説明

Al2O3と、REOと、ZrO2および/またはHfO2と、Nb2O5および/またはTa2O5とを含むセラミックスの製造方法

Alと、REOと、ZrOまたはHfOの少なくとも1種と、NbまたはTaの少なくとも1種とを含む、ガラス−セラミックスを製造するための方法である。本発明によるガラス−セラミックスは、ガラスビーズ、物品(たとえば、平板)、繊維、粒子、および薄層コーティングに、製造し、形成させ、または変換させることができる。本発明によるガラス−セラミック粒子のいくつかの実施態様は、研磨粒子として特に有用である。


【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
多くの非晶質(ガラスを含む)およびガラス−セラミック組成物が知られている。酸化物ガラスの多くでは、ガラスの形成を促進させるために、SiO、B、P、GeO、TeO、AsおよびVのような公知のガラス形成剤を用いている。いくつかのガラスでは、加熱処理することによりガラスセラミックスを形成させることができる。
【0002】
公知のガラスおよびガラス−セラミックスの性質の多くは、ガラス形成剤の持つ固有の性質によって制限を受ける可能性がある。たとえば、SiO、BおよびP系のガラスおよびガラス−セラミックスの場合、そのヤング率、硬度および強度は、典型的には、そのようなガラス形成剤が原因の限度がある。それらのガラスおよびガラス−セラミックスは一般に、たとえばAlやZrOに比較すると、機械的性質に劣る。
【0003】
別な態様においては、一般的に、セラミックの加工操作でほとんどの場合に、(たとえば顕著な結晶成長をさせることなく)結晶粒度を最小にして最大の高密度化を得るのが望ましい。結晶粒度を最小化することが可能なセラミック加工技術の例としては、結晶成長速度を低下させることが挙げられる。理論に捕らわれることは欲しないが、結晶粒度が大きい程機械的性質が低下するのに対して、平均結晶子径が細かい程(たとえば、高強度や高硬度に)機械的性質が改良されると、セラミック業界においては一般に考えられている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一つの態様においては、本発明は、Alと、REOと、ZrOまたはHfOの少なくとも1種と、NbまたはTaの少なくとも1種とを含む、ガラスおよびガラス−セラミックを提供する。驚くべきことには、本明細書に記載のガラスにNbおよび/またはTaを添加することにより、ガラスの結晶化に大きな影響を与えることが可能であることを、本出願人は見出した。
【0005】
いくつかの実施態様においては、本発明は、ガラス−セラミックを製造するための方法を含み、その方法にはガラスを加熱処理してガラスの少なくとも一部を結晶質セラミックに変換させ、ガラス−セラミックを得ることを含み、前記ガラスには、ガラスの全重量を基準にして、少なくとも35重量パーセント(いくつかの実施態様においては、少なくとも40、45、50、55、60、65、70、さらには少なくとも75、いくつかの実施態様においては、35〜75、40〜75、45〜75、50〜75、55〜75、さらには60〜75重量パーセントの範囲)のAl、REO(たとえば、Gd、La、および/またはNd、ガラスの全重量を基準にして、いくつかの実施態様においては、少なくとも0.5、1、2、3、4、5、さらには少なくとも10重量パーセント、いくつかの実施態様においては、0.5〜70、1〜70、5〜70、10〜70、0.5〜50、1〜50、5〜50、10〜50、0.5〜40、1〜40、5〜40、10〜40、0.5〜30、1〜30、5〜30、10〜30、0.5〜25、1〜25、5〜25、さらには10〜25重量パーセントの範囲のREO)、およびZrO(いくつかの実施態様においては、ZrOおよび/または(一括して)HfO)(ガラスの全重量を基準にして、いくつかの実施態様においては、少なくとも5、10、15、さらには少なくとも20重量パーセント、いくつかの実施態様においては、5〜30、5〜25、10〜25、10〜30、15〜30、20〜30、15〜25、さらには15〜20重量パーセントの範囲のZrO(いくつかの実施態様においては、ZrOおよび/または(一括して)HfO))、およびNbまたはTaの少なくとも1種(ガラスの全重量を基準にして、いくつかの実施態様においては、少なくとも1、2、3、4、5、10、15、20、さらには少なくとも25、いくつかの実施態様においては、1〜20、5〜20、10〜20、さらには5〜15重量パーセントの範囲の、NbまたはTaの少なくとも1種)を含み、ここで、前記ガラスには、As、B、GeO、P、SiO、TeO、およびVを合計して、ガラスの全重量を基準にして、10重量パーセント以下(いくつかの実施態様においては、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5、0.1、さらには0重量パーセント以下)の量で含み、そしてここで、NbまたはTaの少なくとも1種は、ガラスから少なくとも1種の結晶質ZrOまたは結晶質HfOが形成される速度を高くするのに充分な量で存在させる(NbおよびTaを含まない同一のガラス(すなわち、その比較例のガラスは、Al、REO、ZrOまたはHfOの少なくとも1種、ならびにNbおよび/またはTaを含むガラスと同様にして製造し加熱処理するが、ただしそのガラスを製造するのにNbまたはTaを使用していない(すなわち、そのようなガラスは、ガラスの全重量を基準にして、NbまたはTaの含量がゼロ重量パーセントである))を同様にして加熱処理することにより製造する、比較例のガラス−セラミックに比較して、いくつかの実施態様においては、少なくとも1.5、2、2.5、さらには少なくとも3倍の速度とさせる)。ガラスからの結晶質ZrOおよび/または結晶質HfOの形成速度の増加は、後の実施例1に説明する方法により測定される。いくつかの実施態様においては、本発明の方法には、ガラス−セラミックを破砕して研磨粒子を得ることをさらに含む。いくつかの実施態様においては、本発明の方法には、その研磨粒子を分級して、規定公称グレードを有する多数の粒子を得ることをさらに含む。いくつかの実施態様においては、本発明の方法には、それらの研磨粒子を研磨物品に組み入れることをさらに含む。
【0006】
本発明により製造されるガラス−セラミックス、およびそのようなガラス−セラミックスを製造するために使用されるガラスのいくつかの実施態様においては、そのガラス−セラミックスおよびガラスには、少なくとも1種の追加の金属酸化物(たとえば、Y、MgO、TiO、Cr、CuO、SrO、LiO、NiO、および/またはFe)がさらに含まれていてもよい。
【0007】
いくつかの実施態様においては、本発明により製造されるガラス−セラミックス、およびそのようなガラス−セラミックスを製造するために使用されるガラスには、ガラス−セラミックまたはガラスの全重量を基準にして、それぞれ、20重量パーセント以下(いくつかの実施態様においては、15、10、5、4、3、2、1、0.5、0.1、さらにはゼロ重量パーセント以下)のSiO、および20重量パーセント以下(いくつかの実施態様においては、15、10、5、4、3、2、1、0.5、0.1、さらにはゼロ重量パーセント以下)のBを含む。
【0008】
本発明によるガラス−セラミックスのいくつかの実施態様では、ガラス−セラミック中にガラスを、ガラス−セラミックの全容積を基準にして、たとえば少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、さらには95容積パーセントのガラスを含んでいてよい。本発明によるガラス−セラミックスのいくつかの実施態様では、ガラス−セラミックに結晶質セラミックを、ガラス−セラミックの全容積を基準にして、たとえば少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、97、98、99、さらには100容積パーセントの量で含んでいてよい。
【0009】
本明細書における定義を以下に述べる:
「非晶質物質」という用語は、融解物および/または気相から得られる物質でX線回折を測定したときに長距離(long range)の結晶構造を示さないものおよび/または、本明細書の中で「示差熱分析」として記述している試験法により測定されるような、DTA(示差熱分析)で測定したときに非晶質物質の結晶化に相当する発熱ピークを示すものを指す、
「セラミック」という用語には、ガラス、結晶質セラミック、ガラス−セラミック、およびそれらの組み合わせを含む、
「複合金属酸化物」という用語は、2種またはそれ以上の異なる金属元素と酸素とを含む金属酸化物(たとえば、CeAl1118、DyAl12、MgAl、およびYAl12)を指す、
「複合Al・金属酸化物」という用語は、理論的酸化物基準で、Alと1種または複数のAl以外の金属元素を含む複合金属酸化物(たとえば、CeAl1118、DyAl12、MgAl、およびYAl12)を指す、
「複合Al・Y」という用語は、理論的酸化物基準で、AlとYとを含む複合金属酸化物(たとえば、YAl12)を指す、
「複合Al・REO」という用語は、理論的酸化物基準で、Alと希土類酸化物とを含む複合金属酸化物(たとえば、CeAl1118およびDyAl12)を指す、
「ガラス」という用語は、ガラス転移温度を示す非晶質物質を指す、
「ガラス−セラミック」という用語は、ガラスを加熱処理することによって形成される結晶を含むセラミックを指す、
「T]という用語は、本明細書の中で「示差熱分析」として記述している試験法により測定されるガラス転移温度を指す、
「T]という用語は、本明細書の中で「示差熱分析」として記述している試験法により測定される結晶化温度を指す、
「希土類酸化物」という用語は、酸化セリウム(たとえば、CeO)、酸化ジスプロシウム(たとえば、Dy)、酸化エルビウム(たとえば、Er)、酸化ユウロピウム(たとえば、Eu)、酸化ガドリニウム(たとえば、Gd)、酸化ホルミウム(たとえば、Ho)、酸化ランタン(たとえば、La)、酸化ルテチウム(たとえば、Lu)、酸化ネオジム(たとえば、Nd)、酸化プラセオジム(たとえば、Pr11)、酸化サマリウム(たとえば、Sm)、酸化テルビウム(たとえば、Tb)、酸化トリウム(たとえば、Th)、酸化ツリウム(たとえば、Tm)、および酸化イッテリビウム(たとえば、Yb)、ならびにそれらの組み合わせを指す、
「REO]という用語は、希土類酸化物(類)を指す。
【0010】
さらに本明細書においては、たとえばガラス−セラミックの中で、金属酸化物(たとえば、Al、複合Al・金属酸化物など)が結晶質であると特に記述している以外では、それは、結晶質であっても、あるいは部分的にガラス質で部分的に結晶質であってもよい、と理解すべきである。たとえば、ガラス−セラミックにAlとZrOとが含まれている場合には、そのAlとZrOのそれぞれが、ガラス質状態でも、結晶質状態でも、または一部がガラス質状態で一部が結晶質状態でも、さらには他の金属酸化物(類)との反応生成物であってもよい(例を挙げれば、たとえばAlが結晶質のAlまたはAlの特定の結晶質相(たとえば、α−Al)として存在していると特に記述していない場合には、それは、結晶質Alおよび/または部分的に1種または複数の結晶質の複合Al・金属酸化物として存在していてもよい)。
【0011】
本発明により製造されるガラス−セラミックスのいくつかの実施態様では、ビーズ(たとえば、直径が、少なくとも1マイクロメートル、5マイクロメートル、10マイクロメートル、25マイクロメートル、50マイクロメートル、100マイクロメートル、150マイクロメートル、250マイクロメートル、500マイクロメートル、750マイクロメートル、1mm、5mm、さらには少なくとも10mmのビーズ)、物品(たとえば、平板)、繊維、粒子、およびコーティング(たとえば、薄層コーティング)などの形態として製造したり、それらのものに変換させたりすることができる。ビーズの実施態様は、たとえば回帰反射シート、英数字板(alphanumeric plate)、および舗道のマーキングのような、反射装置において、有用である。粒子および繊維の実施態様は、たとえば断熱、充填材、または複合材料(たとえば、セラミック、金属、またはポリマーマトリックス複合材料)における補強剤として、有用である。薄層コーティングの実施態様は、たとえば、摩耗が含まれていたり、さらには熱管理のための用途における保護コーティングとして有用である。本発明による物品の例を挙げれば、台所用品(たとえば、大皿)、歯科用ブラケット、および補強材料(たとえば、粒子および繊維)、切削工具インサート、研磨材料、およびガスエンジンの構造要素(たとえば、弁およびベアリング)などがある。その他の物品の具体的な実施態様としては、ボディまたはその他の基材の外側表面の上のガラス−セラミックの保護コーティングを有しているものが挙げられる。本発明により製造されるある種のガラス−セラミック粒子は、研磨粒子として特に有用である。研磨粒子は、研磨物品に組み込むこともできるし、あるいは分散した形態で使用することもできる。
【0012】
研磨粒子は通常、所定の粒度分布に分級してから使用する。そのような分布では通常、粗粒子から微粒子まで、ある範囲の粒度を有している。研磨材業界においては、この範囲を「粗粒(coarse)」、「中粒(control)」および「微粉(fine)」画分と呼ぶこともある。業界に受容された分級規格に従って分級された研磨粒子はそれぞれ、その粒度分布を、ある数値限度内の公称グレードとして規定される。そのような業界に受容された分級規格(すなわち、規定公称グレード)としては、アメリカン・ナショナル・スタンダーズ・インスティチュート・インコーポレーテッド(American National Standards Institute、Inc.)(ANSI)規格、フェデレーション・オブ・ユーロピアン・プロデューサーズ・オブ・アブレーシブ・プロダクツ(Federation of European Producers of Abrasive Products)(FEPA)規格、および日本工業規格(JIS)規格として知られているものが挙げられる。一つの態様において、本発明は、複数の研磨粒子の少なくとも一部が本発明により製造される研磨粒子である、規定公称グレードを有する複数の研磨粒子を提供する。いくつかの実施態様においては、複数の研磨粒子の全重量を基準にして、複数の研磨粒子の少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、またはさらには100重量パーセントが本発明により製造される研磨粒子である。
【0013】
別な態様においては、本発明は、バインダーと複数の研磨粒子を含む研磨物品(たとえば、結合研磨物品、不織研磨物品、または被覆研磨物品)を提供するが、ここで、その研磨粒子の少なくとも一部は、本発明により製造される研磨粒子である。
【0014】
