DC−DC電力コンバータおよびその制御方法
【課題】太陽光発電収集システムから電力を取り出すための方法およびシステムを提供する。
【解決手段】DC電力をDCリンク84に与えるように構成された発電システムが記載されている。発電システムは、DC電力を出力するように構成された第1の発電ユニット22を備えている。発電システムはまた、入力部90および出力部92を備える第1のDC−DCコンバータ70を備えている。第1のDC−DCコンバータ70の出力部は、第1の発電ユニット22と直列に結合されている。第1のDC−DCコンバータ70は、第1の発電ユニット22によるDC電力出力の第1の部分を処理するように、また第1の発電ユニット22のDC電力出力の未処理の第2の部分を出力部に与えるように、構成されている。
【解決手段】DC電力をDCリンク84に与えるように構成された発電システムが記載されている。発電システムは、DC電力を出力するように構成された第1の発電ユニット22を備えている。発電システムはまた、入力部90および出力部92を備える第1のDC−DCコンバータ70を備えている。第1のDC−DCコンバータ70の出力部は、第1の発電ユニット22と直列に結合されている。第1のDC−DCコンバータ70は、第1の発電ユニット22によるDC電力出力の第1の部分を処理するように、また第1の発電ユニット22のDC電力出力の未処理の第2の部分を出力部に与えるように、構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米国政府支援によって契約GE−EE0000572の下で行なわれ、エネルギー省(DOE)より与えられたものである。米国政府は、本発明に一定の権利を有する。
【0002】
本明細書で説明する実施形態は一般的に、太陽光(PV)発電システムに関し、より具体的には、太陽光発電収集システムから電力を取り出すための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
太陽エネルギーは、ますます魅力的なエネルギー源になっており、きれいで再生可能な代替エネルギーであると認められている。太陽電池(PV)セルからは直流(DC)電力が発生し、DC電流のレベルは太陽放射に依存し、DC電圧のレベルは温度に依存している。交流(AC)電力が求められる場合、インバータを用いてDC電力をAC電力に変換する。一般的に、PVインバータ電力処理に対して2段階を用いている。第1段階は、一定のDC電圧を与えるように構成され、第2段階は、一定のDC電圧を送電網に適合するAC電流および電圧に変換するように構成されている。一般的に、PVインバータでは、DCリンクを中間のエネルギー貯蔵ステップとして用いている。この意味は、PVインバータに備わっているのは、不安定なPVアレイ電圧を安定なDC電圧に変換するDC−DCコンバータと、その後に、安定なDC電圧を、送電網上に注入することができるAC電流に変換するDC−ACインバータとであるということである。2段階インバータの効率は、PVシステムの性能に影響する重要なパラメータであり、個々の段効率の複合である。
【0004】
より高い電流および電圧を得るために、PVセルを電気的に接続してPVモジュールを形成している。複数のPVセルだけでなく、PVモジュールはまた、センサ、たとえば、放射照度センサ、温度センサ、および/または電力計を備えていても良い。またPVモジュールを接続してストリングを形成しても良く、複数のストリングを接続してPVアレイを形成しても良い。一般的に、PVアレイから出力されるDC電圧を送電網インバータ(たとえば、DC−AC電圧インバータ)に与える。DC−AC電圧インバータによって、DC電圧は、単相または三相の交流(AC)電圧および電流に変換される。三相AC出力を、中電圧電力変圧器に与えることができる。中電圧電力変圧器は、電圧を上げて三相の中電圧ACを発生させる。三相の中電圧ACは、配電網内に注入される。
【0005】
ほとんどのPV発電システムでは、中央DC−DCコンバータを用いてPVアレイの全電力出力を変換しているため、比較的に高コストで高重量の解決方法となっている。また、中央DC−DCコンバータは一般的に、アレイ電力を算出する際に用いるアレイ電圧および電流を測定するためのセンサを備える最大電力点追従器(MPPT)を用いている。このようなセンサは、DC−DCコンバータを動作させるのに必要なセンサに加えて設けられている。また、全出力変換DC−DCコンバータを備えるPV発電システムの不利点は、効率複合効果と言われるものである。PV発電システムの効率は、中央DC−DCコンバータの効率より高くなることはあり得ない。DC−AC変換の総合効率は、DC−DCコンバータ効率とDC−ACインバータ効率との複合が原因で1%〜2%だけ低下する。さらに、全出力定格の中央DC−DCコンバータに故障が発生すると、PVアレイ全体の障害が生じる場合がある。このようなPVアレイ障害を防ぐために、一般的に、付加的なアレイ直列ダイオードおよびヒューズを用いて、DC−DCコンバータ障害を隔離している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第20090296434号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
太陽光発電収集システムから電力を取り出すための方法およびシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様においては、直流(DC)電力をDCリンクに与えるように構成された発電システムが提供される。システムは、DC電力を出力するように構成された第1の発電ユニットを備えている。システムはまた、入力部および出力部を備える第1のDC−DCコンバータを備えている。第1のDC−DCコンバータの出力部は、第1の発電ユニットと直列に結合されている。第1のDC−DCコンバータは、第1の発電ユニットのDC電力出力の第1の部分を処理するように、および前記第1の発電ユニットのDC電力出力の未処理の第2の部分を前記出力部に与えるように、構成されている。
【0009】
別の態様では、DC−DC部分電力コンバータが提供される。DC−DC部分電力コンバータは、発電ユニットのDC電力出力の第1の部分を受け取るように構成された入力部を備えている。DC−DC部分電力コンバータはまた、発電ユニットのDC電力出力の第1の処理部分および第2の未処理部分を含むDC電力を出力してDCリンクへの印加に備えるように構成された出力部を備えている。
【0010】
さらに別の態様では、発電システムの動作を制御するための方法が提供される。発電システムは、少なくとも1つの発電ユニットおよび少なくとも1つの部分電力コンバータを備えている。少なくとも1つの部分電力コンバータは、少なくとも1つの半導体スイッチの動作を制御するように構成されたコントローラを備えている。本方法は、部分電力コンバータを、少なくとも1つの半導体スイッチを通って流れる電流のレベルを判定するように構成することと、部分電力コンバータを、少なくとも1つの半導体スイッチを通って流れる電流のレベルを最大にして、少なくとも1つの発電ユニットの電力出力を最大にするように構成することと、を含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】典型的な太陽光(PV)発電システムのブロック図である。
【図2】図1に示すPV発電システムに含まれていても良い典型的なDC−DCコンバータの回路図である。
【図3】図2に示すDC−DCコンバータによって行なわれる電力変換の全体的効率を、DC−DCコンバータの利得の関数として示すプロットである。
【図4】図2に示す直流(DC)−DCコンバータから送出される部分電力を、DC−DCコンバータの利得の関数として示すプロットである。
【図5】図2に示すDC−DCコンバータの全体的効率を、DC−DCコンバータによって変換される電力の割合の関数として示すプロットである。
【図6】図1に示すPV発電システムの典型的な電流−電圧(IV)特性を例示する図である。
【図7】図1に示すPV発電システム内に含まれていても良いDC−DCコンバータの第1の代替的な実施形態の回路図である。
【図8】図1に示すPV発電システム内に含まれていても良いDC−DCコンバータの第2の代替的な実施形態の回路図である。
【図9】図1に示すPV発電システム内に含まれていても良いDC−DCコンバータの第3の代替的な実施形態の回路図である。
【図10】図1に示すPV発電システム内に含まれていても良いDC−DCコンバータの第4の代替的な実施形態の回路図である。
【図11】図1に示すPV発電システム内に含まれていても良いDC−DCコンバータの第5の代替的な実施形態の回路図である。
【図12】図1に示すPV発電システムを動作させるための典型的な方法のフロー・チャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書で説明する方法、システム、および装置によって、PV発電システム内に含まれる少なくとも1つの太陽電池(PV)モジュールの電力出力を制御することと、少なくとも1つのPVモジュールの電力出力を直流(DC)電力から交流(AC)電力に変換して電力網への印加に備えることと、が容易になる。DC−DCコンバータを、電力を供給する少なくとも1つのPVモジュールから最大電力を取り出すように制御する。PVモジュールによる全電力出力のある割合がDC−DCコンバータによって処理される。コンバータ損失は最小限になる。なぜならば、PVモジュールの全電力出力のうち一部分のみが、DC−DCコンバータによって処理されるからである。本明細書ではPV発電システムについて説明しているが、本明細書で説明する方法、システム、および装置は一般的に、任意の発電用途に適用しても良い。
【0013】
本明細書で説明した方法、システム、および装置は、PVモジュール、ストリング、またはアレイから送出される総電力のうち一部分のみを処理するように制御されるDC−DC電力コンバータを備え、そうすることによって、DC−DC電力コンバータは、高電力送電網接続のDC−ACインバータに送出される総電力を制御する。DC−ACインバータに送出される総電力のうち一部分のみが処理されるため、損失は最小限になり、その結果、PV発電システムの効率が増加する。変換効率が増加することによって、全体的なエネルギー収量が向上する。さらに、DC−ACインバータによってメイン・システムDCリンク電圧が調整されるため、単純なアルゴリズムを用いることで、個々のPVモジュール、PVストリング、および/またはPVアレイによる電力出力を最大にすることが、DCリンクに送出される電流を単に最大にすることによって可能になる。このように単純であるために、PV発電システムの信頼性を高めることおよびコストを下げることが、少なくとも部分的には、高度に分散されたシステムを得るのに必要な比較的多数の小規模DC−DC電力コンバータが存在するということにより、可能になる。DC−DC電力コンバータをPV発電システムの全体に渡って分散させることによって、PVアレイ全体からの電力の最大化が、モジュール不整合、シェーディング、または他の不平衡効果たとえば汚れおよび/もしくは一時的事象たとえば雲の通過がある場合であっても、行なわれる。DC−DCコンバータを適切に制御することによって、最大アレイ電圧を安全に制限することができ、また直列ダイオード隔離および耐故障性を実現することができる。また、この構成によって、PVモジュールのアーク故障検出が可能になる。DC−DCコンバータのコスト、サイズ、および重量が低減される。なぜならば、電力コンバータの定格は、システムから送出される総電力よりも著しく小さい電力になっているからである。
【0014】
本明細書で説明した方法、システム、および装置の技術的効果には、以下のうちの少なくとも一方が含まれる。(a)部分電力コンバータを、部分電力コンバータ内に含まれる少なくとも1つの半導体スイッチを通って流れる電流のレベルを判定するように構成すること、および(b)部分電力コンバータを、少なくとも1つの半導体スイッチを通って流れる電流のレベルを最大にして、少なくとも1つの発電ユニットの電力出力を最大にするように構成すること、である。
【0015】
