説明

CO2回収装置及びCO2回収方法

【課題】吸収液中に巻き込まれる気泡を除去するCO2回収装置及びCO2回収方法を提供する。
【解決手段】本発明の実施例に係るCO2回収装置10は、CO2を含有する排ガス11とCO2吸収液12とを接触させて排ガス11中のCO2を除去するCO2吸収塔13と、CO2吸収塔13でCO2を吸収した吸収液(リッチ溶液)14中のCO2を除去し、再生する再生塔15と、再生塔15でCO2を除去し、再生した吸収液(リーン溶液)12をCO2吸収塔13で再利用するCO2回収装置であって、CO2吸収塔13から再生塔15にリッチ溶液14を供給するリッチ溶液供給管41にCO2吸収塔13に巻き込まれた気泡を除去する脱気器42を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガス中のCO2をCO2吸収液に吸収し、排ガス中のCO2を除去すると共に、CO2吸収液を再生して再利用するCO2回収装置及びCO2回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球の温暖化現象の原因の一つとして、CO2による温室効果が指摘され、地球環境を守る上で国際的にもその対策が急務となってきた。CO2の発生源としては化石燃料を燃焼させるあらゆる人間の活動分野に及び、その排出抑制への要求が一層強まる傾向にある。これに伴い大量の化石燃料を使用する火力発電所などの動力発生設備を対象に、ボイラの燃焼排ガスをアミン系のCO2吸収液(以下、「吸収液」ともいう。)と接触させて吸収液中にCO2を吸収させることで、燃焼排ガス中のCO2を除去、回収する方法及び回収されたCO2を大気へ放出することなく貯蔵する方法が精力的に研究されている。
【0003】
前記のような吸収液を用い、排ガスからCO2を吸収除去した後に、CO2を放散回収させ、吸収液は再生して再びCO2吸収塔に循環して再使用する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
従来のCO2回収装置の構成の一例を図2に示す。従来のCO2回収装置100は、ボイラやガスタービン等の産業燃焼設備から排出されたCO2を含有する排ガス11とCO2を吸収するCO2吸収液12とを接触させて排ガス11からCO2を除去するCO2吸収塔13と、CO2を吸収したCO2吸収液(以下、「リッチ溶液」ともいう。)14からCO2を放出させて吸収液12を再生する再生塔15とを有する。
【0005】
尚、図2中、符号17はCO2吸収塔13でCO2が除去された除去排ガス、符号18、19はリッチ溶液14を再生塔15に送給するリッチソルベントポンプ、符号20はリーン溶液12をCO2吸収塔13に送給するリーンソルベントポンプ、符号21はリーン溶液12を冷却するリーンソルベントクーラ、符号22は再生加熱器、符号23は水蒸気を各々示す。
【0006】
そして、このCO2回収装置100では、再生塔15でCO2を除去し、再生したCO2吸収液(以下、「リーン溶液」ともいう。)12はCO2吸収塔13で吸収液として再利用する。再生塔15において除去されたCO2ガス16は、圧縮装置により圧縮されたのち、地中の油田に圧入され、石油増進回収(EOR:Enhanced Oil Recovery)に利用したり、温暖化対策として帯水層へ貯留される。また、化成品の合成燃料としても利用される。
【0007】
ここで、再生塔15で回収したCO2ガス16を地中に圧入するプロセスの一例を図3に示す。再生塔15で回収したCO2ガス16は、圧縮工程101にて昇圧され、パイプライン又は船舶等の輸送手段102により貯留地点の抗井103aまで輸送される。貯留地点の抗井103bでは、油田から原油を採掘する際に発生する随伴ガスをリサイクルガス精製設備104において精製したガス(以下、「リサイクルガス」ともいう。)105と混合して、圧入工程106により地中107に圧入される。このとき、リサイクルガス105中に硫化水素(H2S)が含まれていると、下記式のようにCO2ガス16中に含まれる酸素(O2)がH2Sと反応して固体の硫黄(S)を析出し、プラントの運転に影響を及ぼす虞がある。
2H2S + O2 =2S + 2H2O ・・・(1)
【0008】
そのため、圧縮器の立ち上げ時及び停止時にN2ガスなどを供給し、圧縮機や配管に残存した硫黄分やO2を除去し、固体の硫黄(S)の析出を防止する方法が採用されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0009】