いくつかの実施態様においては、本発明は、研磨粒子を製造するための方法を提供し、その方法には、ガラス粒子を加熱処理して、ガラスの少なくとも一部を結晶質セラミックに変換させ、ガラス−セラミックおよび研磨粒子を得ることを含み、前記ガラスには、ガラスの全重量を基準にして、少なくとも35重量パーセント(いくつかの実施態様においては、少なくとも40、45、50、55、60、65、70、さらには少なくとも75、いくつかの実施態様においては、35〜75、40〜75、45〜75、50〜75、55〜75、さらには60〜75重量パーセントの範囲)のAl、REO(たとえば、Gd、La、および/またはNd、ガラスの全重量を基準にして、いくつかの実施態様においては、少なくとも0.5、1、2、3、4、5、さらには少なくとも10重量パーセント、いくつかの実施態様においては、0.5〜70、1〜70、5〜70、10〜70、0.5〜50、1〜50、5〜50、10〜50、0.5〜40、1〜40、5〜40、10〜40、0.5〜30、1〜30、5〜30、10〜30、0.5〜25、1〜25、5〜25、さらには10〜25重量パーセントの範囲のREO)、ZrO(いくつかの実施態様においては、ZrOおよび/または(一括して)HfO)(ガラスの全重量を基準にして、いくつかの実施態様においては、少なくとも5、10、15、さらには少なくとも20重量パーセント、いくつかの実施態様においては、5〜30、5〜25、10〜25、10〜30、15〜30、20〜30、15〜25、さらには15〜20重量パーセントの範囲のZrO(いくつかの実施態様においては、ZrOおよび/または(一括して)HfO))、およびNbまたはTaの少なくとも1種(ガラスの全重量を基準にして、いくつかの実施態様においては、少なくとも1、2、3、4、5、10、15、20、さらには少なくとも25、いくつかの実施態様においては、1〜20、5〜20、10〜20、さらには5〜15重量パーセントの範囲の、NbまたはTaの少なくとも1種)を含み、ここで、前記ガラスには、As、B、GeO、P、SiO、TeO、およびVを合計して、ガラスの全重量を基準にして、10重量パーセント以下(いくつかの実施態様においては、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5、0.1、さらには0重量パーセント以下)の量で含み、そしてここで、NbまたはTaの少なくとも1種は、NbおよびTaを含まない同一のガラスを同様にして加熱処理することにより製造する、比較例のガラス−セラミックに比較して、そのガラスからの結晶質ZrOまたは結晶質HfOの少なくとも1種の形成速度を増加させる(いくつかの実施態様においては、少なくとも1.5、2、2.5、さらには少なくとも3倍の速度)のに充分な量で存在させる。いくつかの実施態様においては、本発明の方法には、その研磨粒子を分級して、規定公称グレードを有する多数の粒子を得ることをさらに含む。いくつかの実施態様においては、本発明の方法には、それらの研磨粒子を研磨物品に組み入れることをさらに含む。
【0015】
いくつかの実施態様においては、本発明は、研磨粒子を製造するための方法を提供し、その方法には、ガラスを含む粒子を加熱処理して、ガラスの少なくとも一部を結晶質セラミックに変換させ、ガラス−セラミックおよび研磨粒子を得ることを含み、前記ガラスには、ガラスの全重量を基準にして、少なくとも35重量パーセント(いくつかの実施態様においては、少なくとも40、45、50、55、60、65、70、さらには少なくとも75、いくつかの実施態様においては、35〜75、40〜75、45〜75、50〜75、55〜75、さらには60〜75重量パーセントの範囲)のAl、REO(たとえば、Gd、La、および/またはNd、ガラスの全重量を基準にして、いくつかの実施態様においては、少なくとも0.5、1、2、3、4、5、さらには少なくとも10重量パーセント、いくつかの実施態様においては、0.5〜70、1〜70、5〜70、10〜70、0.5〜50、1〜50、5〜50、10〜50、0.5〜40、1〜40、5〜40、10〜40、0.5〜30、1〜30、5〜30、10〜30、0.5〜25、1〜25、5〜25、さらには10〜25重量パーセントの範囲のREO)、ZrO(いくつかの実施態様においては、ZrOおよび/または(一括して)HfO)(ガラスの全重量を基準にして、いくつかの実施態様においては、少なくとも5、10、15、さらには少なくとも20重量パーセント、いくつかの実施態様においては、5〜30、5〜25、10〜25、10〜30、15〜30、20〜30、15〜25、さらには15〜20重量パーセントの範囲のZrO(いくつかの実施態様においては、ZrOおよび/または(一括して)HfO))、およびNbまたはTaの少なくとも1種(ガラスの全重量を基準にして、いくつかの実施態様においては、少なくとも1、2、3、4、5、10、15、20、さらには少なくとも25、いくつかの実施態様においては、1〜20、5〜20、10〜20、さらには5〜15重量パーセントの範囲の、NbまたはTaの少なくとも1種)を含み、ここで、前記ガラスには、As、B、GeO、P、SiO、TeO、およびVを合計して、ガラスの全重量を基準にして、10重量パーセント以下(いくつかの実施態様においては、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5、0.1、さらには0重量パーセント以下)の量で含み、そしてここで、NbまたはTaの少なくとも1種は、NbおよびTaを含まない同一のガラスを同様にして加熱処理することにより製造する、比較例のガラス−セラミックに比較して、そのガラスからの結晶質ZrOまたはHfOの少なくとも1種の形成速度を増加させる(いくつかの実施態様においては、少なくとも1.5、2、2.5、さらには少なくとも3倍の速度)のに充分な量で存在させる。いくつかの実施態様においては、本発明の方法には、その研磨粒子を分級して、規定公称グレードを有する多数の粒子を得ることをさらに含む。いくつかの実施態様においては、本発明の方法には、それらの研磨粒子を研磨物品に組み入れることをさらに含む。
【0016】
研磨物品にはバインダーと複数の研磨粒子とを含み、ここで、その研磨粒子の少なくとも一部は本発明により製造した研磨粒子である。研磨材製品を例示すれば、被覆研磨物品、結合研磨物品(たとえば、ホイール)、不織研磨物品、それに研磨ブラシなどが挙げられる。典型的には、被覆研磨物品には、背中合わせに第1および第2の主表面を有するバッキングが含まれ、そこで第1の主表面の少なくとも一部の上で、バインダーと複数の研磨粒子が研磨材層を形成している。
【0017】
いくつかの実施態様においては、研磨物品中の研磨粒子の全重量を基準にして、研磨物品の中の研磨粒子の少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、またはさらには100重量パーセントが本発明により製造した研磨粒子である。
【0018】
本発明はまた表面を研磨するための方法も提供するが、その方法には:
本発明により製造した研磨粒子をワークピースの表面に接触させること、および
本発明により製造した研磨粒子または接触させた表面の少なくとも一方を動かして、本発明により製造した研磨粒子の一部を用いて、その表面の少なくとも一部を研磨すること、が含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、NbまたはTaの少なくとも1種を含むガラスおよびガラス−セラミックス、およびそれらを製造するための方法に関する。それらのガラスは、原料物質、所望の組成物、および加工技術を選択することにより、調製される。
【0020】
商業的な供給源も含めたAl(理論的酸化物基準)の供給源としては、ボーキサイト(天然産のボーキサイトおよび合成ボーキサイトの両方)、焼成ボーキサイト、水和アルミナ(たとえば、ベーマイトやギブザイト)、アルミニウム、バイヤー法アルミナ、アルミニウム鉱石、γ−アルミナ、α−アルミナ、アルミニウム塩、硝酸アルミニウム、およびそれらの組み合わせが挙げられる。このAl源は、Alを含むか、あるいはAlのみが得られるものであってもよい。それとは別に、Al源が、Alと、さらにはAl以外の1種または複数の金属酸化物(複合Al・金属酸化物(たとえば、DyAl12、YAl12、CeAl1118など)の材料またはそれらを含む)とを含むか、それらが得られるものであってもよい。
【0021】
商業的供給源を含めたNbの供給源としては、酸化ニオブ粉体、ニオブ含有鉱石(たとえば、コロンバイト、タンタライト、およびユークセライト(euxelite))、ニオブ塩、ニオブ金属、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0022】
商業的供給源を含めたTaの供給源としては、酸化タンタル粉体、タンタル含有鉱石(たとえば、コロンバイト、タンタライト、およびユークセライト)、タンタル塩、タンタル金属、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0023】
商業的供給源を含めた希土類酸化物の供給源としては、希土類酸化物粉体、希土類金属、希土類含有鉱石(たとえば、バストナサイトおよびモナザイト)、希土類塩、希土類硝酸塩、および希土類炭酸塩などが挙げられる。この希土類酸化物(類)源は、希土類酸化物(類)を含むか、あるいは希土類酸化物(類)のみが得られるものであってもよい。それとは別に希土類酸化物(類)源が、希土類酸化物(類)と、さらには希土類酸化物(類)以外の1種または複数の金属酸化物(複合希土類酸化物・他の金属酸化物(たとえば、DyAl12、CeAl1118、など)の材料またはそれらを含む)とを含むか、それらが得られるものであってもよい。
【0024】
商業的な供給源も含めたZrO(理論的酸化物基準)の供給源としては、酸化ジルコニウム粉体、ジルコンサンド、ジルコニウム、ジルコニウム含有鉱石、およびジルコニウム塩(たとえば、ジルコニウムの炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、塩酸塩、水酸化物、およびそれらの組み合わせ)などが挙げられる。それに加えて、またはその代わりに、ZrO源は、ZrOと、さらにハフニアのような他の金属酸化物とを含むか、それらが得られるものであってもよい。商業的な供給源も含めたHfO(理論的酸化物基準)の供給源としては、酸化ハフニウム粉体、ハフニウム、ハフニウム含有鉱石、およびハフニウム塩などが挙げられる。それに加えて、またはその代わりに、HfO源は、HfOと、さらにZrOのような他の金属酸化物とを含むか、それらが得られるものであってもよい。
【0025】
ZrOおよびHfOを含む実施態様においては、ZrO:HfOの重量比は、1:ゼロ(すなわち、全部ZrO、HfOなし)からゼロ:1までの範囲であってよく、さらには、たとえば、少なくとも約99、98、97、96、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、および5部(重量による)のZrOと、それに対応する量のHfO(たとえば、少なくとも約99部(重量による)のZrOと、約1部以下のHfO)、および少なくとも約99、98、97、96、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、および5部のHfOと、それに対応する量のZrOとであればよい。
【0026】
さらに、その他の有用な金属酸化物としては、理論的酸化物基準で、BaO、CaO、Cr、CoO、Fe、GeO、LiO、MgO、MnO、NiO、NaO、Sc、SrO、TiO、ZnO、Y、およびそれらの組み合わせなどを挙げることができる。商業的な供給源も含めた供給源としては、酸化物そのもの、金属粉体、複合酸化物、鉱石、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、塩酸塩、水酸化物、などがある。たとえば、商業的な供給源も含めたY(理論的酸化物基準)の供給源としては、酸化イットリウム粉体、イットリウム、イットリウム含有鉱石、およびイットリウム塩(たとえば、イットリウムの炭酸塩、硝酸塩、塩酸塩、水酸化物、およびそれらの組み合わせ)などが挙げられる。このY源は、Yを含むか、あるいはYのみが得られるものであってもよい。それとは別にY源は、Yと、さらにはY以外の1種または複数の金属酸化物(たとえば複合Y・金属酸化物(たとえば、YAl12)の材料またはそれらを含む)とを含むか、それらが得られるものであってもよい。
【0027】
いくつかの実施態様においては、少なくとも一部の金属酸化物源(いくつかの実施態様においては、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、70、75、80、85、90、95、またはさらには100重量パーセント)は、酸化物形成またはその合金形成で負のエンタルピーを有する少なくとも1種の金属(たとえば、Al、Ca、Cu、Cr、Fe、Li、Mg、Ni、Ag、Ti、Zr、およびそれらの組み合わせ)のMを含む粒子状の金属質材料を、融解物に添加するか、またはそれらを他の原料物質と組み合わせることによって得るのが好都合となる。理論に拘束されることを欲するものではないが、金属の酸化に伴う発熱反応によって発生する熱が、均一な融解物、そして結果としてガラスを形成させるのに有利に働くものと考えられる。たとえば、特に、50マイクロメートルを超える(100マイクロメートルを超える、さらには150マイクロメートルを超える)x、yおよびz軸の寸法を有するガラス粒子を形成させる場合に、原料物質中における酸化反応によって発生した追加の熱が、不充分な伝熱を無くすか、最小化するか、または少なくとも減少させ、その結果、融解物の形成と均質化を容易とするのであろうと考えられる。さらに、追加の熱が利用できることによって、各種の化学反応および物理的変化(たとえば、高密度化や球状化)を促進して完結させるのに役立つとも考えられる。さらに、いくつかの実施態様では、酸化反応によって発生した追加の熱が存在することによって、材料の融点が高いために、他の方法では困難あるいは非実用的であるような融解物を形成させることも実際に可能となると考えられる。さらに、酸化反応によって発生した追加の熱が存在することによって、他の方法では作れない、または所望の粒度範囲では作れないようなガラスを実際に形成させることが可能となる。本発明のその他の利点を挙げれば、ガラスを形成させる場合に、融解、高密度化および球状化のような化学的および物理的な工程の多くを短時間の間に達成することが可能であるために、非常に高速な急冷を達成することができる。さらに詳しくは、同時係属出願中の米国特許出願第10/211,639号明細書(出願日2002年8月2日)を参照されたい。
【0028】
本発明の一つの態様において、原料物質を個別にフィードして、融解混合物を形成させる。本発明の別な態様においては、ある種の原料物質を互いに混合し、他の原料物質は独立してその融解混合物の中に添加する。いくつかの実施態様においては、たとえば、融解させるより前に、原料物質を組み合わせたり、互いに混合させたりする。各種好適な公知の方法を用いて、原料物質を組み合わせて実質的に均質な混合物を形成させることができる。それらの組み合わせ技術としては、ボールミル粉砕、混合、タンブリングなどが挙げられる。ボールミル中のミリング媒体は、金属ボール、セラミックボールなどであってよい。そのセラミックミリング媒体は、たとえば、アルミナ、ジルコニア、シリカ、マグネシアなどであってよい。ボールミル粉砕は、乾燥環境中、水性環境中、あるいは溶媒系(たとえば、イソプロピルアルコール)環境中で実施することができる。原料物質バッチが金属粉体を含んでいるような場合には、ミリングの際に溶媒を使用するのが一般的には望ましい。その溶媒としては、適切な引火点を有し、原料物質を分散させる能力を有する物質であれば、何であってもよい。ミリング時間は、数分から数日でよいが、一般的には数時間〜24時間の間である。湿式または溶媒系のミリングシステムでは、液体媒体を典型的には乾燥により除去すると、それにより得られる混合物は、典型的には均質であって、水および/または溶媒を実質的に含まないものとなる。溶媒系のミリングシステムを使用した場合、乾燥の際に溶媒回収システムを使用して、溶媒をリサイクルさせることができる。乾燥後には、得られる混合物は「乾燥ケーキ(dried cake)」の形状となっていてもよい。このケーキ状の混合物を次いで、粉砕または破砕して所望の粒度としてから融解させる。別な方法として、たとえば、スプレー乾燥法を用いることも可能である。後者を用いると、典型的には、所望の酸化物混合物の球状粒子が得られる。前駆体物質も、沈降法およびゾルゲル法を含めた湿式化学法によって調製することができる。極端に高レベルの均質性が望まれるような場合には、そのような方法が有利となるであろう。
【0029】
粒子状原料物質は典型的には、その粒度を選択して、均質な融解物の形成が短時間で達成できるようにする。典型的には、比較的小さな平均粒度と狭い粒度分布を有する原料物質が、この目的に用いられる。いくつかの方法(たとえば、火炎成形およびプラズマ溶射)において特に望ましい粒子状原料物質は、約5nm〜約50マイクロメートルの範囲(いくつかの実施態様においては、約10nm〜約20マイクロメートル、さらには約15nm〜約1マイクロメートルの範囲)の平均粒度を有するものであって、ここで、その粒子の少なくとも90(いくつかの実施態様においては、95、さらには100)重量パーセントが原料物質であるが、この粒度および分布から外れた粒度のものもまた使用可能である。粒度が約5nm未満の粒子は、取扱うのが困難である(たとえば、そのような粒子は流動特性が不良となりやすいために、その粒子の流動特性が望ましくないものとなりがちである)。典型的な火炎成形またはプラズマ溶射法において約50マイクロメートルを超える粒子を使用すると、均質な融解物、およびガラスおよび/または所望の組成物を得るのがより困難となる傾向がある。