図1は、発電システム10の典型的な実施形態のブロック図である。典型的な実施形態では、発電システム10は複数の発電ユニット12を備えている。典型的な実施形態では、発電システム10は、複数のPVユニット12が結合されてPVアレイを形成するPV発電システムである。言い換えれば、複数のPVユニット12内の各PVユニットは、複数のPVユニット12内の少なくとも1つの他のPVユニットと電気的に接続されて、PV発電システムを形成している。PVユニット12には、PVモジュール、PVストリング、および/またはPVストリングのグループが含まれていても良い(ただし、これらに限定されない)。PV発電システム10はまた、少なくとも1つのDC−ACインバータ14を備えていても良い。典型的な実施形態では、PVユニット12は、単に例えとして、メガワットまたは数百キロワットをDC−ACインバータ14に送出している。DC−ACインバータ14は、PVユニット12から受け取ったDC電力を調整して、送電網品質の電力をAC電力網16へ送出する。PVユニット12を、直列および/または並列ストリングで接続し、それらを次に複数のレベルで互いに結合して、それらの電力をDC−ACインバータ14の入力18に送出することを図っている。
【0016】
典型的な実施形態では、PVユニット12は、第1のPVユニット22、第2のPVユニット24、第3のPVユニット26、第4のPVユニット28、第5のPVユニット30、および第6のPVユニット32を含んでいる。第1、第2、および第3のPVユニット22、24、および26を、たとえば第1のストリング結合器40において結合して、第1のストリング・アレイ42を形成する。第4、第5、および第6のPVユニット28、30、および32を、たとえば第2のストリング結合器46において結合して、第2のストリング・アレイ48を形成する。さらに、第1のストリング・アレイ42および第2のストリング・アレイ48は、たとえばアレイ結合器50によって結合されている。アレイ結合器50からDC電力がDC−ACインバータ14に出力される。6つのPVユニット、3つのストリング・アレイ、2つのストリング結合器、およびアレイ結合器を備えていると説明したが、PV発電システム10は、任意の数のPVユニット、ストリング・アレイ、ストリング結合器、および/またはアレイ結合器であって、PV発電システム10が本明細書で説明したように機能できるようにするものを備えていても良い。
【0017】
典型的な実施形態では、PV発電システム10は、少なくとも1つのDC−DCコンバータ68、たとえば、第1のDC−DCコンバータ70、第2のDC−DCコンバータ72、第3のDC−DCコンバータ74、第4のDC−DCコンバータ76、第5のDC−DCコンバータ78、および第6のDC−DCコンバータ80を備えている。典型的な実施形態では、第1のDC−DCコンバータ70は第1のPVユニット22とストリング結合器40との間に結合されており、第2のDC−DCコンバータ72は第2のPVユニット24とストリング結合器40との間に結合されており、第3のDC−DCコンバータ74は第3のPVユニット26とストリング結合器40との間に結合されており、第4のDC−DCコンバータ76は第4のPVユニット28と第2のストリング結合器46との間に結合されており、第5のDC−DCコンバータ78は第5のPVユニット30と第2のストリング結合器46との間に結合されており、第6のDC−DCコンバータ80は第6のPVユニット32と第2のストリング結合器46との間に結合されている。
【0018】
第1の代替的な実施形態では、第1のDC−DCコンバータ70は、第1のストリング結合器40とアレイ結合器50との間に結合され、第2のDC−DCコンバータ72は、第2のストリング結合器46とアレイ結合器50との間に結合されている。第2の代替的な実施形態では、第1のDC−DCコンバータ70は、アレイ結合器50とDC−ACインバータ14との間に結合されている。さらに、少なくとも1つのDC−DCコンバータ68を、PV発電システム10内の、PV発電システム10が本明細書で説明したように機能できるようにする任意の位置に配置しても良い。たとえば第1のDC−DCコンバータ70の電力定格は、PV発電システム10内のその位置に応じて変化する。
【0019】
少なくとも1つのDC−DCコンバータ68を、複数のPVユニット12から最大電力を取り出すように制御する。典型的な実施形態では、第1のDC−DCコンバータ70を第1のPVユニット22から最大電力を取り出すように制御し、第2のDC−DCコンバータ72を第2のPVユニット24から最大電力を取り出すように制御し、第3のDC−DCコンバータ74を第3のPVユニット26から最大電力を取り出すように制御し、第4のDC−DCコンバータ76を第4のPVユニット28から最大電力を取り出すように制御し、第5のDC−DCコンバータ78を第5のPVユニット30から最大電力を取り出すように制御し、第6のDC−DCコンバータ80を第6のPVユニット32から最大電力を取り出すように制御している。第1の代替的な実施形態では、第1のDC−DCコンバータ70を、PVユニット22、24、および26の組み合わせから最大電力を取り出すように制御し、第2のDC−DCコンバータ72を、PVユニット28、30、および32の組み合わせから最大電力を取り出すように制御する。第2の代替的な実施形態では、第1のDC−DCコンバータ70を、PVユニット22、24、26、28、30、および32の組み合わせから最大電力を取り出すように制御する。
【0020】
DC−DCコンバータ68を、個々のPVユニット22、24、26、28、30、および32のより近くに配置することによって、PVユニット22、24、26、28、30、および32から取り出すことができる電力が増加する。これは、少なくとも部分的には、PVユニットの領域の一部にシェーディング、汚れ、またはモジュール不整合があっても、領域の他の部分に位置する他のPVユニットから送出される電力には影響しないという事実による。しかし、DC−DCコンバータ68を、個々のPVユニット22、24、26、28、30、および32のより近くに配置して、DC−、PVユニット22、24、26、28、30、および32から取り出せる電力が増えるのは、DCコンバータ68が非常に効率的である場合だけである。なぜならば、複数の非効率的なDC−DCコンバータを用いても、PVユニット22、24、26、28、30、および32から取り出される電力は、1つの効率的なDC−DCコンバータを用いた場合と比べて増えないからである。さらに、DC−DCコンバータ68を個々のPVユニットのより近くに配置することが実用的であるのは、コンバータのコストが十分に低くて、エネルギー収量の増加から得られる貨幣利得と相殺しないような場合だけである。
【0021】
図2は、PV発電システム10(図1に示す)内に含まれていても良いDC−DCコンバータ70の典型的な実施形態の回路図82である。典型的な実施形態では、DC−DCコンバータ70は、PVユニット(たとえば、第1のPVユニット22)とDCリンク84との間に結合されている。DC負荷86が、DCリンク84にまたがって配置されていても良い。DC負荷86には、電池充電器および/または送電網結合インバータたとえばDC−ACインバータ14(図1に示す)が含まれていても良い(ただし、これらに限定されない)。DCリンク84を、DC−ACインバータ14、第1のストリング結合器40(図1に示す)、第2のストリング結合器46(図1に示す)、および/またはアレイ結合器50(図1に示す)に結合しても良いし、またはその中に含めても良い。DC−DCコンバータ70は、本明細書では、部分電力コンバータ(PPC)とも言う。なぜならば、PVユニット22の電力出力の一部のみを、DC−DCコンバータ70によって変換するからである。PVユニット22の電力出力の残りの部分は、DC−DCコンバータ70には与えられるが、DC−DCコンバータ70による変換および/または処理は、DCリンク84に与えられる前には行なわれない。
【0022】
典型的な実施形態では、DC−DCコンバータ70は、少なくとも1つの変圧器88を備えるプッシュ・プル型コンバータとして構成される。プッシュ・プル型コンバータとして例示しているが、任意の他の好適なDC−DCコンバータ配置を用いても良い。少なくとも1つの変圧器88は、一次部分90(本明細書では入力部とも言う)および二次部分92(本明細書では出力部とも言う)を備えている。典型的な実施形態では、一次部分90は、少なくとも1つの一次巻線(たとえば、第1の一次巻線96および第2の一次巻線98)を備えている。一次部分90はまた、少なくとも1つの半導体デバイス(たとえば、第1の半導体デバイス102および第2の半導体デバイス104)を備えている。半導体デバイス102および104には以下のものが含まれていても良い(ただし、これらを含むことに限定されない)。絶縁ゲート型バイポーラ・トランジスタ(IGBT)、絶縁ゲート型電界効果トランジスタ(MOSFET)、またはバイポーラ接合トランジスタ(BJT)であって、シリコンまたはワイド・バンド・ギャップ材料(たとえば、炭化ケイ素および/または窒化ガリウム)を用いて実施されるもの。典型的な実施形態では、一次部分90はまた、半導体デバイス102および104の動作を制御するコントローラ106を備えている。たとえば、コントローラ106は、半導体デバイス102に制御信号を与えても良い。制御信号のデューティ・サイクルによって、DC−DCコンバータ70の電圧出力が制御される。代替的な実施形態として、DCリンク84の電圧がDC−ACインバータ14によって調整される場合には、DC−DCコンバータ70は、関連するPVユニット(たとえば、PVユニット22)の入力電圧をデューティ・サイクル制御によって調整して、PVユニット22から最大電力を取り出す。
【0023】
典型的な実施形態では、二次部分92は、少なくとも1つの二次巻線(たとえば、第1の二次巻線108および第2の二次巻線110)を備えている。二次部分92はまた、少なくとも1つの半導体デバイス(たとえば、第1のダイオード114および第2のダイオード116)を備えている。典型的な実施形態では、PVユニット22の出力120は、第1の一次巻線96と第2の一次巻線98との間の中央タップ130に、および第1の二次巻線108と第2の二次巻線110との間の中央タップ140に結合されている。PVユニット22から出力されるDC電流(IPV)144の第1の部分(Iprimary)142が、一次部分90に与えられる。PVユニット22のDC電流出力144の第2の部分(本明細書では、負荷電流またはDCリンク電流(IloadまたはIDClink)146と言う)が、二次部分92に直接与えられる。また一次部分90および二次部分92は相互誘導結合されている。より具体的には、一次巻線96および98は、二次巻線108および110に相互誘導結合されている。動作時には、一次巻線96および98を通って流れる時間変化電流が生じると、二次巻線108および110の両端に電圧が誘起される。
【0024】
典型的な実施形態では、一次部分90によって、PVユニット22から発生したDC電流の一部が取り出される。さらに、二次部分92はPVユニット22と直列に結合されていて、DC−DCコンバータ70の出力電圧150(Vs)が、PVユニット22の出力電圧152(Vmppt)と直列になるようになっている。言い換えれば、DCリンク84に送出される電圧(本明細書では、VDClink154と言う)は、PV電圧152(Vmppt)とDC−DCコンバータ電圧150(Vs)との和である。また、DCリンク84に送出される電力は、DC−DCコンバータ70によって処理および/または変換される電力よりも大きくなっている。したがって、DC−DCコンバータ70に対する電力定格を、DCリンク84に送出されるすべての電力がDC−DCコンバータ70によって処理および/または変換される場合よりも、小さくすることができる。DC−DCコンバータ70に対する電力定格は、DCリンク84に送出される電力よりも小さいが、DC−DCコンバータ70は、Iload146(DCリンク電流とも言われる)を制御する能力を維持している。典型的な実施形態では、DCリンク電圧154はDC−ACインバータ14によって制御される。DC−ACインバータ14は、電力網16(図1に示す)に結合されている。
【0025】
