CD37特異的及びCD20特異的結合分子を用いたB細胞の減少
本発明は、一般に、CD37特異的結合分子を用いた、個体におけるB細胞減少方法を提供する。特に、本発明は、CD37特異的結合分子を単独で、又はCD37特異的結合分子とCD20特異的結合分子とを組み合わせて、ある場合には相乗的に組み合わせて用いた、B細胞減少方法を提供する。本発明はさらに、異常なB細胞活性と関連する病気を治療するための物質及び方法を提供する。さらに、本発明は、ヒト化CD37特異的結合分子を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年7月25日に出願された米国仮特許出願第60/702,499号、2006年5月16日に出願された同第60/798,344号の米国特許法合衆国法典第35巻第119条下の利益を主張するものであり、これらの特許出願の各々は、その全ての内容が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、一般に、CD37特異的結合分子を用いた、個体におけるB細胞減少方法を提供する。特に、本発明は、CD37特異的結合分子を単独で、又はCD37特異的結合分子とCD20特異的結合分子とを組み合わせて、ある場合には相乗的に組み合わせて用いた、B細胞減少方法を提供する。本発明はさらに、異常なB細胞活性と関連する病気を治療するための物質及び方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
その通常の役割において、ヒト免疫系は、外来物質及び病原体由来のダメージから体を保護する。免疫系が体を保護する一つの方法は、Bリンパ球又はB細胞と称される特殊化した細胞の産生による。外来物質又は病原体と結合し、ある場合にはその破壊を媒介する抗体をB細胞は産生する。
【0004】
しかしながら、ある場合には、ヒト免疫系、詳細にはヒト免疫系のBリンパ球がうまく働かず、病気の結果をもたらす。B細胞の制御されない増殖と関連するガンが多数存在する。また、外来物質及び病原体と結合する代わりに体各部と結合する抗体のB細胞産生と関連する自己免疫疾患も多数存在する。このような抗体は、時折、自己抗体と称される。加えて、それらの病理学においてB細胞と関与する、例えば、T細胞への不適切なB細胞抗原提示を介するか、又はB細胞と関連する他の経路を介する、自己免疫及び炎症性疾患も多数存在する。例えば、B細胞を欠損する自己免疫疾患傾向のあるマウス(autoimmune−prone mice)は、自己免疫腎臓病、血管炎、又は自己抗体を発現しない。Shlomchik et al., J Exp. Med., 180:1295−306(1994)を参照されたい。興味深いことに、B細胞を有するが、免疫グロブリン産生を欠損する、これらの同じ自己免疫疾患傾向のあるマウスは、Chan et al., J Exp. Med., 189:1639−48(1999)に記載されるとおり、実験的に誘起された場合に自己免疫疾患を発現し、これは、B細胞が自己免疫疾患の発現に不可欠な役割を果たすことを示している。
【0005】
B細胞は、それらの細胞表面の分子により同定可能である。CD20は、モノクローナル抗体により同定された、第一のヒトB細胞系特異的表面分子であった。これは、35 kDaの非グリコシル化疎水性B細胞膜貫通型リンタンパク質であり、アミノ末端及びカルボキシ末端の両方を細胞内に置いている。Einfeld et al., EMBO J., 7:711−17(1998)を参照されたい。CD20は、全ての正常成熟B細胞により発現されているが、B細胞前駆体又は形質細胞によっては発現されていない。CD20に対する天然リガンドは同定されておらず、B細胞生物学におけるCD20の機能は、未だ完全には理解されていない。
【0006】
別のB細胞系特異的細胞表面分子はCD37である。CD37は、非常にグリコシル化された40〜52 kDaのタンパク質であり、細胞表面抗原のテトラスパニン膜貫通ファミリーに属する。これは、細胞膜を4回横断して、2つの細胞外ループを形成し、そのアミノ末端及びカルボキシ末端を細胞質に暴露している。CD37は、正常な抗体産生(sIg+)B細胞上に高度に発現しているが、プレ−B細胞又は形質細胞上には発現していない。休止及び活性T細胞、単球、及び顆粒球上のCD37の発現は低く、NK細胞、血小板、又は赤血球上には検出可能なCD37発現は存在しない。Belov et al., Cancer Res., 61(11):4483−4489(2001);Schwartz−Albiez et al., J. Immunol., 140(3):905−914(1988);及びLink et al., J. Immunol., 137(9):3013−3018(1988)を参照されたい。正常B細胞に加えて、B細胞起源のほぼ全ての悪性腫瘍は、CD37発現についてポジティブであり、これにはCLL、NHL、及びヘアリー細胞白血病が含まれる[Moore et al., Journal of Pathology, 152:13−21(1987);Merson and Brochier, Immunology Letters, 19:269−272(1988);及びFaure et al., American Journal of Dermatopathology, 12(3):122−133(1990)]。CD37を欠損するマウスは、血清IgG1を低レベルでしか有しておらず、ウイルス抗原及びモデル抗原に対するそれらのホルモン応答において正常に機能しないことが発見されたことから、CD37はB細胞機能の調節に関与する。これは、非古典的な副刺激分子として作用するか、又はMHCクラスII分子との複合体形成を介して抗原提示に直接影響を及ぼすことによって作用するようである。Knobeloch et al., Mol. Cell. Biol., 20(15):5363−5369(2000)を参照されたい。CD37はまた、TCRシグナリングに関与するようである。Van Spriel et al., J. Immunol., 172:2953−2961(2004)を参照されたい。
【0007】
ガン性疾患及び自己免疫疾患をもたらすB細胞であって、その表面上にCD37又はCD20を有するB細胞と結合し、その破壊を媒介する抗体に対して、CD37又はCD20などのB細胞系特異的細胞表面分子はそれ自体が標的とされ得るという概念に基づいて研究及び薬剤開発が行われている。「免疫療法」と称されており、CD37又はCD20と結合する、非ヒト動物において作製された(又は作製された抗体に基づく)抗体を患者に与えて、ガン性疾患又は自己免疫疾患をもたらすB細胞を枯渇させていた。
【0008】
CD37に対する抗体の一つは、131Iで標識されており、NHL治療のための臨床試験が試されている。Press et al., J. Clin. Oncol., 7(3):1027−1038(1989);Bernstein et al., Cancer Res.(Suppl.), 50:1017−1021(1990);Press et al., Front. Radiat. Ther. Oncol., 24:204−213(1990);Press et al., Adv. Exp. Med. Biol., 303:91−96(1991)及びBrown et al., Nucl. Med. Biol., 24:657−663(1997)を参照されたい。MB−1抗体は、抗体依存性細胞障害(ADCC)などのFcエフェクター機能を欠損したマウスIgG1モノクローナル抗体であり、MB−1は、アイソトープで標識されていない限り、in vivo異種移植モデルにおいて腫瘍増殖を阻害しなかった(Buchsbaum et al., Cancer Res., 52(83):6476−6481(1992))。131I−MB−1の好ましい生体内分布は、より低い全身腫瘍組織量(<1 kg)を有するリンパ腫患者において見られ、これらの患者の治療は完全な腫瘍の寛解をもたらし、これは4〜11ヶ月間続いた(Press et al., 1989及びBernstein et al., 1990)。
【0009】
加えて、別の抗CD37抗体であるG28−1と結合した薬剤アドリアマイシンからなる免疫複合体が、マウスにおいて評価されており、薬剤の内在化及び細胞内放出を介した効果が示されている。Braslawsky et al., Cancer Immunol. Immunother., 33(6):367−374(1991)を参照されたい。
【0010】
様々なグループが、B細胞関連疾患を治療するために、抗CD20抗体の使用を研究している。治療の一つは、B細胞リンパ腫を治療するために放射性核種の形態で調製された抗CD20抗体(例えば、131I標識抗CD20抗体)、並びに前立腺癌及び乳癌の転移により生じる骨の痛みを緩和するために89Sr標識形態で調製された抗CD20抗体からなる[Endo, Gan To Kagaku Ryoho, 26:744−748(1999)]。
【0011】
別のグループは、CD20に特異的なキメラモノクローナル抗体を開発し、これはヒトIgG1重鎖及びヒトカッパ軽鎖定常領域と融合した、マウス起源の重鎖及び軽鎖可変領域からなった。キメラ抗体は、CD20との結合能を保持し、かつADCC媒介及び補体結合能を保持すると報告された。Liu et al., J. Immunol. 139:3521−26(1987)を参照されたい。さらに別のキメラ抗CD20抗体がIDECハイブリドーマC2B8から作製され、リツキシマブと命名された。リツキシマブの抗腫瘍活性のメカニズムは、ADCC、補体結合、及び悪性B細胞におけるアポトーシスを促進するシグナルの誘起を含む複数の活性の組み合わせと考えられているが、ただし、巨大サイズのキメラ抗体は、悪性B細胞を含むリンパ系組織への分子の最適な拡散を妨げ、それにより、その抗腫瘍活性が限定される。ADCCは、細胞媒介反応であり、ここでは、Fcレセプター(FcR)を発現する非特異的細胞傷害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、及びマクロファージ)が、標的細胞上に結合した抗体を認識し、その後、標的細胞の溶解を引き起こす。補体結合、又は補体依存性細胞障害(CDC)は、補体の存在下、分子が標的を溶解する能力である。補体活性化経路は、補体系の第一の構成要素(C1q)と、同種抗原と複合した分子(例えば抗体)との結合により開始される。大きなサイズのリツキシマブは、悪性B細胞を含むリンパ系組織への分子の最適な拡散を妨げ、それによりこれらの抗腫瘍活性は制限される。
【0012】
リツキシマブは、典型的には4週間注入により投与され、これは、現在、低悪性度又は濾胞性B細胞非ホジキンリンパ腫を治療するため[McLaughlin et al., Oncology, 12:1763−1777(1998);Leget et al., Curr. Opin. Oncol., 10:548−551(1998)]、及び再発ステージIII/IVの濾胞性リンパ腫を治療するため[White et al., Pharm. Sci. Technol. Today, 2:95−101(1999)]に使用されている。リツキシマブで治療可能な他の疾患には、濾胞中心細胞リンパ腫(FCC)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、びまん性大細胞型リンパ腫(DLCL)、及び小リンパ球性リンパ腫(SLL)が含まれる[Nguyen et al., Eur J Haematol., 62:76−82(1999)]。週毎の注入により投与されるリツキシマブはまた、CLLを治療するためにも使用される[Lin et al., Sem Oncol.、30:483−92(2003)]。
【0013】
抗CD20抗体はまた、B細胞の自己抗体産生と関連する自己免疫疾患に罹患した患者を治療するためにも使用されている。例えば、リツキシマブは、RAを含む複数の(multiple)自己免疫/炎症性疾患を有する患者において、CD20+B細胞を枯渇させることに顕著な臨床的有用性を実証している[Edwards, N Engl J Med., 350:2546−2548(2004);Cambridge et al., Arthritis Rheum., 48:2146−54(2003)]。RA患者は、継続用量のメトトレキサート(MTX)を受け、4用量コースのリツキシマブ注入を受ける(Edwards、上記参照)。これらの患者は、コントロールグループと比較して、改善された米国リウマチ学会(ACR)反応を示した。
【0014】
全身性エリテマトーデス(SLE)を治療するために試みにおいて[Leandro et al., Arthritis Rheum., 46:2673−2677(2002)]、患者は、高用量のリツキシマブの2回注入を投与され、B細胞減少と改善された病状を実証した。SLEにおけるB細胞減少の第二の研究において[Looney et al., Arthritis Rheum., 50:2580−2589(2004)]、患者は、100 mg/m2の単一注入(低用量)、375 mg/m2の単一注入(中用量)、又は375 mg/m2の4回注入(1週間隔)(高用量)としてリツキシマブを与えられた。これらの患者はB細胞減少及び改善された疾患スコアを実証したが、この治療は自己抗体レベルを変化させなかった。リツキシマブの試みはまた、ワルデンストロームマクログロブリン血症でも実施されており[Treon et al., Immunother., 24:272−279(2000)]、ここでは、患者が、リツキシマブを4回注入した後、増加したヘマトクリット値(HCT)及び血小板数(PLT)を示した。
【0015】
多発性硬化症、中枢神経系に影響を及ぼす自己免疫疾患に罹患した患者におけるリツキシマブ治療の最近の報告は、治療過程が末梢B細胞を枯渇させるが、脳脊髄液におけるB細胞に対してはほとんど効果を有さないことを示している。Monson et al., Arch. Neurol., 62:258−264(2005)を参照されたい。
【0016】
リツキシマブの使用に関するさらなる文献には以下が含まれる:Stashi et al.,「Rituximab chimeric anti−CD20 monoclonal antibody treatment for adults with chronic idiopathic thrombocytopenic purpura」Blood 98:952−957(2001);Matthews, R.「Medical Heretics」New Scientist(7 Apr., 2001);Leandro et al.,「Clinical outcome in 22 patients with rheumatoid arthritis treated with B lymphocyte depletion」Ann Rheum Dis 61:833−888(2002);Leandro et al.,「Lymphocyte depletion in rheumatoid arthritis:early evidence for safety, efficacy and dose response.」Arthritis and Rheumatism 44(9):S370(2001);Leandro et al.,「An open study of B lymphocyte depletion in systemic lupus erythematosus」Arthritis Rheum. 46:2673−2677(2002);Edwards et al.,「Sustained improvement in rheumatoid arthritis following a protocol designed to deplete B lymphocytes」Rheumatology 40:205−211(2001);Edwards et al.,「B−lymphocyte depletion therapy in rheumatoid arthritis and other autoimmune disorders」Biochem. Soc. Trans. 30(4):824−828(2002);Edwards et al.,「Efficacy and safety of rituximab, a B−cell targeted chimeric monoclonal antibody:A randomized, placebo controlled trial in patients with rheumatoid arthritis.」Arthritis Rheum. 46:S197(2002);Levine et al.,「IgM antibody−related polyneuropathies:B−cell depletion chemotherapy using rituximab」Neurology 52:1701−1704(1999);DeVita et al.,「Efficacy of selective B−cell blockade in the treatment of rheumatoid arthritis」Arthritis Rheum 46:2029−2033(2002);Hidashida et al.,「Treatment of DMARD−Refractory rheumatoid arthritis with rituximab」Presented at the Annual Scientific Meeting of the American College of Rheumatology;October 24−29;New Orleans, La. 2002;Tuscano, J.「Successful treatment of Infliximab−refractory rheumatoid arthritis with rituximab」Presented at the Annual Scientific Meeting of the American College of Rheumatology;October 24−29;New Orleans, La. 2002。
【0017】
リツキシマブ療法と関連する問題が残っている。例えば、リツキシマブで治療されている大多数のガン患者は、一般に約6〜12ヶ月以内に再発し、かつリツキシマブ注入24時間以内に致死的な注入反応が報告されている。これらの致死的な反応は、低酸素症、肺湿潤、急性呼吸促迫症候群、心筋梗塞、心室細動、又は心臓性ショックを含む注入反応の複合体に付随した。致死的な結果の場合には透析を必要とする急性腎不全はまた、リツキシマブでの治療後に腫瘍崩壊症候群を伴うことが報告されており、これは、重篤な皮膚粘膜反応を有し、致死的な結果を有するものもある。さらに、リツキシマブ分子は大きく、およそ150 kDaであり、上記のとおり、多数の腫瘍細胞が存在するリンパ系組織への拡散が限定されることから、高用量のリツキシマブが静脈注射のために必要である。
【0018】
正常成熟B細胞はまた、CD37及びCD20を発現していることから、正常B細胞は、抗CD37(Press et al., 1989)又は抗CD20抗体療法[Reff et al., Blood, 83:435−445(1994)]により枯渇される。しかし、治療が完了した後、正常B細胞は、CD37−及びCD20−ネガティブB細胞前駆体から再生され得;それ故、抗CD37又は抗CD20療法で治療される患者は、有意な免疫抑制を得られない。
【0019】
モノクローナル抗体技術及び遺伝子工学方法は、ヒトの病気の診断及び治療のための免疫グロブリン分子の開発を導いている。タンパク質工学を適用して、その同種抗原に対する抗体アフィニティを高め、免疫原性と関連する問題を減少させ、かつ抗体のエフェクター機能を変える。免疫グロブリンのドメイン構造は、抗原結合ドメインとドメインが与えるエフェクター機能が、免疫グロブリンクラス及びサブクラス間で交換され得るという点において、工学技術の影響を受けやすい。免疫グロブリン構造と機能は、例えば、Harlow et al., Eds., Antibodies:A Laboratoy Manual, Chapter 14, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor(1988)などに概説されている。組み換え抗体技術の全ての側面についての広範囲にわたる序論及び詳細な情報は、教科書「Recombinant Antibodies」(John Wiley & Sons, NY, 1999)に見ることができる。詳細な抗体工学実験用プロトコルを包括的に集めたものは、R. Kontermann and S. Dubel(eds.)、「The Antibody Engineering Lab Manual」(Springer Verlag、Heidelberg/New York, 2000)に見ることができる。
【0020】
最近、より小さな免疫グロブリン分子が構築され、全免疫グロブリン療法と関連する問題に打ち勝っている。一本鎖Fv(scFv)は、短いリンカーペプチドを介して、抗体の軽鎖可変ドメインと結合した抗体の重鎖可変ドメインを含む[Huston et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85:5879−5883(1988)]。可変領域に加えて、各抗体鎖は、1つ又は複数の定常領域を有する。軽鎖は、単一の定常領域ドメインを有する。従って、軽鎖は、1つの可変領域と1つの定常領域を有する。重鎖は、複数の定常領域ドメインを有する。IgG、IgA、及びIgD抗体における重鎖は、3つの定常領域ドメインを有し、これはCH1、CH2、及びCH3と記され、IgM及びIgE抗体における重鎖は、4つの定常領域ドメイン、CH1、CH2、CH3、及びCH4を有する。従って、重鎖は、1つの可変領域と3つ又は4つの定常領域を有する。
【0021】
免疫グロブリンの重鎖はまた、3つの機能領域に分けられる:Fd領域(V.sub.H及びCH1を含むフラグメント、すなわち、重鎖の2つのN末端ドメイン)、ヒンジ領域、及びFc領域(定常領域に由来し、ペプシン消化後に形成される、「結晶化フラグメント」領域)。軽鎖と組み合わさったFd領域はFab(「抗原結合フラグメント」)を形成する。抗原は、各Fabのアミノ末端で抗原結合領域と立体化学的に反応するので、IgG分子は二価、すなわち、2つの抗原分子と結合し得る。Fcは、細胞上で免疫グロブリンレセプターと相互作用し、補体カスケードの開始要素と相互作用するドメインを含む。従って、Fcフラグメントは、一般に、免疫グロブリンのエフェクター機能、例えば、補体結合及びFcレセプターとの結合に関与すると考えられている。
【0022】
scFv分子は小さなサイズであることから、これらは、血漿及び組織からの非常に急速なクリアランスを呈し、全免疫グロブリンよりも組織への効果的な浸透を示す。抗腫瘍scFvは、対応するキメラ抗体よりも、より急速な腫瘍への浸透、及びさらに腫瘤を通じた分布を示した[Yokota et al., Cancer Res., 52, 3402−3408(1992)]。scFVと別の分子、例えば毒素との融合により、scFvの特異的抗原結合活性及び低サイズをうまく利用して、標的組織へと毒素がデリバリーされる[Chaudary et al., Nature, 339:394(1989);Batra et al., Mol. Cell. Biol., 11:2200(1991)]。
【0023】
scFv分子の利点にも関わらず、これらの使用には複数の欠点が存在する。scFvの急速なクリアランスは、正常細胞において毒性作用を減少させ得る一方で、このような急速なクリアランスは、最小有効量を標的組織へとデリバリーすることを妨げ得る。患者に投与するために十分量のscFvを製造することは、収率に悪影響を及ぼす、scFvの発現及び単離の困難性に起因して挑戦的である。発現の間、scFv分子は安定性を欠いており、しばしば、異なる分子からの可変領域の対合により凝集する。さらに、哺乳動物発現系におけるscFv分子の産生レベルは低く、治療のためのscFv分子の効率的な製造の可能性を制限する[Davis et al., J Biol. Chem., 265:10410−10418(1990);Traunecker et al., EMBO J, 10:3655−3659(1991)]。産生を高めるためのストラテジーが探索されており、これには可変領域へのグリコシル化部位の付加が含まれる[Jost, C. R.米国特許第5,888,773号、Jost et al., J. Biol. Chem., 69:26267−26273(1994)]。
【0024】
治療のためにscFvを使用することの別の不利点は、エフェクター機能の欠如である。免疫グロブリンの定常領域と関連する、細胞障害性機能、ADCC、及び補体依存性細胞障害(CDC)のないscFvは、病気の治療に有効でないかもしれない。scFv技術の開発は12年以上も前に始まったにも関わらず、現在、治療用に認められているscFv産物は全くない。
【0025】
別法として、scFvと別の分子、例えば毒素とを融合させることにより、scFv分子の特異的抗原結合活性と低サイズをうまく利用して、標的組織へと毒素をデリバリーすることが提案されている。Chaudary et al., Nature 339:394(1989);Batra et al., Mol. Cell. Biol. 11:2200(1991)。従って、毒素とscFvとの結合又は融合が、強力な抗原特異的分子を提供するための別のストラテジーとして提示されているが、このような複合体又はキメラを用いた投与は、このような調製物の毒素部分に起因する過剰及び/又は非特異的毒性により制限され得る。毒性作用には、肝酵素の超生理学的上昇及び血液漏出症候群、並びに他の所望しない作用が含まれ得る。さらに、免疫毒素はそれ自体が、宿主への投与時に高度に免疫原性であり、免疫毒素に対して産生された宿主抗体は、個体の反復治療上の処置に対する潜在的有用性を限定する。
【0026】
小モジュール免疫薬剤(small modular immunopharmaceutical)(SMIP(商標))製品と称される、他の改変融合タンパク質が、共有の米国特許出願公開第2003/133939号、同第2003/0118592号、及び同第2005/0136049号、並びに共有の国際公開第02/056910号、同第2005/037989号、及び同第2005/017148号に記載されており、これらは全て、参照により本明細書に援用される。SMIP製品は、新規結合ドメイン−免疫グロブリン融合タンパク質であり、抗原、カウンターレセプターなどの同種構造への結合ドメイン;IgG1、IgA、又はIgEヒンジ領域ポリペプチド又は変異IgG1ヒンジ領域ポリペプチドであって、ゼロ、1つ、又は2つのいずれかのシステイン残基を有するもの;並びに免疫グロブリンCH2及びCH3ドメインに特徴がある。SMIP製品は、ADCC及び/又はCDCの能力がある。
【特許文献1】米国仮特許出願第60/702499号
【特許文献2】米国仮特許出願第60/798344号
【特許文献3】米国特許第5888773号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2003/133939号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2003/0118592号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2005/0136049号明細書
【特許文献7】国際公開第02/056910号パンフレット
【特許文献8】国際公開第05/037989号パンフレット
【特許文献9】国際公開第05/017148号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
抗体系療法を実施する広範囲にわたる研究が存在するが、異常なB細胞活性と関連する病気を治療するための改善された方法についての必要性が当分野に存在する。記載し、特許請求する本発明の方法は、このような改善された方法及び他の利点を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明は、CD37特異的結合分子を用いた、B細胞減少方法を提供する。本発明のある方法において、CD37特異的結合分子(1つ又は複数のCD37特異的結合分子)とCD20特異的結合分子(1つ又は複数のCD20特異的結合分子)とを組み合わせて使用するにより、高められたB細胞減少がもたらされる。これらの方法のいくつかにおいて、組み合わせは相乗的である。関連する側面において、本発明は、異常なB細胞活性と関連する病気を有するか、又は有する疑いのある個体の治療方法を提供する。
【0029】
本発明はまた、ヒト化CD37特異的結合分子(例えば、ヒト化TRU−016構築物)、及びこれらの分子を用いたB細胞減少方法も提供する。本発明の方法のある実施態様において、ヒト化TRU−016構築物と、1つ又は複数のCD20特異的結合分子をと組み合わせて使用することが企図される。別の側面において、本発明は、異常なB細胞活性と関連する病気を有するか、又は有する疑いのある個体の治療方法を提供する。本発明の関連する側面は、任意のこのような病気の予防方法、及びこのような病気と関連する症状の改善方法であって、このような病気を治療若しくは予防するため、又はこのような病気の症状を改善するために有効な量のヒト化CD37特異的結合分子を投与する工程を含む、方法に注目する。
【0030】
「異常なB細胞活性」とは、正常、適切、又は予期されるコースから逸脱するB細胞活性を意味する。例えば、異常なB細胞活性には、細胞DNA又は他の細胞成分が損傷を受けているか又は欠損している細胞の不適切な増殖が含まれ得る。異常なB細胞活性には、不適切に高レベルな細胞分裂、不適切に低レベルなアポトーシス、又はその両方に起因する、媒介される、又はこれらをもたらす病気と関連することを特徴とする細胞増殖が含まれ得る。このような病気は、例えば、ガン性であろうと非ガン性であろうとも、良性であろうと悪性であろうとも、細胞、細胞群、又は組織(1つ以上)の単一又は複数の局所異常増殖により特徴付けられ得る。異常なB細胞活性にはまた、異常な抗体産生、例えば自己抗体の産生、又は正常レベルでの産生が典型的には所望される抗体の過剰産生が含まれ得る。異常なB細胞活性は、特定のB細胞亜集団に生じ得、他の亜集団には生じ得ないことが企図される。異常なB細胞活性にはまた、例えば、T細胞への不適切なB細胞抗原提示によるか、又はB細胞と関連する他の経路による、不適切なT細胞刺激が含まれ得る。
【0031】
「治療」又は「治療する」とは、治療的な処理、又は予防的/妨げる処理のいずれかを意味する。治療的処理は、治療を受けている個体における病気の症状の少なくとも1つを改善するか、又は個体における進行性疾患の悪化を遅延させるか、又はさらなる関連する病気の発症を予防し得る。
【0032】
CD20特異的結合分子の「治療上有効量」又は「有効量」とは、治療されるべき病気の1つ又は複数の症状の改善をもたらすために十分な化合物の量を意味する。単独で投与される活性成分が個体に適用される場合には、治療上有効量は、単独の前記活性成分について述べる。組み合わせて適用される場合には、治療上有効量は、それらが連続投与であろうと同時投与であろうとも、治療効果をもたらす活性成分の結合量を意味する。本発明は、詳細には、1つ又は複数の特異的結合分子が、本発明の方法に従って、それぞれ有効量で投与されてよいことを企図する。
【0033】
「異常なB細胞活性と関連する病気を有するか、又は有する疑いのある個体」とは、その個体における病気又は病気の症状が、異常なB細胞活性に起因するか、又は異常なB細胞活性によって悪化するか、又はB細胞活性の制御により緩和され得る、個体を意味する。このような病気の例は、B細胞ガン(例えば、B細胞リンパ腫、B細胞白血病、又はB細胞骨髄腫)、自己抗体産生により特徴付けられる病気、又はT細胞への不適切なB細胞抗原提示若しくはB細胞と関連する他の経路に起因する不適切なT細胞刺激により特徴付けられる病気である。
【0034】
一つの例となる側面において、本発明の方法により治療される個体は、リツキシマブを用いた治療反応よりも優れた治療反応、又はそれに対して改善された治療反応を実証する。リツキシマブを用いた治療を超える改善反応とは、本発明の方法による治療が結果として、リツキシマブ療法、例えばリツキシマブを受けている患者における臨床反応よりも優れた、患者における臨床反応をもたらす、臨床反応を意味する。改善反応は、当分野で周知であり本明細書に記載する臨床的基準の比較により評価される。例となる基準には、これに限定されないが、B細胞枯渇の継続期間、全体的なB細胞数の減少、生物学的サンプルにおけるB細胞数の減少、腫瘍サイズの減少、治療後に存在及び/又は現れる腫瘍数の減少、並びに患者自身及び医師により評価されるとおりの改善された全体反応(例えば、国際予後指標を用いる)が含まれる。改善は、1つ又は2つ以上の臨床的基準におけるものであってよい。本発明の方法を用いた改善反応は、例えば、リツキシマブ治療の毒性及び/又は不十分な有効性などに起因する、リツキシマブを用いた以前又は現行の治療に対する不十分な反応に起因してよい。
【0035】
B細胞ガンには、B細胞リンパ腫[例えば、様々な形態のホジキン病、非ホジキンリンパ腫(NHL)、又は中枢神経系リンパ腫]、白血病[例えば、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、ヘアリー細胞白血病、及び慢性骨髄性白血病]、及び骨髄腫(例えば、多発性骨髄腫)が含まれる。さらなるB細胞ガンには、小リンパ球性リンパ腫、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、脾性辺縁帯リンパ腫、形質細胞性骨髄腫、骨の孤立性形質細胞腫、骨外性形質細胞腫、粘膜関連リンパ組織(MALT)型節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型リンパ腫、縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性滲出液リンパ腫、バーキットリンパ腫/白血病、悪性度不明なB細胞増殖、リンパ腫様肉芽腫症、及び移植後リンパ増殖性疾患が含まれる。
【0036】
自己抗体産生により特徴付けられる疾患は、しばしば自己免疫疾患と考えられる。自己免疫疾患には、これに限定されないが、以下が含まれる:関節炎、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、骨関節炎、多発性軟骨炎、乾癬性関節炎、乾癬、皮膚炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、封入体筋炎、炎症性筋炎、中毒性皮膚剥離症、全身性強皮症及び硬化症、CREST症候群、炎症性大腸炎と関連する反応、クローン病、潰瘍性大腸炎、呼吸促迫症候群、成人呼吸促迫症候群(ARDS)、髄膜炎、脳炎、ブドウ膜炎、大腸炎、糸球体腎炎、アレルギー状態、湿疹、喘息、T細胞湿潤及び慢性炎症反応と関連する状態、アテローム性動脈硬化、自己免疫性心筋炎、白血球接着不全症、全身性エリテマトーデス(SLE)、亜急性皮膚エリテマトーデス、円板状ループス、ループス脊髄炎、ループス脳炎、若年発症性糖尿病、多発性硬化症、アレルギー性脳脊髄炎、視神経脊髄炎、リウマチ熱、シデナム舞踏病、サイトカイン及びTリンパ球により媒介される急性及び遅延型過敏症と関連する免疫反応、結核、サルコイドーシス、ヴェグナー肉芽腫症及びチャーグストラウス症候群を含む肉芽腫症、無顆粒球症、血管炎(過敏性血管炎/脈管炎、ANCA、及びリウマチ性血管炎を含む)、再生不良性貧血、ダイアモンドブラックファン貧血、自己免疫性溶血性貧血(AIHA)を含む免疫性溶血性貧血、悪性貧血、赤芽球癆(PRCA)、第VIII因子欠乏、血友病A、自己免疫性好中球減少症、汎血球減少症、白血球減少症、白血球漏出と関連する病気、中枢神経系(CNS)炎症性疾患、多臓器損傷症候群、重症筋無力症、抗原抗体複合体媒介疾患、抗糸球体基底膜疾患、抗リン脂質抗体症候群、アレルギー性神経炎、ベーチェット病、キャッスルマン症候群、グッドパスチャー症候群、ランバートイートン筋無力症症候群、レイノー症候群、シェーグレン症候群、スティーブンスジョンソン症候群、固形臓器移植拒絶反応、移植片対宿主拒絶反応(GVHD)、水疱性類天疱瘡、天疱瘡、自己免疫性多腺性内分泌障害、血清反応陰性脊椎関節症、ライター症候群、スティフマン症候群、巨細胞性動脈炎、免疫複合体性腎炎、IgAネフロパシー、IgM多発ニューロパシー又はIgM媒介ニューロパシー、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、ヘノッホシェーンライン紫斑病、自己免疫性血小板減少症、自己免疫性精巣炎及び卵巣炎を含む精巣及び卵巣の自己免疫疾患、原発性甲状腺機能低下症;自己免疫性甲状腺炎、慢性甲状腺炎(橋本甲状腺炎)、亜急性甲状腺炎、特発性甲状腺機能低下症、アジソン病、グレーブス病、自己免疫性多腺性症候群(又は多腺性内分泌障害症候群)、インスリン依存性糖尿病(IDDM)とも称されるI型糖尿病、及びシーハン症候群を含む自己免疫性内分泌疾患;自己免疫性肝炎、リンパ球様間質性肺炎(HIV)、NSIPに対する閉塞性細気管支炎(非移植)、ギランバレー症候群、大血管の血管炎(リウマチ性多発性筋痛及び巨細胞性(高安)動脈炎を含む)、中血管の血管炎(川崎病及び結節性多発性動脈炎を含む)、結節性多発性動脈炎(PAN)強直性脊椎炎、バージャー病(IgAネフロパシー)、急速進行性糸球体腎炎、原発性胆汁性肝硬変、セリアック病(グルテン性腸症)、クリオグロブリン血症、肝炎と関連するクリオグロブリン血症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、冠動脈疾患、家族性地中海熱、顕微鏡的多発性血管炎、コーガン症候群、ウィスコットアルドリッチ症候群、並びに閉塞性血栓血管炎。
【0037】
関節リウマチ(RA)は、関節の炎症により特徴付けられる慢性疾患であり、腫脹、痛み、及び機能の喪失を導く。長期間RAを有する患者は、通常、進行性の関節破壊、変形、障害、及びさらには早期の死を呈す。
【0038】
クローン病及び関連疾患である潰瘍性大腸炎は、炎症性腸疾患(IBD)と称される病気のグループに属する、2つの主な病気カテゴリーである。クローン病は、消化管又は胃腸(GI)管の炎症を引き起こす慢性疾患である。これは、口から肛門までのGI管の任意の領域に影響を及ぼし得るが、最も一般には、小腸及び/又は大腸に影響を及ぼす。潰瘍性大腸炎において、GI関与は、大腸に限定される。
【0039】
クローン病は、好中球抗原に対する抗体、すなわち「核周辺型抗好中球抗体」(pANCA)、及びSaccharomyces cerevisiaeに対する抗体、すなわち「抗Saccharomyces cerevisiae抗体」(ASCA)により特徴付けられ得る。潰瘍性大腸炎を有する患者の多くは、その血中にpANCA抗体を有するが、ASCA抗体は有しておらず、他方、クローン病患者の多くは、ASCA抗体を呈すが、pANCA抗体は呈さない。クローン病を評価する方法の一つは、医師により集められた18の予測因子変数スコアに基づき、クローン病活動指数(CDAI)を用いることである。150以下のCDAI値は非活動期の病気と関連し;これを超える値は活動期の病気を示し、450を超える値は、非常に重症の病気で見られる[Best et al.,「Development of a Crohn's disease activity index.」Gastroenterology 70:439−444(1976)]。しかし、最初の研究以来、何人かの研究者は、健康なスコアとして200〜250の「主観的値(subjective value)」を使用している。
【0040】
全身性エリテマトーデス(SLE)は、腎臓、皮膚、及び関節を含む複数の臓器における血管への再発性の損傷により引き起こされる自己免疫疾患である。SLEを有する患者においては、T細胞とB細胞との相互作用の欠陥により、細胞核を攻撃する自己抗体が結果として産生される。自己抗体はSLEに関与するということが一般的な見解であり、従って、B細胞系を枯渇させて、新規B細胞が前駆体から産生されるように免疫系をリセットできる新規療法が、SLE患者における長期にわたる利益として希望を与えるだろう。
【0041】
多発性硬化症(MS)もまた自己免疫疾患である。これは、中枢神経系の炎症及びミエリンの破壊により特徴付けられ、ここで、ミエリンとは、脳、脊髄、及び体において、神経細胞繊維を絶縁するものである。MSの原因は未知であるが、自己免疫T細胞が、この病気の病因に主に寄与すると広く考えられている。しかし、高レベルの抗体が、MSを有する患者の脳脊髄液に存在しており、ある理論では、抗体産生を導くB細胞反応が、この病気を媒介するために重要であると予測されている。
【0042】
自己免疫性甲状腺疾患は、甲状腺を刺激して甲状腺機能亢進症(グレーブス病)をもたらすか、又は甲状腺を破壊して甲状腺機能低下症(橋本甲状腺炎)をもたらすかのいずれかである、自己抗体の産生に起因する。甲状腺の刺激は、甲状腺刺激ホルモン(TSH)レセプターと結合し活性化する自己抗体によりもたらされる。甲状腺の破壊は、他の甲状腺抗原と反応する自己抗体によりもたらされる。
【0043】
シェーグレン症候群は、体の水分産生腺の破壊により特徴付けられる自己免疫疾患である。
【0044】
免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)は、血小板と結合しそれらの破壊をもたらす自己抗体により特徴付けられる。
【0045】
重症筋無力症(MG)は、神経筋接合部で発現しているアセチルコリンレセプターと結合する自己抗体により特徴付けられる慢性自己免疫性神経筋疾患であり、随意筋グループの低下を導く。
【0046】
乾癬は、皮膚における自己免疫性の炎症により特徴付けられ、また30%のケースにおいては関節炎と関連し、強皮症、炎症性大腸炎(クローン病及び潰瘍性大腸炎を含む)と関連する。
【0047】
また、皮膚筋炎(DM)及び多発性筋炎(PM)を含む特発性炎症性筋疾患(IIM)の治療も企図される。炎症性筋疾患は、多数の分類スキームを用いてカテゴリー化されている。Millerの分類スキーム(Miller, Rheum Dis Clin North Am. 20:811−826, 1994)は、2つの特発性炎症性筋疾患(IIM)、多発性筋炎(PM)、及び皮膚筋炎(DM)を同定している。
【0048】
多発性筋炎及び皮膚筋炎は、筋肉と関連し、DMの場合には皮膚と関連する慢性で衰弱性の炎症性疾患である。これらの疾患は稀であり、米国で1年間当たり、100万人の成人当たりおよそ5〜10の症例、100万人の子供当たり0.6〜3.2の症例の年間発生率が報告されている(Targoff, Curr Probl Dermatol. 1991, 3:131−180)。特発性炎症性筋疾患は、有意な罹患率及び死亡率と関連し、罹患した成人の最大半分が、顕著な障害を受けていると指摘される(Gottdiener et al., Am J Cardiol. 1978, 41:1141−49)。Millerは(Rheum Dis Clin North Am. 1994, 20:811−826及びArthritis and Allied Conditions, Ch. 75, Eds. Koopman and Moreland, Lippincott Williams and Wilkins, 2005)、IIMを診断するために使用される5つのグループの基準、すなわち特発性炎症性筋疾患基準(IIMC)評価を設定しており、これには筋力低下、筋生検の変性の証拠、筋関連酵素の血清レベルの上昇、筋疾患の電磁気的な三つ組(electromagnetic triad)、皮膚筋炎における発疹の証拠が含まれ、さらに第二の基準として自己抗体の証拠が含まれる。
【0049】
筋関連酵素及び自己抗体を含むIIM関連因子には、これに限定されないが、クレアチンキナーゼ(CK)、乳酸脱水素酵素、アルドラーゼ、C反応性タンパク質、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、及び抗核自己抗体(ANA)、筋炎特異的抗体(MSA)、及び可溶性核抗原に対する抗体が含まれる。
【0050】
本発明の「結合分子」とは、例えば、標的と結合する、タンパク質(「タンパク質」は、ポリペプチド又はペプチドであってよい)、核酸、炭水化物、脂質、又は低分子化合物であり得る。本発明により企図されるタンパク質の結合分子のタイプは、抗体又は抗体フラグメントであって結合活性を保持するものである。結合分子は、個体の体において、その結合アフィニティを高めるため、その免疫原性を減少させるため、そのエフェクター機能を変えるため、及び/又はその有用性を高めるために、当分野で標準的な方法に従って修飾されてよい。このような修飾には、例えば、アミノ酸配列修飾又は融合タンパク質としての発現が含まれる。このような融合タンパク質はまた、本発明の結合分子である。本発明の例となる結合分子は、小モジュール免疫薬剤(small modular immunopharmaceutical)(SMIP(商標))である。
【0051】
標的に「特異的」な結合分子は、任意の他の標的よりも大きなアフィニティでその標的と結合する。例えば、CD37特異的結合分子は、任意の他の標的よりも大きなアフィニティでCD37と結合し、CD20特異的結合分子は、任意の他の標的よりも大きなアフィニティでCD20と結合する。本発明の結合分子は、それらの標的に対して、約104M−1以上、好ましくは約105M−1以上、より好ましくは約106M−1以上、さらにより好ましくは約107M−1以上のKaのアフィニティを有してよい。約107M−1をさらに超えるアフィニティが、さらにより好ましく、例えば、約107M−1以上、約108M−1以上、及び約109M−1以上、及び約1010M−1以上のアフィニティなどである。本発明の結合分子のアフィニティは、常法を用いて容易に測定可能であり、例えばScatchard et al., Ann. N.Y. Acad. Sci. 51:660(1949)に記載されている。
【0052】
本発明により企図される特定のCD37特異的結合分子は、CD37に対して、約0.5〜約10 nMのアフィニティを有する。本発明により企図される特定のCD20特異的結合分子は、CD20に対して、約1〜約30 nMのアフィニティを有する。
【0053】
本発明により企図される特定のCD37結合分子及びCD20結合分子の別の特徴は、これらが、約7〜約30日間の循環半減期を呈することである。
【0054】
第三回HLDAワークショップにおいてCD37抗原を特徴付けたCD37特異的抗体は、HD28、G28−1、HH1、Bl14、WR17、及びF93G6であった。Ling and MacLennan, pp. 302−335 in Leucocyte Typing III. White Cell Differentiation Antigens, Oxford University Press(1987)を参照されたい。記載されている他のCD37特異的抗体には、RFB−7、Y29/55、MB−1、M−B371、M−B372、及びIPO−24が含まれる。これらの抗体の全てが、唯一つのCD37エピトープを認識することを記載する、Moldenhaurer, J. Biol., Regul. Homeost. Agents, 14:281−283(2000)を参照されたい。Schwartz−Albiez et al., 14:905−914(1988)は、エピトープが、CD37の炭水化物部分に位置されることを指摘している。別のCD37特異的抗体はS−B3(Biosys)である。
【0055】
CD20抗体を記載する特許及び特許出願には以下が含まれる:米国特許第5,776,456号、同第5,736,137号、同第6,399,061号、及び同第5,843,439号、並びに米国特許出願公開第2002/0197255A1号、及び同第2003/0021781A1号(Anderson et al.);米国特許第6,455,043B1号及び国際公開第00/09160号(Grillo−Lopez, A.);国際公開第00/27428(Grillo−Lopez and White);国際公開第00/27433号(Grillo−Lopez and Leonard);国際公開第00/44788号(Braslawsky et al.);国際公開第01/10462号(Rastetter, W.);国際公開第01/10461号(Rastetter and White);国際公開第01/10460号(White and Grillo−Lopez);米国特許出願公開第2002/0006404号及び国際公開第02/04021号(Hanna and Hariharan);米国特許出願公開第2002/0012655A1号及び国際公開第01/74388号(Hanna, N.);米国特許出願公開第2002/0009444A1号、及び国際公開第01/80884号(Grillo−Lopez, A.);国際公開第01/97858号(White, C.);米国特許出願公開第2002/0128488A1号及び国際公開第02/34790号(Reff, M.);国際公開第02/060955号(Braslawsky et al.);国際公開第02/096948号(Braslawsky et al.);国際公開第02/079255号(Reff and Davies);米国特許第6,171,586B1号及び国際公開第98/56418号(Lam et al.);国際公開第98/58964号(Raju, S.);国際公開第99/22764号(Raju, S.);国際公開第99/51642号、米国特許第6,194,551B1号、同第6,242,195B1号、同第6,528,624B1号、及び同第6,538,124号(Idusogie et al.);国際公開第00/42072号(Presta, L.);国際公開第00/67796号(Curd et al.);国際公開第01/03734号(Grillo−Lopez et al.);米国特許出願公開第2002/0004587A1号及び国際公開第01/77342号(Miller and Presta);米国特許出願公開第2002/0197256号(Grewal. I.);米国特許第6,090,365B1号、同第6,287,537B1号、同第6,015,542号、同第5,843,398号、同第5,595,721号(Kaminski et al.);米国特許第5,500,362号、同第5,677,180号、同第5,721,108号、及び同第6,120,767号(Robinson et al.);米国特許第6,410,391B1号(Raubitschek et al.);米国特許第6,224,866B1号及び国際公開第00/20864号(Barbera−Guillem, E.);国際公開第01/13945号(Barbera−Guillem, E.);国際公開第00/67795号(Goldenberg);国際公開第00/74718号(Goldenberg and Hansen);国際公開第00/76542号(Golay et al.);国際公開第01/72333号(Wolin and Rosenblatt);米国特許第6,368,596B1号(Ghetie et al.);米国特許出願公開第2002/0041847A1号(Goldenberg, D.);米国特許出願公開第2003/0026801A1号(Weiner and Hartmann);国際公開第02/102312号(Engleman, E.)であって、これらの各々は、参照により本明細書に明確に援用される。さらに、米国特許第5,849,898号及び欧州特許出願公開第330,191号(Seed et al.);米国特許第4,861,579号及び欧州特許出願公開第332,865A2号(Meyer and Weiss);並びに国際公開第95/03770号(Bhat et al.)も参照されたい。
【0056】
リツキシマブは、リツキサン(登録商標)としてヒトでの臨床的使用の認可を受けている。リツキサン(登録商標)は、本発明のCD20特異的結合分子と考えられる。
【0057】
小モジュール免疫薬剤(SMIP)は、本発明の結合分子の一つのタイプと考えられる。SMIP製造方法は、共有の米国仮特許出願第10/627,556号、並びに米国特許出願公開第2003/0133939号、同第2003/0118592号、及び同第2005/0136049号に以前に記載しており、これらはその全ての内容が参照により本明細書に援用される。SMIPは、新規結合ドメイン−免疫グロブリン融合タンパク質であり、抗原、カウンターレセプターなどの同種構造に対する結合ドメイン、IgG1、IgA、若しくはIgEヒンジ領域ポリペプチド又は変異IgG1ヒンジ領域ポリペプチドであって、ゼロ、1つ、又は2つのいずれかのシステイン残基を有するもの、並びに免疫グロブリンCH2及びCH3ドメインに一般に特徴がある。一つの実施態様において、結合ドメイン分子は、ヒンジ領域中に1つ又は2つのシステイン(Cys)残基を有する。関連する実施態様において、結合ドメイン分子が2つのCys残基を含む場合には、重鎖と軽鎖との結合に関与する第一のCysは、欠失又はアミノ酸で置換されていない。
【0058】
本発明の方法で有用な分子の結合ドメインは、1つ又は複数の結合領域を有することが企図され、例えば、1つ又は複数の免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバー、例えば免疫グロブリンに由来する、可変軽鎖及び可変重鎖結合領域などを有することが企図される。さらに、これらの領域は、リンカーペプチドにより典型的には分離されており、リンカーペプチドは、結合分子中のドメイン又は領域結合(joinder)と適合する、当分野で公知の任意のリンカーペプチドであってよい。例となるリンカーは、Gly4Serリンカーモチーフ、例えば(Gly4Ser)n(n=1〜5)に基づくリンカーである。本発明の方法で使用するための分子にはまた、エフェクター機能、好ましくはADCC及び/又はCDCを提供するために、免疫グロブリンの定常領域に由来する十分なアミノ酸配列が含まれている。従って、分子は、免疫グロブリンのCH2ドメイン、又は1つ若しくは複数の免疫グロブリンに由来するCH2及びCH3ドメインに由来する配列を有するだろう。SMIPは、ADCC及び/又はCDCの能力を有するが、ジスルフィド結合多量体を形成する能力に欠陥がある。
【0059】
本発明には、配列番号2に記載のポリペプチドと少なくとも80%の同一性を示すヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドが含まれ、このヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドはCD37と結合する。一つの側面において、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドには、配列番号6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、80、82、84、86、及び88からなる群から選択される任意のアミノ酸配列が含まれる。別の側面において、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドは、軽鎖CDR1、重鎖CDR1、軽鎖CDR2、重鎖CDR2、軽鎖CDR3、及び重鎖CDR3からなる群から選択される相補性決定領域(CDR)において少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む。
【0060】
一つの実施態様において、本発明には、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、軽鎖CDR1が配列番号61(RASENVYSYLA)のアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。本発明にはまた、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、軽鎖CDR1が配列番号62(RTSENVYSYLA)のアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。本発明にはさらに、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、重鎖CDR1が配列番号63(GYMNM)のアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。
【0061】
別の実施態様において、本発明には、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、軽鎖CDR2が配列番号64(FAKTLAE)のアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。本発明にはまた、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、重鎖CDR2が配列番号65(NIDPYYGGTTTYNRKFKG)のアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。
【0062】
さらなる実施態様において、本発明には、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、軽鎖CDR3が配列番号66(QHHSDNPWT)のアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。本発明にはさらに、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、重鎖CDR3が配列番号67(SVGPFDY)のアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。本発明にはさらに、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、重鎖CDR3が配列番号68(SVGPFDS)のアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。本発明にはまた、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、重鎖CDR3が配列番号69(SVGPMDY)のアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。
【0063】
別の側面において、本発明には、配列番号61、62、64、及び66からなる群から選択される軽鎖CDRアミノ酸配列の少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は少なくとも3つの配列を含む、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドが含まれる。さらに別の実施態様において、本発明には、配列番号61又は62の軽鎖CDR1アミノ酸配列、又は配列番号61若しくは62の1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体;配列番号64の軽鎖CDR2アミノ酸配列、又は配列番号64の1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体;及び配列番号66の軽鎖CDR3アミノ酸配列、又は配列番号66の1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体、を含むヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドが含まれる。
【0064】
さらに別の側面において、本発明には、配列番号63、65、及び67〜69からなる群から選択される重鎖CDRアミノ酸配列の少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は少なくとも3つの配列を含む、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドが含まれる。さらなる実施態様において、本発明には、配列番号63の重鎖CDR1アミノ酸配列、又は配列番号63の1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体;配列番号65の重鎖CDR2アミノ酸配列、又は配列番号65の1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体;及び配列番号67〜69からなる群から選択される重鎖CDR3アミノ酸配列、又は配列番号67〜69のいずれか一つの1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体、を含むヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドが含まれる。
【0065】
