説明

DHAおよびローズマリーのコビーズレットおよびそれらの使用方法。

【課題】眼の健康を維持および改善するための栄養補助食品の提供。
【解決手段】本発明は、栄養補助食品中の封入にとって有用な改善されたビーズレット処方物を提供することによって、従来技術の欠点または他の欠点を克服する。特に、この改善されたビーズレットは、DHA(ドコサヘキサエン酸);ローズマリーおよび/またはそれらの構成成分;ならびに賦形剤を含む。これらのビーズレットは、眼の栄養摂取状態を改善および維持するためにカスタマイズされた栄養補助食品における取り込みにとって特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(1.発明の分野)
本発明は、機能性食品(nutraceutical)の分野に関し、そして、眼の健康を維持および改善するための栄養補助食品(dietary supplement)の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
(2.関連技術の説明)
栄養補助食品は、視力の改善および失明の予防を含む種々の理由のために推奨される。眼の栄養摂取を改善することおよび眼の健康を増進することにおいて有用な栄養補助食品の例は、ICaps(登録商標)Dietary Supplement(Alcon Laboratories,Inc.,Fort Worth,TX)である。栄養補助食品は、一般的に、粉末、錠剤、カプセルまたはゲルカプセル(gel−cap)の形態で消費され、これらの栄養補助食品は、種々のビタミン、ミネラル、薬草成分、または他の有機成分を含有する。いくつかの栄養補助食品は、ビーズレットで処方され、このビーズレットは、栄養成分のキャリアとして機能し得、そして、錠剤へと混合および圧縮されるか、またはカプセルまたはゲルカプセルへと充填される。
【0003】
食用物質を含むビーズレットは、一般に、直径にして約1ミリメートル未満の長球形体である。ビーズレットにおける様々な機能および目的が存在する。例えば、ビーズレットは、栄養補助食品中の補完的(外側)成分からの独立した封じ込め(内臓)および分離を提供し得る。この型の分離は、相互作用または反応に対するポテンシャルを有するこれらの成分を単離し得、そして、それによって、封じ込められた成分または補完的な外側の成分のいずれかの安定性および/または利用可能性を改善する。これらの成分は、バイオアベイラビリティを改善ために消化または吸収を促進するための補完的成分を有するビーズレットへと併合される。より一般的には、食品産業は、酸味料(acidulant)、アロマ、食用油(nutritional oil)および添加物、ビタミン、ミネラル、食物繊維または味醂(leavening agent)の利用可能性、風味または匂い、および用量一様性の安定性(dosage uniformity stability)を制御するため、ならびに、水分、微生物増殖および生物学的負荷を制御するために、マイクロカプセル化を利用した。化学産業は、反応速度から分布の制御という多くの用途のためにこの技術を利用する。
【0004】
種々のビーズレット組成物は、公知であり、そして、多くの食品成分または栄養補助剤の製造業者、化学薬品製造業者または医薬品製造業者、専門製造業者、製造業者、または研究機関から取得可能であり得る。栄養補給用途のための特定のビーズレット組成物は、米国特許第4,254,100号(Kellerら)および同第3,998,753号(Antoshkiwら)を含む多くの特許の主要部分であった。ビーズレット製造方法は、米国特許第4,670,247号(Scialpi)および同第3,998,753号に開示されている。
【0005】
マイクロカプセル化は、単純カプセルレザバから、数個の様式のうちの1つで達成され得、この単純レザバにおいて、油滴のような粒子が、モノリシックマトリクスに、薄い、通常はポリマー性の、コーティングで被覆され、このマトリクスにおいて、最終的な多孔性の、通常なポリマー性である構造体が、生成され、この構造体は、その間隙において活性成分を適合させ得る。いくつかの例において、特許請求する本願技術のように、2つの技術を併用することが、必要であって、コーティングされたモノリシックな活性成分を提