【0030】
さらに、いくつかのケースでは、たとえば、火炎または加熱もしくはプラズマスプレー装置中に粒子状物質をフィードして融解物を形成させるときに、その粒子状原料物質がある範囲の粒度を有しているのが望ましい。理論に捕らわれることは欲しないが、このことが、フィード粒子の充填密度と強度を最大化させると考えられる。原料物質粉体が粗すぎると、フィードおよび得られる融解物の粒子が、所望の組成または均質性を有さなくなる可能性がある。一般的には、最も粗い原料物質粒子でも、所望の融解物またはガラス粒度よりも小さくすべきである。さらに、粗すぎる原料物質粒子は、たとえば火炎成形またはプラズマ溶射工程において、フィード粒子における、熱的応力および機械的応力が不充分なものになりやすい。そのような場合には最終的には、通常、フィード粒子が小さな断片に破損されたり、組成の均質性が失われたり、所望のガラス粒度の収量が低下したりあるいは、融解が不完全になったりするが、その理由は、そのような断片は一般に、熱源から出る際にその軌跡が多方向に変動するからである。
【0031】
ガラスおよびセラミックス含有ガラスは、たとえば、適切な金属酸化物源を加熱(火炎中またはプラズマ中を含む)することによって融解物(望ましくは均質な融解物)を形成させ、次いでその融解物を冷却して、ガラスを得ることにより製造することができる。ガラスのいくつかの実施態様では、たとえば、金属酸化物源を各種適切な炉(たとえば、誘導加熱炉もしくは抵抗加熱炉、ガスだき炉、またはアーク炉)の中で融解させることにより製造するができる。
【0032】
ガラスは典型的には、融解させた物質(すなわち、融解物)を比較的急速に冷却することによって得られる。ガラスを得るための急冷速度(すなわち、冷却時間)は、多くの因子に依存するが、そのような因子としてはたとえば、融解物の化学的組成、その成分のガラス形成能、融解物および得られるガラスの熱的性質、(一つまたは複数の)加工方法、得られるガラスの寸法および質量、および冷却方法などが挙げられる。一般に、Alを高い量で含む(すなわち、Alが75重量パーセントより高い)ガラスを形成させるためには、特にSiO、B、P、GeO、TeO、As、およびVのような公知のガラス形成剤が存在しない場合、比較的高い急冷速度が必要である。同様にして、融解物を冷却して大きなサイズのガラスとするのはさらに困難であるが、それは、熱を充分に急速に除去するのが一段と困難になるからである。
【0033】
本発明のいくつかの実施態様においては、原料物質を加熱して、粒子の形状で融解状態とし、次いで冷却してガラス粒子とする。典型的には、その粒子は、25マイクロメートルより大きい(いくつかの実施態様においては、50、100、150、さらには200マイクロメートルより大きい)粒度を有する。
【0034】
本発明の方法により製造されるガラスを製造する場合に達成されるにおいて急冷速度は、10、10、10、10さらには10℃/秒より高速(すなわち、融解状態から1000℃の温度低下をさせるのが、それぞれ10秒未満、1秒未満、1/10秒未満、1/100秒未満、またはさらには1/1000秒未満)であると考えられる。融解物を冷却させる方法としては、冷却媒体(たとえば、高速空気ジェット、液体(たとえば、冷水)、金属プレート(冷却金属プレートを含む)、金属ロール(冷却金属ロールを含む)、金属ボール(冷却金属ボールを含む)など)の中に融解物を吐出させることが挙げられる。当業者公知のその他の冷却技術としては、ロール冷却(roll−chilling)がある。ロール冷却を実施するには、たとえば、金属酸化物源をその融点よりも通常20〜200℃高い温度で融解させ、その融解物を(たとえば、空気、アルゴン、窒素などのガスを使用した)高圧下で、高速回転しているロールの上にスプレーすることによって、冷却/急冷させる。典型的にはこれらのロールは金属製であって、水冷する。さらに金属ブックモールドも、融解物を冷却/急冷させるには有用である。
【0035】
冷却速度が、急冷されたガラスの性質に影響すると考えられる。たとえば、ガラスのガラス転移温度、密度およびその他の性質は、冷却速度によって、変わるのが普通である。
【0036】
急速な冷却をする場合には、たとえば還元性、中性、酸化性雰囲気などその環境を調節して、冷却の間に所望の酸化状態などを維持したり、および/または影響を与えたりすることもできる。この雰囲気は、過冷却の液の状態からの結晶化の動力学に影響を与えることによって、ガラスの形成にも影響する可能性がある。たとえば、空気中に比較してアルゴン中では、Alの融解物を、より低い温度まで結晶化せずに過冷却できることが報告されている。
【0037】
一つの方法においては、ガラスおよびセラミックス含有ガラスは、たとえば、米国特許第6,254,981号明細書(キャスル(Castle))に記載があるような、火炎溶融を用いて製造することができる。この方法では、金属酸化物源を(たとえば、「フィード粒子」と呼ばれることもある、粒子の形態で)バーナー(たとえば、メタン−空気バーナー、アセチレン−酸素バーナー、水素−酸素バーナー、など)の中に直接フィードし、次いで、水、冷却油、空気などの中で急冷させる。通常は火炎中にフィードするフィード粒子の大きさによって、生成してくるガラスを含む粒子の大きさが決まる。
【0038】
いくつかの実施態様のガラスはまた、その他の方法によって作ることもできるが、そのようなものとしては、自由落下冷却(free fall cooling)を伴うレーザースピン融解法、テイラー(Taylor)ワイヤー法、プラズマトロン法、ハンマー・アンド・アンビル法、遠心急冷法、エアガン・スプラット冷却法、1本ローラーまたは2本ローラー急冷法、ローラープレート急冷法、およびペンダント・ドロップ融解急冷法などがある(たとえば、ブロックウェイ(Brockway)ら、『ラピッド・ソリディフィケーション・オブ・セラミックス(Rapid Solidification of Ceramics)』、メタルズ・アンド・セラミックス・インフォメーション・センター、ア・デパートメント・オブ・ディフェンス・インフォメーション・アナリシス・センター(Metals And Ceramics Information Center、Department of Defense Information Analysis Center)、オハイオ州、コロンバス(Columbus、OH)、1984年、1月を参照されたい)。いくつかの実施態様のガラスはまた、それ以外の方法でも得ることができ、そのようなものとしては、適当な前駆体を(火炎またはレーザーまたはプラズマを使用して)熱分解する方法、金属前駆体の物理的気相合成(PVS)法、および機械化学的加工法などが挙げられる。
【0039】
融解物を形成し、融解物を冷却/急冷し、および/またはその他の方法でガラスを形成させるためのその他の技術としては、気相急冷法、プラズマ溶射法、融解急冷法、およびガスまたは遠心噴霧法などがある。気相急冷法は、たとえばスパッタリングによって実施することができ、その場合金属合金または金属酸化物源をスパッタリングターゲットの中に形成させる。このターゲットをスパッタリング装置の中の所定の位置に固定し、コーティングする相手の基材をそのターゲットに対向する位置におく。典型的な圧力の、酸素ガスおよびArガスで10−3トルにすると、そのターゲットと基材との間で放電が発生し、Arまたは酸素イオンがターゲットに衝突して反応スパッタリングが起き、それによって基材の上に組成物の膜が析出する。プラズマ溶射に関するさらに詳しいことは、たとえば、同時係属出願中の、米国特許出願第10/211,640号明細書(出願2002年8月2日)を参照されたい。
【0040】
ガス噴霧法には、フィード粒子を加熱することが含まれていて、それらを変換させて融解物とする。そのように融解させたものの希薄な流れを、乱流を起こさせるための空気ジェットと接触させることによって霧化させる(すなわち、その流れを微細な液滴に分散させる)。次いで、そのようにして得られる実質的にばらばらとなった、通常は楕円形のガラス粒子(たとえば、ビーズ)を回収する。ビーズの大きさの例をあげれば、その直径が約5マイクロメートルから約3mmである。融解急冷法はたとえば、米国特許第5,605,870号明細書(ストローム・オルセン(Strom−Olsen)ら)に記載されているような方法で実施することができる。たとえば米国特許第6,482,758号明細書(ウェーバー(Weber))に記載されているような、レーザービームを用いた無容器ガラス製造方法もまた、本発明のガラスを製造するには有用である。
【0041】
典型的には、本発明により製造されるガラス−セラミックス、およびそのようなガラス−セラミックスを製造するために使用されるいくつかのガラスおよびセラミックス含有ガラスは、それぞれ互いに直交するx、yおよびz軸の寸法を有し、ここで、そのx、yおよびz軸の寸法のそれぞれは少なくとも10マイクロメートルである。いくつかの実施態様においては、このx、yおよびz軸の寸法が、少なくとも30マイクロメートル、35マイクロメートル、40マイクロメートル、45マイクロメートル、50マイクロメートル、75マイクロメートル、100マイクロメートル、150マイクロメートル、200マイクロメートル、250マイクロメートル、500マイクロメートル、1000マイクロメートル、2000マイクロメートル、2500マイクロメートル、1mm、5mm、あるいはさらには、もし融合が起きていれば、少なくとも10mmである。材料のこのx、yおよびz軸の寸法は、寸法の大きさに応じて、肉眼か顕微鏡を使用するかのいずれかで測定する。z軸方向の寸法として報告されるのは、たとえば、球の直径、コーティングの厚み、あるいはプリズム形状の最短寸法などである。
【0042】
ある種の他の金属酸化物を添加することによって、本発明により製造されるガラス−セラミックスの性質および/または結晶質構造または微細構造と、さらにはそのセラミックを製造する場合の原料物質および中間物質の加工性を変化させることが可能となる。たとえば、CaO、LiO、MgO、およびNaOなどのような酸化物を添加すると、ガラスのTおよびTの両方(ここでTは結晶化温度である)が変化することが観察されている。理論に拘束されることを欲するものではないが、そのようなものを添加することによってガラスの形成に影響が出るものと考えられる。さらに、たとえば、そのような酸化物を添加すると、系全体の融解温度を下げる(すなわち、系がより融点が低い共晶となる)ことが可能となり、ガラスの生成が容易となる。多成分系(4成分系など)における複合共晶を基本とする組成は、良好なガラス形成能を有することができる。液状融解物の粘度、およびその作業範囲にあるガラスの粘度は、特定の必要とされる酸化物とは別な金属酸化物を添加することによっても、変化させることが可能である。
【0043】
ガラス−セラミックスを形成させるための、ガラス、およびガラスを含むセラミックスの結晶化もまた、物質を添加することによって影響を受ける。たとえば、ある種の金属、金属酸化物(たとえば、チタン酸塩およびジルコン酸塩)およびフッ化物などは、核形成剤として働いて、結晶が好適な不均質な核形成をするようになる。また、ある種の酸化物を添加することによって、再加熱した際にガラスから失透(devitrifying)する準安定相の性質を変えることができる。別な態様においては、結晶質ZrOを含む、本発明により製造されるガラス−セラミックスの場合、ZrOの正方晶系/立方晶系の形態を安定化させることが知られている、金属酸化物(たとえば、Y、TiO、CeO、CaO、およびMgO)を添加するのも望ましい。
【0044】
本発明により製造されるガラス−セラミックスを製造するために、金属酸化物源およびその他の添加物を具体的に選択しようとすると、たとえば、所望の組成、微細構造、結晶化度、物理的性質(たとえば、硬度または靱性)、望ましくない不純物の存在、および、セラミックスを調製するために使用される具体的なプロセス(装置、ならびに溶融および/または固化の前および/またはその途中における原料物質の各種精製など)の望ましい、または必要とされる特性のようなことを、典型的には考慮に入れる。
【0045】
場合によっては、B、NaO、P、SiO、TeO、V、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される限定された量の金属酸化物を取り入れるのが好ましいこともある。商業的な供給源も含めた供給源としては、酸化物そのもの、複合酸化物、元素(たとえばSi)粉体、鉱石、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、塩酸塩、水酸化物、などが挙げられる。それらの金属酸化物を、たとえば、得られるガラス−セラミックの物理的性質を修正したり、および/または加工性を改良したりするために添加することができる。それらの金属酸化物を使用するならば典型的には、たとえば希望する性質に応じて、ガラス−セラミックの、合計して0より多く20重量%まで(いくつかの実施態様においては、合計して0より多く5重量%まで、さらには、合計して0より多く2重量%まで)の量で添加する。
【0046】
物質の微細構造または相の構成(ガラス質/結晶質)は多くの方法を用いて調べることができる。たとえば、光学顕微鏡法、電子顕微鏡法、示差熱分析法(DTA)、およびX線回折法(XRD)などを使用することによって、多くの情報を得ることができる。
【0047】
光学顕微鏡法を使用すると、非晶質物質では、結晶粒界のような光散乱中心がないために、典型的にはほとんど透明であるが、それに対して結晶質物質は結晶構造を示し、光散乱効果のために不透明となる。
【0048】
すべての粒子が非晶質(またはガラス)であることを望み、また得られる結果が100%未満であるならば、その非晶質(またはガラス)粒子を、非晶質ではない(ガラスではない)粒子から分離してもよい。そのような分離は、たとえば各種の従来の技術により実施することができるが、そのようなものとしては、密度または光学的透明度を利用して分離する方法が挙げられる。
【0049】
DTA法を使用した場合、発熱による結晶化事象(T)がその物質のDTA曲線に含まれていれば、その物質は非晶質と分類される。その同一の曲線に、Tよりも低い温度で吸熱事象(T)がさらに存在すれば、それはガラス相を含んでいると考えられる。物質のDTA曲線にそれらの事象が含まれていなければ、それは結晶質相を含んでいると考えられる。
【0050】
示差熱分析(DTA)は以下の方法に従って実施することができる。DTAを測定するには、−140+170メッシュの粒度画分(すなわち、105マイクロメートル開口寸法から90マイクロメートル開口寸法までの間の篩で集められた画分)を使用し、機器としては、たとえば独国ゼルプ(Selb、Germany)のネッツ・インストラメンツ(Netzsch Instruments)から入手可能な商品名「ネッツ(NETZSCH)STA409DTA/TGA」を使用する。それぞれの篩い分けしたサンプル(典型的には約400ミリグラム(mg))を、100マイクロリットルのAl製サンプルホルダー中に入れる。それぞれのサンプルを、静的空気(static air)中で、室温(約25℃)から1100℃まで10℃/分の速度で昇温させる。
【0051】
粉体X線回折、XRDを使用することで、(たとえば、ニュージャージー州モーウォー(Mahwah、NJ)のフィリップス(PHILLIPS)から商品名「フィリップス(PHILLIPS)XRG3100」として入手できるようなX線回折計で、1.54050オングストロームの銅Kα1照射を使用)、結晶化させた材料のXRD曲線中に存在するピークを、JCPDS(ジョイント・コミッティー・オン・パウダー・ディフラクション・スタンダーズ(Joint Committee on Powder Diffraction Standards)、インターナショナル・センター・フォア・ディフラクション・データ(International Center for Diffraction Data)出版のデータベースから得られる、結晶質相のXRDパターンと比較することによって、物質中に存在する相を調べることができる。さらに、XRDを使用して、相のタイプを定性的に調べることも可能である。ブロードに拡がった強度ピークがあれば、物質は非晶質な性質を有しているとみなす。ブロードなピークと明瞭なピークの両方が存在するならば、ガラスマトリックスの中に結晶質物質が存在していることを示しているとみなす。
