説明

DC/DCコンバータならびにそれを用いた電源装置および電子機器

【課題】スタンバイモードの消費電力を低減する。
【解決手段】第1フィードバック回路20は、通常モードにおいて動作状態、スタンバイモードにおいて非動作状態となり、出力電圧VOUTに応じた第1フィードバック信号VFB1を生成し、トランスT1の2次側から1次側へ伝送する。第2フィードバック回路40は、通常モードにおいて非動作状態、スタンバイモードにおいて動作状態となり、第2出力キャパシタCo2に生ずる電圧VCCに応じた第2フィードバック信号VFB2を生成する。制御回路10は、通常モードにおいて第1フィードバック信号VFB1にもとづいて出力電圧VOUTが第1レベルと一致するように、スタンバイモードにおいて第2フィードバック信号VFB2にもとづいて出力電圧VOUTが第1レベルより低い第2レベルと一致するように、スイッチングトランジスタM1のオン、オフを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DC/DCコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
テレビや冷蔵庫をはじめとするさまざまな家電製品、あるいはラップトップ型コンピュータ、携帯電話端末やPDA(Personal Digital Assistants)をはじめとする電子機器は、外部からの電力を受けて動作し、また外部電源からの電力によって内蔵の電池を充電可能となっている。そして家電製品や電子機器(以下、電子機器と総称する)には、商用交流電圧をAC/DC(交流/直流)変換する電源装置が内蔵され、あるいは、電源装置は、電子機器の外部の電源アダプタ(ACアダプタ)に内蔵される。
【0003】
電源装置は、交流電圧を整流する整流回路(ダイオードブリッジ回路)と、整流された電圧を降圧して負荷に供給する絶縁型のDC/DCコンバータと、を備える。
図1は、本発明者が検討したDC/DCコンバータ100rの構成を示す図である。DC/DCコンバータ100rの具体的構成を当業者によく知られた一般的な技術とみなしてはならない。
【0004】
DC/DCコンバータ100rは、その入力端子P1には、その前段に設けられた整流回路(不図示)からの直流の入力電圧VINが入力される。DC/DCコンバータ100rは、入力電圧VINを降圧して出力端子P2に接続される負荷(負荷)に供給する。
【0005】
DC/DCコンバータ100rは、主としてスイッチングトランジスタM1、トランスT1、第1ダイオードD1、第1出力キャパシタCo1、制御回路10r、フィードバック回路20rを備える。DC/DCコンバータ100rは、トランスT1の1次側領域と2次側領域が電気的に絶縁されていなければならない。フィードバック回路20rは、出力電圧VOUTを分圧する抵抗R1、R2と、シャントレギュレータ22、フォトカプラ24を備える。
【0006】
シャントレギュレータ22は、分圧された出力電圧VOUT’と、出力電圧VOUTの目標値に応じた基準電圧VREFとの誤差を増幅する誤差増幅器である。フォトカプラ24は、出力電圧VOUTと目標電圧との誤差に応じたフィードバック信号を、制御回路10rにフィードバックする。制御回路10rは、出力電圧VOUTが目標値と一致するようにスイッチングトランジスタM1のオン、オフのデューティ比をパルス変調により制御する。
【0007】
制御回路10rは、10V程度の電源電圧VCCで動作可能であるところ、これを入力電圧VIN(140V程度)を用いて駆動すると、効率が悪化する。一方、DC/DCコンバータ100rによって降圧された電圧VOUTはトランスT1の2次側に発生することから、この電圧VOUTを1次側に設けられた制御回路10rに供給することはできない。
【0008】
そこでトランスT1の1次側には、補助コイルL3が設けられる。補助コイルL3、第2ダイオードD2および第2出力キャパシタCo2は、制御回路10rに対する電源電圧VCCを生成するための補助的なDC/DCコンバータとして機能する。このDC/DCコンバータ100rでは、電源電圧VCCは、出力電圧VOUTに比例し、その比例係数は、トランスT1の2次コイルL2と補助コイルL3の巻き線比で定まる。
CC=VOUT×N/N
ここで、Nは2次コイルL2の巻き数、Nは補助コイルL3の巻き数である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9−098571号公報
【特許文献2】特開平2−211055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者らは、このようなDC/DCコンバータ100rについて検討し、以下の課題を認識するに至った。たとえばDC/DCコンバータ100rが、テレビに搭載される場合を考える。現状、テレビのスタンバイ状態における消費電力は、0.3W以下に抑えることが求められている。将来では、さらに低い消費電力、たとえば0.1W以下、具体的には50mW程度に抑えることが要求される。
【0011】
スタンバイ状態においても、マイコンには、安定した電源電圧VOUTを供給する必要がある。したがって図1の構成では、スタンバイ状態においてもシャントレギュレータ22は動作する。このときのシャントレギュレータ22の電流Iが1mA、電源電圧VOUTが19Vとすると、その消費電力は19mWとなり、DC/DCコンバータ100r全体の消費電力の目標値50mWのうち、大きな割合を占めることになる。
【0012】