本発明にはまた、軽鎖FR1、重鎖FR1、軽鎖FR2、重鎖FR2、軽鎖FR3、重鎖FR3、軽鎖FR4、及び重鎖FR4からなる群から選択されるフレームワーク領域(FR)において少なくとも1つのアミノ酸修飾を含むヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドが含まれる。一つの実施態様において、本発明には、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、軽鎖の第一フレームワーク領域(FR1)が配列番号70(EIVLTQSPATLSLSPGERATLSC)のアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。別の実施態様において、本発明には、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、重鎖FR1が配列番号71(EVQLVQSGAEVKKPGESLKISCKGSGYSFT)のアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。さらに別の実施態様において、本発明には、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、軽鎖FR2が配列番号72(WYQQKPGQAPRLLIY)のアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。さらなる実施態様において、本発明には、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、重鎖FR2が配列番号73(WVRQMPGKGLEWMG)のアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。さらに別の実施態様において、本発明には、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、軽鎖FR3が配列番号74(GIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYC)のアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。さらに別の実施態様において、本発明には、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、重鎖FR3が配列番号75(QVTISADKSISTAYLQWSSLKASDTAMYYCAR)のアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。さらに別の実施態様において、本発明には、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、軽鎖FR4が配列番号76(FGQGTKVEIK)のアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。さらに別の実施態様において、本発明には、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、重鎖FR4が配列番号77(WGQGTLVTVSS)のアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。さらに別の実施態様において、本発明には、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチ
ドであって、重鎖FR4が配列番号78(WGRGTLVTVSS)のアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。
【0066】
本発明にはさらに、配列番号70、72、74、及び76からなる群から選択される軽鎖FRアミノ酸配列の少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は少なくとも3つの配列を含む、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドが含まれる。一つの実施態様において、本発明には、配列番号70の軽鎖FR1アミノ酸配列、又は配列番号70の1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体;配列番号72の軽鎖FR2アミノ酸配列、又は配列番号72の1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体;配列番号74の軽鎖FR3アミノ酸配列、又は配列番号74の1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体;及び配列番号76の軽鎖FR4アミノ酸配列、又は配列番号76の1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体、を含むヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドが含まれる。
【0067】
さらに、本発明には、配列番号71、73、75、77、及び78からなる群から選択される重鎖FRアミノ酸配列の少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は少なくとも3つの配列を含む、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドが含まれる。一つの実施態様において、本発明には、配列番号71の重鎖FR1アミノ酸配列、又は配列番号71の1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体;配列番号73の重鎖FR2アミノ酸配列、又は配列番号73の1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体;配列番号75の重鎖FR3アミノ酸配列、又は配列番号75の1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体;及び配列番号77若しくは78の重鎖FR4アミノ酸配列、又は配列番号77若しくは78の1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体、を含むヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドが含まれる。
【0068】
本発明にはまた、配列番号2に記載のポリペプチドと少なくとも80%の同一性を示すヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離核酸分子が含まれ、前記ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドはCD37と結合するものである。このような単離核酸分子には、配列番号5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、79、81、83、85、及び87からなる群から選択されるヌクレオチド配列が含まれてよい。一つの実施態様において、本発明には、これらの核酸分子を含むベクター、及び前記ベクターを含む宿主細胞が含まれる。
【0069】
本発明にはまた、本明細書に記載のポリペプチドの製造方法であって、適した条件下で宿主細胞を培養して前記ポリペプチドを発現させる工程を含み、かつ任意選択で前記培養物から前記ポリペプチドを単離する工程を含んでよい、ポリペプチド製造方法が含まれる。
【0070】
さらに別の側面において、本発明には、本発明のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド及び医薬として許容可能なキャリアを含む組成物が含まれる。
【0071】
本発明にはさらに、本発明の任意の方法における、本明細書に記載のCD37特異的SMIP又はCD37特異的結合分子の使用が含まれる。このような方法には、配列番号6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、80、82、84、86、及び88からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、任意のCD37特異的SMIP又はCD37特異的結合分子の使用が含まれる。
【0072】
さらに別の側面において、本発明には、本発明の組成物;及びB細胞を減少させるためのキットを使用するためのプロトコルを含むB細胞減少用キットが含まれる。このようなキットには、1つ又は複数のCD20特異的結合分子がさらに含まれてよい。本発明は、このようなCD20特異的結合分子がTRU−015であることを企図する。
【0073】
本発明にはまた、配列番号2に記載のポリペプチドと少なくとも80%の同一性を示し、CDR1、CDR2、及びCDR3を含む、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドが含まれる。このようなCD37特異的SMIPポリペプチドには、CDR1、CDR2、及びCDR3の各々を分離するヒトフレームワークドメインがさらに含まれてよい。
【0074】
別の側面において、本発明には、配列番号2に記載のポリペプチドと少なくとも80%の同一性を示すヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、前記ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドが、CD37と結合し、配列番号90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、115、116、118、120、122、124、126、及び127からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むヒンジ領域ポリペプチドを含む、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドが含まれる。
【0075】
本発明はまた、配列番号2に記載のポリペプチドと少なくとも80%の同一性を示すヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、前記ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドが、CD37と結合し、(Gly4Ser)n(nは、1、2、3、4、5、又は6である)を含むリンカーを含む、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドを企図する。
【0076】
さらにさらなる側面において、本発明には、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、軽鎖CDR1が、配列番号128(RTSQNVYSYLA)、129(RTSESVYSYLA)、130(RASQSVYSYLA)、131(RASQSVSSYLA)、及び132(RASQSVSYYLA)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。別の実施態様において、本発明には、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、重鎖CDR1が、配列番号133(SYMNM)及び134(SYWIG)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。さらなる実施態様において、本発明には、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、軽鎖CDR2が、配列番号135(AASSLQS)、136(GASTRAT)、及び137(DASNRAT)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。さらに別の実施態様において、本発明には、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、重鎖CDR2が、配列番号138(IIYPGDSDTRYSPSFQG)及び139(RIDPSDSYTNYSPSFQG)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。
【0077】
本発明にはまた、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、軽鎖CDR3が、配列番号220(QHHSDNPWT)のアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。別の実施態様において、本発明には、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、重鎖CDR3が、配列番号211(SVGPMDY)、212(SVGPFDY)、213(SVGPMDV)、214(SVGPFDS)、215(SVGPFDP)、216(SVGPFQH)、217(SVGPFDV)、218(SVGPFDI)、及び219(SVGPFDL)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。
【0078】
さらにさらなる実施態様において、本発明には、代替フレームワーク領域を有するCD37特異的SMIPポリペプチドが含まれる。一つの側面において、本発明には、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、軽鎖FR1が、配列番号170〜181からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。別の側面において、本発明には、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、重鎖FR1が、配列番号140〜146からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。さらにさらなる側面において、本発明には、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、軽鎖FR2が、配列番号182〜193からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。さらに別の側面において、本発明には、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、重鎖FR2が、配列番号147〜153からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。さらなる側面において、本発明には、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、軽鎖FR3が、配列番号194〜205からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。さらに別の側面において、本発明には、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、重鎖FR3が、配列番号154〜160からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。さらなる側面において、本発明には、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、軽鎖FR4が、配列番号206〜210からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。さらに別の側面において、本発明には、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、重鎖FR4が、配列番号161〜169からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。
【0079】
本発明において有用なCD37特異的SMIPの例には、これに限定されないが、以下が含まれる:G28−1 scFv(SSS−S)H WCH2 WCH3であって、これは、結合部又はヒンジ領域における3つのシステイン残基の全てが、セリン残基に変異しているG28−1一本鎖Fv、並びに野生型CH2及びCH3ドメインからなる;IgAヒンジ及びWT IgG1ドメインを含む、G28−1 scFv IgAH WCH2 WCH3;G28−1 scFv VHL11S(SSS−S)H WCH2 CH3であって、これは、結合部又はヒンジ領域における3つのシステイン残基の全てが、セリン残基に変異しており、重鎖可変領域の11位のロイシンが、セリンに置換されている;G28−1 scFv VH L11S(CSS−S)H WCH2 CH3であって、これは、システイン残基が、2位及び3位でセリンに置換されていた;G28−1 scFv VHL11S(CSC−S)H WCH2 CH3であって、これは、システイン残基が2位でセリンに置換されていた;G28−1 scFv VH11S(SSC−P)H WCH2 CH3(本明細書ではTRU−016と称す)であって、これは、結合部又はヒンジ領域における第一及び第二のシステイン残基がセリン残基に変異しており、重鎖可変領域の11位のロイシンが、セリンに置換されている;G28−1 scFv VH11S(SCS−S)H WCH2 WCH3であって、これは、ヒンジ領域における第一及び第三のシステイン残基がセリン残基に変異している;G28−1 scFv VHL11S(CCS−P)H WCH2 WCH3であって、これは、ヒンジ領域における第三のシステイン残基がセリンに置換されている;G28−1 scFv VHL11S(SCC−P)H WCH2 WCH3であって、これは、第一のシステインがセリンに置換されている;マウスIgE CH2〜4領域を含む、G28−1 scFv VHL11S mIgE CH2 CH3 CH4であって、これは、重鎖可変領域の11位のロイシンがセリンに置換されている;野生型IgA CH2と、4つのカルボキシアミノ酸GTCYを欠失した切断IgA CH3ドメインとを有するマウスIgAヒンジを含む、G28−1 scFv VHL11S mIgA WIgACH2 T4CH3;IgE CH領域を含む、G28−1 scFv VHL11S hIgE CH2 CH3 CH4であって、これは、重鎖可変領域の11位のロイシンがセリンに置換されている;並びに、IgAヒンジ、野生型IgA CH2、及び切断IgA CH2及び切断IgA CH3ドメインであって4つのカルボキシアミノ酸GTCYを欠失したものを含む、G28−1 scFv VHL11S hIgAH WIgACH2 TCH3。
【0080】
本発明に有用なCD20特異的SMIPの例には、米国特許出願公開第2003/133939号及び同第2003/0118592号に記載の、抗CD20モノクローナル抗体2H7に由来するSMIPが含まれる。SMIPには、2H7 scFv−Ig又はその誘導体が含まれる。誘導体には、以下が含まれる:CytoxB−MHWTG1Cであって、これは、ヒトIgG1 Fcドメイン及び変異IgG1ヒンジドメインを有する;CytoxB−MHMG1Cであって、これは変異Fcドメインを含む;MG1H/MG1Cであって、これは、残基234の変異ロイシンを有するFcレセプターを含む;CytoxB−IgAHWTHG1Aであって、これは、野生型ヒトFcドメインと融合したヒトIgAヒンジの一部を含む;ラマIgG1ヒンジ及びCH2CH3領域を含む、2H7 scFv−llama IgG1;ラマIgG2ヒンジ及びCH2CH3領域を含む2H7 scFv−llama IgG2;ラマIgG3ヒンジ及びCH2CH3領域を含む、2H7 scFv−llama IgG3。
【0081】
2H7 scFv MTH(SSS)WTCH2CH3であって、これは、結合部又はヒンジ領域における3つのシステイン残基の全てがセリン残基に変異しており、野生型CH2及びCH3ドメインを有する;2H7 scFv MTH(SSC)であって、これは、初めの2つのシステイン残基がセリン残基に置換されていた;2H7 scFv MTH(SCS)であって、これは、第一及び第三のシステインがセリン残基に置換されていた;2H7 scFv MTH(CSS)WTCH2CH3であって、これは、システイン残基が、2位及び3位でセリンに置換されていた;2H7 scFv VH11SER IgG MTH(SSS)WTCH2CH3であって、これは、重鎖可変領域の11位のロイシンがセリンに置換されている;IgAヒンジ領域及びWT IgG1ドメインを含む、2H7 scFv IgA hinge−IgG1 CH2−CH3;IgAヒンジ、野生型IgA CH2、及び4つのカルボキシアミノ酸GTCYを欠失している切断IgA CH3ドメインを含む、2H7 IgAWH IgACH2−T4CH3。
【0082】
IgG CH3領域に変異を有する誘導体には、以下が含まれる:2H7 scFv MTH WTCH2 MTCH3 Y405であって、これは、405位(Kabat et al.(上記参照)に従った番号付け)のフェニルアラニン残基がチロンシンに置換されていた;2H7 scFv MTH WTCH2 MTCH3 A405であって、これは、405位のフェニルアラニンがアラニンに置換されていた;scFv MTH WTCH2 MTCH3 A407であって、これは、407位のチロシン残基がアラニンに置換されていた;2つの変異を含む、scFv MTH WTCH2 MTCH3 Y405A407;並びに、2つの変異を含む、scFv MTH WTCH2 MTCH3 A405A407。
【0083】
2H7 scFv MTH(CCS)WTCH2CH3は、IgG1ヒンジ領域における第三のシステイン残基がセリン残基に置換されている構築物である。2H7 scFv IgG MTH(SSS)MTCH2WTCH3 SMIPには、変異ヒンジ(MT(SSS))及び変異CH2ドメインが含まれ、これは、残基238(Ward et al.,に従う)のプロリンがセリンに置換されていた。
【0084】
2H7 scFv−Ig誘導体にはまた、重鎖可変領域において点突然変異を有する2H7 scFv変異体も含まれる。以下の構築物は全て、重鎖可変領域における11位のロイシンがセリンに置換されている突然変異を含む:上記のとおりの変異ヒンジ領域を含む、2H7 scFv VH11SER IgG MTH(SSS−S)WTCH2CH3、2H7 scFv VHL11S(CSS−S)H WCH2 WCH3;上記のとおりの変異ヒンジ領域を含む、2H7 scFv VHL11S(CSC−S)H WCH2 WCH3;IgAヒンジ、WT IgA CH2、及び切断IgA CH3を含む、2H7 scFv VHL11S IgAH IgACH2 T4CH3;IgE CH2〜4領域を含む、2H7 scFv VHL11S IgECH2 CH3 CH4;変異ヒンジ領域並びにIgE CH3及びCH4領域を含む、2H7 VHL11S scFv(SSS−S)IgECH3CH4;マウスIgE領域を含む、2H7 scFv VHL11S mIgE CH2 CH3 CH4;上記の変異、並びに野生型CH2領域及び変異CH3領域からなるマウスIgA定常領域を含む、2H7 scFv VHL11S mIgAH WIGACH2 T4CH3;残基322でのヒトIgG1 CH2領域における突然変異を含む、2H7 scFv VHL11S(SSS−S)H K322S CH2 WCH3であって、これは、リシンがセリンに変化していた;上記のとおりの変異ヒンジ領域、及び先に記載したとおりの変異CH2領域を含む、2H7 scFv VHL11S(CSS−S)H K322S CH2 WCH3;上記のとおりの変異ヒンジ領域、及び変異CH2領域を含む、2H7 scFv VHL11S(SSS−S)H P331S CH2 WCH3であって、これは、残基331のプロリンがセリンに変化していた;変異ヒンジ領域、及びCH2領域における残基331でのプロリンからセリンへの突然変異を含む、2H7 scFv VHL11S(CSS−S)H P331S CH2 WCH3;変異ヒンジ領域、及びCH2領域における残基256でのトレオニンからアスパラギンへの突然変異を含む、2H7 scFv VHL11S(SSS−S)H T256N CH2 WCH3;変異ヒンジ領域、及び一連の突然変異を含む、2H7 scFv VHL11S(SSS−S)H RTPE/QNAK(255〜258) CH2 WCH3であって、これは、残基255〜258が、アルギニン、トレオニン、プロリン、グルタミン酸から、それぞれ、グルタミン、アスパラギン、アラニン、及びリシンに変異している;変異ヒンジ領域、及び290位でのリシンのグルタミンへの変化を含む、2H7 scFv VHL11S(SSS−S)H K290Q CH2 WCH3;変異ヒンジ領域、及び339位でのアラニンのプロリンへの変化を含む、2H7 scFv VHL11S(SSS−S)H A339P CH2 WCH3;変異ヒンジ領域、及びCH2における238位でのプロリンのセリンへの変化を含む、SMIP 2H7 scFv (SSS−S)H P238S CH2 WCH3であって、これは、2H7 scFv IgG MTH(SSS)MTCH2WTCH3と同一である。2H7 scFv IgAH IGAHCH2 T18CH3は、野生型IgAヒンジ及びCH2領域、並びにカルボキシ端において18個のアミノ酸切断を有するCH3領域を含む。
【0085】
本発明の結合分子には、結合分子活性を高める、別のタンパク質由来の天然又は改変細胞外ドメインがふくまれてよい。一つの実施態様において、細胞外ドメインは、CD154及びCTLA4からなる群から選択される。
【0086】
CD37特異的結合分子とCD20特異的結合分子との「相乗的な組み合わせ」とは、単独で投与された場合の結合分子の効果の合計よりも高い効果を有する組み合わせである。
【0087】
本発明の一つの側面において、結合分子は、1つ又は複数の医薬組成物で投与される。結合分子をヒト又は試験動物に投与するために、1つ又複数の医薬として許容可能なキャリアを含む組成物中に結合分子を製剤化することが好ましい。「医薬として又は薬理学的に許容可能」とは、以下に記載するとおりの、当分野で周知の経路を用いて投与された場合に、アレルギー又は他の副作用を生じない、分子化合物(molecular entity)及び組成物を意味する。「医薬として許容可能なキャリア」には、任意及び全ての臨床的に有用な溶媒、分散媒、コーティング、抗菌及び抗真菌剤、等張及び吸収遅延剤などが含まれる。
【0088】
さらに、化合物は、水又は一般的な有機溶媒で溶媒和物を形成してよい。このような溶媒和物も同様に企図される。
【0089】
結合分子組成物は、経口的に、局所的に、経皮的に、非経口的に、吸入スプレーにより、経膣的に、経直腸的に、又は頭蓋内注入により投与されてよい。本明細書で使用する「非経口」という用語には、皮下注射、静脈、筋肉、嚢内への注射又は注入技術が含まれる。静脈内、皮内、筋肉内、乳房内、腹腔内、髄腔内、球後、肺内注射、及び/又は特定の部位での外科的移植(implantation)による投与も同様に企図される。一般に、組成物は、発熱物質、並びに受容個体にとって有害であり得る他の不純物を本質的に含まない。注射、特に静脈内注射が好ましい。
【0090】
本発明の方法で用いられる結合分子を含む本発明の医薬組成物には、投与経路に応じて、医薬として許容可能なキャリア又は添加物質が含まれてよい。このようなキャリア又は添加物質の例には、水、医薬として許容可能な有機溶媒、コラーゲン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、水溶性デキストラン、カルボキシメチルスターチナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、エチルセルロース、キサンタンガム、アラビアガム、カゼイン、ゼラチン、寒天、ジグリセリン、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ワセリン、パラフィン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ヒト血清アルブミン(HSA)、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、医薬として許容可能な界面活性剤などが含まれる。使用される添加物質は、これに限定されないが、本発明の投与形態に応じて、適切に、上記のもの又はその組み合わせから選択される。
【0091】
医薬組成物の製剤化は、選択される投与経路に従って変化するだろう(例えば、溶液、エマルション)。投与されるべき抗体を含む適切な組成物は、薬理学的に許容可能なビヒクル又はキャリア中に調製されてよい。溶液又はエマルションのために、適したキャリアには、例えば、食塩水又は緩衝媒体(buffered media)を含む、水性又はアルコール性/水性の溶液、エマルション、又は懸濁液が含まれる。非経口ビヒクルには、塩化ナトリウム溶液、リンガーデキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、乳酸加リンガー液、又は不揮発性油が含まれ得る。静脈内のビヒクルには、様々な添加物質、保存料、又は流動性の栄養若しくは電解質補充液が含まれ得る。
【0092】
様々な水性キャリア、例えば、水、緩衝水、0.4%食塩水、0.3%グリシン、又は水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適した賦形剤と混合して活性化合物を含んでよい。このような賦形剤は、懸濁剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガム、及びアカシアガムであり;分散又は湿潤剤は、天然由来のリン脂質、例えば、レシチン、又は脂肪酸とアルキレンオキシドの縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンステアラート、又は長鎖脂肪族アルコールとエチレンオキシドの縮合生成物、例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール、又は脂肪酸とヘキシトールに由来する部分エステルとエチレンオキシドの縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、又は脂肪酸と無水ヘキシトールに由来する部分エステルとエチレンオキシドの縮合生成物、例えば、ポリエチレンソルビタンモノオレエートであってよい。水性懸濁液にはまた、1つ又は複数の保存料、例えば、エチル、又はn−プロピル、p−ヒドロキシベンゾエートが含まれてよい。
【0093】
結合分子組成物は、貯蔵のために凍結乾燥され、使用前に適したキャリア中で再構成され得る。この技術は、従来の免疫グロブリンで有効であることが示されている。任意の適した凍結乾燥及び再構成技術を用いてよい。凍結乾燥及び再構成は様々な程度の抗体活性喪失を導き得ること、及び使用レベルを調整して補正しなければならないかもしれないことが当業者には明らかであるだろう。
【0094】
水を添加することにより水性懸濁液を調製することに適した分散性粉末及び顆粒は、分散又は湿潤剤、懸濁剤、及び1つ又は複数の保存料と混合して活性化合物を提供する。適した分散又は湿潤剤、及び懸濁剤は、先に既に挙げたものにより例証される。
【0095】
これらの製剤中の結合分子濃度は広範に変化し得、例えば、約0.5重量%未満から、通常は約1重量%で又は少なくとも約1重量%から、15又は20重量%と同程度まで変化し得、選択される特定の投与方法に従って、主に液量、粘性などに基づいて選択されるだろう。従って、非経口注射のための典型的な医薬組成物は、1 mLの滅菌緩衝水及び50 mgの抗体を含むように作製され得る。静脈内注入のための典型的な組成物は、250 mLの滅菌リンガー溶液及び150 mgの抗体を含むように作製され得る。非経口的に投与可能な組成物の実際の調製方法は、当業者に公知であるか、又は明らかであるだろうし、より詳細には、例えば、Remington's Pharmaceutical Science, 15th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa.(1980)に記載されている。抗体の有効用量は、投与当たり、体重1 kg当たり、0.01 mg〜1000 mgの範囲内である。
【0096】
医薬組成物は、滅菌した注射可能な水性、油性の懸濁液、ディスパージョン、又は滅菌した注射可能な溶液若しくはディスパージョンを即時調製するための滅菌粉末の形態であってよい。懸濁液は、先に挙げた、適した分散又は湿潤剤、及び懸濁剤を用いて、公知の技術に従って製剤化されてよい。滅菌した注射可能な調製物はまた、非毒性の非経口的に許容可能な希釈剤又は溶媒中の滅菌した注射可能な溶液又は懸濁液、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液であってもよい。キャリアは、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)、適したその混合物、植物油、リンガー溶液、及び生理食塩水を含む、溶媒又は分散媒であり得る。さらに、滅菌した不揮発性油は、溶媒又は懸濁媒体として通常使用される。この目的のために、合成モノ−又はジグリセリドを含む、任意の無刺激(bland)不揮発性油を用いてよい。さらに、オレイン酸などの脂肪酸が、注射可能な調製物で用いられる。
【0097】
全ての場合において、形態は滅菌でなければならず、容易にシリンジできる程度まで流動的でなければならない。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングを使用することにより、ディスパージョンの場合には所要の粒径を維持することにより、及び界面活性剤を使用することにより、維持され得る。これは、製造及び貯蔵条件下で安定でなければならず、バクテリアや真菌などの微生物の汚染作用に対抗して貯蔵されなければならない。微生物作用の予防は、様々な抗菌及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによってもたらされ得る。多くの場合、等張剤、例えば、糖又は塩化ナトリウムを含めることが所望されるだろう。注射可能な組成物の持続的吸収は、組成物中、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを使用することによりもたらされ得る。
【0098】
投与に有用な組成物を摂取又は吸収促進剤とともに製剤化して、それらの有効性を高めてよい。このような促進剤には、例えば、サリチレート、グリココレート/リノレアート、グリコレート、アプロチニン、バシトラシン、SDS、カプレートなどが含まれる。例えば、Fix(J. Pharm. Sci., 85:1282−1285, 1996)及びOliyai and Stella(Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol., 32 :521−544, 1993)を参照されたい。
【0099】
さらに、本発明での使用が企図される組成物の親水性及び疎水性特性は、均衡が取れており、それにより、in vitro及び特にin vivoでの使用の両方についてその有用性を高めるが、他方、このようなバランスを欠いた他の組成物は、実質的にほとんど有用性のないものである。詳細には、本発明での使用が企図される組成物は、体内での吸収及びバイオアベイラビリティを可能にする、水性媒体中での適切な溶解度を有し、その一方で、推定上の作用部位へと化合物が細胞膜を横断することを可能にする、脂質中での溶解度も有する。従って、企図される抗体組成物は、それらが標的抗原活性部位へとデリバリーされ得る場合に、最大限に有効である。
【0100】
一つの側面において、本発明の方法は、結合分子組成物を投与する工程を含む。
【0101】
本発明の方法は、治療物質を直接的又は間接的に哺乳動物個体へと導入するための任意の医学上許容可能な手段を用いて実施され、この手段には、これに限定されないが、注射、経口摂取、経鼻、局所、経皮、非経口、吸入スプレー、膣内、又は直腸投与が含まれる。本明細書で使用される「非経口」という用語には、皮下、静脈、筋肉、及び嚢内への注射並びにカテーテル又は注入技術が含まれる。皮内、乳房内、腹腔内、髄腔内、球後、肺内注射、及び/又は特定の部位での外科的移植による投与も同様に企図される。
【0102】
一つの実施態様において、投与は、部位への直接注射によるか、又は持続性デリバリー若しくは持続放出メカニズム(製剤を内部的にデリバリーできる)を介して、治療を必要とするガン又は罹患組織の部位で実施される。例えば、組成物(例えば、可溶性ポリペプチド、抗体、又は低分子)の持続性デリバリーを可能にする、生分解性ミクロスフェア若しくはカプセル又は他の生分解性ポリマー構造が、ガンの近くに移植される本発明の組成物中に含まれ得る。
【0103】
治療組成物はまた、複数の部位で患者にデリバリーされてもよい。複数回投与は、同時に与えられるか、又はある期間にわたって投与されてよい。特定の場合、治療組成物の連続流を提供することが有益である。さらなる治療を定期的に、例えば、毎時、毎日、毎週、又は毎月、実施してよい。
【0104】
本発明の結合分子組成物は、1つ又は2つ以上の結合分子を含んでよい。第二の薬剤と併用して結合分子組成物を投与することも本発明により企図される。本発明により企図される第二の薬剤を以下の段落に列挙する。
【0105】
第二の薬剤は、B細胞関連分子であってよい。本発明により企図される他のB細胞関連分子には、CD37又はCD20ではないB細胞表面分子と結合する結合分子が含まれる。B細胞関連分子には、これに限定されないが、以下が含まれる:CD19(Bリンパ球抗原CD19、Bリンパ球表面抗原B4、又はLeu−12とも称される)、CD21、CD22(B細胞レセプターCD22、Leu−14、Bリンパ球細胞接着分子、又はBL−CAMとも称される)、CD23、CD40(B細胞表面抗原CD40、腫瘍壊死因子レセプタースーパーファミリーメンバー5、CD40Lレセプター、又はBp50とも称される)、CD80(Tリンパ球活性化抗原CD80、活性化B7−1抗原、B7、B7−1、又はBB1とも称される)、CD86(Tリンパ球活性化抗原CD86、活性化B7−2抗原、B70、FUN−1、又はBU63とも称される)、CD137(腫瘍壊死因子レセプタースーパーファミリーメンバー9とも称される)、CD152(細胞障害性Tリンパ球タンパク質4又はCTLA−4とも称される)、L6(腫瘍関連抗原L6、トランスメンブレン4スーパーファミリーメンバー1、膜成分表面マーカー1、又はM3S1とも称される)、CD30(リンパ球活性化抗原CD30、腫瘍壊死因子レセプタースーパーファミリーメンバー8、CD30Lレセプター、又はKi−1とも称される)、CD50(細胞内接着分子−3(ICAM3)、又はICAM−Rとも称される)、CD54(細胞内接着分子−1(ICAM1)、又はメジャーグループライノウイルスレセプターとも称される)、B7−H1(活性T細胞、B細胞、及び骨髄性細胞により発現される免疫阻害レセプターに対するリガンド、PD−L1とも称される;Dong et al.,「B7−H1, a third member of the B7 family, co−stimulates T−cell proliferation and interleukin−10 secretion」, Nat. Med., 5:1365−1369(1999)を参照されたい)、CD134(腫瘍壊死因子レセプタースーパーファミリーメンバー4、OX40、OX40Lレセプター、ACT35抗原、又はTAX−転写活性化糖タンパク質1レセプターとも称される)、41BB(4−1BBリガンドレセプター、T細胞抗原4−1BB、又はT細胞抗原ILA)、CD153(腫瘍壊死因子リガンドスーパーファミリーメンバー8、CD30リガンド、又はCD30−Lとも称される)、CD154(腫瘍壊死因子リガンドスーパーファミリーメンバー5、TNF関連活性化タンパク質、TRAP、又はT細胞抗原Gp39とも称される)、及びTollレセプター。構築標的及び/又は標的抗原の上記列挙は単に例示であり、全てではない。
【0106】
サイトカイン及び増殖因子は、本発明により企図される第二の薬剤であり、これに限定されないが、TNF、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−14、IL−15、IL−16、IL−17、IL−18、IFN、G−CSF、Meg−CSF、GM−CSF、トロンボポエチン、幹細胞因子、及びエリスロポエチンの1つ又は複数が含まれる。本発明の医薬組成物にはまた、他の公知のアンジオポエチン、例えば、Ang−1、Ang−2、Ang−4、Ang−Y、及び/又はヒトアンジオポエチン様ポリペプチド、及び/又は血管内皮増殖因子(VEGF)が含まれる。本発明の医薬組成物で使用するための増殖因子には以下が含まれる:アンジオジェニン、骨形態形成タンパク質−1、骨形態形成タンパク質−2、骨形態形成タンパク質−3、骨形態形成タンパク質−4、骨形態形成タンパク質−5、骨形態形成タンパク質−6、骨形態形成タンパク質−7、骨形態形成タンパク質−8、骨形態形成タンパク質−9、骨形態形成タンパク質−10、骨形態形成タンパク質−11、骨形態形成タンパク質−12、骨形態形成タンパク質−13、骨形態形成タンパク質−14、骨形態形成タンパク質−15、骨形態形成タンパク質レセプターIA、骨形態形成タンパク質レセプターIB、脳由来神経栄養因子、毛様体神経栄養因子、毛様体神経栄養因子レセプターα、サイトカイン誘導性の好中球走化因子1、サイトカイン誘導性の好中球走化因子2α、サイトカイン誘導性の好中球走化因子2β、β内皮細胞成長因子、エンドセリン1、上皮成長因子、上皮由来の好中球誘引物質、線維芽細胞増殖因子4、線維芽細胞増殖因子5、線維芽細胞増殖因子6、線維芽細胞増殖因子7、線維芽細胞増殖因子8、線維芽細胞増殖因子8b、線維芽細胞増殖因子8c、線維芽細胞増殖因子9、線維芽細胞増殖因子10、酸性線維芽細胞増殖因子、塩基性線維芽細胞増殖因子、グリア細胞株由来神経栄養因子レセプターα1、グリア細胞株由来神経栄養因子レセプターα2、増殖関連タンパク質、増殖関連タンパク質α、増殖関連タンパク質β、増殖関連タンパク質γ、ヘパリン結合性上皮成長因子、肝細胞増殖因子、肝細胞増殖因子レセプター、インスリン様成長因子I、インスリン様成長因子レセプター、インスリン様成長因子II、インスリン様成長因子結合タンパク質、ケラチノサイト成長因子、白血病抑制因子、白血病抑制因子レセプターα、神経成長因子、神経成長因子レセプター、ニューロトロフィン−3、ニューロトロフィン−4、胎盤成長因子、胎盤成長因子2、胎盤由来内皮細胞成長因子、血小板由来増殖因子、血小板由来増殖因子A鎖、血小板由来増殖因子AA、血小板由来増殖因子AB、血小板由来増殖因子B鎖、血小板由来増殖因子BB、血小板由来増殖因子レセプターα、血小板由来増殖因子レセプターβ、プレ−B細胞増殖刺激因子、幹細胞因子、幹細胞因子レセプター、形質転換成長因子α、形質転換成長因子β、形質転換成長因子β1、形質転換成長因子β1.2、形質転換成長因子β2、形質転換成長因子β3、形質転換成長因子β5、潜在的な形質転換成長因子β1、形質転換成長因子β結合タンパク質I、形質転換成長因子β結合タンパク質II、形質転換成長因子β結合タンパク質III、腫瘍壊死因子レセプターI型、腫瘍壊死因子レセプターII型、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子レセプター、血管内皮細胞増殖因子、及びキメラタンパク質並びに生物学的又は免疫学的に活性なそのフラグメント。
【0107】
第二の薬剤として企図される化学療法剤の例には、これに限定されないが、以下が含まれる:アルキル化剤、例えば、ナイトロジェンマスタード(例えば、メクロレタミン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、及びクロラムブシル);ニトロソウレア(例えば、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、及びセムスチン(メチル−CCNU));エチレンイミン及びメチル−メラミン(例えば、トリエチレンメラミン(TEM)、トリエチレンチオホスホルアミド(チオテパ)、及びヘキサメチルメラミン(HMM、アルトレタミン));スルホン酸アルキル(例えば、ブスルファン);並びにトリアジン(例えば、ダカルバジン(DTIC));代謝拮抗物質、例えば、葉酸類似体(例えば、メトトレキサート、トリメトレキサート、及びペメトレキセド(複数標的化抗葉酸剤));ピリミジン類似体(例えば、5−フルオロウラシル(5−FU)、フルオロデオキシウリジン、ゲムシタビン、シトシンアラビノシド(AraC、シタラビン)、5−アザシチジン、及び2,2’−ジフルオロデオキシシチジン);並びにプリン類似体(例えば、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、アザチオプリン、2’−デオキシコホルマイシン(ペントスタチン)、エリスロヒドロキシノニルアデニン(EHNA)、リン酸フルダラビン、2−クロロデオキシアデノシン(クラドリビン、2−CdA));I型トポイソメラーゼ阻害剤、例えば、カンプトテシン(CPT)、トポテカン、及びイリノテカン;天然産物、例えば、エピポドフィロトキシン(例えば、エトポシド及びテニポシド);並びにビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、及びビノレルビン);抗腫瘍抗生物質、例えば、アクチノマイシンD、ドキソルビシン、及びブレオマイシン;放射線増感剤、例えば、5−ブロモデオキシウリジン、5−ヨードデオキシウリジン、及びブロモデオキシシチジン;白金配位錯体、例えば、シスプラチン、カルボプラチン、及びオキサリプラチン;置換尿素、例えば、ヒドロキシウレア;並びにメチルヒドラジン誘導体、例えば、N−メチルヒドラジン(MIH)及びプロカルバジン。
【0108】
また、化学療法剤、放射線療法剤、並びに他の活性及び補助的薬剤の非限定的な例を表1にも示す。
【0109】
【表1A】
【表1B】
【表1C】
【0110】
自己免疫疾患を治療するために本発明により企図される第二の薬剤は、免疫抑制剤と称され、これは、治療されるべき個体の免疫系を抑制又は隠すために作用する。免疫抑制剤には、例えば、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、鎮痛剤、グルココルチコイド、関節炎を治療するための疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)、又は生物反応修飾物質が含まれる。DMARD種類における組成物はまた、RAだけでなく他の多くの自己免疫疾患の治療にも有用である。
【0111】
例となるNSAIDは、イブプロフェン、ナプロキセン、ナプロキセンナトリウム、Cox−2阻害剤、例えば、ビオックス及びセレブレックス、並びにシアリレートからなる群から選択される。例となる鎮痛剤は、アセトアミノフェン、オキシコドン、塩酸プロポキシフェンのトラマドールからなる群から選択される。例となるグルココルチコイドは、コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、又はプレドニゾンからなる群から選択される。例となる生物反応修飾物質には、これに限定されないが、細胞表面マーカー(例えば、CD4、CD5など)に対する分子、サイトカイン阻害剤、例えば、TNFアンタゴニスト(例えば、エタネルセプト(エンブレル)、アダリムマブ(ヒューミラ)、及びインフリキシマブ(レミケード))、ケモカイン阻害剤、及び接着分子阻害剤が含まれる。生物反応修飾物質には、モノクローナル抗体及び分子の組み換え形態が含まれる。例となるDMARDには、これに限定されないが、アザチオプリン、シクロホスファミド、シクロスポリン、メトトレキサート、ペニシラミン、レフルノミド、スルファサラジン、ヒドロキシクロロキン、金[経口(オーラノフィン)及び筋内]、並びにミノサイクリンが含まれる。
【0112】
結合分子組成物及び第二の薬剤は、同一製剤中で同時に与えられてよいことが企図される。別法として、薬剤は分離した製剤ではあるが並行して投与され、薬剤に関して、互いに30分以内に並行して与えられる。
【0113】
別の側面において、第二の薬剤は、結合分子組成物の投与前に投与される。前投与は、抗体での治療の1週間前以内であって、抗体投与の最大30分前までに第二の薬剤を投与することを意味する。第二の薬剤が、結合分子組成物の投与後に投与されることもさらに企図される。後の投与は、抗体治療30分後から、抗体投与後最大で1週間までに投与することを意味する。
【0114】
結合分子が第二の薬剤と組み合わせて投与される場合であって、前記第二の薬剤がサイトカイン若しくは増殖因子、又は化学療法剤である場合には、投与にはまた、放射線療法剤又は放射線療法の使用が含まれてよいことがさらに企図される。抗体組成物と組み合わせて投与される放射線療法は、治療医師により決定されるとおりであって、典型的にはガンを治療すべき患者に与えられる用量で投与される。
【0115】
投与量中の結合分子量は、治療が実施される個体サイズ、及び治療されるべき疾患の特徴に従って変化するだろう。例となる治療において、約1 mg/日、約5 mg/日、約10 mg/日、約20 mg/日、約50 mg/日、約75 mg/日、約100 mg/日、約150 mg/日、約200 mg/日、約250 mg/日、約500 mg/日、又は約1000 mg/日を投与する必要があり得る。用量はまた、患者の体重に基づいて、約0.01〜約50 mg/kgの用量で投与されてよい。関連する実施態様において、結合分子は、約0.015〜約30 mg/kgの用量範囲で投与されてよい。さらなる実施態様において、結合分子は、約0.015、約0.05、約0.15、約0.5、約1.5、約5、約15、又は約30 mg/kgの用量で投与される。
【0116】
これらの組成物は、単一用量又は複数回用量で投与されてよい。第一に動物モデルで、その後臨床試験で行われる標準用量反応研究は、特定の疾患状態及び患者集団についての最適用量を明らかにする。
【0117】
結合分子組成物の投与は、単一用量の治療後に、B細胞集団を少なくとも20%減少させる。一つの実施態様において、B細胞集団は、少なくとも約20、約30、約40、約50、約60、約70、約80、約90、又は約100%減少する。B細胞の減少は、正常範囲の下限未満のB細胞絶対数の減少として定義される。B細胞の回復は、以下のいずれかのB細胞絶対数の回復として定義される:対象のベースライン値の70%又は正常範囲。
【0118】
CD20特異的結合分子の投与はまた、特定のB細胞サブセットにおけるアポトーシスの増加をもたらす。アポトーシスは、細胞のプログラム細胞死の誘導を意味し、DNA断片化、細胞収縮、細胞断片化、膜小胞の形成、又はアネキシンV染色により評価されるとおりの膜脂質組成の変化により明らかにされ評価される。
【0119】
さらに、本発明の結合分子組成物の投与は、治療されるべき病気又は疾患において、所望の臨床効果をもたらす。例えば、関節リウマチに罹患した患者において、一つの側面では、投与は、臨床的に有意な量により患者の状態を改善し[例えば、米国リウマチ学会予備改善検出(Preliminary Detection of Improvement)(ACR20)を達成する]、並びに/又は圧痛及び腫脹関節の20%の改善及び5の残りのACR測定のうち3つで20%の改善を示す(Felson et al., Arthritis Rheum. 1995, 38:727−35)。CD37特異的及びCD20特異的結合分子の投与後、RA患者における改善のための生物学的測定には、タンパク質又はRNAレベルを介して測定する、サイトカインレベルの変化の測定が含まれる。対象となるサイトカイン(cytokines of interest)には、これに限定されないが、TNF−α、IL−1、インターフェロン、Blys、及びAPRILが含まれる。サイトカイン変化は、減少したB細胞数、又は減少した活性T細胞に起因し得る。RA患者において、骨代謝(骨吸収及び骨侵食)と関連するマーカーを、CD20特異的結合分子の投与の前後に測定する。関連マーカーには、これに限定されないが、アルカリホスファターゼ、オステオカルシン、コラーゲン分解フラグメント、ヒドロキシプロリン、酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ、及びRANKリガンド(RANKL)が含まれる。RA改善と関連する他の読み取りには、C反応性タンパク質(CRP)レベル、赤血球沈降速度(ESR)、リウマチ因子、CCP(環状シトルリン化ペプチド)抗体の測定、並びにフローサイトメトリーを介した全身のB細胞レベル及びリンパ球数の評価が含まれる。特異的因子はまた、RA患者の滑膜から測定され得、これには、滑膜生検から滑膜におけるB細胞レベルを評価すること、RANKL及び他の骨因子及びサイトカイン(先に記載したもの)のレベルを評価することが含まれる。
【0120】
関連する側面において、他の病気に対する組み合わせ投与の効果は、当分野で公知の基準に従って測定される。例えば、本発明に従って治療されるクローン病患者は、約50〜約70単位(unit)の範囲でクローン病活動指数(CDAI)における改善を達成することが企図され、ここで、寛解は150単位である(Simonis et al., Scand. J Gastroent. 1998, 33:283−8)。150又は200のスコアは正常であると考えられるが、450のスコアは重症スコアと考えられる。CD37特異的及びCD20特異的結合分子の投与により、炎症性大腸炎に罹患した個体において、核周辺型抗好中球抗体(pANCA)、及び抗Saccharomyces cerevisiae抗体(ASCA)の減少がもたらされることがさらに所望される。
【0121】
本発明に従って治療される成人及び若年性の筋炎患者が、コアセット評価に置いて改善を達成すること、例えば、測定した6つのコアセットのうち3つがおよそ20%改善し、およそ25%悪化するコア測定が最高2つまでであることがさらに企図される(Rider et al., Arthritis Rheum. 2004, 50:2281−90を参照されたい)。
【0122】
本発明に従って治療されるSLE患者が、全身性ループス活動指標(SLAM)又はSLE疾患活動性指標(SLEDAI)スコアの少なくとも1ポイントの改善を達成することがさらに企図される(Gladman et al., J Rheumatol 1994, 21:1468−71)(Tan et al., Arthritis Rheum. 1982, 25:1271−7)。>5のSLAMスコア、又は>2のSLEDAIスコアは、臨床的に活動性の疾患であると考えられる。治療に対する反応は、2つの疾患活動性指標(SLE疾患活動性指標[SLEDAI]及び全身性ループス活動指標)及び2つのライフクオリティ測定(患者の全体的評価及びKrupp疲労重症度スケール(Krupp Fatigue Severity Scale))にわたる改善又は安定化として定義されてよい(Petri et al., Arthritis Rheum. 2004, 50:2858−68)。SLE患者に結合分子を投与することにより、抗二本鎖DNA抗体の減少がもたらされることがさらに企図される。別法として、改善は、イギリス諸島ループス評価グループ基準(British Isles Lupus Assessment Group Criteria:BILAG)を用いて測定されてよい。
【0123】
本発明に従って治療される多発性硬化症患者が、Kurtzke総合障害度評価尺度(EDSS)(Kurtzke, F., Neurology 1983, 33:1444−52)における少なくとも0.5の臨床スコアの改善を達成するか、又はKurtzkeスケールにおいて少なくとも1.0の臨床疾患の悪化の遅延(Rudick et al., Neurology 1997, 49:358−63)を達成することがさらに企図される。
【0124】
CD37特異的及びCD20特異的結合分子を与えられるIIM罹患者が、特発性炎症性筋疾患基準(IIMC)評価(Miller, F.,上記参照)で設定された5つの基準のうち少なくとも1つで減少を達成することがさらに企図される。IIM患者への投与により、クレアチンキナーゼ(CK)、乳酸脱水素酵素、アルドラーゼ、C反応性タンパク質、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、及び抗核自己抗体(ANA)、筋炎特異的抗体(MSA)、及び可溶性核抗原に対する抗体からなる群から選択されるIIM関連因子における減少がもたらされることがさらに企図される。別法として、患者は、Rider et al., Arthritis Rheum., 50(7):2281−2290(2004)に記載された6つの基準のうち3つを満たし、2つを超える基準は悪化しない。
【0125】
ある実施態様において、B細胞ガンの罹患者は、本発明に従った治療を受け、当分野で周知であって一般に使用される臨床基準(以下に記載のとおり)に基づいて、全体的に有益な治療に対する反応、例えば、腫瘍サイズの減少、腫瘍数の減少、及び/又は病気の症状の改善を実証する。
【0126】
例となる臨床基準は、米国国立ガン研究所(NCI)により提供され、これは、いくつかのガンクラスを「緩慢性」及び「侵攻性」リンパ腫の臨床カテゴリーに分けている。緩慢性リンパ腫には、細胞学的「グレード」(cytology grade)に分けられる濾胞細胞リンパ腫、びまん性小リンパ球性リンパ腫/慢性リンパ球性白血病(CLL)、リンパ形質細胞性/ワルデンストロームマクログロブリン血症、辺縁帯リンパ腫、及びヘアリー細胞白血病が含まれる。侵攻性リンパ腫には、びまん性混合型及び大細胞型リンパ腫、バーキットリンパ腫/びまん性非切れ込み小細胞型リンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、並びにAIDS関連リンパ腫が含まれる。いくつかの場合、国際予後指標(IPI)が、侵攻性及び濾胞性リンパ腫の場合に使用される。IPにおいて考慮する因子には、年齢(<60歳対>60歳)、血清乳酸脱水素酵素(正常レベル対増加レベル)、全身状態(0又は1対2〜4)(以下の定義を参照されたい)、病期(I又はII対III又はIV)、及び節外部位病変(0又は1対2〜4)が含まれる。2つ又は複数のリスク因子を有する患者では、5年間の無再発及び全生存率の可能性が50%未満となる。
【0127】
侵攻性IPIにおける全身状態は以下のとおり定義される:グレードの説明:0は、完全な活動状態であり、制限なく病気に罹る前の行動の全てを実施できる;1は、体に負担のかかる活動は制限されるが、歩行可能であり、軽度及び座って行う特性の仕事、例えば、軽い家事、オフィスワークを実施することが可能である;2は、起きている時間の最大で及び約50%超は、歩行可能であり、身の回りのことは全てできるが、いずれの労働も実施できない;3は、限定された身の回りのことのみ可能であり、起きている時間の50%超はベッド又は椅子にいる;4は、完全な身体障害であり、身の回りのことは全くできず、完全にベッド又は椅子にいる;及び5は死である(The International Non−Hodgkin's Lymphoma Prognostic Factors Project. A predictive model for aggressive non−Hodgkin's lymphoma. N Engl J Med. 329:987−94, 1993を参照されたい)
【0128】
典型的には、リンパ腫のグレードは、基準を用いて臨床的に評価されており、低グレードのリンパ腫は、通常、結節性疾患として存在し、多くの場合、緩慢性で進行が遅い。中及び高グレードの病気は、通常、大きな節外性巨大腫瘍を有する遥かに侵攻性の病気として存在する。
【0129】
さらに、Ann Abor分類系を用いて、腫瘍、特に非ホジキンリンパ腫の進行を測定する。この系において、成人NHLのステージI、II、III、及びIVは、患者が、明確な全身性症状(B)であるか、(A)であるかに応じて、A及びBのカテゴリーに分類され得る。記号Bは、患者に以下の症状を与える:診断6ヶ月前に10%超の不明な体重減少、38℃超の温度を有する不明な発熱、及び多量の寝汗。ステージの定義は以下のとおりである:ステージI−1つのリンパ節領域の病変、又は単一のリンパ節外臓器若しくは部位に局在する病変。ステージII−横隔膜の同側における2つ若しくは複数のリンパ節領域の病変、又は単一の関連するリンパ節外臓器若しくは部位に局在する病変と、横隔膜の同側における、他のリンパ節領域の有無に関わらないその領域のリンパ節に局在する病変。ステージIII−横隔膜の両側におけるリンパ節領域の病変であって、リンパ節外臓器若しくは部位に局在する病変、脾臓の病変、又はその両方を伴う可能性がある。ステージIV−関連するリンパ節病変の有無に関わらない、1つ若しくは複数のリンパ節外部位に散在(多発性)する病変、又は遠隔(非領域性)リンパ節の病変を伴う隔たれた(isolated)リンパ節外臓器の病変。さらに詳細には、The International Non−Hodgkin's Lymphoma Prognostic Factors Project:A predictive model for aggressive non−Hodgkin's lymphoma, New England J. Med.(1993)329:987−994を参照されたい。
【0130】
一つの側面において、本発明の方法の治療効果は反応レベルにより測定され、例えば、部分反応は、その元のサイズの半分未満の腫瘍減少として定義される。完全寛解は、臨床的又は放射線学的評価により確認される病気の全体的排除として定義される。一つの実施態様において、本発明の治療を受ける個体は、少なくとも治療への部分反応を実証する。
【0131】
国立ガン研究所との連携により開発された、NHL評価用のCheson基準(Cheson et al., J Clin Oncol. 1999, 17:1244;Grillo−Lopez et al., Ann Oncol. 2000, 11:399−408)に従って、病気及び病気関連症状の検出可能な臨床的及び放射線学的証拠が全て完全に消失し、全てのリンパ節が正常サイズに戻り、脾臓のサイズが退縮(regressed)し、かつ骨髄のリンパ腫がなくなる場合に、完全寛解を得る。
【0132】
未確認完全寛解は、患者が、病気の完全な消失及び脾臓サイズの退縮を示すが、リンパ節が75%超退縮し、骨髄は不確定である場合に得られる。未確認完全寛解は、部分反応についての基準を満たし、かつ超える。全体応答は全体の全身腫瘍組織量の少なくとも50%の減少として定義される。
【0133】
類似の基準が、様々な他の形態のガン又は過剰増殖性疾患について開発されており、当業者ならば容易に利用可能である。例えば、CLL評価用の基準を記載するCheson et al., Clin Adv Hematol Oncol. 2006, 4:4−5;AML用の基準を記載する、Cheson et al., J Clin Oncol. 2003, 21:4642−9;骨髄異形成症候群用の基準を記載する、Cheson et al., Blood 2000, 96:3671−4を参照されたい。
【0134】
別の側面において、B細胞ガンを有する患者における治療反応は、治療を受けていない患者と比較した、病気の進行の遅延として示される。遅延した病気の進行の測定又は上記因子のいずれかの測定は、当分野の周知技術を用いて実施されてよく、これには、骨のスキャン、CTスキャン、ガリウムスキャン、リンパ管造影図、MRI、PETスキャン、超音波などが含まれる。
【0135】
また、従来の治療を、本発明の治療と組み合わせて投与する場合には、投薬を修正してよいことは明らかだろう。
【0136】