【0052】
始めに形成されたガラスまたはセラミック(結晶化させる前のガラスを含む)の大きさが、所望の大きさよりも大きいことがあり得る。そのガラスが所望の幾何学的形状および/または大きさであれば、典型的にはその大きさを小さくする必要はない。そのようなガラスまたはセラミックは、当業者公知の破砕(crushing)および/または微粉砕(comminuting)方法を用いて、より小さい粒子とすることができるが、そのような方法としては、ロールクラッシャー粉砕、ジョークラッシャー粉砕、ハンマーミル粉砕、ボールミル粉砕、ジェットミル粉砕、インパクトクラッシャー粉砕などがある。場合によっては、2種類または多段の破砕工程を実施するのが望ましい。たとえば、セラミックを形成(凝固)させたときに、それが所望していたよりは大きな形状であることもある。第1の破砕工程では、それらの比較的大きな塊状物すなわち「チャンク(chunks)」を破砕して、より小さな粒子とする。これらのチャンクをこのように破砕するには、ハンマーミル、インパクトクラッシャーまたはジョークラッシャーを使用することができる。次いで、このようにしてより小さくした粒子をさらに破砕して、所望の粒度分布にする。所望の粒度分布(グリットサイズとか粒度とか呼ばれることもある)を製造するためには、多段の破砕工程を実施する必要があることもある。一般的には、破砕条件を最適化して、所望の粒子形状および粒度分布を得る。最終的な粒子が所望の粒度になっていないような場合には、大きすぎれば再粉砕すればよいし、小さすぎれば再溶融のための原料物質として「リサイクル」して使用すればよい。
【0053】
粒子の形状は、たとえば、セラミックの組成および/または微細構造、冷却時の幾何学的配置、およびセラミックの破砕方法(すなわち、使用した破砕技術)などによって、決まってくる。一般的に言って、「塊状(blocky)」の形状が好ましい場合には、その形状を得るためにはより大きなエネルギーが必要である。逆に、「圭角状(sharp)」の形状が好ましい場合には、その形状を得るために用いるエネルギーは小さくてもよい。破砕技術を変更することで、各種の所望の形状を得ることもできる。いくつかの粒子では、平均のアスペクト比を1:1から5:1までとするのが通常望まれるが、実施態様によっては、1.25:1から3:1まで、さらには1.5:1から2.5:1までとする場合もある。
【0054】
たとえば、所望の形状に物品を直接形成することもまた、本発明の範囲に含まれる。たとえば、型の中に融解物を注入するかまたは型内部で成形することによって、所望の物品を形成(成形を含む)することもできる。たとえば、米国特許出願第10/358,772号明細書(出願2003年2月5日)の出願に記載の成形方法も参照されたい。
【0055】
本発明により製造されるガラスおよびガラス−セラミックスの実施態様を得るには、寸法的な限定はない。このことは、ガラス転移温度よりも高い温度で融合過程を実施することにより、可能となることが見出された。この融合過程は本質的には、2個以上の小さな粒子から、より大きな粒子体を形成させるものである。たとえば、ガラスでは、ガラス転移(T)の後で顕著な結晶化(T)が起きるが、このことは、吸熱(T)が発熱(T)よりは低い温度に存在することからも明かである。たとえばガラスを含む粒子および/または繊維などをTよりも高い温度に加熱して、その粒子などを融合させて形状を形成させることによって、セラミック(結晶化前のガラスを含む)を得ることができる。融合させるために使用する温度と圧力は、ガラスの組成や、得られる物質において所望する密度によって決めることができる。その温度は、ガラス転移温度よりは高くするべきである。ある種の実施態様においては、この加熱は、約850℃から約1100℃までの範囲の中の少なくとも一つの温度(実施態様によっては、900℃〜1000℃)で実施する。典型的には、ガラスは融合の間は加圧下(たとえば、0よりは大きく1GPaまで、またはそれ以上)に置いて、ガラスの融合を促進させる。一つの実施態様においては、粒子などをダイの中に装入して、熱間圧縮によってガラス転位点よりも高い温度に加熱すると、粘稠なガラスが流動して融合し、比較的大きなものとなる。典型的な融合技術の例としては、熱間圧縮法、高温静水圧圧縮法、熱間押出し法、熱間鍛造法など(たとえば、焼結法、プラズマ励起焼結法)を挙げることができる。たとえば、ガラスを含む粒子(たとえば、破砕により得たもの)(ビーズおよびミクロスフェアを含む)、繊維などを、より大きな粒度とすることができる。融合によってさらに、所望の形状に成形した物体(たとえば、幾何学的形状)を得ることも可能である。いくつかの実施態様においては、その成形物体は、アスペクト比が1:1より大、さらには2:1より大の棒状物である。いくつかの実施態様においては、得られた融合物体を冷却してから、さらなる加熱処理をするのが望ましい。所望するならば加熱処理した後で、その融合体を破砕して、より小さな粒度としたり、所望の粒度分布としたりすることができる。
【0056】
ガラスの融合もまた、各種の方法で実施することが可能であって、そのような方法としては、非加圧焼結または加圧焼結が挙げられる。
【0057】
一般に加熱処理は、ガラス−セラミックスを得るためにガラスを加熱処理する、当業者公知のものを含めて各種の方法のいずれを用いて実施してもよい。たとえば加熱処理を、たとえば抵抗加熱炉、誘導加熱炉またはガス加熱炉を使用して、バッチで実施することもできる。それとは別な方法で、たとえば、たとえばロータリーキルン、流動床炉、またはペンデュラムキルン(pendulum kiln)を用いて、連続的に加熱処理(またはその一部)を実施することも可能である。ロータリーキルンまたはペンデュラムキルンの場合、典型的には、高温で運転しているキルンの中に材料を直接フィードする。流動床炉の場合においては、典型的には、ガス(たとえば、空気、不活性ガス、または還元性ガス)中に加熱処理するガラスを懸濁させる。高温で処理する時間は、数秒(実施態様によっては、5秒未満のこともある)から数分、さらには数時間の範囲である。その温度は典型的には、ガラスのTから1600℃までの範囲、より典型的には900℃〜1600℃、いくつかの実施態様においては、1200℃〜1500℃である。多段工程においていくつかの熱処理を実施することもまた本発明の範囲内である(たとえば、一つの工程が核形成で、もう一つの工程が結晶成長であって、ここで高密度化は典型的には、その結晶成長過程において起きる)。多段の熱処理を実施する場合には、典型的には、核形成速度と結晶成長速度のいずれか、または両方を調節するのが望ましい。一般的には、ほとんどのセラミック加工操作の間に、顕著な結晶成長をさせることなく、最大の高密度化を得るのが望ましい。理論に捕らわれることは欲しないが、結晶粒度が大きい程機械的性質が低下するのに対して、平均結晶子径が細かい程(たとえば、高強度や高硬度に)機械的性質が改良されると、セラミック業界においては一般に考えられている。具体的には、理論密度の少なくとも90、95、97、98、99、さらには100パーセントの密度を有するセラミックを形成させるのが非常に望ましいが、ここで、その平均結晶粒度は、0.15マイクロメートル未満、さらには0.1マイクロメートル未満である。
【0058】
本発明のいくつかの実施態様においては、ガラス、またはガラスを含むセラミックスは、アニールをしてから、加熱処理にかけることもできる。そのような場合、アニーリングは典型的には、ガラスのTよりも低い温度で、数秒から数時間、場合によっては数日かけて実施する。典型的には、アニーリングは3時間未満、さらには1時間未満の時間内で実施する。場合によっては、アニーリングを空気以外の雰囲気下で実施することもできる。さらに、熱処理における別の過程(すなわち、核形成過程と結晶成長過程)を異なった雰囲気下で実施することもできる。ガラスのTおよびT、さらにはT−Tは、加熱処理の際に使用した雰囲気に応じて、変化する可能性もあると考えられる。
【0059】
当業者公知の技術を用いて、ガラスの時間−温度−変態(TTT)を検討することにより適切な条件を求めることは、当業者ならば、可能である。当業者ならば、本発明のこの明細書を読めば、本発明によりガラス−セラミックを製造するために使用するガラスについてのTTT曲線を得て、本発明によるガラス−セラミックスを得るための核形成および/または結晶成長のための適切な条件を求めることができる筈である。
【0060】
加熱処理は、たとえば、昇温させた炉の中に原料を直接フィードすることによって起こさせることができる。別な方法としては、たとえば、原料をもっと低い温度(たとえば室温)で炉の中にフィードし、次いで予め定めた昇温速度で目的の温度まで加熱してもよい。加熱処理を空気以外の雰囲気で実施することも、本発明の範囲に含まれる。場合によっては、加熱処理を還元性の雰囲気で実施するのが望ましい場合もある。さらに、たとえば、熱間静水圧加圧法やガス加圧炉中などで、たとえばガスの圧力下で加熱処理するのが望ましいこともある。理論に捕らわれることは欲しないが、雰囲気によって、ガラスおよびガラス−セラミックスのいくつかの成分の酸化状態が影響を受ける可能性がある、と考えられる。酸化状態におけるそのような変化は、ガラスおよびガラス−セラミックスの着色に変化を与える可能性がある。さらに、核形成および結晶化の過程が、雰囲気によって影響される可能性もある(たとえば、ガラスのいくつかの化学種では、雰囲気がその原子易動度に影響するかもしれない)。
【0061】
さらなる加熱処理を実施して、材料の所望の性質をさらに改良することもまた、本発明の範囲に含まれる。たとえば、(たとえば、約900℃から約1400℃までの温度で)高温静水圧圧縮を実施して、残存している気孔を除き、物質の密度を上げることもできる。得られた物品や加熱処理した物品を変換(たとえば破砕)させて、粒子(たとえば本発明により製造される研磨粒子)を得ることも、本発明の範囲に含まれる。
【0062】
典型的には、ガラス−セラミックスはそれの原料となったガラスよりも強度が高い。したがって材料の強度を、たとえば、ガラスを結晶質セラミック相に変換させる程度によって、調節することが可能である。別な方法で、あるいはそれに付け加えて、材料の強度は、たとえば作り出す核形成サイトの数で調節することも可能で、その数によって結晶質相の結晶の数と大きさが決まってくる。ガラス−セラミックスの形成に関するさらに詳しいことは、たとえば、P.W.マクミラン(McMillan)の『ガラス−セラミックス(Glass−Ceramics)』第2版、アカデミック・プレス・インコーポレーテッド(Academic Press Inc.)、1979年を参照されたい。
【0063】
多くの他のタイプのセラミック加工(たとえば、高密度の焼結セラミック材料を得るための、焼成した材料の焼結)に比較して、ガラス−セラミックを形成させるためにガラスを結晶化させる際の収縮は比較的小さい(典型的には、30容積パーセント未満、いくつかの実施態様においては、20パーセント、10パーセント、5パーセント未満、さらには3容積パーセント未満)。実際の収縮量に影響を与えるのは、たとえば、ガラスの組成、加熱処理時間、加熱処理温度、加熱処理圧力、結晶化させるガラスの密度、形成させる結晶質相の相対量、結晶化度などである。その収縮量は当業者公知の慣用的な方法によって測定することができるが、たとえば、ディラトメトリー、アルキメデス(Archimedes)法、あるいは加熱処理前後の材料の寸法の測定などの方法が挙げられる。いくつかの場合では、加熱処理の間に、いくぶんかの揮発性の物質が発生することもあり得る。
【0064】
いくつかの実施態様においては、収縮特性が比較的低いと特に有利である。たとえば、所望の形状と寸法で(すなわち、ほぼ正味の形状(near−net shape)で)物品をガラス相に形成することが可能となり、それに続けて加熱処理することにより、少なくとも部分的にそのガラスを結晶化させることができる。その結果として、結晶化させた物質の製造および加工に関する、実質的なコストダウンが実現できる。
【0065】
いくつかの実施態様においては、ガラスがx、y、z方向を有していて、そのそれぞれが、少なくとも1cm(いくつかの実施態様においては、少なくとも5cm、さらには少なくとも10cm)の長さを有し、ここでそのガラスが容積を有し、ここで、得られるガラス−セラミックがx、y、z方向を有し、そのそれぞれが、少なくとも1cm(いくつかの実施態様においては、少なくとも5cm、さらには少なくとも10cm)の長さを有し、ここでそのガラス−セラミックが、ガラスの容積の少なくとも70(いくつかの実施態様においては、少なくとも75、80、85、90、95、96、さらには少なくとも97)パーセントの容積を有する。
【0066】
たとえば、本発明により製造されるガラス−セラミックスを製造するための、いくつかの見本的なガラスを加熱処理する際に、約900℃を超える温度では、LaZrおよび/または立方晶系/正方晶系ZrO、場合によっては単斜晶系ZrO、のような相が形成する可能性がある。理論に拘束されることを欲するものではないが、ジルコニア関連の相が、ガラスから核形成される最初の相であると考えられる。Al、ReAlO(ここでReは少なくとも1種の希土類カチオン)、ReAl1118、ReAl12、YAl12などの相が形成されるのは、一般に約925℃よりも高い温度においてであると考えられる。この核形成過程間の結晶子の径は、典型的には、ナノメートルのオーダーである。たとえば、10〜15ナノメートルのような小さな結晶が観察されている。少なくともいくつかの実施態様においては、約1300℃で約1時間加熱処理すると完全に結晶化する。一般的に言って、核形成および結晶成長過程それぞれでの加熱処理時間は、数秒(実施態様によっては、5秒未満のこともある)から数分、さらには1時間からそれ以上までの範囲でよい。
【0067】
平均結晶粒度は、ASTM規格E112−96の「スタンダード・テスト・メソッズ・フォア・デターミニング・アベレージ・グレイン・サイズ(Standard Test Methods for Determining Average Grain Size)」に従った、直線切断法(line intercept method)によって求めることができる。サンプルを、固定用樹脂(たとえば、イリノイ州レーク・ブラフ(Lake Bluff、IL)のビューラー(Buehler)から商品名「トランスオプティック・パウダー(TRANSOPTIC POWDER)」として得られるようなもの)で固定して、典型的には、直径約2.5cm、高さ約1.9cmの樹脂の円柱の形とする。固定した切片を、ポリッシャー(たとえば、イリノイ州レーク・ブラフ(Lake Bluff、IL)のビューラー(Buehler)から商品名「エコメット(ECOMET)3」として入手できるもの)を使用した通常のポリッシング法で調製する。このサンプルは、125マイクロメートルのダイヤモンドを含むダイヤモンドホイールを用いて約3分間ポリッシングした後で、それぞれ45、30、15、9、3および1マイクロメートルのスラリーを用いて5分間ポリッシングする。固定してポリッシングしたサンプルを、金・パラジウムの薄膜でスパッタリングしてから、走査電子顕微鏡(たとえば、マサチューセッツ州ピーボディ(Peabody,MA)のJEOLからのモデルJSM840A)を用いて観察する。サンプル中に見出される微細構造の典型的な後方散乱電子(BSE)顕微鏡写真を使用して、以下のようにして平均結晶子の径を求める。顕微鏡写真の上にランダムに引いた直線の単位長さ(N)あたりの、それを切断している結晶子の数を計数する。この数字から、以下の式を使用して平均の結晶子の径を求める。
平均結晶子径=1.5/(NM)
ここでNは、単位長さを切断している結晶子の数であり、Mは顕微鏡の倍率である。
【0068】
別な態様においては、本発明により製造されるガラス−セラミックスには、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、97、98、99、さらには100容積パーセントの結晶子が含まれていてよいが、ここでその結晶子は、1マイクロメートル未満、0.5マイクロメートル未満、0.3マイクロメートル未満、さらには0.15マイクロメートル未満の平均サイズを有している。