本発明のある態様はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その例示的な目的のひとつは、スタンバイ状態における消費電力を低減したDC/DCコンバータの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のある態様は、入力電圧を変圧して出力端子から出力電圧を出力するDC/DCコンバータに関する。このDC/DCコンバータは、1次コイル、2次コイルおよび前記1次コイル側に設けられた補助コイルを有するトランスと、その第1電極の電位が固定され、その第2電極が出力端子に接続された第1出力キャパシタと、出力端子と2次コイルの第1端子との間に、そのカソードが出力端子側となる向きで設けられた第1ダイオードと、1次コイルの経路上に設けられたスイッチングトランジスタと、その第1電極の電位が固定された第2出力キャパシタと、第2出力キャパシタの第2電極と補助コイルの第1端子との間に、そのカソードが第2出力キャパシタ側となる向きで設けられた整流素子と、通常モードにおいて動作状態、スタンバイモードにおいて非動作状態となり、出力電圧に応じた第1フィードバック信号を第1フォトカプラを介してトランスの2次側から1次側へ伝送する第1フィードバック回路と、通常モードにおいて非動作状態、スタンバイモードにおいて動作状態となり、第2出力キャパシタに生ずる電圧に応じた第2フィードバック信号を生成する第2フィードバック回路と、その電源端子に第2出力キャパシタに生ずる電圧を受け、そのフィードバック端子に第1フィードバック信号および第2フィードバック信号を受け、フィードバック端子に入力された信号にもとづいて、スイッチングトランジスタのオン、オフを制御する制御回路と、を備える。
【0014】
この態様によると、通常モードでは、出力電圧に応じた第1フィードバック信号にもとづいて、出力電圧が第1レベルに安定化される。そしてスタンバイモードでは、第1フィードバック回路が停止状態となり、トランスの1次側で生成される第2出力キャパシタの電圧に応じた第2フィードバック信号にもとづいて、出力電圧が第2レベルに安定化される。通常モードにおける第1フィードバック回路の消費電力よりも、スタンバイモードにおける第2フィードバック回路の消費電力の方を小さく設計することで、スタンバイモードにおける消費電力を従来よりも低減することができる。
【0015】
第1フィードバック回路は、出力端子と接地端子の間に直列に設けられた第1抵抗、第2抵抗と、そのカソードが出力端子側、そのアノードが接地端子側となる向きで設けられ、かつその基準端子に第1抵抗と第2抵抗により分圧された出力電圧が入力されたシャントレギュレータと、を含んでもよい。DC/DCコンバータの出力電圧が第2レベルのときに、シャントレギュレータはオフするよう構成されてもよい。
シャントレギュレータの基準端子には、出力電圧を分圧比Kで分圧した電圧が入力される。シャントレギュレータは、その基準端子の電圧が所定のレベルVTH1より低いときにオフとなるとすると、第2レベルを、VTH1/K以下に設定することにより、スタンバイモードにおいてシャントレギュレータを自動的にオフすることができ、第1フィードバック回路を非動作状態にできる。
【0016】
第1フィードバック回路は、出力端子と接地端子の間に、第1、第2抵抗と直列に設けられた第1スイッチをさらに含んでもよい。スタンバイモードにおいて第1スイッチはオフしてもよい。
この場合、スタンバイモードにおいて、第1、第2抵抗に流れる電流も遮断できるため、さらに消費電力を低減することができる。
【0017】
第1フィードバック回路は、出力端子と接地端子の間に設けられた第1スイッチを含んでもよい。第1フィードバック回路は、スタンバイモードにおいて第1スイッチがオフすることにより、非動作状態となってもよい。
第1スイッチをオフすることにより、電流経路を遮断することができ、消費電力を低減することができる。
【0018】
第2フィードバック回路は、第2出力キャパシタの第2電極と接地端子の間に設けられた第2スイッチを含み、通常モードにおいて第2スイッチがオフすることにより、非動作状態となってもよい。
第2スイッチをオフすることにより、電流経路を遮断することができ、消費電力を低減することができる。
【0019】
第2フィードバック回路は、第2出力キャパシタの第2電極と接地端子の間に直列に設けられたダイオード、第3抵抗および第2スイッチと、そのベースエミッタ間に第3抵抗の電圧降下に応じた電圧が印加されたバイポーラトランジスタと、を含んでもよい。第2フィードバック信号は、バイポーラトランジスタのコレクタ電圧に応じており、第2スイッチは通常モードにおいてオフするように構成されてもよい。
【0020】
第2フィードバック回路は、第2出力キャパシタの第2電極と接地端子の間に直列に設けられた、第2出力キャパシタの第2電極の電圧に応じた検出電圧を生成する電圧生成回路および第2スイッチと、検出電圧と所定の基準電圧の誤差を増幅する誤差増幅器と、を含んでもよい。第2スイッチは通常モードにおいてオフするように構成されてもよい。制御回路は、誤差増幅器の出力電圧と、スイッチングトランジスタに流れる電流に応じた電流検出信号を比較する電流検出コンパレータと、を含み、電流検出コンパレータの出力信号に応じて、スイッチングトランジスタを制御するよう構成されてもよい。
この場合、第2フィードバック回路は、制御回路に内蔵されてもよい。
【0021】
第2フィードバック回路は、第2出力キャパシタの第2電極と接地端子の間に直列に設けられた、第2出力キャパシタの第2電極の電圧に応じた検出電圧を生成する電圧生成回路および第2スイッチと、検出電圧を受け第2フィードバック信号をアンプと、を含んでもよい。第2スイッチは通常モードにおいてオフするように構成されてもよい。制御回路は、第2フィードバック信号を、所定の基準電圧と比較するバーストコンパレータを含んでもよい。制御回路は、バーストコンパレータの出力信号に応じて、スイッチングトランジスタがスイッチングする期間と、スイッチングを停止する期間を交互に繰り返すように構成されてもよい。
【0022】
