説明

CARS光用ユニットおよび顕微鏡システム

【課題】多光子蛍光観察専用のレーザ顕微鏡に当該レーザ顕微鏡の構成を変更することなくアドオンされてCARS光観察の機能を追加する。
【解決手段】レーザ光源3から発せられたパルスレーザ光に周波数分散を付与する光源光周波数分散手段4と、顕微鏡本体6とを備える多光子蛍光顕微鏡2の光源光周波数分散手段4と顕微鏡本体6との間の光路に挿入可能に構成され、パルスレーザ光の一部を光路から分岐する光路分岐手段15と、パルスレーザ光に周波数分散を付与する分岐光周波数分散手段17と、パルスレーザ光の周波数を変換する周波数変換手段18と、光路に挿入可能に構成され、周波数変換手段18によって周波数を変換されたパルスレーザ光を、光路を通過してきたパルスレーザ光に合波させる合波手段16とを備えるCARS光用ユニット1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はCARS光用ユニットおよび顕微鏡システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、多光子蛍光観察とCARS光観察とを切り替えて行うことができるレーザ顕微鏡装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
このレーザ顕微鏡装置は、レーザ光源から発せられたパルスレーザ光を2つの光路に分岐して、一方の光路ではパルスレーザ光に付与する周波数分散量を調節することにより、標本上で略フーリエ限界パルスを達成可能な励起光またはポンプ光を切り替えて生成し、他方の光路では、フォトニッククリスタルファイバおよび光路長調節装置によってストークス光を生成することとしている。
【0003】
そして、励起光の照射によって、標本の多光子蛍光観察が可能となり、ポンプ光とストークス光とを同時に照射することによって、標本のCARS光観察が可能となる。
一方、現行においては多光子蛍光観察およびCARS光観察を切り替えて行うことができるレーザ顕微鏡よりも、多光子蛍光観察専用のレーザ顕微鏡が多く使用されており、このようなレーザ顕微鏡にアドオンされてCARS光観察の機能を追加するCARS光用ユニットが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−281923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のレーザ顕微鏡装置は、フェムト秒パルスレーザ光に周波数分散を付与する周波数分散調節手段を、ポンプ光用の光路とストークス光用の光路とに分岐するためのビームスプリッタの後段に配置している。これは、多光子蛍光観察とCARS光観察とを両立可能な複合機能を有するレーザ顕微鏡装置のための専用の構造である。
【0006】
一般的な多光子蛍光観察専用のレーザ顕微鏡では、レーザ波長の切り替えや、波長の変化、環境の変化等によるレーザ光源内のアライメント変化を調整する際の光軸の調整量を可能な限り低減するために、周波数分散調節手段をレーザ光源の極近くに配置あるいはレーザ光源と一体化している。このため、特許文献1のレーザ顕微鏡装置のストークス光用の光路をそのままユニット化しただけでは、多光子蛍光観察専用のレーザ顕微鏡にアドオンされてCARS光観察の機能を追加可能なCARS光用ユニットを構成することはできない。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、多光子蛍光観察専用のレーザ顕微鏡に当該レーザ顕微鏡の構成を変更することなくアドオンされてCARS光観察の機能を追加可能なCARS光用ユニットおよび顕微鏡システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、レーザ光源から発せられたパルスレーザ光に周波数分散を付与する光源光周波数分散手段と、該光源光周波数分散手段から射出されたパルスレーザ光を標本に照射して観察する顕微鏡本体とを備える多光子蛍光顕微鏡の前記光源光周波数分散手段と前記顕微鏡本体との間の光路に挿入可能に構成され、前記光源光周波数分散手段から射出されてきたパルスレーザ光の一部を前記光路から分岐する光路分岐手段と、該光路分岐手段により分岐されたパルスレーザ光に周波数分散を付与する分岐光周波数分散手段と、該分岐光周波数分散手段により周波数分散を付与されたパルスレーザ光の周波数を変換する周波数変換手段と、前記光路に挿入可能に構成され、前記周波数変換手段によって周波数を変換されたパルスレーザ光を、前記光路を通過してきたパルスレーザ光に合波させる合波手段とを備えるCARS光用ユニットを提供する。
【0009】
本発明によれば、多光子蛍光顕微鏡に備えられている光源光周波数分散手段と顕微鏡本体との間に光路に、光路分岐手段と合波手段とを挿入することで、レーザ光源から発せられ光源光周波数分散手段によって周波数分散が付与されたパルスレーザ光の一部が光路分岐手段によって分岐され、残りのパルスレーザ光が元の光路に通過させられ、両パルスレーザ光が合波手段によって合波されて顕微鏡本体に入射される。光路分岐手段により分岐されたパルスレーザ光は、分岐光周波数分散手段により周波数分散を付与された後、周波数変換手段によって周波数を変換された状態で合波手段によって合波される。光源光周波数分散手段による周波数分散は、光路分岐手段によって分岐された2つのパルスレーザ光のいずれにも付与されるが、分岐されたパルスレーザ光にはさらに分岐光周波数分散手段によって別個に周波数分散が付与されるので、2つのパルスレーザ光に付与する周波数分散を別個に調節することができる。
