させることが可能な厚さであればよい。
【0094】
こうして構成された実施例3のALC部材としての野縁11は、図13に示したように、溝形鋼から成る天井梁51側からタッピングビス40,40がねじ込まれ、ALC本体1Aに埋設された金属プレート30にまでねじ込まれて、天井梁51が取り付けられる。
【0095】
なお、野縁11の反対側の端部も、図示は省略したが、天井梁51と同様な取付構造とされている。
【0096】
ここで、野縁11,・・・の下面には、切り欠き部12,・・・が間隔をあけて設けられており、これらの切り欠き部12,・・・に野縁11,・・・と略直角に木製などの下地桟70,・・・が貼設されている。
【0097】
そして、野縁11,・・・の下面に、パーチクルボードなどから成る化粧天井板9が接着剤により接合されている。
【0098】
なお、野縁11,・・・の下面には、プライマー処理が施されており、化粧天井板9との接着剤による接着が容易に行えるようにされている。
【0099】
次に、この実施例3の作用効果について説明する。
【0100】
このような実施例3のALC部材としての野縁11は、他の部材としての天井梁51が取り付けられるものであって、ALC本体11Aに鉄筋枠20が埋設されているとともに、鉄筋枠20に固定されて金属プレート30が埋設された構成である。
【0101】
こうした構成なので、天井梁51側からビスとしてのタッピングビス40,40をねじ込むと、脆いALC本体11A部分での固定ではなく、ALC本体11A内に埋設されて鉄筋枠20に固定された金属プレート30で締結されるため、天井梁51の取付強度の信頼性が高い。
【0102】
そのうえ、ALC本体11A及び金属プレート30には、ビス孔等は設けられていないため、位置の制約が少なく、タッピングビス40,40を金属プレート30に向けてねじ込むだけで、高精度の取付を行うことができる。
【0103】
ここで、金属プレート30が、天井梁51の所要の取付強度を確保可能且つタッピングビス40,40を貫通させることが可能な厚さであるので、天井梁51の必要な取付強度を確保できるとともに、タッピングビス40,40を容易にねじ込むことができる。
【0104】
実施例3のALC部材としての野縁11への取付構造は、他の部材としての天井梁51側からタッピングビス40,40がねじ込まれ、ALC本体11A内に埋設された金属プレート30までねじ込まれて、天井梁51が野縁11,・・・へ取り付けられた構成である。
【0105】
こうした構成なので、上記したALC部材としての野縁11の作用効果を享受した取付構造とすることができる。
【実施例4】
【0106】
次に、実施例4について説明する。
【0107】
なお、前記実施例1で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
【0108】
この実施例4のALC部材は、図14〜図16に示したように、外壁パネル12である。
【0109】
この外壁パネル12は、図14に示したように、ALC本体12Aに鉄筋枠2が埋設されているとともに、鉄筋枠2に固定されて金属プレート3,3及び金属プレート31,31が埋設された構成である。
【0110】
ここで、複数本の鉄筋2a,・・・により組んだ鉄筋枠2には、図14〜図16に示したように、長手方向の正面の中心から略左右対称に、一対の長尺の金属プレート3,3を鉄筋2a,・・・と接する部分s,・・・を溶接(スポット溶接)により固定している。
【0111】
また、鉄筋枠2の短手方向の裏面の中心から略上下対称に、一対の短尺の金属プレート31,31を鉄筋2a,・・・と接する部分s,・・・を溶接(スポット溶接)により固定している。
【0112】
そして、この鉄筋枠2にALC(軽量発泡コンクリート)を打設して、ALC本体12Aが製造される。
【0113】
また、この金属プレート3の長手方向の両端部は、図5及び図17に示したように、溶接しやすくするため、金属プレート3と略平行に折り曲げた折り曲げ部3a,3aが設けられており、この折り曲げ部3a,3aが鉄筋2a,・・・に溶接されている。
【0114】
但し、鉄筋枠2へ金属プレート3を固定するのは、溶接に限定されず、例えば鉄筋2a,・・・へ金属プレート3の端部を巻き付けたり、結束線によりくくり付けたりして固定してもよい。
【0115】
さらに、金属プレート3の厚さは、0.8mmとされている。
【0116】
但し、この金属プレート3の厚さは、これに限定されず、図18に示したように、他の部材としての高強度の外壁下地材52の所要の取付強度を確保可能且つビスとしてのタッピングビス4,・・・を貫通させることが可能な厚さであればよい。
【0117】
なお、タッピングビス4,・・・には、後述する外壁化粧板53を外壁下地材52の表面に接着する際、干渉しないように、頭部が皿状のものを用いている。
【0118】
また、金属プレート3のALC本体12A内でのかぶり深さが、図17及び図18に示したように、鉄筋枠2より深くされている。
【0119】
なお、金属プレート31,31は、厚さ3.2mmのものが用いられ、図示省略の建物本体などの構造体側からタッピングビスがねじ込まれて、固定するのに用いられる。
【0120】
こうして構成された実施例4のALC部材としての外壁パネル12は、図18に示したように、フレキシブルボードから成る高強度の外壁下地材52側からタッピングビス4,・・・がねじ込まれ、ALC本体12Aに埋設された金属プレート3を貫通するまでねじ込まれて、高強度の外壁下地材52が取り付けられる。