供する。
【0006】
栄養補助食品における現在のビーズレット組成物は、通常は、安全でかつ効果的であり、そして単一の栄養化合物(nutritional compound)に対して補完的である不活性な食用級(inert food−grade)の成分および賦形剤に限定される。他の例において、同じクラスの分子が、特定の供給源、つまり、例えば、微量な関連する構成成分を伴った主成分から精製され、そして、両方の化合物が、並列的な効果を生じるときに、これらのような分子は、必ずしも単離されている必要はなく、ビーズレット中に一緒に混合されていてもよい。これらは、擬単一成分ビーズレット(pseudo−single−component beadlet)であるとみなされ得、そして、市場で実際に、出回っている(例えば、Lutrinol(登録商標)ビーズレットおよびFloraGLO(登録商標)ビーズレットであり、これらは、Retoxil(登録商標)栄養補助食品として処方される、ルテインとゼアキサンチンとしての組み合わせたものである。)。ビーズレットに封入することから利益を得る成分の例としては、天然ビタミン(例えば、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、およびビタミンK);ミネラル(例えば、鉄分および炭酸水素ナトリウム);キサントフィル(例えば、ルテイン、ジアキサンチン(zeaxanthin)、カンタキサンチン、およびアスタキサンチン);カロチノイドおよびレチノイドの単独またそれらの組合せ(例えば、βーカロチン、リコピンおよびレチノール)が挙げられる。
【0007】
係属中の米国特許出願番号第09/397,472号(この’472出願は、本明細書中で参考として援用される)および関連出外国出願は、1以上の活性成分を含むビーズレットに関する。より具体的には、これらの出願は、1以上のキサントフィル、1以上のカロチン/レチノイド、1以上の酸化防止剤、および1以上の凝固剤を含むビーズレットに関する。’472出願に記載のビーズレットは、哺乳動物の疾患または障害を処置または予防することを目的とする。この’472出願は、DHAまたはローズマリー単独または任意の組み合わせの使用について議論していない。
【0008】
このような組成物を投与する好ましい形態は、錠剤である。不運なことに、DHAを含むビーズレットを生成し、そして、それらのビーズレットから錠剤を生成しようとする従来の試みは、優勢かつ不快な海の匂いを伴った錠剤を生じた。さらに、ビーズレットそのものは、時間的に短い期間の後に、不快な海の匂いを発することが見出された。従って、必要とされることは、実質的な匂いがなくかつ安定しているビーズ処方物であって、これらの生成物の貯蔵の間に劣化させることはなく、そして、製造に関連する圧縮力に耐え得、そして、特に錠剤化処理の圧縮力に耐え得ることである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要旨)
本発明は、栄養補助食品中の封入にとって有用な改善されたビーズレット処方物を提供することによって、従来技術のこれらのまたは他の欠点を克服する。特に、この改善されたビーズレットは、DHA(ドコサヘキサエン酸);ローズマリーおよび/またはそれらの構成成分;ならびに賦形剤を含む。これらのビーズレットは、眼の栄養摂取状態を改善および維持するためにカスタマイズされた栄養補助食品における取り込みにとって特に有用である。
【0010】
本発明はまた、改善されたビーズレットを含む栄養補助食品に関する。好ましい栄養補助食品は、眼の健康状態に助けとなるものとして処方された。本発明はまた、このビーズレットを使用する方法および栄養的健康を改善するための栄養補助食品に関する。本発明の方法は、特に、眼の健康状態を増強することおよび網膜の障害(加齢に関連する黄斑(
部)変性を含む)を予防することに関する。