さらなる側面として、本発明には、本発明の方法に有用な1つ又は複数の化合物又は組成物が、本発明の方法を実施するためにそれらの使用を容易にする様式でパッケージングされて含まれる、キットが含まれる。最も単純な実施態様において、このようなキットには、密閉ボトル又はベッセルなどの容器中にパッケージングされた、本発明の方法の実施に有用なものとして本明細書に記載の化合物又は組成物が含まれ、容器に添付されるか又はパッケージ中に含まれるラベルであって、本発明の方法を実施するために化合物又は組成物の使用方法を記載したラベルを有する。好ましくは、化合物又は組成物は、単一用量形態でパッケージングされる。キットにはさらに、好ましい投与経路に従った組成物の投与に適した装置、又はスクリーニングアッセイの実施に適した装置が含まれてよい。キットには、本発明の方法における結合分子組成物(1つ以上)の使用方法を記載したラベルが含まれてよい。
【0137】
本発明にはまた、製造品が含まれる。このような製造品には、任意選択で医薬キャリア又は希釈剤と一緒になってよい、CD37特異的結合分子、又はCD37特異的及びCD20特異的結合分子、並びに本発明の結合分子の使用方法を記載した少なくとも1つのラベルが含まれる。このような製造品にはまた、任意選択で、結合分子に関連して投与するための少なくとも1つの第二の薬剤が含まれてよい。
【0138】
本発明はまた、異常なB細胞活性と関連する病気の治療又は予防用医薬の製造における、CD37特異的結合分子、又はCD37特異的及びCD20特異的結合分子を含む組成物の使用も請求する。
【0139】
[実施例]
本発明のさらなる側面及び詳細は、以下の実施例から明らかになるだろうが、この実施例は、限定するというよりむしろ例証することを意図する。実施例1には、CD37特異的結合分子の生成を記載する;実施例2は、TRU−016及び様々なCD37特異的抗体が、同一又は重複するエピトープを認識することを実証する;実施例3には、TRU−016が、C1q結合及び古典的補体活性化経路の活性化を欠損することを示す;実施例4は、TRU−016多量体の活性及び結合を実証する;実施例5には、CD20特異的結合分子の生成を記載する;実施例6には、TRU−016と、TRU−015又はリツキサンとの組み合わせが、B細胞におけるアポトーシスを相乗的に増加させることを示す;実施例7には、TRU−016と、CD20特異的抗体又はSMIPとの組み合わせが、CDCを相乗的に増加させることを示す;実施例8は、TRU−016が、CD20特異的抗体及びSMIPのADCC及びCDC活性を増大させることを実証する;実施例9は、TRU−016が、B細胞におけるアポトーシスを誘導することを実証する;実施例10には、CD37特異的SMIPとCD20特異的抗体との組み合わせが、マウス腫瘍異種移植モデルにおいて腫瘍体積を相乗的に減少させることを示す;実施例11には、単独のCD37特異的SMIPも、マウス腫瘍異種移植モデルにおいて腫瘍体積を減少させることを示す;図12は、TRU−016が、他のB細胞表面レセプターのCDC活性に影響を及ぼさないことを実証する;実施例13は、TRU−016が、MHCII、CD19、CD80/86、及びCD40を含む様々な標的レセプターのCDC活性を増大させないことを実証する;実施例14は、TRU−016が、腫瘍を有するマウスにおいて、in vivo生存率を増加させることを示すさらなるデータを提供する;実施例15は、TRU−016が、in vitroにおいて、CLL細胞のフルダラビン誘導細胞死を強めることを実証する;実施例16には、TRU−016が、リツキシマブ抵抗性細胞において、細胞毒性を直接誘起することを示す;実施例17には、TRU−016が、CD19+初代CLL B細胞において、チロシンリン酸化を誘起することを示す;かつ実施例18は、ヒト化TRU−016分子を提供する。
【0140】
[実施例1]
(CD37特異的結合分子の生成)
CD37特異的SMIPは、共有の米国仮特許出願第10/627,556号、並びに米国特許出願公開第2003/133939号、同第2003/0118592号、及び同第2005/0136049号に記載されている。例となるSMIPはTRU−016であり、下記のとおりこれを生成する。
【0141】
TRU−016[G28−1 scFv VH11S(SSC−P)H WCH2 WCH3]は、CD37抗原と結合する組み換え一本鎖タンパク質である。結合ドメインは、先の段落に列挙した特許出願(この開示は参照により本明細書に援用される)で以前に開示されたG28−1抗体配列に基づいた。結合ドメインは、エフェクタードメイン、ヒトIgG1のCH2及びCH3ドメインと、修飾ヒンジ領域を介して結合している。TRU−016は、溶液中、二量体として存在し、この二量体は、およそ106,000ダルトンの理論分子量を有する。
【0142】
G28−1ハイブリドーマ由来の全RNAを、製造者の指示に従って、Trizol RNA(Gibco)を用いて単離した。cDNAは、5μgのRNA、ランダムプライマー、及びSuperscript II逆転写酵素(GIBCO BRL)を用いて調製した。可変ドメインは、異なるマウスVK又はVH遺伝子ファミリーに対する縮重プライマーのプールを用いてクローニングした。G28−1ハイブリドーマ由来の可変ドメインを、PCR 2.1 TOPOクローニングベクター(Invitrogen)へとクローニングし、正しいサイズの挿入物を有する形質転換体由来のDNAを配列決定した。ついで、正しいクローン由来の重鎖及び軽鎖可変領域を鋳型として用い、15 aa(gly4ser)3リンカーを用いて、VL−VH定位で結ばれるG28−1 scFvのPCR増幅物を繋げた。抗CD37 scFvを修飾ヒトIgG1ヒンジ、CH2、及びCH3ドメインと結合させた(図1Aを参照されたい)。哺乳動物細胞による十分な発現を確保するために、可変領域の修飾を選択して、哺乳動物細胞による発現を有意に増加させた。詳細には、scFvの11位でロイシンをセリンに交換した。予測される成熟ペプチドは、473アミノ酸長である。
【0143】
TRU−016をコードするポリヌクレオチド配列及びTRU−016のアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号1及び2に記載する。
【0144】
TRU−016は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)哺乳動物細胞発現系での組み換えDNA技術により生成した。SMIPを産生する、トランスフェクトしたCHO細胞は、独自の媒体(proprietary media)を用いてバイオリアクター中で培養した。
【0145】
TRU−016 SMIPを、プロテインAアフィニティクロマトグラフィーにより、CHO培養上清から精製した。dPBSを用いて、50 mLのrProtein A FFセファロースカラム(GE Healthcare rProtein A Sepharose FF, Catalog # 17−0974−04)を、1.5カラム体積(CV)について5.0 mls/min(150 cm/hr)で平衡化した。AKTA Explorer 100 Air(GE Healthcare AKTA Explorer 100 Air, Catalog # 18−1403−00)を用いて、1.7 mls/minの流量で、培養上清をrProtein A Sepharose FFカラムにロードし、組み換えTRU−016を捕捉した。5カラム体積(CV)についてdPBSでカラムを洗浄し、ついで、1.0 MのNaCl、20 mMのリン酸ナトリム、pH 6.0で洗浄し、ついで25 mM NaCl、25 mM NaOAc、pH 5.0で洗浄した。これらの洗浄工程により、溶出後に沈殿物を生成する一因となる、非特異的結合CHO宿主細胞タンパク質をrProtein Aカラムから取り除いた。
【0146】
組み換えTRU−016を、100 mMのグリシン、pH 3.5を用いてカラムから溶出した。溶出生成物の10 mLのフラクションを回収し、ついで、溶出体積の20%の0.5 M 2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)pH 6.0を用いて溶出生成物のpHを5.0にした。およそ25 mg/mLのTRU−016へとサンプルを濃縮することにより溶出生成物をGPC精製のために調製し、ついでGPC精製に備えてろ過滅菌した。
【0147】
ついで、精製タンパク質をGPCサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)に供し、より高い分子量の凝集物からのTRU−016(二量体)分子のさらなる精製を達成した。dPBSを用いて、1 LのSuperdex 200 FFセファロースを含むXK 50/100カラム(GE healthcare XK 50/100エンプティクロマトグラフィーカラム、Catalog # 18−8753−01)を、1.5カラム体積(CV)について12.6 mls/min(38 cm/hr)で平衡化した。サンプルの54 mls(3%CV)の最大体積をカラムに適用した。カラムを、12.6 ml/minで稼動し続け、溶出タンパク質を、40 mLのフラクションに分画した。各フラクションを、分析用HPLCを用いて生成物の質について分析し、溶出フラクションを>95%POI(非凝集)TRU−016についてプールした。この得られたプールを0.22μmでろ過滅菌した。ついで、物質を濃縮し、20 mMのリン酸ナトリウム及び240 mMのスクロースとともに製剤化し、その結果、pHは6.0となった。組成物をろ過した後、10 mg/mLの濃度でガラスバイアルに充填する。各ガラスバイアルには、5 mLのTRU−016(50 mg/バイアル)が含まれる。
【0148】
TRU−016タンパク質は、4〜20%Novex Tris−グリシンゲル(Invitrogen, San Diego, CA)上でのSDS−PAGE分析にも供した。サンプルを95℃で3分間加熱後、還元条件下(1/10体積のNuPAGEサンプル還元剤を添加)、又は非還元条件下でNovex Tris−グリシンSDSサンプルバッファー(2×)を用いてロードし、それに続いて、150 Vで90分間電気泳動した。電気泳動は、1×Novex Tris−グリシンSDSランニングバッファー(Invitrogen)を用いて実施した。電気泳動後、クマシーSDS PAGE R−250染色により、撹拌しながら30分間ゲルを染色し、少なくとも1時間脱色した。成熟ペプチドの予測される分子量は51.5 kDaである。還元条件下、融合タンパク質は、予測される分子量に移動する。非還元条件下、分子はおよそ150 kDaに移動する(図1B)。
【0149】
また、CD37細胞表面レセプターへの親抗体の結合特異性が、TRU−016において保存されていることを測定するために実験を実施した。ヒトPBMCをLSM密度勾配にわたって単離し、非結合TRU−016及びPE結合抗ヒトCD19とともにインキュベートした。細胞を洗浄し、氷上、45分間、1:100のFITC GAH IgG(Fc特異的)とともにインキュベートした。細胞を洗浄し、Cell Questソフトウェアを用いて、FACsCalibur装置上での二色フローサイトメトリーにより分析した。細胞は、CD19染色により、Bリンパ球又は非Bリンパ球にゲーティングされた。
【0150】
TRU−016の濃度が増加するにつれて、Bリンパ球(CD19ポジティブゲート)上のFITCシグナルが、およそ1μg/mLでの飽和又は1000の平均蛍光強度(MFI)に達するまで、0.01〜1.0μg/mLで急速に増加した。対照的に、非Bリンパ球集団の染色は、検出可能ではあったが非常に低く、scFvIgの濃度が増加するにつれて徐々に増加する。従って、G28−1マウスモノクローナル抗体の染色パターンは、TRU−016で保存される(図1C)。
【0151】
本発明のCD37結合分子の構造を記載する(抗体由来の結合ドメイン、ヒンジ変異体、同一又は異なるCH2CH3領域、及び様々なアイソタイプ)。
【0152】
[実施例2]
(TRU−016及び様々なCD37特異的抗体は、CD37上の同一又は重複エピトープと結合する)
TRU−016及び以前に記載された他のCD37特異的抗体により結合されるCD37エピトープを同定するために実験を実施した。
【0153】
非結合MB371(#555457)及びFITC結合MB371(#555456)はBD Pharmingen(San Jose, CA)から、FITC結合BL14(#0457)はImmunotech/Beckman Coulter(Fullerton, CA)から、FITC結合NMN46(#RDI−CBL 136FT)及び非結合NMN46(#RDI−CBL 136)はRDI(Flanders, NJ)から、FITC結合IPO24(#186−040)及び非結合IPO−24(#186−020)はAncell Corporation(Bayport, MN)から、FITC結合HHI(#3081)及び非結合HHI(#3080)はDiaTec. Com(Oslo, Norway)から、並びにFITC結合WR17(YSRTMCA483F)及び非結合WR17(YSRTMCA483S)はAccurate Chemical & Scientific(Westbury, NY)から得た。TRU−016タンパク質は実施例1に記載のとおり作製した。
【0154】
TRU−016は、製造者に指示に従って、Molecular Probes Fluororeporter FITCラベリングキット(F6434)を用いて以下のとおりTrubionでFITCと結合させた:13.5 mg/mLのTRU−016タンパク質対象ピーク(POI;peak of interest)は、PBSを用いて5 mg/mLに調整した。スターラーバーを有するキットチューブに1 mg(200μL)を添加し、最終濃度0.1 Mへと1 MのNaHCO3(6 NのNaOHを用いてpH 8.5に調整)を添加した。50μLのDMSOを370μgのFITCに添加し、かつ添加するためのFITCμLを決定するために以下の式を用いて、15、20、30、及び40のFITC:タンパク質モル比でチューブに添加した:[添加するFITC溶液μL=5 mg/mLのタンパク質×0.2 mL×389×100×所望のモル比/TRU−016の分子量(110,000)]。
【0155】
反応を遮光し、室温で75分間連続して撹拌した。キットに記載されるとおり調製したスピンカラムに反応物を添加し、1100 g、5分間回転させて、アジドを含むPBSへとバッファー交換し、非結合FITCを除去した。280 nM及び494 nMでのODは、Nanodrop上で2μLのドロップを用いて測定した;TRU−016に対する吸光係数は、出発非結合SMIPの希釈率を読み取ることによりこの装置について実験的に測定し、各結合物の濃度は4.25 mg/mLであり、以下のFITC:タンパク質比を測定した:15の比で2.7 FITC/TRU−016;20の比で3.7 FITC/TRU−016;30の比で4.4 FITC/TRU−016;及び40の比で5.1 FITC/TRU−016。
【0156】
タンパク質の安定化を助けるために、BSAを3 mg/mLへと添加した。各フラクションの結合は、Ramosについては100〜24,300×で、ヒトPBMCについては3200〜25,600の範囲の希釈率で評価した。全て結合したが、MR30比が、用いた滴定範囲わたって非常に維持された高いMFIを与え、これは結合親和力がこの反応において最も影響を与えないことを示すので、さらなる使用のためにこれを選択した。
【0157】
FITC標識抗体複合体を、初めの結合研究において、10 ng/mL〜10μg/mLまで滴定し、遮断研究における使用に最適な量を測定した。選択したレベルは飽和量をちょうど下回り、遮断抗体のレベルが10倍超の範囲に増加する間、次のアッセイにおいて一定に保たれた。遮断抗体の濃度に対する最大結合のパーセンテージとしてデータをプロットし、より高いレベルがあまり効率的でない遮断を示す一方で、より低いレベルがより効率的な遮断活性を示すようにした。試験抗体の全てが、非標識試薬を用いずに観察された最大結合の遮断活性を示した(図2)。
【0158】
ついで、Bリンパ芽球B細胞系であるBJAB細胞(Ed Clark, University of Washingtonにより提供)を、抗CD37 MAbの様々なクローンパネルで染色し、この抗CD37 MAbには、MB371、BL14、NMN46、IPO24、HH1、WR17、及びTRU−016 SMIPが含まれた。
【0159】
競合結合アッセイのために、指示濃度(2.5、1.25、0.6、又は0.3μg/mL)での非結合抗CD37MAbの存在下、1.25μg/mLのFITC結合抗CD37MAbを含む染色媒体(2%マウス血清を含むPBS)中、又は染色媒体中、暗所下、氷上で45分間、2.5×105 BJAB細胞を96ウェルV底プレート中でインキュベートした。遮断抗体及びFITC標識抗体複合体を、細胞の添加前に反応物に添加した。ついで、2と1/2倍のPBSを用いて細胞を洗浄し、1%のパラホルムアルデヒド(#19943, USB, Cleveland, Ohio)を用いて細胞を固定した。FACsCalibur装置及びCellQuestソフトウェア(BD Biosciences, San Jose, CA)を用いてフローサイトメトリーにより細胞を分析した。
【0160】
FACs交差阻害アッセイのために、5μg/mLの染色媒体での非結合抗CD37MAbの存在下、染色媒体(2%マウス血清を含むPBS)中、暗所下、室温で45分間、2.5×105 BJAB細胞を96ウェルV底プレート中でインキュベートした。ついで、FITC結合抗CD37 MAbを最終濃度2μg/mLへと添加し、結果として、3.3μg/mLの非標識試薬の希釈が得られた。ついで、反応物を暗所下、室温で45分間、さらにインキュベートした。反応物を2.5倍のPBSで洗浄し、PBS中1%のパラホルムアルデヒド(#19943, USB, Cleveland, Ohio)で固定した。CellQuestソフトウェア(BD Biosciences, San Jose, CA)を用いたFACsCalibur装置でのフローサイトメトリーにより細胞を分析した。
【0161】
細胞結合アッセイのために、2%FBS(#16140−071, Gibco/Invitrogen、Grand Island, NY)を含むPBS(#14040−133, Gibco/Invitrogen, Grand Island NY)(染色媒体)中に細胞をおよそ4×106細胞/mLの濃度で懸濁した。ついで、細胞をプレートに置き(plated)、ついで、染色媒体で希釈した試験サンプルを、最終的な指定濃度に対して1:1で添加した。反応物を氷上で45分間インキュベートした。サンプルを遠心分離し、2倍のPBSで洗浄した。FITCヤギ抗ヒトIgG(#H10501, CalTag, Burlingame CA)を最終希釈率1:50で添加し、氷上で45分間インキュベートした。サンプルを遠心分離し、PBSで洗浄し、ついで、PBS中1%パラホルムアルデヒド(#19943, USB, Cleveland, Ohio)200μLで固定した。CellQuestソフトウェア(BD Biosciences, San Jose, CA)を用いたFACsCalibur装置でのフローサイトメトリーにより細胞を分析した。
【0162】
各抗体は、用量依存性の結合阻害を示し、これは、試験した全ての分子が、同一又は近縁なエピトープと結合することを示した。結合阻害に対する異なる力価が各抗体で観察された。TRU−016 SMIPは、試験した全ての分子の中で最も高いレベルの遮断活性を有し、他方、HHIは、中間レベルの遮断活性を示し、WR17、IPO24は、MB371よりも良く遮断した;しかし、他の2つの非標識分子よりも効果的でない遮断を示した(図2)。
【0163】
遮断活性の分析に加えて、類似した一連の実験を実施し、ここでは、CD37レセプターへの結合について互いに競合する能力について様々なCD37標的抗体を試験した。これらの実験から得られた結果は、試験した全ての分子についての遮断研究で得られた結果と同様に、様々なCD37標的抗体及びTRU−016が同一又は密接に重なるエピトープを有することを示した。
【0164】
[実施例3]
(TRU−016は、C1qとの結合、及び古典的補体活性化経路の活性化を欠損する)
TRU−016二量体ピーク(dimer peak)が、B細胞標的の有意なレベルの補体依存性死滅を媒介できない理由を探索するために実験を実施した。1つの可能性は、TRU−016二量体が、正常ヒトIgG1抗体と比較した、補体カスケードの構成要素との結合低下を示すことであった。従って、実験を実施し、TRU−016が、古典的補体活性化経路を活性化できるかどうかを、C1qと結合したTRU−016を探索することにより測定した。C1qは、血清補体系を活性化するC1酵素複合体のサブユニットであり、古典的補体活性化経路の認識要素である。
【0165】
C1q結合研究は、以前に記載されたとおりに実施した(Cragg et al., Blood 2004, 103:2738−2743)。簡単に述べると、血清を含まないIscoves媒体(#12440−053, Gibco/Invitrogen, Grand Island, NY)中のRamos B細胞を、100μL中5×105/ウェルで96ウェルV底プレート上に置いた。試薬とともに、37℃、15分間細胞をインキュベートし、ついでIscovesで希釈した正常ヒト血清(NHS, #A113, Quidel Corp., San Diego, CA)を、最終濃度が10、5、2.5、又は1.25%のヒト血清について、各ウェルに50μLの体積で添加した。50μLの媒体をコントロールウェルに添加した。コブラ毒因子(CVF)実験のために、血清1 mL当たり20ユニットのCVFで、37℃、90分間CVFをヒト血清補体サンプルに添加し、その後、血清を補体アッセイに添加して、CVFによる血清の希釈が、サンプル希釈の実施時の割合を占めた。
【0166】
細胞プラス補体源をさらに5分間、37℃でインキュベートし、遠心分離を介して2倍の冷PBS(#14040−133, Gibco/Invitrogen, Grand Island, NY)で洗浄し、100μLのPBSに再懸濁した。各ウェルから50μLを、第二ステップコントロール染色のための第二のプレートに移動した。両方のプレートを、FITCヒツジ抗HU C1q(#C7850−06A, US Biological, Swampscott, Mass)又はFITCヒツジIgG(#11904−56P, US Biological, Swampscott, Mass)のいずれかとともに、氷上、暗所下、15分間染色した。サンプルを洗浄し、冷PBSに再懸濁して、FACsCaliburフローサイトメーターによりすぐに読み取り、Cell Questソフトウェア(Becton Dickinson, San Jose, CA)で分析した。
【0167】
FITC C1qは、SEC精製TRU−016のサブフラクションのいずれともあまり結合しないが、とはいえ、より高分子量(HMW)又はA2凝集フラクションは、他の形態よりは多い結合を示す(図3A)。対照的に、リツキサンは、特により低レベルのNHSで、有意なレベルのC1q結合を示した。CVFの存在は、この結合を完全には遮断できなかったが、MFIレベルは、媒体単独よりも有意に減少する。
【0168】
ついで、CDCアッセイを実施し、TRU−016精製形態の異なるサブフラクション及びリツキサンが、CVF及びヒト血清補体の存在又は不在下で細胞死滅を媒介する能力を比較した(図3B)。CDCアッセイは、ヨウ化プロピジウム染色を用いて実施し、標的細胞と、抗体、融合タンパク質、腹水、TRU−016分子形態、又は媒体、及びヒト血清などの補体供給源とのインキュベート後に生細胞と死細胞とを区別した。簡単に述べると、3×105 Ramos B細胞を、補体の添加前に、標的試薬とともに、37℃、30〜45分間、プレインキュベートした。事前に結合したサンプルを遠心分離し、洗浄し、ヒト血清(#A113, Quidel, San Diego, CA)を含むIscovesに指示濃度で再懸濁し、ついで、37℃、90分間インキュベートした。サンプルを洗浄し、ヨウ化プロピジウム(#P−16063, Molecular Probes, Eugene, OR)を、PBS中0.5μg/mLの最終濃度へと添加した。細胞をヨウ化プロピジウムとともに、暗所下、室温、15分間インキュベートし、ついで、CellQuestソフトウェア(Becton Dickinson)とともにFACsCalibur装置でのフローサイトメトリーにより分析した。
【0169】
TRU−016のA2フラクション及びリツキサンの両方により媒介される細胞死滅は、C1q結合を完全に遮断できなかったにも関わらず、CVFの存在下、有意に減少した(図3B)。
【0170】
ついで、ヒト及びウサギ補体を、TRU−016の存在下、それらのCDC活性について比較した。Ramos B細胞及びヒト又はウサギ補体とともにインキュベートしたTRU−016分子形態のCDC活性を測定した(図3C)。Ramos B細胞を、血清不含媒体中、ウェルに添加した。リツキサン又はTRU−016の二量体、HMW A2、若しくはpAフラクションを細胞に添加し、最終濃度を10μg/mLとして、37℃、15分間インキュベートして、その後、1.5×血清不含媒体中で洗浄して、正常ヒト血清(NHS)又はウサギ補体(Pelfreez)を、10、5、又は2.5%添加した。細胞プラス補体源を37℃、90分間インキュベートした。細胞を冷PBSで1回洗浄し、ヨウ化プロピジウム(Molecular Probes #P3566)を、冷PBS中0.5μg/mLの最終濃度へと添加した。PIとともに細胞を、暗所下、室温、15分間インキュベートし、フローサイトメトリーにより分析した。
【0171】
補体フラクション起源は、得られたCDC結果に影響を与える(図3C)。ウサギ補体は、TRU−016分子形態の存在下、ヒト補体よりも高いレベルのCDCを媒介した。興味深いことに、TRU−016の二量体型は、ウサギ補体を用いた場合に良好なCDCを媒介したが、ヒト補体の存在下でのCDC活性は非常に低かった。
【0172】
[実施例4]
(TRU−016多量体の活性及び結合)
溶液中、多量体型のTRU−016(TRU−016多量体)の生物学的活性を調べるために実験を実施した。第一に、溶液中のTRU−016融合タンパク質のサイズを測定するために、プロテインA精製物質をSEC HPLCにより分析し、TRU−016が、溶液中、多量体型で存在することを明らかにした(図4)。
【0173】
HPLCサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)トレースは、TRU−016のGPC精製物から得て、回収した異なるフラクションについて、滞留時間に対する吸光度をプロットした(図4)。TRU−016は、初めに、プロテインAセファロースを用いたアフィニティクロマトグラフィーにより、細胞培養上清から精製した。組み換え分子を、100 mMのグリシン、pH 3.5を用いてカラムから溶出した。溶出生成物の10 mLのフラクションを回収し、ついで、溶出体積の20%の0.5 M 2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)pH 6.0を用いて溶出生成物のpHを5.0にした。およそ25 mg/mLのTRU−016へとサンプルを濃縮することにより溶出物をGPC精製のために準備し、ついで、GPC精製に備えてろ過滅菌した。GE healthcare XKカラム及びSuperdex 200分離用グレード(GE Hearlthcare)を用いて、GE Healthcare AKTA Explorer 100 Air装置上でサイズ排除クロマトグラフィーを実施した。
【0174】
HMW又はA2プールは、およそ6.23分の滞留時間を示したが、最も顕著な形態は、8.38分の滞留時間を示した。ここで用いた参照標準(pA標準又はstd)は、図4の第一のパネルに示すとおり、二量体及びHMW多量体型の両方を含むプロテインA精製物質である。8.38分の滞留時間で移動する最も顕著な形態は、非還元SDS−PAGE上で見られる二量体分子におそらく対応し、複数のマイナー形態は、非還元SDS−PAGEで明らかになっていないことから、非共有結合性相互作用を介して関連する多量体におそらく対応する。これらの異なる形態のTRU−016を分離するために、培養上清のプロテインAセファロースアフィニティクロマトグラフィーから得られた物質をGPC及びHPLC分別によりさらに精製し、高分子量多量体(HMW又はA2 aggフラクションとして同定される)から二量体型(「二量体」又は「二量体ピーク」として同定される)を単離した。ついで、これらの3つのサブフラクションのそれぞれを、結合、ADCC、及びCDCアッセイを用いて、in vitroでの機能活性について別々に分析した。
【0175】
SECから単離したフラクションが異なる結合特性を示すかどうかを探索するために、TRU 016 SECの各フラクションをRamos細胞への結合について試験した。SECフラクションの結合特性を測定するために、およそ4×106細胞/mLの濃度で染色媒体に細胞を懸濁し、ついで、染色媒体中、50μL/ウェル(2×105細胞/ウェル)でプレートに置いた。ついで、段階希釈したSECフラクションを連続ウェルに添加し、45分間インキュベートし、洗浄し、FITCヤギ抗ヒトIgGを用いて結合活性を検出した。サンプルを、PBS中1%パラホルムアルデヒド200μLで固定した。Cell Questソフトウェア(BD Biosciences, San Jose, CA)を用いて、FACsCalibur装置でのフローサイトメトリーにより細胞を分析した(図5A)。
【0176】
SECフラクションのCDC活性を測定するために、細胞を、75μLのIMDM中、5×105細胞/ウェルで懸濁した。TRU 016 SECフラクション(75μL)を2倍の指示濃度で細胞に添加した。結合反応を45分間進行させ、その後、遠心分離及び血清不含Iscovesで洗浄した。細胞を指示濃度で、ヒト血清(#A113, Quidel, San Diego, CA)含有Iscovesに再懸濁した。細胞を37℃、60分間インキュベートし、洗浄し、0.5μg/mLのヨウ化プロピジウム(PI, #P−16063, Molecular Probes, Eugene OR)を含む染色媒体中に再懸濁した。サンプルを暗所下、室温、15分間インキュベートし、その後、FACsCalibur及びCellQuestソフトウェア(Becton Dickinson)を用いたフローサイトメトリーにより分析した(図5B)。
【0177】
SECフラクションのADCC活性を測定するために、BJAB、Ramos、及びDaudiリンパ芽球B細胞の(107)細胞を、IMDM/10%FBS中、37℃、2時間、500μCi/mLの51Crクロム酸ナトリウムで標識した。リンパ球分離溶液(Lymphocyte Separation Media;LSM, ICN Biomedical)勾配上の分別により、PBMCをヘパリン化ヒト全血から単離した。試薬サンプルを、10%FBSを有するRPMI媒体に添加し、各試薬について5つの段階希釈を準備した。組み合わせのために、試薬を予め混合し、希釈して、その後ウェルに添加した。51Cr標識BJABを(2×104細胞/ウェル)で添加した。ついで、最終比が25:1のエフェクター(PBMC):標的(BJAB)のために、PBMCを(5×105細胞/ウェル)で添加した。96ウェルプレートの4連のウェルに反応物を準備した。TRU−016 SECフラクションを、グラフに示すとおり10 ng/mL〜20μg/mLの範囲の最終濃度でウェルに添加した。各データ系列を、記載した滴定範囲において、異なるSECフラクションにプロットする。反応を5%CO2下、37℃、6時間進行させ、その後、採取しカウントした。放出されたCPMは、50μLの乾燥培養上清から、Packard TopCouNXT上で測定した。特異的死滅パーセンテージは、引き算(サンプルのcpm[4連サンプルの平均]−cpm自然放出)/(cpm最大放出−cpm自然放出)×100により計算した(図5C)。
【0178】
図5Aには、Ramos細胞と結合した異なるSECフラクションの滴定曲線を示す。フラクション化分子の全てが、試験した最も高い濃度を除いて、類似した結合曲線でCD37と結合し、ここで、HMW物質は、pA標準及び二量体ピーク型よりも良好な結合(より高い蛍光強度)を示した。
【0179】
TRU 016 SECフラクションが、CDC及びADCC媒介性標的細胞死滅などの機能活性を異なるレベルで示すかどうかを測定するための実験も実施した。図5Bに示すグラフは、精製HMW多量体フラクションのみが、ヒト補体を用いた場合に、Ramos B細胞に対して有意なレベルのCDC活性を媒介することを示す。pA標準は、より高い濃度である程度のCDC活性を示したが、二量体ピーク型は、試験した全ての濃度において、ほとんどCDC活性を示さないか、全くCDC活性を示さなかった。
【0180】
標的として標識BJAB B細胞を使用し、エフェクター細胞としてヒトPBMCを用いて、様々なTRU−016サイズフラクションの段階希釈物についてADCCアッセイを実施した。TRU 016 SECフラクションは、図5Cに示すグラフ中に示すとおり、10 ng/mL〜20μg/mLの範囲の最終濃度でウェル中に存在した。各データ系列は、記載した滴定範囲において、異なるSECフラクションをプロットした。データは、タンパク質濃度に対する特異的死滅%としてプロットした。pA標準、HMW又はA2フラクション、及び二量体ピークを含む全てのSECサブフラクションが、BJAB標的細胞に対して、強力な用量依存性ADCCを媒介した。類似の結果が、標識細胞としてRamos細胞を用いることにより得られた(データは示さず)。
【0181】
[実施例5]
(CD20特異的結合分子の生成)
CD20特異的SMIPは、共有の米国特許出願公開第2003/133939号、同第2003/0118592号、及び同第2005/0136049号に記載されている。例となるCD20特異的SMIPであるTRU−015の生成を以下に記載する。
【0182】
TRU−015は、組み換え(マウス/ヒト)一本鎖タンパク質でありCD20抗原と結合する。結合ドメインは、公的に入手可能なヒトCD20抗体配列に基づいた。結合ドメインは、エフェクタードメイン、ヒトIgG1のCH2及びCH3ドメインと、修飾CSSヒンジ領域を介して結合する。TRU−015は、溶液中、二量体として存在し、二量体は、およそ106,000ダルトンの理論分子量を有する。TRU−015をコードするヌクレオチド配列及びTRU−015のアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号3及び4に記載する。
【0183】
配列番号4に示すアミノ酸配列に関して、TRU−015は、以下を含む:アミノ酸1〜23由来の2e12リーダーペプチドクローニング配列;可変領域中、残基11でのリシンからセリン(VHL11S)へのアミノ酸置換を有する2H7マウス抗ヒトCD20軽鎖可変領域であって、これは34位に反映される;残基129で始まるasp−gly3−ser−(gly4ser)2リンカーであって、前記リンカーは、カセットシャッフリングのためのSacI制限部位を組み込むために、末端にさらなるセリンを有する;2H7マウス抗ヒトCD20重鎖可変領域であって、これは、重鎖領域末端のセリン残基を欠失しており、すなわち、VTVSSからVTVSに交換されている;(CSS)配列を含む修飾ヒンジ領域並びに野生型CH2及びCH3ドメインを含む、ヒトIgG1 Fcドメイン。
【0184】
TRU−015を産生するCHO細胞を、独自の媒体(proprietary media)を用いてバイオリアクター中で培養した。一連のクロマトグラフィー及びろ過工程(ウイルス減少フィルターを含む)を用いてTRU−015を精製した。ついで、物質を濃縮し、20 mMのリン酸ナトリウム及び240 mMのスクロースとともに製剤化し、得られたpHは6.0となった。組成物をろ過し、その後、10 mg/mLの濃度でガラスバイアルに充填した。各ガラスバイアルには、5 mLのTRU−015(50 mg/バイアル)が含まれた。
【0185】
[実施例6]
(TRU−016と、TRU−015又はリツキサンとの組み合わせは、B細胞におけるアポトーシスを相乗的に増加させる)
B細胞系アポトーシスに対するB細胞標的SMIPの効果を調べるための実験を実施した。各SMIPを個別に試験し、ついで組み合わせて試験した。サンプルは、インキュベーション反応の開始後、24及び48時間の両方において分析した。アネキシン/PI分析を以下のとおり実施した:BJAB(Ed Clark, University of Washingtonにより提供)、Ramos(ATCC#CRL−1596)、及びDaudi細胞を、3×105細胞/mL及び20μg/mLのSMIPタンパク質で、10%FBSを含むIscoves(Gibco)完全媒体中、5%CO2下、37℃、24又は48時間インキュベートした。加えて、20μg/mLのヤギ抗ヒトIgGを反応物に添加し、細胞表面上で試薬を架橋させた。ついで、BD Pharmigen Apoptosis Detection Kit I(#556547)を用いて、アネキシンV−FITC及びヨウ化プロピジウムで細胞を染色し、キットの指示に従って処理した。簡単に述べると、冷PBSで細胞を2回洗浄し、「結合バッファー」に1×106細胞/mLで細胞を再懸濁した。ついで、結合バッファー中、100μLの細胞を、5μLのアネキシンV−FITC及び5μLのヨウ化プロピジウムで染色した。細胞を穏やかにボルテックスし、暗所下、室温、15分間インキュベートした。ついで、400μLの結合バッファーを各サンプルに添加した。ついで、Cell Questソフトウェア(Becton Dickinson)を用いてFACsCalibur(Becton Dickinson)でこれらを読み取り分析した。
【0186】
下記表2には、単独で用いた場合には、TRU−015及びTRU−016の両方の分子がある程度のアポトーシスを誘起するが、架橋の存在下、TRU−016での処理は、細胞系のアポトーシスに対して、TRU−015単独よりも有意な効果を有することを示す。増加は、細胞系に応じて変化する。
【0187】
【表2】
【0188】
[実施例7]
(TRU−016と、CD20特異的抗体又はSMIPとの組み合わせは、CDCを相乗的に増加させる)
B細胞に対する、TRU−016と、CD20特異的抗体又はSMIPとの組み合わせのCDC活性を測定するために実験を実施した。組み合わせ実験のために選択した試薬の量は、0.5μg/mLのTRU−016であり、他方、TRU−015もまた0.5μg/mLであった。リツキサンの濃度は、単一試薬のCDC実験においてより高い活性を示したことから、通常は0.04〜0.06μg/mLであった。ある実験において、CD20試薬の濃度は、準最適濃度(suboptimal concentration)で一定に保ち、他方、TRU−016の濃度は変化させて、CDCに対する増幅効果を観察するために必要なCD37に対する試薬の最小レベルを探索した。
【0189】
細胞を、75μL中、5×10E5細胞/ウェルで、Iscoves(#12440−053, Gibco/Invitrogen, Grand Island, NY)に懸濁した。TRU−016(75μL)、TRU−015、リツキサン、又はこれらの試薬の組み合わせを、2倍の指示濃度で細胞に添加した。結合反応を45分間進行させ、その後、遠心分離し、血清不含Iscovesで洗浄した。細胞を指示濃度でヒト血清(#A113, Quidel, San Diego, CA)を含むIscovesに再懸濁した。細胞を37℃、60分間インキュベートした。細胞を遠心分離により洗浄し、2%FBS(#16140−071, Gibco, Invitrogen, Grand Island, NY)含有PBS125μL(染色媒体)に再懸濁した。細胞をFACSクラスターチューブ(#4410, CoStar, Corning, NY)に移し、5μLのヨウ化プロピジウム(PI, #P−16063, Molecular Probes, Eugene OR)を含む125μLの染色媒体を添加した。サンプルを暗所下、室温、15分間インキュベートし、その後、FACsCalibur及びCellQuestソフトウェア(Becton Dickinson)を用いたフローサイトメトリーにより分析した。
【0190】
図6には、単一の薬剤として死滅させるための準最適濃度でのTRU−015及びリツキサンが、TRU−016と組み合わせた場合に、高レベルのCDC活性を提示することを示す。TRU−016単独では、凝集物が存在しない限り、CDCを媒介できない。反応物からのC1qの枯渇は、観察された全てのCDC活性の排除をもたらす。
【0191】
図7には、DHL−4 B細胞について実施した組み合わせ実験を示す。TRU−016をCDC反応に添加すると、TRU−015死滅曲線の下方移動がもたらされ、これは、TRU−016単独ではほとんど活性を示さないか、又は全く活性を示さないけれども、試験した各濃度でより効果的な死滅を実証している。
【0192】
図8には、別のCDC実験を示し、ここで、サンプル試薬は、以下の比で混合した:0.5μg/mLのTRU−015、0.5μg/mLのTRU−016、及び0.06μg/mLのリツキサン。再度、単一の薬剤を準最適濃度で使用して、TRU−016の存在下における増幅効果を観察する。TRU−015及びリツキサンの両方に対して、TRU−016は、アッセイに添加した場合にCDC死滅レベルを増強する。
【0193】
図9及び10には、CDCアッセイについてのデータのグラフ表示を示し、ここで、TRU−015又はリツキサンの濃度を一定に保ち、TRU−016の濃度を増加させた。再度、CDC活性は、TRU−016が反応に添加された場合に増加したが、TRU−016の濃度を0.5μg/mLから2.5μg/mLに増加させても、これらの実験におけるCDC媒介性の死滅は有意に増加しなかった。
【0194】
[実施例8]
(TRU−016は、CD20特異的抗体及びSMIPのADCC及びCDC活性を増幅する)
TRU−016 SMIPと、CD20特異的抗体又はSMIPとの組み合わせが、B細胞標的に対して、ADCC及びCDC活性を増大させ得るかどうかを測定するために実験を実施した。
【0195】
BJAB、Ramos、及びDaudiリンパ芽球B細胞(10E7)の細胞を、IMDM/10%FBS中、500μCi/mLの51Crクロム酸ナトリウムを用いて、37℃、2時間標識した。標識BJAB細胞をRPMI/10%FBS中で3回洗浄し、RMPI中、4×10E5細胞/mLで再懸濁した。ヘパリン化ヒト全血は、匿名の組織内(in−house)ドナーから得て、リンパ球分離溶液(Lymphocyte Separation Media;LSM, ICN Biomedical)勾配上の分別によりPBMCを単離した。白血球層(buffy coat)を採取し、RPMI/10%FBS中で2回洗浄して、その後、最終濃度3×10E6細胞/mLでRPMI/10%FBSに再懸濁した。血球計を用いて、トリパンブルー排除により細胞をカウントし、その後のアッセイに使用した。試薬サンプルを、4倍の最終濃度で10%FBS含有RPMI媒体に添加し、各試薬について5つの段階希釈を準備した。組み合わせのために、試薬を事前に混合し、希釈して、ウェルに添加した。ついで、指示した最終濃度について、50μL/ウェルで、これらの試薬を96ウェルU底プレートに添加した。51Cr標識BJABを、50μL/ウェル(2×10E4細胞/ウェル)でプレートに添加した。ついで、PBMCを、100μL/ウェル(3×10E5細胞/ウェル)でプレートに添加し、最終比を15:1のエフェクター(PBMC):標的(BJAB)とした。
【0196】
エフェクター及び標的を媒体単独に添加し、死滅のバックグラウンドを測定した。51Cr標識BJABを、51Crの自然放出を測定するために媒体単独に添加し、かつ51Crの最大放出を測定するために5%NP40(#28324, Pierce, Rockford, IL)を有する媒体に添加した。反応は、96ウェルプレートの4連のウェルに準備した。SMIPは、グラフに示したとおり、12 ng/mL〜10μg/mLの範囲の最終濃度でウェルに添加した。SMIP組み合わせのために、試薬を混合して、その後、ウェルに添加した。各データ系列は、記載した滴定範囲において、異なる単一SMIP又は組み合わせをプロットする。反応を5%CO2下、37℃、6時間進行させ、その後、採取しカウントした。ついで、各ウェルから50μLの上清をLuma Plate 96(#6006633, Perkin Elmer, Boston, Mass)に移し、一晩室温で乾燥させた。放出されるCPMはPackard TopCounNXT上で測定した。特異的死滅パーセンテージは、引き算(サンプルのcpm[4連サンプルの平均]−cpm自然放出)/(cpm最大放出−cpm自然放出)×100により計算した。
【0197】
データは、SMIP濃度に対する特異的死滅%としてプロットした。標的に対するエフェクターの比は、各図に示しており、標的細胞系も示した。図11、12、及び13には、同一のドナーを用いた異なる細胞系(BJAB、Daudi、及びRamos)についての実験データを示す。
【0198】
図14及び15(リツキサン+TRU−016)、並びに図16及び17(TUR−015+TRU−016)において、使用した標的細胞系がBJABであった実験についてのデータを提示する。各組み合わせについて観察された特異的死滅は、同一濃度の単一試薬単独のいずれよりも大きく、これは、CD20及びCD37標的SMIPが、増大効果が完全に加法的なものでないとはいえ、他のものにより媒介される死滅を増大させることを示した。
【0199】
従って、TRU−016は、CD20特異的SMIP、又はCD20特異的抗体ADCC媒介性のB細胞死滅を増強できる。
【0200】
TRU−016とCD20に対する抗体との組み合わせの効果を探索するための初めの実験を設計し、CDC相乗効果が検出できるような、使用する各試薬の相対量を測定した。Ramos細胞をIMDMに懸濁し、TRU−016、リツキサン、又はこれらの試薬の組み合わせを、図18に示す最終濃度で細胞に添加した。結合反応を45分間進行させ、その後、遠心分離して、血清不含Iscovesで洗浄した。細胞を10%NHS含有Iscovesに再懸濁した。細胞を37℃、60分間インキュベートした。図18A〜Cに示す実験において、遠心分離により細胞を洗浄し、0.5μg/mLのヨウ化プロピジウム(PI, #P−16063, Molecular Probes, Eugene OR)含有染色媒体に再懸濁した。サンプルを暗所下、室温、15分間インキュベートし、その後、FACsCalibur及びCellQuestソフトウェア(Becton Dickinson)を用いて、フローサイトメトリーにより分析した。
【0201】
より高度に精製したTRU−016二量体ピークは、高濃度でさえ平坦な用量反応曲線により図18Aに示されるとおり、単独で用いた場合にはCDCの乏しいメディエーターである。CD20に対する試薬は、CDC活性の効率的な誘導因子であることから、試薬間の相乗作用を検出し得るように、CD20に対する抗体の非飽和量が、組み合わせ実験において望ましかった。これらの初めの研究から、組み合わせ実験のために選択される試薬の通常量は、0.5μg/mL又は2μg/mLのTRU−016であった。リツキサンの濃度は、単一試薬CDC実験におけるそのより高い活性に起因して、通常、0.04〜0.06μg/mLであった。ある実験において、CD20試薬の濃度を準最適濃度で一定に保ち、他方、TRU 016の濃度を変化させて、CDCに対する増幅効果を観察するために必要な、CD37に対する試薬の最小レベルを探索した。従って、TRU−016単独では、凝集が存在しない限り、CDCを媒介できない。
【0202】
図18Bには、リツキサンを単独で、又は2.5μg/mLのTRU−016と組み合わせて使用した場合における、指示した滴定範囲(0.06〜0.5μg/mL)にわたって観察された生細胞パーセンテージ(PIネガティブ)のグラフを示す。リツキサンを単一の薬剤として死滅のための準最適用量の範囲で使用する場合には、リツキサンは、TRU−016と組み合わせた場合の各濃度において、より高いレベルのCDC活性を提示する(図18B)。反応物からのC1qの枯渇は、結果として、観察される全てのCDC活性の排除をもたらす(図3B)。
【0203】
図18Cにおいて、サンプルをFITC抗C1qと氷上、45分間インキュベートし、その後、フローサイトメトリーにより分析した。リンパ球ゲーティングは、損傷細胞(compromised cell)についてであった。このゲート中の細胞パーセンテージは、リツキサン濃度を増加させると上昇し、この細胞集団に対する相対MFIをグラフ化した。図18Cには、サンプル試薬を以下の比率で混合したCDC実験の結果を示す:TRU−016については0.5μg/mL、及びリツキサン濃度は0.06μg/mL〜0.5μg/mLの範囲であり、PIを用いて細胞を染色した後、フローサイトメトリーに供す。結果は、リツキサンの用量の増加に伴う、MFIの用量依存性の増加を示す。TRU−016二量体型を添加することにより、リツキサンの各濃度において、さらなるMFIの増加がもたらされた。類似した一連のCDCアッセイを実施し、ここで、リツキサン濃度を一定に保ち、TRU−016濃度を増加させた。再度、リツキサン反応物にTRU−016を添加した場合にCDC活性が高くなったが、TRU−016の濃度を0.5μg/mLから2.5μg/mLに増加させても、これらの実験におけるCDC媒介性の死滅は有意に増加しなかった(データは示さず)。
【0204】
単独及び互いに組み合わせて使用するリツキサン及びTRU−016タンパク質を、CDCアッセイで使用した濃度と類似した濃度範囲を用いた、in vitroにおけるそれらのADCC活性について比較した。図18Dには、標識Ramos細胞標的及びヒトPBMCエフェクター細胞をエフクターと標的の比を25:1として使用し、TRU−016又はリツキサンを単独及び互いに組み合わせて、指示濃度範囲にわたって用いた、ADCCアッセイの結果を示す。エフェクター:標的の比を12.5:1にした場合に類似データが得られた。TRU−016二量体型とリツキサンはともに、CD20及びCD37標的抗原を発現するRamos細胞に対して、有意なレベルのADCCを媒介する;しかし、2つの試薬の組み合わせは、死滅レベルにおいて有意な増幅をもたらさない。
【0205】
[実施例9]
(TRU−016は、B細胞におけるアポトーシスを誘導する)
B細胞系アポトーシスに対するTRU−016の効果を調べる実験を実施した。異なるB細胞レセプターを標的とするTRU−016分子のアポトーシスに対する効果の初めのアッセイは、依然としてより高いオーダーの凝集を含むプロテインA精製物質を用いて実施した。CD37抗体又は改変TRU−016分子で処理してから24時間後に、アポトーシス活性の測定としてアネキシンVポジティブ細胞パーセンテージを使用し、かつ結合標的としてRamos及びBJAB細胞の両方を使用した複数の実験において、類似パターンの増加アポトーシスが観察された(データは示さず)。
【0206】
図19Aは、非フラクション化TRU−016とともにB細胞系をインキュベートした後、アポトーシスが有意に増加することを実証する。図19Aには、TRU−016(10μg/mL)とともに24時間インキュベートした後のRamos細胞のアネキシンV−PI染色のドットプロットを示す。アネキシンV−PI二重ポジティブ細胞%は、全集団の11.3%から32.8%に増加し、アネキシンVポジティブ−PIネガティブ細胞%は、8.5%から19.7%に増加し、これは、アポトーシスがTRU−016への暴露後に誘導されることを示した。これらのアッセイにおいて、結合標的としてRamos細胞を使用するか、BJAB細胞を使用するかに関わらず、類似データが得られた。
【0207】
B細胞系アポトーシスに対するTRU−016の効果を調べるさらなる実験を、より高度に精製したTRU−016の二量体型を用いて実施した(図19B)。インキュベーション反応の開始から24時間及び48時間後の両方においてサンプルを分析した。20μg/mLのTRU−016タンパク質を用いて複数の細胞タイプについてアネキシン/PI分析を実施した。アポトーシスは、TRU−016二量体型を用いた場合に減少したので、20μg/mLのヤギ抗ヒトIgGを反応物に添加して、細胞表面上に試薬を架橋させた。ついで、細胞をアネキシンV−FITC及びヨウ化プロピジウムで染色した。図19Bに示すデータは、TRU−016二量体ピークが、24〜48時間後にDaudi細胞のアポトーシスを誘導するが、抗ヒトIgGなどの架橋剤の存在により、CD37標的アポトーシスのレベルの有意な増加がもたらされることを実証する。
【0208】
ヒトPBMCを用いた培養物における、正常ヒトB細胞に対するTRU−016の効果を測定するための実験も実施した。図20A及び20Bには、その一つの実験結果を示し、ここで、媒体単独、TRU−016、又はリツキサンで48〜72時間処理したPBMC培養物に存在するCD19又はCD40ポジティブリンパ球(B細胞)のパーセンテージの柱状グラフを示す。
【0209】
ヒトPBMCは、LSM密度遠心分離により全血から単離した。1μg/mLのリツキサン又はTRU−016とともに細胞を48又は72時間インキュベートした。インキュベートした反応物の一部を実験開始後48時間で採取し、72時間で再度採取した。PBMCを洗浄し、FITC抗CD19、FITC抗CD40、又はFITC抗CD3とともに、氷上、45分間インキュベートした。ついで、これらの試薬で染色した全リンパ球パーセンテージを表にし、類似条件下ではあるが試験試薬を含めずにインキュベートし、処理サンプルについて染色したPBMCサンプルと比較した。図20A及びBには、指示試薬とともに48時間及び72時間後にポジティブFACsシグナルを与える、全リンパ球集団のフラクションの柱状グラフ(%)を示す。図20Cには、類似実験からの合成グラフを示し、これは、TRU−016(1μg/mL)とともにPBMCを24及び72時間インキュベートした後、指示CD抗原を発現するリンパ球(すなわち、CD19、CD40、又はCD3ポジティブ)の初めの数からの減少パーセンテージを示す。
【0210】
架橋の存在下、TRU−016二量体型又はリツキサンでの処理により、CD19及びCD40に対するポジティブ染色により測定されるとおり、PBMC培養物中のBリンパ球パーセンテージの減少がもたらされた。培養物中のBリンパ球パーセンテージは、実験開始時は低かったが、リツキサン又はTRU−016との共培養により、48時間後にはおよそ1.5〜2倍、72時間後には3倍超まで、PBMC培養物中のCD19及びCD40ポジティブリンパ球の数が減少した。48〜72時間後のB細胞枯渇のこの一般的なパターンは、サンプルに応じて、全リンパ球のおよそ3%から7%と同程度までの範囲にわたる、これらの培養物中のBリンパ球の初めの開始パーセンテージに関わらず、試験した全てのヒト正常PBMC培養物中で再生可能であった。
【0211】
図20Cには、TRU−016とともに24〜72時間インキュベートした短期間PBMC培養物中の、Tリンパ球に対するBリンパ球の枯渇パーセンテージの柱状グラフを示す。これらのデータは、TRU−016が、正常末梢血培養物から、CD37ポジティブBリンパ球を特異的に枯渇でき、TRU−016による非Bリンパ球との低レベルの結合(図1C)が、細胞集団からのこれらのリンパ球の有意な枯渇を媒介することに不十分であることを示す。
【0212】
[実施例10]
(TRU−016とリツキシマブとの組み合わせは、マウス腫瘍異種移植モデルにおいて腫瘍体積を相乗的に減少させる)
組み合わせ療法を探索するマウス腫瘍異種移植研究を、ヌードマウス(Harlan)、及びRamos又はDaudiヒト腫瘍系を用いて実施した。Ramos又はDaudi腫瘍細胞を、それらが80%の密集度を達成するまで、IMDM/10%FBS中、T150フラスコ中で増殖させた。マウス1匹当たり、500万個(5×106)の細胞を腫瘍接種材料として使用した。全体積0.1 mL又は5.0×107/mLで、PBSを用いて、右側に細胞を皮下注射した。ヌードマウスに腫瘍を成長させ、腫瘍サイズ/体積に基づいてグループ分けした。各処理グループについて、平均腫瘍体積がおよそ222 mm3(範囲=152〜296mm3)である12匹のマウスを使用した。平均腫瘍体積が237〜251 mm3の範囲であるものもいくつか使用した。以下の試薬の一つを、0日、2日、4日、6日、及び8日に動物に静脈注射(IV)した:単一試薬として、TRU−016 GPC POI(対象ピーク)、200μg/マウス;リツキサン、200μg/マウス、又は200若しくは400μg/マウスのヒトIgG(コントロール)、あるいは以下の組み合わせ試薬:マウス1匹当たり、それぞれ100μgのリツキサン+TRU−016;又はマウス1匹当たり、それぞれ200μgのリツキサン+TRU−016。腫瘍体積は、実験が完了するまで(犠牲又は寛解)、キャリパーを用いて毎日測定した。各動物について、処理時間の関数として腫瘍体積をプロットし、各グループ内で結果を平均化もした。
【0213】
より小さな腫瘍を用いて類似研究も実施し、ここで、153〜158 mm3の範囲にある、より小さな平均腫瘍体積を有し、かつRamos細胞よりむしろDaudi細胞を用いた場合により大きな腫瘍を有するグループに分けたマウスを使用した。これらの研究は、AAALAC認可動物施設で実施し、動物実験委員会(Institutional Animal Care and Use Committee;IACUC)のガイドラインに従った動物使用プログラムで実施した。
【0214】
図21は、12匹の動物の各グループにわたって平均化した、huIgG、リツキサン、及びその組み合わせであって、それぞれ100μg及び200μgを使用したものに対するTRU−016の有効性をグラフ化する。IV注射での処理後の時間の関数として腫瘍体積をプロットした。TRU−016での処理後の平均腫瘍体積は、ネガティブコントロール(huIgG)を用いて観察されたものよりも小さかった。生存%又は腫瘍を有さない動物%をグラフにした場合、より高い用量の組み合わせ療法は、このin vivo腫瘍モデルにおいて、より高い抗腫瘍活性を提示した。しかし、より低い用量(各100μg)では、組み合わせ療法は、より高用量での各単一試薬ほど効果的ではなかった。
【0215】
これらのデータは、TRU−016療法が、適切な用量でリツキサンと組み合わせて使用した場合に、単独のリツキサン療法よりも患者の腫瘍治療における有効性が高いであろうことを示す。
【0216】
[実施例11]
(TRU−016は、マウス腫瘍異種移植モデルにおいて、腫瘍体積を減少させ、生存率を増加させる)
マウス腫瘍異種移植研究は、ヌードマウス(Harlan)及びRamos又はDaudiヒト腫瘍系を用いて実施した。3つの異なる研究を、TRU−016又は他の試験試薬での処理時間における腫瘍タイプ及び腫瘍サイズに基づいて実施した。Ramos又はDaudi腫瘍細胞を増殖し、(5×106)細胞を右側に皮下注射して、腫瘍を有する各処理マウスを接種した。ヌードマウスに腫瘍を成長させ、腫瘍サイズ/体積に基づいてグループ分けした。第一の研究において、各処理グループについて、155〜237 mm3の平均腫瘍体積を有する12匹のマウスを使用した。以下の試薬の一つを、0日、2日、4日、6日、及び8日に動物に静脈注射(IV)した:リツキシマブ、200μg/マウス;TRU−016 GPC二量体ピーク、200μg/マウス;又はヒトIgG(コントロール)、400μg/マウス。腫瘍体積は、実験が完了するまで(犠牲又は寛解)、キャリパーを用いて毎日測定した。各動物について、処理時間の関数として腫瘍体積をプロットし、各グループ内で結果を平均化もした。グループ平均を図22Aに示し、他方、図22Bには、時間の関数として、各マウスグループについての生存パーセンテージデータの比較を示す。
【0217】
図22Aには、12匹の動物の各グループにわたって平均化した、Ramos腫瘍モデルにおけるhuIgG及びリツキサンと比較したTRU−016の有効性を示す。IV注射での処理後の時間の関数として腫瘍体積をプロットした。TRU−016での処理後の平均腫瘍体積は、ネガティブコントロール(huIgG)を用いて観察されたものよりも小さかった。図22Bは、huIgG、リツキサン、及びTRU−016を比較した、異なる処理グループについての生存曲線をグラフ化した。高いベースライン腫瘍体積を有する、より要求の厳しいRamos腫瘍モデルを利用して、TRU−016を投与すると、ヒトIgGに対して、腫瘍増殖率の阻害がもたらされた(データは示さず)。より小さなRamos腫瘍を有するマウスにTRU−016を投与すると、腫瘍増殖の阻害及び高い平均生存期間(median survival time)の両方がもたらされた。
【0218】
[実施例12]
(TRU−016は、他のB細胞表面レセプターのCDC活性に影響を及ぼさない)
TRU−016分子が、CD20に加えて、例えば、MHCII、CD19、CD80/86、及びCD40などの他のB細胞表面レセプターに対する抗体処理によりもたらされるCDC活性レベルを増幅するかを測定するために、CD20−CD37に対する組み合わせについてまさに記載した実験と類似した実験パネルを実施した。
【0219】
10%FBS含有Iscoves完全媒体中、Ramos細胞をウェルに添加した。MAb(試薬B:HD37−抗CD19、試薬C:9.4−抗CD45)、融合タンパク質(試薬D:CTLA−4 muIg−IgG2a、Ancell #501−820)、及び腹水(試薬A:HB10a−抗MHCII)を指示希釈率で添加し(図23を参照されたい)、リツキシマブ(0.05μg/mL)又はTRU−016(2μg/mL)を添加して、及び添加せずに、二連の反応物を準備した。反応物を37℃、30分間インキュベートした。細胞を洗浄し、NHSを、血清不含媒体中、10%の最終濃度へと添加した。補体源とともに、細胞を37℃、90分間インキュベートした。細胞を洗浄した;ヨウ化プロピジウムを、PBS中0.5μg/mLの最終濃度へと添加した;細胞を暗所下、室温、15分間インキュベートした;ついで細胞をフローサイトメトリーにより分析した。図23のパネルA〜Dにおける各グラフは、指示した滴定範囲にわたるPIポジティブ細胞%をプロットする。
【0220】