【0010】
多光子蛍光観察を行う場合には、光源光周波数分散手段を調節することにより、標本面上において略フーリエ限界パルスが形成されるように周波数分散を付与することができ、多光子励起効果を効率よく発生させて明るく鮮明な多光子蛍光観察を行うことができる。
【0011】
一方、CARS光観察を行う場合には、分岐光周波数分散手段を調節することにより、周波数変換手段に入射されるパルスレーザ光が略フーリエ限界パルスとなるように周波数分散を付与し、光源光周波数分散手段を調節することによって、光路分岐手段によって分岐された2つのパルスレーザ光が標本面上において略同等の周波数分散量を有するようにすることができる。
【0012】
光路分岐手段によって分岐されたパルスレーザ光は、合波手段によって合波される際には、時間軸上において周波数分布の傾きが一致した2つのパルスレーザ光となって合波される。これにより、標本において、一定の周波数差の2つのパルス光を入射させて、2つのパルスレーザ光のエネルギを効率よく利用してCARS光を発生させることができ、コントラストの高いCARS光観察を行うことができる。
すなわち、本発明によれば、多光子蛍光観察専用の多光子蛍光顕微鏡に、当該多光子蛍光顕微鏡の構成を変更することなくアドオンすることができ、これによって、明るく鮮明な多光子蛍光観察とコントラストの高いCARS光観察とを行うことができる。
【0013】
上記発明においては、前記光路分岐手段により分岐されたパルスレーザ光に付与する時間遅延を調節する遅延時間調節手段を備えていてもよい。
このようにすることで、光路分岐手段によって分岐されたパルスレーザ光は、合波手段によって合波される際には、標本中における分子の特定の振動周波数に略等しい周波数差を時間軸方向の各時刻において有する2つのパルスレーザ光として合波される。これにより、標本において、比較的長時間にわたり、一定の周波数差の2つのパルス光を入射させて、2つのパルスレーザ光のエネルギを効率よく利用してCARS光を発生させることができ、コントラストの高いCARS光観察を行うことができる。
【0014】
上記発明においては、前記光路に、該光路を通過するパルスレーザ光の光量を調節する光量調節手段を備え、前記光路分岐手段が、前記光源光周波数分散手段と前記光量調節手段との間に挿入可能に設けられていてもよい。
このようにすることで、光源光周波数分散手段と光量調節手段との距離を固定することができる。パルスレーザ光のビームにはダイバージェンスが存在する一方、光量調節手段は、パルスレーザ光を通過させる開口面積に制限のあるものが多く、けられが生じないように調節する必要があるが、光源光周波数分散手段と光量調節手段との距離を固定することで、観察方式を切り替えても、その都度のアライメント調整を不要とすることができる。
また、上記発明においては、前記光量調節手段が、音響光学素子であってもよい。このようにすることで、音響光学素子の有効入射開口に入射するパルスレーザ光を、都度の調節を行うことなく、いずれの観察方法においても一定とすることができる。
【0015】
また、上記発明においては、前記光路分岐手段が、分岐比率を調節可能であってもよい。
このようにすることで、多光子蛍光観察時とCARS光観察時とで、分岐比率を調節して、いずれの観察方法においても良好な観察を行うことが可能となる。
【0016】
また、上記発明においては、前記光路分岐手段が、偏光ビームスプリッタと、該偏光ビームスプリッタに入射するパルスレーザ光の偏光面を調節する波長板とを備えていてもよい。
このようにすることで、波長板を操作して偏光面を調節して、偏光ビームスプリッタによるパルスレーザ光の分岐比率を簡易かつ任意に調節することができる。
【0017】
また、上記発明においては、前記多光子蛍光顕微鏡が、前記光路に、前記顕微鏡本体に入射させるパルスレーザ光のアライメントを調整する本体側アライメント調整手段を備え、前記周波数変換手段と前記合波手段との間に配置された分岐光アライメント調整手段を備え、前記合波手段が、前記本体側アライメント調整手段と前記顕微鏡本体との間に挿入可能に設けられていてもよい。
【0018】
このようにすることで、多光子蛍光観察時には本体側アライメント調整手段によって、顕微鏡本体へのパルスレーザ光のアライメント調整を行い、CARS光観察時には、本体側アライメント調整手段および分岐光アライメント調整手段によって2つのパルスレーザ光のアライメント調整を行うことができる。
【0019】
また、上記発明においては、前記光路に挿入可能に設けられ、パルスレーザ光を波長毎に分岐して迂回光路を形成する一対のダイクロイックミラーと、該ダイクロイックミラー間の迂回光路に配置された迂回光アライメント調整手段とを備えていてもよい。