【0011】
栄養補助食品に対する本発明のビーズレット技術の適用によって、増強された栄養補助が提供され、そして、その開発が容易になる。このような技術は、食用物質のバイオアベイラビリティを増大するに役立ち、そして、このような技術はまた、その補助食品中のDHAおよびローズマリーを含む組成物を改変することの容易性を提供する。このような改善は、眼の栄養状態の増強および眼の健康状態の改善において特に有用であると考えられる。
【0012】
特定の好ましい実施形態において、本発明は、コビーズレット(cobeadlet)および/またはドコサヘキサエン酸(DHA)および/またはローズマリーを含むコビーズレットのコーティングを提供する。このDHAは、好ましくは、約0.1%〜約50%の濃度でそのビーズレット中に存在し、そして、そのローズマリーは、好ましくは、約0.1%〜約50%の濃度でそのビーズレット中に存在する。より好ましくは、このビーズレットは、約7%〜約25%の濃度のDHAおよび約2%〜約20%の濃度のローズマリーを含む。
【0013】
このコーティングは、その外側からの酸化に対する障壁としての役割を果たし、その内側から匂いのある因子またはそれらの副産物を逃がし、そして、このコーティングは、一般的に、物理的または化学的に架橋されたかまたは会合したポリマーおよび賦形剤からなり、そして、ローズマリーのような因子を含んで、匂いをマスキングし、かつ化学的分解を防ぎ得る。
【0014】
上記のパーセンテージの範囲(すなわち、0.1%〜50%など)は、その範囲の間の全ての点を含み得ることが当業者に理解される。すなわち、それは、0.2%、0.3%、0.4%など、1.0%、1.1%、1.2%など、5.0%、5.1%、5.2%...5.7%、5.8%、5.9%などから、20%、25%、30%、40%などまでを含み得る。
【0015】
本発明のビーズレットは、事実上匂いがない。本明細書中で使用される場合、「匂いがない」との用語は、本発明のビーズレットが、事実上匂いを有さないことを意味する。鼻の感受性に依存して、あるものは、匂いを全く検出し得ないし、あるものは僅かな匂いを検出し得、そして、あるものは、僅かな匂いよりも検出する。この用語は、本明細書中で使用される場合、全てのビーズレットが完全に匂いがないことを要求しないが、そのビーズレットが、実質的に匂いがないことを必要とすることを意味する。すなわち、その匂いは、本発明のDHAおよびローズマリーの組み合わせを有さないビーズレットと比較して、実質的に低減されている。
【0016】
本発明のビーズレットにおける用途のためのDHAは、魚油由来であるか、または、藻類の発酵に由来するが、これはまた、亜麻仁油または大豆油またはキャノーラ油、ルリジサ、タマゴ、または臓物に由来し得る。最も好ましくは、本発明のビーズレットの用途のためのDHAは、例えば、藻類の発酵に由来する匂いのような、任意の有意な最初の匂いがない。
【0017】
本発明のビーズレットは、カプセル状のレザバまたはモノリシックマトリクスの形態で存在し得る。油状活性剤のためのカプセルレザバ(例えば、本発明のカプセルレザバ)は、代表的には、少なく1つの界面活性剤(例えば、リン脂質)および水溶性ポリマーからなり、これは、活性因子が溶解しない媒体中に懸濁された活性因子の微粒子を安定化させるために使用される。これらのコーティングは、コーティング材料のフィルム形成タイプであり得る。コーティング物質(例えば、炭水化物(アラビアゴム誘導体およびセルロース誘導体ならびにデキストランからゼラチン)は、グルテン、ポリエステル、デンプン、ラクチド−グリコチドコポリマー、ワックスなどであり得る。当業者は、適切なコーティングを、それらのコーティングの特性および活性成分との適合性ならびに選択的/必須賦形剤に基づいて容易に選択し得る。
【0018】