一般に、データは、これらのレセプターに対する抗体を単独で、又はTRU−016と組み合わせて使用した場合に、CDC活性のレベルにおける有意な差は存在しないことを示す(図23A〜D)。CD19及びCD45に対する試薬を、準最適濃度のTUR−016とともに使用した場合に、CDCレベルのわずかな増加が存在し得る。しかし、CDCレベルの差は、CD20−CD37組み合わせについて観察されたものに比べれば全く有意ではなかった。CD20及びCD37に対する試薬を組み合わせて使用した場合のCDCの増幅に加えて、抗クラスII(HB10a)、抗CD19、抗CD45(9.4)、又はCTLA4Igを準最適用量のリツキサンと組み合わせて使用した場合に観察される死滅レベルの増幅が存在するようである。
【0221】
[実施例13]
(TRU−016は、MHCII、CD19、CD80/86、及びCD40を含む他の標的レセプターのCDC活性を増幅しない)
TRU−016分子が、CD20に加えて他のB細胞表面レセプターに対する抗体処理によりもたらされるCDC活性レベルを増幅するかを測定するために、CD20−CD37に対する組み合わせについて記載した実験(実施例8を参照されたい)と類似の実験パネルを実施した。これらの実験結果を図23に示す。一般に、これらのレセプターに対する抗体を単独で、又はTRU−016と組み合わせて使用した場合、CDC活性レベルに有意な差は存在しなかった。CDCレベルは、準最適濃度のTRU−016とともに使用した場合、CD19及びCD45に対する試薬に反応してわずかに増加した。しかし、CDCレベルの差は、CD20−CD37組み合わせについて観察されたもの(実施例8を参照されたい)に比べれば全く有意ではなかった。CD20及びCD37に対する試薬を組み合わせて使用した場合のCDCの増幅に加えて、抗MHCII(HB10a)、抗CD19、抗CD45(9.4)、又はCTLA4Igを準最適用量のリツキサンと組み合わせて使用した場合に観察される死滅レベルの増幅が存在するようである。
【0222】
[実施例14]
(TRU−016は、マウス腫瘍異種移植モデルにおいて生存率を増加させる)
実施例11に記載したものを超えるマウス腫瘍異種移植研究を実施し、ヌードマウス(Harlan)及びRamos又はDaudiヒト腫瘍細胞系のいずれかを用いて、長期生存の増加についてのTRU−016の有効性を調べた。
【0223】
Ramos及びDaudi腫瘍細胞を別々に増殖し、マウスの右側に(5×106)細胞を皮下注射してマウス腫瘍異種移植の形成を開始した。腫瘍を成長させた後、マウスを腫瘍サイズ/体積(0日)に基づいてグループ分けした。以下の試薬の一つを、0日、2日、4日、6日、及び8日に動物に静脈注射(IV)した:リツキシマブ、200μg/マウス;TRU−016、200μg/マウス;リツキシマブ+TRU−016、100又は200μg/マウス;又はヒトIgG(コントロール)、400μg/マウス。腫瘍体積は、実験が完了するまで(犠牲又は寛解)、キャリパーを用いて週に3回盲検測定した。各動物について、処理時間の関数として腫瘍体積をプロットし、各グループ内で結果を平均化した。図24には、TRU−016、リツキシマブ、又はその組み合わせでの処理後(最大90日)、Ramos腫瘍を有するマウスの生存パーセンテージを示す。TRU−016+リツキシマブでの組み合わせ処理は、単一の薬剤療法単独での処理に対して平均生存期間を有意に増加させた。図25及び26には、TRU−016又はリツキシマブでの処理後(最大90日)、Daudi腫瘍を有するマウスの生存パーセンテージを示す。TRU−016での処理は、株化Daudi腫瘍における平均生存期間を増加させた(図25)。TRU−016は、Daudi腫瘍を有するマウスの生存を維持することについて、リツキシマブよりも効果的であった(図26)。
【0224】
株化Ramos腫瘍を有するマウスにおいて、単一薬剤としてTRU−016を投与することにより、腫瘍増殖阻害が実証され、単一薬剤として投与されたリツキシマブと同等の改善された生存期間が実証され、これはHuIgGコントロール処理マウスよりも優れていた。3つの実験からプールされたデータは、TRU−016とリツキシマブとの組み合わせ療法が、TRU−016(p=0.028)又はリツキシマブ(p=0.045)単療法と比較して、統計的に有意な生存期間の改善をもたらすことを実証した。腫瘍の完全寛解はまた、TRU−016及びリツキシマブ組み合わせグループで強められた。TRU−016+リツキシマブ200μg組み合わせグループの42%が、TRU−016又はリツキシマブ単独のいずれかで処理したマウスにおける20%の腫瘍寛解率と比較して、それらの腫瘍の長期完全寛解を達成できた(表3及び図24を参照されたい)。
【0225】
【表3】
【0226】
腫瘍増殖の減少、及び改善された生存期間は、Daudi腫瘍異種移植モデルにおけるTRU−016処理後に見られた(表4並びに図25及び26を参照されたい)。TRU−016投与は、コントロールグループと比較して、生存期間を有意に高めた。コントロール及びリツキシマブグループの両方と比較した、腫瘍を有さないマウスのパーセンテージの増加もまた、このモデルにおけるSMIP−016処理で観察された。
【0227】
【表4】
【0228】
CD37に対するSMIP(TRU−016)での処理は、Ramos腫瘍異種移植モデルにおける腫瘍体積の減少及び生存期間の増加について、リツキシマブ単療法と同程度に効果的である。TRU−016+リツキシマブの組み合わせ療法は、Ramos腫瘍異種移植モデルにおいて、リツキシマブ又はTRU−016単療法のいずれかと比較した、腫瘍体積の減少、及び生存期間の有意な改善の利益を高めることを実証した。Daudi異種移植モデルにおいて、TRU−016処理マウスは、HuIgGコントロールと比較して、平均生存期間の統計的に有意な増加を実証した。リツキシマブでの処理は、コントロールマウスと比較して、生存期間を延長しなかった。これらのデータは、これらのNHL異種移植モデルにおけるCD37に対する療法の有効性を明らかにする。
【0229】
[実施例15]
(TRU−016は、in vitroにおいて、CLL細胞のフルダラビン誘導性細胞死を増強する)
フルダラビンは、血液学的悪性腫瘍の治療で使用される化学療法剤である。フルダラビンは、リボヌクレオチド還元酵素及びDNAポリメラーゼを妨げることによりDNA合成を阻害するプリン類似体である。フルダラビンは、分裂及び静止細胞の両方に対して活性である。フルダラビンは、慢性リンパ球性白血病(CLL)の治療に非常に効果的であり、クロラムブシルなどの単独のアルキル化剤よりも高い反応率を生じる(Rai et al., N. Engl. J. Med. 343:1750−1757, 2000)。フルダラビンは、緩慢性リンパ腫及び非ホジキンリンパ腫の治療において、シクロホスファミド、ミトキサントロン、デキサメタゾン、及びリツキシマブとの様々な組み合わせで使用される。しかし、フルダラビンに対する抵抗性もまた治療で観察されている。フルダラビンは、CLL細胞においてカスパーゼ依存性アポトーシスを誘導し、TRU−016により媒介されるアポトーシスは、カスパーゼ活性化に依存しないようである。本研究では、CLL細胞に対する、TRU−016とフルダラビンとの効果を調べた。
【0230】
細胞を0.1〜100μg/mLの範囲の用量のTRU−016、及び0〜20μMの範囲の用量のフルダラビンで処理した(図27を参照されたい)。TRU−016は、Trubion Pharmaceuticals(Seattle, WA)により提供された。フルダラビン(F−araA)は、SIGMA(St. Louis, MO)から購入した。RPMI 1640媒体は、Invitrogen(Carlsbad, CA)から購入した。フルオレセインイソチオシアネート(FITC)標識アネキシンV、及びヨウ化プロピジウム(PI)は、BD Pharmingen, San Diego, CAから購入した。[3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)は、Sigma(St. Louis, MO)から購入した。B−CLL細胞は、フィコール密度勾配遠心分離(Ficoll−Paque Plus, Amersham Biosciences, Piscataway, NJ)を用いて、提供後すぐに単離した。単離した単核細胞を、10%熱失活ウシ胎児血清(FBS, Hyclone Laboratories, Logan, UT)、2 mMのL−グルタミン(Invitrogen, Carlsbad, CA)、及びペニシリン(100 U/mL)/ストレプトマイシン(100μg/mL;Sigma−Aldrich, St. Louis)を添加したRPMI 1640媒体中、5%CO2気相下、37℃でインキュベートした。新鮮単離B−CLL細胞を、表面染色以外のここに記載する全ての実験で使用した。90%未満のB細胞を有するこれらのサンプルについて、ネガティブ選択を適用し、B細胞単離キットII(Miltenyi Biotec, Auburn, CA)を用いるか、又はStem Cell Technologisの「Rosette−Sep」キット(Vancouver, British Columbia, Canada)により、製造者が提案するプロトコルに従って非B細胞を枯渇させた。Raji(ヒトバーキットリンパ腫細胞系)細胞系はATCCから購入し、10%FBSを含み、ペニシリン、ストレプトマイシン、及びグルタミンを添加したRPMI 1640媒体中で維持した。細胞密度が1×106/mLに達したときに、細胞を1:3に分けた。各研究の前夜に媒体を交換し、用いるべき新鮮細胞を確保した。
【0231】
本明細書に記載のとおり細胞をin vitroで処理した。フルダラビンの1:4の段階希釈(44、11、2.8、0.7、0.17、及び0.04μM)は、2 mLの薬剤含有媒体を、6 mLの何も入っていない媒体(blank media)を含む次のウェルへと移すことにより、6ウェルプレート中で準備した。別々の6ウェルプレートにおいて、媒体中、TRU−016の1:4の段階希釈(44、11、2.8、0.7、0.17、及び0.04μg/mL)を同一の希釈手順を用いて準備した。各プレートから、0.45 mLの媒体を48ウェルプレート中の設計ウェル(designed well)に移し、媒体中、混合薬剤溶液を作製した(各ウェル中全部で0.9 mL)。ついで、1×107細胞/mLの密度で媒体中に懸濁したCLL細胞(0.1 mL)を各ウェル中0.9 mLの媒体に添加し、最終密度を1×106細胞/mLとした。Raji細胞について、最終的な細胞密度は、5×104細胞/mLであった。従って、用いた細胞懸濁液は、5×105細胞/mLであった。MTTアッセイのために、薬剤の段階希釈物を96ウェルプレート中に準備し、細胞でのインキュベーションのために、他の96ウェルプレートに移した。インキュベーションのための全体積は、200μL(90μLのフルダラビン溶液、90μLのTRU−016溶液、及び20μLの細胞懸濁液)である。細胞生存率は、48時間でMTTアッセイを用いて評価し、アポトーシスは、24時間でアネキシンV/PIを用いて測定した。
【0232】
MTTアッセイを実施し、本明細書に記載のとおり細胞生存率を測定した。簡単に述べると、106 CLL細胞を96ウェルプレートに播種した。細胞を48時間インキュベートした。50μLのMTT希釈標準溶液(2 mg/mL;5 mg/mLのMTT試薬をRPMI 1640と2:3 v/vで混合することにより調製)を各ウェルに添加し、細胞を8時間インキュベートした。プレートを遠心分離し、上清を除去し、100μLの溶解溶液(lysis solution)に溶解した。O.D. 540でプレートリーダーを用いてサンプルを測定した。細胞生存率は、媒体コントロールと比較した生存率パーセンテージとして表した。
【0233】
抗体でのインキュベーション後のCLL細胞のアポトーシスは、FACS分析と、アネキシンV−FITC/ヨウ化プロピジウム(PI)染色を用いることにより測定した。200μLの1×結合バッファー(BD Pharmingen)中の5×105細胞を5μLのアネキシンV(BD Pharmingen)及び5μLのPI(BD Pharmingen)で染色し、暗所下、室温、15分間置いておき、その後、300μLの1×バッファーと懸濁して、フローサイトメトリーにより分析した。染色していない細胞、アネキシンVのみで染色された細胞、及びPIのみで染色された細胞を準備した。全てのフローサイトメトリー実験のために、Beckman−Coulter EPICS XLサイトメーター(Beckman−Coulter, Miami, FL)を用いてFACS分析を実施した。フルオロフォアは488 nmで励起された。FITC−蛍光は、FL1で測定し、他方、PI及びPE蛍光はFL3で測定した。システムIIソフトウェアパッケージ(Beckman−Coulter)を適用してデータを分析した。カウント細胞数は、各サンプルについて、10,000で設定した。
【0234】
相乗効果は、アイソボログラム方法を用いることにより測定した。相乗作用を同定するために、薬剤組み合わせの効果を、各薬剤単独の効果と比較した。これは、方程式:Ca/Ca,b+Cb/Cb,a=CIに基づき、ここで、Ca及びCbは、所望の効果(例えば、50%細胞死)を生じる、薬剤A及び薬剤B単独のそれぞれの濃度である。Ca,b及びCb,aは、同じ効果を生じる、薬剤A及び薬剤Bの組み合わせのそれぞれの濃度である。CIは、組み合わせ指数である。50%の死(IC50)を誘導する、フルダラビン及びTRU−016の濃度を測定し、図27Cに示す[フルダラビンのIC50(I)及びTRU−016のIC50(II)]。軸上のこれらの2つの点間の直線は、相加効果のラインである。その後、50%の細胞死を達成するフルダラビンとTRU−016の異なる組み合わせも生存率研究から測定し、同一グラフにプロットした。点が相加的ラインを下回る場合に、相乗作用が示される。点が前記ラインを上回る場合に、拮抗作用が示される。点が前記ライン上にある場合に、相加作用が示される。
【0235】
図27には、TRU−016が、フルダラビンで処理した細胞において、相対細胞生存率を効果的に減少させ、それにより、フルダラビン単独の細胞障害効果を増強することを示す。従って、この研究は、血液学的悪性腫瘍の治療において、TRU−016をフルダラビンと共投与でき、結果として高められた有効性(すなわち、CLL細胞の相乗的減少)がもたらされるという証拠を提供する。
【0236】
[実施例16]
(TRU−016は、リツキシマブ抵抗性細胞において、直接的な細胞毒性を誘起する)
本明細書に開示するとおり、リツキシマブは、NHL、FCC、MCL、DLCL、SLL、及びCLLの治療で使用されるモノクローナル抗体である。本研究は、リツキシマブに抵抗性のある細胞において直接的な細胞毒性を誘起するTRU−016の有効性を測定するために実施した。
【0237】
リツキシマブ抵抗性細胞(1×106細胞)(Raji 4RH及びRL 4RH、Dr. Myron S. Czuczman, Roswell Park Cancer Institute, Buffalo, NYにより提供)を、5倍過剰量のヤギ抗ヒトIgGの存在下、ハーセプチン(10μg/mL)、リツキシマブ(10μg/mL)、又はTRU−016(5μg/mL)とともに24時間処理した。直接的な細胞毒性は、アネキシン/PI染色により測定し、細胞生存率(パーセント)は、コントロール細胞(ハーセプチンで処理した細胞)に対して計算した。
【0238】
TRU−016は、リツキシマブ抵抗性細胞系において、リツキシマブよりも高い細胞毒性を誘起した(図28を参照されたい)。従って、TRU−016は、リツキシマブ抵抗性細胞において細胞毒性を誘起するための有効な薬剤であり、リツキシマブ抵抗性細胞、例えばある種のB細胞などにより特徴付けられるか、又はそれらと関連する病気に対する療法として有用となる。
【0239】
[実施例17]
(TRU−016は、CD19+初代CLL B細胞において、チロシンリン酸化を誘起する)
TRU−016が、B細胞におけるシグナル伝達をどのようにして誘起するかを測定するために、チロシンリン酸化に対するTRU−016の効果を調べるための実験を実施した。
【0240】
CLL患者からの新鮮単離CD19+細胞(〜50〜100×106)を5×106/mL PBS濃度で懸濁した。ついで細胞をコントロール、トラスツズマブ(ハーセプチン)又はTRU−016(最終濃度5μg/mL)とともに、5%CO2、37℃、10分間インキュベートした。細胞を沈降させ、上清を除去し、初めの体積の新鮮PBS中に細胞を再懸濁した。ヤギ抗ヒトFcフラグメント特異的架橋剤(25μg/mL)を添加し、細胞をさらに5分間インキュベートした。細胞を再度沈降させ、上清を除去し、プロテアーゼ及びホスファターゼ阻害剤を含む1 mLのRIPA溶解バッファー(10 mMのTris、pH 7.4、150 mMのNaCl、1%のTriton X−100、1%のデオキシコール酸、0.1%のSDS、及び5 mMのEDTAであり全て最終濃度である)に細胞を溶解した。Sigmaプロテアーゼ阻害剤カクテルcat# P−8340;Sigmaホスファターゼ阻害剤カクテル:セリン/スレオニンホスファターゼ阻害剤カクテルcat# P−2850;及びチロシンホスファターゼ阻害剤cat# P−5726;PMSF(100 mM)を全て使用した。阻害剤を溶解バッファーに添加し、その直後に1:100希釈で使用した。溶解物中のタンパク質濃度は、ビシンコニン酸(BCA)法により定量化した(Pierce, Rockford, IL)。コントロール及び処理タンパク質サンプル(50μgの全タンパク質)を二次元ゲル電気泳動(pH範囲3〜10)(一次元目)及び10%SDS−PAGE(二次元目)により分離した。タンパク質を0.2 Nmのニトロセルロースメンブレン(Schleicher & Schuell, Keene, NH)に移し、抗ホスホチロシン抗体クローン4G10(Upstate Biotechnology)を用いて、標準プロトコルを使用した免疫ブロット分析に供した。西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合ヤギ抗ウサギIgGを二次抗体として使用した。リンタンパク質の検出は、化学発光基質(SuperSignal, Pierce Inc. Rockford, IL)を用いて行った。
【0241】
TRU−016は、二次元ゲル分析により示すとおり(図29を参照されたい)、CD19+初代CLL B細胞においてチロシンリン酸化を誘起した。従って、これらの実験は、TRU−016が作用する1つの方法が、チロシンリン酸化経路を介することを示す。
【0242】
[実施例18]
(ヒト化TRU−016分子)
実施例1に記載したとおり、CD37特異的SMIP(例えば、TRU−016)は、共有の米国仮特許出願第10/627,556号、並びに米国特許出願公開第2003/133939号、同第2003/0118592号、及び同第2005/0136049号に記載されている。これらの記載は、参照により本明細書に援用される。例となるCD37特異的SMIPであるTRU−016ポリペプチド(配列番号2)を生成し、本明細書に記載した。本実施例では、ヒト化TRU−016 SMIPを提供する。
【0243】
ヒト化抗体は、当分野で公知であり、米国特許出願公開第2006/0153837号に記述されている。本出願は、SMIPをヒト化するため、特にTRU−016をヒト化するために、抗体ヒト化と関連する技術(以下に記載)を使用する。
【0244】
「ヒト化」により、ほとんど免疫原性がなく、元の分子の抗原結合特性を完全に保持する抗体がもたらされることが見込まれる。元の抗体の抗原結合特性の全てを保持するために、その抗原結合部位の構造は、「ヒト化」バージョンにおいて再生されるべきである。これは、必須のフレームワーク残基の保持の有無に関わらず、ヒト可変フレームワークドメイン及び定常領域上に非ヒトCDRのみを移植することによるか(Jones et al., Nature 321:522(1986);Verhoeyen et al., Scinece 239:1539(1988))、又は全体の非ヒト可変ドメインを再結合するが(リガンド結合特性を保存するため)、暴露される残基の慎重な置換を介してヒト様表面でそれらを「覆う(cloaking)」ことにより(抗原性を低下させるため)(Padlan, Molec. Immunol. 28:489(1991))、達成され得る。
【0245】
基本的に、CDR移植によるヒト化は、ヒト可変領域フレームワーク及びヒト定常領域上に、非ヒト抗体のCDRのみを再結合することを伴う。理論的には、これは免疫原性を実質的に低減又は排除するべきである(アロタイプ又はイディオタイプの差が存在する場合を除く)。しかし、元の抗体のある種のフレームワーク残基が保存される必要があり得ることが報告されている(Reichmann et al., Nature, 332:323(1988);Queen et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86:10,029(1989))。
【0246】
保存される必要があるフレームワーク残基は、コンピューターモデリングを介して容易に同定できる。別法として、必須のフレームワーク残基は、公知の抗原結合部位構造を比較することにより、同定される可能性があり得る(Padlan, Molec. Immun., 31(3):169−217(1994)であって、参照により本明細書に援用される)。
【0247】
抗原結合に潜在的に影響を及ぼす残基は、複数のグループに分類される。第一のグループには、抗原部位表面と隣接(contiguous)する残基が含まれ、これは、その結果、抗原と直接接触し得る。これらの残基には、アミノ末端残基、及びCDRと近接する残基が含まれる。第二のグループには、CDR、又は抗体における別のペプチド鎖のいずれかと接触させることにより、CDRの構造又は相対的アラインメントを変え得る残基が含まれる。第三のグループには、可変ドメインの構造的完全性に影響を及ぼし得る、埋もれた(buried)側鎖を有するアミノ酸が含まれる。これらのグループの残基は、通常、同一の位置で発見されるが(Padlan, 1994、上記参照)、ただし、同定されるとおりのそれらの位置は、番号付けシステムに応じて異なり得る(Kabat et al.,「Sequences of proteins of immunological interest」, 5th ed., Pub. No. 91−3242, U.S. Dept. Health & Huma Services, NIH, Bethesda, Md., 1991を参照されたい)。
【0248】
本発明は、抗体ではなくSMIPのヒト化を対象としているが、当分野でのヒト化抗体についての知識は、本発明のSMIPに適用可能である。ヒト化TRU−016分子のいくつかの例を下記表5に記載する。
【0249】
本発明のヒト化TRU−016構築物を作製するために、TRU−016のマウスフレームワーク領域を、重鎖についてはヒトVH1及びVH5フレームワーク残基に、軽鎖についてはVK1及びVK3に配置した。マウス可変領域のCDRとのフレームワーク適合性について、最も良い適合を分析した。選択される、複数の同等に適合する組み合わせが存在したが、我々は、VK3(X01668)、VH5−51(Z12373)組み合わせを用いて以前に成功していたので、15aa Gly4Ser((g4s)3)scFvリンカーにより結合されたこれらのヒトフレームワークを用いてヒト化抗CD37 SMIPを設計した。以前に記載した構築物と同様に、VK3構築物は、好ましいFR4適合としてJK1で構築し、VH5は、FR4をコードするJH2で構築した。SMIPは、オーバーラップオリゴヌクレオチドPCRを用いて、de novo構築した。全長生成物を、ヒトIgG1ヒンジ、CH2、及びCH3を有するフレームで、SMIP発現ベクターにクローニングした。これらのクローンを配列検証し、COS−7細胞にトランスフェクトして、B細胞リンパ腫系であるRamosとの結合について、3日馴化媒体(conditioned media)を試験した。ヒト化を増加させるために、L25、L27、及びL28位において軽鎖のCDR1中に変化を組み込み、この変化は良好な耐性を示し、元のヒト化分子019001と同等の結合活性を示した。さらなるDNA構築物を同様に作製し、様々なヒトJH領域によりコードされる、生殖細胞系アミノ酸、H100−H102を組み込むことにより、VH領域のCDR3を変えた。発現レベル、及びRamos細胞上でのCD37との結合の程度について構築物を調べた。
【0250】
【表5A】
【表5B】
【表5C】
【0251】
ヒト化TRU−016構築物番号019001(配列番号6;H016−019001)及び非ヒト化TRU−016(配列番号2;016−G28−1)のアミノ酸コンセンサス配列を図30AにKabat番号付けを用いて示す。図30Bには、ヒト化TRU−016構築物番号019001(配列番号6)、019008(配列番号86)、及び019009(配列番号88)のアミノ酸配列アラインメントを示す。
【0252】
Ramos B細胞への高いCD37特異的結合を実証する、3つのヒト化TRU−016構築物(019001、019041、及び019044)のDNA及びアミノ酸配列アラインメントを図31に示す。
【0253】
同一の3つのヒト化TRU−016構築物(019001、019041、及び019044)のFASTAフォーマット化DNA及びアミノ酸配列アラインメントを図32に示す。
【0254】
本発明のヒト化TRU−016分子で使用されてよい、さらなるヒンジ領域(表6)及びフレームワーク領域(表7)を以下に提供する。
【0255】
【表6A】
【表6B】
【表6C】
【0256】
【表7A】
【表7B】
【表7C】
【0257】
上記の例となる実施例に記載の本発明において多数の修正及び変形が生じることを当業者ならば予期する。結果として、添付の特許請求の範囲に現れる限定のみが本発明で認識されるべきである。
【0258】
【表8A】
【表8B】
【表8C】
【表8D】
【表8E】
【表8F】
【図面の簡単な説明】
【0259】
【図1】図1Aには、TRU−016分子の構造を示す;図1Bには、SDS−PAGE分析の結果を示し、これは、発現タンパク質が、非還元条件下ではおよそ110 kDa、還元条件を受けた場合にはおよそ52 kDaのMrで移動することを実証する;かつ図1Cには、フローサイトメトリーにより分析した場合、TRU−016分子が、ヒト末梢血Bリンパ球と高レベルで特異的に結合し、かつ非B細胞リンパ球ゲートにおける他の細胞亜集団(CD19ネガティブ集団)とは非常に低いレベルでしか結合しないことを実証することを示す。
【図2】図2A〜Eには、異なるCD37標的試薬による結合阻害を示す。
【図3A】図3Aは、コブラ毒因子(CVF)とともに又は含めずに正常ヒト血清中でRamos B細胞とインキュベートした、TRU−016分子形態のFITC C1q結合を実証する。
【図3B】図3Bには、CVFとともに又は含めずに正常ヒト血清中でRamos B細胞とインキュベートした、TRU−016分子形態のCDC活性を示す。
【図3C】図3Cには、Ramos B細胞及びヒト又はウサギ補体とインキュベートした、TRU−016分子形態のCDC活性を示す。
【図4A】図4には、TRU−016のGPC精製から得られたHPLCサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)トレースを示し、これは、回収した異なるフラクションについて滞留時間に対する吸光度をプロットしている。
【図4B】図4には、TRU−016のGPC精製から得られたHPLCサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)トレースを示し、これは、回収した異なるフラクションについて滞留時間に対する吸光度をプロットしている。
【図4C】図4には、TRU−016のGPC精製から得られたHPLCサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)トレースを示し、これは、回収した異なるフラクションについて滞留時間に対する吸光度をプロットしている。
【図5】図5Aには、SECフラクションの結合特性を示す;図5Bには、SECフラクションのCDC活性を示す;かつ図5Cには、SECフラクションのADCC活性を示す。
【図6】図6には、Ramos B細胞における、TRU−015、リツキサン、TRU−016、又はその組み合わせのCDC活性を示す。
【図7】図7には、DHL−4 B細胞における、TRU−015のCDC活性に対するTRU−016の効果を示す。
【図8】図8には、TRU−015及びリツキサンのCDC活性に対するTRU−016の効果を示す。
【図9】図9には、CDCアッセイにおける、TRU−015に対するTRU−016の効果を示す。
【図10】図10には、CDCアッセイにおける、リツキサンに対するTRU−016の効果を示す。
【図11】図11には、BJAB細胞を用いたADCCアッセイにおける、TRU−015とTRU−016との相互作用を示す。
【図12】図12には、Daudi細胞を用いたADCCアッセイにおける、TRU−015とTRU−016との相互作用を示す。
【図13】図13には、Ramos細胞を用いたADCCアッセイにおける、TRU−015とTRU−016との相互作用を示す。
【図14】図14には、BJAB細胞の特異的死滅に対する、リツキサン、TRU−016、及びその組み合わせの効果を示す。
【図15】図15には、BJAB細胞の特異的死滅に対する、リツキサン、TRU−016、及びその組み合わせの効果を示す。
【図16】図16には、BJAB細胞の特異的死滅に対する、TRU−015、TRU−016、及びその組み合わせの効果を示す。
【図17】図17には、BJAB細胞の特異的死滅に対する、TRU−015、TRU−016、及びその組み合わせの効果を示す。
【図18A】図18Aには、TRU−016二量体型が、CDCを媒介するのみならず、in vitroにおいてリツキシマブのCDC活性を増強することを示す。
【図18B】図18Bには、TRU−016二量体型が、CDCを媒介するのみならず、in vitroにおいてリツキシマブのCDC活性を増強することを示す。
【図18C】図18Cには、TRU−016二量体型が、CDCを媒介するのみならず、in vitroにおいてリツキシマブのCDC活性を増強することを示す。
【図18D】図18Dには、TRU−016二量体型が、CDCを媒介するのみならず、in vitroにおいてリツキシマブのCDC活性を増強することを示す。
【図19】図19A及びBには、プロテインA精製TRU−016が、Ramos及びDaudi細胞のアポトーシスを誘導する一方、二量体型は架橋を必要とすることを実証する。
【図20】図20には、TRU−016が、PBMC培養物から正常B細胞を優先的に枯渇させることを示す。
【図21】図21には、動物における腫瘍体積に対する、huIgG、リツキサン、及びTRU−016とリツキサンとの組み合わせ処理と比較したTRU−016の有効性を実証する。
【図22】図22A及びBには、TRU−016二量体型が、マウス異種移植腫瘍モデルにおける腫瘍体積及び生存率に対する効果により測定されるとおり、有意な抗腫瘍活性を提示することを示す。
【図23】図23には、TRU−016二量体型が、MHCII、CD19、CD80/86、又はCD45特異的試薬での処理によりもたらされるCDC活性を増加させないことを実証する。
【図24】図24には、TRU−016、リツキシマブ、又はその組み合わせでの処理後(最大90日)、Ramos腫瘍を有するマウスの生存率を示す。
【図25】図25には、TRU−016又はリツキシマブでの処理後(最大90日)、Daudi腫瘍を有するマウスの生存率を示す。
【図26】図26には、TRU−016又はリツキシマブでの処理後(最大90日)、Daudi腫瘍を有するマウスの生存率を示す。
【図27】図27には、TRU−016が、フルダラビンで処理した細胞において相対細胞生存率を効果的に減少させ、それにより、フルダラビン単独の細胞障害効果を増強したことを示す。
【図28】図28には、TRU−016が、リツキシマブ抵抗性細胞系において、ハーセプチン又はリツキシマブよりも高い細胞毒性を誘起したことを示す。
【図29】図29には、TRU−016が、CD19+初代CLL B細胞において、チロシンリン酸化を誘起したことを示す。
【図30A】図30Aには、Kabatの番号付けを用いた、ヒト化TRU−016構築物番号019001(配列番号6)及びTRU−016(配列番号2)のコンセンサスアミノ酸配列を示す。
【図30B】図30Bには、3つのヒト化TRU−016構築物(019001、019008、及び109009)のアミノ酸配列アラインメントを示す。
【図31】図31には、3つのヒト化TRU−016構築物(019001、019041、及び019044)のDNA及びアミノ酸配列アラインメントを示す。
【図32A】図32には、同じ3つのヒト化TRU−016構築物(019001、019041、及び019044)のFASTAフォーマット化配列アラインメントを示す。
【図32B】図32には、同じ3つのヒト化TRU−016構築物(019001、019041、及び019044)のFASTAフォーマット化配列アラインメントを示す。
【図32C】図32には、同じ3つのヒト化TRU−016構築物(019001、019041、及び019044)のFASTAフォーマット化配列アラインメントを示す。
【図32D】図32には、同じ3つのヒト化TRU−016構築物(019001、019041、及び019044)のFASTAフォーマット化配列アラインメントを示す。
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年7月25日に出願された米国仮特許出願第60/702,499号、2006年5月16日に出願された同第60/798,344号の米国特許法合衆国法典第35巻第119条下の利益を主張するものであり、これらの特許出願の各々は、その全ての内容が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、一般に、CD37特異的結合分子を用いた、個体におけるB細胞減少方法を提供する。特に、本発明は、CD37特異的結合分子を単独で、又はCD37特異的結合分子とCD20特異的結合分子とを組み合わせて、ある場合には相乗的に組み合わせて用いた、B細胞減少方法を提供する。本発明はさらに、異常なB細胞活性と関連する病気を治療するための物質及び方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
その通常の役割において、ヒト免疫系は、外来物質及び病原体由来のダメージから体を保護する。免疫系が体を保護する一つの方法は、Bリンパ球又はB細胞と称される特殊化した細胞の産生による。外来物質又は病原体と結合し、ある場合にはその破壊を媒介する抗体をB細胞は産生する。
【0004】
しかしながら、ある場合には、ヒト免疫系、詳細にはヒト免疫系のBリンパ球がうまく働かず、病気の結果をもたらす。B細胞の制御されない増殖と関連するガンが多数存在する。また、外来物質及び病原体と結合する代わりに体各部と結合する抗体のB細胞産生と関連する自己免疫疾患も多数存在する。このような抗体は、時折、自己抗体と称される。加えて、それらの病理学においてB細胞と関与する、例えば、T細胞への不適切なB細胞抗原提示を介するか、又はB細胞と関連する他の経路を介する、自己免疫及び炎症性疾患も多数存在する。例えば、B細胞を欠損する自己免疫疾患傾向のあるマウス(autoimmune−prone mice)は、自己免疫腎臓病、血管炎、又は自己抗体を発現しない。Shlomchik et al., J Exp. Med., 180:1295−306(1994)を参照されたい。興味深いことに、B細胞を有するが、免疫グロブリン産生を欠損する、これらの同じ自己免疫疾患傾向のあるマウスは、Chan et al., J Exp. Med., 189:1639−48(1999)に記載されるとおり、実験的に誘起された場合に自己免疫疾患を発現し、これは、B細胞が自己免疫疾患の発現に不可欠な役割を果たすことを示している。
【0005】
B細胞は、それらの細胞表面の分子により同定可能である。CD20は、モノクローナル抗体により同定された、第一のヒトB細胞系特異的表面分子であった。これは、35 kDaの非グリコシル化疎水性B細胞膜貫通型リンタンパク質であり、アミノ末端及びカルボキシ末端の両方を細胞内に置いている。Einfeld et al., EMBO J., 7:711−17(1998)を参照されたい。CD20は、全ての正常成熟B細胞により発現されているが、B細胞前駆体又は形質細胞によっては発現されていない。CD20に対する天然リガンドは同定されておらず、B細胞生物学におけるCD20の機能は、未だ完全には理解されていない。
【0006】
別のB細胞系特異的細胞表面分子はCD37である。CD37は、非常にグリコシル化された40〜52 kDaのタンパク質であり、細胞表面抗原のテトラスパニン膜貫通ファミリーに属する。これは、細胞膜を4回横断して、2つの細胞外ループを形成し、そのアミノ末端及びカルボキシ末端を細胞質に暴露している。CD37は、正常な抗体産生(sIg+)B細胞上に高度に発現しているが、プレ−B細胞又は形質細胞上には発現していない。休止及び活性T細胞、単球、及び顆粒球上のCD37の発現は低く、NK細胞、血小板、又は赤血球上には検出可能なCD37発現は存在しない。Belov et al., Cancer Res., 61(11):4483−4489(2001);Schwartz−Albiez et al., J. Immunol., 140(3):905−914(1988);及びLink et al., J. Immunol., 137(9):3013−3018(1988)を参照されたい。正常B細胞に加えて、B細胞起源のほぼ全ての悪性腫瘍は、CD37発現についてポジティブであり、これにはCLL、NHL、及びヘアリー細胞白血病が含まれる[Moore et al., Journal of Pathology, 152:13−21(1987);Merson and Brochier, Immunology Letters, 19:269−272(1988);及びFaure et al., American Journal of Dermatopathology, 12(3):122−133(1990)]。CD37を欠損するマウスは、血清IgG1を低レベルでしか有しておらず、ウイルス抗原及びモデル抗原に対するそれらのホルモン応答において正常に機能しないことが発見されたことから、CD37はB細胞機能の調節に関与する。これは、非古典的な副刺激分子として作用するか、又はMHCクラスII分子との複合体形成を介して抗原提示に直接影響を及ぼすことによって作用するようである。Knobeloch et al., Mol. Cell. Biol., 20(15):5363−5369(2000)を参照されたい。CD37はまた、TCRシグナリングに関与するようである。Van Spriel et al., J. Immunol., 172:2953−2961(2004)を参照されたい。
【0007】
ガン性疾患及び自己免疫疾患をもたらすB細胞であって、その表面上にCD37又はCD20を有するB細胞と結合し、その破壊を媒介する抗体に対して、CD37又はCD20などのB細胞系特異的細胞表面分子はそれ自体が標的とされ得るという概念に基づいて研究及び薬剤開発が行われている。「免疫療法」と称されており、CD37又はCD20と結合する、非ヒト動物において作製された(又は作製された抗体に基づく)抗体を患者に与えて、ガン性疾患又は自己免疫疾患をもたらすB細胞を枯渇させていた。
【0008】
CD37に対する抗体の一つは、131Iで標識されており、NHL治療のための臨床試験が試されている。Press et al., J. Clin. Oncol., 7(3):1027−1038(1989);Bernstein et al., Cancer Res.(Suppl.), 50:1017−1021(1990);Press et al., Front. Radiat. Ther. Oncol., 24:204−213(1990);Press et al., Adv. Exp. Med. Biol., 303:91−96(1991)及びBrown et al., Nucl. Med. Biol., 24:657−663(1997)を参照されたい。MB−1抗体は、抗体依存性細胞障害(ADCC)などのFcエフェクター機能を欠損したマウスIgG1モノクローナル抗体であり、MB−1は、アイソトープで標識されていない限り、in vivo異種移植モデルにおいて腫瘍増殖を阻害しなかった(Buchsbaum et al., Cancer Res., 52(83):6476−6481(1992))。131I−MB−1の好ましい生体内分布は、より低い全身腫瘍組織量(<1 kg)を有するリンパ腫患者において見られ、これらの患者の治療は完全な腫瘍の寛解をもたらし、これは4〜11ヶ月間続いた(Press et al., 1989及びBernstein et al., 1990)。
【0009】
加えて、別の抗CD37抗体であるG28−1と結合した薬剤アドリアマイシンからなる免疫複合体が、マウスにおいて評価されており、薬剤の内在化及び細胞内放出を介した効果が示されている。Braslawsky et al., Cancer Immunol. Immunother., 33(6):367−374(1991)を参照されたい。
【0010】
様々なグループが、B細胞関連疾患を治療するために、抗CD20抗体の使用を研究している。治療の一つは、B細胞リンパ腫を治療するために放射性核種の形態で調製された抗CD20抗体(例えば、131I標識抗CD20抗体)、並びに前立腺癌及び乳癌の転移により生じる骨の痛みを緩和するために89Sr標識形態で調製された抗CD20抗体からなる[Endo, Gan To Kagaku Ryoho, 26:744−748(1999)]。
【0011】
別のグループは、CD20に特異的なキメラモノクローナル抗体を開発し、これはヒトIgG1重鎖及びヒトカッパ軽鎖定常領域と融合した、マウス起源の重鎖及び軽鎖可変領域からなった。キメラ抗体は、CD20との結合能を保持し、かつADCC媒介及び補体結合能を保持すると報告された。Liu et al., J. Immunol. 139:3521−26(1987)を参照されたい。さらに別のキメラ抗CD20抗体がIDECハイブリドーマC2B8から作製され、リツキシマブと命名された。リツキシマブの抗腫瘍活性のメカニズムは、ADCC、補体結合、及び悪性B細胞におけるアポトーシスを促進するシグナルの誘起を含む複数の活性の組み合わせと考えられているが、ただし、巨大サイズのキメラ抗体は、悪性B細胞を含むリンパ系組織への分子の最適な拡散を妨げ、それにより、その抗腫瘍活性が限定される。ADCCは、細胞媒介反応であり、ここでは、Fcレセプター(FcR)を発現する非特異的細胞傷害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、及びマクロファージ)が、標的細胞上に結合した抗体を認識し、その後、標的細胞の溶解を引き起こす。補体結合、又は補体依存性細胞障害(CDC)は、補体の存在下、分子が標的を溶解する能力である。補体活性化経路は、補体系の第一の構成要素(C1q)と、同種抗原と複合した分子(例えば抗体)との結合により開始される。大きなサイズのリツキシマブは、悪性B細胞を含むリンパ系組織への分子の最適な拡散を妨げ、それによりこれらの抗腫瘍活性は制限される。
【0012】
リツキシマブは、典型的には4週間注入により投与され、これは、現在、低悪性度又は濾胞性B細胞非ホジキンリンパ腫を治療するため[McLaughlin et al., Oncology, 12:1763−1777(1998);Leget et al., Curr. Opin. Oncol., 10:548−551(1998)]、及び再発ステージIII/IVの濾胞性リンパ腫を治療するため[White et al., Pharm. Sci. Technol. Today, 2:95−101(1999)]に使用されている。リツキシマブで治療可能な他の疾患には、濾胞中心細胞リンパ腫(FCC)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、びまん性大細胞型リンパ腫(DLCL)、及び小リンパ球性リンパ腫(SLL)が含まれる[Nguyen et al., Eur J Haematol., 62:76−82(1999)]。週毎の注入により投与されるリツキシマブはまた、CLLを治療するためにも使用される[Lin et al., Sem Oncol.、30:483−92(2003)]。
【0013】
抗CD20抗体はまた、B細胞の自己抗体産生と関連する自己免疫疾患に罹患した患者を治療するためにも使用されている。例えば、リツキシマブは、RAを含む複数の(multiple)自己免疫/炎症性疾患を有する患者において、CD20+B細胞を枯渇させることに顕著な臨床的有用性を実証している[Edwards, N Engl J Med., 350:2546−2548(2004);Cambridge et al., Arthritis Rheum., 48:2146−54(2003)]。RA患者は、継続用量のメトトレキサート(MTX)を受け、4用量コースのリツキシマブ注入を受ける(Edwards、上記参照)。これらの患者は、コントロールグループと比較して、改善された米国リウマチ学会(ACR)反応を示した。
【0014】
全身性エリテマトーデス(SLE)を治療するために試みにおいて[Leandro et al., Arthritis Rheum., 46:2673−2677(2002)]、患者は、高用量のリツキシマブの2回注入を投与され、B細胞減少と改善された病状を実証した。SLEにおけるB細胞減少の第二の研究において[Looney et al., Arthritis Rheum., 50:2580−2589(2004)]、患者は、100 mg/m2の単一注入(低用量)、375 mg/m2の単一注入(中用量)、又は375 mg/m2の4回注入(1週間隔)(高用量)としてリツキシマブを与えられた。これらの患者はB細胞減少及び改善された疾患スコアを実証したが、この治療は自己抗体レベルを変化させなかった。リツキシマブの試みはまた、ワルデンストロームマクログロブリン血症でも実施されており[Treon et al., Immunother., 24:272−279(2000)]、ここでは、患者が、リツキシマブを4回注入した後、増加したヘマトクリット値(HCT)及び血小板数(PLT)を示した。
【0015】
多発性硬化症、中枢神経系に影響を及ぼす自己免疫疾患に罹患した患者におけるリツキシマブ治療の最近の報告は、治療過程が末梢B細胞を枯渇させるが、脳脊髄液におけるB細胞に対してはほとんど効果を有さないことを示している。Monson et al., Arch. Neurol., 62:258−264(2005)を参照されたい。
【0016】
リツキシマブの使用に関するさらなる文献には以下が含まれる:Stashi et al.,「Rituximab chimeric anti−CD20 monoclonal antibody treatment for adults with chronic idiopathic thrombocytopenic purpura」Blood 98:952−957(2001);Matthews, R.「Medical Heretics」New Scientist(7 Apr., 2001);Leandro et al.,「Clinical outcome in 22 patients with rheumatoid arthritis treated with B lymphocyte depletion」Ann Rheum Dis 61:833−888(2002);Leandro et al.,「Lymphocyte depletion in rheumatoid arthritis:early evidence for safety, efficacy and dose response.」Arthritis and Rheumatism 44(9):S370(2001);Leandro et al.,「An open study of B lymphocyte depletion in systemic lupus erythematosus」Arthritis Rheum. 46:2673−2677(2002);Edwards et al.,「Sustained improvement in rheumatoid arthritis following a protocol designed to deplete B lymphocytes」Rheumatology 40:205−211(2001);Edwards et al.,「B−lymphocyte depletion therapy in rheumatoid arthritis and other autoimmune disorders」Biochem. Soc. Trans. 30(4):824−828(2002);Edwards et al.,「Efficacy and safety of rituximab, a B−cell targeted chimeric monoclonal antibody:A randomized, placebo controlled trial in patients with rheumatoid arthritis.」Arthritis Rheum. 46:S197(2002);Levine et al.,「IgM antibody−related polyneuropathies:B−cell depletion chemotherapy using rituximab」Neurology 52:1701−1704(1999);DeVita et al.,「Efficacy of selective B−cell blockade in the treatment of rheumatoid arthritis」Arthritis Rheum 46:2029−2033(2002);Hidashida et al.,「Treatment of DMARD−Refractory rheumatoid arthritis with rituximab」Presented at the Annual Scientific Meeting of the American College of Rheumatology;October 24−29;New Orleans, La. 2002;Tuscano, J.「Successful treatment of Infliximab−refractory rheumatoid arthritis with rituximab」Presented at the Annual Scientific Meeting of the American College of Rheumatology;October 24−29;New Orleans, La. 2002。
【0017】
リツキシマブ療法と関連する問題が残っている。例えば、リツキシマブで治療されている大多数のガン患者は、一般に約6〜12ヶ月以内に再発し、かつリツキシマブ注入24時間以内に致死的な注入反応が報告されている。これらの致死的な反応は、低酸素症、肺湿潤、急性呼吸促迫症候群、心筋梗塞、心室細動、又は心臓性ショックを含む注入反応の複合体に付随した。致死的な結果の場合には透析を必要とする急性腎不全はまた、リツキシマブでの治療後に腫瘍崩壊症候群を伴うことが報告されており、これは、重篤な皮膚粘膜反応を有し、致死的な結果を有するものもある。さらに、リツキシマブ分子は大きく、およそ150 kDaであり、上記のとおり、多数の腫瘍細胞が存在するリンパ系組織への拡散が限定されることから、高用量のリツキシマブが静脈注射のために必要である。
【0018】
正常成熟B細胞はまた、CD37及びCD20を発現していることから、正常B細胞は、抗CD37(Press et al., 1989)又は抗CD20抗体療法[Reff et al., Blood, 83:435−445(1994)]により枯渇される。しかし、治療が完了した後、正常B細胞は、CD37−及びCD20−ネガティブB細胞前駆体から再生され得;それ故、抗CD37又は抗CD20療法で治療される患者は、有意な免疫抑制を得られない。
【0019】
モノクローナル抗体技術及び遺伝子工学方法は、ヒトの病気の診断及び治療のための免疫グロブリン分子の開発を導いている。タンパク質工学を適用して、その同種抗原に対する抗体アフィニティを高め、免疫原性と関連する問題を減少させ、かつ抗体のエフェクター機能を変える。免疫グロブリンのドメイン構造は、抗原結合ドメインとドメインが与えるエフェクター機能が、免疫グロブリンクラス及びサブクラス間で交換され得るという点において、工学技術の影響を受けやすい。免疫グロブリン構造と機能は、例えば、Harlow et al., Eds., Antibodies:A Laboratoy Manual, Chapter 14, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor(1988)などに概説されている。組み換え抗体技術の全ての側面についての広範囲にわたる序論及び詳細な情報は、教科書「Recombinant Antibodies」(John Wiley & Sons, NY, 1999)に見ることができる。詳細な抗体工学実験用プロトコルを包括的に集めたものは、R. Kontermann and S. Dubel(eds.)、「The Antibody Engineering Lab Manual」(Springer Verlag、Heidelberg/New York, 2000)に見ることができる。
【0020】
最近、より小さな免疫グロブリン分子が構築され、全免疫グロブリン療法と関連する問題に打ち勝っている。一本鎖Fv(scFv)は、短いリンカーペプチドを介して、抗体の軽鎖可変ドメインと結合した抗体の重鎖可変ドメインを含む[Huston et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85:5879−5883(1988)]。可変領域に加えて、各抗体鎖は、1つ又は複数の定常領域を有する。軽鎖は、単一の定常領域ドメインを有する。従って、軽鎖は、1つの可変領域と1つの定常領域を有する。重鎖は、複数の定常領域ドメインを有する。IgG、IgA、及びIgD抗体における重鎖は、3つの定常領域ドメインを有し、これはCH1、CH2、及びCH3と記され、IgM及びIgE抗体における重鎖は、4つの定常領域ドメイン、CH1、CH2、CH3、及びCH4を有する。従って、重鎖は、1つの可変領域と3つ又は4つの定常領域を有する。
【0021】
免疫グロブリンの重鎖はまた、3つの機能領域に分けられる:Fd領域(V.sub.H及びCH1を含むフラグメント、すなわち、重鎖の2つのN末端ドメイン)、ヒンジ領域、及びFc領域(定常領域に由来し、ペプシン消化後に形成される、「結晶化フラグメント」領域)。軽鎖と組み合わさったFd領域はFab(「抗原結合フラグメント」)を形成する。抗原は、各Fabのアミノ末端で抗原結合領域と立体化学的に反応するので、IgG分子は二価、すなわち、2つの抗原分子と結合し得る。Fcは、細胞上で免疫グロブリンレセプターと相互作用し、補体カスケードの開始要素と相互作用するドメインを含む。従って、Fcフラグメントは、一般に、免疫グロブリンのエフェクター機能、例えば、補体結合及びFcレセプターとの結合に関与すると考えられている。
【0022】
scFv分子は小さなサイズであることから、これらは、血漿及び組織からの非常に急速なクリアランスを呈し、全免疫グロブリンよりも組織への効果的な浸透を示す。抗腫瘍scFvは、対応するキメラ抗体よりも、より急速な腫瘍への浸透、及びさらに腫瘤を通じた分布を示した[Yokota et al., Cancer Res., 52, 3402−3408(1992)]。scFVと別の分子、例えば毒素との融合により、scFvの特異的抗原結合活性及び低サイズをうまく利用して、標的組織へと毒素がデリバリーされる[Chaudary et al., Nature, 339:394(1989);Batra et al., Mol. Cell. Biol., 11:2200(1991)]。
【0023】
scFv分子の利点にも関わらず、これらの使用には複数の欠点が存在する。scFvの急速なクリアランスは、正常細胞において毒性作用を減少させ得る一方で、このような急速なクリアランスは、最小有効量を標的組織へとデリバリーすることを妨げ得る。患者に投与するために十分量のscFvを製造することは、収率に悪影響を及ぼす、scFvの発現及び単離の困難性に起因して挑戦的である。発現の間、scFv分子は安定性を欠いており、しばしば、異なる分子からの可変領域の対合により凝集する。さらに、哺乳動物発現系におけるscFv分子の産生レベルは低く、治療のためのscFv分子の効率的な製造の可能性を制限する[Davis et al., J Biol. Chem., 265:10410−10418(1990);Traunecker et al., EMBO J, 10:3655−3659(1991)]。産生を高めるためのストラテジーが探索されており、これには可変領域へのグリコシル化部位の付加が含まれる[Jost, C. R.米国特許第5,888,773号、Jost et al., J. Biol. Chem., 69:26267−26273(1994)]。
【0024】
治療のためにscFvを使用することの別の不利点は、エフェクター機能の欠如である。免疫グロブリンの定常領域と関連する、細胞障害性機能、ADCC、及び補体依存性細胞障害(CDC)のないscFvは、病気の治療に有効でないかもしれない。scFv技術の開発は12年以上も前に始まったにも関わらず、現在、治療用に認められているscFv産物は全くない。
【0025】
別法として、scFvと別の分子、例えば毒素とを融合させることにより、scFv分子の特異的抗原結合活性と低サイズをうまく利用して、標的組織へと毒素をデリバリーすることが提案されている。Chaudary et al., Nature 339:394(1989);Batra et al., Mol. Cell. Biol. 11:2200(1991)。従って、毒素とscFvとの結合又は融合が、強力な抗原特異的分子を提供するための別のストラテジーとして提示されているが、このような複合体又はキメラを用いた投与は、このような調製物の毒素部分に起因する過剰及び/又は非特異的毒性により制限され得る。毒性作用には、肝酵素の超生理学的上昇及び血液漏出症候群、並びに他の所望しない作用が含まれ得る。さらに、免疫毒素はそれ自体が、宿主への投与時に高度に免疫原性であり、免疫毒素に対して産生された宿主抗体は、個体の反復治療上の処置に対する潜在的有用性を限定する。
【0026】
小モジュール免疫薬剤(small modular immunopharmaceutical)(SMIP(商標))製品と称される、他の改変融合タンパク質が、共有の米国特許出願公開第2003/133939号、同第2003/0118592号、及び同第2005/0136049号、並びに共有の国際公開第02/056910号、同第2005/037989号、及び同第2005/017148号に記載されており、これらは全て、参照により本明細書に援用される。SMIP製品は、新規結合ドメイン−免疫グロブリン融合タンパク質であり、抗原、カウンターレセプターなどの同種構造への結合ドメイン;IgG1、IgA、又はIgEヒンジ領域ポリペプチド又は変異IgG1ヒンジ領域ポリペプチドであって、ゼロ、1つ、又は2つのいずれかのシステイン残基を有するもの;並びに免疫グロブリンCH2及びCH3ドメインに特徴がある。SMIP製品は、ADCC及び/又はCDCの能力がある。
【特許文献1】米国仮特許出願第60/702499号
【特許文献2】米国仮特許出願第60/798344号
【特許文献3】米国特許第5888773号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2003/133939号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2003/0118592号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2005/0136049号明細書
【特許文献7】国際公開第02/056910号パンフレット
【特許文献8】国際公開第05/037989号パンフレット
【特許文献9】国際公開第05/017148号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
抗体系療法を実施する広範囲にわたる研究が存在するが、異常なB細胞活性と関連する病気を治療するための改善された方法についての必要性が当分野に存在する。記載し、特許請求する本発明の方法は、このような改善された方法及び他の利点を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明は、CD37特異的結合分子を用いた、B細胞減少方法を提供する。本発明のある方法において、CD37特異的結合分子(1つ又は複数のCD37特異的結合分子)とCD20特異的結合分子(1つ又は複数のCD20特異的結合分子)とを組み合わせて使用するにより、高められたB細胞減少がもたらされる。これらの方法のいくつかにおいて、組み合わせは相乗的である。関連する側面において、本発明は、異常なB細胞活性と関連する病気を有するか、又は有する疑いのある個体の治療方法を提供する。
【0029】
本発明はまた、ヒト化CD37特異的結合分子(例えば、ヒト化TRU−016構築物)、及びこれらの分子を用いたB細胞減少方法も提供する。本発明の方法のある実施態様において、ヒト化TRU−016構築物と、1つ又は複数のCD20特異的結合分子をと組み合わせて使用することが企図される。別の側面において、本発明は、異常なB細胞活性と関連する病気を有するか、又は有する疑いのある個体の治療方法を提供する。本発明の関連する側面は、任意のこのような病気の予防方法、及びこのような病気と関連する症状の改善方法であって、このような病気を治療若しくは予防するため、又はこのような病気の症状を改善するために有効な量のヒト化CD37特異的結合分子を投与する工程を含む、方法に注目する。
【0030】