第2フィードバック回路は、第2出力キャパシタの第2電極と接地端子の間に直列に設けられた、第2出力キャパシタの第2電極の電圧に応じた検出電圧を生成する電圧生成回路および第2スイッチと、を含んでもよい。制御回路は、検出電圧を、所定の基準電圧と比較するバーストコンパレータを含み、バーストコンパレータの出力信号に応じて、スイッチングトランジスタを制御するよう構成されてもよい。
【0023】
スタンバイモード、通常モードの切りかえは、本DC/DCコンバータの負荷によって制御されてもよい。負荷は、モードを示す制御信号を生成可能に構成されもよい。本DC/DCコンバータは、負荷からの制御信号を、トランスの2次側から1次側に伝送する第2フォトカプラをさらに備えてもよい。
【0024】
本発明の別の態様は、電源装置に関する。この電源装置は、商用交流電圧を直流電圧に変換するAC/DCコンバータと、直流電圧を受け、それを降圧した電圧を負荷に供給する上述のいずれかに記載のDC/DCコンバータと、を備える。
【0025】
本発明の別の態様は、電子機器に関する。この電子機器は、商用交流電圧を直流電圧に変換するAC/DCコンバータと、マイコンと、直流電圧を受け、それを降圧した電圧をマイコンに供給するDC/DCコンバータと、を備えてもよい。
【0026】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0027】
本発明のある態様によれば、スタンバイ状態における消費電力を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明者が検討したDC/DCコンバータの構成を示す図である。
【図2】実施の形態に係る電子機器の構成を示す回路図である。
【図3】図2の制御回路の構成例を示す回路図である。
【図4】第1フィードバック回路の変形例を示す回路図である。
【図5】図5(a)、(b)は、第2フィードバック回路および制御回路の別の構成例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0030】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合や、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0031】
図2は、実施の形態に係る電子機器1の構成を示す回路図である。
電子機器1は、たとえばテレビや冷蔵庫、エアコンなどの家電製品やコンピュータである。電子機器1は、マイコン2、信号処理回路4、DC/DCコンバータ100、整流回路102を備える。電子機器1は、互いに絶縁される1次側と2次側に分けられている。整流回路102およびDC/DCコンバータ100の半分は1次側に配置され、DC/DCコンバータ100の半分と、マイコン2、信号処理回路4は2次側に配置される。
【0032】
整流回路102は、たとえばダイオード整流回路であり、商用交流電圧などの交流電圧VACを受け、それを全波整流し、キャパシタC1により平滑化して直流電圧VDC(=VIN)を生成する。VAC=100Vのとき、VDC=144Vとなる。
【0033】
DC/DCコンバータ100は、その入力端子P1に直流の入力電圧VINを受け、これを降圧して出力端子P2から出力する。DC/DCコンバータ100と整流回路102の間には、図示しないPFC(Power Factor Correction)回路を設けてもよい。出力端子P2からの出力電圧VOUTは、マイコン2および信号処理回路4に出力される。マイコン2は、電子機器1全体を統合的に制御する。信号処理回路4は、特定の信号処理を行うブロックであり、たとえば外部機器との通信を行うインタフェース回路や、画像処理回路、音声処理回路などが例示される。現実の電子機器1においては、その機能に応じて複数の信号処理回路4が設けられることはいうまでもない。マイコン2の動作保証電圧はたとえば6Vであり、信号処理回路4の動作保証電圧は、マイコン2のそれよりも高い12Vであるとする。
【0034】
この電子機器1は、通常状態(通常モードともいう)とスタンバイ状態(スタンバイモードともいう)が切りかえ可能となっている。通常モードにおいては、マイコン2および信号処理回路4が動作する。通常モードでは、マイコン2および信号処理回路4が動作し、スタンバイモードでは、マイコン2のみが動作する。
【0035】
本実施の形態において、通常モードとスタンバイモードの切りかえは、マイコン2が行うものとする。またマイコン2は、モードを示す制御信号STB(STB信号ともいう)を生成する。制御信号STBは通常モードにおいてアサート(ハイレベル)され、スタンバイモードにおいてネゲート(ローレベル)される。
【0036】
以上が電子機器1の全体構成である。続いて、このような電子機器1に好適に利用可能なDC/DCコンバータ100について説明する。
【0037】
DC/DCコンバータ100は、主としてトランスT1、第1ダイオードD1、第2ダイオードD2、第1出力キャパシタCo1、第2出力キャパシタCo2、スイッチングトランジスタM1、制御回路10、第1フィードバック回路20、第2フィードバック回路40、第2フォトカプラ30を備える。
【0038】
トランスT1は、1次コイルL1、2次コイルL2および1次コイル側に設けられた補助コイルL3を有する。1次コイルL1の巻き数をN、2次コイルL2の巻き数をNとする。また補助コイルL3の巻き数をND2とする。
【0039】
スイッチングトランジスタM1、1次コイルL1、2次コイルL2、第1ダイオードD1、第1出力キャパシタCo1は、第1のコンバータ(メインコンバータ)を形成する。第1出力キャパシタCo1の第1電極の電位は接地されて固定され、その第2電極は出力端子P2に接続される。第1ダイオードD1は、出力端子P2と2次コイルL2の一端N2との間に、そのカソードが第1出力キャパシタCo1側となる向きで設けられる。2次コイルL2の他端は接地されて電位が固定されている。