【0121】
そして、この高強度の外壁下地材52の表面に、接着剤54により、薄い石材から成る外壁化粧板53が接着される。
【0122】
なお、この外壁下地材52に用いられる部材としては、フレキシブルボードの他に、鋼板、硬質木片セメント板、合板、PC板又はRC板などの高強度を有するものが好適に使用される。
【0123】
また、外壁化粧板53に用いられる部材としては、例えば、厚さが6mm〜8mmの花崗岩などの高級石材が好適に使用される。
【0124】
ここで、外壁下地材52は、外壁パネル12よりも幅狭とされており、外壁化粧板53の裏面の両側縁部には、この外壁化粧板53と同質の部材53A,53Aがそれぞれ貼設された二重構造とされている。
【0125】
また、外壁下地材52の側縁部とこの外壁化粧板53と同質の部材53A,53Aの内側縁部との間には、外壁下地材52の表面に外壁化粧板53を接着する際に、施工誤差を吸収できるように、若干の隙間が設けられている。
【0126】
次に、この実施例4の作用効果について説明する。
【0127】
このような実施例4のALC部材としての外壁パネル12は、他の部材としての外壁下地材52が取り付けられるものであって、ALC本体12Aに鉄筋枠2が埋設されているとともに、鉄筋枠2に固定されて金属プレート3が埋設された構成である。
【0128】
こうした構成なので、高強度の外壁下地材52側からビスとしてのタッピングビス4,・・・をねじ込むと、脆いALC本体12A部分での固定ではなく、ALC本体12A内に埋設されて鉄筋枠2に固定された金属プレート3で締結されるため、外壁下地材52の取付強度の信頼性が高い。
【0129】
そのうえ、ALC本体12A及び金属プレート3には、ビス孔等は設けられていないため、位置の制約が少なく、タッピングビス4,・・・を金属プレート3に向けてねじ込むだけで、高精度の取付を行うことができる。
【0130】
ここで、金属プレート3が、高強度の外壁下地材52の所要の取付強度を確保可能且つタッピングビス4,・・・を貫通させることが可能な厚さであるので、高強度の外壁下地材52の必要な取付強度を確保できるとともに、タッピングビス4,・・・を容易にねじ込むことができる。
【0131】
また、金属プレート3のALC本体12A内でのかぶり深さが、鉄筋枠2より深いので、金属プレートまでのかぶり部分のタッピングビス4,・・・の周囲が、鉄筋枠2で囲まれた状態となるため、高強度の外壁下地材52の取付部近傍におけるALC本体12Aの脆性破壊を極力防止することができる。
【0132】
実施例4のALC部材としての外壁パネル12への取付構造は、他の部材としての高強度の外壁下地材52側からタッピングビス4,・・・がねじ込まれ、ALC本体12A内に埋設された金属プレート3までねじ込まれて、高強度の外壁下地材52が外壁パネル12へ取り付けられるとともに、高強度の外壁下地材52の表面に、接着剤54により、外壁化粧板53が接着された構成である。
【0133】
こうした構成なので、上記したALC部材としての外壁パネル12の作用効果を享受した取付構造とすることができる。
【0134】
そのうえ、高強度の外壁下地材52の表面に、ALC部材としての外壁パネル12には固定し難い薄い石材などの外壁化粧板53を容易に接着でき、この外壁化粧板53により、意匠的外観の良いものとすることができる。
【0135】
ここで、高強度の外壁下地材52は、外壁パネル12よりも幅狭とされており、外壁化粧板53の裏面の縁部は、この外壁化粧板53と同質の部材53A,53Aが貼設された二重構造である。
【0136】
このため、同じものを並べて、その間にシーリング材を設けて目地を形成した際に、外壁化粧板53の側面に同質の部材のみが表れて、外壁下地材52が露出せず、意匠的外観の良いものとすることができる。
【0137】
以上、図面を参照して、本発明を実施するための形態について実施例1〜4をもとに詳述してきたが、具体的な構成は、上記した実施例1〜4に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0138】
例えば、実施例1〜4では、ALC部材を、天井パネル1,内壁パネル10,野縁11,外壁パネル12とし、これらに取り付ける他の部材を、天井化粧板5,内壁化粧板50,天井梁51,外壁下地材52としてそれぞれ実施したが、これらに限定されない。
【0139】
すなわち、ALC部材を、床パネルとし、これに取り付ける他の部材を、床化粧板として実施することなどもできる。
【0140】
また、実施例1〜4では、ALC部材へ他の部材を取り付けるのに、タッピングビス4,40を用いて実施したが、これに限定されず、例えば、コンクリート釘などを用いて実施してもよい。
【符号の説明】
【0141】
1 天井パネル(ALC部材)
10 内壁パネル(ALC部材)
11 野縁(ALC部材)
12 外壁パネル(ALC部材)
1A ALC本体
11A ALC本体
12A ALC本体
2 鉄筋枠
20 鉄筋枠
2a 鉄筋
20a 鉄筋
3 金属プレート
30 金属プレート
4 タッピングビス(ビス)
40 タッピングビス(ビス)
5 天井化粧板(他の部材)
50 内壁化粧板(他の部材)
51 天井梁(他の部材)
52 外壁下地材(他の部材)
53 外壁化粧板
53A 外壁化粧板と同質の部材
54 接着剤