モノリシックマトリクスは、ポリマーの「ウェブ」中の活性因子を本質的にトラップできる。モノリシックマトリクスは、任意の既知の方法を使用して形成され得るが、一般的に、沈殿重合、ポリマーブレンドのコアセルベーション、または縮重合、または単純乾燥によって形成される。特定の実施形態において、このキャリアのコアは、モノリシックマトリクスを含み得、他方、そのビーズレットの残りは、カプセル状のレザバである。好ましい局面において、このコアは、アクリレートを用いて生成され得る。
【0019】
このマトリクスは、重合前または重合後のいずれかで、活性因子がロードされ得る。重合前または重合後いずれかにおいてローディングが生じるか否かは、活性因子の特性および/またはキャリアの能力に依存する。このような決定は、当業者の知識および技術の範囲に十分に収まる。
【0020】
さらに、微粒子のいずれかの型は、他の賦形剤(例えば、可塑剤、分散剤、着色剤および/または不透明化剤(opaquant)、増量剤、および充填剤)を必要としてもよい。
【0021】
さらに、その活性因子が不安定である場合、これは、カプセル状レザバおよびマトリクス技術を併用することがさらに所望され得る。すなわち、それらの活性因子は、マトリクス中に固定され、次いで、そのマトリクスは、そのコアに対して分解因子の輸送を制限するために被覆され得る。
【0022】
これらの実施形態は、1以上の活性因子が酸化防止剤である場合に、好ましい。特定の好ましい局面において、保護的酸化防止剤は、コアに配置され得、最も脆い種を保護し、そして、この酸化防止剤はまた、そのコーティング中に配置され得る。このようなコーティングは、2つの目的を果たし得る:第1に、そのコーティングは、活性剤を単離し、そして、活性酸素がそのコアに固定された活性剤に到達する速度を低減し得;そして、第2に、そのコーティング中の酸化防止剤は、その容器(一般的に、錠剤またはカプセルのプラスチックボトル)の頭隙中の制限された量の酸素を低減する役割を果たす。
【0023】
好ましくは、本発明のコビーズレットは、以下の成分を含む:2以上の活性因子;結晶化成分または凝固成分(これらは、活性因子を含み得る);合成ポリマーまたは生体高分子のいずれか;沈殿コアセルベート成分;充填剤(これは、不活性成分であり得、そのビーズレットに重要な物理特性(例えば、硬さ、または大きさの特性)を与え得るか、またはその活性因子の1つまたは両方にとって重要な化学的特性(例えば、結合特性または安定化特性)が提供され得る);可塑剤(これは、ビーズレットが脆くなりすぎることを防ぎ、そして、処理の間に小片となるとことを防ぐ);ならびに化学剤(1以上の活性因子を保護し、そして、それらの安定性を保護する)。
【0024】
本発明は、哺乳動物における眼の健康状態を維持または改善する方法をさらに提供する。本発明の方法は、一般に、コビーズレットを含む組成物を哺乳動物に投与する工程を包含し、ここで、このコビーズレットは、DHAおよびローズマリーを含む。好ましい実施形態において、本発明の方法の使用のためのビーズレットは、上述のように記載される。代表的には、本発明の方法における使用のための組成物は、多くの形態で投与され得、この形態としては、粉末、カプセル、キャプレット、ゲルカプセル、または錠剤が挙げられる。最も好ましくは、この組成物は、錠剤の形態で投与され、錠剤はまた、眼の栄養状態を維持することにおいて価値のある他の微量元素を送達することが意図される。
【0025】
本発明は、さらに以下の項目を提供する:
(項目1)ドコサヘキサエン酸(DHA)およびローズマリーを含む、コビーズレット。
(項目2)上記ビーズレットが無臭である、項目1に記載のコビーズレット。
(項目3)上記DHAが藻類からの発酵によって得られる、項目1に記載のコビーズレット。
(項目4)ローズマリー以外の少なくとも1つの酸化防止剤をさらに含む、項目1に記載のコビーズレット。
(項目5)項目1に記載のコビーズレットであって、上記DHAの濃度が約0.1%〜約50%であって、上記ローズマリーの濃度が約0.1%〜約50%である、コビーズレット。
(項目6)約7%〜約25%のDHAおよび約2%〜約20%のローズマリーを含む、項目5に記載のコビーズレット。
(項目7)哺乳動物における眼の健康を維持または改善するための方法であって、この方法は、コビーズレットを含む組成物をこの哺乳動物に投与する工程を包含し、このコビーズレットが、DHAおよびローズマリーを含む、方法。