「異常なB細胞活性」とは、正常、適切、又は予期されるコースから逸脱するB細胞活性を意味する。例えば、異常なB細胞活性には、細胞DNA又は他の細胞成分が損傷を受けているか又は欠損している細胞の不適切な増殖が含まれ得る。異常なB細胞活性には、不適切に高レベルな細胞分裂、不適切に低レベルなアポトーシス、又はその両方に起因する、媒介される、又はこれらをもたらす病気と関連することを特徴とする細胞増殖が含まれ得る。このような病気は、例えば、ガン性であろうと非ガン性であろうとも、良性であろうと悪性であろうとも、細胞、細胞群、又は組織(1つ以上)の単一又は複数の局所異常増殖により特徴付けられ得る。異常なB細胞活性にはまた、異常な抗体産生、例えば自己抗体の産生、又は正常レベルでの産生が典型的には所望される抗体の過剰産生が含まれ得る。異常なB細胞活性は、特定のB細胞亜集団に生じ得、他の亜集団には生じ得ないことが企図される。異常なB細胞活性にはまた、例えば、T細胞への不適切なB細胞抗原提示によるか、又はB細胞と関連する他の経路による、不適切なT細胞刺激が含まれ得る。
【0031】
「治療」又は「治療する」とは、治療的な処理、又は予防的/妨げる処理のいずれかを意味する。治療的処理は、治療を受けている個体における病気の症状の少なくとも1つを改善するか、又は個体における進行性疾患の悪化を遅延させるか、又はさらなる関連する病気の発症を予防し得る。
【0032】
CD20特異的結合分子の「治療上有効量」又は「有効量」とは、治療されるべき病気の1つ又は複数の症状の改善をもたらすために十分な化合物の量を意味する。単独で投与される活性成分が個体に適用される場合には、治療上有効量は、単独の前記活性成分について述べる。組み合わせて適用される場合には、治療上有効量は、それらが連続投与であろうと同時投与であろうとも、治療効果をもたらす活性成分の結合量を意味する。本発明は、詳細には、1つ又は複数の特異的結合分子が、本発明の方法に従って、それぞれ有効量で投与されてよいことを企図する。
【0033】
「異常なB細胞活性と関連する病気を有するか、又は有する疑いのある個体」とは、その個体における病気又は病気の症状が、異常なB細胞活性に起因するか、又は異常なB細胞活性によって悪化するか、又はB細胞活性の制御により緩和され得る、個体を意味する。このような病気の例は、B細胞ガン(例えば、B細胞リンパ腫、B細胞白血病、又はB細胞骨髄腫)、自己抗体産生により特徴付けられる病気、又はT細胞への不適切なB細胞抗原提示若しくはB細胞と関連する他の経路に起因する不適切なT細胞刺激により特徴付けられる病気である。
【0034】
一つの例となる側面において、本発明の方法により治療される個体は、リツキシマブを用いた治療反応よりも優れた治療反応、又はそれに対して改善された治療反応を実証する。リツキシマブを用いた治療を超える改善反応とは、本発明の方法による治療が結果として、リツキシマブ療法、例えばリツキシマブを受けている患者における臨床反応よりも優れた、患者における臨床反応をもたらす、臨床反応を意味する。改善反応は、当分野で周知であり本明細書に記載する臨床的基準の比較により評価される。例となる基準には、これに限定されないが、B細胞枯渇の継続期間、全体的なB細胞数の減少、生物学的サンプルにおけるB細胞数の減少、腫瘍サイズの減少、治療後に存在及び/又は現れる腫瘍数の減少、並びに患者自身及び医師により評価されるとおりの改善された全体反応(例えば、国際予後指標を用いる)が含まれる。改善は、1つ又は2つ以上の臨床的基準におけるものであってよい。本発明の方法を用いた改善反応は、例えば、リツキシマブ治療の毒性及び/又は不十分な有効性などに起因する、リツキシマブを用いた以前又は現行の治療に対する不十分な反応に起因してよい。
【0035】
B細胞ガンには、B細胞リンパ腫[例えば、様々な形態のホジキン病、非ホジキンリンパ腫(NHL)、又は中枢神経系リンパ腫]、白血病[例えば、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、ヘアリー細胞白血病、及び慢性骨髄性白血病]、及び骨髄腫(例えば、多発性骨髄腫)が含まれる。さらなるB細胞ガンには、小リンパ球性リンパ腫、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、脾性辺縁帯リンパ腫、形質細胞性骨髄腫、骨の孤立性形質細胞腫、骨外性形質細胞腫、粘膜関連リンパ組織(MALT)型節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型リンパ腫、縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性滲出液リンパ腫、バーキットリンパ腫/白血病、悪性度不明なB細胞増殖、リンパ腫様肉芽腫症、及び移植後リンパ増殖性疾患が含まれる。
【0036】
自己抗体産生により特徴付けられる疾患は、しばしば自己免疫疾患と考えられる。自己免疫疾患には、これに限定されないが、以下が含まれる:関節炎、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、骨関節炎、多発性軟骨炎、乾癬性関節炎、乾癬、皮膚炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、封入体筋炎、炎症性筋炎、中毒性皮膚剥離症、全身性強皮症及び硬化症、CREST症候群、炎症性大腸炎と関連する反応、クローン病、潰瘍性大腸炎、呼吸促迫症候群、成人呼吸促迫症候群(ARDS)、髄膜炎、脳炎、ブドウ膜炎、大腸炎、糸球体腎炎、アレルギー状態、湿疹、喘息、T細胞湿潤及び慢性炎症反応と関連する状態、アテローム性動脈硬化、自己免疫性心筋炎、白血球接着不全症、全身性エリテマトーデス(SLE)、亜急性皮膚エリテマトーデス、円板状ループス、ループス脊髄炎、ループス脳炎、若年発症性糖尿病、多発性硬化症、アレルギー性脳脊髄炎、視神経脊髄炎、リウマチ熱、シデナム舞踏病、サイトカイン及びTリンパ球により媒介される急性及び遅延型過敏症と関連する免疫反応、結核、サルコイドーシス、ヴェグナー肉芽腫症及びチャーグストラウス症候群を含む肉芽腫症、無顆粒球症、血管炎(過敏性血管炎/脈管炎、ANCA、及びリウマチ性血管炎を含む)、再生不良性貧血、ダイアモンドブラックファン貧血、自己免疫性溶血性貧血(AIHA)を含む免疫性溶血性貧血、悪性貧血、赤芽球癆(PRCA)、第VIII因子欠乏、血友病A、自己免疫性好中球減少症、汎血球減少症、白血球減少症、白血球漏出と関連する病気、中枢神経系(CNS)炎症性疾患、多臓器損傷症候群、重症筋無力症、抗原抗体複合体媒介疾患、抗糸球体基底膜疾患、抗リン脂質抗体症候群、アレルギー性神経炎、ベーチェット病、キャッスルマン症候群、グッドパスチャー症候群、ランバートイートン筋無力症症候群、レイノー症候群、シェーグレン症候群、スティーブンスジョンソン症候群、固形臓器移植拒絶反応、移植片対宿主拒絶反応(GVHD)、水疱性類天疱瘡、天疱瘡、自己免疫性多腺性内分泌障害、血清反応陰性脊椎関節症、ライター症候群、スティフマン症候群、巨細胞性動脈炎、免疫複合体性腎炎、IgAネフロパシー、IgM多発ニューロパシー又はIgM媒介ニューロパシー、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、ヘノッホシェーンライン紫斑病、自己免疫性血小板減少症、自己免疫性精巣炎及び卵巣炎を含む精巣及び卵巣の自己免疫疾患、原発性甲状腺機能低下症;自己免疫性甲状腺炎、慢性甲状腺炎(橋本甲状腺炎)、亜急性甲状腺炎、特発性甲状腺機能低下症、アジソン病、グレーブス病、自己免疫性多腺性症候群(又は多腺性内分泌障害症候群)、インスリン依存性糖尿病(IDDM)とも称されるI型糖尿病、及びシーハン症候群を含む自己免疫性内分泌疾患;自己免疫性肝炎、リンパ球様間質性肺炎(HIV)、NSIPに対する閉塞性細気管支炎(非移植)、ギランバレー症候群、大血管の血管炎(リウマチ性多発性筋痛及び巨細胞性(高安)動脈炎を含む)、中血管の血管炎(川崎病及び結節性多発性動脈炎を含む)、結節性多発性動脈炎(PAN)強直性脊椎炎、バージャー病(IgAネフロパシー)、急速進行性糸球体腎炎、原発性胆汁性肝硬変、セリアック病(グルテン性腸症)、クリオグロブリン血症、肝炎と関連するクリオグロブリン血症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、冠動脈疾患、家族性地中海熱、顕微鏡的多発性血管炎、コーガン症候群、ウィスコットアルドリッチ症候群、並びに閉塞性血栓血管炎。
【0037】
関節リウマチ(RA)は、関節の炎症により特徴付けられる慢性疾患であり、腫脹、痛み、及び機能の喪失を導く。長期間RAを有する患者は、通常、進行性の関節破壊、変形、障害、及びさらには早期の死を呈す。
【0038】
クローン病及び関連疾患である潰瘍性大腸炎は、炎症性腸疾患(IBD)と称される病気のグループに属する、2つの主な病気カテゴリーである。クローン病は、消化管又は胃腸(GI)管の炎症を引き起こす慢性疾患である。これは、口から肛門までのGI管の任意の領域に影響を及ぼし得るが、最も一般には、小腸及び/又は大腸に影響を及ぼす。潰瘍性大腸炎において、GI関与は、大腸に限定される。
【0039】
クローン病は、好中球抗原に対する抗体、すなわち「核周辺型抗好中球抗体」(pANCA)、及びSaccharomyces cerevisiaeに対する抗体、すなわち「抗Saccharomyces cerevisiae抗体」(ASCA)により特徴付けられ得る。潰瘍性大腸炎を有する患者の多くは、その血中にpANCA抗体を有するが、ASCA抗体は有しておらず、他方、クローン病患者の多くは、ASCA抗体を呈すが、pANCA抗体は呈さない。クローン病を評価する方法の一つは、医師により集められた18の予測因子変数スコアに基づき、クローン病活動指数(CDAI)を用いることである。150以下のCDAI値は非活動期の病気と関連し;これを超える値は活動期の病気を示し、450を超える値は、非常に重症の病気で見られる[Best et al.,「Development of a Crohn's disease activity index.」Gastroenterology 70:439−444(1976)]。しかし、最初の研究以来、何人かの研究者は、健康なスコアとして200〜250の「主観的値(subjective value)」を使用している。
【0040】
全身性エリテマトーデス(SLE)は、腎臓、皮膚、及び関節を含む複数の臓器における血管への再発性の損傷により引き起こされる自己免疫疾患である。SLEを有する患者においては、T細胞とB細胞との相互作用の欠陥により、細胞核を攻撃する自己抗体が結果として産生される。自己抗体はSLEに関与するということが一般的な見解であり、従って、B細胞系を枯渇させて、新規B細胞が前駆体から産生されるように免疫系をリセットできる新規療法が、SLE患者における長期にわたる利益として希望を与えるだろう。
【0041】
多発性硬化症(MS)もまた自己免疫疾患である。これは、中枢神経系の炎症及びミエリンの破壊により特徴付けられ、ここで、ミエリンとは、脳、脊髄、及び体において、神経細胞繊維を絶縁するものである。MSの原因は未知であるが、自己免疫T細胞が、この病気の病因に主に寄与すると広く考えられている。しかし、高レベルの抗体が、MSを有する患者の脳脊髄液に存在しており、ある理論では、抗体産生を導くB細胞反応が、この病気を媒介するために重要であると予測されている。
【0042】
自己免疫性甲状腺疾患は、甲状腺を刺激して甲状腺機能亢進症(グレーブス病)をもたらすか、又は甲状腺を破壊して甲状腺機能低下症(橋本甲状腺炎)をもたらすかのいずれかである、自己抗体の産生に起因する。甲状腺の刺激は、甲状腺刺激ホルモン(TSH)レセプターと結合し活性化する自己抗体によりもたらされる。甲状腺の破壊は、他の甲状腺抗原と反応する自己抗体によりもたらされる。
【0043】
シェーグレン症候群は、体の水分産生腺の破壊により特徴付けられる自己免疫疾患である。
【0044】
免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)は、血小板と結合しそれらの破壊をもたらす自己抗体により特徴付けられる。
【0045】
重症筋無力症(MG)は、神経筋接合部で発現しているアセチルコリンレセプターと結合する自己抗体により特徴付けられる慢性自己免疫性神経筋疾患であり、随意筋グループの低下を導く。
【0046】
乾癬は、皮膚における自己免疫性の炎症により特徴付けられ、また30%のケースにおいては関節炎と関連し、強皮症、炎症性大腸炎(クローン病及び潰瘍性大腸炎を含む)と関連する。
【0047】
また、皮膚筋炎(DM)及び多発性筋炎(PM)を含む特発性炎症性筋疾患(IIM)の治療も企図される。炎症性筋疾患は、多数の分類スキームを用いてカテゴリー化されている。Millerの分類スキーム(Miller, Rheum Dis Clin North Am. 20:811−826, 1994)は、2つの特発性炎症性筋疾患(IIM)、多発性筋炎(PM)、及び皮膚筋炎(DM)を同定している。
【0048】
多発性筋炎及び皮膚筋炎は、筋肉と関連し、DMの場合には皮膚と関連する慢性で衰弱性の炎症性疾患である。これらの疾患は稀であり、米国で1年間当たり、100万人の成人当たりおよそ5〜10の症例、100万人の子供当たり0.6〜3.2の症例の年間発生率が報告されている(Targoff, Curr Probl Dermatol. 1991, 3:131−180)。特発性炎症性筋疾患は、有意な罹患率及び死亡率と関連し、罹患した成人の最大半分が、顕著な障害を受けていると指摘される(Gottdiener et al., Am J Cardiol. 1978, 41:1141−49)。Millerは(Rheum Dis Clin North Am. 1994, 20:811−826及びArthritis and Allied Conditions, Ch. 75, Eds. Koopman and Moreland, Lippincott Williams and Wilkins, 2005)、IIMを診断するために使用される5つのグループの基準、すなわち特発性炎症性筋疾患基準(IIMC)評価を設定しており、これには筋力低下、筋生検の変性の証拠、筋関連酵素の血清レベルの上昇、筋疾患の電磁気的な三つ組(electromagnetic triad)、皮膚筋炎における発疹の証拠が含まれ、さらに第二の基準として自己抗体の証拠が含まれる。
【0049】
筋関連酵素及び自己抗体を含むIIM関連因子には、これに限定されないが、クレアチンキナーゼ(CK)、乳酸脱水素酵素、アルドラーゼ、C反応性タンパク質、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、及び抗核自己抗体(ANA)、筋炎特異的抗体(MSA)、及び可溶性核抗原に対する抗体が含まれる。
【0050】
本発明の「結合分子」とは、例えば、標的と結合する、タンパク質(「タンパク質」は、ポリペプチド又はペプチドであってよい)、核酸、炭水化物、脂質、又は低分子化合物であり得る。本発明により企図されるタンパク質の結合分子のタイプは、抗体又は抗体フラグメントであって結合活性を保持するものである。結合分子は、個体の体において、その結合アフィニティを高めるため、その免疫原性を減少させるため、そのエフェクター機能を変えるため、及び/又はその有用性を高めるために、当分野で標準的な方法に従って修飾されてよい。このような修飾には、例えば、アミノ酸配列修飾又は融合タンパク質としての発現が含まれる。このような融合タンパク質はまた、本発明の結合分子である。本発明の例となる結合分子は、小モジュール免疫薬剤(small modular immunopharmaceutical)(SMIP(商標))である。
【0051】
標的に「特異的」な結合分子は、任意の他の標的よりも大きなアフィニティでその標的と結合する。例えば、CD37特異的結合分子は、任意の他の標的よりも大きなアフィニティでCD37と結合し、CD20特異的結合分子は、任意の他の標的よりも大きなアフィニティでCD20と結合する。本発明の結合分子は、それらの標的に対して、約104M−1以上、好ましくは約105M−1以上、より好ましくは約106M−1以上、さらにより好ましくは約107M−1以上のKaのアフィニティを有してよい。約107M−1をさらに超えるアフィニティが、さらにより好ましく、例えば、約107M−1以上、約108M−1以上、及び約109M−1以上、及び約1010M−1以上のアフィニティなどである。本発明の結合分子のアフィニティは、常法を用いて容易に測定可能であり、例えばScatchard et al., Ann. N.Y. Acad. Sci. 51:660(1949)に記載されている。
【0052】
本発明により企図される特定のCD37特異的結合分子は、CD37に対して、約0.5〜約10 nMのアフィニティを有する。本発明により企図される特定のCD20特異的結合分子は、CD20に対して、約1〜約30 nMのアフィニティを有する。
【0053】
本発明により企図される特定のCD37結合分子及びCD20結合分子の別の特徴は、これらが、約7〜約30日間の循環半減期を呈することである。
【0054】
第三回HLDAワークショップにおいてCD37抗原を特徴付けたCD37特異的抗体は、HD28、G28−1、HH1、Bl14、WR17、及びF93G6であった。Ling and MacLennan, pp. 302−335 in Leucocyte Typing III. White Cell Differentiation Antigens, Oxford University Press(1987)を参照されたい。記載されている他のCD37特異的抗体には、RFB−7、Y29/55、MB−1、M−B371、M−B372、及びIPO−24が含まれる。これらの抗体の全てが、唯一つのCD37エピトープを認識することを記載する、Moldenhaurer, J. Biol., Regul. Homeost. Agents, 14:281−283(2000)を参照されたい。Schwartz−Albiez et al., 14:905−914(1988)は、エピトープが、CD37の炭水化物部分に位置されることを指摘している。別のCD37特異的抗体はS−B3(Biosys)である。
【0055】
CD20抗体を記載する特許及び特許出願には以下が含まれる:米国特許第5,776,456号、同第5,736,137号、同第6,399,061号、及び同第5,843,439号、並びに米国特許出願公開第2002/0197255A1号、及び同第2003/0021781A1号(Anderson et al.);米国特許第6,455,043B1号及び国際公開第00/09160号(Grillo−Lopez, A.);国際公開第00/27428(Grillo−Lopez and White);国際公開第00/27433号(Grillo−Lopez and Leonard);国際公開第00/44788号(Braslawsky et al.);国際公開第01/10462号(Rastetter, W.);国際公開第01/10461号(Rastetter and White);国際公開第01/10460号(White and Grillo−Lopez);米国特許出願公開第2002/0006404号及び国際公開第02/04021号(Hanna and Hariharan);米国特許出願公開第2002/0012655A1号及び国際公開第01/74388号(Hanna, N.);米国特許出願公開第2002/0009444A1号、及び国際公開第01/80884号(Grillo−Lopez, A.);国際公開第01/97858号(White, C.);米国特許出願公開第2002/0128488A1号及び国際公開第02/34790号(Reff, M.);国際公開第02/060955号(Braslawsky et al.);国際公開第02/096948号(Braslawsky et al.);国際公開第02/079255号(Reff and Davies);米国特許第6,171,586B1号及び国際公開第98/56418号(Lam et al.);国際公開第98/58964号(Raju, S.);国際公開第99/22764号(Raju, S.);国際公開第99/51642号、米国特許第6,194,551B1号、同第6,242,195B1号、同第6,528,624B1号、及び同第6,538,124号(Idusogie et al.);国際公開第00/42072号(Presta, L.);国際公開第00/67796号(Curd et al.);国際公開第01/03734号(Grillo−Lopez et al.);米国特許出願公開第2002/0004587A1号及び国際公開第01/77342号(Miller and Presta);米国特許出願公開第2002/0197256号(Grewal. I.);米国特許第6,090,365B1号、同第6,287,537B1号、同第6,015,542号、同第5,843,398号、同第5,595,721号(Kaminski et al.);米国特許第5,500,362号、同第5,677,180号、同第5,721,108号、及び同第6,120,767号(Robinson et al.);米国特許第6,410,391B1号(Raubitschek et al.);米国特許第6,224,866B1号及び国際公開第00/20864号(Barbera−Guillem, E.);国際公開第01/13945号(Barbera−Guillem, E.);国際公開第00/67795号(Goldenberg);国際公開第00/74718号(Goldenberg and Hansen);国際公開第00/76542号(Golay et al.);国際公開第01/72333号(Wolin and Rosenblatt);米国特許第6,368,596B1号(Ghetie et al.);米国特許出願公開第2002/0041847A1号(Goldenberg, D.);米国特許出願公開第2003/0026801A1号(Weiner and Hartmann);国際公開第02/102312号(Engleman, E.)であって、これらの各々は、参照により本明細書に明確に援用される。さらに、米国特許第5,849,898号及び欧州特許出願公開第330,191号(Seed et al.);米国特許第4,861,579号及び欧州特許出願公開第332,865A2号(Meyer and Weiss);並びに国際公開第95/03770号(Bhat et al.)も参照されたい。
【0056】
リツキシマブは、リツキサン(登録商標)としてヒトでの臨床的使用の認可を受けている。リツキサン(登録商標)は、本発明のCD20特異的結合分子と考えられる。
【0057】
小モジュール免疫薬剤(SMIP)は、本発明の結合分子の一つのタイプと考えられる。SMIP製造方法は、共有の米国仮特許出願第10/627,556号、並びに米国特許出願公開第2003/0133939号、同第2003/0118592号、及び同第2005/0136049号に以前に記載しており、これらはその全ての内容が参照により本明細書に援用される。SMIPは、新規結合ドメイン−免疫グロブリン融合タンパク質であり、抗原、カウンターレセプターなどの同種構造に対する結合ドメイン、IgG1、IgA、若しくはIgEヒンジ領域ポリペプチド又は変異IgG1ヒンジ領域ポリペプチドであって、ゼロ、1つ、又は2つのいずれかのシステイン残基を有するもの、並びに免疫グロブリンCH2及びCH3ドメインに一般に特徴がある。一つの実施態様において、結合ドメイン分子は、ヒンジ領域中に1つ又は2つのシステイン(Cys)残基を有する。関連する実施態様において、結合ドメイン分子が2つのCys残基を含む場合には、重鎖と軽鎖との結合に関与する第一のCysは、欠失又はアミノ酸で置換されていない。
【0058】
本発明の方法で有用な分子の結合ドメインは、1つ又は複数の結合領域を有することが企図され、例えば、1つ又は複数の免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバー、例えば免疫グロブリンに由来する、可変軽鎖及び可変重鎖結合領域などを有することが企図される。さらに、これらの領域は、リンカーペプチドにより典型的には分離されており、リンカーペプチドは、結合分子中のドメイン又は領域結合(joinder)と適合する、当分野で公知の任意のリンカーペプチドであってよい。例となるリンカーは、Gly4Serリンカーモチーフ、例えば(Gly4Ser)n(n=1〜5)に基づくリンカーである。本発明の方法で使用するための分子にはまた、エフェクター機能、好ましくはADCC及び/又はCDCを提供するために、免疫グロブリンの定常領域に由来する十分なアミノ酸配列が含まれている。従って、分子は、免疫グロブリンのCH2ドメイン、又は1つ若しくは複数の免疫グロブリンに由来するCH2及びCH3ドメインに由来する配列を有するだろう。SMIPは、ADCC及び/又はCDCの能力を有するが、ジスルフィド結合多量体を形成する能力に欠陥がある。
【0059】
本発明には、配列番号2に記載のポリペプチドと少なくとも80%の同一性を示すヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドが含まれ、このヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドはCD37と結合する。一つの側面において、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドには、配列番号6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、80、82、84、86、及び88からなる群から選択される任意のアミノ酸配列が含まれる。別の側面において、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドは、軽鎖CDR1、重鎖CDR1、軽鎖CDR2、重鎖CDR2、軽鎖CDR3、及び重鎖CDR3からなる群から選択される相補性決定領域(CDR)において少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む。
【0060】
一つの実施態様において、本発明には、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、軽鎖CDR1が配列番号61(RASENVYSYLA)のアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。本発明にはまた、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、軽鎖CDR1が配列番号62(RTSENVYSYLA)のアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。本発明にはさらに、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、重鎖CDR1が配列番号63(GYMNM)のアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。
【0061】
別の実施態様において、本発明には、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、軽鎖CDR2が配列番号64(FAKTLAE)のアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。本発明にはまた、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、重鎖CDR2が配列番号65(NIDPYYGGTTTYNRKFKG)のアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。
【0062】
さらなる実施態様において、本発明には、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、軽鎖CDR3が配列番号66(QHHSDNPWT)のアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。本発明にはさらに、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、重鎖CDR3が配列番号67(SVGPFDY)のアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。本発明にはさらに、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、重鎖CDR3が配列番号68(SVGPFDS)のアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。本発明にはまた、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、重鎖CDR3が配列番号69(SVGPMDY)のアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。
【0063】
別の側面において、本発明には、配列番号61、62、64、及び66からなる群から選択される軽鎖CDRアミノ酸配列の少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は少なくとも3つの配列を含む、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドが含まれる。さらに別の実施態様において、本発明には、配列番号61又は62の軽鎖CDR1アミノ酸配列、又は配列番号61若しくは62の1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体;配列番号64の軽鎖CDR2アミノ酸配列、又は配列番号64の1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体;及び配列番号66の軽鎖CDR3アミノ酸配列、又は配列番号66の1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体、を含むヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドが含まれる。
【0064】
さらに別の側面において、本発明には、配列番号63、65、及び67〜69からなる群から選択される重鎖CDRアミノ酸配列の少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は少なくとも3つの配列を含む、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドが含まれる。さらなる実施態様において、本発明には、配列番号63の重鎖CDR1アミノ酸配列、又は配列番号63の1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体;配列番号65の重鎖CDR2アミノ酸配列、又は配列番号65の1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体;及び配列番号67〜69からなる群から選択される重鎖CDR3アミノ酸配列、又は配列番号67〜69のいずれか一つの1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体、を含むヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドが含まれる。
【0065】
本発明にはまた、軽鎖FR1、重鎖FR1、軽鎖FR2、重鎖FR2、軽鎖FR3、重鎖FR3、軽鎖FR4、及び重鎖FR4からなる群から選択されるフレームワーク領域(FR)において少なくとも1つのアミノ酸修飾を含むヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドが含まれる。一つの実施態様において、本発明には、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、軽鎖の第一フレームワーク領域(FR1)が配列番号70(EIVLTQSPATLSLSPGERATLSC)のアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。別の実施態様において、本発明には、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、重鎖FR1が配列番号71(EVQLVQSGAEVKKPGESLKISCKGSGYSFT)のアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。さらに別の実施態様において、本発明には、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、軽鎖FR2が配列番号72(WYQQKPGQAPRLLIY)のアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。さらなる実施態様において、本発明には、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、重鎖FR2が配列番号73(WVRQMPGKGLEWMG)のアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。さらに別の実施態様において、本発明には、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、軽鎖FR3が配列番号74(GIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYC)のアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。さらに別の実施態様において、本発明には、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、重鎖FR3が配列番号75(QVTISADKSISTAYLQWSSLKASDTAMYYCAR)のアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。さらに別の実施態様において、本発明には、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、軽鎖FR4が配列番号76(FGQGTKVEIK)のアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。さらに別の実施態様において、本発明には、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、重鎖FR4が配列番号77(WGQGTLVTVSS)のアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。さらに別の実施態様において、本発明には、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチ
ドであって、重鎖FR4が配列番号78(WGRGTLVTVSS)のアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。
【0066】
本発明にはさらに、配列番号70、72、74、及び76からなる群から選択される軽鎖FRアミノ酸配列の少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は少なくとも3つの配列を含む、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドが含まれる。一つの実施態様において、本発明には、配列番号70の軽鎖FR1アミノ酸配列、又は配列番号70の1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体;配列番号72の軽鎖FR2アミノ酸配列、又は配列番号72の1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体;配列番号74の軽鎖FR3アミノ酸配列、又は配列番号74の1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体;及び配列番号76の軽鎖FR4アミノ酸配列、又は配列番号76の1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体、を含むヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドが含まれる。
【0067】
さらに、本発明には、配列番号71、73、75、77、及び78からなる群から選択される重鎖FRアミノ酸配列の少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は少なくとも3つの配列を含む、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドが含まれる。一つの実施態様において、本発明には、配列番号71の重鎖FR1アミノ酸配列、又は配列番号71の1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体;配列番号73の重鎖FR2アミノ酸配列、又は配列番号73の1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体;配列番号75の重鎖FR3アミノ酸配列、又は配列番号75の1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体;及び配列番号77若しくは78の重鎖FR4アミノ酸配列、又は配列番号77若しくは78の1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体、を含むヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドが含まれる。
【0068】
本発明にはまた、配列番号2に記載のポリペプチドと少なくとも80%の同一性を示すヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離核酸分子が含まれ、前記ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドはCD37と結合するものである。このような単離核酸分子には、配列番号5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、79、81、83、85、及び87からなる群から選択されるヌクレオチド配列が含まれてよい。一つの実施態様において、本発明には、これらの核酸分子を含むベクター、及び前記ベクターを含む宿主細胞が含まれる。
【0069】
本発明にはまた、本明細書に記載のポリペプチドの製造方法であって、適した条件下で宿主細胞を培養して前記ポリペプチドを発現させる工程を含み、かつ任意選択で前記培養物から前記ポリペプチドを単離する工程を含んでよい、ポリペプチド製造方法が含まれる。
【0070】
さらに別の側面において、本発明には、本発明のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド及び医薬として許容可能なキャリアを含む組成物が含まれる。
【0071】
本発明にはさらに、本発明の任意の方法における、本明細書に記載のCD37特異的SMIP又はCD37特異的結合分子の使用が含まれる。このような方法には、配列番号6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、80、82、84、86、及び88からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、任意のCD37特異的SMIP又はCD37特異的結合分子の使用が含まれる。
【0072】
さらに別の側面において、本発明には、本発明の組成物;及びB細胞を減少させるためのキットを使用するためのプロトコルを含むB細胞減少用キットが含まれる。このようなキットには、1つ又は複数のCD20特異的結合分子がさらに含まれてよい。本発明は、このようなCD20特異的結合分子がTRU−015であることを企図する。
【0073】
本発明にはまた、配列番号2に記載のポリペプチドと少なくとも80%の同一性を示し、CDR1、CDR2、及びCDR3を含む、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドが含まれる。このようなCD37特異的SMIPポリペプチドには、CDR1、CDR2、及びCDR3の各々を分離するヒトフレームワークドメインがさらに含まれてよい。
【0074】
別の側面において、本発明には、配列番号2に記載のポリペプチドと少なくとも80%の同一性を示すヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、前記ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドが、CD37と結合し、配列番号90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、115、116、118、120、122、124、126、及び127からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むヒンジ領域ポリペプチドを含む、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドが含まれる。
【0075】
本発明はまた、配列番号2に記載のポリペプチドと少なくとも80%の同一性を示すヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、前記ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドが、CD37と結合し、(Gly4Ser)n(nは、1、2、3、4、5、又は6である)を含むリンカーを含む、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドを企図する。
【0076】
さらにさらなる側面において、本発明には、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、軽鎖CDR1が、配列番号128(RTSQNVYSYLA)、129(RTSESVYSYLA)、130(RASQSVYSYLA)、131(RASQSVSSYLA)、及び132(RASQSVSYYLA)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。別の実施態様において、本発明には、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、重鎖CDR1が、配列番号133(SYMNM)及び134(SYWIG)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。さらなる実施態様において、本発明には、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、軽鎖CDR2が、配列番号135(AASSLQS)、136(GASTRAT)、及び137(DASNRAT)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。さらに別の実施態様において、本発明には、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、重鎖CDR2が、配列番号138(IIYPGDSDTRYSPSFQG)及び139(RIDPSDSYTNYSPSFQG)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。
【0077】
本発明にはまた、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、軽鎖CDR3が、配列番号220(QHHSDNPWT)のアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。別の実施態様において、本発明には、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、重鎖CDR3が、配列番号211(SVGPMDY)、212(SVGPFDY)、213(SVGPMDV)、214(SVGPFDS)、215(SVGPFDP)、216(SVGPFQH)、217(SVGPFDV)、218(SVGPFDI)、及び219(SVGPFDL)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。
【0078】
さらにさらなる実施態様において、本発明には、代替フレームワーク領域を有するCD37特異的SMIPポリペプチドが含まれる。一つの側面において、本発明には、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、軽鎖FR1が、配列番号170〜181からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。別の側面において、本発明には、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、重鎖FR1が、配列番号140〜146からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。さらにさらなる側面において、本発明には、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、軽鎖FR2が、配列番号182〜193からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。さらに別の側面において、本発明には、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、重鎖FR2が、配列番号147〜153からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。さらなる側面において、本発明には、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、軽鎖FR3が、配列番号194〜205からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。さらに別の側面において、本発明には、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、重鎖FR3が、配列番号154〜160からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。さらなる側面において、本発明には、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、軽鎖FR4が、配列番号206〜210からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。さらに別の側面において、本発明には、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、重鎖FR4が、配列番号161〜169からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、ポリペプチドが含まれる。
【0079】
本発明において有用なCD37特異的SMIPの例には、これに限定されないが、以下が含まれる:G28−1 scFv(SSS−S)H WCH2 WCH3であって、これは、結合部又はヒンジ領域における3つのシステイン残基の全てが、セリン残基に変異しているG28−1一本鎖Fv、並びに野生型CH2及びCH3ドメインからなる;IgAヒンジ及びWT IgG1ドメインを含む、G28−1 scFv IgAH WCH2 WCH3;G28−1 scFv VHL11S(SSS−S)H WCH2 CH3であって、これは、結合部又はヒンジ領域における3つのシステイン残基の全てが、セリン残基に変異しており、重鎖可変領域の11位のロイシンが、セリンに置換されている;G28−1 scFv VH L11S(CSS−S)H WCH2 CH3であって、これは、システイン残基が、2位及び3位でセリンに置換されていた;G28−1 scFv VHL11S(CSC−S)H WCH2 CH3であって、これは、システイン残基が2位でセリンに置換されていた;G28−1 scFv VH11S(SSC−P)H WCH2 CH3(本明細書ではTRU−016と称す)であって、これは、結合部又はヒンジ領域における第一及び第二のシステイン残基がセリン残基に変異しており、重鎖可変領域の11位のロイシンが、セリンに置換されている;G28−1 scFv VH11S(SCS−S)H WCH2 WCH3であって、これは、ヒンジ領域における第一及び第三のシステイン残基がセリン残基に変異している;G28−1 scFv VHL11S(CCS−P)H WCH2 WCH3であって、これは、ヒンジ領域における第三のシステイン残基がセリンに置換されている;G28−1 scFv VHL11S(SCC−P)H WCH2 WCH3であって、これは、第一のシステインがセリンに置換されている;マウスIgE CH2〜4領域を含む、G28−1 scFv VHL11S mIgE CH2 CH3 CH4であって、これは、重鎖可変領域の11位のロイシンがセリンに置換されている;野生型IgA CH2と、4つのカルボキシアミノ酸GTCYを欠失した切断IgA CH3ドメインとを有するマウスIgAヒンジを含む、G28−1 scFv VHL11S mIgA WIgACH2 T4CH3;IgE CH領域を含む、G28−1 scFv VHL11S hIgE CH2 CH3 CH4であって、これは、重鎖可変領域の11位のロイシンがセリンに置換されている;並びに、IgAヒンジ、野生型IgA CH2、及び切断IgA CH2及び切断IgA CH3ドメインであって4つのカルボキシアミノ酸GTCYを欠失したものを含む、G28−1 scFv VHL11S hIgAH WIgACH2 TCH3。
【0080】
本発明に有用なCD20特異的SMIPの例には、米国特許出願公開第2003/133939号及び同第2003/0118592号に記載の、抗CD20モノクローナル抗体2H7に由来するSMIPが含まれる。SMIPには、2H7 scFv−Ig又はその誘導体が含まれる。誘導体には、以下が含まれる:CytoxB−MHWTG1Cであって、これは、ヒトIgG1 Fcドメイン及び変異IgG1ヒンジドメインを有する;CytoxB−MHMG1Cであって、これは変異Fcドメインを含む;MG1H/MG1Cであって、これは、残基234の変異ロイシンを有するFcレセプターを含む;CytoxB−IgAHWTHG1Aであって、これは、野生型ヒトFcドメインと融合したヒトIgAヒンジの一部を含む;ラマIgG1ヒンジ及びCH2CH3領域を含む、2H7 scFv−llama IgG1;ラマIgG2ヒンジ及びCH2CH3領域を含む2H7 scFv−llama IgG2;ラマIgG3ヒンジ及びCH2CH3領域を含む、2H7 scFv−llama IgG3。
【0081】
2H7 scFv MTH(SSS)WTCH2CH3であって、これは、結合部又はヒンジ領域における3つのシステイン残基の全てがセリン残基に変異しており、野生型CH2及びCH3ドメインを有する;2H7 scFv MTH(SSC)であって、これは、初めの2つのシステイン残基がセリン残基に置換されていた;2H7 scFv MTH(SCS)であって、これは、第一及び第三のシステインがセリン残基に置換されていた;2H7 scFv MTH(CSS)WTCH2CH3であって、これは、システイン残基が、2位及び3位でセリンに置換されていた;2H7 scFv VH11SER IgG MTH(SSS)WTCH2CH3であって、これは、重鎖可変領域の11位のロイシンがセリンに置換されている;IgAヒンジ領域及びWT IgG1ドメインを含む、2H7 scFv IgA hinge−IgG1 CH2−CH3;IgAヒンジ、野生型IgA CH2、及び4つのカルボキシアミノ酸GTCYを欠失している切断IgA CH3ドメインを含む、2H7 IgAWH IgACH2−T4CH3。
【0082】
IgG CH3領域に変異を有する誘導体には、以下が含まれる:2H7 scFv MTH WTCH2 MTCH3 Y405であって、これは、405位(Kabat et al.(上記参照)に従った番号付け)のフェニルアラニン残基がチロンシンに置換されていた;2H7 scFv MTH WTCH2 MTCH3 A405であって、これは、405位のフェニルアラニンがアラニンに置換されていた;scFv MTH WTCH2 MTCH3 A407であって、これは、407位のチロシン残基がアラニンに置換されていた;2つの変異を含む、scFv MTH WTCH2 MTCH3 Y405A407;並びに、2つの変異を含む、scFv MTH WTCH2 MTCH3 A405A407。
【0083】
2H7 scFv MTH(CCS)WTCH2CH3は、IgG1ヒンジ領域における第三のシステイン残基がセリン残基に置換されている構築物である。2H7 scFv IgG MTH(SSS)MTCH2WTCH3 SMIPには、変異ヒンジ(MT(SSS))及び変異CH2ドメインが含まれ、これは、残基238(Ward et al.,に従う)のプロリンがセリンに置換されていた。
【0084】
2H7 scFv−Ig誘導体にはまた、重鎖可変領域において点突然変異を有する2H7 scFv変異体も含まれる。以下の構築物は全て、重鎖可変領域における11位のロイシンがセリンに置換されている突然変異を含む:上記のとおりの変異ヒンジ領域を含む、2H7 scFv VH11SER IgG MTH(SSS−S)WTCH2CH3、2H7 scFv VHL11S(CSS−S)H WCH2 WCH3;上記のとおりの変異ヒンジ領域を含む、2H7 scFv VHL11S(CSC−S)H WCH2 WCH3;IgAヒンジ、WT IgA CH2、及び切断IgA CH3を含む、2H7 scFv VHL11S IgAH IgACH2 T4CH3;IgE CH2〜4領域を含む、2H7 scFv VHL11S IgECH2 CH3 CH4;変異ヒンジ領域並びにIgE CH3及びCH4領域を含む、2H7 VHL11S scFv(SSS−S)IgECH3CH4;マウスIgE領域を含む、2H7 scFv VHL11S mIgE CH2 CH3 CH4;上記の変異、並びに野生型CH2領域及び変異CH3領域からなるマウスIgA定常領域を含む、2H7 scFv VHL11S mIgAH WIGACH2 T4CH3;残基322でのヒトIgG1 CH2領域における突然変異を含む、2H7 scFv VHL11S(SSS−S)H K322S CH2 WCH3であって、これは、リシンがセリンに変化していた;上記のとおりの変異ヒンジ領域、及び先に記載したとおりの変異CH2領域を含む、2H7 scFv VHL11S(CSS−S)H K322S CH2 WCH3;上記のとおりの変異ヒンジ領域、及び変異CH2領域を含む、2H7 scFv VHL11S(SSS−S)H P331S CH2 WCH3であって、これは、残基331のプロリンがセリンに変化していた;変異ヒンジ領域、及びCH2領域における残基331でのプロリンからセリンへの突然変異を含む、2H7 scFv VHL11S(CSS−S)H P331S CH2 WCH3;変異ヒンジ領域、及びCH2領域における残基256でのトレオニンからアスパラギンへの突然変異を含む、2H7 scFv VHL11S(SSS−S)H T256N CH2 WCH3;変異ヒンジ領域、及び一連の突然変異を含む、2H7 scFv VHL11S(SSS−S)H RTPE/QNAK(255〜258) CH2 WCH3であって、これは、残基255〜258が、アルギニン、トレオニン、プロリン、グルタミン酸から、それぞれ、グルタミン、アスパラギン、アラニン、及びリシンに変異している;変異ヒンジ領域、及び290位でのリシンのグルタミンへの変化を含む、2H7 scFv VHL11S(SSS−S)H K290Q CH2 WCH3;変異ヒンジ領域、及び339位でのアラニンのプロリンへの変化を含む、2H7 scFv VHL11S(SSS−S)H A339P CH2 WCH3;変異ヒンジ領域、及びCH2における238位でのプロリンのセリンへの変化を含む、SMIP 2H7 scFv (SSS−S)H P238S CH2 WCH3であって、これは、2H7 scFv IgG MTH(SSS)MTCH2WTCH3と同一である。2H7 scFv IgAH IGAHCH2 T18CH3は、野生型IgAヒンジ及びCH2領域、並びにカルボキシ端において18個のアミノ酸切断を有するCH3領域を含む。
【0085】
本発明の結合分子には、結合分子活性を高める、別のタンパク質由来の天然又は改変細胞外ドメインがふくまれてよい。一つの実施態様において、細胞外ドメインは、CD154及びCTLA4からなる群から選択される。
【0086】
CD37特異的結合分子とCD20特異的結合分子との「相乗的な組み合わせ」とは、単独で投与された場合の結合分子の効果の合計よりも高い効果を有する組み合わせである。
【0087】
本発明の一つの側面において、結合分子は、1つ又は複数の医薬組成物で投与される。結合分子をヒト又は試験動物に投与するために、1つ又複数の医薬として許容可能なキャリアを含む組成物中に結合分子を製剤化することが好ましい。「医薬として又は薬理学的に許容可能」とは、以下に記載するとおりの、当分野で周知の経路を用いて投与された場合に、アレルギー又は他の副作用を生じない、分子化合物(molecular entity)及び組成物を意味する。「医薬として許容可能なキャリア」には、任意及び全ての臨床的に有用な溶媒、分散媒、コーティング、抗菌及び抗真菌剤、等張及び吸収遅延剤などが含まれる。
【0088】
さらに、化合物は、水又は一般的な有機溶媒で溶媒和物を形成してよい。このような溶媒和物も同様に企図される。
【0089】
結合分子組成物は、経口的に、局所的に、経皮的に、非経口的に、吸入スプレーにより、経膣的に、経直腸的に、又は頭蓋内注入により投与されてよい。本明細書で使用する「非経口」という用語には、皮下注射、静脈、筋肉、嚢内への注射又は注入技術が含まれる。静脈内、皮内、筋肉内、乳房内、腹腔内、髄腔内、球後、肺内注射、及び/又は特定の部位での外科的移植(implantation)による投与も同様に企図される。一般に、組成物は、発熱物質、並びに受容個体にとって有害であり得る他の不純物を本質的に含まない。注射、特に静脈内注射が好ましい。
【0090】
本発明の方法で用いられる結合分子を含む本発明の医薬組成物には、投与経路に応じて、医薬として許容可能なキャリア又は添加物質が含まれてよい。このようなキャリア又は添加物質の例には、水、医薬として許容可能な有機溶媒、コラーゲン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、水溶性デキストラン、カルボキシメチルスターチナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、エチルセルロース、キサンタンガム、アラビアガム、カゼイン、ゼラチン、寒天、ジグリセリン、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ワセリン、パラフィン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ヒト血清アルブミン(HSA)、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、医薬として許容可能な界面活性剤などが含まれる。使用される添加物質は、これに限定されないが、本発明の投与形態に応じて、適切に、上記のもの又はその組み合わせから選択される。
【0091】
医薬組成物の製剤化は、選択される投与経路に従って変化するだろう(例えば、溶液、エマルション)。投与されるべき抗体を含む適切な組成物は、薬理学的に許容可能なビヒクル又はキャリア中に調製されてよい。溶液又はエマルションのために、適したキャリアには、例えば、食塩水又は緩衝媒体(buffered media)を含む、水性又はアルコール性/水性の溶液、エマルション、又は懸濁液が含まれる。非経口ビヒクルには、塩化ナトリウム溶液、リンガーデキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、乳酸加リンガー液、又は不揮発性油が含まれ得る。静脈内のビヒクルには、様々な添加物質、保存料、又は流動性の栄養若しくは電解質補充液が含まれ得る。
【0092】
様々な水性キャリア、例えば、水、緩衝水、0.4%食塩水、0.3%グリシン、又は水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適した賦形剤と混合して活性化合物を含んでよい。このような賦形剤は、懸濁剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガム、及びアカシアガムであり;分散又は湿潤剤は、天然由来のリン脂質、例えば、レシチン、又は脂肪酸とアルキレンオキシドの縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンステアラート、又は長鎖脂肪族アルコールとエチレンオキシドの縮合生成物、例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール、又は脂肪酸とヘキシトールに由来する部分エステルとエチレンオキシドの縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、又は脂肪酸と無水ヘキシトールに由来する部分エステルとエチレンオキシドの縮合生成物、例えば、ポリエチレンソルビタンモノオレエートであってよい。水性懸濁液にはまた、1つ又は複数の保存料、例えば、エチル、又はn−プロピル、p−ヒドロキシベンゾエートが含まれてよい。
【0093】
結合分子組成物は、貯蔵のために凍結乾燥され、使用前に適したキャリア中で再構成され得る。この技術は、従来の免疫グロブリンで有効であることが示されている。任意の適した凍結乾燥及び再構成技術を用いてよい。凍結乾燥及び再構成は様々な程度の抗体活性喪失を導き得ること、及び使用レベルを調整して補正しなければならないかもしれないことが当業者には明らかであるだろう。