【0069】
本発明により製造されるガラス−セラミックスの中に存在しうる結晶相の例としたは、下記のようなものが挙げられる:アルミナ(たとえば、α−アルミナおよび遷移アルミナ)、REO(たとえば、La)、Y、MgO、1種または複数のその他の金属酸化物たとえば、BaO、CaO、Cr、CoO、Fe、GeO、LiO、MnO、NiO、NaO、P、Sc、SiO、SrO、TeO、TiO、V、ZnO、HfO、ZrO(たとえば、立方晶系ZrOおよび正方晶系ZrO)、さらには「複合金属酸化物」(複合Al・金属酸化物(たとえば、複合Al・REO(たとえば、ReAlO(たとえば、GdAlO、LaAlO)、ReAl1118(たとえば、LaAl1118)、およびReAl12(たとえば、DyAl12))、および複合Al・Y(たとえば、YAl12))、ならびに複合ZrO・REO(たとえば、LaZr))、複合ZrO・Nb、複合ZrO・Ta、複合REO・Nb、複合REO・Ta、複合Al・Nb、複合Al・Ta、およびそれらの組み合わせ、を含む)。典型的には、本発明によるセラミックスは、共晶微細構造特性を有していない。
【0070】
複合Al・金属酸化物(たとえば、複合Al・REOおよび/または複合Al・Y(たとえば、ガーネット結晶構造を示すアルミン酸イットリウム))の中のアルミニウムカチオンの一部を他のカチオンと置換することも、本発明の範囲に含まれる。たとえば、複合Al・Yの中のAlカチオンの一部を、Cr、Ti、Sc、Fe、Mg、Ca、Si、Co、およびそれらの組み合わせ、からなる群より選択される元素の少なくとも1種のカチオンと置換することができる。たとえば、複合Al・Yの中のYカチオンの一部を、Ce、Dy、Er、Eu、Gd、Ho、La、Lu、Nd、Pr、Sm、Th、Tm、Yb、Fe、Ti、Mn、V、Cr、Co、Ni、Cu、Mg、Ca、Sr、およびそれらの組み合わせ、からなる群より選択される元素の少なくとも1種のカチオンと置換することができる。さらに、たとえば、複合Al・REOの中の希土類カチオンの一部を、Y、Fe、Ti、Mn、V、Cr、Co、Ni、Cu、Mg、Ca、Sr、およびそれらの組み合わせ、からなる群より選択される少なくとも1種のカチオンと置換することができる。上記のようなカチオンの置換を行うと、セラミックの性質(たとえば、硬度、靱性、強度、熱伝導性など)が影響されることがある。
【0071】
本発明により製造されるガラス−セラミックスの実施態様を得るために、非晶質物質を加熱処理することによって形成された結晶は、たとえば、針状等軸晶、柱状晶、または平板状(flattened splat−like)の形態を有していてもよい。
【0072】
それらのガラスまたはガラス−セラミックはバルク物質の形態であってもよいが、本発明により製造されるガラスおよび/またはガラス−セラミックを含む複合材料を提供することも、本発明の範囲内である。そのような複合材料には、本発明により製造されるガラス−セラミックの中に分散させた、たとえば相または(連続または不連続の)繊維または粒子(ホイスカーを含む)(たとえば、金属酸化物粒子、ホウ化物粒子、炭化物粒子、窒化物粒子、ダイヤモンド粒子、金属粒子、ガラス粒子、およびそれらの組み合わせ)を含んでいたり、または、層状化複合材構造(たとえば、ガラス−セラミックから、そのガラス−セラミックおよび/または異なったガラス−セラミックス組成物の層を製造するために使用するガラスへと傾斜をもたせる)。
【0073】
ガラス−セラミックスを製造するために使用されるある種のガラスは、たとえば、約750℃〜約950℃の範囲、またはそれ以上のTを有していてもよい。
【0074】
本発明により製造されるガラス−セラミックスの平均硬度は、以下のようにして測定することができる。物質の切片を、固定用樹脂(たとえば、イリノイ州レーク・ブラフ(Lake Bluff、IL)のビューラー(Buehler)から商品名「トランスオプティック・パウダー(TRANSOPTIC POWDER)」として得られるもの)で固定して、典型的には、直径約2.5cm、高さ約1.9cmの樹脂の円柱の形とする。固定した切片を、ポリッシャー(たとえば、イリノイ州レーク・ブラフ(Lake Bluff、IL)のビューラー(Buehler)から商品名「エコメット(ECOMET)3」として入手できるもの)を使用した通常のポリッシング法で調製する。このサンプルは、125マイクロメートルのダイヤモンドを含むダイヤモンドホイールを用いて約3分間ポリッシングした後で、それぞれ45、30、15、9、3および1マイクロメートルのスラリーを用いて5分間ポリッシングする。微小硬度の測定には従来タイプのビッカース圧子を取り付けた微小硬度試験器(たとえば、日本国東京の(株)ミツトヨ(Mitutoyo Corporation)から入手可能な商品名「ミツトヨ(MITUTOYO)MVK−VL」)を使用し、押し込み荷重として100グラムを用いる。微小硬度の測定は、ASTM試験方法E384「テスト・メソッズ・フォア・マイクロハードネス・オブ・マテリアルズ(Test Methods for Microhardness of Materials)(1991)」に記載されたガイドラインに従って行う。その平均硬度は、10個の測定の平均値である。
【0075】
本発明により製造されるある種のガラス−セラミックスは、典型的には、少なくとも12GPa、13GPa、14GPa、15GPa、16GPa、17GPa、18GPa、さらには少なくとも19GPaの平均硬度を有する。本発明により製造した研磨粒子は、少なくとも15GPa、いくつかの実施態様においては、少なくとも16GPa、少なくとも17GPa、18GPa、またはさらには少なくとも19GPaの平均硬度を有する。
【0076】
本発明により製造するのに使用するガラス−セラミックスおよびガラスのいくつかの実施態様においては、前記のガラス−セラミックまたはガラスが、Al(いくつかの実施態様においては、35.73重量パーセントのAl、いくつかの実施態様においては、約35または36重量パーセントのAl、いくつかの実施態様においては、35〜36、34〜36、または34〜37重量パーセントの範囲のAl)を含み、La(いくつかの実施態様においては、REO)(いくつかの実施態様においては、42.17重量パーセントのLa(いくつかの実施態様においては、REO)、いくつかの実施態様においては、約42重量パーセントのLa(いくつかの実施態様においては、REO)、いくつかの実施態様においては、42〜43または41〜43)重量パーセントのLa(いくつかの実施態様においては、REO)と、ZrO(いくつかの実施態様においては、ZrOおよび/または(一括して)HfO)(いくつかの実施態様においては、17.1重量パーセントのZrO(いくつかの実施態様においては、ZrOまたはHfOの少なくとも1種)、いくつかの実施態様においては、約17重量パーセントのZrO(いくつかの実施態様においては、ZrOまたはHfOの少なくとも1種)、いくつかの実施態様においては、17〜18または16〜18)重量パーセントの範囲のZrO(いくつかの実施態様においては、ZrOまたはHfOの少なくとも1種)とが存在する場合には、そのガラスまたはガラス−セラミックには、ガラス−セラミックまたはガラスの全重量を基準にして、5重量パーセントよりも少ないか、または5重量パーセントよりも多いかのいずれか、(いくつかの実施態様においては、約5ではなく、5より少ない、または5より多い、いくつかの実施態様においては、4、3、2、もしくは1以下、または少なくとも6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、さらには少なくとも80)重量パーセントの、NbまたはTaの少なくとも1種を、それぞれ含む。
【0077】
典型的には、そして望ましくは、本発明により製造されるガラス−セラミックス、およびそのようなガラス−セラミックスを製造するために使用されるガラスの(真の)密度(時には、比重と呼ばれることもある)は、典型的には、理論密度の少なくとも70%である。より望ましくは、本発明により製造されるガラス−セラミックス、およびそのようなガラス−セラミックスを製造するために使用されるガラスの(真の)密度は、理論密度の少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、さらには100%である。本発明により製造される研磨粒子は、理論密度の少なくとも85%、90%、92%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、さらには100%の密度を有する。
【0078】
本発明により製造されるガラス−セラミックスを用いて、たとえば、充填材、補強材料および/またはマトリックス材料としての物品を製造することができる。たとえば、本発明により製造されるガラス−セラミックは、複合材料(たとえば、セラミック、金属、またはポリマー(熱硬化性または熱可塑性))において補強材として使用するのに適した、粒子および/または繊維の形態とすることができる。それらの粒子および/または繊維は、たとえば、マトリックス材料のモジュラス、耐熱性、耐摩耗性および/または強度を上げることができる。複合材料を作る場合に使用する粒子および/または繊維の粒度、形状および量は、たとえば、その複合材料の特定のマトリックス材料や用途によって決まってくるが、補強用粒子の粒度は典型的には、約0.1〜1500マイクロメートル、より典型的には1〜500マイクロメートルの範囲、そして望ましくは2〜100マイクロメートルの間である。ポリマー用途の場合の粒子の量は、典型的には約0.5パーセント〜約75重量パーセント、より典型的には約1〜約50重量パーセントである。熱硬化性ポリマーの例としては、フェノール系、メラミン、尿素ホルムアルデヒド、アクリレート、エポキシ、ウレタンポリマーなどを挙げることができる。熱可塑性ポリマーの例としては、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミドなどを挙げることができる。
【0079】
強化ポリマー材料の用途(すなわちポリマー中に本発明により製造される補強粒子を分散させた)の例としては、保護コーティング、たとえば、コンクリート、家具、床、道路、木材、木材類似材料、セラミックスなどや、さらには、滑り止めコーティングや、射出成形したプラスチック部品や部材が挙げられる。
【0080】
さらに、たとえば、本発明により製造されるガラス−セラミックはマトリックス材料として使用することも可能である。たとえば、本発明により製造されるガラス−セラミックスは、セラミック材料など、たとえばダイヤモンド、立方晶系−BN、Al、ZrO、Si、およびSiCのためのバインダーとしても使用することができる。そのような物質を含む有用な物品の例としては、複合材料基材コーティング、補強剤(たとえば、粒子)、切削工具インサート研磨材凝集体、およびビトリファイドホイールのような結合研磨物品などが挙げられる。本発明により製造されるガラス−セラミックスをバインダーとして使用することにより、たとえば、複合材料物品の弾性率、耐熱性、耐摩耗性、および/または強度を向上させることができる。
【0081】
本発明により製造される研磨粒子には通常結晶質セラミックを含む(たとえば、少なくとも75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99.5、またはさらには100容積パーセントの結晶質セラミック)。また別な態様において、本発明は、微粉から粗粒子までの範囲の粒度分布を有する複数の粒子を提供し、そこで、その複数の粒子の少なくとも一部は本発明により製造される研磨粒子である。また別な態様において、本発明により製造される研磨粒子の実施態様には一般に(たとえば、少なくとも75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99.5、99.9またはさらには100容積パーセント)の本発明により製造されるガラス−セラミックを含む。
【0082】
本発明により製造される研磨粒子は、当業者には周知の方法を用いて篩い分けし、分級することが可能で、そのようなものとしては、産業界で承認されている分級規格たとえば、ANSI(アメリカン・ナショナル・スタンダーズ・インスティチュート(American National Standards Institute))、FEPA(フェデラシオン・ユーロピニー・デ・ファブリカント・デ・プロダクツ・アブラシフス(Federation Europeenne des Fabricants de Products Abrasifs))およびJIS(日本工業規格)などを使用する。本発明により製造され研磨粒子は広い範囲の粒度で使用することができるが、典型的には、約0.1から約5000マイクロメートルの粒度範囲、約1から約2000マイクロメートル、約5から約1500マイクロメートル、さらには、いくつかの実施態様においては、約100から約1500マイクロメートルの範囲である。
【0083】
所定の粒度分布の中では、粗粒子から微粒子までの範囲の粒度がある。研磨材業界においては、この範囲を「粗粒(coarse)」、「中粒(control)」および「微粉(fine)」画分と呼ぶこともある。業界に受容された分級規格に従って分級された研磨粒子はそれぞれ、その粒度分布を、ある数値限度内の公称グレードとして規定される。そのような業界に受容された分級規格としては、アメリカン・ナショナル・スタンダーズ・インスティチュート・インコーポレーテッド(American National Standards Institute、Inc.)(ANSI)規格、フェデレーション・オブ・ユーロピアン・プロデューサーズ・オブ・アブレーシブ・プロダクツ(Federation of European Producers of Abrasive Products)(FEPA)規格、および日本工業規格(JIS)規格として知られているものが挙げられる。ANSIグレード名(すなわち規定公称グレード)としては:ANSI4、ANSI6、ANSI8、ANSI16、ANSI24、ANSI36、ANSI40、ANSI50、ANSI60、ANSI80、ANSI100、ANSI120、ANSI150、ANSI180、ANSI220、ANSI240、ANSI280、ANSI320、ANSI360、ANSI400、およびANSI600が挙げられる。FEPAグレード名としては、P8、P12、P16、P24、P36、P40、P50、P60、P80、P100、P120、P150、P180、P220、P320、P400、P500、P600、P800、P1000、およびP1200が挙げられる。JISグレード名としては、JIS8、JIS12、JIS16、JIS24、JIS36、JIS46、JIS54、JIS60、JIS80、JIS100、JIS150、JIS180、JIS220、JIS240、JIS280、JIS320、JIS360、JIS400、JIS600、JIS800、JIS1000、JIS1500、JIS2500、JIS4000、JIS6000、JIS8000、およびJIS10,000が挙げられる。
【0084】
破砕して篩い分けた後では、典型的には、多くの異なった研磨粒子の粒度分布すなわちグレードが存在する。このようにグレードが多いと、時期によっては、生産業者や供給業者の要求に適合しないこともあり得る。在庫を最小限に抑えるために、必要としないグレード品をリサイクルして、融解物に戻しガラスにすることができる。このリサイクルは破砕工程の後に実施でき、そのような粒子は、篩い分けで特定の粒度分布に入らない、大きすぎるチャンクまたは小さすぎる粒子(微粉と呼ばれることもある)などである。ガラスを破砕すると、かなり結晶化させたガラス−セラミックスを破砕したものよりは、より圭角状の粒子を与える傾向がある。
【0085】