(項目8)項目7に記載の方法であって、上記組成物が、約0.1%〜約50%のDHAおよび約0.1%〜50%のローズマリーを含む、方法。
(項目9)項目8に記載の方法であって、上記組成物が錠剤の形態である、方法。
(項目10)項目1に記載のコビーズレットが含む、錠剤。
(項目11)項目10に記載の錠剤であって、コビーズレットの外側の賦形剤として、少なくとも3mgのローズマリーオイルをさらに含む、錠剤。
(項目12)項目11に記載の錠剤であって、上記錠剤が少なくとも5mgのローズマリーオイルを含む、錠剤。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
(詳細な説明)
(好ましい実施形態)
本発明は、改善されたビーズレット処方物、この改善されたビーズレット処方物を含む改善された栄養補助食品処方物および使用方法に関する。本明細書で使用される場合、「栄養補助食品」または短縮した形態で、「補助食品」とは、栄養物質を含み、そしてホスト(例えば、ヒトまたは他の哺乳動物)による摂食にとって適切である任意の完成した、栄養補助食品投与形態をいう。
【0027】
ドコサヘキサエン酸(DHA)は、魚油に由来するか、または例えば藻類の発酵によるω−3必須脂肪酸である。DHAの少量の成分およびその酸化の副産物の両方が、「海の匂い(marine odor)」として称される、不快な匂いを保持することが観察されている。製造者は、より純度の高い生成物を考案すること、酸化からその生成物を保護し得るキャリアを製造すること、より受容可能な香り(例えば、シトラス芳香)でその不快な匂いをマスキングすること、あるいはこれらの技術の組み合わせによって、DHAの使用における欠点を除去することを試みてきた。例えば、その発酵プロセスおよびそのブロスからのDHAの単離の両方が、改善されてきた。この結果は、魚油から得られる匂いと比較して有意に軽減された海の匂いを有するDHA製品である。
【0028】
その製品の安定性を改善し、かつ、より匂いのない状態を維持するために、そのDHAは、ビーズレットでカプセル化された。1つの形態において、そのビーズレットは、ゼラチンビーズレット技術を使用して製造された。次いで、このビーズレット処理されたDHAは、錠剤の製品へと形成された。そのDHA含有ビーズレットは、魚油由来のDHAを使用して製造されたDHA含有ビーズレットと比較した場合に、その匂いにおける有意な改善が、検出された。しかし、ビーズレットを錠剤にした場合に、その海の匂いは、DHAの供給源にかかわらず、優勢なものであった。この海の匂いは、時間の経過とともに、増大することが見受けられた。
【0029】
DHA油の錠剤形成の初期の研究によって、錠剤からその優勢な海の匂いを制御するために、このω−3脂肪酸をカプセル化する必要性があることが示された。藻類DHAは、魚油から発生される匂いよりもより不快でない匂いを保持し、そして、その藻類DHAのビーズレットは、最も不快な匂いが少なかった。しかし、錠剤処理の後に、この不快な匂いがいくらか生じた。類似の不安定性が、ルテインビーズレットとの圧縮においても観察され、圧縮の後においてのみ、これらが不安定であると観察された。圧縮の効果は、酸化させるその化合物の割合を増加させることであると考えられている。錠剤を製造するためにDHAビーズレットを圧縮することは、類似の効果を生じると考えられる。すなわち、この圧縮によって、酸化を受けるDHAの割合が増加し、そして、これは、より不快な匂いを発する酸化(「酸敗」)生成物であると考えられた。従って、本発明者は、十分な濃度の酸化防止剤は、錠剤圧縮の圧力を受けたビーズレット化DHAを保護するかまたはそれらを保護するのを補助する役割を果たし得ることを確認する。
【0030】