【0094】
水を添加することにより水性懸濁液を調製することに適した分散性粉末及び顆粒は、分散又は湿潤剤、懸濁剤、及び1つ又は複数の保存料と混合して活性化合物を提供する。適した分散又は湿潤剤、及び懸濁剤は、先に既に挙げたものにより例証される。
【0095】
これらの製剤中の結合分子濃度は広範に変化し得、例えば、約0.5重量%未満から、通常は約1重量%で又は少なくとも約1重量%から、15又は20重量%と同程度まで変化し得、選択される特定の投与方法に従って、主に液量、粘性などに基づいて選択されるだろう。従って、非経口注射のための典型的な医薬組成物は、1 mLの滅菌緩衝水及び50 mgの抗体を含むように作製され得る。静脈内注入のための典型的な組成物は、250 mLの滅菌リンガー溶液及び150 mgの抗体を含むように作製され得る。非経口的に投与可能な組成物の実際の調製方法は、当業者に公知であるか、又は明らかであるだろうし、より詳細には、例えば、Remington's Pharmaceutical Science, 15th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa.(1980)に記載されている。抗体の有効用量は、投与当たり、体重1 kg当たり、0.01 mg〜1000 mgの範囲内である。
【0096】
医薬組成物は、滅菌した注射可能な水性、油性の懸濁液、ディスパージョン、又は滅菌した注射可能な溶液若しくはディスパージョンを即時調製するための滅菌粉末の形態であってよい。懸濁液は、先に挙げた、適した分散又は湿潤剤、及び懸濁剤を用いて、公知の技術に従って製剤化されてよい。滅菌した注射可能な調製物はまた、非毒性の非経口的に許容可能な希釈剤又は溶媒中の滅菌した注射可能な溶液又は懸濁液、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液であってもよい。キャリアは、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)、適したその混合物、植物油、リンガー溶液、及び生理食塩水を含む、溶媒又は分散媒であり得る。さらに、滅菌した不揮発性油は、溶媒又は懸濁媒体として通常使用される。この目的のために、合成モノ−又はジグリセリドを含む、任意の無刺激(bland)不揮発性油を用いてよい。さらに、オレイン酸などの脂肪酸が、注射可能な調製物で用いられる。
【0097】
全ての場合において、形態は滅菌でなければならず、容易にシリンジできる程度まで流動的でなければならない。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングを使用することにより、ディスパージョンの場合には所要の粒径を維持することにより、及び界面活性剤を使用することにより、維持され得る。これは、製造及び貯蔵条件下で安定でなければならず、バクテリアや真菌などの微生物の汚染作用に対抗して貯蔵されなければならない。微生物作用の予防は、様々な抗菌及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによってもたらされ得る。多くの場合、等張剤、例えば、糖又は塩化ナトリウムを含めることが所望されるだろう。注射可能な組成物の持続的吸収は、組成物中、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを使用することによりもたらされ得る。
【0098】
投与に有用な組成物を摂取又は吸収促進剤とともに製剤化して、それらの有効性を高めてよい。このような促進剤には、例えば、サリチレート、グリココレート/リノレアート、グリコレート、アプロチニン、バシトラシン、SDS、カプレートなどが含まれる。例えば、Fix(J. Pharm. Sci., 85:1282−1285, 1996)及びOliyai and Stella(Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol., 32 :521−544, 1993)を参照されたい。
【0099】
さらに、本発明での使用が企図される組成物の親水性及び疎水性特性は、均衡が取れており、それにより、in vitro及び特にin vivoでの使用の両方についてその有用性を高めるが、他方、このようなバランスを欠いた他の組成物は、実質的にほとんど有用性のないものである。詳細には、本発明での使用が企図される組成物は、体内での吸収及びバイオアベイラビリティを可能にする、水性媒体中での適切な溶解度を有し、その一方で、推定上の作用部位へと化合物が細胞膜を横断することを可能にする、脂質中での溶解度も有する。従って、企図される抗体組成物は、それらが標的抗原活性部位へとデリバリーされ得る場合に、最大限に有効である。
【0100】
一つの側面において、本発明の方法は、結合分子組成物を投与する工程を含む。
【0101】
本発明の方法は、治療物質を直接的又は間接的に哺乳動物個体へと導入するための任意の医学上許容可能な手段を用いて実施され、この手段には、これに限定されないが、注射、経口摂取、経鼻、局所、経皮、非経口、吸入スプレー、膣内、又は直腸投与が含まれる。本明細書で使用される「非経口」という用語には、皮下、静脈、筋肉、及び嚢内への注射並びにカテーテル又は注入技術が含まれる。皮内、乳房内、腹腔内、髄腔内、球後、肺内注射、及び/又は特定の部位での外科的移植による投与も同様に企図される。
【0102】
一つの実施態様において、投与は、部位への直接注射によるか、又は持続性デリバリー若しくは持続放出メカニズム(製剤を内部的にデリバリーできる)を介して、治療を必要とするガン又は罹患組織の部位で実施される。例えば、組成物(例えば、可溶性ポリペプチド、抗体、又は低分子)の持続性デリバリーを可能にする、生分解性ミクロスフェア若しくはカプセル又は他の生分解性ポリマー構造が、ガンの近くに移植される本発明の組成物中に含まれ得る。
【0103】
治療組成物はまた、複数の部位で患者にデリバリーされてもよい。複数回投与は、同時に与えられるか、又はある期間にわたって投与されてよい。特定の場合、治療組成物の連続流を提供することが有益である。さらなる治療を定期的に、例えば、毎時、毎日、毎週、又は毎月、実施してよい。
【0104】
本発明の結合分子組成物は、1つ又は2つ以上の結合分子を含んでよい。第二の薬剤と併用して結合分子組成物を投与することも本発明により企図される。本発明により企図される第二の薬剤を以下の段落に列挙する。
【0105】
第二の薬剤は、B細胞関連分子であってよい。本発明により企図される他のB細胞関連分子には、CD37又はCD20ではないB細胞表面分子と結合する結合分子が含まれる。B細胞関連分子には、これに限定されないが、以下が含まれる:CD19(Bリンパ球抗原CD19、Bリンパ球表面抗原B4、又はLeu−12とも称される)、CD21、CD22(B細胞レセプターCD22、Leu−14、Bリンパ球細胞接着分子、又はBL−CAMとも称される)、CD23、CD40(B細胞表面抗原CD40、腫瘍壊死因子レセプタースーパーファミリーメンバー5、CD40Lレセプター、又はBp50とも称される)、CD80(Tリンパ球活性化抗原CD80、活性化B7−1抗原、B7、B7−1、又はBB1とも称される)、CD86(Tリンパ球活性化抗原CD86、活性化B7−2抗原、B70、FUN−1、又はBU63とも称される)、CD137(腫瘍壊死因子レセプタースーパーファミリーメンバー9とも称される)、CD152(細胞障害性Tリンパ球タンパク質4又はCTLA−4とも称される)、L6(腫瘍関連抗原L6、トランスメンブレン4スーパーファミリーメンバー1、膜成分表面マーカー1、又はM3S1とも称される)、CD30(リンパ球活性化抗原CD30、腫瘍壊死因子レセプタースーパーファミリーメンバー8、CD30Lレセプター、又はKi−1とも称される)、CD50(細胞内接着分子−3(ICAM3)、又はICAM−Rとも称される)、CD54(細胞内接着分子−1(ICAM1)、又はメジャーグループライノウイルスレセプターとも称される)、B7−H1(活性T細胞、B細胞、及び骨髄性細胞により発現される免疫阻害レセプターに対するリガンド、PD−L1とも称される;Dong et al.,「B7−H1, a third member of the B7 family, co−stimulates T−cell proliferation and interleukin−10 secretion」, Nat. Med., 5:1365−1369(1999)を参照されたい)、CD134(腫瘍壊死因子レセプタースーパーファミリーメンバー4、OX40、OX40Lレセプター、ACT35抗原、又はTAX−転写活性化糖タンパク質1レセプターとも称される)、41BB(4−1BBリガンドレセプター、T細胞抗原4−1BB、又はT細胞抗原ILA)、CD153(腫瘍壊死因子リガンドスーパーファミリーメンバー8、CD30リガンド、又はCD30−Lとも称される)、CD154(腫瘍壊死因子リガンドスーパーファミリーメンバー5、TNF関連活性化タンパク質、TRAP、又はT細胞抗原Gp39とも称される)、及びTollレセプター。構築標的及び/又は標的抗原の上記列挙は単に例示であり、全てではない。
【0106】
サイトカイン及び増殖因子は、本発明により企図される第二の薬剤であり、これに限定されないが、TNF、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−14、IL−15、IL−16、IL−17、IL−18、IFN、G−CSF、Meg−CSF、GM−CSF、トロンボポエチン、幹細胞因子、及びエリスロポエチンの1つ又は複数が含まれる。本発明の医薬組成物にはまた、他の公知のアンジオポエチン、例えば、Ang−1、Ang−2、Ang−4、Ang−Y、及び/又はヒトアンジオポエチン様ポリペプチド、及び/又は血管内皮増殖因子(VEGF)が含まれる。本発明の医薬組成物で使用するための増殖因子には以下が含まれる:アンジオジェニン、骨形態形成タンパク質−1、骨形態形成タンパク質−2、骨形態形成タンパク質−3、骨形態形成タンパク質−4、骨形態形成タンパク質−5、骨形態形成タンパク質−6、骨形態形成タンパク質−7、骨形態形成タンパク質−8、骨形態形成タンパク質−9、骨形態形成タンパク質−10、骨形態形成タンパク質−11、骨形態形成タンパク質−12、骨形態形成タンパク質−13、骨形態形成タンパク質−14、骨形態形成タンパク質−15、骨形態形成タンパク質レセプターIA、骨形態形成タンパク質レセプターIB、脳由来神経栄養因子、毛様体神経栄養因子、毛様体神経栄養因子レセプターα、サイトカイン誘導性の好中球走化因子1、サイトカイン誘導性の好中球走化因子2α、サイトカイン誘導性の好中球走化因子2β、β内皮細胞成長因子、エンドセリン1、上皮成長因子、上皮由来の好中球誘引物質、線維芽細胞増殖因子4、線維芽細胞増殖因子5、線維芽細胞増殖因子6、線維芽細胞増殖因子7、線維芽細胞増殖因子8、線維芽細胞増殖因子8b、線維芽細胞増殖因子8c、線維芽細胞増殖因子9、線維芽細胞増殖因子10、酸性線維芽細胞増殖因子、塩基性線維芽細胞増殖因子、グリア細胞株由来神経栄養因子レセプターα1、グリア細胞株由来神経栄養因子レセプターα2、増殖関連タンパク質、増殖関連タンパク質α、増殖関連タンパク質β、増殖関連タンパク質γ、ヘパリン結合性上皮成長因子、肝細胞増殖因子、肝細胞増殖因子レセプター、インスリン様成長因子I、インスリン様成長因子レセプター、インスリン様成長因子II、インスリン様成長因子結合タンパク質、ケラチノサイト成長因子、白血病抑制因子、白血病抑制因子レセプターα、神経成長因子、神経成長因子レセプター、ニューロトロフィン−3、ニューロトロフィン−4、胎盤成長因子、胎盤成長因子2、胎盤由来内皮細胞成長因子、血小板由来増殖因子、血小板由来増殖因子A鎖、血小板由来増殖因子AA、血小板由来増殖因子AB、血小板由来増殖因子B鎖、血小板由来増殖因子BB、血小板由来増殖因子レセプターα、血小板由来増殖因子レセプターβ、プレ−B細胞増殖刺激因子、幹細胞因子、幹細胞因子レセプター、形質転換成長因子α、形質転換成長因子β、形質転換成長因子β1、形質転換成長因子β1.2、形質転換成長因子β2、形質転換成長因子β3、形質転換成長因子β5、潜在的な形質転換成長因子β1、形質転換成長因子β結合タンパク質I、形質転換成長因子β結合タンパク質II、形質転換成長因子β結合タンパク質III、腫瘍壊死因子レセプターI型、腫瘍壊死因子レセプターII型、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子レセプター、血管内皮細胞増殖因子、及びキメラタンパク質並びに生物学的又は免疫学的に活性なそのフラグメント。
【0107】
第二の薬剤として企図される化学療法剤の例には、これに限定されないが、以下が含まれる:アルキル化剤、例えば、ナイトロジェンマスタード(例えば、メクロレタミン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、及びクロラムブシル);ニトロソウレア(例えば、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、及びセムスチン(メチル−CCNU));エチレンイミン及びメチル−メラミン(例えば、トリエチレンメラミン(TEM)、トリエチレンチオホスホルアミド(チオテパ)、及びヘキサメチルメラミン(HMM、アルトレタミン));スルホン酸アルキル(例えば、ブスルファン);並びにトリアジン(例えば、ダカルバジン(DTIC));代謝拮抗物質、例えば、葉酸類似体(例えば、メトトレキサート、トリメトレキサート、及びペメトレキセド(複数標的化抗葉酸剤));ピリミジン類似体(例えば、5−フルオロウラシル(5−FU)、フルオロデオキシウリジン、ゲムシタビン、シトシンアラビノシド(AraC、シタラビン)、5−アザシチジン、及び2,2’−ジフルオロデオキシシチジン);並びにプリン類似体(例えば、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、アザチオプリン、2’−デオキシコホルマイシン(ペントスタチン)、エリスロヒドロキシノニルアデニン(EHNA)、リン酸フルダラビン、2−クロロデオキシアデノシン(クラドリビン、2−CdA));I型トポイソメラーゼ阻害剤、例えば、カンプトテシン(CPT)、トポテカン、及びイリノテカン;天然産物、例えば、エピポドフィロトキシン(例えば、エトポシド及びテニポシド);並びにビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、及びビノレルビン);抗腫瘍抗生物質、例えば、アクチノマイシンD、ドキソルビシン、及びブレオマイシン;放射線増感剤、例えば、5−ブロモデオキシウリジン、5−ヨードデオキシウリジン、及びブロモデオキシシチジン;白金配位錯体、例えば、シスプラチン、カルボプラチン、及びオキサリプラチン;置換尿素、例えば、ヒドロキシウレア;並びにメチルヒドラジン誘導体、例えば、N−メチルヒドラジン(MIH)及びプロカルバジン。
【0108】
また、化学療法剤、放射線療法剤、並びに他の活性及び補助的薬剤の非限定的な例を表1にも示す。
【0109】
【表1A】
【表1B】
【表1C】
【0110】
自己免疫疾患を治療するために本発明により企図される第二の薬剤は、免疫抑制剤と称され、これは、治療されるべき個体の免疫系を抑制又は隠すために作用する。免疫抑制剤には、例えば、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、鎮痛剤、グルココルチコイド、関節炎を治療するための疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)、又は生物反応修飾物質が含まれる。DMARD種類における組成物はまた、RAだけでなく他の多くの自己免疫疾患の治療にも有用である。
【0111】
例となるNSAIDは、イブプロフェン、ナプロキセン、ナプロキセンナトリウム、Cox−2阻害剤、例えば、ビオックス及びセレブレックス、並びにシアリレートからなる群から選択される。例となる鎮痛剤は、アセトアミノフェン、オキシコドン、塩酸プロポキシフェンのトラマドールからなる群から選択される。例となるグルココルチコイドは、コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、又はプレドニゾンからなる群から選択される。例となる生物反応修飾物質には、これに限定されないが、細胞表面マーカー(例えば、CD4、CD5など)に対する分子、サイトカイン阻害剤、例えば、TNFアンタゴニスト(例えば、エタネルセプト(エンブレル)、アダリムマブ(ヒューミラ)、及びインフリキシマブ(レミケード))、ケモカイン阻害剤、及び接着分子阻害剤が含まれる。生物反応修飾物質には、モノクローナル抗体及び分子の組み換え形態が含まれる。例となるDMARDには、これに限定されないが、アザチオプリン、シクロホスファミド、シクロスポリン、メトトレキサート、ペニシラミン、レフルノミド、スルファサラジン、ヒドロキシクロロキン、金[経口(オーラノフィン)及び筋内]、並びにミノサイクリンが含まれる。
【0112】
結合分子組成物及び第二の薬剤は、同一製剤中で同時に与えられてよいことが企図される。別法として、薬剤は分離した製剤ではあるが並行して投与され、薬剤に関して、互いに30分以内に並行して与えられる。
【0113】
別の側面において、第二の薬剤は、結合分子組成物の投与前に投与される。前投与は、抗体での治療の1週間前以内であって、抗体投与の最大30分前までに第二の薬剤を投与することを意味する。第二の薬剤が、結合分子組成物の投与後に投与されることもさらに企図される。後の投与は、抗体治療30分後から、抗体投与後最大で1週間までに投与することを意味する。
【0114】
結合分子が第二の薬剤と組み合わせて投与される場合であって、前記第二の薬剤がサイトカイン若しくは増殖因子、又は化学療法剤である場合には、投与にはまた、放射線療法剤又は放射線療法の使用が含まれてよいことがさらに企図される。抗体組成物と組み合わせて投与される放射線療法は、治療医師により決定されるとおりであって、典型的にはガンを治療すべき患者に与えられる用量で投与される。
【0115】
投与量中の結合分子量は、治療が実施される個体サイズ、及び治療されるべき疾患の特徴に従って変化するだろう。例となる治療において、約1 mg/日、約5 mg/日、約10 mg/日、約20 mg/日、約50 mg/日、約75 mg/日、約100 mg/日、約150 mg/日、約200 mg/日、約250 mg/日、約500 mg/日、又は約1000 mg/日を投与する必要があり得る。用量はまた、患者の体重に基づいて、約0.01〜約50 mg/kgの用量で投与されてよい。関連する実施態様において、結合分子は、約0.015〜約30 mg/kgの用量範囲で投与されてよい。さらなる実施態様において、結合分子は、約0.015、約0.05、約0.15、約0.5、約1.5、約5、約15、又は約30 mg/kgの用量で投与される。
【0116】
これらの組成物は、単一用量又は複数回用量で投与されてよい。第一に動物モデルで、その後臨床試験で行われる標準用量反応研究は、特定の疾患状態及び患者集団についての最適用量を明らかにする。
【0117】
結合分子組成物の投与は、単一用量の治療後に、B細胞集団を少なくとも20%減少させる。一つの実施態様において、B細胞集団は、少なくとも約20、約30、約40、約50、約60、約70、約80、約90、又は約100%減少する。B細胞の減少は、正常範囲の下限未満のB細胞絶対数の減少として定義される。B細胞の回復は、以下のいずれかのB細胞絶対数の回復として定義される:対象のベースライン値の70%又は正常範囲。
【0118】
CD20特異的結合分子の投与はまた、特定のB細胞サブセットにおけるアポトーシスの増加をもたらす。アポトーシスは、細胞のプログラム細胞死の誘導を意味し、DNA断片化、細胞収縮、細胞断片化、膜小胞の形成、又はアネキシンV染色により評価されるとおりの膜脂質組成の変化により明らかにされ評価される。
【0119】
さらに、本発明の結合分子組成物の投与は、治療されるべき病気又は疾患において、所望の臨床効果をもたらす。例えば、関節リウマチに罹患した患者において、一つの側面では、投与は、臨床的に有意な量により患者の状態を改善し[例えば、米国リウマチ学会予備改善検出(Preliminary Detection of Improvement)(ACR20)を達成する]、並びに/又は圧痛及び腫脹関節の20%の改善及び5の残りのACR測定のうち3つで20%の改善を示す(Felson et al., Arthritis Rheum. 1995, 38:727−35)。CD37特異的及びCD20特異的結合分子の投与後、RA患者における改善のための生物学的測定には、タンパク質又はRNAレベルを介して測定する、サイトカインレベルの変化の測定が含まれる。対象となるサイトカイン(cytokines of interest)には、これに限定されないが、TNF−α、IL−1、インターフェロン、Blys、及びAPRILが含まれる。サイトカイン変化は、減少したB細胞数、又は減少した活性T細胞に起因し得る。RA患者において、骨代謝(骨吸収及び骨侵食)と関連するマーカーを、CD20特異的結合分子の投与の前後に測定する。関連マーカーには、これに限定されないが、アルカリホスファターゼ、オステオカルシン、コラーゲン分解フラグメント、ヒドロキシプロリン、酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ、及びRANKリガンド(RANKL)が含まれる。RA改善と関連する他の読み取りには、C反応性タンパク質(CRP)レベル、赤血球沈降速度(ESR)、リウマチ因子、CCP(環状シトルリン化ペプチド)抗体の測定、並びにフローサイトメトリーを介した全身のB細胞レベル及びリンパ球数の評価が含まれる。特異的因子はまた、RA患者の滑膜から測定され得、これには、滑膜生検から滑膜におけるB細胞レベルを評価すること、RANKL及び他の骨因子及びサイトカイン(先に記載したもの)のレベルを評価することが含まれる。
【0120】
関連する側面において、他の病気に対する組み合わせ投与の効果は、当分野で公知の基準に従って測定される。例えば、本発明に従って治療されるクローン病患者は、約50〜約70単位(unit)の範囲でクローン病活動指数(CDAI)における改善を達成することが企図され、ここで、寛解は150単位である(Simonis et al., Scand. J Gastroent. 1998, 33:283−8)。150又は200のスコアは正常であると考えられるが、450のスコアは重症スコアと考えられる。CD37特異的及びCD20特異的結合分子の投与により、炎症性大腸炎に罹患した個体において、核周辺型抗好中球抗体(pANCA)、及び抗Saccharomyces cerevisiae抗体(ASCA)の減少がもたらされることがさらに所望される。
【0121】
本発明に従って治療される成人及び若年性の筋炎患者が、コアセット評価に置いて改善を達成すること、例えば、測定した6つのコアセットのうち3つがおよそ20%改善し、およそ25%悪化するコア測定が最高2つまでであることがさらに企図される(Rider et al., Arthritis Rheum. 2004, 50:2281−90を参照されたい)。
【0122】
本発明に従って治療されるSLE患者が、全身性ループス活動指標(SLAM)又はSLE疾患活動性指標(SLEDAI)スコアの少なくとも1ポイントの改善を達成することがさらに企図される(Gladman et al., J Rheumatol 1994, 21:1468−71)(Tan et al., Arthritis Rheum. 1982, 25:1271−7)。>5のSLAMスコア、又は>2のSLEDAIスコアは、臨床的に活動性の疾患であると考えられる。治療に対する反応は、2つの疾患活動性指標(SLE疾患活動性指標[SLEDAI]及び全身性ループス活動指標)及び2つのライフクオリティ測定(患者の全体的評価及びKrupp疲労重症度スケール(Krupp Fatigue Severity Scale))にわたる改善又は安定化として定義されてよい(Petri et al., Arthritis Rheum. 2004, 50:2858−68)。SLE患者に結合分子を投与することにより、抗二本鎖DNA抗体の減少がもたらされることがさらに企図される。別法として、改善は、イギリス諸島ループス評価グループ基準(British Isles Lupus Assessment Group Criteria:BILAG)を用いて測定されてよい。
【0123】
本発明に従って治療される多発性硬化症患者が、Kurtzke総合障害度評価尺度(EDSS)(Kurtzke, F., Neurology 1983, 33:1444−52)における少なくとも0.5の臨床スコアの改善を達成するか、又はKurtzkeスケールにおいて少なくとも1.0の臨床疾患の悪化の遅延(Rudick et al., Neurology 1997, 49:358−63)を達成することがさらに企図される。
【0124】
CD37特異的及びCD20特異的結合分子を与えられるIIM罹患者が、特発性炎症性筋疾患基準(IIMC)評価(Miller, F.,上記参照)で設定された5つの基準のうち少なくとも1つで減少を達成することがさらに企図される。IIM患者への投与により、クレアチンキナーゼ(CK)、乳酸脱水素酵素、アルドラーゼ、C反応性タンパク質、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、及び抗核自己抗体(ANA)、筋炎特異的抗体(MSA)、及び可溶性核抗原に対する抗体からなる群から選択されるIIM関連因子における減少がもたらされることがさらに企図される。別法として、患者は、Rider et al., Arthritis Rheum., 50(7):2281−2290(2004)に記載された6つの基準のうち3つを満たし、2つを超える基準は悪化しない。
【0125】
ある実施態様において、B細胞ガンの罹患者は、本発明に従った治療を受け、当分野で周知であって一般に使用される臨床基準(以下に記載のとおり)に基づいて、全体的に有益な治療に対する反応、例えば、腫瘍サイズの減少、腫瘍数の減少、及び/又は病気の症状の改善を実証する。
【0126】
例となる臨床基準は、米国国立ガン研究所(NCI)により提供され、これは、いくつかのガンクラスを「緩慢性」及び「侵攻性」リンパ腫の臨床カテゴリーに分けている。緩慢性リンパ腫には、細胞学的「グレード」(cytology grade)に分けられる濾胞細胞リンパ腫、びまん性小リンパ球性リンパ腫/慢性リンパ球性白血病(CLL)、リンパ形質細胞性/ワルデンストロームマクログロブリン血症、辺縁帯リンパ腫、及びヘアリー細胞白血病が含まれる。侵攻性リンパ腫には、びまん性混合型及び大細胞型リンパ腫、バーキットリンパ腫/びまん性非切れ込み小細胞型リンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、並びにAIDS関連リンパ腫が含まれる。いくつかの場合、国際予後指標(IPI)が、侵攻性及び濾胞性リンパ腫の場合に使用される。IPにおいて考慮する因子には、年齢(<60歳対>60歳)、血清乳酸脱水素酵素(正常レベル対増加レベル)、全身状態(0又は1対2〜4)(以下の定義を参照されたい)、病期(I又はII対III又はIV)、及び節外部位病変(0又は1対2〜4)が含まれる。2つ又は複数のリスク因子を有する患者では、5年間の無再発及び全生存率の可能性が50%未満となる。
【0127】
侵攻性IPIにおける全身状態は以下のとおり定義される:グレードの説明:0は、完全な活動状態であり、制限なく病気に罹る前の行動の全てを実施できる;1は、体に負担のかかる活動は制限されるが、歩行可能であり、軽度及び座って行う特性の仕事、例えば、軽い家事、オフィスワークを実施することが可能である;2は、起きている時間の最大で及び約50%超は、歩行可能であり、身の回りのことは全てできるが、いずれの労働も実施できない;3は、限定された身の回りのことのみ可能であり、起きている時間の50%超はベッド又は椅子にいる;4は、完全な身体障害であり、身の回りのことは全くできず、完全にベッド又は椅子にいる;及び5は死である(The International Non−Hodgkin's Lymphoma Prognostic Factors Project. A predictive model for aggressive non−Hodgkin's lymphoma. N Engl J Med. 329:987−94, 1993を参照されたい)
【0128】
典型的には、リンパ腫のグレードは、基準を用いて臨床的に評価されており、低グレードのリンパ腫は、通常、結節性疾患として存在し、多くの場合、緩慢性で進行が遅い。中及び高グレードの病気は、通常、大きな節外性巨大腫瘍を有する遥かに侵攻性の病気として存在する。
【0129】
さらに、Ann Abor分類系を用いて、腫瘍、特に非ホジキンリンパ腫の進行を測定する。この系において、成人NHLのステージI、II、III、及びIVは、患者が、明確な全身性症状(B)であるか、(A)であるかに応じて、A及びBのカテゴリーに分類され得る。記号Bは、患者に以下の症状を与える:診断6ヶ月前に10%超の不明な体重減少、38℃超の温度を有する不明な発熱、及び多量の寝汗。ステージの定義は以下のとおりである:ステージI−1つのリンパ節領域の病変、又は単一のリンパ節外臓器若しくは部位に局在する病変。ステージII−横隔膜の同側における2つ若しくは複数のリンパ節領域の病変、又は単一の関連するリンパ節外臓器若しくは部位に局在する病変と、横隔膜の同側における、他のリンパ節領域の有無に関わらないその領域のリンパ節に局在する病変。ステージIII−横隔膜の両側におけるリンパ節領域の病変であって、リンパ節外臓器若しくは部位に局在する病変、脾臓の病変、又はその両方を伴う可能性がある。ステージIV−関連するリンパ節病変の有無に関わらない、1つ若しくは複数のリンパ節外部位に散在(多発性)する病変、又は遠隔(非領域性)リンパ節の病変を伴う隔たれた(isolated)リンパ節外臓器の病変。さらに詳細には、The International Non−Hodgkin's Lymphoma Prognostic Factors Project:A predictive model for aggressive non−Hodgkin's lymphoma, New England J. Med.(1993)329:987−994を参照されたい。
【0130】
一つの側面において、本発明の方法の治療効果は反応レベルにより測定され、例えば、部分反応は、その元のサイズの半分未満の腫瘍減少として定義される。完全寛解は、臨床的又は放射線学的評価により確認される病気の全体的排除として定義される。一つの実施態様において、本発明の治療を受ける個体は、少なくとも治療への部分反応を実証する。
【0131】
国立ガン研究所との連携により開発された、NHL評価用のCheson基準(Cheson et al., J Clin Oncol. 1999, 17:1244;Grillo−Lopez et al., Ann Oncol. 2000, 11:399−408)に従って、病気及び病気関連症状の検出可能な臨床的及び放射線学的証拠が全て完全に消失し、全てのリンパ節が正常サイズに戻り、脾臓のサイズが退縮(regressed)し、かつ骨髄のリンパ腫がなくなる場合に、完全寛解を得る。
【0132】
未確認完全寛解は、患者が、病気の完全な消失及び脾臓サイズの退縮を示すが、リンパ節が75%超退縮し、骨髄は不確定である場合に得られる。未確認完全寛解は、部分反応についての基準を満たし、かつ超える。全体応答は全体の全身腫瘍組織量の少なくとも50%の減少として定義される。
【0133】
類似の基準が、様々な他の形態のガン又は過剰増殖性疾患について開発されており、当業者ならば容易に利用可能である。例えば、CLL評価用の基準を記載するCheson et al., Clin Adv Hematol Oncol. 2006, 4:4−5;AML用の基準を記載する、Cheson et al., J Clin Oncol. 2003, 21:4642−9;骨髄異形成症候群用の基準を記載する、Cheson et al., Blood 2000, 96:3671−4を参照されたい。
【0134】
別の側面において、B細胞ガンを有する患者における治療反応は、治療を受けていない患者と比較した、病気の進行の遅延として示される。遅延した病気の進行の測定又は上記因子のいずれかの測定は、当分野の周知技術を用いて実施されてよく、これには、骨のスキャン、CTスキャン、ガリウムスキャン、リンパ管造影図、MRI、PETスキャン、超音波などが含まれる。
【0135】
また、従来の治療を、本発明の治療と組み合わせて投与する場合には、投薬を修正してよいことは明らかだろう。
【0136】
さらなる側面として、本発明には、本発明の方法に有用な1つ又は複数の化合物又は組成物が、本発明の方法を実施するためにそれらの使用を容易にする様式でパッケージングされて含まれる、キットが含まれる。最も単純な実施態様において、このようなキットには、密閉ボトル又はベッセルなどの容器中にパッケージングされた、本発明の方法の実施に有用なものとして本明細書に記載の化合物又は組成物が含まれ、容器に添付されるか又はパッケージ中に含まれるラベルであって、本発明の方法を実施するために化合物又は組成物の使用方法を記載したラベルを有する。好ましくは、化合物又は組成物は、単一用量形態でパッケージングされる。キットにはさらに、好ましい投与経路に従った組成物の投与に適した装置、又はスクリーニングアッセイの実施に適した装置が含まれてよい。キットには、本発明の方法における結合分子組成物(1つ以上)の使用方法を記載したラベルが含まれてよい。
【0137】
本発明にはまた、製造品が含まれる。このような製造品には、任意選択で医薬キャリア又は希釈剤と一緒になってよい、CD37特異的結合分子、又はCD37特異的及びCD20特異的結合分子、並びに本発明の結合分子の使用方法を記載した少なくとも1つのラベルが含まれる。このような製造品にはまた、任意選択で、結合分子に関連して投与するための少なくとも1つの第二の薬剤が含まれてよい。
【0138】
本発明はまた、異常なB細胞活性と関連する病気の治療又は予防用医薬の製造における、CD37特異的結合分子、又はCD37特異的及びCD20特異的結合分子を含む組成物の使用も請求する。
【0139】
[実施例]
本発明のさらなる側面及び詳細は、以下の実施例から明らかになるだろうが、この実施例は、限定するというよりむしろ例証することを意図する。実施例1には、CD37特異的結合分子の生成を記載する;実施例2は、TRU−016及び様々なCD37特異的抗体が、同一又は重複するエピトープを認識することを実証する;実施例3には、TRU−016が、C1q結合及び古典的補体活性化経路の活性化を欠損することを示す;実施例4は、TRU−016多量体の活性及び結合を実証する;実施例5には、CD20特異的結合分子の生成を記載する;実施例6には、TRU−016と、TRU−015又はリツキサンとの組み合わせが、B細胞におけるアポトーシスを相乗的に増加させることを示す;実施例7には、TRU−016と、CD20特異的抗体又はSMIPとの組み合わせが、CDCを相乗的に増加させることを示す;実施例8は、TRU−016が、CD20特異的抗体及びSMIPのADCC及びCDC活性を増大させることを実証する;実施例9は、TRU−016が、B細胞におけるアポトーシスを誘導することを実証する;実施例10には、CD37特異的SMIPとCD20特異的抗体との組み合わせが、マウス腫瘍異種移植モデルにおいて腫瘍体積を相乗的に減少させることを示す;実施例11には、単独のCD37特異的SMIPも、マウス腫瘍異種移植モデルにおいて腫瘍体積を減少させることを示す;図12は、TRU−016が、他のB細胞表面レセプターのCDC活性に影響を及ぼさないことを実証する;実施例13は、TRU−016が、MHCII、CD19、CD80/86、及びCD40を含む様々な標的レセプターのCDC活性を増大させないことを実証する;実施例14は、TRU−016が、腫瘍を有するマウスにおいて、in vivo生存率を増加させることを示すさらなるデータを提供する;実施例15は、TRU−016が、in vitroにおいて、CLL細胞のフルダラビン誘導細胞死を強めることを実証する;実施例16には、TRU−016が、リツキシマブ抵抗性細胞において、細胞毒性を直接誘起することを示す;実施例17には、TRU−016が、CD19+初代CLL B細胞において、チロシンリン酸化を誘起することを示す;かつ実施例18は、ヒト化TRU−016分子を提供する。
【0140】
[実施例1]
(CD37特異的結合分子の生成)
CD37特異的SMIPは、共有の米国仮特許出願第10/627,556号、並びに米国特許出願公開第2003/133939号、同第2003/0118592号、及び同第2005/0136049号に記載されている。例となるSMIPはTRU−016であり、下記のとおりこれを生成する。
【0141】
TRU−016[G28−1 scFv VH11S(SSC−P)H WCH2 WCH3]は、CD37抗原と結合する組み換え一本鎖タンパク質である。結合ドメインは、先の段落に列挙した特許出願(この開示は参照により本明細書に援用される)で以前に開示されたG28−1抗体配列に基づいた。結合ドメインは、エフェクタードメイン、ヒトIgG1のCH2及びCH3ドメインと、修飾ヒンジ領域を介して結合している。TRU−016は、溶液中、二量体として存在し、この二量体は、およそ106,000ダルトンの理論分子量を有する。
【0142】
G28−1ハイブリドーマ由来の全RNAを、製造者の指示に従って、Trizol RNA(Gibco)を用いて単離した。cDNAは、5μgのRNA、ランダムプライマー、及びSuperscript II逆転写酵素(GIBCO BRL)を用いて調製した。可変ドメインは、異なるマウスVK又はVH遺伝子ファミリーに対する縮重プライマーのプールを用いてクローニングした。G28−1ハイブリドーマ由来の可変ドメインを、PCR 2.1 TOPOクローニングベクター(Invitrogen)へとクローニングし、正しいサイズの挿入物を有する形質転換体由来のDNAを配列決定した。ついで、正しいクローン由来の重鎖及び軽鎖可変領域を鋳型として用い、15 aa(gly4ser)3リンカーを用いて、VL−VH定位で結ばれるG28−1 scFvのPCR増幅物を繋げた。抗CD37 scFvを修飾ヒトIgG1ヒンジ、CH2、及びCH3ドメインと結合させた(図1Aを参照されたい)。哺乳動物細胞による十分な発現を確保するために、可変領域の修飾を選択して、哺乳動物細胞による発現を有意に増加させた。詳細には、scFvの11位でロイシンをセリンに交換した。予測される成熟ペプチドは、473アミノ酸長である。
【0143】
TRU−016をコードするポリヌクレオチド配列及びTRU−016のアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号1及び2に記載する。
【0144】
TRU−016は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)哺乳動物細胞発現系での組み換えDNA技術により生成した。SMIPを産生する、トランスフェクトしたCHO細胞は、独自の媒体(proprietary media)を用いてバイオリアクター中で培養した。
【0145】
TRU−016 SMIPを、プロテインAアフィニティクロマトグラフィーにより、CHO培養上清から精製した。dPBSを用いて、50 mLのrProtein A FFセファロースカラム(GE Healthcare rProtein A Sepharose FF, Catalog # 17−0974−04)を、1.5カラム体積(CV)について5.0 mls/min(150 cm/hr)で平衡化した。AKTA Explorer 100 Air(GE Healthcare AKTA Explorer 100 Air, Catalog # 18−1403−00)を用いて、1.7 mls/minの流量で、培養上清をrProtein A Sepharose FFカラムにロードし、組み換えTRU−016を捕捉した。5カラム体積(CV)についてdPBSでカラムを洗浄し、ついで、1.0 MのNaCl、20 mMのリン酸ナトリム、pH 6.0で洗浄し、ついで25 mM NaCl、25 mM NaOAc、pH 5.0で洗浄した。これらの洗浄工程により、溶出後に沈殿物を生成する一因となる、非特異的結合CHO宿主細胞タンパク質をrProtein Aカラムから取り除いた。
【0146】
組み換えTRU−016を、100 mMのグリシン、pH 3.5を用いてカラムから溶出した。溶出生成物の10 mLのフラクションを回収し、ついで、溶出体積の20%の0.5 M 2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)pH 6.0を用いて溶出生成物のpHを5.0にした。およそ25 mg/mLのTRU−016へとサンプルを濃縮することにより溶出生成物をGPC精製のために調製し、ついでGPC精製に備えてろ過滅菌した。
【0147】
ついで、精製タンパク質をGPCサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)に供し、より高い分子量の凝集物からのTRU−016(二量体)分子のさらなる精製を達成した。dPBSを用いて、1 LのSuperdex 200 FFセファロースを含むXK 50/100カラム(GE healthcare XK 50/100エンプティクロマトグラフィーカラム、Catalog # 18−8753−01)を、1.5カラム体積(CV)について12.6 mls/min(38 cm/hr)で平衡化した。サンプルの54 mls(3%CV)の最大体積をカラムに適用した。カラムを、12.6 ml/minで稼動し続け、溶出タンパク質を、40 mLのフラクションに分画した。各フラクションを、分析用HPLCを用いて生成物の質について分析し、溶出フラクションを>95%POI(非凝集)TRU−016についてプールした。この得られたプールを0.22μmでろ過滅菌した。ついで、物質を濃縮し、20 mMのリン酸ナトリウム及び240 mMのスクロースとともに製剤化し、その結果、pHは6.0となった。組成物をろ過した後、10 mg/mLの濃度でガラスバイアルに充填する。各ガラスバイアルには、5 mLのTRU−016(50 mg/バイアル)が含まれる。
【0148】
TRU−016タンパク質は、4〜20%Novex Tris−グリシンゲル(Invitrogen, San Diego, CA)上でのSDS−PAGE分析にも供した。サンプルを95℃で3分間加熱後、還元条件下(1/10体積のNuPAGEサンプル還元剤を添加)、又は非還元条件下でNovex Tris−グリシンSDSサンプルバッファー(2×)を用いてロードし、それに続いて、150 Vで90分間電気泳動した。電気泳動は、1×Novex Tris−グリシンSDSランニングバッファー(Invitrogen)を用いて実施した。電気泳動後、クマシーSDS PAGE R−250染色により、撹拌しながら30分間ゲルを染色し、少なくとも1時間脱色した。成熟ペプチドの予測される分子量は51.5 kDaである。還元条件下、融合タンパク質は、予測される分子量に移動する。非還元条件下、分子はおよそ150 kDaに移動する(図1B)。
【0149】
また、CD37細胞表面レセプターへの親抗体の結合特異性が、TRU−016において保存されていることを測定するために実験を実施した。ヒトPBMCをLSM密度勾配にわたって単離し、非結合TRU−016及びPE結合抗ヒトCD19とともにインキュベートした。細胞を洗浄し、氷上、45分間、1:100のFITC GAH IgG(Fc特異的)とともにインキュベートした。細胞を洗浄し、Cell Questソフトウェアを用いて、FACsCalibur装置上での二色フローサイトメトリーにより分析した。細胞は、CD19染色により、Bリンパ球又は非Bリンパ球にゲーティングされた。
【0150】
TRU−016の濃度が増加するにつれて、Bリンパ球(CD19ポジティブゲート)上のFITCシグナルが、およそ1μg/mLでの飽和又は1000の平均蛍光強度(MFI)に達するまで、0.01〜1.0μg/mLで急速に増加した。対照的に、非Bリンパ球集団の染色は、検出可能ではあったが非常に低く、scFvIgの濃度が増加するにつれて徐々に増加する。従って、G28−1マウスモノクローナル抗体の染色パターンは、TRU−016で保存される(図1C)。
【0151】
本発明のCD37結合分子の構造を記載する(抗体由来の結合ドメイン、ヒンジ変異体、同一又は異なるCH2CH3領域、及び様々なアイソタイプ)。
【0152】
[実施例2]
(TRU−016及び様々なCD37特異的抗体は、CD37上の同一又は重複エピトープと結合する)
TRU−016及び以前に記載された他のCD37特異的抗体により結合されるCD37エピトープを同定するために実験を実施した。
【0153】
非結合MB371(#555457)及びFITC結合MB371(#555456)はBD Pharmingen(San Jose, CA)から、FITC結合BL14(#0457)はImmunotech/Beckman Coulter(Fullerton, CA)から、FITC結合NMN46(#RDI−CBL 136FT)及び非結合NMN46(#RDI−CBL 136)はRDI(Flanders, NJ)から、FITC結合IPO24(#186−040)及び非結合IPO−24(#186−020)はAncell Corporation(Bayport, MN)から、FITC結合HHI(#3081)及び非結合HHI(#3080)はDiaTec. Com(Oslo, Norway)から、並びにFITC結合WR17(YSRTMCA483F)及び非結合WR17(YSRTMCA483S)はAccurate Chemical & Scientific(Westbury, NY)から得た。TRU−016タンパク質は実施例1に記載のとおり作製した。
【0154】
TRU−016は、製造者に指示に従って、Molecular Probes Fluororeporter FITCラベリングキット(F6434)を用いて以下のとおりTrubionでFITCと結合させた:13.5 mg/mLのTRU−016タンパク質対象ピーク(POI;peak of interest)は、PBSを用いて5 mg/mLに調整した。スターラーバーを有するキットチューブに1 mg(200μL)を添加し、最終濃度0.1 Mへと1 MのNaHCO3(6 NのNaOHを用いてpH 8.5に調整)を添加した。50μLのDMSOを370μgのFITCに添加し、かつ添加するためのFITCμLを決定するために以下の式を用いて、15、20、30、及び40のFITC:タンパク質モル比でチューブに添加した:[添加するFITC溶液μL=5 mg/mLのタンパク質×0.2 mL×389×100×所望のモル比/TRU−016の分子量(110,000)]。
【0155】
反応を遮光し、室温で75分間連続して撹拌した。キットに記載されるとおり調製したスピンカラムに反応物を添加し、1100 g、5分間回転させて、アジドを含むPBSへとバッファー交換し、非結合FITCを除去した。280 nM及び494 nMでのODは、Nanodrop上で2μLのドロップを用いて測定した;TRU−016に対する吸光係数は、出発非結合SMIPの希釈率を読み取ることによりこの装置について実験的に測定し、各結合物の濃度は4.25 mg/mLであり、以下のFITC:タンパク質比を測定した:15の比で2.7 FITC/TRU−016;20の比で3.7 FITC/TRU−016;30の比で4.4 FITC/TRU−016;及び40の比で5.1 FITC/TRU−016。
【0156】
タンパク質の安定化を助けるために、BSAを3 mg/mLへと添加した。各フラクションの結合は、Ramosについては100〜24,300×で、ヒトPBMCについては3200〜25,600の範囲の希釈率で評価した。全て結合したが、MR30比が、用いた滴定範囲わたって非常に維持された高いMFIを与え、これは結合親和力がこの反応において最も影響を与えないことを示すので、さらなる使用のためにこれを選択した。
【0157】
FITC標識抗体複合体を、初めの結合研究において、10 ng/mL〜10μg/mLまで滴定し、遮断研究における使用に最適な量を測定した。選択したレベルは飽和量をちょうど下回り、遮断抗体のレベルが10倍超の範囲に増加する間、次のアッセイにおいて一定に保たれた。遮断抗体の濃度に対する最大結合のパーセンテージとしてデータをプロットし、より高いレベルがあまり効率的でない遮断を示す一方で、より低いレベルがより効率的な遮断活性を示すようにした。試験抗体の全てが、非標識試薬を用いずに観察された最大結合の遮断活性を示した(図2)。
【0158】
ついで、Bリンパ芽球B細胞系であるBJAB細胞(Ed Clark, University of Washingtonにより提供)を、抗CD37 MAbの様々なクローンパネルで染色し、この抗CD37 MAbには、MB371、BL14、NMN46、IPO24、HH1、WR17、及びTRU−016 SMIPが含まれた。
【0159】
競合結合アッセイのために、指示濃度(2.5、1.25、0.6、又は0.3μg/mL)での非結合抗CD37MAbの存在下、1.25μg/mLのFITC結合抗CD37MAbを含む染色媒体(2%マウス血清を含むPBS)中、又は染色媒体中、暗所下、氷上で45分間、2.5×105 BJAB細胞を96ウェルV底プレート中でインキュベートした。遮断抗体及びFITC標識抗体複合体を、細胞の添加前に反応物に添加した。ついで、2と1/2倍のPBSを用いて細胞を洗浄し、1%のパラホルムアルデヒド(#19943, USB, Cleveland, Ohio)を用いて細胞を固定した。FACsCalibur装置及びCellQuestソフトウェア(BD Biosciences, San Jose, CA)を用いてフローサイトメトリーにより細胞を分析した。
【0160】
FACs交差阻害アッセイのために、5μg/mLの染色媒体での非結合抗CD37MAbの存在下、染色媒体(2%マウス血清を含むPBS)中、暗所下、室温で45分間、2.5×105 BJAB細胞を96ウェルV底プレート中でインキュベートした。ついで、FITC結合抗CD37 MAbを最終濃度2μg/mLへと添加し、結果として、3.3μg/mLの非標識試薬の希釈が得られた。ついで、反応物を暗所下、室温で45分間、さらにインキュベートした。反応物を2.5倍のPBSで洗浄し、PBS中1%のパラホルムアルデヒド(#19943, USB, Cleveland, Ohio)で固定した。CellQuestソフトウェア(BD Biosciences, San Jose, CA)を用いたFACsCalibur装置でのフローサイトメトリーにより細胞を分析した。
【0161】
細胞結合アッセイのために、2%FBS(#16140−071, Gibco/Invitrogen、Grand Island, NY)を含むPBS(#14040−133, Gibco/Invitrogen, Grand Island NY)(染色媒体)中に細胞をおよそ4×106細胞/mLの濃度で懸濁した。ついで、細胞をプレートに置き(plated)、ついで、染色媒体で希釈した試験サンプルを、最終的な指定濃度に対して1:1で添加した。反応物を氷上で45分間インキュベートした。サンプルを遠心分離し、2倍のPBSで洗浄した。FITCヤギ抗ヒトIgG(#H10501, CalTag, Burlingame CA)を最終希釈率1:50で添加し、氷上で45分間インキュベートした。サンプルを遠心分離し、PBSで洗浄し、ついで、PBS中1%パラホルムアルデヒド(#19943, USB, Cleveland, Ohio)200μLで固定した。CellQuestソフトウェア(BD Biosciences, San Jose, CA)を用いたFACsCalibur装置でのフローサイトメトリーにより細胞を分析した。
【0162】
各抗体は、用量依存性の結合阻害を示し、これは、試験した全ての分子が、同一又は近縁なエピトープと結合することを示した。結合阻害に対する異なる力価が各抗体で観察された。TRU−016 SMIPは、試験した全ての分子の中で最も高いレベルの遮断活性を有し、他方、HHIは、中間レベルの遮断活性を示し、WR17、IPO24は、MB371よりも良く遮断した;しかし、他の2つの非標識分子よりも効果的でない遮断を示した(図2)。
【0163】
遮断活性の分析に加えて、類似した一連の実験を実施し、ここでは、CD37レセプターへの結合について互いに競合する能力について様々なCD37標的抗体を試験した。これらの実験から得られた結果は、試験した全ての分子についての遮断研究で得られた結果と同様に、様々なCD37標的抗体及びTRU−016が同一又は密接に重なるエピトープを有することを示した。
【0164】
[実施例3]
(TRU−016は、C1qとの結合、及び古典的補体活性化経路の活性化を欠損する)
TRU−016二量体ピーク(dimer peak)が、B細胞標的の有意なレベルの補体依存性死滅を媒介できない理由を探索するために実験を実施した。1つの可能性は、TRU−016二量体が、正常ヒトIgG1抗体と比較した、補体カスケードの構成要素との結合低下を示すことであった。従って、実験を実施し、TRU−016が、古典的補体活性化経路を活性化できるかどうかを、C1qと結合したTRU−016を探索することにより測定した。C1qは、血清補体系を活性化するC1酵素複合体のサブユニットであり、古典的補体活性化経路の認識要素である。
【0165】
C1q結合研究は、以前に記載されたとおりに実施した(Cragg et al., Blood 2004, 103:2738−2743)。簡単に述べると、血清を含まないIscoves媒体(#12440−053, Gibco/Invitrogen, Grand Island, NY)中のRamos B細胞を、100μL中5×105/ウェルで96ウェルV底プレート上に置いた。試薬とともに、37℃、15分間細胞をインキュベートし、ついでIscovesで希釈した正常ヒト血清(NHS, #A113, Quidel Corp., San Diego, CA)を、最終濃度が10、5、2.5、又は1.25%のヒト血清について、各ウェルに50μLの体積で添加した。50μLの媒体をコントロールウェルに添加した。コブラ毒因子(CVF)実験のために、血清1 mL当たり20ユニットのCVFで、37℃、90分間CVFをヒト血清補体サンプルに添加し、その後、血清を補体アッセイに添加して、CVFによる血清の希釈が、サンプル希釈の実施時の割合を占めた。
【0166】
細胞プラス補体源をさらに5分間、37℃でインキュベートし、遠心分離を介して2倍の冷PBS(#14040−133, Gibco/Invitrogen, Grand Island, NY)で洗浄し、100μLのPBSに再懸濁した。各ウェルから50μLを、第二ステップコントロール染色のための第二のプレートに移動した。両方のプレートを、FITCヒツジ抗HU C1q(#C7850−06A, US Biological, Swampscott, Mass)又はFITCヒツジIgG(#11904−56P, US Biological, Swampscott, Mass)のいずれかとともに、氷上、暗所下、15分間染色した。サンプルを洗浄し、冷PBSに再懸濁して、FACsCaliburフローサイトメーターによりすぐに読み取り、Cell Questソフトウェア(Becton Dickinson, San Jose, CA)で分析した。
【0167】
FITC C1qは、SEC精製TRU−016のサブフラクションのいずれともあまり結合しないが、とはいえ、より高分子量(HMW)又はA2凝集フラクションは、他の形態よりは多い結合を示す(図3A)。対照的に、リツキサンは、特により低レベルのNHSで、有意なレベルのC1q結合を示した。CVFの存在は、この結合を完全には遮断できなかったが、MFIレベルは、媒体単独よりも有意に減少する。
【0168】
ついで、CDCアッセイを実施し、TRU−016精製形態の異なるサブフラクション及びリツキサンが、CVF及びヒト血清補体の存在又は不在下で細胞死滅を媒介する能力を比較した(図3B)。CDCアッセイは、ヨウ化プロピジウム染色を用いて実施し、標的細胞と、抗体、融合タンパク質、腹水、TRU−016分子形態、又は媒体、及びヒト血清などの補体供給源とのインキュベート後に生細胞と死細胞とを区別した。簡単に述べると、3×105 Ramos B細胞を、補体の添加前に、標的試薬とともに、37℃、30〜45分間、プレインキュベートした。事前に結合したサンプルを遠心分離し、洗浄し、ヒト血清(#A113, Quidel, San Diego, CA)を含むIscovesに指示濃度で再懸濁し、ついで、37℃、90分間インキュベートした。サンプルを洗浄し、ヨウ化プロピジウム(#P−16063, Molecular Probes, Eugene, OR)を、PBS中0.5μg/mLの最終濃度へと添加した。細胞をヨウ化プロピジウムとともに、暗所下、室温、15分間インキュベートし、ついで、CellQuestソフトウェア(Becton Dickinson)とともにFACsCalibur装置でのフローサイトメトリーにより分析した。
【0169】
TRU−016のA2フラクション及びリツキサンの両方により媒介される細胞死滅は、C1q結合を完全に遮断できなかったにも関わらず、CVFの存在下、有意に減少した(図3B)。
【0170】
ついで、ヒト及びウサギ補体を、TRU−016の存在下、それらのCDC活性について比較した。Ramos B細胞及びヒト又はウサギ補体とともにインキュベートしたTRU−016分子形態のCDC活性を測定した(図3C)。Ramos B細胞を、血清不含媒体中、ウェルに添加した。リツキサン又はTRU−016の二量体、HMW A2、若しくはpAフラクションを細胞に添加し、最終濃度を10μg/mLとして、37℃、15分間インキュベートして、その後、1.5×血清不含媒体中で洗浄して、正常ヒト血清(NHS)又はウサギ補体(Pelfreez)を、10、5、又は2.5%添加した。細胞プラス補体源を37℃、90分間インキュベートした。細胞を冷PBSで1回洗浄し、ヨウ化プロピジウム(Molecular Probes #P3566)を、冷PBS中0.5μg/mLの最終濃度へと添加した。PIとともに細胞を、暗所下、室温、15分間インキュベートし、フローサイトメトリーにより分析した。
【0171】
補体フラクション起源は、得られたCDC結果に影響を与える(図3C)。ウサギ補体は、TRU−016分子形態の存在下、ヒト補体よりも高いレベルのCDCを媒介した。興味深いことに、TRU−016の二量体型は、ウサギ補体を用いた場合に良好なCDCを媒介したが、ヒト補体の存在下でのCDC活性は非常に低かった。
【0172】
[実施例4]
(TRU−016多量体の活性及び結合)
溶液中、多量体型のTRU−016(TRU−016多量体)の生物学的活性を調べるために実験を実施した。第一に、溶液中のTRU−016融合タンパク質のサイズを測定するために、プロテインA精製物質をSEC HPLCにより分析し、TRU−016が、溶液中、多量体型で存在することを明らかにした(図4)。
【0173】
HPLCサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)トレースは、TRU−016のGPC精製物から得て、回収した異なるフラクションについて、滞留時間に対する吸光度をプロットした(図4)。TRU−016は、初めに、プロテインAセファロースを用いたアフィニティクロマトグラフィーにより、細胞培養上清から精製した。組み換え分子を、100 mMのグリシン、pH 3.5を用いてカラムから溶出した。溶出生成物の10 mLのフラクションを回収し、ついで、溶出体積の20%の0.5 M 2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)pH 6.0を用いて溶出生成物のpHを5.0にした。およそ25 mg/mLのTRU−016へとサンプルを濃縮することにより溶出物をGPC精製のために準備し、ついで、GPC精製に備えてろ過滅菌した。GE healthcare XKカラム及びSuperdex 200分離用グレード(GE Hearlthcare)を用いて、GE Healthcare AKTA Explorer 100 Air装置上でサイズ排除クロマトグラフィーを実施した。
【0174】
HMW又はA2プールは、およそ6.23分の滞留時間を示したが、最も顕著な形態は、8.38分の滞留時間を示した。ここで用いた参照標準(pA標準又はstd)は、図4の第一のパネルに示すとおり、二量体及びHMW多量体型の両方を含むプロテインA精製物質である。8.38分の滞留時間で移動する最も顕著な形態は、非還元SDS−PAGE上で見られる二量体分子におそらく対応し、複数のマイナー形態は、非還元SDS−PAGEで明らかになっていないことから、非共有結合性相互作用を介して関連する多量体におそらく対応する。これらの異なる形態のTRU−016を分離するために、培養上清のプロテインAセファロースアフィニティクロマトグラフィーから得られた物質をGPC及びHPLC分別によりさらに精製し、高分子量多量体(HMW又はA2 aggフラクションとして同定される)から二量体型(「二量体」又は「二量体ピーク」として同定される)を単離した。ついで、これらの3つのサブフラクションのそれぞれを、結合、ADCC、及びCDCアッセイを用いて、in vitroでの機能活性について別々に分析した。
【0175】
SECから単離したフラクションが異なる結合特性を示すかどうかを探索するために、TRU 016 SECの各フラクションをRamos細胞への結合について試験した。SECフラクションの結合特性を測定するために、およそ4×106細胞/mLの濃度で染色媒体に細胞を懸濁し、ついで、染色媒体中、50μL/ウェル(2×105細胞/ウェル)でプレートに置いた。ついで、段階希釈したSECフラクションを連続ウェルに添加し、45分間インキュベートし、洗浄し、FITCヤギ抗ヒトIgGを用いて結合活性を検出した。サンプルを、PBS中1%パラホルムアルデヒド200μLで固定した。Cell Questソフトウェア(BD Biosciences, San Jose, CA)を用いて、FACsCalibur装置でのフローサイトメトリーにより細胞を分析した(図5A)。