【0040】
スイッチングトランジスタM1は、1次コイルL1の経路上に設けられる。スイッチングトランジスタM1のゲートには、抵抗R10を介して制御回路10からのスイッチング信号OUTが入力される。
【0041】
スイッチングトランジスタM1、1次コイルL1、補助コイルL3、第2ダイオードD2、第2出力キャパシタCo2は、第2のコンバータ(補助コンバータ)を形成する。
【0042】
第2出力キャパシタCo2の第1電極の電位は固定される。整流素子である第2ダイオードD2は、第2出力キャパシタCo2の第2電極と補助コイルL3の第1端子の間に、カソードが第2出力キャパシタCo2側となる向きで設けられる。
【0043】
第1フィードバック回路20は、出力電圧VOUTに応じた第1フィードバック信号(IFB)を生成し、第1フォトカプラ24を介して第1フィードバック信号(IFB1)を、トランスの2次側から1次側へ伝送する。
【0044】
制御回路10のフィードバック端子FB(2番ピン)には、第1フィードバック回路20が生成した第1フィードバック信号IFB1に応じた電圧信号(同様に第1フィードバック信号という)VFB1が入力される。キャパシタC3は、位相補償を目的として設けられる。
【0045】
たとえば第1フィードバック回路20は、シャントレギュレータ22、第1フォトカプラ24、分圧回路26を含む。
分圧回路26は、DC/DCコンバータ100の出力電圧VOUTを分圧比Kにて分圧する。シャントレギュレータ22の基準端子REFには、分圧された出力電圧VOUT’(=VOUT×K)が入力される。またシャントレギュレータ22のアノード(A)は接地され、そのカソード(K)は、抵抗R21、R22を介して出力電圧P2と接続される。シャントレギュレータ22は、出力電圧VOUT’と所定の基準電圧VREFの誤差を増幅し、誤差に応じた電流IFBを出力する。シャントレギュレータ22の出力電流IFBの経路には、第1フォトカプラ24の入力側の発光ダイオードが設けられる。第1フォトカプラ24は、出力電圧VOUT’と基準電圧VREFの誤差に応じた第1フィードバック信号VFB1を、制御回路10のFB端子に出力する。抵抗R21、R22は、第1フォトカプラ24の発光ダイオードを適切にバイアスするために設けられる。
【0046】
制御回路10は、第1フィードバック信号VFB1を受け、分圧された出力電圧VOUT’が基準電圧VREFと一致するようにデューティ比が調節されるスイッチング信号OUTを生成し、スイッチングトランジスタM1を駆動する。
分圧回路26の分圧比をK(=R2/(R1+R2))とするとき、フィードバックによって、出力電圧VOUTは、
OUT1=VREF/K …(1)
を満たすように安定化される。
【0047】
第1フィードバック回路20は、通常モードにおいて動作状態、スタンバイモードにおいて非動作状態となる。
【0048】
マイコン2がモードに応じて生成する制御信号STBは、第2フォトカプラ30に入力される。第2フォトカプラ30は2次側で発生した制御信号STBを1次側に伝送する。たとえば、第2フォトカプラ30の入力側の発光素子は、抵抗R30によりバイアスされ、トランジスタM3によって電流のオン、オフが切りかえ可能となっている。トランジスタM3のゲートには、制御信号STBが入力される。
【0049】
第2フィードバック回路40は、通常モードにおいて非動作状態、スタンバイモードにおいて動作状態となり、第2出力キャパシタCo2に生ずる電圧VCCに応じた第2フィードバック信号VFB2を生成する。第2フィードバック信号VFB2も、制御回路10のフィードバック端子FBに入力される。
【0050】
たとえば第2フィードバック回路40は、ダイオードD3、第3抵抗R3、ベース抵抗Rb1、第2スイッチM22、バイポーラトランジスタQ1を含む。ダイオードD3、第3抵抗R3および第2スイッチM22は、第2出力キャパシタCo2の第2電極と接地端子の間に順に直列に設けられる。第2スイッチM22と、ダイオードD3、抵抗R3の順序は入れ替えてもよい。
【0051】
バイポーラトランジスタQ1のベースエミッタ間には、ベース抵抗Rb1を介して、第3抵抗R3の電圧降下に応じた電圧が印加される。
【0052】
第2フィードバック信号VFB2は、バイポーラトランジスタQ1のコレクタ電圧に応じている。第2スイッチM22の制御端子には、第2フォトカプラ30を介して制御信号STBが入力される。第2スイッチM22は、通常モードにおいてオフ、スタンバイモードにおいてオンする。
【0053】
第2フィードバック回路40に着目すると、バイポーラトランジスタQ1のコレクタ電圧すなわち第2フィードバック信号VFB2は、第3抵抗R3の電圧降下が、バイポーラトランジスタQ1のベースエミッタ間電圧Vbeである0.7V付近に安定化されるように、調節される。ダイオードD3の逆方向電圧(ツェナー電圧)をVzとすると、第2出力キャパシタCo2の電圧VCCは、VCC=Vbe+Vzが成り立つように調節される。つまり、第2フィードバック回路40が生成する第2フィードバック信号VFB2のレベルは、電圧VCCが目標電圧Vbe+Vzと一致するように調節され、第2フィードバック回路40は誤差増幅器として機能する。
【0054】
なお、第2フィードバック回路40の構成は図2のそれには限定されない。
第2フィードバック回路40がどのように構成される場合であっても、第2出力キャパシタCo2の第2電極と接地端子の間の電流経路に、制御信号STBに応じてオン、オフが制御される第2スイッチM22を設けることにより、第2フィードバック回路40を非動作状態、動作状態を切りかえることができる。
【0055】