このようにすることで、一対のダイクロイックミラーを光源光周波数分散手段と顕微鏡本体との間の光路に挿入して迂回光路を形成し、迂回光アライメント調整手段を調節しておくことにより、レーザ光源の波長切替時にその都度アライメント調整を行わなくても、アライメントの調整されたパルスレーザ光を顕微鏡本体に入射させることができる。
【0020】
また、上記発明においては、前記周波数変換手段が、フォトニッククリスタルファイバであってもよい。
このようにすることで、簡易かつ安価にパルスレーザ光の周波数帯域を変更あるいは拡大することができる。また、用いるフォトニッククリスタルファイバの種類を選定することにより、種々の周波数スペクトル成分および帯域を有するパルスレーザ光を得ることができる。
【0021】
また、本発明は、レーザ光源から発せられたパルスレーザ光に周波数分散を付与する光源光周波数分散手段と、該光源光周波数分散手段から射出されたパルスレーザ光を標本に照射して観察する顕微鏡本体とを備える多光子蛍光顕微鏡と、該多光子蛍光顕微鏡に対して着脱される上記いずれかのCARS光用ユニットとを備える顕微鏡システムを提供する。
【0022】
上記発明においては、前記多光子蛍光顕微鏡が、前記光路に、前記顕微鏡本体に入射させるパルスレーザ光のアライメントを電動で調整する電動アライメント調整手段を備え、該電動アライメント調整手段が、CARS光観察時および多光子蛍光観察時の2種類のアライメント調整値を記憶し、必要に応じてCARS光観察時に対応するアライメント調整値または多光子蛍光観察時に対応する対応するアライメント調整値を読み出してアライメントを調整してもよい。
【0023】
また、上記発明においては、前記多光子蛍光顕微鏡が、前記光路に、前記顕微鏡本体に入射させるパルスレーザ光のアライメントを電動で調整する電動アライメント調整手段を備え、CARS光観察時のパルスレーザ光の波長および多光子蛍光観察時のパルスレーザ光の波長に対する2種類のアライメント調整値を記憶し、パルスレーザ光の波長の切り替えに応じて各波長に対応するアライメント調整値を読み出してアライメントを調整してもよい。
【発明の効果】
【0024】
多光子蛍光観察専用のレーザ顕微鏡に当該レーザ顕微鏡の構成を変更することなくアドオンされてCARS光観察の機能を追加することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るCARS光用ユニットと、これを装着する多光子蛍光観察用のレーザ顕微鏡とを示す模式図である。
【図2】図1のCARS光用ユニットを多光子蛍光観察用のレーザ顕微鏡に装着した状態を示す模式図である。
【図3】図1のCARS光用ユニットの変形例を示す模式図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るCARS光用ユニットと、これを装着する多光子蛍光観察用のレーザ顕微鏡とを示す模式図である。
【図5】図4のCARS光用ユニットを装着したレーザ顕微鏡を多光子蛍光観察に使用する場合を説明する模式図である。
【図6】図4のCARS光用ユニットを装着したレーザ顕微鏡をCARS光観察に使用する場合を説明する模式図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係るCARS光用ユニットと、これを装着する多光子蛍光観察用のレーザ顕微鏡とを示す模式図である。
【図8】図7のCARS光用ユニットを装着したレーザ顕微鏡をCARS光観察に使用する場合を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の第1の実施形態に係るCARS光用ユニット1および顕微鏡システムについて、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る顕微鏡システムは、多光子蛍光観察専用のレーザ顕微鏡2と、該レーザ顕微鏡に装着されるCARS光用ユニット1とを備えている。
本実施形態に係るCARS光用ユニット1は、多光子蛍光観察専用のレーザ顕微鏡2に装着されることにより、多光子蛍光観察の機能を損なうことなくCARS光観察の機能を追加するものである。
【0027】
すなわち、本実施形態に係るCARS光用ユニット1が取り付けられるレーザ顕微鏡2は、図1に示されるように、フェムト秒パルスレーザ光を発するレーザ光源3と、該レーザ光源3から発せられたフェムト秒パルスレーザ光に付与する周波数分散量を調節する第1の周波数分散装置(光源光周波数分散手段)4と、周波数分散量を調節されたパルスレーザ光の光量調節を行う音響光学素子(光量調節手段)5と、音響光学素子5から射出されたパルスレーザ光を標本Aに照射して標本Aの観察を行う顕微鏡本体6とを備えている。
【0028】
第1の周波数分散装置4は、例えば、相互の間隔を調節可能な一対のプリズム(図示略)と、ミラー(図示略)とを備えている。一対のプリズムを通過したフェムト秒パルスレーザ光は、ミラーによって折り返された後に再度プリズム対を通過し同一の光路上に戻されるようになっている。この場合に、プリズムの間隔を調節することにより、第1の周波数分散装置4を通過するパルスレーザ光に与える周波数分散量を調節することができるようになっている。また、上記プリズム対の代わりに回折格子対(図示略)を用いてもよい。