【0176】
SECフラクションのCDC活性を測定するために、細胞を、75μLのIMDM中、5×105細胞/ウェルで懸濁した。TRU 016 SECフラクション(75μL)を2倍の指示濃度で細胞に添加した。結合反応を45分間進行させ、その後、遠心分離及び血清不含Iscovesで洗浄した。細胞を指示濃度で、ヒト血清(#A113, Quidel, San Diego, CA)含有Iscovesに再懸濁した。細胞を37℃、60分間インキュベートし、洗浄し、0.5μg/mLのヨウ化プロピジウム(PI, #P−16063, Molecular Probes, Eugene OR)を含む染色媒体中に再懸濁した。サンプルを暗所下、室温、15分間インキュベートし、その後、FACsCalibur及びCellQuestソフトウェア(Becton Dickinson)を用いたフローサイトメトリーにより分析した(図5B)。
【0177】
SECフラクションのADCC活性を測定するために、BJAB、Ramos、及びDaudiリンパ芽球B細胞の(107)細胞を、IMDM/10%FBS中、37℃、2時間、500μCi/mLの51Crクロム酸ナトリウムで標識した。リンパ球分離溶液(Lymphocyte Separation Media;LSM, ICN Biomedical)勾配上の分別により、PBMCをヘパリン化ヒト全血から単離した。試薬サンプルを、10%FBSを有するRPMI媒体に添加し、各試薬について5つの段階希釈を準備した。組み合わせのために、試薬を予め混合し、希釈して、その後ウェルに添加した。51Cr標識BJABを(2×104細胞/ウェル)で添加した。ついで、最終比が25:1のエフェクター(PBMC):標的(BJAB)のために、PBMCを(5×105細胞/ウェル)で添加した。96ウェルプレートの4連のウェルに反応物を準備した。TRU−016 SECフラクションを、グラフに示すとおり10 ng/mL〜20μg/mLの範囲の最終濃度でウェルに添加した。各データ系列を、記載した滴定範囲において、異なるSECフラクションにプロットする。反応を5%CO2下、37℃、6時間進行させ、その後、採取しカウントした。放出されたCPMは、50μLの乾燥培養上清から、Packard TopCouNXT上で測定した。特異的死滅パーセンテージは、引き算(サンプルのcpm[4連サンプルの平均]−cpm自然放出)/(cpm最大放出−cpm自然放出)×100により計算した(図5C)。
【0178】
図5Aには、Ramos細胞と結合した異なるSECフラクションの滴定曲線を示す。フラクション化分子の全てが、試験した最も高い濃度を除いて、類似した結合曲線でCD37と結合し、ここで、HMW物質は、pA標準及び二量体ピーク型よりも良好な結合(より高い蛍光強度)を示した。
【0179】
TRU 016 SECフラクションが、CDC及びADCC媒介性標的細胞死滅などの機能活性を異なるレベルで示すかどうかを測定するための実験も実施した。図5Bに示すグラフは、精製HMW多量体フラクションのみが、ヒト補体を用いた場合に、Ramos B細胞に対して有意なレベルのCDC活性を媒介することを示す。pA標準は、より高い濃度である程度のCDC活性を示したが、二量体ピーク型は、試験した全ての濃度において、ほとんどCDC活性を示さないか、全くCDC活性を示さなかった。
【0180】
標的として標識BJAB B細胞を使用し、エフェクター細胞としてヒトPBMCを用いて、様々なTRU−016サイズフラクションの段階希釈物についてADCCアッセイを実施した。TRU 016 SECフラクションは、図5Cに示すグラフ中に示すとおり、10 ng/mL〜20μg/mLの範囲の最終濃度でウェル中に存在した。各データ系列は、記載した滴定範囲において、異なるSECフラクションをプロットした。データは、タンパク質濃度に対する特異的死滅%としてプロットした。pA標準、HMW又はA2フラクション、及び二量体ピークを含む全てのSECサブフラクションが、BJAB標的細胞に対して、強力な用量依存性ADCCを媒介した。類似の結果が、標識細胞としてRamos細胞を用いることにより得られた(データは示さず)。
【0181】
[実施例5]
(CD20特異的結合分子の生成)
CD20特異的SMIPは、共有の米国特許出願公開第2003/133939号、同第2003/0118592号、及び同第2005/0136049号に記載されている。例となるCD20特異的SMIPであるTRU−015の生成を以下に記載する。
【0182】
TRU−015は、組み換え(マウス/ヒト)一本鎖タンパク質でありCD20抗原と結合する。結合ドメインは、公的に入手可能なヒトCD20抗体配列に基づいた。結合ドメインは、エフェクタードメイン、ヒトIgG1のCH2及びCH3ドメインと、修飾CSSヒンジ領域を介して結合する。TRU−015は、溶液中、二量体として存在し、二量体は、およそ106,000ダルトンの理論分子量を有する。TRU−015をコードするヌクレオチド配列及びTRU−015のアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号3及び4に記載する。
【0183】
配列番号4に示すアミノ酸配列に関して、TRU−015は、以下を含む:アミノ酸1〜23由来の2e12リーダーペプチドクローニング配列;可変領域中、残基11でのリシンからセリン(VHL11S)へのアミノ酸置換を有する2H7マウス抗ヒトCD20軽鎖可変領域であって、これは34位に反映される;残基129で始まるasp−gly3−ser−(gly4ser)2リンカーであって、前記リンカーは、カセットシャッフリングのためのSacI制限部位を組み込むために、末端にさらなるセリンを有する;2H7マウス抗ヒトCD20重鎖可変領域であって、これは、重鎖領域末端のセリン残基を欠失しており、すなわち、VTVSSからVTVSに交換されている;(CSS)配列を含む修飾ヒンジ領域並びに野生型CH2及びCH3ドメインを含む、ヒトIgG1 Fcドメイン。
【0184】
TRU−015を産生するCHO細胞を、独自の媒体(proprietary media)を用いてバイオリアクター中で培養した。一連のクロマトグラフィー及びろ過工程(ウイルス減少フィルターを含む)を用いてTRU−015を精製した。ついで、物質を濃縮し、20 mMのリン酸ナトリウム及び240 mMのスクロースとともに製剤化し、得られたpHは6.0となった。組成物をろ過し、その後、10 mg/mLの濃度でガラスバイアルに充填した。各ガラスバイアルには、5 mLのTRU−015(50 mg/バイアル)が含まれた。
【0185】
[実施例6]
(TRU−016と、TRU−015又はリツキサンとの組み合わせは、B細胞におけるアポトーシスを相乗的に増加させる)
B細胞系アポトーシスに対するB細胞標的SMIPの効果を調べるための実験を実施した。各SMIPを個別に試験し、ついで組み合わせて試験した。サンプルは、インキュベーション反応の開始後、24及び48時間の両方において分析した。アネキシン/PI分析を以下のとおり実施した:BJAB(Ed Clark, University of Washingtonにより提供)、Ramos(ATCC#CRL−1596)、及びDaudi細胞を、3×105細胞/mL及び20μg/mLのSMIPタンパク質で、10%FBSを含むIscoves(Gibco)完全媒体中、5%CO2下、37℃、24又は48時間インキュベートした。加えて、20μg/mLのヤギ抗ヒトIgGを反応物に添加し、細胞表面上で試薬を架橋させた。ついで、BD Pharmigen Apoptosis Detection Kit I(#556547)を用いて、アネキシンV−FITC及びヨウ化プロピジウムで細胞を染色し、キットの指示に従って処理した。簡単に述べると、冷PBSで細胞を2回洗浄し、「結合バッファー」に1×106細胞/mLで細胞を再懸濁した。ついで、結合バッファー中、100μLの細胞を、5μLのアネキシンV−FITC及び5μLのヨウ化プロピジウムで染色した。細胞を穏やかにボルテックスし、暗所下、室温、15分間インキュベートした。ついで、400μLの結合バッファーを各サンプルに添加した。ついで、Cell Questソフトウェア(Becton Dickinson)を用いてFACsCalibur(Becton Dickinson)でこれらを読み取り分析した。
【0186】
下記表2には、単独で用いた場合には、TRU−015及びTRU−016の両方の分子がある程度のアポトーシスを誘起するが、架橋の存在下、TRU−016での処理は、細胞系のアポトーシスに対して、TRU−015単独よりも有意な効果を有することを示す。増加は、細胞系に応じて変化する。
【0187】
【表2】
【0188】
[実施例7]
(TRU−016と、CD20特異的抗体又はSMIPとの組み合わせは、CDCを相乗的に増加させる)
B細胞に対する、TRU−016と、CD20特異的抗体又はSMIPとの組み合わせのCDC活性を測定するために実験を実施した。組み合わせ実験のために選択した試薬の量は、0.5μg/mLのTRU−016であり、他方、TRU−015もまた0.5μg/mLであった。リツキサンの濃度は、単一試薬のCDC実験においてより高い活性を示したことから、通常は0.04〜0.06μg/mLであった。ある実験において、CD20試薬の濃度は、準最適濃度(suboptimal concentration)で一定に保ち、他方、TRU−016の濃度は変化させて、CDCに対する増幅効果を観察するために必要なCD37に対する試薬の最小レベルを探索した。
【0189】
細胞を、75μL中、5×10E5細胞/ウェルで、Iscoves(#12440−053, Gibco/Invitrogen, Grand Island, NY)に懸濁した。TRU−016(75μL)、TRU−015、リツキサン、又はこれらの試薬の組み合わせを、2倍の指示濃度で細胞に添加した。結合反応を45分間進行させ、その後、遠心分離し、血清不含Iscovesで洗浄した。細胞を指示濃度でヒト血清(#A113, Quidel, San Diego, CA)を含むIscovesに再懸濁した。細胞を37℃、60分間インキュベートした。細胞を遠心分離により洗浄し、2%FBS(#16140−071, Gibco, Invitrogen, Grand Island, NY)含有PBS125μL(染色媒体)に再懸濁した。細胞をFACSクラスターチューブ(#4410, CoStar, Corning, NY)に移し、5μLのヨウ化プロピジウム(PI, #P−16063, Molecular Probes, Eugene OR)を含む125μLの染色媒体を添加した。サンプルを暗所下、室温、15分間インキュベートし、その後、FACsCalibur及びCellQuestソフトウェア(Becton Dickinson)を用いたフローサイトメトリーにより分析した。
【0190】
図6には、単一の薬剤として死滅させるための準最適濃度でのTRU−015及びリツキサンが、TRU−016と組み合わせた場合に、高レベルのCDC活性を提示することを示す。TRU−016単独では、凝集物が存在しない限り、CDCを媒介できない。反応物からのC1qの枯渇は、観察された全てのCDC活性の排除をもたらす。
【0191】
図7には、DHL−4 B細胞について実施した組み合わせ実験を示す。TRU−016をCDC反応に添加すると、TRU−015死滅曲線の下方移動がもたらされ、これは、TRU−016単独ではほとんど活性を示さないか、又は全く活性を示さないけれども、試験した各濃度でより効果的な死滅を実証している。
【0192】
図8には、別のCDC実験を示し、ここで、サンプル試薬は、以下の比で混合した:0.5μg/mLのTRU−015、0.5μg/mLのTRU−016、及び0.06μg/mLのリツキサン。再度、単一の薬剤を準最適濃度で使用して、TRU−016の存在下における増幅効果を観察する。TRU−015及びリツキサンの両方に対して、TRU−016は、アッセイに添加した場合にCDC死滅レベルを増強する。
【0193】
図9及び10には、CDCアッセイについてのデータのグラフ表示を示し、ここで、TRU−015又はリツキサンの濃度を一定に保ち、TRU−016の濃度を増加させた。再度、CDC活性は、TRU−016が反応に添加された場合に増加したが、TRU−016の濃度を0.5μg/mLから2.5μg/mLに増加させても、これらの実験におけるCDC媒介性の死滅は有意に増加しなかった。
【0194】
[実施例8]
(TRU−016は、CD20特異的抗体及びSMIPのADCC及びCDC活性を増幅する)
TRU−016 SMIPと、CD20特異的抗体又はSMIPとの組み合わせが、B細胞標的に対して、ADCC及びCDC活性を増大させ得るかどうかを測定するために実験を実施した。
【0195】
BJAB、Ramos、及びDaudiリンパ芽球B細胞(10E7)の細胞を、IMDM/10%FBS中、500μCi/mLの51Crクロム酸ナトリウムを用いて、37℃、2時間標識した。標識BJAB細胞をRPMI/10%FBS中で3回洗浄し、RMPI中、4×10E5細胞/mLで再懸濁した。ヘパリン化ヒト全血は、匿名の組織内(in−house)ドナーから得て、リンパ球分離溶液(Lymphocyte Separation Media;LSM, ICN Biomedical)勾配上の分別によりPBMCを単離した。白血球層(buffy coat)を採取し、RPMI/10%FBS中で2回洗浄して、その後、最終濃度3×10E6細胞/mLでRPMI/10%FBSに再懸濁した。血球計を用いて、トリパンブルー排除により細胞をカウントし、その後のアッセイに使用した。試薬サンプルを、4倍の最終濃度で10%FBS含有RPMI媒体に添加し、各試薬について5つの段階希釈を準備した。組み合わせのために、試薬を事前に混合し、希釈して、ウェルに添加した。ついで、指示した最終濃度について、50μL/ウェルで、これらの試薬を96ウェルU底プレートに添加した。51Cr標識BJABを、50μL/ウェル(2×10E4細胞/ウェル)でプレートに添加した。ついで、PBMCを、100μL/ウェル(3×10E5細胞/ウェル)でプレートに添加し、最終比を15:1のエフェクター(PBMC):標的(BJAB)とした。
【0196】
エフェクター及び標的を媒体単独に添加し、死滅のバックグラウンドを測定した。51Cr標識BJABを、51Crの自然放出を測定するために媒体単独に添加し、かつ51Crの最大放出を測定するために5%NP40(#28324, Pierce, Rockford, IL)を有する媒体に添加した。反応は、96ウェルプレートの4連のウェルに準備した。SMIPは、グラフに示したとおり、12 ng/mL〜10μg/mLの範囲の最終濃度でウェルに添加した。SMIP組み合わせのために、試薬を混合して、その後、ウェルに添加した。各データ系列は、記載した滴定範囲において、異なる単一SMIP又は組み合わせをプロットする。反応を5%CO2下、37℃、6時間進行させ、その後、採取しカウントした。ついで、各ウェルから50μLの上清をLuma Plate 96(#6006633, Perkin Elmer, Boston, Mass)に移し、一晩室温で乾燥させた。放出されるCPMはPackard TopCounNXT上で測定した。特異的死滅パーセンテージは、引き算(サンプルのcpm[4連サンプルの平均]−cpm自然放出)/(cpm最大放出−cpm自然放出)×100により計算した。
【0197】
データは、SMIP濃度に対する特異的死滅%としてプロットした。標的に対するエフェクターの比は、各図に示しており、標的細胞系も示した。図11、12、及び13には、同一のドナーを用いた異なる細胞系(BJAB、Daudi、及びRamos)についての実験データを示す。
【0198】
図14及び15(リツキサン+TRU−016)、並びに図16及び17(TUR−015+TRU−016)において、使用した標的細胞系がBJABであった実験についてのデータを提示する。各組み合わせについて観察された特異的死滅は、同一濃度の単一試薬単独のいずれよりも大きく、これは、CD20及びCD37標的SMIPが、増大効果が完全に加法的なものでないとはいえ、他のものにより媒介される死滅を増大させることを示した。
【0199】
従って、TRU−016は、CD20特異的SMIP、又はCD20特異的抗体ADCC媒介性のB細胞死滅を増強できる。
【0200】
TRU−016とCD20に対する抗体との組み合わせの効果を探索するための初めの実験を設計し、CDC相乗効果が検出できるような、使用する各試薬の相対量を測定した。Ramos細胞をIMDMに懸濁し、TRU−016、リツキサン、又はこれらの試薬の組み合わせを、図18に示す最終濃度で細胞に添加した。結合反応を45分間進行させ、その後、遠心分離して、血清不含Iscovesで洗浄した。細胞を10%NHS含有Iscovesに再懸濁した。細胞を37℃、60分間インキュベートした。図18A〜Cに示す実験において、遠心分離により細胞を洗浄し、0.5μg/mLのヨウ化プロピジウム(PI, #P−16063, Molecular Probes, Eugene OR)含有染色媒体に再懸濁した。サンプルを暗所下、室温、15分間インキュベートし、その後、FACsCalibur及びCellQuestソフトウェア(Becton Dickinson)を用いて、フローサイトメトリーにより分析した。
【0201】
より高度に精製したTRU−016二量体ピークは、高濃度でさえ平坦な用量反応曲線により図18Aに示されるとおり、単独で用いた場合にはCDCの乏しいメディエーターである。CD20に対する試薬は、CDC活性の効率的な誘導因子であることから、試薬間の相乗作用を検出し得るように、CD20に対する抗体の非飽和量が、組み合わせ実験において望ましかった。これらの初めの研究から、組み合わせ実験のために選択される試薬の通常量は、0.5μg/mL又は2μg/mLのTRU−016であった。リツキサンの濃度は、単一試薬CDC実験におけるそのより高い活性に起因して、通常、0.04〜0.06μg/mLであった。ある実験において、CD20試薬の濃度を準最適濃度で一定に保ち、他方、TRU 016の濃度を変化させて、CDCに対する増幅効果を観察するために必要な、CD37に対する試薬の最小レベルを探索した。従って、TRU−016単独では、凝集が存在しない限り、CDCを媒介できない。
【0202】
図18Bには、リツキサンを単独で、又は2.5μg/mLのTRU−016と組み合わせて使用した場合における、指示した滴定範囲(0.06〜0.5μg/mL)にわたって観察された生細胞パーセンテージ(PIネガティブ)のグラフを示す。リツキサンを単一の薬剤として死滅のための準最適用量の範囲で使用する場合には、リツキサンは、TRU−016と組み合わせた場合の各濃度において、より高いレベルのCDC活性を提示する(図18B)。反応物からのC1qの枯渇は、結果として、観察される全てのCDC活性の排除をもたらす(図3B)。
【0203】
図18Cにおいて、サンプルをFITC抗C1qと氷上、45分間インキュベートし、その後、フローサイトメトリーにより分析した。リンパ球ゲーティングは、損傷細胞(compromised cell)についてであった。このゲート中の細胞パーセンテージは、リツキサン濃度を増加させると上昇し、この細胞集団に対する相対MFIをグラフ化した。図18Cには、サンプル試薬を以下の比率で混合したCDC実験の結果を示す:TRU−016については0.5μg/mL、及びリツキサン濃度は0.06μg/mL〜0.5μg/mLの範囲であり、PIを用いて細胞を染色した後、フローサイトメトリーに供す。結果は、リツキサンの用量の増加に伴う、MFIの用量依存性の増加を示す。TRU−016二量体型を添加することにより、リツキサンの各濃度において、さらなるMFIの増加がもたらされた。類似した一連のCDCアッセイを実施し、ここで、リツキサン濃度を一定に保ち、TRU−016濃度を増加させた。再度、リツキサン反応物にTRU−016を添加した場合にCDC活性が高くなったが、TRU−016の濃度を0.5μg/mLから2.5μg/mLに増加させても、これらの実験におけるCDC媒介性の死滅は有意に増加しなかった(データは示さず)。
【0204】
単独及び互いに組み合わせて使用するリツキサン及びTRU−016タンパク質を、CDCアッセイで使用した濃度と類似した濃度範囲を用いた、in vitroにおけるそれらのADCC活性について比較した。図18Dには、標識Ramos細胞標的及びヒトPBMCエフェクター細胞をエフクターと標的の比を25:1として使用し、TRU−016又はリツキサンを単独及び互いに組み合わせて、指示濃度範囲にわたって用いた、ADCCアッセイの結果を示す。エフェクター:標的の比を12.5:1にした場合に類似データが得られた。TRU−016二量体型とリツキサンはともに、CD20及びCD37標的抗原を発現するRamos細胞に対して、有意なレベルのADCCを媒介する;しかし、2つの試薬の組み合わせは、死滅レベルにおいて有意な増幅をもたらさない。
【0205】
[実施例9]
(TRU−016は、B細胞におけるアポトーシスを誘導する)
B細胞系アポトーシスに対するTRU−016の効果を調べる実験を実施した。異なるB細胞レセプターを標的とするTRU−016分子のアポトーシスに対する効果の初めのアッセイは、依然としてより高いオーダーの凝集を含むプロテインA精製物質を用いて実施した。CD37抗体又は改変TRU−016分子で処理してから24時間後に、アポトーシス活性の測定としてアネキシンVポジティブ細胞パーセンテージを使用し、かつ結合標的としてRamos及びBJAB細胞の両方を使用した複数の実験において、類似パターンの増加アポトーシスが観察された(データは示さず)。
【0206】
図19Aは、非フラクション化TRU−016とともにB細胞系をインキュベートした後、アポトーシスが有意に増加することを実証する。図19Aには、TRU−016(10μg/mL)とともに24時間インキュベートした後のRamos細胞のアネキシンV−PI染色のドットプロットを示す。アネキシンV−PI二重ポジティブ細胞%は、全集団の11.3%から32.8%に増加し、アネキシンVポジティブ−PIネガティブ細胞%は、8.5%から19.7%に増加し、これは、アポトーシスがTRU−016への暴露後に誘導されることを示した。これらのアッセイにおいて、結合標的としてRamos細胞を使用するか、BJAB細胞を使用するかに関わらず、類似データが得られた。
【0207】
B細胞系アポトーシスに対するTRU−016の効果を調べるさらなる実験を、より高度に精製したTRU−016の二量体型を用いて実施した(図19B)。インキュベーション反応の開始から24時間及び48時間後の両方においてサンプルを分析した。20μg/mLのTRU−016タンパク質を用いて複数の細胞タイプについてアネキシン/PI分析を実施した。アポトーシスは、TRU−016二量体型を用いた場合に減少したので、20μg/mLのヤギ抗ヒトIgGを反応物に添加して、細胞表面上に試薬を架橋させた。ついで、細胞をアネキシンV−FITC及びヨウ化プロピジウムで染色した。図19Bに示すデータは、TRU−016二量体ピークが、24〜48時間後にDaudi細胞のアポトーシスを誘導するが、抗ヒトIgGなどの架橋剤の存在により、CD37標的アポトーシスのレベルの有意な増加がもたらされることを実証する。
【0208】
ヒトPBMCを用いた培養物における、正常ヒトB細胞に対するTRU−016の効果を測定するための実験も実施した。図20A及び20Bには、その一つの実験結果を示し、ここで、媒体単独、TRU−016、又はリツキサンで48〜72時間処理したPBMC培養物に存在するCD19又はCD40ポジティブリンパ球(B細胞)のパーセンテージの柱状グラフを示す。
【0209】
ヒトPBMCは、LSM密度遠心分離により全血から単離した。1μg/mLのリツキサン又はTRU−016とともに細胞を48又は72時間インキュベートした。インキュベートした反応物の一部を実験開始後48時間で採取し、72時間で再度採取した。PBMCを洗浄し、FITC抗CD19、FITC抗CD40、又はFITC抗CD3とともに、氷上、45分間インキュベートした。ついで、これらの試薬で染色した全リンパ球パーセンテージを表にし、類似条件下ではあるが試験試薬を含めずにインキュベートし、処理サンプルについて染色したPBMCサンプルと比較した。図20A及びBには、指示試薬とともに48時間及び72時間後にポジティブFACsシグナルを与える、全リンパ球集団のフラクションの柱状グラフ(%)を示す。図20Cには、類似実験からの合成グラフを示し、これは、TRU−016(1μg/mL)とともにPBMCを24及び72時間インキュベートした後、指示CD抗原を発現するリンパ球(すなわち、CD19、CD40、又はCD3ポジティブ)の初めの数からの減少パーセンテージを示す。
【0210】
架橋の存在下、TRU−016二量体型又はリツキサンでの処理により、CD19及びCD40に対するポジティブ染色により測定されるとおり、PBMC培養物中のBリンパ球パーセンテージの減少がもたらされた。培養物中のBリンパ球パーセンテージは、実験開始時は低かったが、リツキサン又はTRU−016との共培養により、48時間後にはおよそ1.5〜2倍、72時間後には3倍超まで、PBMC培養物中のCD19及びCD40ポジティブリンパ球の数が減少した。48〜72時間後のB細胞枯渇のこの一般的なパターンは、サンプルに応じて、全リンパ球のおよそ3%から7%と同程度までの範囲にわたる、これらの培養物中のBリンパ球の初めの開始パーセンテージに関わらず、試験した全てのヒト正常PBMC培養物中で再生可能であった。
【0211】
図20Cには、TRU−016とともに24〜72時間インキュベートした短期間PBMC培養物中の、Tリンパ球に対するBリンパ球の枯渇パーセンテージの柱状グラフを示す。これらのデータは、TRU−016が、正常末梢血培養物から、CD37ポジティブBリンパ球を特異的に枯渇でき、TRU−016による非Bリンパ球との低レベルの結合(図1C)が、細胞集団からのこれらのリンパ球の有意な枯渇を媒介することに不十分であることを示す。
【0212】
[実施例10]
(TRU−016とリツキシマブとの組み合わせは、マウス腫瘍異種移植モデルにおいて腫瘍体積を相乗的に減少させる)
組み合わせ療法を探索するマウス腫瘍異種移植研究を、ヌードマウス(Harlan)、及びRamos又はDaudiヒト腫瘍系を用いて実施した。Ramos又はDaudi腫瘍細胞を、それらが80%の密集度を達成するまで、IMDM/10%FBS中、T150フラスコ中で増殖させた。マウス1匹当たり、500万個(5×106)の細胞を腫瘍接種材料として使用した。全体積0.1 mL又は5.0×107/mLで、PBSを用いて、右側に細胞を皮下注射した。ヌードマウスに腫瘍を成長させ、腫瘍サイズ/体積に基づいてグループ分けした。各処理グループについて、平均腫瘍体積がおよそ222 mm3(範囲=152〜296mm3)である12匹のマウスを使用した。平均腫瘍体積が237〜251 mm3の範囲であるものもいくつか使用した。以下の試薬の一つを、0日、2日、4日、6日、及び8日に動物に静脈注射(IV)した:単一試薬として、TRU−016 GPC POI(対象ピーク)、200μg/マウス;リツキサン、200μg/マウス、又は200若しくは400μg/マウスのヒトIgG(コントロール)、あるいは以下の組み合わせ試薬:マウス1匹当たり、それぞれ100μgのリツキサン+TRU−016;又はマウス1匹当たり、それぞれ200μgのリツキサン+TRU−016。腫瘍体積は、実験が完了するまで(犠牲又は寛解)、キャリパーを用いて毎日測定した。各動物について、処理時間の関数として腫瘍体積をプロットし、各グループ内で結果を平均化もした。
【0213】
より小さな腫瘍を用いて類似研究も実施し、ここで、153〜158 mm3の範囲にある、より小さな平均腫瘍体積を有し、かつRamos細胞よりむしろDaudi細胞を用いた場合により大きな腫瘍を有するグループに分けたマウスを使用した。これらの研究は、AAALAC認可動物施設で実施し、動物実験委員会(Institutional Animal Care and Use Committee;IACUC)のガイドラインに従った動物使用プログラムで実施した。
【0214】
図21は、12匹の動物の各グループにわたって平均化した、huIgG、リツキサン、及びその組み合わせであって、それぞれ100μg及び200μgを使用したものに対するTRU−016の有効性をグラフ化する。IV注射での処理後の時間の関数として腫瘍体積をプロットした。TRU−016での処理後の平均腫瘍体積は、ネガティブコントロール(huIgG)を用いて観察されたものよりも小さかった。生存%又は腫瘍を有さない動物%をグラフにした場合、より高い用量の組み合わせ療法は、このin vivo腫瘍モデルにおいて、より高い抗腫瘍活性を提示した。しかし、より低い用量(各100μg)では、組み合わせ療法は、より高用量での各単一試薬ほど効果的ではなかった。
【0215】
これらのデータは、TRU−016療法が、適切な用量でリツキサンと組み合わせて使用した場合に、単独のリツキサン療法よりも患者の腫瘍治療における有効性が高いであろうことを示す。
【0216】
[実施例11]
(TRU−016は、マウス腫瘍異種移植モデルにおいて、腫瘍体積を減少させ、生存率を増加させる)
マウス腫瘍異種移植研究は、ヌードマウス(Harlan)及びRamos又はDaudiヒト腫瘍系を用いて実施した。3つの異なる研究を、TRU−016又は他の試験試薬での処理時間における腫瘍タイプ及び腫瘍サイズに基づいて実施した。Ramos又はDaudi腫瘍細胞を増殖し、(5×106)細胞を右側に皮下注射して、腫瘍を有する各処理マウスを接種した。ヌードマウスに腫瘍を成長させ、腫瘍サイズ/体積に基づいてグループ分けした。第一の研究において、各処理グループについて、155〜237 mm3の平均腫瘍体積を有する12匹のマウスを使用した。以下の試薬の一つを、0日、2日、4日、6日、及び8日に動物に静脈注射(IV)した:リツキシマブ、200μg/マウス;TRU−016 GPC二量体ピーク、200μg/マウス;又はヒトIgG(コントロール)、400μg/マウス。腫瘍体積は、実験が完了するまで(犠牲又は寛解)、キャリパーを用いて毎日測定した。各動物について、処理時間の関数として腫瘍体積をプロットし、各グループ内で結果を平均化もした。グループ平均を図22Aに示し、他方、図22Bには、時間の関数として、各マウスグループについての生存パーセンテージデータの比較を示す。
【0217】
図22Aには、12匹の動物の各グループにわたって平均化した、Ramos腫瘍モデルにおけるhuIgG及びリツキサンと比較したTRU−016の有効性を示す。IV注射での処理後の時間の関数として腫瘍体積をプロットした。TRU−016での処理後の平均腫瘍体積は、ネガティブコントロール(huIgG)を用いて観察されたものよりも小さかった。図22Bは、huIgG、リツキサン、及びTRU−016を比較した、異なる処理グループについての生存曲線をグラフ化した。高いベースライン腫瘍体積を有する、より要求の厳しいRamos腫瘍モデルを利用して、TRU−016を投与すると、ヒトIgGに対して、腫瘍増殖率の阻害がもたらされた(データは示さず)。より小さなRamos腫瘍を有するマウスにTRU−016を投与すると、腫瘍増殖の阻害及び高い平均生存期間(median survival time)の両方がもたらされた。
【0218】
[実施例12]
(TRU−016は、他のB細胞表面レセプターのCDC活性に影響を及ぼさない)
TRU−016分子が、CD20に加えて、例えば、MHCII、CD19、CD80/86、及びCD40などの他のB細胞表面レセプターに対する抗体処理によりもたらされるCDC活性レベルを増幅するかを測定するために、CD20−CD37に対する組み合わせについてまさに記載した実験と類似した実験パネルを実施した。
【0219】
10%FBS含有Iscoves完全媒体中、Ramos細胞をウェルに添加した。MAb(試薬B:HD37−抗CD19、試薬C:9.4−抗CD45)、融合タンパク質(試薬D:CTLA−4 muIg−IgG2a、Ancell #501−820)、及び腹水(試薬A:HB10a−抗MHCII)を指示希釈率で添加し(図23を参照されたい)、リツキシマブ(0.05μg/mL)又はTRU−016(2μg/mL)を添加して、及び添加せずに、二連の反応物を準備した。反応物を37℃、30分間インキュベートした。細胞を洗浄し、NHSを、血清不含媒体中、10%の最終濃度へと添加した。補体源とともに、細胞を37℃、90分間インキュベートした。細胞を洗浄した;ヨウ化プロピジウムを、PBS中0.5μg/mLの最終濃度へと添加した;細胞を暗所下、室温、15分間インキュベートした;ついで細胞をフローサイトメトリーにより分析した。図23のパネルA〜Dにおける各グラフは、指示した滴定範囲にわたるPIポジティブ細胞%をプロットする。
【0220】
一般に、データは、これらのレセプターに対する抗体を単独で、又はTRU−016と組み合わせて使用した場合に、CDC活性のレベルにおける有意な差は存在しないことを示す(図23A〜D)。CD19及びCD45に対する試薬を、準最適濃度のTUR−016とともに使用した場合に、CDCレベルのわずかな増加が存在し得る。しかし、CDCレベルの差は、CD20−CD37組み合わせについて観察されたものに比べれば全く有意ではなかった。CD20及びCD37に対する試薬を組み合わせて使用した場合のCDCの増幅に加えて、抗クラスII(HB10a)、抗CD19、抗CD45(9.4)、又はCTLA4Igを準最適用量のリツキサンと組み合わせて使用した場合に観察される死滅レベルの増幅が存在するようである。
【0221】
[実施例13]
(TRU−016は、MHCII、CD19、CD80/86、及びCD40を含む他の標的レセプターのCDC活性を増幅しない)
TRU−016分子が、CD20に加えて他のB細胞表面レセプターに対する抗体処理によりもたらされるCDC活性レベルを増幅するかを測定するために、CD20−CD37に対する組み合わせについて記載した実験(実施例8を参照されたい)と類似の実験パネルを実施した。これらの実験結果を図23に示す。一般に、これらのレセプターに対する抗体を単独で、又はTRU−016と組み合わせて使用した場合、CDC活性レベルに有意な差は存在しなかった。CDCレベルは、準最適濃度のTRU−016とともに使用した場合、CD19及びCD45に対する試薬に反応してわずかに増加した。しかし、CDCレベルの差は、CD20−CD37組み合わせについて観察されたもの(実施例8を参照されたい)に比べれば全く有意ではなかった。CD20及びCD37に対する試薬を組み合わせて使用した場合のCDCの増幅に加えて、抗MHCII(HB10a)、抗CD19、抗CD45(9.4)、又はCTLA4Igを準最適用量のリツキサンと組み合わせて使用した場合に観察される死滅レベルの増幅が存在するようである。
【0222】
[実施例14]
(TRU−016は、マウス腫瘍異種移植モデルにおいて生存率を増加させる)
実施例11に記載したものを超えるマウス腫瘍異種移植研究を実施し、ヌードマウス(Harlan)及びRamos又はDaudiヒト腫瘍細胞系のいずれかを用いて、長期生存の増加についてのTRU−016の有効性を調べた。
【0223】
Ramos及びDaudi腫瘍細胞を別々に増殖し、マウスの右側に(5×106)細胞を皮下注射してマウス腫瘍異種移植の形成を開始した。腫瘍を成長させた後、マウスを腫瘍サイズ/体積(0日)に基づいてグループ分けした。以下の試薬の一つを、0日、2日、4日、6日、及び8日に動物に静脈注射(IV)した:リツキシマブ、200μg/マウス;TRU−016、200μg/マウス;リツキシマブ+TRU−016、100又は200μg/マウス;又はヒトIgG(コントロール)、400μg/マウス。腫瘍体積は、実験が完了するまで(犠牲又は寛解)、キャリパーを用いて週に3回盲検測定した。各動物について、処理時間の関数として腫瘍体積をプロットし、各グループ内で結果を平均化した。図24には、TRU−016、リツキシマブ、又はその組み合わせでの処理後(最大90日)、Ramos腫瘍を有するマウスの生存パーセンテージを示す。TRU−016+リツキシマブでの組み合わせ処理は、単一の薬剤療法単独での処理に対して平均生存期間を有意に増加させた。図25及び26には、TRU−016又はリツキシマブでの処理後(最大90日)、Daudi腫瘍を有するマウスの生存パーセンテージを示す。TRU−016での処理は、株化Daudi腫瘍における平均生存期間を増加させた(図25)。TRU−016は、Daudi腫瘍を有するマウスの生存を維持することについて、リツキシマブよりも効果的であった(図26)。
【0224】
株化Ramos腫瘍を有するマウスにおいて、単一薬剤としてTRU−016を投与することにより、腫瘍増殖阻害が実証され、単一薬剤として投与されたリツキシマブと同等の改善された生存期間が実証され、これはHuIgGコントロール処理マウスよりも優れていた。3つの実験からプールされたデータは、TRU−016とリツキシマブとの組み合わせ療法が、TRU−016(p=0.028)又はリツキシマブ(p=0.045)単療法と比較して、統計的に有意な生存期間の改善をもたらすことを実証した。腫瘍の完全寛解はまた、TRU−016及びリツキシマブ組み合わせグループで強められた。TRU−016+リツキシマブ200μg組み合わせグループの42%が、TRU−016又はリツキシマブ単独のいずれかで処理したマウスにおける20%の腫瘍寛解率と比較して、それらの腫瘍の長期完全寛解を達成できた(表3及び図24を参照されたい)。
【0225】
【表3】
【0226】
腫瘍増殖の減少、及び改善された生存期間は、Daudi腫瘍異種移植モデルにおけるTRU−016処理後に見られた(表4並びに図25及び26を参照されたい)。TRU−016投与は、コントロールグループと比較して、生存期間を有意に高めた。コントロール及びリツキシマブグループの両方と比較した、腫瘍を有さないマウスのパーセンテージの増加もまた、このモデルにおけるSMIP−016処理で観察された。
【0227】
【表4】
【0228】
CD37に対するSMIP(TRU−016)での処理は、Ramos腫瘍異種移植モデルにおける腫瘍体積の減少及び生存期間の増加について、リツキシマブ単療法と同程度に効果的である。TRU−016+リツキシマブの組み合わせ療法は、Ramos腫瘍異種移植モデルにおいて、リツキシマブ又はTRU−016単療法のいずれかと比較した、腫瘍体積の減少、及び生存期間の有意な改善の利益を高めることを実証した。Daudi異種移植モデルにおいて、TRU−016処理マウスは、HuIgGコントロールと比較して、平均生存期間の統計的に有意な増加を実証した。リツキシマブでの処理は、コントロールマウスと比較して、生存期間を延長しなかった。これらのデータは、これらのNHL異種移植モデルにおけるCD37に対する療法の有効性を明らかにする。
【0229】
[実施例15]
(TRU−016は、in vitroにおいて、CLL細胞のフルダラビン誘導性細胞死を増強する)
フルダラビンは、血液学的悪性腫瘍の治療で使用される化学療法剤である。フルダラビンは、リボヌクレオチド還元酵素及びDNAポリメラーゼを妨げることによりDNA合成を阻害するプリン類似体である。フルダラビンは、分裂及び静止細胞の両方に対して活性である。フルダラビンは、慢性リンパ球性白血病(CLL)の治療に非常に効果的であり、クロラムブシルなどの単独のアルキル化剤よりも高い反応率を生じる(Rai et al., N. Engl. J. Med. 343:1750−1757, 2000)。フルダラビンは、緩慢性リンパ腫及び非ホジキンリンパ腫の治療において、シクロホスファミド、ミトキサントロン、デキサメタゾン、及びリツキシマブとの様々な組み合わせで使用される。しかし、フルダラビンに対する抵抗性もまた治療で観察されている。フルダラビンは、CLL細胞においてカスパーゼ依存性アポトーシスを誘導し、TRU−016により媒介されるアポトーシスは、カスパーゼ活性化に依存しないようである。本研究では、CLL細胞に対する、TRU−016とフルダラビンとの効果を調べた。
【0230】
細胞を0.1〜100μg/mLの範囲の用量のTRU−016、及び0〜20μMの範囲の用量のフルダラビンで処理した(図27を参照されたい)。TRU−016は、Trubion Pharmaceuticals(Seattle, WA)により提供された。フルダラビン(F−araA)は、SIGMA(St. Louis, MO)から購入した。RPMI 1640媒体は、Invitrogen(Carlsbad, CA)から購入した。フルオレセインイソチオシアネート(FITC)標識アネキシンV、及びヨウ化プロピジウム(PI)は、BD Pharmingen, San Diego, CAから購入した。[3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)は、Sigma(St. Louis, MO)から購入した。B−CLL細胞は、フィコール密度勾配遠心分離(Ficoll−Paque Plus, Amersham Biosciences, Piscataway, NJ)を用いて、提供後すぐに単離した。単離した単核細胞を、10%熱失活ウシ胎児血清(FBS, Hyclone Laboratories, Logan, UT)、2 mMのL−グルタミン(Invitrogen, Carlsbad, CA)、及びペニシリン(100 U/mL)/ストレプトマイシン(100μg/mL;Sigma−Aldrich, St. Louis)を添加したRPMI 1640媒体中、5%CO2気相下、37℃でインキュベートした。新鮮単離B−CLL細胞を、表面染色以外のここに記載する全ての実験で使用した。90%未満のB細胞を有するこれらのサンプルについて、ネガティブ選択を適用し、B細胞単離キットII(Miltenyi Biotec, Auburn, CA)を用いるか、又はStem Cell Technologisの「Rosette−Sep」キット(Vancouver, British Columbia, Canada)により、製造者が提案するプロトコルに従って非B細胞を枯渇させた。Raji(ヒトバーキットリンパ腫細胞系)細胞系はATCCから購入し、10%FBSを含み、ペニシリン、ストレプトマイシン、及びグルタミンを添加したRPMI 1640媒体中で維持した。細胞密度が1×106/mLに達したときに、細胞を1:3に分けた。各研究の前夜に媒体を交換し、用いるべき新鮮細胞を確保した。
【0231】
本明細書に記載のとおり細胞をin vitroで処理した。フルダラビンの1:4の段階希釈(44、11、2.8、0.7、0.17、及び0.04μM)は、2 mLの薬剤含有媒体を、6 mLの何も入っていない媒体(blank media)を含む次のウェルへと移すことにより、6ウェルプレート中で準備した。別々の6ウェルプレートにおいて、媒体中、TRU−016の1:4の段階希釈(44、11、2.8、0.7、0.17、及び0.04μg/mL)を同一の希釈手順を用いて準備した。各プレートから、0.45 mLの媒体を48ウェルプレート中の設計ウェル(designed well)に移し、媒体中、混合薬剤溶液を作製した(各ウェル中全部で0.9 mL)。ついで、1×107細胞/mLの密度で媒体中に懸濁したCLL細胞(0.1 mL)を各ウェル中0.9 mLの媒体に添加し、最終密度を1×106細胞/mLとした。Raji細胞について、最終的な細胞密度は、5×104細胞/mLであった。従って、用いた細胞懸濁液は、5×105細胞/mLであった。MTTアッセイのために、薬剤の段階希釈物を96ウェルプレート中に準備し、細胞でのインキュベーションのために、他の96ウェルプレートに移した。インキュベーションのための全体積は、200μL(90μLのフルダラビン溶液、90μLのTRU−016溶液、及び20μLの細胞懸濁液)である。細胞生存率は、48時間でMTTアッセイを用いて評価し、アポトーシスは、24時間でアネキシンV/PIを用いて測定した。
【0232】
MTTアッセイを実施し、本明細書に記載のとおり細胞生存率を測定した。簡単に述べると、106 CLL細胞を96ウェルプレートに播種した。細胞を48時間インキュベートした。50μLのMTT希釈標準溶液(2 mg/mL;5 mg/mLのMTT試薬をRPMI 1640と2:3 v/vで混合することにより調製)を各ウェルに添加し、細胞を8時間インキュベートした。プレートを遠心分離し、上清を除去し、100μLの溶解溶液(lysis solution)に溶解した。O.D. 540でプレートリーダーを用いてサンプルを測定した。細胞生存率は、媒体コントロールと比較した生存率パーセンテージとして表した。
【0233】
抗体でのインキュベーション後のCLL細胞のアポトーシスは、FACS分析と、アネキシンV−FITC/ヨウ化プロピジウム(PI)染色を用いることにより測定した。200μLの1×結合バッファー(BD Pharmingen)中の5×105細胞を5μLのアネキシンV(BD Pharmingen)及び5μLのPI(BD Pharmingen)で染色し、暗所下、室温、15分間置いておき、その後、300μLの1×バッファーと懸濁して、フローサイトメトリーにより分析した。染色していない細胞、アネキシンVのみで染色された細胞、及びPIのみで染色された細胞を準備した。全てのフローサイトメトリー実験のために、Beckman−Coulter EPICS XLサイトメーター(Beckman−Coulter, Miami, FL)を用いてFACS分析を実施した。フルオロフォアは488 nmで励起された。FITC−蛍光は、FL1で測定し、他方、PI及びPE蛍光はFL3で測定した。システムIIソフトウェアパッケージ(Beckman−Coulter)を適用してデータを分析した。カウント細胞数は、各サンプルについて、10,000で設定した。
【0234】
相乗効果は、アイソボログラム方法を用いることにより測定した。相乗作用を同定するために、薬剤組み合わせの効果を、各薬剤単独の効果と比較した。これは、方程式:Ca/Ca,b+Cb/Cb,a=CIに基づき、ここで、Ca及びCbは、所望の効果(例えば、50%細胞死)を生じる、薬剤A及び薬剤B単独のそれぞれの濃度である。Ca,b及びCb,aは、同じ効果を生じる、薬剤A及び薬剤Bの組み合わせのそれぞれの濃度である。CIは、組み合わせ指数である。50%の死(IC50)を誘導する、フルダラビン及びTRU−016の濃度を測定し、図27Cに示す[フルダラビンのIC50(I)及びTRU−016のIC50(II)]。軸上のこれらの2つの点間の直線は、相加効果のラインである。その後、50%の細胞死を達成するフルダラビンとTRU−016の異なる組み合わせも生存率研究から測定し、同一グラフにプロットした。点が相加的ラインを下回る場合に、相乗作用が示される。点が前記ラインを上回る場合に、拮抗作用が示される。点が前記ライン上にある場合に、相加作用が示される。
【0235】
図27には、TRU−016が、フルダラビンで処理した細胞において、相対細胞生存率を効果的に減少させ、それにより、フルダラビン単独の細胞障害効果を増強することを示す。従って、この研究は、血液学的悪性腫瘍の治療において、TRU−016をフルダラビンと共投与でき、結果として高められた有効性(すなわち、CLL細胞の相乗的減少)がもたらされるという証拠を提供する。
【0236】
[実施例16]
(TRU−016は、リツキシマブ抵抗性細胞において、直接的な細胞毒性を誘起する)
本明細書に開示するとおり、リツキシマブは、NHL、FCC、MCL、DLCL、SLL、及びCLLの治療で使用されるモノクローナル抗体である。本研究は、リツキシマブに抵抗性のある細胞において直接的な細胞毒性を誘起するTRU−016の有効性を測定するために実施した。
【0237】
リツキシマブ抵抗性細胞(1×106細胞)(Raji 4RH及びRL 4RH、Dr. Myron S. Czuczman, Roswell Park Cancer Institute, Buffalo, NYにより提供)を、5倍過剰量のヤギ抗ヒトIgGの存在下、ハーセプチン(10μg/mL)、リツキシマブ(10μg/mL)、又はTRU−016(5μg/mL)とともに24時間処理した。直接的な細胞毒性は、アネキシン/PI染色により測定し、細胞生存率(パーセント)は、コントロール細胞(ハーセプチンで処理した細胞)に対して計算した。
【0238】
TRU−016は、リツキシマブ抵抗性細胞系において、リツキシマブよりも高い細胞毒性を誘起した(図28を参照されたい)。従って、TRU−016は、リツキシマブ抵抗性細胞において細胞毒性を誘起するための有効な薬剤であり、リツキシマブ抵抗性細胞、例えばある種のB細胞などにより特徴付けられるか、又はそれらと関連する病気に対する療法として有用となる。
【0239】
[実施例17]
(TRU−016は、CD19+初代CLL B細胞において、チロシンリン酸化を誘起する)
TRU−016が、B細胞におけるシグナル伝達をどのようにして誘起するかを測定するために、チロシンリン酸化に対するTRU−016の効果を調べるための実験を実施した。
【0240】
CLL患者からの新鮮単離CD19+細胞(〜50〜100×106)を5×106/mL PBS濃度で懸濁した。ついで細胞をコントロール、トラスツズマブ(ハーセプチン)又はTRU−016(最終濃度5μg/mL)とともに、5%CO2、37℃、10分間インキュベートした。細胞を沈降させ、上清を除去し、初めの体積の新鮮PBS中に細胞を再懸濁した。ヤギ抗ヒトFcフラグメント特異的架橋剤(25μg/mL)を添加し、細胞をさらに5分間インキュベートした。細胞を再度沈降させ、上清を除去し、プロテアーゼ及びホスファターゼ阻害剤を含む1 mLのRIPA溶解バッファー(10 mMのTris、pH 7.4、150 mMのNaCl、1%のTriton X−100、1%のデオキシコール酸、0.1%のSDS、及び5 mMのEDTAであり全て最終濃度である)に細胞を溶解した。Sigmaプロテアーゼ阻害剤カクテルcat# P−8340;Sigmaホスファターゼ阻害剤カクテル:セリン/スレオニンホスファターゼ阻害剤カクテルcat# P−2850;及びチロシンホスファターゼ阻害剤cat# P−5726;PMSF(100 mM)を全て使用した。阻害剤を溶解バッファーに添加し、その直後に1:100希釈で使用した。溶解物中のタンパク質濃度は、ビシンコニン酸(BCA)法により定量化した(Pierce, Rockford, IL)。コントロール及び処理タンパク質サンプル(50μgの全タンパク質)を二次元ゲル電気泳動(pH範囲3〜10)(一次元目)及び10%SDS−PAGE(二次元目)により分離した。タンパク質を0.2 Nmのニトロセルロースメンブレン(Schleicher & Schuell, Keene, NH)に移し、抗ホスホチロシン抗体クローン4G10(Upstate Biotechnology)を用いて、標準プロトコルを使用した免疫ブロット分析に供した。西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合ヤギ抗ウサギIgGを二次抗体として使用した。リンタンパク質の検出は、化学発光基質(SuperSignal, Pierce Inc. Rockford, IL)を用いて行った。
【0241】
TRU−016は、二次元ゲル分析により示すとおり(図29を参照されたい)、CD19+初代CLL B細胞においてチロシンリン酸化を誘起した。従って、これらの実験は、TRU−016が作用する1つの方法が、チロシンリン酸化経路を介することを示す。
【0242】
[実施例18]
(ヒト化TRU−016分子)
実施例1に記載したとおり、CD37特異的SMIP(例えば、TRU−016)は、共有の米国仮特許出願第10/627,556号、並びに米国特許出願公開第2003/133939号、同第2003/0118592号、及び同第2005/0136049号に記載されている。これらの記載は、参照により本明細書に援用される。例となるCD37特異的SMIPであるTRU−016ポリペプチド(配列番号2)を生成し、本明細書に記載した。本実施例では、ヒト化TRU−016 SMIPを提供する。
【0243】
ヒト化抗体は、当分野で公知であり、米国特許出願公開第2006/0153837号に記述されている。本出願は、SMIPをヒト化するため、特にTRU−016をヒト化するために、抗体ヒト化と関連する技術(以下に記載)を使用する。
【0244】
「ヒト化」により、ほとんど免疫原性がなく、元の分子の抗原結合特性を完全に保持する抗体がもたらされることが見込まれる。元の抗体の抗原結合特性の全てを保持するために、その抗原結合部位の構造は、「ヒト化」バージョンにおいて再生されるべきである。これは、必須のフレームワーク残基の保持の有無に関わらず、ヒト可変フレームワークドメイン及び定常領域上に非ヒトCDRのみを移植することによるか(Jones et al., Nature 321:522(1986);Verhoeyen et al., Scinece 239:1539(1988))、又は全体の非ヒト可変ドメインを再結合するが(リガンド結合特性を保存するため)、暴露される残基の慎重な置換を介してヒト様表面でそれらを「覆う(cloaking)」ことにより(抗原性を低下させるため)(Padlan, Molec. Immunol. 28:489(1991))、達成され得る。
【0245】
基本的に、CDR移植によるヒト化は、ヒト可変領域フレームワーク及びヒト定常領域上に、非ヒト抗体のCDRのみを再結合することを伴う。理論的には、これは免疫原性を実質的に低減又は排除するべきである(アロタイプ又はイディオタイプの差が存在する場合を除く)。しかし、元の抗体のある種のフレームワーク残基が保存される必要があり得ることが報告されている(Reichmann et al., Nature, 332:323(1988);Queen et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86:10,029(1989))。
【0246】
保存される必要があるフレームワーク残基は、コンピューターモデリングを介して容易に同定できる。別法として、必須のフレームワーク残基は、公知の抗原結合部位構造を比較することにより、同定される可能性があり得る(Padlan, Molec. Immun., 31(3):169−217(1994)であって、参照により本明細書に援用される)。
【0247】
抗原結合に潜在的に影響を及ぼす残基は、複数のグループに分類される。第一のグループには、抗原部位表面と隣接(contiguous)する残基が含まれ、これは、その結果、抗原と直接接触し得る。これらの残基には、アミノ末端残基、及びCDRと近接する残基が含まれる。第二のグループには、CDR、又は抗体における別のペプチド鎖のいずれかと接触させることにより、CDRの構造又は相対的アラインメントを変え得る残基が含まれる。第三のグループには、可変ドメインの構造的完全性に影響を及ぼし得る、埋もれた(buried)側鎖を有するアミノ酸が含まれる。これらのグループの残基は、通常、同一の位置で発見されるが(Padlan, 1994、上記参照)、ただし、同定されるとおりのそれらの位置は、番号付けシステムに応じて異なり得る(Kabat et al.,「Sequences of proteins of immunological interest」, 5th ed., Pub. No. 91−3242, U.S. Dept. Health & Huma Services, NIH, Bethesda, Md., 1991を参照されたい)。
【0248】
本発明は、抗体ではなくSMIPのヒト化を対象としているが、当分野でのヒト化抗体についての知識は、本発明のSMIPに適用可能である。ヒト化TRU−016分子のいくつかの例を下記表5に記載する。
【0249】
本発明のヒト化TRU−016構築物を作製するために、TRU−016のマウスフレームワーク領域を、重鎖についてはヒトVH1及びVH5フレームワーク残基に、軽鎖についてはVK1及びVK3に配置した。マウス可変領域のCDRとのフレームワーク適合性について、最も良い適合を分析した。選択される、複数の同等に適合する組み合わせが存在したが、我々は、VK3(X01668)、VH5−51(Z12373)組み合わせを用いて以前に成功していたので、15aa Gly4Ser((g4s)3)scFvリンカーにより結合されたこれらのヒトフレームワークを用いてヒト化抗CD37 SMIPを設計した。以前に記載した構築物と同様に、VK3構築物は、好ましいFR4適合としてJK1で構築し、VH5は、FR4をコードするJH2で構築した。SMIPは、オーバーラップオリゴヌクレオチドPCRを用いて、de novo構築した。全長生成物を、ヒトIgG1ヒンジ、CH2、及びCH3を有するフレームで、SMIP発現ベクターにクローニングした。これらのクローンを配列検証し、COS−7細胞にトランスフェクトして、B細胞リンパ腫系であるRamosとの結合について、3日馴化媒体(conditioned media)を試験した。ヒト化を増加させるために、L25、L27、及びL28位において軽鎖のCDR1中に変化を組み込み、この変化は良好な耐性を示し、元のヒト化分子019001と同等の結合活性を示した。さらなるDNA構築物を同様に作製し、様々なヒトJH領域によりコードされる、生殖細胞系アミノ酸、H100−H102を組み込むことにより、VH領域のCDR3を変えた。発現レベル、及びRamos細胞上でのCD37との結合の程度について構築物を調べた。
【0250】
【表5A】
【表5B】
【表5C】
【0251】
ヒト化TRU−016構築物番号019001(配列番号6;H016−019001)及び非ヒト化TRU−016(配列番号2;016−G28−1)のアミノ酸コンセンサス配列を図30AにKabat番号付けを用いて示す。図30Bには、ヒト化TRU−016構築物番号019001(配列番号6)、019008(配列番号86)、及び019009(配列番号88)のアミノ酸配列アラインメントを示す。
【0252】
Ramos B細胞への高いCD37特異的結合を実証する、3つのヒト化TRU−016構築物(019001、019041、及び019044)のDNA及びアミノ酸配列アラインメントを図31に示す。
【0253】
同一の3つのヒト化TRU−016構築物(019001、019041、及び019044)のFASTAフォーマット化DNA及びアミノ酸配列アラインメントを図32に示す。
【0254】
本発明のヒト化TRU−016分子で使用されてよい、さらなるヒンジ領域(表6)及びフレームワーク領域(表7)を以下に提供する。
【0255】
【表6A】
【表6B】
【表6C】
【0256】
【表7A】
【表7B】
【表7C】
【0257】
上記の例となる実施例に記載の本発明において多数の修正及び変形が生じることを当業者ならば予期する。結果として、添付の特許請求の範囲に現れる限定のみが本発明で認識されるべきである。
【0258】
【表8A】
【表8B】
【表8C】
【表8D】
【表8E】
【表8F】
【図面の簡単な説明】
【0259】
【図1】図1Aには、TRU−016分子の構造を示す;図1Bには、SDS−PAGE分析の結果を示し、これは、発現タンパク質が、非還元条件下ではおよそ110 kDa、還元条件を受けた場合にはおよそ52 kDaのMrで移動することを実証する;かつ図1Cには、フローサイトメトリーにより分析した場合、TRU−016分子が、ヒト末梢血Bリンパ球と高レベルで特異的に結合し、かつ非B細胞リンパ球ゲートにおける他の細胞亜集団(CD19ネガティブ集団)とは非常に低いレベルでしか結合しないことを実証することを示す。
【図2】図2A〜Eには、異なるCD37標的試薬による結合阻害を示す。
【図3A】図3Aは、コブラ毒因子(CVF)とともに又は含めずに正常ヒト血清中でRamos B細胞とインキュベートした、TRU−016分子形態のFITC C1q結合を実証する。
【図3B】図3Bには、CVFとともに又は含めずに正常ヒト血清中でRamos B細胞とインキュベートした、TRU−016分子形態のCDC活性を示す。
【図3C】図3Cには、Ramos B細胞及びヒト又はウサギ補体とインキュベートした、TRU−016分子形態のCDC活性を示す。
【図4A】図4には、TRU−016のGPC精製から得られたHPLCサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)トレースを示し、これは、回収した異なるフラクションについて滞留時間に対する吸光度をプロットしている。
【図4B】図4には、TRU−016のGPC精製から得られたHPLCサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)トレースを示し、これは、回収した異なるフラクションについて滞留時間に対する吸光度をプロットしている。
【図4C】図4には、TRU−016のGPC精製から得られたHPLCサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)トレースを示し、これは、回収した異なるフラクションについて滞留時間に対する吸光度をプロットしている。
【図5】図5Aには、SECフラクションの結合特性を示す;図5Bには、SECフラクションのCDC活性を示す;かつ図5Cには、SECフラクションのADCC活性を示す。
【図6】図6には、Ramos B細胞における、TRU−015、リツキサン、TRU−016、又はその組み合わせのCDC活性を示す。
【図7】図7には、DHL−4 B細胞における、TRU−015のCDC活性に対するTRU−016の効果を示す。
【図8】図8には、TRU−015及びリツキサンのCDC活性に対するTRU−016の効果を示す。
【図9】図9には、CDCアッセイにおける、TRU−015に対するTRU−016の効果を示す。
【図10】図10には、CDCアッセイにおける、リツキサンに対するTRU−016の効果を示す。
【図11】図11には、BJAB細胞を用いたADCCアッセイにおける、TRU−015とTRU−016との相互作用を示す。
【図12】図12には、Daudi細胞を用いたADCCアッセイにおける、TRU−015とTRU−016との相互作用を示す。
【図13】図13には、Ramos細胞を用いたADCCアッセイにおける、TRU−015とTRU−016との相互作用を示す。
【図14】図14には、BJAB細胞の特異的死滅に対する、リツキサン、TRU−016、及びその組み合わせの効果を示す。
【図15】図15には、BJAB細胞の特異的死滅に対する、リツキサン、TRU−016、及びその組み合わせの効果を示す。
【図16】図16には、BJAB細胞の特異的死滅に対する、TRU−015、TRU−016、及びその組み合わせの効果を示す。