制御回路10は、その電源端子VCC(8番ピン)に、第2出力キャパシタCo2に生ずる電圧VCCを受ける。なお、第2のコンバータが正常に動作する前の期間、制御回路10の電源端子VCCには、抵抗R11を介して直流電圧VDCが供給される。
【0056】
制御回路10は、フィードバック端子FBに入力される信号にもとづいて、具体的には、通常モードにおいて第1フィードバック信号VFB1にもとづき、スタンバイモードにおいて第2フィードバック信号VFB2にもとづき、スイッチング信号OUTを生成し、スイッチングトランジスタM1のオン、オフを切りかえる。たとえば制御回路10は、スイッチング信号OUTのデューティ比をパルス幅変調(PWM)、パルス周波数変調(PFM)などを利用して調節する。スイッチング信号OUTの生成方法は特に限定されない。
【0057】
通常モードでは、式(1)を満たすように、出力電圧VOUTが第1レベル(VOUT1=VREF/K)に安定化される。
【0058】
スタンバイモードでは、第2出力キャパシタCo2の電圧VCCがある目標電圧と一致するように、スイッチングトランジスタM1のオン、オフのデューティ比やスイッチング周波数が制御される。第2出力キャパシタCo2の電圧VCCがある目標電圧に安定化されるとき、出力端子P2の出力電圧VOUTは、電圧VCCに応じた第2レベルVOUT2に安定化される。第2レベルVOUT2は、補助コイルL3と2次コイルL2の巻線比に応じて定まり、第2レベルVOUT2は、第1レベルVOUT1より低く設定される。
【0059】
すなわち、制御回路10は、通常モードにおいて出力電圧VOUTが第1レベルVOUT1と一致し、スタンバイモードにおいて出力電圧VOUTが第1レベルVOUT1より低い第2レベルVOUT2と一致するように、スイッチングトランジスタM1のオン、オフを制御する。
【0060】
続いて制御回路10の具体的な構成例を説明する。なお制御回路10の構成は本発明において特に限定されるものではない。
【0061】
たとえば制御回路10は、第1出力キャパシタCo1に生ずる出力電圧VOUT、スイッチングトランジスタM1(1次コイルL1)に流れる電流IM1および補助コイルL3のタップTPに生ずる第1レベルVD1に応じて、スイッチング信号OUTを発生する。
【0062】
検出抵抗Rsは、スイッチングトランジスタM1に流れる電流IM1を検出するために設けられる。検出抵抗Rsに生ずる電圧降下(検出信号)Vsは、制御回路10の電流検出端子(CS端子:3番ピン)に入力される。また、制御回路10の補助コイルL3のタップTPの電圧VD1は、抵抗R4およびキャパシタC4を含むローパスフィルタを介して、ZT端子(1番ピン)に入力される。
【0063】
図3は、図2の制御回路10の構成例を示す回路図である。制御回路10は、オフ信号生成部52、オン信号生成部54、駆動部56およびスイッチ制御部70を備える。
【0064】
電源端子とフィードバック端子FBの間には、プルアップ抵抗R12が設けられる。
【0065】
オフ信号生成部52は、検出信号Vsをフィードバック信号VFBと比較するコンパレータを含み、スイッチングトランジスタM1がオフするタイミングを規定するオフ信号Soffを生成する。オフ信号生成部52よって生成されるオフ信号Soffは、スイッチングトランジスタM1に流れる電流IM1が、フィードバック信号VFBに応じたレベルに達するとアサートされる。
【0066】
たとえば出力電圧VOUT’が基準電圧VREFより低くなると、フィードバック信号VFBは高くなり、オフ信号Soffがアサートされるタイミングが遅くなって、スイッチングトランジスタM1のオン期間Tonが長くなり、その結果出力電圧VOUTが上昇する方向にフィードバックがかかる。反対に出力電圧VOUT’が基準電圧VREFより高くなると、フィードバック信号VFBは低くなり、オフ信号Soffがアサートされるタイミングが早くなって、スイッチングトランジスタM1のオン期間Tonが短くなり、その結果、出力電圧VOUTが低下する方向にフィードバックがかかる。
【0067】
オン信号生成部54は、オフ信号Soffがアサートされた後アサートされるオン信号Sonを発生する。図3のオン信号生成部54は、補助コイルL3のタップTPの電位VD1を、所定レベルVthと比較するコンパレータを含む。オン信号生成部54は、タップTPの電位VD1が所定レベルVthまで低下すると、オン信号Sonをアサートする。
【0068】
スイッチングトランジスタM1がオンすると、1次コイルL1に電流IM1が流れ、トランスT1にエネルギーが蓄えられる。その後、スイッチングトランジスタM1がオフすると、トランスT1に蓄えられたエネルギーが放出される。オン信号生成部54は、補助コイルL3に発生する電圧VD1を監視することにより、トランスT1のエネルギーが完全に放出されたことを検出できる。オン信号生成部54は、エネルギーの放出を検出すると、再びスイッチングトランジスタM1をオンすべく、オン信号Sonをアサートする。
【0069】
駆動部56は、オン信号SonがアサートされるとスイッチングトランジスタM1をオンし、オフ信号SoffがアサートされるとスイッチングトランジスタM1をオフする。駆動部56は、フリップフロップ58、プリドライバ60、ドライバ62を含む。フリップフロップ58は、セット端子およびリセット端子それぞれにオン信号Sonおよびオフ信号Soffを受ける。フリップフロップ58は、オン信号Sonおよびオフ信号Soffに応じて状態が遷移する。その結果、フリップフロップ58の出力信号Smodのデューティ比は、出力電圧VOUTが目標値VREFと一致するように変調される。図3では、駆動信号Smodおよびスイッチング信号OUTのハイレベルは、スイッチングトランジスタM1のオンに対応付けられ、それらのローレベルはスイッチングトランジスタM1のオフに対応付けられる。
【0070】