【0029】
また、第1の周波数分散装置4は、パルスレーザ光が、標本A面上において略フーリエ限界パルスに近づくように、付与する周波数分散量を調節できるようになっている。具体的には、第1の周波数分散装置4は、パルスレーザ光が第1の周波数分散装置4から標本Aまでに経験する周波数分散量を減じるようになっている。これにより、レーザ光源3から標本Aまでの全光路において生じる周波数分散によるパルスレーザ光のパルス幅の広がりを補償することができ、標本A上に集光される時点でのパルスレーザ光が、略フーリエ限界に近いパルス幅を達成することができるようになっている。
【0030】
音響光学素子5は、第1の周波数分散装置4に対して間隔を空けて固定され、第1の周波数分散装置4から射出されてくるパルスレーザ光を、けられを生じさせることなく、その有効入射開口内に入射させるようになっている。そして、音響光学結晶に入射させる音響波の振幅を調節することにより、音響光学素子5から射出されるパルスレーザ光の光量を調節するようになっている。
【0031】
顕微鏡本体6は、例えば、レーザ走査型顕微鏡であって、レーザ光源3から射出されたパルスレーザ光を2次元的に走査するスキャナ7およびレンズ群8と、スキャナ7により走査されたパルスレーザ光を標本A面に集光する集光レンズ9と、標本Aにおいて発生し、集光レンズ9によって集光された光を検出する第1の光検出器10と、標本Aを透過する方向に発生する光を集光する集光レンズ11と、集光レンズ11により集光された光を検出する第2の光検出器12とを備えている。
図中、符号13はダイクロイックミラー、符号14はステージである。
【0032】
本実施形態に係るCARS光用ユニット1は、図1に示されるように、ビームスプリッタ15と、レーザコンバイナ16と、これらビームスプリッタ15およびレーザコンバイナ16間に形成される光路(以下、分岐経路C2という。)に配置された第2の周波数分散装置(分岐光周波数分散手段)17と、フォトニッククリスタルファイバ(周波数変換手段)18と、光路調節装置(遅延時間調節手段)19とを備えている。符号20は、分岐光路を形成するためのミラーである。
【0033】
ビームスプリッタ15は、第1の周波数分散装置4と音響光学素子5との間の主光路(光路C1)に挿入可能に設けられている。主光路C1に挿入されることで、第1の周波数分散装置4から射出されたパルスレーザ光を所定の分岐比率で主光路C1から分岐し、一方を音響光学素子5へ透過させ、他方を分岐光路C2へ偏向させるようになっている。
【0034】
レーザコンバイナ16は、音響光学素子5と顕微鏡本体6との間の主光路C1に挿入可能に設けられている。主光路C1に挿入されることで、音響光学素子5から射出されたパルスレーザ光を透過させ、分岐光路C2を伝播してきたパルスレーザ光を偏向して、2つのパルスレーザ光を再度主光路C1上に合波して戻すことができるようになっている。
【0035】
第2の周波数分散装置17は、通過するパルスレーザ光に周波数分散を付与して、その後段に配置されているフォトニッククリスタルファイバ18に導入される直前において略フーリエ限界パルスに近づけるようになっている。
【0036】
フォトニッククリスタルファイバ18は、導光されるパルスレーザ光の周波数帯域を変更および/または拡大したパルスレーザ光を生成し、主光路C1および分岐光路C2を導光されるパルスレーザ光に標本A中の分子の特定の振動周波数に略等しい周波数差を与えるようになっている。
【0037】
光路調節装置19は、例えば、少なくとも2組以上のミラー(リフレクタ)により構成される(図示略)。これらリフレクタを用いてパルスレーザ光の光路を折り返し、これらリフレクタの間隔を調節することで、パルスレーザ光の光路長を変化させるようになっている。これによって、パルスレーザ光のパルスの時間的タイミングを調整することができる。
【0038】
このように構成された本実施形態に係るCARS光用ユニット1の作用について以下に説明する。
本実施形態に係るCARS光用ユニット1を多光子蛍光観察専用のレーザ顕微鏡2にアドオンするには、図2に示されるように、第1の周波数分散装置4と音響光学素子5との間に配置される主光路C1にビームスプリッタ15を挿入し、音響光学素子5と顕微鏡本体6との間に配置される主光路C1にレーザコンバイナ16を挿入する。
【0039】
そして、多光子蛍光観察を行う場合には、第1の周波数分散装置4により、主光路C1を通過するパルスレーザ光に、標本A面上において略フーリエ限界パルスとなるような周波数分散を付与し、音響光学素子5により光量を調節した状態で、顕微鏡本体6に入射させる。
【0040】
顕微鏡本体6においては、スキャナ7によって2次元的にパルスレーザ光を走査し、レンズ群8によってリレーしたパルスレーザ光を集光レンズ9によって標本A上に集光する。これにより、標本Aにおけるパルスレーザ光の集光位置においては、パルスレーザ光の光子密度が十分に高められて多光子励起効果を効率よく発生させることができる。そして、発生した明るい多光子蛍光は、集光レンズ9によって集光され、ダイクロイックミラー13によって分岐されて光検出器10により検出される。これにより、標本Aの明るくかつ鮮明な多光子蛍光画像を取得することができる。