図3は、PPCたとえばDC−DCコンバータ70(図2に示す)が行なう電力変換の全体的効率182を、DC−DCコンバータ70の利得184の関数としてシミュレートしたプロット180であり、DC−DCコンバータ70は95%効率であると想定している。DC−DCコンバータ70の利得184は、本明細書では、DC−DCコンバータ70の出力電圧たとえば出力電圧(Vs)150(図2に示す)を、DC−DCコンバータ70に与えた電圧たとえば入力電圧(Vmppt)152(図2に示す)で割ったものと規定する。典型的な実施形態では、DC−DCコンバータ70が動作する利得は約0.5よりも小さい。例示したように、利得が約0.5よりも小さいところでは、DC−DCコンバータ70の全体的効率182は98%よりも大きい。DC−DCコンバータ70によって変換される電力部分が減る(すなわち、利得184が減る)につれて、DC−DCコンバータ70の全体的効率182は増える。
【0026】
図4は、PPCたとえばDC−DCコンバータ70(図2に示す)から送出される部分電力192を、利得184の関数としてシミュレートしたプロット190である。部分電力192は、本明細書において、DC−DCコンバータ70から送出されるDC電力のうち、DC−DCコンバータ70によって変換される部分と規定される。DC−DCコンバータ70が動作する利得184が約0.5よりも小さい場合、部分電力192は、DC−DCコンバータ70からたとえばDC負荷86(図2に示す)に送出される総電力の約1/3である。したがって、典型的な実施形態では、DC−DCコンバータ70の定格出力は、単に、DC負荷86に送出される総電力の大まかに3分の1でありさえすれば良い。例示したように、DC−DCコンバータ70によって変換される実際の電力は、DC負荷86に送出される総電力よりも著しく小さい。変換する量がDC負荷86に送出される総電力よりも小さいことによって、定格出力がより小さいDC−DCコンバータ(すなわち、最大電力DC−DCコンバータ70の定格は、損傷または過剰磨耗することなく変換することができる値である)を、PV発電システム10(図1に示す)内で用いても良い。一般的に、定格が小さいコンバータの方が、定格が大きいコンバータよりも、小さくて、軽くて、低コストである。
【0027】
図5は、PPC(たとえば、DC−DCコンバータ70)の全体的効率182(図3に示す)を、単位電圧当たり210の関数としてシミュレートしたプロット200である。単位電圧当たり210は、本明細書において、PV電圧(Vmppt)152(図2に示す)対DCリンク電圧(VDClink)154(図2に示す)の比率として規定される。PV電圧152がDCリンク電圧154に近づく(すなわち、Vmppt/VDClinkが1に近づく)につれ、DC−DCコンバータ70が処理する電力量は減少し、全体的なPPC効率182は100%に近づく。DC−DCコンバータ70を用いて、PVユニット22(図1に示す)によるDC電力出力のうち一部分のみを変換することによって、コンバータ定格、したがって、コンバータ・コスト、サイズ、および重量を、著しく小さくすることができる。さらに、結果として生じる変換効率を、全出力コンバータのそれを超えて大きくすることができる。このタイプの配置を大きなPVシステムにおいて用いれば、より費用対効果の高いエネルギー収量のトレード・オフが得られる。さらに、予想される周囲温度範囲(たとえば、限定することなく、−40℃〜65℃)上では、単位電圧当たり210(すなわち、Vmppt/VDClink)は、約0.6〜1.0で変化すると予想される。98%を超える効率を、比較的大きなPV電圧152変化に渡って予想することができる。
【0028】
図6に、PV発電システム10(図1に示す)の典型的な電流電圧(IV)特性を例示する。より具体的には、図6には、第1のプロット220として、一次電流(Iprimary)142(図2に示す)を、単位電圧当たり210の関数として示したもの、第2のプロット222として、PV電流(IPV)144(図2に示す)を、単位電圧当たり210の関数として示したもの、および第3のプロット224として、DC負荷電流(Iload)146(図2に示す)を、単位電圧当たり210の関数として示したものが含まれている。DC−ACインバータたとえばDC−ACインバータ14(図1に示す)によってDCリンク電圧154が制御されるために、ある特定のPVモジュールまたはストリングからの最大電力が生じるのは、IDClink146(PVアレイからDCリンク84(図2に示す)に送出され、DC−DCコンバータ70によって制御される)が、最大値に達したとき、たとえばVmppt256においてである。したがって、PV発電システム10内の各DC−DCコンバータから送出されるDCリンク電流146が最大になる、単純かつ容易に実施の最大電力制御アルゴリズムが行なわれる。こうして、各DC−DCコンバータの制御が単純になる(たとえば、DCリンク電流146を最大にして電力出力を最大にする)。電流センサのみが必要であり、これは、他の回路配置の最大電力制御の場合に必要となるものよりも少数のセンサである。
【0029】
図7は、DC−DCコンバータ70(図1に示す)の第1の代替的な実施形態282の回路図280である。第1の代替的な実施形態では、DC−DCコンバータ282はフライバック・コンバータ構成を備えている。DC−DCコンバータ282は、単一のトランジスタ284、変圧器286、第1のコンデンサ288、第2のコンデンサ290、および整流用ダイオード291を備えている。フライバック・コンバータの動作は、プッシュ・プル型コンバータ(図2に示す)の動作と実質的に同様である。複数のトランジスタ102および104がDC−DCコンバータ70内に含まれていることによって、DC−DCコンバータ70をフライバック・コンバータよりも高い電力用途において用いることができる。しかし、より少数のトランジスタがフライバック・コンバータ内に含まれていることによって、プッシュ・プル型コンバータと比べてより低い電力用途に適したより低コストの解決方法が得られる。たとえば、複数のPVユニット12のPVユニット22、24、26、28、30、および32(すべて図1に示す)の電力出力を、DC−DCコンバータ282に印加しても良い。さらに、代替的な実施形態では、変圧器286の定格電力容量は、変圧器88(図2に示す)の定格電力容量よりも小さい。変圧器286の電力定格がより小さいということは、より低コストのコンバータとなることにもつながる。代替的な実施形態では、PVユニット22の第1の側292もしくは第2の側294を接地しても良いし、または代替的に、第1の側292および/または第2の側294を非接地(すなわち、浮遊状態)にしても良い。
【0030】
図8は、DC−DCコンバータ70(図1に示す)の第2の代替的な実施形態310の回路図300である。第2の代替的な実施形態では、DC−DCコンバータ310はフォワード・コンバータ構成を備えている。第1の代替的な実施形態282(図7に示す)と同様に、DC−DCコンバータ310は単一のトランジスタ312を備えているが、DC−DCコンバータ310は、少なくとも部分的に、二次インダクタ314を付加することによって、中間電力レベル用途用に構成されている。トランジスタ312における一次電流(Ipk)320はDC負荷電流146に比例している。前述したように、DCリンク84に送出される電力はDCリンク電流146に比例している。したがって、PVユニット22のPV電力出力を最大にするために、トランジスタ312における一次電流320を検知して最大にする。この最大電力点追従の方法を用いれば、PVユニット22のPV電力出力を最大にするのに、PVモジュール出力電流センサは必要ではない。このようにして、電流320(一般的に、DC−DCコンバータ310の制御用に検知される)は、最大電力追従に対しても用いられ、アレイ電流144またはDCリンク電流146を測定するのに付加的な電流センサは必要ではない。
【0031】
典型的な実施形態では、トランジスタ312は、DC−DCコンバータ70を高電圧から保護するように構成されている。より具体的には、トランジスタ312を「ON」の状態にしておくことで、DCリンク電圧154が所定の過電圧レベルを超えることはない。このような状況は、たとえば、DC−DCコンバータ70の起動中に、および周囲温度が予想範囲よりも低く輝度が予想範囲よりも大きいときに、起こる場合がある。最大PV電圧レベルは、たとえばコントローラ322に記憶しても良く、および/またはコントローラ322からアクセスしても良い。PV電圧152が最大PV電圧レベルを超えたら、コントローラ322はトランジスタ312を「ON」状態に維持して、短絡回路をPVユニット22に渡って形成する。PVユニット22の最大電力出力は、DC−DCコンバータ70内の構成部品(たとえば、限定することなく、トランジスタ312)に損傷を与えずにDC−DCコンバータ70に印加される場合がある最大電流よりも低いレベルに制限される。
【0032】
図9は、DC−DCコンバータ70(図1に示す)の第3の代替的な実施形態362の回路図360である。第3の代替的な実施形態では、DC−DCコンバータ362は、フル・ブリッジ・コンバータ構成を備えている。DC−DCコンバータ362は、第1のトランジスタ364、第2のトランジスタ366、第3のトランジスタ368、および第4のトランジスタ370を備えている。これらによって、DC−DCコンバータ362を、より高い電力レベル用途、たとえば、ストリング結合器(たとえば、ストリング結合器40、ストリング結合器46)および/またはアレイ結合器50(すべて図1に示す)によって出力される電力レベルにおいて用いることができる。DC−DCコンバータ310に対して説明したように、最大電力をPVユニット22から取り出すことは、一次電流320を最大にすることによって実現される。DC−DCコンバータ362は、第4のトランジスタ370を通る一次電流320を測定するための電流検知装置372を備えている。DC−DCコンバータ362を、ハード・スイッチド・パルス幅変調(PWM)信号、ソフト・スイッチド位相シフトPWM信号、および/または任意の他の好適な信号によって制御しても良い。さらに、トランジスタ364、366、368、および370を「ON」状態に維持することによって、DCリンク電圧154が所定の過電圧レベルを超えることは、PV電圧152が所定のレベルを超えたときに起こらない。このように超えることは、たとえば、起動中に、および/または極めて冷たくて明るい条件で起こる場合がある。
【0033】
図10は、DC−DCコンバータ70(図1に示す)の第4の代替的な実施形態376の回路図374である。第4の代替的な実施形態では、DC−DCコンバータ376は電流供給コンバータ構成を備えている。DC−DCコンバータ376は、第1のトランジスタ378、第2のトランジスタ380、第3のトランジスタ382、および第4のトランジスタ384を備えている。DC電流(Id)386がフル・ブリッジ整流器388に供給される。フル・ブリッジ整流器388は、第1のダイオード390、第2のダイオード392、第3のダイオード394、および第4のダイオード396を備えている。DC−DCコンバータ376によって、クランピング・ダイオード390および392を通る電圧スパイクをDCリンク電圧(VDClink)154を用いて固定することができる。その結果、電圧スパイク(トランジスタ378、380、382、および384を切り換えたときに自然に生じる)を無損失で固定することが、エネルギーをDCリンク84に戻すことによって行なわれる。
【0034】
図11は、DC−DCコンバータ70(図1に示す)の第5の代替的な実施形態402の回路図400である。第5の代替的な実施形態では、DC−DCコンバータ402は、部分電力処理バック・ブースト構成を備えている。DC−DCコンバータ402の入力部90は、スイッチ、たとえばトランジスタ403、インダクタ404、および入力コンデンサ405を備えている。DC−DCコンバータ402の出力部92は出力コンデンサ406を備えており、またダイオード408を備えていても良い。DC−DCコンバータ402は、変圧器も出力整流器も備えてはいない。むしろ、入力部90は、出力部92に直接結合されている(すなわち、相互誘導結合されてはいない)。したがって、DC−DCコンバータ402は中〜高電力用途用に適している。
【0035】
DC−DCコンバータ402の出力電圧(すなわち、VDClink154)は、入力電圧(すなわち、PVアレイ電圧152、Vmppt)と出力コンデンサ406両端の電圧(すなわち、Vs150)との和に等しい。VDClink154は、トランジスタ403のデューティ比(d)に依存している。より具体的には、Vmppt152とVs150とは次式によって関係付けられている。