また、回収したCO2ガス16を化学品の原料として用いる場合、酸素により合成品が着色するなどの問題があり、回収したCO2ガス16中の酸素濃度を低減することが望まれている。回収したCO2ガス16中にO2が含まれる原因としては、CO2吸収塔で吸収液12に巻き込まれたO2が再生塔15でCO2と同時に放散することで、回収したCO2ガス16中にO2が混入することによる。
【0010】
吸収液12中のO2濃度を低減する方法としては、リッチ溶液14を再生塔15に送給する前に酸素除去装置24においてリッチ溶液14を減圧処理してリッチ溶液14中に溶解している溶存酸素を除去する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0011】
また、リッチ溶液中に溶解している溶存酸素を除去する他の方法として、酸素除去ガスとしてCO2ガスを用い、CO2ガスとリッチ溶液とを向流接触させ、前記リッチ溶液中の溶存酸素を除去するものが採用されている(例えば、特許文献2参照)。
【0012】
図4は、再生塔で回収したCO2ガスを圧縮する工程を示す図である。図4に示すように、再生塔15の塔頂部からは塔内においてリッチ溶液14およびセミリーン溶液から放出された水蒸気を伴ったCO2ガス16がガス排出ライン25を介して導出され、コンデンサ26により水蒸気を凝縮し、分離ドラム27にて水28が分離される。水蒸気を伴ったCO2ガス16は、系外に放出され、第1の圧縮器29−1〜第4の圧縮器29−4で再生塔15から回収されるCO2ガス16を徐々に昇圧しながら圧縮することで圧縮CO2として回収される。
【0013】
第1の圧縮器29−1〜第4の圧縮器29−4の各々の圧縮器の後流側には、第1の冷却器30−1〜第4の冷却器30−4、第1の分離器31−1〜第4の分離器31−4が各々設けられ、CO2ガス16を圧縮することで生じる液体を除去するようにしている。また、第3の圧縮器29−3と第4の圧縮器29−4との間には脱水塔33を設け、脱水剤(モレキュラーシーブ、DEG又はTEGなど)と接触させることでCO2ガス16中の水分を除去し、脱水している。
【0014】
尚、図4中、符号34は気液分離器、符号35は分離ドラム27にて分離された水28を再生塔15の上部に供給する凝縮水循環ポンプを各々図示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2007−137725号公報
【特許文献2】特許第3663117号公報
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】「Oil & Gas journal」,2006年9月4日発行,p74-84
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、吸収液12中に巻き込まれる気泡に含まれる酸素量は、溶存酸素量よりも大きく、従来の酸素を除去する方法では、吸収液12中の溶存酸素を除去するために減圧や向流接触を試みているが、減圧やガス供給に動力が必要であり、CO2回収に必要なコストが余分にかかる、という問題がある。
【0018】
CO2を含有する排ガス11と吸収液12とをCO2吸収塔13内で接触させると、CO2吸収塔13底部には、CO2吸収塔13内を流下した吸収液12に気泡が巻き込まれ、この気泡を巻き込んだ状態でリッチ溶液14が再生塔15に送られる。例えば吸収液12中に溶解した酸素の溶存酸素の濃度はCO2に対し数十ppm程度であるのに対し、吸収液12中に巻き込まれた場合のCO2に対する酸素濃度は数百ppm程度である。そのため、回収したCO2ガス16中の酸素濃度を低減するためには、CO2吸収塔13でリッチ溶液14中に巻き込まれる気泡を除去する必要がある。
【0019】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、吸収液中に巻き込まれる気泡を除去するCO2回収装置及びCO2回収方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上述した課題を解決するための本発明の第1の発明は、CO2を含有する排ガスとCO2吸収液とを接触させて前記排ガス中のCO2を除去するCO2吸収塔と、前記CO2吸収塔でCO2を吸収したリッチ溶液中のCO2を除去し、再生する再生塔と、前記再生塔でCO2を除去したリーン溶液を前記CO2吸収塔で再利用するCO2回収装置であって、前記CO2吸収塔から前記再生塔に前記リッチ溶液を供給するリッチ溶液供給管に前記CO2吸収塔に巻き込まれた気泡を除去する脱気器を有することを特徴とするCO2回収装置にある。
【0021】
第2の発明は、第1の発明において、前記脱気器が、前記CO2吸収塔と前記CO2吸収塔から排出された前記リッチ溶液を前記再生塔に送給するリッチソルベントポンプとの間に設けられてなることを特徴とするCO2回収装置にある。