【0041】
次に、CARS光観察を行う場合には、第1の周波数分散装置4により、レーザ光源3から射出されたフェムト秒パルスレーザ光に初期の周波数分散を付与する。初期の周波数分散を付与されたパルスレーザ光は、ビームスプリッタ15によって主光路C1と分岐光路C2とに所定の分岐比率で分岐される。ビームスプリッタ15を透過して主光路C1を導光されるパルスレーザ光は、音響光学素子5によって光量を調整された後にレーザコンバイナ16を透過して顕微鏡本体6に入射される。
【0042】
一方、ビームスプリッタ15により偏向されて分岐光路C2を導光させられるパルスレーザ光は、ミラー20によって偏向され、第2の周波数分散装置17により周波数分散を付与されて、後段のフォトニッククリスタルファイバ18の直前において略フーリエ限界パルスとなる。そして、フォトニッククリスタルファイバ18を通過させられる間に、主光路C1のパルスレーザ光に対して周波数スペクトルを変更および/または拡大された広帯域のパルスレーザ光となって光路調節装置19に入射される。
【0043】
フォトニッククリスタルファイバ18を通過させられる間に、パルスレーザ光には所定の周波数分散が与えられる。
また、パルスレーザ光は、光路調節装置19において時間遅延を付与された後にレーザコンバイナ16において偏向されて、主光路C1を通過してきたパルスレーザ光と合波される。
【0044】
主光路C1を通過してレーザコンバイナ16に入射されたパルスレーザ光と、分岐光路C2を通過してレーザコンバイナ16に入射されたパルスレーザ光とは、第1の周波数分散装置4によって、時間軸上における周波数分布の傾きが一致するように周波数分散量が調節されている。したがって、合波された2つのパルスレーザ光は、比較的長い時間にわたって、その周波数差が一定に維持される。
【0045】
このように合波された2つのパルスレーザ光をスキャナ7によって2次元的に走査して、レンズ群8によってリレーし、集光レンズ9によって標本A上に集光することにより、標本Aにおけるパルスレーザ光の集光位置においては、標本A内の分子を振動させてCARS光を発生させることができる。発生したCARS光は、例えば、標本Aを透過して集光レンズ11により集光され、第2の光検出器12によって検出される。これにより、コントラストの高いCARS光画像を取得することができる。
【0046】
このように、本実施形態に係るCARS光用ユニット1によれば、多光子蛍光観察専用のレーザ顕微鏡2の主光路C1の第1の周波数分散装置4と顕微鏡本体6との間に挿入するだけで、レーザ顕微鏡2の構成を変更等することなく、CARS光観察機能をアドオンすることができる。この場合に、レーザ光源3に近接してあるいは一体的に設けられる第1の周波数分散装置4を備える通常のレーザ顕微鏡2にも簡単にCARS光観察機能をアドオンすることができるという利点がある。そして、レーザ顕微鏡2にCARS光用ユニット1を装着した後には、レーザ顕微鏡2側に設けられた第1の周波数分散装置4と、分岐光路C2に設けられた第2の周波数分散装置17とを調節して、明るくかつ鮮明な多光子蛍光観察と、高いコントラストのCARS光観察とを行うことができ、標本Aのマルチモーダルな観察が可能となる。
【0047】
なお、本実施形態においては、光路分岐手段として、一定の分岐比率でパルスレーザ光を分岐するビームスプリッタ15を採用したが、これに代えて、図3に示されるように、偏光ビームスプリッタ21とλ/2板(波長板)22との組み合わせを採用してもよい。すなわち、偏光ビームスプリッタ21により、入射されるパルスレーザ光の偏光によって分岐比率を異ならせることができ、λ/2板22によって入射されるパルスレーザ光の偏光を変化させることができる。その結果、λ/2板22を操作することにより、主光路C1と分岐光路C2に任意の分岐比率でパルスレーザ光を入射させることができる。
【0048】
すなわち、多光子蛍光観察の際には、主光路C1へのパルスレーザ光の入射を増大させて、分岐光路C2へのパルスレーザ光の入射を低減する。一方、CARS光観察の際には、最も良好にCARS光を発生させ得る光量バランスとなるように、分岐比率を設定することができる。
【0049】
次に、本発明の第2の実施形態に係るCARS光用ユニット30について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態の説明において、上述した第1の実施形態に係るCARS光用ユニット1と構成を共通とする箇所には同一符号を付して説明を省略する。
【0050】
本実施形態に係るCARS光用ユニット30は、該CARS光用ユニット30を取り付ける多光子蛍光観察専用のレーザ顕微鏡31として、図4に示されるように顕微鏡本体6へのパルスレーザ光のアライメントを調節するアライメントユニット32を備えたものを想定している。
このCARS光用ユニット30には、レーザコンバイナ16に合波される際に分岐光路C2を通過してきたパルスレーザ光のアライメントを調節するアライメントユニット33が備えられている。