【0036】
Vs=(d/(1−d))Vmppt(方程式1)
この非反転バック・ブースト・コンバータ関係によって、DC−DCコンバータ402を広範囲のVmppt152変化に渡って用いることができる(たとえば、Vs150は、Vmppt+Vs=VDClinkとなるように、Vmpptより高い場合も低い場合もある)。Vmppt152がVDClink154よりも低いときには、入力電圧Vmppt152のうち一部分のみをDC−DCコンバータ402を通して処理する。処理する一部分は、Vmppt152とVDClink154との間の電圧差に依存する。より具体的には、電力のうちDC−DCコンバータ402によって処理される一部分は、Vmppt≦VDClinkのときに、次式を用いて計算しても良い。
【0037】
処理電力の一部分=1−(Vmppt/VDClink)(方程式2)
Vmppt152が実質的にVDClinkに等しいときには、入力電力はすべてDC−DCコンバータ402を通過し、処理および/または変換されることはない(すなわち、Vmppt152はすべて出力部92に送られ、トランジスタ403は「OFF」状態にされる)。Vmppt152が所定の電圧レベルを超えたときには、トランジスタ403は、「ON」状態に留まることによってVmppt152を制限するように構成されている。「ON」状態に維持されているときには、トランジスタ403によって、PVアレイ電圧152(Vmppt)が所定のレベルを超えること(たとえば、起動中に、および/または極めて冷たくて明るい条件で起こる場合がある)はない。
【0038】
図2および7〜11に例示した回路では、異常に高いアレイ電圧が生じたときに(たとえば、非常に冷たくて明るい条件で起きる場合がある)、トランジスタ102、104、284、312、364、366、368、370、および403を「ON」の状態にして、アレイ電圧(Vmppt)152を制限することができる。トランジスタ102、104、284、312、364、366、368、370、および/または403は、「ON」位置に維持されているときには、基本的にDCリンク84を「バール」してPVアレイ電圧(Vmppt)152を制限する回路保護素子である。Vmppt152を制限することによって、PVユニット22の電力出力が減り、その結果、PVユニット22に対する損傷がなくなる。さらに、「ON」位置にあるときには、トランジスタ102、104、284、312、364、366、368、370、および/または403によって、一次部分90へ流れる電流(Iprimary)142が増加し、したがって、DC負荷86(図2に示す)および/またはDCリンク84(図2および7〜11に示す)に流れる電流(Iload)146が減少する。加えて、PPC整流用ダイオード、たとえば、ダイオード114および116(図2に示す)ならびに/またはダイオード291(図7に示す)は、回路82、280、300、360、および/または374において、万一、コンバータまたはストリング障害が生じた場合に、整流用ダイオードおよび隔離用ダイオードの二役を果たす。ダイオードがあることによって、障害が、DCリンク84を短絡させること、および潜在的にシステム内の他のコンバータにおいてカスケーディング障害を引き起こすことが防止される。PVストリングのいずれかの端部を意図的に接地しても良いし、または両端を浮遊状態にしておくこともできる。
【0039】
図12は、発電システムたとえばPV発電システム10(図1に示す)の動作を制御するための典型的な方法412のフロー・チャート410である。前述したように、発電システム10は、少なくとも1つの発電ユニットたとえばPVユニット22(図1に示す)と、少なくとも1つの部分電力コンバータたとえばDC−DCコンバータ70(図1に示す)と、を備えている。さらに、DC−DCコンバータ70は、コントローラたとえばコントローラ106(図2に示す)を備えている。コントローラは、少なくとも1つの半導体スイッチ(たとえばトランジスタ102および/またはトランジスタ104)の動作を制御するように構成されている。典型的な実施形態では、方法412には、部分電力コンバータ70を、トランジスタ102を通って流れる電流のレベルを判定するように構成すること414、および部分電力コンバータ70を、トランジスタ102を通って流れる電流のレベルを最大にし、したがってPVユニット22の電力出力を最大にするように構成すること416が含まれている。
【0040】
典型的な実施形態では、方法412にはまた、コントローラ106を、PVユニット22の電圧出力が所定のレベルを超えたときに(たとえば、起動中、および極めて冷たくて明るい条件において)、トランジスタ102を第1の位置(たとえば、「ON」位置)に維持するように構成すること418が含まれている。またコントローラ106を、発電システム10内の故障電流を制限するようにトランジスタ102の動作を行なわせるように構成する420。方法412にはまた、部分電力コンバータ70を、負荷に送出される総電力の一部をたとえばDC負荷86(図2に示す)に送出するように構成すること422が含まれている。また、発電システム10は、DC−ACインバータたとえばDC−ACインバータ14(図1に示す)も備えており、方法412には、DC−ACインバータ14を、部分電力コンバータ70の電力出力の電圧レベルを制御するように構成すること424が含まれていても良い。
【0041】
本明細書で説明した方法、システム、および装置によって、全出力DC−DCコンバータに対する利益が提供される。たとえば、システム効率の向上したがって高エネルギー収量、電力コンバータの定格の減少、サイズの減少、重量の減少、コストの減少、エネルギー収量の増加、および最大電力点追従に対するセンサの省略である。本明細書で説明した方法、システム、および装置によって、分散アーキテクチャを、大きな工業および実用規模システムに対して費用対効果の高いものにすることができる。工業および実用規模システム以外に、本明細書で説明した方法、システム、および装置は、より小規模なシステムたとえば住宅用または小口業務用に、モジュール・レベルで適用しても良い。さらに、本明細書で説明した方法、システム、および装置によって可能になったサイズ、コスト、および重量の低減によって、DC−DCコンバータをPVモジュールに容易に統合することができる(すなわち、DC−DCコンバータをPV発電システム内の接続箱に配置することができる)。
【0042】
本明細書では、PVモジュール、ストリング、またはストリングのグループから送出される電力の一部を変換および制御するための典型的な方法、システム、および装置について説明した。これらによって、PVモジュール、ストリング、またはストリングのグループから送出される電力をすべて変換する場合と比べて、変換の全体的効率が増加し、コンバータのコストが減少する。より具体的には、本明細書で説明した方法、システム、および装置によって、より低電力のコンバータを、PVモジュールに対して電気的により近くに(たとえば、ストリング結合器ボックス内に)配置すること、またはストリング出力に直接接続することが可能になる。なぜならば、低電力のコンバータの方が、コストが小さく、定格電力のレベルが、PVモジュール、ストリング、またはストリングのグループから送出される電力と同様であるからである。
【0043】
本明細書で説明した方法、システム、および装置によって、効率的および経済的な発電が容易に行なえる。方法、システム、および装置の典型的な実施形態が、本明細書において詳細に説明および/または例示されている。方法、システム、および装置は、本明細書で説明した特定の実施形態には限定されず、むしろ、各システムおよび/または装置の構成部品に加えて各方法のステップを、本明細書で説明した他の構成部品およびステップとは独立かつ別個に用いても良い。各構成部品および各方法ステップを、他の構成部品および/または方法ステップと組み合わせて用いることもできる。
【0044】
本明細書で記載および/または例示した方法および装置の要素/構成部品/などを導入する場合、冠詞「a」、「an」、「the」、および「前記」は、要素/構成部品/などのうちの1または複数が存在することを意味することが意図されている。用語「備えている(comprising)」、「含んでいる(including)」、および「有している(having)」は、包含的であること、および列記された構成部品/など以外に付加的な要素/構成部品/などが存在する場合があることを意味することが意図されている。
【0045】
この書面の説明では、実施例を用いて、本発明を、ベスト・モードも含めて開示するとともに、どんな当業者も本発明を実施できるように、たとえば任意の装置またはシステムを作りおよび用いること、ならびに取り入れた任意の方法を実行することができるようにしている。本発明の特許可能な範囲は、請求項によって規定されており、当業者に想起される他の例を含んでいても良い。このような他の実施例は、請求項の文字通りの言葉使いと違わない構造要素を有する場合、または請求項の文字通りの言葉使いとの違いが非実質的である均等な構造要素を含む場合には、請求項の範囲内であることが意図されている。
【技術分野】
【0001】
本発明は、米国政府支援によって契約GE−EE0000572の下で行なわれ、エネルギー省(DOE)より与えられたものである。米国政府は、本発明に一定の権利を有する。
【0002】
本明細書で説明する実施形態は一般的に、太陽光(PV)発電システムに関し、より具体的には、太陽光発電収集システムから電力を取り出すための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
太陽エネルギーは、ますます魅力的なエネルギー源になっており、きれいで再生可能な代替エネルギーであると認められている。太陽電池(PV)セルからは直流(DC)電力が発生し、DC電流のレベルは太陽放射に依存し、DC電圧のレベルは温度に依存している。交流(AC)電力が求められる場合、インバータを用いてDC電力をAC電力に変換する。一般的に、PVインバータ電力処理に対して2段階を用いている。第1段階は、一定のDC電圧を与えるように構成され、第2段階は、一定のDC電圧を送電網に適合するAC電流および電圧に変換するように構成されている。一般的に、PVインバータでは、DCリンクを中間のエネルギー貯蔵ステップとして用いている。この意味は、PVインバータに備わっているのは、不安定なPVアレイ電圧を安定なDC電圧に変換するDC−DCコンバータと、その後に、安定なDC電圧を、送電網上に注入することができるAC電流に変換するDC−ACインバータとであるということである。2段階インバータの効率は、PVシステムの性能に影響する重要なパラメータであり、個々の段効率の複合である。
【0004】
より高い電流および電圧を得るために、PVセルを電気的に接続してPVモジュールを形成している。複数のPVセルだけでなく、PVモジュールはまた、センサ、たとえば、放射照度センサ、温度センサ、および/または電力計を備えていても良い。またPVモジュールを接続してストリングを形成しても良く、複数のストリングを接続してPVアレイを形成しても良い。一般的に、PVアレイから出力されるDC電圧を送電網インバータ(たとえば、DC−AC電圧インバータ)に与える。DC−AC電圧インバータによって、DC電圧は、単相または三相の交流(AC)電圧および電流に変換される。三相AC出力を、中電圧電力変圧器に与えることができる。中電圧電力変圧器は、電圧を上げて三相の中電圧ACを発生させる。三相の中電圧ACは、配電網内に注入される。
【0005】
ほとんどのPV発電システムでは、中央DC−DCコンバータを用いてPVアレイの全電力出力を変換しているため、比較的に高コストで高重量の解決方法となっている。また、中央DC−DCコンバータは一般的に、アレイ電力を算出する際に用いるアレイ電圧および電流を測定するためのセンサを備える最大電力点追従器(MPPT)を用いている。このようなセンサは、DC−DCコンバータを動作させるのに必要なセンサに加えて設けられている。また、全出力変換DC−DCコンバータを備えるPV発電システムの不利点は、効率複合効果と言われるものである。PV発電システムの効率は、中央DC−DCコンバータの効率より高くなることはあり得ない。DC−AC変換の総合効率は、DC−DCコンバータ効率とDC−ACインバータ効率との複合が原因で1%〜2%だけ低下する。さらに、全出力定格の中央DC−DCコンバータに故障が発生すると、PVアレイ全体の障害が生じる場合がある。このようなPVアレイ障害を防ぐために、一般的に、付加的なアレイ直列ダイオードおよびヒューズを用いて、DC−DCコンバータ障害を隔離している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第20090296434号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