ルテインとともに、ビーズレット中に、人間が消費することにとって安全な酸化防止剤(例えば、トコフェロール(ビタミンE関連化合物)およびアスコルビン酸(ビタミンC誘導体))を含むことによって、酸化からそのルテインが保護されたことが知られていた。いずれの理論にも束縛されることなく、その酸化防止剤が、以下のような特異的な様式で振舞うことによってそのルイテインを保護すると考えられている:(1)頭隙にある酸素のすべてが、酸化防止剤と最終的には反応する;(2)プラスチックボトル内を拡散する酸素はまた、封じ込まれた酸化防止剤と反応する;(3)その酸素が、最も酸化可能(oxidizable)な酸化防止剤とより迅速に反応する。次いで、そのビーズレット中の酸化防止剤は、酸化がより重要な活性成分に影響を与える前に「使い果たされる」。そのDHAは、ローズマリー中の迅速に酸化可能な成分によって保護されるとこが見出され、他方、さらに迅速な酸化可能で濃縮された植物由来の酸化防止剤の供給源が、匹敵気するだけの利益を提供することが期待され、そして、本願の技術によって包含されることが想定される。
【0031】
本発明者は、いくつかの酸化防止剤、すなわち、ビタミンCおよびビタミンEならびにローズマリーが、急性の光線誘導による毒性から網膜を保護するのに効果的であることを発見した。細胞性酸化防止剤は、反応カスケードで機能し、代謝組織内で活性酸素種に対して感受性のオルガネラを保護し、ここで、最終的に、酸素は、水へと還元される。例えば、アルコルビン酸は、ビタミンEの酸化種から還元された種を再生することが知られている。従って、本発明者は、DHAを伴ったコビーズレット中の十分量のローズマリーが多目的の役割を果たし得ることを確認した。第1に、これは、第2の活性成分として作用し、眼の保護を提供し、そして、眼の健康状態を改善する。第2に、これは、安定剤として作用し、その生成物の貯蔵寿命を増大する。最後に、これは、脱臭剤として作用し、その酸化を防ぐことによってDHAの海の匂いをマスキングし、そして、より好ましい知覚される芳香を与える。
【0032】
本発明者は、ローズマリーおよび/またはその構成成分をDHA含有ビーズレットに添加し、その結果、両方の「活性」成分が、1つのビーズレット中に存在し、酸化したDHAに関連する「悪臭」を除去し、他方、その組成物を安定化し、その貯蔵寿命を長くすることを見出した。事実上、任意のビーズレット技術(例えば、米国特許第4,254,100号;同第3,998,753号;同第4,670,247号;および同第3,998,753号に記載されるようなビーズレット技術)は、本発明の実施において有用であることが企図される。
【0033】
本発明の状況におけるビーズレットの安定性は、十分な封じ込め特性をいい、すなわち、このカプセル化によって、活性成分が、酸化およびその化合物およびその後の利用可能性に悪影響を与え得る他の条件に対する曝露から保護される。そのDHAと同じビーズレット内にローズマリーは、酸化条件、ならびに独特の不快な「海の」匂いを生じ得る他の条件から、DHAのさらなる保護を提供し、そして、その眼の栄養分としての価値に寄与する。
【0034】
本発明の特定の実施形態に従って、マイクロカプセル化したDHA/ローズマリーを含有する組成物は、0.1%〜40%のDHAを含み、ここで、DHA/ローズマリービーズレットの粒径は、100μm〜600μmの範囲であるが、時折、800μmまで大きな粒子および10μmまでの微細物が、同様に、受容可能であり得る。本発明のマイクロカプセル化組成物は、錠剤組成物、硬カプセル充填、および種々の食物の形での取り込みにとって、適切である。本発明の特定の実施形態に従って、本明細書中で用いられるDHA/ローズマリー混合物は、充填剤、賦形剤または添加剤をさらに含み得る。適切な充填剤の例としては、デンプン、ペクチン、カラゲナン、キサンチンゴム、タンパク質、ポリエチレングリコール、セルロース誘導体(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびエチルセルロース)ならびに他のポリサッカリドを含む。
【0035】