【0022】
第3の発明は、CO2を含有する排ガスとCO2吸収液とをCO2吸収塔内で接触させて前記排ガス中のCO2を除去した後、CO2を吸収したリッチ溶液中のCO2を再生塔内で除去し、再生したリーン溶液を前記CO2吸収塔で再利用するCO2回収方法であって、前記CO2吸収液が前記CO2吸収塔内を流下することで前記CO2吸収液に巻き込まれた気泡を除去し、前記リッチ溶液中の酸素濃度を低減することを特徴とするCO2回収方法にある。
【0023】
第4の発明は、第3の発明において、前記CO2吸収塔と前記CO2吸収塔から排出された前記リッチ溶液を前記再生塔に送給するリッチソルベントポンプとの間で前記リッチ溶液中に巻き込まれた気泡を除去することを特徴とするCO2回収方法にある。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係るCO2回収装置によれば、リッチ溶液中に巻き込まれた気泡をCO2吸収塔から再生塔に送給する際に除去することができるため、前記再生塔から回収されたCO2ガス中の酸素濃度を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本発明の実施例に係るCO2回収装置の構成を示す概略図である。
【図2】図2は、従来のCO2回収装置の構成の一例を示す図である。
【図3】図3は、排ガスからCO2ガスを回収し地中に貯留する工程を示す図である。
【図4】図4は、再生塔で回収したCO2ガスを圧縮する工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【実施例】
【0027】
本発明による実施例に係るCO2回収装置について、図1を参照して説明する。
図1は、本発明の実施例に係るCO2回収装置の構成を示す概略図である。図中、前記図2乃至図4に示した装置と同一構成には同一符号を付して重複した説明は省略する。
図1に示すように、本発明の実施例に係るCO2回収装置10は、CO2を含有する排ガス11とCO2吸収液(以下、「吸収液」ともいう。)12とを接触させて排ガス11中のCO2を除去するCO2吸収塔13と、CO2吸収塔13でCO2を吸収した吸収液(以下、「リッチ溶液」ともいう。)14中のCO2を除去し、再生する再生塔15と、再生塔15でCO2を除去し、再生した吸収液(以下、「リーン溶液」ともいう。)12をCO2吸収塔13で再利用するCO2回収装置であって、CO2吸収塔13から再生塔15にリッチ溶液14を供給するリッチ溶液供給管41にCO2吸収塔13に巻き込まれた気泡を除去する脱気器42を有するものである。
【0028】
このCO2回収装置10を用いたCO2回収方法では、まず、CO2を含んだボイラやガスタービン等の産業燃焼設備43からの排ガス11は、排ガス送風機44により昇圧された後、排ガス冷却装置45に送られ、ここで冷却水46により冷却され、CO2吸収塔13に送られる。
また、図1中、符号43aは排ガス11の煙道であり、43bは煙突である。前記CO2回収装置は、既設の排ガス源からCO2を回収するために後付で設けられる場合と、新設排ガス源に同時付設される場合とがある。煙突13bには開閉可能な扉を設置し、CO2回収装置の運転時は閉止する。また排ガス源は稼動しているが、CO2回収装置の運転を停止した際は開放するように設定する。
【0029】
CO2吸収塔13において、排ガス11は例えばアミン系溶液をベースとする吸収液12と交向流接触し、排ガス11中のCO2は、化学反応(R−NH2+H2O+CO2→R−NH3HCO3)により吸収液12に吸収される。
【0030】
CO2回収部13AでCO2が除去された後のCO2除去排ガス17は、CO2吸収塔13内の水洗部13Bでノズル47から供給される吸収液12を含み循環する凝縮水48と気液接触して、CO2除去排ガス17に同伴する吸収液12が回収され、その後CO2が除去されたCO2除去排ガス17は塔頂部から系外に放出される。
【0031】
また、CO2を吸収した吸収液であるリッチ溶液14は、脱気器42に送給される。本実施例では、リッチ溶液供給管41に脱気器42を設けているため、CO2吸収塔13内でリッチ溶液14に巻き込まれた気泡を減少させることができる。
【0032】
また、脱気器42としては、リッチ溶液14に巻き込まれた気泡を効率的に取り除くことができるものを用いる。脱気器42として、例えばタンク、液体サイクロンなどを用いるのがよい。脱気器の構造は効率的にリッチ溶液14に巻き込まれた気泡を取り除くことができるものであればよく、特にこれに限定されるものではない。
【0033】