【0051】
また、図4に示す例では、CARS光用ユニット30には、該CARS光用ユニット30がレーザ顕微鏡31に装着されることによりアライメントユニット32を迂回させる迂回光路C3を形成するための一対のダイクロイックミラー34、一対のミラー35および他のアライメントユニット36が備えられている。さらに、図4に示す例では、CARS光用ユニット30には、主光路C1に挿脱可能に設けられる第3の周波数分散装置37が備えられている。
【0052】
迂回光路C3を形成するためのダイクロイックミラー34は、使用するパルスレーザ光の波長が切り替えられた場合に、パルスレーザ光の光路を主光路C1と迂回光路C3とで切り替えるような波長特性を有している。波長が変化するとパルスレーザ光のアライメントが変化するため、主光路C1に設けられたアライメントユニット32は、一の波長のパルスレーザ光に対するアライメントを調節し、迂回光路C3に設けられたアライメントユニット33は、他の波長のパルスレーザ光に対するアライメントを調節するように設定されている。
【0053】
また、第3の周波数分散装置37は正分散の平行平板ガラスであり、多光子蛍光観察時には主光路C1から抜き出され、CARS光観察時には主光路C1内に挿入されるようになっている。第3の周波数分散装置37が主光路C1から抜き出された状態では、パルスレーザ光が標本A面上で略フーリエ限界パルスとなるように第1の周波数分散装置4により付与する周波数分散量が設定されている。一方、第3の周波数分散装置37が主光路C1に挿入されることにより、第1の周波数分散装置4により付与する周波数分散量を調節しなくても、主光路C1および分岐光路C2を通過する2つのパルスレーザ光の周波数分散量がレーザコンバイナ16の位置において略同等となるような周波数分散が、主光路C1を通過するパルスレーザ光に付与されるようになっている。
【0054】
また、正分散の平行平板ガラスの代わりに、レーザ光の波長幅を狭帯域化するフィルタを用いてもよい。レーザ光の波長幅を狭帯域化することで、ポンプ光とストークス光の波長差を分子の振動数に合わせることができる。多光子励起による観察の場合には、このフィルタを主光路C1から抜き出すことで、多光子励起の効率を高めることができる。反射光防止などのために、このフィルタを光路に対して傾けて配置している場合は、主光路C1から抜き出したときの光路のシフト量を補正する補正ガラスを光路中に挿入すればよい。
【0055】
このように構成された本実施形態に係るCARS光用ユニット30によれば、レーザ顕微鏡31の主光路C1における第1の周波数分散装置4と音響光学素子5との間に、ビームスプリッタ15を挿入し、音響光学素子5とアライメントユニット32との間に第3の周波数分散装置37および一方のダイクロイックミラー34を挿入し、アライメントユニット32と顕微鏡本体6との間に、他方のダイクロイックミラー34およびレーザコンバイナ16を挿入することによりレーザ顕微鏡31に装着される。
【0056】
この状態で、多光子蛍光観察を行うには、図5に示されるように、第3の周波数分散装置37を主光路C1から抜き出しておき、多光子蛍光観察用の波長(例えば、950nm)のパルスレーザ光をレーザ光源3から発生させる。パルスレーザ光は、第1の周波数分散装置4によって周波数分散が付与された後、ビームスプリッタ15を透過して主光路C1に入射したものが音響光学素子5によって光量を調節され、ダイクロイックミラー34を透過して、アライメントユニット32によってアライメントが調整されて顕微鏡本体6に入射される。これにより、標本Aの集光点においてはパルスレーザ光が略フーリエ限界パルスとなるので、効率的に多光子励起効果が発生し、明るい多光子蛍光観察を行うことができる。
【0057】
CARS光観察を行うには、図6に示されるように、第3の周波数分散装置37を主光路C1に挿入しておき、CARS光観察用の波長(例えば、800nm)のパルスレーザ光をレーザ光源3から発生させる。パルスレーザ光は、第1の周波数分散装置4によって周波数分散が付与された後、ビームスプリッタ15を透過して主光路C1に入射したものが音響光学素子5によって光量を調節され、ダイクロイックミラー34により偏向されて迂回光路C3に入り、アライメントユニット36によってアライメントが調整された後にダイクロイックミラー34によって主光路C1に導入され、顕微鏡本体6に入射される。
【0058】
一方、ビームスプリッタ15により偏向されて分岐光路C2に入射したパルスレーザ光は、第2の周波数分散装置17によって周波数分散を付与されて、略フーリエ限界パルスとなってフォトニッククリスタルファイバ18に入射し、そこで周波数変換された後に光路調節装置19によって時間遅延を付与される。そして、アライメントユニット33によってアライメントを調整された状態で、レーザコンバイナ16によって主光路C1を通過してきたパルスレーザ光と合波される。
【0059】