本発明は、以下の点において有利である。つまり、本発明は、活性因子の改善された安定性、および活性因子の相対的に高い含有量、ならびに、活性因子のバイオアベイラビリティの改善を伴う、事実上、不快な匂いのない、DHAおよびローズマリーを含むマイクロカプセルまたはビーズレットについて記載する。本願発明の利用可能性は、同じビーズレット内で一緒に存在し、不快な匂いを減少させるかまたは除去し、そして、安定性および貯蔵寿命を増大させるDHA/ローズマリー混合物に由来する。本発明のマイクロカプ
セルは、錠剤等級(tablet grade)であり、すなわち、錠剤化においける使用に適切である。本発明の好ましい組成物は、ゼラチンを含まない。
【0036】
本発明のビーズレットは、酸化損傷から活性因子(DHAおよびローズマリー)を、保護することができ、その酸化損傷は、パッケージの頭隙に存在するか、そして/またはその生成物の貯蔵寿命の間にパッケージの仕切りを通過して輸送される酸素に対する曝露を伴う。本発明のビーズレットは、錠剤化の間に、15SCU以上、そし好ましくは、20SCU以上の圧縮力に耐えることがさらに可能であり、その結果、最終生成物の封じ込められた酸化防止剤が、安定性においても効率においても損なわれない。
【0037】
本発明は、上述のように規定した特性を有するビーズレットならびに他の酸化防止剤自体(これは、ビーズレットの中に封じ込められていても封じ込められなくともよい)を含む、投与形態の組成物をさらに提供し、その結果、最も酸化可能な成分(一般的に、ローズマリー中に見出される酸化防止剤)が、頭隙において、酸素と反応し、そして酸素を不活性化し、そして、残留する酸化防止剤(カロチノイド、キサントフィル、ビタミン、他のポリフェノールなど)のすべてを保護するのに十分な量で存在する。錠剤本体(上記のキャリアビーズレット中またはその上に含まれる量には含まれない)中に存在するローズマリーの量は、一般的に、3mg/錠剤を超え、そして、好ましくは、5mg/錠剤を超え、このとき、これらの錠剤は、60錠剤のボトルに従来通り封入され、そして、この容器は、LDPEまたは酸素透過性において等価なものであり、そして、保護的な酸化防止剤は、未強化ローズマリーオイルである。当業者によって十分に理解されるように、この量は、ローズマリー中の反応性酸化防止剤の濃縮形態が使用される場合に、低減され得る。錠剤の本体中のローズマリーの量は、すべての錠剤の酸化防止剤の活性を保護し、他方、そのビーズレット中に含まれるローズマリーは、栄養的価値および治療的価値、ならびに、ビーズレットに対する安定化を提供する。
【0038】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を実証するために含まれる。実施例中に開示される技術は、本発明者によって発見された代表的な技術に従い、本発明の実施において十分に機能し、そして、その実施の好ましい様式を構成するものと考えられ得ることが当業者にとって理解される。しかし、当業者は、本発明の開示に従って、開示された具体的な実施形態において多くの変化がなされ、本発明の精神および範囲から逸脱することなく同様または類似の結果を取得することが出来ることを理解する。
【実施例】
【0039】
(実施例1)
(ゼラチンベースのコビーズレットのための賦形剤)
この技術の以下の実施例において、活性剤および補助活性剤(coactive)は、DHAおよびローズマリーまたはそれらの成分をいう。その技術の具体的な実施例としては、コビーズレットの組成物、選択的なコーティングの組成物、ならびに完全な錠剤中に含まれる成分および賦形剤があげられる。
【0040】
コビーズレットの例としては、以下が挙げられる:
【0041】
【表1】

【0042】
(実施例2)
非ゼラチンベースのコビーズレットに対する賦形剤
【0043】
【表2】

【0044】
(実施例3)
(コーティング技術の実施例)
(コビーズレットコア、特に、非ゼラチンベースのコアのコーティングのための賦形剤)
活性剤または補助活性剤 3%
ヒドロキシプロピルセルロース 16%
メタノール 30%
アセトン 51%
(A.コビーズレットコア、特に、非ゼラチンベースのコアのコーティングのための賦形剤)
活性剤または補助活性剤 4%