別な態様において本発明は、バインダーによって互いに結合された複数の本発明により製造される研磨粒子をそれぞれ含む凝集研磨材結晶粒を提供する。別な態様において本発明は、バインダーおよび複数の研磨粒子を含む研磨物品(たとえば、被覆研磨物品、結合研磨物品(ビトリファイド、レジノイドおよび金属で結合させた研削ホイール、カットオフホイール、マウンテッドポイントおよびホーニングストーンを含む)、不織研磨物品、および研磨ブラシ)を提供し、ここでその研磨粒子の少なくとも一部は、本発明により製造される研磨粒子(研磨粒子が凝集している場合も含む)である。そのような研磨物品の製造方法および研磨物品の使用方法は当業者には周知である。さらに、本発明により製造される研磨粒子は、研磨粒子を用いる研磨材用途、たとえば研磨コンパウンドのスラリー(たとえば、ポリッシングコンパウンド)、ミリング媒体、ショットブラスト媒体、振動ミル媒体などにおいて、使用することができる。
【0086】
被覆研磨物品には一般に、バッキング、研磨粒子、およびその研磨粒子をバッキングの上に保持するための少なくとも1種のバインダーが含まれる。バッキングとしては適当な材料ならば何を使用してもよいが、たとえば、布、ポリマーフィルム、繊維、不織ウェブ、紙、それらの組み合わせ、およびそれらを処理したものなどが挙げられる。好適なバインダーとしては無機または有機バインダーが挙げられる(熱硬化性樹脂および放射線硬化性樹脂を含む)。研磨粒子は、被覆研磨物品の1層内に存在していても、2層内に存在していてもよい。
【0087】
被覆研磨物品の例を図1に示している。図1を参照すると、被覆研磨物品1には、バッキング(基材)2と研磨材層3が含まれる。研磨材層3には本発明により製造される研磨粒子4が含まれ、それは、メイクコート5およびサイズコート6によってバッキング2の主表面に保持されている。場合によっては、スーパーサイズコートも使用される(図示せず)。
【0088】
結合研磨物品には典型的には、有機、金属系またはビトリファイドバインダーによって結合された研磨粒子の成形塊状物が含まれる。そのような成形塊状物は、たとえば、ホイール、たとえば研削ホイールまたはカットオフホイールのような形状であってもよい。研削ホイールの直径は典型的には、約1cmから1メートルを超えるものまで、カットオフホイールの直径は約1cmから80cmを超えるものまで(より典型的には3cm〜約50cm)ある。カットオフホイールの厚みは典型的には、約0.5mm〜約5cm、より典型的には約0.5mm〜約2cmである。成形塊状物は、たとえば、ホーニングストーン、セグメント、マウンテッドポイント、ディスク(たとえば、ダブルディスクグラインダー)の形状、またはその他の従来からの結合研磨材形状であってもよい。結合研磨物品には典型的には、結合研磨物品の全容積を基準にして、約3〜50容積%の結合材料、約30〜90容積%の研磨粒子(または研磨粒子ブレンド物)、50容積%までの添加物(研削助剤を含む)、および70容積%までの気孔が含まれる。
【0089】
研削ホイールの例を図2に示す。図2に研削ホイール10を示しているが、これには、ホイールの形に成形されハブ12に取り付けられた、本発明により製造される研磨粒子11が含まれている。
【0090】
不織研磨物品は典型的には、通気性の多孔質で嵩だかなポリマーフィラメント構造を含んでいて、本発明により製造される研磨粒子が構造全体に分散され、有機バインダーによってその中に接着結合させられている。フィラメントの例を挙げれば、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維およびポリアラミド繊維などがある。不織研磨物品の例を図3に示す。図3には、典型的な不織研磨物品を約100倍に拡大した模式的な図を示しているが、それには基材として繊維マット50を含み、その上に本発明により製造される研磨粒子52をバインダー54を用いて接着させてある。
【0091】
有用な研磨ブラシとしては、バッキングと一体になった複数の剛毛を有するものが挙げられる(たとえば、米国特許第5,427,595号明細書(ピール(Pihl)ら)、米国特許第5,443,906号明細書(ピール(Pihl)ら)、米国特許第5,679,067号明細書(ジョンソン(Johnson)ら)、および米国特許第5,903,951号明細書(イオンタ(Ionta)ら)を参照されたい)。そのようなブラシは、ポリマーおよび研磨粒子の混合物を射出成形することによって製造するのが望ましい。
【0092】
研磨物品を作るのに好適な有機バインダーとしては、熱硬化性有機ポリマーが挙げられる。好適な熱硬化性有機ポリマーの例としては、フェノール樹脂、尿素・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂、ウレタン樹脂、アクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、α,β−不飽和カルボニル基をペンダントさせたアミノプラスト樹脂、エポキシ樹脂、アクリレート化ウレタン、アクリレート化エポキシ、およびそれらの組み合わせ、を挙げることができる。バインダーおよび/または研磨物品にはさらに添加物を加えることができ、そのようなものとしては、繊維、潤滑剤、濡れ剤、チキソトロープ原料、界面活性剤、顔料、染料、静電防止剤(たとえば、カーボンブラック、酸化バナジウム、グラファイトなど)、カップリング剤(たとえば、シラン、チタン酸塩、ジルコアルミン酸塩など)、可塑剤、沈殿防止剤、などを挙げることができる。これら任意成分の添加物の量は、所望の性質が得られるように選択する。カップリング剤は、研磨粒子および/または充填材に対する接着性を改良する。バインダー化学品は、加熱硬化、放射線硬化あるいはそれらの組み合わせで硬化させることができる。バインダー用化学品に関するさらに詳しいことは、米国特許第4,588,419号明細書(カウル(Caul)ら)、米国特許第4,751,138号明細書(チュミイ(Tumey)ら)および米国特許第5,436,063号明細書(フォレット(Follett)ら)に見出すことができる。
【0093】
ビトリファイド結合研磨材に関してさらに具体的に言えば、非晶質構造を示し典型的には硬度の高いガラス質結合材料が、当業者には周知である。場合によっては、そのガラス質結合材料には結晶質相が含まれる。本発明により製造される結合させたビトリファイド研磨物品は、ホイール(カットオフホイールを含む)、ホーニングストーン、マウンテッドポイントの形態またはその他の従来からの結合研磨材の形態であってもよい。いくつかの実施態様においては、本発明により製造されるビトリファイド結合研磨物品は研削ホイールの形態である。
【0094】
ガラス質結合材料を形成させるために使用される金属酸化物の例を挙げれば、シリカ、ケイ酸塩、アルミナ、ソーダ、カルシア、ポタシア、チタニア、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化リチウム、マグネシア、ボリア、ケイ酸アルミニウム、ホウケイ酸ガラス、ケイ酸アルミニウムリチウム、それらの組み合わせ、などがある。典型的には、ガラス質結合材料は、10から100%までのガラスフリットを含む組成物から形成することができるが、より典型的には、20%〜80%のガラスフリット、または30%〜70%のガラスフリットを含む組成物から形成することができる。ガラス質結合材料の残りの部分は、非フリット材料でよい。別な方法としては、ガラス質の結合を、フリット非含有組成物から誘導することもできる。ガラス質結合材料は、典型的には約700℃〜約1500℃の範囲の温度、通常は約800℃〜約1300℃の範囲、時には約900℃〜約1200℃の範囲、さらには約950℃〜約1100℃の範囲で養生させる。結合を養生させる実際の温度は、たとえば、個々の結合の化学によって決まってくる。
【0095】
いくつかの実施態様においては、ビトリファイド結合材料としては、シリカ、アルミナ(望ましくは少なくとも10重量パーセントのアルミナ)およびボリア(望ましくは少なくとも10重量パーセントのボリア)を含むものを挙げることができる。ほとんどの場合、このビトリファイド結合材料にはさらに、アルカリ金属酸化物(類)(たとえば、NaOおよびKO)を含む(場合によっては、少なくとも10重量パーセントのアルカリ金属酸化物(類)を含む)。
【0096】
バインダー材料には、さらに、充填材物質または研削助剤を、典型的には粒子状物質として含むことができる。典型的にはこの粒子状物質は、無機物質である。本発明のための充填材として有用なものの例を挙げると:金属炭酸塩(たとえば、炭酸カルシウム(たとえば、チョーク、方解石、マール、トラバーチン、大理石および石灰石)、炭酸カルシウムマグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム)、シリカ(たとえば、石英、ガラスビーズ、ガラスバブルおよびガラス繊維)、ケイ酸塩(たとえば、タルク、クレイ、(モンモリロナイト)長石、マイカ、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム)、金属硫酸塩(たとえば、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸ナトリウム、硫酸アルミニウムナトリウム、硫酸アルミニウム)、セッコウ、バーミキュライト、木粉、アルミニウム三水和物、カーボンブラック、金属酸化物(たとえば、酸化カルシウム(ライム)、酸化アルミニウム、二酸化チタン)、および金属亜硫酸塩(たとえば、亜硫酸カルシウム)などがある。
【0097】
一般的には、研削助剤を添加すると、研磨物品の使用寿命が延びる。研削助剤は、研磨の化学的、物理的過程に大きな影響を与えて、それにより性能を向上させる物質である。理論に拘束されることなく言えば、研削助剤(類)は、(a)研磨粒子と、研磨されるワークピースとの間の摩擦を減少させ、(b)研磨粒子の「キャッピング(capping)」を防止する(すなわち、研磨粒子の上に金属粒子が融着するのを防止する)か、または少なくとも研磨粒子がキャッピングする傾向を抑える、(c)研磨粒子とワークピースの界面の温度を下げ、または(d)研削力を軽減する、と考えられる。
【0098】
研削助剤には、幅広い範囲の各種物質が含まれ、それらは無機系であっても有機系であってもよい。研削助剤について化合物の群で例を挙げれば、ワックス、有機ハロゲン化化合物、ハロゲン化物塩ならびに金属およびそれらの合金がある。有機ハロゲン化化合物は典型的には、研磨の際に分解して、ハロゲン酸または気体のハロゲン化化合物を放出する。そのような物質の例としては、テトラクロロナフタレン、ペンタクロロナフタレン、およびポリ塩化ビニルのような塩素化ワックスが挙げられる。ハロゲン化物塩の例としては、塩化ナトリウム、カリウム氷晶石、ナトリウム氷晶石、アンモニウム氷晶石、テトラフルオロホウ酸カリウム、テトラフルオロホウ酸ナトリウム、フッ化ケイ素、塩化カリウム、および塩化マグネシウムが挙げられる。金属の例としては、スズ、鉛、ビスマス、コバルト、アンチモン、カドミウム、および鉄チタンが挙げられる。その他の研削助剤には、硫黄、有機硫黄化合物、グラファイト、および金属硫化物を挙げることができる。各種の研削助剤を組み合わせて使用することも本発明の範囲に含まれ、場合によってはそれによって相乗効果が得られることもある。
【0099】
研削助剤は、被覆研磨物品および結合研磨物品において特に有用である。被覆研磨物品の場合、研削助剤は典型的には、研磨粒子の表面に塗布されるスーパーサイズコートの中で使用される。しかしながら、場合によっては、研削助剤をサイズコートに添加することもある。被覆研磨物品の中に加える研削助剤の量は典型的には、約50〜300g/m(望ましくは約80〜160g/m)である。ビトリファイド結合研磨物品の場合には、典型的には研削助剤を物品の気孔の中に含浸させる。
【0100】
研磨物品には、本発明により製造される研磨粒子を100%含ませてもよいし、あるいは、そのような研磨粒子と他の研磨粒子および/または希釈粒子とのブレンド物を含ませてもよい。しかしながら、研磨物品中の研磨粒子の少なくとも約2重量%、望ましくは少なくとも約5重量%、より望ましくは約30〜100重量%が、本発明により製造される研磨粒子となるようにするべきである。場合によっては、本発明による研磨粒子を他の研磨粒子および/または希釈粒子と、その比を5対75重量%、約25対75重量%、約40対60重量%、または約50%対50重量%(すなわち、重量で等量)の間として、ブレンドしてもよい。好適な従来からの研磨粒子の例を挙げれば、溶融酸化アルミニウム(白色溶融アルミナ、加熱処理酸化アルミニウムおよび褐色酸化アルミニウムを含む)、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素、ガーネット、溶融アルミナ−ジルコニア、およびゾルゲル法による研磨粒子、などがある。ゾルゲル法による研磨粒子は、種結晶有りのものでも、無しのものでもよい。同様にして、ゾルゲル法による研磨粒子は、ランダムな形状をしていてもよいし、あるいは、種結晶に関連した、棒状または三角形などのような形状をとっていてもよい。ゾルゲル研磨粒子の例としては、以下の特許に記載されているものを挙げることができる:米国特許第4,314,827号明細書(ライトハイザー(Leitheiser)ら)、米国特許第4,518,397号明細書(ライトハイザー(Leitheiser)ら)、米国特許第4,623,364号明細書(コットリンガー(Cottringer)ら)、米国特許第4,744,802号明細書(シュワーベル(Schwabel))、米国特許第4,770,671号明細書(モンロー(Monroe)ら)、米国特許第4,881,951号明細書(ウッド(Wood)ら)、米国特許第5,011,508号明細書(ワルド(Wald)ら)、米国特許第5,090,968号明細書(ペロウ(Pellow))、米国特許第5,139,978号明細書(ウッド(Wood))、米国特許第5,201,916号明細書(ベルグ(Berg)ら)、米国特許第5,227,104号明細書(バウアー(Bauer))、米国特許第5,366,523号明細書(ローベンホルスト(Rowenhorst)ら)、米国特許第5,429,647号明細書(ラーミー(Larmie))、米国特許第5,498,269号明細書(ラーミー(Larmie))、および米国特許第5,551,963号明細書(ラーミー(Larmie))。原料物質源としてアルミナ粉体を使用して製造した、焼結アルミナ研磨粒子に関するさらに詳しいこともまた、たとえば、米国特許第5,259,147号明細書(ファルツ(Falz))、米国特許5,593,467号明細書(モンロー(Monroe))、および米国特許5,665,127号明細書(モルツゲン(Moltgen))に見出すことができる。溶融研磨粒子についてのさらに詳しいことは、たとえば、以下の特許に見出すことができる:米国特許第1,161,620号明細書(コールター(Coulter))、米国特許第1,192,709号明細書(トーン(Tone))、米国特許第1,247,337号明細書(サウンダース(Saunders)ら)、米国特許第1,268,533号明細書(アレン(Allen))、および米国特許第2,424,645号明細書(バウマン(Baumann)ら)、米国特許第3,891,408号明細書(ラウズ(Rowse)ら)、米国特許第3,781,172号明細書(ペット(Pett)ら)、米国特許第3,893,826号明細書(キナン(Quinan)ら)、米国特許第4,126,429号明細書(ワトソン(Watson))、米国特許第4,457,767号明細書(プーン(Poon)ら)、米国特許第5,023,212号明細書(デュボッツ(Dubots)ら)、米国特許第5,143,522号明細書(ギブソン(Gibson)ら)、および米国特許第5,336,280号明細書(デュボッツ(Dubots)ら)、ならびに米国特許出願第09/495,978号明細書、第09/496,422号明細書、第09/496,638号明細書および第09/496,713号明細書(上記はいずれも、2000年2月2日出願)、米国特許出願第09/618,876号明細書、第09/618,879号明細書、第09/619,106号明細書、第09/619,191号明細書、第09/619,192号明細書、第09/619,215号明細書、第09/619,289号明細書、第09/619,563号明細書、第09/619,729号明細書、第09/619,744号明細書および第09/620,262号明細書(以上いずれも、2000年7月19日出願)、第09/704,843号明細書(2000年11月2日出願)、および米国特許出願第09/772,730号明細書(2001年1月30日出願)。セラミック研磨粒子についてのさらに詳しいことは、たとえば、以下の出願に見出すことができる:米国特許出願第09/922,526号明細書、第09/922,527号明細書、第09/922,528号明細書、および第09/922,530(いずれも、2001年8月2日出願、現在では放棄)、第10/211,597号明細書、第10/211,638号明細書、第10/211,629号明細書、第10/211,598号明細書、第10/211,630号明細書、第10/211,639号明細書、第10/211,034号明細書、第10/211,044号明細書、第10/211,628号明細書、第10/211,491号明細書、第10/211,640号明細書、および第10/211,684号明細書(いずれも、2002年8月2日出願)、および第10/358,772号明細書、第10/358,765号明細書、第10/358,910号明細書、第10/358,855号明細書、および第10/358,708号明細書(いずれも、2003年2月5日出願)。場合によっては、研磨粒子をブレンドすることによって得られる研磨物品が、それぞれの研磨粒子100%からなる研磨物品に比較して、改良された研削性能を示すこともあり得る。