このように本実施形態に係るCARS光用ユニット30によれば、多光子蛍光観察とCARS光観察の切替に対応して、平行平板ガラスからなる第3の周波数分散装置37を挿脱するだけで、観察方法の変更毎に第1の周波数分散装置4を調節せずに済むという利点がある。また、ダイクロイックミラー34によって、アライメントユニット32,36を切り替える迂回光路C3を形成しているので、観察方法の切替に対応してレーザ光源3から発する波長を切り替えた際のアライメント調整も不要となるという利点がある。
【0060】
なお、本実施形態においては、主光路C1のアライメントユニット32の前後段にダイクロイックミラー34を挿入して、アライメントユニット32を迂回させる迂回光路C3を設けることとしたが、これに代えて、アライメントユニット32の前段または後段のいずれかに両方のダイクロイックミラー34を挿入して迂回光路C3を形成することにしてもよい。この場合、迂回光路C3を通過するパルスレーザ光のアライメントは、アライメントユニット32,36の両方によって行われることになる。
【0061】
次に、本発明の第3の実施形態に係るCARS光用ユニット40について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態の説明において、上述した第2の実施形態に係るCARS光用ユニット30と構成を共通とする箇所には同一符号を付して説明を省略する。
【0062】
本実施形態に係るCARS光用ユニット40は、該CARS光用ユニット40を取り付ける多光子蛍光観察専用のレーザ顕微鏡41として、図7に示されるように、アライメントユニット42の前段に、λ/4板43,44によって前後に挟まれたビーム径・波面調整光学系45を備えたものを備える顕微鏡システムに適用されることを想定している。また、CARS光観察用の波長と多光子蛍光観察用の波長とは異なることから、これら2種類のアライメント調整値を記憶し、波長の切替毎に、電動で調整値を切り替えるアライメントユニット42によって、測定のたびにアライメント調整を行わなくて済むようにできる。また、アライメント調整値はCARS光用ユニット40を取り付けたときに追加するようにしてもよい。
【0063】
このようなレーザ顕微鏡41によれば、主光路C1に設けられたビーム径・波面調整光学系45によって、顕微鏡本体6の瞳投影面において最適なビーム径と波面とを実現することができる。
ここで、レーザ光源3から発せられたパルスレーザ光は、直線偏光であり、入射させるパルスレーザ光が直線偏光であることを必要とする音響光学素子5への戻り光をビーム径・波面調整光学系45の前段のλ/4板43によって円偏光に変化させて防ぐようになっている。また、CARS光観察においては、直線偏光であることが要求されるため、ビーム径・波面調整光学系45の後段のλ/4板44により、円偏光に変化したパルスレーザ光を直線偏光に戻して顕微鏡本体6に向かわせるようになっている。
【0064】
また、このCARS光用ユニット40には、ミラー20と第2の周波数分散装置17との間にファイバ調節機構46、フォトニッククリスタルファイバ18と光路調節機構19との間に、ビーム径・波面調整光学系47およびその前段に配される短波長カットフィルタ48が備えられている。また、第2の周波数分散装置17とフォトニッククリスタルファイバ18との間および光路調節機構19とミラー20との間にはそれぞれビームスプリッタ49と検出器50とからなるビームサンプラが設けられている。
CARS光用ユニット40に設けられた第3の周波数分散装置37は、図8に示されるように、レーザ顕微鏡41の主光路C1のλ/4板43とビーム径・波面調整光学系45との間に挿入されるようになっている。
【0065】
短波長カットフィルタ48はフォトニッククリスタルファイバ18によって波長変換されたパルスレーザ光の波長中で、CARS光観察に寄与しない波長帯域を遮断するようになっている。
また、ビームサンプラはフォトニッククリスタルファイバ18の前後段に配置され、各位置におけるパルスレーザ光の光量を測定することで、パルスレーザ光のフォトニッククリスタルファイバ18への入射効率を測定することができるようになっている。そして、測定の結果、入射効率が低い場合には、ファイバ調節機構46によって、フォトニッククリスタルファイバ18に入射するパルスレーザ光の光軸を調節することができるようになっている。
【0066】
本実施形態に係るCARS光用ユニットによっても、観察方法の切替によってパルスレーザ光の波長を切り替えてもアライメント調整を手動で行う必要が無く、ビーム径・波面調整光学系45,47によって、より高精度の多光子蛍光観察およびCARS光観察を行うことができるという利点がある。
【0067】
なお、本実施形態においては、CARS光用ユニット40に設けたレーザコンバイナ16として、CARS光観察にはダイクロイックミラーを使用し、多光子蛍光観察時には素ガラスを使用するように、切替可能に構成してもよい。このようにすることで、多光子蛍光観察においてはパルスレーザ光の損失を低減し、多光子励起効果を効率的に発生させることができるという利点がある。
【符号の説明】
【0068】
A 標本
C1 主光路(光路)
C3 迂回光路
1,30,40 CARS光用ユニット
2 レーザ顕微鏡(多光子蛍光顕微鏡)
3 レーザ光源
4 第1の周波数分散装置(光源光周波数分散手段)