プリドライバ60は、フリップフロップ58の出力信号Smodに応じてドライバ62を駆動する。ドライバ62のハイサイドトランジスタとローサイドトランジスタが同時にオンしないように、プリドライバ60の出力信号SH、SLにはデッドタイムが設定される。ドライバ62からは、スイッチング信号OUTが出力される。
【0071】
以上がDC/DCコンバータ100の構成である。続いてその動作を、通常モードとスタンバイモードに分けて説明する。
【0072】
1.通常モード
通常モードにおいてマイコン2はSTB信号をアサート(ハイレベル)する。このとき第2スイッチM22はオフとなり、第2フィードバック回路40は非動作状態となり、その消費電力は実質的にゼロとなる。
【0073】
そして、第1フィードバック回路20が生成する第1フィードバック信号VFB1にもとづいてスイッチングトランジスタM1がスイッチングされ、出力電圧VOUTは、第1レベルVOUT1に安定化される。
【0074】
2.スタンバイモード
スタンバイモードにおいてマイコン2はSTB信号をネゲート(ローレベル)する。このとき第2スイッチM22はオンとなり、第2フィードバック回路40が動作状態となる。その結果、第2出力キャパシタCo2の電圧VCCが所定のレベルと一致するように第2フィードバック信号VFB2が生成される。電圧VCCが安定される結果、出力電圧VOUTは、第2レベルVOUT2に安定化される。
【0075】
一方、第1フィードバック回路20に着目する。シャントレギュレータ22は、その基準端子REFの電圧VOUT’が所定のレベルVTH1より低いときにオフとなる。そして、第2レベルVOUT2は、VTH1/K以下に設定されている。したがって、スタンバイモードでは、VOUT’<VTH1が成り立ち、シャントレギュレータ22がオフとなる。これにより、第1フィードバック回路20が非動作状態となる。シャントレギュレータ22のカソードからアノードに流れる電流が実質的にゼロとなるため、第1フィードバック回路20の消費電力は非常に小さくなる。
【0076】
以上がDC/DCコンバータ100の動作である。
【0077】
通常モードにおける第1フィードバック回路20の消費電力よりも、スタンバイモードにおける第2フィードバック回路40の消費電力の方が小さくなるように設計される。したがって、図2のDC/DCコンバータ100によれば、スタンバイモードにおける消費電力を図1に比べて低減することができる。
【0078】
またマイコン2の消費電力は、その電源電圧VOUTとその動作電流の積で与えられるところ、マイコン2の電源電圧VOUTをスタンバイモードにおいて第2レベルVOUT2に低下させることにより、マイコン2の消費電力を低下させることができる。
【0079】
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
【0080】
(第1の変形例)
図4は、第1フィードバック回路の変形例を示す回路図である。図4の第1フィードバック回路20aは、図1の第1フィードバック回路20に加えてさらに第1スイッチM21を備える。第1スイッチM21は、出力端子P2と接地端子の間に、第1抵抗R1および第2抵抗R2と直列に設けられる。第1スイッチM21と、抵抗R1、R2の順序は入れかえてもよい。第1スイッチM21の制御端子には、制御信号STBが入力されており、第1スイッチM21は、スタンバイモードにおいてオフ、通常モードにおいてオンする。
【0081】
図4の変形例によれば、スタンバイモードにおいて第1スイッチM21はオフとなり、シャントレギュレータ22の基準端子REFの電位が実質的にゼロとなり、シャントレギュレータ22がオフする。これにより、シャントレギュレータ22を含む経路の消費電流が実質的にゼロとなる。
【0082】
図2の第1フィードバック回路20では、スタンバイモードにおいて、分圧回路26に電流が流れ、電力がわずかに消費される。これに対して、図4の第1フィードバック回路20aでは、分圧回路26の消費電流も実質的にゼロとなる。すなわち、第1フィードバック回路20a全体の消費電力を図2の第1フィードバック回路20よりもさらに低減することができる。
【0083】
図5(a)、(b)は、第2フィードバック回路および制御回路の別の構成例を示す回路図である。図5(a)、(b)において、第2フィードバック回路は制御回路10に内蔵される。また、制御回路10には、制御信号STBを受けるためのスタンバイ端子STBが設けられる。
【0084】
図5(a)の第2フィードバック回路40aは、電圧生成回路42、第2スイッチM22、誤差増幅器44を含む。電圧生成回路42および第2スイッチM22は、第2出力キャパシタCo2の第2電極と接続される電源端子VCCと接地端子の間に直列に設けられる。第2スイッチM22は、スタンバイモードにおいてオン、通常モードにおいてオフする。
【0085】
電圧生成回路42は、第2出力キャパシタCo2の第2電極の電源電圧VCCに応じた検出電圧VCC’を生成する。電圧生成回路42は、電源電圧VCCを分圧する分圧回路、あるいは電源電圧VCCをレベルシフトするダイオードなどのレベルシフト回路、それらの組み合わせを含む。
【0086】
誤差増幅器44は、検出電圧VCC’と所定の基準電圧VREFの誤差を増幅することにより第2フィードバック信号VFB2を生成する。誤差増幅器44の出力端子は、フィードバック端子FBと接続される。
【0087】
第3スイッチM23は、フィードバック端子FBと電源端子VCCの間に、プルアップ抵抗R12と直列に設けられる。第3スイッチM23のゲートには、インバータ48によって反転された制御信号STBが入力される。第3スイッチM23は、通常モードにおいてオン、スタンバイモードにおいてオフする。第3スイッチM23をスタンバイモードにおいてオフすることにより、プルアップ抵抗R12の電力消費を削減できる。