太陽光発電収集システムから電力を取り出すための方法およびシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様においては、直流(DC)電力をDCリンクに与えるように構成された発電システムが提供される。システムは、DC電力を出力するように構成された第1の発電ユニットを備えている。システムはまた、入力部および出力部を備える第1のDC−DCコンバータを備えている。第1のDC−DCコンバータの出力部は、第1の発電ユニットと直列に結合されている。第1のDC−DCコンバータは、第1の発電ユニットのDC電力出力の第1の部分を処理するように、および前記第1の発電ユニットのDC電力出力の未処理の第2の部分を前記出力部に与えるように、構成されている。
【0009】
別の態様では、DC−DC部分電力コンバータが提供される。DC−DC部分電力コンバータは、発電ユニットのDC電力出力の第1の部分を受け取るように構成された入力部を備えている。DC−DC部分電力コンバータはまた、発電ユニットのDC電力出力の第1の処理部分および第2の未処理部分を含むDC電力を出力してDCリンクへの印加に備えるように構成された出力部を備えている。
【0010】
さらに別の態様では、発電システムの動作を制御するための方法が提供される。発電システムは、少なくとも1つの発電ユニットおよび少なくとも1つの部分電力コンバータを備えている。少なくとも1つの部分電力コンバータは、少なくとも1つの半導体スイッチの動作を制御するように構成されたコントローラを備えている。本方法は、部分電力コンバータを、少なくとも1つの半導体スイッチを通って流れる電流のレベルを判定するように構成することと、部分電力コンバータを、少なくとも1つの半導体スイッチを通って流れる電流のレベルを最大にして、少なくとも1つの発電ユニットの電力出力を最大にするように構成することと、を含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】典型的な太陽光(PV)発電システムのブロック図である。
【図2】図1に示すPV発電システムに含まれていても良い典型的なDC−DCコンバータの回路図である。
【図3】図2に示すDC−DCコンバータによって行なわれる電力変換の全体的効率を、DC−DCコンバータの利得の関数として示すプロットである。
【図4】図2に示す直流(DC)−DCコンバータから送出される部分電力を、DC−DCコンバータの利得の関数として示すプロットである。
【図5】図2に示すDC−DCコンバータの全体的効率を、DC−DCコンバータによって変換される電力の割合の関数として示すプロットである。
【図6】図1に示すPV発電システムの典型的な電流−電圧(IV)特性を例示する図である。
【図7】図1に示すPV発電システム内に含まれていても良いDC−DCコンバータの第1の代替的な実施形態の回路図である。
【図8】図1に示すPV発電システム内に含まれていても良いDC−DCコンバータの第2の代替的な実施形態の回路図である。
【図9】図1に示すPV発電システム内に含まれていても良いDC−DCコンバータの第3の代替的な実施形態の回路図である。
【図10】図1に示すPV発電システム内に含まれていても良いDC−DCコンバータの第4の代替的な実施形態の回路図である。
【図11】図1に示すPV発電システム内に含まれていても良いDC−DCコンバータの第5の代替的な実施形態の回路図である。
【図12】図1に示すPV発電システムを動作させるための典型的な方法のフロー・チャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書で説明する方法、システム、および装置によって、PV発電システム内に含まれる少なくとも1つの太陽電池(PV)モジュールの電力出力を制御することと、少なくとも1つのPVモジュールの電力出力を直流(DC)電力から交流(AC)電力に変換して電力網への印加に備えることと、が容易になる。DC−DCコンバータを、電力を供給する少なくとも1つのPVモジュールから最大電力を取り出すように制御する。PVモジュールによる全電力出力のある割合がDC−DCコンバータによって処理される。コンバータ損失は最小限になる。なぜならば、PVモジュールの全電力出力のうち一部分のみが、DC−DCコンバータによって処理されるからである。本明細書ではPV発電システムについて説明しているが、本明細書で説明する方法、システム、および装置は一般的に、任意の発電用途に適用しても良い。
【0013】
本明細書で説明した方法、システム、および装置は、PVモジュール、ストリング、またはアレイから送出される総電力のうち一部分のみを処理するように制御されるDC−DC電力コンバータを備え、そうすることによって、DC−DC電力コンバータは、高電力送電網接続のDC−ACインバータに送出される総電力を制御する。DC−ACインバータに送出される総電力のうち一部分のみが処理されるため、損失は最小限になり、その結果、PV発電システムの効率が増加する。変換効率が増加することによって、全体的なエネルギー収量が向上する。さらに、DC−ACインバータによってメイン・システムDCリンク電圧が調整されるため、単純なアルゴリズムを用いることで、個々のPVモジュール、PVストリング、および/またはPVアレイによる電力出力を最大にすることが、DCリンクに送出される電流を単に最大にすることによって可能になる。このように単純であるために、PV発電システムの信頼性を高めることおよびコストを下げることが、少なくとも部分的には、高度に分散されたシステムを得るのに必要な比較的多数の小規模DC−DC電力コンバータが存在するということにより、可能になる。DC−DC電力コンバータをPV発電システムの全体に渡って分散させることによって、PVアレイ全体からの電力の最大化が、モジュール不整合、シェーディング、または他の不平衡効果たとえば汚れおよび/もしくは一時的事象たとえば雲の通過がある場合であっても、行なわれる。DC−DCコンバータを適切に制御することによって、最大アレイ電圧を安全に制限することができ、また直列ダイオード隔離および耐故障性を実現することができる。また、この構成によって、PVモジュールのアーク故障検出が可能になる。DC−DCコンバータのコスト、サイズ、および重量が低減される。なぜならば、電力コンバータの定格は、システムから送出される総電力よりも著しく小さい電力になっているからである。
【0014】
本明細書で説明した方法、システム、および装置の技術的効果には、以下のうちの少なくとも一方が含まれる。(a)部分電力コンバータを、部分電力コンバータ内に含まれる少なくとも1つの半導体スイッチを通って流れる電流のレベルを判定するように構成すること、および(b)部分電力コンバータを、少なくとも1つの半導体スイッチを通って流れる電流のレベルを最大にして、少なくとも1つの発電ユニットの電力出力を最大にするように構成すること、である。
【0015】
図1は、発電システム10の典型的な実施形態のブロック図である。典型的な実施形態では、発電システム10は複数の発電ユニット12を備えている。典型的な実施形態では、発電システム10は、複数のPVユニット12が結合されてPVアレイを形成するPV発電システムである。言い換えれば、複数のPVユニット12内の各PVユニットは、複数のPVユニット12内の少なくとも1つの他のPVユニットと電気的に接続されて、PV発電システムを形成している。PVユニット12には、PVモジュール、PVストリング、および/またはPVストリングのグループが含まれていても良い(ただし、これらに限定されない)。PV発電システム10はまた、少なくとも1つのDC−ACインバータ14を備えていても良い。典型的な実施形態では、PVユニット12は、単に例えとして、メガワットまたは数百キロワットをDC−ACインバータ14に送出している。DC−ACインバータ14は、PVユニット12から受け取ったDC電力を調整して、送電網品質の電力をAC電力網16へ送出する。PVユニット12を、直列および/または並列ストリングで接続し、それらを次に複数のレベルで互いに結合して、それらの電力をDC−ACインバータ14の入力18に送出することを図っている。
【0016】
典型的な実施形態では、PVユニット12は、第1のPVユニット22、第2のPVユニット24、第3のPVユニット26、第4のPVユニット28、第5のPVユニット30、および第6のPVユニット32を含んでいる。第1、第2、および第3のPVユニット22、24、および26を、たとえば第1のストリング結合器40において結合して、第1のストリング・アレイ42を形成する。第4、第5、および第6のPVユニット28、30、および32を、たとえば第2のストリング結合器46において結合して、第2のストリング・アレイ48を形成する。さらに、第1のストリング・アレイ42および第2のストリング・アレイ48は、たとえばアレイ結合器50によって結合されている。アレイ結合器50からDC電力がDC−ACインバータ14に出力される。6つのPVユニット、3つのストリング・アレイ、2つのストリング結合器、およびアレイ結合器を備えていると説明したが、PV発電システム10は、任意の数のPVユニット、ストリング・アレイ、ストリング結合器、および/またはアレイ結合器であって、PV発電システム10が本明細書で説明したように機能できるようにするものを備えていても良い。
【0017】
典型的な実施形態では、PV発電システム10は、少なくとも1つのDC−DCコンバータ68、たとえば、第1のDC−DCコンバータ70、第2のDC−DCコンバータ72、第3のDC−DCコンバータ74、第4のDC−DCコンバータ76、第5のDC−DCコンバータ78、および第6のDC−DCコンバータ80を備えている。典型的な実施形態では、第1のDC−DCコンバータ70は第1のPVユニット22とストリング結合器40との間に結合されており、第2のDC−DCコンバータ72は第2のPVユニット24とストリング結合器40との間に結合されており、第3のDC−DCコンバータ74は第3のPVユニット26とストリング結合器40との間に結合されており、第4のDC−DCコンバータ76は第4のPVユニット28と第2のストリング結合器46との間に結合されており、第5のDC−DCコンバータ78は第5のPVユニット30と第2のストリング結合器46との間に結合されており、第6のDC−DCコンバータ80は第6のPVユニット32と第2のストリング結合器46との間に結合されている。
【0018】
第1の代替的な実施形態では、第1のDC−DCコンバータ70は、第1のストリング結合器40とアレイ結合器50との間に結合され、第2のDC−DCコンバータ72は、第2のストリング結合器46とアレイ結合器50との間に結合されている。第2の代替的な実施形態では、第1のDC−DCコンバータ70は、アレイ結合器50とDC−ACインバータ14との間に結合されている。さらに、少なくとも1つのDC−DCコンバータ68を、PV発電システム10内の、PV発電システム10が本明細書で説明したように機能できるようにする任意の位置に配置しても良い。たとえば第1のDC−DCコンバータ70の電力定格は、PV発電システム10内のその位置に応じて変化する。
【0019】