また、上述の通り、従来の特許文献1の方法では、酸素除去装置24(図2参照)内を減圧してリッチ溶液14中に溶解している溶存酸素を除去するようにしている。これに対し、本実施例においては、脱気器42では、CO2吸収塔13底部とほぼ同じ圧力で脱気を行ない、リッチ溶液14に巻き込まれた気泡を除去するようにしている。気泡を除去することにより、CO2ガス16中の酸素濃度を低減することができる。CO2ガス16中の酸素濃度を数十ppmまで低減することができれば、CO2ガス16中の酸素濃度を例えば北米で稼働中のEOR用パイプラインでの酸素濃度の管理基準とされている50ppm以下に満足することができる。
【0034】
例えば、排ガス11中の酸素濃度を約10vol%程度とした場合、吸収液への飽和溶解度を考慮した場合の回収したCO2ガス16中の酸素濃度は、20〜50ppm程度となるのに対し、回収したCO2中には数百ppmのO2が検出される場合があり、気泡の巻き込みによる影響が現れている。この回収したCO2ガス16中の酸素濃度の差は吸収液12中に巻き込まれた気泡に起因すると考えられる。
【0035】
よって、リッチ溶液供給管41に脱気器42を設けることで、CO2吸収塔13内でリッチ溶液14に巻き込まれた気泡をほぼ除去することができ、再生塔15から回収されるCO2ガス16中に存在する酸素濃度はCO2吸収塔13で排ガス11中に含まれる酸素がリーン溶液12に吸収された溶存酸素によるものだけにすることができる。
【0036】
脱気器42は、CO2吸収塔13から再生塔15にリッチ溶液14が供給される前である必要があるためリッチ溶液供給管41に設けるようにしているが、好ましくは、脱気器42はCO2吸収塔13とリッチソルベントポンプ18との間に設けるようにするのがよい。これは、脱気器42内でリッチ溶液14に巻き込まれた気泡をほぼ均圧に近い状態で抜くことができ、効率良くリッチ溶液14に巻き込まれた気泡を除去することができるからである。また、リッチソルベントポンプ18の後流に脱気器42を設けると、圧力上昇により,気泡中のO2がCO2吸収液12に溶解してしまうからである。
【0037】
また、脱気したリッチ溶液14は、リッチソルベントポンプ18により昇圧され、リッチ溶液供給管41に介装されたリッチ/リーンソルベント熱交換器49において、再生塔15で再生された吸収液であるリーン溶液12により加熱され、再生塔15の頂部から塔内に供給される。
【0038】
再生塔15の上部からノズル50で塔内部に放出されたリッチ溶液14は、発熱反応を生じて、大部分のCO2を放出する。再生塔15内で一部または大部分のCO2を放出した吸収液はセミリーン溶液と呼称される。このセミリーン溶液は、再生塔15下部に至る頃には、ほぼ全てのCO2が除去された吸収液(リーン溶液)12となる。このリーン溶液12は再生加熱器22で水蒸気23により加熱され、リーン溶液12の一部が蒸発して再生塔15内部に水蒸気を供給している。
尚、図1中、符号15Aは再生塔15内に配置される充填層、符号51はチムニトレイ、符号52は分離ドラム、符号53は分離ドラム52で分離された水蒸気凝縮水を各々示す。
【0039】
一方、再生塔15の塔頂部からは塔内においてリッチ溶液およびセミリーン溶液から放出された水蒸気を伴ったCO2ガス16がガス排出ライン25を介して導出され、コンデンサ26により水蒸気23が凝縮され、分離ドラム27にて水28が分離され、CO2ガス16が系外に放出されて別途回収される。分離ドラム27にて分離された水28は凝縮水循環ポンプ35にて再生塔15の上部に供給される。
【0040】
再生された吸収液(リーン溶液)12は、リッチ/リーンソルベント熱交換器49にてリッチ溶液14により冷却され、つづいてリーンソルベントポンプ20にて昇圧され、さらにリーンソルベントクーラ21にて冷却された後、CO2吸収塔13に供給される。
【0041】
また、再生塔15から回収されるCO2ガス16は、図4に示すような第1の圧縮器29−1〜第4の圧縮器29−4で徐々に昇圧しながら圧縮することで圧縮CO2として回収している。また、第3の圧縮器29−3と第4の圧縮器29−4との間に設けた脱水塔33で、CO2ガス16と脱水剤とを接触させて圧縮されたCO2ガス16中の水分を除去し、脱水している。
【0042】
また、本実施例に係るCO2回収装置10においては、圧縮器を4台設置しているが、CO2ガス16の圧縮割合に応じて圧縮器の設置台数を適宜変更するようにすればよい。
【0043】