6 スペーサー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の部材が取り付けられるALC部材であって、
ALC本体に鉄筋枠が埋設されているとともに、該鉄筋枠に固定されて金属プレートが埋設されていることを特徴とするALC部材。
【請求項2】
前記金属プレートは、前記他の部材の所要の取付強度を確保可能且つビス又は釘を貫通させることが可能な厚さであることを特徴とする請求項1に記載のALC部材。
【請求項3】
前記金属プレートの前記ALC本体内でのかぶり深さは、前記鉄筋枠より深いことを特徴とする請求項1又は2に記載のALC部材。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のALC部材への取付構造であって、
前記他の部材側からビスがねじ込まれ、前記ALC本体内に埋設された金属プレートまでねじ込まれて、前記他の部材が前記ALC部材へ取り付けられていることを特徴とするALC部材への取付構造。
【請求項5】
前記他の部材が天井化粧板であり、前記ALC部材が天井パネルであることを特徴とする請求項4に記載のALC部材への取付構造。
【請求項6】
前記天井化粧板が前記天井パネルへスペーサーを介して取り付けられており、両者間に空間が形成されていることを特徴とする請求項5に記載のALC部材への取付構造。
【請求項7】
前記他の部材が内壁化粧板であり、前記ALC部材が内壁パネルであることを特徴とする請求項4に記載のALC部材への取付構造。
【請求項8】
前記内壁化粧板が前記内壁パネルへスペーサーを介して取り付けられており、両者間に空間が形成されていることを特徴とする請求項7に記載のALC部材への取付構造。
【請求項9】
前記他の部材が天井梁であり、前記ALC部材が野縁であることを特徴とする請求項4に記載のALC部材への取付構造。
【請求項10】
前記他の部材が外壁下地材であり、前記ALC部材が外壁パネルであるとともに、前記外壁下地材の表面に、接着剤により、外壁化粧板が接着されていることを特徴とする請求項4に記載のALC部材への取付構造。
【請求項11】
前記外壁下地材は、前記外壁パネルよりも幅狭とされており、前記外壁化粧板の裏面の縁部は、当該外壁化粧板と同質の部材が貼設された多重構造であることを特徴とする請求項8に記載のALC部材への取付構造。
【請求項1】
他の部材が取り付けられるALC部材であって、
ALC本体に鉄筋枠が埋設されているとともに、該鉄筋枠に固定されて金属プレートが埋設されていることを特徴とするALC部材。
【請求項2】
前記金属プレートは、前記他の部材の所要の取付強度を確保可能且つビス又は釘を貫通させることが可能な厚さであることを特徴とする請求項1に記載のALC部材。
【請求項3】
前記金属プレートの前記ALC本体内でのかぶり深さは、前記鉄筋枠より深いことを特徴とする請求項1又は2に記載のALC部材。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のALC部材への取付構造であって、
前記他の部材側からビスがねじ込まれ、前記ALC本体内に埋設された金属プレートまでねじ込まれて、前記他の部材が前記ALC部材へ取り付けられていることを特徴とするALC部材への取付構造。
【請求項5】
前記他の部材が天井化粧板であり、前記ALC部材が天井パネルであることを特徴とする請求項4に記載のALC部材への取付構造。
【請求項6】
前記天井化粧板が前記天井パネルへスペーサーを介して取り付けられており、両者間に空間が形成されていることを特徴とする請求項5に記載のALC部材への取付構造。
【請求項7】
前記他の部材が内壁化粧板であり、前記ALC部材が内壁パネルであることを特徴とする請求項4に記載のALC部材への取付構造。
【請求項8】
前記内壁化粧板が前記内壁パネルへスペーサーを介して取り付けられており、両者間に空間が形成されていることを特徴とする請求項7に記載のALC部材への取付構造。
【請求項9】
前記他の部材が天井梁であり、前記ALC部材が野縁であることを特徴とする請求項4に記載のALC部材への取付構造。
【請求項10】
前記他の部材が外壁下地材であり、前記ALC部材が外壁パネルであるとともに、前記外壁下地材の表面に、接着剤により、外壁化粧板が接着されていることを特徴とする請求項4に記載のALC部材への取付構造。
【請求項11】
前記外壁下地材は、前記外壁パネルよりも幅狭とされており、前記外壁化粧板の裏面の縁部は、当該外壁化粧板と同質の部材が貼設された多重構造であることを特徴とする請求項8に記載のALC部材への取付構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2010−150908(P2010−150908A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−202571(P2009−202571)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【出願人】(506356254)株式会社アルカディア (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【出願人】(506356254)株式会社アルカディア (6)
【Fターム(参考)】
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