少なくとも1つのDC−DCコンバータ68を、複数のPVユニット12から最大電力を取り出すように制御する。典型的な実施形態では、第1のDC−DCコンバータ70を第1のPVユニット22から最大電力を取り出すように制御し、第2のDC−DCコンバータ72を第2のPVユニット24から最大電力を取り出すように制御し、第3のDC−DCコンバータ74を第3のPVユニット26から最大電力を取り出すように制御し、第4のDC−DCコンバータ76を第4のPVユニット28から最大電力を取り出すように制御し、第5のDC−DCコンバータ78を第5のPVユニット30から最大電力を取り出すように制御し、第6のDC−DCコンバータ80を第6のPVユニット32から最大電力を取り出すように制御している。第1の代替的な実施形態では、第1のDC−DCコンバータ70を、PVユニット22、24、および26の組み合わせから最大電力を取り出すように制御し、第2のDC−DCコンバータ72を、PVユニット28、30、および32の組み合わせから最大電力を取り出すように制御する。第2の代替的な実施形態では、第1のDC−DCコンバータ70を、PVユニット22、24、26、28、30、および32の組み合わせから最大電力を取り出すように制御する。
【0020】
DC−DCコンバータ68を、個々のPVユニット22、24、26、28、30、および32のより近くに配置することによって、PVユニット22、24、26、28、30、および32から取り出すことができる電力が増加する。これは、少なくとも部分的には、PVユニットの領域の一部にシェーディング、汚れ、またはモジュール不整合があっても、領域の他の部分に位置する他のPVユニットから送出される電力には影響しないという事実による。しかし、DC−DCコンバータ68を、個々のPVユニット22、24、26、28、30、および32のより近くに配置して、DC−、PVユニット22、24、26、28、30、および32から取り出せる電力が増えるのは、DCコンバータ68が非常に効率的である場合だけである。なぜならば、複数の非効率的なDC−DCコンバータを用いても、PVユニット22、24、26、28、30、および32から取り出される電力は、1つの効率的なDC−DCコンバータを用いた場合と比べて増えないからである。さらに、DC−DCコンバータ68を個々のPVユニットのより近くに配置することが実用的であるのは、コンバータのコストが十分に低くて、エネルギー収量の増加から得られる貨幣利得と相殺しないような場合だけである。
【0021】
図2は、PV発電システム10(図1に示す)内に含まれていても良いDC−DCコンバータ70の典型的な実施形態の回路図82である。典型的な実施形態では、DC−DCコンバータ70は、PVユニット(たとえば、第1のPVユニット22)とDCリンク84との間に結合されている。DC負荷86が、DCリンク84にまたがって配置されていても良い。DC負荷86には、電池充電器および/または送電網結合インバータたとえばDC−ACインバータ14(図1に示す)が含まれていても良い(ただし、これらに限定されない)。DCリンク84を、DC−ACインバータ14、第1のストリング結合器40(図1に示す)、第2のストリング結合器46(図1に示す)、および/またはアレイ結合器50(図1に示す)に結合しても良いし、またはその中に含めても良い。DC−DCコンバータ70は、本明細書では、部分電力コンバータ(PPC)とも言う。なぜならば、PVユニット22の電力出力の一部のみを、DC−DCコンバータ70によって変換するからである。PVユニット22の電力出力の残りの部分は、DC−DCコンバータ70には与えられるが、DC−DCコンバータ70による変換および/または処理は、DCリンク84に与えられる前には行なわれない。
【0022】
典型的な実施形態では、DC−DCコンバータ70は、少なくとも1つの変圧器88を備えるプッシュ・プル型コンバータとして構成される。プッシュ・プル型コンバータとして例示しているが、任意の他の好適なDC−DCコンバータ配置を用いても良い。少なくとも1つの変圧器88は、一次部分90(本明細書では入力部とも言う)および二次部分92(本明細書では出力部とも言う)を備えている。典型的な実施形態では、一次部分90は、少なくとも1つの一次巻線(たとえば、第1の一次巻線96および第2の一次巻線98)を備えている。一次部分90はまた、少なくとも1つの半導体デバイス(たとえば、第1の半導体デバイス102および第2の半導体デバイス104)を備えている。半導体デバイス102および104には以下のものが含まれていても良い(ただし、これらを含むことに限定されない)。絶縁ゲート型バイポーラ・トランジスタ(IGBT)、絶縁ゲート型電界効果トランジスタ(MOSFET)、またはバイポーラ接合トランジスタ(BJT)であって、シリコンまたはワイド・バンド・ギャップ材料(たとえば、炭化ケイ素および/または窒化ガリウム)を用いて実施されるもの。典型的な実施形態では、一次部分90はまた、半導体デバイス102および104の動作を制御するコントローラ106を備えている。たとえば、コントローラ106は、半導体デバイス102に制御信号を与えても良い。制御信号のデューティ・サイクルによって、DC−DCコンバータ70の電圧出力が制御される。代替的な実施形態として、DCリンク84の電圧がDC−ACインバータ14によって調整される場合には、DC−DCコンバータ70は、関連するPVユニット(たとえば、PVユニット22)の入力電圧をデューティ・サイクル制御によって調整して、PVユニット22から最大電力を取り出す。
【0023】
典型的な実施形態では、二次部分92は、少なくとも1つの二次巻線(たとえば、第1の二次巻線108および第2の二次巻線110)を備えている。二次部分92はまた、少なくとも1つの半導体デバイス(たとえば、第1のダイオード114および第2のダイオード116)を備えている。典型的な実施形態では、PVユニット22の出力120は、第1の一次巻線96と第2の一次巻線98との間の中央タップ130に、および第1の二次巻線108と第2の二次巻線110との間の中央タップ140に結合されている。PVユニット22から出力されるDC電流(IPV)144の第1の部分(Iprimary)142が、一次部分90に与えられる。PVユニット22のDC電流出力144の第2の部分(本明細書では、負荷電流またはDCリンク電流(IloadまたはIDClink)146と言う)が、二次部分92に直接与えられる。また一次部分90および二次部分92は相互誘導結合されている。より具体的には、一次巻線96および98は、二次巻線108および110に相互誘導結合されている。動作時には、一次巻線96および98を通って流れる時間変化電流が生じると、二次巻線108および110の両端に電圧が誘起される。
【0024】
典型的な実施形態では、一次部分90によって、PVユニット22から発生したDC電流の一部が取り出される。さらに、二次部分92はPVユニット22と直列に結合されていて、DC−DCコンバータ70の出力電圧150(Vs)が、PVユニット22の出力電圧152(Vmppt)と直列になるようになっている。言い換えれば、DCリンク84に送出される電圧(本明細書では、VDClink154と言う)は、PV電圧152(Vmppt)とDC−DCコンバータ電圧150(Vs)との和である。また、DCリンク84に送出される電力は、DC−DCコンバータ70によって処理および/または変換される電力よりも大きくなっている。したがって、DC−DCコンバータ70に対する電力定格を、DCリンク84に送出されるすべての電力がDC−DCコンバータ70によって処理および/または変換される場合よりも、小さくすることができる。DC−DCコンバータ70に対する電力定格は、DCリンク84に送出される電力よりも小さいが、DC−DCコンバータ70は、Iload146(DCリンク電流とも言われる)を制御する能力を維持している。典型的な実施形態では、DCリンク電圧154はDC−ACインバータ14によって制御される。DC−ACインバータ14は、電力網16(図1に示す)に結合されている。
【0025】
図3は、PPCたとえばDC−DCコンバータ70(図2に示す)が行なう電力変換の全体的効率182を、DC−DCコンバータ70の利得184の関数としてシミュレートしたプロット180であり、DC−DCコンバータ70は95%効率であると想定している。DC−DCコンバータ70の利得184は、本明細書では、DC−DCコンバータ70の出力電圧たとえば出力電圧(Vs)150(図2に示す)を、DC−DCコンバータ70に与えた電圧たとえば入力電圧(Vmppt)152(図2に示す)で割ったものと規定する。典型的な実施形態では、DC−DCコンバータ70が動作する利得は約0.5よりも小さい。例示したように、利得が約0.5よりも小さいところでは、DC−DCコンバータ70の全体的効率182は98%よりも大きい。DC−DCコンバータ70によって変換される電力部分が減る(すなわち、利得184が減る)につれて、DC−DCコンバータ70の全体的効率182は増える。
【0026】
図4は、PPCたとえばDC−DCコンバータ70(図2に示す)から送出される部分電力192を、利得184の関数としてシミュレートしたプロット190である。部分電力192は、本明細書において、DC−DCコンバータ70から送出されるDC電力のうち、DC−DCコンバータ70によって変換される部分と規定される。DC−DCコンバータ70が動作する利得184が約0.5よりも小さい場合、部分電力192は、DC−DCコンバータ70からたとえばDC負荷86(図2に示す)に送出される総電力の約1/3である。したがって、典型的な実施形態では、DC−DCコンバータ70の定格出力は、単に、DC負荷86に送出される総電力の大まかに3分の1でありさえすれば良い。例示したように、DC−DCコンバータ70によって変換される実際の電力は、DC負荷86に送出される総電力よりも著しく小さい。変換する量がDC負荷86に送出される総電力よりも小さいことによって、定格出力がより小さいDC−DCコンバータ(すなわち、最大電力DC−DCコンバータ70の定格は、損傷または過剰磨耗することなく変換することができる値である)を、PV発電システム10(図1に示す)内で用いても良い。一般的に、定格が小さいコンバータの方が、定格が大きいコンバータよりも、小さくて、軽くて、低コストである。
【0027】
図5は、PPC(たとえば、DC−DCコンバータ70)の全体的効率182(図3に示す)を、単位電圧当たり210の関数としてシミュレートしたプロット200である。単位電圧当たり210は、本明細書において、PV電圧(Vmppt)152(図2に示す)対DCリンク電圧(VDClink)154(図2に示す)の比率として規定される。PV電圧152がDCリンク電圧154に近づく(すなわち、Vmppt/VDClinkが1に近づく)につれ、DC−DCコンバータ70が処理する電力量は減少し、全体的なPPC効率182は100%に近づく。DC−DCコンバータ70を用いて、PVユニット22(図1に示す)によるDC電力出力のうち一部分のみを変換することによって、コンバータ定格、したがって、コンバータ・コスト、サイズ、および重量を、著しく小さくすることができる。さらに、結果として生じる変換効率を、全出力コンバータのそれを超えて大きくすることができる。このタイプの配置を大きなPVシステムにおいて用いれば、より費用対効果の高いエネルギー収量のトレード・オフが得られる。さらに、予想される周囲温度範囲(たとえば、限定することなく、−40℃〜65℃)上では、単位電圧当たり210(すなわち、Vmppt/VDClink)は、約0.6〜1.0で変化すると予想される。98%を超える効率を、比較的大きなPV電圧152変化に渡って予想することができる。
【0028】
図6に、PV発電システム10(図1に示す)の典型的な電流電圧(IV)特性を例示する。より具体的には、図6には、第1のプロット220として、一次電流(Iprimary)142(図2に示す)を、単位電圧当たり210の関数として示したもの、第2のプロット222として、PV電流(IPV)144(図2に示す)を、単位電圧当たり210の関数として示したもの、および第3のプロット224として、DC負荷電流(Iload)146(図2に示す)を、単位電圧当たり210の関数として示したものが含まれている。DC−ACインバータたとえばDC−ACインバータ14(図1に示す)によってDCリンク電圧154が制御されるために、ある特定のPVモジュールまたはストリングからの最大電力が生じるのは、IDClink146(PVアレイからDCリンク84(図2に示す)に送出され、DC−DCコンバータ70によって制御される)が、最大値に達したとき、たとえばVmppt256においてである。したがって、PV発電システム10内の各DC−DCコンバータから送出されるDCリンク電流146が最大になる、単純かつ容易に実施の最大電力制御アルゴリズムが行なわれる。こうして、各DC−DCコンバータの制御が単純になる(たとえば、DCリンク電流146を最大にして電力出力を最大にする)。電流センサのみが必要であり、これは、他の回路配置の最大電力制御の場合に必要となるものよりも少数のセンサである。