【0101】
研磨粒子のブレンド物を用いる場合には、そのブレンド物を形成する研磨粒子のタイプは、同じ粒度のものであってもよい。それとは逆に、その研磨粒子のタイプが異なった粒度を持っていてもよい。たとえば、大きい方の粒度の研磨粒子が本発明により製造される研磨粒子であり、小さい方の粒度の粒子が他のタイプの研磨粒子であってもよい。逆に、小さい方の粒度の研磨粒子が本発明により製造される研磨粒子であり、大きい方の粒度の粒子が他のタイプの研磨粒子であってもよい。
【0102】
好適な希釈粒子の例としては、大理石、セッコウ、フリント、シリカ、酸化鉄、ケイ酸アルミニウム、ガラス(ガラスバブルおよびガラスビーズを含む)、アルミナバブル、アルミナビーズおよび希釈凝集体を挙げることができる。本発明により製造される研磨粒子を研磨材凝集体の中に組み込んだり、研磨材凝集体と共に使用したりすることも可能である。典型的には研磨材凝集体粒子には、複数の研磨粒子、バインダーおよび任意の添加物が含まれる。そのバインダーは有機系および/または無機系であってよい。研磨材凝集体はランダムな形状をしていても、あるいはそれらに関連する予め定められた形状をしていてもよい。その形状は、ブロック状、円筒状、角錐状、コイン状、四角形などであってよい。研磨材凝集体粒子の典型的な粒度は、約100から約5000マイクロメートルの範囲、典型的には約250〜約2500マイクロメートルである。研磨材凝集体粒子についてのさらに詳しいことは、たとえば、以下の特許に見出すことができる:米国特許第4,311,489号明細書(クレスナー(Kressner))、米国特許第4,652,275号明細書(ブレッチャー(Bloecher)ら)、米国特許第4,799,939号明細書(ブレッチャー(Bloecher)ら)、米国特許第5,549,962号明細書(ホームズ(Holmes)ら)、および米国特許第5,975,988号明細書(クリスチャンソン(Christianson))、ならびに米国特許出願第09/688,444号明細書および第09/688,484号明細書(それぞれ2000年10月16日出願)、米国特許出願第09/688,444号明細書、第09/688,484号明細書、および第09/688,486号明細書(それぞれ、2000年10月16日出願)、および米国特許出願第09/971,899号明細書、第09/972,315号明細書、および第09/972,316号明細書(それぞれ、2001年10月5日出願)。
【0103】
研磨粒子は、研磨物品の中に均一に分散させてもよいし、あるいは研磨物品の選択した領域または部分に集中させてもよい。たとえば、被覆研磨材の場合には、研磨粒子の層が2層であってもよい。第1層には本発明により製造される研磨粒子以外の研磨粒子を含み、第2(最外)層には本発明により製造される研磨粒子を含むようにする。結合研磨材の場合にも同様で、研削ホイールに2つの別々の区域が存在してもよい。最外区域には本発明により製造される研磨粒子を含み、それに対して最内区域には本発明により製造される研磨粒子を含まないようにしてもよい。別な方法として、本発明により製造される研磨粒子を結合研磨物品の全体にわたって均一に分散させることもできる。
【0104】
被覆研磨物品に関するさらに詳しいことは以下の特許に見出すことができる:たとえば、米国特許第4,734,104号明細書(ブロベルグ(Broberg))、米国特許第4,737,163号明細書(ラーキー(Larkey))、米国特許第5,203,884号明細書(ブキャナン(Buchanan)ら)、米国特許第5,152,917号明細書(ピーパー(Pieper)ら)、米国特許第5,378,251号明細書(カラー(Culler)ら)、米国特許第5,417,726号明細書(スタウト(Stout)ら)、米国特許第5,436,063号明細書(フォレット(Follett)ら)、米国特許第5,496,386号明細書(ブロベルグ(Broberg)ら)、米国特許第5、609,706号明細書(ベネディクト(Benedict)ら)、米国特許第5,520,711号明細書(ヘルミン(Helmin))、米国特許第5,954,844号明細書(ロウ(Law)ら)、米国特許第5,961,674号明細書(ガグリアルディ(Gagliardi)ら)、および米国特許第5,975,988号明細書(クリスチャンソン(Christianson))。結合研磨物品に関するさらに詳しいことは以下の特許に見出すことができる:たとえば、米国特許第4,543,107号明細書(ルー(Rue))、米国特許第4,741,743号明細書(ナラヤナン(Narayanan)ら)、米国特許第4,800,685号明細書(ヘインズ(Haynes)ら)、米国特許第4,898,597号明細書(ヘイ(Hay)ら)、米国特許第4,997,461号明細書(マルコフ−マテニイ(Markhoff−Matheny)ら)、米国特許第5,037,453号明細書(ナラヤナン(Narayanan)ら)、米国特許第5,110,332号明細書(ナラヤナン(Narayanan)ら)、および米国特許第5,863,308号明細書(チー(Qi)ら)。ガラス質結合研磨材に関するさらに詳しいことは以下の特許に見出すことができる:たとえば、米国特許第4,543,107号明細書(ルー(Rue))、米国特許第4,898,597号明細書(ヘイ(Hay)ら)、米国特許第4,997,461号明細書(マルコフ−マテニイ(Markhoff−Matheny)ら)、米国特許第5,094,672号明細書(ジャイルズ、ジュニア(Giles Jr.)ら)、米国特許第5,118,326号明細書(シェルドン(Sheldon)ら)、米国特許第5,131,926号明細書(シェルドン(Sheldon)ら)、米国特許第5,203,886号明細書(シェルドン(Sheldon)ら)、米国特許第5,282,875号明細書(ウッド(Wood)ら)、米国特許第5,738,696号明細書(ウー(Wu)ら)、および米国特許第5,863,308号明細書(チー(Qi))。不織研磨物品に関するさらに詳しいことは、たとえば、米国特許第2,958,593号明細書(フーバー(Hoover)ら)に見出すことができる。
【0105】
本発明は表面を研磨する方法を提供し、その方法には、本発明により製造される少なくとも1種の研磨粒子をワークピースの表面に接触させること、および研磨粒子と接触表面の少なくとも一方を移動させて、前記表面の少なくとも一部を研磨粒子を用いて研磨することを含む。本発明により製造される研磨粒子を用いた研磨方法は、スナッギング(すなわち、高い圧力で大量に除去)からポリッシング(たとえば、被覆研磨材ベルトを用いた医療用インプラントのポリッシング)まで広い範囲にわたり、ここで後者の場合には、典型的には、研磨粒子のより細かい(たとえば、ANSI220およびそれより細かい)粒度を用いて実施される。この研磨粒子は、精密研磨用途、たとえばビトリファイド結合ホイールを有する粉砕カムシャフトなどにも使用することができる。特定の研磨用途に使用する研磨剤粒子の粒度は、当業者には明らかであろう。
【0106】
本発明により製造される研磨粒子を使用する研磨は、乾式でも湿式でもよい。湿式研磨の場合には液体を、軽質のミスト状から完全な注液までの形態で導入することができる。一般的に使用される液体の例を挙げれば、水、水溶性オイル、有機潤滑剤、およびエマルションなどがある。この液体の役目は、研磨に伴う発熱を抑制し、および/または潤滑剤として機能することである。この液体には、微量の添加物、たとえば殺菌剤や消泡剤などが含まれていてもよい。
【0107】
本発明により製造される研磨粒子は、たとえば、アルミニウム金属、炭素鋼、軟鋼、工具鋼、ステンレス鋼、焼入鋼、チタン、ガラス、セラミックス、木材、木材状材料(たとえば、合板およびパーティクルボード)、ペイント、ペイント表面、有機塗装表面などのワークピースを研磨するのに有用である。研磨の際に加える力は典型的には、約1〜約100キログラムの範囲である。
【0108】
本発明の利点と実施態様について、以下の非限定的な実施例でさらに説明するが、それらの実施例で引用する特定の物質およびその量、さらにはその他の条件および詳細が本発明を不当に限定するものと受け取ってはならない。すべての部とパーセントは、特に断らない限り、重量基準である。特に断らない限り、いずれの実施例でも、顕著な量のSiO、B、P、GeO、TeO、As、およびVは含まない。
【実施例】
【0109】
比較例A
ポリエチレンビンに、112.8グラムのアルミナ粉体(アリゾナ州トゥーソン(Tucson,AZ)のコンデア・ビスタ(Condea Vista)から商品名「APA−0.5」として入手)、133.17グラムの酸化ランタン粉体(モリコープ・インコーポレーテッド(Molycorp Inc.)から入手)、54グラムの酸化ジルコニウム粉体(公称組成:94.4重量%ZrO(+HfO)、5.6重量%Y、ジョージア州マリエッタ(Marietta,GA)のジルコニア・セールス・インコーポレーテッド(Zirconia Sales Inc.)から商品名「HSY−3」として入手)および150.6グラムの蒸留水を仕込んだ。約450グラムのアルミナミリング媒体(直径10mm、99.9%アルミナ、オハイオ州アクロン(Akron,OH)のユニオン・プロセス(Union Process)から入手)をそのビンに加え、その混合物を4時間ミリングして、構成成分を完全に混合させた。ミリングの後、ミリング媒体を取り除き、スラリーをガラス(「パイレックス(PYREX)」)製のパンの中に注ぎ込み、ヒートガンを使用して乾燥させた。乳鉢と乳棒を用いて粉砕してから、その多相粒子のいくぶんかを、水素/酸素トーチフレームの中にフィードした。その多相粒子を融解させ、それによって融解されたガラスビーズを発生させるために用いた水素トーチは、ベスレヘム(Bethlehem)ベンチバーナーであって、水素と酸素を以下の速度で供給した。内環での水素の流量は8リットル(標準状態)/分(SLPM)、酸素の流量は3SLPMであった。外環での水素の流量は23リットル(標準状態)/分(SLPM)、酸素の流量は9.8SLPMであった。乾燥させ、粒度を揃えた粒子を直接水素トーチフレームの中に供給し、そこで融解させてから、その上に冷水(約8L/分)を流している、傾斜を付けたステンレス鋼の表面(幅約20インチ、傾斜角45度)に移した。
【0110】
比較例B
比較例Bのビーズは、比較例Aにおける記載と同様にして調製したが、ただし、ポリエチレンビンには、26.8グラムのアルミナ粉体(「APA−0.5」)、14.05グラムの酸化イットリウム(Y)粉体(ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee,WI)のアルドリッチ・ケミカル・カンパニー・インコーポレーッテッド(Aldrich Chemical Company,Inc.)から入手)、9.2グラムの酸化ジルコニウム粉体(「HSY−3」)および145グラムの蒸留水を仕込んだ。
【0111】
実施例1および2
実施例1および2のビーズは、比較例Aにおける記載と同様にして調製したが、ただし、使用した原料物質および使用したそれらの原料物質の量は、下記の表1に列記したものであり、原料物質のミリングは、200グラムのジルコニア媒体(ニュージャージー州バウンド・ブルック(Bound Brook,NJ)のトーソー・セラミックス・ディビジョン(Tosoh Ceramics Division)から商品名「YTZ」として入手可能)を用い、120rpmで24時間、145グラムの蒸留水の中で実施した。原料物質の入手先は、後の表2にまとめている。
【0112】
表1

【0113】
表2

【0114】
比較例C〜I
比較例C〜Iのビーズは、比較例Aにおける記載と同様にして調製したが、ただし、使用した原料物質および使用したそれらの原料物質の量は、下記の表3に列記したものであり、原料物質のミリングは、200グラムのジルコニア媒体(ニュージャージー州バウンド・ブルック(Bound Brook,NJ)のトーソー・セラミックス・ディビジョン(Tosoh Ceramics Division)から商品名「YTZ」として入手可能)を用い、120rpmで24時間、145グラムの蒸留水の中で実施した。原料物質の入手先は、後の表4にまとめている。
【0115】
表3

【0116】
表4

【0117】
加熱処理
−75+38メッシュサイズ画分(すなわち、75マイクロメートル開口寸法と38マイクロメートル開口寸法篩の間で集めた画分)の比較例A〜Iならびに実施例1および2のビーズを、空気中、温度範囲1000℃〜1300℃で60分かけて加熱処理した。加熱処理は、電気加熱炉(カリフォルニア州ピコ・リベラ(Pico Rivera,CA)のキース・ファーネシズ(Keith Furnaces)から商品名「モデルKKSK−666−3100」として入手)の中で実施した。
【0118】
粉体X線回折法(X線回折計(ニュージャージー州モーウォー(Mahwah、NJ)のフィリップス(PHILLIPS)から商品名「フィリップス(PHILLIPS)XRG3100」として入手)で1.54050オングストロームの銅K<1照射を使用)を用いて、加熱処理した物質の中に存在する相を定性的に測定した。X線分析した物質における検出された相とそれらの相対強度を下記の表5にまとめた。
【0119】
表5

*単純立方晶系結晶構造
ND=検出せず
【0120】
比較例Aならびに実施例1および2の加熱処理した物質それぞれ1グラムを、内部標準(コランダムの形態のAl、結晶子の径1.0マイクロメートル)と質量比で1:1の割合で混合した。その1:1混合物をめのう乳鉢の中エタノール下で10分かけて均質化してから、放置乾燥させた。次いでその混合物をめのう乳鉢から回収して、メチルエチルケトン(MEK)を使用し、ガラスインサート付きのアルミニウムサンプルホルダーの上でスラリー化させた。
【0121】
垂直回折計(「フィリップス(PHILIPS)XRG3100」)、銅Kα線照射、および散乱放射線の比例検出器レジストリーを用いて、それぞれのサンプル/標準混合物から合計で9個の測定走査データを得た。回折計に取り付けたのは、可変入射ビームスリット、固定回折ビームスリット、およびグラファイト回折ビームモノクロメーターであった。その測定走査は、20〜52度(2θ)の間で、0.04度間隔、計数時間6秒で実施した。X線発生装置の設定では、45kVおよび35mAを用いた。
【0122】
サンプル中に存在する相のピーク面積と、コランダムの内部標準からのピーク面積を、得られたデータのプロファイルフィッティングをすることにより求めた。ピアソン(Pearson)VIIピーク形状モデルおよびリニアバックグラウンドを用いて、プロファイルフィッティングを行った。存在する相およびコランダム内部標準のために用いたピークを下記の表6にまとめた。
【0123】
表6

【0124】
試験したサンプル中に存在するそれぞれの相のI/I比は、以下の式から求めた:
計算比=I/I*(mサンプル/m標準
ここで、
=個々の相ピーク面積の和
=個々のコランダムピーク面積の和
サンプル=サンプル使用量(g)