【図17】図17には、BJAB細胞の特異的死滅に対する、TRU−015、TRU−016、及びその組み合わせの効果を示す。
【図18A】図18Aには、TRU−016二量体型が、CDCを媒介するのみならず、in vitroにおいてリツキシマブのCDC活性を増強することを示す。
【図18B】図18Bには、TRU−016二量体型が、CDCを媒介するのみならず、in vitroにおいてリツキシマブのCDC活性を増強することを示す。
【図18C】図18Cには、TRU−016二量体型が、CDCを媒介するのみならず、in vitroにおいてリツキシマブのCDC活性を増強することを示す。
【図18D】図18Dには、TRU−016二量体型が、CDCを媒介するのみならず、in vitroにおいてリツキシマブのCDC活性を増強することを示す。
【図19】図19A及びBには、プロテインA精製TRU−016が、Ramos及びDaudi細胞のアポトーシスを誘導する一方、二量体型は架橋を必要とすることを実証する。
【図20】図20には、TRU−016が、PBMC培養物から正常B細胞を優先的に枯渇させることを示す。
【図21】図21には、動物における腫瘍体積に対する、huIgG、リツキサン、及びTRU−016とリツキサンとの組み合わせ処理と比較したTRU−016の有効性を実証する。
【図22】図22A及びBには、TRU−016二量体型が、マウス異種移植腫瘍モデルにおける腫瘍体積及び生存率に対する効果により測定されるとおり、有意な抗腫瘍活性を提示することを示す。
【図23】図23には、TRU−016二量体型が、MHCII、CD19、CD80/86、又はCD45特異的試薬での処理によりもたらされるCDC活性を増加させないことを実証する。
【図24】図24には、TRU−016、リツキシマブ、又はその組み合わせでの処理後(最大90日)、Ramos腫瘍を有するマウスの生存率を示す。
【図25】図25には、TRU−016又はリツキシマブでの処理後(最大90日)、Daudi腫瘍を有するマウスの生存率を示す。
【図26】図26には、TRU−016又はリツキシマブでの処理後(最大90日)、Daudi腫瘍を有するマウスの生存率を示す。
【図27】図27には、TRU−016が、フルダラビンで処理した細胞において相対細胞生存率を効果的に減少させ、それにより、フルダラビン単独の細胞障害効果を増強したことを示す。
【図28】図28には、TRU−016が、リツキシマブ抵抗性細胞系において、ハーセプチン又はリツキシマブよりも高い細胞毒性を誘起したことを示す。
【図29】図29には、TRU−016が、CD19+初代CLL B細胞において、チロシンリン酸化を誘起したことを示す。
【図30A】図30Aには、Kabatの番号付けを用いた、ヒト化TRU−016構築物番号019001(配列番号6)及びTRU−016(配列番号2)のコンセンサスアミノ酸配列を示す。
【図30B】図30Bには、3つのヒト化TRU−016構築物(019001、019008、及び109009)のアミノ酸配列アラインメントを示す。
【図31】図31には、3つのヒト化TRU−016構築物(019001、019041、及び019044)のDNA及びアミノ酸配列アラインメントを示す。
【図32A】図32には、同じ3つのヒト化TRU−016構築物(019001、019041、及び019044)のFASTAフォーマット化配列アラインメントを示す。
【図32B】図32には、同じ3つのヒト化TRU−016構築物(019001、019041、及び019044)のFASTAフォーマット化配列アラインメントを示す。
【図32C】図32には、同じ3つのヒト化TRU−016構築物(019001、019041、及び019044)のFASTAフォーマット化配列アラインメントを示す。
【図32D】図32には、同じ3つのヒト化TRU−016構築物(019001、019041、及び019044)のFASTAフォーマット化配列アラインメントを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又は複数のCD37特異的結合分子と、1つ又は複数のCD20特異的結合分子との相乗的な組み合わせにB細胞を暴露する工程を含む、B細胞減少方法。
【請求項2】
1つ又は複数のCD37特異的小モジュール免疫薬剤(SMIP)と、1つ又は複数のCD20特異的抗体との相乗的な組み合わせにB細胞を暴露する工程を含む、B細胞減少方法。
【請求項3】
前記CD37特異的SMIPがTRU−016である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記CD20特異的抗体がリツキサンである、請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記CD37特異的SMIPがTRU−016であり、前記CD20特異的抗体がリツキサンである、請求項2記載の方法。
【請求項6】
CD37特異的SMIPとCD20特異的SMIPとの相乗的な組み合わせにB細胞を暴露する工程を含む、B細胞減少方法。
【請求項7】
前記CD37特異的SMIPがTRU−016である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記CD20特異的抗体がTRU−015である、請求項6記載の方法。
【請求項9】
前記CD37特異的SMIPがTRU−016であり、前記CD20特異的抗体がTRU−015である、請求項6記載の方法。
【請求項10】
補体依存性細胞障害によるB細胞の減少が、前記組み合わせでの処理により相乗的に高まる、請求項1、2、又は6記載の方法。
【請求項11】
異常なB細胞活性と関連する病気を有するか、又は有する疑いのある個体の治療方法であって、1つ又は複数のCD37特異的結合分子と、1つ又は複数のCD20特異的結合分子との相乗的な組み合わせを個体に投与する工程を含む、方法。
【請求項12】
異常なB細胞活性と関連する病気を有するか、又は有する疑いのある個体の治療方法であって、1つ又は複数のCD37特異的SMIPと、1つ又は複数のCD20特異的抗体との相乗的な組み合わせを個体に投与する工程を含む、方法。
【請求項13】
異常なB細胞活性と関連する病気を有するか、又は有する疑いのある個体の治療方法であって、1つ又は複数のCD37特異的SMIPと、1つ又は複数のCD20特異的SMIPとの相乗的な組み合わせを個体に投与する工程を含む、方法。
【請求項14】
前記病気が、B細胞リンパ腫、B細胞白血病、B細胞骨髄腫、自己抗体産生により特徴付けられる病気、及びB細胞経路と関連する不適切なT細胞刺激により特徴付けられる病気からなる群から選択される、請求項11、12、又は13記載の方法。
【請求項15】
前記自己抗体産生により特徴付けられる病気が、特発性炎症性筋疾患、関節リウマチ、重症筋無力症、グレーブス病、I型糖尿病、多発性硬化症、自己免疫疾患、皮膚筋炎、多発性筋炎、及びワルデンストロームマクログロブリン血症からなる群から選択される、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記組み合わせが、第二の薬剤と併用して投与される、請求項14記載の方法。
【請求項17】
前記第二の薬剤が、サイトカイン、ケモカイン、増殖因子、化学療法剤、又は放射線療法剤である、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記第二の薬剤が免疫抑制剤である、請求項16記載の方法。
【請求項19】
SMIPが、約0.01〜約50 mg/kgの用量範囲で投与される、請求項12又は13記載の方法。
【請求項20】
SMIPが、約0.015〜約30 mg/kgの用量範囲で投与される、請求項19記載の方法。
【請求項21】
SMIPが、約0.015、約0.05、約0.15、約0.5、約1.5、約5、約15、又は約30 mg/kgの用量で投与される、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記組み合わせの結合分子が、約24時間以内に連続して投与されるか、又は同時に投与される、請求項11、12、又は13記載の方法。
【請求項23】
前記結合分子が、約0.5〜約10 nMのアフィニティを有する、請求項11記載の方法。
【請求項24】
前記結合分子が、約7〜約30日の循環半減期を有する、請求項11記載の方法。
【請求項25】
CD37特異的結合分子と、CD20特異的結合分子と、請求項11記載の方法を示すラベルとを含む、製造品。
【請求項26】
CD37特異的SMIPと、CD20特異的抗体と、請求項12記載の方法を示すラベルとを含む、製造品。
【請求項27】
CD37特異的SMIPと、CD20特異的SMIPと、請求項13記載の方法を示すラベルとを含む、製造品。
【請求項28】
1つ又は複数のCD37特異的結合分子にB細胞を暴露する工程を含む、B細胞減少方法。
【請求項29】
1つ又は複数のCD37特異的小モジュール免疫薬剤(SMIP)と、1つ又は複数のCD37特異的抗体との組み合わせにB細胞を暴露する工程を含む、B細胞減少方法。
【請求項30】
前記CD37特異的SMIPがTRU−016である、請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記CD37特異的抗体が、G28−1、MB371、BL14、NMN46、IPO24、HH1、及びWR17からなる群から選択される、請求項29記載の方法。
【請求項32】
補体依存性細胞障害によるB細胞の減少が、前記組み合わせでの処理により高まる、請求項28又は29記載の方法。
【請求項33】
異常なB細胞活性と関連する病気を有するか、又は有する疑いのある個体の治療方法であって、1つ又は複数のCD37特異的結合分子を前記個体に投与する工程を含む、方法。
【請求項34】
異常B細胞活性と関連する病気を有するか、又は有する疑いのある個体の治療方法であって、1つ又は複数のCD37特異的SMIPを前記個体に投与する工程を含む、方法。
【請求項35】
異常B細胞活性と関連する病気を有するか、又は有する疑いのある個体の治療方法であって、1つ又は複数のCD37特異的SMIPと、1つ又は複数のCD37特異的抗体との組み合わせを前記個体に投与する工程を含む、方法。
【請求項36】
前記病気が、B細胞リンパ腫、B細胞白血病、B細胞骨髄腫、自己抗体産生により特徴付けられる病気、及びB細胞経路と関連する不適切なT細胞刺激により特徴付けられる病気からなる群から選択される、請求項33、34、又は35記載の方法。
【請求項37】
前記自己抗体産生により特徴付けられる病気が、特発性炎症性筋疾患、関節リウマチ、重症筋無力症、グレーブス病、I型糖尿病、多発性硬化症、自己免疫疾患、皮膚筋炎、多発性筋炎、及びワルデンストロームマクログロブリン血症からなる群から選択される、請求項36記載の方法。
【請求項38】
前記組み合わせが、第二の薬剤と併用して投与される、請求項35記載の方法。
【請求項39】
前記第二の薬剤が、サイトカイン、ケモカイン、増殖因子、化学療法剤、又は放射線療法剤である、請求項38記載の方法。
【請求項40】
前記第二の薬剤が免疫抑制剤である、請求項38記載の方法。
【請求項41】
前記SMIPが、約0.01 mg/kg〜約50 mg/kgの用量範囲で投与される、請求項34又は35記載の方法。
【請求項42】
前記SMIPが、約0.015 mg/kg〜約30 mg/kgの用量範囲で投与される、請求項41記載の方法。
【請求項43】
前記SMIPが、約0.015 mg/kg、約0.05 mg/kg、約0.15 mg/kg、約0.5 mg/kg、約1.5 mg/kg、約5 mg/kg、約15 mg/kg、又は約30 mg/kgの用量で投与される、請求項42記載の方法。
【請求項44】
前記組み合わせの結合分子が、約24時間以内に連続して投与されるか、又は同時に投与される、請求項33、34、又は35記載の方法。
【請求項45】
前記結合分子が、約0.5〜約10 nMのアフィニティを有する、請求項33記載の方法。
【請求項46】
前記結合分子が、約7〜約30日の循環半減期を有する、請求項33記載の方法。
【請求項47】
CD37特異的結合分子と、請求項33記載の方法を示すラベルとを含む、製造品。
【請求項48】
CD37特異的SMIPと、請求項34記載の方法を示すラベルとを含む、製造品。
【請求項49】
CD37特異的SMIPと、CD37特異的抗体と、請求項35記載の方法を示すラベルとを含む、製造品。
【請求項50】
配列番号2に記載のポリペプチドと少なくとも80%の同一性を示すヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、前記ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドがCD37と結合する、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項51】
配列番号6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、80、82、84、86、及び88からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項52】
軽鎖CDR1、重鎖CDR1、軽鎖CDR2、重鎖CDR2、軽鎖CDR3、及び重鎖CDR3からなる群から選択される相補性決定領域(CDR)において少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む、請求項50又は51記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項53】
前記軽鎖CDR1が、配列番号61(RASENVYSYLA)のアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項54】
前記軽鎖CDR1が、配列番号62(RTSENVYSYLA)のアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項55】
前記重鎖CDR1が、配列番号63(GYMNM)のアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項56】
前記軽鎖CDR2が、配列番号64(FAKTLAE)のアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項57】
前記重鎖CDR2が、配列番号65(NIDPYYGGTTTYNRKFKG)のアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項58】
前記軽鎖CDR3が、配列番号66(QHHSDNPWT)のアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項59】
前記重鎖CDR3が、配列番号67(SVGPFDY)のアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項60】
前記重鎖CDR3が、配列番号68(SVGPFDS)のアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項61】
前記重鎖CDR3が、配列番号69(SVGPMDY)のアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項62】
配列番号61、62、64、及び66からなる群から選択される軽鎖CDRアミノ酸配列の少なくとも1つを含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項63】
配列番号61、62、64、及び66からなる群から選択される軽鎖CDRアミノ酸配列の少なくとも2つの配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項64】
配列番号61、62、64、及び66からなる群から選択される軽鎖CDRアミノ酸配列の少なくとも3つの配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項65】
(a)配列番号61若しくは62の軽鎖CDR1アミノ酸配列、又は配列番号61若しくは62の1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体;
(b)配列番号64の軽鎖CDR2アミノ酸配列、又は配列番号64の1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体;及び
(c)配列番号66の軽鎖CDR3アミノ酸配列、又は配列番号66の1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体、
を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項66】
配列番号63、65、及び67〜69からなる群から選択される重鎖CDRアミノ酸配列の少なくとも1つを含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項67】
配列番号63、65、及び67〜69からなる群から選択される重鎖CDRアミノ酸配列の少なくとも2つの配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項68】
配列番号63、65、及び67〜69からなる群から選択される重鎖CDRアミノ酸配列の少なくとも3つの配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項69】
(a)配列番号63の重鎖CDR1アミノ酸配列、又は配列番号63の1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体;
(b)配列番号65の重鎖CDR2アミノ酸配列、又は配列番号65の1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体;及び
(c)配列番号67〜69からなる群から選択される重鎖CDR3アミノ酸配列、又は配列番号67〜69のいずれか一つの1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体、
を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項70】
軽鎖FR1、重鎖FR1、軽鎖FR2、重鎖FR2、軽鎖FR3、重鎖FR3、軽鎖FR4、及び重鎖FR4からなる群から選択されるフレームワーク領域(FR)において少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む、請求項50又は51記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項71】
前記軽鎖の第一フレームワーク領域(FR1)が配列番号70(EIVLTQSPATLSLSPGERATLSC)のアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項72】
前記重鎖FR1が、配列番号71(EVQLVQSGAEVKKPGESLKISCKGSGYSFT)のアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項73】
前記軽鎖FR2が、配列番号72(WYQQKPGQAPRLLIY)のアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項74】
前記重鎖FR2が、配列番号73(WVRQMPGKGLEWMG)のアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項75】
前記軽鎖FR3が、配列番号74(GIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYC)のアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項76】
前記重鎖FR3が、配列番号75(QVTISADKSISTAYLQWSSLKASDTAMYYCAR)のアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項77】
前記軽鎖FR4が、配列番号76(FGQGTKVEIK)のアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項78】
前記重鎖FR4が、配列番号77(WGQGTLVTVSS)のアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項79】
前記重鎖FR4が、配列番号78(WGRGTLVTVSS)のアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項80】
配列番号70、72、74、及び76からなる群から選択される軽鎖FRアミノ酸配列の少なくとも1つの配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項81】
配列番号70、72、74、及び76からなる群から選択される軽鎖FRアミノ酸配列の少なくとも2つの配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項82】
配列番号70、72、74、及び76からなる群から選択される軽鎖FRアミノ酸配列の少なくとも3つの配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項83】
(a)配列番号70の軽鎖FR1アミノ酸配列、又は配列番号70の1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体;
(b)配列番号72の軽鎖FR2アミノ酸配列、又は配列番号72の1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体;
(c)配列番号74の軽鎖FR3アミノ酸配列、又は配列番号74の1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体;及び
(d)配列番号76の軽鎖FR4アミノ酸配列、又は配列番号76の1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体、
を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項84】
配列番号71、73、75、77、及び78からなる群から選択される重鎖FRアミノ酸配列の少なくとも1つの配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項85】
配列番号71、73、75、77、及び78からなる群から選択される重鎖FRアミノ酸配列の少なくとも2つの配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項86】
配列番号71、73、75、77、及び78からなる群から選択される重鎖FRアミノ酸配列の少なくとも3つの配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項87】
(a)配列番号71の重鎖FR1アミノ酸配列、又は配列番号71の1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体;
(b)配列番号73の重鎖FR2アミノ酸配列、又は配列番号73の1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体;
(c)配列番号75の重鎖FR3アミノ酸配列、又は配列番号75の1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体;及び
(d)配列番号77若しくは78の重鎖FR4アミノ酸配列、又は配列番号77若しくは78の1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体、
を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項88】
配列番号2に記載のポリペプチドと少なくとも80%の同一性を示すヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離核酸分子であって、前記ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドがCD37と結合する、単離核酸分子。
【請求項89】
配列番号5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、79、81、83、85、及び87からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、単離核酸分子。
【請求項90】
請求項88又は89記載の核酸分子を含む、ベクター。
【請求項91】
請求項90記載のベクターを含む、宿主細胞。
【請求項92】
適した条件下で請求項91記載の宿主細胞を培養して前記ポリペプチドを発現させる工程を含み、かつ前記培養物から前記ポリペプチドを単離する工程を含んでいてもよい、ポリペプチドの製造方法
【請求項93】
請求項50乃至87のいずれか一項記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド、及び医薬として許容可能なキャリアを含む、組成物。
【請求項94】
前記CD37特異的SMIP又はCD37特異的結合分子がヒト化され、配列番号2に記載のポリペプチドと少なくとも80%の同一性を示す、請求項2、6、10乃至29、及び34乃至49のいずれか一項記載の方法。
【請求項95】
前記CD37特異的SMIP又はCD37特異的結合分子が、配列番号6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、80、82、84、86、及び88からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項2、6、10乃至29、及び34乃至49のいずれか一項記載の方法。
【請求項96】
(a)請求項93記載の組成物;及び
(b)B細胞減少用キットを使用するためのプロトコル、
を含む、B細胞減少用キット。
【請求項97】
CD20特異的結合分子をさらに含む、請求項96記載のキット。
【請求項98】
前記CD20特異的結合分子が、TRU−015又はヒト化TRU−015である、請求項96又は97記載のキット。
【請求項99】
CDR1、CDR2、及びCDR3を含み、配列番号2に記載のポリペプチドと少なくとも80%の同一性を示す、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項100】
CDR1、CDR2、及びCDR3のそれぞれを分離するヒトフレームワークドメインをさらに含む、請求項99記載のポリペプチド。
【請求項101】
配列番号2に記載のポリペプチドと少なくとも80%の同一性を示すヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、前記ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドが、CD37と結合し、配列番号90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、115、116、118、120、122、124、126、及び127からなる群から選択されるヒンジ領域ポリペプチド配列を含む、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項102】
配列番号2に記載のポリペプチドと少なくとも80%の同一性を示すヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、前記ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドが、CD37と結合し、配列番号90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、115、116、118、120、122、124、126、及び127からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むヒンジ領域ポリペプチドを含む、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項103】
配列番号2に記載のポリペプチドと少なくとも80%の同一性を示すヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、前記ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドが、CD37と結合し、(Gly4Ser)n(nは、1、2、3、4、5、又は6である)を含むリンカーを含む、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項104】
前記軽鎖CDR1が、配列番号128(RTSQNVYSYLA)、129(RTSESVYSYLA)、130(RASQSVYSYLA)、131(RASQSVSSYLA)、及び132(RASQSVSYYLA)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項105】
前記重鎖CDR1が、配列番号133(SYMNM)及び134(SYWIG)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項106】
前記軽鎖CDR2が、配列番号135(AASSLQS)、136(GASTRAT)、及び137(DASNRAT)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項107】
前記重鎖CDR2が、配列番号138(IIYPGDSDTRYSPSFQG)及び139(RIDPSDSYTNYSPSFQG)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項108】
前記軽鎖CDR3が、配列番号220(QHHSDNPWT)のアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項109】
前記重鎖CDR3が、配列番号211(SVGPMDY)、212(SVGPFDY)、213(SVGPMDV)、214(SVGPFDS)、215(SVGPFDP)、216(SVGPFQH)、217(SVGPFDV)、218(SVGPFDI)、及び219(SVGPFDL)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド
【請求項110】
前記軽鎖FR1が、配列番号170〜181からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項111】
前記重鎖FR1が、配列番号140〜146からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項112】
前記軽鎖FR2が、配列番号182〜193からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項113】
前記重鎖FR2が、配列番号147〜153からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項114】
前記軽鎖FR3が、配列番号194〜205からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項115】
前記重鎖FR3が、配列番号154〜160からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項116】
前記軽鎖FR4が、配列番号206〜210からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項117】
前記重鎖FR4が、配列番号161〜169からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項1】
1つ又は複数のCD37特異的結合分子と、1つ又は複数のCD20特異的結合分子との相乗的な組み合わせにB細胞を暴露する工程を含む、B細胞減少方法。
【請求項2】
1つ又は複数のCD37特異的小モジュール免疫薬剤(SMIP)と、1つ又は複数のCD20特異的抗体との相乗的な組み合わせにB細胞を暴露する工程を含む、B細胞減少方法。
【請求項3】
前記CD37特異的SMIPがTRU−016である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記CD20特異的抗体がリツキサンである、請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記CD37特異的SMIPがTRU−016であり、前記CD20特異的抗体がリツキサンである、請求項2記載の方法。
【請求項6】
CD37特異的SMIPとCD20特異的SMIPとの相乗的な組み合わせにB細胞を暴露する工程を含む、B細胞減少方法。
【請求項7】
前記CD37特異的SMIPがTRU−016である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記CD20特異的抗体がTRU−015である、請求項6記載の方法。
【請求項9】
前記CD37特異的SMIPがTRU−016であり、前記CD20特異的抗体がTRU−015である、請求項6記載の方法。
【請求項10】
補体依存性細胞障害によるB細胞の減少が、前記組み合わせでの処理により相乗的に高まる、請求項1、2、又は6記載の方法。
【請求項11】
異常なB細胞活性と関連する病気を有するか、又は有する疑いのある個体の治療方法であって、1つ又は複数のCD37特異的結合分子と、1つ又は複数のCD20特異的結合分子との相乗的な組み合わせを個体に投与する工程を含む、方法。
【請求項12】
異常なB細胞活性と関連する病気を有するか、又は有する疑いのある個体の治療方法であって、1つ又は複数のCD37特異的SMIPと、1つ又は複数のCD20特異的抗体との相乗的な組み合わせを個体に投与する工程を含む、方法。
【請求項13】
異常なB細胞活性と関連する病気を有するか、又は有する疑いのある個体の治療方法であって、1つ又は複数のCD37特異的SMIPと、1つ又は複数のCD20特異的SMIPとの相乗的な組み合わせを個体に投与する工程を含む、方法。
【請求項14】
前記病気が、B細胞リンパ腫、B細胞白血病、B細胞骨髄腫、自己抗体産生により特徴付けられる病気、及びB細胞経路と関連する不適切なT細胞刺激により特徴付けられる病気からなる群から選択される、請求項11、12、又は13記載の方法。
【請求項15】
前記自己抗体産生により特徴付けられる病気が、特発性炎症性筋疾患、関節リウマチ、重症筋無力症、グレーブス病、I型糖尿病、多発性硬化症、自己免疫疾患、皮膚筋炎、多発性筋炎、及びワルデンストロームマクログロブリン血症からなる群から選択される、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記組み合わせが、第二の薬剤と併用して投与される、請求項14記載の方法。
【請求項17】
前記第二の薬剤が、サイトカイン、ケモカイン、増殖因子、化学療法剤、又は放射線療法剤である、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記第二の薬剤が免疫抑制剤である、請求項16記載の方法。
【請求項19】
SMIPが、約0.01〜約50 mg/kgの用量範囲で投与される、請求項12又は13記載の方法。
【請求項20】
SMIPが、約0.015〜約30 mg/kgの用量範囲で投与される、請求項19記載の方法。
【請求項21】
SMIPが、約0.015、約0.05、約0.15、約0.5、約1.5、約5、約15、又は約30 mg/kgの用量で投与される、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記組み合わせの結合分子が、約24時間以内に連続して投与されるか、又は同時に投与される、請求項11、12、又は13記載の方法。
【請求項23】
前記結合分子が、約0.5〜約10 nMのアフィニティを有する、請求項11記載の方法。
【請求項24】
前記結合分子が、約7〜約30日の循環半減期を有する、請求項11記載の方法。
【請求項25】
CD37特異的結合分子と、CD20特異的結合分子と、請求項11記載の方法を示すラベルとを含む、製造品。
【請求項26】
CD37特異的SMIPと、CD20特異的抗体と、請求項12記載の方法を示すラベルとを含む、製造品。
【請求項27】
CD37特異的SMIPと、CD20特異的SMIPと、請求項13記載の方法を示すラベルとを含む、製造品。
【請求項28】
1つ又は複数のCD37特異的結合分子にB細胞を暴露する工程を含む、B細胞減少方法。
【請求項29】
1つ又は複数のCD37特異的小モジュール免疫薬剤(SMIP)と、1つ又は複数のCD37特異的抗体との組み合わせにB細胞を暴露する工程を含む、B細胞減少方法。
【請求項30】
前記CD37特異的SMIPがTRU−016である、請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記CD37特異的抗体が、G28−1、MB371、BL14、NMN46、IPO24、HH1、及びWR17からなる群から選択される、請求項29記載の方法。
【請求項32】
補体依存性細胞障害によるB細胞の減少が、前記組み合わせでの処理により高まる、請求項28又は29記載の方法。
【請求項33】
異常なB細胞活性と関連する病気を有するか、又は有する疑いのある個体の治療方法であって、1つ又は複数のCD37特異的結合分子を前記個体に投与する工程を含む、方法。
【請求項34】
異常B細胞活性と関連する病気を有するか、又は有する疑いのある個体の治療方法であって、1つ又は複数のCD37特異的SMIPを前記個体に投与する工程を含む、方法。
【請求項35】
異常B細胞活性と関連する病気を有するか、又は有する疑いのある個体の治療方法であって、1つ又は複数のCD37特異的SMIPと、1つ又は複数のCD37特異的抗体との組み合わせを前記個体に投与する工程を含む、方法。
【請求項36】
前記病気が、B細胞リンパ腫、B細胞白血病、B細胞骨髄腫、自己抗体産生により特徴付けられる病気、及びB細胞経路と関連する不適切なT細胞刺激により特徴付けられる病気からなる群から選択される、請求項33、34、又は35記載の方法。
【請求項37】
前記自己抗体産生により特徴付けられる病気が、特発性炎症性筋疾患、関節リウマチ、重症筋無力症、グレーブス病、I型糖尿病、多発性硬化症、自己免疫疾患、皮膚筋炎、多発性筋炎、及びワルデンストロームマクログロブリン血症からなる群から選択される、請求項36記載の方法。
【請求項38】
前記組み合わせが、第二の薬剤と併用して投与される、請求項35記載の方法。
【請求項39】
前記第二の薬剤が、サイトカイン、ケモカイン、増殖因子、化学療法剤、又は放射線療法剤である、請求項38記載の方法。
【請求項40】
前記第二の薬剤が免疫抑制剤である、請求項38記載の方法。
【請求項41】
前記SMIPが、約0.01 mg/kg〜約50 mg/kgの用量範囲で投与される、請求項34又は35記載の方法。
【請求項42】
前記SMIPが、約0.015 mg/kg〜約30 mg/kgの用量範囲で投与される、請求項41記載の方法。
【請求項43】
前記SMIPが、約0.015 mg/kg、約0.05 mg/kg、約0.15 mg/kg、約0.5 mg/kg、約1.5 mg/kg、約5 mg/kg、約15 mg/kg、又は約30 mg/kgの用量で投与される、請求項42記載の方法。
【請求項44】
前記組み合わせの結合分子が、約24時間以内に連続して投与されるか、又は同時に投与される、請求項33、34、又は35記載の方法。
【請求項45】
前記結合分子が、約0.5〜約10 nMのアフィニティを有する、請求項33記載の方法。
【請求項46】
前記結合分子が、約7〜約30日の循環半減期を有する、請求項33記載の方法。
【請求項47】
CD37特異的結合分子と、請求項33記載の方法を示すラベルとを含む、製造品。
【請求項48】
CD37特異的SMIPと、請求項34記載の方法を示すラベルとを含む、製造品。
【請求項49】
CD37特異的SMIPと、CD37特異的抗体と、請求項35記載の方法を示すラベルとを含む、製造品。
【請求項50】
配列番号2に記載のポリペプチドと少なくとも80%の同一性を示すヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、前記ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドがCD37と結合する、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項51】
配列番号6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、80、82、84、86、及び88からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項52】
軽鎖CDR1、重鎖CDR1、軽鎖CDR2、重鎖CDR2、軽鎖CDR3、及び重鎖CDR3からなる群から選択される相補性決定領域(CDR)において少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む、請求項50又は51記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項53】
前記軽鎖CDR1が、配列番号61(RASENVYSYLA)のアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項54】
前記軽鎖CDR1が、配列番号62(RTSENVYSYLA)のアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項55】
前記重鎖CDR1が、配列番号63(GYMNM)のアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項56】
前記軽鎖CDR2が、配列番号64(FAKTLAE)のアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項57】
前記重鎖CDR2が、配列番号65(NIDPYYGGTTTYNRKFKG)のアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項58】
前記軽鎖CDR3が、配列番号66(QHHSDNPWT)のアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項59】
前記重鎖CDR3が、配列番号67(SVGPFDY)のアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項60】
前記重鎖CDR3が、配列番号68(SVGPFDS)のアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項61】
前記重鎖CDR3が、配列番号69(SVGPMDY)のアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項62】
配列番号61、62、64、及び66からなる群から選択される軽鎖CDRアミノ酸配列の少なくとも1つを含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項63】
配列番号61、62、64、及び66からなる群から選択される軽鎖CDRアミノ酸配列の少なくとも2つの配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項64】
配列番号61、62、64、及び66からなる群から選択される軽鎖CDRアミノ酸配列の少なくとも3つの配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項65】
(a)配列番号61若しくは62の軽鎖CDR1アミノ酸配列、又は配列番号61若しくは62の1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体;
(b)配列番号64の軽鎖CDR2アミノ酸配列、又は配列番号64の1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体;及び
(c)配列番号66の軽鎖CDR3アミノ酸配列、又は配列番号66の1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体、
を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項66】
配列番号63、65、及び67〜69からなる群から選択される重鎖CDRアミノ酸配列の少なくとも1つを含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項67】
配列番号63、65、及び67〜69からなる群から選択される重鎖CDRアミノ酸配列の少なくとも2つの配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項68】
配列番号63、65、及び67〜69からなる群から選択される重鎖CDRアミノ酸配列の少なくとも3つの配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項69】
(a)配列番号63の重鎖CDR1アミノ酸配列、又は配列番号63の1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体;
(b)配列番号65の重鎖CDR2アミノ酸配列、又は配列番号65の1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体;及び
(c)配列番号67〜69からなる群から選択される重鎖CDR3アミノ酸配列、又は配列番号67〜69のいずれか一つの1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体、
を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項70】
軽鎖FR1、重鎖FR1、軽鎖FR2、重鎖FR2、軽鎖FR3、重鎖FR3、軽鎖FR4、及び重鎖FR4からなる群から選択されるフレームワーク領域(FR)において少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む、請求項50又は51記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項71】
前記軽鎖の第一フレームワーク領域(FR1)が配列番号70(EIVLTQSPATLSLSPGERATLSC)のアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項72】
前記重鎖FR1が、配列番号71(EVQLVQSGAEVKKPGESLKISCKGSGYSFT)のアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項73】
前記軽鎖FR2が、配列番号72(WYQQKPGQAPRLLIY)のアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項74】
前記重鎖FR2が、配列番号73(WVRQMPGKGLEWMG)のアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項75】
前記軽鎖FR3が、配列番号74(GIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYC)のアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項76】
前記重鎖FR3が、配列番号75(QVTISADKSISTAYLQWSSLKASDTAMYYCAR)のアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項77】
前記軽鎖FR4が、配列番号76(FGQGTKVEIK)のアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項78】
前記重鎖FR4が、配列番号77(WGQGTLVTVSS)のアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項79】
前記重鎖FR4が、配列番号78(WGRGTLVTVSS)のアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項80】
配列番号70、72、74、及び76からなる群から選択される軽鎖FRアミノ酸配列の少なくとも1つの配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項81】
配列番号70、72、74、及び76からなる群から選択される軽鎖FRアミノ酸配列の少なくとも2つの配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項82】
配列番号70、72、74、及び76からなる群から選択される軽鎖FRアミノ酸配列の少なくとも3つの配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項83】
(a)配列番号70の軽鎖FR1アミノ酸配列、又は配列番号70の1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体;
(b)配列番号72の軽鎖FR2アミノ酸配列、又は配列番号72の1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体;
(c)配列番号74の軽鎖FR3アミノ酸配列、又は配列番号74の1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体;及び
(d)配列番号76の軽鎖FR4アミノ酸配列、又は配列番号76の1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体、
を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項84】
配列番号71、73、75、77、及び78からなる群から選択される重鎖FRアミノ酸配列の少なくとも1つの配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項85】
配列番号71、73、75、77、及び78からなる群から選択される重鎖FRアミノ酸配列の少なくとも2つの配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項86】
配列番号71、73、75、77、及び78からなる群から選択される重鎖FRアミノ酸配列の少なくとも3つの配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項87】
(a)配列番号71の重鎖FR1アミノ酸配列、又は配列番号71の1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体;
(b)配列番号73の重鎖FR2アミノ酸配列、又は配列番号73の1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体;
(c)配列番号75の重鎖FR3アミノ酸配列、又は配列番号75の1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体;及び
(d)配列番号77若しくは78の重鎖FR4アミノ酸配列、又は配列番号77若しくは78の1つ若しくは2つのアミノ酸が交換されているその変異体、
を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項88】
配列番号2に記載のポリペプチドと少なくとも80%の同一性を示すヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離核酸分子であって、前記ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドがCD37と結合する、単離核酸分子。
【請求項89】
配列番号5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、79、81、83、85、及び87からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、単離核酸分子。
【請求項90】
請求項88又は89記載の核酸分子を含む、ベクター。
【請求項91】
請求項90記載のベクターを含む、宿主細胞。
【請求項92】
適した条件下で請求項91記載の宿主細胞を培養して前記ポリペプチドを発現させる工程を含み、かつ前記培養物から前記ポリペプチドを単離する工程を含んでいてもよい、ポリペプチドの製造方法
【請求項93】
請求項50乃至87のいずれか一項記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド、及び医薬として許容可能なキャリアを含む、組成物。
【請求項94】
前記CD37特異的SMIP又はCD37特異的結合分子がヒト化され、配列番号2に記載のポリペプチドと少なくとも80%の同一性を示す、請求項2、6、10乃至29、及び34乃至49のいずれか一項記載の方法。
【請求項95】
前記CD37特異的SMIP又はCD37特異的結合分子が、配列番号6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、80、82、84、86、及び88からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項2、6、10乃至29、及び34乃至49のいずれか一項記載の方法。
【請求項96】
(a)請求項93記載の組成物;及び
(b)B細胞減少用キットを使用するためのプロトコル、
を含む、B細胞減少用キット。
【請求項97】
CD20特異的結合分子をさらに含む、請求項96記載のキット。
【請求項98】
前記CD20特異的結合分子が、TRU−015又はヒト化TRU−015である、請求項96又は97記載のキット。
【請求項99】
CDR1、CDR2、及びCDR3を含み、配列番号2に記載のポリペプチドと少なくとも80%の同一性を示す、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項100】
CDR1、CDR2、及びCDR3のそれぞれを分離するヒトフレームワークドメインをさらに含む、請求項99記載のポリペプチド。
【請求項101】
配列番号2に記載のポリペプチドと少なくとも80%の同一性を示すヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、前記ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドが、CD37と結合し、配列番号90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、115、116、118、120、122、124、126、及び127からなる群から選択されるヒンジ領域ポリペプチド配列を含む、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項102】
配列番号2に記載のポリペプチドと少なくとも80%の同一性を示すヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、前記ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドが、CD37と結合し、配列番号90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、115、116、118、120、122、124、126、及び127からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むヒンジ領域ポリペプチドを含む、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項103】
配列番号2に記載のポリペプチドと少なくとも80%の同一性を示すヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドであって、前記ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドが、CD37と結合し、(Gly4Ser)n(nは、1、2、3、4、5、又は6である)を含むリンカーを含む、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項104】
前記軽鎖CDR1が、配列番号128(RTSQNVYSYLA)、129(RTSESVYSYLA)、130(RASQSVYSYLA)、131(RASQSVSSYLA)、及び132(RASQSVSYYLA)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項105】
前記重鎖CDR1が、配列番号133(SYMNM)及び134(SYWIG)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項106】
前記軽鎖CDR2が、配列番号135(AASSLQS)、136(GASTRAT)、及び137(DASNRAT)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項107】
前記重鎖CDR2が、配列番号138(IIYPGDSDTRYSPSFQG)及び139(RIDPSDSYTNYSPSFQG)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項108】
前記軽鎖CDR3が、配列番号220(QHHSDNPWT)のアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項109】
前記重鎖CDR3が、配列番号211(SVGPMDY)、212(SVGPFDY)、213(SVGPMDV)、214(SVGPFDS)、215(SVGPFDP)、216(SVGPFQH)、217(SVGPFDV)、218(SVGPFDI)、及び219(SVGPFDL)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド
【請求項110】
前記軽鎖FR1が、配列番号170〜181からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項111】
前記重鎖FR1が、配列番号140〜146からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項112】
前記軽鎖FR2が、配列番号182〜193からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項113】
前記重鎖FR2が、配列番号147〜153からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項114】
前記軽鎖FR3が、配列番号194〜205からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項115】
前記重鎖FR3が、配列番号154〜160からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項116】
前記軽鎖FR4が、配列番号206〜210からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【請求項117】
前記重鎖FR4が、配列番号161〜169からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項50記載のヒト化CD37特異的SMIPポリペプチド。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図18D】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30A】
【図30B】
【図31】
【図32A】
【図32B】
【図32C】
【図32D】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図18D】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30A】
【図30B】
【図31】
【図32A】
【図32B】
【図32C】
【図32D】
【公表番号】特表2009−502171(P2009−502171A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−524109(P2008−524109)
【出願日】平成18年7月25日(2006.7.25)
【国際出願番号】PCT/US2006/029038
【国際公開番号】WO2007/014278
【国際公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(508025677)トゥルビオン・ファーマシューティカルズ・インコーポレーテッド (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月25日(2006.7.25)
【国際出願番号】PCT/US2006/029038
【国際公開番号】WO2007/014278
【国際公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(508025677)トゥルビオン・ファーマシューティカルズ・インコーポレーテッド (3)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]