【0088】
スタンバイモードにおいて、誤差増幅器44の出力電圧VERRは、オフ信号生成部52であるコンパレータに入力される。制御回路10aは、オフ信号SoffにもとづいてスイッチングトランジスタM1のスイッチングを制御する。
【0089】
図5(b)の第2フィードバック回路40bにおいて、アンプ46は、検出電圧VCC’を受け、第2フィードバック信号VFB2を生成する。アンプ46はボルテージフォロアであってもよいし、反転増幅器、あるいは非反転増幅器であってもよい。
【0090】
バーストコンパレータ70は、ヒステリシスコンパレータであり、第2フィードバック信号VFB2を、所定の基準電圧VREFと比較し、バースト信号S1を生成する。パルス生成部72は、スイッチングトランジスタM1をスイッチングするためのパルス信号S2を生成する。パルス生成部72は、単なるオシレータであってもよいし、パルス変調器であってもよい。マスク回路74は、バースト信号S1によりパルス信号S2をマスクする。図3のドライバ60、62は、マスク回路74から出力されたパルス信号S2’にもとづいて、スイッチングトランジスタM1を駆動する。
【0091】
図5(a)の制御回路10bは、スタンバイモードにおいて、VFB2<VREFの期間、パルス信号S2に応じてスイッチングトランジスタM1をスイッチングし、VFB2>VREFの期間、スイッチングトランジスタM1のスイッチングを停止する。つまり、スイッチングトランジスタM1がスイッチングする期間とスイッチングが停止する期間が、間欠的に繰り返される。その結果、出力電圧VFB2が基準電圧VREF付近で脈動しながら、そのレベルが保たれる。
【0092】
図5(a)、(b)の構成では、第2フィードバック回路を制御回路に内蔵できるため、図2に比べて部品点数を削減できる。
【0093】
実施の形態では、シャントレギュレータ(誤差増幅器)22がトランスT1の2次側に設けられる場合を説明したが、この誤差増幅器は、1次側に設けてもよく、さらには制御回路10に内蔵してもよい。
【0094】
実施の形態では、トランスT1の2次側の負荷(マイコン)がモードを制御される場合を説明したが、本発明はそれに限定されず、1次側に設けられた回路が、モードを制御してもよい。この場合、モードを示す制御信号を、フォトカプラによって1次側から2次側に伝送すればよい。
【0095】
当業者であれば、制御回路10にはさまざまなタイプが存在すること、またその構成が本発明において限定されるものでないことは理解される。
たとえば図3のオン信号生成部54として、コンパレータに代えて、所定のオフ時間Toffを測定するタイマ回路を用いてもよい。エネルギーの放出に要する時間をあらかじめ見積もることにより、オフ時間Toffを固定することも可能である。この場合、エネルギー効率の悪化と引きかえに、回路を簡略化できる。タイマ回路は、所定の周波数で発振するオシレータであってもよい。
【0096】
実施の形態では、DC/DCコンバータ100が電子機器1に搭載される場合を説明したが、本発明はそれに限定されず、さまざまな電源装置に適用することができる。たとえばDC/DCコンバータ100は、電子機器に電力を供給するACアダプタにも適用可能である。この場合の電子機器としては、ラップトップ型コンピュータ、デスクトップ型コンピュータ、携帯電話端末、CDプレイヤなどが例示されるが、特に限定されない。
【0097】
実施の形態にもとづき、具体的な用語を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
【符号の説明】
【0098】
P1…入力端子、P2…出力端子、Co1…第1出力キャパシタ、Co2…第2出力キャパシタ、D1…第1ダイオード、D2…第2ダイオード、T1…トランス、L1…1次コイル、L2…2次コイル、L3…補助コイル、M1…スイッチングトランジスタ、100…DC/DCコンバータ、10…制御回路、20…第1フィードバック回路、22…シャントレギュレータ、24…第1フォトカプラ、26…分圧回路、30…第2フォトカプラ、40…第2フィードバック回路、42…電圧生成回路、44…誤差増幅器、46…アンプ、50…バーストコンパレータ、R1…第1抵抗、R2…第2抵抗、R3…第3抵抗、1…電子機器、2…マイコン、4…信号処理回路、102…整流回路、M21…第1スイッチ、M22…第2スイッチ、M23…第3スイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧を変圧して出力端子から出力電圧を出力するDC/DCコンバータであって、
1次コイル、2次コイルおよび前記1次コイル側に設けられた補助コイルを有するトランスと、
その第1電極の電位が固定され、その第2電極が前記出力端子に接続された第1出力キャパシタと、
前記出力端子と前記2次コイルの第1端子との間に、そのカソードが前記出力端子側となる向きで設けられた第1ダイオードと、
前記1次コイルの経路上に設けられたスイッチングトランジスタと、
その第1電極の電位が固定された第2出力キャパシタと、
前記第2出力キャパシタの第2電極と前記補助コイルの第1端子との間に、そのカソードが前記第2出力キャパシタ側となる向きで設けられた整流素子と、
通常モードにおいて動作状態、スタンバイモードにおいて非動作状態となり、前記出力電圧に応じた第1フィードバック信号を第1フォトカプラを介してトランスの2次側から1次側へ伝送する第1フィードバック回路と、
前記通常モードにおいて非動作状態、前記スタンバイモードにおいて動作状態となり、前記第2出力キャパシタに生ずる電圧に応じた第2フィードバック信号を生成する第2フィードバック回路と、