【0029】
図7は、DC−DCコンバータ70(図1に示す)の第1の代替的な実施形態282の回路図280である。第1の代替的な実施形態では、DC−DCコンバータ282はフライバック・コンバータ構成を備えている。DC−DCコンバータ282は、単一のトランジスタ284、変圧器286、第1のコンデンサ288、第2のコンデンサ290、および整流用ダイオード291を備えている。フライバック・コンバータの動作は、プッシュ・プル型コンバータ(図2に示す)の動作と実質的に同様である。複数のトランジスタ102および104がDC−DCコンバータ70内に含まれていることによって、DC−DCコンバータ70をフライバック・コンバータよりも高い電力用途において用いることができる。しかし、より少数のトランジスタがフライバック・コンバータ内に含まれていることによって、プッシュ・プル型コンバータと比べてより低い電力用途に適したより低コストの解決方法が得られる。たとえば、複数のPVユニット12のPVユニット22、24、26、28、30、および32(すべて図1に示す)の電力出力を、DC−DCコンバータ282に印加しても良い。さらに、代替的な実施形態では、変圧器286の定格電力容量は、変圧器88(図2に示す)の定格電力容量よりも小さい。変圧器286の電力定格がより小さいということは、より低コストのコンバータとなることにもつながる。代替的な実施形態では、PVユニット22の第1の側292もしくは第2の側294を接地しても良いし、または代替的に、第1の側292および/または第2の側294を非接地(すなわち、浮遊状態)にしても良い。
【0030】
図8は、DC−DCコンバータ70(図1に示す)の第2の代替的な実施形態310の回路図300である。第2の代替的な実施形態では、DC−DCコンバータ310はフォワード・コンバータ構成を備えている。第1の代替的な実施形態282(図7に示す)と同様に、DC−DCコンバータ310は単一のトランジスタ312を備えているが、DC−DCコンバータ310は、少なくとも部分的に、二次インダクタ314を付加することによって、中間電力レベル用途用に構成されている。トランジスタ312における一次電流(Ipk)320はDC負荷電流146に比例している。前述したように、DCリンク84に送出される電力はDCリンク電流146に比例している。したがって、PVユニット22のPV電力出力を最大にするために、トランジスタ312における一次電流320を検知して最大にする。この最大電力点追従の方法を用いれば、PVユニット22のPV電力出力を最大にするのに、PVモジュール出力電流センサは必要ではない。このようにして、電流320(一般的に、DC−DCコンバータ310の制御用に検知される)は、最大電力追従に対しても用いられ、アレイ電流144またはDCリンク電流146を測定するのに付加的な電流センサは必要ではない。
【0031】
典型的な実施形態では、トランジスタ312は、DC−DCコンバータ70を高電圧から保護するように構成されている。より具体的には、トランジスタ312を「ON」の状態にしておくことで、DCリンク電圧154が所定の過電圧レベルを超えることはない。このような状況は、たとえば、DC−DCコンバータ70の起動中に、および周囲温度が予想範囲よりも低く輝度が予想範囲よりも大きいときに、起こる場合がある。最大PV電圧レベルは、たとえばコントローラ322に記憶しても良く、および/またはコントローラ322からアクセスしても良い。PV電圧152が最大PV電圧レベルを超えたら、コントローラ322はトランジスタ312を「ON」状態に維持して、短絡回路をPVユニット22に渡って形成する。PVユニット22の最大電力出力は、DC−DCコンバータ70内の構成部品(たとえば、限定することなく、トランジスタ312)に損傷を与えずにDC−DCコンバータ70に印加される場合がある最大電流よりも低いレベルに制限される。
【0032】
図9は、DC−DCコンバータ70(図1に示す)の第3の代替的な実施形態362の回路図360である。第3の代替的な実施形態では、DC−DCコンバータ362は、フル・ブリッジ・コンバータ構成を備えている。DC−DCコンバータ362は、第1のトランジスタ364、第2のトランジスタ366、第3のトランジスタ368、および第4のトランジスタ370を備えている。これらによって、DC−DCコンバータ362を、より高い電力レベル用途、たとえば、ストリング結合器(たとえば、ストリング結合器40、ストリング結合器46)および/またはアレイ結合器50(すべて図1に示す)によって出力される電力レベルにおいて用いることができる。DC−DCコンバータ310に対して説明したように、最大電力をPVユニット22から取り出すことは、一次電流320を最大にすることによって実現される。DC−DCコンバータ362は、第4のトランジスタ370を通る一次電流320を測定するための電流検知装置372を備えている。DC−DCコンバータ362を、ハード・スイッチド・パルス幅変調(PWM)信号、ソフト・スイッチド位相シフトPWM信号、および/または任意の他の好適な信号によって制御しても良い。さらに、トランジスタ364、366、368、および370を「ON」状態に維持することによって、DCリンク電圧154が所定の過電圧レベルを超えることは、PV電圧152が所定のレベルを超えたときに起こらない。このように超えることは、たとえば、起動中に、および/または極めて冷たくて明るい条件で起こる場合がある。
【0033】
図10は、DC−DCコンバータ70(図1に示す)の第4の代替的な実施形態376の回路図374である。第4の代替的な実施形態では、DC−DCコンバータ376は電流供給コンバータ構成を備えている。DC−DCコンバータ376は、第1のトランジスタ378、第2のトランジスタ380、第3のトランジスタ382、および第4のトランジスタ384を備えている。DC電流(Id)386がフル・ブリッジ整流器388に供給される。フル・ブリッジ整流器388は、第1のダイオード390、第2のダイオード392、第3のダイオード394、および第4のダイオード396を備えている。DC−DCコンバータ376によって、クランピング・ダイオード390および392を通る電圧スパイクをDCリンク電圧(VDClink)154を用いて固定することができる。その結果、電圧スパイク(トランジスタ378、380、382、および384を切り換えたときに自然に生じる)を無損失で固定することが、エネルギーをDCリンク84に戻すことによって行なわれる。
【0034】
図11は、DC−DCコンバータ70(図1に示す)の第5の代替的な実施形態402の回路図400である。第5の代替的な実施形態では、DC−DCコンバータ402は、部分電力処理バック・ブースト構成を備えている。DC−DCコンバータ402の入力部90は、スイッチ、たとえばトランジスタ403、インダクタ404、および入力コンデンサ405を備えている。DC−DCコンバータ402の出力部92は出力コンデンサ406を備えており、またダイオード408を備えていても良い。DC−DCコンバータ402は、変圧器も出力整流器も備えてはいない。むしろ、入力部90は、出力部92に直接結合されている(すなわち、相互誘導結合されてはいない)。したがって、DC−DCコンバータ402は中〜高電力用途用に適している。
【0035】
DC−DCコンバータ402の出力電圧(すなわち、VDClink154)は、入力電圧(すなわち、PVアレイ電圧152、Vmppt)と出力コンデンサ406両端の電圧(すなわち、Vs150)との和に等しい。VDClink154は、トランジスタ403のデューティ比(d)に依存している。より具体的には、Vmppt152とVs150とは次式によって関係付けられている。
【0036】
Vs=(d/(1−d))Vmppt(方程式1)
この非反転バック・ブースト・コンバータ関係によって、DC−DCコンバータ402を広範囲のVmppt152変化に渡って用いることができる(たとえば、Vs150は、Vmppt+Vs=VDClinkとなるように、Vmpptより高い場合も低い場合もある)。Vmppt152がVDClink154よりも低いときには、入力電圧Vmppt152のうち一部分のみをDC−DCコンバータ402を通して処理する。処理する一部分は、Vmppt152とVDClink154との間の電圧差に依存する。より具体的には、電力のうちDC−DCコンバータ402によって処理される一部分は、Vmppt≦VDClinkのときに、次式を用いて計算しても良い。
【0037】
処理電力の一部分=1−(Vmppt/VDClink)(方程式2)
Vmppt152が実質的にVDClinkに等しいときには、入力電力はすべてDC−DCコンバータ402を通過し、処理および/または変換されることはない(すなわち、Vmppt152はすべて出力部92に送られ、トランジスタ403は「OFF」状態にされる)。Vmppt152が所定の電圧レベルを超えたときには、トランジスタ403は、「ON」状態に留まることによってVmppt152を制限するように構成されている。「ON」状態に維持されているときには、トランジスタ403によって、PVアレイ電圧152(Vmppt)が所定のレベルを超えること(たとえば、起動中に、および/または極めて冷たくて明るい条件で起こる場合がある)はない。
【0038】
図2および7〜11に例示した回路では、異常に高いアレイ電圧が生じたときに(たとえば、非常に冷たくて明るい条件で起きる場合がある)、トランジスタ102、104、284、312、364、366、368、370、および403を「ON」の状態にして、アレイ電圧(Vmppt)152を制限することができる。トランジスタ102、104、284、312、364、366、368、370、および/または403は、「ON」位置に維持されているときには、基本的にDCリンク84を「バール」してPVアレイ電圧(Vmppt)152を制限する回路保護素子である。Vmppt152を制限することによって、PVユニット22の電力出力が減り、その結果、PVユニット22に対する損傷がなくなる。さらに、「ON」位置にあるときには、トランジスタ102、104、284、312、364、366、368、370、および/または403によって、一次部分90へ流れる電流(Iprimary)142が増加し、したがって、DC負荷86(図2に示す)および/またはDCリンク84(図2および7〜11に示す)に流れる電流(Iload)146が減少する。加えて、PPC整流用ダイオード、たとえば、ダイオード114および116(図2に示す)ならびに/またはダイオード291(図7に示す)は、回路82、280、300、360、および/または374において、万一、コンバータまたはストリング障害が生じた場合に、整流用ダイオードおよび隔離用ダイオードの二役を果たす。ダイオードがあることによって、障害が、DCリンク84を短絡させること、および潜在的にシステム内の他のコンバータにおいてカスケーディング障害を引き起こすことが防止される。PVストリングのいずれかの端部を意図的に接地しても良いし、または両端を浮遊状態にしておくこともできる。
【0039】
図12は、発電システムたとえばPV発電システム10(図1に示す)の動作を制御するための典型的な方法412のフロー・チャート410である。前述したように、発電システム10は、少なくとも1つの発電ユニットたとえばPVユニット22(図1に示す)と、少なくとも1つの部分電力コンバータたとえばDC−DCコンバータ70(図1に示す)と、を備えている。さらに、DC−DCコンバータ70は、コントローラたとえばコントローラ106(図2に示す)を備えている。コントローラは、少なくとも1つの半導体スイッチ(たとえばトランジスタ102および/またはトランジスタ104)の動作を制御するように構成されている。典型的な実施形態では、方法412には、部分電力コンバータ70を、トランジスタ102を通って流れる電流のレベルを判定するように構成すること414、および部分電力コンバータ70を、トランジスタ102を通って流れる電流のレベルを最大にし、したがってPVユニット22の電力出力を最大にするように構成すること416が含まれている。
【0040】