以上、本実施例に係るCO2回収装置10は、CO2吸収塔13から排出されるリッチ溶液14を再生塔15に供給するリッチ溶液供給管41にリッチ溶液14中に巻き込まれた気泡を除去する脱気器42を有する。これによって、リッチ溶液14中に巻き込まれた気泡をCO2吸収塔13から再生塔15に送給する際に除去することができるため、再生塔15から回収されたCO2ガス16のリッチ溶液14に巻き込まれた気泡に起因する酸素濃度を低減することができる。
【0044】
また、本発明で使用できる吸収液としては特に限定されるものではないが、アルカノールアミンやアルコール性水酸基を有するヒンダードアミン類を例示することができる。このようなアルカノールアミンとしてはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ジグリコールアミンなどを例示することができるが、通常モノエタノールアミン(MEA)が好んで用いられる。またアルコール性水酸基を有するヒンダードアミンとしては2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)、2−(エチルアミノ)−エタノール(EAE)、2−(メチルアミノ)−エタノール(MAE)などを例示できる。
【0045】
また、本実施例で用いる冷却器、熱交換器の種類は特に限定されるものではなく、例えばプレート熱交換器、シュエル&チューブ熱交換器等の公知の熱交換器を用いればよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上のように、本発明に係るCO2回収装置及び方法は、再生塔から回収されるCO2ガス中の酸素濃度を低減することに用いるのに適している。
【符号の説明】
【0047】
10 CO2回収装置
11 排ガス
12 CO2吸収液(吸収液)、リーン溶液
13 CO2吸収塔
13A CO2回収部
13B 水洗部
14 リッチ溶液
15 再生塔
16 CO2ガス
17 除去排ガス
18、19 リッチソルベントポンプ
20 リーンソルベントポンプ
21 再生加熱器
22 水蒸気
23 リーンソルベントクーラ
25 ガス排出ライン
26 コンデンサ
27、52 分離ドラム
28 水
29−1〜29−4 第1の圧縮器〜第4の圧縮器
30−1〜30−4 第1の冷却器〜第4の冷却器
31−1〜31−4 第1の分離器〜第4の分離器
33 脱水塔
34 気液分離器
35 凝縮水循環ポンプ
41 リッチ溶液供給管
42 脱気器
43 産業燃焼設備
43a 煙道
43b 煙突
44 排ガス送風機
45 排ガス冷却装置
46 冷却水
47、50 ノズル
48 凝縮水
49 リッチ/リーンソルベント熱交換器
51 チムニトレイ
53 水蒸気凝縮水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CO2を含有する排ガスとCO2吸収液とを接触させて前記排ガス中のCO2を除去するCO2吸収塔と、前記CO2吸収塔でCO2を吸収したリッチ溶液中のCO2を除去し、再生する再生塔と、前記再生塔でCO2を除去したリーン溶液を前記CO2吸収塔で再利用するCO2回収装置であって、
前記CO2吸収塔から前記再生塔に前記リッチ溶液を供給するリッチ溶液供給管に前記CO2吸収塔に巻き込まれた気泡を除去する脱気器を有することを特徴とするCO2回収装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記脱気器が、前記CO2吸収塔と前記CO2吸収塔から排出された前記リッチ溶液を前記再生塔に送給するリッチソルベントポンプとの間に設けられてなることを特徴とするCO2回収装置。
【請求項3】
CO2を含有する排ガスとCO2吸収液とをCO2吸収塔内で接触させて前記排ガス中のCO2を除去した後、CO2を吸収したリッチ溶液中のCO2を再生塔内で除去し、再生したリーン溶液を前記CO2吸収塔で再利用するCO2回収方法であって、
前記CO2吸収液が前記CO2吸収塔内を流下することで前記CO2吸収液に巻き込まれた気泡を除去し、前記リッチ溶液中の酸素濃度を低減することを特徴とするCO2回収方法。
【請求項4】
請求項3において、
前記CO2吸収塔と前記CO2吸収塔から排出された前記リッチ溶液を前記再生塔に送給するリッチソルベントポンプとの間で前記リッチ溶液中に巻き込まれた気泡を除去することを特徴とするCO2回収方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−253370(P2010−253370A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−105516(P2009−105516)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【Fターム(参考)】