5 音響光学素子(光量調節手段)
6 顕微鏡本体
15 ビームスプリッタ(光路分岐手段)
16 レーザコンバイナ(合波手段)
17 第2の周波数分散装置(分岐光周波数分散手段)
18 フォトニッククリスタルファイバ(周波数変換手段)
19 光路調節装置(遅延時間調節手段)
21 偏光ビームスプリッタ(光路分岐手段)
22 λ/2板(波長板)
32,42 アライメントユニット(本体側アライメント調整手段)
33 アライメントユニット(分岐光アライメント調整手段)
34 ダイクロイックミラー
36 アライメントユニット(迂回光アライメント調整手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光源から発せられたパルスレーザ光に周波数分散を付与する光源光周波数分散手段と、該光源光周波数分散手段から射出されたパルスレーザ光を標本に照射して観察する顕微鏡本体とを備える多光子蛍光顕微鏡の前記光源光周波数分散手段と前記顕微鏡本体との間の光路に挿入可能に構成され、前記光源光周波数分散手段から射出されてきたパルスレーザ光の一部を前記光路から分岐する光路分岐手段と、
該光路分岐手段により分岐されたパルスレーザ光に周波数分散を付与する分岐光周波数分散手段と、
該分岐光周波数分散手段により周波数分散を付与されたパルスレーザ光の周波数を変換する周波数変換手段と、
前記光路に挿入可能に構成され、前記周波数変換手段によって周波数を変換されたパルスレーザ光を、前記光路を通過してきたパルスレーザ光に合波させる合波手段とを備えるCARS光用ユニット。
【請求項2】
前記光路分岐手段により分岐されたパルスレーザ光に付与する時間遅延を調節する遅延時間調節手段を備える請求項1に記載のCARS光用ユニット。
【請求項3】
前記光路に、該光路を通過するパルスレーザ光の光量を調節する光量調節手段を備え、
前記光路分岐手段が、前記光源光周波数分散手段と前記光量調節手段との間に挿入可能に設けられている請求項1または請求項2に記載のCARS光用ユニット。
【請求項4】
前記光量調節手段が、音響光学素子である請求項3に記載のCARS光用ユニット。
【請求項5】
前記光路分岐手段が、分岐比率を調節可能である請求項1から請求項4のいずれかに記載のCARS光用ユニット。
【請求項6】
前記光路分岐手段が、偏光ビームスプリッタと、該偏光ビームスプリッタに入射するパルスレーザ光の偏光面を調節する波長板とを備える請求項5に記載のCARS光用ユニット。
【請求項7】
前記多光子蛍光顕微鏡が、前記光路に、前記顕微鏡本体に入射させるパルスレーザ光のアライメントを調整する本体側アライメント調整手段を備え、
前記周波数変換手段と前記合波手段との間に配置された分岐光アライメント調整手段を備え、
前記合波手段が、前記本体側アライメント調整手段と前記顕微鏡本体との間に挿入可能に設けられている請求項1または請求項2に記載のCARS光用ユニット。
【請求項8】
前記光路に挿入可能に設けられ、パルスレーザ光を波長毎に分岐して迂回光路を形成する一対のダイクロイックミラーと、該ダイクロイックミラー間の迂回光路に配置された迂回光アライメント調整手段とを備える請求項1または請求項2に記載のCARS光用ユニット。
【請求項9】
前記周波数変換手段が、フォトニッククリスタルファイバである請求項1または請求項2に記載のCARS光用ユニット。
【請求項10】
レーザ光源から発せられたパルスレーザ光に周波数分散を付与する光源光周波数分散手段と、該光源光周波数分散手段から射出されたパルスレーザ光を標本に照射して観察する顕微鏡本体とを備える多光子蛍光顕微鏡と、
該多光子蛍光顕微鏡に対して着脱される請求項1から請求項9のいずれかに記載のCARS光用ユニットとを備える顕微鏡システム。
【請求項11】
前記多光子蛍光顕微鏡が、前記光路に、前記顕微鏡本体に入射させるパルスレーザ光のアライメントを電動で調整する電動アライメント調整手段を備え、
該電動アライメント調整手段が、CARS光観察時および多光子蛍光観察時の2種類のアライメント調整値を記憶し、必要に応じてCARS光観察時に対応するアライメント調整値または多光子蛍光観察時に対応する対応するアライメント調整値を読み出してアライメントを調整する請求項10に記載の顕微鏡システム。
【請求項12】
前記多光子蛍光顕微鏡が、前記光路に、前記顕微鏡本体に入射させるパルスレーザ光のアライメントを電動で調整する電動アライメント調整手段を備え、
CARS光観察時のパルスレーザ光の波長および多光子蛍光観察時のパルスレーザ光の波長に対する2種類のアライメント調整値を記憶し、パルスレーザ光の波長の切り替えに応じて各波長に対応するアライメント調整値を読み出してアライメントを調整する請求項10に記載の顕微鏡システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−197578(P2011−197578A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−67021(P2010−67021)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】