その電源端子に前記第2出力キャパシタに生ずる電圧を受け、前記通常モードにおいて前記第1フィードバック信号にもとづいて前記出力電圧が第1レベルと一致するように、前記スタンバイモードにおいて前記第2フィードバック信号にもとづいて前記出力電圧が前記第1レベルより低い第2レベルと一致するように前記スイッチングトランジスタのオン、オフを制御する制御回路と、
を備えることを特徴とするDC/DCコンバータ。
【請求項2】
前記第1フィードバック回路は、
前記出力端子と接地端子の間に直列に設けられた第1抵抗、第2抵抗と、
そのカソードが前記出力端子側、そのアノードが前記接地端子側となる向きで設けられ、かつその基準端子に前記第1抵抗と前記第2抵抗により分圧された電圧が入力されたシャントレギュレータと、
を含み、前記DC/DCコンバータの出力電圧が前記第2レベルのときにオフするよう構成されることを特徴とする請求項1に記載のDC/DCコンバータ。
【請求項3】
前記第1フィードバック回路は、
前記出力端子と接地端子の間に、前記第1、第2抵抗と直列に設けられた第1スイッチをさらに含み、前記スタンバイモードにおいて前記第1スイッチがオフすることを特徴とする請求項2に記載のDC/DCコンバータ。
【請求項4】
前記第1フィードバック回路は、前記出力端子と接地端子の間に設けられた第1スイッチを含み、前記スタンバイモードにおいて前記第1スイッチがオフすることを特徴とする請求項1に記載のDC/DCコンバータ。
【請求項5】
前記第2フィードバック回路は、前記第2出力キャパシタの前記第2電極と接地端子の間に設けられた第2スイッチを含み、前記通常モードにおいて前記第2スイッチがオフすることにより、非動作状態となることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のDC/DCコンバータ。
【請求項6】
前記第2フィードバック回路は、
前記第2出力キャパシタの前記第2電極と接地端子の間に直列に設けられたダイオード、第3抵抗および第2スイッチと、
そのベースエミッタ間に前記第3抵抗の電圧降下に応じた電圧が印加されたバイポーラトランジスタと、
を含み、前記第2フィードバック信号は、前記バイポーラトランジスタのコレクタ電圧に応じており、前記第2スイッチは前記通常モードにおいてオフするように構成されることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のDC/DCコンバータ。
【請求項7】
前記スタンバイモード、前記通常モードの切りかえは、本DC/DCコンバータの負荷によって制御され、かつ前記負荷は、モードを示す制御信号を生成可能に構成され、
本DC/DCコンバータは、前記負荷からの前記制御信号を、前記トランスの2次側から1次側に伝送する第2フォトカプラをさらに備えることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のDC/DCコンバータ。
【請求項8】
前記第2フィードバック回路は、
前記第2出力キャパシタの前記第2電極と接地端子の間に直列に設けられた、前記第2出力キャパシタの前記第2電極の電圧に応じた検出電圧を生成する電圧生成回路および第2スイッチと、
前記検出電圧と所定の基準電圧の誤差を増幅することにより前記第2フィードバック信号を生成する誤差増幅器と、
を含み、
前記第2スイッチは前記通常モードにおいてオフするように構成され、
前記制御回路は、
前記誤差増幅器の出力電圧と、前記スイッチングトランジスタに流れる電流に応じた電流検出信号を比較する電流検出コンパレータと、
を含み、前記電流検出コンパレータの出力信号に応じて、前記スイッチングトランジスタを制御するよう構成されることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のDC/DCコンバータ。
【請求項9】
前記第2フィードバック回路は、
前記第2出力キャパシタの前記第2電極と接地端子の間に直列に設けられた、前記第2出力キャパシタの前記第2電極の電圧に応じた検出電圧を生成する電圧生成回路および第2スイッチと、
前記検出電圧を受け、前記第2フィードバック信号をアンプと、
を含み、前記第2スイッチは前記通常モードにおいてオフするように構成され、
前記制御回路は、
前記第2フィードバック信号を、所定の基準電圧と比較するバーストコンパレータを含み、前記バーストコンパレータの出力信号に応じて、前記スイッチングトランジスタがスイッチングする期間と、スイッチングを停止する期間を交互に繰り返すように構成されることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のDC/DCコンバータ。
【請求項10】
前記制御回路は、前記第1フィードバック信号が入力されるフィードバック端子と前記電源端子の間に直列に設けられたプルアップ抵抗と第3スイッチを含み、
前記第3スイッチは、前記スタンバイモードにおいてオフすることを特徴とする請求項8または9に記載のDC/DCコンバータ。
【請求項11】
商用交流電圧を直流電圧に変換するAC/DCコンバータと、
前記直流電圧を受け、それを降圧した電圧を負荷に供給する請求項1から10のいずれかに記載のDC/DCコンバータと、
を備えることを特徴とする電源装置。
【請求項12】
商用交流電圧を直流電圧に変換するAC/DCコンバータと、
マイコンと、
前記直流電圧を受け、それを降圧した電圧を前記マイコンに供給する請求項1から10のいずれかに記載のDC/DCコンバータと、
を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−62947(P2013−62947A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199728(P2011−199728)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】