標準=標準物質使用量(g)。
【0125】
検出されたそれぞれの相についてのI/I比を下記の式7にまとめた。
【0126】
表7

ND=検出せず
【0127】
本発明の範囲および本発明の精神から逸脱することなく、本発明の各種の修正と変更が可能であることは当業者には明らかであるが、本発明が、本明細書に記載した説明のための実施態様によって不当に限定されるものではないことは、理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】本発明により製造した研磨粒子を含む被覆研磨物品の部分破断概略図である。
【図2】本発明により製造した研磨粒子を含む結合研磨物品の斜視図である。
【図3】本発明の方法により製造した研磨粒子を含む不織研磨物品の一部の拡大概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス−セラミックを製造するための方法であって、前記方法には、ガラスを加熱処理してガラスの少なくとも一部を結晶質セラミックに変換させ、ガラス−セラミックを得ることを含み、前記ガラスが、ガラスの全重量を基準にして、少なくとも35重量パーセントのAlと、REOと、ZrOまたはHfOの少なくとも1種と、NbまたはTaの少なくとも1種とを含み、前記ガラスが、前記ガラスの全重量を基準にして、As、B、GeO、P、SiO、TeOおよびVを合計して10重量パーセント以下の量で含み、そして前記NbまたはTaの少なくとも1種が、NbおよびTaを含まない同一のガラスを同様に加熱処理することにより製造した比較のためのガラス−セラミックに比較して、前記ガラスからの結晶質ZrOまたは結晶質HfOの少なくとも1種の生成速度を上昇させるに充分な量で存在する、方法。
【請求項2】
前記ガラスがZrOを含み、そして前記NbまたはTaの少なくとも1種が、前記比較のためのガラス−セラミックに比較して、前記ガラスからの結晶質ZrOの生成速度を上昇させるに充分な量で存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記NbまたはTaの少なくとも1種が、前記比較のためのガラス−セラミックに比較して、前記ガラスからの結晶質ZrOの生成速度を少なくとも1.5倍上昇させるに充分な量で存在する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記NbまたはTaの少なくとも1種が、前記比較のためのガラス−セラミックに比較して、前記ガラスからの結晶質ZrOの生成速度を少なくとも2倍上昇させるに充分な量で存在する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記NbまたはTaの少なくとも1種が、前記比較のためのガラス−セラミックに比較して、前記ガラスからの結晶質ZrOの生成速度を少なくとも3倍上昇させるに充分な量で存在する、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記ガラスが、ガラスの全重量を基準にして、少なくとも50重量パーセントのAlを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記ガラスが、ガラスの全重量を基準にして、少なくとも15重量パーセントのZrOを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記ガラスが、ガラスの全重量を基準にして、少なくとも20重量パーセントのZrOを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記ガラスが、ガラスの全重量を基準にして、少なくとも5重量パーセントの、NbまたはTaの少なくとも1種を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記REOが、Gd、La、またはNdの少なくとも1種である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ガラスが、少なくとも50重量パーセントのAl、少なくとも30重量パーセントのREO、および少なくとも10重量パーセントのZrOを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記REOが、Gd、La、またはNdの少なくとも1種である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記ガラスが、ガラスの全重量を基準にして、少なくとも15重量パーセントのZrOを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記ガラス−セラミックが、少なくとも15GPaの平均硬度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記ガラス−セラミックをさらに破砕して、研磨粒子を得る、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記研磨粒子を分級して、規定公称グレードを有する多数の粒子を得ることをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記研磨粒子を研磨物品に組み入れることをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記研磨物品が、結合研磨物品、不織研磨物品、または被覆研磨物品である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ガラス−セラミックが、少なくとも16GPaの平均硬度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記ガラス−セラミックが、少なくとも17GPaの平均硬度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記ガラス−セラミックが、少なくとも18GPaの平均硬度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記ガラス−セラミックが、少なくとも19GPaの平均硬度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
ガラス−セラミックを製造するための方法であって、前記方法には、セラミック含有ガラスを加熱処理してガラスの少なくとも一部を結晶質セラミックに変換させ、ガラス−セラミックを得ることを含み、前記ガラスが、ガラスの全重量を基準にして、少なくとも35重量パーセントのAlと、REOと、ZrOまたはHfOの少なくとも1種と、NbまたはTaの少なくとも1種とを含み、前記ガラスが、前記ガラスの全重量を基準にして、As、B、GeO、P、SiO、TeOおよびVを合計して10重量パーセント以下の量で含み、そして前記NbまたはTaの少なくとも1種が、NbおよびTaを含まない同一のガラスを同様に加熱処理することにより製造した比較のためのガラス−セラミックに比較して、前記ガラスからの結晶質ZrOまたは結晶質HfOの少なくとも1種の生成速度を上昇させるに充分な量で存在する、方法。
【請求項24】
前記ガラスがZrOを含み、そして前記NbまたはTaの少なくとも1種が、前記比較のためのガラス−セラミックに比較して、前記ガラスからの結晶質ZrOの生成速度を上昇させるに充分な量で存在する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記NbまたはTaの少なくとも1種が、前記比較のためのガラス−セラミックに比較して、前記ガラスからの結晶質ZrOの生成速度を少なくとも2倍上昇させるに充分な量で存在する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記REOが、Gd、La、またはNdの少なくとも1種である、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記ガラス−セラミックを破砕して、研磨粒子を得ることをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記研磨粒子を分級して、規定公称グレードを有する多数の粒子を得ることをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
請求項27に記載の方法が、前記研磨粒子を研磨物品に組み入れることをさらに含む、研磨物品を製造するための方法。
【請求項30】
研磨粒子を製造するための方法であって、前記方法には、ガラス粒子を加熱処理してガラスの少なくとも一部を結晶質セラミックに変換させ、ガラス−セラミックおよび研磨粒子を得ることを含み、前記ガラスが、ガラスの全重量を基準にして、少なくとも35重量パーセントのAlと、REOと、ZrOまたはHfOの少なくとも1種と、NbまたはTaの少なくとも1種とを含み、前記ガラスが、前記ガラスの全重量を基準にして、As、B、GeO、P、SiO、TeOおよびVを合計して10重量パーセント以下の量で含み、そして前記NbまたはTaの少なくとも1種が、NbおよびTaを含まない同一のガラスを同様に加熱処理することにより製造した比較のためのガラス−セラミックに比較して、前記ガラスからの結晶質ZrOまたは結晶質HfOの少なくとも1種の生成速度を上昇させるに充分な量で存在する、方法。
【請求項31】
前記ガラスがZrOを含み、そして前記NbまたはTaの少なくとも1種が、前記比較のためのガラス−セラミックに比較して、前記ガラスからの結晶質ZrOの生成速度を上昇させるに充分な量で存在する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記NbまたはTaの少なくとも1種が、前記比較のためのガラス−セラミックに比較して、前記ガラスからの結晶質ZrOの生成速度を少なくとも1.5倍上昇させるに充分な量で存在する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記NbまたはTaの少なくとも1種が、前記比較のためのガラス−セラミックに比較して、前記ガラスからの結晶質ZrOの生成速度を少なくとも2倍上昇させるに充分な量で存在する、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記NbまたはTaの少なくとも1種が、前記比較のためのガラス−セラミックに比較して、前記ガラスからの結晶質ZrOの生成速度を少なくとも3倍上昇させるに充分な量で存在する、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記ガラスが、ガラスの全重量を基準にして、少なくとも50重量パーセントのAlを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
前記ガラスが、ガラスの全重量を基準にして、少なくとも15重量パーセントのZrOを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
前記ガラスが、ガラスの全重量を基準にして、少なくとも20重量パーセントのZrOを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項38】
前記ガラスが、ガラスの全重量を基準にして、少なくとも5重量パーセントの、NbまたはTaの少なくとも1種を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項39】
前記REOが、Gd、La、またはNdの少なくとも1種である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記ガラスが、少なくとも50重量パーセントのAl、少なくとも30重量パーセントのREO、および少なくとも10重量パーセントのZrOを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項41】
前記REOが、Gd、La、またはNdの少なくとも1種である、請求項31に記載の方法。
【請求項42】
前記ガラスが、ガラスの全重量を基準にして、少なくとも15重量パーセントのZrOを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項43】
前記研磨粒子を分級して、規定公称グレードを有する多数の粒子を得ることをさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項44】
前記研磨粒子を研磨物品に組み入れることをさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項45】
前記研磨物品が、結合研磨物品、不織研磨物品、または被覆研磨物品である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記ガラス−セラミックが、少なくとも16GPaの平均硬度を有する、請求項31に記載の方法。
【請求項47】
前記ガラス−セラミックが、少なくとも17GPaの平均硬度を有する、請求項31に記載の方法。
【請求項48】
前記ガラス−セラミックが、少なくとも18GPaの平均硬度を有する、請求項31に記載の方法。
【請求項49】
前記ガラス−セラミックが、少なくとも19GPaの平均硬度を有する、請求項31に記載の方法。
【請求項50】
研磨粒子を製造するための方法であって、前記方法には、ガラスを含む粒子を加熱処理してガラスの少なくとも一部を結晶質セラミックに変換させ、ガラス−セラミックおよび研磨粒子を得ることを含み、前記ガラスが、ガラスの全重量を基準にして、少なくとも35重量パーセントのAlと、REOと、ZrOまたはHfOの少なくとも1種と、NbまたはTaの少なくとも1種とを含み、前記ガラスが、前記ガラスの全重量を基準にして、As、B、GeO、P、SiO、TeOおよびVを合計して10重量パーセント以下の量で含み、そして前記NbまたはTaの少なくとも1種が、NbおよびTaを含まない同一のガラスを同様に加熱処理することにより製造した比較のためのガラス−セラミックに比較して、前記ガラスからの結晶質ZrOまたは結晶質HfOの少なくとも1種の生成速度を上昇させるに充分な量で存在する、方法。
【請求項51】
前記ガラスがZrOを含み、そして前記NbまたはTaの少なくとも1種が、前記比較のためのガラス−セラミックに比較して、前記ガラスからの結晶質ZrOの生成速度を上昇させるに充分な量で存在する、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記NbまたはTaの少なくとも1種が、前記比較のためのガラス−セラミックに比較して、前記ガラスからの結晶質ZrOの生成速度を少なくとも2倍上昇させるに充分な量で存在する、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記REOが、Gd、La、またはNdの少なくとも1種である、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記研磨粒子を分級して、規定公称グレードを有する多数の粒子を得ることをさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項55】
研磨物品を製造するための方法であって、請求項51に記載の方法が、前記セラミック研磨粒子を研磨物品に組み入れることをさらに含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−505814(P2007−505814A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526872(P2006−526872)
【出願日】平成16年7月6日(2004.7.6)
【国際出願番号】PCT/US2004/021603
【国際公開番号】WO2005/035458
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.パイレックス
2.PYREX
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】