コーンスターチ 10%
セルロース誘導体 22%
水 60%。
【0045】
(実施例4)
(眼の健康状態を維持するのに有用な錠剤およびカプセルの処方物中の活性剤の例)
(A.眼病用処方物中の活性剤)
【0046】
【表3】

【0047】
(B.眼病用処方物で(意図される)活性剤および賦形剤:)
アスコルビン酸
ゼラチン
ヒドロキシプロピルメチルセルロース
dl−α−トコフェノールアセテート
リン酸二カルシウム
微晶質セルロース
ステアリン酸マグネシウム
スクロース
二酸化珪素
酢酸亜鉛二水和物
マグネシウム アミノ酸キレート
コーンスターチ

アルギン酸ナトリウム
セレン アミノ酸キレート
ダイズタンパク質(単離)
酸化チタン
ヒドロキシプロピルセルロース(Klucel)
脂肪酸(DHA賦形剤)
DHA(オイルキャリア中)
銅アミノ酸キレート
リボフラビン
ポリエチレングリコール
ルテイン/ジアキサンチン
水およびCa
エトキシ化グリセリド
脂溶性ビタミンC
β−カロチン
ローズマリー(Herbalox typeOによる)
アスコルビン酸ナトリウム
dl−αトコフェノール
ゼアキサンチン
キャノーラ油(Herbalox賦形剤)
ダイズ油(Herbalox賦形剤)
賦形剤
ソルビン酸
Polysorbate 80
安息香酸ナトリウム
葉酸
サラダ油(Lyc−o−Rose賦形剤)
カルナウバ蝋
シアノコバラミン。
【0048】
(実施例5)
(実施例1および実施例2に記載のマイクロカプセルからの錠剤の製造)
成分、つまり、全てのコア活性剤および賦形剤(コビーズレット化したDHAおよびローズマリーを含む)を、混合して、そして顆粒化して、一様な塊を形成し、この塊を、ほぼ完全な、小さな頭隙中の、密閉されたプラスチック容器中に貯蔵する。可能な限り迅速に、有意な遅延のいずれも排除し、このブレンドは、約22SCUの硬さまで錠剤化処理を施し、そして、この錠剤を、その錠剤が被覆され得るまで、ほぼ完全な、小さな頭隙中の、密閉されたプラスチック容器中に貯蔵し、ひび割れは、最小にする。この錠剤を、最終的には、噴霧被覆し、乾燥し、そして、包装する。
【0049】
本明細書中にて開示および特許請求された、組成物および/または方法のすべては、本願の開示のもと、過度の実験をすることなしに、製作および実施され得る。本発明の組成物および方法が、好ましい実施形態に関して、記載され、本発明の概念、精神および範囲から逸脱することなしに、その組成物および/または方法およびその方法の工程または本明細書に記載の方法の工程の順序に、改変が施され得ることは当業者にとって明らかである。より具体的には、化学的および構造的の両方で関連する特定の因子が、本明細書に記載の因子と置き換えられ、類似の結果が達成され得ることは明らかである。全てのこのような置換および改変は、当業者にとって明らかであり、そして、これらは、特許請求の範囲によって規定されるような本願発明の、精神、範囲および概念のうちにあるとみなされる。
【0050】
(参考文献)
以下の文献は、それらの文献が、例示的な手順または本明細書に示された手順に対する補遺となる他の詳細を提供する程度において、参考として本明細書中で援用される。
【0051】
米国特許3,998,753号
米国特許4,254,100号
米国特許4,670,247号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドコサヘキサエン酸(DHA)およびローズマリーを含む、コビーズレット。

【公開番号】特開2006−77024(P2006−77024A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−332089(P2005−332089)
【出願日】平成17年11月16日(2005.11.16)
【分割の表示】特願2003−579787(P2003−579787)の分割
【原出願日】平成15年3月19日(2003.3.19)
【出願人】(399054697)アルコン,インコーポレイテッド (102)
【Fターム(参考)】