典型的な実施形態では、方法412にはまた、コントローラ106を、PVユニット22の電圧出力が所定のレベルを超えたときに(たとえば、起動中、および極めて冷たくて明るい条件において)、トランジスタ102を第1の位置(たとえば、「ON」位置)に維持するように構成すること418が含まれている。またコントローラ106を、発電システム10内の故障電流を制限するようにトランジスタ102の動作を行なわせるように構成する420。方法412にはまた、部分電力コンバータ70を、負荷に送出される総電力の一部をたとえばDC負荷86(図2に示す)に送出するように構成すること422が含まれている。また、発電システム10は、DC−ACインバータたとえばDC−ACインバータ14(図1に示す)も備えており、方法412には、DC−ACインバータ14を、部分電力コンバータ70の電力出力の電圧レベルを制御するように構成すること424が含まれていても良い。
【0041】
本明細書で説明した方法、システム、および装置によって、全出力DC−DCコンバータに対する利益が提供される。たとえば、システム効率の向上したがって高エネルギー収量、電力コンバータの定格の減少、サイズの減少、重量の減少、コストの減少、エネルギー収量の増加、および最大電力点追従に対するセンサの省略である。本明細書で説明した方法、システム、および装置によって、分散アーキテクチャを、大きな工業および実用規模システムに対して費用対効果の高いものにすることができる。工業および実用規模システム以外に、本明細書で説明した方法、システム、および装置は、より小規模なシステムたとえば住宅用または小口業務用に、モジュール・レベルで適用しても良い。さらに、本明細書で説明した方法、システム、および装置によって可能になったサイズ、コスト、および重量の低減によって、DC−DCコンバータをPVモジュールに容易に統合することができる(すなわち、DC−DCコンバータをPV発電システム内の接続箱に配置することができる)。
【0042】
本明細書では、PVモジュール、ストリング、またはストリングのグループから送出される電力の一部を変換および制御するための典型的な方法、システム、および装置について説明した。これらによって、PVモジュール、ストリング、またはストリングのグループから送出される電力をすべて変換する場合と比べて、変換の全体的効率が増加し、コンバータのコストが減少する。より具体的には、本明細書で説明した方法、システム、および装置によって、より低電力のコンバータを、PVモジュールに対して電気的により近くに(たとえば、ストリング結合器ボックス内に)配置すること、またはストリング出力に直接接続することが可能になる。なぜならば、低電力のコンバータの方が、コストが小さく、定格電力のレベルが、PVモジュール、ストリング、またはストリングのグループから送出される電力と同様であるからである。
【0043】
本明細書で説明した方法、システム、および装置によって、効率的および経済的な発電が容易に行なえる。方法、システム、および装置の典型的な実施形態が、本明細書において詳細に説明および/または例示されている。方法、システム、および装置は、本明細書で説明した特定の実施形態には限定されず、むしろ、各システムおよび/または装置の構成部品に加えて各方法のステップを、本明細書で説明した他の構成部品およびステップとは独立かつ別個に用いても良い。各構成部品および各方法ステップを、他の構成部品および/または方法ステップと組み合わせて用いることもできる。
【0044】
本明細書で記載および/または例示した方法および装置の要素/構成部品/などを導入する場合、冠詞「a」、「an」、「the」、および「前記」は、要素/構成部品/などのうちの1または複数が存在することを意味することが意図されている。用語「備えている(comprising)」、「含んでいる(including)」、および「有している(having)」は、包含的であること、および列記された構成部品/など以外に付加的な要素/構成部品/などが存在する場合があることを意味することが意図されている。
【0045】
この書面の説明では、実施例を用いて、本発明を、ベスト・モードも含めて開示するとともに、どんな当業者も本発明を実施できるように、たとえば任意の装置またはシステムを作りおよび用いること、ならびに取り入れた任意の方法を実行することができるようにしている。本発明の特許可能な範囲は、請求項によって規定されており、当業者に想起される他の例を含んでいても良い。このような他の実施例は、請求項の文字通りの言葉使いと違わない構造要素を有する場合、または請求項の文字通りの言葉使いとの違いが非実質的である均等な構造要素を含む場合には、請求項の範囲内であることが意図されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流(DC)電力をDCリンク(84)に与えるように構成された発電システム(10)であって、
DC電力を出力するように構成された第1の発電ユニット(22)と、
入力部(90)と出力部(92)とを備える第1のDC−DCコンバータ(70)であって、前記第1のDC−DCコンバータの前記出力部は前記第1の発電ユニットと直列に結合され、前記第1のDC−DCコンバータは、前記第1の発電ユニットの前記DC電力出力の第1の部分を処理するように、また前記第1の発電ユニットの前記DC電力出力の未処理の第2の部分を前記出力部に与えるように構成されている第1のDC−DCコンバータ(70)と、を備えている発電システム(10)。
【請求項2】
前記第1のDC−DCコンバータ(70)によって処理されるDC電力出力の前記第1の部分は、前記DCリンク(84)に与えられる前記総電力よりも小さい請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項3】
前記第1の発電ユニット(22)には少なくとも1つの太陽光発電(PV)ユニットが含まれる請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項4】
前記第1のDC−DCコンバータ(70)の前記入力部(90)および前記出力部(92)は相互誘導結合されている請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項5】
前記第1のDC−DCコンバータ(70)には少なくとも1つの変圧器(88)が含まれ、前記入力部(90)には前記少なくとも1つの変圧器の一次巻線(96)が含まれ、前記出力部(92)には前記少なくとも1つの変圧器の二次巻線(108)が含まれ、前記一次巻線は、前記第1の発電ユニット(22)の前記DC電力出力の前記第1の部分を受け取って、前記二次巻線の両端に電圧を誘起し、前記電圧は、前記第1の発電ユニットの前記DC電力出力の前記第2の未処理部分と組み合わされて前記DCリンク(84)に与えられる請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項6】
前記第1のDC−DCコンバータ(70)は、前記第1の発電ユニット(22)から最大電力を取り出すようにDCリンク電流(146)の制御を行なうように構成されている請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項7】
前記第1のDC−DCコンバータ(70)は、前記DCリンク電流(146)を最大にして前記第1の発電ユニット(22)の前記出力電力を最大にするように構成されている請求項6に記載のシステム(10)。
【請求項8】
前記第1のDC−DCコンバータ(70)は、定格出力が、前記DCリンク(84)に与えられる前記DC電力よりも小さい請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項9】
発電ユニット(22)のDC電力出力の第1の部分を受け取るように構成された入力部(90)と、
前記発電ユニットの前記DC電力出力の前記第1の処理部分および第2の未処理部分を含むDC電力をDCリンク(84)へ出力するように構成された出力部(92)と、を備える直流(DC)−DC部分電力コンバータ(70)。
【請求項10】
前記出力部(92)は前記入力部(90)に直接結合されている請求項9に記載のコンバータ(70)。
【請求項1】
直流(DC)電力をDCリンク(84)に与えるように構成された発電システム(10)であって、
DC電力を出力するように構成された第1の発電ユニット(22)と、
入力部(90)と出力部(92)とを備える第1のDC−DCコンバータ(70)であって、前記第1のDC−DCコンバータの前記出力部は前記第1の発電ユニットと直列に結合され、前記第1のDC−DCコンバータは、前記第1の発電ユニットの前記DC電力出力の第1の部分を処理するように、また前記第1の発電ユニットの前記DC電力出力の未処理の第2の部分を前記出力部に与えるように構成されている第1のDC−DCコンバータ(70)と、を備えている発電システム(10)。
【請求項2】
前記第1のDC−DCコンバータ(70)によって処理されるDC電力出力の前記第1の部分は、前記DCリンク(84)に与えられる前記総電力よりも小さい請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項3】
前記第1の発電ユニット(22)には少なくとも1つの太陽光発電(PV)ユニットが含まれる請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項4】
前記第1のDC−DCコンバータ(70)の前記入力部(90)および前記出力部(92)は相互誘導結合されている請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項5】
前記第1のDC−DCコンバータ(70)には少なくとも1つの変圧器(88)が含まれ、前記入力部(90)には前記少なくとも1つの変圧器の一次巻線(96)が含まれ、前記出力部(92)には前記少なくとも1つの変圧器の二次巻線(108)が含まれ、前記一次巻線は、前記第1の発電ユニット(22)の前記DC電力出力の前記第1の部分を受け取って、前記二次巻線の両端に電圧を誘起し、前記電圧は、前記第1の発電ユニットの前記DC電力出力の前記第2の未処理部分と組み合わされて前記DCリンク(84)に与えられる請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項6】
前記第1のDC−DCコンバータ(70)は、前記第1の発電ユニット(22)から最大電力を取り出すようにDCリンク電流(146)の制御を行なうように構成されている請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項7】
前記第1のDC−DCコンバータ(70)は、前記DCリンク電流(146)を最大にして前記第1の発電ユニット(22)の前記出力電力を最大にするように構成されている請求項6に記載のシステム(10)。
【請求項8】
前記第1のDC−DCコンバータ(70)は、定格出力が、前記DCリンク(84)に与えられる前記DC電力よりも小さい請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項9】
発電ユニット(22)のDC電力出力の第1の部分を受け取るように構成された入力部(90)と、
前記発電ユニットの前記DC電力出力の前記第1の処理部分および第2の未処理部分を含むDC電力をDCリンク(84)へ出力するように構成された出力部(92)と、を備える直流(DC)−DC部分電力コンバータ(70)。
【請求項10】
前記出力部(92)は前記入力部(90)に直接結合されている請求項9に記載のコンバータ(70)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−13306(P2013−13306A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−94310(P2012−94310)
【出願日】平成24年4月18日(2012.4.18)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−94310(P2012−94310)
【出願日】平成24年4月18日(2012.4.18)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】
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